説明

光記録媒体および該光記録媒体に用いる化合物

波長300〜900nmのレーザーで良好な記録および再生が可能な光記録媒体および新規な化合物を提供する。 記録層(A)の未記録部位における記録層膜厚(a)に対して、該記録層(A)にレーザー光で記録した記録部位における記録層膜厚(a)の変化率(|[a−a]/a|1×100)が25%未満を満たし、且つ、該記録層(A)の未記録部位における記録層膜厚(a)に対して、該記録層(A)にレーザー光で記録した記録部位における記録層膜厚(a)の変化量(|a−a|)が15nm未満に制御されていることを特徴とする光記録媒体。 また、炭素原子4個と窒素原子2個で構成する六員環構造を有し、且つ、置換または無置換のアミノ基を結合してなる化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録層用材料として有機化合物を用いた光記録媒体に関するものであり、特に可視レーザーの一種である青紫色レーザー等の青色系レーザー光により記録再生可能である高密度記録可能な追記型光記録媒体、ならびに新規な化合物に関するものである。加えて、工業的に有利なスピンコート法などの塗布法により記録層作製が可能となる記録層用材料に関する。
【背景技術】
【0002】
コンパクトディスク(以下、CDと略す)規格に対応した光記録媒体としてCD−R(CD−Recordable)が広く普及している。CD−Rの記憶容量は680MB程度であるが、情報量の飛躍的増加に伴い、情報記録媒体に対する高密度化および大容量化への要求は高まっている。
【0003】
記録媒体の高密度化を行う手段としては、記録再生に用いるレーザー波長の短波長化、及び対物レンズの開口数(N.A.:Numerical Aperture)を高くすることにより、ビームスポットを小さくすることが挙げられる。そして、光ディスクシステムに利用される短波長レーザーとして、500nm〜700nm、さらには630nm〜690nm前後、具体的には、680nm、670nm、660nm、650nm、635nm等の赤色レーザーが実用化されてきた。こうして半導体レーザーの短波長化、対物レンズの開口数大化、データ圧縮技術等により、動画記録及び大容量の情報の記録を可能にした光記録媒体の作製が可能となってきた。今日までに提案されている光記録媒体としては、光磁気記録媒体、相変化記録媒体、カルコゲン酸化物系光記録媒体、有機色素系光記録媒体等があるが、これらの中で、安価かつプロセス上容易であるという点から、有機色素系光記録媒体は優位性を有すると考えられる。こうした状況を踏まえ、CDよりも高密度でTV品質並の動画の記録再生が可能な光記録媒体として、普及しつつある市販のDVDビデオプレーヤーやDVD−ROMプレーヤーで再生できる、発振波長630〜690nmの赤色半導体レーザーで記録を施すことが可能な追記型光記録媒体として開発されたのが、追記型のデジタル多目的ディスク(以下、DVD−Rと略す)である。DVD−Rは、3.9GBあるいは4.7GBの記録容量を有する一度書き込み可能な光記録媒体であり、特にここ最近となって、片面4.7GB容量のDVD−R媒体が市場に供給され始めている。該DVD−R媒体も、シアニン系色素、アゾ系色素等を記録層に用い、反射層を設けた積層構造を採用しており、0.6mm厚の基板を2枚貼り合わせたディスク構造を特徴としている。この容量に合った記録特性良好な光ディスクについて、現在では高速記録対応の媒体開発が活発に進められている。
【0004】
さらに、将来的にはより高密度な記録が求められることが予想され、その情報量はディスク1枚あたり15〜30GBにも達すると予想される。その記録密度を実現する為の手段として、より波長の短いレーザーを使用することは避けられない。従って、将来の有機色素系光記録媒体に用いる記録用色素としては、300nm〜500nmの波長範囲において良好な記録特性を有する色素が望まれる。
【0005】
ところで、有機色素を記録層としたDVD−Rよりも高密度記録可能な媒体に関して、特許文献1には、発振波長680nm以下のレーザーを用い、記録容量8GB以上の密度を達成したとの開示がある。該文献の提案では、10〜177μm厚さの光透過層越しに0.7以上の高開口数を有する対物レンズで680nm以下のレーザー光を収束することで、8GB以上の大容量記録を達成している。
【0006】
その一方で、ここ近年、発振波長390〜430nmの青色レーザーとしてGaN系材料を用いた410nmのレーザーや、半導体レーザーと光導波路素子の組合せによる波長425nmのSHGレーザーが開発されてきており、このようなレーザーに合わせた青色半導体レーザー対応色素の開発が現在展開されている。
【0007】
更に、1999年初頭から発振波長400〜410nmの青紫色発光のGaN系半導体レーザーが試供(日亜化学工業)されるに当たり、片面15GB以上の更なる高密度容量を有するHDTV(high definition television)放送並の画質で、2時間程度の動画の記録が可能となる媒体(以下、HD−DVD−R媒体と称す)の検討が始められている。この様な高密度容量を有するHD−DVD−R媒体では、現行放送並の画質であれば6時間程度の録画も可能であるため、家庭用VTRに代わる新しい記録メディアとしても注目されている。
【0008】
かかる中、次世代高密度光ディスクの統一規格「Blu−ray Disc」が日欧韓9社により策定され、発表された(2002年2月19日)。この規格によると、青紫色レーザーとN.A.=0.85の高開口レンズとを組み合わせ、12cm円板の片面に最大27GBの映像データを繰り返し記録・再生でき、同規格のレコーダを使えば、ディスク1枚にHDTV映像を2時間以上録画できるようになる。これは、現行放送NTSC方式の映像データなら録画時間は13時間以上に相当する。
【0009】
また、同規格のディスク膜厚は1.2mmで、100μm程度の光透過層越しに形成された記録膜にレーザー光を合焦させるもので、23.3、25、27GBの3種類の記録容量が提案されている。さらに前述の規格に先立ち、青紫色レーザー、ならびにN.A.=0.85の高開口レンズを用いた記録媒体への有機色素の適用可能性について言及された。最近の具体的な事例として、例えば、記録マーク部が熱分解に伴う色素自身の屈折率変化と空隙(ピット)形成で記録可能な光記録媒体が示されている(「Oplus E」vol.25,No.6,p.652−657,2003年6月刊行)。
【0010】
現在のところ、400nm〜500nmの青色レーザーで記録できる有機色素化合物として、特許文献2に記載のシアニン系色素化合物の他、ポルフィリン系色素化合物、ポリエン系色素化合物、アゾ系色素化合物、ジシアノビニルフェニル化合物、クマリン化合物、ピリミジン化合物、ナフタロシアニン化合物、ヘテロ5員環化合物、ビスアゾール化合物、アミノピリジン化合物、ビスピリジニウム化合物、オキソノール化合物、スチリル化合物、アミノブタジエン化合物、金属キレート化合物、キノン化合物またはキノジメタン化合物、ヒドラゾン化合物、トリアジン化合物、カルボスチリル化合物またはナフチリジン化合物、縮合複素環化合物、およびスチルベン化合物等が提案されている。
【0011】
また、記録層形成用の有機色素としてポルフィリン系色素やシアニン系色素等を主とする記録層および銀を主体とする金属反射層の2層が構成された特許文献3に記載の光記録媒体や、媒体構成に工夫したものとして、青色レーザーに感応するシアニン系色素を含有した青色レーザー感応色素層ならびに赤色レーザー感応色素層を有することで、2波長領域の記録を可能とする特許文献4に記載の光記録媒体や、青色レーザー用色素および赤色レーザー用色素の2種の色素を混合することで2波長領域の記録を可能とするインジゴイド系色素化合物を用いた特許文献5に記載の光記録媒体、シアノエテン系色素を用いた特許文献6に記載の光記録媒体、スクアリリウム系色素化合物を用いた特許文献7に記載の光記録媒体等が提案されている。
【0012】
一方、400〜500nmの青色領域で有機色素膜を記録に行う例として、ポルフィリン系化合物の中心金属に配位する分子化合物および高分子、あるいは中心金属を配位する分子構造を側鎖に有する高分子と混合することで、該ポルフィリン系化合物のソーレー(Soret)帯を長波長側にシフトさせて、488nmのArレーザーに対応させると共に、スピンコーティングによる成膜を可能ならしめて製造コストの低減を図る提案がなされている(特許文献8、9)。又、ポリエン系色素化合物(特許文献10、11)は、本発明者らの検討によれば、光安定性が悪く、実用化にはクエンチャーのブレンド等の工夫が必要である。
【特許文献1】特開平10−302310号公報
【特許文献2】国際特許公開WO 01/44374号公報
【特許文献3】特開平11−53758号公報
【特許文献4】特開平11−203729号公報
【特許文献5】特開平11−78239号公報
【特許文献6】特開平11−105423号公報
【特許文献7】特開平11−110815号公報
【特許文献8】特開平7−304256号公報
【特許文献9】特開平7−304257号公報
【特許文献10】特開平4−78576号公報
【特許文献11】特開平4−89279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
最近の状況として、波長400nm〜410nmの青紫色半導体レーザーの実用化に目処がついたことで、該レーザーを用いた大容量追記型光記録媒体が盛んに開発され、特に高耐光性や良好な高速記録特性を有する色素の開発が望まれている。
【0014】
しかしながら、前述の光記録媒体では波長400nm〜410nmのレーザー光に対して十分に適応していないのが実情である。すなわち、前述の有機色素を使用した媒体では、記録した信号の再生について、搬送波と雑音の比(C/N)が必ずしも良好な値でないために、信号の読み出しが必ずしも満足に行えない等の問題を我々は見出した。この問題を克服し、波長400nm〜410nmのレーザー光で高密度記録再生可能な光記録媒体の開発が急務となっている。
【0015】
上記のように、該レーザーを用いた大容量光記録媒体が盛んに開発され、特に高耐光性や良好な高速記録特性を有する色素の開発が望まれているにもかかわらず、該波長領域のレーザー光に対して記録再生が可能な記録材料として前述の色素化合物は、今だ十分な特性が得られておらず、改善の余地があるのが現状である。また、記録膜形成が簡便なスピンコート法等の塗布法による媒体製造の際には、有利な特性の1つとして、塗布溶媒への高溶解性を有することが挙げられ、この点についても配慮することが必要である。また、一般に、記録容量の増大を図るには、より高密度に記録を行う必要があり、そのため、記録に使用する光学ビームを絞るための対物レンズの開口数を高め、光学系のレーザー波長をより短波長化することが必須となる。ところが、絞り込んだ光学ビームは回折限界でその最小のビーム径が定められる。さらに高速記録特性を有するためには、記録時のレーザーパワーができる限り小さいことが重要である。すなわち、少ない記録レーザーエネルギーで良好な記録マークを形成し得る高感度な色素を開発することが重要である。
【0016】
ところで、記録はビーム強度がある閾値を超えたところで成されるので、図1(a)に示すように、絞り込んだビームスポットよりも小さな記録部位が得られる。この記録部位の周囲はビームの強度ピークのすそ野にあたるが、より短波長化が進む現況では、記録部位の周囲でも記録層の光化学反応を助長し、殊に、前述の青紫色レーザーの波長領域では、有機化合物の光化学反応が容易に生じる波長領域となるため、記録時には記録部位と未記録部位の境目(エッジ)が劣化し、信号特性が悪化するという問題がある。すなわち、図1(b)に示すように、本来矩形波に対応して形成せねばならない記録情報〔図1(b)の実線〕が、エッジの劣化によりブロードな波形〔図1(b)の破線部〕となってしまう。又、記録時と同一の青紫色レーザー波長で再生を行うと、再生光のような微弱な光照射でも光反応が促進され、再生の度に劣化が進むという問題もあり、前記特開平7−304256号公報、特開平7−304257号公報でも、記録光と再生光とを異なる波長、実質的には、再生光を記録光よりも長波長とする対策を講じねばならなくなり、結果として、十分な高密度化の要求に応えられないのが現状である。又、記録波長と再生光波長を異ならしめることは、記録装置と再生装置を個別に用意するか、1つの装置に2つの光学系及びその制御系を設けなければならず、光記録媒体としての用途が限定されたり、装置の大型化、コストの増大を招き、汎用性の乏しいものとなってしまう。また、従来、CD−Rなどの光記録媒体においては、有機色素膜の融点、昇華点、相転移点或いは熱分解点などの物性上の明確な熱的閾値を境に記録のオン・オフが成されてきたものに対し、青紫色レーザー励起による光劣化モードの介在は、このコントラストを曖昧にし、とりわけ光学ビームよりも小さい細密記録部位を形成せねばならない高密度記録系においては、著しく記録信号品位を損なう懸念があった。
【0017】
さらに、記録部位の形成の際、例えば熱変形による記録、すなわちピット形成法による記録方法において、必要以上の変形が行われる場合や、上述の光劣化によりコントラストが曖昧化した場合、光ディスクの半径方向に対して悪い影響、すなわち、隣接して記録される(あるいは記録された)トラック部位を侵食もしくは不明確化し、隣接トラックの記録信号品位を著しく損なわせることがわかってきた。ここで、特に高密度且つ高速記録の必要な光記録媒体では、複数のトラック(以下、マルチトラックと称す)上の記録部位の記録信号品位が良好であることは必須である。言い換えれば、ディスク全周にわたって、良好な信号品位が保たれることが必要であり、そのためには、単一トラックを記録した後、隣接するトラックを新たに記録しても、既に記録したトラックでの信号品位が劣化せず保持され、かつ後から記録した隣接トラックの信号品位もまた、劣化せず良好に保持されることが必要となっている。そのため、記録部位形成の際、必要以上の変形や光劣化モードを抑制して隣接トラックの記録信号品位を保つと共に、形成した記録部位が明確に認識できるような記録モードの開発が今や不可欠となっている。そのために、必要以上の変形を来たさないよう記録レーザーパワーを低減しても充分な記録が可能で、且つ、光劣化によるコントラストの曖昧化のない、高い耐光性を有する記録用材料の開発が早急に求められている。
【0018】
加えて、信号の読み取りを確実に行うためには、読み出し信号の大きさが重要であり、この点についても充分考慮すべきことである。
【0019】
本発明の目的は、波長300nm〜900nmの範囲のレーザー光、特に波長390nm〜430nmの範囲のレーザー光、殊に波長400nm〜410nmの範囲から選択される青紫色のレーザー光で良好な記録および再生が可能な超高密度記録に適した記録層を有する光記録媒体を提供することにある。また、該光記録媒体に好適に使用できる新規な化合物を提供することである。
【0020】
さらに、該記録層に関して、工業的に有利なスピンコート法などの塗布法による作製が可能となる記録用材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
1.レーザー光で記録再生が可能である記録層(A)を少なくとも一層有し、且つ、該記録層(A)に有機化合物を少なくとも1種含有する光記録媒体であって、該記録層(A)の未記録部位における記録層膜厚(a)に対して、該記録層(A)にレーザー光で記録した記録部位における記録層膜厚(a)の変化率(|[a−a]/a|×100)が25%未満であり、且つ、該記録層(A)の未記録部位における記録層膜厚(a)に対して、該記録層(A)にレーザー光で記録した記録部位における記録層膜厚(a)の変化量(|a−a|)が15nm未満であることを特徴とする光記録媒体、
2.該記録層(A)が塗布法により形成可能である前記1記載の光記録媒体、
3.有機化合物が、炭素原子4個と窒素原子2個で構成する六員環構造を有し、且つ、置換または無置換のアミノ基を結合してなる有機化合物(B)である前記2記載の光記録媒体、
4.記録レーザーパワーが6mW以下であることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載の光記録媒体、
5.有機化合物(B)が、互変可能な構造の一つとして、一般式(0)
【0022】
【化1】

(式中、環Aは置換または無置換の炭素環式芳香族環あるいは置換または無置換の複素環式芳香族環を表し、RおよびRは水素原子または置換基を表し、Xは2価の置換基を表し、Yは置換または無置換のアミノ基を表し、mはYの個数を表す。)
で表される化合物である前記3記載の光記録媒体、
6.有機化合物(B)が、互変可能な構造の一つとして、一般式(1)
【0023】
【化2】

(式中、環Aおよび環Bは置換または無置換の炭素環式芳香族環あるいは置換または無置換の複素環式芳香族環を表し、Rは水素原子または置換基を表し、Xは2価の置換基を表し、Yは置換または無置換のアミノ基を表し、mはYの個数を表す。)
で表される化合物である前記5記載の光記録媒体、
7.有機化合物(B)が、互変可能な構造の一つとして、一般式(2)
【0024】
【化3】

(式中、環Cは置換または無置換の炭素環式芳香族環あるいは置換または無置換の複素環式芳香族環を表し、X’は2価の置換基を表し、R〜Rは各々独立に水素原子または置換基を表し、m’はRの個数を表し、n’はRの個数を表す。ただし、R〜Rより選択される少なくとも1つ以上の基は置換または無置換のアミノ基であり、R〜Rの組合せ、およびR〜Rの組合せにおいて、各組み合わせ内の各置換基について、各々独立に連結基を介して結合し、置換位置の原子とともに環構造を形成してもよく、m’およびn’はそれぞれ0または1以上の整数を表す。)
で表される化合物である前記6記載の光記録媒体、
8.有機化合物(B)が、互変可能な構造の一つとして、一般式(3)
【0025】
【化4】

(式中、環Dは置換または無置換の炭素環式芳香族環あるいは置換または無置換の複素環式芳香族環を表し、X”は2価の置換基を表し、R〜R12は各々独立に水素原子または置換基を表す。ただし、R〜R11より選択される少なくとも1つの基は置換または無置換のアミノ基であり、R〜R11は各々独立に連結基を介して結合し、置換位置の炭素原子とともに環構造を形成してもよい。)
で表される化合物である前記7記載の光記録媒体、
9.有機化合物(B)が、互変可能な構造の一つとして、一般式(4)
【0026】
【化5】

(式中、R13〜R25は各々独立に水素原子または置換基を表し、R14〜R18の組合せ、およびR21〜R25の組合せにおいて、各組み合わせ内の各置換基について、各々独立に連結基を介して結合し、置換位置の炭素及び/又は窒素原子とともに環構造を形成してもよい。)
で表される化合物である前記8記載の光記録媒体、
10.有機化合物(B)が、互変可能な構造の一つとして、一般式(5)
【0027】
【化6】

(式中、R26〜R35は各々独立に水素原子または置換基を表し、R26〜R30の組合せ、およびR31〜R35の組合せにおいて、各組み合わせ内の各置換基について、各々独立に連結基を介して結合し、置換位置の炭素及び/又は窒素原子とともに環構造を形成してもよい。)
で表される化合物である前記9記載の光記録媒体、
11.R31〜R35において少なくとも1つの基は、ヘテロ原子を少なくとも1個含有する複素環残基を有する置換アルコキシ基である前記10記載の光記録媒体、
12.R26〜R35で表される各置換基を構成する原子が炭素原子、水素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子より選択される原子である前記10記載の光記録媒体、
13.該記録層(A)には、該レーザー光を吸収し、且つ、熱により変色する温度を有する有機化合物を少なくとも1種、該記録層(A)に含有することを特徴とする前記1記載の光記録媒体、
14.該記録層(A)に、該レーザー光を吸収し、且つ、非晶質状態を加熱すると発熱を伴って結晶質状態を形成する有機化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする前記1記載の光記録媒体、
15.記録レーザー光の照射によって、該記録層(A)の記録前の吸収極大波長(λmax)とは異なる吸収極大波長(λmax)を記録後の該記録層(A)に与える有機化合物を少なくとも1種、該記録層(A)に含有する請求項1記載の光記録媒体、
16.記録再生波長がλ0である記録レーザー光の照射によって、該記録層(A)の記録前のλ0における屈折率n1および消衰係数k1とは異なる屈折率n2および消衰係数k2を記録後に与える有機化合物を少なくとも1種、該記録層(A)に含有する前記1記載の光記録媒体、
17.有機化合物の溶液状態の吸光度の極大波長が記録層の薄膜状態になると短波長側に移動することを特徴とする前記1記載の光記録媒体、
18.一般式(5)で表される化合物、
19.キナゾリン−4−環の5〜8位のいずれかにジ置換アミノ基を有する一般式(6)で表されるキナゾリン−4−オン化合物、
【0028】
【化7】

(式中、R36〜R41は各々独立に水素原子または置換基を表す。)
20.下記一般式(7)の化合物ならびに、一般式(8)および/または一般式(9)で表される化合物を用いて反応することを特徴とする一般式(6)で表されるキナゾリン−4−オン化合物の製造方法、
【0029】
【化8】

