説明

光結合部材及びこれを用いた光コネクタ、並びに、光結合部材用保持部材

【課題】コストの上昇を抑制しつつ、簡単にレンズと光ファイバとの位置決めを行うこと。
【解決手段】光ファイバ(13)と、一端に形成された挿入孔(11a)から挿入された光ファイバ(13)を保持するホルダ(11)と、ホルダ(11)の他端に形成された収容部(11c)に収容されるコリメータレンズ(12)などのレンズとを具備し、ホルダ(11)の収容部(11c)近傍の外周に陥没部(11e)を設けることで収容部(11c)近傍に形成される当接面(11e、11e)にレンズ及び光ファイバ(13)の端面の少なくとも一方を当接させて位置決めを行う光結合部材において、光ファイバ(13)の挿入方向と直交する同一平面上に複数の陥没部(11e)を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子からの光を集光して光ファイバに入射したり、光ファイバから出射する光を受光素子に集光したりする場合に使用される光結合部材及びこれを用いた光コネクタ、並びに、光結合部材用保持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
光結合部材は、光源から出射される光を光ファイバ内で伝搬させ、必要に応じて空中に出射させる際、或いは、空中を伝搬する光を光ファイバ内に入射させる際に使用される。このような光結合部材においては、伝搬損失を抑えるために光ファイバの端面とレンズとの位置決めを適切に行う必要がある。従来、このような光ファイバの端面とレンズとの位置決めを行う方法として、別部材のスペーサを保持部材内に挿入する方法や(例えば、特許文献1参照)、保持部材自体にスペーサ部を設ける方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−241094号公報
【特許文献2】実開平5−38606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、光ファイバを用いて機器間若しくは機器内での大容量通信を行うことが検討されている。このような用途で使用される光結合部材においては、形状面においてその寸法が小さいこと、機器面において抜き差しが繰り返されても光ファイバとレンズとの位置関係が維持されることが要求される。
【0005】
このような光結合部材における光ファイバの端面とレンズとの位置決めにも、特許文献1又は特許文献2による方法を適用することが考えられる。しかしながら、別部材のスペーサを保持部材内に挿入する作業や保持部材自体にスペーサ部を設ける作業は、光結合部材の寸法が小さくなるほど困難となり、その作業に要するコストが上昇するという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、コストの上昇を抑制しつつ、簡単にレンズと光ファイバとの位置決めを行うことができる光結合部材及びこれを用いた光コネクタ、並びに、光結合部材用保持部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光結合部材は、光ファイバと、一端に形成された挿入孔から挿入された前記光ファイバを保持する保持部材と、前記保持部材の他端に形成された収容部に収容されるレンズとを具備し、前記保持部材の収容部近傍の外周に陥没部を設けることで形成される当接面に前記レンズ及び光ファイバの端面の少なくとも一方を当接させて位置決めを行う光結合部材であって、前記陥没部を前記光ファイバの挿入方向と直交する同一平面上に複数設けたことを特徴とする。
【0008】
上記光結合部材によれば、保持部材に陥没部を設けることで形成される当接面にレンズ及び光ファイバの少なくとも一方を当接させて位置決めするようにしたことから、陥没部を基準としてレンズ及び/又は光ファイバを位置決めすることができるので、従来のように、別部材のスペーサをホルダ保持部材内に挿入する場合や、保持部材自体にスペーサ部を設ける場合と比べて、作業効率を向上することができ、コストの上昇を抑制しつつ、簡単にレンズと光ファイバとの位置決めを行うことが可能となる。特に、光ファイバの挿入方向と直交する同一平面上に複数の陥没部が設けられることから、レンズ及び/又は光ファイバをそれぞれ複数の位置で当接面に当接させることができるので、より高精度にレンズ及び/又は光ファイバの位置決めを行うことが可能となる。
【0009】
上記光結合部材においては、前記光ファイバに対向する前記当接面の角度を、前記光ファイバの挿入方向と直交する平面に対して20°以下とし、前記光ファイバの端面の一部を前記当接面に当接させることが好ましい。このように光ファイバに対向する当接面の角度を、光ファイバの挿入方向と直交する平面に対して20°以下とすることにより、光ファイバが、コアとこのコアを被覆するクラッド、必要によりこのクラッドを被覆して補強する補強層とから構成され、これらの端面が同一平面上に配置される光ファイバ(例えば、プラスチック光ファイバ)で構成される場合に、光ファイバの端面を当接面に当接させることで、これらの位置精度を確保し易くすることが可能となる。このため、当接面の角度は、0°が最も好ましいが、20°以下であれば所望の位置精度を確保することが可能となる。
【0010】
また、上記光結合部材においては、前記光ファイバに対向する前記当接面の角度を、前記光ファイバの挿入方向と直交する平面に対して30°以上80°以下とし、前記光ファイバを構成する補強層の一部を前記当接面に当接させ、当該当接部よりも前記レンズ側に前記光ファイバを構成するコア及びクラッドの端面を配置することが好ましい。通常、ガラス光ファイバには、クラッドを被覆する補強層が設けられ、保持部材に挿入する場合は端部の補強層が剥かれ、コア及びクラッドの端面が補強層の平面よりも突出した状態となっている。このようなガラス光ファイバが用いられる場合においても、上述したように光ファイバに対向する当接面の角度を、光ファイバの挿入方向と直交する平面に対して30°以上80°以下とすることにより、特に当接面で囲まれた狭い間隙への光ファイバの挿入をスムーズにし、挿入時におけるこれらの位置精度を確保し易くすることが可能となる。
【0011】
さらに、上記光結合部材においては、前記光ファイバに対向する前記当接面の角度と、前記レンズに対向する前記当接面の角度とを前記光ファイバの挿入方向と直交する平面に対して異なる角度とすることが好ましい。このように陥没部におけるレンズに対向する当接面の角度と、光ファイバに対向する当接面の角度とを異なる角度とすることで、形状の異なるレンズと光ファイバとを効果的に位置決めすることが可能となる。
【0012】
