説明

光終端装置

【課題】本発明は内部に光ファイバの余長部を収納する余長収納部を有した光終端装置に関し、光ファイバの接続処理及びその余長処理の容易化を図ることを課題とする。
【解決手段】下ケース11と、この下ケース11に着脱可能に装着される上ケース12と、回路基板13と、下ケース11と上ケース12が形成する内部空間内に配設されると共に外部光ファイバ15の余長部分を収納する外部光ファイバ巻回部37が形成されており、光インターフェースコネクタ42を装着できるベース部材14とを有しており、前記ベース部材14の上ケース12と対向する表面35に外部光ファイバ巻回部37を形成すると共に、ベース部材14の下ケース11と対向する背面37に記回路基板13を固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光終端装置に係り、特に内部に光ファイバの余長部を収納する余長収納部を有した光終端装置に関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット通信の高速化が図られており、電話回線やISDN回線に代わって光を用いたインターネット通信が行われるようになってきている。この光ファイバを使ったインターネット接続サービスを利用する場合、屋外から光ファイバを家宅内に引き込み、この光ファイバに光終端装置(ONU)を接続し、更にこの光終端装置の先に。イーサネット(登録商標)方式でLANやパーソナルコンピュータ(以下、PCと略称する)を接続する構成を採る。
【0003】
この光終端装置は、光・電気信号の変換と光信号の多重・分離を行う機能を有している。即ち、光終端装置は光ファイバの中を流れてきた光の信号を電気信号に変えたり、光ファイバへ送り出す電気信号を光の信号に変えたりする機能を奏するものである。
【0004】
従って、光ファイバを使ったインターネット接続サービスを利用する場合、必然的に家宅内に引き込んだ光ファイバを光終端装置に接続する作業が必要となる。この際、一般に家宅内に引き込んだ光ファイバには余長が発生するが、この光ファイバの余長分は従来から光終端装置内に収納することが行われている。
【0005】
この光ファイバの余長分を収納しうる光終端装置としては、例えば特許文献1に開示されたものがある。この光終端装置は、光ファイバの余長分を巻回ことにより収納する光ファイバ余長収納トレイを有している。そして、光ファイバを光終端装置に装着した際、余長となった光ファイバは光ファイバ余長収納トレイに形成された光ファイバ余長収納部に巻回する。その後に、光終端装置を構成するメイン基板や各種機器が配設された装置本体側筐体を光ファイバ余長収納トレイに取り付け、更に筐体側カバーを取り付けることにより光終端装置が組み立てられる構成とされていた。
【特許文献1】特開2002−258062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の光終端装置は、余長の光ファイバを収納する光ファイバ余長収納部が光終端装置の最も奥に位置していたため、宅内に引き込んだ光ファイバを光終端装置に接続するためには筐体側カバー及び装置本体側筐体を光ファイバ余長収納トレイから取り外す必要があり、また接続した後には再び筐体側カバー及び装置本体側筐体を光ファイバ余長収納トレイに取り付ける必要があり、その作業が面倒であるという問題点かあった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、光ファイバの接続処理及びその余長処理を容易に行いうる光終端装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題は、本発明の第1の観点からは、
下ケース(11)と、
該下ケース(11)に着脱可能に装着される上ケース(12)と、
各種部品が搭載された回路基板(13)と、
前記下ケース(11)と前記上ケース(12)が形成する内部空間内に収納されると共に、外部から引き込まれる外部光ファイバ(15)の余長部分を収納する外部光ファイバ巻回部(37)が形成されてなるベース部材(14)とを有しており、
前記ベース部材(14)の前記上ケース(12)と対向する表面(35)に前記外部光ファイバ巻回部(37)を形成すると共に、前記ベース部材(14)の前記下ケース(11)と対向する背面に前記回路基板(13)を固定してなる光終端装置により解決することができる。
【0009】
また上記発明において、前記ベース部材(14)の前記表面(35)には、内部光ファイバ(41)を巻回する内部光ファイバ巻回部(38)が形成されていることが望ましい。また、前記ベース部材(14)の前記表面(35)には、一端に前記外部光ファイバ(40)が接続されると共に他端に前記内部ファイバ(41)が接続される光インターフェースコネクタ(42)が配設されていることが望ましい。
