説明

光照射装置

【課題】 従来よりも小型化され作業性に優れた光照射装置を提供する。
【解決手段】 本発明は、塗料、接着剤などに含まれる光硬化性組成物に照射される光を出射する光源と、該光源を収納する筐体とを有する光照射装置であって、光源110は、半導体発光素子からなり、筐体101は、光硬化性組成物に吹き付けられる気流を生成する手段102を備え、該気流とともに半導体発光素子の発光を放出する開口部111を有することを特徴とする光照射装置である。また、上記気流には不活性ガスが供給され、光硬化性組成物の硬化を促進させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光照射装置に係り、例えば塗料や接着剤などの光硬化性樹脂を硬化させる光を照射する発光ダイオードを有する光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在使用されている塗料や接着剤の中には、300nmから400nmの波長範囲にある紫外線や、400nmから500nmの波長範囲にある可視光線など、高エネルギーの光を照射されると硬化するような光硬化性材料が含有されているものがある。このような塗料、接着剤などを高エネルギーの光の照射により硬化させる装置として、水銀ランプなどの光源からの光を光ファイバーにより導光して照射し、硬化させる装置が知られている。
【0003】
特に、特開昭62−129802号公報に開示される紫外線照射装置は、紫外線発生装置からの光を導光する光ファイバーを有し、その光ファイバーの先端部は、紫外線を照射する紫外線導出部と、熱風を放出する熱線放射部とを有している。この熱線放射部から放出される熱風により、紫外線硬化性材料の硬化速度を向上させることができる。
【0004】
【特許文献1】特開昭62−129802号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の紫外線照射装置においては装置自体が大型化するなどの問題がある。すなわち、紫外線発生装置は、水銀ランプと、この水銀ランプに対向して設けられ光ファイバーの光導入部の方に開口している反射鏡と、その反射鏡の集光位置に配置されたフィルタなどにより構成されている。また、紫外線発生装置の後部にファン装置が配置され、紫外線発生装置の冷却によって熱風となった気流が紫外線照射装置の本体から紫外線照射部まで、光ファイバーに近接して設けられた熱風案内菅にて誘導される。このように従来の紫外線照射装置は、装置自体が大型化するばかりでなく、水銀ランプにおける消費電力が大きく、フィルタを利用しての照射強度の微調整が難しいなどの課題がある。また、所定の強度を有する紫外線を安定に照射することができるまでに、ある程度の時間を要し作業性を低下させている。
【0006】
そこで、本発明は、従来よりも小型化され作業性に優れた光照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の目的を達成するために本発明に係る光照射装置は、光硬化性組成物に照射される光を出射する光源と、該光源を収納する筐体とを有する光照射装置であって、上記光源は、半導体発光素子からなり、上記筐体は、上記光硬化性組成物に吹き付けられる気流を生成する手段を備え、該気流とともに上記半導体発光素子の発光を放出する開口部を有することを特徴とする。これにより、従来よりも小型化され作業性に優れた光照射装置とすることができる。
【0008】
また、上記気流に不活性ガスが供給されることが好ましい。これにより、光硬化性組成物の硬化速度を向上させ、作業性に優れた光照射装置とすることができる。
【0009】
また、上記筐体の開口部は、先細りとなっていることが好ましい。これにより、筐体の開口部にて光源からの光が集光され、また気流を生成させる手段からの風が収束される。したがって、光硬化性組成物に対して光および気流を確実に照射させることができ、光硬化性組成物を硬化させる工程における作業性を向上させることができる。
【0010】
また、上記筐体の内壁面は、光反射面とされていることが好ましい。これにより、光源からの光を開口部に効率よく誘導することができる。
【0011】
また、上記気流を生成する手段は、上記半導体発光素子の光出射方向とは反対側に配されていることが好ましい。これにより、半導体発光素子の放熱性を向上させるとともに、半導体発光素子により加熱された気流を光硬化性組成物に放出させることができる。したがって、光硬化性組成物の硬化が促進され、作業性に優れた光照射装置とすることができる。
【0012】