(式中、R36〜R41は、式(6)中のR36〜R41と同一の基を表す。また、Z、Zは脱離基を表す。)
21.一般式(5)で表される化合物を少なくとも1種含有する組成物、
22.レーザー光で記録再生が可能である記録層(A)を基板上に有し、且つ、該記録層(A)に有機化合物を少なくとも1種含有する光記録媒体であって、該記録層(A)に6mW以下の記録レーザー光を照射することで発生する熱および/またはレーザー光により、該基板に機械的な変形を与えず記録できることを特徴とする光記録媒体、
に関する。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、レーザー光で記録再生が可能である記録層(A)に本発明に係る特定の有機化合物を少なくとも1種含有することにより、波長300〜900nmレーザー、特に高密度光記録媒体として非常に注目されている波長390〜430nmレーザー、更には波長400〜410nm青紫色レーザーでの記録パワーが小さく、且つ、隣接トラックからの信号漏れこみを抑えることで、高密度かつ高品位の信号の記録再生が可能な記録層を有する光記録媒体を提供することが可能となる。加えて、該記録層に関して、工業的に有利なスピンコート法などの塗布法による作製が可能となる記録用材料を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の課題を説明する概念図である。
【図2】本発明の光記録媒体の一構成例を示す模式図である。
【図3】本発明の光記録媒体の他の一構成例を示す模式図である。
【図4】本発明の光記録媒体の更に他の一構成例を示す模式図である。
【図5】本発明の光記録媒体の他の一構成例を示す模式図である。
【図6】本発明の光記録媒体の更に他の一構成例を示す模式図である。
【図7】本発明の光記録媒体の他の一構成例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0032】
1 :基板
2 :記録層
3 :反射層
4 :保護層
5 :接着層
11 :基板
12 :記録層
13 :反射層
14 :保護層
15 :ダミー基板層
11’:支持基板
12’:記録層
13’:反射層
14’:透明保護層
15’:光透過層
21 :支持基板
22 :記録層
23 :窒化物層
24 :酸化物層
25 :光透過層
40 :誘電体層
101:ビームスポット
102:記録部位
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明は、光記録媒体の記録層(A)中に本発明に係る特定の有機化合物(B)を含有することを特徴とする光記録媒体に関し、波長300nm〜900nm、特に波長390nm〜430nm、更には波長400nm〜410nmの範囲から選択されるレーザー光により記録および再生が可能である新規な光記録媒体、ならびに本発明に係る光記録媒体に使用する新規な化合物に関するものである。
【0034】
本発明に係る光記録媒体とは、情報を記録して再生することのできる光記録媒体を示すものである。但し、ここでは適例として基板上に記録層(A)、必要に応じて反射層を有する本発明の光記録媒体に関して説明する。尚、以下の説明では、光記録媒体として、円盤状の光ディスクであって、支持基板上に例えば案内溝と、この案内溝上に、記録用材料として本発明に係る有機化合物を少なくとも1種有し、好ましくは塗布法により形成可能な記録層と、反射膜とを有し、波長300〜900nmのレーザー光を照射して信号の記録再生を行う媒体に関して説明するが、本発明の光記録媒体は、この様な形状や構成に限定されるものではなく、カード状、シート状等その他各種の形状のもの、又、反射層を有さないもの、更に将来開発されるであろうより短波長のレーザーでの記録再生にも適用し得るものである。
【0035】
本発明の光記録媒体は、例えば、図2に示すような基板1、記録層2、反射層3、及び保護層4が順次積層している4層構造を有しているか、図3に示すような貼り合わせ構造を有している。即ち、基板1上に記録層2が形成されており、その上に密着して反射層3が設けられており、さらにその上に接着層5を介して保護層4が貼り合わされている。但し、記録層2の下または上に別の層があっても良く、反射層3の上に別の層があっても構わない。また、図4に示すように基板1、反射層3、記録層2、保護層4の順に積層し、保護層側から記録再生する構造であっても良い。また、特開平10−326435号公報記載のように光透過層の厚みが、光学系の開口数N.A.及びレーザー波長λにより規定された媒体構造であっても構わない。
【0036】
また、本発明の光記録媒体は、必要に応じて特開平11−203729号公報記載のように記録層を2種以上有する構造であっても構わない。記録層を2種以上有する構造の光記録媒体に用いる光記録媒体とは、本発明に係る記録層(A)を2種以上有していてもよく、あるいは1つが本発明に係る記録層(A)であり、少なくとも1つが他の記録層(A’)であってもよい。記録層(A’)としては、前述の公知の有機色素を1つ以上含有してなる記録層、あるいは、金属や半金属等の無機物を使用した公知の無機記録層などが挙げられる。また記録層(A’)は2種以上あってもよい。記録層(A)および記録層(A’)は隣接していても、中間層により隔離されていてもよい。また、記録層(A)および記録層(A’)は各々2種以上ある場合に、各々の位置関係は特に限定されず用いることができる。中間層としては、距離を隔てる目的で透明樹脂層であってもよく、反射層、反射増幅層あるいは接着層を適宜有していても良い。また、各々の記録層と基板、あるいは各々の記録層と保護層との間に、それぞれ必要に応じて、反射層、反射増幅層あるいは接着層を有していても良い。
【0037】
また、本発明を光ディスクに適用した例として、図5に示すような、基板11、記録層12、反射層13及び保護層14がこの順で積層され、更に接着層を兼ねる保護層14上にダミー基板15を貼り合わせたものが挙げられる。もちろん、基板15の無い構成であっても良く、基板11と記録層12の間、記録層12と反射層13の間、反射層13と保護層14との間、保護層14とダミー基板15との間に、他の層が存在していても良い。図5の光ディスクにおいては、基板11側から記録再生が行われる。
【0038】
又、別の実施形態として、特開平10−302310号公報に開示の構成、例えば、図6に示すように、案内溝の形成された支持基板11’上に、反射層13’、有機色素を主成分とする記録層12’がこの順で成膜され、この記録層12’上に任意に形成される透明保護層14’を介して光透過層15’が形成され、情報の記録及び再生は、光透過層15’側から実施される。尚、逆に光透過層15’側に案内溝を形成し、その上に透明保護層14’、記録層12’、反射層13’を積層し、支持基板11’と貼り合わせる構成としても良い。
【0039】
あるいは、さらに別の実施形態として、特開2002−175645号公報に開示の構成、例えば、図7に示すように、案内溝の形成された支持基板21上に、記録層22が成膜され、この記録層22上に窒化物層23、酸化物層24を順次積層してなる誘電体層40を形成し、さらに誘電体層40上に、粘着剤を必要に応じて介し、光透過層25が形成され、情報の記録および再生は、光透過層25側から実施される。尚、逆に光透過層25側に案内溝を形成し、その上に酸化物層24、窒化物層23を順次積層してなる誘電体層40、記録層22を積層し、支持基板21と貼り合わせる構成としてもよい。このように、反射層を用いず、情報記録層上に誘電体層を形成して、多重干渉による光学的エンハンスメント効果を得ることで、適した初期反射率を得られる光記録媒体に本発明に係る有機化合物(B)を適用可能である。
【0040】
本発明の光記録媒体とは、レーザー光で記録再生が可能である記録層(A)を少なくとも一層有し、且つ、該記録層(A)に有機化合物(B)を少なくとも1種含有する光記録媒体であって、該記録層(A)の未記録部位における記録層膜厚(a)に対して、該記録層(A)にレーザー光で記録した記録部位における記録層膜厚(a)の変化率(|[a−a]/a|×100)が25%未満であり、且つ、該記録層(A)の未記録部位における記録層膜厚(a)に対して、該記録層(A)にレーザー光で記録した記録部位における記録層膜厚(a)の変化量(|a−a|)が15nm未満であることを特徴とする光記録媒体、である。
【0041】
本発明においては、基板上に記録層(A)を設けるが、該記録層(A)は、本発明に係る有機化合物(B)を少なくとも1種含有し、該記録層(A)の未記録部位における記録層膜厚(a)に対して、該記録層(A)にレーザー光で記録した記録部位における記録層膜厚(a)の変化率(|[a−a]/a|×100)が25%未満に制御でき、且つ、該記録層(A)の未記録部位における記録層膜厚(a)に対して、該記録層(A)にレーザー光で記録した記録部位における記録層膜厚(a)の変化量(|a−a|)が15nm未満に制御できるものを指す。
【0042】
ここで、本発明に係る記録部位とは、熱変形による窪み(ピット形成)あるいは隆起が制御された記録マーク部位であり、実質的に変形に拠らず光学変化している部位を指す。該記録層(A)の未記録部位における記録層膜厚(a)に対して、該記録層(A)にレーザー光で記録した記録部位における記録層膜厚(a)の変化率(|[a−a]/a|×100)については25%未満であり、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満、さらに好ましくは2%未満、さらにより好ましくは1%未満が挙げられる。
【0043】
また、該記録層(A)の未記録部位における膜厚(a)に対して、該記録層(A)にレーザー光で記録した記録部位における膜厚(a)の変化量(|a−a|)として、15nm未満が挙げられ、好ましくは10nm未満、より好ましくは5nm未満、さらに好ましくは2nm未満、さらにより好ましくは1nm未満が挙げられる。
【0044】
本発明においては、本発明に係る記録層(A)にレーザー光による記録を行った際、好ましくは記録部位の変形がない上で光学変化し、再生レーザー光により再生可能であることが望ましい。
【0045】
また、本発明に係る該記録層(A)は、前述の制御を損なわなければ、あらゆる方法により形成が可能であるが、好ましくは塗布法により形成するのが望ましい。
【0046】
該記録層(A)には、記録用材料として有機化合物(B)を少なくとも1種含有するが、SiO等の無機化合物を混合したり結合していてもよい。本発明において、好適な有機化合物として、炭素原子4個と窒素原子2個で構成する六員環構造を有し、且つ、置換または無置換のアミノ基を結合してなる有機化合物が挙げられる。
【0047】
ここで本発明に係る有機化合物(B)とは、染料前駆体のように顕色剤および光吸収剤を共に用いる必要はなく、単独でも記録可能な材料であって、着目のレーザー波長域で充分な吸収を有し、所定のエネルギーを有するレーザー光の照射により光・熱変換を伴って、物理的・化学的な変化により、屈折率(n)ならびに消衰係数(k)が変化して該記録層(A)における反射率変化部分、すなわち上述の記録部位を形成し得る記録用色素である。また、本発明に係る有機化合物(B)を用いることで、マルチトラック記録特性に優れる光記録媒体を得ることができる。
【0048】
また、本発明の光記録媒体は、特に300nm〜900nmの範囲から選択される記録レーザー波長に対して記録再生が可能であり、中でも、波長390nm〜430nmの範囲、更には波長400nm〜410nmの範囲から選択される記録レーザー波長および再生レーザー波長に対して良好な信号特性が得られる光記録媒体である。さらに、本発明の光記録媒体は、本発明に係る該記録層(A)が、本発明に係る有機化合物(B)を主成分とする組成物、さらには実質100%となる組成物による単層構造において、実質変形を伴わずに、光学変化記録が可能である。
【0049】
本発明に係る有機化合物(B)として用いる有機化合物は、置換基の選択により吸光係数を保持した状態で吸収波長を任意に選択することで、前記レーザー光の波長において、記録層に必要な光学定数(屈折率nおよび消衰係数k)を満足することが可能である。また、本発明に係る有機化合物(B)は、読み出し信号の大きさを向上させることが可能である。さらに、本発明に係る有機化合物(B)として用いる有機化合物は、塗布法により製膜して良好な塗膜形状を得る本発明に係る記録層(A)とすることが可能であり、且つ、小さな記録レーザーパワーで前述の実質的に変形に拠らず光学変化する記録マーク形状を得ることにより、マルチトラック記録特性に優れる光記録媒体、特に追記型光記録媒体に使用できる極めて有用な化合物である。
【0050】
以下、本発明についてさらに詳細を述べる。
本発明の光記録媒体においては基板上に、有機化合物を少なくとも1種含有する記録層(A)を設けるが、該記録層のうち少なくとも1つは、実質的に変形に拠らず光学変化する記録部位を形成することができるものである。該記録層(A)は、好適には塗布法により形成可能な層が挙げられる。
【0051】
本発明の光記録媒体とは、該記録層(A)に、該レーザー光を吸収し、且つ、非晶質状態を加熱すると発熱を伴って結晶質状態を形成する有機化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする光記録媒体、である。
【0052】
本発明の光記録媒体において、本発明に係る記録層(A)は、好適にはレーザー光を吸収し、且つ、熱により変色する温度(以下、変色温度と称す)を有する化合物、より好ましくは変色温度を400℃以下に少なくとも1つ有する有機化合物、特に変色温度を400℃以下に少なくとも1つ有し、且つ、400℃以下に融点を持たない有機化合物を本発明に係る記録用色素として少なくとも一種含有するものである。ここで本発明に係る変色温度とは、加熱前後での、本発明に係る有機化合物の色調が変化する際の温度範囲を指し、本発明に係る融点とは、本発明に係る有機化合物が固体の状態から液体の状態に変化する際の温度範囲を指す。本発明に係る有機化合物としては、好ましくは変色温度を400℃以下に少なくとも1つ有する有機化合物、より好ましくは変色温度を400℃以下に少なくとも1つ有し、且つ、400℃以下に融点を持たない有機化合物であり、且つ、塗布法に用いる溶剤に可溶であれば、特に制限なく1種または2種以上を用いても良い。なお、好ましい変色温度を有する範囲は、200〜400℃、より好ましくは200〜300℃の範囲が挙げられる。
【0053】
本発明に係る有機化合物としては、変色温度を有する有機化合物、好ましくは変色温度を400℃以下に少なくとも1つ有する有機化合物、より好ましくは変色温度を400℃以下に少なくとも1つ有し、且つ、400℃以下に融点を持たない有機化合物であり、上述した特定の物性を持たすものであればよく、特に制限はない。
【0054】
また、本発明の光記録媒体とは、記録レーザー光の照射によって、該記録層(A)の記録前の吸収極大波長(λmax)とは異なる吸収極大波長(λmax)を記録後の該記録層(A)に与える有機化合物を少なくとも1種、該記録層(A)に含有する光記録媒体、である。
【0055】
本発明の光記録媒体において、本発明に係る記録層(A)は、好適にはレーザー光を吸収し、且つ、非晶質状態を加熱すると発熱を伴って結晶質状態を形成する有機化合物、より好ましくは非晶質状態を加熱すると発熱を伴って結晶質状態を形成する際の発熱ピーク温度が200℃以上である有機化合物、更には非晶質状態を加熱すると発熱を伴って結晶質状態を形成し、且つ、結晶質状態を加熱すると分解し、且つ融点を持たない有機化合物を本発明に係る記録用色素として少なくとも一種含有するものである。ここで本発明に係る非晶質状態とは、本発明に係る有機化合物分子が規則正しい空間的配置を持つ結晶をつくらずに集合した固体状態を指す。また、本発明に係る結晶質状態とは、結晶構造を持つ固体状態を指し、完全な単結晶、あるいは、微結晶の集まりが挙げられる。上述の該結晶質状態においては、部分的に非晶質状態を有していても良い。また、本発明に係る融点とは、本発明に係る有機化合物が固体の状態から液体の状態に変化する際の温度範囲を指す。ここで、特に波長300nm〜900nmにおいて最も大きい極大吸収波長を少なくとも400nm未満に有する有機化合物を本発明に係る記録用色素として少なくとも一種含有するものが好ましい。
【0056】
本発明に係る有機化合物としては、好ましくは非晶質状態を加熱すると発熱を伴って結晶質状態を形成する有機化合物、より好ましくは非晶質状態を加熱すると発熱を伴って結晶質状態を形成する際の発熱ピーク温度が200℃以上である有機化合物、更には非晶質状態を加熱すると発熱を伴って結晶質状態を形成し、且つ、結晶質状態を加熱すると分解し、且つ融点を持たない有機化合物であり、且つ、塗布法に用いる溶剤に可溶であれば、特に制限なく1種または2種以上を用いても良い。
【0057】
本発明に係る有機化合物としては、レーザー光を吸収し、且つ、非晶質状態を加熱すると発熱を伴って結晶質状態を形成する有機化合物、好ましくは非晶質状態を加熱すると発熱を伴って結晶質状態を形成する際の発熱ピーク温度が200℃以上である有機化合物、より好ましくは非晶質状態を加熱すると発熱を伴って結晶質状態を形成し、且つ、結晶質状態を加熱すると分解し、且つ融点を持たない有機化合物であり、上述した特定の物性を満たすものであればよく、特に制限はない。
【0058】
また、本発明の光記録媒体とは、記録レーザー光の照射によって、該記録層(A)の記録前の吸収極大波長(λmax)とは異なる吸収極大波長(λmax)を記録後の該記録層(A)に与える有機化合物を少なくとも1種、該記録層(A)に含有する光記録媒体、である。
【0059】
本発明の光記録媒体において、本発明に係る記録層(A)は、好適には記録レーザー光の照射によって、該記録層(A)の記録前の吸収極大波長(λmax)とは異なる吸収極大波長(λmax)を記録後に得ることを特徴として挙げられる。具体的例としては、吸収極大波長(λmax)が記録再生波長(λ0)よりも短波長側にあり(λmax<λ0)、記録レーザー光の照射によって吸収極大波長がλmaxに変化することでλ0での吸光度が増大する記録層、あるいは、吸収極大波長(λmax)が記録再生波長(λ0)よりも長波長側にあり(λmax>λ0)、記録レーザー光の照射によって吸収極大波長がλmaxに変化することでλ0での吸光度が増大する記録層が挙げられる。
【0060】
本発明に係る有機化合物としては、好適には吸収極大波長(λmax)が記録再生波長(λ0)よりも短波長側にあり(λmax<λ0)、記録レーザー光の照射によって吸収極大波長がλmaxに変化することでλ0での吸光度が増大する性能を該記録膜(A)に与えうる有機化合物であり、より好ましくは記録層(A)における、記録再生波長より短波長側にあった吸収極大波長を記録後に5nm〜100nm長波長化せしめる有機化合物で、且つ、塗布法に用いる溶剤に可溶であれば、特に制限なく1種または2種以上を用いても良い。なお、好ましい移動波長量は10nm〜50nmが、より好ましくは20nm〜40nmが挙げられる。
【0061】
ここで本発明に係る吸収極大波長とは、該記録膜(A)の分光スペクトルにおける光吸収量が極大になる光波長を指す。
【0062】
本発明に係る有機化合物としては、記録レーザー光の照射によって、該記録層(A)の記録前の吸収極大波長(λmax)とは異なる吸収極大波長(λmax)を記録後に与える有機化合物、好ましくは吸収極大波長(λmax)が記録再生波長(λ0)よりも短波長側にあり(λmax<λ0)、記録レーザー光の照射によって吸収極大波長がλmaxに変化することでλ0での吸光度が増大する性能を該記録膜(A)に与えうる有機化合物、より好ましくは記録層(A)における、記録再生波長より短波長側にあった吸収極大波長を記録後に5nm〜100nm長波長化せしめる有機化合物であり、上述した特定の物性を満たすものであればよく、特に制限はない。
【0063】
また、本発明の光記録媒体とは、記録再生波長がλ0である記録レーザー光の照射によって、該記録層(A)の記録前のλ0における屈折率n1および消衰係数k1とは異なる屈折率n2および消衰係数k2を記録後に与える有機化合物を少なくとも1種、該記録層(A)に含有する光記録媒体、である。
【0064】
本発明の光記録媒体において、本発明に係る記録層(A)は、好適には記録レーザー光の照射によって、該記録層(A)の記録前の記録再生波長(λ0)における屈折率n1、消衰係数k1とは異なる屈折率n2、消衰係数k2を記録後に得ることを特徴として挙げられる。具体的例としては、記録レーザー照射により屈折率が減少(n2<n1)し、消衰係数が増加(k2>k1)する記録層が挙げられる。
【0065】
ここで本発明に係る屈折率n及び消衰係数kとは、該記録膜(A)の複素屈折率(N=n−jk)の実部と虚部にそれぞれ相当する。
【0066】
ここで、記録後のレーザー照射後の複素屈折率を求めた方法について述べる。
【0067】
予めレーザー照射前の記録膜(A)の複素屈折率をグラフ法や逐次近似法などで求めておく必要があり、この場合、記録膜(A)を成膜する基板は案内溝付である必要はなく、基板表面が平坦であれば石英ガラスやポリカーボネートでも良い。
【0068】
次にレーザー照射後の複素屈折率を求めるには、実際に光記録媒体の評価装置を使用し、案内溝付ディスク基板に塗膜し光記録媒体化した記録膜(A)の溝にトラッキングサーボを追従させて、溝中(グルーブ)と溝間(ランド)の両方に連続した記録レーザー光を照射する。
【0069】
ここでダミー基板や反射膜を剥離して取り去り、記録膜(A)と基板のレーザー光照射した部分を適当な切片に裁断し、分光光度計で記録再生する波長(λ0)に対して適当な波長範囲で吸光度を測定する。(例としてλ0=405nmの場合、波長範囲は300nm〜500nm)
この吸光度を色素膜厚dで割れば吸収係数αが求められるので、
α=4π×k/λ の関係式よりkを求める。nはkのクラマース・クローニッヒ変換から求めることができる。
【数1】

