説明

光照射装置、制御方法

【課題】対物レンズ−リレーレンズ間の距離の理想距離との誤差を光学的に検出してより簡易に且つ高精度に対物レンズ−リレーレンズ間距離一定制御を行う。
【解決手段】ホログラムの記録/再生光の理想焦点位置を、従来の理想焦点位置である記録層の下層側面よりも対物レンズ側となる位置に設定する。その上で、光軸から離間した位置にてマーカ光を生成し、上記マーカ光の理想受光位置と上記マーカ光の実際の受光位置との誤差に基づき、対物レンズ−リレーレンズ間距離の調整(制御)を行う。このような構成とすることで対物レンズ−リレーレンズ間距離の理想距離との誤差を光学的に検出でき、その結果に基づき対物レンズ−リレーレンズ間距離の一定制御をより簡易且つ高精度に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラム記録媒体に対して光照射を行う光照射装置のうち、特に対物レンズとリレーレンズ間の距離を調整する機構を備えた光照射装置に関する。また、上記対物レンズとリレーレンズ間の距離を一定に制御するための制御方法に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2007−79438号公報
【背景技術】
【0003】
例えば上記特許文献1にあるように、ホログラムの形成によりデータ記録を行うホログラム記録再生方式が知られている。このホログラム記録再生方式において、記録時には、記録データに応じた空間光強度変調(強度変調)を与えた信号光と、予め定められた所定の光強度パターンを与えた参照光とを生成し、これらをホログラム記録媒体に照射することによって、記録媒体にホログラムを形成してデータ記録を行う。
また再生時には、記録媒体に対して上記参照光を照射する。このようにして、記録時に信号光と参照光との照射に応じて形成されたホログラムに対し、記録時と同じ参照光(記録時と同じ強度パターンを有する)が照射されることによって、記録された信号光成分に応じた回折光が得られる。すなわち、これによって記録データに応じた再生像(再生光)が得られる。このようにして得られた再生光を例えばCCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどのイメージセンサで検出することで、記録されたデータの再生を行うようにされる。
【0004】
また、このようなホログラム記録再生方式としては、参照光と信号光とを同一光軸上に配置してこれらを共通の対物レンズを介してホログラム記録媒体に照射する、いわゆるコアキシャル方式が知られている。
【0005】
ここで、ホログラム記録再生方式において、上記信号光は、上記光強度パターンとしての光のオン/オフパターンが与えられることで、「0」「1」のデータが2次元的に配列されたものとなっている。つまり、信号光は、記録データの複数ビット分の情報を担うものである。ホログラム記録再生方式では、このように信号光内に配列できる複数ビット分のデータの単位が記録/再生の最小単位とされている。そして、信号光と参照光の一度の干渉で記録されるホログラムは、上記のように複数のデータビットを含むという点から「ホログラムページ」と呼ばれる。
【0006】
ホログラムの記録再生システムでは、このようなホログラムページの単位で順次データを記録していくことになる。
現状において、特に上述したコアキシャル方式を採用するシステムでは、このようなホログラムページ単位のデータ記録を、従来のCD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスクシステムのように円盤状(ディスク状)の記録媒体を回転駆動しながら行うことが考えられている。
この場合、円盤状のホログラム記録媒体に対しスパイラル状や同心円状にトラックを形成しておき、回転駆動されるホログラム記録媒体に対し、上記トラックをトレースしながら順次信号光・参照光の照射によるホログラムの形成を行っていくことで、トラックに沿ってホログラムページを形成していくことになる。
【0007】
このようにしてトラックに沿った位置にホログラムページを形成していく手法を採るとした場合、ビームスポットをトラック上にトレースさせるためのトラッキングサーボや、所定アドレスへのアクセス制御など、記録/再生位置の制御が行われる必要がある。
【0008】
現状において、このような記録/再生位置の制御を行うにあたっては、専用のレーザ光を別途照射することが考えられている。すなわち、ホログラムの記録/再生のためのレーザ光(信号光・参照光を照射するためのレーザ光:記録再生用のレーザ光)と、ホログラムの記録/再生位置の制御を行うためのレーザ光(位置制御用のレーザ光)とをそれぞれ別々に照射するという手法である。
【0009】
このように位置制御用のレーザ光を別途照射する手法に対応するべく、ホログラム記録媒体としては、例えば次の図22に示すような断面構造を有するように構成される。
この図22に示されるホログラム記録媒体HMは、ホログラムの記録が行われる記録層L1と、基板L6上の凹凸断面構造により位置制御のためのアドレス情報等が記録された位置制御情報記録層とがそれぞれ別々に形成されたものとなっている。
具体的に、ホログラム記録媒体HMには、上層から順にカバー層L1、記録層L2、反射膜L3、中間層L4、反射膜L5、基板L6が形成されている。記録層L2の下層に形成される反射膜L3は、再生時において上記記録再生用のレーザ光による参照光が照射され、上記記録層L2に記録されたホログラムに応じた再生像が得られた際に、これを反射光として装置側に戻すために設けられる。
また、上記基板L6には、スパイラル状又は同心円状に、上記記録層L2におけるホログラムの記録/再生位置を案内するためのトラックが形成されている。例えばトラックは、ピット列によるアドレス情報等の情報記録が行われることにより形成される。
基板L6の上層に形成された反射膜L5は、基板L6に記録された情報についての反射光を得るために設けられる。なお、中間層L4は、例えばレジンなどの接着材料とされる。
【0010】
ここで、上記のような断面構造を有するホログラム記録媒体HMについて、位置制御用のレーザ光の反射光に基づき適正に位置制御が行われるようにするためには、該位置制御用のレーザ光が、凹凸断面形状が与えられた反射膜L5まで到達しなければならない。すなわちこの点からすると、位置制御用のレーザ光は、上記反射膜L5よりも上層に形成される反射膜L3を透過しなければならいことになる。
一方で、反射膜L3としては、記録層L2に記録されたホログラムに応じた再生像が反射光として装置側に戻されるべく、記録再生のためのレーザ光を反射する必要がある。
【0011】
これらの点を考慮し、位置制御用のレーザ光としては、ホログラムの記録再生用のレーザ光とは異なる波長を有するレーザ光を用いるものとしている。例えばホログラム記録再生用のレーザ光としては波長λ=405nm程度の青紫色レーザ光を用い、これに対し位置制御用のレーザ光としては例えば波長λ=650nm程度の赤色レーザ光を用いるようにされている。
その上で、記録層L2と位置制御情報の記録が行われた反射膜L5との間に形成される反射膜L3として、上記記録再生用の青紫色レーザ光は反射し、位置制御用の赤色レーザ光は透過するという、波長選択性を有する反射膜を用いるようにしている。
このような構成とすることで、記録/再生時には、位置制御用のレーザ光が反射膜L5に到達して位置制御のための反射光情報が装置側にて適正に検出されると共に、記録層L2に記録されたホログラムの再生像が装置側で適正に検出されるようにすることができる。
【0012】
図23は、上記により説明した構造を有するホログラム記録媒体HMに対応して記録再生を行う従来例としての記録再生装置の構成を簡略的に(主に光学系のみについて)示した図である。
先ず、記録再生装置には、ホログラムの記録再生のための信号光、参照光を照射するための光学系として、第1レーザ1、コリメーションレンズ2、偏光ビームスプリッタ3、SLM4、偏光ビームスプリッタ5、リレーレンズ6、リレーレンズ7、ダイクロイックミラー8、部分回折素子9、1/4波長板10、対物レンズ102、及びイメージセンサ13が設けられる。
【0013】
上記第1レーザ1は、ホログラムの記録再生のためのレーザ光として、例えば上述した波長λ=405nm程度の青紫色レーザ光を出力する。この第1レーザ1から出射されたレーザ光は、コリメーションレンズ2を介して偏光ビームスプリッタ3に入射する。
【0014】
偏光ビームスプリッタ3は、入射するレーザ光のそれぞれ直交する直線偏光成分のうち、一方の直線偏光成分を透過、他方の直線偏光成分を反射する。例えばこの場合、p偏光成分は透過しs偏光成分は反射するように構成される。
従って偏光ビームスプリッタ3に入射したレーザ光は、そのs偏光成分のみが反射されてSLM4に導かれる。
【0015】
上記SLM4は、例えばFLC(Ferroelectric Liquid Crystal:強誘電性液晶)としての反射型液晶素子を備えて構成され、入射光に対し、画素単位で偏光方向を制御するように構成されている。
このSLM4は、図中の変調制御部101からの駆動信号に応じて、各画素ごとに入射光の偏光方向を90°変化させる、又は入射光の偏光方向を不変とするようにして空間光変調を行う。具体的には、駆動信号がONとされた画素については偏光方向の角度変化=90°、駆動信号がOFFとされた画素については偏光方向の角度変化=0°となるように、駆動信号に応じ画素単位で偏光方向制御を行うように構成されている。
【0016】
図示するようにして、上記SLM4からの出射光(SLM4にて反射された光)は、偏光ビームスプリッタ3に再度入射する。
【0017】
ここで、図23に示す記録再生装置では、上記SLM4による画素単位の偏光方向制御と、入射光の偏光方向に応じた偏光ビームスプリッタ3の選択的な透過/反射の性質とを利用して、画素単位の空間光強度変調(光強度変調、或いは単に強度変調とする)を行うようにされている。
【0018】
図24は、このようなSLM4と偏光ビームスプリッタ3との組み合わせにより実現される強度変調のイメージを示している。図24(a)はON画素の光について、図24(b)はOFF画素の光についてそれぞれその光線状態を模式的に示している。
上述もしたように、偏光ビームスプリッタ3はp偏光を透過、s偏光を反射するので、上記SLM4に対してはs偏光が入射することになる。
この前提を踏まえると、SLM4にて偏光方向が90°変化された画素の光(駆動信号ONの画素の光)は、偏光ビームスプリッタ3に対しp偏光で入射することになる。このことで、SLM4におけるON画素の光は、偏光ビームスプリッタ3を透過することになり、ホログラム記録媒体HM側に導かれることになる(図24(a))。
一方、駆動信号がOFFとされ偏光方向が変化されなかった画素の光は、偏光ビームスプリッタ3にs偏光で入射する。つまり、SLM4におけるOFF画素の光は偏光ビームスプリッタ3にて反射されて、ホログラム記録媒体HM側には導かれないようになっている(図24(b))。
【0019】
このようにして、偏光方向制御型のSLM4と偏光ビームスプリッタ3との組み合わせにより、画素単位で光強度変調を施す強度変調部が形成されている。このような強度変調部により、記録時には信号光と参照光が、また再生時には参照光が生成される。
【0020】
上記強度変調部により空間光変調が施された記録再生用レーザ光は、偏光ビームスプリッタ5に入射する。この偏光ビームスプリッタ5としてもp偏光を透過、s偏光を反射するように構成され、従って上記強度変調部からの出射されたレーザ光(偏光ビームスプリッタ3を透過した光)は、当該偏光ビームスプリッタ5を透過することになる。
【0021】
偏光ビームスプリッタ5を透過したレーザ光は、リレーレンズ6,リレーレンズ7が同順で配置されたリレーレンズ系に入射する。図示するようにリレーレンズ6によっては、偏光ビームスプリッタ5を透過したレーザ光の光束が所定の焦点位置に集光するようにされ、リレーレンズ7によっては集光後の拡散光としての上記レーザ光束が平行光となるように変換される。
【0022】
上記リレーレンズ系を介したレーザ光は、ダイクロイックミラー8に入射する。ダイクロイックミラー8は、所定の波長帯による光を選択的に反射するように構成されている。具体的に、この場合は波長λ=405nm程度による記録再生用レーザ光の波長帯の光を選択的に反射するように構成されている。
従って上記リレーレンズ系を介して入射した記録再生用レーザ光は、ダイクロイックミラー8にて反射される。
【0023】
ダイクロイックミラー8にて反射された記録再生用レーザ光は、部分回折素子9→1/4波長板10を介して対物レンズ102に入射する。
上記部分回折素子9及び1/4波長板10は、再生時においてホログラム記録媒体HMにて反射された参照光(反射参照光)が、イメージセンサ13に導かれて再生光に対するノイズとなってしまうことを防止するために設けられている。
なお、これら部分回折素子9及び1/4波長板10による反射参照光の抑圧作用については後述する。
【0024】
対物レンズ102は、図示するフォーカスアクチュエータ12により、フォーカス方向(ホログラム記録媒体HMに接離する方向)に移動可能に保持されている。後述する位置制御部19が上記フォーカスアクチュエータ12による対物レンズ102の駆動動作を制御することで、レーザ光のフォーカスサーボ制御が行われる。
【0025】
なお、図示は省略したが、レーザ光のトラッキング方向(ホログラム記録媒体HMの半径方向)の制御については、例えば光学系全体をトラッキング方向に駆動するトラッキング駆動部を制御するなどして行うことができる。
【0026】
記録再生用レーザ光は、上記対物レンズ102により集光されるようにしてホログラム記録媒体HMに照射される。
ここで、先にも述べたように、記録時には、強度変調部(SLM4及び偏光ビームスプリッタ3)による強度変調により信号光と参照光とが生成され、これら信号光・参照光が上記により説明した経路によりホログラム記録媒体100に照射される。これにより、記録層106には、これら信号光と参照光との干渉縞により記録データを反映したホログラムが形成され、データ記録が実現される。
【0027】
また、再生時には、強度変調部により参照光のみが生成され、上記した経路によりホログラム記録媒体HMに照射される。このように参照光が照射されることで、記録層L2に形成されたホログラムに応じた再生像が反射膜L3からの反射光として得られる。この再生像は、対物レンズ102を介して装置側に戻される。
【0028】
ここで、再生時にホログラム記録媒体HMに対して照射される参照光(往路参照光とする)は、先の強度変調部の動作によれば、p偏光で部分回折素子9に入射することになる。後述もするように部分回折素子9は往路の光は全て透過するように構成されているので、p偏光による往路参照光は、1/4波長板10を介することになる。このように1/4波長板10を介したp偏光による往路参照光は、所定回転方向による円偏光に変換されてホログラム記録媒体HMに照射される。
ホログラム記録媒体HMに照射された参照光は、反射膜L3にて反射され、反射参照光(復路参照光)として対物レンズ102に導かれる。このとき、反射膜L3での反射により、復路参照光の円偏光回転方向は上記所定回転方向とは逆回転方向に変換されるので、復路参照光は、1/4波長板10を介することで、s偏光に変換されることになる。
【0029】
ここで、上記のような偏光状態の遷移を踏まえた上で、部分回折素子9と1/4波長板10とによる反射参照光の抑圧作用について説明する。
部分回折素子9は、参照光が入射する領域(中心部を除く領域)に例えば液晶回折素子などの、直線偏光の偏光状態に応じた選択回折特性(一方の直線偏光成分は回折し、他方の直線偏光成分は透過する)を有する偏光選択回折素子が形成されて成る。具体的にこの場合、部分回折素子9が備える上記偏光選択回折素子は、p偏光を透過、s偏光を回折するように構成されている。このことで、往路の参照光は部分回折素子9を透過し、復路の参照光のみが部分回折素子9にて回折(抑圧)されるようになっている。
この結果、復路光としての反射参照光が再生像に対するノイズ成分として検出されてSN比が低下してしまうといった事態の防止が図られる。
【0030】
なお確認のために述べておくと、部分回折素子9における信号光が入射する領域(再生像が入射する領域)は、例えば透明材料で構成される、或いは穴部とされるなどして、往路光・復路光の双方を透過するように構成されている。このことで、記録時の信号光と再生時の再生像とが当該部分回折素子9を透過するように図られている。
【0031】
ここで、これまでの説明からも理解されるように、ホログラム記録再生システムでは、記録されたホログラムに対して参照光を照射して、回折現象を利用して再生像を得るようにされるが、この際の回折効率は、一般に数%〜1%未満とされる。このことから、上記のように反射光として装置側に戻される参照光は、再生像に対して非常に大きな強度を有することになる。つまり、上記反射光としての参照光は、再生像の検出にあたって無視できないノイズ成分となる。
従って、上記のような部分回折素子9及び1/4波長板10によって反射参照光の抑圧が図られることで、SN比の大幅な改善が図られる。
【0032】
上述のように再生時に得られた再生像は、部分回折素子9を透過することになる。部分回折素子9を透過した再生像は、ダイクロイックミラー8にて反射された後、先に説明したリレーレンズ系(リレーレンズ7→リレーレンズ6)を介し、偏光ビームスプリッタ5に入射する。これまでの説明からも理解されるように、ホログラム記録媒体HMからの反射光は、1/4波長板10を介してs偏光に変換されるので、このように偏光ビームスプリッタ5に入射した再生像は、当該偏光ビームスプリッタ5にて反射され、イメージセンサ13に対して入射することになる。
このようにして再生時には、ホログラム記録媒体HMからの再生像がイメージセンサ13により検出され、図中のデータ再生部21によるデータ再生が行われることになる。
【0033】
また、この図23に示す記録再生装置には、位置制御用のレーザ光の照射、及び該位置制御用のレーザ光の反射光検出を行うための光学系も設けられる。具体的には、図中の第2レーザ14、コリメーションレンズ15、偏光ビームスプリッタ16、集光レンズ17、及びフォトディテクタ(PD)18である。
【0034】
第2レーザ14は、位置制御用のレーザ光として、上述した波長λ=650nm程度の赤色レーザ光を出力する。この第2レーザ14からの出射光はコリメーションレンズ15→偏光ビームスプリッタ16を介してダイクロイックミラー8に入射する。ここで偏光ビームスプリッタ16としてもp偏光を透過、s偏光を反射するように構成されている。
【0035】
上述もしたようにダイクロイックミラー8は、記録再生用レーザ光(この場合は405nm)を選択的に反射するように構成されており、従って第2レーザ14からの位置制御用レーザ光は透過することになる。
ダイクロイックミラー8を透過した位置制御用レーザ光は、記録再生用レーザ光と同様に部分回折素子9→1/4波長板10→対物レンズ102を介してホログラム記録媒体HMに照射される。
【0036】
なお、確認のために述べておくと、上記ダイクロイックミラー8が設けられることで、位置制御用レーザ光と記録再生用レーザ光とが同一光軸上で合成され、且つこの合成光が共通の対物レンズ102を介してホログラム記録媒体HMに照射されるようになっている。つまりこのことで、位置制御用レーザ光のビームスポットと記録再生用ビームスポットとが記録面内方向における同じ位置に形成されるように図られているものであり、この結果、以下で説明するような位置制御用レーザ光に基づく位置制御動作が行われることで、ホログラムの記録再生位置が、トラック上に位置するように制御されるものである。
【0037】
また、フォーカス方向については、以下で説明する位置制御動作(フォーカスサーボ制御)により、位置制御用レーザ光の焦点位置が、ホログラム記録媒体HMにおける反射膜L5上に位置するように制御される(図22を参照)。
このとき、記録再生装置では、位置制御用レーザ光の焦点位置と、記録再生用レーザ光の焦点位置とが所定距離だけ離間されるように調整が行われている。具体的にこの場合、記録再生用レーザ光については、記録層L2の直下の反射膜L3上に集光させることになるので、当該記録再生用レーザ光の焦点位置は、位置制御用レーザ光の焦点位置に対し、反射膜L5表面から反射膜L3表面までの距離だけ手前側となるように調整が行われている(図22参照)。
このことで、位置制御用レーザ光の焦点位置を反射膜L5上とするフォーカスサーボが行われることに伴い、記録再生用レーザ光の焦点位置が、自動的に反射膜L3上となるように図られている。
【0038】
図23において、位置制御用レーザ光がホログラム記録媒体HMに対して照射されることに応じては、反射膜L5上の記録情報に応じた反射光が得られる。この反射光は、対物レンズ102→1/4波長板10→部分回折素子9→ダイクロイックミラー8を介して、偏光ビームスプリッタ16に入射する。偏光ビームスプリッタ16は、このようにしてダイクロイックミラー8を介して入射した位置制御用レーザ光の反射光を反射することになる(ホログラム記録媒体HMで反射された位置制御用レーザ光としても1/4波長板10のはたらきによりs偏光に変換される)。偏光ビームスプリッタ16にて反射された位置制御用レーザ光の反射光は、集光レンズ17を介してフォトディテクタ18の検出面上に集光するようにして照射される。
