説明

光照射装置

【課題】光源から出射され被照射体に照射される光の光量を増加させることができる光照射装置を提供する。
【解決手段】紫外線源(光源)としてのランプ40から出射され、該ランプ40の下方に配置された遮光マスクMを透過した紫外線UVを、該遮光マスクMの下方に配置された被照射体としての貼り合わせ基板Wに照射させる紫外線照射装置において、遮光マスクMの上方に設けられた支持部材としてのホルダ部材24に吊下支持され、光透過性を有し、真空吸引により遮光マスクMを吸着保持する吸着管30を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、液晶等のフラットパネルディスプレイ(FPD:Flat Panel Display)に用いる2枚の光透過性基板の貼り合わせ工程に使用する光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の例えば紫外線照射装置では、光透過性を有する貼り合わせ基板間に介在された紫外線硬化性樹脂よりなるシール材に対して該基板越しに紫外線を照射することで、そのシール材を硬化させ該基板同士を貼り合わせるようになっている。このような光照射装置において、例えば特許文献1に示されるものでは、紫外線を出射するランプの下方に配置されたワークステージ上に基板が載置され、該基板とランプとの間に遮光マスクが配置されている。遮光マスクはガラス板の板面に所望のマスクパターンが形成されたものであり、ランプからの紫外線は遮光マスクにより部分的に遮光されるようになっている。このような光照射装置では、遮光マスクにより紫外線を基板のシール材部分のみに照射することが可能となり、そのシール材にて基板間に封止された液晶が紫外線の照射によって特性変化することを抑制できるようになっている。
【0003】
ところで、上記したような遮光マスクの保持構造として、例えば特許文献1のものでは、光透過性を有する板状のマスク保持部材の下面に遮光マスクを吸着保持させるようになっている。マスク保持部材はその周縁部が支持されており、マスク保持部材の下面には真空源と連通される吸着溝等が形成されている。そして、吸着溝からの真空吸引により遮光マスクはマスク保持部材に密着保持される。このような光照射装置では、ランプからの紫外線はマスク保持部材及び遮光マスクを介して基板に照射されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−66585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のような紫外線照射装置では、ランプからの紫外線が遮光マスクだけでなくマスク保持部材をも透過する構成となっているため、マスク保持部材により基板に照射される紫外線量が低下してしまうという問題があった。近年のFPD等においては更なる大画面化が要求されており、貼り合わせる基板の大型化が図られているため、紫外線照射装置においても遮光マスクやマスク保持部材を大型化する必要があり、マスク保持部材の厚み寸法が大きくなると、上記のような紫外線量の低下の問題が顕著に現れてしまう。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、光源から出射され被照射体に照射される光の光量を増加させることができる光照射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、光源から出射され、該光源の下方に配置された遮光マスクを透過した光を、該遮光マスクの下方に配置された被照射体に照射させる光照射装置であって、前記遮光マスクの上方に設けられた支持部材に支持されて前記遮光マスクの真空吸引に用いられる光透過性を有した吸着管により前記遮光マスクを吸着保持することをその要旨とする。
【0008】
この発明では、遮光マスクが吸着管に直接的に吸着保持されるため、板状のマスク保持部材が不要となり、その結果、被照射体に照射される光の光量を増加させることが可能となる。更には、吸着管は光透過性を有するため、被照射体に照射される光のムラを抑えることができる。
【発明の効果】
【0009】
従って、上記記載の発明によれば、光源から出射され被照射体に照射される光の光量を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態の紫外線照射装置を示す概略構成図。
