説明

光記録媒体

【課題】高い生産性を確保したまま、酸化インジウムを保護層の材料として用いた場合よりも更に優れた保存信頼性を得ることができる追記型光記録媒体を提供する。
【解決手段】光記録媒体は、無機記録層と、無機記録層の少なくとも一方の面に設けられた、酸化インジウムを含む第1の保護層と、第1の保護層に隣接した、酸化チタン、酸化ジルコニウム、または酸化スズを含む第2の保護層とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光記録媒体に関する。詳しくは、無機記録層を有する光記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでCD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などが光記録媒体の市場を牽引してきた。しかし、近年では、テレビのハイビジョン化やPC(Personal Computer)で取り扱うデータの急激な増大に伴い、光記録媒体の更なる大容量化が求められている。この要求に応えるべく、BD(Blu-ray Disc(登録商標))などの青色レーザに対応した大容量の光記録媒体が登場し、新たな大容量の光記録媒体の市場が立ち上がりつつある。
【0003】
記録可能な光記録媒体としては、DVD−R(Digital Versatile Disc-Recordable)、DVD±RW(Digital Versatile Disc±ReWritable)に代表される書換型の光記録媒体と、CD−R(Compact Disc-Recordable)やDVD−R(Digital Versatile Disc-Recordable)に代表される追記型の光記録媒体とがあるが、特に、後者は低価格メディアとして市場の拡大に大きく貢献してきた。したがって、青色レーザに対応した大容量の光記録媒体においても、市場を拡大させるためには、追記型光記録媒体の低価格化が必要になると考えられる。さらに光記録媒体は、ハードディスク(HDD)やフラッシュメモリなどと比べて、その記録再生原理から保存信頼性が高いと一般的に言われており、重要情報の保管に使われ始めるなどアーカイバルメディアとしての需要が近年高くなっている。
【0004】
追記型光記録媒体に用いられる記録材料としては、無機材料と有機色素材料とがある。有機材料を用いた追記型光記録媒体は、スピンコート法により安価に製造可能であるという利点を有するのに対して、無機材料を用いた追記型光記録媒体は、再生耐久性や記録層の多層化に優れるという利点を有するものの、大がかりなスパッタ装置が必要であるという欠点を有している。したがって、無機材料を用いた追記型光記録媒体が価格の点で有機材料を用いたものに対抗するためには、製造装置の初期投資を抑え、1枚当たりのタクトを上げて、記録媒体を効率よく生産することが不可欠となる。
【0005】
上記問題を解決するための最も有効な手段として、記録膜を構成する層数を減らし、成膜チャンバー数を減らしてスパッタ装置への初期投資を抑え、製造タクトを短くすることが挙げられる。しかし、層数を単に減らしても、膜厚が厚く、かつ成膜レートが遅い材料を使用すると、製造タクトが伸びてしまい逆にコストの上昇を招いてしまう虞もある。
【0006】
従来、無機材料を用いた追記型光記録媒体の保護層の材料としては、SiN、ZnS-SiO2などの透明誘電体材料が主に用いられている(例えば特許文献1参照)。しかし、SiNやZnS−SiO2は成膜レートが速く生産性に優れているという利点を有しているが、記録データの保存特性(保存信頼性)が悪いという問題がある。上記以外の誘電体材料には保存信頼性が高いものも存在するが、これらの材料は高周波(RF)スパッタリングが必要であるため成膜レートが非常に遅く生産性が悪いという問題がある。したがって、保存信頼性と生産性との両立は非常に困難である。
【0007】
この問題を解決すべく、保護層の材料としてDCスパッタリング可能な酸化インジウムおよび酸化スズ(以下、ITOと称する。)を用いる技術が提案されている(例えば特許文献2参照)。この技術では、追記型光情報記録媒体において高い保存信頼性を実現できると同時に、成膜チャンバー数を削減し、高い生産性を得ることができる。すなわち、ITOを保護層に用いることで、高成膜レートが得られるので1つのチャンバーでも保護層を厚膜化することが可能となり、その結果設計の自由度を保ったままチャンバー数を減らすことが可能になる。
【0008】
上述の特許文献2に記載の技術では、日常使用においては十分な水準の保存信頼性を実現できる。しかしながら、近年ではさらに高い水準の保存信頼性が求められるようになっており、このような要求に応えることは、上述の特許文献2に記載の技術では、困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−59106号公報
【0010】
【特許文献2】特開2009−129526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、高い生産性を確保したまま、酸化インジウムを含む単層の保護層を用いた場合よりも更に優れた保存信頼性を得ることができる追記型光記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、第1の保護層の材料として、酸化インジウムを含むものを用い、さらに第1の保護層に隣接する第2の保護層の材料として、酸化チタン、酸化ジルコニウム、または酸化スズを含むものを用いることで、高い生産性を確保しながら、さらに高い保存信頼性を実現できることを見出し、実験的にもこれを実証し、本発明を案出するに至った。
【0013】
したがって、上述の課題を解決するために、本発明は、
無機記録層と、
無機記録層の少なくとも一方の面に設けられた、酸化インジウムを含む第1の保護層と、
第1の保護層に隣接した、酸化チタン、酸化ジルコニウム、または酸化スズを含む第2の保護層と
を備える光記録媒体である。
【0014】
本願発明では、無機記録層の少なくとも一方の面に、成膜レートが速い酸化インジウムを含む第1の保護層を備えているので、高い生産性を確保しつつ、かつ優れた保存信頼性を得ることができる。また、酸化チタン、酸化ジルコニウム、または酸化スズを含む第2の保護層を、第1の保護層に隣接してさらに備えているので、さらに高い保存信頼性を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、高い生産性を確保したまま、酸化インジウムを含む単層の保護層を用いた場合よりも更に優れた保存信頼性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る追記型光記録媒体の一構成例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る追記型光記録媒体の一構成例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る追記型光記録媒体の一構成例を示す概略断面図である。
【図4】試験例1〜試験例18の追記型光記録媒体のジッター特性を示すグラフである。
【図5】試験例1〜試験例18の追記型光記録媒体の保存信頼性を示すグラフである。
【図6】実施例6〜実施例10、比較例7の追記型光記録媒体の保存信頼性を示すグラフである。
