説明

光画像計測装置

【課題】被測定物体のOCT画像に加えて、被測定物体の他種類の画像をも取得することが可能な光画像計測装置を提供する。
【解決手段】光画像計測装置100は、フルフィールドタイプのOCT装置として機能する。更に、光画像計測装置100は、被測定物体1000の分光画像を取得することが可能である。そのために、ハロゲンランプ1とフィルタ2bにより、所定の波長成分を含む撮影光を出力する。駆動機構19は、反射ミラー4を参照光路から退避させて参照光路を遮断する。駆動機構26は、偏光ビームスプリッタ14を干渉光路から退避させ、光路長補正部材15を干渉光路に配置する。撮影光は、信号光路を介して被測定物体1000に照射され、信号光路及び干渉光路を介して導光される。CCD18は、導光された撮影光を検出して被測定物体1000の分光画像を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、所定のビーム径を持つ信号光を被測定物体に投射し、その反射光又は透過光と参照光との干渉光を検出することにより、被測定物体の表面態様や内部態様を表す画像を形成する光画像計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光を用いて被測定物体の表面や内部の画像を形成する光画像計測技術が注目を集めている。光画像計測技術は、従来からのX線CTのような人体への侵襲性を持たないことから、特に医療分野において応用の展開が期待されている。
【0003】
光画像計測技術の代表的な手法として、光干渉断層画像化法(optical coherence tomography;OCT)などと呼ばれる手法がある。たとえば特許文献1には、光ビームを信号光と参照光とに分割し、被測定物体を経由した信号光と参照物体を経由した参照光とを重畳させて干渉光を生成して検出することにより、被測定物体の表面や内部の態様を表す画像を形成する手法が開示されている。OCT技術を適用して取得される画像をOCT画像と呼ぶことがある。
【0004】
ここで、被測定物体に投射される信号光は所定のビーム径を有する。それにより、信号光の進行方向に対して略直交する断面の画像が形成される。このような光干渉断層画像化法は、フルフィールド(full−field)タイプ或いはエンフェイス(en−face)タイプなどと呼ばれる。
【0005】
フルフィールドタイプの光画像計測装置は、干渉計を搭載しており、高倍率、高解像度の画像を取得できるという特徴がある。たとえば医療分野や生物学分野に応用すると、細胞の態様を表す画像を取得することが可能である。
【0006】
ところで、医療分野等においては、被測定物体を様々な角度から検査するために、複数種類の画像を参照することがある。このような場合を想定して、複数種類の画像を取得可能な装置が提案されている。たとえば特許文献2に記載の眼底観察装置は、光画像計測装置としての機能と、眼底カメラとしての機能とを有する。
【0007】
特許文献2の眼底観察装置には、干渉光のスペクトル分布に基づいて画像を形成するスペクトラルドメイン(spectral−domain)タイプの光画像計測装置が搭載されている。スペクトラルドメインタイプには、干渉光をスペクトル分解するフーリエドメイン(Fourier−domain)タイプや、様々な波長の光を出力可能な光源を用いるスウェプトソース(swept−source)タイプなどがある。
【0008】
被測定物体の撮影手法には、一般的なカラー撮影のほかに、分光撮影や蛍光撮影などがある(たとえば特許文献3、4を参照)。分光撮影は、波長に応じて光の深達度が異なることを利用して様々な深度の画像を撮影する手法である。蛍光撮影は、被測定物体に蛍光剤を適用し、この蛍光剤の励起波長の光を用いることにより、蛍光剤の分布状態を画像化する手法である。蛍光撮影は、血管からの血液の漏出状態を観察する場合などに用いられる。たとえば眼科分野においては、フルオレセイン蛍光撮影やインドシアニングリーン蛍光撮影などがある。
【0009】
また、蛍光剤を用いずに、対象物質の励起波長の光を用いることにより対象物質の分布状態を画像化する、自発蛍光撮影(自家蛍光撮影)と呼ばれる手法もある(たとえば特許文献4を参照)。自発蛍光撮影は、たとえば、眼疾患である加齢性黄斑変性症の初期症状として注目される、加齢により生体に蓄積する物質(リポフスチン)の観察に用いられる。
【0010】
また、生化学や医学の分野では、蛍光物質を含んだ細胞をマーカとして蛍光顕微鏡で観察することにより、注目する部位や物質の同定を行っている。
【0011】
【特許文献1】特開2007−212467号公報
【特許文献2】特開2007−275374号公報
【特許文献3】特開2006−61328号公報
【特許文献4】特表2007−521920号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記のように複数種類の画像を取得できる装置は存在するが、従来のフルフィールドタイプの光画像計測装置においては、OCT画像以外の画像を取得することはできなかった。
【0013】
この発明は、以上のような問題を解決するためになされたものであり、被測定物体のOCT画像に加えて、被測定物体の他種類の画像をも取得することが可能な光画像計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、所定のビーム径を有する広帯域光を信号光と参照光とに分割し、信号光路を介して被測定物体を経由した前記信号光と参照光路を介して参照物体を経由した前記参照光とを干渉させて干渉光を生成し、干渉光路を介して導光された前記干渉光を検出して前記被測定物体の画像を形成する光画像計測装置であって、前記参照光路を遮断する遮断手段と、前記参照光路が遮断された状態において撮影光を出力する出力手段と、前記出力手段から出力された撮影光を前記信号光路を介して前記被測定物体に照射し、前記被測定物体を経由した撮影光を前記信号光路及び前記干渉光路を介して導光する光学系と、前記光学系を経由した撮影光を検出して画像を形成する画像形成手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光画像計測装置であって、前記出力手段は、所定の波長成分を含む前記撮影光を出力し、前記画像形成手段は、前記光学系を経由した前記所定の波長成分を検出して画像を形成する、ことを特徴とする。
【0016】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の光画像計測装置であって、前記出力手段は、前記広帯域光を発生する光源と、前記発生された広帯域光の前記所定の波長成分を透過させるフィルタとを含み、前記光学系は、前記フィルタを透過した波長成分を前記撮影光として前記被測定物体に照射する、ことを特徴とする。
【0017】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の光画像計測装置であって、前記出力手段は、それぞれ異なる波長成分を透過させる複数の前記フィルタと、前記光源により発生された広帯域光の光路に前記複数のフィルタを択一的に配置させる制御手段とを含む、ことを特徴とする。
【0018】
また、請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の光画像計測装置であって、前記出力手段は、複数の異なる波長の撮影光を発生可能な波長可変光源と、前記波長可変光源を制御して前記複数の異なる波長の撮影光を順次に発生させる制御手段と含む、ことを特徴とする。
【0019】
また、請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の光画像計測装置であって、前記出力手段は、異なる波長の撮影光を出力する複数の光源と、前記複数の光源に択一的に撮影光を出力させる制御手段とを含む、ことを特徴とする。
【0020】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の光画像計測装置であって、前記出力手段は、前記撮影光として前記広帯域光を発生する光源を含み、前記光学系は、前記被測定物体を経由した前記広帯域光から所定の波長成分を抽出する抽出手段を含み、前記画像形成手段は、前記抽出された所定の波長成分を検出して画像を形成する、ことを特徴とする。
