説明

光源装置及び光源装置に用いるリフレクタの製造方法並びにプロジェクタ

【課題】 薄型のプロジェクタやプロジェクタ用の光源装置としてリフレクタの一部を切り欠いた際、切り口が鋭利にならず、応力集中や熱の集中を防止できるリフレクタの製造方法と、当該リフレクタを用いた光源装置及び当該光源装置を用いたプロジェクタを提供すること。
【解決手段】 本体部146の上下に突出した膨出部147と、本体部146の後方に突出したランプ固定部135とを有した形状にガラスをプレス加工し、この鋳造した造形物の内面に反射面を形成し、膨出部147を切断除去することにより切断面が平面形状で、反射面から切断面にかけて立ち上がり面148を有する上切り込み部133と下切り込み部134を形成して製造するものであり、又、プロジェクタ10は、このリフレクタ65を有する光源装置63を用いたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタ用の光源装置、当該光源装置に用いるリフレクタの製造方法及び当該光源装置を備えたビデオ信号等に基づいて画像を投影するプロジェクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、パーソナルコンピュータの画面やビデオ画像、更にメモリカード等に記憶されている画像データによる画像等をスクリーンに投影する画像投影装置としてのデータプロジェクタが多用されている。
【0003】
このデータプロジェクタは、メタルハイランドランプや超高圧水銀ランプ等の小型高輝度の光源装置を内蔵し、この光源から射出された光をDMDと呼ばれるマイクロミラー表示素子、又は、液晶板に集光させ、スクリーン上にカラー画像を表示させるものである。
【0004】
このようなプロジェクタは近年小型化されており、プロジェクタ筐体の小型化に応じて光源装置の小型化も進んでおり、又、光源装置からの射出光を効率よく利用するため多くの発明が提案されている。
【0005】
例えば、特開平10−171362号公報(引用文献1)では、光源装置の有する開口部に従来はルーバを形成することにより光が漏れるのを防いでいたが、ルーバの変わりにランプシェードを設けることで光の遮光を行った発明が提案されている。この発明においては、従来ルーバを用いて遮光していたときと比較して遮光の効率が上がり、且つ、冷却風の通りが良くなったため、冷却効率が向上したものである。
【0006】
又、プロジェクタの小型化と共にプロジェクタの薄型化も望まれており、プロジェクタを薄型とするため、円形の射出口を有する光源装置のリフレクタの上下を切り込むことによって射出口の上下を平面形状として薄型にし、このリフレクタを用いた光源装置を用いることも提案されている。
【特許文献1】特開平10−171362号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、薄型のリフレクタを製造するために上下を切り込む場合、切り口が鋭利になるため応力が集中して破損しやすく、又、熱が切り口に集中してしまうため変形や焼き付きが起こるといった問題点があった。
【0008】
本発明は上述したような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、薄型のプロジェクタやプロジェクタ用の光源装置としてリフレクタの一部を切り欠いた際、切り口が鋭利にならず、応力集中や熱の集中を防止できるリフレクタの製造方法と、当該リフレクタを用いた光源装置及び当該光源装置を用いたプロジェクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のリフレクタ(65)の製造方法は、ガラスを加工して内面を回転曲線面形状とするリフレクタを形成するに際し、リフレクタの中心軸を中心とする対向位置に各々外方への膨出部(147)を形成し、両膨出部(147)を略平行な平面で切断除去することにより上切り込み部(133)と下切り込み部(134)を形成するものであり、この上切り込み部(133)と下切り込み部(134)は、周縁に内側の反射面から切断面に連続する略垂直な立ち上がり面(148)を有している場合があるものである。
【0010】
そして、本発明の光源装置(63)は、断面を略半楕円形状の回転体とし、内面を反射面とし、前方に前面開口部(131)を備え、上下に反射面から切断面にかけて上切り込み部(133)と下切り込み部(134)を有するリフレクタ(65)と、リフレクタ(65)に固定された放電ランプと、上切り込み部(133)の上部を覆う上部遮光板(137)と、下切り込み部(134)の下部を覆う下部遮光板(138)とを備えるものである。
