説明

光計測装置

【課題】プローブを入れ替えたり交換しても、再度校正を行わずに最適条件で計測を行うことができる光計測装置を提供する。
【解決手段】光源プローブ1から計測対象10に光を照射し、透過した光を受光プローブ2で検出して強度変化を計測することにより、計測対象の内部情報を測定する光計測装置において、プローブフォルダ3を有し、光源プローブと受光プローブは、個別に取り外しができるように、プローブフォルダに装着し、光源プローブおよび受光プローブには、それぞれ光源プローブ内に配置されている光源素子および受光プローブ内に配置されている受光素子の校正用データ並びに各プローブに固有に割り当てられている番号を保持できる不揮発性メモリを有し、プローブフォルダのどの位置にプローブが装着されているかを判別し、各プローブの個別の校正データを元に各プローブの光源素子の駆動電流の調整または受光素子の感度補正を行うように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測対象に光を照射しこの計測対象の内部を透過した光を検出してその内部情報を測定する、生体光計測装置などの光計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生体光計測装置として、光トポグラフ装置と呼ばれる計測装置が知られている。この装置は、光照射を行う光源プローブと光受光を行う受光プローブを生体計測対象に多数配置し、光の透過の違いを計測することにより、生体情報、たとえば、血液の流れの変化などを計測する装置である。
【0003】
光源プローブと受光プローブは計測対象上に決められたプローブ間距離をとって配置するため、各プローブを決まった距離間に配置できるプローブフォルダに装着し、プローブフォルダを計測対象の皮膚に配置して計測を行う。生体の表面は凹凸や曲面を持つため、各プローブ先端が、均一に皮膚に接触するように、プローブフォルダは柔軟性を持った構造となっている。生体情報の分布を計測する場合には、光源プローブと受光プローブを多数配置したプローブフォルダを計測部位、例えば、頭部に密着するように取り付けて、各光源プローブから近赤外線を照射して各受光プローブで計測を行う。
【0004】
生体情報の分布を計測するためには、各光源プローブはプローブ間のばらつきがないように同じ光出力とされる必要がある。同様に、各受光プローブは同じ光を検出すると同じ値として検出する必要がある。しかし、光源プローブに用いられている光源素子、および受光プローブに用いられている受光素子には個々のばらつきがある。通常は予め素子の入出力特性を計測して、校正データを記録しておき、各光源素子、受光素子を計測システムに組み込んだときに、校正データを元に光源素子の駆動電流、受光素子の感度補正を制御回路の調整部で補正することにより、計測データの統一を得ている。また、各光源素子、受光素子は素子の環境温度や、素子の使用時間によっても入出力特性が変化するため、予め各素子の温度補正や定期的な校正データの改定を行う必要がある。光源素子が一定の出力が得られるような方法として、特許文献1には、光源プローブ内部に受光素子を持ち、光源素子の出力光の一部をプローブ内部の受光素子に導き、受光素子の出力が一定になるようにフィードバックする方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−178563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の計測システムでは予め行った校正をもとに、回路調整、計測プログラム内の計測補正を行うため、プローブを入れ替えたり、使用していたプローブが動作しなくなり、違うプローブを装着する場合、再度、校正値の計測、計測プログラム内の補正値を入力し直して計測する必要があった。
【0007】
本発明は、プローブを入れ替えたり交換しても、再度校正を行わずに最適条件で計測を行うことができる光計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、各プローブに固有番号を割り当て、各プローブ内に不揮発性メモリを有し、プローブ固有番号と光学素子の校正データを記録、保持することにより、計測の際、プローブフォホルダの複数あるプローブ口のどこに、どのプローブが配置されているかを把握し、校正データを元に最適な光学素子の駆動条件を設定できるようにしたものである。