【0021】
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の光画像計測装置であって、前記抽出手段は、前記被測定物体を経由した前記広帯域光の所定の波長成分を透過させるフィルタを含み、前記画像形成手段は、前記フィルタを透過した所定の波長成分を検出して画像を形成する、ことを特徴とする。
【0022】
また、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の光画像計測装置であって、前記抽出手段は、それぞれ異なる波長成分を透過させる複数の前記フィルタと、前記被測定物体を経由した前記広帯域光の光路に前記複数のフィルタを択一的に配置させる制御手段とを含む、ことを特徴とする。
【0023】
また、請求項10に記載の発明は、請求項7に記載の光画像計測装置であって、前記抽出手段は、前記被測定物体を経由した前記広帯域光を複数の波長成分に分散する分散部材を含み、前記画像形成手段は、前記複数の波長成分のいずれかを検出して画像を形成する、ことを特徴とする。
【0024】
また、請求項11に記載の発明は、請求項1に記載の光画像計測装置であって、前記出力手段は、前記被測定物体における蛍光物質の励起波長成分を含む撮影光を出力し、前記光学系は、前記励起波長成分を含む撮影光を前記被測定物体に照射するとともに、該撮影光を受けて前記蛍光物質から発せられた蛍光を前記信号光路及び前記干渉光路を介して導光し、前記画像形成手段は、前記光学系を経由した蛍光を検出して、前記被測定物体における前記蛍光物質の分布画像を形成する、ことを特徴とする。
【0025】
また、請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の光画像計測装置であって、前記出力手段は、前記広帯域光を発生する光源と、前記発生された広帯域光の前記励起波長成分を透過させるエキサイタフィルタとを含み、前記光学系は、前記フィルタを透過した励起波長成分を前記撮影光として前記被測定物体に照射し、前記光学系は、前記蛍光以外の波長成分を遮断するバリアフィルタを含み、前記画像形成手段は、前記バリアフィルタを透過した蛍光を検出して前記分布画像を形成する、ことを特徴とする。
【0026】
また、請求項13に記載の発明は、請求項11に記載の光画像計測装置であって、前記出力手段は、前記撮影光として前記広帯域光を発生する光源を含み、前記光学系は、前記光源により発生された広帯域光を前記被測定物体に照射し、前記光学系は、前記蛍光以外の波長成分を遮断するバリアフィルタを含み、前記画像形成手段は、前記バリアフィルタを透過した蛍光を検出して前記分布画像を形成する、ことを特徴とする。
【0027】
また、請求項14に記載の発明は、請求項1に記載の光画像計測装置であって、前記光学系は、前記信号光路及び前記干渉光路の双方にそれぞれリングスリットを備え、前記画像形成手段は、前記双方のリングスリットを含む前記光学系を経由した撮影光を検出して位相差画像を形成する、ことを特徴とする。
【0028】
また、請求項15に記載の発明は、請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載の光画像計測装置であって、前記広帯域光を前記信号光と前記参照光とに分割する分割部材を備え、前記参照光路には、前記参照物体としての参照鏡と、前記分割部材により前記広帯域光から分割された参照光を前記参照鏡に向けて反射し、前記参照鏡により反射された参照光を前記分割部材に向けて反射する反射鏡とが設けられ、前記遮断手段は、前記反射鏡を移動させる駆動機構を含む、ことを特徴とする。
【0029】
また、請求項16に記載の発明は、請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載の光画像計測装置であって、前記遮断手段は、前記参照光を遮断するシャッタを含む、ことを特徴とする。
【0030】
また、請求項17に記載の発明は、請求項16に記載の光画像計測装置であって、前記シャッタは、前記参照光の進行方向に対して斜設されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
この発明に係る光画像計測装置は、所定のビーム径を有する広帯域光を信号光と参照光とに分割し、被測定物体を経由した信号光と参照物体を経由した参照光とを干渉させて干渉光を生成し、この干渉光を検出して被測定物体の画像(OCT画像)を形成する機能を有する。
【0032】
更に、この発明に係る光画像計測装置は、参照光路を遮断した状態で撮影光を出力し、この撮影光を信号光路を介して被測定物体に照射し、被測定物体を経由した撮影光を信号光路及び干渉光路を介して導光して検出し、その検出結果に基づいて画像を形成することができる。
【0033】
このような光画像計測装置によれば、被測定物体のOCT画像に加えて、被測定物体の他種類の画像をも取得することが可能である。当該他種類の画像の例としては、分光画像、蛍光画像、位相差画像などがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
この発明に係る光画像計測装置の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0035】
以下、主として二つの実施形態を説明する。第1の実施形態では、OCT画像と分光画像を取得可能な装置について説明する。ここで、分光画像とは、分光撮影によって得られる画像を意味する。第2の実施形態では、OCT画像と蛍光画像を取得可能な装置について説明する。ここで、蛍光画像とは、蛍光撮影によって得られる画像を意味する。
【0036】
なお、詳述はしないが、この発明に係る光画像計測装置は、分光画像や蛍光画像以外の種類の画像を取得可能に構成されていてもよい。一例として、この発明に係る光画像計測装置は、OCT画像とともに、位相差顕微鏡による位相差画像や、微分干渉顕微鏡による微分干渉画像などを取得可能に構成されていてもよい。
【0037】
〈第1の実施形態〉
[構成]
この実施形態に係る光画像計測装置は、OCT画像と分光画像を取得可能な装置である。この実施形態に係る光画像計測装置の構成例を図1に示す。光画像計測装置100は、フルフィールドタイプのOCT装置として機能する。
【0038】
被測定物体1000は、計測に適した状態で配設される。たとえば被測定物体1000が生体眼である場合には、境界での屈折率の変化を小さくするためのゼリーや液体などを被測定物体1000に適用することができる。また、被測定物体1000が摘出眼である場合には、境界における屈折率の変化を小さくするために被測定物体1000を液浸状態で配設することができる。また、被測定物体1000が培養細胞である場合、シャーレに入った状態の培養細胞を液浸状態で配設することが可能である。
【0039】
光画像計測装置100はハロゲンランプ1を備えている。ハロゲンランプ1は、たとえば無偏光の広帯域光Mを出力する。なお、図示は省略するが、ハロゲンランプ1は、通常のハロゲンランプとともに、出力光を導光する光ファイババンドルや、出力光の照射野を一様に照明するためのケーラー照明光学系などを含んで構成することができる。ハロゲンランプ1から出力される広帯域光Mは、所定のビーム径を有している。
【0040】
OCT画像を取得するための光源は、ハロゲンランプ1に限定されるものではなく、無偏光の広帯域光を出力する任意の光源であってよい。たとえば、キセノンランプ等の任意の熱光源(黒体輻射に基づく光源)を適用できる。また、光源は、ランダム偏光の広帯域光を出力するレーザ光源であってもよい。ここで、無偏光とは、直線偏光の光と円偏光の光と楕円偏光の光とを含む偏光状態を意味する。また、ランダム偏光とは、互いに直交する2つの直線偏光成分を有し、各直線偏光成分のパワーが時間的にランダムに変化する偏光状態を意味する(たとえば特開平7−92656号公報参照)。以下、無偏光の場合についてのみ詳しく説明するが、ランダム偏光の場合も同様の構成で同様の作用効果を得ることができる。
【0041】