さらに、上記光結合部材においては、前記レンズに対向する前記当接面を傾斜面とし、前記光ファイバの挿入方向と直交する平面に対する前記傾斜面の角度を0°以上45°以下とし、前記レンズの一部を前記傾斜面に当接させることが好ましい。この場合には、レンズにおける光ファイバ側の一部を支持した状態で位置決めすることができるので、レンズの位置精度を高めることが可能となる。
【0013】
さらに、上記光結合部材においては、前記レンズに対向する前記当接面に除去加工を施すことが好ましい。このようにレンズに対向する当接面の表面に除去加工を施すことで、陥没部におけるレンズに対向する当接面を平滑化することができるので、レンズの損傷を防止することができると共に、レンズの位置精度を高めることが可能となる。なお、除去加工方法としては、切削加工、プレス(押圧)加工、研削加工、エネルギービーム加工などが挙げられる。
【0014】
本発明の光コネクタは、上述したいずれかの態様の光結合部材を接続することを特徴とする。この光コネクタによれば、上述した光結合部材で得られる作用効果を得ることが可能となる。
【0015】
本発明の光結合部材用保持部材は、光ファイバを保持する保持体と、前記保持体の一端に設けられ、レンズを収容するための収容部と、前記保持体の他端に設けられ、前記光ファイバを挿入するための挿入孔とを具備し、前記保持体の前記収容部の近傍の外周に陥没部を設けることで形成される当接面に前記レンズ及び光ファイバの端面の少なくとも一方を当接させて位置決めを行う光結合部材用保持部材であって、前記陥没部を前記光ファイバの挿入方向と直交する同一平面上に複数設けたことを特徴とする。
【0016】
上記光結合部材用保持部材によれば、保持体の収容部の近傍に陥没部を設けることでレンズ及び光ファイバの少なくとも一方を当接させて位置決めを行うための当接面を形成したことから、陥没部を基準としてレンズ及び/又は光ファイバを位置決めすることができるので、従来のように、別部材のスペーサをホルダ保持部材内に挿入する場合や、保持部材自体にスペーサ部を設ける場合と比べて、作業効率を向上することができ、コストの上昇を抑制しつつ、簡単にレンズと光ファイバとの位置決めを行うことが可能となる。特に、光ファイバの挿入方向と直交する同一平面上に複数の陥没部が設けられることから、レンズ及び/又は光ファイバをそれぞれ複数の位置で当接面に当接させることができるので、より高精度にレンズ及び/又は光ファイバの位置決めを行うことが可能となる。
【0017】
上記光結合部材用保持部材においては、前記挿入孔を介して挿入された前記光ファイバと対向する前記当接面の角度を、前記光ファイバの挿入方向と直交する平面に対して20°以下することが好ましい。このように光ファイバに対向する当接面の角度を、光ファイバの挿入方向と直交する平面に対して20°以下とすることにより、光ファイバが、コアとこのコアを被覆するクラッド、必要によりこのクラッドを被覆して補強する補強層とから構成され、これらの端面が同一平面上に配置される光ファイバ(例えば、プラスチック光ファイバ)で構成される場合に、光ファイバの端面を当接面に当接させることで、これらの位置精度を確保し易くすることが可能となる。
【0018】
また、上記光結合部材用保持部材においては、前記挿入孔を介して挿入された前記光ファイバと対向する前記当接面の角度を、前記光ファイバの挿入方向と直交する平面に対して30°以上80°以下とすることが好ましい。通常、ガラス光ファイバには、クラッドを被覆する補強層が設けられ、保持体に挿入する場合は端部の補強層が剥かれ、コア及びクラッドの端面が補強層の平面よりも突出した状態となっている。このようなガラス光ファイバが用いられる場合においても、上述したように光ファイバに対向する当接面の角度を、光ファイバの挿入方向と直交する平面に対して30°以上80°以下とすることにより、特に当接面で囲まれた狭い間隙への光ファイバへの挿入をスムーズにし、挿入時におけるこれらの位置精度を確保し易くすることが可能となる。
【0019】
さらに、上記光結合部材用保持部材においては、前記挿入孔を介して挿入された前記光ファイバと対向する前記当接面の角度と、前記収容部に収容された前記レンズと対向する前記当接面の角度とを前記光ファイバの挿入方向と直交する平面に対して異なる角度とすることが好ましい。このように陥没部におけるレンズに対向する当接面の角度と、光ファイバに対向する当接面の角度とを異なる角度とすることで、形状の異なるレンズと光ファイバとの効果的に位置決めすることが可能となる。
【0020】
さらに、上記光結合部材用保持部材においては、前記収容部に収容された前記レンズと対向する前記当接面を傾斜面とし、前記光ファイバの挿入方向と直交する平面に対する前記傾斜面の角度を0°以上45°以下とすることが好ましい。この場合には、レンズにおける光ファイバ側の一部を支持した状態で位置決めすることができるので、レンズの位置精度を高めることが可能となる。
【0021】
さらに、上記光結合部材用保持部材においては、前記収容部に収容された前記レンズと対向する前記当接面に除去加工を施ことが好ましい。この場合には、レンズに対向する当接面の表面に除去加工が施されることから、陥没部におけるレンズに対向する当接面を平滑化することができるので、レンズの損傷を防止することができると共に、レンズの位置精度を高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、保持部材に陥没部を設けることで形成される当接面にレンズ及び光ファイバの少なくとも一方を当接させて位置決めするようにしたことから、陥没部を基準としてレンズ及び/又は光ファイバを位置決めすることができるので、従来のように、別部材のスペーサをホルダ保持部材内に挿入する場合や、保持部材自体にスペーサ部を設ける場合と比べて、作業効率を向上することができ、コストの上昇を抑制しつつ、簡単にレンズと光ファイバとの位置決めを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る光結合部材としての光コリメータが接続される光コネクタを模式的に示す側断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る光コリメータの側面図である。
【図3】図2に示すA−Aにおける断面図である。
【図4】図3に示す二点鎖線B内の拡大図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る光コリメータの側面図である。
【図6】図5に示すF−Fにおける断面図である。
【図7】図6に示す二点鎖線G内の拡大図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る光コリメータの側面図である。
【図9】図8に示すJ−Jにおける断面図である。
【図10】図9に示す二点鎖線K内の拡大図である。
【図11】光結合部材の要部周辺の拡大図である。
【図12】第1の変形例に係る光コリメータの側面図である。