【0010】
また上記発明において、前記基板にLED(25)を保持するLEDホルダ(26)を立設し、前記LED(25)が前記ベース部材(14)の前記表面(35)の高さ位置で発光するよう構成することが望ましい。
【0011】
尚、上記参照符号は、あくまでも参考であり、これによって、特許請求の範囲の記載が限定されるものではない。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ベース部材の上ケースと対向する表面に余長収納部を形成しているため、上ケースを取り外すだけで余長収納部が外部に露出するため、直ちに光ファイバの接続処理及び余長処理を行うことができる。これにより、光ファイバの接続処理及び余長処理を容易かつ短時間で行うことが可能となる。また、回路基板がベース部材の背面に固定されているため、ベース部材及び配線基板が組み立て状態で装置として機能するため、配線基板を上又は下ケースに配設する構成に比べ、検査、工事等で取り扱いしやすく、光ファイバの引き回しが簡単で、装置のコンパクト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面と共に説明する。
【0014】
図1は本発明の一実施形態である光終端装置10の分解斜視図であり、図2は光終端装置10の外観図であり、図3は回路基板13が取り付けられたベース部材14を示す図であり、図4はベース部材14を示す図であり、また図5は回路基板13を示す図である。
【0015】
この光終端装置10は、大略すると下ケース11、上ケース12、回路基板13、及びベース部材14等により構成されている。
【0016】
下ケース11及び上ケース12は樹脂製であり、組み合わされることにより内部に回路基板13及びベース部材14等を収納する収納空間を形成する。下ケース11は、底板部11aの外周に短辺側壁11b及び長辺側壁11cを立設した有底形状を有している。
【0017】
この底板部11a及び短辺側壁11bには、多数の放熱孔18が形成されている。また、底板部11aの図中矢印X1方向側の角部にはボス16が立設されており、このボス16にはネジ17が挿通される構成とされている。このネジ17は、上ケース12を下ケース11に固定するために用いられるものである。更に、図中矢印X2方向側の短辺側壁11bには、後述するLANコネクタ28及び電源コネクタ29を外部に露出するための開口部23が形成されている。
【0018】
また、長辺側壁11cの内側には、片側に2個、双方の長辺側壁11cで合計4個の係止突起20が形成されている。更に、下ケース11で図中矢印X1方向側に形成された短辺側壁11bの内側にも係止突起20が形成されている。尚、係止突起20は図1に1個のみが図示されるのみであるが、上記した五箇所に夫々形成されている。
【0019】
この係止突起20は、後述するように、ベース部材14が下ケース11に装着される際、ベース部材14の長辺側壁14aに形成された固定係合孔48及び第1の可動係合孔49と、またベース部材14の短辺側壁14bに形成された第2の可動係合孔51と係合するよう構成されている。上記した五箇所に形成された係止突起20が固定係合孔48、第1の可動係合孔49、及び第2の可動係合孔51と係合することにより、ベース部材14は下ケース11に固定される。
【0020】
尚、固定係合孔48、第1の可動係合孔49、及び第2の可動係合孔51は、後述するように係止突起20に対して離脱可能な構成となっており、よってベース部材14は下ケース11に対して装着脱可能な構成となっている。
【0021】
上ケース12は、フロントパネル12aの外周に短辺側壁12b及び長辺側壁12cを立設した形状とされている。フロントパネル12aには複数の放熱孔22が形成されると共に、光終端装置10の動作表示を行う複数LED25と対応したLED用窓21が形成されている。また、フロントパネル12aの内側で図中矢印X1方向の過渡部には、前記したネジ17が螺着されるネジボス(図に現れず)が形成されている。
【0022】
回路基板13は、ベース部材14と対向する面にLED25、光モジュール27、LANコネクタ28、電源コネクタ29、及び図示しない電子部品や光電部品が搭載されており、光電変換処理を初めとして各種処理を実行する光終端回路を形成している。この回路基板13は、ベース部材14の背面36に配設される。
【0023】