広帯域光Mの光路には、ターレット2が設けられている。ターレット2は、複数のフィルタ2a、2bを保持している。なお、ターレット2に保持されるフィルタの個数は任意である。ターレット2は、駆動機構(図2を参照)によって回転される。それにより、複数のフィルタ2a、2bが択一的に光路に配置される。
【0042】
複数のフィルタ2a、2bを択一的に光路に配置させる構成は、これに限定されるものではない。たとえば、複数のフィルタ2a、2bを一方向に沿って配設し、これらを当該方向に移動させるように構成することが可能である。
【0043】
フィルタ2aは、OCT画像を取得するときに光路に配置される。ハロゲンランプ1から出力された広帯域光Mは、様々な帯域の光を含んでいる。フィルタ2aは、広帯域光Mの所定帯域のみを透過させるフィルタである。透過させる帯域は、分解能や計測深度等に応じて決定され、たとえば中心波長760nm程度で100nm程度の波長幅の帯域に設定される。この場合、被測定物体1000の深度方向(図1に示すz方向)及びそれに直交する方向(水平方向)について、それぞれ2μm程度の分解能の画像を取得できる。なお、フィルタ2aを透過した光を同じく広帯域光Mと呼ぶことにする。
【0044】
フィルタ2bは、分光撮影時に光路に配置される。この分光撮影用フィルタ2bは、広帯域光Mの所定の波長成分を透過させる。なお、他の波長成分を透過させる他の分光撮影用フィルタを設けることが可能である。分光撮影用フィルタ2b等を透過する波長成分は、被測定物体1000の所望の深度に到達する波長とされる。よって、分光撮影用フィルタ2b等を択一的に光路に配置させることにより、被測定物体1000の様々な深度の画像を取得することができる。なお、分光撮影用フィルタ2b等を透過する波長成分は、所定の単一波長の光であってもよいし、所定の幅を持つ波長帯域の光であってもよい。
【0045】
まず、OCT画像を取得する場合を考慮しつつ光画像計測装置100の構成を説明する。フィルタ2aを透過した無偏光の広帯域光Mは、ハーフミラー等のビームスプリッタ3によって分割される。すなわち、ビームスプリッタ3による反射光は信号光Sを形成し、ビームスプリッタ3を透過した光は参照光Rを形成する。
【0046】
信号光Sは、無偏光状態を保ったまま対物レンズ11により被測定物体1000に合焦される。信号光Sは、所定のビーム径で被測定物体1000に照射される。被測定物体1000の表面や内部にて反射、散乱された光は、対物レンズ11を経由してビームスプリッタ3に戻ってくる。
【0047】
一方、ビームスプリッタ3により生成された無偏光の参照光Rは、反射ミラー4にて反射され、波長板(λ/4板)5と偏光板6を通過する。更に、参照光Rは、ガラス板7を通過し、対物レンズ8によって参照鏡9の反射面に合焦される。参照鏡9により反射された参照光Rは、同じ光路を逆向きに経由してビームスプリッタ3に戻ってくる。
【0048】
このとき、当初は無偏光であった参照光Rは、波長板5と偏光板6を二回経由することにより円偏光に変換される。ガラス板7は、信号光S及び参照光Rの光路(干渉計の両アーム)にて発生する分散の影響を最小にする分散補正光学素子である。
【0049】
参照鏡9は、参照鏡移動機構10によって参照光Rの進行方向、すなわち参照鏡9の反射面に直交する方向(図1に示す両側矢印方向)に移動可能とされている。参照鏡移動機構10は、たとえばピエゾ素子等の駆動手段を含んで構成される。
【0050】
このように参照鏡9を移動させることにより、信号光Sと参照光Rとの光路長差が変更される。ここで、信号光Sの光路長は、ビームスプリッタ3と被測定物体1000の表面との間の往復距離である。また、参照光Rの光路長は、ビームスプリッタ3と参照鏡9の反射面との間の往復距離とする。信号光Sと参照光Rとの光路長差を変更することにより、被測定物体1000の様々な深度位置の画像を選択的に取得することができる。
【0051】
なお、この実施形態では、参照光Rの光路長を変更することで上記光路長差を変更しているが、信号光Sの光路長を変更して上記光路長差を変更するように構成することも可能である。その場合、装置光学系と被測定物体1000との間隔を変更するような変更手段を設ける。たとえば、装置光学系をz方向に移動させるステージや、被測定物体1000をz方向に移動させるステージなどを適用できる。
【0052】
被測定物体1000を経由した信号光Sと、参照鏡9を経由した参照光Rは、ビームスプリッタ3により重畳されて干渉光Lを生成する。干渉光LはS偏光成分とP偏光成分とを含んでいる。
【0053】
ビームスプリッタ3によって生成された干渉光Lは、開口絞り12を経由し、結像レンズ(群)13によって集束光となる。集束光となった干渉光LのS偏光成分L1は、偏光ビームスプリッタ14により反射されてCCD(イメージセンサ)17により検出される。一方、干渉光LのP偏光成分L2は、偏光ビームスプリッタ14を透過し、反射ミラー16により反射されてCCD(イメージセンサ)18により検出される。
【0054】
各CCD17、18は、2次元の受光面を有している。S偏光成分L1とP偏光成分L2は、それぞれ、所定のビーム径を有する状態でCCD17、18の受光面に投射される。
【0055】
S偏光成分L1を検出したCCD17は、検出信号をコンピュータ20に送る。同様に、P偏光成分L2を検出したCCD18は、検出信号をコンピュータ20に送る。
【0056】
なお、干渉光Lの元になる参照光Rは円偏光であり信号光Sは無偏光であるから、S偏光成分L1とP偏光成分L2は90度(π/2)の位相差を有している。したがって、CCD17から出力される検出信号Cと、CCD18から出力される検出信号Cは、90度の位相差を有している。このような検出信号C、Cは、次式のように表すことができる。
【0057】
【数1】

【0058】
ここで、I(x、y)は信号光Sの強度を表し、I(x、y)は参照光Rの強度を表している。また、φ(x、y)は初期位相差を表している。また、各検出信号C、Cは、背景光成分(非干渉成分、直流成分)I(x、y)+I(x、y)を含む。更に、検出信号Cはcos成分からなる干渉成分を含み、検出信号Cはsin成分からなる干渉成分を含んでいる。
【0059】
式(1)、(2)から分かるように、各検出信号C、Cは、空間(z方向に直交するx方向、y方向)のみを変数とし、時間を変数として含んでいない。すなわち、本実施形態に係る干渉信号は、空間的変化のみを含むものである。検出信号C、Cに基づいて画像を形成する処理については後述する。
【0060】
上記のように、偏光ビームスプリッタ14は、OCT画像を取得するときに干渉光Lの光路(干渉光路)に配置される。一方、分光撮影時には、偏光ビームスプリッタ14は光路から退避され、代わりに光路長補正部材15が配置される。
【0061】
光路長補正部材15は、たとえばガラスブロック等の透光部材であり、被測定物体1000を経由してCCD18に投射される光の光路長を補正する。光路長補正部材15により伸長される光路長は、たとえば偏光ビームスプリッタ14によるそれと等しい。なお、光路長補正部材15を設ける代わりに、偏光ビームスプリッタ14を退避させたことにより短縮された光路長を補う距離だけCCD18を移動させるように構成してもよい。これら構成によって光路長を補正することで、被測定物体1000を経由した光がCCD18に適正に投射される。なお、この実施形態に係る分光撮影では、CCD17は使用されない。
【0062】
以下、分光画像を取得する場合を考慮しつつ光画像計測装置100の構成を説明する。この実施形態では、分光撮影においてもハロゲンランプ1から出力される広帯域光Mを使用する。すなわち、この発明の「撮影光」として広帯域光Mを用いる。なお、OCT画像を取得する場合と分光撮影を行う場合とで、広帯域光Mのビーム径が異なっていてもよい。広帯域光Mのビーム径は、公知の光学系によって任意に変更できることが望ましい。
【0063】
帯域光M以外の光を用いて分光撮影を行うことも可能である。一例として、ハロゲンランプ1以外の広帯域光源を別途に設け、これらを選択的に使用するように構成することが可能である。また、分光撮影用の光源は、広帯域光源には限定されず、分光撮影用の波長帯域を含む光を出力できればよい。
【0064】