【0070】
本発明に係る有機化合物(B)としては、より好適には記録再生波長がλ0である記録レーザー光の照射によってλ0における記録後の屈折率n2が記録前の屈折率n1よりも減少し(Δn=n2−n1<0)、かつ記録後の消衰係数k2が記録前の消衰係数k1より増加する(Δk=k2−k1>0)特性を該記録層(A)に与えうる有機化合物であり、さらに好ましくは記録層(A)において屈折率を記録後に0.01〜1.0減少せしめ(Δn=−0.01〜−1.0)、かつ消衰係数を記録後に0.005〜0.5増加せしめる(Δk=+0.005〜+0.5)有機化合物であれば、特に制限なく1種または2種以上を用いても良い。更に好ましくは屈折率を記録後に0.02〜0.08減少せしめ(Δn=−0.02〜−0.08)、かつ消衰係数を記録後に0.01〜0.10増加せしめる(Δk=+0.01〜+0.10)有機化合物が挙げられる。
【0071】
本発明に係る有機化合物としては、記録再生波長がλ0である記録レーザー光の照射によって、該記録層(A)の記録前のλ0における屈折率n1および消衰係数k1とは異なる屈折率n2および消衰係数k2を記録後に与える有機化合物、好ましくは記録再生波長がλ0である記録レーザー光の照射によってλ0における記録後の屈折率n2が記録前の屈折率n1よりも減少し(Δn=n2−n1<0)、かつ記録後の消衰係数k2が記録前の消衰係数k1より増加する(Δk=k2−k1>0)特性を該記録層(A)に与えうる有機化合物であり、より好ましくは記録層(A)において屈折率を記録後に0.01〜1.0減少せしめ(Δn=−0.01〜−1.0)、かつ消衰係数を記録後に0.005〜0.5増加せしめる(Δk=+0.005〜+0.5)有機化合物であり、更に好ましくは屈折率を記録後に0.02〜0.08減少せしめ(Δn=−0.02〜−0.08)、かつ消衰係数を記録後に0.01〜0.10増加せしめる(Δk=+0.01〜+0.10)有機化合物であり、上述した特定の物性を満たすものであればよく、特に制限はない。
【0072】
また、本発明の光記録媒体とは、有機化合物の溶液状態の吸光度の極大波長が記録層の薄膜状態になると短波長側に移動することを特徴とする光記録媒体、である。
【0073】
本発明の光記録媒体においては、本発明に係る記録層(A)に用いる本発明に係る有機化合物について、該化合物の溶液状態の吸光度の極大波長が記録層の薄膜状態になると短波長側に移動する化合物が挙げられる。該化合物の溶液を得る際の溶媒としては、吸光度測定可能な溶媒であれば特に制限はないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アリルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノール等のアルコール系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン等の脂肪族または脂環式炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン、t−ブチルベンゼン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、テトラクロロエタン、ジブロモエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトン、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン、ジイソプロピルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、乳酸メチル等のエステル系溶媒、水等が挙げられ、好ましくは四塩化炭素、クロロホルム、テトラクロロエタン、ジブロモエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、テトラフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノール等のアルコール系溶媒、さらには、クロロホルム溶媒が挙げられる。
【0074】
また、薄膜状態になると短波長側に移動する際の移動量は、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、さらには20nm以上が好ましい。
【0075】
また、本発明の光記録媒体は、レーザー光で記録再生が可能である記録層(A)を基板上に有し、且つ、該記録層(A)に有機化合物を少なくとも1種含有する光記録媒体であって、該記録層(A)に6mW以下の記録レーザー光を照射することで発生する熱および/またはレーザー光により、該基板に機械的な変形を与えず記録できることを特徴とする光記録媒体、である。
【0076】
これにより、本発明の光記録媒体は、従来の光記録媒体に見られるような、細かな隆起体や凹みがなく、実質的に、基板に変形がないという極めて優れた特徴を有する。
【0077】
本発明に係る有機化合物の好ましい例として、より具体的には、以下に記載する有機化合物を挙げることができる。
【0078】
本発明に係る記録層(A)に用いる有機化合物として好適には、本発明に係る炭素原子4個と窒素原子2個で構成する六員環構造を有し、且つ、置換または無置換のアミノ基を結合してなる有機化合物(B)を少なくとも1種含有する記録層が挙げられる。
【0079】
また、本発明の光記録媒体を構成している記録層(A)は、実質的に1種またはそれ以上の本発明に係る有機化合物(B)からなる本発明の組成物であることが好ましい。
【0080】
本発明の組成物中に含有する本発明に係る有機化合物(B)の含有量は、記録再生が可能な任意の量を選択することができるが、通常、30質量%以上、好ましくは60質量%以上であり、尚、実質的に100質量%であることがさらに好ましい。
【0081】
本発明の記録層(A)中には、本発明に係る有機化合物(B)の他に、波長290nm〜690nmに吸収極大を持ち、300nm〜900nmでの屈折率が大きい前記以外の化合物を混合しても良い。また、必要に応じて、クエンチャー、化合物熱分解促進剤、紫外線吸収剤、接着剤、吸熱性又は吸熱分解性化合物、あるいは溶解性を向上させる高分子等の添加剤を混合してもよく、あるいは、そのような効果を有する化合物を本発明に係る有機化合物(B)の置換基として導入することも可能である。本発明の組成物中において、これらの化合物の混合割合は、通常40質量%以下である。
【0082】
クエンチャーの具体例としては、アセチルアセトナト系化合物、ビスジチオ−α−ジケトン系化合物やビスフェニルジチオール系化合物等のビスジチオール系化合物、チオカテコナール系化合物、サリチルアルデヒドオキシム系化合物、チオビスフェノレート系化合物、ホルマザン系化合物等の金属錯体が好ましい。また、アミン系化合物も好適である。
【0083】
化合物熱分解促進剤としては、熱減量分析(TG分析)等により、化合物の熱分解の促進が確認できるのもであれば特に限定されず、例えば、金属系アンチノッキング剤、メタロセン化合物、アセチルアセトナト系金属錯体等の金属化合物が挙げられる。
【0084】
吸熱性又は吸熱分解性化合物としては、特開平10−291366号公報記載の化合物、又は、該公報に記載される置換基を有する化合物等が挙げられる。
【0085】
上述した各種のクエンチャー、化合物熱分解促進剤及び吸熱性又は吸熱分解性化合物は、必要に応じて、1種類で用いても、2種類以上を混合して用いても良い。
【0086】
さらに、必要に応じて、バインダー、レベリング剤、消泡剤等の添加物質を加えても良い。好ましいバインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ケトン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、ポリオレフィン等が挙げられる。
【0087】
記録層(A)を設ける際の塗布方法として、例えば、スピンコート法、スプレー法、キャスト法、スライド法、カーテン法、エクストルージョン法、ワイヤー法、グラビア法、スプレッド法、ローラーコート法、ナイフ法、浸漬法等の塗布法等が挙げられるが、スピンコート法が簡便で好ましい。
【0088】
スピンコート法等の塗布法を用いる場合には、本発明に係る化合物(B)を1〜40質量%、好ましくは3〜30質量%となるように溶媒に溶解あるいは分散させた塗布液を用いるが、この際、溶媒は基板にダメージを与えないものを選ぶことが好ましい。塗布法に用いる溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アリルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノール等のアルコール系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン等の脂肪族または脂環式炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン、t−ブチルベンゼン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、テトラクロロエタン、ジブロモエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトン、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン、ジイソプロピルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、乳酸メチル等のエステル系溶媒、水等が挙げられる。これらは単独で用いても良く、あるいは、複数混合しても良い。好ましい溶剤としては、大気圧下での沸点が150℃以下のものが、塗布後の乾燥が速く、本発明の光記録媒体を製造する上で好ましい。さらには、大気圧下での沸点が150℃以下のアルコール系溶媒、特にフッ素置換アルコールがより好ましい。具体的にはテトラフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノールが好適な例として挙げられる。
【0089】
本発明に係る有機化合物(B)については、特に、上述のフッ素置換アルコールに通常1質量%以上、好ましくは10質量%以上、更には20質量%以上となるように溶解することが好ましい。
【0090】
本発明に係る有機化合物(B)が有する炭素原子4個と窒素原子2個で構成する六員環構造としては、2個の窒素原子が隣接して結合する1,2−ジアザ環構造、2個の窒素原子が炭素原子1個を挟んで結合する1,3−ジアザ環構造、2個の窒素原子が炭素原子2個を挟んで結合する1,4−ジアザ環構造が挙げられ、好ましくは1,3−ジアザ環構造が挙げられる。また、隣接する原子同士は、一重結合、二重結合のいずれの結合を用いて結合していても良い。
【0091】
また、本発明に係る有機化合物(B)に結合する置換アミノ基の置換基としては、好ましくは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアラルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のメタロセニル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアラルキルオキシ基、置換または無置換のアリールオキシ基、置換または無置換のアルケニルオキシ基、置換または無置換のアルキルチオ基、置換または無置換のアラルキルチオ基、置換または無置換のアリールチオ基、置換または無置換のアルケニルチオ基、置換または無置換のアシル基、置換または無置換のアシルオキシ基、置換または無置換のアルコキシカルボニル基、置換または無置換のアラルキルオキシカルボニル基、置換または無置換のアリールオキシカルボニル基、置換または無置換のアルケニルオキシカルボニル基、置換または無置換のアミノ基、あるいはメタロセニル残基を有する基が挙げられる。
【0092】
置換アミノ基の置換基の具体例としては、
フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、
ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基が挙げられ、
【0093】
置換アミノ基の置換基の、置換または無置換のアルキル基の具体例としては、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、1−エチルブチル基、1,2,2−トリメチルブチル基、1,1,2−トリメチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、2,4−ジメチルペンチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、2,5−ジメチルヘキシル基、2,5,5−トリメチルペンチル基、2,4−ジメチルヘキシル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、4−エチルオクチル基、4−エチル−4,5−メチルヘキシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、1,3,5,7−テトラエチルオクチル基、4−ブチルオクチル基、6,6−ジエチルオクチル基、n−トリデシル基、6−メチル−4−ブチルオクチル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、3,5−ジメチルヘプチル基、2,6−ジメチルヘプチル基、2,4−ジメチルヘプチル基、2,2,5,5−テトラメチルヘキシル基、1−シクロペンチル−2,2−ジメチルプロピル基、1−シクロヘキシル−2,2−ジメチルプロピル基等の無置換のアルキル基;
クロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−ヨードエチル基、ジクロロメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル基、ノナフルオロブチル基、パーフルオロデシル基等のハロゲン原子で置換されたアルキル基;
ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル基、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル基、2−ヒドロキシ−3−エトキシプロピル基、3−ブチルオキシ−2−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルオキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシデカリル基等のヒドロキシル基で置換されたアルキル基;
ヒドロキシメトキシメチル基、ヒドロキシエトキシエチル基、2−(2’−ヒドロキシ−1’−メチルエトキシ)−1−メチルエチル基、2−(3’−フルオロ−2’−ヒドロキシプロピルオキシ)エチル基、2−(3’−クロロ−2’−ヒドロキシプロピルオキシ)エチル基、ヒドロキシブチルオキシシクロヘキシル基等のヒドロキシアルコキシ基で置換されたアルキル基;
ヒドロキシメトキシメトキシメチル基、ヒドロキシエトキシエトキシエチル基、[2’−(2’−ヒドロキ−1’−メチルエトキシ)−1’−メチルエトキシ]エトキシエチル基、[2’−(2’−フルオロ−1’−ヒドロキシエトキシ)−1’−メチルエトキシ]エトキシエチル基、[2’−(2’−クロロ−1’−ヒドロキシエトキシ)−1’−メチルエトキシ]エトキシエチル基等のヒドロキシアルコキシアルコキシ基で置換されたアルキル基;
シアノメチル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、4−シアノブチル基、2−シアノ−3−メトキシプロピル基、2−シアノ−3−クロロプロピル基、2−シアノ−3−エトキシプロピル基、3−ブチルオキシ2−シアノプロピル基、2−シアノ−3−シクロヘキシルプロピル基、2−シアノプロピル基、2−シアノブチル基等のシアノ基で置換されたアルキル基;
メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロピルオキシメチル基、n−ブチルオキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、n−プロピルオキシエチル基、n−ブチルオキシエチル基、n−ヘキシルオキシエチル基、(4−メチルペンチルオキシ)エチル基、(1,3−ジメチルブチルオキシ)エチル基、(2−エチルヘキシルオキシ)エチル基、n−オクチルオキシエチル基、(3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ)エチル基、(2−メチル−1−イソプロピルプロピルオキシ)エチル基、(3−メチル−1−イソプロピルブチルオキシ)エチル基、2−エトキシ−1−メチルエチル基、3−メトキシブチル基、(3,3,3−トリフルオロプロピルオキシ)エチル基、(3,3,3−トリクロロプロピルオキシ)エチル基等のアルコキシ基で置換されたアルキル基;
メトキシメトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、n−プロピルオキシエトキシエチル基、n−ブチルオキシエトキシエチル基、シクロヘキシルオキシエトキシエチル基、デカリルオキシプロピルオキシエトキシ基、(1,2−ジメチルプロピルオキシ)エトキシエチル基、(3−メチル−1−イソブチルブチルオキシ)エトキシエチル基、(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)エチル基、(2−ブチルオキシ1−メチルエトキシ)エチル基、2−(2’−エトキシ−1’−メチルエトキシ)−1−メチルエチル基、(3,3,3−トリフルオロプロピルオキシ)エトキシエチル基、(3,3,3−トリクロロプロピルオキシ)エトキシエチル基等のアルコキシアルコキシ基で置換されたアルキル基;
メトキシメトキシメトキシメチル基、メトキシエトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエトキシエチル基、n−ブチルオキシエトキシエトキシエチル基、シクロヘキシルオキシエトキシエトキシエチル基、n−プロピルオキシプロピルオキシプロピルオキシエチル基、(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エトキシエトキシエチル基、(2,2,2−トリクロロエトキシ)エトキシエトキシエチル基等のアルコキシアルコキシアルコキシ基で置換されたアルキル基;
ホルミルメチル基、2−オキソブチル基、3−オキソブチル基、4−オキソブチル基、2,6−ジオキソシクロヘキサン−1−イル基、2−オキソ−5−tert−ブチルシクロヘキサン−1−イル基等のアシル基で置換されたアルキル基;
ホルミルオキシメチル基、アセトキシエチル基、n−プロピオニルオキシエチル基、n−ブタノイルオキシエチル基、バレリルオキシエチル基、(2−エチルヘキサノイルオキシ)エチル基、(3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシ)エチル基、(3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシ)ヘキシル基、(3−フルオロブチリルオキシ)エチル基、(3−クロロブチリルオキシ)エチル基等のアシルオキシ基で置換されたアルキル基;
ホルミルオキシメトキシメチル基、アセトキシエトキシエチル基、n−プロピオニルオキシエトキシエチル基、バレリルオキシエトキシエチル基、(2−エチルヘキサノイルオキシ)エトキシエチル基、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)オキシブチルオキシエチル基、(3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシ)エトキシエチル基、(2−フルオロプロピオニルオキシ)エトキシエチル基、(2−クロロプロピオニルオキシ)エトキシエチル基等のアシルオキシアルコキシ基で置換されたアルキル基;
アセトキシメトキシメトキシメチル基、アセトキシエトキシエトキシエチル基、n−プロピオニルオキシエトキシエトキシエチル基、バレリルオキシエトキシエトキシエチル基、(2−エチルヘキサノイルオキシ)エトキシエトキシエチル基、(3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシ)エトキシエトキシエチル基、(2−フルオロプロピオニルオキシ)エトキシエトキシエチル基、(2−クロロプロピオニルオキシ)エトキシエトキシエチル基等のアシルオキシアルコキシアルコキシ基で置換されたアルキル基;
メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、n−ブチルオキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルエチル基、n−ブチルオキシカルボニルエチル基、(4−エチルシクロヘキシルオキシカルボニル)シクロヘキシル基、(2,2,3,3−テトラフルオロプロピルオキシカルボニル)メチル基、(2,2,3,3−テトラクロロプロピルオキシカルボニル)メチル基等のアルコキシカルボニル基で置換されたアルキル基;
フェニルオキシカルボニルメチル基、(2−メチルフェニルオキシカルボニル)メチル基、(3−メチルフェニルオキシカルボニル)メチル基、(4−メチルフェニルオキシカルボニル)メチル基、(4−tert−ブチルフェニルオキシカルボニル)メチル基、フェニルオキシカルボニルエチル基、(4−tert−ブチルフェニルオキシカルボニル)エチル基、(1−ナフチルオキシカルボニ)メチル基、(2−ナフチルオキシカルボニ)メチル基、(2−フェニルフェニルオキシカルボニル)エチル基、(3−フェニルフェニルオキシカルボニル)エチル基、(4−フェニルフェニルオキシカルボニル)エチル基等のアリールオキシカルボニルで置換されたアルキル基;
ベンジルオキシカルボニルメチル基、ベンジルオキシカルボニルエチル基、フェネチルオキシカルボニルメチル基、(4−シクロヘキシルオキシベンジルオキシカルボニル)メチル基等のアラルキルオキシカルボニル基で置換されたアルキル基;
ビニルオキシカルボニルメチル基、ビニルオキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルメチル基、シクロペンタジエニルオキシカルボニルメチル基、オクテノキシカルボニルメチル基等のアルケニルオキシカルボニル基で置換されたアルキル基;
メトキシカルボニルオキシメチル基、メトキシカルボニルオキシエチル基、エトキシカルボニルオキシエチル基、ブチルオキシカルボニルオキシエチル基、(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニルオキシ)エチル基、(2,2,2−トリクロロエトキシカルボニルオキシ)エチル基等のアルコキシカルボニルオキシ基で置換されたアルキル基;
メトキシメトキシカルボニルオキシメチル基、メトキシエトキシカルボニルオキシエチル基、エトキシエトキシカルボニルオキシエチル基、n−ブチルオキシエトキシカルボニルオキシエチル基、(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エトキシカルボニルオキシエチル基、(2,2,2−トリクロロエトキシ)エトキシカルボニルオキシエチル基等のアルコキシアルコキシカルボニルオキシ基で置換されたアルキル基;
ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジ−n−ブチルアミノメチル基、ジ−n−ヘキシルアミノメチル基、ジ−n−オクチルアミノメチル基、ジ−n−デシルアミノメチル基、N−イソアミル−N−メチルアミノメチル基、ピペリジノメチル基、ジ(メトキシメチル)アミノメチル基、ジ(メトキシエチル)アミノメチル基、ジ(エトキシメチル)アミノメチル基、ジ(エトキシエチル)アミノメチル基、ジ(n−プロピルオキシエチル)アミノメチル基、ジ(n−ブチルオキシエチル)アミノメチル基、ビス(2−シクロヘキシルオキシエチル)アミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基、ジ−n−ブチルアミノエチル基、ジ−n−ヘキシルアミノエチル基、ジ−n−オクチルアミノエチル基、ジ−n−デシルアミノエチル基、N−イソアミル−N−メチルアミノエチル基、ピペリジノエチル基、ジ(メトキシメチル)アミノエチル基、ジ(メトキシエチル)アミノエチル基、ジ(エトキシメチル)アミノエチル基、ジ(エトキシエチル)アミノエチル基、ジ(n−プロピルオキシエチル)アミノエチル基、ジ(n−ブチルオキシエチル)アミノエチル基、ビス(2−シクロヘキシルオキシエチル)アミノエチル基、ジメチルアミノプロピル基、ジエチルアミノプロピル基、ジ−n−ブチルアミノプロピル基、ジ−n−ヘキシルアミノプロピル基、ジ−n−オクチルアミノプロピル基、ジ−n−デシルアミノプロピル基、N−イソアミル−N−メチルアミノプロピル基、ピペリジノプロピル基、ジ(メトキシメチル)アミノプロピル基、ジ(メトキシエチル)アミノプロピル基、ジ(エトキシメチル)アミノプロピル基、ジ(エトキシエチル)アミノプロピル基、ジ(n−プロピルオキシエチル)アミノプロピル基、ジ(n−ブチルオキシエチル)アミノプロピル基、ビス(2−シクロヘキシルオキシエチル)アミノプロピル基、ジメチルアミノブチル基、ジエチルアミノブチル基、ジ−n−ブチルアミノブチル基、ジ−n−ヘキシルアミノブチル基、ジ−n−オクチルアミノブチル基、ジ−n−デシルアミノブチル基、N−イソアミル−N−メチルアミノブチル基、ピペリジノブチル基、ジ(メトキシメチル)アミノブチル基、ジ(メトキシエチル)アミノブチル基、ジ(エトキシメチル)アミノブチル基、ジ(エトキシエチル)アミノブチル基、ジ(n−プロピルオキシエチル)アミノブチル基、ジ(n−ブチルオキシエチル)アミノブチル基、ビス(2−シクロヘキシルオキシエチル)アミノブチル基等のジアルキルアミノ基が置換されたアルキル基;
アセチルアミノメチル基、アセチルアミノエチル基、n−プロピオニルアミノエチル基、n−ブタノイルアミノエチル基、シクロヘキシルカルボニルアミノエチル基、4−メチルシクロヘキシルカルボニルアミノエチル基、スクシンイミノエチル基等のアシルアミノ基で置換されたアルキル基;
メチルスルホンアミノメチル基、メチルスルホンアミノエチル基、エチルスルホンアミノエチル基、n−プロピルスルホンアミノエチル基、n−オクチルスルホンアミノエチル基等のアルキルスルホンアミノ基で置換されたアルキル基;
メチルスルホニルメチル基、エチルスルホニルメチル基、ブチルスルホニルメチル基、メチルスルホニルエチル基、エチルスルホニルエチル基、n−ブチルスルホニルエチル基、2−エチルヘキシルスルホニルエチル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルスルホニルメチル基、2,2,3,3−テトラクロロプロピルスルホニルメチル基等のアルキルスルホニル基で置換されたアルキル基;
フェニルスルホニルメチル基、フェニルスルホニルエチル基、フェニルスルホニルプロピル基、フェニルスルホニルブチル基、2−メチルフェニルスルホニルメチル基、3−メチルフェニルスルホニルメチル基、4−メチルフェニルスルホニルメチル基、4−メチルフェニルスルホニルエチル基、4−メチルフェニルスルホニルプロピル基、4−メチルフェニルスルホニルブチル基、2,4−ジメチルフェニルスルホニルメチル基、2,6−ジメチルフェニルスルホニルメチル基、2,4−ジメチルフェニルスルホニルエチル基、2,4−ジメチルフェニルスルホニルプロピル基、2,4−ジメチルフェニルスルホニルブチル基等のアリールスルホニル基で置換されたアルキル基;
チアジアゾリノメチル基、ピロリノメチル基、ピロリジノメチル基、ピラゾリジノメチル基、イミダゾリジノメチル基、オキサゾリル基、トリアゾリノメチル基、モルホリノメチル基、インドーリノメチル基、ベンズイミダゾリノメチル基、カルバゾリノメチル基等の複素環基で置換されたアルキル基;
等が挙げられる。
【0094】
置換アミノ基の置換基の、置換または無置換のアラルキル基とは、前記に挙げたアルキル基を置換基として有してもよいアラルキル基、または前記に挙げたアルキル基が有する置換基と同様な置換基を有してもよいアラルキル基であり、具体例としては、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、フルフリル基、2−メチルベンジル基、3−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基、4−エチルベンジル基、4−イソプロピルベンジル基、4−tert−ブチルベンジル基、4−n−ヘキシルベンジル基、4−n−ノニルベンジル基、3,4−ジメチルベンジル基、3−メトキシベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−エトキシベンジル基、4−n−ブチルオキシベンジル基、4−n−ヘキシルオキシベンジル基、4−n−ノニルオキシベンジル基、3−フルオロベンジル基、4−フルオロベンジル基、2−クロロベンジル基、4−クロロベンジル基等が挙げられる。
【0095】
置換アミノ基の置換基の、置換または無置換のアリール基とは、無置換の炭素環式芳香族基、複素環式芳香族基、あるいは、前記に挙げたアルキル基を置換基として有する炭素環式芳香族基、複素環式芳香族基、または前記に挙げたアルキル基が有する置換基と同様な置換基を有する炭素環式芳香族基、複素環式芳香族基であり、具体例としては、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、2−エチルフェニル基、4−n−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、4−sec−ブチルフェニル基、2−sec−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、3−tert−ブチルフェニル基、2−tert−ブチルフェニル基、4−n−ペンチルフェニル基、4−イソペンチルフェニル基、4−ネオペンチルフェニル基、4−tert−ペンチルフェニル基、4−n−ヘキシルフェニル基、4−(2’−エチルブチル)フェニル基、4−n−ヘプチルフェニル基、4−n−オクチルフェニル基、4−(2’−エチルヘキシル)フェニル基、4−n−ノニルフェニル基、4−n−デシルフェニル基、4−n−ウンデシルフェニル基、4−n−ドデシルフェニル基、4−n−テトラデシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−(4’−メチルシクロヘキシル)フェニル基、4−(4’−tert−ブチルシクロヘキシル)フェニル基、3−シクロヘキシルフェニル基、2−シクロヘキシルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、2,4−ジエチルフェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、2,5−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジイソブチルフェニル基、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル基、2,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、4,6−ジ−tert−ブチル−2−メチルフェニル基、5−tert−ブチル−2−メチルフェニル基、4−tert−ブチル−2,6−ジメチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1,2,3,4−テトラヒドロ−5−ナフチル基、1,2,3,4−テトラヒドロ−6−ナフチル基、4−エチル−1−ナフチル基、6−n−ブチル−2−ナフチル基、5−インダニル基、
4−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、2−エトキシフェニル基、4−n−プロピルオキシフェニル基、3−n−プロピルオキシフェニル基、4−イソプロピルオキシフェニル基、2−イソプロピルオキシフェニル基、4−n−ブチルオキシフェニル基、4−イソブチルオキシフェニル基、2−sec−ブチルオキシフェニル基、4−n−ペンチルオキシフェニル基、4−イソペンチルオキシフェニル基、2−イソペンチルオキシフェニル基、4−ネオペンチルオキシフェニル基、2−ネオペンチルオキシフェニル基、4−n−ヘキシルオキシフェニル基、4−(2’−エチルブチル)オキシフェニル基、4−n−ヘプチルオキシフェニル基、4−n−オクチルオキシフェニル基、4−n−ノニルオキシフェニル基、4−n−デシルオキシフェニル基、4−n−ウンデシルオキシフェニル基、4−n−ドデシルオキシフェニル基、4−n−テトラデシルオキシフェニル基、4−シクロヘキシルオキシフェニル基、2−シクロヘキシルオキシフェニル基、2,3−ジメトキシフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基、2,5−ジメトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3,5−ジエトキシフェニル基、2−メトキシ−4−メチルフェニル基、2−メトキシ−5−メチルフェニル基、2−メチル−4−メトキシフェニル基、3−メチル−4−メトキシフェニル基、3−メチル−5−メトキシフェニル基、2−メトキシ−1−ナフチル基、4−メトキシ−1−ナフチル基、4−n−ブチルオキシ−1−ナフチル基、5−エトキシ−1−ナフチル基、6−メトキシ−2−ナフチル基、6−エトキシ−2−ナフチル基、6−n−ブチルオキシ−2−ナフチル基、6−n−ヘキシルオキシ−2−ナフチル基、7−メトキシ−2−ナフチル基、7−n−ブチルオキシ−2−ナフチル基、
4−フェニルフェニル基、3−フェニルフェニル基、2−フェニルフェニル基、4−(4’−メチルフェニル)フェニル基、4−(3’−メチルフェニル)フェニル基、4−(4’−エチルフェニル)フェニル基、4−(4’−イソプロピルフェニル)フェニル基、4−(4’−tert−ブチルフェニル)フェニル基、4−(4’−n−ヘキシルフェニル)フェニル基、4−(4’−n−オクチルフェニル)フェニル基、4−(4’−メトキシフェニル)フェニル基、4−(4’−n−ブチルオキシフェニル)フェニル基、2−(2’−メトキシフェニル)フェニル基、4−(4’−クロロフェニル)フェニル基、3−メチル−4−フェニルフェニル基、3−メトキシ−4−フェニルフェニル基、9−フェニル−2−フルオレニル基、9,9−ジフェニル−2−フルオレニル基、9−メチル−9−フェニル−2−フルオレニル基、9−エチル−9−フェニル−2−フルオレニル基、
4−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、2−フルオロフェニル基、4−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−ブロモフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2,5−ジブロモフェニル基、2,4,6−トリクロロフェニル基、2−フルオロ−4−メチルフェニル基、2−フルオロ−5−メチルフェニル基、3−フルオロ−2−メチルフェニル基、3−フルオロ−4−メチルフェニル基、2−メチル−4−フルオロフェニル基、2−メチル−5−フルオロフェニル基、3−メチル−4−フルオロフェニル基、2−クロロ−4−メチルフェニル基、2−クロロ−5−メチルフェニル基、2−クロロ−6−メチルフェニル基、3−クロロ−4−メチルフェニル基、2−メチル−3−クロロフェニル基、2−メチル−4−クロロフェニル基、3−メチル−4−クロロフェニル基、2−クロロ−4,6−ジメチルフェニル基、2,4−ジクロロ−1−ナフチル基、1,6−ジクロロ−2−ナフチル基、2−メトキシ−4−フルオロフェニル基、3−メトキシ−4−フルオロフェニル基、2−フルオロ−4−メトキシフェニル基、2−フルオロ−4−エトキシフェニル基、2−フルオロ−6−メトキシフェニル基、3−フルオロ−4−メトキシフェニル基、3−フルオロ−4−エトキシフェニル基、2−クロロ−4−メトキシフェニル基、3−クロロ−4−メトキシフェニル基、2−メトキシ−5−クロロフェニル基、3−メトキシ−4−クロロフェニル基、3−メトキシ−6−クロロフェニル基、5−クロロ−2,4−ジメトキシフェニル基、2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2−ニトロフェニル基、3−ニトロフェニル基、4−ニトロフェニル基、2−シアノフェニル基、3−シアノフェニル基、4−シアノフェニル基、2−メチル−5−ニトロフェニル基、3,5−ジニトロフェニル基、2−ヒドロキシ−4−ニトロフェニル基等の置換または無置換の炭素環式芳香族基;
4−ピリジル基、3−ピリジル基、2−ピリジル基、4−メチル−2−ピリジル基、5−メチル−2−ピリジル基、6−メチル−2−ピリジル基、4,6−ジメチル−2−ピリジル基、4−メチル−5−ニトロ−2−ピリジル基、3−ヒドロキシ−2−ピリジル基、6−フルオロ−3−ピリジル基、6−メトキシ−3−ピリジル基、6−メトキシ−2−ピリジル基、2−ピリミジル基、3−ピリミジル基、4−ピリミジル基、2,6−ジメチル−4−ピリミジル基、4−キノリル基、3−キノリル基、4−メチル−2−キノリル基、3−フリル基、2−フリル基、3−チエニル基、2−チエニル基,4−メチル−3−チエニル基、5−メチル−2−チエニル基、3−メチル−2−チエニル基、2−オキサゾリル基、2−チアゾリル基、2−チアジアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾイミダゾリル基等の置換または無置換の複素環式芳香族基;等が挙げられる。
【0096】
置換アミノ基の置換基の、置換または無置換のメタロセニル基とは、無置換のメタロセニル基、あるいは、前記に挙げたアルキル基を置換基として有するメタロセニル基、または前記に挙げたアルキル基が有する置換基と同様な置換基を有するメタロセニル基であり、具体例としては、フェロセニル基、コバルトセニル基、ニッケロセニル基、ジクロロチタノセニル基、トリクロロチタンシクロペンタジエニル基、ビス(トリフルオメタンスルホナト)チタノセニル基、ジクロロジルコノセニル基、ジメチルジルコノセニル基、ジエトキシジルコノセニル基、ビス(シクロペンタジエニル)クロム基、ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロモリブデン基、ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロハフニウム基、ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロニオブ基、ビス(シクロペンタジエニル)ルテニウム基、ビス(シクロペンタジエニル)バナジウム基、ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロバナジウム基、オクタメチルフェロセニル基、オクタメチルコバルトセニル基、オクタメチルニッケロセニル基等の置換または無置換のメタロセニル基が挙げられる。
【0097】
置換アミノ基の置換基の、置換または無置換のアルケニル基とは、前記に挙げたアルキル基を置換基として有してもよいアルケニル基、または前記に挙げたアルキル基が有する置換基と同様な置換基を有してもよいアルケニル基であり、具体例としては、ビニル基、プロペニル基、1−ブテニル基、iso−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、2−メチル−1−ブテニル基、3−メチル−1−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、2,2−ジシアノビニル基、2−シアノ−2−メチルカルボキシルビニル基、2−シアノ−2−メチルスルホンビニル基、スチリル基、4−フェニル−2−ブテニル基等が挙げられる。
【0098】
置換アミノ基の置換基の、置換または無置換のアルコキシ基とは、前記に挙げたアルキル基が有する置換基と同様な置換基を有してもよいアルコキシ基であり、具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、1−メチルペンチルオキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、3−メチルペンチルオキシ基、4−メチルペンチルオキシ基、1,1−ジメチルブチルオキシ基、1,2−ジメチルブチルオキシ基、1,3−ジメチルブチルオキシ基、2,3−ジメチルブチルオキシ基、1,1,2−トリメチルプロピルオキシ基、1,2,2−トリメチルプロピルオキシ基、1−エチルブチルオキシ基、2−エチルブチルオキシ基、1−エチル−2−メチルプロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メチルシクロペンチルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、1−メチルヘキシルオキシ基、2−メチルヘキシルオキシ基、3−メチルヘキシルオキシ基、4−メチルヘキシルオキシ基、5−メチルヘキシルオキシ基、1,1−ジメチルペンチルオキシ基、1,2−ジメチルペンチルオキシ基、1,3−ジメチルペンチルオキシ基、1,4−ジメチルペンチルオキシ基、2,2−ジメチルペンチルオキシ基、2,3−ジメチルペンチルオキシ基、2,4−ジメチルペンチルオキシ基、3,3−ジメチルペンチルオキシ基、3,4−ジメチルペンチルオキシ基、1−エチルペンチルオキシ基、2−エチルペンチルオキシ基、3−エチルペンチルオキシ基、1,1,2−トリメチルブチルオキシ基、1,1,3−トリメチルブチルオキシ基、1,2,3−トリメチルブチルオキシ基、1,2,2−トリメチルブチルオキシ基、1,3,3−トリメチルブチルオキシ基、2,3,3−トリメチルブチルオキシ基、1−エチル−1−メチルブチルオキシ基、1−エチル−2−メチルブチルオキシ基、1−エチル−3−メチルブチルオキシ基、2−エチル−1−メチルブチルオキシ基、2−エチル−3−メチルブチルオキシ基、1−n−プロピルブチルオキシ基、1−イソプロピルブチルオキシ基、1−イソプロピル−2−メチルプロピルオキシ基、メチルシクロヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、1−メチルヘプチルオキシ基、2−メチルヘプチルオキシ基、3−メチルヘプチルオキシ基、4−メチルヘプチルオキシ基、5−メチルヘプチルオキシ基、6−メチルヘプチルオキシ基、1,1−ジメチルヘキシルオキシ基、1,2−ジメチルヘキシルオキシ基、1,3−ジメチルヘキシルオキシ基、1,4−ジメチルヘキシルオキシ基、1,5−ジメチルヘキシルオキシ基、2,2−ジメチルヘキシルオキシ基、2,3−ジメチルヘキシルオキシ基、2,4−ジメチルヘキシルオキシ基、2,5−ジメチルヘキシルオキシ基、3,3−ジメチルヘキシルオキシ基、3,4−ジメチルヘキシルオキシ基、3,5−ジメチルヘキシルオキシ基、4,4−ジメチルヘキシルオキシ基、4,5−ジメチルヘキシルオキシ基、1−エチルヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3−エチルヘキシルオキシ基、4−エチルヘキシルオキシ基、1−n−プロピルペンチルオキシ基、2−n−プロピルペンチルオキシ基、1−イソプロピルペンチルオキシ基、2−イソプロピルペンチルオキシ基、1−エチル−1−メチルペンチルオキシ基、1−エチル−2−メチルペンチルオキシ基、1−エチル−3−メチルペンチルオキシ基、1−エチル−4−メチルペンチルオキシ基、2−エチル−1−メチルペンチルオキシ基、2−エチル−2−メチルペンチルオキシ基、2−エチル−3−メチルペンチルオキシ基、2−エチル−4−メチルペンチルオキシ基、3−エチル−1−メチルペンチルオキシ基、3−エチル−2−メチルペンチルオキシ基、3−エチル−3−メチルペンチルオキシ基、3−エチル−4−メチルペンチルオキシ基、1,1,2−トリメチルペンチルオキシ基、1,1,3−トリメチルペンチルオキシ基、1,1,4−トリメチルペンチルオキシ基、1,2,2−トリメチルペンチルオキシ基、1,2,3−トリメチルペンチルオキシ基、1,2,4−トリメチルペンチルオキシ基、1,3,4−トリメチルペンチルオキシ基、2,2,3−トリメチルペンチルオキシ基、2,2,4−トリメチルペンチルオキシ基、2,3,4−トリメチルペンチルオキシ基、1,3,3−トリメチルペンチルオキシ基、2,3,3−トリメチルペンチルオキシ基、3,3,4−トリメチルペンチルオキシ基、1,4,4−トリメチルペンチルオキシ基、2,4,4−トリメチルペンチルオキシ基、3,4,4−トリメチルペンチルオキシ基、1−n−ブチルブチルオキシ基、1−イソブチルブチルオキシ基、1−sec−ブチルブチルオキシ基、1−tert−ブチルブチルオキシ基、2−tert−ブチルブチルオキシ基、1−n−プロピル−1−メチルブチルオキシ基、1−n−プロピル−2−メチルブチルオキシ基、1−n−プロピル−3−メチルブチルオキシ基、1−イソプロピル−1−メチルブチルオキシ基、1−イソプロピル−2−メチルブチルオキシ基、1−イソプロピル−3−メチルブチルオキシ基、1,1−ジエチルブチルオキシ基、1,2−ジエチルブチルオキシ基、1−エチル−1,2−ジメチルブチルオキシ基、1−エチル−1,3−ジメチルブチルオキシ基、1−エチル−2,3−ジメチルブチルオキシ基、2−エチル−1,1−ジメチルブチルオキシ基、2−エチル−1,2−ジメチルブチルオキシ基、2−エチル−1,3−ジメチルブチルオキシ基、2−エチル−2,3−ジメチルブチルオキシ基、1,1,3,3−テトラメチルブチルオキシ基、1,2−ジメチルシクロヘキシルオキシ基、1,3−ジメチルシクロヘキシルオキシ基、1,4−ジメチルシクロヘキシルオキシ基、エチルシクロヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、1−アダマンチルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基等の直鎖、分岐又は環状の無置換アルコキシ基;
メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、n−プロピルオキシエトキシ基、イソプロピルオキシエトキシ基、n−ブチルオキシエトキシ基、イソブチルオキシエトキシ基、tert−ブチルオキシエトキシ基、sec−ブチルオキシエトキシ基、n−ペンチルオキシエトキシ基、イソペンチルオキシエトキシ基、tert−ペンチルオキシエトキシ基、sec−ペンチルオキシエトキシ基、シクロペンチルオキシエトキシ基、n−ヘキシルオキシエトキシ基、エチルシクロヘキシルオキシエトキシ基、n−ノニルオキシエトキシ基、(3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ)エトキシ基、(3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ)ブチルオキシ基、n−デシルオキシエトキシ基、n−ウンデシルオキシエトキシ基、n−ドデシルオキシエトキシ基、3−メトキシプロピルオキシ基、3−エトキシプロピルオキシ基、3−(n−プロピルオキシ)プロピルオキシ基、2−イソプロピルオキシプロピルオキシ基、2−メトキシブチルオキシ基、2−エトキシブチルオキシ基、2−(n−プロピルオキシ)ブチルオキシ基、4−イソプロピルオキシブチルオキシ基、デカリルオキシエトキシ基、アダマンチルオキシエトキシ基等のアルコキシ基で置換されたアルコキシ基;
メトキシメトキシメトキシ基、エトキシメトキシメトキシ基、プロピルオキシメトキシメトキシ基、ブチルオキシメトキシメトキシ基、メトキシエトキシメトキシ基、エトキシエトキシメトキシ基、プロピルオキシエトキシメトキシ基、ブチルオキシエトキシメトキシ基、メトキシプロピルオキシメトキシ基、エトキシプロピルオキシメトキシ基、プロピルオキシプロピルオキシメトキシ基、ブチルオキシプロピルオキシメトキシ基、メトキシブチルオキシメトキシ基、エトキシブチルオキシメトキシ基、プロピルオキシブチルオキシメトキシ基、ブチルオキシブチルオキシメトキシ基、メトキシメトキシエトキシ基、エトキシメトキシエトキシ基、プロピルオキシメトキシエトキシ基、ブチルオキシメトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、ブチルオキシエトキシエトキシ基、メトキシプロピルオキシエトキシ基、エトキシプロピルオキシエトキシ基、プロピルオキシプロピルオキシエトキシ基、ブチルオキシプロピルオキシエトキシ基、メトキシブチルオキシエトキシ基、エトキシブチルオキシエトキシ基、プロピルオキシブチルオキシエトキシ基、ブチルオキシブチルオキシエトキシ基、メトキシメトキシプロピルオキシ基、エトキシメトキシプロピルオキシ基、プロピルオキシメトキシプロピルオキシ基、ブチルオキシメトキシプロピルオキシ基、メトキシエトキシプロピルオキシ基、エトキシエトキシプロピルオキシ基、プロピルオキシエトキシプロピルオキシ基、ブチルオキシエトキシプロピルオキシ基、メトキシプロピルオキシプロピルオキシ基、エトキシプロピルオキシプロピルオキシ基、プロピルオキシプロピルオキシプロピルオキシ基、ブチルオキシプロピルオキシプロピルオキシ基、
メトキシブチルオキシプロピルオキシ基、エトキシブチルオキシプロピルオキシ基、プロピルオキシブチルオキシプロピルオキシ基、ブチルオキシブチルオキシプロピルオキシ基、メトキシメトキシブチルオキシ基、エトキシメトキシブチルオキシ基、プロピルオキシメトキシブチルオキシ基、ブチルオキシメトキシブチルオキシ基、メトキシエトキシブチルオキシ基、エトキシエトキシブチルオキシ基、プロピルオキシシエトキシブチルオキシ基、ブチルオキシエトキシブチルオキシ碁、メトキシプロピルオキシブチルオキシ基、エトキシプロピルオキシブチルオキシ基、プロピルオキシプロピルオキシブチルオキシ基、ブチルオキシプロピルオキシブチルオキシ基、メトキシブチルオキシブチルオキシ基、エトキシブチルオキシブチルオキシ基、プロピルオキシブチルオキシブチルオキシ基、ブチルオキシブチルオキシブチルオキシ基、(4−エチルシクロヘキシルオキシ)エトキシエトキシ基、(2−エチル−1−ヘキシルオキシ)エトキシプロピルオキシ基、〔4−(3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ)ブチルオキシ〕エトキシ基等のアルコキシアルコキシ基で置換されたアルコキシ基;
メトキシカルボニルメトキシ基、エトキシカルボニルメトキシ基、n−プロピルオキシカルボニルメトキシ基、イソプロピルオキシカルボニルメトキシ基、(4’−エチルシクロヘキシルオキシ)カルボニルメトキシ基等のアルコキシカルボニル基で置換されたアルコキシ基;
アセチルメトキシ基、エチルカルボニルメトキシ基、n−オクチルカルボニルメトキシ基、フェナシルオキシ基等のアシル基で置換されたアルコキシ基;
アセチルオキシメトキシ基、アセチルオキシエトキシ基、アセチルオキシヘキシルオキシ基、n−ブタノイルオキシシクロヘキシルオキシ基等のアシルオキシ基で置換されたアルコキシ基;
メチルアミノメトキシ基、2−メチルアミノエトキシ基、2−(2−メチルアミノエトキシ)エトキシ基、4−メチルアミノブチルオキシ基、1−メチルアミノプロパン−2−イルオキシ基、3−メチルアミノプロピルオキシ基、2−メチルアミノ−2−メチルプロピルオキシ基、2−エチルアミノエトキシ基、2−(2−エチルアミノエトキシ)エトキシ基、3−エチルアミノプロピルオキシ基、1−エチルアミノプロピルオキシ基、2−イソプロピルアミノエトキシ基、2−(n−ブチルアミノ)エトキシ基、3−(n−ヘキシルアミノ)プロピルオキシ基、4−(シクロヘキシルアミノ)ブチルオキシ基等のアルキルアミノ基で置換されたアルコキシ基;
メチルアミノメトキシメトキシ基、メチルアミノエトキシエトキシ基、メチルアミノエトキシプロピルオキシ基、エチルアミノエトキシプロピルオキシ基、4−(2’−イソブチルアミノプロピルオキシ)ブチルオキシ基等のアルキルアミノアルコキシ基で置換されたアルコキシ基;
ジメチルアミノメトキシ基、2−ジメチルアミノエトキシ基、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)エトキシ基、4−ジメチルアミノブチルオキシ基、1−ジメチルアミノプロパン−2−イルオキシ基、3−ジメチルアミノプロピルオキシ基、2−ジメチルアミノ−2−メチルプロピルオキシ基、2−ジエチルアミノエトキシ基、2−(2−ジエチルアミノエトキシ)エトキシ基、3−ジエチルアミノプロピルオキシ基、1−ジエチルアミノプロピルオキシ基、2−ジイソプロピルアミノエトキシ基、2−(ジ−n−ブチルアミノ)エトキシ基、2−ピペリジルエトキシ基、3−(ジ−n−ヘキシルアミノ)プロピルオキシ基等のジアルキルアミノ基で置換されたアルコキシ基;
ジメチルアミノメトキシメトキシ基、ジメチルアミノエトキシエトキシ基、ジメチルアミノエトキシプロピルオキシ基、ジエチルアミノエトキシプロピルオキシ基、4−(2’−ジイソブチルアミノプロピルオキシ)ブチルオキシ基等のジアルキルアミノアルコキシ基で置換されたアルコキシ基;
メチルチオメトキシ基、2−メチルチオエトキシ基、2−エチルチオエトキシ基、2−n−プロピルチオエトキシ基、2−イソプロピルチオエトキシ基、2−n−ブチルチオエトキシ基、2−イソブチルチオエトキシ基、(3,5,5−トリメチルヘキシルチオ)ヘキシルオキシ基等のアルキルチオ基で置換されたアルコキシ基;
等が挙げられる。
【0099】
置換アミノ基の置換基の、置換または無置換のアラルキルオキシ基とは、前記に挙げたアルキル基を置換基として有してもよいアラルキルオキシ基、または前記に挙げたアルキル基が有する置換基と同様な置換基を有してもよいアラルキルオキシ基であり、具体例としては、ベンジルオキシ基、4−ニトロベンジルオキシ基、4−シアノベンジルオキシ基、4−ヒドロキシベンジルオキシ基、2−メチルベンジルオキシ基、3−メチルベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、4−トリフルオロメチルベンジルオキシ基、1−ナフチルメトキシ基、2−ナフチルメトキシ基、4−シアノ−1−ナフチルメトキシ基、4−ヒドロキシ−1−ナフチルメトキシ基、6−ヒドロキシ−2−ナフチルメトキシ基、4−メチル−1−ナフチルメトキシ基、6−メチル−2−ナフチルメトキシ基、4−トリフルオロメチル−1−ナフチルメトキシ基、フルオレン−9−イルエトキシ基等が挙げられる。
【0100】
置換アミノ基の置換基の、置換または無置換のアリールオキシ基とは、前記に挙げたアルキル基を置換基として有してもよいアリールオキシ基、または前記に挙げたアルキル基が有する置換基と同様な置換基を有してもよいアリールオキシ基であり、具体例としては、フェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−エチルフェノキシ基、3−エチルフェノキシ基、2−エチルフェノキシ基、4−n−プロピルフェノキシ基、4−イソプロピルフェノキシ基、2−イソプロピルフェノキシ基、4−n−ブチルフェノキシ基、4−イソブチルフェノキシ基、4−sec−ブチルフェノキシ基、2−sec−ブチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−tert−ブチルフェノキシ基、2−tert−ブチルフェノキシ基、4−n−ペンチルフェノキシ基、4−イソペンチルフェノキシ基、4−ネオペンチルフェノキシ基、4−tert−ペンチルフェノキシ基、4−n−ヘキシルフェノキシ基、4−(2’−エチルブチル)フェノキシ基、4−n−ヘプチルフェノキシ基、4−n−オクチルフェノキシ基、4−(2’−エチルヘキシル)フェノキシ基、4−n−ノニルフェノキシ基、4−n−デシルフェノキシ基、4−n−ウンデシルフェノキシ基、4−n−ドデシルフェノキシ基、4−n−テトラデシルフェノキシ基、4−シクロヘキシルフェノキシ基、4−(4’−メチルシクロヘキシル)フェノキシ基、4−(4’−tert−ブチルシクロヘキシル)フェノキシ基、3−シクロヘキシルフェノキシ基、2−シクロヘキシルフェノキシ基、2,3−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、2,4−ジエチルフェノキシ基、2,6−ジエチルフェノキシ基、2,5−ジイソプロピルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、2,6−ジイソブチルフェノキシ基、2,4−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、2,5−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、4,6−ジ−tert−ブチル−2−メチルフェノキシ基、5−tert−ブチル−2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチル−2,6−ジメチルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、1,2,3,4−テトラヒドロ−5−ナフチルオキシ基、1,2,3,4−テトラヒドロ−6−ナフチルオキシ基、4−エチル−1−ナフチルオキシ基、6−n−ブチル−2−ナフチルオキシ基、5−インダニルオキシ基、
4−メトキシフェノキシ基、3−メトキシフェノキシ基、2−メトキシフェノキシ基、4−エトキシフェノキシ基、3−エトキシフェノキシ基、2−エトキシフェノキシ基、4−n−プロピルオキシフェノキシ基、3−n−プロピルオキシフェノキシ基、4−イソプロピルオキシフェノキシ基、2−イソプロピルオキシフェノキシ基、4−n−ブチルオキシフェノキシ基、4−イソブチルオキシフェノキシ基、2−sec−ブチルオキシフェノキシ基、4−n−ペンチルオキシフェノキシ基、4−イソペンチルオキシフェノキシ基、2−イソペンチルオキシフェノキシ基、4−ネオペンチルオキシフェノキシ基、2−ネオペンチルオキシフェノキシ基、4−n−ヘキシルオキシフェノキシ基、4−(2’−エチルブチル)オキシフェノキシ基、4−n−ヘプチルオキシフェノキシ基、4−n−オクチルオキシフェノキシ基、4−n−ノニルオキシフェノキシ基、4−n−デシルオキシフェノキシ基、4−n−ウンデシルオキシフェノキシ基、4−n−ドデシルオキシフェノキシ基、4−n−テトラデシルオキシフェノキシ基、4−シクロヘキシルオキシフェノキシ基、2−シクロヘキシルオキシフェノキシ基、2,3−ジメトキシフェノキシ基、2,4−ジメトキシフェノキシ基、2,5−ジメトキシフェノキシ基、3,4−ジメトキシフェノキシ基、3,5−ジメトキシフェノキシ基、3,5−ジエトキシフェノキシ基、2−メトキシ−4−メチルフェノキシ基、2−メトキシ−5−メチルフェノキシ基、2−メチル−4−メトキシフェノキシ基、3−メチル−4−メトキシフェノキシ基、3−メチル−5−メトキシフェノキシ基、2−メトキシ−1−ナフチルオキシ基、4−メトキシ−1−ナフチルオキシ基、4−n−ブチルオキシ−1−ナフチルオキシ基、5−エトキシ−1−ナフチルオキシ基、6−メトキシ−2−ナフチルオキシ基、6−エトキシ−2−ナフチルオキシ基、6−n−ブチルオキシ−2−ナフチルオキシ基、6−n−ヘキシルオキシ−2−ナフチルオキシ基、7−メトキシ−2−ナフチルオキシ基、7−n−ブチルオキシ−2−ナフチルオキシ基、
4−フェニルフェノキシ基、3−フェニルフェノキシ基、2−フェニルフェノキシ基、4−(4’−メチルフェニル)フェノキシ基、4−(3’−メチルフェニル)フェノキシ基、4−(4’−エチルフェニル)フェノキシ基、4−(4’−イソプロピルフェニル)フェノキシ基、4−(4’−tert−ブチルフェニル)フェノキシ基、4−(4’−n−ヘキシルフェニル)フェノキシ基、4−(4’−n−オクチルフェニル)フェノキシ基、4−(4’−メトキシフェニル)フェノキシ基、4−(4’−n−ブチルオキシフェニル)フェノキシ基、2−(2’−メトキシフェニル)フェノキシ基、4−(4’−クロロフェニル)フェノキシ基、3−メチル−4−フェニルフェノキシ基、3−メトキシ−4−フェニルフェノキシ基、9−フェニル−2−フルオレニルオキシ基、9,9−ジフェニル−2−フルオレニルオキシ基、9−メチル−9−フェニル−2−フルオレニルオキシ基、9−エチル−9−フェニル−2−フルオレニルオキシ基、
4−フルオロフェノキシ基、3−フルオロフェノキシ基、2−フルオロフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、3−クロロフェノキシ基、2−クロロフェノキシ基、4−ブロモフェノキシ基、2−ブロモフェノキシ基、4−トリフルオロメチルフェノキシ基、2,3−ジフルオロフェノキシ基、2,4−ジフルオロフェノキシ基、2,5−ジフルオロフェノキシ基、2,6−ジフルオロフェノキシ基、3,4−ジフルオロフェノキシ基、3,5−ジフルオロフェノキシ基、2,3−ジクロロフェノキシ基、2,4−ジクロロフェノキシ基、2,5−ジクロロフェノキシ基、3,4−ジクロロフェノキシ基、3,5−ジクロロフェノキシ基、2,5−ジブロモフェノキシ基、2,4,6−トリクロロフェノキシ基、2−フルオロ−4−メチルフェノキシ基、2−フルオロ−5−メチルフェノキシ基、3−フルオロ−2−メチルフェノキシ基、3−フルオロ−4−メチルフェノキシ基、2−メチル−4−フルオロフェノキシ基、2−メチル−5−フルオロフェノキシ基、3−メチル−4−フルオロフェノキシ基、2−クロロ−4−メチルフェノキシ基、2−クロロ−5−メチルフェノキシ基、2−クロロ−6−メチルフェノキシ基、3−クロロ−4−メチルフェノキシ基、2−メチル−3−クロロフェノキシ基、2−メチル−4−クロロフェノキシ基、3−メチル−4−クロロフェノキシ基、2−クロロ−4,6−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジクロロ−1−ナフチルオキシ基、1,6−ジクロロ−2−ナフチルオキシ基、2−メトキシ−4−フルオロフェノキシ基、3−メトキシ−4−フルオロフェノキシ基、2−フルオロ−4−メトキシフェノキシ基、2−フルオロ−4−エトキシフェノキシ基、2−フルオロ−6−メトキシフェノキシ基、3−フルオロ−4−メトキシフェノキシ基、3−フルオロ−4−エトキシフェノキシ基、2−クロロ−4−メトキシフェノキシ基、3−クロロ−4−メトキシフェノキシ基、2−メトキシ−5−クロロフェノキシ基、3−メトキシ−4−クロロフェノキシ基、3−メトキシ−6−クロロフェノキシ基、5−クロロ−2,4−ジメトキシフェノキシ基、2−ヒドロキシフェノキシ基、3−ヒドロキシフェノキシ基、4−ヒドロキシフェノキシ基、2−ニトロフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、4−ニトロフェノキシ基、2−シアノフェノキシ基、3−シアノフェノキシ基、4−シアノフェノキシ基、2−メチル−5−ニトロフェノキシ基、3,5−ジニトロフェノキシ基、2−ヒドロキシ−4−ニトロフェノキシ基等の置換または無置換の炭素環式芳香族オキシ基;
4−ピリジルオキシ基、3−ピリジルオキシ基、2−ピリジルオキシ基、4−メチル−2−ピリジルオキシ基、5−メチル−2−ピリジルオキシ基、6−メチル−2−ピリジルオキシ基、4,6−ジメチル−2−ピリジルオキシ基、4−メチル−5−ニトロ−2−ピリジルオキシ基、3−ヒドロキシ−2−ピリジルオキシ基、6−フルオロ−3−ピリジルオキシ基、6−メトキシ−3−ピリジルオキシ基、6−メトキシ−2−ピリジルオキシ基、2−ピリミジルオキシ基、3−ピリミジルオキシ基、4−ピリミジルオキシ基、2,6−ジメチル−4−ピリミジルオキシ基、4−キノリルオキシ基、3−キノリルオキシ基、4−メチル−2−キノリルオキシ基、3−フリルオキシ基、2−フリルオキシ基、3−チエニルオキシ基、2−チエニルオキシ基,4−メチル−3−チエニルオキシ基、5−メチル−2−チエニルオキシ基、3−メチル−2−チエニルオキシ基、2−オキサゾリルオキシ基、2−チアゾリルオキシ基、2−チアジアゾリルオキシ基、2−ベンゾオキサゾリルオキシ基、2−ベンゾチアゾリルオキシ基、2−ベンゾイミダゾリルオキシ基等の置換または無置換の複素環式芳香族オキシ基;
等が挙げられる。
【0101】
置換アミノ基の置換基の、置換または無置換のアルケニルオキシ基とは、前記に挙げたアルキル基を置換基として有してもよいアルケニルオキシ基、または前記に挙げたアルキル基が有する置換基と同様な置換基を有してもよいアルケニルオキシ基であり、具体例としては、ビニルオキシ基、プロペニルオキシ基、1−ブテニルオキシ基、iso−ブテニルオキシ基、1−ペンテニルオキシ基、2−ペンテニルオキシ基、2−メチル−1−ブテニルオキシ基、3−メチル−1−ブテニルオキシ基、2−メチル−2−ブテニルオキシ基、シクロペンタジエニルオキシ基、2,2−ジシアノビニルオキシ基、2−シアノ−2−メチルカルボキシルビニルオキシ基、2−シアノ−2−メチルスルホンビニルオキシ基、スチリルオキシ基、4−フェニル−2−ブテニルオキシ基、シンナミルオキシ基等が挙げられる。
【0102】
置換アミノ基の置換基の、置換または無置換のアルキルチオ基とは、前記に挙げたアルキル基が有する置換基と同様な置換基を有してもよいアルキルチオ基であり、具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、ネオペンチルチオ基、2−メチルブチルチオ基、メチルカルボキシルエチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、3,5,5−トリメチルヘキシルチオ基、デカリルチオ基等が挙げられる。
【0103】
置換アミノ基の置換基の、置換または無置換のアラルキルチオ基とは、前記に挙げたアルキル基を置換基として有してもよいアラルキルチオ基、または前記に挙げたアルキル基が有する置換基と同様な置換基を有してもよいアラルキルチオ基であり、具体例としては、ベンジルチオ基、4−シアノベンジルチオ基、4−ヒドロキシベンジルチオ基、2−メチルベンジルチオ基、3−メチルベンジルチオ基、4−メチルベンジルチオ基、4−トリフルオロメチルベンジルチオ基、1−ナフチルメチルチオ基、4−ニトロ−1−ナフチルメチルチオ基、4−シアノ−1−ナフチルメチルチオ基、4−ヒドロキシ−1−ナフチルメチルチオ基、4−メチル−1−ナフチルメチルチオ基、4−トリフルオロメチル−1−ナフチルメチルチオ基、フルオレン−9−イルエチルチオ基等が挙げられる。
【0104】
置換アミノ基の置換基の、置換または無置換のアリールチオ基とは、前記に挙げたアルキル基を置換基として有してもよいアリールチオ基、または前記に挙げたアルキル基が有する置換基と同様な置換基を有してもよいアリールチオ基であり、具体例としては、フェニルチオ基、4−メチルフェニルチオ基、2−メトキシフェニルチオ基、4−tert−ブチルフェニルチオ基、ナフチルチオ基等が挙げられる。
【0105】
置換アミノ基の置換基の、置換または無置換のアルケニルチオ基とは、前記に挙げたアルキル基を置換基として有してもよいアルケニルチオ基、または前記に挙げたアルキル基が有する置換基と同様な置換基を有してもよいアルケニルチオ基であり、具体例としては、ビニルチオ基、プロペニルチオ基、1−ブテニルチオ基、iso−ブテニルチオ基、1−ペンテニルチオ基、2−ペンテニルチオ基、2−メチル−1−ブテニルチオ基、3−メチル−1−ブテニルチオ基、2−メチル−2−ブテニルチオ基、シクロペンタジエニルチオ基、2,2−ジシアノビニルチオ基、2−シアノ−2−メチルカルボキシルビニルチオ基、2−シアノ−2−メチルスルホンビニルチオ基、スチリルチオ基、4−フェニル−2−ブテニルチオ基、シンナミルオキシ基等が挙げられる。
【0106】
置換アミノ基の置換基の、置換または無置換のアシル基とは、前記に挙げたアルキル基を置換基として有してもよいアシル基、または前記に挙げたアルキル基が有する置換基と同様な置換基を有してもよいアシル基であり、具体例としては、ホルミル基、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基、n−ブチルカルボニル基、イソブチルカルボニル基、sec−ブチルカルボニル基、tert−ブチルカルボニル基、n−ペンチルカルボニル基、イソペンチルカルボニル基、ネオペンチルカルボニル基、2−メチルブチルカルボニル基、ベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、3−メチルベンゾイル基、4−メチルベンゾイル基、4−エチルベンゾイル基、4−n−プロピルベンゾイル基、4−tert−ブチルベンゾイル基、4−ニトロベンジルカルボニル基、3−n−ブトキシ−2−ナフトイル基、シンナモイル基等が挙げられる。
【0107】
置換アミノ基の置換基の、置換または無置換のアシルオキシ基とは、前記に挙げたアルキル基を置換基として有してもよいアシルオキシ基、または前記に挙げたアルキル基が有する置換基と同様な置換基を有してもよいアシルオキシ基であり、具体例としては、ホルミルオキシ基、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、イソブチルカルボニルオキシ基、sec−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基、n−ペンチルカルボニルオキシ基、イソペンチルカルボニルオキシ基、ネオペンチルカルボニルオキシ基、2−メチルブチルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、2−メチルベンゾイルオキシ基、3−メチルベンゾイルオキシ基、4−メチルベンゾイルオキシ基、4−エチルベンゾイルオキシ基、4−n−プロピルベンゾイルオキシ基、4−tert−ブチルベンゾイルオキシ基、4−ニトロベンジルカルボニルオキシ基、3−n−ブトキシ−2−ナフトイルオキシ基、シンナモイルオキシ基等が挙げられる。
【0108】
置換アミノ基の置換基の、置換または無置換のアルコキシカルボニル基とは、前記に挙げたアルキル基が有する置換基と同様な置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基であり、具体例としては、メトシキカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシカルボニル基、デカリルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、2−クロロエトキシカルボニル基、ヒドロキシメトキシカルボニル基、2−ヒドロキシエトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;
メトキシメトキシカルボニル基、メトキシエトキシカルボニル基、エトキシエトキシカルボニル基、n−プロピルオキシエトキシカルボニル基、n−ブチルオキシエトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシエトキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシエトキシエチル基、n−ブチルオキシブチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシブチルオキシカルボニル基、ヒドロキシメトキシメトキシカルボニル基、ヒドロキシエトキシエトキシカルボニル基等のアルコキシ基で置換されたアルコキシカルボニル基;
メトキシメトキシメトキシカルボニル基、メトキシエトキシエトキシカルボニル基、エトキシエトキシエトキシカルボニル基、n−プロピルオキシエトキシエトキシカルボニル基、n−ブチルオキシエトキシエトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシエトキシエトキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシエトキシエトキシカルボニル基等のアルコキシアルコキシ基で置換されたアルコキシカルボニル基;
等が挙げられる。
【0109】
置換アミノ基の置換基の、置換または無置換のアラルキルオキシカルボニル基とは、前記に挙げたアルキル基を置換基として有してもよいアラルキルオキシカルボニル基、または前記に挙げたアルキル基が有する置換基と同様な置換基を有してもよいアラルキルオキシカルボニル基であり、具体例としては、ベンジルオキシカルボニル基、4−ニトロベンジルオキシカルボニル基、4−シアノベンジルオキシカルボニル基、4−ヒドロキシベンジルオキシカルボニル基、2−メチルベンジルオキシカルボニル基、3−メチルベンジルオキシカルボニル基、4−メチルベンジルオキシカルボニル基、4−トリフルオロメチルベンジルオキシカルボニル基、1−ナフチルメトキシカルボニル基、2−ナフチルメトキシカルボニル基、4−シアノ−1−ナフチルメトキシカルボニル基、4−ヒドロキシ−1−ナフチルメトキシカルボニル基、6−ヒドロキシ−2−ナフチルメトキシカルボニル基、4−メチル−1−ナフチルメトキシカルボニル基、6−メチル−2−ナフチルメトキシカルボニル基、4−トリフルオロメチル−1−ナフチルメトキシカルボニル基、フルオレン−9−イルエトキシカルボニル基等が挙げられる。
【0110】
置換アミノ基の置換基の、置換または無置換のアリールオキシカルボニル基とは、前記に挙げたアルキル基を置換基として有してもよいアリールオキシカルボニル基、または前記に挙げたアルキル基が有する置換基と同様な置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基であり、具体例としては、フェニルオキシカルボニル基、2−メチルフェニルオキシカルボニル基、4−メチルフェニルオキシカルボニル基、4−tert−ブチルフェニルオキシカルボニル基、2−メトキシフェニルオキシカルボニル基、4−イソプロピルフェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0111】
置換アミノ基の置換基の、置換または無置換のアルケニルオキシカルボニル基とは、前記に挙げたアルキル基を置換基として有してもよいアルケニルオキシカルボニル基、または前記に挙げたアルキル基が有する置換基と同様な置換基を有してもよいアルケニルオキシカルボニル基であり、具体例としては、ビニルオキシカルボニル基、プロペニルオキシカルボニル基、1−ブテニルオキシカルボニル基、iso−ブテニルオキシカルボニル基、1−ペンテニルオキシカルボニル基、2−ペンテニルオキシカルボニル基、シクロペンタジエニルオキシカルボニル基、2−メチル−1−ブテニルオキシカルボニル基、3−メチル−1−ブテニルオキシカルボニル基、2−メチル−2−ブテニルオキシカルボニル基、2,2−ジシアノビニルオキシカルボニル基、2−シアノ−2−メチルカルボキシルビニルオキシカルボニル基、2−シアノ−2−メチルスルホンビニルオキシカルボニル基、スチリルオキシカルボニル基、4−フェニル−2−ブテニルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0112】
置換アミノ基の置換基の、置換または無置換のアミノ基とは、前記に挙げたアルキル基を置換基として有してもよいアミノ基、または前記に挙げたアルキル基が有する置換基と同様な置換基を有してもよいアルキルアミノ基であり、具体例としては、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、
ヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、3,5,5−トリメチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基等のモノアルキルアミノ基やジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ジ(アセチルオキシエチル)アミノ基、ジ(プロピオニルオキシエチル)アミノ基等のジアルキルアミノ基;
前記に挙げたアルキル基を置換基として有してもよいアラルキルアミノ基、または前記に挙げたアルキル基が有する置換基と同様な置換基を有してもよいアラルキルアミノ基であり、具体例としては、ベンジルアミノ基、フェネチルアミノ基、3−フェニルプロピルアミノ基、4−エチルベンジルアミノ基、4−イソプロピルベンジルアミノ基等のモノアラルキルアミノ基や、ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基、ビス(4−エチルベンジル)アミノ基、ビス(4−イソプロピルベンジル)アミノ基等のジアラルキルアミノ基;
前記に挙げたアルキル基を置換基として有してもよいアリールアミノ基、または前記に挙げたアルキル基が有する置換基と同様な置換基を有してもよいアリールアミノ基であり、具体例としては、フェニルアミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、2−メチルフェニルアミノ基、3−メチルフェニルアミノ基、4−メチルフェニルアミノ基、2,4−ジメチルフェニルアミノ基、2,6−ジメチルフェニルアミノ基、4−エチルフェニルアミノ基、4−イソプロピルフェニルアミノ基、4−メトキシフェニルアミノ基、4−クロロフェニルアミノ基、4−アセチルフェニルアミノ基、4−メトキシカルボニルフェニルアミノ基、4−エトキシカルボニルフェニルアミノ基、4−プロピルオキシカルボニルフェニルアミノ基等のモノアリールアミノ基や、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(3−メチルフェニル)アミノ基、N,N−ジ(4−メチルフェニル)アミノ基、N,N−ジ(4−エチルフェニル)アミノ基、N,N−ジ(4−tert−ブチルフェニル)アミノ基、N,N−ジ(4−n−ヘキシルフェニル)アミノ基、N,N−ジ(4−メトキシフェニル)アミノ基、N,N−ジ(4−エトキシフェニル)アミノ基、N,N−ジ(4−n−ブチルオキシフェニル)アミノ基、N,N−ジ(4−n−ヘキシルオキシフェニル)アミノ基、N,N−ジ(1−ナフチル)アミノ基、N,N−ジ(2−ナフチル)アミノ基、N−フェニル−N−(3−メチルフェニル)アミノ基、N−フェニル−N−(4−メチルフェニル)アミノ基、N−フェニル−N−(4−n−オクチルフェニル)アミノ基、N−フェニル−N−(4−メトキシフェニル)アミノ基、N−フェニル−N−(4−エトキシフェニル)アミノ基、N−フェニル−N−(4−n−ヘキシルオキシフェニル)アミノ基、N−フェニル−N−(4−フルオロフェニル)アミノ基、N−フェニル−N−(1−ナフチル)アミノ基、N−フェニル−N−(2−ナフチル)アミノ基、N−フェニル−N−(4−フェニルフェニル)アミノ基等のジアリールアミノ基;
等が挙げられる。
【0113】
置換アミノ基の置換基の、メタロセニル残基を有する基とは、連結基および置換または無置換のメタロセニル基からなる基であり、好ましくは、下記一般式(a)で表される基である。
【0114】
【化9】