【0039】
フォトディテクタ18は、上記のようにして照射された位置制御用レーザ光の反射光を受光し、電気信号に変換して位置制御部19に供給する。
【0040】
位置制御部19は、マトリクス演算により反射膜L5上に形成されたピット列についての再生信号(RF信号)やトラッキングエラー信号・フォーカスエラー信号など位置制御に必要な各種の信号を生成するマトリクス回路、及びサーボ信号生成のための演算回路、及びフォーカスアクチュエータ12や上述したトラッキング駆動部など必要な各部を駆動制御する駆動制御部とを有して構成される。
【0041】
図示は省略したが、記録再生装置には、上記再生信号に基づきアドレス情報の検出やクロックの生成を行うためのアドレス検出回路、クロック生成回路が設けられる。
上記位置制御部19は、上記アドレス情報や上記トラッキングエラー信号に基づき上述したトラッキング駆動部を制御することで、位置制御用レーザ光のビームスポット位置の制御を行う。このようなビームスポット位置の制御により、記録再生用レーザ光のビームスポット位置を所要のアドレスに移動させたり、またトラック上に追従させる(トラッキングサーボ制御)などといったことができるようになっている。つまりこれにより、ホログラムの記録/再生位置についての制御が行われるものである。
また、位置制御部19は、上記したフォーカスエラー信号に基づきフォーカスアクチュエータ12による対物レンズ102のフォーカス方向への駆動動作を制御することで、位置制御用レーザ光のフォーカス位置を反射膜L5上に追従させるフォーカスサーボ制御も行う。先にも述べたように、このような位置制御用レーザ光についてのフォーカスサーボ制御が行われることで、記録再生用レーザ光のフォーカス位置が反射膜L3上に追従するようになる。
【0042】
ここで、上記のようなフォーカスサーボ制御が行われることによっては、ホログラム記録媒体HMの面ぶれ等に追従するようにして対物レンズ102のフォーカス方向における位置が変化することに伴って、リレーレンズ7と対物レンズ102との間の距離が逐次変化することになる。
ホログラムの記録再生系では、このようにフォーカスサーボ制御によってリレーレンズ7−対物レンズ102間の距離が変化すると、1)記録/再生時に同じ条件で参照光を照射できなくなる、2)再生像にボケが生じる、という点で、ホログラムの記録/再生を適正に行うことができなくなってしまうことが知られている。
【0043】
この点について、次の図25、図26を参照して説明する。
図25は、SLM4の各ピクセルから出射された光についての光学系における光の振る舞いを示している。
なおこの図25において、SLM4の空間光変調に伴い生成される信号光については、そのうちの3ピクセル分の光線のみを示し、参照光については2ピクセル分の光線のみを示している。
また、この図25においては、光学系全体の構成のうち、SLM4、リレーレンズ6,7、対物レンズ102のみを抽出して示している。またこの図ではホログラム記録媒体HMも併せて示している。
また、図中における平面Spbsは、偏光ビームスプリッタ5の反射面を表しており、また平面Sdimはダイクロイックミラー8の反射面を表す。
また、図中のフーリエ面(周波数平面)SFは、リレーレンズ6の焦点面であり、対物レンズ102の焦点面に共役な面となる。
また、図中の実像面SRは対物レンズ102の物体面であり、SLM4の変調面(像生成面)に共役となる。イメージセンサ13の受光面は、この実像面SRに共役となる。
ここで確認のために述べておくと、図25に示す対物レンズ102、リレーレンズ7の位置は、それぞれ光学系設計時に想定した理想的な位置であるとする。
なお、図23に示した従来の記録再生装置の場合は、往路・復路とも各光線の通る位置は同じとなるので、図面は1枚に共通化している。
【0044】
この図25に示されるように、SLM4の各ピクセルから出射された光線は、拡散光の状態で平面Spbs(偏光ビームスプリッタ5)を介してリレーレンズ6に入射する。このとき、各ピクセルからの出射光線は、それぞれの光軸が平行な状態にある。
【0045】
リレーレンズ6に入射した各ピクセルの光線は、図のように拡散光から平行光となるように変換されると共に、レーザ光軸(レーザ光束全体の光軸)上の光線を除く各光線の光軸が上記レーザ光軸側に折り曲げられる。このことで、フーリエ面SFにおいては、各光線が平行光の状態でレーザ光軸上に集光されることになる。
【0046】
上記のようにフーリエ面SFにてレーザ光軸上に集光した各光線は、リレーレンズ7に入射するが、このとき、リレーレンズ6から出射された各光線(レーザ光軸を含む中央のピクセルの光線は除く)はフーリエ面SF上でレーザ光軸と交差することになる。このことからリレーレンズ6とリレーレンズ7とにおける各光線の入出射位置の関係は、レーザ光軸を中心として軸対称な関係となる。
【0047】
各光線は、リレーレンズ7を介することで図のように収束光に変換されると共に、各光線の光軸がそれぞれ平行となる。リレーレンズ7を介した各光線は、平面Sdim(ダイクロイックミラー8)にて反射され、実像面SR上のそれぞれの位置に集光することになる。このとき、リレーレンズ7を介した各光線は、上記のようにそれぞれの光軸が平行な状態とされるので、上記実像面SR上において、各光線の集光位置は重ならずそれぞれ別々の位置となる。
【0048】
図示するように上記実像面SRで集光した各光線は、拡散光の状態(このとき各光線の光軸は平行である)で対物レンズ102に入射する。対物レンズ102に入射した各光線は、図のように平行光の状態となるようにされる。対物レンズ102の集光面となる図中の反射面(反射膜L3表面)では、このような平行光の状態による各光線がそれぞれレーザ光軸上に集光されることになる。
なおこのことからも理解されるように、対物レンズ102の焦点面と上記フーリエ面SFとは共役な関係となる。
【0049】
ここで、図25では、平面Spbsにて反射されイメージセンサ13に導かれる再生光の各光線(再生時に信号光エリアA2内にて得られる再生像の各光線)を示しているが、図示するようにイメージセンサ13に再生光のみが導かれているのは、先に説明した部分回折素子9(及び1/4波長板10)により反射参照光が抑圧されるためである。
なお確認のために述べておくと、上記再生光の各光線は、図中の信号光の各光線と同じ位置を辿って平面Spbsに到達し、該平面Spbsにて反射されてイメージセンサ13に導かれるものである。
このとき、リレーレンズ6から平面Spbs側に出射される再生光の各光線は、図のように収束光の状態で且つそれぞれの光軸が平行な状態となっており、これら各光線は、イメージセンサ13の検出面上の別々の位置に集光するようになっている。このことで、イメージセンサ13の検出面上では実像面SRにおける再生像と同様の像が得られる。
【0050】
図26は、反射面と対物レンズ102とが理想的な位置にある状態での信号光・参照光の各光線の様子(図26(a))と、反射面の理想位置からの変位に追従して対物レンズ102が駆動された際の同各光線の様子(図26(b))とを対比して示している。
なおこれらの図では図25に示した実像面SR以降における往路光としての各光線を実線により示している。図中の破線は、反射面にて反射された各光線の様子(図示の都合上参照光の各光線のみ)を示している。
【0051】
先ず図26(a)に示されるように、反射面と対物レンズ102がそれぞれ理想位置にある状態では、図25にて説明した如く、対物レンズ102から出射される各光線はそれぞれ平行光の状態にあり、従って反射面にて反射された各光線としても、平行光の状態で対物レンズ102側に戻されることになる。
このことから先の図25にて説明した通り、再生像の各光線は、記録時における信号光の各光線と同じ光線領域にそれぞれ得られるものとなる。
【0052】
この図26(a)に示す状態から、面ぶれ等によって反射面が対物レンズ102から離れる方向にΔZだけ動き、これに伴って、フォーカスサーボ制御により対物レンズ102が上記ΔZだけ反射面に対して近づくように駆動されたとする。
【0053】
これに応じては、図26(b)に示すようにして実像面SRから対物レンズ102までの距離が上記ΔZ分だけ離間することとなり、このことで対物レンズ102に入射する各光線の幅が拡がることになる。
このように対物レンズ102に入射する各光線の幅が図26(a)に示した理想状態から拡がることによっては、対物レンズ102から出射される各光線は、平行光の状態とはならず、図のように収束光の状態となる。
【0054】
ここで、図26(b)では一例として、反射面が対物レンズ102から遠ざかる方向に動いた場合を例示したが、逆に反射面が対物レンズ102に対して近づく方向に動いた場合には、対物レンズ102は光源側に移動するように駆動されるものとなり、対物レンズ102に入射する各光線の幅は図26(a)の場合よりも細くなる。つまりこの場合、対物レンズ102から出射される各光線は、逆に拡散光の状態となる。
【0055】
上記の説明からも理解されるように、フォーカスサーボにより反射面の動きに追従するようにして対物レンズ102が駆動されることに応じては、対物レンズ102から出射される信号光、参照光の各光線の状態が逐次異なるものとなってしまう。
このために、記録時/再生時に同じ条件で参照光を照射することができず、ホログラムを適正に記録することができなくなってしまう。
【0056】
また、上記のように対物レンズ102から出射される各光線が平行光の状態とならないことに応じては、復路光としての各光線の焦点位置が実像面SRに対して一致しないものとなってしまい、従って再生時において、イメージセンサ13にて受光される像にもボケが生じてしまう。
すなわち、図26(b)に示したように反射面が対物レンズ102から遠ざかる方向に動き対物レンズ102からの出射光が収束光となってしまう場合には、復路において、反射面から対物レンズ102に入射する各光線の幅は図26(a)の場合よりも狭くなってしまい、その結果、対物レンズ102から出射した復路光としての各光線は、実像面SRの手前側で焦点を結ぶものとなってしまう。
またこのことからも理解されるように、逆に反射面が対物レンズ102側に近づくように動いた場合には、対物レンズ102から出射した復路光としての各光線は、実像面SRよりも奥側で焦点を結ぶものとなってしまう。
上述もしたように実像面SR(往路の実像面)とイメージセンサ13の受光面とは共役な関係にあるため、イメージセンサ13上でも同様の焦点位置ずれが発生し、これに伴い再生像のボケが生じるものである。
【0057】
このような問題の解決を図るため、従来の記録再生装置には、フォーカスサーボにより逐次変位する対物レンズ102とリレーレンズ7との間の距離が一定に保たれるようにするための構成が備えられる。
具体的には、図23に示されるリレーレンズ駆動部103、位置センサ104、位置センサ105、及びリレーレンズ位置制御部106である。
従来の記録再生装置では、上記位置センサ104、位置センサ105により対物レンズ102、リレーレンズ7の位置をそれぞれ検出し、対物レンズ102、リレーレンズ7のそれぞれの理想位置からの位置(移動距離)が同じとなるように制御を行うようにされている。
具体的に、上記リレーレンズ位置制御部106は、位置センサ104により検出される対物レンズ102の位置の情報から対物レンズ102の動き量(移動量ΔZ:理想位置を基準として±の極性を有する)を求め、位置センサ105により検出される位置情報から求まるリレーレンズ7の動き量(移動量)が、上記移動量ΔZと同じとなるまでリレーレンズ7が移動されるようにリレーレンズ駆動部103を制御する。
このようにして対物レンズ102−リレーレンズ7間の距離が一定に保たれるようにすることができる。
【0058】
対物レンズ102−リレーレンズ7間の距離が一定とされれば、リレーレンズ7から出射された各光線の集光点となる実像面SRから対物レンズ102までの間の距離を一定とすることができる。すなわち、実像面SR−対物レンズ102間の距離は、図26(a)に示される距離で一定とすることができ、対物レンズ102からの出射光が常に平行光となるようにすることができる。
この結果、フォーカスサーボに伴い対物レンズ102が変位しても、記録/再生を適正に行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0059】
しかしながら従来の記録再生装置においては、対物レンズ102−リレーレンズ7間の距離を一定とするにあたり、上述のようにしてそれぞれに位置センサを設け、対物レンズ102の動きをモニタしてその移動量に応じた分だけリレーレンズ7を移動させるという制御を、リレーレンズ7の動きをモニタしながら行うという手法を採っている。
このような従来の制御手法では、対物レンズ102、リレーレンズ7の位置を検出するための位置センサ104、105がそれぞれ必要であり、その分、装置製造コストの増加を招く。
また、上記のような従来の制御手法はいわゆるオープン制御であり、位置センサの基準位置出しや取付精度などに高精度が要求され、その点でも装置製造コストの増加を招いてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0060】
上記のような課題の解決を図るべく、本発明では光照射装置として以下のように構成することとした。
つまり、信号光と参照光との干渉縞によって情報記録が行われる記録層を有するホログラム記録媒体に対し、光を照射するための光源を備える。
また、上記光源からの光に対し空間光変調を施すことで、上記信号光及び/又は上記参照光の生成と、上記光源からの光の入射面内における光軸から離間した位置でのマーカ光の生成とを行う空間光変調部を備える。
また、上記空間光変調部による空間光変調の施された光をリレーレンズ系及び対物レンズを介して上記ホログラム記録媒体に照射する光照射部を備える。
そして、上記対物レンズを介して照射される光の理想焦点位置が、当該理想焦点位置と上記ホログラム記録媒体表面との間の距離の方が上記表面から上記記録層の下層側面までの距離よりも小となるように設定されている。
またこれと共に、上記対物レンズを介して照射される光の焦点位置が上記理想焦点位置で一定となるようにフォーカスサーボ制御を行うフォーカスサーボ制御部を備える。
また、上記対物レンズと、上記リレーレンズ系を構成するリレーレンズのうち上記対物レンズ寄りに配置されるリレーレンズとの光軸上における距離を調整するように構成された対物レンズ−リレーレンズ間距離調整部を備える。
また、上記ホログラム記録媒体を介した上記マーカ光を受光する受光部を備える。
さらに、上記マーカ光の理想受光位置と、上記受光部による上記マーカ光の実際の受光位置との誤差に基づき、上記対物レンズ−リレーレンズ間距離調整部を制御する距離一定制御部を備えるようにした。
【0061】
上記のようにして本発明では、上記対物レンズを介して照射される光の理想焦点位置が、当該理想焦点位置と上記ホログラム記録媒体表面との間の距離の方が上記表面から上記記録層の下層側面までの距離よりも小となるように設定されている。つまり、本発明においては、ホログラムの記録/再生光の理想焦点位置が、従来の理想焦点位置(反射型記録媒体の場合は反射面上)である上記「記録層の下層側面」よりも手前側(対物レンズ側)となる位置にシフトされるようにして設定されているものである。
このようにホログラムの記録/再生光の焦点位置を従来よりも手前側にシフトさせた系においては、対物レンズ−リレーレンズ間の距離が理想距離から変化することに伴い、受光面上で検出される像の位置(光軸上の像は除く)が理想受光位置からずれることになる。具体的に、上記対物レンズ−リレーレンズ間の距離が上記理想距離よりも大となるときは、上記受光面上で検出される像の位置は上記理想受光位置よりも外側にずれ、逆に上記対物レンズ−リレーレンズ間の距離が上記理想距離よりも小となるときは上記受光面上で検出される像の位置は上記理想受光位置よりも内側にずれることになる(この点については後述する)。
この点を利用して本発明は、上記のように光軸から離間した位置にてマーカ光を生成し、上記マーカ光の理想受光位置と、上記マーカ光の実際の受光位置との誤差に基づき、上記対物レンズ−リレーレンズ間距離調整部を制御するものとしている。
これにより、対物レンズ−リレーレンズ間の距離が上記理想距離で一定となるように制御することができる。
【発明の効果】
【0062】
上記のようにして本発明によれば、ホログラムの記録/再生光の理想焦点位置を従来の理想焦点位置よりも手前側にシフトさせるものとした上で、光軸から離間した位置にてマーカ光を生成し、上記マーカ光の理想受光位置と上記マーカ光の実際の受光位置との誤差に基づき対物レンズ−リレーレンズ間の距離を制御することで、対物レンズ−リレーレンズ間の距離が上記理想距離で一定となるように制御することができる。
【0063】
このような本発明によれば、対物レンズ−リレーレンズ間距離の理想距離からの誤差は光学的に検出することができるので、対物レンズ−リレーレンズ間距離一定制御のために従来必要とされていた対物レンズ、リレーレンズの各々の位置を検出するための位置センサは省略することができる。つまりこれにより、装置製造コストの削減を図ることができる。
【0064】
また、上記本発明によれば、対物レンズ−リレーレンズ間距離の理想距離からの誤差を表す誤差信号はプッシュプル信号(上記理想距離のとき振幅「0」を基準として振幅が大/小となる信号)で得ることができる。
また、上記本発明によれば、対物レンズ−リレーレンズ間距離一定制御はクローズドループ制御で行うことができ、その分高精度な制御とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】実施の形態で用いるホログラム記録媒体の構造例を示した断面構造図である。
【図2】実施の形態としての光照射装置の内部構成を示した図である。
【図3】空間光変調器に設定される参照光エリア、信号光エリア、ギャップエリアの各エリアについて説明するための図である。
【図4】実施の形態において設定する記録再生光の焦点位置(理想焦点位置)について説明するための図である。
【図5】記録再生光の焦点位置を変化させるにあたっての対物レンズとホログラム記録媒体との離間距離の設定例について説明するための図である。
【図6】従来の記録再生システムによってホログラム記録媒体に形成されるホログラムの形状について説明するための図である。
【図7】本実施の形態の場合においてホログラム記録媒体に照射される信号光と参照光、及びそれらの復路光の光線の様子を示した図である。
【図8】本実施の形態の場合においてホログラム記録媒体に形成されるホログラムの形状について説明するための図である。
【図9】本実施の形態の場合において記録されたホログラムが再生される様子を示している。
【図10】本実施の形態の場合における記録時の往路光についての光学系全体での光の振る舞いを示した図である。
【図11】本実施の形態の場合における再生時の復路光についての光学系全体での光の振る舞いを示した図である。
【図12】本実施の形態の場合において実像面上で往路光・復路光の各光線の位置が一致する理由について説明するための図である。
【図13】マーカ光の生成例を示した図である。
【図14】対物レンズ−リレーレンズ間距離の変化に応じたマーカ光の振る舞いの変化について説明するための図である。
【図15】受光面上に形成されるマーカ光の照射スポットの様子を上記受光面に平行な面で表した平面図である。
【図16】受光面に入射するマーカ光の様子を上記受光面に直交する面で表した断面図である。
【図17】マーカ光の受光位置の検出手法について説明するための図である。
【図18】対物レンズ及びリレーレンズがそれぞれの理想位置にある場合における往路光の光の振る舞いを示した図である。
【図19】距離一定制御により対物レンズの理想位置からの変位に応じてリレーレンズが変位された場合における往路光の光の振る舞いを示した図である。
【図20】実施の形態の光照射装置が備える距離一定制御部の内部構成を示した図である。
【図21】マーカ光の生成に係る変形例について説明するための図である。
【図22】ホログラム記録媒体の構造例を示した断面図である。
【図23】従来例としての記録再生装置の内部構成を示した図である。
【図24】偏光方向制御型の空間光変調器と偏光ビームスプリッタとの組合せで実現される強度変調について説明するための図である。
【図25】従来の場合における光学系全体での光の振る舞いを示した図である。
【図26】反射面と対物レンズとが理想的な位置にある状態での信号光・参照光の各光線の様子と、反射面の理想位置からの変位に追従して対物レンズが駆動された際の同各光線の様子とを対比して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明していく。
なお、説明は以下の順序で行う。