また、上記気流を生成する手段が電動ファンであることが好ましい。これにより、効率よく気流を生成させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、発光ダイオードや半導体レーザ素子を光源としている。また、筐体は、その光源からの光とともに気流生成手段による気流を放出させるための開口部を有する。したがって、本発明は、従来の紫外線照射装置よりも小型化され、作業性に優れた光照射装置とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の形態を、以下に図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するための光照射装置を例示するものであって、本発明は光照射装置を以下に限定するものではない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に、実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。
【0015】
上述したような課題を解決するため、本願発明にかかる光照射装置は、光硬化性組成物に照射される光を出射する半導体発光素子からなる光源を有する。発光ダイオードや半導体レーザ素子のような半導体発光素子を光源として利用することにより、従来の紫外線照射装置よりも、装置自体を小型化させることができ、消費電力を少なくし、光照射強度の微調整が容易となる。また、半導体発光素子を光源として利用することにより、ある一定の強度を有する光を安定に照射することができるまでの所要時間を短縮し、作業性を向上させることができる。
【0016】
さらに、本願発明にかかる光照射装置は、上記光硬化性組成物へ吹き付けられる気流を生成する気流生成手段と、を有することを特徴とする。これにより、光硬化性組成物の硬化速度を向上させ、作業性を向上させることができる。例えば、光硬化性樹脂の硬化反応の段階で生じる水分を光硬化性樹脂の周辺から排除することにより、光硬化性樹脂の硬化速度を向上させることができる。
【0017】
より詳細に説明すると、図1に示されるように、本願発明にかかる光照射装置は、発光ダイオードや半導体レーザ素子からなる光源と、上記光硬化性組成物へ吹き付けられる気流を生成する気流生成手段とを収納する筐体を有し、該筐体内部に外気を導入する吸入口と光硬化性組成物へ吹き付けられる気流を放出する放出口とを備えている。ここで、本形態における気流生成手段とは、筐体の内部に気体の流れを起こさせることができるものを言う。例えば、電動ファンや圧縮機からの圧縮空気などが挙げられる。
【0018】
また、上記筐体は、気流生成手段からの気流とともに、半導体発光素子の発光を光硬化性組成物へ誘導する通路を有する。筐体内部に形成させた通路の内壁面は、光反射面であることが好ましい。これにより、光源から出射された光を効率よく放出口に誘導することができる。さらに、通路は、光硬化性組成物の方に向かって徐々に先細りとなっていることが好ましい。これにより、光源から出射された光を効率よく放出口に集光して誘導することができる。また、気流生成手段からの気流を収束させて放出させることができる。
【0019】
気流生成手段によって発生させた気流に供給することができる不活性ガスは、例えば窒素ガスやアルゴンガスなど、光硬化性組成物の硬化反応に悪影響を及ぼさないような不活性ガスである。このような不活性ガスは筐体に設けられた吸入口の側から圧縮機などの装置により供給される。このようなガスを供給することにより、光硬化性組成物周辺の酸素濃度を減少させることができる。例えば、接着面に塗布された光硬化性樹脂の表面は、酸素と反応して水分を生成させる官能基が存在することがある。このような光硬化性樹脂の表面に不活性ガスを吹き付けることにより、酸素濃度を減少させ、光硬化性樹脂の表面のべたつきを防ぐことができ、硬化速度を早めることができる。このような不活性ガスを供給する位置は、気流生成手段と半導体発光素子からなる光源との間とすることができる。これにより、不活性ガスは、効率よく光硬化性組成物の方へ放出させることができる。
【0020】
光硬化性組成物に対し、光源からの光エネルギーだけでなく、熱エネルギーも作用させることにより光硬化性組成物の硬化促進させたいときには、電動ファンのような気流生成手段を作動させる。すると、筐体の後端に設けられた吸入口を介して外気が筐体内の通路に導入される。このように導入された外気は、半導体発光素子が配された付近で加熱されて熱風となり、放出口から光硬化性組成物の方へ放出されることとなる。以下、本形態の各構成について詳述する。
【0021】
(半導体発光素子)
本形態における半導体発光素子は、光硬化性組成物を硬化させることができる光を発する発光ダイオードや半導体レーザである。例えば、300nmから400nmの波長範囲にある紫外線や、400nmから500nmの波長範囲にある可視光線などを発することができるものが挙げられる。このような発光ダイオードを構成する半導体発光素子としては、ZnSeやGaNなど種々の半導体を使用したものを挙げることができる。特に、上記のような短波長の光を発光することができる窒化物半導体(InAlGa1−X−YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)が好適に挙げられる。半導体の構造としては、MIS接合、PIN接合やpn接合などを有するホモ構造、ヘテロ構造あるいはダブルへテロ構成のものが挙げられる。半導体層の材料やその混晶度によって発光波長を種々選択することができる。また、半導体活性層を量子効果が生ずる薄膜に形成させた単一量子井戸構造や多重量子井戸構造とすることもできる。