(式中、Lは連結基を表し、Qa1、Qa2はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアリール基、または置換または無置換のホスフィノ基を表し、Mは二価の遷移金属を表す。)
【0115】
一般式(a)で表される基において、Qa1およびQa2で表されるハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアリール基の例としては、前述の置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアリール基と同様の基が挙げられる。
【0116】
また、Qa1およびQa2で表される置換または無置換のホスフィノ基とは、前記に挙げたアルキル基が有する置換基と同様な置換基を有してもよいホスフィノ基であり、具体例としては、ジメチルホスフィノ基、ジエチルホスフィノ基、ジプロピルホスフィニ基、ジブチルホスフィノ基、ジペンチルホスフィノ基、ジヘキシルホスフィノ基等のジアルキルホスフィノ基、P−メチル−P−フェニルホスフィノ基等のアルキルアリールホスフィノ基;ジフェニルホスフィノ基、ジトリルホスフィノ基、ジメシルホスフィノ基、ジ(t−ブチルフェニル)ホスフィノ基、フェニル−3,5−キシリルホスフィノ基等のジアリールホスフィノ基;
等が挙げられる。
【0117】
一般式(a)で表される基において、Mは二価の遷移金属を表し、具体例としては、Fe、Co、Ni、Ru、Os、Mn、Cr、W、V、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Er、Tm、Yb等が挙げられ、特に好ましくは、Feである。
【0118】
一般式(a)で表される基において、のLで表される連結基とは、炭素原子および窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、金属原子、半金属原子等のヘテロ原子、水素原子を適宜選択して組み合わせて、1つあるいは複数の単結合、二重結合および/または三重結合を適宜選択して結合し、連結する基である。
【0119】
連結基Lの好ましい例としては、下記式(b)のいずれかで表される基等が挙げられる。
【0120】
【化10】