<1.ホログラム記録再生システムの構成>
[1-1.記録媒体の構造]
[1-2.記録再生装置の構成]
[1-3.焦点位置のシフト]
[1-4.焦点位置シフトに伴う光の振る舞いの変化]
[1-5.実施の形態としての対物レンズ−リレーレンズ間距離一定制御]
[1-6.実施の形態の距離一定制御実現のための構成]
[1-7.まとめ]
<2.変形例>
【0067】
<1.ホログラム記録再生システムの構成>
[1-1.記録媒体の構造]

図1は、本実施の形態のホログラム記録媒体HMの断面構造図である。
この図1と、先の図22とを比較して分かるように、本実施の形態で用いるホログラム記録媒体HMとしては、従来のホログラム記録媒体HMと同様の断面構造を有する。
確認のために、ホログラム記録媒体HMに形成される各層について説明しておくと、先ず、各層の配列順は、上層側から下層側にかけてカバー層L1→記録層L2→反射膜L3→中間層L4→反射膜L5→基板L6の順である。
なお、ここで言う「上層」「下層」は、記録/再生のための光が入射される面を上面、この上面とは逆側の面を下面として、上記上面側を上層、上記下面側を下層とするものである。
【0068】
この場合のカバー層L1としても、例えばプラスチックやガラスなどで構成され、その下層に形成される記録層L2の保護のために設けられる。
また記録層L2は、その材料として、例えばフォトポリマーなどの、照射光の強度分布に応じた屈折率変化が生じることで情報記録が可能な材料が選定され、後述する記録再生用のレーザ光によるホログラムの記録/再生が行われる。
また、反射膜L3は、再生時の参照光の照射に応じて記録層L2に記録されたホログラムに応じた再生像が得られた際に、これを反射光として装置側に戻すために設けられる。この反射膜L3としては、図22における反射膜L3と同様、波長選択性を有するものが選定される。後述もするように本実施の形態においても、ホログラム記録再生用のレーザ光としては波長λ=405nm程度の青紫色レーザ光を照射し、位置制御用のレーザ光としては例えば波長λ=650nm程度の赤色レーザ光を照射するようにされている。これに応じ、上記反射膜L3には、上記記録再生用の青紫色レーザ光は反射し、位置制御用の赤色レーザ光は透過するという、波長選択性を有する反射膜が用いられる。
【0069】
また、基板L6と反射膜L5は、ホログラムの記録/再生位置の制御のために設けられたものであり、上記基板L6には、スパイラル状又は同心円状に上記記録層L2におけるホログラムの記録/再生位置を案内するためのトラックが形成されている。例えばこの場合もトラックは、ピット列によるアドレス情報等の情報記録が行われることにより形成されたものとなる。この基板L6における上記トラックが形成された面(表面)に対し、反射膜L5が、例えばスパッタリングや蒸着などによって成膜される。確認のために述べておくと、この反射膜L5としては、位置制御光を反射するように構成されたものであればよく、特に波長選択性を有する必要性はない。
上記反射膜L5と上述した反射膜L3との間に形成される中間層L4は、例えばレジンなどの接着材料とされる。
【0070】
[1-2.記録再生装置の構成]