【図7】実施例11〜実施例14、比較例8の追記型光記録媒体の保存信頼性を示すグラフである。
【図8】実施例15〜実施例30の追記型光記録媒体の第2の保護層を構成するSIZの組成を示す図である。
【図9】実施例31〜実施例35、比較例9の追記型光記録媒体の保存信頼性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について図面を参照しながら以下の順序で説明する。
1.第1の実施形態(単層の追記型光記録媒体の例)
2.第2の実施形態(反射層を有していない単層の追加型光記録媒体の例)
3.第3の実施形態(2層の追記型光記録媒体の例)
【0018】
<1.第1の実施形態>
[追記型光記録媒体の構成]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る追記型光記録媒体の一構成例を示す概略断面図である。この追記型光記録媒体10は、基板1上に、反射層2、第3の保護層3、無機記録層4、第1の保護層5、第2の保護層6、光透過層7が順次積層された構成を有する。
【0019】
この第1の実施形態に係る追記型光記録媒体10では、光透過層7の側からレーザ光を無機記録層4に照射することにより、情報信号の記録または再生が行われる。例えば、400nm〜410nmの範囲の波長を有するレーザ光を、0.84〜0.86の範囲の開口数を有する対物レンズにより集光し、光透過層7の側から無機記録層4に照射することにより、情報信号の記録または再生が行われる。このような追記型光記録媒体10としては、例えばBD−Rが挙げられる。
【0020】
以下、追記型光記録媒体10を構成する基板1、反射層2、第3の保護層3、無機記録層4、第1の保護層5、第2の保護層6、光透過層7について順次説明する。
【0021】
(基板)
基板1は、例えば、中央に開口(以下センターホールと称する)が形成された円環形状を有する。この基板1の一主面は、例えば、凹凸面11となっており、この凹凸面11上に無機記録層4が成膜される。以下では、凹凸面11のうち凹部をイングルーブGin、凸部をオングルーブGonと称する。
【0022】
このイングルーブGinおよびオングルーブGonの形状としては、例えば、スパイラル状、同心円状などの各種形状が挙げられる。また、イングルーブGinおよび/またはオングルーブGonが、例えば、アドレス情報を付加するためにウォブル(蛇行)されている。
【0023】
基板1の径(直径)は、例えば120mmに選ばれる。基板1の厚さは、剛性を考慮して選ばれ、好ましくは0.3mm〜1.3mm、より好ましくは0.6mm〜1.3mm、例えば1.1mmに選ばれる。また、センタホールの径(直径)は、例えば15mmに選ばれる。
【0024】
基板1の材料としては、例えばプラスチック材料またはガラスを用いることができ、コストの観点から、プラスチック材料を用いることが好ましい。プラスチック材料としては、例えばポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂などを用いることができる。
【0025】
(反射層)
反射層2の材料としては、例えばAg合金やAl合金など、従来公知の光ディスクにおいて一般的に使用可能な金属や半金属などをこの反射層2に求められる特性に応じて任意に選択し使用することが可能である。また、反射層2の材料としては、光の反射能に加えてヒートシンク(放熱)能を有するものを用いることが望ましい。こうすることで反射層2に放熱層としての機能を持たせることもできる。
【0026】
(第1の保護層、第3の保護層)
第1の保護層5、および第3の保護層3は無機記録層4を保護し、記録/再生時の光学特性および熱特性を制御するためのものである。第1の保護層5および第3の保護層3の少なくとも一方が、酸化インジウムを含む複合酸化物を主成分としている。第1の保護層5および第3の保護層3の少なくとも一方が、酸化インジウムと酸化スズとの複合酸化物(Indium Tin Oxide、以下ITOと適宜称する。)、酸化インジウムと酸化セリウムとの複合酸化物(Indium Cerium Oxide、以下ICOと適宜称する。)、または酸化インジウムと酸化ガリウムとの複合酸化物(Indium Gallium Oxide、以下IGOと適宜称する。)を主成分としていることが好ましい。このような構成にすることで、保存信頼性と高い生産性とを両立することができる。特に、第1の保護層5、および第3の保護層3の両方が、ITO、ICOまたはIGOを主成分としていることが好ましい。ITO、ICO、およびIGO以外の材料としては、SiN、ZnS−SiO2、Ta25など、従来公知の光ディスクにおいて一般的に使用可能な誘電体を用いることができる。第3の保護層3の平均厚さは、適切な反射率を得るために、好ましくは10nm〜40nm、より好ましくは20nm〜30nmである。第1の保護層5の平均厚さは、第2の保護層6と合せて、記録パワーマージン向上の観点から、11nm〜34nmであることが好ましく、より好ましくは16nm〜30nmである。
【0027】
酸化インジウムを含む複合酸化物は、以下の式(1)の組成を有することが好ましい。
[(In231-X(A)X] ・・・(1)
ただし、Aは、酸化スズ、酸化セリウムまたは酸化ガリウムであることが好ましい。良好な保存信頼性を得る観点からすると、Xは、好ましくは0.05≦X≦0.75、より好ましくは0.05≦X≦0.65、さらに好ましくは0.10≦X≦0.40である。
また、良好な保存信頼性を得ることができ、かつ、ノジュール耐性など生産性を向上する観点からすると、Aは、酸化セリウムまたは酸化ガリウムであることが好ましい。この場合、Xは、好ましくは0.15≦X≦0.75、より好ましくは0.15≦X≦0.65、さらに好ましくは0.15≦X≦0.40である。
【0028】
(第2の保護層)
第2の保護層6は保存信頼性をさらに向上させるためのものである。第2の保護層6としては、保存信頼性を損なう原因となる水分や酸素を通り難くする観点からすると、薄膜中に粒界が無いものが好ましい。このような材料としては、酸化チタン、酸化ジルコニウムまたは酸化スズを含む材料が好ましく、例えば、酸化チタン単体、酸化ジルコニウムと酸化シリコンと酸化インジウムとの複合酸化物(以下、SIZと適宜称する。)、または酸化スズと酸化タンタルとの複合酸化物(以下、TTOと適宜称する。)を主成分とする材料が好ましい。第2の保護層6の平均厚さは、2nm以上10nm以下の範囲内が好ましい。10nmを超えると、ITO、ICOまたはIGOより上記の材料はスパッタレートが低いため生産性が低下する傾向がある。一方で、2nm未満であると、保存信頼性の向上効果が低下する傾向がある。
【0029】
第2の保護層6が酸化チタンを含む場合、第2の保護層6の酸化チタンの含有量が、好ましくは40mol%以上100mol%以下、より好ましくは70mol%以上100mol%以下の範囲内である。このようにすることで、優れた保存信頼性を得ることができる。第2の保護層6が酸化チタンと酸化シリコンとの複合酸化物を主成分とする場合、下記式(2)を満たす組成を有することが好ましい。
(TiO2x(SiO21-x ・・・(2)
(ただし、xは、好ましくは0.4≦x≦1.0、より好ましくは0.7≦x≦1.0である。)
【0030】
