説明

光線を放射及び検出するための装置

【課題】核酸の蛍光分光分析において、多数の試料を複数波長の励起光で励起し、複数波長の蛍光について短時間に検出する装置、機器及び方法を提供する。
【解決手段】励起光源モジュール(11)にロータリー・フィルタ・ホイールを備え、ライトガイド(31)で複数の反応セル(1)に励起光を照射し、発生した蛍光をライトガイド(32)で検出モジュール(21)に導光し、ロータリー・フィルタ・ホイール(23)を備えた検出モジュールで検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、光線を放射及び検出するための装置、光線を放射及び検出するための装置を具備し、核酸を増幅及び検出するための機器、ならびに試料中の特定の検体(例えば、核酸)を検出するための方法である。
【背景技術】
【0002】
本発明は、試料に含まれる成分について、試料の信頼性のある分析が必要とされる、ヘルスケアの分野、ならびに生物学及び医学における研究、特に核酸分析、遺伝子定量及び遺伝子型同定における研究において特に有用である。光学システムの使用による化学反応のモニタリングは、例えば、Molecular Diagnosticsから周知であり、ここで化学反応は、DNAダブルヘリックスの中央における積み重なった塩基間に挿入される蛍光色素(例えば、ヨウ化プロピジウム、サイバーグリーン、アクリジン・オレンジ)により検出及び定量され、あるいは標識されたオリゴヌクレオチドが標的DNA配列と特異的にハイブリダイズする場合に、化学反応の特定の生成物が、例えば、フルオレセイン、ローダミン又はシアニン色素といった化合物で標識されたオリゴヌクレオチドによって検出及び定量される。ここで、重要な観点は、特定の波長の光線を介して色素を励起し、そしてこれらの色素により放射される光を測定することにより反応をモニターすることである。これらのステップにおける正確性は、このような方法の精度に必要な条件である。
【0003】
変性及び増幅ステップを含む反応周期を使用する方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。この技術は特定の配列の核酸量を、ごく僅かな量から検出可能な量へと増大するためのツールを提供することにより、核酸処理、特に核酸の分析の分野に革命を起こした。PCRは、例えば、EP0201184及びEP0200362に記載されている。伸長した金属ブロックを加熱及び冷却することを用いたチューブ中の試料における制御手段におけるサーモサイクルを行うための装置は、例えば、EP0236069に記載される。
【0004】
近年、改良されたより強力なPCR技術が開発されている。定量性リアルタイムPCRは、与えられたDNA分子の特定部分を同時に増幅及び定量するために使用される実験技術である。これは、試料中に特定の配列が存在するか否かを測定するために使用され、そして存在する場合には、試料中のコピー数を定量化することができる。2つの一般的な定量法は、二本鎖DNAに挿入する蛍光色素と相補DNAとハイブリダイズすると発光する改変DNAオリゴヌクレオチドプローブの使用である。このような方法はEP0512334に記載される。
【0005】
さらに、単一の反応チューブにおいて並行して2以上の生産物の増幅を可能とするマルチプレックスPCRが開発された。これは、研究、法医及び診断実験室における遺伝子型同定アプリケーション及びDNA試験の異なる領域において広く使用される。また、マルチプレックスPCRは、多様な真核及び原核起源に由来する出発鋳型としてcDNAを使用し、定性的かつ半定量的な遺伝子発現分析に使用することができる。
【0006】
このような方法を、行い、検出し、そしてモニタリングするための多様な装置は、当業界に既知である。EP0953837において記載される、Roche Cobas(登録商標)TaqMan(登録商標)装置及びRoche Light cycleer 480装置は、励起ビームを試料に供するために白呈色光源が使用される。このような白呈色光源の耐用年数が一般に1000時間以下であり、維持及び修復の労力及び影響の増大につながることから、励起光源として慣習的な白呈色光源を用いることは不利益となる。さらに、いくつかの白呈色光源(特に、ハロゲン電球)のスペクトルパワーは試料を励起するために限られたエネルギーのみを発するブルーレンジにおいてやや低く、長時間の測定時間に導く。さらに、白呈色光源は、ほかの波長を有する光の膨大なフラクションはアプリケーションにおいて使用されず、そしてフィルターにより遮断する必要があるため、高価なフィルターを使用しなければならない多様なスペクトルの波長を使用することになり不利益となる。更に、白呈色光源は、機器から推定されることが必要な熱を産生する。
【0007】
当業界に既知のほかの機器において、励起ビームは、単一の発光ダイオード、例えば、Roche Lightcycler(登録商標)1.5及び2.0機器により、あるいはレーザー、例えば、WO2003/098278に記載されるABI Prism 7700,7900機器により、あるいは同じ波長の複数の発光ダイオード、例えば、Eppendorf Mastercycler(登録商標)リアルプレックス機器により産生される。ある特定の励起波長に対するこれらの機器の制限により、一定の色素が全く又はほとんど励起されない場合、あるいは機器ビルドアップにおいて複雑な改変をともなうだけの場合には、加水分解マルチプレックス・アプリケーションはほとんど行うことができない。
【0008】
米国特許第6369893号において開示されるさらに他の機器、例えば、Cepheid Smartcyclerは、ある特定の反応領域を励起するために、異なる波長のいくつかの発光ダイオードを用いる。同じ特定の反応領域からの放射光の検出のためにいくつかの検出器が使用される。これは、全ての構成要素、例えば、LED及び検出器が、分析される反応領域の数に従い増加することを要するために、複数の反応領域を分析する必要がある場合には不利である。さらに、フィルター及びダイクロイックミラー、同様にLEDを動かすための電子回路の数もまた増加し、そして光ダイオードのシグナルを予め増幅する。さらに、4以上の異なる波長のLEDタイプを使用する場合には、複雑さはより増大する。従って、いくつかの反応領域を米国特許第6369893号に記載される検出システムで検出する必要がある場合には、検出システムのコストは極めて高くなり、また複雑性も高くなる。
【0009】
さらに、DE4424961に記載される分光計機器は、静的光源及び光ファイバーを用いる当業界において既知であり、各々のファイバーは、その一端においてある試料領域に接続されており、そして他端において、ロータリー・ホイールに接続されている。ホイールが回転することにより、各々の反応領域は、該静的光源と光学的に接触させることができる。しかしながら、この概念を伴う機器は、単一の光源の光が各々の反応領域に連続して適用されるという不利益を有する。いくつもの反応領域において、異なる励起及び発光スペクトルを有する数種の色素マーカーを、該装置により並行して検出ことは不可能である。これは、特に、全体的に長いPCR処理時間に導くPCRアプリケーションにおいて、多くの試料を反復して測定する必要がある場合には、長時間の測定時間をもたらす。
【0010】
従って、本発明の対象は、高感度を伴い多くの試料の短時間の試料測定時間を許容するマルチプレックスPCRアプリケーションにおいて特に有用な光学システムを提供することである。さらに、いくつもの反応領域を分析するために必要とされる構成要素(すなわち、励起光源、フィルター及び検出器)の数は、複雑性及びコストを減少するために、最小限に保たれるべきである。
【0011】
図中に表される態様は、本発明の理解を助けるために記載され、制限するものとしては解釈されない。
【発明の開示】
【0012】
発明の概要
本発明の第1対象は、光線を放射及び検出するための装置であって、
−少なくとも2つの反応領域、
−異なるスペクトル及び波長の励起ビームを提供することが可能な少なくとも2つの励起光源を含む励起モジュール、
−少なくとも2つの第1ライトガイド(各々の第1ライトガイドは該励起光源の1つから少なくとも1つの該反応領域に放射される光線を誘導することが可能である)、
−少なくとも2つの第2ライトガイド(各々の第2ライトガイドは該反応領域の1つから発光モジュールに放射される光線を誘導することが可能である)、