図2は、上記により説明したホログラム記録媒体HMに対応してホログラムの記録/再生を行う、実施の形態としての光照射装置の内部構成を示した図である。
ここで、本実施の形態では、本発明の光照射装置がホログラムの記録及び再生の双方を行う記録再生装置に適用される場合を例示する。この図2では、本実施の形態の記録再生装置の主に光学系の構成について示している。
【0071】
図2において、ホログラム記録媒体HMは、図示は省略したスピンドルモータによって回転駆動可能に保持される。記録再生装置では、このように保持された状態のホログラム記録媒体HMに対し、ホログラムの記録/再生のためのレーザ光、及び位置制御のためのレーザ光が照射される。
【0072】
図2においては、先の図23に示した記録再生装置と同様となる部分については同一を符号を付している。図23と比較して分かるように、本実施の形態の記録再生装置は、従来の記録再生装置とほぼ同様の構成を有し、第1レーザ1を光源とする記録/再生光の照射によるホログラムの記録/再生を行うと共に、第2レーザ14を光源とする位置制御光の照射によるホログラムの記録/再生位置の制御(フォーカスサーボも含む)を行うようにされている。
【0073】
本実施の形態の記録再生装置としても、ホログラム記録再生方式として、コアキシャル方式を採用する。すなわち、信号光と参照光とを同一軸上に配置し、それらを共に所定位置にセットされたホログラム記録媒体に照射することでホログラムの形成によるデータ記録を行い、また再生時には上記参照光をホログラム記録媒体に対して照射することでホログラムの再生像(再生信号光)を得て記録されたデータの再生を行うものである。
【0074】
本実施の形態の記録再生装置においては、ホログラムの記録再生のための信号光、参照光を照射するための光学系として、第1レーザ1、コリメーションレンズ2、偏光ビームスプリッタ3、SLM4、偏光ビームスプリッタ5、リレーレンズ6、リレーレンズ7、ダイクロイックミラー8、部分回折素子9、1/4波長板10、対物レンズ11、及びイメージセンサ13が設けられている。
【0075】
この場合も第1レーザ1は、ホログラムの記録再生のためのレーザ光として、例えば波長λ=405nm程度の青紫色レーザ光を出力する。第1レーザ1から出射されたレーザ光は、コリメーションレンズ2を介して偏光ビームスプリッタ3に入射する。
【0076】
この場合も上記偏光ビームスプリッタ3とSLM4とにより、入射光に対する空間光強度変調を施す強度変調部が形成されている。
この場合の偏光ビームスプリッタとしても、例えばp偏光を透過、s偏光を反射するように構成される。従って偏光ビームスプリッタ3に入射したレーザ光はそのs偏光成分のみが反射されてSLM4に導かれる。
SLM4は、例えばFLC(Ferroelectric Liquid Crystal:強誘電性液晶)としての反射型液晶素子を備えて構成され、入射光に対し、画素単位で偏光方向を制御するように構成されている。
【0077】
SLM4は、図中の変調制御部20からの駆動信号に応じて、各画素ごとに入射光の偏光方向を90°変化させる、又は入射光の偏光方向を不変とするようにして空間光変調を行う。具体的には、駆動信号がONとされた画素は偏光方向の角度変化=90°、駆動信号がOFFとされた画素は偏光方向の角度変化=0°とするように、駆動信号に応じ画素単位で偏光方向制御を行うように構成されている。
【0078】
SLM4からの出射光(SLM4にて反射された光)は、偏光ビームスプリッタ3に再度入射し、これによってSLM4のON画素を介した光(p偏光)は偏光ビームスプリッタ3を透過し、OFF画素を介した光(s偏光)は偏光ビームスプリッタ3にて反射されるようになり、結果、SLM4の画素単位で、入射光に空間光強度変調(単に強度変調とも言う)を施す強度変調部が実現されている。
【0079】
ここで、コアキシャル方式が採用される場合、SLM4においては、信号光と参照光とを同一光軸上に配置するために、次の図3に示すような各エリアが設定されることになる。
この図3に示されるようにして、SLM4においては、その中心(光軸中心と一致)を含む円形の所定範囲のエリアが、信号光エリアA2として設定される。そして、この信号光エリアA2の外側には、ギャップエリアA3を隔てて、輪状の参照光エリアA1が設定されている。
上記信号光エリアA2、参照光エリアA1の設定により、信号光と参照光とを同一光軸上に配置するようにして照射することができる。
また、上記ギャップエリアA3は、上記参照光エリアA1にて生成される参照光が信号光エリアA2に漏れ込んで信号光に対するノイズになることを避けるための領域として定められたものである。従って当該ギャップエリアA3は、基本的には入射光を遮断する非透過領域となるべきものである。
なお確認のために述べておくと、SLM4の画素形状は矩形状であるため、信号光エリアA2は厳密には円形とはならい。同様に参照光エリアA1、ギャップエリアA3としても厳密には輪状にはならい。その意味で信号光エリアA2は略円形のエリアとなり、参照光エリアA1、ギャップエリアA3もそれぞれ略輪状のエリアとなる。
【0080】
図2において、変調制御部20は、上記SLM4に対する駆動制御を行うことで、記録時には信号光と参照光を、また再生時には参照光のみを生成させる。
具体的に、記録時において上記変調制御部20は、上記SLM4における信号光エリアA2の画素は供給される記録データに応じたオン/オフパターンとし、参照光エリアA1の画素は予め定められた所定のオン/オフパターンとし、且つそれ以外の画素はすべてオフとするための駆動信号を生成し、これをSLM4に供給する。この駆動信号に基づきSLM4による空間光変調(偏光方向制御)が行われることで、偏光ビームスプリッタ3からの出射光として、それぞれが同じ中心(光軸)を持つように配置された信号光と参照光とが得られる。
また、再生時において上記変調制御部20は、上記参照光エリアA1内の画素を上記所定のオン/オフパターンとし、それ以外の画素は全てオフとする駆動信号によりSLM4を駆動制御し、これによって上記参照光のみを生成させる。
【0081】
ここで、本実施の形態の記録再生装置は、ホログラムの記録時/再生時のそれぞれにおいて、対物レンズ11とリレーレンズ7との間の距離誤差を求めるためのマーカ光を生成することになる。
このようなマーカ光の生成は、上記変調制御部20によるSLM4の駆動制御により実現されるものとなるが、この点については後に改めて説明する。
【0082】
なお、記録時において上記変調制御部20は、入力される記録データ列の所定単位ごとに上記信号光エリアA2内のオン/オフパターンを生成し、これによって上記記録データ列の所定単位ごとのデータを格納した信号光が順次生成されるように動作する。これにより、ホログラム記録媒体HMに対しホログラムページ単位(信号光と参照光の1度の干渉により記録することのできるデータ単位)によるデータの記録が順次行われるようになっている。
【0083】
偏光ビームスプリッタ3及びSLM4による強度変調部にて強度変調が施されたレーザ光は、偏光ビームスプリッタ5に入射する。この偏光ビームスプリッタ5としてもp偏光を透過、s偏光を反射するように構成される。従って上記レーザ光は、偏光ビームスプリッタ5を透過する。
【0084】
偏光ビームスプリッタ5を透過したレーザ光は、リレーレンズ6、リレーレンズ7が同順で配置されたリレーレンズ系に入射する。図示するようにリレーレンズ6によっては、偏光ビームスプリッタ5を透過したレーザ光の光束が所定の焦点位置に集光するようにされ、リレーレンズ7によっては集光後の拡散光としての上記レーザ光束が平行光となるように変換される。
【0085】
図示するようにして、上記リレーレンズ系を構成するリレーレンズ6,7のうち対物レンズ11寄りに配置されるリレーレンズ7に対しては、リレーレンズ駆動部22が設けられる。
このリレーレンズ駆動部22は、レーザ光の光軸に平行な方向(図中の両矢印方向)に移動可能に保持した上記リレーレンズ7を、後述する距離一定制御部23による制御に基づき駆動する。
【0086】
上記リレーレンズ系を介したレーザ光は、ダイクロイックミラー8に入射する。ダイクロイックミラー8は、所定の波長帯による光を選択的に反射するように構成されている。この場合もダイクロイックミラー8は、波長λ=405nm程度による記録再生用レーザ光の波長帯の光を選択的に反射するように構成され、これにより上記リレーレンズ系を介して入射した記録再生用レーザ光は、ダイクロイックミラー8にて反射される。
【0087】
ダイクロイックミラー8にて反射された記録再生用レーザ光は、部分回折素子9→1/4波長板10を介して対物レンズ11に入射する。この場合も部分回折素子9としては、参照光が入射する領域に例えば液晶回折素子など、直線偏光の偏光状態に応じた選択回折特性(一方の直線偏光成分は回折し、他方の直線偏光成分は透過する)を有する偏光選択回折素子が形成されて成る。具体的にこの場合、部分回折素子9が備える上記偏光選択回折素子は、p偏光を透過、s偏光を回折するように構成されている。
また、上記1/4波長板10は、入射光(この場合はp偏光)の偏光方向軸に対し、その光学基準軸が45°傾けられた状態となるように設置され、直線偏光/円偏光変換素子として機能するようにされている。
【0088】
上記部分回折素子9及び1/4波長板10により、ホログラム記録媒体HMからの反射光として得られる復路参照光(反射参照光)によるSN比(S/N)低下の防止が図られる。つまり、p偏光で入射する往路の参照光は、上記部分回折素子9を透過することになる。また、ホログラム記録媒体HM(反射膜L3)→対物レンズ11→1/4波長板10を介してs偏光で入射する復路の参照光(反射参照光)は、上記部分回折素子9にて回折(抑圧)されることになる。
先にも述べたように、反射参照光は、回折現象を利用して得られるホログラムの再生像と比較して非常に強度の強い光となる。よって、反射参照光は、再生像に対する無視できないノイズ成分となり、これがイメージセンサ13に対して導かれてしまうとSN比の大幅な低下を招く。上記のような部分回折素子9及び1/4波長板10による反射参照光の抑圧が行われることで、このようなSN比の低下を効果的に防止できる。
【0089】
なおこの場合も、上記部分回折素子9における信号光が入射する領域(つまり再生像が入射する領域)は、例えば透明材料で構成される、或いは穴部とされるなどして、往路光・復路光の双方を透過するように構成されている。つまりこれにより、記録時の信号光が適正にホログラム記録媒体HMに照射され、且つ再生時の再生像が適正にイメージセンサ13に対して導かれるように図られている。
【0090】
またこの場合は、後述するようにしてギャップエリアA3内にて生成されるマーカ光がイメージセンサ13によって受光されるように、上記部分回折素子9としては、信号光が入射する領域と参照光が入射する領域との間の領域も透明材料で構成される、或いは穴部とされるなどして、上記マーカ光の往路光・復路光の双方を透過できるように構成しておく。
【0091】
対物レンズ11は、図示するフォーカスアクチュエータ12によってホログラム記録媒体HMに対して接離する方向(フォーカス方向)に移動可能に保持されている。後述する位置制御部19が上記フォーカスアクチュエータ12による対物レンズ11の駆動動作を制御することで、レーザ光のフォーカスサーボ制御が行われる。
【0092】
なお、図示は省略したが、レーザ光のトラッキング方向(ホログラム記録媒体HMの半径方向)の制御については、例えば光学系全体をトラッキング方向に駆動するトラッキング駆動部を制御するなどして行うことができる。
ここで、本発明は、レーザ光の主にフォーカス方向の制御に係るものであり、従ってトラッキング方向の位置制御のための具体的な構成については特に限定されるべきものではなく、各種の構成を採ることができる。
【0093】
記録再生用レーザ光は、上記対物レンズ11により集光されるようにしてホログラム記録媒体HMに照射される。
ここで、先にも述べたように記録時には、変調制御部20からの制御に基づく強度変調部(SLM4及び偏光ビームスプリッタ3)の強度変調によって信号光と参照光とが生成される。そして、これら信号光・参照光が、上記により説明した経路によりホログラム記録媒体HMに照射される。これにより、記録層L2には、これら信号光と参照光との干渉縞により記録データを反映したホログラムが形成される。つまりデータ記録が行われる。
【0094】
また、再生時には、変調制御部20の制御に基づき、強度変調部が参照光を生成し、該参照光が上記による経路によってホログラム記録媒体HMに照射される。このように参照光が照射されることで、記録層L2に形成されたホログラムに応じた再生像が反射膜L3からの反射光として得られる。この再生像は、対物レンズ11を介して装置側に戻される。
【0095】
前述のように、部分回折素子9は、信号光の入射領域が透過領域とされている。従って、上記のようにホログラム記録媒体HMから得られ、対物レンズ11→1/4波長板10を介した再生像は、当該部分回折素子9を透過する。部分回折素子9を透過した再生像は、ダイクロイックミラー8にて反射された後、先に説明したリレーレンズ系(リレーレンズ7→リレーレンズ6)を介し、偏光ビームスプリッタ5に入射する。ホログラム記録媒体HMからの反射光は1/4波長板10のはたらきによりs偏光に変換されているので、このように偏光ビームスプリッタ5に入射した再生像は、当該偏光ビームスプリッタ5にて反射され、イメージセンサ13に入射することになる。
【0096】
イメージセンサ13は、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどとされ、上記のようにして導かれたホログラム記録媒体HMからの再生像を受光し、これを電気信号に変換して画像信号を得る。このようにして得られた画像信号は、記録時に信号光に対して与えたオン/オフパターン(つまり「0」「1」のデータパターン)を反映したものとなっている。すなわち、このようにしてイメージセンサ13で検出される画像信号が、ホログラム記録媒体HMに対して記録されたデータの読み出し信号となる。
【0097】
イメージセンサ13により得られた上記読み出し信号としての画像信号は、データ再生部21に対して供給される。
データ再生部21は、上記イメージセンサ13からの画像信号中に含まれるSLM4の画素単位の値ごとに、「0」「1」のデータ識別、及び必要に応じて記録変調符号の復調処理等を行って、記録データを再生する。
【0098】
また、本実施の形態の場合、イメージセンサ13による上記読み出し信号は、距離一定制御部23に対しても供給される。
距離一定制御部23は、上記読み出し信号に基づきリレーレンズ駆動部22によるリレーレンズ7の駆動動作を制御することで、対物レンズ11−リレーレンズ7間の距離が予め定められた理想距離で一定となるように制御を行う。
なお、この距離一定制御部23により実現される距離一定制御の具体的な手法、及びその内部構成については後に改めて説明する。
【0099】
また、図2に示す記録再生装置には、上記により説明したホログラムの記録再生のための光学系に加えて、ホログラムの記録/再生位置の制御を行うための光学系(位置制御光学系)として、第2レーザ14、コリメーションレンズ15、偏光ビームスプリッタ16、集光レンズ17、及びフォトディテクタ(PD)18が設けられている。
【0100】
この位置制御光学系において、第2レーザ14は、位置制御用のレーザ光として、上述した波長λ=650nm程度の赤色レーザ光を出力する。この第2レーザ14からの出射光はコリメーションレンズ15→偏光ビームスプリッタ16を介してダイクロイックミラー8に入射する。ここで偏光ビームスプリッタ16としてもp偏光を透過、s偏光を反射するように構成されている。
【0101】
上述もしたようにダイクロイックミラー8は、記録再生用レーザ光(この場合はλ=405nm程度)の波長帯の光を選択的に反射するように構成されており、従って第2レーザ14からの位置制御用レーザ光は透過することになる。
ダイクロイックミラー8を透過した位置制御用レーザ光は、記録再生用レーザ光と同様に部分回折素子9→1/4波長板10→対物レンズ11を介してホログラム記録媒体HMに照射される。
【0102】
なお確認のために述べておくと、上記ダイクロイックミラー8が設けられることで、位置制御用レーザ光と記録再生用レーザ光とが同一光軸上で合成され、且つこの合成光が共通の対物レンズ11を介してホログラム記録媒体HMに照射されるようになっている。つまりこのことで、位置制御用レーザ光のビームスポットと記録再生用ビームスポットとが記録面に平行な方向における同じ位置に形成されるように図られているものであり、この結果、後述するような位置制御用レーザ光に基づく位置制御動作が行われることで、ホログラムの記録再生位置が、トラックに沿った位置となるように制御されるものである。
【0103】
また、この場合の記録再生用のレーザ光と位置制御用レーザ光との波長差は、およそ250nm程度とされている。このように充分な波長差が与えられていることで、位置制御用のレーザ光は、ホログラム記録媒体HMの記録層L2に対する感度がほぼ無いに等しいものとなる。
【0104】
上記のような位置制御用レーザ光の照射に伴い、ホログラム記録媒体HMからは、反射膜L5上の記録情報に応じた反射光が得られる。この反射光(位置制御情報反映光とする)は、対物レンズ11→1/4波長板10→部分回折素子9→ダイクロイックミラー8を介して、偏光ビームスプリッタ16に入射する。偏光ビームスプリッタ16は、このようにしてダイクロイックミラー8を介して入射した位置制御用レーザ光の反射光を反射することになる(ホログラム記録媒体HMで反射された位置制御用レーザ光としても1/4波長板10のはたらきによりs偏光に変換される)。偏光ビームスプリッタ16にて反射された位置制御用レーザ光の反射光は、集光レンズ17を介してフォトディテクタ18の検出面上に集光するようにして照射される。
【0105】
フォトディテクタ18は、複数の受光素子を備え、上記のように集光レンズ17を介して照射されたホログラム記録媒体HMからの位置制御情報反映光を受光し、受光結果に応じた電気信号を得る。つまり、これによって基板L6上(反射膜L5上)に形成された凹凸断面形状を反映した反射光情報(反射光信号)が検出される。
【0106】
このようにフォトディテクタ17で得られる反射光情報に基づき、フォーカスサーボ制御、トラッキングサーボ制御、所定アドレスへのアクセス制御などのホログラムの記録/再生位置に関する各種の位置制御を行うための構成として、位置制御部19が設けられている。
位置制御部19は、マトリクス演算により反射膜L5上に形成されたピット列についての再生信号(RF信号)やトラッキングエラー信号・フォーカスエラー信号など位置制御に必要な各種の信号を生成するマトリクス回路、及びサーボ演算などを行うための演算回路、及びフォーカスアクチュエータ12や上述したトラッキング駆動部など必要な各部を駆動制御する駆動制御部とを有して構成される。
【0107】
図示は省略したが、図2に示す記録再生装置には、上記再生信号に基づきアドレス情報の検出やクロックの生成を行うためのアドレス検出回路、クロック生成回路が設けられる。
位置制御部19は、上記アドレス情報や上記トラッキングエラー信号に基づき上記トラッキング駆動部を制御することで、位置制御用レーザ光のビームスポット位置の制御を行う。このようなビームスポット位置の制御により、記録再生用レーザ光のビームスポット位置を所要のアドレスに移動させたり、またトラックに沿った位置に追従させる(トラッキングサーボ制御)などといったことができるようになっている。つまりこれにより、ホログラムの記録/再生位置についての制御が行われるものである。
また、位置制御部19は、上記したフォーカスエラー信号に基づきフォーカスアクチュエータ12による対物レンズ11のフォーカス方向への駆動動作を制御することで、位置制御用レーザ光のフォーカス位置を反射膜L5上に追従させるフォーカスサーボ制御も行う。これにより、共通の対物レンズ11を介して照射される記録再生用レーザ光のフォーカス位置(焦点位置)としても、所定位置で保たれるようになっている。
【0108】
[1-3.焦点位置のシフト]

ここで、本実施の形態の記録再生装置では、第1レーザ1を光源とするホログラムの記録再生用レーザ光の対物レンズ11による焦点位置(システム設計にあたり設定する理想的な焦点位置)を、従来設定していた焦点位置である反射膜L3の反射面からシフトさせるものとしている。具体的には、上記反射面よりも手前側(対物レンズ11側)となる位置にシフトさせる。より具体的には、記録再生用レーザ光の焦点位置を、ホログラム記録媒体HMの表面近傍にまでシフトさせるものとしている。
【0109】
図4は、本実施の形態において設定する記録再生用レーザ光の焦点位置について説明するための図として、ホログラム記録媒体HMの断面構造と共に、ホログラム記録媒体HMに対して照射される位置制御用レーザ光(図中の細実線)、記録再生用レーザ光(図中、太実線)を併せて示している。なお図4では比較として、従来の記録再生システムの場合の記録再生用レーザ光を太破線により示している。
【0110】
この図4に示されるように、本実施の形態では、記録再生用レーザ光の焦点位置を、カバー層L1と記録層L2との界面に設定するものとしている。換言すれば、記録層L2の上層側面を焦点位置に設定するものである。
この場合、従来設定されていた記録再生用レーザ光の理想焦点位置からのシフト量は、図中に「D」と示す、記録層L2の厚さ分となる。
【0111】
このような記録再生用レーザ光の理想焦点位置のシフトは、対物レンズとホログラム記録媒体との離間距離を、従来よりも拡大することで実現することができる。
図5は、記録再生光の理想焦点位置を変化させるにあたっての対物レンズとホログラム記録媒体との離間距離の設定例について説明するための図である。この図5では、図5(a)において対物レンズ102を用いる従来の場合の例を示し、図5(b)において対物レンズ11を用いる本実施の形態の場合の例を示している。
各図では、従来の対物レンズ102又は本例の対物レンズ11と、これら対物レンズを介してホログラム記録媒体に照射される記録再生用レーザ光の光線、及びホログラム記録媒体のカバー層L1、記録層L2、反射膜L3のみを抽出して示している。
【0112】
図5(a)に示すように、従来の場合、対物レンズ102は、光源側から順にレンズLZ1、レンズLZ2、レンズLZ3、レンズLZ4が備えられて構成される。このとき、最も曲率の大きいレンズLZ4については、その厚さ(図中Dst)がDst=4.20mmとされている。
従来の記録再生装置においては、このような対物レンズ102を用い、該対物レンズ102の出射面からホログラム記録媒体(表面)までの離間距離LTを図のようにLT=1.125mmに設定することで、記録再生用レーザ光の理想焦点位置が反射膜L3上となるようにされている。
【0113】
一方、図5(b)において、本実施の形態の場合、対物レンズ11としては、従来の対物レンズ102と同様、光源側から順にレンズLZ1、レンズLZ2、レンズLZ3を備える点は共通であるが、対物レンズ102におけるレンズLZ4に相当する最も曲率の大きなレンズについては、その厚さLTをLT=4.20mmから0.02mm縮小した厚さLT=4.18mmによるレンズLZ5を用いるようにしている。
本例において、このように厚さLTを縮小化しているのは、焦点位置をシフトさせたことに伴い発生する球面収差の抑制を図るためである。
【0114】
そして、本実施の形態の場合、対物レンズ11の出射面からホログラム記録媒体HMまでの距離Dtsは、図示するようにDst=1.50mmと、従来のDst=1.125mmからおよそ0.375mm拡大化するものとしている。
【0115】
上記により説明した対物レンズ11の構成、及び対物レンズ出射面からホログラム記録媒体までの離間距離Dtsの設定により、従来は反射膜L3上とされていた記録再生用レーザ光の理想焦点位置を、記録層L2の上層側面(カバー層L1と記録層L2との界面)にシフトさせることができる。具体的には、記録再生用レーザ光の理想焦点位置を、従来よりも0.6mmだけ上層側にシフトさせることができる。
【0116】
ここで、このような離間距離Dstの調整は、例えばホログラム記録媒体を回転駆動可能に保持するスピンドルモータの媒体保持部の設置位置の調整で行うことができる。本実施の形態の記録再生装置では、このような媒体保持部の設置位置が、従来の記録再生装置の場合よりも対物レンズから遠ざかる側にオフセットされている。このことで、記録再生光の理想焦点位置が、上記のように記録層L2の下層側面よりも上層側となる位置に設定されている。
【0117】
なお、このような本例としての離間距離Dtsの調整手法によっては、記録再生用レーザ光の理想焦点位置がシフトされるだけでなく、位置制御用レーザ光についても同様に理想焦点位置がシフトされてしまうことになる。先の図4を参照して説明した如く、本例の場合、位置制御用レーザ光の理想焦点位置は、従来と同様に反射膜L5上に設定する必要がある。つまり、本例のように記録再生用レーザ光の理想焦点位置を記録層L2の上層側面に設定する場合には、位置制御用レーザ光の理想焦点位置と記録再生用レーザ光の焦点位置との離間距離は、「記録層L2の上層側面−反射膜L5(L7)の反射面」の距離となるようにする必要がある。
【0118】
この点を考慮し本実施の形態では、位置制御用レーザ光の対物レンズ11への入射時のコリメーションを変化させるなどして、該位置制御用レーザ光の理想焦点位置と記録再生用レーザ光の理想焦点位置との離間距離が、上記の「記録層L2の上層側面−反射膜L5(L7)の反射面」の距離となるように予め光学系を調整しておく(例えばコリメーションレンズ15の位置の調整など)。
【0119】
なお、記録再生光の理想焦点位置をシフトさせる手法については、上記により例示した手法以外にも多様に考えられる。例えば対物レンズ(102)の設計変更によって実現するといったことも可能である。本発明において、記録再生光の理想焦点位置をシフトさせる具体的な手法については特に限定されるものではなく、実際の実施形態などに応じて適宜最適とされる手法が採られるようにすればよい。
【0120】
[1-4.焦点位置シフトに伴う光の振る舞いの変化]