【0011】
更に、この光源装置(63)の上切り込み部(133)及び下切り込み部(134)は、リフレクタ(65)の内側の反射面から切断面に連続する略垂直な立ち上がり面(148)を有しているものであり、上切り込み部(133)及び下切り込み部(134)の切断面は平行な面形状であり、一部を切り欠いた楕円形状にリフレクタ(65)の前端から後方に切り込まれているものである。
【0012】
又、本発明のプロジェクタ(10)は、光源装置(63)と、光学系や表示素子等を備える光学系ユニット(77)と、プロジェクタ制御手段とを備え、光源装置(63)は、上述したようなものを用いるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、薄型のプロジェクタやプロジェクタ用の光源装置としてリフレクタの一部を切り欠いた際、切り口が鋭利にならず、応力集中や熱の集中を防止できるリフレクタの製造方法と、当該リフレクタを用いた薄型の光源装置及び当該光源装置を用いた薄型のプロジェクタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の形態のプロジェクタ10は、光源装置63と、光学系や表示素子等を備える光学系ユニット77と、プロジェクタ制御手段とを備えるものである。
【0015】
そして、本発明の光源装置63は、内面を略半楕円形状などの曲線の回転体形状とし、この内面に所要の波長光を反射する反射フィルタを形成した反射面とし、前方に前面開口部131、上下に反射面から切断面にかけて上切り込み部133と下切り込み部134を有するリフレクタ65と、リフレクタ65に固定された放電ランプと、上切り込み部133の上部を覆う上部遮光板137と、下切り込み部134の下部を覆う下部遮光板138とを備えるものである。
【0016】
又、上切り込み部133及び下切り込み部134の切断面は平行な面形状であり、一部を切り欠いた楕円形状にリフレクタ65の前端から後方に切り込まれており、上切り込み部133及び下切り込み部134は、リフレクタ65の内側の反射面から切断面に連続する略垂直な立ち上がり面148を有しているものである。
【0017】
又、この光源装置63で用いるリフレクタ65は、本体部146と、本体部146の上下に突出した膨出部147と、本体部146の前方端部に形成されたレンズ固定板145と、本体部146の後方に突出したランプ固定部135とを有した形状に柔らかなガラスをプレス加工し、このプレス加工した造形物の内面に反射フィルタを形成して反射面とし、膨出部147を切断除去することにより切断面が平面形状で、反射面から切断面にかけて端部を厚肉としつつ立ち上がり面148を有する上切り込み部133と下切り込み部134を形成して製造するものである。
【0018】
そして、リフレクタ65の本体部146は、半楕円面形状の回転体であり、前方端部に円形状の前面開口部131と、後方端部に円形状の後面開口部150と、上下に縁を半楕円形状とする楕円開口部とを有し、膨出部147は、楕円開口部の反射面側周縁から略垂直に形成された立ち上がり面148を内面とする膨出壁151と、当該膨出壁151の先端を覆う水平な膨出板149とを備え、ランプ固定部135は、本体部146の回転軸と中心軸を同一とする円筒形状で前方端部を後面開口部150の周縁と接続した形状に造形物をプレス加工し、膨出部147を切断除去するものである。
【実施例】
【0019】
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳説する。本発明の一つの実施例に係るプロジェクタは、図1に示すように、略直方体形状であって、本体ケースの前方の側板とされる前面板12の側方に投影口を覆うレンズカバー19を有すると共に、この前面板12には複数の排気孔17を設けている。更に、図示しないがリモートコントローラからの制御信号を受信するIr受信部を備えている。
【0020】
又、本体ケースである上面板11にはキー/インジケータ部37を設けるものであり、このキー/インジケータ部37には、電源スイッチキーや電源のオン又はオフを報知するパワーインジケータ、光源装置のランプを点灯させるランプスイッチキー及びランプの点灯を表示するランプインジケータ、光源装置等が過熱したときに報知をする過熱インジケータ等のキーやインジケータを設けるものである。
【0021】