【0022】
窒化物半導体を使用した場合、半導体用基板にはサファイア、スピネル、SiC、Si、ZnO等の材料が好適に用いられる。結晶性の良い窒化物半導体を量産性よく形成させるためにはサファイア基板を用いることが好ましい。このサファイア基板上にMOCVD法などを用いて窒化物半導体を形成させることができる。サファイア基板上にGaN、AlN、GaAlN等のバッファ層を形成し、その上にpn接合を有する窒化物半導体を形成させる。
【0023】
窒化物半導体を使用したpn接合を有する発光素子の例として、バッファ層上に、n型窒化ガリウムで形成した第1のコンタクト層、n型窒化アルミニウム・ガリウムで形成させた第1のクラッド層、窒化インジウム・ガリウムで形成した活性層、p型窒化アルミニウム・ガリウムで形成した第2のクラッド層、p型窒化ガリウムで形成した第2のコンタクト層を順に積層させたダブルへテロ構成などが挙げられる。
【0024】
窒化物半導体は、不純物をドープしない状態でn型導電性を示す。発光効率を向上させるなど所望のn型窒化物半導体を形成させる場合は、n型ドーパントとしてSi、Ge、Se、Te、C等を適宜導入することが好ましい。一方、p型窒化物半導体を形成させる場合は、p型ドーパントであるZn、Mg、Be、Ca、Sr、Ba等をドープさせる。窒化物半導体は、p型ドーパントをドープしただけではp型化しにくいためp型ドーパント導入後に、炉による加熱やプラズマ照射等により低抵抗化させることが好ましい。
【0025】
p型半導体層には、発光素子に投入された電流をp型半導体層の全面に広げるための拡散電極が設けられる。さらに、拡散電極およびn型半導体層には、バンプや導電性ワイヤのような導電部材と接続するp側台座電極およびn側台座電極がそれぞれ設けられる。ここで、バンプの材料としては、例えばAuやAu−Sn共晶、鉛フリー半田が挙げられる。また、導電性ワイヤの材料としては、例えば、Al、Au、Cuあるいはそれらを含む合金からなる細線が挙げられる。
【0026】
拡散電極あるいはp側台座電極、およびn側台座電極の形成は、エッチング等の方法によりn型半導体を露出させた後、蒸着法やスパッタリング法により行う。また、拡散電極あるいはp側台座電極の形状は、発光素子全面に電流が均一に広がるように、種々の形状とされる。
【0027】
本形態において、p側およびn側台座電極の材料は、バンプや導電性ワイヤに含有される材料の少なくとも一種を含有することが好ましい。すなわち、バンプや導電性ワイヤがAuを材料とするときは、p側およびn側台座電極の材料、特にバンプや導電性ワイヤとの接合面となる最上層の材料は、AuまたはAuを含む合金とする。例えば、p側およびn側台座電極は、W/Pt/AuやRh/Pt/Auとされ、それぞれの金属の厚みは数百Å〜数千Åである。なお、本明細書中において、記号「A/B」は、金属Aおよび金属Bが順にスパッタリングあるいは蒸着のような方法により積層されることを示す。
【0028】
また、p型半導体層側全面に形成される拡散電極は、発光素子の出光を発光素子の透光性基板方向へ反射させる材料とすることが好ましい。例えば、Ag、Al、Rh、Rh/Irが挙げられる。さらに、これらの材料と組み合わせて、或いは単独で、p型半導体の全面にITO(インジウム(In)とスズ(Sn)の複合酸化物)、ZnOのような酸化物導電膜や、Ni/Au等の金属薄膜を透光性電極として形成させることができる。
【0029】
また、別の形態に係る半導体発光素子は、窒化物半導体層のみからなるものであって、半導体層の上面と下面に対向電極が形成されている。このような対向電極を有する半導体発光素子は、一方の電極が本形態にかかる支持基板に対向するように、導電性接着剤を介して固定される。したがって、発光素子の一方の電極は、支持基板の導体配線と電気的に接続し、他方の電極は、上記導体配線とは極性の異なる導体配線に対し導電性ワイヤを介して接続される。導電性接着剤の材料として、例えば、銀ペースト、Au−SnやAg−Snのような共晶材が挙げられる。
【0030】
以下、このような対向電極構造を有する半導体発光素子の形成方法を説明する。まずn型窒化物半導体層およびp型窒化物半導体層を上述の半導体素子と同様にして積層後、第1の電極であるp電極とp電極以外のp型窒化物半導体層上に絶縁膜を形成する。他方、この半導体層に貼り合わせる支持基板を準備する。支持基板の具体的な材料としては、Cu−W、Cu−Mo、AlN、Si、SiC等である。貼り合わせ面には密着層、バリア層、共晶層を備えた構造が好ましい。例えばTi−Pt−Au、又はTi−Pt−AuSn等の金属膜を形成する。このような金属膜は共晶により合金化され、後工程で導通層となる。
【0031】