ここで、上述のように記録再生光の理想焦点位置を反射膜L3の反射面上からシフトさせた場合、当然のことながら光の振る舞いは従来とは異なるものとなってくる。
【0121】
(記録されるホログラムの変化)

理想焦点位置をシフトさせることに応じては、記録層L2に記録されるホログラムの形状が従来とは異なってくる。この点について、図6〜図9を参照して説明する。
【0122】
ここで、これら図6〜図9において共通する事項について説明しておく。
図6〜図9の各図は、それぞれ、対物レンズ11(図9の場合は対物レンズ102)と、ホログラム記録媒体HMにおけるカバー層L1、記録層L2、及び反射膜L3の反射面のみを抽出して示すと共に、ホログラム記録媒体HMに照射される記録/再生光の光線の様子を併せて示している。
先の図1の説明からも明らかなように、実際には、反射膜L3の反射面で反射された光(=復路光)は、往路光が入射する側に戻っていくことになるが、図6〜図9においては図示の都合上、復路光については、記録層L2、カバー層L1、対物レンズ11又は102も併せて、上記反射面を境に往路光が入射する側とは逆側に折り返して示している。
また、図6〜図9における平面SRは、リレーレンズ系(6,7)によって形成されるSLM4の実像面(対物レンズにとっては物体面)を表す。また、図中の平面Sobは、対物レンズ11(図9では対物レンズ102)の瞳面を表す。
また、図6〜図9において、信号光については、信号光エリアA2内の各ピクセルのうち光軸と一致する中央の1ピクセル分の光線と、その他の2ピクセルの光線との計3ピクセル分の光線のみを抽出して示している。また、参照光については、参照光エリアA1内のそれぞれ最外周部に位置する2つのピクセルの光線のみを抽出して示している。
【0123】
先ずは図6により、従来の記録再生システムによってホログラム記録媒体HMに形成されるホログラムの形状について説明しておく。
従来の場合、記録再生光の焦点位置は反射膜L3の反射面上に設定される。なおこのことより、従来の記録再生装置では、対物レンズ102の焦点距離fは対物レンズの瞳面Sobから反射面までの距離となっている。
【0124】
この場合、信号光の各光線、及び参照光の各光線は、図のように反射面上の一点に集光する。
このとき、信号光、参照光の各光線(ピクセルごとの光線)は、図2に示したリレーレンズ6,7を介することで、図のように実像面SRで一旦集光した後、拡散光の状態で対物レンズ102に入射する。そして、対物レンズ102に入射した各光線は、平行光の状態でホログラム記録媒体HMの反射面上の一点に集光することになる。
【0125】
記録再生光の焦点位置を反射面上とする従来の場合、復路光と往路光の光路長は等しく、従って往路光・復路光の各光線は、図のように反射面を中心軸として対称な形状となり、これに伴い、記録層L2にて形成されるホログラムとしても、図中の太枠で囲うように、反射面を中心軸として対称な形状で形成される。
なお確認のために述べておくと、ホログラムは、信号光と参照光の干渉により形成されるものである。従ってホログラムは、記録層L2中にて信号光と参照光とが重なっている部分に形成される。コアキシャル方式では、信号光・参照光の光束は一点(この場合は反射面上)に収束するように記録媒体に照射されるので、この場合において形成されるホログラムの形状は、図のように砂時計のような形状となる。
なお、図6では、本来は往路光側に戻っていく反射光を反対側に折り返して示しているので、ホログラムの形状は上記のような砂時計の形状で示されるものとなるが、実際には、図中の右半分のホログラム(台形形状)は、図中の左半分のホログラムと重なるようにして形成されるものである。
【0126】
図7は、記録再生光の焦点位置を記録層L2の上層側面とする本例の場合において、ホログラム記録媒体HMに照射される信号光と参照光、及びそれらの復路光の光線の様子を示している。
先ず、焦点位置を記録層L2の上層側面とする場合、対物レンズ11の焦点距離fは、図からも明らかなように瞳面Sobから記録層L2の上層側面までの距離となる。
そして、図示するようにこの場合においては、記録層L2に対しては、集光後の拡散光としての信号光と参照光とが照射されることになる。
このことで、この場合に記録層L2中に形成されるホログラムの形状は、次の図8において太枠で示したような形状となる。
【0127】
図9は、このようにして記録されたホログラムが再生される様子を示している。
これまでの説明からも理解されるように、記録層L2に形成されたホログラムに対して参照光を照射することで、回折現象により、記録された信号光についての再生光(再生像)が出力される。この図9では、再生時に照射した参照光(往路)、及び該参照光の照射に応じて得られた再生光、及び反射面にて反射された参照光(反射参照光:復路参照光)の各光線を示している。またこの図では、記録時に照射した信号光の各光線の軌跡も併せて示している。
【0128】
(復路光の光線位置の変化)

ここで、図6と図7〜図9とを比較して明らかなように、焦点位置を反射面上からシフトさせる本例の場合は、往路光と復路光とで、各光線の位置にずれが生じることになる。
図10〜図12を参照し、光学系全体での従来の場合と本例の場合の光振る舞いを確認する。
なおこれら図10〜図12においても、信号光については3ピクセル分の光線のみ、参照光については2ピクセル分の光線のみをそれぞれ代表して示している。
またこれら図10〜図12においては、光学系全体の構成のうち、SLM4、リレーレンズ6,7、対物レンズ(11又は102)のみを抽出して示している。またこれらの図ではホログラム記録媒体HMも併せて示している。なお、各図中の平面Spbsは偏光ビームスプリッタ5の反射面を、また平面Sdimはダイクロイックミラー8の反射面を表す。
【0129】
先ず、先の図25を参照して説明した通り、従来の場合においては、往路・復路とも各光線の通る位置は同じとなる。
確認のために述べておくと、図25に示した通り従来の場合には、SLM4の各ピクセルから出射された光線は、拡散光の状態で平面Spbs(偏光ビームスプリッタ5)を介してリレーレンズ6に入射する。このとき、各ピクセルからの出射光線は、それぞれの光軸が平行な状態にある。
【0130】
リレーレンズ6に入射した各ピクセルの光線は、図25に示すように拡散光から平行光となるように変換されると共に、レーザ光軸(レーザ光束全体の光軸)上の光線を除く各光線の光軸が上記レーザ光軸側に折り曲げられる。このことで、平面SFにおいては、各光線が平行光の状態でレーザ光軸上に集光されることになる。ここで、上記平面SFは、対物レンズ102による焦点面と同様、平行光による各ピクセルの光線がレーザ光軸上に集光する面であり、フーリエ面(周波数平面)と呼ばれる。
【0131】
上記のようにフーリエ面SFにてレーザ光軸上に集光した各光線は、リレーレンズ7に入射するが、このとき、リレーレンズ6から出射された各光線(レーザ光軸を含む中央のピクセルの光線は除く)はフーリエ面SF上でレーザ光軸と交差することになる。このことからリレーレンズ6とリレーレンズ7とにおける各光線の入出射位置の関係は、レーザ光軸を中心として軸対称な関係となる。
【0132】
各光線は、リレーレンズ7を介することで図のように収束光に変換されると共に、各光線の光軸がそれぞれ平行となる。リレーレンズ7を介した各光線は、平面Sdim(ダイクロイックミラー8)にて反射され、図6にも示した実像面SR上のそれぞれの位置に集光することになる。このとき、リレーレンズ7を介した各光線は、上記のようにそれぞれの光軸が平行な状態とされるので、上記実像面SR上において、各光線の集光位置は重ならずそれぞれ別々の位置となる。
なお、実像面SR以降の光の振る舞いは、先の図6で説明した通りである。
【0133】
ここで、前述もしたように、図25では、平面Spbsにて反射されイメージセンサ13に導かれる再生光の各光線を示しているが、図示するようにイメージセンサ13に再生光のみが導かれているのは、先に説明した部分回折素子9(及び1/4波長板10)により反射参照光が抑圧されるためである。
なお確認のために述べておくと、部分回折素子9は、実像面SR又はその近傍に設けられるものである。これは、部分回折素子9としては、先にも述べたように信号光の領域と参照光の領域とで選択的に光を透過/回折する必要があるため、SLM4(像生成面)と同等の像が得られる位置に配置されなければ適切な選択透過/回折の作用を得ることができなくなってしまうためである。
【0134】
また、再生時において、再生光は、記録時に照射した信号光の各光線位置と同じ光線位置に得られる。つまり再生光の各光線は、図中の信号光の各光線と同じ位置を辿って平面Spbsに到達し、該平面Spbsにて反射されてイメージセンサ13に導かれる。このとき、リレーレンズ6から平面Spbs側に出射される再生光の各光線は、図のように収束光の状態で且つそれぞれの光軸が平行な状態となっており、これら各光線は、イメージセンサ13の検出面上の別々の位置に集光するようになっている。このことで、イメージセンサ13の検出面上では実像面SRにおける再生像と同様の像が得られる。
【0135】
図10は、本例の場合の光の振る舞いとして、記録時の往路光についての光の振る舞いを示している。
この場合、SLM4から対物レンズ11までの間の光の振る舞いは従来と同様となる。従来との相違点は、先の図7でも説明した通り、記録再生光の焦点位置(つまり図中では対物レンズ11を介した信号光・参照光の各光線の集光位置)が反射膜L3の反射面上ではなく、カバー層L1と記録層L2との界面にシフトされている点である。
【0136】
図11は、本例の場合における再生時の復路光の光の振る舞いを示している。
なおこの図11では、再生時に対物レンズ11からホログラム記録媒体HMに照射される往路光としての参照光と、記録時に照射した信号光(色無しの光線)の両往路光を、ホログラム記録媒体HMの反射面を境に逆側に折り返して示している。
【0137】
先の図7〜図9にも示したように、焦点位置を反射面上から上層側にシフトする本例の場合は、各光線の対物レンズ11の瞳面Sobへの入射位置(レーザ光軸を含む中央のピクセルの光線は除く)が、往路光と復路光とで異なるものとなる。具体的には、復路光の入射位置の方が往路光の入射位置よりも外側にシフトする。このことから本例の場合は、この図11に示す復路光と先の図10に示した往路光とで各光線の位置は一致しないことになる。
【0138】
また、上記のように往路光と復路光とで対物レンズ11の瞳面Sobへの入射位置が異なることで、リレーレンズ7の瞳面やリレーレンズ6の瞳面における各光線の入射位置も往路光と復路光とでそれぞれ異なってくる。そしてこれに伴い、リレーレンズ6,7によるリレーレンズ系によって形成される各光線の集光面としても、往路光と復路光とでそれぞれ異なる位置となる。
具体的に、上述のように復路光の各光線の瞳面Sobへの入射位置が外側にシフトされると、これら各光線のリレーレンズ7の瞳面への入射位置は往路光の入射位置よりもそれぞれ内側にシフトされるので、復路光の集光面(復路共役面SCとする)は、往路光の集光面、すなわちフーリエ面SFよりもリレーレンズ7側の位置にシフトする。
【0139】
但し、ここで注意すべきは、実像面SR(イメージセンサ13の検出面も同じ)上においては、各光線の集光位置が先の図25や図10の場合と同じとなっている点である。つまり、このように実像面SR上での各光線の集光位置が一致していることで、再生時において、従来と同様に再生像をイメージセンサ13にて適正に検出することができるものである。
【0140】
ここで、図12を参照して、このように実像面SR上で往路光・復路光の各光線の位置が一致する理由について説明しておく。
なおこの図12では先の図7〜図9と同様に実像面SR、対物レンズ11の瞳面Sobと、ホログラム記録媒体HMにおけるカバー層L1、記録層L2、反射膜L3の反射面とを抽出して示すと共に、再生時にホログラム記録媒体HMから出力される再生光の各光線を併せて示している。再生光の光線については、中央のピクセルの光線と、それぞれ最外周に位置する2つのピクセルの光線の計3つのみを代表して示している。また図12では往路光として記録時に照射した信号光の各光線(図中色無しの光線:これについても中央、最外周×2の計3ピクセル分の光線のみを示す)を示し、また、先の図7〜図9と同様、復路光(この場合は再生光)についてはカバー層L1・記録層L2と共に反射面を境に逆側に折り返して示している。
【0141】
ここで、記録時に照射した信号光の各光線について、図面中において最上部に位置する光線をa、最下部に位置する光線をbとする。また、再生光の各光線について、最上部に位置する光線はB、最下部に位置する光線はAとする。
また、実像面SR上において、信号光中における上記光線aの集光位置(焦点位置)をPa、上記光線bの集光位置をPbとおき、同様に、再生光中における上記光線Aの実像面SR上における集光位置をPA、上記光線Bの集光位置をPBとおく。
【0142】
この図12において、図中の光線A’は、再生光における光線Aを折り返さずに示したものである。ここで光線Aは、光線aに平行な光である。また、コアキシャル方式において、光線aと光線bとは、光軸を境にそれぞれ同じ入射角度でホログラム記録媒体HMに照射されるものとなる。従って、上記光線A’は、光線bに平行な光となる。
【0143】
ここで、対物レンズ(凸レンズ)の性質より、このように平行な2つの光が対物レンズ11を介するとき、焦点距離fだけ離れた焦点面(ここでは実像面SR)においては、これら2つの光の集光位置が一致することになる。つまりこのことで、光線bの実像面SR上における集光位置Pbと、光線Aの実像面SR上における集光位置PAとが一致することになる。
またこのような関係は、当然のことながら光線aと光線Bについても成り立つものであり、従って光線aの実像面SR上における集光位置Paと光線Bの実像面SR上における集光位置PBとしてもそれぞれ一致することになる。
【0144】
このような原理により、記録再生光の理想焦点位置を反射面上からシフトした場合であっても、実像面SR上においては、復路光の各光線の集光位置が、往路光の各光線の集光位置とそれぞれ一致するようになっている。
【0145】
説明を図11に戻す。
上記のように実像面SR上における復路光の各光線の集光位置が往路光の各光線の集光位置とそれぞれ一致するということは、実像面SR上における各光線の集光位置は、従来の場合と同様となることを意味する。
このことで、再生時において実像面SR上で得られる再生像は、従来の場合(つまり反射面を焦点位置とする場合)と同様となり、これによって、上記実像面SRと共役な関係にあるイメージセンサ13の受光面においても、従来通り適正な再生像を検出することができるようになる。すなわち、理想焦点位置のシフトによる往路光・復路光の光線位置の不一致に伴い、再生像のズレやボケなどの不具合が発生するといったことはなく、適正なデータ再生を行うことができる。
【0146】
なお、上記の説明からも理解されるように、焦点位置をシフトさせる手法を採る場合においても、記録再生光をホログラム記録媒体HMに導き且つホログラム記録媒体HMから得られた再生光をイメージセンサ13に導くための光学系の構成としては、対物レンズ11を除いては、従来の構成のまま変更させる必要は無いものとできる。
【0147】
また確認のために述べておくと、上記の説明は、対物レンズ11とリレーレンズ7との間の距離が、システム設計時に設定した理想距離で保たれている状態を前提としたものである。
【0148】
[1-5.実施の形態としての対物レンズ−リレーレンズ間距離一定制御]