【図13】図12に示すL−Lにおける断面図である。
【図14】図13に示す二点鎖線M内の拡大図である。
【図15】第2の変形例に係る光コリメータの側面図である。
【図16】図15に示すN−Nにおける断面図である。
【図17】図16に示す二点鎖線O内の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。まず、本発明に係る光結合部材としての光コリメータが接続される光コネクタについて説明する。図1は、本発明に係る光結合部材としての光コリメータが接続される光コネクタを模式的に示す側断面図である。なお、図1においては、説明の便宜上、光コリメータに出射する光源として半導体レーザチップ及びこの半導体レーザチップの光軸上に光学レンズを備える光コネクタについて説明するが、光コネクタの構成については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。
【0025】
図1に示すように、本発明に係る光コリメータが接続される光コネクタ100は、半導体レーザチップ101をケース102のマウント台103上に配置すると共に、この半導体レーザチップ101の光軸上に光学レンズ104を配置して成る半導体レーザユニット105を備えている。また、光コネクタ100は、開口部106がケース102の側面102aに取り付けられ、挿入口107から挿入された光コリメータ10のホルダ11を保持するアダプタ108を備えている。
【0026】
半導体レーザユニット105において、半導体レーザチップ101から出射されるレーザ光は、光学レンズ104により平行光とされ、開口部106に導かれる。そして、この光学レンズ104からの平行光は、光コリメータ10のコリメータレンズ12により集光され、光ファイバ13に入射される。そして、このように入射された光が、光ファイバ13内を伝搬される。
【0027】
本実施の形態に係る光コネクタ100においては、アダプタ108の所定位置まで光コリメータ10が挿入されると、光学レンズ104とコリメータレンズ12との位置合わせが行われ、半導体レーザチップ101からのレーザ光が適切に光ファイバ13に入射できるように設計されている。以下、このような光コネクタ100に接続される本実施の形態に係る光コリメータ10の構成について説明する。
【0028】
(第1の実施の形態)
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る光コリメータ10の側面図である。図3は、図2に示すA−Aにおける断面図である。図2に示すように、第1の実施の形態に係る光コリメータ10は、概して円筒形状を有する保持部材としてのホルダ11と、このホルダ11の一端部に保持されるコリメータレンズ12と、ホルダ11の他端部に設けられた挿入孔11aから挿入される光ファイバ13とを含んで構成されている。なお、本実施の形態に係る光コリメータ10においては、光ファイバ13としてプラスチック光ファイバが好適に挿入される。
【0029】
ホルダ11は、例えば、金属材料で形成される。ホルダ11を構成する金属材料としては、特に加工性の点から、オーステナイト系ステンレスで形成されることが好ましい。
【0030】
また、ホルダ11は、樹脂材料やセラミックス材料に成型加工を施して形成される。樹脂材料としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー(ABS)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)などを使用できる。これらの樹脂材料に対して、射出成型、押出し成型及びプレス成型などの各種成型を施すことでホルダ11が形成される。
【0031】
また、セラミックス材料としては、例えば、ジルコニア、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素などを使用できる。これらのセラミックス材料に対して、射出成型、押出し成型及びプレス成型などの各種成型を施すことでホルダ11が形成される。さらに、ホルダ11を構成する材料として、ガラス及び結晶化ガラスなども使用できる。
【0032】
図3に示すように、ホルダ11におけるコリメータレンズ12側の端部には、開口部11bが設けられている。この開口部11bの内側には、コリメータレンズ12を収容する収容部11cが設けられている。この収容部11cは、コリメータレンズ12の直径よりも僅かに小さい寸法に設けられ、コリメータレンズ12が圧入可能に構成されている。収容部11cは、コリメータレンズ12の表面の損傷を防止するためにコリメータレンズ12全体をその内側に収容可能な寸法に設けられている。
【0033】
また、ホルダ11の内部には、光ファイバ13の外径よりも僅かに大径の貫通孔11dが設けられている。この貫通孔11dは、挿入孔11aに連通すると共に、収容部11cに連通して設けられている。さらに、ホルダ11の外周面には、複数の陥没部11eが設けられている。これらの陥没部11eは、収容部11cと、貫通孔11dとの間に設けられ、詳細について後述するように、コリメータレンズ12及び光ファイバ13の位置決めに利用される。例えば、ホルダ11が金属材料で形成される場合、これらの陥没部11eは、その外周部から工具等により押圧加工を施すことで形成される。
【0034】
コリメータレンズ12は、例えば、ガラス材料で形成され、球形状を有するボールレンズで構成されている。図3に示すように、コリメータレンズ12は、ホルダ11の収容部11c内に収容された状態において、開口部11bからアダプタ108の開口部106に臨む一方、貫通孔11dに挿入された光ファイバ13の先端部に臨むように配置されている。
【0035】
光ファイバ13は、例えば、プラスチック光ファイバで構成され、その中心を貫通して設けられるコア13aと、このコア13aを被覆するクラッド13bと、このクラッド13bを被覆して補強する補強層13cとから構成されている。光ファイバ13のコリメータレンズ12に対向する端面においては、コア13a、クラッド13b及び補強層13cが同一平面上に配置されている。すなわち、コリメータレンズ12に対向する端面において、コア13a、クラッド13b及び補強層13cが揃って配置されている。
【0036】
また、光ファイバ13は、挿入孔11aを介して貫通孔11dに挿入され、その先端部がコリメータレンズ12の近傍でその球面に対向するように配置した状態で固定されている。この場合において、光ファイバ13は、例えば、貫通孔11dの内周面との間に塗布された接着剤によりホルダ11に固定される。なお、ホルダ11に対する光ファイバ13の固定に関しては、これに限定されるものではなく、任意の固定方法が適用可能である。
【0037】