第2の保護層6が酸化ジルコニウムを含む場合、第2の保護層6の酸化ジルコニウムの含有量が、好ましくは20mol%以上70mol%以下、より好ましくは20mol%以上50mol%以下の範囲内である。このようにすることで、優れた保存信頼性を得ることができる。第2の保護層6が酸化ジルコニウムと酸化シリコンと酸化インジウムとの複合酸化物を主成分とする場合、第2の保護層6が、下記式(3)を満たす組成を有することが好ましい。
(SiO2x(In23y(ZrO2z ・・・(3)
(ただし、x+y+z=1.0、xは、好ましくは0.1≦x≦0.6、より好ましくは0.2≦x≦0.5であり、yは、好ましくは0.2≦y≦0.7、より好ましくは0.3≦y≦0.6であり、zは、好ましくは0.2≦z≦0.7、より好ましくは0.2≦z≦0.5である。)
【0031】
第2の保護層6が酸化スズを含む場合、第2の保護層6の酸化スズの含有量が、好ましくは20mol%以上100mol%以下、より好ましくは40mol%以上100mol%以下の範囲内である。このようにすることで、優れた保存信頼性を得ることができる。第2の保護層がスズとタンタルとの複合酸化物を主成分とする場合、下記式(4)を満たす組成を有することが好ましい。
(Sn23x(Ta251-x ・・・(4)
(ただし、xは、好ましくは0.2≦x≦1.0、より好ましくは0.4≦x≦1.0である)
【0032】
(無機記録層)
無機記録層4は、追記型の無機記録層である。この無機記録層4は、例えば、ZnS、SiO2およびSbを主成分とし、必要に応じてZn、Ga、Te、V、Si、Ta、Ge、In、Cr、SnおよびTbからなる群から選択された少なくとも1つの元素をさらに含み、好適には、以下の式(5)の組成を有する。
[(ZnS)x(SiO21-xy(Sbz1-z1-y ・・・(5)
ただし、0<x≦1.0、0.3≦y≦0.7、0.8<z≦1.0であり、XはGa、Te、V、Si、Zn、Ta、Ge、In、Cr、SnおよびTbからなる群から選ばれた少なくとも1つの元素である。
【0033】
また、無機記録層4の平均厚さは、良好な記録再生特性を得る観点から、3nm以上40nm以下であることが好ましい。ZnS、SiO2およびSbを主成分とする無機記録層4は、記録前にはZnS、SiO2、Sbがアモルファス状態となっている。このような状態にある無機記録層4に対してレーザ光を照射すると、無機記録層4の中央部分にSbの結晶が形成され、その他の原子は界面近傍に集中する。これにより、光学定数(n:屈折率、k:減衰係数)が変化し、情報信号が記録される。このように中央部分にSbの結晶が形成された状態にある無機記録層4を、記録前のアモルファス状態に戻すことは困難であるため、前記無機記録層は追記型の無機記録層として用いられる。
【0034】
このように、無機記録層4がZnS、SiO2およびSbを主成分とし、好適には、上記式(5)の組成を有することで、記録された情報が初期のまま長期にわたって安定して保存され、信号再生時に再生用レーザ光によって信号が損なわれず、通常の長期保存によって変質せず書き込み特性が保存され、記録および/または再生用レーザ光に対して十分な感度と反応速度とが得られ、これによって広い線速や記録パワーにわたり良好な記録再生特性を得ることができる。
【0035】
無機記録層4の材料は、上述の材料に限定されるものではなく、従来公知の追記型光記録媒体において一般的に使用可能な無機記録材料を用いることも可能である。
【0036】
例えば、無機記録層4としては、例えば、Te、PdおよびO(酸素)を主成分とする相変化タイプの無機記録層を用いることができ、この無機記録層は、例えば、以下の式(6)の組成を有する。
(TexPd1-xy1-y ・・・・・(6)
ただし、0.7≦x≦0.9、0.3≦y≦0.7
また、無機記録層4としては、例えば、シリコン(Si)層と銅(Cu)合金層を積層してなる合金タイプの無機記録層、もしくは、Ge、BiおよびNを主成分とする無機記録層を用いることもできる。
【0037】
(光透過層)
光透過層6は、例えば、円環形状を有する光透過性シートと、この光透過性シートを基板1に対して貼り合わせるための接着層とから構成される。光透過性シートは、記録および/または再生に用いられるレーザ光に対して、吸収能が低い材料からなることが好ましく、具体的には透過率90パーセント以上の材料からなることが好ましい。光透過性シートの材料としては、例えばポリカーボネート樹脂材料、ポリオレフィン系樹脂(例えばゼオネックス(登録商標))が挙げられる。光透過性シートの厚さは、好ましくは0.3mm以下に選ばれ、より好ましくは3μm〜177μmの範囲内から選ばれる。接着層は、例えば紫外線硬化樹脂または感圧性粘着剤(PSA:Pressure Sensitive Adhesive)からなる。また、光透過層6が、UVレジンなどの感光性樹脂を硬化してなるレジンカバーから構成するようにしてもよい。レジンカバーの材料としては、例えば紫外線硬化型のアクリル系樹脂やウレタン系樹脂が挙げられる。
【0038】
光透過層6の厚さは、好ましくは10μm〜177μmの範囲内から選ばれ、例えば100μmに選ばれる。このような薄い光透過層6と、例えば0.85程度の高NA(numerical aperture)化された対物レンズとを組み合わせることによって、高密度記録を実現することができる。
【0039】
[追記型光記録媒体の製造方法]
次に、本発明の第1の実施形態に係る追記型光記録媒体の製造方法の一例について説明する。
【0040】
(基板の成形工程)
まず、一主面に凹凸面11が形成された基板1を成形する。基板1の成形の方法としては、例えば射出成形(インジェクション)法、フォトポリマー法(2P法:Photo Polymerization)などを用いることができる。
【0041】
(反射層の成膜工程)
次に、基板1を、例えばAg合金やAl合金を主成分として含むターゲットが備えられた真空チャンバー内に搬送し、真空チャンバー内を所定の圧力になるまで真空引きする。その後、真空チャンバー内にArガスなどのプロセスガスを導入しながら、ターゲットをスパッタリングして、基板1上に反射層2を成膜する。
【0042】
(第3の保護層の成膜工程)
次に、基板1を、例えばITO、ICOまたはIGOを主成分として含むターゲットが備えられた真空チャンバー内に搬送し、真空チャンバー内を所定の圧力になるまで真空引きする。その後、真空チャンバー内にArガスやO2ガスなどのプロセスガスを導入しながら、ターゲットをスパッタリングして、反射層2上に第3の保護層3を成膜する。スパッタリング法として、例えば高周波(RF)スパッタリング法、直流(DC)スパッタリング法を用いることができるが、特に直流スパッタリング法が好ましい。直流スパッタ法は高周波スパッタ法に比して成膜レートが高いため、生産性を向上することができるからである。
【0043】
(無機記録層の成膜工程)
次に、基板1を、例えばZnS、SiO2およびSbを主成分として含むターゲットが備えられた真空チャンバー内に搬送し、真空チャンバー内を所定の圧力になるまで真空引きする。その後、真空チャンバー内にArガスなどのプロセスガスを導入しながら、ターゲットをスパッタリングして、第3の保護層3上に無機記録層4を成膜する。
【0044】
(第1の保護層の成膜工程)