−少なくとも2つの反応領域のそれぞれから別々かつ同時に放射されたビームを検出することが可能な発光モジュール(該発光モジュールは、少なくとも、2つの検出器及びロータリー・フィルター・ホイールを備え、該ロータリー・フィルター・ホイールは、少なくとも2つの第2ライトガイドと検出器の間に位置する)、及び
−該励起光源及び該発光モジュールの起動を制御することが可能な制御ユニット、
を具備し、
ここで、前記励起光源の起動及び前記発光モジュールのロータリー・フィルター・ホイールの回転が電子的に連動しており、そしてここで、前記少なくとも2つの励起光源の第1励起光源が第1波長の光を放射し、該光は第1ライトガイドを介して少なくとも第1反応領域に伝えられ、そして前記少なくとも2つの励起光源の第2励起光源が、前記第1波長とは異なる第2波長の光を放射し、該光は第2ライトガイドを介して少なくとも第2反応領域に伝えられることを特徴とする各励起ビームにより、前記反応領域が励起されるときに、各々の反応領域のために前記ロータリー・フィルター・ホイールに取り付けられたフィルターの透過スペクトルが各反応領域から放射された前記光線の発光スペクトルに対応するように該ロータリー・フィルター・ホイールが回転する、装置である。
【0013】
本発明の第2対象は、核酸を増幅及び検出するための機器であって、少なくとも、
−複数の成分、及び励起において標的が存在する場合には標的が存在しない場合とは異なる光放射を産生することが可能な検出可能なマーカーを含む、少なくとも2つの反応領域の一方に置かれた試料、
−該試料を増幅及び/又は融解反応にかけるためのデバイス、及び
−本発明の装置、
を具備する、機器である。
【0014】
本発明の第3の対象は、本発明の装置を使用して試料中の特定の検体を検出するための方法であって、
−少なくとも2つの検出可能なマーカーを含んで成る少なくとも2つの反応領域の1つにおいて試料を提供する工程であって、ここで各々の検出可能なマーカーがそれぞれ、各々の励起波長の光を含む励起ビームで放射されたときに検出可能な光線を放射する、工程、
−少なくとも2つの励起光源から放射された異なる波長スペクトルの励起ビームで該試料を照射する工程、及び
−検出可能なマーカーが各々の励起ビームにより励起される間、発光モジュールにより試料から放射される放射ビームを検出する工程、
を含んで成る方法である。
【0015】
発明の詳細な説明
本発明は、光線を放射及び検出するための装置、及びこのような装置を具備する核酸を増幅及び検出するための機器に関する。本明細書において、本発明に従う「光源」は、好ましくは発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード、レーザー(例えば、ガスレーザー、化学レーザー、エキシマーレーザー、半導体レーザー、色素レーザー、マイクロ−ワイヤーレーザー)、又はこれらの組み合わせである。
【0016】
発光ダイオード(LED)は、順方向において電気的にバイアスされる場合、インコヒーレント狭帯域光を放射する半導体デバイスである。放射光の呈色は、使用される半導体材料の化学組成に依存し、近紫外線、可視、又は近赤外線であってよい。放出される光の波長及びその呈色は、このため、pn接合を形成する材料のバンドギャップエネルギーに依存する。シリコン又はゲルマニウムダイオードにおいて、電子及びホールは、光学発光を産生しない非放射遷移により再結合する。なぜならこれらは間接的なバンドギャップ物質だからである。LEDの発光層物質が有機化合物である場合、これは有機発光ダイオード(OLED)として知られる。半導体として機能するために、該有機発光ダイオードは、接合したpi結合を有していなければならない。該発光物質は、結晶相における小さな有機分子又はポリマーであってよい。ポリマー物質はフレキシブルであってよく、このようなLEDはPLED又はFLEDとして知られる。標準LEDと比較して、OLEDは明るく、そしてポリマーLEDはフレキシブルであるという更なる利点を有することができる。近年、次世代のLED(例えば、Philips Lumiled lighting company からのLuxeon Starタイプ)が開発され、これは慣習的なLEDよりも、かなりの光学パワーを有する。これらのLEDは、十分な感度を伴って各種の試料を測定するために慣習的なLEDの光学パワーが十分でない場合に、光学システムにおいて使用することができる。さらに、これらのハイパワーLEDは、慣習的なLEDよりもほんの少し大きいだけである。従って、慣習的な白呈色光源よりも放射熱が極めて少ないために、小さな冷却台を必要とするだけでよい。
【0017】
さらに、「多波長イルミネーター」と称されるLEDもまた当業界に既知である。本明細書において、あるデバイスは、コンパクトにまとめられた複数のLEDチップ、紫外線から可視赤呈色スペクトルの範囲の個々に制御された複数の波長を有する熱伝導性セラミック基板を供する。
【0018】
LEDは壊れにくく、そして100,000時間以上の耐用年数を有し、極めて耐久的であるため、LEDの使用は有利である。他の利点は、これまでの白呈色光源と比較してLEDが極めて小さい点である。従って、いくつかのLEDを「励起モジュール」に設置することができ、あるいは冷却台及び付属する光学部品、例えば、レンズ及びフィルターと一緒に「励起モジュール」中のロータリー・ホイール上に取り付けることができる。
【0019】
「光源」はまた、コヒーレントビームにおいて光子を放出するレーザーであってよい。レーザーは、通常、電子又は分子遷移において、外部電源からのエネルギー伝達により前もって促進されている高エネルギー状態から出発して、低エネルギー状態に誘導放出を産生することが可能な活性レーザー媒質又は利得媒質を含む。レーザーに動力を供給するために必要なレーザー利得媒質を形成するために必要とされる特性を有する多様な物質が発見されている(ガス、液体、色素、固形物質)。従って、異なるアプリケーションに安定な異なる特性を伴う多くのタイプのレーザーが開発されている。本発明の装置におけるレーザーの使用についての利点は、レーザー光が典型的には、狭ビームにおいて放射され、そして近単呈色であり、そして単一の波長又は呈色から成るという点である。さらに、レーザーは高出力の光を供するため、並行して多くの試料が1種類の呈色で励起されるアプリケーションにおいてレーザーを使用することができる。
【0020】
「励起モジュール」は、反応領域中に置かれた試料中の特定の色素を励起するために光を放出する1又は複数の「光源」を含む装置の一部を意味する。ある態様において、該装置の「励起モジュール」はさらに、反応領域の励起のための光源を具備又は有する、「ロータリー・ホイール」を具備する。さらに、ある態様において、光源から光の視準を合わせるために必要となるレンズとともに、適当な中心波長及び帯域幅のフィルターをロータリー・ホイールに取り付けることができる。
【0021】
「発光モジュール」は、反応領域中の試料から放出された光を検出する、少なくとも2つの検出器を具備する装置の一部を意味する。「検出器」は、入射光(光子)に比例して光を電流に変換する部品である。「発光モジュール」は、さらに、反応領域中の試料から放出された光をフィルターするフィルターを含む「ロータリー・フィルター・ホイール」を具備する。光源からの光は反応領域及び光学システムの他の部品内で散乱するため、フィルターは、試料中の色素によって放出された光から光源によって放射される光を遮蔽し、分離するために必要である。レンズは、フィルターを介して光の視準を合わせるために、発光モジュール内に存在してよい。
【0022】
「ライトガイド」は、自然光又は人工光を輸送又は分配するために使用される。「ライトガイド」はまた、ガラス又はプラスチックから製造され、そして全内面反射によりその全長に沿って光を誘導するために設計された光ファイバーであってよい。このような光ファイバーは光ファイバー通信において広く使用されている。「ライトガイド」は、一方において、単一のガラス又はプラスチックファイバーであってよく、あるいは他方においては、このようなファイバーから構成されてよい。「ライトガイド」のほかの例は、ガラス又はプラスチックロッドである。他のタイプの「ライトガイド」は、液体ライトガイドである。これらの全てのタイプの「ライトガイド」は、分岐していても、あるいは分岐していなくてもよい。さらに、分岐した「ライトガイド」は、二重又は多重に分岐していてもよい。