【図2】貼り合わせ基板に照射される紫外線を示す模式図。
【図3】周縁部吸着管を示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、液晶ディスプレイ(LCD)のパネルを製造するパネル製造装置に用いられる紫外線照射装置に本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示す紫外線照射装置は、液晶パネルを構成する貼り合わせ基板W(図中、中央上部)の間に介在された紫外線硬化性樹脂よりなるシール材S(図2参照)に紫外線UVを照射することで、そのシール材Sを硬化させるためのものである。尚、シール材Sが介在された貼り合わせ基板Wは、パネル製造装置におけるシール材塗布工程、液晶滴下工程及びプレス工程にて成形されるものである。これらの工程により、貼り合わせ基板W間にはシール材Sが板面に沿って枠状に形成され、そのシール材Sの枠中には滴下された液晶Lが存在している(図2参照)。
【0012】
図1に示すように、平面をなす基部1上には上記プレス工程後に搬送される貼り合わせ基板Wを載置するためのワークステージ部11が設けられている。ワークステージ部11下段のワーク移動機構12は、基部1上面に沿う方向に移動可能に設けられるとともに、基部1上面に対し水平方向に回転可能に設けられている。ワーク移動機構12の上段にはワークステージ部11の上下動作を行うための駆動部13が設けられている。駆動部13には一対のリフトピン14が立設されるとともに、リフトピン14の上下方向中間位置には各リフトピン14に跨る支持台15が固定されている。駆動部13における各リフトピン14の間には、支持台15に挿通された柱状の可動部16が上下方向に移動可能となるように設けられている。
【0013】
可動部16の上端には載置台としてのワークステージ本体17が固定されるとともに、そのワークステージ本体17の上面には平面状をなす載置面17aが形成されている。ワークステージ本体17は、上記ワーク移動機構12の動作に伴って平面移動及び回転するとともに、可動部16の動作に伴って上下移動するようになっている。ワークステージ本体17にはリフトピン14がそれぞれ挿通される挿通孔17bが貫通形成されるとともに、挿通孔17bの両側位置には貫通孔17cがそれぞれ形成されている。照射加工時において、このようなワークステージ本体17の載置面17aに上記貼り合わせ基板Wが載置される。
【0014】
ワークステージ部11の周囲において基部1に立設された第1枠体21は、その上端部が内側に屈曲されるとともに、該上端部には矩形状の開口21aが形成されている。尚、この開口21aは、貼り合わせ基板W及び遮光マスクMの平面サイズよりも大きく形成されている。第1枠体21は、その側方から上記貼り合わせ基板Wを挿入してワークステージ本体17に載置可能となるように設けられている。また、第1枠体21の上下方向中間位置において内側に延出するように設けられた一対の支持部21bにはそれぞれ、前記ワークステージ部11の位置合わせを行うためのアライメントカメラ21cが前記貫通孔17cの真下位置で固定されている。
【0015】
第1枠体21に支持された第2枠体22は、該第1枠体21から上方に延びるとともに、その上部には開口22aが形成されており、その開口22a上部において第2枠体22には支持梁23が水平に延びるように架設されている。尚、支持梁23はその長手方向と直交する方向(図1における紙面直交方向)に複数並設されている。各支持梁23には支持部材としてのホルダ部材24が、該支持梁23の長手方向に複数並設されている。各ホルダ部材24は、前記貼り合わせ基板Wの上方で遮光マスクMを保持するための吸着管30を支持している。各ホルダ部材24は、支持梁23の長手方向における配置位置が変更可能となっているとともに、支持梁23の長手方向に直交する方向に若干移動可能に、且つ支持梁23に対し水平方向に回動可能に設けられ、これにより吸着管30の保持位置が所定の範囲で自在に変更可能となっている。
【0016】
各吸着管30は、ホルダ部材24に吊下支持された第1の管材31と、該第1の管材31の下端部に固定された第2の管材32とから構成されている。尚、これら第1及び第2の管材31,32はそれぞれ断面円筒状に形成されるとともに、それらの材質には石英ガラスが用いられている。各第1の管材31は、ホルダ部材24に挿通されるとともに、該第1の管材31の上部開口端に固定された蓋体33がホルダ部材24上部に載置され、これにより、各第1の管材31はその軸方向に移動可能に吊下支持されている。各第1の管材31は蓋体33に設けられた継ぎ手34を介して真空源としての真空ポンプ35に接続されており、該真空ポンプ35から第1の管材31内に負圧を供給可能となっている。