次に、基板1を、例えばITO、ICOまたはIGOを主成分として含むターゲットが備えられた真空チャンバー内に搬送し、真空チャンバー内を所定の圧力になるまで真空引きする。その後、真空チャンバー内にArガスやO2ガスなどのプロセスガスを導入しながら、ターゲットをスパッタリングして、無機記録層4上に第1の保護層5を成膜する。スパッタリング法として、例えば高周波(RF)スパッタリング法、直流(DC)スパッタリング法を用いることができるが、特に直流スパッタリング法が好ましい。直流スパッタ法は高周波スパッタ法に比して成膜レートが高いため、生産性を向上することができるからである。
【0045】
(第2の保護層の成膜工程)
次に、基板1を、例えば酸化チタン単体、SIZ、またはTTOを主成分として含むターゲットが備えられた真空チャンバー内に搬送し、真空チャンバー内を所定の圧力になるまで真空引きする。その後、真空チャンバー内にArガスやO2ガスなどのプロセスガスを導入しながら、ターゲットをスパッタリングして、第1の保護層5上に第2の保護層6を成膜する。スパッタリング法として、例えば高周波(RF)スパッタリング法、直流(DC)スパッタリング法を用いることができるが、特に直流スパッタリング法が好ましい。直流スパッタ法は高周波スパッタ法に比して成膜レートが高いため、生産性を向上することができるからである。
【0046】
(光透過層の形成工程)
次に、光透過層7を第2の保護層6上に形成する。光透過層7の形成方法としては、例えば、紫外線硬化樹脂(UVレジン)などの感光性樹脂を第2の保護層6上にスピンコートし、UV光などの光を感光性樹脂に照射することにより、光透過層7を形成するレジンコート法、光透過性シートを接着剤を用いて、基板1上の凹凸面11側に貼り合わせることにより、光透過層7を形成するシート接着法を用いることができる。また、このシート接着法としては、例えば、第2の保護層6上に塗布されたUVレジンなどの感光性樹脂を用いて、光透過性シートを基板1上の凹凸面11側に貼り合わせることにより、光透過層7を形成するシートレジン接着法、光透過性シートを、このシートの一主面に予め均一に塗布された感圧性粘着剤(PSA)を用いて、基板1上の凹凸面11側に貼り合わせることにより、光透過層7を形成するシートPSA接着法を用いることができる。以上の工程により、図1に示す追記型光記録媒体10が得られる。
【0047】
<変形例>
第3の保護層3と無機記録層4との間に蓄熱層をさらに備えるようにしてもよい。この場合、記録および/または再生用のレーザ光は蓄熱層とは反対の側から無機記録層4に照射されることになる。蓄熱層は、第3の保護層3に比して低い熱伝導率を有し、例えばZnS−SiO2などの誘電体材料を主成分としている。蓄熱層は、記録の際に発生した熱を無機記録層4内に留める蓄熱層として機能する。したがって、第3の保護層3と無機記録層4との間に蓄熱層を備えることで、熱を効率的に使うことができるようになり、追記型光記録媒体10を高記録感度化することができる。また、無機記録層4内に一旦熱を溜めてから、熱を無機記録層4内から、高熱伝導率を有する第3の保護層3、反射層2に逃がすことで、より正確なマークエッジを形成し、低ジッター、ワイドパワーマージンを得ることができる。但し、蓄熱層が厚すぎ、dh/(d1+dh)>0.95(但し、d1:第3の保護層の厚さ、dh:蓄熱層の厚さ)となると、無機記録層4内に熱がこもりすぎるために、マークエッジが揃わなくなりパワーマージンが狭くなる傾向がある。よって、dh/(d1+dh)≦0.95とすることが好ましい。蓄熱層の成膜方法としては、例えばスパッタリング法を用いることができる。
【0048】
なお、蓄熱層を設ける位置は、第3の保護層3と無機記録層4との間に限定されるものではなく、例えば、無機記録層4と第1の保護層5との間に蓄熱層を設けるようにしてもよい。このような構成とした場合、記録および/または再生用のレーザ光は蓄熱層の側から無機記録層4に照射されることになる。また、第3の保護層3と無機記録層4との間、および無機記録層4と第1の保護層5との間の両方に蓄熱層を設けるようにしてもよい。
【0049】
(2)第2の実施形態
図2は、本発明の第2の実施形態に係る追記型光記録媒体の一構成例を示す概略断面図である。なお、第1の実施形態に係る追記型光記録媒体と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。図2に示すように、第2の実施形態に係る追記型光記録媒体10は、反射層2の形成を省略し、反射率が低くても透過率が高くなるようにしている点において、第1の実施形態に係るものとは異なっている。消衰係数が非常に大きくかつ厚い反射層2が無いことで、記録再生レーザ光の波長に対する透過率が向上するので、第2の実施形態に係る追記型光記録媒体10は、高い透過率を必要とする場合に適している。さらに高い透過率を確保するために、一般的に消衰係数を有する無機記録層4は薄いほうが好ましく、例えば7nm〜14nmが好ましい。また、さらに反射率を小さくする必要がある場合には、第1の保護層5と第2の保護層6の合計厚さが20nm〜35nmであることが好ましい。
【0050】
(3)第3の実施形態
図3は、本発明の第3の実施形態に係る追記型光記録媒体の一構成例を示す概略断面図である。なお、第1の実施形態に係る追記型光記録媒体と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。図3に示すように、第3の実施形態に係る追記型光記録媒体10は、基板1上に、第1の記録層L0、中間層8、第2の記録層L1、光透過層7が順次積層された構成を有している。
【0051】
第1の記録層L0は、第1の実施形態の情報信号層と同様の構成を有している。すなわち、第1の記録層L0は、反射層2、第3の保護層3、無機記録層4、第1の保護層5、第2の保護層6をこの順序で積層した積層膜である。第2の記録層は、第2の実施形態の情報信号層と同様の構成を有している。すなわち、第2の記録層L1は、第3の保護層3、無機記録層4、第1の保護層5、第2の保護層6をこの順序で積層した積層膜である。
上述したように、第1の記録層L0、第2の記録層L1は、第1または第2の情報信号層と同様の構成を有するので、以下では、中間層8について説明する。
【0052】
(中間層)
中間層8は、第1の記録層L0と第2の記録層L1とを物理的および光学的に十分な距離をもって離間させる役割を果たし、その表面には凹凸面が設けられており、この凹凸面11上に第2の記録層L1が成膜される。以下では、凹凸面11のうち凹部をイングルーブGin、凸部をオングルーブGonと称する。
【0053】
このイングルーブGinおよびオングルーブGonの形状としては、例えば、スパイラル状、同心円状などの各種形状が挙げられる。また、イングルーブGinおよび/またはオングルーブGonが、例えば、アドレス情報を付加するためにウォブル(蛇行)されている。
【0054】
中間層8の厚みとしては5μm〜50μmに設定することが好ましく、10μm〜40μmに設定することが特に好ましい。中間層8の材料は特に限定されるものではないが、紫外線硬化性アクリル樹脂を用いることが好ましいい。また、中間層8は第1の記録層L0へのデータの記録および再生のためのレーザ光の光路となることから、十分に高い光透過性を有することが好ましい。
【0055】
<変形例>