【0023】
本明細書において使用される「反応領域」は、測定される色素を含む試料を保持することができる本発明の装置中の範囲又は部分を意味する。ある態様において、「反応領域」は、該装置中の特定の位置に設置される容器を意味し、そしてこれは該装置により測定される色素を含んで成る試料を含有する。
【0024】
「制御ユニット」は、ロータリー・フィルター・ホイールの動き及び光源ならびに検出器の操作を制御するコントローラーを含む。特に、「制御ユニット」は、ロータリー・フィルター・ホイールの回転と光源及び検出器の操作を協調させる。ある態様において、「制御ユニット」は、さらに、光源を有するロータリー・ホイールの動きを制御し、そしてロータリー・フィルター・ホイールの動きと検出器の操作とともに、該ロータリー・ホイールと光源の操作を協調させる。
【0025】
本発明のある態様において、光線を放射及び検出するための装置は、少なくとも2つの反応領域、異なるスペクトル及び波長の励起ビームを提供することが可能な少なくとも2つの励起光源を具備する励起モジュールを具備する。これはさらに、少なくとも2つの第1ライトガイド(各々の第1ライトガイドは該励起光源の1つから少なくとも1つの該反応領域に放射される光線を誘導することが可能である)及び少なくとも2つの第2ライトガイド(各々の第2ライトガイドは該反応領域の1つから発光モジュールに放射される光線を誘導することが可能である)を具備する。該装置はさらに、少なくとも2つの反応領域のそれぞれから別々かつ同時に放射されたビームを検出することが可能な発光モジュールを具備する。該発光モジュールは、少なくとも、2つの検出器及びロータリー・フィルター・ホイールを備え、ここで該フィルター・ホイールは、少なくとも2つの第2ライトガイドと検出器の間に位置する。さらに、該装置は、励起モジュールの起動(すなわち、これに取り付けられた光源の起動)及び発光モジュール(すなわち、ロータリー・フィルター・ホイールの回転)を制御することが可能な制御ユニットを具備する。本明細書において、励起光源の起動及びロータリー・ホイールの回転は電子的に連動している。該ロータリー・フィルター・ホイールは、各励起ビームにより励起されると、各反応領域のために、該ロータリー・フィルター・ホイールに取り付けたフィルターの透過スペクトルが各反応領域から放射される光線の発光スペクトルに対応するように回転する。さらに、該励起光源は、多様な異なるスペクトル及び波長の励起ビームを供することが可能である。このような励起光源は、LED、レーザーダイオード、又は異なる呈色を有するいずれかのほかの光源である。このような装置は、同時に、前記少なくとも2つの励起光源の第1励起光源が第1波長の光を放射し、該光は第1ライトガイドを介して少なくとも第1反応領域に伝えられ、そして前記少なくとも2つの励起光源の第2励起光源が、前記第1波長とは異なる第2波長の光を放射し、該光は第2ライトガイドを介して少なくとも第2反応領域に伝えられることを許容する。これは、1つの測定段階において、異なる波長による、少なくとも2つの反応領域の並行的な励起及び測定を可能にする。これは、第1段階において、異なる波長の光線で励起された少なくとも2つの反応領域の同時測定を許容し、そして続く第2段階において、例えば、励起モジュール内の光源の励起波長及び発光モジュール内のロータリー・フィルター・ホイールの同時回転を変化することにより第1段階において使用される波長とは逆の異なる波長の光線で励起された少なくとも2つの反応領域の同時測定を許容する、特定の測定シーケンスを高速かつ有効な手段において行うことができるために有利である。マルチプレックスPCRのようなアプリケーションには、1以上の色素マーカーが各試料に存在する。従って、このような一連の測定段階の使用は、たった1つの色素特異的な励起かつ同時に全ての反応部位に対してではない測定波長の測定段階の連続的な適用と比較して、全体的なシーケンス測定は極めて短くなる。このような測定シーケンスの代表的な例は、図9について以下に記載する。
【0026】
ほかの利点は、ある特定の光源から1つだけ又は数個の反応領域へと放射される光学パワーを導くことにより、各々の反応領域における光学パワーが高い点である。これは、各々の特定の測定段階を短縮することが可能であり、短いシーケンス測定時間に導く。
【0027】
ある態様において、LEDは「光源」として使用される。LEDは比較的安価であり、かつLEDは一般に長い耐用年数を有し、低い維持費に導くため、有利である。ある観点において、いくつもの波長を供することができる多波長イルミネーターが使用される。
【0028】
特定の態様において、第1ライトガイドは分岐していてよい。このような態様において、1以上の反応領域が1つの特定の光源により同時に励起されることができる。このような態様は、測定される試料のより高いスループットを提供する。
【0029】
ほかの態様において、前記少なくとも2つの第1ライトガイドの各1つは、一方の端において、1つの励起光源と上記1つの第1ライトガイドを光学的に接触させる上記励起モジュールの特定の位置に取り付けられ、そして他方の端において、上記少なくとも1つの第1ライトガイドは、上記励起光源から上記少なくとも1つの反応領域における規定位置に放射される光線を媒介する少なくとも1つの反応領域に取り付けられる。該第1及び第2ライトガイドは、該装置中の特定の位置において、1つの特定の第1ライトガイドが1つの光源(例えば、多波長イルミネーター)の隣の1つの特定の位置から、1つの特定の反応領域に光を誘導し、そして1つの特定の第2ライトガイドが、該反応領域から、ロータリー・フィルター・ホイールの隣の1つの特定の位置に放出される光を誘導するような方法で局所的に固定されている。光の強度を増加させるために、1つの光源の代わりに、該励起モジュールの特定の位置に同じ波長の複数の光源が存在してもよい。あるいは、同じ波長の複数の光源から放射される光は、第3ライトガイド又は第3ライトガイド束を使用して、該励起モジュールの特定の位置に伝達することができる。該光源からの所望の波長の光を放射させることにより、そして該ロータリー・フィルター・ホイールを、協調的な手段において回転することにより、いくつもの色素を含有する1つの反応領域中の1つの試料を、短時間において多様な色素の励起スペクトルに相関する異なる波長の光線で励起することができ、試料において各励起ビームを作用する間、該励起ビームについて試料の発光スペクトルを同時に測定することができる。
【0030】
ある観点において、該励起光源は制御ユニットによりスイッチを切られ、一方で該ロータリー・ホイールは回転する。これはダーク・バリュー(dark value)を記録し、そしてシグナルに加えて信号処理エレクトロニクスのオフセットにより生じるダーク・バリューを含有する反応領域から放射された測定されたシグナルを回収することを許容するために有利である。さらに、放射光のスペクトル変化を低下させるために、光源のスイッチを切ることは、一定のタイプの光源、例えば、LEDに有利である。LEDから放射される光のスペクトル変化は、操作を続けている間のLED又は半導体レーザーダイオードのより高いウォームアップに重要となりうる。
【0031】
ある態様において、上記少なくとも2つの励起光源のそれぞれは、さまざまな異なるスペクトル及び波長の励起ビームを供することができる。このような装置の2つの代表的な態様を図1及び2に示す。ここで、光源として多波長イルミネーター(12)を具備する励起モジュール(11)、ロータリー・フィルター・ホイール(23)及び検出器(22)を具備する発光モジュール(21)、制御ユニット(41)、並びに1つの光源(12)から1つの反応領域(1)に放射される光及び該反応領域から該発光モジュール(21)に放射される光をそれぞれルーティングするための第1ライトガイド(31)及び第2ライトガイド(32)。図2の代表的な態様において、該装置は、第1ライトガイドとして分岐型励起ファイバー束(31)を使用し、光源として多波長イルミネーター(12)を有する励起モジュール(11)を具備する。
【0032】