ここで、先の図26を参照して説明した通り、ホログラムの記録再生系においては、ホログラム記録媒体HMに対する記録再生光の出力端となる対物レンズと、該対物レンズにとっての物体面を形成するためのリレーレンズ(リレーレンズ7)との間の距離が理想距離から変化した場合に、記録/再生時のそれぞれで同じ参照光を照射することができず、また復路において対物レンズから出射される各光線の焦点位置が実像面SRと一致しないことに起因して再生像のボケが生じることによって、適正な記録/再生を行うことができないものとなってしまう。
【0149】
このことに対応して、本実施の形態の記録再生装置としても、先の図2に示したリレーレンズ駆動部22、距離一定制御部23を設けることによって、フォーカスサーボ制御に伴い逐次理想位置から変位される対物レンズ11に追従させるようにリレーレンズ7を動かすことで、対物レンズ11−リレーレンズ7間の距離が一定となるように制御を行うものとしている。
【0150】
(マーカ光の生成)

ここで、先の図4〜図5を参照して説明したようにして焦点位置を従来よりも手前側にシフトさせた本例の記録再生装置においては、図10〜図12で説明したような光の振る舞いの変化により、対物レンズ11とリレーレンズ7との間距離の理想距離からの誤差を、ホログラム記録媒体HMからの反射光を利用して光学的に検出することができる。
具体的に、本例のように焦点位置をシフトさせた系では、先の図11に示されるようにして、平面Spbsからイメージセンサ13に対して入射する各光線のうち、中心部以外の光線に或る角度が与えられるものとなる。つまり、図25に示した従来の光学系においては往路・復路で各光線は同じ位置を辿るので、イメージセンサ13に対して入射する各光線はそれぞれその光軸が平行な状態となっていたが、焦点位置がシフトされた本例では図11で説明したような光の振る舞いの変化が生じることで、イメージセンサ13に入射する各光線は、レーザ光軸を含む中央のピクセルの光線のみが従来と同様に入射角度0°となるのに対し、それ以外の領域の光線は或る入射角度を有して入射することになる。
このことに伴い、対物レンズ11−リレーレンズ7間の距離が上記理想距離からずれた場合には、上記イメージセンサ13に対して入射する各光線のうち、中央の光線を除く光線の入射角に変化が生じるものとなって、その結果、これらの光線の受光位置にずれが生じることになる。つまりこのような受光位置のずれを利用して、対物レンズ11−リレーレンズ7間の距離の上記理想距離からの誤差を光学的に検出できるものである。
【0151】
本実施の形態では、このような受光位置のずれに基づく対物レンズ11−リレーレンズ7間の距離誤差の検出を行うための光として、次の図13に示すようなマーカ光を生成するものとしている。
この図13においてはSLM4にて設定される各エリア(A1〜A3)を示しているが、上記マーカ光としては、SLM4の変調面における所定の領域において生成する。具体的に本実施の形態では、マーカ光は参照光エリアA1と信号光エリアA2との境界領域であるギャップエリアA3内において生成するものとしている。なお且つ、本実施の形態では、マーカ光としてはマーカ光M1、マーカ光M2の2つを生成するものとしている。
これらマーカ光M1,M2については、レーザ光軸を基準として軸対称となるそれぞれの位置にて生成する。
【0152】
なお確認のために述べておくと、この図13では参照光エリアA1と信号光エリアA2を白色で示しているが、これは該エリアA1・A2を全てオン(透過)することを意味しているものではなく、先の図2の説明からも理解されるように信号光エリアA2は、記録時には逐次記録データに応じたオン/オフパターンが与えられ再生時は全域オフとされるものとなり、また参照光エリアA1は、記録時には予め定められた所定オン/オフパターンが与えられ再生時には記録時と同じオン/オフパターンが与えられるものとなる。
なお当然のことながらマーカ光M1,M2のみを生成するとした場合には、上記の各エリアA1、A2は全てオフとすることになる。
【0153】
また、本実施の形態において、上記マーカ光M1,M2のサイズは、例えば4ピクセル×4ピクセルに設定するものとしている。
ここで、マーカ光のサイズは、大きいほどその受光位置の検出の容易さの面で有利とできる。但し、サイズが大となると迷光の発生を助長し、記録/再生性能の悪化を招く虞がある。マーカ光のサイズは、このようなトレードオフの関係を考慮して、実際の光学系の構成などに応じて適宜最適とされるサイズを設定すればよい。
【0154】
上記のようにして、この場合のマーカ光M1,M2は、それぞれレーザ光軸から離間した位置にて生成されるものとなる。従って、上述したような受光位置のずれに基づく対物レンズ11−リレーレンズ7間の距離誤差の検出に好適に用いることができる。
【0155】
(対物レンズ−リレーレンズ間距離の変化に応じたマーカ光の振る舞いの変化)

ここで、対物レンズ11とリレーレンズ7との間の距離が上記理想距離から変化した場合において、上記マーカ光の光学系における振る舞いがどのように変化するかについて説明しておく。
【0156】
図14は、対物レンズ−リレーレンズ間距離の変化に応じたマーカ光の振る舞いの変化について説明するための図であり、図14(a)は対物レンズ−リレーレンズ間距離が理想距離である場合におけるマーカ光の振る舞いを、また図14(b)は対物レンズ−リレーレンズ間距離が理想距離から+ΔZだけ変化した場合におけるマーカ光の振る舞いを示している。
なおこれら図14(a)(b)のそれぞれは、先の図7〜図9と同様に実像面SR、対物レンズ11の瞳面Sobと、ホログラム記録媒体HMにおける記録層L2、反射膜L3の反射面とを抽出して示すと共に、マーカ光M1、マーカ光M2の各光線を併せて示している。この場合、復路光(この場合は各マーカ光)については、記録層L2・平面Sob・実像面SRと共に反射面を境に逆側に折り返して示している。
【0157】
ここで、この図14を始めとして以下の説明においては、レーザ光軸に平行な方向における位置変化量を表す上記「ΔZ」に関して、「+ΔZ」は、記録再生光の光源である第1レーザ1から遠ざかる方向への位置変化を表し、また「−ΔZ」は上記第1レーザ1に対して近づく方向への位置変化を表すものとする。
【0158】
先ず、対物レンズ11とリレーレンズ7との間の距離が理想距離と一致する状態においては、マーカ光M1、マーカ光M2の光の振る舞いは図14(a)に示すものとなる。ここで、マーカ光M1の往路光の実像面SR上での集光点を図のようにPM1とおく。同様にマーカ光M2の往路光の実像面SR上での集光点をPM2とおく。
確認のために述べておくと、焦点位置をシフトさせた本例の場合においては、先の図12で説明した如く、復路において対物レンズ11(図中では平面Sob)に入射する光線の光軸と、往路において対物レンズ11からホログラム記録媒体HMに照射される光線の光軸とが平行とされることで、復路において対物レンズ11から出射される各光線の集光点が往路における実像面SR上の各集光点と一致するということが重要な点となっている。
図14(a)においては、復路において対物レンズ11から出射されるマーカ光M1の集光点が、実像面SRにおけるマーカ光M2の集光点PM2と一致することが示されている。また同時に、復路において対物レンズ11から出射されるマーカ光M2の集光点が実像面SRにおけるマーカ光M1の集光点PM1と一致することが示されている。
【0159】
この図14(a)に示す状態から、反射面が+ΔZだけ動き、これに応じて対物レンズ11がフォーカスサーボ制御に伴って同様に+ΔZだけ駆動されたとすると、マーカ光M1,M2のそれぞれの光線の振る舞いは図14(b)に示されるように変化する。
先ず、反射面と対物レンズ11とが+ΔZ変位することに応じては、往路においては、図のように実像面SRと対物レンズ11の瞳面Sobとの間隔が、理想値である「f」から+ΔZだけ拡がることになる。
そしてこれに伴っては、復路において、図中に一点鎖線で示す対物レンズ11の瞳面Sobから焦点距離「f」だけ離れた位置が、実像面SRと重なる位置とはならず、当該瞳面Sobから焦点距離「f」だけ離れた位置からさらにΔZ(−ΔZ)だけ進んだ位置が、実像面SRと重なる位置となる。
【0160】
ここで、図14(a)にも示されているように、復路においてホログラム記録媒体HMから対物レンズ11に入射するマーカ光M1,M2の各光線は、対物レンズ11(凸レンズ)のはたらきにより、瞳面Sobから焦点距離fだけ離れた位置において、実像面SR上での往路光の各光線の集光点と同じ位置(面内方向における位置)に集光されることになる。
すなわち、マーカ光M1,M2の光軸の軌跡で辿ると、復路において対物レンズ11から出射されたマーカ光M1の光軸は、瞳面Sobから焦点距離fだけ離れた図中の一点鎖線の平面上において実像面SRにおける往路の集光点PM2と同じ面内方向位置と交差するものとなり、またマーカ光M2の光軸は、瞳面Sobから焦点距離fだけ離れた一点鎖線の平面上において実像面SRにおける往路の集光点PM1と同じ面内方向位置と交差するものとなる。
このことに伴い、一点鎖線で示す上記瞳面Sobから焦点距離fだけ離れた平面よりもさらにΔZだけ離れた位置となる実像面SR上においては、復路マーカ光M1の光軸位置は、往路光の集光点PM2とは一致するものとならずに、当該集光点PM2よりもさらに内側(レーザ光軸に近づく方向)の位置となってしまう。同様に、復路マーカ光M2の光軸位置も往路光の集光点PM1とは一致せずに、当該集光点PM1よりも内側の位置となってしまう。
【0161】
このようにして、反射面と対物レンズ11の+方向への変位(光源から遠ざかる方向への変位)に応じては、復路において対物レンズ11から出射されるマーカ光M1,M2が実像面SR上を通過する位置が、往路においてそれぞれが集光する実像面SR上の位置とは一致せず、内側方向にシフトしてしまうことになる。
【0162】
またこの一方で、反射面と対物レンズ11とが+ΔZ変位することに伴って、上記のように往路において実像面SRと対物レンズ11の瞳面Sobとの間隔が+ΔZだけ拡がることに応じては、図示するように拡散光の状態で対物レンズ11(瞳面Sob)に入射する各光線の幅が、図14(a)の場合よりも拡がることになる。
このように往路における対物レンズ11への入射光線の幅が図14(a)に示す理想状態から拡大されることによっては、対物レンズ11からの出射光線が平行光とはならず、収束光の状態とされてしまう。つまりこれに伴い、復路においてホログラム記録媒体HMからの反射光として対物レンズ11(瞳面Sob)に入射する各光線としても平行光ではなく収束光の状態となってしまう。
ここで、図14(a)にも示されているように、復路においてホログラム記録媒体HMから対物レンズ11に入射する各光線は、当該対物レンズ11によって収束光となるようにされる。この点より、復路において上記のように収束光の状態とされた対物レンズ11(瞳面Sob)への入射光線は、瞳面Sobから焦点距離fだけ離れた位置よりも手前側において焦点を結ぶものとなってしまう。具体的には、上記瞳面Sobから焦点距離fだけ離れた図中一点鎖線の平面よりも、ΔZだけ手前側となる平面上(図中破線で示す平面)にて集光してしまうものである。
【0163】
この結果、反射面と対物レンズ11とが理想位置から+ΔZ変位することに応じては、復路において対物レンズ11から出射されるマーカ光M1,M2の集光面(焦点面)が、実像面SRよりも2ΔZだけ手前側となると共に、これら復路光としてのマーカ光M1,M2の実像面SRに対する入射位置(光軸の位置)が、それぞれの往路における実像面SR上での集光点PM1,PM2よりも内側にシフトされることになる。
【0164】
また、図示による説明は省略するが、反射面と対物レンズ11とが逆に−ΔZ変位されたことに応じては、上記とは逆の現象が起こる。すなわち−ΔZの変位が生じた場合は、往路における実像面SRと対物レンズ11の瞳面Sobとの間の距離がf−ΔZとなり、これに伴い復路における瞳面Sobと実像面SRとの間の距離がf−ΔZとなることによって、復路光としてのマーカ光M1,M2の実像面SRに対する入射位置(光軸の位置)が、それぞれの往路における実像面SR上での集光点PM1,PM2よりも外側にシフトされることになる。
またこの場合は往路にて対物レンズ11に入射するマーカ光M1,M2の幅が狭くなることより、対物レンズ11から反射面を介して再度対物レンズ11に入射する各光線が拡散光の状態となることで、復路において対物レンズ11から出射されるマーカ光M1,M2の集光面は、実像面SRよりも2ΔZだけ奥側となる位置となる。換言すれば、実像面SRから−2ΔZの位置となる。
【0165】
ここで、これまでの説明からも理解されるように、図2に示した本実施の形態の記録再生装置においては、実像面SRとイメージセンサ13の受光面とが共役の関係となるように光学系が設計されている。従って、上記により説明した実像面SRに対する復路光の集光面(フォーカス方向)の変化、及び入射位置(面内方向)の変化は、イメージセンサ13の受光面上においても同様に生じるものとなる。
すなわち、イメージセンサ13の受光面上においても、反射面・対物レンズ11の+ΔZの変位に応じては、マーカ光M1、マーカ光M2の受光位置(光軸位置)がそれぞれの理想受光位置よりも内側にずれると共に、これら各光線の集光面が上記受光面よりも2ΔZだけ手前側となる。また逆に、反射面・対物レンズ11の−ΔZの変位に応じては、マーカ光M1、マーカ光M2の受光位置(光軸位置)がそれぞれの理想受光位置よりも外側にずれると共に、集光面が上記受光面よりも2ΔZだけ奥側となるものである。
【0166】
上記のような反射面・対物レンズ11の理想位置からの変位に応じた、イメージセンサ13受光面に対するマーカ光M1,M2の入射状態の変化の様子を、次の図15,図16にまとめた。
図15は、上記受光面に形成されるマーカ光M1,M2の照射スポットm1,m2の様子を上記受光面に平行な面で表した平面図であり、図16は、上記受光面に入射するマーカ光M1,M2の様子を上記受光面に直交する面で表した断面図である。
これら図15及び図16において、各(a)図は対物レンズ11が理想位置から+ΔZ変位した場合、各(b)図は対物レンズ11が理想位置にある場合(対物レンズ11−リレーレンズ7間の距離が理想距離である場合)、各(c)図は対物レンズ11が理想位置から−ΔZ変位した場合をそれぞれ示している。
なお図15においては、上記受光面における信号光エリアA2とその近傍の光が入射する領域のみを抽出して示している。
また図16ではマーカ光M1,M2の光線のみでなくレーザ光軸を含む中央の光線も併せて示している。
【0167】
先ず図16(b)に示されるように、対物レンズ11−リレーレンズ7間の距離が理想距離と一致する場合は、マーカ光M1,M2のそれぞれの光線の集光面は受光面に一致するため、図15(b)に示すように、それらのスポットm1,m2には像ボケが生じない。
また、図16(a)(c)にそれぞれ示す対物レンズ11−リレーレンズ7間の距離が理想距離と一致しない場合には、マーカ光M1,M2のそれぞれの光線の集光面が受光面に一致しないことで、図15(a)(c)にそれぞれ示すようにそれらのスポットm1,m2には像ボケが生じ、そのサイズは図15(b)の理想状態よりも拡大されることになる。
【0168】
そして先の説明からも理解されるように、対物レンズ11が+方向に変位した場合は、図15(a)に示すように、マーカ光M1の照射スポットm1(受光領域m1とも称する)及びマーカ光M2の照射スポットM2(受光領域m2とも称する)は、図15(b)の理想状態の場合よりも対物レンズ11の変位量に応じた分だけそれぞれ内側にシフトするものとなり、また対物レンズ11が−方向に変位した場合は、図15(c)に示すように、マーカ光M1の受光領域m1及びマーカ光M2の受光領域M2は理想状態の場合よりも対物レンズ11の変位量に応じた分だけそれぞれ外側にシフトするものとなる。
【0169】
(マーカ受光結果に基づく対物レンズ−リレーレンズ間距離の検出)