第1の記録層L0において、第3の保護層3と無機記録層4との間、または無機記録層4と第1の保護層5との間に蓄熱層を設けるようにしてもよい。また、第3の保護層3と無機記録層4との間、および無機記録層4と第1の保護層5との間の両方に蓄熱層を設けるようにしてもよい。蓄熱層の材料および膜厚などは、上述の第1の実施形態と同様である。
【実施例】
【0056】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0057】
(層組成の分析方法)
本実施例、比較例および試験例では、各層の組成は、以下のようにして求めた。
まず、以下に示す各実施例、比較例および試験例と同一の成膜条件にて平坦な基板上に、組成を求める層(例えば第1または第2の保護層)を成膜し、サンプルを作製した。次に、誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)質量分析装置を使用し、ICP質量分析法によって層組成を調べた。
【0058】
(平均厚さの求め方)
本実施例、比較例および試験例では、各層の平均厚さは、以下のようにして求めた。
まず、以下に示す各実施例、比較例および試験例と同一の成膜条件にて平坦な基板上に、厚さを求める層を成膜し、サンプルを作製した。次に、FIB(Focused Ion Beam)によりサンプルを主面に対して垂直な方向にカットして断面を形成した。次に、TEM(Transmission Electron Microscope)を用いて、断面から層の厚さを測定した。この測定を10枚のサンプルで繰り返し行い、その測定値を単純に平均(算術平均)して平均厚さを求めた。
【0059】
本実施例、比較例および試験例について以下の順序で説明する。
1.第1の保護層および第3の保護層の組成についての検討
2.第2の保護層の材料についての検討
3.第2の保護層の平均厚さについての検討
4.第2の保護層の組成についての検討
4−1.第2の保護層の組成(TiO2x(SiO2yについての検討
4−2.第2の保護層の組成(SiO2x(In23y(ZrO2zについての検討
4−3.第2の保護層の組成(Sn23x(Ta25yについての検討
5.2層の追記型光記録媒体についての検討
6.第1の保護層および第3の保護層の生産性についての検討
【0060】
<1.第1の保護層および第3の保護層の組成についての検討>
(試験例1)
まず、射出成形により、厚さ1.1mmのポリカーボネート基板を成形した。なお、このポリカーボネート基板上には、イングルーブGinおよびオングルーブGonを有する凹凸面を形成した。
【0061】
次に、ポリカーボネート基板上に、反射層、第3の保護層、蓄熱層、無機記録層、第1の保護層をスパッタリング法により順次積層した。具体的な各層の構成は以下のようにした。
【0062】
反射層:Ag合金、80nm(平均厚さ)
第3の保護層:In23、14nm(平均厚さ)
蓄熱層:ZnS−SiO2、7nm
無機記録層:[(ZnS)80(SiO22040Sb60、18nm(平均厚さ)
第1の保護層:In23、17nm(平均厚さ)
【0063】
次に、スピンコート法により、紫外線硬化樹脂を第1の保護層上に均一塗布し、これに紫外線を照射して硬化させることにより、厚さ0.1mmを有する光透過層を形成した。以上により、目的とする追記型光記録媒体を得た。
【0064】
(試験例2)
第1の保護層および第3の保護層を(In2390(Ga2310により形成する以外のことは、試験例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。なお、第1の保護層および第3の保護層の材料は、In23およびGa23の2種類のターゲットを用いてコスパッタ法にて作製した。
【0065】
(試験例3)
第1の保護層および第3の保護層を(In2380(Ga2320により形成する以外のことは、試験例2と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0066】
(試験例4)
第1の保護層および第3の保護層を(In2360(Ga2340により形成する以外のことは、試験例2と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0067】
(試験例5)
第1の保護層および第3の保護層を(In2335(Ga2365により形成する以外のことは、試験例2と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0068】
(試験例6)
第1の保護層および第3の保護層を(In2320(Ga2380により形成する以外のことは、試験例2と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0069】
(試験例7)
試験例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0070】
(試験例8)
第1の保護層および第3の保護層を(In2390(CeO210により形成する以外のことは、試験例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。なお、第1の保護層および第3の保護層の材料は、In23およびCeO2の2種類のターゲットを用いてコスパッタ法にて作製した。
【0071】
(試験例9)
第1の保護層および第3の保護層を(In2385(CeO215により形成する以外のことは、試験例8と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0072】
(試験例10)
第1の保護層および第3の保護層を(In2360(CeO240により形成する以外のことは、試験例8と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0073】
(試験例11)
第1の保護層および第3の保護層を(In2340(CeO260により形成する以外のことは、試験例8と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0074】
(試験例12)
第1の保護層および第3の保護層を(In2320(Ga2380により形成する以外のことは、試験例8と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0075】
(試験例13)
試験例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0076】
(試験例14)
第1の保護層および第3の保護層を(In2390(Sn2310により形成する以外のことは、試験例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。なお、第1の保護層および第3の保護層の材料は、In23およびSn23の2種類のターゲットを用いてコスパッタ法にて作製した。
【0077】
(試験例15)
第1の保護層および第3の保護層を(In2380(Sn2320により形成する以外のことは、試験例14と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0078】
(試験例16)
第1の保護層および第3の保護層を(In2360(Sn2340により形成する以外のことは、試験例14と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0079】
(試験例17)