次に支持基板の金属膜を形成した面と窒化物半導体層の表面とを向かい合わせて、プレスをしながら熱を加え合金化した後、異種基板側からエキシマレーザを照射するか、又は研削により異種基板を取り除く。その後、窒化物半導体素子を形成するためRIE等で外周エッチングを行い、外周の窒化物半導体層を除去した状態の窒化物半導体素子とする。また、光の取りだし効果を向上させるために窒化物半導体の露出面をRIE等で凹凸(ディンプル加工)を施してもよい。凹凸の断面形状はメサ型、逆メサ型があり、平面形状は、島状形状、格子状、矩形状、円状、多角形状などがある。次に、第2の電極であるn電極を窒化物半導体層の露出面に形成する。電極材料としては、Ti/Al/Ni/Au、W/Al/WPt/Auなどが挙げられる。
【0032】
本形態における半導体発光素子は、パッケージと呼ばれる支持部材に載置されていることが好ましい。これにより、筐体内において塵芥などから半導体素子を保護することができる。さらに、パッケージは、半導体素子を配置するための凹部を有することが好ましい。その凹部内に露出された電極と凹部底面に配置された半導体素子とは、金線などの導電性ワイヤやAg含有エポキシ樹脂などの導電性ペーストなどにより電気的に接続される。
【0033】
(パッケージ)
本形態におけるパッケージとは、半導体発光素子を保持し、該半導体発光素子に電気的に接続する導体配線あるいはリード電極を有し、半導体発光素子を外部環境から保護するためのものである。
【0034】
特に、本形態におけるパッケージは、パッケージに形成された凹部の底面に半導体発光素子を配置するものが好ましい。このようなパッケージは、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、イミド樹脂、アクリル樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、液晶ポリマー、芳香族ナイロンなどの各種樹脂を用いて好適に形成される。
【0035】
また、本形態において、高エネルギー光を放出する半導体素子を搭載するパッケージとして、主に金属材料からなるキャンパッケージが好適に利用される。キャンパッケージは、半導体発光素子が載置されリード電極が固定されるステムと、ガラス製の透光性窓部を有するキャップとを有する。このステムとキャップとが接合され、半導体発光素子は気密封止される。
【0036】
また、パッケージは、セラミックグリーンシートを積層させ、焼成することにより得られるセラミックパッケージとすることができる。セラミックパッケージは、樹脂材料からなるパッケージと比較して耐熱性および耐光性に優れるため、着色劣化などを生じることなく、高出力かつ信頼性の高い光源とすることができる。また、凹部を有するセラミックパッケージは、その凹部内壁面が光反射率の高い金属材料からなる反射面とされていることが好ましい。これにより、半導体発光素子からの光がセラミックスに吸収されることがなくなるため、光取り出し効率に優れた発光ダイオードとすることができる。また、セラミックパッケージの凹部は、ガラスなどの透光性部材により覆いがなされていることが好ましい。これにより、筐体内において塵芥などから半導体素子を保護することができる。
【0037】
(実装基板)
本形態における実装基板とは、半導体発光素子が搭載され、筐体の内部に配される部材である。あるいは、半導体発光素子を上述のパッケージに搭載するとき、そのパッケージ(パッケージに配される導体配線)を電気的および機械的に接続させることができる。さらに実装基板は、半導体発光素子に電力を供給するための導体配線が施されている。このような実装基板は、銅箔などからなる導電性パターンが形成されたガラスエポキシ基板や絶縁性樹脂で結合された金属体などによって好適に構成することができる。あるいは、アルミニウムや銅からなる金属材料に絶縁性材料を介して導電性パターンが施されたものとすることができる。また、実装基板は、放熱性を向上させるため、放熱シートを介して筐体に配置されることが好ましい。また、実装基板は、その実装基板の後方に配された気流生成手段による気流が半導体発光素子の光を照射する方向に通過することができるような開口部を有していることが好ましい。さらに、気流生成手段からの気流を受ける側に放熱フィンなどの放熱部材を備えていることが好ましい。
【0038】
(筐体)
本形態における筐体とは、少なくとも半導体発光素子と気流生成手段とを収納し、それらを機械的に保持できるものである。さらに、外気が導入される吸入口と、その導入された外気を光硬化性組成物に放出させるための放出口を有する。また、吸入口および放出口を開口部として筐体内部に通路が形成されている。この通路により、気流生成手段により吸入口から導入された外気とともに半導体発光素子から出射された光が放出口の方へ誘導される。その通路の内部に半導体発光素子を搭載した実装基板が配置され、さらにその実装基板と吸入口との間に気流生成手段が配置されている。これにより、吸入口から導入された外気を実装基板に効率よく吹き付け、実装基板に搭載されている半導体発光素子の放熱性を向上させることができる。また、半導体発光素子の熱によって加熱された気流を光硬化性組成物に対して吹き付けることができる。
【0039】