〔式中、Aは−O−、−S−、−N(Q)−のいずれかで表される基を表し、Lは単結合、置換または無置換の二価の脂肪族炭化水素基あるいは置換または無置換の二価の芳香族環基を表し、Q、Q、Qはそれぞれ独立に、水素原子、置換または無置換のアルキル基を表し、Qは−O−Q−、−C(=O)−O−Q−、−O−C(=O)−Q−のいずれかで表される基を表し、Qは単結合、置換または無置換の二価の脂肪族炭化水素基のいずれかを表し、Qは水素原子またはメチル基を表し、Qは−CH−、−CHCH−、−CH=CH−、−CH−C(=O)−、−CHCH−C(=O)−のいずれかで表される基を表し、mは0〜4の整数である。〕
【0121】
上式中、Lで表される置換または無置換の二価の脂肪族炭化水素基とは、前記に挙げたアルキル基を置換基として有してもよい二価の脂肪族炭化水素基、または前記に挙げたアルキル基が有する置換基と同様な置換基を有してもよい二価の脂肪族炭化水素基であり、具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、シクロペンチレン基、ヘキサメチレン基、シクロヘキシレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基等のアルキレン基、
ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、デカニレン基等のアルケニレン基等の脂肪族炭化水素基;
等が挙げられる。
【0122】
また、上式中、Lで表される置換または無置換の二価の芳香族環基とは、前記に挙げたアルキル基を置換基として有してもよい二価の芳香族環基、または前記に挙げたアルキル基が有する置換基と同様な置換基を有してもよい二価の芳香族環基であり、具体例としては、フェニレン基、ナフチレン基、インデニレン基、アントラセニレン基、フルオレニレン基、アズレニレン基、ナフタセニレン基、クリセニレン基、ピレニレン基、ペリレニレン基等の芳香族炭化水素基;
フラニレン基、ピロリレン基、3−ピロリニレン基、ピロリジニレン基、1,3−オキソラニレン基、ピラゾリレン基、2−ピラゾリニレン基、ピラゾリジニレン基、イミダゾリレン基、オキサゾリレン基、チアゾリレン基、1,2,3−オキサジアゾリレン基、1,2,3−トリアゾリレン基、1,2,4−トリアゾリレン基、1,3,4−チアジアゾリレン基、4H−ピラニレン基、ピリジニレン基、ピペリジニレン基、ジオキサニレン基、モルホリニレン基、ピリダジニレン基、ピリミジニレン基、ピラジニレン基、ピペラジニレン基、トリアジニレン基、ベンゾフラニレン基、インドリレン基、チオナフセニレン基、ベンズイミダゾリレン基、ベンゾチアゾリレン基、プリニレン基、キノリニレン基、イソキノリレン基、クマリニレン基、シンノリニレン基、キノキサリニレン基、ジベンゾフラニレン基、カルバゾリレン基、フェナントロニリレン基、フェノチアジニレン基、フラボニレン基、ペリミジレン基等の複素環基;
等が挙げられる。
【0123】
、Q、Qで表される置換または無置換のアルキル基の例としては、前述の置換または無置換のアルキル基と同様の基が挙げられる。具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。
【0124】
で表される置換または無置換の二価の脂肪族炭化水素基の例としては、前述の置換または無置換の二価の脂肪族炭化水素基と同様の基が挙げられる。具体例としては、前述の炭素数1〜4のアルキレン基、ビニレン基、プロピレニレン基、1−ブテニレン基等の炭素数2〜4のアルケニレン基が挙げられる。
【0125】
本発明に係る有機化合物(B)に結合する置換アミノ基は、上述の置換基が一つ結合してなるモノ置換アミノ基、あるいは上述の置換基が二つ結合してなるジ置換アミノ基のいずれであっても構わない。ジ置換アミノ基の場合、置換基双方が単結合もしくは連結基を介して結合し、置換する窒素原子とともに環構造を形成しても良い。連結基の例としては、上述の連結基Lと同様の連結基が挙げられる。
【0126】
本発明に係る化合物(B)が有する六員環構造ならびに置換または無置換のアミノ基の個数は、特に制限するものではないが、各々通常1〜4個、好ましくは各々1〜2個、さらに好ましくは各々1個を有することが挙げられる。
【0127】
本発明に係る有機化合物(B)の好ましい例として、より具体的には、互変可能な構造の一つとして、下記一般式(0)で表される化合物を挙げることができる。
【0128】
【化11】