更に、本体ケースの背面には、背面板にUSB端子や画像信号入力用のD−SUB端子、S端子、RCA端子等を設ける入出力コネクタ部及び電源アダプタプラグ等の各種端子20を設けているものである。
【0022】
尚、図示しない本体ケースの側板である右側板14、及び、図1に示した側板である左側板15の下部近傍には、各々複数の吸気孔18を設けているものである。
【0023】
そして、このプロジェクタ10のプロジェクタ制御手段は、図2に示すように、制御部38、入出力インターフェース22、画像変換部23、表示エンコーダ24、表示駆動部26等を有するものであって、入出力コネクタ部21から入力された各種規格の画像信号は、入出力インターフェース22、システムバス(SB)を介して画像変換部23で表示に適した所定のフォーマットの画像信号に統一するように変換された後、表示エンコーダ24に送られるものである。
【0024】
又、表示エンコーダ24は、送られてきた画像信号をビデオRAM25に展開記憶させた上でこのビデオRAM25の記憶内容からビデオ信号を生成して表示駆動部26に出力するものである。
【0025】
そして、表示エンコーダ24からビデオ信号が入力される表示駆動部26は、送られてくる画像信号に対応して適宜フレームレートで空間的光変調素子(SOM)である表示素子51を駆動するものであり、光源装置63からの光を光源側光学系を介して表示素子51に入射することにより、表示素子51の反射光で光像を形成し、投影側光学系とする投影系レンズ群を介して図示しないスクリーンに画像を投影表示するものであり、この投影系レンズ群の可動レンズ群97は、レンズモータ45によりズーム調整やフォーカス調整のための駆動が行われるものである。
【0026】
又、画像圧縮伸長部31は、画像信号の輝度信号及び色差信号をADTC及びハフマン符号化等の処理によりデータ圧縮して着脱自在な記録媒体とされるメモリカード32に順次書き込む記録処理や、再生モード時はメモリカード32に記録された画像データを読み出し、一連の動画を構成する個々の画像データを1フレーム単位で伸長して画像変換部23を介して表示エンコーダ24に送り、メモリカード32に記憶された画像データに基づいて動画等の表示を可能とするものである。
【0027】
そして、制御部38は、プロジェクタ10内の各回路の動作制御を司るものであって、CPUや各種セッティング等の動作プログラムを固定的に記憶したROM及びワークメモリとして使用されるRAM等により構成されている。
【0028】
又、本体ケースの上面板11に設けられるメインキー及びインジケータ等により構成されるキー/インジケータ部37の操作信号は、直接に制御部38に送出され、リモートコントローラからのキー操作信号は、Ir受信部35で受信され、Ir処理部36で復調されたコード信号が制御部38に送られるものである。
【0029】
尚、制御部38にはシステムバス(SB)を介して音声処理部47が接続されており、音声処理部47はPCM音源等の音源回路を備え、投影モード及び再生モード時には音声データをアナログ化し、スピーカ48を駆動して拡声放音させることができるものである。
【0030】
又、この制御部38は、電源制御回路41を制御するものであり、ランプスイッチキーが操作されると電源制御回路41により光源装置の放電ランプを点灯させ、更に、冷却ファン駆動制御回路43には、光源装置等に設けた複数の温度センサによる温度検出を行わせて、冷却ファンの回転速度を制御させ、又、タイマー等により光源装置のランプ消灯後も冷却ファンの回転を持続させるものであり、更に、温度センサによる温度検出の結果によっては光源装置を停止してプロジェクタ本体の電源をOFFにする等の制御も行うものである。
【0031】
そして、これらのROM、RAM、ICや回路素子は、図3に示す主制御基板としての制御回路基板103に取付けるものであり、電力系の電源制御回路41はランプ電源回路ブロック101に組み込み、制御系の主制御基板とした制御回路基板103と電力系のランプ電源回路ブロック101等を取付ける電源制御回路基板102とを分けて形成しているものである。
【0032】
又、このプロジェクタ10の内部構造は、制御回路基板103をブロア110の近辺に配置し、ランプ電源回路ブロック101等を取付けた電源制御回路基板102を右側板14の近傍に配置し、筐体内を区画用隔壁120により背面板13側の吸気側空間室121と前面板12側の排気側空間室122を気密に形成し、この吸気側空間室121にシロッコファンタイプのブロア110を冷却ファンとして背面板13の近傍で底面板上に配置し、排気側空間室122にブロア110の吐出口113を配置している。
【0033】