【0017】
図2に示すように、第1の管材31の下端は第2の管材32の開口端に挿入されており、該第1及び第2の管材31,32は同軸となるように互いに固定されている。尚、図2では、図が煩雑になるのを防ぐため、第1及び第2の管材31,32の断面を示すハッチングの図示を省略している。第1の管材31は第2の管材32の軸方向中間部まで挿入され、第1及び第2の管材31,32は、第2の管材32の外周面と第1の管材31の内周面との間に介在された光透過性を有する紫外線硬化性樹脂よりなる接着剤(図示略)にて固定されている。
【0018】
図1に示すように、支持梁23の下方には細長形状の紫外線源(光源)としてのランプ40が吸着管30と干渉しない位置に配置されている。尚、ランプ40はその長手方向が、支持梁23の長手方向に沿うように配置されている。また、ランプ40はその長手方向と直交する方向(図1における紙面直交方向)において、各吸着管30の間に配置されるように複数並設されている。各ランプ40は該ランプ40の長手方向から見て下方に向けて所定角度で拡がるように紫外線UVを出射する。また、前記支持梁23及びホルダ部材24は、ランプ40から遮光マスクMに照射される紫外線UVの光路から外れた位置に設けられている。これにより、ランプ40から出射される紫外線UVが支持梁23やホルダ部材24に遮光されることが防止されている。
【0019】
各吸着管30は、真空ポンプ35からの真空吸引により第2の管材32の下端で遮光マスクMを吸着保持している。図2に示すように、遮光マスクMはガラス板Maの板面に所望のパターンで遮光部Mbが形成されてなり、その遮光部Mbで上方からの紫外線UVを遮光するとともに、透光部(遮光部Mb以外の箇所)で紫外線UVを透過させるようになっている。遮光マスクMは、その遮光部Mbが貼り合わせ基板W間の液晶Lの上方に、透光部が貼り合わせ基板W間のシール材Sの上方に位置するように保持される。尚、遮光マスクMの平面サイズは、貼り合わせ基板Wの平面サイズを略等しく設定されている。また、遮光マスクMと貼り合わせ基板Wとの間には僅かなギャップが設定されている。このような遮光マスクMは、貼り合わせ基板Wの種類に応じた複数種類のものが用意され、貼り合わせ基板Wの種類の変更に応じて交換可能となっている。
【0020】
このような遮光マスクMの種類に応じて吸着管30の水平方向位置を調整可能となっており、各吸着管30が遮光部Mbの上方で遮光マスクMを吸着するように構成することが可能となっている。これにより、ランプ40からの紫外線UVを吸着管30に透過させずにシール材Sに照射させることが可能となり、シール材Sに照射される紫外線量を向上させることが可能である。尚、図2においては、説明の便宜のため、吸着管30が遮光マスクMの遮光部Mbでなく透光部の上方で遮光マスクMを吸着保持する場合を示している。
【0021】
図1に示すように、前記第1枠体21の上部には、遮光マスクMの周縁部Mcを吸着保持する周縁部吸着管47を支持するための支持体41が該遮光マスクMの周縁部Mcに沿って複数設けられている。図3に示すように、各支持体41はそのベース部42が第1枠体21に固定されており、該ベース部42の上面は水平に形成され、該上面には可動保持部43が載置されている。ベース部42及び可動保持部43は、遮光マスクMとは反対側の端面で弾性部材としての板ばね44により互いに連結されている。可動保持部43にはその下端から両側に延びるフランジ部43a(片側のみ図示)が形成されている。各フランジ部43aの上端面には圧縮ばね45aを有する押圧部45が複数設けられており、該押圧部45からの付勢力により可動保持部43はベース部42に圧接するようになっている。尚、図1においては、図を簡単にするために押圧部45の図示を省略している。
【0022】