第1の保護層および第3の保護層を(In2340(Sn2360により形成する以外のことは、試験例14と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0080】
(試験例18)
第1の保護層および第3の保護層を(In2320(Sn2380により形成する以外のことは、試験例14と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0081】
(信号特性の評価)
上述のようにして得られた追記型光記録媒体の信号特性を、パルステック工業株式会社製のODU−1000を評価機として用いて以下のようにして評価した。
評価機においてレーザ光の波長を405nm、開口数NAを0.85とし、Blu-ray Disc 25GB密度の規格に即した4倍速の線速度19.68m/sで追記型光記録媒体に記録を行い、1倍速の4.92m/sで再生した。そして、パルステック工業株式会社製のイコライザーボードを通し、横河電機株式会社製のタイムインターバルアナライザー、TA720を用いてジッターを測定し、信号評価とした。その結果を表1および図4に示す。
ジッターは、好ましくは7.5%以下、より好ましくは7.0以下の範囲内である。ジッター7.5%以下と十分低いエラーレートとの間に相関があることがよく知られているからである。
【0082】
(保存信頼性の評価)
上述のようにして得られた追記型光記録媒体の信号特性の保存信頼性を以下のようにして評価した。
情報信号を記録した追記型光記録媒体を80℃85%RHの環境下に600時間保存後、シンボルエラーレート(SER)を観察した。情報信号の記録再生評価にはパイオニア社製Blu-ray Disc用ドライブ(BDR-101A)を用いた。その結果を表1および図5に示す。
SERは、好ましくは2.0×10-3以下、より好ましくは1.0×10-3以下、さらに好ましくは3.0×10-4以下の範囲内である。実用十分な保存信頼性は、一般的に保存試験後でエラーレートが破綻しない2×10-3以下を達することにより得られるからである。
【0083】
表1は、試験例1〜試験例18の追記型光記録媒体のジッター特性および保存信頼性特性を示す。
【表1】

【0084】
図4は、試験例1〜試験例18の追記型光記録媒体のジッター特性を示すグラフである。図5は、試験例1〜試験例18の追記型光記録媒体の保存信頼性特性を示すグラフである。図4および図5では、(In23x(Ga23y材料をIGO、(In23x(CeO2y材料をICO、(In23x(Sn23yをITOと表記している。
【0085】
上記評価結果から以下のことがわかる。
Ga23、CeO2またはSn23の添加量により、情報信号特性および保存信頼性特性が変化することがわかる。
SER2.0×10-3以下の特性を満たすためには、Ga23、CeO2またはSn23の添加量を5mol%以上75mol%以下の範囲内とすることが好ましいことがわかる。また、ジッター7.5%以下およびSER2.0×10-3以下の特性を満たすためには、Ga23、CeO2またはSn23の添加量を5mol%以上75mol%以下の範囲内とすることが好ましいことがわかる。なお、ジッター7.5%およびSER2.0×10-3は、上述したように光記録媒体の特性として好ましい上限値である。
SER1.0×10-3以下の特性を満たすためには、Ga23、CeO2またはSn23の添加量を5mol%以上65mol%以下の範囲内とすることが好ましいことがわかる。また、ジッター7.0%以下およびSER1.0×10-3以下の特性を満たすためには、Ga23、CeO2またはSn23の添加量を5mol%以上65mol%以下の範囲内とすることが好ましいことがわかる。
SER3.0×10-4以下の特性を満たすためには、Ga23、CeO2またはSn23の添加量を10mol%以上40mol%以下の範囲内とすることが好ましことがわかる。また、ジッター7.0%以下およびSER3.0×10-4以下の特性を満たすためには、Ga23、CeO2またはSn23の添加量を10mol%以上40mol%以下の範囲内とすることが好ましことがわかる。
Ga23、CeO2またはSn23の添加量が5mol%未満であると保存信頼性が悪化するのは、In23成分が多くなりすぎることで、In23膜の粒界から酸素や水分が記録膜に浸入したためと考えられる。一方、Ga23、CeO2またはSn23の添加量が75mol%を超えると良好な情報信号特性を得ることが困難になるのは、保護膜における添加材料の特性が強くなり、In23から得られる良好な情報信号特性が得られ難くなるためと考えられる。
【0086】
以上により、第1の保護層における酸化スズ、酸化セリウムまたは酸化ガリウムの含有量は、保存信頼性特性の向上、または情報信号特性および保存信頼性特性の向上の観点から、好ましくは5mol%以上75mol%以下、より好ましくは5mol%以上65mol%以下、さらに好ましくは10mol%以上40mol%以下の範囲内である。これを組成式で表すと、[(In231-X(A)X](Aは酸化スズ、酸化セリウムまたは酸化ガリウムであり、Xは、好ましくは0.05≦X≦0.75、より好ましくは0.05≦X≦0.65、さらに好ましくは0.10≦X≦0.40である。)
【0087】
<2.第2の保護層の材料についての検討>
(実施例1)
まず、射出成形により、厚さ1.1mmのポリカーボネート基板を成形した。なお、このポリカーボネート基板上には、グルーブを有する凹凸面を形成した。次に、ポリカーボネート基板上に、第3の保護層、無機記録層、第1の保護層、第2の保護層をスパッタリング法により順次積層した。具体的な各層の構成は以下のようにした。
【0088】
第3の保護層:ITO、8nm(平均厚さ)
無機記録層:[(ZnS)80(SiO22040Sb60、11nm(平均厚さ)
第1の保護層:ITO、19nm(平均厚さ)
第2の保護層:TiO2、10nm(平均厚さ)
各膜ともにターゲットサイズはφ200mmとした。第1の保護層または第3の保護層であるITO層は、Ar+O2雰囲気中にてITOターゲットをDCスパッタリングして成膜した。無機記録層である[(ZnS)80(SiO22040Sb60層は、Ar雰囲気中にて[(ZnS)80(SiO22040Sb60ターゲットをRFスパッタリングして成膜した。第2の保護層であるTiO2層は、Ar+O2雰囲気中にてTiO2ターゲットをDCスパッタリングにて成膜した。
【0089】
次に、スピンコート法により、紫外線硬化樹脂を第2の保護層上に均一塗布し、これに紫外線を照射して硬化させることにより、厚さ0.1mmを有する光透過層を形成した。
以上により、目的とする追記型光記録媒体を得た。
【0090】
(実施例2)
第2の保護層を酸化ジルコニウムと酸化インジウムと酸化シリコンとの複合酸化物(SIZ)により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0091】
(実施例3)
第2の保護層を酸化スズと酸化タンタルとの複合酸化物(TTO)により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0092】
(実施例4)
第1の保護層を酸化インジウムと酸化セリウムとの複合酸化物(ICO)により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0093】