第1の実施の形態に係る光コリメータ10において、光ファイバ13は、例えば、グレーデッドインデックス(GI)型光ファイバで構成され、ファイバ軸に垂直な断面で屈折率が連続的に変化するように構成されている。また、コア13a及びクラッド13bは、例えば、C−H結合のHをFに置換した全フッ素置換光学樹脂で構成されている。これらのように光ファイバ13を全フッ素置換光学樹脂で構成すると共に、GI型光ファイバで構成することにより高速且つ大容量通信を実現することができるものとなっている。
【0038】
このような構成を有し、第1の実施の形態に係る光コリメータ10においては、コストの上昇を抑制しつつ、簡便にコリメータレンズ12と光ファイバ13との位置決めを行うためにホルダ11に設けた陥没部11eを利用する。具体的には、ホルダ11に陥没部11eを設けることでホルダ11内の収容部11cの近傍に形成される当接面にコリメータレンズ12及び光ファイバ13の一部を当接させて位置決めを行うことで、これらの位置決め用のスペーサなどの構成を不要とすることで、コストの上昇を抑制しつつ、簡便にコリメータレンズ12と光ファイバ13との位置決めを可能とするものである。
【0039】
ここで、第1の実施の形態に係る光コリメータ10のホルダ11におけるコリメータレンズ12及び光ファイバ13の位置決め方法について図4を用いて説明する。図4は、図3に示す二点鎖線B内の拡大図である。図4に示すように、陥没部11eのうち、コリメータレンズ12に対向する部分には当接面11eが形成され、コリメータレンズ12の一部が当接する一方、光ファイバ13に対向する部分には当接面11eが形成され、光ファイバ13を構成するコア13a以外のクラッド13b及び/又は補強層13cの一部が当接する。このように当接した状態でコリメータレンズ12及び光ファイバ13がそれぞれホルダ11の所定位置に位置決めされる。
【0040】
図4に示すように、陥没部11eは、光ファイバ13の挿入方向と直交する平面(例えば、図4に示す光ファイバ13の端面と平行に配置され、陥没部11eの中心を通過する平面C)に対して、コリメータレンズ12に対向する当接面11eの角度と、光ファイバ13に対向する当接面11eの角度とが異なる角度に設けられている。このように陥没部11eにおけるコリメータレンズ12に対向する当接面11eの角度と、光ファイバ13に対向する当接面11eの角度とを異なる角度とすることで、形状の異なるコリメータレンズ12と光ファイバ13との効果的に位置決めすることが可能となる。
【0041】
ホルダ11が金属材料で形成される場合、このような陥没部11eは、例えば、先端部の形状の異なる先細の工具を用いて押圧加工を施すことにより設けられる。このような工具で押圧加工することにより、陥没部11eは、その押圧加工時における中心軸を基準としてコリメータレンズ12に対向する部分(当接面11e)の形状と、光ファイバ13に対向する部分(当接面11e)の形状とが非対称に設けられることとなる。
【0042】
また、第1の実施の形態に係る光コリメータ10においては、このような陥没部11eがホルダ11の同一周上(言い換えると、ホルダ11の内側面における光ファイバ13の挿入方向と直交する同一平面上)に複数(本実施の形態においては、3つ)設けられている。このように同一周上に複数の陥没部11eを設けることにより、コリメータレンズ12及び光ファイバ13をそれぞれ複数の位置で当接させることができるので、より高精度にコリメータレンズ12及び光ファイバ13の位置決めを行うことが可能となる。
【0043】
陥没部11eにおけるコリメータレンズ12に対向する当接面11eは、傾斜面を構成する。この傾斜面は、図4に矢印で示す光ファイバ13の挿入方向と直交する平面(例えば、図4に示す光ファイバ13の端面と平行に配置され、陥没部11eの基端部を通過する平面D)に対する角度θが0°以上45°以下となるように設けられている。このようにコリメータレンズ12側の当接面11eの角度θを光ファイバ13の挿入方向と直交する平面Dに対して0°以上45°以下に設定することにより、コリメータレンズ12における光ファイバ13側の一部を支持した状態で位置決めすることができるので、コリメータレンズ12の位置精度を高めることができるものとなっている。
【0044】
また、第1の実施の形態に係る光コリメータ10においては、陥没部11eにおけるコリメータレンズ12に対向する当接面11eの表面には、切削加工、プレス(押圧)加工、研削加工、エネルギービーム加工による除去加工を施している。このようにコリメータレンズ12に対向する当接面11eの表面に除去加工を施したことから、陥没部11eにおけるコリメータレンズ12の当接面11eを平滑化することができるので、コリメータレンズ12の損傷を防止することができると共に、コリメータレンズ12の位置精度を更に高めることができるものとなっている。なお、かかる除去加工については、以下に示す第2第3の実施の形態に係る光コリメータ20、30においても同様に行われる。
【0045】
一方、陥没部11eにおける光ファイバ13に対向する当接面11eは、傾斜面を構成する。傾斜面は、光ファイバ13の挿入方向と直交する平面(例えば、図4に示す光ファイバ13の端面と平行に配置される平面E)に対する角度θが20°以下となるように設けられている。このように当接面11eの角度を平面Eに対して20°以下に設けることにより、光ファイバ13が、上述したように、コア13a、クラッド13b及び補強層13cが同一平面上に配置される光ファイバ(例えば、プラスチック光ファイバ)で構成される場合に、当該光ファイバ13の端面を当接面11eに当接させることにより、これらの位置精度を確保し易くすることができるものとなっている。
【0046】
以上説明したように、第1の実施の形態に係る光コリメータ10においては、ホルダ11に陥没部11eを設けることで形成される当接面11e、11eにコリメータレンズ12の一部及び光ファイバ13の一部を当接させて位置決めするようにしたことから、陥没部11eを基準としてコリメータレンズ12及び光ファイバ13を位置決めすることができるので、従来のように、別部材のスペーサをホルダ11内に挿入する場合や、ホルダ11自体にスペーサ部を設ける場合と比べて、作業効率を向上することができ、コストの上昇を抑制しつつ、簡単にコリメータレンズ12と光ファイバ13との位置決めを行うことが可能となる。
【0047】
また、第1の実施の形態に係る光コリメータ10のホルダ11においては、陥没部11eによりコリメータレンズ12と光ファイバ13との位置決めを行う一方、貫通孔11dの内周面との間に塗布された接着剤等により光ファイバ13を固定している。この場合において、貫通孔11dは、光ファイバ13の固定に十分な長さを有して構成されていることから、光ファイバ13を位置決めした状態で堅固に固定される。このため、光ファイバ13を用いて機器間若しくは機器内での大容量通信を行うための用途において、抜き差しが繰り返し行われた場合においても、光ファイバ13とコリメータレンズ12との位置関係を維持することができる。