(式中、環Aは置換または無置換の炭素環式芳香族環あるいは置換または無置換の複素環式芳香族環を表し、RおよびRは水素原子または置換基を表し、Xは2価の置換基を表し、Yは置換または無置換のアミノ基を表し、mはYの個数を表す。)
【0129】
一般式(0)で表される化合物において、環Aは置換または無置換の炭素環式芳香族環あるいは置換または無置換の複素環式芳香族環を表す。
【0130】
一般式(0)で表される化合物において、環Aは、好ましくは、炭素数6〜26の置換または無置換の炭素環式芳香族環あるいは炭素数3〜26の置換または無置換の複素環式芳香族環であり、より好ましくは、炭素数6〜20の置換または無置換の炭素環式芳香族環あるいは炭素数3〜20の置換または無置換の複素環式芳香族環である。
【0131】
環Aで表される芳香族環の具体例としては、例えば、置換または無置換のベンゼン環、置換または無置換のナフタレン環、置換または無置換のペンタレン環、置換または無置換のインダセン環、置換または無置換のアズレン環、置換または無置換のヘプタレン環、置換または無置換のビフェニレン環、置換または無置換のフェナントレン環、置換または無置換のアントラセン環、置換または無置換のフルオランテン環、置換または無置換のアセナフチレン環、置換または無置換のトリフェニレン環、置換または無置換のピレン環、置換または無置換のクリセン環、置換または無置換のナフタセン環、置換または無置換のプレイアデン環、置換または無置換のピセン環、置換または無置換のペリレン環、置換または無置換のペンタフェン環、置換または無置換のペンタセン環、置換または無置換のテトラフェニレン環、置換または無置換のヘキサフェン環、置換または無置換のヘキサセン環、置換または無置換のルビセン環、置換または無置換のコロネン環、置換または無置換のトリナフチレン環、置換または無置換のヘプタフェン環、置換または無置換のヘプタセン環、置換または無置換のピランスレン環、置換または無置換のオヴァレン環等の炭素環式芳香族環;
置換または無置換のフラン環、置換または無置換のチオフェン環、置換または無置換のピロール環、置換または無置換のピラゾール環、置換または無置換のイミダゾール環、置換または無置換のオキサゾール環、置換または無置換のチアゾール環、置換または無置換のピリジン環、置換または無置換のピリダジン環、置換または無置換のピリミジン環、置換または無置換のピラジン環、置換または無置換のキノリン環、置換または無置換のイソキノリン環、置換または無置換のキノキサリン環、置換または無置換のインドリジン環、置換または無置換のインドール環、置換または無置換のインダゾール環、置換または無置換のプリン環、置換または無置換のフタラジン環、置換または無置換のナフチリジン環、置換または無置換のキナゾリン環、置換または無置換のシンノリン環、置換または無置換のプテリジン環、置換または無置換のカルボリン環、置換または無置換のフェナンスリジン環、置換または無置換のアクリジン環、置換または無置換のペリミジン環、置換または無置換のフェナントロリン環、置換または無置換のフェナジン環、置換または無置換のフラザン環等の複素環式芳香族環;
等が挙げられる。
【0132】
環Aが置換基を有する場合の置換基とは、前述のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアラルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のメタロセニル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアラルキルオキシ基、置換または無置換のアリールオキシ基、置換または無置換のアルケニルオキシ基、置換または無置換のアルキルチオ基、置換または無置換のアラルキルチオ基、置換または無置換のアリールチオ基、置換または無置換のアルケニルチオ基、置換または無置換のアシル基、置換または無置換のアシルオキシ基、置換または無置換のアルコキシカルボニル基、置換または無置換のアラルキルオキシカルボニル基、置換または無置換のアリールオキシカルボニル基、置換または無置換のアルケニルオキシカルボニル基、置換または無置換のアミノ基、あるいはメタロセニル残基を有する基を指し、それぞれの置換基の具体的な例としては、前述の置換アミノ基の置換基の具体例と同様な置換基が挙げられる。
【0133】
一般式(0)で表される化合物において、RおよびRは水素原子または置換基を表す。RおよびRで表される置換基とは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアラルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のメタロセニル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアラルキルオキシ基、置換または無置換のアリールオキシ基、置換または無置換のアルケニルオキシ基、置換または無置換のアルキルチオ基、置換または無置換のアラルキルチオ基、置換または無置換のアリールチオ基、置換または無置換のアルケニルチオ基、置換または無置換のアシル基、置換または無置換のアシルオキシ基、置換または無置換のアルコキシカルボニル基、置換または無置換のアラルキルオキシカルボニル基、置換または無置換のアリールオキシカルボニル基、置換または無置換のアルケニルオキシカルボニル基、置換または無置換のアミノ基、あるいはメタロセニル残基を有する基を指し、それぞれの置換基の具体的な例としては、前述の置換アミノ基の置換基の具体例と同様な置換基が挙げられる。
【0134】
一般式(0)で表される化合物において、Xは2価の置換基を表す。のXで表される2価の置換基の例としては、例えば、酸素原子、硫黄原子等の2価の原子、=N−R01[R01は水素原子、前述の置換アミノ基の置換基の具体例と同様の置換基が挙げられる。]で表される置換または無置換のイミノ基等が挙げられる。
【0135】
一般式(0)で表される化合物において、Yは置換または無置換のアミノ基を表す。のYで表される置換アミノ基の置換基の例としては、前述の置換アミノ基の置換基の具体例と同様な置換基が挙げられる。
【0136】
一般式(0)で表される化合物において、mはYの個数を表す。のYで表される置換または無置換のアミノ基の個数を表す、1以上の整数mの例としては、通常1〜4、好ましくは1または2、更に好ましくは1が挙げられる。Yで表される置換または無置換のアミノ基は、一般式(0)の環Aに少なくとも1個置換するのが好ましい。
【0137】
またYとしてより好ましくは、ジメチルアミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基等の炭素数1〜2の置換または無置換のアミノ基、特にジメチルアミノ基が好適である。
【0138】
なお、本発明における一般式(0)中の置換基Rが置換する炭素原子に隣接して結合するR中の原子が水素原子を有する場合、または一般式(0)中の置換基Rが水素原子である場合に、互変可能な構造を有しており、互変異性体を有することが可能である。
【0139】
本発明に係る有機化合物(B)の更に好ましい例としては、互変可能な構造の一つとして、下記一般式(1)で表される化合物を挙げることができる。
【0140】
【化12】

(式中、環Aおよび環Bは置換または無置換の炭素環式芳香族環あるいは置換または無置換の複素環式芳香族環を表し、Rは水素原子または置換基を表し、Xは2価の置換基を表し、Yは置換または無置換のアミノ基を表し、mはYの個数を表す。)
【0141】
一般式(1)で表される化合物において、環Aおよび環Bはそれぞれ独立に、置換または無置換の炭素環式芳香族環あるいは置換または無置換の複素環式芳香族環を表す。
【0142】
一般式(1)の環Aおよび環Bで表される置換または無置換の炭素環式芳香族環あるいは置換または無置換の複素環式芳香族環の例としては、前述の環Aはである置換または無置換の炭素環式芳香族環あるいは置換または無置換の複素環式芳香族環の具体例が挙げられ、置換基を有する場合も同様の置換基が挙げられる。
【0143】
一般式(1)で表される化合物において、Rは水素原子または置換基を表す。Rで表される置換基の例としては、前述のRおよびRの具体例と同様の置換基が挙げられる。
【0144】
一般式(1)で表される化合物において、Xは2価の置換基を表す。Xで表される2価の置換基の例としては、前述のXの具体例と同様の置換基が挙げられる。
【0145】
一般式(1)で表される化合物において、Yは置換または無置換のアミノ基を表す。Yで表される置換または無置換のアミノ基の例としては、前述のYの具体例と同様の置換基が挙げられる。Yで表される置換または無置換のアミノ基は、一般式(1)の環Aに少なくとも1個置換するのが好ましい。またYとしてより好ましくは、ジメチルアミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基等の炭素数1〜2の置換または無置換のアミノ基、特にジメチルアミノ基が好適である。
【0146】
一般式(1)で表される化合物において、mはYの個数を表す。mで表されるYの個数としては、前述のmの具体例と同様の数が挙げられる。
【0147】
本発明における一般式(1)で表される化合物は、互変可能な構造を有しており、互変異性体を有することが可能である。具体的には、下記一般式(1)および一般式(101)〜(103)に示される構造であり、本発明では、便宜上一般式(1)の構造を示しているが、一般式(101)〜(103)の構造を有する化合物であってもよく、一般式(1)および一般式(101)〜(103)の各構造の混合物であっても一向に構わず、自由に用いることができる。
【0148】
【化13】

【0149】
また、本発明における一般式(1)で表される化合物において、Rが水素原子である場合には、上述の互変異性体構造の他、下記一般式(104)〜(106)に示される構造であってもよい。
【0150】
【化14】

【0151】
さらに、本発明における一般式(104)〜(106)で表される化合物において、Xが酸素原子または硫黄原子である場合には、上述の互変異性体構造の他、下記一般式(107)〜(110)に示される構造であってもよい。
【0152】
【化15】

(上式中、X1は酸素原子または硫黄原子を表す。)
【0153】
本発明に係る有機化合物(B)の更に好ましい例としては、互変可能な構造の一つとして、下記一般式(2)で表される化合物を挙げることができる。
【0154】
【化16】

(式中、環Cは置換または無置換の炭素環式芳香族環あるいは置換または無置換の複素環式芳香族環を表し、X’は2価の置換基を表し、R〜Rは各々独立に水素原子または置換基を表し、m’はRの個数を表し、n’はRの個数を表す。ただし、R〜Rより選択される少なくとも1つ以上の基は置換または無置換のアミノ基であり、R〜Rの組合せ、およびR〜Rの組合せにおいて、各組み合わせ内の各置換基について、各々独立に連結基を介して結合し、置換位置の原子とともに環構造を形成してもよく、m’およびn’はそれぞれ0または1以上の整数を表す。)
【0155】
一般式(2)で表される化合物において、環Cは置換または無置換の炭素環式芳香族環あるいは置換または無置換の複素環式芳香族環を表す。
【0156】
一般式(2)の環Cで表される置換または無置換の炭素環式芳香族環あるいは置換または無置換の複素環式芳香族環の具体的な例としては、前述の環Aおよび環Bと同様の環が挙げられる。
【0157】
一般式(2)で表される化合物において、X’は2価の置換基を表す。X’で表される2価の置換基の具体的な例としては、前述のXで表される2価の置換基と同様の基が挙げられる。
【0158】
一般式(2)で表される化合物において、R〜Rは各々独立に水素原子または置換基を表し、m’はRの個数を表し、n’はRの個数を表す。ただし、R〜Rより選択される少なくとも1つ以上の基は置換または無置換のアミノ基であり、R〜Rの組合せ、およびR〜Rの組合せにおいて、各組み合わせ内の各置換基について、各々独立に連結基を介して結合し、置換位置の原子とともに環構造を形成してもよい。
【0159】
〜Rで表される置換基の具体的な例としては、前述のRおよびRの具体例と同様の置換基が挙げられる。ここで、Rが置換または無置換のアミノ基であることが好ましい。置換または無置換のアミノ基の具体例としては、前述の置換または無置換のアミノ基が挙げられ、好ましくは、ジメチルアミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基等の炭素数1〜2の置換または無置換のアミノ基、特にジメチルアミノ基が好適である。
【0160】
一般式(2)のR〜Rの組合せ、およびR〜Rの組合せにおいて、各組み合わせ内の各置換基について、各々独立に連結基を介して結合し、置換位置の原子とともに環構造を形成する場合の連結基の例としては、前述の連結基Lと同様の基が挙げられる。
【0161】
、R、あるいは、RとRが連結基を介して結合して置換位置の原子とともに形成する環構造のうち、少なくとも1つがヘテロ原子を少なくとも1個含有する複素環残基を有することが好ましい。ここで、「ヘテロ原子を含有する」とは、単一または複数の炭素原子−炭素原子間、および/または炭素原子−水素原子間に1つ以上の同一あるいは異なるヘテロ原子を有することを指す。
【0162】
なお、ここでいうヘテロ原子とは、炭素原子および水素原子以外の原子を指し、好ましくは酸素原子、硫黄原子、窒素原子が挙げられる。
【0163】
ヘテロ原子を少なくとも1個含有する複素環残基について、好適にはヘテロ原子1〜4個を含有する複素環残基が挙げられ、さらに好ましい例としては、酸素原子、硫黄原子または窒素原子から選ばれるヘテロ原子を少なくとも1〜4個含有する複素環残基が挙げられる。
【0164】
ヘテロ原子を1個含有する複素環残基の具体的な例としては、置換または無置換のフラン環、ジヒドロフラン環、テトラヒドロフラン環、ピラン環、ジヒドロピラン環、テトラヒドロピラン環等の含酸素複素環残基;
置換または無置換のピロール環、ピロリン環、ピロリジン環、ピリジン環、ピペリジン環等の含窒素複素環残基;
置換または無置換のチオフェン環、ジヒドロチオフェン環、テトラヒドロチオフェン環、1,1−ジオキソテトラヒドロチオフェン環等の含硫黄複素環残基;
等の複素環残基が挙げられる。
【0165】
ヘテロ原子を2個含有する複素環残基の具体的な例としては、置換または無置換の1,2−ジオキソラン環、1,3−ジオキソラン環、1,2−ジオキサン環、1,3−ジオキサン環、1,4−ジオキサン環、ジオキセン環等の含酸素複素環残基;
置換または無置換のオキサゾリジン環、オキサゾール環、ピラゾール環、ピラゾリン環、ピラゾリジン環、イミダゾール環、モルホリン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペラジン環等の含窒素複素環残基;
置換または無置換のチアゾール環、チアゾリジン環、チアゾリン環等の含硫黄複素環残基;
等の複素環残基が挙げられる。
【0166】
ヘテロ原子を3個含有する複素環残基の具体的な例としては、置換または無置換のトリオキサン環等の含酸素複素環残基;
置換または無置換の1,3,5−トリアジン環、1,2,4−トリアジン環、1,2,3−トリアジン環、1,3,5−ヘキサヒドロトリアジン環、1,2,4−ヘキサヒドロトリアジン環、1,2,3−ヘキサヒドロトリアジン環、オキサジアゾール環等の含窒素複素環残基;
置換または無置換のトリチアン環、チアジアゾール環等の含硫黄複素環残基;
等の複素環残基が挙げられる。
【0167】
ヘテロ原子を4個含有する複素環残基の具体的な例としては、置換または無置換のテトラゾール環、テトラジン環等の含窒素複素環残基;
等の複素環残基が挙げられる。
【0168】
一般式(2)で表される化合物において、m’はRの個数を表す。Rで表される置換基の個数を表す0または1以上の整数m’の例としては、通常0〜4、好ましくは0〜2、更に好ましくは1が挙げられる。
【0169】
一般式(2)で表される化合物において、n’はRの個数を表す。Rで表される置換基の個数を表す0または1以上の整数n’の例としては、通常0〜4、好ましくは0〜2、更に好ましくは1が挙げられる。
【0170】
一般式(2)の互変可能な構造の具体的な例としては、一般式(101)〜(110)に示される構造と同様の構造が挙げられ、各構造の混合物であっても一向に構わず、自由に用いることができる。
【0171】
本発明に係る有機化合物(B)の更に好ましい例としては、互変可能な構造の一つとして、下記一般式(3)で表される化合物を挙げることができる。
【0172】
【化17】

(式中、環Dは置換または無置換の炭素環式芳香族環あるいは置換または無置換の複素環式芳香族環を表し、X”は2価の置換基を表し、R〜R12は各々独立に水素原子または置換基を表す。ただし、R〜R11より選択される少なくとも1つの基は置換または無置換のアミノ基であり、R〜R11は各々独立に連結基を介して結合し、置換位置の炭素原子とともに環構造を形成してもよい。)
【0173】
一般式(3)で表される化合物において、環Dは置換または無置換の炭素環式芳香族環あるいは置換または無置換の複素環式芳香族環を表す。
【0174】
一般式(3)の環Dで表される置換または無置換の炭素環式芳香族環あるいは置換または無置換の複素環式芳香族環の具体的な例としては、前述の環Aおよび環Bと同様の環が挙げられる。
【0175】
一般式(3)で表される化合物において、X”は2価の置換基を表す。X”で表される2価の置換基の具体的な例としては、前述のXで表される2価の置換基と同様の基が挙げられる。
【0176】
一般式(3)で表される化合物において、R〜R12は各々独立に水素原子または置換基を表し、R〜R11より選択される少なくとも1つの基は置換または無置換のアミノ基であり、R〜R11は各々独立に連結基を介して結合し、置換位置の炭素原子とともに環構造を形成してもよい。R〜R12で表される置換基の具体的な例としては、前述のRおよびRの具体例と同様の置換基が挙げられる。ここで、好ましくはR〜R11、さらにはRが置換または無置換のアミノ基であることが好ましい。置換または無置換のアミノ基の具体例としては、前述の置換または無置換のアミノ基が挙げられ、好ましくは、ジメチルアミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基等の炭素数1〜2の置換または無置換のアミノ基、特にジメチルアミノ基が好適である。
【0177】
また、R〜R12で表される各置換基を構成する原子として、好ましくは炭素原子、水素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子より選択される原子が挙げられる。
【0178】
一般式(3)のR〜R11の組合せ内の各置換基について、各々独立に連結基を介して結合し、置換位置の炭素原子とともに環構造を形成する場合の連結基の例としては、前述の連結基Lと同様の基が挙げられる。
【0179】
また、一般式(3)のR12は、ヘテロ原子を少なくとも1個含有する複素環残基を有する置換基がより好ましい。具体的な置換基の例としては、前述の複素環残基が置換した置換基が挙げられ、好適には、置換または無置換のピペラジン環、モルホリン環、ジオキサン環、ピロリジン環等の複素環残基が置換した置換アルコキシ基、置換アミノ基が挙げられ、具体的な例としては、4−メチルピペラジノメトキシ基、4−メチルピペラジノエトキシ基、4−メチルピペラジノプロポキシ基、4−メチルピペラジノブトキシ基、4−エチルピペラジノメトキシ基、4−エチルピペラジノエトキシ基、4−エチルピペラジノプロポキシ基、4−エチルピペラジノブトキシ基、4−プロピルピペラジノメトキシ基、4−プロピルピペラジノエトキシ基、4−プロピルピペラジノプロポキシ基、4−プロピルピペラジノブトキシ基、4−ブチルピペラジノメトキシ基、4−ブチルピペラジノエトキシ基、4−ブチルピペラジノプロポキシ基、4−ブチルピペラジノブトキシ基、モルホリノメトキシ基、モルホリノエトキシ基、モルホリノプロポキシ基、モルホリノブトキシ基、1,3−ジオキサン−2−イルメトキシ基、1,3−ジオキサンー2−イルエトキシ基、1,3−ジオキサン−2−イルプロポキシ基、1,3−ジオキサン−2−イルブトキシ基、2−オキソピロリジノメトキシ基、2−オキソピロリジノエトキシ基、2−オキソピロリジノプロポキシ基、2−オキソピロリジノブトキシ基、等の複素環残基が結合したアルコキシ基;
ビス(4−メチルピペラジノメチル)アミノ基、ビス(4−メチルピペラジノエチル)アミノ基、ビス(4−メチルピペラジノプロピル)アミノ基、ビス(4−メチルピペラジノブチル)アミノ基、ビス(4−エチルピペラジノメチル)アミノ基、ビス(4−エチルピペラジノエチル)アミノ基、ビス(4−エチルピペラジノプロピル)アミノ基、ビス(4−エチルピペラジノブチル)アミノ基、4−プロピルピペラジノメチル)アミノ基、4−プロピルピペラジノエチル)アミノ基、ビス(4−プロピルピペラジノプロピル)アミノ基、ビス(4−プロピルピペラジノブチル)アミノ基、ビス(4−ブチルピペラジノメチル)アミノ基、ビス(4−ブチルピペラジノエチル)アミノ基、ビス(4−ブチルピペラジノプロピル)アミノ基、ビス(4−ブチルピペラジノブチル)アミノ基、ビス(4−モルホリノメチル)アミノ基、ビス(4−モルホリノエチル)アミノ基、ビス(4−モルホリノプロピル)アミノ基、ビス(4−モルホリノブチル)アミノ基、ビス(1,3−ジオキサンー2−イルメチル)アミノ基、ビス(1,3−ジオキサン−2−イルエチル)アミノ基、ビス(1,3−ジオキサンー2−イルプロピル)アミノ基、ビス(1,3−ジオキサンー2−イルブチル)アミノ基、ビス(2−オキソピロリジノメチル)アミノ基、ビス(2−オキソピロリジノエチル)アミノ基、ビス(2−オキソピロリジノプロピル)アミノ基、ビス(2−オキソピロリジノブチル)アミノ基;
等の複素環残基が結合したジ置換アミノ基;
4−メチルピペラジノメチルアミノ基、4−メチルピペラジノエチルアミノ基、4−メチルピペラジノプロピルアミノ基、4−メチルピペラジノブチルアミノ基、4−エチルピペラジノメチルアミノ基、4−エチルピペラジノエチルアミノ基、4−エチルピペラジノプロピルアミノ基、4−エチルピペラジノブチルアミノ基、4−プロピルピペラジノメチルアミノ基、4−プロピルピペラジノエチルアミノ基、4−プロピルピペラジノプロピルアミノ基、4−プロピルピペラジノブチルアミノ基、4−ブチルピペラジノメチルアミノ基、4−ブチルピペラジノエチルアミノ基、4−ブチルピペラジノプロピルアミノ基、4−ブチルピペラジノブチルアミノ基、4−モルホリノメチルアミノ基、4−モルホリノエチルアミノ基、4−モルホリノプロピルアミノ基、4−モルホリノブチルアミノ基、1,3−ジオキサンー2−イルメチルアミノ基、1,3−ジオキサン−2−イルエチルアミノ基、1,3−ジオキサンー2−イルプロピルアミノ基、1,3−ジオキサンー2−イルブチルアミノ基、2−オキソピロリジノメチルアミノ基、2−オキソピロリジノエチルアミノ基、2−オキソピロリジノプロピルアミノ基、2−オキソピロリジノブチルアミノ基;
等の複素環残基が結合したモノ置換アミノ基;
等の複素環残基を有する置換基が挙げられる。
【0180】
一般式(3)の互変可能な構造の具体的な例としては、一般式(101)〜(110)に示される構造と同様の構造が挙げられ、各構造の混合物であっても一向に構わず、自由に用いることができる。
【0181】
本発明に係る有機化合物(B)の更に好ましい例としては、互変可能な構造の一つとして、下記一般式(4)で表される化合物を挙げることができる。
【0182】
【化18】

(式中、R13〜R25は各々独立に水素原子または置換基を表し、R14〜R18の組合せ、およびR21〜R25の組合せにおいて、各組み合わせ内の各置換基について、各々独立に連結基を介して結合し、置換位置の炭素及び/又は窒素原子とともに環構造を形成してもよい。)
【0183】
一般式(4)で表される化合物において、R13〜R25は各々独立に水素原子または置換基を表し、R14〜R18の組合せ、およびR21〜R25の組合せにおいて、各組み合わせ内の各置換基について、各々独立に連結基を介して結合し、置換位置の炭素及び/又は窒素原子とともに環構造を形成してもよい。R13〜R25で表される置換基の具体的な例としては、前述のRおよびRの具体例と同様の置換基が挙げられる。ここで、R21〜R25において少なくとも1つの基は、ヘテロ原子を少なくとも1個含有する複素環残基を有する置換基であることが好ましい。より好ましくは、ヘテロ原子を少なくとも1個含有する複素環残基を有する置換アルコキシ基が挙げられる。具体例としては、前述の一般式(3)のR12で表されるヘテロ原子を少なくとも1個含有する複素環残基を有する置換基と同様の基が挙げられる。
【0184】
また、R13〜R25で表される各置換基を構成する原子として、好ましくは炭素原子、水素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子より選択される原子が挙げられる。
【0185】
一般式(4)のR14〜R18の組合せ、およびR21〜R25の組合せにおいて、各組み合わせ内の各置換基について、各々独立に連結基を介して結合し、置換位置の炭素及び/又は窒素原子とともに環構造を形成する場合の連結基の例としては、前述の連結基Lと同様の基が挙げられる。
【0186】
一般式(4)の化合物に結合する、R15およびR16を結合した置換アミノ基の結合位置は、好ましくはキナゾリン構造の6位に結合することが望ましい。置換または無置換のアミノ基の具体例としては、前述の置換または無置換のアミノ基が挙げられ、好ましくは、ジメチルアミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基等の炭素数1〜2の置換または無置換のアミノ基、特にジメチルアミノ基が好適である。
【0187】
一般式(4)の互変可能な構造の具体的な例としては、一般式(101)〜(110)に示される構造と同様の構造が挙げられ、各構造の混合物であっても一向に構わず、自由に用いることができる。
【0188】
本発明に係る有機化合物(B)の更に好ましい例としては、互変可能な構造の一つとして、下記一般式(5)で表される化合物を挙げることができる。
【0189】
【化19】