図1は、光源として固定多波長イルミネーター(12)、及び分岐していない第1ライトガイド(31)、並びに12の反応領域(1)を有する本発明の特定の態様を示す。全ての12個の光源(12)は同じタイプであり、そしてこれらの各々の多波長イルミネーター光源は、連続的にスイッチを入れたり切ったりできる6種の異なる波長を供することができる。特定の態様において、多波長イルミネーターの起動は、2つの隣接する多波長イルミネーター(12)の対が常に同じ呈色及び波長の光を放射するような方法で制御される。これにより、2つの反応領域(1)が常に同じ波長の光で照射され、そして各測定段階において、最大6種の異なる波長を並行して使用することができる。各測定段階のために、該励起ビームの呈色及び波長が変更する6つの連続した測定段階のシーケンスを各反応領域(1)に対して適用することにより、全ての反応領域(1)は、迅速かつ有効な手段において6種の異なる波長の光で励起されることができる。該励起光線は、第1ライトガイド(31)により各々の多波長イルミネーター(12)から1つの反応領域(12)に誘導される。各々の12の反応領域(1)からの放射ビームは、12の第2ライトガイド(32)により発光モジュール(21)に誘導される。図1においては、2つの反応領域のために2つの代表的な第1ライトガイド及び2つの代表的な第2ライトガイドだけが示されているが、図5は、全てのライトガイドを示す第1ライトガイド(31)及び第2ライトガイド(32)の配置の詳細な概略図を示す。該発光モジュール(21)において、1つの反応領域(1)からの各放射ビームは、12の検出器(22)の1つに導かれる。これにより、各放射ビームは、ロータリー・フィルター・ホイール(23)に取り付けられている1つのフィルターを介して導かれる。このロータリー・フィルター・ホイール上のフィルターは、中心波長がそれぞれの放射ビームのスペクトルに適合するように選択され、かつ組み立てられる。この特定の態様において、スペクトル・スペシフィケーションに関する同じタイプのフィルターを対に配置し、そしてロータリー・フィルター・ホイール(23)において互いに隣接して取り付けられる。しかしながら、該ロータリー・フィルター・ホイール(23)のフィルターの配置は、反応領域(1)に対する第1ライトガイド(31)及び第2ライトガイド(32)の配置に依存し、そして適当に調整することができる。測定シーケンスにおいて、多波長イルミネーター(12)の各対は、測定される全ての適当な波長の光線を連続的に放射する。該ロータリー・フィルター・ホイール(23)は、該フィルターが、適当な励起ビームにより励起された色素マーカーの励起スペクトルを検出するために、適当なスペクトル・スペシフィケーションを供するように位置するように測定シーケンス中の各測定段階の終わりに回転する。多波長イルミネーター(12)から放射した励起ビームの波長及びロータリー・フィルター・ホイール(23)の回転の変化は、制御ユニット(41)により協調される。
【0033】
図2は、本発明のほかの態様を示す。図1の態様とは対照的に、多波長イルミネーター(12)の数は、12個から6個に減少している。第1ライトガイド(31)は、2つの反応領域(1)が、同じ単一の多波長イルミネーターからの同じスペクトルの励起光で照射されるように2本の枝により分岐している。図2においては、4つの反応領域のために2本の枝を有する2つの代表的な分岐した第1ライトガイドと4つの代表的な第2ライトガイドだけが示されているが、図6は、全てのライトガイドを表す第1ライトガイド(31)と第2ライトガイド(32)の配置の詳細な概略図を示す。
【0034】
更なる態様において、第1ライトガイド(31)は、同時に同じ多波長イルミネーター(12)からの同じスペクトルの励起ビームにより照射される反応領域(1)の数を増加させるために2本以上の枝を伴い分岐することができる。さらに、ほとんどのアプリケーションにおいて、発光モジュール(21)内の検出器(22)の数と分析を必要とする反応領域(1)の数を相関させることは、規定された測定シグナル割り当て、並びに全ての反応領域の迅速かつ並行的な測定を許容するために適当である。ロータリー・フィルター・ホイールにおけるフィルターは、同じスペクトル・スペシフィケーションを伴うフィルターの数が、同じスペクトルの励起光により励起された反応領域の数に相関するように、これらのスペクトル・スペシフィケーションに関して選択することが必要である。
【0035】
全ての反応領域の測定のための測定シーケンス・ダイアグラムは、上述のとおり、図9に示されている。これは、12の反応領域、及びそれぞれ6個又は12個の多波長イルミネーターを有する本発明の装置の態様の測定シーケンスを示す。6つの異なる染呈色マーカーが各反応領域中に存在する場合の該反応領域中の全ての試料を分析するために測定シーケンスにおいて必要な測定段階が示されている。該シーケンス・ダイアグラムにおけるチャネルは、12の反応領域中に存在する1つの特定の色素マーカーを測定することを許容するフィルターの特定の対に関する。6個の多波長イルミネーターを有する態様において、チャネルは、相関するスペクトル・スペシフィケーションの1つの励起フィルター及び2つの放射フィルターを包含する。12個の多波長イルミネーターを有する態様において、好ましくは、1つのチャネルのために2つの励起フィルターが使用される。該励起フィルターはロータリー・ホイールにおける集光レンズの後ろに位置される。両態様において、チャネル1は、好ましくは、6段階測定シーケンスにおける測定段階1が行われる時に第1反応領域及び第2反応領域に適用される。同時に、試料中に存在する他のタイプの色素マーカーを測定するために適当に装備された他のチャネル2〜6は、残りの反応領域3〜12に適用される。反応領域3〜12中の適当な色素マーカーは、反応領域1及び2の場合と並行して測定されるために有利である。測定段階2の開始前に、全ての多波長イルミネーターは、放射される光の呈色及び波長を切り替え、そしてロータリー・フィルター・ホイールは、チャネル1が今度は反応領域3及び4中の試料に適用されるように回転する。従って、測定段階2において、測定段階1において反応領域1及び2で測定された同じタイプの色素マーカーは、今度は反応領域3及び4で測定される。同時に、全ての他のチャネル2〜6は、測定段階1と比較して新たな反応領域対に位置し、反応領域中に存在する他のタイプの適当な色素マーカーの測定を許容する。6つの全ての測定段階を全ての試料に適用した後、12の反応領域中の6つの色素マーカーは、6つの全てのチャネルで測定される。従って、本発明の装置を伴うこの測定シーケンスの使用は、高い感度を伴い、多くの試料の短時間の試料測定を許容するマルチプレックスPCRアプリケーションに特に有用である。
【0036】
ほかの態様において、反応領域、励起光源、及び励起波長の数を変更することができる。また、反応領域の数を、それぞれ、測定される複数の色素マーカーの数、及びそれぞれの複数の異なる多波長イルミネーター呈色の数とする必要はない。さらに、同時に同じ色を放射する多波長イルミネーターの数も、同じスペクトル・スペシフィケーションを有するフィルターのタイプの数も制限されない。
【0037】
本発明の他の態様において、光線を放射及び検出するための装置は、少なくとも2つの反応領域、異なるスペクトル及び波長の励起ビームを提供することが可能なロータリー・ホイールに取り付けられた少なくとも2つの励起光源を具備する励起モジュール、を具備する。これはさらに、少なくとも2つの第1ライトガイド(各ライトガイドは該励起光源の1つから少なくとも1つの該反応領域に放射される光線を誘導することが可能である)、及び少なくとも2つの第2ライトガイド(各々の第2ライトガイドは該反応領域の1つから発光モジュールに放射される光線を誘導することが可能である)を具備する。該装置はさらに、少なくとも2つの反応領域のそれぞれから別々かつ同時に放射されたビームを検出することが可能な発光モジュールを具備する。該発光モジュールは、少なくとも、2つの検出器及びロータリー・フィルター・ホイールを具備し、ここで該フィルター・ホイールは、少なくとも2つの第2ライトガイドと該検出器の間に位置する。さらに、該装置は、励起モジュール(すなわち、ロータリー・ホイールの所定の位置への回転及びそこに取り付けられた光源の起動)、及び発光モジュール(すなわち、ロータリー・フィルター・ホイールの回転)を制御することが可能な制御ユニットを具備する。本明細書において、該励起光源を有するロータリー・ホイールは、少なくとも1つの第1ライトガイドの位置に相関して回転することができ、少なくとも該励起光源の1つを1つの規定された第1ライトガイドに光線を放射することを許容する。