【0009】
本願において開示される発明のうち代表的なものを挙げれば、光源プローブから計測対象に光を照射し、前記計測対象の内部を透過した光を受光プローブで検出してその光の強度変化を計測することにより、計測対象の内部情報を測定する光計測装置において、プローブフォルダを有し、前記光源プローブと前記受光プローブは、個別に取り外しができるように、プローブフォルダに装着し、前記光源プローブおよび前記受光部ローブには、それぞれ光源プローブ内に配置されている光源素子および受光プローブ内に配置されている受光素子の校正用データ並びに各プローブに固有に割り当てられている番号を保持できる不揮発性メモリを有し、計測の際に、プローブフォルダのどの位置にプローブが装着されているかを判別し、各プローブの前記不揮発メモリに保持してある個別の校正データを元に各プローブの光源素子の駆動電流の調整または受光素子の感度補正を行うように構成したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、計測の際、各プローブをプローブフォルダのどのプローブ口に装着しても、また、プローブを交換しても、再度校正を行わずに最適条件で計測を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1の光計測装置の全体構成を示した図である。
【図2】本発明の実施例1の光源プローブを示した図である。
【図3】本発明の実施例1の受光プローブを示した図である。
【図4】本発明の実施例1のプローブフォルダを示した図である。
【図5】本発明の実施例1のプローブフォルダを示した展開図である。
【図6】本発明の実施例1の計測手順を示した説明図である。
【図7】プローブ校正を行うプローブ校正ユニットを示した図である。
【図8】光源プローブの校正手順を示した説明図である。
【図9】光源素子の駆動電流と校正済み光検出器の出力電圧の計測関係を示した説明図である。
【図10】光源素子の駆動電流と光出力の近似式から得られるグラフを示した説明図である。
【図11】受光プローブの校正手順を示した説明図である。
【図12】校正済み光源による光出力と受光素子の受光出力の計測関係を示した説明図である。
【図13】光出力と受光素子の受光出力の近似式から得られるグラフを示した説明図である。
【図14】本発明の実施例2の光計測装置の全体構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。各図面において、同一の構成要素には同一の番号を付し、繰り返しの説明は省略する。
【実施例1】
【0013】
図1から図13を参照して、実施例1に係る光計測装置を具体的に説明する。この実施例に係る光計測装置は、脳のある部位が活動をすると、それに伴って、その部位に酸素を送る為の血液量が増大することを利用して、生体内の局所的な血液動態変化を計測する装置である。具体的には、頭皮上から近赤外光を照射し、この近赤外光の血液中のヘモグロビンによる散乱を計測することで、大脳の表面付近の血液量の変化を計測し、それを2次元的なマップ等に表わすなどして簡便に脳の働きを観察することができる。ここで、近赤外光とは、可視光より波長の長い領域の電磁波である。
【0014】
先ず、図1は光学計測システム全体を示した斜視図である。計測システムは光学計測装置と校正装置から成り立っている。
【0015】
光学計測装置は、測定対象の血液量の変化を計測する。光学計測装置はシステムコントローラ5、計測ユニット4、プローブフォルダ3、光源プローブ1、受光プローブ2から成り立っている。プローブフォルダ3と計測ユニット4は計測ユニット−プローブフォルダ接続ケーブル7を介して接続される。計測ユニット4とシステムコントローラ5はシステムコントローラ−計測ユニット接続ケーブル8を介して接続される。プローブフォルダ3には光源プローブ1と受光プローブ2を装着して計測を行う。測定対象10の血液変化を計測するには各プローブを装着したプローブユニット3を測定対象の皮膚に当て測定を行う。その際、各プローブの先端に配置している光ファイバ端部が均一に接触するように配置する。
【0016】