【0048】
なお、以上の説明においては、ホルダ11に陥没部11eを設けることで形成される当接面11e、11eにコリメータレンズ12の一部及び光ファイバ13の一部を当接させてコリメータレンズ12と光ファイバ13との位置決めを行う場合について説明している。しかしながら、コリメータレンズ12と光ファイバ13との位置決め方法については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、コリメータレンズ12及び光ファイバ13の双方を当接面11e1、11eに当接させるのではなく、コリメータレンズ12又は光ファイバ13の一方を当接させるようにし、他方については当接面11e(当接面11e)以外のホルダ11の部分で位置決めを行うようにしても良い。但し、この場合には、他方を位置決めするための部分が、当接面11e(当接面11e)との関係で一定の位置関係に設計されることを前提とする。すなわち、本発明に係る光コリメータ10においては、コリメータレンズ12又は光ファイバ13の一方を陥没部11eを設けることで形成される当接面11e、11eに当接させる着想も含まれる。
【0049】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る光コリメータにおいては、挿入される光ファイバの構成が異なる点、並びに、この光ファイバの構成に応じてこれを位置決めするための陥没部の形状が異なる点において、第1の実施の形態に係る光コリメータ10と相違する。以下、第2の実施の形態に係る光コリメータの構成について、第1の実施の形態に係る光コリメータ10との相違点を中心に説明する。
【0050】
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る光コリメータ20の側面図である。図6は、図5に示すF−Fにおける断面図である。図7は、図6に示す二点鎖線G内の拡大図である。なお、図5〜図7において、図2〜図4に示す第1の実施の形態に係る光コリメータ10と共通する構成については同一の符号を付与してその説明を省略する。
【0051】
第2の実施の形態に係る光コリメータ20に挿入される光ファイバ15は、例えば、ガラス光ファイバで構成され、その中心を貫通して設けられるコア15aと、このコア15aを被覆するクラッド15bと、このクラッド15bを更に被覆する補強層15cとから構成されている。光ファイバ15は、例えば、ガラス材料で構成されている。
【0052】
図6に示すように、光ファイバ15は、コリメータレンズ12と対向する端面において、補強層15cの被覆が除去されており、クラッド15b及びコア15aがコリメータレンズ12側に突出している。すなわち、コリメータレンズ12に対向する端面において、コア15a及びクラッド15bは、補強層15cで構成される端面よりもコリメータレンズ12側に突出した状態となっている。
【0053】
ホルダ11における収容部11cと、貫通孔11dとの間には、コリメータレンズ12と光ファイバ15との位置決めを行うための陥没部11fが設けられている。この陥没部11fにおいては、上述した光ファイバ15の構成に応じて、第1の実施の形態に係る陥没部11eと異なる形状を有している。具体的には、光ファイバ15に対向する部分の形状において、第1の実施の形態に係る陥没部11eと異なっている。なお、この陥没部11fの形状については後述する。
【0054】
ここで、このような陥没部11fを有する光コリメータ20のホルダ11におけるコリメータレンズ12及び光ファイバ15の位置決め方法について説明する。図7に示すように、陥没部11fのうち、コリメータレンズ12に対向する部分には当接面11fが形成され、コリメータレンズ12の一部が当接する一方、光ファイバ15に対向する部分には当接面11fが形成され、光ファイバ15を構成する補強層15cの一部が当接する。この場合、コア15a及びクラッド15bは、当接面11fとの当接位置よりもコリメータレンズ12側に突出して配置されている。このように当接した状態でコリメータレンズ12及び光ファイバ15がそれぞれホルダ11の所定位置に位置決めされる。
【0055】
図7に示すように、陥没部11fにおけるコリメータレンズ12に対向する当接面11fは、傾斜面を構成する。この傾斜面は、第1の実施の形態に係る陥没部11eの当接面11eを構成する傾斜面と同様の構成を有し、図7に矢印で示す光ファイバ15の挿入方向と直交する平面(例えば、図7に示す光ファイバ15の端面と平行に配置され、陥没部11fの基端部を通過する平面H)に対する角度θが0°以上45°以下となるように設けられている。このようにコリメータレンズ12側の当接面11fの角度θを光ファイバ15の挿入方向直交する平面Hに対して0°以上45°以下に設定することにより、球形状を有するコリメータレンズ12における光ファイバ15側の一部を支持した状態で位置決めすることができるので、コリメータレンズ12の位置精度を高めることができるものとなっている。
【0056】
一方、陥没部11fにおける光ファイバ15に対向する当接面11fは、傾斜面を構成する。この傾斜面11fは、光ファイバ13の挿入方向と直交する平面(例えば、図7に示す光ファイバ13の補強層15cの端面と平行に配置される平面I)に対する角度θが30°以上80°以下となるように設けられている。このように光ファイバ15に対向する当接面11fの角度を、光ファイバ15の挿入方向と直交する平面Iに対して30°以上80°以下とすることにより、光ファイバ15が、上述のように、コア15a、クラッド15b及び補強層15cとから構成され、コア15a及びクラッドが補強層15cの平面より突出して配置される光ファイバ(例えば、ガラス光ファイバ)で構成される場合において、光ファイバ15の挿入がスムーズになると共に、コリメータレンズ12と光ファイバ15の位置精度を確保し易くすることが可能となる。
【0057】
以上説明したように、第2の実施の形態に係る光コリメータ20においては、ホルダ11に陥没部11fを設けることで形成される当接面11f、11fにコリメータレンズ12の一部及び光ファイバ15の一部を当接させて位置決めするようにしたことから、陥没部11fを基準としてコリメータレンズ12及び光ファイバ15を位置決めすることができるので、従来のように、別部材のスペーサをホルダ11内に挿入する場合や、ホルダ11自体にスペーサ部を設ける場合と比べて、作業効率を向上することができ、コストの上昇を抑制しつつ、簡単にコリメータレンズ12と光ファイバ15との位置決めを行うことが可能となる。
【0058】