更に、図4に示すように、排気側空間室122内に光源装置63を配置し、左側板15に沿って光学系ユニット77を配置し、照明側ブロック78と、画像生成ブロック79と、投影側ブロック80とで構成する光学系ユニット77の照明側ブロック78を排気側空間室122に開口連通させて光学系ユニット77の一部が排気側空間室122に位置するように配置し、排気側空間室122の前面板12に沿って排気温低減装置114を配置している。
【0034】
又、プロジェクタ10の底面板16は光源装置63を挿入可能な開口部を有しており、光源装置63は、この開口部から排気側空間室122内に挿入され、ランプカバーにより底部から固定されている。つまり、光源装置63は底面板16の開口部から交換可能となっている。
【0035】
そして、光学系ユニット77は、図5に示すように、光源装置63の近傍に位置する照明側ブロック78と、画像生成ブロック79と、投影側ブロック80との3つのブロックから構成されており、照明側ブロック78には、光源装置63から射出された光をカラーホイール71に反射する第1反射ミラー72と、赤色光、緑色光、青色光とするカラーフィルタを周囲に設けてホイールモータ73により回転されるカラーホイール71と、カラーホイール71のフィルタを透過した光を均一な強度分布の光束とするライトトンネル75を備えている。又、図4に示したように、ライトトンネル75を貫通させるように区画用隔壁120と接続する照明側ブロック用隔壁127を備えている。
【0036】
又、画像生成ブロック79は、ライトトンネル75から射出された光の向きを変更する第2反射ミラー74と、この第2反射ミラー74により反射した光を表示素子51に集光させる複数枚のレンズで形成した光源側レンズ群83及び光源側レンズ群83を透過した光を表示素子51に所定の角度で照射する照射ミラー84等を有し、更に、表示素子51とするDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)や、この表示素子51を保持する表示素子ユニット等を備えている。そして、この表示素子51の背面板13側には表示素子51を冷却するための表示素子冷却装置53が配置されている。
【0037】
更に、投影側ブロック80は、表示素子51で反射されて画像を形成する光をスクリーンに放出する投影側光学系62のレンズ群を有しており、投影側光学系62としては、固定鏡筒に内蔵する固定レンズ群93と可動鏡筒に内蔵する可動レンズ群97とにより構成し、ズーム機能を備えた可変焦点型レンズとしているものであり、レンズモータにより可動レンズ群97を移動させてズーム調整やフォーカス調整を可能としているものである。
【0038】
又、光学系ユニット77と左側板15との間には投影側光学系のズームや焦点調整等を制御する光学系制御基板86が配置されており、この光学系制御基板86が可動鏡筒や可動レンズ群97の動作を制御することで、ズーム機能や焦点調整が可能となるものである。
【0039】
又、照明側ブロック78と投影側ブロック80は、両ブロックの間に冷却用の空気流路となる間隙128を形成するように隣接させて配置しており、夫々のブロックの一部には外壁を備えている。又、画像生成ブロック79は、照明側ブロック78と投影側ブロック80を接続しており、光学系ユニット77は、照明側ブロック78の光軸と投影側ブロック80の光軸を平行として全体ではコの字型の形状となっている。更に、光学系ユニット77の高温となる照明側ブロック78の外壁は、熱伝導を減らすために樹脂等のように熱伝導率の低い断熱部材を用いて形成されている。
【0040】
尚、アルミ等のように重量が軽く熱伝導が高い金属を用いて照明側ブロック78の外壁を形成し、照明側ブロック78の熱を外部に放熱させる構成とする場合もある。
又、照明側ブロック78の照明側ブロック用隔壁127は、ライトトンネル75近傍の上部に空気流路となる切抜き129を有している。
【0041】
そして、光源装置63は、図6に示すように、内面を反射面とし前方に前面開口部131を有したリフレクタ65と、このリフレクタ65の内部に内蔵するハロゲン等を用いた放電ランプとを有し、リフレクタ65の前面開口部131の先端部には、リフレクタ65の内部に冷却用の空気が流入可能な開口部を有したレンズ固定部材144が配置され、このレンズ固定部材144に光源レンズ132が固定されている。
【0042】