(実施例5)
第1の保護層を酸化インジウムと酸化ガリウムとの複合酸化物(IGO)により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0094】
(比較例1)
第2の保護層の形成を省略する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0095】
(比較例2)
第2の保護層を酸化クロムと酸化インジウムと酸化亜鉛との複合酸化物(以下、CIZと称する。)により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0096】
(比較例3)
第2の保護層を酸化アルミニウムと酸化亜鉛との複合酸化物(以下、AZOと称する。)により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0097】
(比較例4)
第1の保護層を窒化シリコン(SiN)により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0098】
(比較例5)
第1の保護層を酸化アルミニウム(Al23)により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0099】
(保存信頼性の評価)
上述のようにして得られた追記型光記録媒体の保存信頼性を、パルステック工業株式会社製のODU−1000を評価機として用いて以下のようにして評価した。
まず、評価機においてレーザ光の波長は405nm、開口数NAは0.85とし、Blu-ray Disc 25GB密度の規格に即した2倍速の線速度9.84m/sで追記型光記録媒体に記録を行い、1倍速の4.92m/sで再生してエラーレート(以下初期エラーレートと称する。)を評価した。次に、追記型光記録媒体を80℃85%RHの環境下に400時間投入した後、エラーレート(以下保存後エラーレートと称する。)を評価した。次に、保存試験前後のエラーレート比((保存後のエラーレート)/(初期エラーレート))を算出し、評価ツールとした。それらの結果を表2に示す。
保存試験後でエラーレートは、好ましくは2.0×10-3以下、より好ましくは1.0×10-3以下、さらに好ましくは3.0×10-4以下の範囲内である。実用十分な保存信頼性は、一般的に保存試験後でエラーレートが破綻しない2×10-3以下を達することにより得られるからである。
保存試験前後のエラーレート比は、製品として所望の特性を得るためには、好ましくは1.80以下、より好ましくは1.30以下、さらに好ましくは1.10以下の範囲内である。ここでは、上記保存試験後のエラーレート(2×10-3以下)よりもさらに高い保存信頼性の判定を行うために、保存試験前後のエラーレート比を評価ツールとしてさらに用い、測定誤差も考慮して1.30以下としている。
【0100】
表2は、実施例1〜実施例5および比較例1〜比較例6の追記型光記録媒体の保存信頼性の評価結果を示す。
【表2】

【0101】
表2から以下のことが分かる。
初期のエラーレートは第1の保護層や第2の保護層の材料に関わらず良好であるが、保存試験後のエラーレートは第1の保護層や第2の保護層の材料により大きく異なる。すなわち、第2の保護層を形成せず、第1の保護層の材料にITOを用いた比較例1、第2の保護層の材料にSiN、CIZまたはAZOを用いた比較例2〜比較例4では、保存試験後のエラーレートが大幅に悪化する。これに対して、第1の保護層の材料としてITO、ICO、IGOを用い、第2の保護層の材料にTiO2、SIZまたはTTOを用いた実施例1〜実施例3では、保存試験後のエラーレートの増加が大幅に抑制されている。また、第2の保護層の材料としてTiO2を用い、第1の保護層の材料としてSiNまたはAl23を用いた比較例5〜比較例6では、保存試験後のエラーレートの大幅な悪化が見られる。これに対して、第2の保護層の材料としてTiO2を用い、第1の保護層の材料としてITO、ICOまたはIGOを用いた実施例1および実施例4〜実施例5では、保存試験後のエラーレートの増加が大幅に抑制されている。
【0102】
したがって、第1の保護層にITO、IGOまたはICOを用いると実用的な高い保存信頼性が得られ、さらに第1の保護層に隣接する第2の保護層にTiO2、SIZ、TTOを用いることにより、さらに高い保存信頼性が得られる。実施例2の第2の保護層で用いたSIZは一般的にその薄膜はアモルファスでかつ粒界が少ないものと言われており、その粒界が少ないことから外部からの酸素や水分の浸入がし難いと考えられる。同様に保存信頼性に効果のあった、TiO2やTTOも粒界の少ない膜質であると推測できる。一方、粒界が非常に発生しやすいとされている酸化亜鉛を含む材料であるCIZまたはAZOを用いた比較例3および比較例4では、その保存試験後のエラーレートが非常に悪化しており、粒界からの酸素や水分の進入が大きく、そのため保存信頼性が非常に悪くなったと推測できる。
【0103】
以上により、無機記録層の少なくとも一方の面に、酸化インジウムを含む第1の保護層を形成し、この第1の保護層に隣接して、酸化チタン、酸化ジルコニウム、または酸化スズを含む第2の保護層を形成することで、高い保存信頼性が得られることがわかる。
【0104】
<3.第2の保護層の平均厚さについての検討>
(実施例6)
第2の保護層の平均厚さを2nmへ変更した以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0105】
(実施例7)
第2の保護層の平均厚さを4nmへ変更した以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0106】
(実施例8)
第2の保護層の平均厚さを7nmへ変更した以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0107】
(実施例9)
第2の保護層の平均厚さを10nmへ変更した以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0108】
(実施例10)
第2の保護層の平均厚さを15nmへ変更した以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0109】
(比較例7)
第2の保護層の平均厚さを0nmへ変更した以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0110】
(保存信頼性の評価)
上述のようにして得られた追記型光記録媒体の保存信頼性を、実施例1〜5および比較例1〜6と同様にして評価した。その結果を表3および図6に示す。
【0111】
図6は、実施例6〜実施例10、比較例7の追記型光記録媒体の保存信頼性を示すグラフである。
表3は、実施例6〜実施例10、比較例7の追記型光記録媒体の保存試験前後のエラーレートおよびその比率の評価結果を示す。
【表3】

【0112】
表2および図6から以下のことがわかる。
第2の保護層を厚くするほどエラーレート比が小さくなる傾向がある、つまり保存信頼性が良くなる傾向があることから、保存信頼性の観点からは第2の保護層は厚いほうが好ましい。具体的には、第2の保護層の平均厚さを2nm以上にすると、エラーレート比を1.30以下とすることができ、第2の保護層の平均厚さを7nm以上にすると、エラーレート比を1.10以下とすることができる。