さらに、光源を有するロータリー・ホイールの回転、光源の起動、及び発光モジュールのフィルター・ホイールの回転は、制御ユニット内のコントローラーを介して電子的に連動されており、ロータリー・フィルター・ホイールが、各反応領域のためにフィルター・ホイールに取り付けられたフィルターの透過スペクトルが各反応領域から放射される光線の励起スペクトルに対応するように回転することを許容する。従って、該励起光源を有するロータリー・ホイールは、少なくとも励起光源の1つが、規定の第1ライトガイドに光線を放射することを許容する第1ライトガイドの位置に相関して回転することができる。所定の位置に対するロータリー・ホイールの回転は、好ましくは制御ユニットにより制御される。このような装置は、同時に、少なくとも2つの励起光源の第1励起光源が、第1ライトガイドを介して少なくとも第1反応領域に伝えられる第1波長の光を放射し、そして少なくとも2つの励起光源の第2励起光源が、第2ライトガイドを介して少なくとも第2反応領域に伝えられることを許容する。これは、1つの測定段階において、異なる波長による、少なくとも2つの反応領域の並行的な励起及び測定を可能にする。これは、光源を有する上記ロータリー・ホイールと発光モジュール内のロータリー・フィルター・ホイールの同時回転の連動した回転により、第1段階において、異なる波長の光線で励起された少なくとも2つの反応領域の同時測定を許容し、そして連続する第2段階において異なる波長(例えば、第1段階において使用される波長とは逆)の光線により励起された少なくとも2つの反応領域の同時測定を許容する特定の測定シーケンスを高速かつ有効な手段において行うことができるため、有利である。図9について、このような測定シーケンスの代表的な態様を以下に記載する。
【0038】
ある態様において、第1ライトガイドは分岐してもよく、あるいはライトガイド束を使用することもできる。このような態様において、1以上の反応領域を、ロータリー・ホイールに取り付けた1つの光源により同時に励起することができる。このような態様は、測定される試料のより高いスループットを供することもできる。
【0039】
ある観点において、本発明の装置におけるLEDは「光源」として使用される。LEDは比較的安価であり、かつLEDは一般に長い耐用年数を有し、低い維持費へと導くため、有利である。さらに、LEDの使用は、小さなスペクトル範囲のみでしか高いブロッキングを必要としないため、使用されるフィルターのブロッキング要件にほとんど依存せず、極めて安価なフィルターに導く。さらに、LEDを有するロータリー・ホイールは場所をとらず、そしてよりコンパクトな分析機器の構造を許容する。
【0040】
ある態様において、上記少なくとも2つの第1ライトガイドの各々は、その一端において、1つの励起光源と1つのライトガイドを光学的に接触させる上記励起モジュール上に取り付けられ、かつ上記少なくとも1つの第1ライトガイドは、その他端において、上記励起光源から上記少なくとも1つの反応領域の規定位置に放射される光線を仲介する少なくとも1つの反応領域に取り付けられる。
【0041】
ある観点において、制御ユニットによりスイッチが切られる一方、該励起光源は、ロータリー・ホイールが回転する。これはダーク・バリュー(dark value)を記録し、そしてシグナルに加えて信号処理エレクトロニクスのオフセットにより生じるダーク・バリューを含有する反応領域から放射された測定されたシグナルを回収することを許容するために有利である。さらに、光源により放射される熱量を低下し、これにより高い内部温度により生じる光源のスペクトル変化が、測定の精度に所望されない影響を与えることを減少するために有利である。
【0042】
ある態様において、該励起光源はそれぞれ異なる励起波長を表す。他の態様において、本発明に従う装置は、ロータリー・ホイールの各位置において、同じ色の数個の光源が共同的に1つの光源を形成するようにロータリー・ホイールの各特定の位置に存在する同じ色の数個の光源と共に、異なる色の光源を具備する。ここで、ロータリー・ホイールにおける各々の特定の光源の位置において、同じ色の複数の光源により放射される光は、分岐した又は分岐していないライトガイドにより反応領域に導くことができる。この態様の利点は、特に、多くの反応領域が存在する場合に、十分な光学パワーを反応領域に供することである。
【0043】
1の測定段階において、規定された波長の光は、ロータリー・ホイール上の1つの励起光源から放射され、そして第1ライトガイドを介して反応領域に誘導される。該反応領域内において、該光は試料中に含有される少なくとも1つの特定の色素と相互作用し、該反応領域から光を放出することができる。該放射光は、第2ライトガイドを介して発光モジュールのロータリー・フィルター・ホイールに取り付けられたフィルターに誘導される。該フィルターの透過性は、反応領域から放射される光の波長に相関するように選択される。該フィルター・ホイールを通過した光は、その後発光モジュールの検出器により検出される。該検出器のシグナルはその後評価され、そして編集することができる。第1及び第2ライトガイドは、1つの特定の第1ライトガイドが、光源を有するロータリー・ホイールに隣接するある特定の位置からある特定の反応領域に光を誘導し、そして1つの特定の第2ライトガイドが、この反応領域から放出された光をロータリー・フィルター・ホイールに隣接するある特定の位置に誘導するように装置内の特定の位置に局所的に固定される。光源を有するロータリー・ホイールの回転及び協調された手段におけるロータリー・フィルター・ホイールの回転により、ある反応領域中のいくつかの色素を含有するある試料は、短期間で多様な色素の励起スペクトルと相関する異なる波長の光線によって励起されることができ、一方各励起ビームが試料に作用する間、この励起ビームについての試料の励起スペクトルを同時に測定することができる。原則として、光源を有するロータリー・ホイールの全ての位置は、ユーザーにより規定されたロータリー・フィルター・ホイールの位置に相関することができ、励起と放射波長の組み合わせにおいて高い柔軟性に導く。従って、限定された2つのロータリー・ホイールの協調的な回転運動を伴い、1つの試料を異なる波長の光により短期間で励起することができ、これはマルチプレックスPCRアッセイにおいて試料を評価する場合に特に有利である。従って、たった数回転で、異なる波長の光を、多様な反応領域に供された全ての試料に照射することが可能となる。ロータリー・ホイール上の異なる光源の配置によって、各々単独の測定段階において異なる試料は異なる色で照射される。この照明(illumination) パターンは、測定シーケンスの次の測定段階において、該シーケンスの最後に全ての試料が全ての色と組み合わされるように変化する。全ての測定時点において多くの測定の並行化により、測定シーケンスの総合時間は最小限となる。
【0044】
該装置のこのような態様の2つの代表的な態様は、図3及び4に示される。図3は、ロータリー・ホイール(13)上に取り付けられた光源(12)としての12個のLED、12の反応領域(1)、及び分岐していない第1ライトガイド(31)を有する本発明の1態様を示す。ロータリー・ホイール(13)上に取り付けられたLED(12)は、励起モジュール(11)内に含まれる。この特定の態様において、ロータリー・ホイール(13)上に取り付けられた12個のLEDのうち常に2つの隣接LED(12)対は、異なる色を有する。励起光源は、第1ライトガイド(31)によりLED(12)から反応領域(1)に誘導される。この設定において、2つの反応領域は、常に同じ色で照射される。励起モジュール(11)内でライトガイド(31)の位置が固定されると、全ての反応領域(1)は、所定の位置へのロータリー・ホイール(13)の回転により、全ての光源と光学的に接触することができる。測定シーケンス中の各測定段階の最初に、全てのLEDのスイッチを入れる。これにより、常に2つの反応領域が同じ波長の光により照射され、そして各測定段階で並行して最大6つの異なる波長を使用することができる。各測定段階の後、例えば、測定段階1において、LEDを反応領域1及び2に導く第1ライトガイド(31)と光学的に接触させ、測定段階2において、反応領域3及び4に導く第1ライトガイドに接触させるために、2箇所によりLED(12)を有するロータリー・ホイール(13)が回転する。