(式中、R26〜R35は各々独立に水素原子または置換基を表し、R26〜R30の組合せ、およびR31〜R35の組合せにおいて、各組み合わせ内の各置換基について、各々独立に連結基を介して結合し、置換位置の炭素及び/又は窒素原子とともに環構造を形成してもよい。)
【0190】
一般式(5)で表される化合物において、R26〜R35は各々独立に水素原子または置換基を表し、R26〜R30の組合せ、およびR31〜R35の組合せにおいて、各組み合わせ内の各置換基について、各々独立に連結基を介して結合し、置換位置の炭素及び/又は窒素原子とともに環構造を形成してもよい。R26〜R35で表される置換基の具体的な例としては、前述のRおよびRの具体例と同様の置換基が挙げられる。ここで、R31〜R35はヘテロ原子を少なくとも1個含有する複素環残基を有する置換基が好ましい。より好ましくは、ヘテロ原子を少なくとも1個含有する複素環残基を有する置換アルコキシ基が挙げられ、具体例としては、前述の一般式(3)のR12で表されるヘテロ原子を少なくとも1個含有する複素環残基を有する置換アルコキシ基と同様の基が挙げられる。特に好適な例としては、2−オキソピロリジノメトキシ基、2−オキソピロリジノエトキシ基、2−オキソピロリジノプロポキシ基、2−オキソピロリジノブトキシ基、等の複素環残基が結合したアルコキシ基が挙げられる。
【0191】
また、R26〜R35で表される各置換基を構成する原子として、好ましくは炭素原子、水素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子より選択される原子が挙げられる。
【0192】
一般式(5)のR26〜R30の組合せ、およびR31〜R35の組合せにおいて、各組み合わせ内の各置換基について、各々独立に連結基を介して結合し、置換位置の炭素及び/又は窒素原子とともに環構造を形成する場合の連結基の例としては、前述の連結基Lと同様の基が挙げられる。
【0193】
また、置換または無置換のアミノ基の具体例としては、前述の置換または無置換のアミノ基が挙げられ、好ましくは、ジメチルアミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基等の炭素数1〜2の置換または無置換のアミノ基、特にジメチルアミノ基が好適である。
【0194】
一般式(5)の互変可能な構造の具体的な例としては、一般式(101)〜(110)に示される構造と同様の構造が挙げられ、各構造の混合物であっても一向に構わず、自由に用いることができる。
【0195】
本発明に係る記録層(A)に含有する有機化合物(B)については、前述の一般式(0)〜一般式(5)の化合物を好ましく用いることができる。より好適にはヘテロ原子を少なくとも1個含有する複素環残基を有する置換基を有する化合物であり、さらにはヘテロ原子を少なくとも1個含有する複素環残基を有する置換アルコキシ基を有する化合物が挙げられ、具体例としては、一般式(3)のR12の置換アルコキシ基と同様の置換アルコキシ基が挙げられる。
【0196】
また、特に好適には、メチル基が1〜2個置換したアミノ基がキナゾリン環の6位に置換した化合物が望ましく、好ましくは、ジメチルアミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基等の炭素数1〜2の置換または無置換のアミノ基、特にジメチルアミノ基が好適である。
【0197】
また、本発明においては、キナゾリン−4−環の5〜8位のいずれかにジ置換アミノ基を有する一般式(6)で表されるキナゾリン−4−オン化合物
【0198】
【化20】

(式中、R36〜R41は各々独立に水素原子または置換基を表す。)
は、本発明の光記録媒体の記録層向け有機化合物用途として好適な新規化合物である。
【0199】
一般式(6)で表される化合物において、R36〜R41は各々独立に水素原子または置換基を表し、R36〜R40の組合せにおいて、各組み合わせ内の各置換基について、各々独立に連結基を介して結合し、置換位置の炭素及び/又は窒素原子とともに環構造を形成してもよい。R36〜R41で表される置換基の具体的な例としては、前述のRおよびRの具体例と同様の置換基が挙げられる。
【0200】
一般式(6)のR36〜R40の組合せにおいて、各組み合わせ内の各置換基について、各々独立に連結基を介して結合し、置換位置の炭素及び/又は窒素原子とともに環構造を形成する場合の連結基の例としては、前述の連結基Lと同様の基が挙げられる。
【0201】
本発明の光記録媒体に用いられる有機化合物(B)の具体例としては、例えば、以下の化合物を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0202】
【表1】

【0203】
本発明に係る有機化合物(B)として好適な一般式(0)で表される化合物は、例えば、以下の方法により製造することができる。すなわち、例えば、下記一般式(10)で表される化合物と、下記一般式(11)で表される化合物とを、溶媒の存在/あるいは非存在下で必要に応じて加熱反応することにより、一般式(0)で表される化合物を製造する
ことができる。また、反応の際、必要に応じて触媒を用いることもできる。
【0204】
【化21】

〔上式中、環A、R、R、XおよびYは、一般式(0)の環A、R、R、XおよびYと同じ意味を表し、m01、m02およびm03は各々独立に0または1以上の整数を表し、且つ、一般式(0)の整数m0との間に、m01+m02+m03=m0の関係を満たす整数を表す。〕
【0205】
反応の際に使用する溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素溶媒、スルホラン等の含硫溶媒、N−メチル−2−ピロリジノン、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン等のアミド系溶媒、1−クロロナフタレン、1,2−ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族溶媒、ニトロベンゼン等のニトロ化芳香族、酢酸、プロピオン酸、酪酸等の有機酸溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジブチルエーテル等のエーテル系溶媒等が挙げられる。また、触媒としては、イソキノリン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕−5−ノネン等のアミン化合物、酢酸、プロピオン酸、酪酸等の有機酸化合物、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、塩化パラジウム、酸化パラジウム等の金属塩が挙げられる。
【0206】
また、反応温度については、反応が進行するのであれば、特に制限はなく、加熱温度として、好ましくは、30℃以上、より好ましくは50℃以上、さらには100℃以上が挙げられる。
【0207】
一般式(0)で表される化合物の製造方法について、あるいは、例えば、下記一般式(13)で表される化合物と、下記一般式(14)で表される化合物とを、溶媒の存在/あるいは非存在下、塩基の存在/あるいは非存在下で必要に応じて加熱反応することにより、一般式(0)で表される化合物を製造することができる。また、反応の際、必要に応じて触媒を用いることもできる。
【0208】
【化22】

〔上式中、環A、R、R、X、Yおよびmは、一般式(0)の環A、R、R、X、Yおよびmと同じ意味を表し、Zは脱離基を表す。〕
【0209】
反応の際に使用する溶媒、触媒については前述の溶媒、触媒と同様のものが挙げられる。
また、加熱温度については、前述の加熱温度と同様の温度が挙げられる。
【0210】
反応の際に使用する塩基については、例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムプロポキシド、カリウムブトキシド等の金属アルコラート化合物が挙げられる。
【0211】
一般式(13)中、Zで表される脱離基としては、特に限定するものではなく、一般式(13)で表される化合物に対して、一般式(14)で表されるアミン化合物を用いてアミノ化を実施する際に、該アミノ化に伴い脱離する基であれば任意の基から選択することができる。具体的な例としては、塩素原子、臭素原子、沃素原子等のハロゲン原子、アリールスルフォニルオキシ基、アルキルスルフォニルオキシ基などの置換スルフォニルオキシ基等が挙げられる。
【0212】
本発明に係る有機化合物(B)として好適な一般式(1)で表される化合物は、例えば、以下の方法により製造することができる。すなわち、例えば、下記一般式(15)で表される化合物と、下記一般式(16)で表される化合物とを、溶媒の存在/あるいは非存在下で加熱反応することにより、一般式(1)で表される化合物を製造することができる。また、反応の際、必要に応じて触媒を用いることもできる。
【0213】
【化23】

〔上式中、環A、環B、XおよびRは、一般式(1)の環A、環B、XおよびRと同じ意味を表し、m1およびm2は各々独立に0または1以上の整数を表し、且つ、一般式(1)の整数mとの間に、m1+m2=m0の関係を満たす整数を表す。〕
【0214】
反応の際に使用する溶媒、触媒については前述の溶媒、触媒と同様のものが挙げられる。
また、加熱温度については、前述の加熱温度と同様の温度が挙げられる。
【0215】
また、一般式(2)で表される化合物は、例えば、下記一般式(17)で表される化合物と下記一般式(18)で表される化合物とを前述の反応により同様に製造することができる。
【0216】
【化24】

〔上式中、環C、X’、R〜R、m’、n’は、一般式(2)の環C、X’、R〜R、m’、n’と同じ意味を表す。〕
【0217】
また、一般式(3)で表される化合物は、例えば、下記一般式(19)で表される化合物と下記一般式(20)で表される化合物とを前述の反応により同様に反応し、下記一般式(21)を得た後、一般式(22)のアミン化合物とを、溶媒の存在/あるいは非存在下で加熱反応することにより、製造することができる。また、反応の際、必要に応じて触媒を用いることもできる。
【0218】
【化25】

〔上式中、環D、X”、R〜R12は、一般式(3)の環D、X”、R〜R12と同じ意味を表す。〕
【0219】
また、一般式(4)で表される化合物は、例えば、下記一般式(23)で表される化合物と下記一般式(24)で表される化合物とを前述の反応により同様に反応し、下記一般式(25)を得た後、一般式(26)のアミン化合物とを製造することができる。
【0220】
【化26】

〔上式中、R13〜R25は、一般式(4)のR13〜R25と同じ意味を表す。〕
【0221】
また、一般式(5)で表される化合物は、例えば、下記一般式(27)で表される化合物と下記一般式(28)で表される化合物とを前述の反応により同様に反応し、下記一般式(29)を得た後、一般式(30)のアミン化合物とを製造することができる。
【0222】
【化27】

〔上式中、R26〜R35は、一般式(4)のR26〜R35と同じ意味を表す。〕
【0223】
一般式(27)については、前述の一般式(0)で表される化合物を製造する方法に準じて製造することができるが、別法として、以下に示す合成方法に準じて合成することができる。すなわち、下記一般式(7)の化合物ならびに、一般式(8)および/または一般式(9)で表される化合物とを、溶媒の存在/あるいは非存在下、塩基の存在/あるいは非存在下で必要に応じて加熱反応することにより、一般式(6)で表される化合物を製造することができる。
【0224】
【化28】

(式中、R36〜R41は、一般式(6)中のR36〜R41と同一の基を表す。また、Z、Zは脱離基を表す。)
【0225】
一般式(8)および一般式(9)中、ZおよびZで表される脱離基としては、特に限定するものではなく、一般式(7)で表される化合物に対して、、一般式(8)および/または一般式(9)で表される化合物を用いて置換反応を実施する際に、該置換反応に伴い脱離する基であれば任意の基から選択することができる。具体的な例としては、塩素原子、臭素原子、沃素原子等のハロゲン原子、アリールスルフォニルオキシ基、アルキルスルフォニルオキシ基などの置換スルフォニルオキシ基等が挙げられる。
【0226】
一般式(8)もしくは一般式(9)で表される化合物の使用量は、一般式(7)の化合物1molに対して、好ましくは1.0〜10mol、さらに好ましくは2.0〜6.0molである。
【0227】
一般式(8)および一般式(9)の好ましい例としては、置換または無置換のハロゲン化合物が挙げられる。より具体的には、ハロゲン原子が置換した脂肪族炭化水素化合物が好ましく挙げられる。
【0228】
本発明の反応は溶媒の存在下あるいは非存在下において行われる。使用する溶媒としては、反応を阻害するものでなければ特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の尿素系溶媒、ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒等が挙げられるが、好ましくは、アミド系溶媒、スルホキシド系溶媒等の非プロトン系溶媒であり、さらに好ましくは、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドが使用される。これらの溶媒は、単独または二種以上を混合して使用しても良い。
【0229】
前記溶媒の使用量は、反応溶液の均一性および攪拌速度等により調節が必要であるが、一般式(7)の化合物1重量部に対して、好ましくは0〜50重量部、さらに好ましくは0〜30重量部である。
【0230】
本発明の反応において使用する塩基性化合物の例としては、炭酸カリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基試薬、カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属誘導体アルコキシドおよびt−ブチルリチウム等の有機塩基試薬等、種々のものを選択できるが、好ましくは無機塩基試薬、さらに好ましくは炭酸カリウム、水素化ナトリウムが挙げられる。
【0231】
前述の塩基性化合物の使用量は一般式(7)の化合物1molに対して、好ましくは0.1〜5.0mol、さらに好ましくは0.5〜2.5molである。
【0232】
本発明の反応は、通常は空気雰囲気下あるいは窒素雰囲気下にて攪拌させる等の方法によって行われる。その際の反応温度は、通常−20〜100℃であるが、50℃未満が副生成物の生成が抑制できるため好ましい。ここで副生成物とは、キナゾリン−4−オン環の3位のイミノNHに置換基が置換した化合物である。より好ましい反応温度は、10〜50℃であり、さらに好ましくは10〜40℃であり、特に好ましくは15〜30℃である。また、反応圧力は特に制限されず、大気圧下で充分に行うことができる。また、反応時間は、好ましくは15分〜1日、さらに好ましくは、30分〜15時間である。
【0233】
本発明の好ましい反応例としては、一般式(7)〜(9)の化合物、塩基性化合物および溶媒を混合して攪拌することが挙げられる。なお、一般式(7)〜(9)の化合物、塩基性化合物および溶媒を混合する順番については特に制限はなく、必要に応じて自由に行うことができる。
【0234】
なお、最終生成物である一般式(6)の化合物は、反応終了後、例えば、濃縮、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等による一般的な方法によって単離・精製することができる。あるいは、貧溶媒への排出、濾過、洗浄、乾燥等の操作を経て、得ることも可能である。
【0235】
図2あるいは図3のような光記録媒体を作製する場合、記録層(A)を基板の上に成膜する際に、基板の耐溶剤性や反射率、記録感度等を向上させるために、基板の上に無機物やポリマーからなる層を設けても良い。
【0236】
記録層(A)の膜厚は、10nm〜1000nmであるが、好ましくは20nm〜300nmである。記録層(A)の膜厚を10nmより薄くすると、熱拡散が大きいため記録できないか、記録信号に歪が発生する上、信号振幅が小さくなる場合がある。また、膜厚が1000nmより厚い場合は反射率が低下し、再生信号特性が悪化する場合がある。
【0237】
次に記録層(A)の上に、好ましくは50nm〜300nmの厚さの反射層を形成する。反射率を高めるためや密着性をよくするために、記録層(A)と反射層の間に反射増幅層や接着層を設けることができる。反射層の材料としては、再生光の波長で反射率の十分高いもの、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、TaおよびPdの金属を単独あるいは合金にして用いることが可能である。この中でもAu、Ag、Alは反射率が高く反射層の材料として適している。青色レーザーでの記録再生を行う場合には、AlまたはAgが好適である。これ以外でも下記のものを含んでいても良い。例えば、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Biの金属および半金属を挙げることができる。また、AgまたはAlを主成分とするものは反射率の高い反射層が容易に得られるため好適である。金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、反射層として用いることも可能である。
【0238】
反射層を形成する方法としては、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられる。また、基板の上や反射層の下に反射率の向上、記録特性の改善、再生光安定性の改善、密着性の向上等のために公知の無機系または有機系の中間層、接着層を設けることもできる。
【0239】
さらに、反射層の上に形成する保護層の材料としては反射層を外力から保護するものであれば特に限定しない。無機物質としては、SiO、Si、MgF、AlN、SnO、TiO等が挙げられる。また、有機物質としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等を挙げることができる。熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等は適当な溶媒に溶解して塗布液を調製した後に、この塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂はそのままもしくは適当な溶媒に溶解して塗布液を調製した後に、この塗布液を塗布し、紫外線を照射して硬化させることによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂としては、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等のアクリレート樹脂を用いることができる。これらの材料は単独であるいは混合して用いても良く、1層だけでなく多層膜にして用いても良い。
【0240】
保護層の形成の方法としては、記録層と同様にスピンコート法やキャスト法等の塗布法やスパッタ法や化学蒸着法等の方法が用いられるが、この中でもスピンコート法が好ましい。
【0241】
保護層の膜厚は、一般には0.1μm〜100μmの範囲であるが、本発明においては、3μm〜30μmであり、より好ましくは、5μm〜20μmである。
【0242】
保護層の上にさらにレーベル、バーコード等の印刷を行うこともできる。
【0243】
また、反射層面に保護シートまたは基板を貼り合わせる、あるいは反射層面相互を内側とし対向させ、光記録媒体2枚を貼り合わせる等の手段を用いても良い。
【0244】
基板鏡面側に、表面保護やごみ等の付着防止のために紫外線硬化性樹脂、無機系薄膜等を成膜しても良い。
【0245】
また、図4のような光記録媒体を作製する場合、基板の上に、好ましくは1nm〜300nmの厚さの反射層を形成する。反射率を高めるためや密着性をよくするために、記録層(A)と反射層の間に反射増幅層や接着層を設けることができる。反射層の材料としては、再生光の波長で反射率の十分高いもの、例えば、Al、Ag、NiおよびPtの金属を単独あるいは合金にして用いることが可能である。この中でもAg、Alは反射率が高く反射層の材料として適している。これ以外でも必要に応じて下記のものを含んでいても良い。例えば、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi、Au、Cu、Ti、Cr、Pd、Taの金属および半金属を挙げることができる。AgまたはAlを主成分とするもので反射率の高い反射層が容易に得られるものが好適である。金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、反射層として用いることも可能である。
【0246】
反射層を形成する方法としては、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられる。また、反射層の上に反射率の向上、記録特性の改善、密着性の向上等のために公知の無機系または有機系の中間層、接着層を設けることもできる。
【0247】
次に、記録層(A)を反射層の上に製膜する際に、反射層の耐溶剤性や反射率、記録感度等を向上させるために、反射層の上に無機物やポリマーからなる層を設けても良い。
【0248】
記録層(A)を設ける方法は、スピンコート法、スプレー法、キャスト法、スライド法、カーテン法、エクストルージョン法、ワイヤー法、グラビア法、スプレッド法、ローラーコート法、ナイフ法、浸漬法等の塗布法等が挙げられるが、スピンコート法が簡便で好ましい。
【0249】
スピンコート法等の塗布法を用いる場合には本発明に係る化合物(B)を1〜40質量%、好ましくは3〜30質量%となるように溶媒に溶解あるいは分散させた塗布液を用いるが、この際、溶媒は反射層にダメージを与えないものを選ぶことが好ましい。
【0250】
塗布法に用いる溶媒としては、前述の溶媒と同様の溶媒が挙げられる。また、これらは単独で用いても良く、あるいは、複数混合しても良い。好ましい溶剤としては、大気圧下での沸点が150℃以下のものが、塗布後の乾燥が速く、本発明の光記録媒体を製造する上で好ましい。さらには、大気圧下での沸点が150℃以下のアルコール系溶媒、特にフッ素置換アルコールがより好ましい。具体的にはテトラフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノールが好適な例として挙げられる。
【0251】
記録層(A)の膜厚は、通常1nm〜1000nmであるが、好ましくは5nm〜300nmである。記録層(A)の膜厚を1nmより薄くすると、記録できないか、記録信号に歪が発生する上、信号振幅が小さくなる場合がある。また、膜厚が1000nmより厚い場合は反射率が低下し、再生信号特性が悪化する場合がある。
【0252】
さらに、記録層(A)の上に形成する保護層の材料としては記録層(A)を外力や雰囲気等、外部からの悪影響保護するものであれば特に限定しない。無機物質としては、SiO、Si、MgF、AlN、SnO、TiO等が挙げられる。また、有機物質としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等を挙げることができる。熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等は適当な溶媒に溶解して塗布液を調製した後に、この塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂はそのままもしくは適当な溶媒に溶解して塗布液を調製した後にこの塗布液を塗布し、紫外線を照射して硬化させることによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂としては、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等のアクリレート樹脂を用いることができる。これらの保護層に用いる材料は単独であるいは混合して用いても良く、1層だけでなく多層膜にして用いても良い。
【0253】
保護層の形成の方法としては、記録層(A)と同様にスピンコート法やキャスト法等の塗布法や、あるいはスパッタ法や化学蒸着法等の方法が用いられるが、この中でもスピンコート法が好ましい。なお、記録層にダメージを与えない溶媒を選択できない場合は、記録層を形成する際の条件と同様に、スパッタ法、化学蒸着法や真空蒸着法等が挙げられる。また、特開平11−273147号公報に記載されているように、感圧性粘着シートまたはドライフォトポリマーシートなどの接着層を介して保護層を形成、あるいは感圧性粘着シートまたはドライフォトポリマーシート自体を保護層に用いることも可能である。
【0254】
さらに、保護層を記録層(A)の上に製膜する際に、記録層の耐溶剤性や反射率、記録感度等を向上させるために、記録層(A)の上に無機物やポリマーからなる層を設けても良い。
【0255】
保護層の膜厚は、一般には0.01μm〜1000μmの範囲であるが、場合により0.1μm〜100μm、さらには、1μm〜20μmとすることができる。
【0256】
また、基板面に保護シートまたは反射層を張り合わせる、あるいは基板面相互を内側とし対向させ、光記録媒体2枚を張り合わせる等の手段を用いても良い。
【0257】
保護層面側に、表面保護やごみ等の付着防止のために紫外線硬化性樹脂、無機系薄膜等を製膜しても良い。
【0258】
本発明の光記録媒体において、媒体全体を保護する目的で、例えば、フレキシブルディスクや光磁気ディスク等に見られるようにディスクを保護するケース型の保護ユニットを設置しても構わない。材質はプラスチックや、アルミニウム等の金属を使用することができる。
【0259】
基材の材質としては、基本的には記録光および再生光の波長で透明であればよい。支持基板の材質としては、図5に示すように基板11を通じて青紫色レーザーの照射が行われる場合も加味すると、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂等の高分子材料やガラス等の無機材料等の透明な材料が利用される。一方、図6に示す構成のように、基板11’とは逆の光透過層15’側からレーザー照射が行われる場合、基板の材質としては光学的諸要件を満たす必要はなく、より広範な材料から選択することができる。基板に要求される機械的特性、また基板生産性の観点からは、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂等の射出成型或いはキャスト成型可能な材料が好ましい。これらの基板材料は射出成形法等により円盤状に基板に成形してもよい。
【0260】
また、必要に応じて、これらの基板の表層には、サブミクロンオーダーの案内溝及び/又はプレピットが螺旋状又は同心円上に形成されていても良い。これら案内溝及びプレピットは、基板形成時に付与されているのが好ましく、スタンパー原盤を用いての射出成型や、フォトポリマーを用いた熱転写法により付与することができる。尚、図6における光透過層15’に案内溝及び/又はプレピットを形成しても良く、付与する場合も同様の方法を適用できる。案内溝のピッチ及び深さは、DVDよりも高密度記録を行うHD−DVD−Rの場合、ピッチとして0.25〜0.80μm、深さとして20〜150nmの範囲から選択するのが好ましい。
【0261】
通常、光ディスクとして用いる場合は、厚さ1.2mm程度、直径80ないし120mm程度の円盤状であってもよく、中央に直径15mm程度の穴が開いていても構わない。
【0262】
本発明の光記録媒体は、波長300nm〜900nmから選択される記録レーザー波長および再生レーザー波長に対して記録再生が可能であり、中でも、波長390nm〜430nm、更には波長400nm〜410nmの範囲から選択される記録レーザー波長および再生レーザー波長に対して良好なC/N比を得ることができ、また、再生光安定性も良く、高品位な信号特性が得られるものである。
【0263】
ここで、本発明で言う波長300nm〜900nmのレーザーは、特に制限はないが、可視光領域の広範囲で波長選択のできる色素レーザーや、窒素レーザー(337nm)等のガスレーザー、波長445nmのヘリウムカドミウムレーザー、波長457nmあるいは波長488nmのアルゴンレーザー等のイオンレーザー、波長400〜410nmのGaN系レーザー、CrドープしたLiSnAlFを用いた波長860nmの赤外線レーザーの第2高調波430nmを発振するレーザー、He−Neレーザー(633nm)他、波長415nm、425nm、602nm、612nm、635nm、647nm、650nm、660nm、670nm、680nm、780nm、830nm等の可視半導体レーザー等の半導体レーザー等があげられる。本発明では、前述のレーザー等を記録または再生を行う記録層の感応する波長に応じて適宜選択することができる。高密度記録および再生は各々、前述の該レーザー、更には波長430nm以下のレーザー、特には波長410nm以下のレーザーから選択される1波長または複数波長を用いることが好ましい。
【0264】
また、レーザー光の記録パワーとしては、特に制限はないが、より小さいパワーが好ましい。本発明に係る記録層(A)の記録レーザーパワーとして、通常10mW以下、好ましくは8mW以下、さらには6mW以下が好適な例として挙げられる。また、レーザー光の再生パワーとしては、特に制限はないが、より小さいパワーが好ましい。本発明に係る記録層(A)の再生レーザーパワーとして、通常2mW以下、好ましくは1mW、さらには0.7mW以下が好適である。
【0265】
本発明の光記録媒体においては、記録レーザーパワーとして5mW以下で記録することができ、基板の変形もなく、記録・再生とも極めて優れている。従って、小さな記録レーザーパワーにより記録再生が可能であり、マルチトラックでの記録特性に優れている。また、変調度も高く、良好な信号を得ることが出来る。
【0266】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれによりなんら限定されるものではない。なお、融点測定は、融点測定機(BUCHI製;B−540)にて昇温速度20℃/分で行い、発熱ピーク測定は示差走査熱分析装置((株)島津製作所製;DSC−50)を使用して行った。吸光スペクトルについては、分光光度計((株)島津製作所製;UV−1600)を使用して行った。記録層表面の観察は、走査型電子顕微鏡(SEM)((株)日立ハイテクノロジーズ製;S−4500)および、走査型プローブ顕微鏡(AFM)(デジタルインスツルメンツ社製;NanoScope(登録商標)III)で行った。また、核磁気共鳴スペクトルは、FT−NMRスペクトロメーター(日本電子(株)製;GSX270)、質量分析は、液体クロマトグラフ質量分析装置((株)島津製作所製;LCMS−QP8000α)またはFD−MS質量分析装置(日本電子(株)製;SX−102A)を使用して行った。
【0267】
[製造例1]
化合物A−1の合成
テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド170部中に、ピロメリット酸無水物16.9部を加え、200℃まで昇温した。次に、下記式(B−1)で表される化合物15.7部を加え、同温度にて10時間攪拌した。反応終了後、40℃以下に冷却し、トルエン850部に排出後、析出物を濾過、トルエンで洗浄し、乾燥することにより下記式(a−1)で表される化合物28.0部を得た(収率91%)。次に、下記式(a−1)で表される化合物7.7部、2−フェロセニル−5−[3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロポキシ]アニリン8.2部、1−メチル−2−ピロリドン300部およびトルエン30部を混合し、150℃で11時間攪拌した。反応終了後、40℃以下に冷却し、メタノール2000部に排出後、析出物を濾過した。次いで、濾取物をクロロホルムに溶解した後、シリカゲルカラムによるクロマトグラフィー(展開溶液:クロロホルム/メタノール=9/1)にて精製を行った。得られた固体物をメタノールで洗浄し、乾燥することにより、下記式(A−1)で表される化合物5.7部を得た(収率37%)。
【0268】
【化29】