具体的には、ベース部材14の背面の四隅近傍位置には、ネジ孔が形成された柱部45が立設されている。また、回路基板13の四隅位置にはネジ31を挿通する挿通孔が形成されている。この挿通孔はベース部材14に形成された柱部45の配設位置と対応しており、よって回路基板13の挿通孔と柱部45とを位置決めし、挿通孔を介してネジ31を柱部45のネジ孔に螺着することにより、回路基板13はベース部材14に固定される。
【0024】
回路基板13に配設されるLED25は、前記のように光終端装置10の動作表示を行うものである。一般にLED25は基板上に配設されるが、本実施形態では回路基板13と上ケース12のフロントパネル12aに形成されたLED用窓21とが離間した構成とされている。このため、回路基板13にLEDホルダ26を立設させ、このLEDホルダ26の先端部にLED25を配設した構成としている。
【0025】
また、ベース部材14にはLEDホルダ26を挿通する開口部47が形成されている。これにより、LED25とLED用窓21を近接させることができ、上ケース12の外部から光終端装置10の動作を確実に確認することができる。
【0026】
光モジュール27は、主に光電変換を行うモジュールであり、一端に設けられた接続部30に内部光ファイバ41(図3(B)参照)の一端部が接続される。また、LANコネクタ28はPC等と接続するためのLANケーブルが接続されるものであり、本実施形態では2個が並設された構成とされている。
【0027】
また、このLANコネクタ28の側部には、回路基板13に電源供給を行うための電源コネクタ29が設けられている。本実施形態では、高背部品であるLEDホルダ26、光モジュール27、LANコネクタ28、及び電源コネクタ29が回路基板13の外周に沿って配設されているため、回路基板13の中央近傍位置におけるスペース効率(特に、高さ方向であるZ1,Z2方向のスペース効率)を高めた構成としている。
【0028】
次に、ベース部材14について説明する。ベース部材14は樹脂成型品であり、その表面35には外部光ファイバ巻回部37、内部光ファイバ巻回部38、放熱孔46、固定係合孔48、第1の可動係合孔49、第2の可動係合孔51、及び固定部材装着部56等が形成されている。また、ベース部材14の表面35の所定位置には、コネクタ装着部33が形成されている(図4(B)参照)。このコネクタ用開口33には、光インターフェースコネクタ42が配設される。また、ベース部材14の背面36には、前記したように回路基板13を固定するための柱部45が形成されている。
【0029】
外部光ファイバ巻回部37は、光終端装置10の設置時において外部から光終端装置10内に引き込まれる光ファイバ15の余長部分(以下、この光ファイバ15の余長部分を外部光ファイバ40という)を巻回することにより収納するものである。この外部光ファイバ巻回部37は、外部光ファイバ巻回部37に立設された外側案内壁58と内側案内壁59とにより構成されている。
【0030】
外部光ファイバ40は、この外部光ファイバ巻回部37を構成する外側案内壁58及び内側案内壁59に案内され、その内部空間内に巻回される。また、外部光ファイバ巻回部37は、図3(B)及び図4(B)に示すように、正面視で長楕円形状とされている。尚、外部光ファイバ40は、図示の便宜上図3(B)にのみ図示している。
【0031】
内部光ファイバ巻回部38は、光終端装置10内において光インターフェースコネクタ42と光モジュール27とを接続する光ファイバ(以下、この光ファイバを内部光ファイバ41という)の余長部分を巻回することにより収納するものである。この内部光ファイバ巻回部38は、ベース部材14に形成された環状の溝により形成されている。
【0032】
内部光ファイバ41は、溝形状とされた内部光ファイバ巻回部38の内部に巻回される。この内部光ファイバ41の一端部には光コネクタ44が配設されており、この光コネクタ44は、ベース部材14の表面35に配設された光インターフェースコネクタ42の一端に接続される。
【0033】
この光インターフェースコネクタ42の他端には、外部光ファイバ40の端部に配設された光コネクタ43が接続される。よって、光インターフェースコネクタ42を介して外部光ファイバ40と内部光ファイバ41は光学的に接続される。
【0034】
また、内部光ファイバ巻回部38は、図3(B)及び図4(B)に示すように、正面視で略円形状とされている。この際、内部光ファイバ巻回部38の直径は60mm以上に設定されている。これは、内部光ファイバ巻回部38の直径を60mm未満とすると、内部光ファイバ41の屈曲が大きくなり、光信号の伝搬に悪影響が発生するからである。尚、内部光ファイバ41も図示の便宜上、図3(B)にのみ図示している。
【0035】