6つの測定段階の測定シーケンスを適用することにより、LEDを有するロータリー・ホイール(13)を回転することによって励起ビームの色及び波長が各測定段階について変化し、従って迅速かつ有効な方法で6つの異なる波長の光で全ての反応領域(1)を励起することができる。12の反応領域(1)から放射された放射ビームは、12の第2ライトガイド(32)により発光モジュール(21)に誘導される。図3においては、1つの反応領域について、1つだけの代表的な第1(31)及び第2ライトガイド(32)が表されており、図5は、全てのライトガイドを示す第1(31)及び第2ライトガイド(32)の配置の概略図を示す。発光モジュール(21)において、各放射ビームは第2ライトガイド(32)により12個の検出器(22)の1つに導かれる。これにより、各放射ビームは、ロータリー・フィルター・ホイール(23)上に取り付けられている1つのフィルターを介して導かれる。ロータリー・フィルター・ホイール上の該フィルターは、これらのスペクトル・スペシフィケーションが、各放射ビームのスペクトルと適するように選択され、そして組み立てられる。特定の態様において、スペクトル・スペシフィケーションに関する同じ種類のフィルターがそれぞれ配置され、そしてロータリー・フィルター・ホイール(23)上に互いに隣接して取り付けられる。しかしながら、ロータリー・フィルター・ホイール(23)上のフィルターの配置は、反応領域(1)に関する第1(31)と第2ライトガイド(32)の配置に依存し、そして適当に選択することができる。6つのLEDペアの呈色パターン及びロータリー・フィルター・ホイール(23)上のフィルターは、反応領域(1)の全てのペアが、異なるスペクトルの励起ビームにより照射されるように選択すべきである。測定シーケンスにおける各測定段階を始める前に、LEDの各ペアは、ロータリー・ホイール(13)の回転により励起モジュール(11)中に固定された第1ライトガイド(31)の末端に誘導される。これにより、1測定段階において、反応領域(1)の全てのペアは、異なる励起ビームにより照射される。並行して、ロータリー・フィルター・ホイール(23)は、適当な励起ビームにより励起された色素マーカーの放射スペクトルを検出するために、適当なスペクトル・スペシフィケーションを供するためにフィルターが位置するように、各測定段階の最初に回転する。該測定段階の測定後かつ次の測定段階の開始前に、光源(12)を有するロータリー・ホイール(13)及びロータリー・フィルター・ホイール(23)は、次の測定位置に回転する。ロータリー・ホイール(13)の回転とロータリー・フィルター・ホイール(23)の回転は、協調的な方法において制御ユニット(41)により制御される。
【0045】
図4は、本発明のほかの態様を示す。図3の態様と対比して、LED(12)の数は12個から6個に減少しており、ここでこれらの6個のLEDは異なる色を有する。2つの反応領域(1)が同じ単一のLED(12)からの同じスペクトルの励起ビームで照射されるように第1ライトガイド(31)は2つの枝に分岐している。図4において、2本の枝を有する2つの代表的な分岐した第1ライトガイド(31)及び4つの反応領域のための4つの代表的な第2ライトガイドのみが示されており、一方図6は、全てのライトガイドを示す第1(21)及び第2ライトガイド(32)の配置の詳細な概略図を表している。更なる態様において、第1ライトガイドは、同時に同じLEDからの同じスペクトルの励起ビームにより照射される反応領域(1)の数を増加させるために、2本以上の枝を有するように分岐していてもよい。さらに、ほとんどのアプリケーションにおいて、規定した測定シグナルの割り当て、並びに全ての反応領域の迅速且つ並行した測定を許容するために、発光モジュール(21)内の検出器(22)の数と分析が必要な反応領域(1)の数を相関させることが合理的である。ロータリー・フィルター・ホイール(23)上のフィルターは、同じスペクトル・スペシフィケーションを伴うフィルターの数と同じスペクトルの励起光により励起される反応領域(1)の数が相関するように、これらのスペクトル・スペシフィケーションに関して選択することが必要である。
【0046】
上述及び図9に表される12の反応領域及び6つの異なる色素マーカーを含有する試料を含んで成る各反応領域の測定のための測定シーケンス・ダイアグラムもまた、図3及び4に表されるような態様に適用することができる。各測定段階において、全ての6個のLED又は同じ色を有する6つのLEDのペアは、ロータリー・ホイールの回転により励起モジュール内の第1ライトガイド末端の次の隣接ペアに誘導される。並行して、ロータリー・フィルター・ホイールは、それに応じて同じような方法で回転する。これは、第1測定段階において反応領域1及び2と光学的な接触するチャネルが、次の測定段階における反応領域3及び4における試料に適用されることを保証する。従って、この測定段階において、反応領域1及び2における前の測定段階において測定される同じ色素マーカーは、今度は反応領域3及び4において測定されることができる。同時に、全てのほかのチャネル2〜6は、前の測定段階と比較して、新たな反応領域対に位置し、反応領域に存在する適当な色素マーカーのほかのタイプの測定を許容する。6つの全ての測定段階を、全ての試料に適用した後、すべての6つのチャネルにより12の反応領域中の6つの色素マーカーが測定される。従って、本発明に従う装置によるこの測定シーケンスの使用は、高い感度を伴い、多くの試料の短期間の試料測定時間を許容するマルチプレックスPCRアプリケーションにおいて特に有用である。
【0047】
ほかの態様において、反応領域の数、励起光源、及び励起波長を変更することができる。反応領域の数が、それぞれ、測定される複数の色素マーカーの数、あるいは複数の異なる光源色の数となる必要はない。さらに、一度に同じ色を放射する光源の数も、同じスペクトル・スペシフィケーションを有するフィルタータイプの数も制限されない。
【0048】
本発明のある態様において、励起光源は、励起モジュール中に固定することができ、一方、励起光源の隣の第1ライトガイドの末端は、励起光源に関連して回転することができる。ライトガイドのほかの末端は、同じ態様における反応領域に貼り付けられて存在する。この方法において、図9に示されるとおり、同じ測定シーケンスを反応領域に適用することができる。
【0049】
本発明のある態様において、単色光源(例えば、LED)は、ロータリー・ホイール上に取り付けられる代わりに励起モジュール内に固定することができる。このような態様において、該光は、光学装置(例えば、プリズム、光学微小電気機械システム(MEMS)、ミラー)により第1ライトガイドに転送される。この装置は、図9に示される同じ有利な測定シーケンスが適用できるように、各光源の光を各第1ライトガイドに送ることを可能にする。このような光学装置の異なる態様も考えられる。装置全体は、光源からの光を第1ライトガイドに送るために回転することができ、あるいは該装置自体が異なる光源からの光を第1ライトガイドに送る光スイッチ(例えば、切替可能ミラー)を含むことができる。
【0050】
本発明に従う装置は、ある態様において、さらに少なくとも1つの光源の電源をモニターするためのコントロールライトガイドを含んで成る。このようなライトガイドは、励起モジュール内の一定の部位に取り付けられ、そして別々の検出器に導く第1ライトガイドの1つと組み合わせることができる。そうすることで、光源の電源は、各反応領域の励起により同時にモニターされることができる。ある態様において、1つ以上のコントロールライトガイドは、別々の検出器に導くこれらのそれぞれに存在することができる。このように、各ライトガイドは、各反応領域の励起の間に同時にモニターされることができる。
【0051】