また、分光撮影を行う場合には、参照光Rの光路(参照光路)、つまりビームスプリッタ3と参照鏡9とを結ぶ光路が遮断される。この実施形態では、反射ミラー4を移動することにより参照光路を遮断する。ここで、「参照光路を遮断する」とは、ビームスプリッタ3を通過して参照光路に進入した光が、(ほとんど)ビームスプリッタ3に戻ってこないようにすることを意味する。なお、この実施形態においては、信号光Sの光路(信号光路)についてはそのままとされる。
【0065】
光画像計測装置100においては、反射ミラー4を移動させることにより参照光路を遮断する。具体例を説明する。まず、回転軸部材やレール部材等の保持部材により、反射ミラー4を移動可能に保持する(図示省略)。駆動機構19は、モータ等のアクチュエータにより駆動力を発生し、この駆動力を反射ミラー4に伝達することにより、回転軸部材を中心に反射ミラー4を回転させたり、レール部材に沿って反射ミラー4を参照光路から退避させたりする。なお、図1において点線で示す反射ミラー4は、参照光路から退避された状態を表している。また、駆動機構19は、退避された反射ミラー4を移動して参照光路に配置させる。
【0066】
分光撮影用フィルタ2b(又は他の分光撮影用フィルタ)は、ハロゲンランプ1から出力された広帯域光Mの所定の波長成分のみを透過させる。この波長成分は、ビームスプリッタ3により二分割される。
【0067】
ビームスプリッタ3を透過して参照光路に入射した波長成分は、反射ミラー4が退避されていることから、ビームスプリッタ3に戻ってこない。
【0068】
一方、ビームスプリッタ3により反射された波長成分は、対物レンズ11により集束されて被測定物体1000に投射される。この波長成分は、所定のビーム径で被測定物体1000に投射され、その波長に応じた深度まで到達する。当該深度にて反射された波長成分は、は、対物レンズ11を経由してビームスプリッタ3に戻ってくる。
【0069】
更に、被測定物体1000を経由した波長成分は、(その一部が)ビームスプリッタ3を透過し、開口絞り12を経由し、結像レンズ(群)13によって集束光となる。更に、この波長成分は、光路長補正部材15を経由し、反射ミラー16に反射されてCCD18の受光面に投射される。
【0070】
〔制御系の構成〕
光画像計測装置100の制御系の構成について説明する。図2は、光画像計測装置100の制御系の構成例を表している。
【0071】
コンピュータ20は、制御部21、表示部22、操作部23及び信号処理部24を備えている。
【0072】
(制御部)
制御部21は、光画像計測装置100の各部を制御する。たとえば、制御部21は、ハロゲンランプ1の点灯/消灯の制御、参照鏡移動機構10の制御、CCD17、18の露光時間の制御、駆動機構19の制御、表示部22による表示処理の制御などを行う。
【0073】
光画像計測装置100には、駆動機構25、26が設けられている。駆動機構25は、ターレット2を回転させて、複数のフィルタ2a、2b等を択一的に光路に配置させる。駆動機構26は、偏光ビームスプリッタ14と光路長補正部材15とを移動して、これらを択一的に光路に配置させる。これら駆動機構25、26は、駆動力を発生するモータ等のアクチュエータを含んで構成される。
【0074】
制御部21は、CPU等のマイクロプロセッサを含んで構成される。また、制御部21は、RAM、ROM、ハードディスクドライブ等の記憶装置を含んで構成される。ハードディスクドライブには、装置制御用のコンピュータプログラム(図示せず)が予め記憶されている。このコンピュータプログラムにしたがってマイクロプロセッサが動作することにより、制御部21による制御が実現される。
【0075】
また、制御部21は、外部装置との間でデータ通信を行うための通信機器を備えていてもよい。通信機器としては、LANカードやモデムなどがある。それにより、制御部21は、外部のデータベースから各種の情報を取得したり、データベースに情報を登録させたりできる。また、制御部21は、外部装置から情報を取得したり、外部装置に情報を送信したりできる。
【0076】
(表示部)
表示部22は、制御部21により制御されて各種の情報を表示する。表示部22は、LCDやCRTディスプレイ等の任意の表示デバイスを含んで構成される。
【0077】
(操作部)
操作部23は、オペレータが光画像計測装置100を操作したり、各種の情報を入力したりするために用いられる。操作部23は、マウス、キーボード、ジョイスティック、トラックボール、専用のコントロールパネル等の任意の操作デバイスや入力デバイスを含んで構成される。
【0078】
(信号処理部)
信号処理部24は各種の信号を処理する。特に、信号処理部24は、CCD17、18から出力された検出信号C、Cに基づいて被測定物体1000の画像を形成する。この画像形成処理については後述する。
【0079】
信号処理部24は、CPU等のマイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ等を含んで構成される。
【0080】
[動作態様]
光画像計測装置100の動作態様について説明する。図3に示すフローチャートは、OCT画像を取得した後に分光撮影を実施する場合の動作例を表している。なお、分光撮影を行った後にOCT画像を取得する場合には、図3とは逆の切り替え制御を適宜に実行すればよい。
【0081】
まず、被測定物体1000を所定の計測位置に配置させ、被測定物体1000に対する装置光学系の位置合わせ(アライメント)を行う(S1)。たとえば被測定物体1000が生体眼である場合、額当てや顎受けによって被検者の顔を支持し、被検眼を対物レンズ11の前方に配置させる。そして、光画像計測装置100の光学系を上下、前後、左右に移動させてアライメントを行う。また、被測定物体1000が摘出眼等の物体である場合、この物体をステージ上に載置し、このステージを上下、前後、左右に移動させてアライメントを行う。このとき、光画像計測装置100の光学系を移動させてアライメントを行うようにしてもよい。
【0082】
次に、被測定物体1000の水平方向の断層画像(OCT画像)を形成する(S2)。以下、画像の形成動作を説明する。
【0083】
オペレータが操作部23を用いて所定の計測開始操作を行うと、制御部21は、ハロゲンランプ1を点灯させる。この動作態様では、ハロゲンランプ1を点灯させた状態にして、広帯域光Mの連続光を出力する。
【0084】
次に、制御部21は、参照鏡移動機構10を制御して参照光Rの光路長を第1の光路長にする。第1の光路長は、被測定物体1000の第1の深度位置(z座標値)に対応している。制御部21は、各CCD17、18の露光時間を制御する。CCD17、18は、それぞれ、干渉光検出信号C、Cを出力する。
【0085】
次に、制御部21は、参照鏡移動機構10を制御して参照光Rの光路長を第2の光路長に切り替える。第2の光路長は、被測定物体1000の第2の深度位置に対応している。制御部21は、各CCD17、18の露光時間を制御して新たな検出信号C′、C′を出力させる。
【0086】
ここで、第1の光路長と第2の光路長は、検出信号Cと検出信号C′とが位相差180度(π)を有し、かつ、検出信号Cと検出信号C′とが位相差180度(π)を有するような距離間隔となるようにあらかじめ設定されている。なお、検出信号C、Cは位相差90度を有しているので、位相差90度ごとの4つの検出信号C、C、C′、C′が得られることになる。
【0087】
信号処理部24は、検出信号C、C′(位相差180度)を加算し、その和を2で除算することにより、背景光成分I(x、y)+I(x、y)を演算する。この演算処理は、検出信号C、C′(位相差180度)を用いて行ってもよい。
【0088】
更に、信号処理部24は、背景光成分I(x、y)+I(x、y)を各検出信号C、Cから減算して干渉成分(cos成分、sin成分)を求める。そして、信号処理部24は、各検出信号C、Cの干渉成分の二乗和を演算することによりxy方向(水平方向)の断面における画像を形成する。なお、この処理は、検出信号C′、C′(位相差180度)を用いて行ってもよい。
【0089】