校正装置は光源プローブ1と受光プローブ2の校正を行う。校正装置はシステムコントローラ5とプローブ校正ユニット6から成り立っている。プローブ校正ユニット6とシステムコントローラ5はシステムコントローラ−プローブ校正ユニット接続ケーブル9を介して接続される。
【0017】
図2は光源プローブの構成を示した図である。図中(a)は光源プローブ1の斜視図、(b)は光源プローブの断面図、(c)は断面図の破断面47を示す。光源プローブ1は光源素子11、光学フィルタ12、光ファイバ13、プローブコネクタ(プローブ側)14、プロセッサ電気回路基板16、プロセッサ素子17、不揮発性メモリ18、光源素子駆動電気回路基板15、光源素子駆動回路電子部品19から構成されており、個々の光源プローブには固有の番号が割り当てられており、不揮発性メモリ18に記録されている。また、不揮発性メモリ18には、光源素子の個別の校正データが記憶されており、計測の際、システムコントローラから読み出されて最適な光源素子の駆動条件が設定される。不揮発性メモリ18の情報はプロセッサ素子17を介して読み書きされる。プロセッサ素子17はプローブコネクタ14を介して情報を送受信する。
【0018】
図3は受光プローブの構成を示した図である。図中(a)は受光プローブ2の斜視図、(b)は受光プローブの断面図、(c)は断面図の破断面48を示す。受光プローブ2は受光素子20、光学フィルタ12、光ファイバ13、プローブコネクタ(プローブ側)14、プロセッサ電気回路基板16、プロセッサ素子17、不揮発性メモリ18、受光素子駆動電気回路基板21、受光素子駆動回路電子部品22から構成されており、個々の受光プローブには固有の番号が割り当てられており、不揮発性メモリ18に記録されている。また、不揮発性メモリ18には、受光素子の個別の校正データが記憶されており、計測の際、システムコントローラから読み出されて最適な受光素子の駆動条件が設定される。不揮発性メモリ18の情報はプロセッサ素子17を介して読み書きされる。プロセッサ素子17はプローブコネクタ14を介して情報を送受信する。
【0019】
図4はプローブフォルダ3を示した説明図である。プローブフォルダ3には、プローブを装着するプローブ口23が複数個ある。プローブ口横にはプローブが装着された際、プローブコネクタ(プローブ側)14と接続されるプローブコネクタ(フォルダ側)24が配置されている。プローブコネクタ(フォルダ側)には、コネクタカバー25が設けられている。プローブフォルダには、接続されたプローブを制御するプローブ制御回路をプローブ制御インターフェース部27に有している。プローブ制御回路はフォルダコネクタ26に接続されており、プローブフォルダ3と計測ユニット4を計測ユニット−プローブフォルダ接続ケーブル7で接続される。
【0020】
図5は、プローブフォルダを示した図であり、(a)は全体斜視図、(b)は展開図である。プローブフォルダ3は上部よりコネクタ層24、プローブフォルダ上部層28、コネクタ配線層29、プローブフォルダ下部層30から構成されている。プローブフォルダ上部層28とプローブフォルダ下部層30はコネクタ配線29の電気的絶縁の役割を果たす。プローブフォルダ上部層28、コネクタ配線層29、プローブフォルダ下部層30は一体として構成される。
【0021】
図6は、計測手順を示した流れ図を示す。計測対象の血液変化量を計測する場合、計測目的に従い、計測領域を覆うプローブフォルダと受光プローブと光源ローブを用意する。用意したプローブが校正されていない場合は各プローブの校正を行う(S601,S602)。次に、測定対象にプローブフォルダを装着する(S603)。次に計測にあわせて光源プローブと受光プローブをプローブフォルダのプローブ口に装着する(S604,S605)。次にプローブフォルダと計測ユニットを計測ユニット−プローブフォルダ接続ケーブルで接続する(S606)。次に計測ユニットとシステムコントローラをシステムコントローラ−計測ユニット接続ケーブルで接続し(S607)、計測接続配置を整える。システムコントローラは、プローブフォルダの複数あるプローブ口のどこに、どのプローブが接続されているか、各プローブ口ごとにプローブ固有番号を確認することにより装着位置を確認する(S608)。計測目的にあったプローブ配置が確認できると各プローブの校正パラメータを読み出し、計測手順に最適なプローブ制御設定を行う(S609)。その後、プローブ装着の確認を行い、光源プローブの出力調整を行った後(S610)、計測シーケンスに従い計測を行う(S612)。