上述の装置は、核酸を増幅及び検出するための機器において使用することができる。さらに、光線を放射及び検出するための装置に加えて、このような機器は、複数の成分及び標的が存在する場合と標的が存在しない場合と異なる励起における光放射を産生可能な検出可能なマーカーを含んで成る少なくとも2つの反応領域の1つにおかれた試料、並びに少なくとも1つの試料を増幅及び/又は融解反応にかけるためのデバイスを少なくとも含んで成る。ある態様において、試料は反応領域中に置かれた容器に供されてもよい。該装置は、反応領域中に含有される試料を増幅するために、特定の温度サイクルを反応領域に適用するサーマルサイクラーと組み合わせることができる。本発明のサーマルサイクラー及び装置に加えて、該装置は、血漿から核酸を抽出するための手段(例えば、ピペッティング装置、インキュベーター、洗浄及び分離ステーション、並びに試薬瓶、試薬ラック及び試料チューブを装填するための手段)を含むことができる。さらに、このような機器は、核酸抽出から初期の標的濃度の定量の範囲であり、そしてパーソナルコンピューターと共に全ての電子プリント回路基板(PCB)及びプロセスを制御するために特別に設計されたソフトウェアを具備する全プロセスソリューションであってよい。
【0052】
本発明に従う装置及び機器は、リアルタイムPCR、特に1以上の処理される標的配列を含んで成るマルチプレックスPCRアプリケーションにおいて特に使用することができ、そして該標的配列又は標的配列と特異的にハイブリダイズするプローブは異なる色素マーカーで標識される。しかしながら、蛍光マーカーに加えて、リン光、化学発光及び電気化学発光マーカーもまた、本発明に従う装置及び/又は機器において使用することができる。マルチプレックスPCRアプリケーションに加えて、本発明に従う装置及び機器もまた、他のアプリケーション、例えば、ハイブリダイゼーションアッセイ、ペプチド核酸プローブを使用する蛍光in situハイブリダイゼーションアッセイ、RNA−RNAハイブリダイゼーションアッセイ、プロテインマルチプレックスアッセイ、又は他の増幅検出アプリケーション、例えば、定量PCR、定量リアルタイムPCR、ライゲーション媒介PCR(例えば、マルチプレックス・ライゲーション依存性プローブ増幅(MLPA)、リガーゼ連鎖反応)、RACE−PCR、非対称(asymmetric)PCR等において使用することができる。
【0053】
試料中の特定の検体を検出するための方法において、検査される試料は、反応領域中に供され、そして少なくとも2つの検出可能マーカーを含んで成り、ここで各検出可能マーカーは、各励起波長の光を含む励起ビームで励起された場合にそれぞれの検出可能な光線を放射する。該試料は、その後少なくとも1つの励起光源から放射された異なるスペクトルの励起ビームで照射される。試料から放射された放射ビームは、発光モジュールで検出され、一方検出可能マーカーは、それぞれの励起ビームにより励起される。特定の態様において、上記特定の検体は核酸である。ある観点において、上記試料中の少なくとも1つの標的核酸が増幅及び/又は融解される。
【0054】
本発明に従う装置及び/又は機器を使用するこのような方法は、実施例に記載の例によりさらに説明される。
【実施例】
【0055】
リアルタイム・マルチプレックスPCRは、既知の濃度を伴うC型肝炎ウイルス(HCV)クリーンターゲットと共に操作され、そして定量標準(QS)は、本発明の2つの装置を使用して行った。各反応領域において、50μlのPCR試薬混合物(試料あたりRTプライマーST778AA及び更なる上流プライマーST280Aを含有する44.6μlのマスターミックス、及び5.4μlのMn2+バッファー)を、1×106コピー/μlの濃度を有する25μlのHCVターゲット及び40コピー/μlの濃度における25μlの定量標準(QS)と共に供した。マスターミックス、Mn2+バッファー及び定量標準は、商業的に入手可能な試薬キットである(Roche HCV CTM Master Mix:Kit no.58004181, Roche HCV CTM Manganese: Kit no. 52004183, Roche Amplicor(登録商標)Monitor QS HCV V2.0:Kit no. 58002560)。クリーンターゲットは、FAMマーカー色素でマーキングし、一方定量標準(QS)はHEXマーカー色素でマーキングした。以下に示すとおり1回のプレサイクルと共に62回の温度サイクル及び逆転写段階を、2つのサーマルサイクラーを使用して各反応領域に適用した。以下の表は、増幅のために使用した該サーマルサイクラーの特性を示す。
【表1】

【0056】
適用温度の変更のための加熱及び冷却ランプは、加熱のために7℃/分及び冷却のために5℃/分として選択した。
【0057】
生じた増幅曲線は図7及び8に示される。
【0058】
結果
図7は、上述したリアルタイム・マルチプレックスHCV−PCRの操作の増幅曲線を示す。PCR混合物を含有する10種の試料を増幅し、そして該シグナルをFAMチャネルにおいてリアルタイムに測定した。FAMチャネルにおいて部分的に励起され、検出されるHEXマーカー色素でラベルされた定量標準からもたらされたクロストークについて該データを補正する。有意なシグナルの増加は、ターゲット配列が存在する指標である。有意なシグナル増加が生じる場合のサイクル数は、初期ターゲット濃度の測定におけるものとする。サイクル数をより小さくすると初期ターゲット濃度はより高くなる。この特徴的なサイクル数は、エルボー数(elbow number)と称される。該エルボー数の決定は、増幅曲線を分析するために使用されるアルゴリズムのタイプの特別な特性である。異なるアルゴリズムは、同じ増幅曲線の異なるエルボー数を決定することができる。以下の表は、図7に示される増幅曲線のエルボー数を示す:
【0059】
【表2】

【0060】
表8は、同じリアルタイム・マルチプレックスHCV−PCR操作の定量標準(QS)の増幅曲線を示す。10種全ての試料は、PCR混合物に加えて25μlの定量標準もまた含有した。該シグナルは、HEXチャネルにおいてリアルタイムに測定した。FAMチャネルにおいて部分的に励起され、検出されるHEXマーカー色素でラベルされたクリーン標準からもたらされたクロストークについて該データを補正する。有意なシグナルの増加は、定量標準が存在する指標である。定量標準についても、QSの増幅曲線を分析するアルゴリズムを使用して、エルボー数と称される特徴的なサイクル数を決定した。以下の表は、図8に示される増幅曲線のエルボー数を示す:
【0061】
【表3】

最初のターゲット濃度は、ターゲットと定量標準のエルボー数の違いの較正曲線の補助により計算することができる。以下の表は、コピー/μlにおけるこれらの計算値を示す。
【0062】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】光線を放射及び検出するための装置であって、光源(12)として多波長イルミネーターを伴う励起モジュール(11)、ロータリー・フィルター・ホイール(23)及び検出器(22)を備える発光モジュール(21)、制御ユニット(41)、及びある光源からある反応領域(1)に放射される光及び該反応領域から発光モジュール(21)に放射される光をそれぞれ送るための第1(31)及び第2(32)ライトガイドを具備する装置を示す。
【図2】光線を放射及び検出するための装置であって、第1ライトガイド(31)として分岐した励起ファイバー束を使用し、光源(12)として多波長イルミネーターを有する励起モジュール(11)を具備する装置を示す。
【図3】光線を放射及び検出するための装置であって、ロータリー・ホイール(13)上に取り付けられた光源(12)として多様な異なる波長の発光ダイオード(LED)を伴う励起モジュール(11)、ロータリー・フィルター・ホイール(23)及び検出器(22)を備える発光モジュール(21)、制御ユニット(41)、及びある光源からある反応領域(1)に放射される光及び該反応領域から発光モジュール(21)に放射される光をそれぞれ送るための第1(31)及び第2(32)ライトガイドを具備する装置のほかの態様を表す。
【図4】光線を放射及び検出するための装置であって、第1ライトガイド(31)として分岐した励起ファイバー束を使用する、ロータリー・ホイール(13)上に取り付けられた光源(12)として多様な異なる波長の発光ダイオードを伴う励起モジュール(11)を具備する装置を示す。
【図5】図1及び3に示されるとおり、本発明の態様における第1(31)及び第2(32)ライトガイドの配置の略図であって、特定の位置における光源(12)から放射される光を特定の反応領域(1)に送る各第1ライトガイド、及び特定の反応領域から放射される光を発光モジュール(21)内の特定の位置に送る各々の第2ライトガイドを示す。