制御部21は、参照光Rの光路長を変更して上記の処理を反復することにより、被測定物体1000の様々な深度位置におけるxy断面画像を順次に形成する。それにより、たとえば角膜の画像を取得する場合において、表層細胞、翼細胞、基底細胞、ボーマン層、角膜実質の各種の深度位置の画像が得られる。
【0090】
なお、この処理において、制御部21は、CCD17、18を所定のフレームレートでかつ同じタイミングで検出信号を出力するように制御する。更に、制御部21は、このフレームレートと、各CCD17、18の露光タイミングと、参照鏡9の移動タイミングと、参照光Rの光路長の変更タイミングとを同期させる。
【0091】
このとき、各CCD17、18の露光時間は、フレームレートよりも短く設定される。たとえば、CCD17、18のフレームレートを30f/sに設定し、露光時間を30〜50μs程度に設定することができる。
【0092】
また、中心波長760nm程度で波長幅100nm程度の広帯域光Mを用いることにより、数μm程度の分解能の画像を取得することができる。たとえば、広帯域光Mの波長をガウス型と仮定し、被測定物体1000の屈折率をn=1.33としたときの分解能の理論値は約1.8μmとなる。
【0093】
このようにして取得された被測定物体1000の画像は、たとえば制御部21の記憶装置(前述)に記憶される。
【0094】
また、制御部21は、たとえば操作部23に対する操作に応じて、被測定物体1000の水平方向の断層画像を表示部22に表示させる。
【0095】
また、信号処理部24は、複数の水平方向の断層画像をz方向に沿って配列したり、複数の水平方向の断層画像に対して補間処理を施すことにより、被測定物体1000の3次元画像を形成することができる。更に、信号処理部24は、複数の水平方向の断層画像又は3次元画像に基づいて、被測定物体1000の任意の断面における断層画像を形成することができる。制御部21は、これら3次元画像や断層画像を表示部22に表示させることができる。以上で、被測定物体1000のOCT画像を形成する処理は終了となる。
【0096】
オペレータは、操作部23を用いて所定の操作を行うことにより、OCT計測から分光撮影への切り替えを要求する(S3)。
【0097】
制御部21は、この切り替え要求を受け、駆動機構19を制御して反射ミラー4を参照光路から退避させ(S4)、駆動機構25を制御してフィルタ2aを光路から退避させるとともにフィルタ2bを光路に配置させ(S5)、駆動機構26を制御して偏光ビームスプリッタ14を光路から退避させるとともに光路長補正部材15を光路に配置させる(S6)。それにより分光撮影の準備が整う。なお、ステップ4〜ステップ6を実行する順序は任意である。また、ステップ4〜ステップ6のうちのいずれか2つ以上を同時に実行することも可能である。
【0098】
オペレータは、操作部23を操作して分光撮影の開始を要求する。制御部21は、この要求を受けて、被測定物体1000の分光撮影を実行させる(S7)。すなわち、制御部21は、ハロゲンランプ1に広帯域光M(撮影光)を出力させるとともに、CCD18を制御して、被測定物体1000を経由した撮影光を検出させる。そして、制御部21は、CCD18からの信号に基づいて、被測定物体1000の分光画像を表示部22に表示させる。また、制御部21は、この分光画像を記憶装置(前述)に記憶させる。以上で、この動作態様は終了となる。
【0099】
[作用・効果]
光画像計測装置100の作用及び効果について説明する。
【0100】
光画像計測装置100は、フルフィールドタイプのOCT装置として機能する。すなわち、光画像計測装置100は、所定のビーム径を有する広帯域光Mを信号光Sと参照光Rとに分割し、被測定物体1000を経由した信号光Sと参照鏡9を経由した参照光Rとを干渉させて干渉光Lを生成し、干渉光Lを検出して被測定物体1000のOCT画像を形成する。形成されるOCT画像は、被測定物体1000の断層画像や3次元画像である。
【0101】
更に、光画像計測装置100は、被測定物体1000の他種類の画像(OCT画像以外の種類の画像)を取得することも可能である。特に、光画像計測装置100は、被測定物体1000の分光画像を撮影することが可能である。そのために、光画像計測装置100は、出力手段、遮断手段、光学系及び画像形成手段を備える。
【0102】
出力手段は、上記他種類の画像を取得するための撮影光を出力する。この実施形態では、ハロゲンランプ1及びフィルタ2bが出力手段として作用し、所定の波長成分を含む撮影光を出力する。
【0103】
遮断手段は、少なくとも撮影光が出力されるときに参照光路を遮断する。この実施形態では、広帯域光Mを信号光Sと参照光Rとに分割するビームスプリッタ3(分割部材)が設けられている。更に、参照光路には、参照物体としての参照鏡9と、ビームスプリッタ3により広帯域光Mから分割された参照光Rを参照鏡9に向けて反射し、参照鏡9により反射された参照光Rをビームスプリッタ3に向けて反射する反射ミラー4(反射鏡)とが設けられている。駆動機構19は、反射ミラー4を移動させて反射ミラー4を参照光路から退避させることにより参照光路を遮断する。なお、反射ミラー4の向きを変えることにより、参照光Rがビームスプリッタ3に戻っていかないようにすることにより参照光路を遮断することも可能である。
【0104】
光学系は、出力された撮影光を信号光路を介して被測定物体1000に照射し、被測定物体1000を経由した撮影光を信号光路及び干渉光路を介して導光する。この実施形態では、ビームスプリッタ3、対物レンズ11(開口絞り12、)結像レンズ13、光路長補正部材15及び反射ミラー16が光学系として作用する。
【0105】
画像形成手段は、光学系により導光された撮影光を検出して被測定物体1000の画像を形成する。この実施形態では、CCD18が画像形成手段として作用する。なお、CCD18により形成された画像に対し、信号処理部24によって各種画像処理を施すことも可能である。
【0106】
このような光画像計測装置100によれば、被測定物体1000のOCT画像に加えて、被測定物体の他種類の画像、特に分光画像をも取得することが可能である。特に、比較的簡易な構成によりOCT画像と他種類の画像とを取得することが可能である。
【0107】
また、光画像計測装置100は、それぞれ異なる波長成分を透過させる複数のフィルタ2b等を択一的に光路に配置させることにより、被測定物体1000の様々な深度の画像を撮影することが可能である。ここで、フィルタ2b等の切り替え配置は、制御部21により実行される。制御部21は、この発明の「制御手段」の一例である。
【0108】
[変形例]
光画像計測装置100の変形例を説明する。
【0109】
上記の実施形態では、広帯域光を発生する光源とフィルタとの組み合わせにより分光撮影用の撮影光を出力しているが、この発明は、これに限定されるものではない。たとえば、複数の異なる波長の撮影光を発生可能な波長可変光源と、この波長可変光源を制御して複数の波長の撮影光を順次に発生させる制御手段とを含むような「出力手段」を適用することが可能である。なお、波長可変光源としては、たとえば特開2008−47730に開示されたものが知られている。また、波長可変光源の制御は、たとえば制御部21が行う。
【0110】
また、異なる波長の撮影光を出力する複数の光源と、これら光源に択一的に撮影光を出力させる制御手段とを含む「出力手段」を適用することも可能である。なお、複数の光源の制御は、たとえば制御部21が行う。
【0111】
上記の実施形態では、反射ミラー4を移動させることにより参照光路を遮断しているが、この発明はこれに限定されるものではない。たとえば、参照光路にシャッタを設け、OCT計測の際にはシャッタを開放し、分光撮影の際にはシャッタを閉じるように構成することが可能である。なお、シャッタは、参照光の進行方向(参照光路の光軸)に対して斜設配置されることが望ましい。これは、シャッタの表面による反射光がビームスプリッタ3に戻っていかないようにするためである。
【0112】
上記の実施形態では、所定の波長成分の撮影光を用いることにより分光撮影を行っているが、この発明はこれに限定されるものではない。図4に示す光画像計測装置200は、上記の実施形態とは異なる構成を具備する。光画像計測装置200は、光画像計測装置100と同様の制御系を有する(図2を参照)。なお、上記の実施形態と同様の構成部位については同じ符号を用いている。