なお、第2の実施の形態に係る光コリメータ20において、陥没部11fが、コリメータレンズ12に対向する当接面11fの角度と、光ファイバ15に対向する当接面11fの角度とが異なる角度に設けてられている点、並びに、ホルダ11の同一周上に複数設けてられている点は、第1の実施の形態に係る光コリメータ10と同様である。このため、第2の実施の形態に係る光コリメータ20においても、これらの陥没部11fの構成による効果を得ることが可能である。
【0059】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態に係る光コリメータにおいては、陥没部の構成が異なる点において、第1の実施の形態に係る光コリメータ10と相違する。以下、第3の実施の形態に係る光コリメータの構成について、第1の実施の形態に係る光コリメータ10との相違点を中心に説明する。
【0060】
図8は、本発明の第3の実施の形態に係る光コリメータ30の側面図である。図9は、図8に示すJ−Jにおける断面図である。図10は、図9に示す二点鎖線K内の拡大図である。なお、図8〜図10において、図2〜図4に示す第1の実施の形態に係る光コリメータ10と共通する構成については同一の符号を付与してその説明を省略する。
【0061】
第3の実施の形態に係る光コリメータ30において、陥没部11gは、図8及び図9に示すように、収容部11cと貫通孔11dとの間において、ホルダ11の周面全体に設けられている。すなわち、陥没部11gは、収容部11cと貫通孔11dとの間のホルダ11に円環状の凹部を構成するように設けられている。
【0062】
ここで、このような陥没部11gを有する光コリメータ30のホルダ11におけるコリメータレンズ12及び光ファイバ13の位置決め方法について説明する。図10に示すように、陥没部11gのうち、コリメータレンズ12に対向する部分には当接面11gが形成され、コリメータレンズ12の一部が当接する一方、光ファイバ13に対向する部分には当接面11gが形成され、光ファイバ13を構成するクラッド13b及び/又は補強層13cの一部が当接する。このように当接した状態でコリメータレンズ12及び光ファイバ13がそれぞれホルダ11の所定位置に位置決めされる。
【0063】
陥没部11gにおけるコリメータレンズ12に対向する当接面11gは、傾斜面を構成する。この傾斜面は、第1の実施の形態に係る陥没部11eの当接面11eを構成する傾斜面と同様に、図10に矢印で示す光ファイバ13の挿入方向と直交する平面(例えば、図10に示す光ファイバ13の端面と平行に配置され、陥没部11gの基端部を通過する平面L)に対する角度θが0°以上45°以下となるように設けられている。このようにコリメータレンズ12側の当接面11gの角度θを光ファイバ13の挿入方向の中心軸Lと直交する面に対して0°以上45°以下に設定することにより、球形状を有するコリメータレンズ12における光ファイバ13側の一部を支持した状態で位置決めすることができるので、コリメータレンズ12の位置精度を高めることができるものとなっている。
【0064】
一方、陥没部11gにおける光ファイバ13に対向する当接面11gは、傾斜面を構成する。この傾斜面は、第1の実施の形態に係る陥没部11eの当接面11eを構成する傾斜面と同様に、光ファイバ13の挿入方向と直交する平面(例えば、図10に示す光ファイバ13の端面と平行に配置される平面M)に対する角度θが20°以下となるように設けられている。このように当接面11gの角度を平面Mに対して20°以下に設けることにより、光ファイバ13が、上述したように、コア13aとクラッド13bとが同一平面上に配置される光ファイバ(例えば、プラスチック光ファイバ)で構成される場合に、光ファイバ13の端面を当接面11gに当接させることにより、これらの位置精度を確保し易くすることができるものとなっている。このため、当接面11gの角度は、0°が最も好ましいが、20°以下であれば所望の位置精度を確保することが可能となる。
【0065】
以上説明したように、第3の実施の形態に係る光コリメータ30においては、ホルダ11に陥没部11gを設けることで形成される当接面11g、11gにコリメータレンズ12の一部及び光ファイバ13の一部を当接させて位置決めするようにしたことから、陥没部11gを基準としてコリメータレンズ12及び光ファイバ13を位置決めすることができるので、従来のように、別部材のスペーサをホルダ11内に挿入する場合や、ホルダ11自体にスペーサ部を設ける場合と比べて、作業効率を向上することができ、コストの上昇を抑制しつつ、簡単にコリメータレンズ12と光ファイバ13との位置決めを行うことが可能となる。
【0066】
なお、第3の実施の形態に係る光コリメータ30において、陥没部11gが、コリメータレンズ12に対向する当接面11gの角度と、光ファイバ13に対向する当接面11gの角度とが異なる角度に設けてられている点は、第1の実施の形態に係る光コリメータ10と同様である。このため、第3の実施の形態に係る光コリメータ30においても、この陥没部11gの構成による効果を得ることが可能である。
【0067】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0068】
例えば、上記実施の形態においては、光結合部材の一例として、平行光を集光して光ファイバに入射し、或いは、光ファイバから出射する光を平行光にする光コリメータ10(20、30)を用いて説明している。しかしながら、本発明に係る光結合部材については、光コリメータに限定されるものではない。発光素子からの光を集光して光ファイバに入射し、或いは、光ファイバから出射される光を受光素子に集光することを前提として、任意の構成の光結合部材に適用することができる。
【0069】
図11は、本発明に係る光結合部材の要部周辺の拡大図である。なお、図11において、図3と同一の構成については、同一の符号を付与し、詳細な説明を省略する。図11Aにおいては、上記第1の実施の形態に係る光コリメータ10のコリメータレンズ12周辺の拡大図を示している。図11Bにおいては、上記第1〜第3の実施の形態に係る光コリメータ10、20及び30と異なる構成の光結合部材40のレンズ41周辺の拡大図を示している。
【0070】
図11Bに示す光結合部材40においては、ホルダ11の収容部11cに収容されるレンズ41の構成において、上記第1の実施の形態に係る光コリメータ10のコリメータレンズ12と相違する。レンズ41は、受発光素子42から出射される光(平行光ではない出射光)を集光して光ファイバ13に入射し、或いは、光ファイバ13から出射される光を、平行光とすることなく受発光素子42に集光する。なお、ホルダ11に設けられる陥没部11e等の構成については上記第1の実施の形態に係る光コリメータ10の陥没部11eと共通する。
【0071】