可動保持部43には、遮光マスクMの上方まで延びる連通管46の基端が挿入固定され、該連通管46の先端には石英ガラスよりなる周縁部吸着管47が固定されている。周縁部吸着管47における連通管46と対応する位置には貫通孔47aが形成されており、該周縁部吸着管47は連通管46にて可動保持部43と連通されている。また、周縁部吸着管47の上端は封止部材48により封止され、周縁部吸着管47の下端面は、該周縁部吸着管47の軸線に対し垂直となるように形成されている。尚、周縁部吸着管47と連通管46との間には固定を強固にするための補強リブ49が設けられている。上記のような支持体41では、可動保持部43とベース部42との間に生じる摩擦力によって周縁部吸着管47がぐらつきなく安定して支持されている。
【0023】
可動保持部43は前記真空ポンプ35と接続されており、該真空ポンプ35から周縁部吸着管47内に負圧を供給可能となっている。このような支持体41では、真空ポンプ35からの真空吸引により周縁部吸着管47の下端で遮光マスクMの周縁部Mcを吸着保持している。このように、本実施形態の紫外線照射装置では、遮光マスクMの周縁部Mcが支持体41に保持されているため、遮光マスクMが安定保持され、該遮光マスクM及び吸着管30のぐらつきが抑制されている。また、上記支持体41では、板ばね44及び押圧部45の付勢力に抗して周縁部吸着管47を上方に移動させることが可能となっている。また、可動保持部43は、ベース部42に圧接されている状態では、該ベース部42との摩擦力により水平方向に移動し難くなっている。
【0024】
上記のような紫外線照射装置では、図2に示すように、ランプ40から出射された紫外線UV(図2において破線の矢印)は遮光マスクMに直接到達、若しくは吸着管30及び周縁部吸着管47を透過して遮光マスクMに到達する。そして、その紫外線UVの一部が遮光マスクMの透光部を透過して貼り合わせ基板Wへと到達し、該基板W間のシール材Sに照射されるようになっている。このように、吸着管30で遮光マスクMを保持する構成では、従来技術のような板状のマスク保持部材が不要となり、その結果、ランプ40から出射され貼り合わせ基板Wに照射される紫外線UVの紫外線量を増加させることが可能となる。
【0025】
また、吸着管30を透過する紫外線UVの中でも、第2の管材32の上端面32aから該第2の管材32に入射する紫外線UVの一部は、該第2の管材32内で全反射してその下端面32bから下方に出射されるようになっている。即ち、第2の管材32は紫外線UVを案内する案内管の役割をなしており、吸着管30の下方における紫外線UVの紫外線量が増加するようになっている。これにより、吸着管30の下方においても貼り合わせ基板Wに照射される紫外線UVの紫外線量を増加させることができ、その結果、貼り合わせ基板Wに照射される紫外線UVのムラを抑えることができるようになっている。また、第2の管材32はその上端面32a及び下端面32bが研磨処理された研磨面となっている。これにより、上端面32a及び下端面32bを通過する際の紫外線UVの拡散が抑えられ、その結果、吸着管30の下方における紫外線UVの紫外線量がより増加するようになっている。尚、周縁部吸着管47の上端面から該吸着管47内に入射する紫外線UVも、上記第2の管材32の場合と同様に、周縁部吸着管47の下方へと導かれるようになっている。これにより、周縁部吸着管47の下方における紫外線UVの紫外線量が増加するようになっている。
【0026】
上記のような紫外線照射装置において、遮光マスクMの取付の際にはまず、ワークステージ本体17を十分下げ、その載置面17aに遮光マスクMが載置した後、ワークステージ本体17を上昇させる。そして、遮光マスクMを各吸着管30及び各周縁部吸着管47と当接させ、そのまま各吸着管30及び各周縁部吸着管47を若干上方に押し上げる位置まで、ワークステージ本体17を上昇させる。これにより、各吸着管30及び各周縁部吸着管47の下部開口端が同一平面上に揃った状態となり、該下部開口端が全て遮光マスクMにて塞がれる。この状態で、まず吸着管30に真空ポンプ35から負圧を供給して遮光マスクMを吸着させ、次に周縁部吸着管47に真空ポンプ35から負圧を供給して遮光マスクMの周縁部Mcを吸着させるようになっている。また、遮光マスクMの取り外しの際には、真空ポンプ35から各吸着管30及び各周縁部吸着管47への負圧の供給を停止して、遮光マスクMの吸着保持状態を解除するようになっている。このような吸着管30及び周縁部吸着管47による遮光マスクMの保持構造により、遮光マスクMの着脱が容易となり、該遮光マスクMの交換性が向上されている。