放熱孔46は、ベース部材14の外部光ファイバ巻回部37、内部光ファイバ巻回部38、及びコネクタ装着部33の形成位置を除く位置に穿設されている。回路基板13に配設される各種電子部品や光電部品は多量の熱を発生する。しかしながら、下ケース11に形成された放熱孔18、ベース部材14に形成された放熱孔46、及び上ケース12に形成された放熱孔22から、上記の電子部品や光電部品から発生する熱を効率よく放熱することができる。
【0036】
固定係合孔48は、ベース部材14の各長辺側壁14aに夫々形成されている。また固定係合孔48の形成位置は、長辺側壁14aの図中矢印X2方向の端部近傍位置に設定されている。この固定係合孔48は、ベース部材14を下ケース11に装着する際、下ケース11に形成された係止突起20と係合するよう構成されている。
【0037】
上記装着時において、係止突起20を固定係合孔48に係合する手順は次の通りである。即ち、先ず固定係合孔48の形成位置と係止突起20の形成位置を位置合わせした上で、ベース部材14を下ケース11に押圧して挿入する。この際、ベース部材14を下ケース11に向け押圧することにより、係止突起20に押されて長辺側壁11cは外側に弾性変形する。更にベース部材14を下ケース11に向け押圧すると、係止突起20は固定係合孔48に向け進行し、やがて係止突起20は固定係合孔48内に係合する。これにより、図中矢印X2方向側において、ベース部材14は下ケース11に係止された状態となる。
【0038】
尚、固定係合孔48の形状は、係止突起20の形状に比べて大きく設定されているため、係止突起20が固定係合孔48に係合した状態において、ベース部材14は下ケース11に対して若干変位可能な構成となっている。
【0039】
また、ベース部材14を下ケース11から離脱させるには、ベース部材14を下ケース11に対して強く引き出す。これにより、長辺側壁11cは弾性変形して係止突起20は固定係合孔48から離脱し、よって係止突起20と固定係合孔48との係合は解除される。よって、下ケース11からベース部材14を取り出すことができる。
【0040】
第1の可動係合孔49も、ベース部材14の各長辺側壁14aに夫々形成されている。この第1の可動係合孔49の形成位置は、長辺側壁14aの図中矢印X1方向の端部近傍位置に設定されている。この第1の可動係合孔49も、ベース部材14を下ケース11に装着する際、下ケース11に形成された係止突起20と係合するよう構成されている。
【0041】
ここで、第1の可動係合孔49の形成位置に注目すると、長辺側壁14aの第1の可動係合孔49の形成位置の周囲には略U字上のスリット53が形成されることにより、第1の舌片部50が形成されている。そして、第1の可動係合孔49は、第1の舌片部50に形成された構成とされている(図3(A),(C)、図4(A),(C)参照)。この第1の舌片部50は、図1に矢印Aで示すように長辺側壁14aに対して弾性変形可能な構成とされている。
【0042】
係止突起20を第1の可動係合孔49に係合する手順は次の通りである。即ち、先ず第1の可動係合孔49の形成位置と係止突起20の形成位置を位置合わせし、その上でベース部材14を下ケース11に押圧して挿入する。
【0043】
この際、第1の舌片部50は片持ち梁状とされているため、ベース部材14を下ケース11に向け押圧することにより内側に向け弾性変形し、第1の可動係合孔49が係止突起20と係合した時点で変形前の状態に弾性復元する。これにより、係止突起20は第1の可動係合孔49に係合し、これにより図中矢印X1方向側においてベース部材14は下ケース11に係止された状態となる。
【0044】
第2の可動係合孔51は、ベース部材14の矢印X1方向側の短辺側壁14bに形成されている。この第2の可動係合孔51は、前記した第1の可動係合孔49と略同一の構成とされており、ベース部材14を下ケース11に装着する際に下ケース11に形成された係止突起20と係合するよう構成されている。
【0045】
また、短辺側壁14bの第2の可動係合孔51の形成位置の周囲には略U字上のスリット54が形成されることにより、第2の舌片部52が形成されている。第2の可動係合孔51は、この第2の舌片部52に形成された構成とされている(図3(E)、図4(E)参照)。この第2の舌片部52は、図1に矢印Bで示すように短辺側壁14bに対して弾性変形可能な構成とされている。
【0046】