【0022】
計測接続配置が整いシステムコントローラが行う計測調整は、まず各プローブ口にプローブが接続されているかを各口へ電気的通信を行い、確認する。接続が確認されたなら、その接続されているプローブ内に記録されている個別番号、プローブの種類を読み出し、そのプローブが光源プローブの場合は、光源駆動電流−光出力の特性関数、累積駆動時間が読み出される。一方、受光プローブの場合、受光強度−センサ出力電圧の特性関数、累積計測時間が読み出される。プローブフォルダの全てのプローブ口の接続状態が確認できたなら、各プローブ口に接続されたプローブの配置パターンに決められた計測シーケンスでプローブの測定対象への装着状態をチェックする。ここで、プローブの配置が予めプログラムされている計測シーケンスに無かった場合、新たにシステムコントローラへシーケンスプログラムを入力するか、もしくはプローブの配置をシーケンスプログラムに適合した配置へ変更する。
【0023】
プローブの測定対象への装着状態のチェックは、まず、光源プローブの駆動電流を各プローブの平均駆動電流に設定し、シーケンスに従い発光させ、受光プローブで透過散乱光の受光強度を測定する。一つの受光プローブは複数の光源プローブからの光を時間分割もしくは変調することにより、別々に検出し、受光プローブとそれぞれの光源プローブ対の位置によって決まる空間別の血流変化を計測する。
【0024】
ここで、測定対象への装着状態のチェックの判定は、各受光プローブの空間別の血流を計測するための光源プローブのそれぞれが照射した光を受光プローブで検出した受光強度により行う。
【0025】
全ての光源プローブと受光プローブ対パターンでの受光強度が計測許容範囲に収まっていた場合、被験者への装着は計測可能状態と判断される。
その後、それぞれの光源プローブと受光プローブ対の受光強度を平均光出力となるように、光源プローブの出力電流を調整して計測準備を完了し、本計測を行うことができる。
【0026】
一方、受光強度が複数の光源プローブの全てにおいて計測許容範囲より大きい場合、その受光プローブへの外部からの光照射が考えられるので、外光の入射チェックをさせ、再度、装着具合のチェックを行う。
【0027】
受光プローブが空間別の血流変化を計測するそれぞれの光源プローブ全ての光について検出強度が計測許容範囲より低い場合はその受光プローブが測定対象に接触していないことが予想されるので、再度、装着具合のチェックを行う。
【0028】
受光プローブが空間別の血流変化を計測するそれぞれの光源プローブのうち、検出強度が計測許容範囲より低い対がある場合はその光源プローブが測定対象に接触していないことが予想されるので、再度、装着具合のチェックを行う。
【0029】
通常は全てのプローブ対の検出強度が計測許容範囲に収まるようにプローブの装着を調整するが、光検出強度が計測許容範囲に収まらない対が有る場合でも計測準備完了し、本計測を行うことができる。しかし、その場合は、その対の信号は無効として計測を行う。
【0030】
図7はプローブ校正を行うプローブ校正ユニットを示し、(a)は斜視図、(b)は断面図である。プローブ校正ユニット6は、校正済み光源素子34、校正済み受光素子35、光学NDフィルタ33、光学フィルタ12、光ファイバ13、光源素子制御電子回路56、受光素子制御電子回路57、受光プローブ校正口32、光源プローブ校正口31、光源プローブコネクタ50、受光プローブコネクタ51、システムコントローラ接続用コネクタ52、プローブ校正口カバー54、遮光壁55から構成されている。
【0031】
図8は、光源プローブの校正手順を示した流れ図である。システムコントローラ5と校正ユニット6をシステムコントローラ−プローブ校正ユニット接続ケーブル9を用いて接続する。光源プローブ1を光源プローブ校正口31へ装着する(S801)。この時、光源プローブの先端に配置してある光ファイバ13と光源プローブ校正用光学NDフィルタ33が接触するように配置する。
【0032】