【0113】
光画像計測装置200において、OCT計測に用いられるフィルタ2aは、広帯域光Mの光路に対して挿脱可能とされている。フィルタ2aの挿脱動作は、上記実施形態と同様の駆動機構25により実行される。なお、この変形例に係る駆動機構25は、フィルタ2aを直線的に移動させるものであってもよい。たとえば、ソレノイドやモータ等のアクチュエータを用いてフィルタ2aを直線的に移動させることが可能である。
【0114】
また、光画像計測装置200は、上記の実施形態と同様の駆動機構19を備え、参照光路から反射ミラー4を退避できるようになっている。
【0115】
更に、光画像計測装置200はフィルタ30を備えている。フィルタ30は、上記の実施形態のフィルタ2b等と同様に、所定の波長成分を透過させるフィルタである。つまり、フィルタ30は、被測定物体1000を経由した広帯域光M(撮影光)から所定の波長成分を抽出するように作用する。フィルタ30は、この発明の「抽出手段」の一例である。
【0116】
駆動機構26は、偏光ビームスプリッタ14とフィルタ30とを択一的に干渉光Lの光路に配置させる。ここで、異なる波長成分を透過させる複数のフィルタ30等を設けることが可能である。この場合、駆動機構26は、偏光ビームスプリッタ14及び複数のフィルタ30等を択一的に光路に配置させる。
【0117】
フィルタ30は、上記の実施形態の光路長補正部材15と同様に、CCD18に向かう光の光路長を補正するように作用する。なお、フィルタ30とは別途に光路長補正部材を設け、分光撮影時に光路に配置させることが可能である。
【0118】
このような光画像計測装置200の動作態様について説明する。図5に示すフローチャートは、OCT画像を取得した後に分光撮影を実施する場合の動作例を表している。なお、分光撮影を行った後にOCT画像を取得する場合には、図5とは逆の切り替え制御を適宜に実行すればよい。
【0119】
まず、上記の実施形態と同様に、被測定物体1000を所定の計測位置に配置させ、被測定物体1000に対するアライメントを行い(S21)、被測定物体1000の水平方向の断層画像(OCT画像)を形成する(S22)。
【0120】
OCT画像が取得されたら、オペレータは、操作部23を用いて所定の操作を行うことにより、OCT計測から分光撮影への切り替えを要求する(S23)。
【0121】
制御部21は、この切り替え要求を受け、駆動機構19を制御して反射ミラー4を参照光路から退避させ(S24)、駆動機構25を制御してフィルタ2aを光路から退避させ(S25)、駆動機構26を制御して偏光ビームスプリッタ14を光路から退避させるとともにフィルタ30を光路に配置させる(S26)。それにより分光撮影の準備が整う。なお、ステップ24〜ステップ26を実行する順序は任意である。また、ステップ24〜ステップ26のうちのいずれか2つ以上を同時に実行することも可能である。
【0122】
オペレータは、操作部23を操作して分光撮影の開始を要求する。制御部21は、この要求を受けて、被測定物体1000の分光撮影を実行させる(S27)。
【0123】
この分光撮影では、広帯域光Mを撮影光として用いる。制御部21がハロゲンランプ1を制御して広帯域光Mを出力させると、広帯域光Mは、ビームスプリッタ3により分割される。参照光路に進入した広帯域光Mは、反射ミラー4が退避されていることから、ビームスプリッタ3に戻ってこない。一方、ビームスプリッタ3により反射された広帯域光Mは、対物レンズ11により被測定物体1000に投射される。広帯域光Mに含まれる様々な波長成分は、波長に応じた深度まで到達して反射される。被測定物体1000により反射された広帯域光Mは、対物レンズ11、ビームスプリッタ3、開口絞り12、結像レンズ13を経由してフィルタ30に入射する。フィルタ30は、広帯域光Mの所定の波長成分を透過させる。フィルタ30を透過した波長成分は、反射ミラー16により反射されてCCD18により検出される。制御部21は、CCD18からの信号に基づいて、被測定物体1000の分光画像を表示部22に表示させる。また、制御部21は、この分光画像を記憶装置(前述)に記憶させる。以上で、この動作態様は終了となる。
【0124】
このような光画像計測装置200によれば、被測定物体1000のOCT画像に加えて、被測定物体の他種類の画像、特に分光画像をも取得することが可能である。特に、比較的簡易な構成によりOCT画像と他種類の画像とを取得することが可能である。
【0125】
また、光画像計測装置200は、それぞれ異なる波長成分を透過させる複数のフィルタ30等を択一的に光路に配置させることにより、被測定物体1000の様々な深度の画像を撮影することが可能である。ここで、フィルタ30等の切り替え配置は、制御部21により実行される。制御部21は、この発明の「制御手段」の一例である。
【0126】
光画像計測装置200は、被測定物体1000を経由した広帯域光M(撮影光)に含まれる所定の波長成分を透過させる抽出手段を備えているが、これとは異なる抽出手段を設けることも可能である。
【0127】
たとえば、被測定物体1000を経由した広帯域光Mを複数の波長成分に分散する部材(分散部材)を抽出手段として用いることが可能である。分散部材としては、回折格子、プリズム、PGP(prizm grating prizm)等の任意の光学部材を用いることが可能である。この変形例では、所定の波長成分をCCD18に検出させるように光学系を構成する。それにより、所定の波長成分に基づく分光画像を取得することが可能となる。また、CCD18に検出させる波長成分を変更可能に構成することにより、被測定物体1000の様々な深度の分光画像を選択的に取得することが可能である。
【0128】
また、複数の波長成分を同時に検出可能に構成することも可能である。たとえば、CCD18が3CCDタイプのカラーイメージセンサである場合、被測定物体1000を経由した広帯域光MのR(red)成分、G(green)成分及びB(blue)成分を同時に検出することが可能である。それにより、被測定物体1000の複数の深度に対応する複数の分光画像を同時に取得することが可能となる。
【0129】
〈第2の実施形態〉
[構成]
この実施形態に係る光画像計測装置は、OCT画像と蛍光画像を取得可能な装置である。この実施形態に係る光画像計測装置の構成例を図6に示す。光画像計測装置300は、フルフィールドタイプのOCT装置として機能する。光画像計測装置300は、第1の実施形態と同様の制御系を有する(図2を参照)。なお、第1の実施形態と同様の構成部位については、同じ符号を用いることにする。
【0130】
光画像計測装置300のターレット2には、OCT計測用のフィルタ2aと、蛍光撮影用のエキサイタフィルタ2cが保持されている。エキサイタフィルタ2cは、ハロゲンランプ1により発生された広帯域光Mの励起波長成分を透過させる。励起波長成分は、被測定物体1000における所定の蛍光物質を励起して蛍光を発生させる波長の光である。駆動機構25は、ターレット2を駆動して、フィルタ2aとエキサイタフィルタ2cを択一的に光路に配置させる。
【0131】
ここで、励起波長成分の異なる複数のエキサイタフィルタ2c等が設けられていてもよい。たとえば被測定物体1000が眼底である場合には、フルオレセイン(FAG)蛍光眼底撮影用のエキサイタフィルタと、インドシアニングリーン(ICG)蛍光眼底撮影用のエキサイタフィルタとを設けることが可能である。複数のエキサイタフィルタ2c等が設けられる場合、駆動機構25は、フィルタ2aと複数のエキサイタフィルタ2c等を択一的に光路に配置させる。
【0132】
また、光画像計測装置300には、バリアフィルタ40が設けられている。バリアフィルタ40は、広帯域光Mの励起波長成分によって励起された蛍光物質から発せられる蛍光以外の波長成分を遮断する、すなわち、蛍光に相当する波長成分を透過させるフィルタである。駆動機構26は、偏光ビームスプリッタ14とバリアフィルタ40を択一的に光路に配置させる。バリアフィルタ40は、第1の実施形態の光路長補正部材15と同様の機能を有する。なお、バリアフィルタ40とは別途に光路長補正部材を設け、蛍光撮影時に光路に配置させるように構成してもよい。