ベース部材14を下ケース11に装着するには、先ず第2の可動係合孔51の形成位置と係止突起20の形成位置を位置合わせした上で、ベース部材14を下ケース11に押圧して挿入する。この際、第2の舌片部52は片持ち梁状とされているため、ベース部材14を下ケース11に向け押圧することにより内側に向け弾性変形し、第2の可動係合孔51が係止突起20と係合した時点で変形前の状態に弾性復元する。これにより、係止突起20は第2の可動係合孔51に係合し、これによっても図中矢印X1方向側においてベース部材14は下ケース11に係止される。
【0047】
また、ベース部材14を下ケース11から離脱させるには、第1及び第2の舌片部50,52を内側に押して弾性変形させる。ベース部材14を下ケース11に装着した状態で、長辺側壁14aの一部は下ケース11上に露出し(この部分は、上ケース12により覆われる)、よって第1の舌片部50の一部も下ケース11から露出するよう構成されている。この第1及び第2の舌片部50,52の下ケース11から露出した部分を内側に向け変形させることにより、第1及び第2の可動係合孔49,51と係止突起20との係合は解除される。よって、この状態でベース部材14を下ケース11から引き出すことにより、ベース部材14を下ケース11から取り出すことができる。
【0048】
尚、上記した実施形態では第1及び第2の舌片部50,52の一部が下ケース11から露出するよう構成し、この露出部分を押圧することにより第1及び第2の可動係合孔49,51と係止突起20との係合を解除する構成とした。しかしながら、第2の舌片部52を下ケース11内に隠す構成とすると共に、この短辺側壁14bの第2の舌片部52と対向する位置に、前記した放熱孔18に模したダミー穴19(図1,図2(E)参照)を形成した構成としてもよい。
【0049】
このダミー穴19を設けた構成においてベース部材14を下ケース11から取り出すには、ダミー穴19から治具(ドライバー等)を挿入することにより第2の舌片部52を内側に変位させ、第2の可動係合孔51と係止突起20との係合を解除する。これにより、ベース部材14は下ケース11から若干上方(Z1方向)に変位可能な状態となる。また、第1の可動係合孔49と係止突起20との係合の解除、及び固定係合孔48と係止突起20との係合の解除は上記と同様に行う。
【0050】
このように、ダミー穴19を設けた構成では、ダミー穴19の存在を知らない者はベース部材14を下ケース11から取り外すことができなくなる。よって、ベース部材14を下ケース11から誤って取り外される事故を確実に防止することができる。
【0051】
一方、固定部材装着部56は矩形状の溝部であり、ベース部材14の隅部で外部光ファイバ巻回部37の近傍位置に設けられている。また、固定部材装着部56は、その内部に光ファイバ固定部材55が装着しうる構成とされている。
【0052】
この固定部材装着部56は、光ファイバ固定部材55と共に装置外部から引き込まれる光ファイバ15を光終端装置10に固定する機能を奏する。光ファイバ固定部材55は、一対の固定部材半体を継手部で接続した構成とされており、この一対の固定部材半体間に光ファイバ15を挿入装着し、この状態で光ファイバ固定部材55を固定部材装着部56に装着することにより光ファイバ15はベース部材14に固定される。よって、光ファイバ15のベース部材14に対する固定作業を極めて容易に行うことができる。
【0053】
ここで、上記構成とされたベース部材14を下ケース11に装着脱する処理について説明する。
【0054】
ベース部材14を下ケース11に装着するには、予め回路基板13をベース部材14に固定しておく。具体的には、内部光ファイバ41の一端に設けられた光コネクタ44をベース部材14の表面35に配設された光インターフェースコネクタ42に接続すると共に、内部光ファイバ41の余長部分を内部光ファイバ巻回部38に巻回した上で、他端部を光モジュール27の接続部30に接続する。続いて、回路基板13を柱部45に位置決めし、ネジ31を柱部45のネジ孔に螺合させる。これにより、回路基板13はベース部材14に固定された状態となる。
【0055】
上記した本実施形態に係る光終端装置10は、回路基板13をベース部材14に固定することにより、下ケース11及び上ケース12には電子部品や光電部品は全く設けられてない。このため、光終端装置10の製造時に実施される試験工程においては、回路基板13が固定されたベース部材14を各ケース11,12に収納する前に、回路基板13が固定されたベース部材14の状態で検査を行うことができる。このため、不良発生時にベース部材14を各ケース11,12から取り外す作業を不要とすることができ、検査効率の向上を図ることができる。
【0056】