システムコントローラはプローブ校正ユニット電気回路53及び、光源プローブの電子回路を制御する。光源プローブの光源素子の駆動電流を、ゼロから徐々に増加させていき(S802)、校正済み光検出器の出力電圧が、光源プローブと検出プローブを標準距離離して被験者に装着して計測したときに、検出プローブで検出される光強度(標準検出光強度)の時に出力される電圧となる電流値を標準駆動電流として記録する(S804)。さらに電流値を増加させ(S805)、光検出器の出力電圧が測定対象の安全を考慮して設定されている最大光出力のND係数分の1の出力電圧となる電流値を計測時最大駆動電流値として記録する(S807)。そして、駆動電流値を計測時最大駆動電流値の2倍まで増加させる(S808)。その駆動電流値を変化させたときの、光検出器の出力電圧との関係を、その光源プローブの特性として計測する(S810)。ただし、計測点として記録するのは標準駆動電流の10分の1から計測時最大駆動電流値の2倍の値までの区間とする。この特性関係が「光源素子の駆動電流−校正済み光検出器の出力電圧関係」となる。記録する電流値の計測点数は記録する電流値区間を均等に200区間程度に分けた点とする。光源プローブ校正用光学NDフィルタの減衰係数は光源プローブと受光プローブを標準的な計測対象に標準距離に装着したときに得られる減衰係数とする。測定された計測点から近似関数を求める(S811)。求めた近似関数式より光源プローブ特性を定め、プローブ内の不揮発性メモリおよびシステムコントローラの記憶部に、プローブの個別番号と結びつけて記録する(S812)。
【0033】
図9に、光源プローブの校正手順で得られる「光源素子の駆動電流−校正済み光検出器の出力電圧関係」を示す。この特性は、光源プローブの光源素子の駆動電流とNDフィルタ透過した校正用光源プローブの出力電圧の計測関係を示す。
【0034】
図10に、光源素子の駆動電流−校正済み光検出器の出力電圧関係の近似式から得られるグラフを示す。
【0035】
図11に、受光プローブの校正手順を示した流れ図を示す。
【0036】
システムコントローラ5と校正ユニット6をシステムコントローラ−プローブ校正ユニット接続ケーブル9を用いて接続する。受光プローブ2を受光プローブ校正口32へ装着する(S1101)。この時、受光プローブ2の先端に配置してある光ファイバ13と受光プローブ校正用光学NDフィルタ33が接触するように配置する。システムコントローラ5はプローブ校正ユニット電気回路53及び、受光プローブの電子回路を制御する。
【0037】
校正済み光源素子の駆動電流を、ゼロから徐々に増加させていき(S1102)、計測時最大駆動電流値の2倍の値まで変化させたときの検出プローブで出力される光検出器の出力電圧を記録する。また、その間の標準駆動電流値の時の出力電圧を標準検出光強度、計測時最大駆動電流値の時の出力電圧を最大光出力強度のND係数分の1として記録する(S1104,S1107)。その他の記録する点は標準検出光強度から最大光出力強度の2倍までの区間とする(S1110)。この特性が「校正済み光源による光出力と受光プローブの出力電圧の計測の関係」となる。ここで、光源素子の駆動電流値は、光強度として換算することができる。記録する校正済み光源の電流値(光強度)の計測点数は記録する電流値(光強度)区間を均等に200区間程度に分けた点とする。受光プローブ校正用光学NDフィルタの減衰係数は光源プローブと受光プローブを標準的な計測対象に標準距離に装着したときに得られる減衰係数とする。測定された計測点から近似関数を求める(S1111)。求めた近似関数式より受光プローブ特性を定め、プローブ内の不揮発性メモリおよびシステムコントローラの記憶部に、プローブの個別番号をつけて記録する(S1112)。
【0038】
図12に、校正済み光源による光出力(電流値)−受光出力の計測(電圧値)関係図を示す。この特性は、校正済み光源の駆動電流表示による光出力と光源プローブと受光プローブ距離を標準距離としたときの減衰係数に相当するNDフィルタ透過した光を受光したときの受光プローブの出力電圧の計測関係を示す。得られた光出力−受光プローブ出力電圧の計測データより光出力−受光プローブ感度出力の近似式を多次数関数で求め、校正データとして使用する。
【0039】
図13に、光出力−受光出力の近似式から得られるグラフを示す。
【実施例2】
【0040】
図14は、図1で示した光学計測システム全体において、プローブフォルダ3と計測ユニット4を計測ユニット−プローブフォルダ接続ケーブル7を用いて接続し、有線で各プローブと計測ユニット間で通信するに代えて、プローブフォルダ3と計測ユニット4間を無線で通信するようにしたものである。プローブフォルダ3にバッテリー60と無線通信アンテナ61を配置し、計測ユニット4にも無線通信アンテナ62を配置することにより、各プローブと計測ユニット間を無線で通信する。これにより、測定対象10が移動中や運動中でも光計測を行うことができる。