又、このリフレクタ65は、図7(a)に示すように、断面が略半楕円形状で内面を反射面とし、前方端部にはレンズ固定部材144等を取付けるための方形状のレンズ固定板145を有し、図7(b)に示すように、上下に切断面を平行な平面とし、反射面から切断面まで連続する立ち上がり面148を備える上切り込み部133と下切り込み部134を有した形状である。
【0043】
更に、リフレクタ65の後方端部に放電ランプを固定するランプ固定部135を有し、このランプ固定部135の周縁には、冷却用の空気流路となる間隙が形成されており、図6に示したように、放電ランプの後方側の端部には電力を供給するリード線143が接続されている。又、このリード線143はプロジェクタ10の電力供給部に接続するコネクタ136に接続している。
【0044】
このリフレクタ65は、図8に示すように、本体部146と、本体部146の中心軸を中心とした対向位置である上下の位置で外方へ膨出した膨出部147と、本体部146の前方端部の周縁に形成されたレンズ固定板145と、本体部146の後方端部に突出したランプ固定部135とを有した形状に、加熱軟化させたガラスを金型によりプレス加工して成形するものである。
【0045】
更に、このプレス加工した造形物の内面に真空蒸着法や、物理蒸着法又はプラズマ拡散化学蒸着法等を用いて必要な可視光波長の光を反射して不必要な波長光を透過する反射フィルタを形成することにより反射面とし、膨出部147をリフレクタの中心軸と略平行な平面で切断除去することにより、切断面が平面形状で反射面から切断面にかけて立ち上がり面148を有する上切り込み部133と下切り込み部134を形成し、切り込み部周辺のリフレクタ端部に肉厚を残して厚肉に製造するものである。
【0046】
そして、リフレクタ65の本体部146は、内面を半楕円面形状などの曲線を回転させた回転曲線面形状とし、前方端部に円形状の前面開口部131と、後方端部に円形状の後面開口部150と、上下に縁を半楕円形状とする楕円開口部とを有し、膨出部147は、楕円開口部の反射面側周縁から略垂直に形成された立ち上がり面148を内面とする膨出壁151と、当該膨出壁151の先端を覆う水平な膨出板149とを備え、ランプ固定部135は、本体部146の回転軸と中心軸を同一とする円筒形状で前方端部を後面開口部150の周縁と接続した形状に造形物をプレス加工したものである。
【0047】
尚、上下の切り込み部133,134は、反射面と連続する立ち上がり面148を内面とする膨出壁151を切断除去するため、反射面から切断面にかけて立ち上がり面148がリフレクタ65に残り、この立ち上がり面148の高さ分の肉厚となり、従来のように切断面のエッジが鋭利となることがなく、熱集中や破損することを防止できるものである。
【0048】
そして、図6に示したように、このリフレクタ65の上切り込み部133と下切り込み部134には光や熱の漏れを遮断するための上部遮光板137と下部遮光板138を固定している。この上部遮光板137は、レンズ固定部材144の上面側の開口部からリフレクタ65の上切り込み部133までを覆っており、後述する防爆フィルタ139を係止するための防爆フィルタ固定部140を備え、放電ランプからの光を遮光している。
又、下部遮光板138は、レンズ固定部材144の底面側から下切り込み部134までを塞いで更に後方に延びており、放電ランプからの光を遮光している。
【0049】
この上下の遮光板137、138は放電ランプの光が直に照射するため非常に高温となり、このため熱伝導率の悪い金属を用いると金属板が変形してしまうといった問題点があった。そこで本実施例においては、アルミ材や銅等の熱伝導率の良い金属を用いて形成することで変形を防止している。
【0050】
更に、下部遮光板138とリフレクタ65の間には、メッシュ状の保護板142が配置されており、この保護板142は防爆フィルタ139等を固定するため、鉄等の剛性体を用いて形成されている。又、この保護板142は、光源装置63を交換するとき等に、高温となるリフレクタ65に直接触れるのを防止することもできるものである。
【0051】
そして、レンズ固定部材144の開口部の近傍と、ランプ固定部135の周縁に形成された間隙の近傍には、放電ランプが爆発した時にガラス等が外部へ飛び出すのを防止するための網目状の防爆フィルタ139が配置されている。そして、この防爆フィルタ139は、上部遮光板137の防爆フィルタ固定部140と保護板142に係止されているものである。
【0052】
又、放電ランプは、球形状の発光部と、発光部の外面の対称の位置には発光部の中心を通る同軸上に取り付けられた2つの封止部である第一封止部及び第二封止部を備え、第一封止部の端部には電極となるランプ口金を有しており、第二封止部の端部にはリード線143が取り付けられ、コネクタ136を介してランプ電源回路に接続されている。