また、本実施形態に係る光終端装置10は、ベース部材14の上ケース12と対向する表面35に外部光ファイバ巻回部37及び内部光ファイバ巻回部38を形成している。このため、光ファイバ15を光終端装置10に接続する際、上ケース12を取り外すだけで外部光ファイバ巻回部37及び内部光ファイバ巻回部38が外部に露出するため、直ちに各光ファイバ15,40,41の接続処理及び余長処理を行うことができる。
【0057】
これにより、各光ファイバ15,40,41の接続処理及び余長処理を容易かつ短時間で行うことが可能となる。また、必要に応じて回路基板13が固定されたベース部材14を下ケース11から取り外した状態で接続処理及び余長処理を行うことも可能である。
【0058】
更に本実施形態に係る光終端装置10は、回路基板13がベース部材14の背面36に固定されているため、回路基板13を上又は下ケース11,12に配設する構成に比べ、各光ファイバ15,40,41の引き回しが簡単化し、光終端装置10のコンパクト化を図ることができる。
【0059】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、本発明の一実施形態である光終端装置の分解斜視図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態である光終端装置の外観を示す図であり、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は底面図、(D)は左側面図、(E)は右側面、(F)は背面図である。
【図3】図3は、回路基板が取り付けられた状態のベース部材を示す図であり、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は底面図、(D)は左側面図、(E)は右側面、(F)は背面図である。
【図4】図4は、回路基板が取り外された状態のベース部材を示す図であり、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は底面図、(D)は左側面図、(E)は右側面、(F)は背面図である。
【図5】図5は、回路基板を示す図であり、(A)は正面図、(B)は底面図、(C)は左側面図、(D)は右側面図である。
【符号の説明】
【0061】
10 光終端装置
11 下ケース
12 上ケース
13 回路基板
14 ベース部材
15 光ファイバ
20 係止突起
21 LED用孔
25 LED
26 LEDホルダ
27 光モジュール(光トランシーバー、ビッグテールタイプ)
28 LANコネクタ
29 電源コネクタ
30 接続部(光トランシーバファイバ接続部)
35 表面
36 背面
37 外部光ファイバ巻回部
38 内部光ファイバ巻回部
39 鍔部
40 外部光ファイバ
41 内部光ファイバ
42 光インターフェースコネクタ(SCコネクタアダプタ)
43,44 光コネクタ(SCコネクタプラグ)
48 固定係合孔
49 第1の可動係合孔
50 第1の舌片部
51 第2の可動係合孔
52 第2の舌片部
53,54 スリット
55 光ファイバ固定部材
56 固定部材装着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下ケースと、
該下ケースに着脱可能に装着される上ケースと、
各種部品が搭載された回路基板と、
前記下ケースと前記上ケースが形成する内部空間内に収納されると共に、外部から引き込まれる外部光ファイバの余長部分を収納する第1の余長収納部が形成されてなるベース部材とを有しており、
前記ベース部材の前記上ケースと対向する表面に前記余長収納部を形成すると共に、前記ベース部材の前記下ケースと対向する背面に前記回路基板を固定してなる光終端装置。
【請求項2】
前記ベース部材の前記表面には、内部光ファイバを巻回する第2の余長収納部が形成されている請求項1記載の光終端装置。
【請求項3】
前記ベース部材の前記表面には、一端に前記外部光ファイバが接続されると共に他端に前記内部ファイバが接続される光インターフェースコネクタが配設されてなる請求項2記載の光終端装置。
【請求項4】
前記基板にLEDを保持するLED保持部材を立設し、前記LEDが前記ベース部材の前記表面の高さ位置で発光するよう構成した請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光終端装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−198603(P2009−198603A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−37881(P2008−37881)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】