【0027】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)本実施形態では、遮光マスクMの上方に設けられた支持部材としてのホルダ部材24に吊下支持され、光透過性を有し、真空吸引により遮光マスクMを吸着保持する吸着管30を備える。この構成によれば、遮光マスクMが吸着管30に直接的に吸着保持されるため、板状のマスク保持部材が不要となり、その結果、紫外線源(光源)としてのランプ40から出射され被照射体としての貼り合わせ基板Wに照射される紫外線UVの紫外線量を増加させることが可能となる。更には、吸着管30は光透過性を有するため、貼り合わせ基板Wに照射される紫外線UVのムラを抑えることができる。また、遮光マスクMを容易に着脱することが可能となり、遮光マスクMの交換性を向上させることができる。
【0028】
(2)本実施形態では、ランプ40から出射される紫外線UVがホルダ部材24にて遮られることを防ぐことができ、貼り合わせ基板Wに照射される紫外線UVのムラをより抑えることができる。
【0029】
(3)本実施形態では、吸着管30は、ホルダ部材24に吊下支持される第1の管材31と、該第1の管材31の下端部が挿入された第2の管材32とから構成される。この構成によれば、第2の管材32の上端面32aから入射する紫外線UVを該第2の管材32の下方に導くことができるため、吸着管30の下方においても貼り合わせ基板Wに照射される紫外線UVの紫外線量を増加させることができ、これにより、貼り合わせ基板Wへの照射される紫外線UVのムラをより抑えることが可能である。
【0030】
(4)本実施形態では、第2の管材32の軸方向両端面(上端面32a及び下端面32b)が研磨処理された研磨面であるため、紫外線UVが該上端面32a及び下端面32bを通過する際の拡散が抑えられ、その結果、貼り合わせ基板Wに照射される紫外線UVの紫外線量をより増加させることができる。
【0031】
(5)本実施形態では、吸着管30に光の透過率が比較的高い石英ガラスを用いることで、貼り合わせ基板Wに照射される紫外線UVの紫外線量をより増加させることができる。
【0032】
(6)本実施形態では、吸着管30を保持するホルダ部材24が水平方向に移動可能に設けられるため、吸着管30の配置位置が変更可能となる。これにより、遮光マスクMの種類を変更したときに、遮光マスクMにおける遮光部Mbに対応する位置で吸着させることが可能となる。これにより、ランプ40からの紫外線UVを吸着管30に透過させずにシール材Sに照射させることが可能となり、シール材Sに照射される紫外線量を向上させることが可能である。
【0033】
(7)本実施形態では、遮光マスクMの側方に設けられた支持体41に支持され、光透過性を有し、真空吸引により遮光マスクMの周縁部Mcを吸着保持する周縁部吸着管47を備える。この構成によれば、遮光マスクMを安定して保持することができ、該遮光マスクM及びホルダ部材24に吊下支持された吸着管30のぐらつきを抑制することができる。
【0034】
(8)本実施形態では、遮光マスクMが吸着管30にて保持されるため、UVエネルギー吸収によって生じる遮光マスクMの熱膨張による歪みを吸収することができ、その結果、遮光マスクMの撓みの発生を抑えることができる。また、周縁部吸着管47を保持する可動保持部43が水平方向に移動可能に設けられるため、該保持部43においても遮光マスクMの熱膨張による歪みを吸収することができ、その結果、遮光マスクMの撓みの発生を抑えることができる。
【0035】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、第1の管材31及び第2の管材32に石英ガラスが用いられたが、これ以外に例えば、高透過ガラスやi線ガラス等を用いてもよい。
【0036】
・上記実施形態では、吸着管30が第1及び第2の管材31,32から構成されたが、これ以外に例えば、第1の管材31のみで構成してもよい。また、吸着管30として、第1の管材31と第2の管材32とが一体に形成されたような形状の管材を用いてもよい。
【0037】
・上記実施形態では、第1の管材31の下端部が第2の管材32の中腹部分に位置するように構成されたが、第1の管材31の下端面と第2の管材32の下端面32bとが同一平面上に位置するように構成してもよく、また、第1の管材31の下端面が第2の管材32から若干突出するように構成してもよい。
【0038】
・上記実施形態において、遮光マスクMの吸着保持後に、支持体41の可動保持部43をベース部42からの真空吸着等により該ベース部42に対して固定するように構成してもよい。これにより、遮光マスクMをより安定して保持することができる。