【符号の説明】
【0041】
1 光源プローブ
2 受光プローブ
3 プローブフォルダ
4 計測ユニット
5 システムコントローラ
6 プローブ校正ユニット
7 計測ユニット−プローブフォルダ接続ケーブル
8 システムコントローラ−計測ユニット接続ケーブル
9 システムコントローラ−プローブ校正ユニット接続ケーブル
10 測定対象
11 光源素子
12 光学フィルタ
13 光ファイバ
14 プローブコネクタ(プローブ側)
15 光源素子駆動電気回路基板
16 プロセッサ電気回路基板
17 プロセッサ素子
18 不揮発性メモリ
19 光源素子駆動回路電子部品
20 受光素子
21 受光素子駆動電気回路基板
22 受光素子駆動回路電子部品
23 プローブ口
24 プローブコネクタ(フォルダ側)
25 コネクタカバー
26 フォルダコネクタ
27 プローブ制御インターフェース部
28 プローブフォルダ上部層
29 コネクタ配線層
30 プローブフォルダ下部層
31 光源プローブ校正口
32 受光プローブ校正口
33 光学NDフィルタ
34 校正済み光源素子
35 校正済み受光素子
47 光源プローブ断面
48 受光プローブ断面
50 光源プローブコネクタ(プローブ校正ユニット)
51 受光プローブコネクタ(プローブ校正ユニット)
52 システムコントローラ接続用コネクタ
53 プローブ校正ユニット電気回路基板
54 プローブ校正口カバー
55 遮光壁
56 光源素子制御電子回路
57 受光素子制御電子回路
60 バッテリー
61 プローブワイヤレスアンテナ
62 計測ユニットワイヤレスアンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源プローブから計測対象に光を照射し、前記計測対象の内部を透過した光を受光プローブで検出してその光の強度変化を計測することにより、計測対象の内部情報を測定する光計測装置において、
プローブフォルダを有し、前記光源プローブと前記受光プローブは、個別に取り外しができるように、プローブフォルダに装着し、
前記光源プローブおよび前記受光部ローブには、それぞれ光源プローブ内に配置されている光源素子および受光プローブ内に配置されている受光素子の校正用データ並びに各プローブに固有に割り当てられている番号を保持できる不揮発性メモリを有し、
計測の際に、プローブフォルダのどの位置にプローブが装着されているかを判別し、各プローブの前記不揮発メモリに保持してある個別の校正データを元に各プローブの光源素子の駆動電流の調整または受光素子の感度補正を行うように構成したことを特徴とする光計測装置。
【請求項2】
請求項1記載の光計測装置において、更に、
光源プローブの光源素子および受光プローブの受光素子の校正データを測定し、測定した校正データを各プローブ内部の不揮発性メモリに書き込みを行う校正ユニットを備えることを特徴とする光計測装置。
【請求項3】
請求項1記載の光計測装置において、
前記プローブフォルダと計測ユニットとを、接続ケーブルで接続し、信号を有線通信することを特徴とする光計測装置。
【請求項4】
請求項1記載の光計測装置において、
前記プローブフォルダにバッテリーと無線通信アンテナを配置すると共に、計測ユニットに無線通信アンテナを配置し、信号を無線通信することを特徴とする光計測装置。
【請求項5】
請求項1記載の光計測装置において、
前記光源プローブの不揮発性メモリには、光源駆動電流−光出力の特性関数、累積駆動時間を保持し、
前記受光プローブの不揮発性メモリには、受光強度−センサ出力電圧の特性関数、累積計測時間を保持することを特徴とする光計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−13547(P2013−13547A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148246(P2011−148246)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】