【0053】
そして、この光源装置63等を冷却する冷却ファンとしてのブロア110は、図3に示したように、中心部に吸込み口111を有し、吐出口113は略正方形断面であって、区画用隔壁120と照明側ブロック用隔壁127に接続され、区画用隔壁120と照明側ブロック用隔壁127によって区画された排気側空間室122にブロア110からの排風を排出するものであって、ブロア110の吸込み口111の近傍には制御回路基板103が配設されるものである。
【0054】
そして、区画用隔壁120は、図3〜図5に示したように、各種光学系や各種基板等のように比較的低温の装置が配置される吸気側空間室121と、光源装置63のように高温となる装置及び光源装置63の近くに配置される第1反射ミラー72やカラーホイール71等の光源部を配置する排気側空間室122とに区画している。
【0055】
この区画用隔壁120は、それぞれ板状の第1隔壁123、第2隔壁124より構成されており、更に、上部区画板126が排気側空間室122の上部を空密に覆っている。
【0056】
そして、第1隔壁123は、ブロア110の吐出口113からの排気風の一部を、光学系ユニット77の光源装置63の近傍に配置され高温となる照明側ブロック78に誘導するための隔壁であり、ブロア110の吐出口113から背面板15に向かって斜めに任意の長さ斜設し、光学系ユニット77における照明側ブロック用隔壁127の端部と接続している。この第1隔壁123には、図示しないが、ブロア110の吐出口113からの排出空気が直接カラーホイール71に当たるように通気孔やスリットが形成されている。
【0057】
又、第2隔壁124は、ランプ電源回路ブロック101等の回路や各種部材と前面板12との間に空間を作るための隔壁であり、ブロア110の吐出口113から前面板12に向かって右斜め方向に任意の長さ斜設し、この端部から前面板12と平行に右側板14に向かって右側板14近傍まで延設し、最後にこの端部から右側板14と平行に前面板12に接続した略鉤型形状である。尚、第2隔壁124の形状は排気側空間室121の高温な排気を前面板12の全体に分散するためのものである。
【0058】
又、上部区画板126は、排気側空間室122の上部全体を覆うものであり、排気側空間室122の上部の形状と略同一の形状に形成され、プロジェクタ筐体の上面板との間に空間を有して配置されている。
【0059】
尚、第1隔壁123と、第2隔壁124は、光学系ユニット77と同様に樹脂等の断熱部材を用いている。これにより排気側空間室122内の光源装置63が発する高熱が吸気側空間室121に漏れるのを防ぐことができる。
【0060】
又、排気側空間室122内の前面板近傍には、図4に示すように、排気側空間室122内の排気温を低減して外部に放出する排気温低減装置114を備えている。この排気温低減装置114は、熱伝導性部材であり、本実施例では内壁に毛細管構造を持ち内部が真空の金属パイプに純水、パーフルオロカーボン等の作動液が密封されている熱伝導部材としてのヒートパイプと、複数枚のフィンを用いており、前面板12と平行に前面板12の近傍に配置している。
【0061】
この排気温低減装置114は、板状体であるフィンを複数枚平行に配置して、このフィンの略中心を長い棒状の熱伝導部材が貫通して複数枚のフィンを接続した形状である。つまり、熱伝導部材は板状で複数枚からなるフィンの板面に共通して接触している。
このようにフィンを熱伝導部材に取付けることにより、フィンで吸収した熱を熱伝導部材に逃すことができ、排気温低減装置の全体で均一の温度に保つことができる。
【0062】
次に、プロジェクタ10内の空気の流れについて述べる。図4に示すように背面板13には、表示素子51が位置する場所の後方部分に吸気孔18を設け、背面板13と表示素子51を有する光学系ユニット77との間で空気の流通路を形成し、背面板13に設けた吸気孔18及び左側板15の後方に設けた吸気孔18から吸い込まれる外気を背面板13に沿ってブロア110方向に流すようにしている。
【0063】
そして、制御回路基板103は2枚の制御基板としてこの2枚の制御回路基板103の間や2枚の制御回路基板103の上方又は下方において、制御回路基板103に沿って流れる空気がブロア110の吸込み口111に吸い込まれるようにしている。
【0064】