【0039】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)前記支持部材は、前記光源から出射される光の光路から外れた位置に設けられたことを特徴とする光照射装置。
【0040】
この光照射装置では、光源から出射される光が支持部材にて遮られることを防ぐことができ、被照射体に照射される光のムラをより抑えることができる。
(ロ)前記吸着管は、前記支持部材に支持される第1の管材と、該第1の管材の下端部が挿入された第2の管材とから構成されたことを特徴とする光照射装置。
【0041】
この光照射装置では、第2の管材の上端面から入射する光を該第2の管材の下方に導くことができるため、吸着管の下方においても被照射体に照射される光の光量を増加させることができる。これにより、被照射体に照射される光のムラをより抑えることが可能である。
【0042】
(ハ)前記第2の管材の軸方向端面は、研磨処理された研磨面であることを特徴とする光照射装置。
この光照射装置では、第2の管材の軸方向端面は研磨処理された研磨面であるため、第2の管材の軸方向端面に入射する光、又は該軸方向端面から出射する光の拡散が抑制され、被照射体に照射される光の光量をより増加させることができる。
【0043】
(ニ)前記吸着管は、石英ガラスよりなることを特徴とする光照射装置。
この光照射装置では、吸着管に光の透過率が比較的高い石英ガラスを用いることで、被照射体に照射される光の光量をより増加させることができる。
【0044】
(ホ)前記支持部材は、水平方向に移動可能に設けられたことを特徴とする光照射装置。
この光照射装置では、吸着管を保持する支持部材が水平方向に移動させることにより、吸着管の配置位置が変更可能となる。これにより、遮光マスクの種類を変更したときに、遮光マスクにおける遮光部に対応する位置で吸着させることが可能となり、その結果、光源からの光を吸着管に透過させずに遮光マスクの透光部に照射させることが可能となる。
【0045】
(ヘ)光透過性を有し、真空吸引により前記遮光マスクの周縁部を吸着保持する周縁部吸着管と、前記周縁部吸着管を支持する支持体とを備えたことを特徴とする光照射装置。
この光照射装置では、遮光マスクの周縁部が、該遮光マスクの側方の支持体に支持された周縁部吸着管に吸着保持されるため、遮光マスクを安定して保持することができ、該遮光マスク及び支持部材に支持された吸着管のぐらつきを抑制することができる。
【0046】
(ト)前記支持体は、前記遮光マスクの側方に設けられたことを特徴とする光照射装置。
この光照射装置では、遮光マスクの周縁部が、該遮光マスクの側方の支持体に支持された周縁部吸着管に吸着保持されるため、遮光マスクを安定して保持することができ、該遮光マスク及び支持部材に支持された吸着管のぐらつきを抑制することができる。
【0047】
(チ)前記周縁部吸着管の上端面は、前記光源の下方に位置していることを特徴とする光照射装置。
【符号の説明】
【0048】
M…遮光マスク、Mc…遮光マスクの周縁部、UV…紫外線、24…支持部材としてのホルダ部材、30…吸着管、31…第1の管材、32…第2の管材、40…紫外線源(光源)としてのランプ、41…支持体、47…周縁部吸着管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出射され、該光源の下方に配置された遮光マスクを透過した光を、該遮光マスクの下方に配置された被照射体に照射させる光照射装置であって、
前記遮光マスクの上方に設けられた支持部材に支持されて前記遮光マスクの真空吸引に用いられる光透過性を有した吸着管により前記遮光マスクを吸着保持することを特徴とする光照射装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−33273(P2013−33273A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−224005(P2012−224005)
【出願日】平成24年10月9日(2012.10.9)
【分割の表示】特願2008−100331(P2008−100331)の分割
【原出願日】平成20年4月8日(2008.4.8)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】