上記の説明からも理解されるように、理想焦点位置をシフトした系においては、フォーカスサーボ制御に伴い対物レンズ11−リレーレンズ7間の距離の理想距離との誤差が生じたときに、マーカ光の理想受光位置と実際の受光位置との間にも誤差が生じるものとなる。つまりこのことより、上記マーカ光の理想受光位置と実際の受光位置との誤差を求めれば、対物レンズ11−リレーレンズ7間の距離の理想距離からの誤差を検出することができる。
【0170】
ここで、本実施の形態では、マーカ光の理想受光位置と実際の受光位置との誤差は、マーカ光M1,M2の受光位置間の距離を基準として検出するものとしている。
具体的には、実際に生成・照射したマーカ光M1,M2についての受光位置間の距離(受光位置間距離D_dtcとする)を計算し、当該実際の受光位置間距離D_dtcと、対物レンズ11が理想位置にある場合におけるマーカ光M1,M2の受光位置間の距離(理想受光位置間距離D_id)との差の値を、対物レンズ11−リレーレンズ7間の距離の理想距離からの誤差を表す値として求めるものである。
この場合、「D_id−D_dtc」により、対物レンズ11−リレーレンズ7間の距離の理想距離との誤差を計算する。このことで、対物レンズ11の+ΔZの変位に応じて+極性、−ΔZの変位に応じて−極性となる誤差信号を得ることができる。
【0171】
ここで、注意すべきは、対物レンズ11が理想位置から変位した場合には、マーカ光M1,M2の照射スポットm1,m2が理想位置からシフトするだけでなく、その像にボケが生じるという点である。
この点を考慮し、本実施の形態では上記距離D_dtc,D_idの値をマーカ光M1,M2の各受光領域の中心位置(光軸位置)間の距離として求めるものとしている。
【0172】
このように各受光領域の中心位置間の距離として定義される受光位置間距離D_dtcを求めるにあたっては、当然のことながら、マーカ光M1,M2の各受光領域m1,m2の中心位置を検出する必要がある。
図17は、このようなマーカ光中心の受光位置の検出手法について説明するための図である。
先ず図17(a)は、イメージセンサ13の受光面上における実際のマーカ受光領域及びマーカ中心受光位置と、理想マーカ中心受光位置との関係を模式的に示している。この図17(a)では、上記受光面を、理想マーカ中心受光位置の座標(x,y)を(0,0)とした2次元平面にて表している。図示するように横軸がx方向ピクセル数、縦軸がy方向ピクセル数である。
確認のために述べておくと、上記理想マーカ中心受光位置は、対物レンズ11が理想位置にある状態において受光面上でマーカ光中心が受光される位置を表すものである。このような理想マーカ中心受光位置は、マーカ光の生成位置に応じて定まるものであり、既知の情報とできる。
【0173】
本実施の形態では、マーカ光中心の受光位置の検出は、いわゆる相関検出方式により行うものとしている。すなわち、検出対象とするマーカ光と同パターン(この場合は4×4ピクセルが全てオンのベタパターン)を有するテンプレート(画像)を用い、該テンプレートを移動させたときの各移動位置での検出画像と上記テンプレートとの相関値を計算し、最も相関性の高い位置を実際のマーカ中心受光位置とするものである。
この場合の相関計算は、検出対象のマーカ光についてのイメージセンサ13上での理想マーカ中心受光位置をマーカ探索基準位置として、該探索基準位置を中心として上記テンプレートを移動させて行う。
【0174】
具体的に、本実施の形態では、上記テンプレートを上記マーカ探索基準位置(理想マーカ中心受光位置)を中心としてx軸方向、y軸方向のそれぞれの方向に移動させたときの各移動位置での検出画像とテンプレートとの相関値をそれぞれ計算するものとしている。つまり、このようなそれぞれの方向における相関値の計算により、x軸方向における相関値のピーク位置と、y軸方向における相関値のピーク位置とを求め、それらx軸方向におけるピーク位置とy軸方向におけるピーク位置とで定まる座標(x、y)を、検出対象とするマーカ光のマーカ中心受光位置の検出結果とするものである。
【0175】
図17(b)は、図17(a)に示すテンプレートを上記理想マーカ中心受光位置(マーカ探索基準位置)としての座標(0,0)を基準としてx軸方向、y軸方向のぞれぞれの方向に移動させたときの各移動位置での相関値の計算結果をプロットした結果を示している。
この図17(b)からも明らかなように、テンプレートを上記探索基準位置を基準としてx軸方向、y軸方向にそれぞれ移動させたとき、x軸方向の相関値のピーク位置は実際のマーカ中心受光位置のx座標と一致し、またy軸方向の相関値のピーク位置は実際のマーカ中心受光位置のy座標と一致することになる。
このことから、上記のようにしてx軸方向におけるピーク位置とy軸方向におけるピーク位置とを求めることで、これらのピーク位置で定まる座標(x、y)を、検出対象とするマーカ光のマーカ中心受光位置の検出結果とすることができるものである。
【0176】
なお、図17の例ではx軸方向、y軸方向の相関値のピーク位置がピクセル単位で求まる場合を例示したが、マーカ光のサイズとイメージセンサ13のオーバーサンプリングレートとの関係によっては、上記ピーク位置がピクセル単位で求まらない場合も有り得る。その場合には、x軸方向の各移動位置での相関値の計算結果、y軸方向の各移動位置での相関値の計算結果に基づき、それぞれのピーク位置を補間計算によりピクセル単位以下の単位で求めるものとすればよい。
【0177】
上記のようにして、マーカ光M1,マーカ光M2についてのそれぞれのマーカ中心受光位置を検出することができる。
このように各マーカ光M1,M2についてのマーカ中心受光位置が求まれば、それらの離間距離を求めることで受光位置間距離D_dtcの値を得ることができる。
【0178】
上述もしたように、本実施の形態では、予め定められたマーカ光M1,M2についての理想受光位置間距離D_idと上記のように求めた受光位置間距離D_dtcとに関して、「D_id−D_dtc」を計算することで、対物レンズ11の理想位置からの+ΔZの変位に応じて+極性、−ΔZの変位に応じて−極性となる誤差信号を得るものとしている。
【0179】
本実施の形態では、このように計算した誤差信号に基づき、リレーレンズ駆動部22によるリレーレンズ7の駆動動作を制御する。
ここで、これまでの説明からも理解されるように、上記のようにして計算される誤差信号は、対物レンズ11−リレーレンズ7間の距離の理想距離からの変化方向と変化量とを表すと共に、対物レンズ11−リレーレンズ7間の距離が理想距離と一致する場合において振幅「0」となる信号とされる。
従って、上記誤差信号を「0」とするように上記リレーレンズ7を変位させるようにして上記リレーレンズ駆動部22を制御することで、対物レンズ11−リレーレンズ7間の距離が上記理想距離で一定となるようにすることができる。
【0180】
ここで、確認のために、このような対物レンズ11−リレーレンズ7間距離の一定制御に伴ってリレーレンズ7の光軸上での位置が理想位置から変化したときの光の振る舞いについて図18、図19を参照して説明しておく。
図18は、対物レンズ11及びリレーレンズ7がそれぞれの理想位置にある場合における光の振る舞いを示し、図19は、対物レンズ11がその理想位置から+ΔZ変位されたことに応じてリレーレンズ7がその理想位置から+ΔZ変位された場合における光の振る舞いを示している。なおこれら図18、図19においては、レーザ光軸を基準として軸対称な位置関係となる2つの光線について、往路におけるフーリエ面SFから対物レンズ11の焦点面までの光の振る舞いを示している。
【0181】
先ず、リレーレンズ7が理想位置にある状態では、リレーレンズ7から出射される往路光の各光線は、図18に示すようにそれぞれの光軸が平行な状態とされている。
これに対し、リレーレンズ7が上記理想位置から+ΔZ変位されたときは、往路における各光線(中央のピクセルの光線は除く)のリレーレンズ7への入射位置が外側にシフトすると共に、このことに伴って、リレーレンズ7から出射される各光線の光軸は平行とはならず、それぞれレーザ光軸側(内側)に傾くことになる。
このように各光線のリレーレンズ7への入射位置が外側にシフトする一方で、リレーレンズ7から出射される各光線の光軸が内側に傾くことで、図18と図19を対比して分かるように、実像面SR上での各光線の入射位置はほぼ同じ位置となる。またこのとき、対物レンズ11−リレーレンズ7間距離の一定制御によって対物レンズ11−リレーレンズ7間の距離は理想距離と一致する状態となっているので、フォーカス方向においても、各光線の集光面は実像面SRと一致する。
【0182】
ここで、上記のように対物レンズ11−リレーレンズ7間の距離が上記理想距離と一致しているということは、実像面SR−対物レンズ11の瞳面Sob間の距離が「f」となっていることになる。そしてこの状態において、上記のようにして往路における実像面SR上での各光線の入射位置が理想状態時とほぼ同じ位置となり、且つ各光線の集光面が実像面SRと一致するということは、先の図14(a)に示した理想状態時とほぼ同様の状態が得られることになる。
このことからも理解されるように、この場合も復路光が実像面SR上にて形成する像としては理想状態時とほぼ同一の像を得ることができ、結果、上記実像面SRに共役なイメージセンサ13の受光面における再生像の検出は、理想状態時と同様に行うことができる。
【0183】
なお確認のために述べておくと、図19に示したようなリレーレンズ7の理想位置からの変位に伴う各光線(中央のピクセルの光線は除く)のリレーレンズ7への入射位置の変化及びリレーレンズ7からの出射光の光軸の傾きは、実際においては非常に微少なものとなり、ホログラムの記録/再生に影響を与えるものではない。
つまりこのことからも理解されるように、理想焦点位置をシフトさせた本例の場合においても、対物レンズ11−リレーレンズ7間の距離一定制御に伴ってリレーレンズ7がその理想位置から変位されたとしても、ホログラムの記録/再生は従来の場合と同様に適正に行うことができるものである。
【0184】
[1-6.実施の形態の距離一定制御実現のための構成]

続いて、上記により説明した実施の形態としての対物レンズ−リレーレンズ間距離一定制御を実現するための構成について、図2、及び図20を参照して説明する。
先ず、本実施の形態の記録再生装置では、マーカ光M1,M2の生成のための空間光変調を行うことになる。
具体的に、図2に示した変調制御部20は、先の図13に示したようにギャップエリアA3内の所定位置に設定されたマーカ光M1の生成位置、及びマーカ光M2の生成位置のそれぞれの画素をオンとするための駆動制御を行う。すなわち、記録時においては、先に説明した信号光エリアA2内の記録データに応じたオン/オフパターン及び参照光エリアA1の所定のオン/オフパターンと共に、ギャップエリアA3内における上記マーカ光M1,マーカ光M2の生成位置(この場合は4×4ピクセルである)をオン、それ以外の残りの全画素(参照光エリアA1の外側領域も含む)をオフとするパターンを併せて、SLM4の全有効画素分のオン/オフパターンを生成する。そしてこのように生成したSLM4の全有効画素分のオン/オフパターンに応じて、SLM4の各画素を駆動制御する。
また、再生時には、参照光エリアA1内を記録時と同じオン/オフパターンとし、上記マーカ光M1,マーカ光M2の生成位置の画素をオンとし、且つこれら参照光エリアA1・マーカ光M1,M2の生成位置以外の全画素をオフとするSLM4の全有効画素分のオン/オフパターンを生成して、該オン/オフパターンに応じてSLM4の各画素を駆動制御する。
【0185】
ここで、マーカ光M1,マーカ光M2を利用した対物レンズ11−リレーレンズ7間距離の一定制御は、ホログラムページの記録/再生中以外のタイミングにおいても行うこともできる。その場合、変調制御部20は、信号光、参照光の生成のための駆動制御は行わず、マーカ光M1,M2のみの生成のための駆動制御を行うものとすればよい。
【0186】
図20は、図2に示した距離一定制御部23の内部構成を示している。
なおこの図20では距離一定制御部23の内部構成と共に図2に示したイメージセンサ13も併せて示している。
図示するようにして距離一定制御部23には、マーカ位置検出部25、マーカ間距離計算部26、誤差信号生成部27、誤差相殺信号生成部28、及びドライバ29が備えられている。
【0187】
図示するようにしてイメージセンサ13からの読み出し信号(画像信号)は、上記マーカ位置検出部25に対して入力される。
マーカ位置検出部25は、先の図17にて説明した相関検出方式によるマーカ光M1,マーカ光M2のそれぞれのマーカ中心受光位置の検出を行う。この場合、マーカ位置検出部25には、マーカ光M1,マーカ光M2のそれぞれについての理想マーカ中心位置(図17におけるマーカ探索基準位置)の情報と、マーカ光M1、マーカ光M2についてのテンプレート(この場合は4×4ピクセルが全てオンのパターンで共通である)が設定されている。マーカ位置検出部25は、イメージセンサ13からの読み出し信号と、上記マーカ光M1,マーカ光M2のそれぞれの理想マーカ中心位置の情報と、上記テンプレートとに基づき、マーカ光M1,M2のそれぞれについて先の図17にて説明した手法によるマーカ中心受光位置の検出を行う。
【0188】
マーカ間距離計算部26は、上記マーカ位置検出部25により検出された各マーカ中心受光位置の情報に基づき、マーカ光M1,M2についての受光位置間距離D_dtcを計算する。
【0189】
誤差信号生成部27は、上記マーカ間距離計算部26により計算された上記受光位置間距離D_dtcの値から、対物レンズ11−リレーレンズ7間の距離の理想距離との誤差を表す誤差信号を生成する。具体的に、この誤差信号生成部27には、理想状態におけるマーカ光M1,M2の受光位置間の距離を表す理想受光位置間距離D_idの値が設定されており、誤差信号生成部27は「D_id−D_dtc」による計算を行うことで上記誤差信号を生成する。
【0190】
誤差相殺信号生成部28は、上記誤差信号生成部27により生成された上記誤差信号に基づき、誤差相殺信号を生成する。前述もしたように、上記「D_id−D_dtc」による計算で得られる誤差信号は、対物レンズ11の理想位置からの+ΔZの変位に応じて+極性、−ΔZの変位に応じて−極性となる信号となるので、上記誤差相殺信号としては、上記誤差信号の極性を反転した上で、必要に応じてその絶対値を誤差信号値=0となるように調整した信号を生成する。
【0191】
ドライバ29は、上記誤差相殺信号生成部28により生成された誤差相殺信号に基づき、図中の駆動信号Drlにより図2に示したリレーレンズ駆動部22を駆動制御する。
この場合、上記リレーレンズ駆動部22は、+極性による上記誤差相殺信号に基づく駆動信号Drlに応じてはリレーレンズ7を+方向に駆動し、また−極性による上記誤差相殺信号に基づく駆動信号Drlに応じてはリレーレンズ7を−方向に駆動するように構成されている。
【0192】
上記のような構成により、誤差信号生成部27にて計算された誤差信号の値を「0」とするようにリレーレンズ7の位置が制御されることになる。つまりこれにより、対物レンズ11−リレーレンズ7間の距離を理想距離で一定とするように制御を行うことができる。
【0193】
[1-7.まとめ]