【0133】
複数のエキサイタフィルタ2c等が設けられている場合には、これら複数のエキサイタフィルタ2c等に対応する複数のバリアフィルタ40等が設けられる。駆動機構26は、偏光ビームスプリッタ14と複数のバリアフィルタ40等を択一的に光路に配置させる。このとき、エキサイタフィルタ2c等の種別に対応するバリアフィルタ40等が選択的に配置される。
【0134】
[動作態様]
このような光画像計測装置300の動作態様について説明する。図7に示すフローチャートは、OCT画像を取得した後に蛍光撮影を実施する場合の動作例を表している。なお、蛍光撮影を行った後にOCT画像を取得する場合には、図7とは逆の切り替え制御を適宜に実行すればよい。
【0135】
なお、被測定物体1000には蛍光物質が適用されているものとする。たとえば蛍光眼底撮影においては、所定の蛍光物質を含む蛍光剤が被検者に静注される。
【0136】
まず、第1の実施形態と同様に、被測定物体1000を所定の計測位置に配置させ、被測定物体1000に対するアライメントを行い(S41)、被測定物体1000の水平方向の断層画像(OCT画像)を形成する(S42)。
【0137】
OCT画像が取得されたら、オペレータは、操作部23を用いて所定の操作を行うことにより、OCT計測から蛍光撮影への切り替えを要求する(S43)。
【0138】
制御部21は、この切り替え要求を受け、駆動機構19を制御して反射ミラー4を参照光路から退避させ(S44)、駆動機構25を制御してフィルタ2aを光路から退避させるとともにエキサイタフィルタ2cを光路に配置させ(S45)、駆動機構26を制御して偏光ビームスプリッタ14を光路から退避させるとともにバリアフィルタ40を光路に配置させる(S46)。それにより蛍光撮影の準備が整う。なお、ステップ44〜ステップ46を実行する順序は任意である。また、ステップ44〜ステップ46のうちのいずれか2つ以上を同時に実行することも可能である。また、蛍光撮影の種別によっては、光源をキセノンランプ等に切り替える。
【0139】
オペレータは、操作部23を操作して蛍光撮影の開始を要求する。制御部21は、この要求を受けて、被測定物体1000の蛍光撮影を実行させる(S47)。なお、蛍光眼底撮影のように、複数の画像を適宜なタイミングで取得する場合、オペレータは所望のタイミングで撮影を要求し、それに応じて制御部21は光源に撮影光を出力させる。
【0140】
この蛍光撮影では、広帯域光Mを撮影光として用いる。制御部21がハロゲンランプ1(又は他の光源)を制御して広帯域光Mを出力させると、エキサイタフィルタ2cを透過した励起波長成分のみがビームスプリッタ3に到達する。ビームスプリッタ3を透過して参照光路に進入した励起波長成分は、反射ミラー4が退避されていることから、ビームスプリッタ3に戻ってこない。一方、ビームスプリッタ3により反射された励起波長成分は、対物レンズ11により被測定物体1000に投射される。被測定物体1000に投射された励起波長成分は、被測定物体1000に適用された蛍光物質を励起する。励起された蛍光物質は蛍光を発する。この蛍光は、対物レンズ11、ビームスプリッタ3、開口絞り12、結像レンズ13を経由してバリアフィルタ40に入射する。なお、バリアフィルタ40には、蛍光以外の波長の光(たとえば波長成分)も到達する。バリアフィルタ40は、蛍光以外の波長の光を遮断する。バリアフィルタ40を透過した蛍光は、反射ミラー16により反射されてCCD18により検出される。制御部21は、CCD18からの信号に基づいて、被測定物体1000における蛍光物質の分布を表す画像(分布画像)を形成する。たとえば蛍光眼底撮影においては、この分布画像は、眼底血管の形態を表す画像である。制御部21は、この蛍光画像を表示部22に表示させる。また、制御部21は、この蛍光画像を記憶装置(前述)に記憶させる。以上で、この動作態様は終了となる。
【0141】
このような光画像計測装置200によれば、被測定物体1000のOCT画像に加えて、被測定物体の他種類の画像、特に蛍光画像をも取得することが可能である。特に、比較的簡易な構成によりOCT画像と他種類の画像とを取得することが可能である。
【0142】
また、光画像計測装置200は、それぞれ異なる励起波長成分を透過させる複数のエキサイタフィルタ2c等と複数のバリアフィルタ40等をそれぞれ択一的に光路に配置させることにより、様々な蛍光物質に対応する分布画像を撮影することが可能である。ここで、フィルタ2c等やバリアフィルタ40等の切り替え配置は、制御部21により実行される。
【0143】
[変形例]
光画像計測装置300の変形例として、自発蛍光撮影に適用可能な構成を説明する(たとえば特許文献4を参照)。自発蛍光撮影においては、エキサイタフィルタ2c等を光路に配置させる必要はない。よって、OCT計測から自発蛍光撮影に切り替える際には、(1)反射ミラー4を参照光路から退避し、(2)OCT計測用のフィルタ2aを光路から退避し、(3)偏光ビームスプリッタ14を光路から退避するとともに、自発蛍光撮影用のエキサイタフィルタ2cを光路に配置させる。このような光画像計測装置によれば、被測定物体1000(眼底等)のOCT画像に加えて、自発蛍光画像をも取得することが可能である。特に、比較的簡易な構成によりOCT画像と他種類の画像とを取得することが可能である。
【0144】
光画像計測装置300においては、反射ミラー4を参照光路から退避することにより参照光路を遮断しているが、第1の実施形態の変形例と同様にシャッタを用いて参照光路を遮断するように構成してもよい。
【0145】
〈その他の変形例〉
上記の実施形態では、OCT画像以外の種類の画像として、分光画像や蛍光画像を取得可能な光画像計測装置について説明したが、これら以外の種類の画像を取得する構成を適用することも可能である。たとえば、位相差顕微鏡による位相差画像をOCT画像とともに取得可能な構成を採用できる。このとき、細胞培養用のインキュベータ内に装置を設置すれば、細胞の成長過程の観察や評価を行うことが可能である。
【0146】
たとえば位相差画像を取得可能な光画像計測装置においては、信号光Sの光路及び干渉光Lの光路のそれぞれにリングスリットを配置させる機構が設けられる。位相差画像を取得する際には、これらリングスリットを光路に配置するとともに、参照光路を遮断し、OCT計測用のフィルタ2aと偏光ビームスプリッタをそれぞれ光路から退避する。
【0147】
また、OCT画像とともに微分干渉顕微鏡による微分干渉画像を取得可能な構成を採用することも可能である。微分干渉画像を取得する際には、OCT計測用の部材を光路から退避するとともに、偏光フィルタ、ウォラストンプリズム(Wollaston prizm)等が光路に配置される。
【0148】
なお、位相差顕微鏡や微分干渉顕微鏡は、培養細胞や角膜などのように、透明度の高い被測定物体の撮影に好適に用いられる(たとえば、特開2007−219319号公報、特開2008−58852号公報を参照)。
【0149】
この発明に係る光画像計測装置により取得される画像の種類(OCT画像以外の画像)は、以上に説明した各種の例に限定されるものではなく、任意の種類の画像であってもよい。
【0150】
前述した波長可変光源をOCT計測において使用する場合、波長に応じて光の深達度が異なることを考慮すると、注目したい深度に適したOCT画像(たとえば、注目したい深度が明瞭に描写されたOCT画像)を取得することが可能である。
【0151】
また、深さ方向の分解能lcは次式(3)により表されることから、この関係を考慮することで波長の変化に応じて分解能の維持や調整を行うことが可能である。なお、次式(3)において、λ0は光源が発する光の中心波長を表し、Δλは光源が発する光の波長の半値幅を表す。
【0152】
【数2】

【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】この発明に係る光画像計測装置の実施の形態の構成の一例を表す概略構成図である。
【図2】この発明に係る光画像計測装置の実施の形態の制御系の構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図3】この発明に係る光画像計測装置の実施の形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。