従って、このブロア110のファンを回転させると、冷却ファンとしたブロア110は周辺の空気を吸込み口111より吸い込み、プロジェクタ10内部のブロア110周辺の空気を吸い込むことにより、プロジェクタ10の筐体の側板に設けた多数の吸気孔18からプロジェクタ10の内部に外気を吸い込むことができるものである。
【0065】
そして、左側板15や背面板13に設けた吸気孔18から吸い込まれる外気の一部は、表示素子冷却装置53を冷却するように背面板13と光学系ユニット77との間の空気流通路を流れ、制御回路基板103に沿って制御回路基板103の上面や下面及び制御回路基板103の相互間の空間を通ってブロア110の吸込み口111に吸い込まれる。又、左側板15の吸気孔18から吸気されたその他の外気は光学系ユニット77を冷却する。
【0066】
又、光学系ユニット77の近傍での空気の流れは、左側板15の吸気孔18から吸気された空気の一部は光学系ユニット77と底面板16の間の空間を流れると共に、照明側ブロック78と投影側ブロック80の間の間隙128に流れ込み、照明側ブロック78の高温の熱が投影側ブロック80に伝わることを防止する。又、間隙128に流れ込んだ空気は切抜き129より筐体内の吸気側空間室121に流れ込み、更に、ブロア110の吸い込み口111に吸気されて排気側空間室122に排気される。
【0067】
又、右側板14の吸気孔18からプロジェクタ10の内部に吸い込まれる外気は、一部はランプ電源回路ブロック101等の周囲を通って電源制御回路基板102を冷却しながら制御回路基板103に至り、制御回路基板103に沿って流れるようにしてブロア110の吸込み口111に吸い込まれる。尚、残りの吸い込まれた外気は第1隔壁121に沿って流れブロア110の吸込み口111に吸い込まれる。
【0068】
そして、排気側空間室122に吹き出されるブロア110の排気は、一部がカラーホイール71に沿って流れ、大部分は高温となった光源装置63の周囲に流れる。又、光源装置63の周囲を流れる空気の一部は、リフレクタ65に設けられた開口部からリフレクタ65の内部を通って放電ランプの周縁を流れ、レンズ固定部材144の間隙からリフレクタ65の内部を通るように流れ、他の一部は第1反射ミラー72やカラーホイール71などの近傍を流れて光源装置63と共に光源部の各部を冷却する。
【0069】
このようにして、排気側空間室122内で光源装置63やカラーホイール71を冷却した後の高温の空気は、排気温低減装置114に流れ込み、冷却されて前面板12に設けられた排気孔17より排出されるものである。
【0070】
本実施例によれば、リフレクタの上下を平面形状としたため光源装置が薄型となり、プロジェクタの薄型化を実現できる。又、リフレクタの上下の切り込み部の周縁を厚肉に形成したため、切り込み部への応力集中や熱集中が減り、リフレクタの破損を防止できるものである。
【0071】
更に、リフレクタの上下の切り込み部となる位置に膨出部を形成するようにプレス加工し、この造形物の膨出部を切り込むことでリフレクタを製造するため、リフレクタの製造時に切り込み部だけを別途厚肉に形成する必要が無くなり、容易に製造ができるものである。
【0072】
尚、リフレクタの製造時に断面が略半楕円形状の回転体である本体部の上下を水平に切り込み、この切り込み部の周縁をヤスリ等で研磨することにより鋭利な場所を無くすことでも同様の効果を得ることができる。
【0073】
この場合、水平な切断面と垂直な立ち上がり面を形成するように研磨する場合や、リフレクタの中心軸から放射方向に向かう面を形成するように研磨する場合、反射面から滑らかに切断平面に湾曲する曲面形状とする場合等がある。
【0074】
又、本発明は、以上の実施例に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施例に係るプロジェクタの外観を示す斜視図。
【図2】本発明の実施例に係るプロジェクタの機能回路ブロックを示す図。
【図3】本発明の実施例に係るプロジェクタの上面板を取り除いた上面図。
【図4】本発明の実施例に係るプロジェクタの排気側空間室の内部を示す上面図。
【図5】本発明の実施例に係るプロジェクタの一部切り欠けした上面図。
【図6】本発明の実施例に係る光源装置の斜視図。
【図7】本発明の実施例に係るリフレクタの斜視図及び正面図。
【図8】本発明の実施例に係るリフレクタ製造時の造形物の斜視図及び正面図。
【符号の説明】
【0076】
10 プロジェクタ
11 上面板 12 前面板
13 背面板 14 右側板
15 左側板 16 底面板
17 排気孔 18 吸気孔
19 レンズカバー 20 各種端子
21 入出力コネクタ部 22 入出力インターフェース