【0269】
なお、化合物(A−1)の物性は以下のとおりである。
・MS(m/z):819
・変色温度<390℃
・融点>400℃
・非晶質状態を加熱すると発熱を伴って結晶質状態を形成する際の発熱ピーク温度
233℃
・クロロホルム溶液中での300nm〜900nmでの最大極大吸収波長
389.5nm
・薄膜での波長405nmにおける屈折率n1 :1.83
・薄膜での波長405nmにおける消衰係数k1 :0.18
【0270】
[製造例2]
化合物A−2の合成
前述の上記式(a−1)で表される化合物6.0部、2−フェロセニル−5−[2−(N−モルホリル)エトキシ]アニリン6.0部、1−メチル−2−ピロリドン300部およびトルエン30部を混合し、150℃で11時間攪拌した。反応終了後、40℃以下に冷却し、メタノール1000部に排出後、析出物を濾過した。次いで、濾取物をクロロホルムに溶解した後、シリカゲルカラムによるクロマトグラフィー(展開溶液:クロロホルム/メタノール=95/5)にて精製を行った。得られた固体物をメタノールで洗浄し、乾燥することにより、式(A−2)で表される化合物2.6部を得た(収率22%)。
【0271】
なお、化合物(A−2)の物性は以下のとおりである。
・MS(m/z):792
・変色温度<300℃
・融点>400℃
・非晶質状態を加熱すると発熱を伴って結晶質状態を形成する際の発熱ピーク温度
245℃
・クロロホルム溶液中での300nm〜900nmでの最大極大吸収波長
394.5nm
・薄膜での波長405nmにおける屈折率n1 :1.80
・薄膜での波長405nmにおける消衰係数k1 :0.20
【0272】
[実施例1−1]
本例示化合物番号A−1 0.2gを2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール10mlに溶解し、色素溶液を調製した。
【0273】
ポリカーボネート樹脂製で連続した案内溝(トラックピッチ:0.6μm、溝幅:0.30μmでピッチ比率50%、溝深さ:50nm)を有する外径120mmφ、厚さ0.6mmの円盤状の基板上に、この色素溶液をスピンコートして、70℃で3時間乾燥して、基板溝上での膜厚が60nmの記録層を形成した。この記録層上にバルザース社製スパッタ装置(CDI−900)を用いて銀をスパッタし、厚さ120nmの反射層を形成した。スパッタガスにはアルゴンガスを用いた。スパッタ条件は、スパッタパワー3.75kW、スパッタガス圧1.06Pa(8.0×10−3Torr)で行った。
【0274】
さらに反射層の上に紫外線硬化樹脂「SD−1700」(大日本インキ化学工業製)をスピンコートした後、紫外線照射して厚さ5μmの保護層を形成した。更に、保護層の上に紫外線硬化樹脂デソライト「KZ−8681」(JSR株式会社製)をスピンコートした後、前記基板と同様なポリカーボネート樹脂基板(ダミー板)をのせ、紫外線照射して基板を貼り合わせ、光記録媒体を作製した。この方法で同じ光記録媒体をさらに2枚追加で作製し、合計3枚の本実施例の光記録媒体を得た。ここで、作製した光記録媒体1枚を、未記録のままダミー板・接着層・保護層・銀反射膜を剥離し色素層を露出させ、これを適当な切片に裁断し、分光光度計で300nmから500nmまでの波長域での吸光度を測定したところ、吸収極大波長=368nmと、クロロホルム中での吸収極大波長より21.5nm短波長であり、405nmでの吸光度=0.18であった。
【0275】
また、本実施例の光記録媒体1枚について、以下のように評価試験を行った。
【0276】
波長405nm、開口数0.65の青色レーザーヘッドを搭載した評価機(パルステック工業製:型番DDU−1000)により、クロック周波数33MHz、線速度3.8m/sにて1−7変調方式のランダム信号パターンデータを使用し、記録レーザーパワー4.8mWにて溝中(グループ)に記録を行ったところ、光学変化の大きい良好な形状のマークが形成され、高密度に記録できた。記録後、同評価機により再生パワー0.4mWにて再生を行ったところ、高い信号変調度が得られ、単一トラック記録再生ジッターおよび3連続トラック記録再生ジッターの差は1%未満であり、隣接トラックへのクロスライトが殆どなく、マルチトラック特性が非常に優れていることが確認できた。記録した光記録媒体1枚について、ダミー板・接着層・保護層・銀反射膜を剥離し色素層を露出させ、該記録部位を電子顕微鏡による観察を行った。電子顕微鏡(SEM)による観察では、基板変形や色素膜の窪み形成が見られなかった。また、AFMを使用して、記録層の厚み方向の変化量を測定した結果、記録部位の記録層膜厚と未記録部位の記録層膜厚との差は15nm未満であり、記録部位の未記録部位に対する膜厚変化率は25%未満であった。次に露出した色素層を2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールを用いて洗い流し、観察した結果、基板に機械的な変形がないことを確認した。
【0277】
さらにもう1枚の本実施例の光記録媒体を用い、該光記録媒体の全周に亘って、オン・オフの変調をかけずに4.8mWの一定レーザーパワーにて溝中(グルーブ)と溝間(ランド)の両方に連続記録し、ダミー板・接着層・保護層・銀反射膜を剥離し色素層を露出させた。これを適当な切片に裁断し、分光光度計で300nmから500nmまでの波長域での吸光度を測定したところ、吸収極大波長が393nmと、長波長側に移動しており(移動長さ=25nm)、記録再生を行った405nmでの吸光度が0.21に増大していた。なお、ここで予め測定しておいたグルーブ中の色素膜厚dで吸光度を割れば、レーザー照射後の吸光係数αが求められ、αと消衰係数k2の関係式(k2=λ・α/4π)からk2を求めた。レーザー照射後n2に関してはクラマースクローニッヒの関係式から求めた。波長405nmにおけるn2=1.77、k2=0.22であった。変化量Δn(n2−n1)=−0.06、Δk(k2−k1)=+0.04になった。
【0278】
[実施例1−2]
実施例1−1において、例示化合物番号A−1を使用する代わりに、例示化合物番号A−2の化合物を用いた以外は、実施例1−1に記載の方法により、本実施例の光記録媒体3枚を作製し、実施例1−1と同様に各種測定を行った。
【0279】
作製した光記録媒体1枚を、未記録のままダミー板・接着層・保護層・銀反射膜を剥離し色素層を露出させ、これを適当な切片に裁断し、分光光度計で300nmから500nmまでの波長域での吸光度を測定したところ、吸収極大波長=368nmと、クロロホルム中での吸収極大波長より26.5nm短波長であり、405nmでの吸光度=0.20であった。
【0280】
また、本実施例の光記録媒体1枚について、実施例1−1と同様に評価試験を行ったところ、光学変化の大きい良好な形状のマークが形成され、高密度に記録できた。記録後、同評価機により再生パワー0.4mWにて再生を行ったところ、高い信号変調度が得られ、単一トラック記録再生ジッターおよび3連続トラック記録再生ジッターの差は1%未満であり、隣接トラックへのクロスライトが殆どなく、マルチトラック特性が非常に優れていることが確認できた。記録した光記録媒体1枚について、ダミー板・接着層・保護層・銀反射膜を剥離し色素層を露出させ、該記録部位を電子顕微鏡による観察を行った。電子顕微鏡(SEM)による観察では、基板変形や色素膜の窪み形成が見られなかった。また、AFMを使用して、記録層の厚み方向の変化量を測定した結果、記録部位の記録層膜厚と未記録部位の記録層膜厚との差は15nm未満であり、記録部位の未記録部位に対する膜厚変化率は25%未満であった。次に露出した色素層を2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールを用いて洗い流し、観察した結果、基板に機械的な変形がないことを確認した。
【0281】
さらにもう1枚の本実施例の光記録媒体を用い、該光記録媒体の全周に亘って、オン・オフの変調をかけずに4.8mWの一定レーザーパワーにて溝中(グルーブ)と溝間(ランド)の両方に連続記録し、ダミー板・接着層・保護層・銀反射膜を剥離し色素層を露出させた。これを適当な切片に裁断し、分光光度計で300nmから500nmまでの波長域での吸光度を測定したところ、吸収極大波長が395nmと、長波長側に移動しており(移動長さ=27nm)、記録再生を行った405nmでの吸光度が0.22に増大していた。実施例1−1と同様に計算した結果、波長405nmにおけるn2=1.75、k2=0.22であった。変化量Δn(n2−n1)=−0.05、Δk(k2−k1)=+0.04になった。
【0282】
[実施例1−3]
例示化合物番号A−3の化合物物性は、変色温度<300℃、融点>400℃、非晶質状態を加熱すると発熱を伴って結晶質状態を形成する際の発熱ピーク温度241℃、クロロホルム溶液中にて300nm〜900nmでの最大極大吸収波長397.5nm、薄膜での波長405nmにおける屈折率n1が1.80、消衰係数k1が0.18である。
【0283】
実施例1−1において、例示化合物番号A−1を使用する代わりに、例示化合物番号A−3の化合物を用いた以外は、実施例1−1に記載の方法により、本実施例の光記録媒体3枚を作製し、実施例1−1と同様に各種測定を行った。
【0284】
作製した光記録媒体1枚を、未記録のままダミー板・接着層・保護層・銀反射膜を剥離し色素層を露出させ、これを適当な切片に裁断し、分光光度計で300nmから500nmまでの波長域での吸光度を測定したところ、吸収極大波長=372nmと、クロロホルム中での吸収極大波長より25.5nm短波長となった。
【0285】
また、本実施例の光記録媒体1枚について、実施例1−1と同様に評価試験を行ったところ、光学変化の大きい良好な形状のマークが形成され、高密度に記録できた。記録後、同評価機により再生パワー0.4mWにて再生を行ったところ、高い信号変調度が得られ、単一トラック記録再生ジッターおよび3連続トラック記録再生ジッターの差は1%未満であり、隣接トラックへのクロスライトが殆どなく、マルチトラック特性が非常に優れていることが確認できた。記録した光記録媒体1枚について、ダミー板・接着層・保護層・銀反射膜を剥離し色素層を露出させ、該記録部位を電子顕微鏡による観察を行った。電子顕微鏡(SEM)による観察では、基板変形や色素膜の窪み形成が見られなかった。また、AFMを使用して、記録層の厚み方向の変化量を測定した結果、記録部位の記録層膜厚と未記録部位の記録層膜厚との差は15nm未満であり、記録部位の未記録部位に対する膜厚変化率は25%未満であった。次に露出した色素層を2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールを用いて洗い流し、観察した結果、基板に機械的な変形がないことを確認した。
【0286】
さらにもう1枚の本実施例の光記録媒体を用い、該光記録媒体の全周に亘って、オン・オフの変調をかけずに4.8mWの一定レーザーパワーにて溝中(グルーブ)と溝間(ランド)の両方に連続記録し、ダミー板・接着層・保護層・銀反射膜を剥離し色素層を露出させた。これを適当な切片に裁断し、分光光度計で300nmから500nmまでの波長域での吸光度を測定したところ、吸収極大波長が391nmと、長波長側に移動しており(移動長さ=19nm)、記録再生を行った405nmでの吸光度が増大した。実施例1−1と同様に計算した結果、波長405nmにおけるn2=1.76、k2=0.22であった。変化量Δn(n2−n1)=−0.04、Δk(k2−k1)=+0.04になった。
【0287】
[実施例1−4〜1−6]
実施例1−1において、例示化合物番号A−1を使用する代わりに、例示化合物番号A−4〜1−6の化合物を用いた以外は、実施例1−1に記載の方法により、本実施例の光記録媒体を各々3枚作製した。各々作製した光記録媒体1枚について、未記録のままダミー板・接着層・保護層・銀反射膜を剥離し色素層を露出させ、これを適当な切片に裁断し、分光光度計で300nmから500nmまでの波長域での吸光度を測定したところ、吸収極大波長はクロロホルム中での吸収極大波長より、いずれも10nm以上短波長であった。
【0288】
実施例1−1と同様に評価試験を行ったところ、光学変化の大きい良好な形状のマークが形成され、高密度に記録できた。記録後、同評価機により再生パワー0.4mWにて再生を行ったところ、高い信号変調度が得られ、単一トラック記録再生ジッターおよび3連続トラック記録再生ジッターの差は1%未満であり、隣接トラックへのクロスライトが殆どなく、マルチトラック特性が非常に優れていることが確認できた。
【0289】
また、各々の実施例で得た、記録した光記録媒体1枚について該記録部位を実施例1−1と同様に電子顕微鏡による観察を行った結果、電子顕微鏡(SEM)による測定では、基板変形や色素膜の窪み形成が見らず、また、AFMを使用して、記録層の厚み方向の変化量を測定した結果、記録部位の記録層膜厚と未記録部位の記録層膜厚との差は15nm未満であり、記録部位の未記録部位に対する膜厚変化率は25%未満であった。次に露出した色素層を2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールを用いて洗い流し、観察した結果、基板に機械的な変形がないことを確認した。
【0290】
さらに各実施例で得たもう1枚の光記録媒体を用い、該光記録媒体の全周に亘って、オン・オフの変調をかけずに4.8mWの一定レーザーパワーにて溝中(グルーブ)と溝間(ランド)の両方に連続記録し、ダミー板・接着層・保護層・銀反射膜を剥離し色素層を露出させた。これを適当な切片に裁断し、分光光度計で300nmから500nmまでの波長域での吸光度を測定したところ、吸収極大波長はいずれも10nm以上長波長側に移動していた。
【0291】
[実施例2−1]
化合物B−1の合成
N,N−ジメチルホルムアミド260部中に、下記式(b−1)で表される化合物10.0部と、メチルヨージド48.6部を加えるとともに、炭酸カリウム19.7部を加え、2時間、室温にて攪拌した。反応終了後、水1500部に排出後、析出物を濾過、水洗、乾燥することにより下記式(B−1)で表される化合物3.50部を得た(収率30%)。
【0292】
【化30】

【0293】
・MS(m/z):203
H−NMR(DMSO−d,δ(ppm)):11.91(1H,s,NH),7.43(1H,d,J=8.91,7−H),7.27(1H,dd,J=2.97,8.91,8−H),7.15(1H,d,J=2.97,5−H),2.97(6H,s,(CHN−),2.27(3H,s,−CH
【0294】
[実施例2−2]
化合物B−2の合成
N,N−ジメチルホルムアミド250部中に、実施例2−1で用いた一般式(b−1)で表される化合物9.90部と、エチルヨージド52.8部を加えるとともに、炭酸カリウム19.5部を加え、12時間、室温にて攪拌した。反応終了後、水1250部に排出後、析出物を濾過、水洗、乾燥することにより下記式(B−2)で表される化合物4.70部を得た(収率36%)。
【0295】
【化31】

【0296】
・MS(m/z):231
H−NMR(DMSO−d,δ(ppm)):11.88(1H,s,NH),7.40(1H,d,J=8.91,7−H),7.20(1H,dd,J=2.97,9.04,8−H),7.10(1H,d,J=3.24,5−H),3.39(4H,q,CH),2.26(3H,s,2−CH),1.11(6H,t,CH
【0297】
実施例1−1〜1−6に記載されるように、本発明の光記録媒体は、青色レーザー波長領域において、小さな記録レーザーパワーにより記録再生が可能であり、マルチトラックでの記録特性に優れている。また、変調度も高く、良好な信号を得ることが出来る。
【0298】
このことから、本発明で規定する構造の化合物を含有する記録層は、波長300〜900nmから選択されるレーザー光による信号記録が可能であり、本発明の光記録媒体は波長300〜900nmから選択されるレーザー光を記録再生に用いる光記録媒体に用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0299】
本発明によれば、本発明に係る有機化合物(B)を記録層(A)に用いることにより、高密度光記録媒体として非常に注目されている波長300〜900nmレーザー、さらには波長390〜430nmのレーザー、特に波長400〜410nm青紫色レーザーでの、媒体の全周に亘る良好な記録が小さいレーザーパワーで可能となり、情報記録の大容量化に関して真に実用的な光記録媒体を提供することが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー光で記録再生が可能である記録層(A)を少なくとも一層有し、且つ、該記録層(A)に有機化合物を少なくとも1種含有する光記録媒体であって、該記録層(A)の未記録部位における記録層膜厚(a)に対して、該記録層(A)にレーザー光で記録した記録部位における記録層膜厚(a)の変化率(|[a−a]/a|×100)が25%未満であり、且つ、該記録層(A)の未記録部位における記録層膜厚(a)に対して、該記録層(A)にレーザー光で記録した記録部位における記録層膜厚(a)の変化量(|a−a|)が15nm未満であることを特徴とする光記録媒体。
【請求項2】
該記録層(A)が塗布法により形成可能である請求項1記載の光記録媒体。
【請求項3】
有機化合物が、炭素原子4個と窒素原子2個で構成する六員環構造を有し、且つ、置換または無置換のアミノ基を結合してなる有機化合物(B)である請求項2記載の光記録媒体。
【請求項4】
記録レーザーパワーが6mW以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光記録媒体。
【請求項5】
有機化合物(B)が、互変可能な構造の一つとして、一般式(0)
【化1】

(式中、環Aは置換または無置換の炭素環式芳香族環あるいは置換または無置換の複素環式芳香族環を表し、RおよびRは水素原子または置換基を表し、Xは2価の置換基を表し、Yは置換または無置換のアミノ基を表し、mはYの個数を表す。)
で表される化合物である請求項3記載の光記録媒体。
【請求項6】
有機化合物(B)が、互変可能な構造の一つとして、一般式(1)
【化2】

(式中、環Aおよび環Bは置換または無置換の炭素環式芳香族環あるいは置換または無置換の複素環式芳香族環を表し、Rは水素原子または置換基を表し、Xは2価の置換基を表し、Yは置換または無置換のアミノ基を表し、mはYの個数を表す。)
で表される化合物である請求項5記載の光記録媒体。
【請求項7】
有機化合物(B)が、互変可能な構造の一つとして、一般式(2)
【化3】

(式中、環Cは置換または無置換の炭素環式芳香族環あるいは置換または無置換の複素環式芳香族環を表し、X’は2価の置換基を表し、R〜Rは各々独立に水素原子または置換基を表し、m’はRの個数を表し、n’はRの個数を表す。ただし、R〜Rより選択される少なくとも1つ以上の基は置換または無置換のアミノ基であり、R〜Rの組合せ、およびR〜Rの組合せにおいて、各組み合わせ内の各置換基について、各々独立に連結基を介して結合し、置換位置の原子とともに環構造を形成してもよく、m’およびn’はそれぞれ0または1以上の整数を表す。)
で表される化合物である請求項6記載の光記録媒体。
【請求項8】
有機化合物(B)が、互変可能な構造の一つとして、一般式(3)
【化4】

(式中、環Dは置換または無置換の炭素環式芳香族環あるいは置換または無置換の複素環式芳香族環を表し、X”は2価の置換基を表し、R〜R12は各々独立に水素原子または置換基を表す。ただし、R〜R11より選択される少なくとも1つの基は置換または無置換のアミノ基であり、R〜R11は各々独立に連結基を介して結合し、置換位置の炭素原子とともに環構造を形成してもよい。)
で表される化合物である請求項7記載の光記録媒体。
【請求項9】
有機化合物(B)が、互変可能な構造の一つとして、一般式(4)
【化5】

(式中、R13〜R25は各々独立に水素原子または置換基を表し、R14〜R18の組合せ、およびR21〜R25の組合せにおいて、各組み合わせ内の各置換基について、各々独立に連結基を介して結合し、置換位置の炭素及び/又は窒素原子とともに環構造を形成してもよい。)
で表される化合物である請求項8記載の光記録媒体。
【請求項10】
有機化合物(B)が、互変可能な構造の一つとして、一般式(5)
【化6】

(式中、R26〜R35は各々独立に水素原子または置換基を表し、R26〜R30の組合せ、およびR31〜R35の組合せにおいて、各組み合わせ内の各置換基について、各々独立に連結基を介して結合し、置換位置の炭素及び/又は窒素原子とともに環構造を形成してもよい。)
で表される化合物である請求項9記載の光記録媒体。
【請求項11】
31〜R35において少なくとも1つの基は、ヘテロ原子を少なくとも1個含有する複素環残基を有する置換アルコキシ基である請求項10記載の光記録媒体。
【請求項12】
26〜R35で表される各置換基を構成する原子が炭素原子、水素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子より選択される原子である請求項10記載の光記録媒体。
【請求項13】
該記録層(A)には、該レーザー光を吸収し、且つ、熱により変色する温度を有する有機化合物を少なくとも1種、該記録層(A)に含有することを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
【請求項14】
該記録層(A)に、該レーザー光を吸収し、且つ、非晶質状態を加熱すると発熱を伴って結晶質状態を形成する有機化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
【請求項15】
記録レーザー光の照射によって、該記録層(A)の記録前の吸収極大波長(λmax)とは異なる吸収極大波長(λmax)を記録後の該記録層(A)に与える有機化合物を少なくとも1種、該記録層(A)に含有する請求項1記載の光記録媒体。
【請求項16】
記録再生波長がλ0である記録レーザー光の照射によって、該記録層(A)の記録前のλ0における屈折率n1および消衰係数k1とは異なる屈折率n2および消衰係数k2を記録後に与える有機化合物を少なくとも1種、該記録層(A)に含有する請求項1記載の光記録媒体。
【請求項17】
有機化合物の溶液状態の吸光度の極大波長が記録層の薄膜状態になると短波長側に移動することを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
【請求項18】
一般式(5)で表される化合物。
【請求項19】
キナゾリン−4−環の5〜8位のいずれかにジ置換アミノ基を有する一般式(6)で表されるキナゾリン−4−オン化合物。
【化7】

(式中、R36〜R41は各々独立に水素原子または置換基を表す。)
【請求項20】
下記一般式(7)の化合物ならびに、一般式(8)および/または一般式(9)で表される化合物を用いて反応することを特徴とする一般式(6)で表されるキナゾリン−4−オン化合物の製造方法。
【化8】

(式中、R36〜R41は、式(6)中のR36〜R41と同一の基を表す。また、Z、Zは脱離基を表す。)
【請求項21】
一般式(5)で表される化合物を少なくとも1種含有する組成物。
【請求項22】
レーザー光で記録再生が可能である記録層(A)を基板上に有し、且つ、該記録層(A)に有機化合物を少なくとも1種含有する光記録媒体であって、該記録層(A)に6mW以下の記録レーザー光を照射することで発生する熱および/またはレーザー光により、該基板に機械的な変形を与えず記録できることを特徴とする光記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【国際公開番号】WO2005/036541
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【発行日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514622(P2005−514622)
【国際出願番号】PCT/JP2004/014969
【国際出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】