【図4】この発明に係る光画像計測装置の実施の形態の変形例の構成の一例を表す概略構成図である。
【図5】この発明に係る光画像計測装置の実施の形態の変形例の動作態様の一例を表すフローチャートである。
【図6】この発明に係る光画像計測装置の実施の形態の構成の一例を表す概略構成図である。
【図7】この発明に係る光画像計測装置の実施の形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0154】
100、200、300 光画像計測装置
1 ハロゲンランプ
2 ターレット
2a、2b、30 フィルタ
2c エキサイタフィルタ
3 ビームスプリッタ
4、16 反射ミラー
5 波長板
6 偏光板
7 ガラス板
8、11 対物レンズ
9 参照鏡
10 参照鏡移動機構
12 開口絞り
13 結像レンズ(群)
14 偏光ビームスプリッタ
15 光路長補正部材
17、18 CCD
19、25、26 駆動機構
20 コンピュータ
21 制御部
22 表示部
23 操作部
24 信号処理部
40 バリアフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のビーム径を有する広帯域光を信号光と参照光とに分割し、信号光路を介して被測定物体を経由した前記信号光と参照光路を介して参照物体を経由した前記参照光とを干渉させて干渉光を生成し、干渉光路を介して導光された前記干渉光を検出して前記被測定物体の画像を形成する光画像計測装置であって、
前記参照光路を遮断する遮断手段と、
前記参照光路が遮断された状態において撮影光を出力する出力手段と、
前記出力手段から出力された撮影光を前記信号光路を介して前記被測定物体に照射し、前記被測定物体を経由した撮影光を前記信号光路及び前記干渉光路を介して導光する光学系と、
前記光学系を経由した撮影光を検出して画像を形成する画像形成手段と、
を備えることを特徴とする光画像計測装置。
【請求項2】
前記出力手段は、所定の波長成分を含む前記撮影光を出力し、
前記画像形成手段は、前記光学系を経由した前記所定の波長成分を検出して画像を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光画像計測装置。
【請求項3】
前記出力手段は、前記広帯域光を発生する光源と、前記発生された広帯域光の前記所定の波長成分を透過させるフィルタとを含み、
前記光学系は、前記フィルタを透過した波長成分を前記撮影光として前記被測定物体に照射する、
ことを特徴とする請求項2に記載の光画像計測装置。
【請求項4】
前記出力手段は、それぞれ異なる波長成分を透過させる複数の前記フィルタと、前記光源により発生された広帯域光の光路に前記複数のフィルタを択一的に配置させる制御手段とを含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の光画像計測装置。
【請求項5】
前記出力手段は、複数の異なる波長の撮影光を発生可能な波長可変光源と、前記波長可変光源を制御して前記複数の異なる波長の撮影光を順次に発生させる制御手段と含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の光画像計測装置。
【請求項6】
前記出力手段は、異なる波長の撮影光を出力する複数の光源と、前記複数の光源に択一的に撮影光を出力させる制御手段とを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の光画像計測装置。
【請求項7】
前記出力手段は、前記撮影光として前記広帯域光を発生する光源を含み、
前記光学系は、前記被測定物体を経由した前記広帯域光から所定の波長成分を抽出する抽出手段を含み、
前記画像形成手段は、前記抽出された所定の波長成分を検出して画像を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光画像計測装置。
【請求項8】
前記抽出手段は、前記被測定物体を経由した前記広帯域光の所定の波長成分を透過させるフィルタを含み、
前記画像形成手段は、前記フィルタを透過した所定の波長成分を検出して画像を形成する、
ことを特徴とする請求項7に記載の光画像計測装置。
【請求項9】
前記抽出手段は、それぞれ異なる波長成分を透過させる複数の前記フィルタと、前記被測定物体を経由した前記広帯域光の光路に前記複数のフィルタを択一的に配置させる制御手段とを含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の光画像計測装置。
【請求項10】
前記抽出手段は、前記被測定物体を経由した前記広帯域光を複数の波長成分に分散する分散部材を含み、
前記画像形成手段は、前記複数の波長成分のいずれかを検出して画像を形成する、
ことを特徴とする請求項7に記載の光画像計測装置。
【請求項11】
前記出力手段は、前記被測定物体における蛍光物質の励起波長成分を含む撮影光を出力し、
前記光学系は、前記励起波長成分を含む撮影光を前記被測定物体に照射するとともに、該撮影光を受けて前記蛍光物質から発せられた蛍光を前記信号光路及び前記干渉光路を介して導光し、
前記画像形成手段は、前記光学系を経由した蛍光を検出して、前記被測定物体における前記蛍光物質の分布画像を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光画像計測装置。
【請求項12】
前記出力手段は、前記広帯域光を発生する光源と、前記発生された広帯域光の前記励起波長成分を透過させるエキサイタフィルタとを含み、
前記光学系は、前記フィルタを透過した励起波長成分を前記撮影光として前記被測定物体に照射し、
前記光学系は、前記蛍光以外の波長成分を遮断するバリアフィルタを含み、
前記画像形成手段は、前記バリアフィルタを透過した蛍光を検出して前記分布画像を形成する、
ことを特徴とする請求項11に記載の光画像計測装置。
【請求項13】
前記出力手段は、前記撮影光として前記広帯域光を発生する光源を含み、
前記光学系は、前記光源により発生された広帯域光を前記被測定物体に照射し、
前記光学系は、前記蛍光以外の波長成分を遮断するバリアフィルタを含み、
前記画像形成手段は、前記バリアフィルタを透過した蛍光を検出して前記分布画像を形成する、
ことを特徴とする請求項11に記載の光画像計測装置。
【請求項14】
前記光学系は、前記信号光路及び前記干渉光路の双方にそれぞれリングスリットを備え、
前記画像形成手段は、前記双方のリングスリットを含む前記光学系を経由した撮影光を検出して位相差画像を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光画像計測装置。
【請求項15】
前記広帯域光を前記信号光と前記参照光とに分割する分割部材を備え、
前記参照光路には、前記参照物体としての参照鏡と、前記分割部材により前記広帯域光から分割された参照光を前記参照鏡に向けて反射し、前記参照鏡により反射された参照光を前記分割部材に向けて反射する反射鏡とが設けられ、
前記遮断手段は、前記反射鏡を移動させる駆動機構を含む、
ことを特徴とする請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載の光画像計測装置。
【請求項16】
前記遮断手段は、前記参照光を遮断するシャッタを含む、
ことを特徴とする請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載の光画像計測装置。
【請求項17】
前記シャッタは、前記参照光の進行方向に対して斜設されている、
ことを特徴とする請求項16に記載の光画像計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−264787(P2009−264787A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−111563(P2008−111563)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)
【Fターム(参考)】