23 画像変換部 24 表示エンコーダ
25 ビデオRAM 26 表示駆動部
31 画像圧縮伸長部 32 メモリカード
35 Ir受信部 36 Ir処理部
37 キー/インジケータ部 38 制御部
41 電源制御回路 43 冷却ファン駆動制御回路
45 レンズモータ 47 音声処理部
48 スピーカ 51 表示素子
53 表示素子冷却装置 62 投影側光学系
63 光源装置
65 リフレクタ 71 カラーホイール
72 第1反射ミラー 73 ホイールモータ
74 第2反射ミラー 75 ライトトンネル
77 光学系ユニット 78 照明側ブロック
79 画像生成ブロック 80 投影側ブロック
83 光源側レンズ群 84 照射ミラー
86 光学系制御基板 93 固定レンズ群
97 可動レンズ群 101 ランプ電源回路ブロック
102 電源制御回路基板 103 制御回路基板
110 ブロア 111 吸込み口
113 吐出口 114 排気温低減装置
120 区画用隔壁 121 吸気側空間室
122 排気側空間室 123 第1隔壁
124 第2隔壁 126 上部区画板
127 照明側ブロック用隔壁 128 間隙
129 切抜き 131 前面開口部
132 光源レンズ 133 上切り込み部
134 下切り込み部 135 ランプ固定部
136 コネクタ 137 上部遮光板
138 下部遮光板 139 防爆フィルタ
140 防爆フィルタ固定部 142 保護板
143 リード線 144 レンズ固定部材
145 レンズ固定板 146 本体部
147 膨出部 148 立ち上がり面
149 膨出板 150 後面開口部
151 膨出壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスを加工して内面を回転曲線面形状とするリフレクタを形成するに際し、リフレクタの中心軸を中心とする対向位置に各々外方への膨出部を形成し、
前記両膨出部を略平行な平面で切断除去することにより上切り込み部と下切り込み部を形成することを特徴とするリフレクタの製造方法。
【請求項2】
前記上切り込み部と下切り込み部は、周縁に内側の反射面から切断面に連続する略垂直な立ち上がり面を有していることを特徴とする請求項1に記載のリフレクタの製造方法。
【請求項3】
断面を略半楕円形状の回転体とし、内面を反射面とし、前方に前面開口部を備え、上下に反射面から切断面にかけて上切り込み部と下切り込み部を有するリフレクタと、
前記リフレクタに固定された放電ランプと、
前記上切り込み部の上部を覆う上部遮光板と、
前記下切り込み部の下部を覆う下部遮光板とを備えることを特徴とする光源装置。
【請求項4】
前記上切り込み部及び下切り込み部は、前記リフレクタの内側の反射面から切断面に連続する略垂直な立ち上がり面を有していることを特徴とする請求項3に記載の光源装置。
【請求項5】
前記上切り込み部及び下切り込み部の切断面は平行な面形状であり、一部を切り欠いた楕円形状にリフレクタの前端から後方に切り込まれていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の光源装置。
【請求項6】
光源装置と、
光学系や表示素子等を備える光学系ユニットと、
プロジェクタ制御手段とを備え、
前記光源装置は、
断面を略半楕円形状の回転体とし、内面を反射面とし、前方に前面開口部、後方にランプ固定部を備え、上下に反射面から切断面にかけて上切り込み部と下切り込み部を有するリフレクタと、
前記リフレクタに固定された放電ランプと、
前記上切り込み部の上部を覆う上部遮光板と、
前記下切り込み部の下部を覆う下部遮光板とを備えることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項7】
前記上切り込み部及び下切り込み部は、前記リフレクタの内側の反射面から切断面に連続する略垂直な立ち上がり面を有していることを特徴とする請求項6に記載のプロジェクタ。
【請求項8】
前記上切り込み部及び下切り込み部の切断面は平行な面形状であり、一部を切り欠いた楕円形状にリフレクタの前端から後方に切り込まれていることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−71498(P2008−71498A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−246421(P2006−246421)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】