このようなレンズ41を有する光結合部材40においても、ホルダ11に陥没部11eを設けることで形成される当接面11e、11eにレンズ41の一部及び光ファイバ13の一部を当接させて位置決めできることから、陥没部11eを基準としてレンズ41及び光ファイバ13を位置決めすることができるので、従来のように、別部材のスペーサをホルダ11内に挿入する場合や、ホルダ11自体にスペーサ部を設ける場合と比べて、作業効率を向上することができ、コストの上昇を抑制しつつ、簡単にレンズ41と光ファイバ13との位置決めを行うことが可能となる。
【0072】
また、上記実施の形態においては、いずれもホルダ11内におけるコリメータレンズ12と光ファイバ13(15)との間の距離を比較的短く構成する光コリメータ10(20、30)について示している。しかしながら、コリメータレンズ12と光ファイバ13(15)との間の距離については、コリメータレンズ12の集光特性や受発光素子との位置関係などの要因により適宜変更することが可能である。
【0073】
以下、ホルダ11内におけるコリメータレンズ12と光ファイバ13との間の距離を比較的長く構成する場合の光コリメータ(光結合部材)50、60について説明する。なお、以下においては、説明の便宜上、光コリメータを参照して説明するが、図11Bに示すような光結合部材にも適用することが可能である。
【0074】
図12は、本発明の第1の変形例に係る光コリメータ50の側面図である。図13は、図12に示すL−Lにおける断面図である。図14は、図13に示す二点鎖線M内の拡大図である。また、図15は、本発明の第2の変形例に係る光コリメータ60の側面図である。図16は、図15に示すN−Nにおける断面図である。図17は、図16に示す二点鎖線O内の拡大図である。なお、図12〜図17において、図3と同一の構成については、同一の符号を付与し、詳細な説明を省略する。
【0075】
図12〜図14に示す光コリメータ50においては、光ファイバ13の挿入方向に一定距離離間して陥没部11h(11h、11h)が設けられている。陥没部11hは、開口部11b側の位置に設けられ、陥没部11hは、挿入孔11a側の位置に設けられている。陥没部11h(11h、11h)は、それぞれ同一周上(言い換えると、ホルダ11の内側面における光ファイバ13の挿入方向と直交する同一平面上)に複数個(図12〜図14に示す例では、4個)設けられている。陥没部11hは、コリメータレンズ12の位置決めに利用され、陥没部11hは、光ファイバ13の位置決めに利用される。より具体的には、より具体的には、陥没部11hを設けることでホルダ11内に形成される形成される開口部11b側の当接面11hがコリメータレンズ12の位置決めに利用され、挿入孔11a側の当接面11hが光ファイバ13の位置決めに利用される。
【0076】
一方、図15〜図17に示す光コリメータ60においては、光ファイバ13の挿入方向に一定長さだけ延在する陥没部11iが設けられている。陥没部11iは、同一周上(言い換えると、ホルダ11の内側面における光ファイバ13の挿入方向と直交する同一平面上)に複数個(図15〜図17に示す例では、2個)設けられている。陥没部11iは、コリメータレンズ12及び光ファイバ13の位置決めに利用される。より具体的には、陥没部11iを設けることでホルダ11内に形成される形成される開口部11b側の当接面11iがコリメータレンズ12の位置決めに利用され、挿入孔11a側の当接面11iが光ファイバ13の位置決めに利用される。
【0077】
ホルダ11の外周に、図12〜図17に示すような陥没部11h、11iを設けることにより、コリメータレンズ12と光ファイバ13との間の距離を比較的長く構成できる。なお、ホルダ11に設けられる陥没部11hの数(光ファイバ13の挿入方向に設けられる陥没部11hの数)や、陥没部11iの長さは適宜変更が可能である。このような陥没部11h、11iをホルダ11に設けることにより、コリメータレンズ12の集光特性や受発光素子との位置関係などが異なる様々な環境で発光素子や光ファイバ13から出射される光を適切に集光することが可能となる。
【0078】
さらに、上記実施の形態においては、光コリメータ10(20、30)が備えるコリメータレンズ12がガラス材料で構成される場合について説明しているが、コリメータレンズ12の構成については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、コリメータレンズ12をプラスチック材料で構成するようにしても良いし、その形状も球形レンズに限られない。
【0079】
また、上記第1の実施の形態においては、プラスチック光ファイバを光ファイバ13の一例として説明しているが、第1の実施の形態に係る光コリメータ10にて適用される光ファイバ13は、プラスチック光ファイバに限定されるものではない。コリメータレンズ12側の端面が同一平面上に配置される構成であれば、ガラス光ファイバを適用することも可能である。
【0080】
さらに、上記第2の実施の形態においては、ガラス光ファイバを光ファイバ15の一例として説明しているが、第2の実施の形態に係る光コリメータ20にて適用される光ファイバ15は、ガラス光ファイバに限定されるものではない。例えば、コリメータレンズ12側の端面の一部が突出して配置される構成であれば、プラスチック光ファイバを適用することも可能である。例えば、このようなプラスチック光ファイバとしては、クラッドの外周を被覆する被覆層が形成され、コア及びクラッドのみが被覆層の端面から突出して配置される場合が該当し得る。
【0081】
さらに、上記第1実施の形態においては、ホルダ11が概して円筒形状を有する場合について説明しているが、ホルダ11の構成については円筒形状に限定されるものではなく適宜変更が可能である。一端部にコリメータレンズ12の収容部11cが形成される一方、他端部に光ファイバ13の挿入孔11aが形成されることを前提として任意の形状を採用することができる。例えば、角筒形状(すなわち、光ファイバ13の挿入方向と直交する断面が四角形とされた筒形状)を有するものなどが含まれる。
【0082】
仮に、角筒形状を有するホルダ11を第1の実施の形態に係る光コリメータ10に適用する場合、陥没部11eは、ホルダ11の内側面における光ファイバ13の挿入方向と直交する同一平面上に複数設けられる。第2の実施の形態に係る光コリメータ20に適用される場合における陥没部11fについても同様である。また、角筒形状を有するホルダ11を第3の実施の形態に係る光コリメータ30に適用する場合、陥没部11gは、ホルダ11の内側面における光ファイバ13の挿入方向と直交する同一平面上に環形状に設けられる。
【0083】