【図6】図2及び4に示されるとおり、本発明の態様における第1(31)及び第2(32)ライトガイドの配置の略図であって、特定の位置における光源(12)から放射される光を2つの特定の反応領域(1)に送る各第1ライトガイド、及び特定の反応領域から放射される光を発光モジュール(21)内の特定の位置に送る各々の第2ライトガイドを示す。
【図7】本発明に従う機器、並びに1μlあたり106コピーのHCV mRNAのターゲット鋳型濃度及び1μlあたり40コピーの定量標準(QS)を使用するPCR操作の蛍光強度の増幅曲線を示す。該ターゲットはFAM色素でラベルされ、一方QSはHEX色素でラベルされた。これらの2つのタイプのターゲットは、マルチプレックスPCR操作により同時に増幅された。全部で10種の試料が処理された。図7は、ターゲットFAM蛍光強度レベルの増幅曲線を示す。
【図8】本発明に従う機器、並びに1μlあたり106コピーのHCV mRNAのターゲット鋳型濃度及び1μlあたり40コピーの定量標準(QS)を使用するPCR操作の蛍光強度の増幅曲線を示す。該ターゲットはFAM色素でラベルされ、一方QSはHEX色素でラベルされた。これらの2つのタイプのターゲットは、マルチプレックスPCR操作により同時に増幅された。全部で10種の試料が処理された。図8は、QS HEX蛍光強度レベルの増幅曲線を示す。
【図9】全ての反応領域中の全ての色素マーカーを測定するために必要とされる異なる測定段階のシーケンス・ダイアグラムを示す。該シーケンス・ダイアグラムは、それぞれにおいて6つの異なる色素マーカーを伴う試料を含有する全部で12の反応部位に適用される。
【符号の説明】
【0064】
1 反応領域
11 励起モジュール
12 励起光源
13 ロータリー・ホイール
21 発光モジュール
22 検出器
23 ロータリー・フィルター・ホイール
31 第1ライトガイド
32 第2ライトガイド
41 制御ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光線を放射及び検出するための装置であって、
−少なくとも2つの反応領域、
−異なるスペクトル及び波長の励起ビームを提供することが可能な少なくとも2つの励起光源を含む励起モジュール、
−少なくとも2つの第1ライトガイド(各々の第1ライトガイドは該励起光源の1つから少なくとも1つの該反応領域に放射される光線を誘導することが可能である)、
−少なくとも2つの第2ライトガイド(各々の第2ライトガイドは該反応領域の1つから発光モジュールに放射される光線を誘導することが可能である)、
−少なくとも2つの反応領域のそれぞれから別々かつ同時に放射されたビームを検出することが可能な発光モジュール(該発光モジュールは、少なくとも、2つの検出器及びロータリー・フィルター・ホイールを備え、該ロータリー・フィルター・ホイールは、少なくとも2つの第2ライトガイドと検出器の間に位置する)、及び
−該励起光源及び該発光モジュールの起動を制御することが可能な制御ユニット、
を具備し、
ここで、前記励起光源の起動及び前記発光モジュールのロータリー・フィルター・ホイールの回転が電子的に連動しており、そしてここで、前記少なくとも2つの励起光源の第1励起光源が第1波長の光を放射し、該光は第1ライトガイドを介して少なくとも第1反応領域に伝えられ、そして前記少なくとも2つの励起光源の第2励起光源が、前記第1波長とは異なる第2波長の光を放射し、該光は第2ライトガイドを介して少なくとも第2反応領域に伝えられることを特徴とする各励起ビームにより、前記反応領域が励起されるときに、各々の反応領域のために前記ロータリー・フィルター・ホイールに取り付けられたフィルターの透過スペクトルが各反応領域から放射された前記光線の発光スペクトルに対応するように該ロータリー・フィルター・ホイールが回転する、装置。
【請求項2】
前記少なくとも2つの励起光源がロータリー・ホイール上に取り付けられ、そしてここで該励起光源を有する該ロータリー・ホイールが、前記励起光源の1つが1つの規定した第1ライトガイドに光線を放射させる前記第1ライトガイドの位置に相対して回転することができ、そしてここで該ロータリー・ホイールの所定の位置への回転が、制御ユニットにより制御される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも2つの励起光源のそれぞれが、各種の異なる波長スペクトルの励起ビームを提供することが可能であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記励起光源が、発光ダイオード(LED)であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記第1ライトガイドが、前記励起光源の1つから少なくとも2つの前記反応領域に放射される光線を導くことが可能な単一又は分岐したライトガイド束であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記励起光源が、それぞれ異なる励起波長を示すことを特徴とする、請求項1、2、4及び5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
ロータリー・フィルター・ホイールが回転する間、制御ユニットにより前記励起光源の電源が切られることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第1ライトガイドは、その一端において、1つの励起光源と1つのライトガイドを光学的に接触させる前記励起モジュール上に取り付けられ、かつ前記少なくとも1つの第1ライトガイドは、その他端において、前記励起光源から前記少なくとも1つの反応領域の規定位置に放射される光線を仲介する少なくとも1つの反応領域に取り付けられること特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記励起光源を有するロータリー・ホイールの回転と前記発光モジュールのロータリー・フィルター・ホイールの回転が電子的に連動されていることを特徴とする、請求項2及び4〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
さらに、光源の電源をモニタリングするための少なくとも1つのコントロールライトガイドを具備することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
核酸を増幅及び検出するための機器であって、少なくとも、
−複数の成分、及び励起において標的が存在する場合には標的が存在しない場合とは異なる光放射を産生することが可能な検出可能なマーカーを含む、少なくとも2つの反応領域の一方に置かれた試料、
−該試料を増幅及び/又は融解反応にかけるためのデバイス、及び
−請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置、
を具備する、機器。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置を使用して試料中の特定の検体を検出するための方法であって、
−少なくとも2つの検出可能なマーカーを含んで成る少なくとも2つの反応領域の1つにおいて試料を提供する工程であって、ここで各々の検出可能なマーカーがそれぞれ、各々の励起波長の光を含む励起ビームで放射されたときに検出可能な光線を放射する、工程、
−少なくとも2つの励起光源から放射された異なる波長スペクトルの励起ビームで該試料を照射する工程、及び
−検出可能なマーカーが各々の励起ビームにより励起される間、発光モジュールにより試料から放射される放射ビームを検出する工程、
を含んで成る方法。
【請求項13】
前記特定の検体が核酸であることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
さらに、
−前記試料中の少なくとも1つの標的核酸を増幅及び/又は融解する工程、
を含んで成る、請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−261842(P2008−261842A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−37696(P2008−37696)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】