本形態における筐体の材料は、耐光性および耐熱性の高い樹脂や金属など種々のものが好適に挙げられる。例えば、半導体発光素子からの放熱性の向上、光照射装置の軽量化、半導体発光素子からの光を反射させ誘導させることなどを考慮して、ニッケル、鉄、銅、アルミニウムなどの金属、ステンレスなどの各種合金が適宜選択される。特に、筐体に形成される通路の内壁面は、光反射面とするため、銀(Ag)やアルミニウム(Al)などの光反射率の高い金属材料が配されていることが好ましい。また、筐体の大きさや形状は電動ファンや発光ダイオードの大きさや形状に合わせて種々選択できる。
【0040】
本形態における筐体の先端部に設けられる放出口の形状は、先細りとなっていることが好ましい。これにより、光源からの光が集光され、気流生成手段からの気流が収束されて放出される。そのため、所定の位置に配置された光硬化性組成物を効率よく硬化させることができる。
【実施例1】
【0041】
以下、本発明に係る実施例について詳述する。なお、本発明は以下に示す実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
【0042】
図1は、本発明の一実施例にかかる光照射装置の断面図を示す。本実施例にかかる光照射装置は、発光ダイオードからなる照射源を内部に配置させた筒状の筐体と、その筐体の内部にて気流を生成させるための電動ファンとを有する。
【0043】
筒状の筐体の内壁面は、銀鍍金が施されており、発光ダイオードから照射された光を放出口の方向に反射させるようにしてある。
【0044】
電動ファンは、プロペラ102と、該プロペラを駆動させるための駆動手段である電動モータ103とからなる。
【0045】
筐体101の外壁面にはスイッチ107が配されている。そのスイッチ107には光照射装置100の外部の電源に接続する配線105、電動モータ103に接続する配線106、実装基板109に施された導体配線に接続する配線108が接続されている。このようなスイッチのON/OFFを切り換えることにより発光ダイオードおよび/または電動ファンを駆動させることができる。
【0046】
発光ダイオードからなる照射源は、主発光ピーク波長が350nmから500nmの発光ダイオードを、導体配線が施された実装基板に複数搭載させたものである。また、実装基板には、電動ファンからの気流が通り抜けるような貫通孔が形成させてある。これにより、実装基板の背後に配された電動ファンからの気流が貫通孔を通過し、光照射装置正面の放出口の方へ気流を誘導させることができる。また、実装基板に配された発光ダイオードの放熱性を向上させることができる。また、発光ダイオードにより加熱された気流を光硬化性樹脂に吹き付けることができ、光硬化性樹脂の硬化反応を促進させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、例えば塗料、接着剤などに含まれる光硬化性材料を硬化させる光照射装置として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、本発明の一実施例にかかる光照射装置の模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0049】
100・・・光照射装置
101・・・筐体
102・・・気流生成手段
103・・・気流生成手段の駆動装置
104・・・吸入口
105、106、108・・・配線
107・・・スイッチ
109・・・実装基板
110・・・半導体素子
111・・・開口部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光硬化性組成物に照射される光を出射する光源と、該光源を収納する筐体とを有する光照射装置であって、
前記光源は、半導体発光素子からなり、前記筐体は、前記光硬化性組成物に吹き付けられる気流を生成する手段を備え、その気流とともに前記半導体発光素子の発光を放出する開口部を有することを特徴とする光照射装置。
【請求項2】
前記気流に不活性ガスが供給される請求項1に記載の光照射装置。
【請求項3】
前記筐体の開口部は、先細りとなっている請求項1または2に記載の光照射装置。
【請求項4】
前記筐体の内壁面は、光反射面とされている請求項1乃至3に記載の光照射装置。
【請求項5】
前記気流を生成する手段は、前記半導体発光素子の光出射方向とは反対側に配されている請求項1乃至4に記載の光照射装置。
【請求項6】
前記気流を生成する手段が電動ファンである請求項1乃至5に記載の光照射装置。


【図1】
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【公開番号】特開2006−116508(P2006−116508A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−309944(P2004−309944)
【出願日】平成16年10月25日(2004.10.25)
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)
【Fターム(参考)】