さらに、上記実施の形態においては、本発明を光コリメータ10(20、30)及びこれが接続される光コネクタに具現化した場合について説明している。しかしながら、本発明は、これらに限定されるものではなく、上記光コリメータ10(20、30)が有するホルダ11で構成される光結合部材用保持部材としても成立するものである。この場合、光結合部材用保持部材は、例えば、ホルダ11の全体で構成される保持体と、この保持体の一端に設けられ、レンズ(例えば、光コリメータ用保持部材の場合にはコリメータレンズ12)を収容するための収容部11cと、保持体の他端に設けられ、光ファイバ13(15)を挿入するための挿入孔11aと、保持体の収容部11cの近傍の外周に陥没部11e(陥没部11f、陥没部11g)を設けることで収容部11c近傍に形成され、レンズ及び光ファイバ13(15)の端面の少なくとも一方を当接させて位置決めを行うための当接面11e、11e(当接面11f、11f2、当接面11g、11g)を具備する。
【0084】
本発明に係る光結合部材用保持部材によれば、収容部11cの近傍に設けた陥没部11e(11f、11g)の一部に、レンズ及び光ファイバ13(15)の少なくとも一方を当接させて位置決めを行うための当接面11e、11e(当接面11f、11f2、当接面11g、11g)を設けたことから、陥没部11e(11f、11g)を基準としてレンズ及び/又は光ファイバ13(15)を位置決めすることができるので、従来のように、別部材のスペーサをホルダ保持部材内に挿入する場合や、保持部材自体にスペーサ部を設ける場合と比べて、作業効率を向上することができ、コストの上昇を抑制しつつ、簡単にレンズと光ファイバ13(15)との位置決めを行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0085】
10、20、30、50、60 光コリメータ
11 ホルダ
11a 挿入孔
11b 開口部
11c 収容部
11d 貫通孔
11e〜11g 陥没部
11h、11h、11i 陥没部
11e、11e、11f、11f、11g、11g、11h、11h、11i、11i 当接面
12 コリメータレンズ
13、15 光ファイバ
13a、15a コア
13b、15b クラッド
13c、15c 補強層
40 光結合部材
41 レンズ
42 受発光素子
100 光コネクタ
101 半導体レーザチップ
102 ケース
103 マウント台
104 光学レンズ
105 半導体レーザユニット
106 開口部
107 挿入口
108 アダプタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバと、一端に形成された挿入孔から挿入された前記光ファイバを保持する保持部材と、前記保持部材の他端に形成された収容部に収容されるレンズとを具備し、前記保持部材の収容部近傍の外周に陥没部を設けることで形成される当接面に前記レンズ及び光ファイバの端面の少なくとも一方を当接させて位置決めを行う光結合部材であって、
前記陥没部を前記光ファイバの挿入方向と直交する同一平面上に複数設けたことを特徴とする光結合部材。
【請求項2】
前記光ファイバに対向する前記当接面の角度を、前記光ファイバの挿入方向と直交する平面に対して20°以下とし、前記光ファイバの端面の一部を前記当接面に当接させたことを特徴とする請求項1記載の光結合部材。
【請求項3】
前記光ファイバに対向する前記当接面の角度を、前記光ファイバの挿入方向と直交する平面に対して30°以上80°以下とし、前記光ファイバを構成する補強層の一部を前記当接面に当接させ、当該当接部よりも前記レンズ側に前記光ファイバを構成するコア及びクラッドの端面を配置したことを特徴とする請求項1記載の光結合部材。
【請求項4】
前記光ファイバに対向する前記当接面の角度と、前記レンズに対向する前記当接面の角度とを前記光ファイバの挿入方向と直交する平面に対して異なる角度としたことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の光結合部材。
【請求項5】
前記レンズに対向する前記当接面を傾斜面とし、前記光ファイバの挿入方向と直交する平面に対する前記傾斜面の角度を0°以上45°以下とし、前記レンズの一部を前記傾斜面に当接させたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の光結合部材。
【請求項6】
前記レンズに対向する前記当接面に除去加工を施したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の光結合部材。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の光結合部材を接続することを特徴とする光コネクタ。
【請求項8】
光ファイバを保持する保持体と、前記保持体の一端に設けられ、レンズを収容するための収容部と、前記保持体の他端に設けられ、前記光ファイバを挿入するための挿入孔とを具備し、前記保持体の前記収容部の近傍の外周に陥没部を設けることで形成される当接面に前記レンズ及び光ファイバの端面の少なくとも一方を当接させて位置決めを行う光結合部材用保持部材であって、
前記陥没部を前記光ファイバの挿入方向と直交する同一平面上に複数設けたことを特徴とする光結合部材用保持部材。
【請求項9】
前記挿入孔を介して挿入された前記光ファイバと対向する前記当接面の角度を、前記光ファイバの挿入方向と直交する平面に対して20°以下としたことを特徴とする請求項8記載の光結合部材用保持部材。
【請求項10】
前記挿入孔を介して挿入された前記光ファイバと対向する前記当接面の角度を、前記光ファイバの挿入方向と直交する平面に対して30°以上80°以下としたことを特徴とする請求項8記載の光結合部材用保持部材。
【請求項11】
前記挿入孔を介して挿入された前記光ファイバと対向する前記当接面の角度と、前記収容部に収容された前記レンズと対向する前記当接面の角度とを前記光ファイバの挿入方向と直交する平面に対して異なる角度としたことを特徴とする請求項9又は請求項10記載の光結合部材用保持部材。
【請求項12】
前記収容部に収容された前記レンズと対向する前記当接面を傾斜面とし、前記光ファイバの挿入方向と直交する平面に対する前記傾斜面の角度を0°以上45°以下としたことを特徴とする請求項8から請求項11のいずれかに記載の光結合部材用保持部材。
【請求項13】
前記収容部に収容された前記レンズと対向する前記当接面に除去加工を施したことを特徴とする請求項8から請求項12のいずれかに記載の光結合部材用保持部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−83900(P2013−83900A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229140(P2011−229140)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000005957)三菱鉛筆株式会社 (692)
【Fターム(参考)】