以上で説明したように、本実施の形態では、ホログラムの記録/再生光の理想焦点位置を従来よりも手前側となる位置にシフトさせることで、対物レンズ11−リレーレンズ7間の距離とその理想距離とに誤差が生じた場合に、イメージセンサ13に入射する各光線(中央の光線は除く)の受光位置とその理想受光位置との間に誤差が生じるようにしている。その上で本実施の形態では、レーザ光軸から離間した所定位置にマーカ光を生成するものとし、該マーカ光についての理想受光位置と実際の受光位置との誤差に基づき、対物レンズ11−リレーレンズ7間の距離を調整するものとしている。
これにより、対物レンズ11−リレーレンズ7間の距離が上記理想距離で一定となるように制御を行うことができる。
【0194】
そして、上記本実施の形態によれば、対物レンズ11−リレーレンズ7間の距離の理想距離からの誤差は光学的に検出することができるので、対物レンズ11−リレーレンズ7間の距離一定制御のために従来必要とされていた対物レンズ11、リレーレンズ7の各々の位置を検出するための位置センサ(図23における104及び105)は省略することができる。つまりこれにより、従来よりも装置製造コストの削減を図ることができる。
【0195】
また、本実施の形態によれば、対物レンズ11−リレーレンズ7間距離の上記理想距離からの誤差を表す誤差信号は、プッシュプル信号(上記理想距離のとき振幅「0」を基準として振幅が大/小となる信号)で得ることができる。
また、本実施の形態によれば、対物レンズ11−リレーレンズ7間距離の一定制御はクローズドループ制御で行うことができ、その分高精度な制御とすることができる。
【0196】
また、本実施の形態では、マーカ光をギャップエリアA3内にて生成するものとしているが、これにより対物レンズ11−リレーレンズ7間の距離一定制御を、信号光や再生光が無い状態でも行うことができる。すなわち、記録時/再生時を問わず行うことができる。
また、マーカ光をギャップエリアA3内にて生成することで、記録容量を犠牲にせずに対物レンズ11−リレーレンズ7間の距離一定制御を行うことができる。また同時に、部分回折素子9による反射参照光の抑圧効果を通常通り得ることができる。
【0197】
また、本実施の形態では、マーカ光を2つ生成するものとし、それらの理想受光位置間の距離と、それらの実際の受光位置間の距離との差を計算して上記誤差信号を得るものとしている。
これによれば、例えば光学系の特性に起因して像の回転やシフトなどが発生する場合においても、上記誤差信号の精度を確保することができ、結果、対物レンズ11−リレーレンズ7間距離の一定制御の精度向上が図られる。
【0198】
また、本実施の形態では、レーザ光軸を基準として軸対称の関係となるそれぞれの位置で生成したマーカ光M1,マーカ光M2について上記のようなマーカ受光位置間の距離に基づく誤差信号の生成を行うものとしているが、このことで、上記像の回転やシフトなどに対する耐性はさらに向上できる。
【0199】
<2.変形例>

以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明としてはこれまでに説明した具体例に限定されるべきものではない。
例えばこれまでの説明では、ホログラムの記録再生光の焦点位置(理想焦点位置)は、記録層L2の上層側面に設定する場合を例示したが、ホログラムの記録再生光の理想焦点位置は、少なくとも従来よりも手前側(対物レンズ11側)、すなわち記録層L2の下層側面よりも手前側となる位置に設定されればよく、例えばホログラム記録媒体HMの表面よりもさらに手前側となる位置に設定することもできる。
本発明において、上記理想焦点位置は、「当該理想焦点位置とホログラム記録媒体表面との間の距離の方が上記表面から記録層の下層側面までの距離よりも小となる」ように設定されればよいものである。
【0200】
またこれまでの説明では、マーカ光を2つ生成する場合を例示したが、マーカ光は1つのみを生成することもできる。この場合、誤差信号は、当該1つのマーカ光についての理想受光位置と実際の受光位置との誤差として計算すればよい。
但し、実施の形態で例示したように、2つのマーカ光についてそれらの理想受光位置間距離と実際の受光位置間距離とに基づき誤差信号を得る手法を採る場合の方が、上述した像の回転やシフトなどに対する耐性の面で有利とできる点については言うまでもない。
【0201】
また、実施の形態では、レーザ光軸を基準としてそれぞれ軸対称となる位置において2つのマーカ光を生成する場合を例示したが、マーカ光の生成位置、及び生成数はこれに限定されるべきものではなく、例えば次の図21に示すような変形例も可能である。
図21(a)は、2つのマーカ光をレーザ光軸を基準として線対称となるそれぞれの位置で生成する例を示している。具体的にこの場合は、マーカ光M1と共に、当該マーカ光M1の生成位置に対してレーザ光軸を基準とした線対称となる位置においてマーカ光M3を生成するものとしている。
【0202】
また、図21(b)は、それぞれの生成位置がレーザ光軸を基準として軸対称の関係となるマーカ光の組を2組生成する例を示している。具体的にこの場合は、上記マーカ光M1,M2,M3と共に、マーカ光M3の生成位置に対してレーザ光軸を基準に軸対称となる位置においてマーカ光M4をさらに生成するものとしている。
【0203】
ここで、例えば図21(b)の変形例のようにマーカ光をそれぞれ異なる対角線上に[M1,M2]と[M3,M4]とで計4つ生成する場合には、マーカ光M1とマーカ光M2との間、及びマーカ光M3とマーカ光M4との間の2組についての受光位置間距離を求めることができる。なお且つ、これらマーカ光M1とマーカ光M2との間、及びマーカ光M3とマーカ光M4との間の距離は等距離であり、従ってこれら各マーカ光の組の理想受光位置間距離D_idの値としては共通の値を用いることができる。
このようにして2組以上の受光位置間距離が求まり且つそれぞれの理想受光位置間距離D_dtcの値を共通化できる場合には、上記2組の受光位置間距離の平均値を計算し、該平均値と上記共通の理想受光位置間距離D_idとの差を誤差信号として生成することができる。
このように2組以上の受光位置間距離の平均値と上記理想受光位置間距離D_idとの差により誤差信号を計算する手法を採るものとすれば、上述した像の回転やシフトなどに対する耐性はさらに向上できる。
【0204】
なお確認のために述べておくと、上記のように2組の受光位置間距離が得られ且つそれぞれの受光位置間距離が等距離となる組み合わせとしては、図21(b)のようにマーカ光を4つ生成する場合の他にも考えられ得る。例えば、図21(b)におけるマーカ光M4を省略した場合には、受光位置間距離としては[M1,M3][M2,M3]の各組について計算することができ、なお且つ、これら2組の受光位置間距離は等距離であり、理想受光位置間距離D_idの値は共通化できる。
【0205】
或いは、上記のように受光位置間距離についての平均値を計算するのではなく、各マーカ光の組についてそれぞれ独立して受光位置間距離の計算・理想受光位置間距離に基づく誤差信号の計算を行い、それら誤差信号の平均値を計算しても同様の効果を得ることができる。
なおこの手法は、各マーカ光の組についての受光位置間距離が等距離でない場合にも適用可能となる。
【0206】
また、これまでの説明では、マーカ光の生成位置をギャップエリアA3内に設定する場合を例示したが、マーカ光としては空間光変調部に入射する光の光軸から離れた位置にて生成されるものであればよく、その生成位置は特にギャップエリアA3内に限定されるべきものではない。
【0207】
またこれまでの説明では、マーカ光のパターンは全てオンのいわゆるベタパターンを設定するものとしたが、マーカ光に設定する空間光変調パターンはこのようなベタパターンに限定されるべきものではなく、他のパターンとすることもできる。
【0208】
またこれまでの説明では、マーカ光を受光するための受光部が、ホログラムの再生像を受光するためのイメージセンサ13と共用とされる場合を例示したが、マーカ光検出のために用いる受光部はイメージセンサ13とは別途に設けられたものであってもよい。
【0209】
また、これまでの説明では、対物レンズ11−リレーレンズ7間の距離の調整を、リレーレンズ7を駆動することで行う構成を例示したが、対物レンズ11−リレーレンズ7間の距離の調整はホログラム記録媒体HMを対物レンズ11に対して接離する方向(フォーカス方向)に駆動することによっても実現できる。なおこの場合はホログラム記録媒体HMをフォーカス方向に駆動するための駆動部を設けることは言うまでもない。
或いは、対物レンズ11−リレーレンズ7間の距離の調整は光学系全体をフォーカス方向に駆動することでも実現できる。つまりこの場合は、図2に示した光学系全体(少なくとも図2におけるホログラム記録媒体HM、位置制御部19、変調制御部20、データ再生部21、及び距離一定制御部23を除いた部分)をフォーカス方向に駆動する駆動部を設けることになる。
【0210】
また、これまでの説明では、本発明が反射型のホログラム記録媒体HMに対する記録/再生を行う場合に適用される場合を例示したが、本発明としては、反射膜を有さない透過型のホログラム記録媒体に対し記録/再生を行う場合にも好適に適用することができる。
ここで、透過型のホログラム記録媒体についても、従来における記録再生光の理想焦点位置は、記録層の下層側面と一致するようにされている。このため、透過型ホログラム記録媒体を用いる場合も、上述のように、ホログラムの記録再生光の理想焦点位置を記録層の下層側面よりも手前側となる位置に設定すれば、対物レンズ−リレーレンズ間の距離の理想距離との誤差を光学的に検出することが可能な状態とできる。
【0211】
また、これまでの説明では、本発明がホログラム記録媒体に対する記録/再生の双方を行う場合に適用される場合を例示したが、本発明は記録のみ、又は再生のみを行う場合にも好適に適用できる。
記録のみを行う場合、光照射装置が備える空間光変調部としては、マーカ光の生成と共に、信号光と参照光の双方の生成が可能となるように構成すればよい。一方、再生のみを行う場合、空間光変調部としてはマーカ光と参照光の生成が可能となるように構成されればよい。
【0212】
また、これまでの説明では、マーカ光や信号光・参照光の生成のための強度変調を、偏光方向制御型の空間光変調器と偏光ビームスプリッタとの組合せで実現する場合を例示したが、強度変調を実現するための構成はこれに限定されるべきではない。例えば、駆動信号に応じて入射光の光強度を単体で変調できる透過型液晶パネルや、DMD(Digital Micro mirror Device:登録商標)などの空間光変調器を単体で用いた構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0213】
1 第1レーザ、2,15 コリメーションレンズ、3,5,16 偏光ビームスプリッタ、4 SLM(空間光変調器)、6,7 リレーレンズ、8 ダイクロイックミラー、9 部分回折素子、10 1/4波長板、11 対物レンズ、12 フォーカスアクチュエータ、13 イメージセンサ、14 第2レーザ、17 集光レンズ、18 フォトディテクタ(PD)、19 位置制御部、20 変調制御部、21 データ再生部、22 リレーレンズ駆動部、23 距離一定制御部、25 マーカ位置検出部、26 マーカ間距離計算部、27 誤差信号生成部、28 誤差相殺信号生成部、29 ドライバ、HM ホログラム記録媒体、L1 カバー層、L2 記録層、L3,L5 反射膜、L4 中間層、L6 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号光と参照光との干渉縞によって情報記録が行われる記録層を有するホログラム記録媒体に対し、光を照射するための光源と、
上記光源からの光に対し空間光変調を施すことで、上記信号光及び/又は上記参照光の生成と、上記光源からの光の入射面内における光軸から離間した位置でのマーカ光の生成とを行う空間光変調部と、
上記空間光変調部による空間光変調の施された光をリレーレンズ系及び対物レンズを介して上記ホログラム記録媒体に照射する光照射部とを備え、
上記対物レンズを介して照射される光の理想焦点位置が、当該理想焦点位置と上記ホログラム記録媒体表面との間の距離の方が上記表面から上記記録層の下層側面までの距離よりも小となるように設定されていると共に、
上記対物レンズを介して照射される光の焦点位置が上記理想焦点位置で一定となるようにフォーカスサーボ制御を行うフォーカスサーボ制御部と、
上記対物レンズと、上記リレーレンズ系を構成するリレーレンズのうち上記対物レンズ寄りに配置されるリレーレンズとの光軸上における距離を調整するように構成された対物レンズ−リレーレンズ間距離調整部と、
上記ホログラム記録媒体を介した上記マーカ光を受光する受光部と、
上記マーカ光の理想受光位置と、上記受光部による上記マーカ光の実際の受光位置との誤差に基づき、上記対物レンズ−リレーレンズ間距離調整部を制御する距離一定制御部と、
を備える光照射装置。
【請求項2】
上記空間光変調部は、
上記光源からの光の光軸から離間した2箇所で上記マーカ光を生成し、
上記距離一定制御部は、
予め定められた上記マーカ光の受光位置間の理想距離と、上記受光部による実際の上記マーカ光の受光位置間の距離との誤差を計算し、該計算した誤差の情報に基づき上記対物レンズ−リレーレンズ間距離調整部を制御する
請求項1に記載の光照射装置。
【請求項3】
上記信号光の生成領域と上記参照光の生成領域との間には両領域を隔てるためのギャップ領域が設定されており、
上記空間光変調部は、上記ギャップ領域内において上記マーカ光を生成する
請求項1に記載の光照射装置。
【請求項4】
上記空間光変調部は、
上記光源からの光の光軸を基準として軸対称の関係となる2箇所で上記マーカ光を生成する
請求項2に記載の光照射装置。
【請求項5】
上記空間光変調部は、
それぞれの生成位置間の距離が等距離となるマーカ光の組が少なくとも2組得られるようにして上記マーカ光を生成し、
上記距離一定制御部は、
上記受光部による上記マーカ光についての受光結果に基づき、上記生成位置間の距離が等距離となるマーカ光の各組についてのマーカ受光位置間の距離をそれぞれ計算した上で、その平均値を計算すると共に、上記2組のマーカ光の各組に共通に定められたマーカ受光位置間の理想距離の値と、上記平均値との誤差を計算し、該誤差の値に基づき上記対物レンズ−リレーレンズ間距離調整部を制御する
請求項2に記載の光照射装置。
【請求項6】
上記空間光変調部は、
それぞれの生成位置が上記光源からの光の光軸を基準として軸対称の関係となるマーカ光の組を2組生成し、
上記距離一定制御部は、
上記受光部による上記マーカ光についての受光結果に基づき、上記軸対称となるマーカ光の各組についてのマーカ受光位置間の距離をそれぞれ計算した上で、その平均値を計算すると共に、上記2組のマーカ光の各組に共通に定められたマーカ受光位置間の理想距離の値と、上記平均値との誤差を計算し、該誤差の値に基づき上記対物レンズ−リレーレンズ間距離調整部を制御する
請求項5に記載の光照射装置。
【請求項7】
上記対物レンズ−リレーレンズ間距離調整部は、
上記リレーレンズ系を構成するリレーレンズのうち上記対物レンズ寄りに配置されるリレーレンズを光軸に平行な方向に駆動するように構成される
請求項1に記載の光照射装置。
【請求項8】
上記対物レンズ−リレーレンズ間距離調整部は、
上記ホログラム記録媒体を上記対物レンズに対して接離する方向に駆動するように構成される
請求項1に記載の光照射装置。
【請求項9】
上記対物レンズ−リレーレンズ間距離調整部は、
光学系全体を上記ホログラム記録媒体に対して接離する方向に駆動するように構成される
請求項1に記載の光照射装置。
【請求項10】
上記対物レンズを介して照射される光の焦点位置が、上記ホログラム記録媒体の表面近傍に設定されている請求項1に記載の光照射装置。
【請求項11】
上記理想焦点位置が、上記記録層の上層側面に設定されている請求項1に記載の光照射装置。
【請求項12】
上記対物レンズと上記ホログラム記録媒体との離間距離の調整により、上記理想焦点位置が上記記録層の下層側面よりも上層側となる位置に設定されている
請求項1に記載の光照射装置。
【請求項13】
信号光と参照光との干渉縞によって情報記録が行われる記録層を有するホログラム記録媒体に対し、光を照射するための光源と、上記光源からの光に対し空間光変調を施すことで、上記信号光及び/又は上記参照光の生成と、上記光源からの光の入射面内における光軸から離間した位置でのマーカ光の生成とを行う空間光変調部と、上記空間光変調部による空間光変調の施された光をリレーレンズ系及び対物レンズを介して上記ホログラム記録媒体に照射する光照射部とを備え、上記対物レンズを介して照射される光の理想焦点位置が、当該理想焦点位置と上記ホログラム記録媒体表面との間の距離の方が上記表面から上記記録層の下層側面までの距離よりも小となるように設定されていると共に、上記対物レンズを介して照射される光の焦点位置が上記理想焦点位置で一定となるようにフォーカスサーボ制御を行うフォーカスサーボ制御部と、上記対物レンズと、上記リレーレンズ系を構成するリレーレンズのうち上記対物レンズ寄りに配置されるリレーレンズとの光軸上における距離を調整するように構成された対物レンズ−リレーレンズ間距離調整部とを備えた光照射装置において、上記対物レンズと上記リレーレンズとの間の距離を一定とする制御を行うための制御方法であって、
上記ホログラム記録媒体を介した上記マーカ光を受光する受光手順と、
上記マーカ光の理想受光位置と、上記受光手順による上記マーカ光の実際の受光位置との誤差に基づき、上記対物レンズ−リレーレンズ間距離調整部を制御する距離一定制御手順と
を有する制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図26】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図25】
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【公開番号】特開2010−231850(P2010−231850A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78995(P2009−78995)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】