一方、第2の保護層に保存信頼性の観点から好ましい材料であるTiO2やSIZ、TTOは第1の保護層で好ましい材料であるITO、ICO、IGOよりスパッタレートが低いために、生産性の観点か第2の保護層は薄いほうが好ましい。
この保存信頼性と生産性のトレードオフから、第2の保護層の平均厚さは、好ましくは2nm〜10nm、より好ましくは7nm〜10nmの範囲内である。
【0113】
<4.第2の保護層の組成についての検討>
<4−1.第2の保護層の組成(TiO2x(SiO2yについての検討>
(実施例11)
第2の保護層を(TiO230(SiO270により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0114】
(実施例12)
第2の保護層を(TiO250(SiO250により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0115】
(実施例13)
第2の保護層を(TiO270(SiO230により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0116】
(実施例14)
実施例1と同様にして、第2の保護層がTiO2からなる追記型光記録媒体を得た。
【0117】
(比較例7)
第2の保護層をSiO2により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0118】
(保存信頼性の評価)
上述のようにして得られた追記型光記録媒体の保存信頼性を、実施例1〜5および比較例1〜6と同様にして評価した。その結果を表4および図7に示す。
【0119】
図7は、実施例11〜実施例14、比較例8の追記型光記録媒体の保存信頼性を示すグラフである。
表4は、実施例11〜実施例14、比較例8の追記型光記録媒体の保存試験前後のエラーレートおよびその比率の評価結果を示す。なお、表4には、実施例11〜実施例14、比較例8の評価結果と比較するために、ITOを含む単層の保護層を用いた比較例1の評価結果も示す。
【表4】

【0120】
表4および図7から以下のことがわかる。
酸化チタンを第2の保護層に含有させることで、エラーレート比を低減することができる。また、第2の保護層の酸化チタンの含有量を増加させるに従って、エラーレート比が低下する傾向がある。
酸化チタンの含有量を40mol%以上にすると、エラーレート比を1.30以下にすることができ、さらに酸化チタンの含有量を増やして70mol%以上にすると、エラーレート比を1.10以下にすることができる。
【0121】
以上により、保存信頼性を向上する観点からすると、第2の保護層に酸化チタンを含有させることが好ましい。また、その含有量は、好ましくは40mol%以上100mol%以下、より好ましくは70mol%以上100mol%以下である。
【0122】
<4−2.第2の保護層の組成(SiO2x(In23y(ZrO2zについての検討>
(実施例15)
第2の保護層を(SiO260(In2320(ZrO220により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0123】
(実施例16)
第2の保護層を(SiO210(In2370(ZrO220により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0124】
(実施例17)
第2の保護層を(SiO210(In2320(ZrO270により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0125】
(実施例18)
第2の保護層を(SiO250(In2330(ZrO220により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0126】
(実施例19)
第2の保護層を(SiO220(In2360(ZrO220により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0127】
(実施例20)
第2の保護層を(SiO220(In2330(ZrO250により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0128】
(実施例21)
第2の保護層を(SiO235(In2335(ZrO230により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0129】
(実施例22)
第2の保護層を(SiO225(In2350(ZrO225により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0130】
(実施例23)
第2の保護層を(SiO230(In2320(ZrO250により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0131】
(実施例24)
第2の保護層を(SiO210(In2350(ZrO240により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0132】
(実施例25)
第2の保護層を(SiO280(In2310(ZrO210により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0133】
(実施例26)
第2の保護層を(SiO240(In2350(ZrO210により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0134】
(実施例27)
第2の保護層を(SiO210(In2380(ZrO210により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0135】
(実施例28)
第2の保護層を(In2350(ZrO250により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0136】
(実施例29)
第2の保護層を(SiO210(In2310(ZrO280により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0137】
(実施例30)
第2の保護層を(SiO240(In2310(ZrO250により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0138】
(保存信頼性の評価)
上述のようにして得られた追記型光記録媒体の保存信頼性を、実施例1〜実施例5および比較例1〜比較例6と同様にして評価した。その結果を表5および図8に示す。
【0139】
図8は、実施例15〜実施例30の追記型光記録媒体の第2の保護層を構成するSIZの組成を示す図である。図8中にて、実施例15〜実施例30に対応する組成を「●」印、「○」印、および「□」印により示している。
表5は、実施例15〜実施例30の追記型光記録媒体の保存試験前後のエラーレートおよびその比率の評価結果を示す。
【表5】

【0140】
表5および図8から以下のことがわかる。
A、B、Cの「●」印にて形成される三角形の領域に、第2の保護層のSIZの組成がある場合には、エラーレート比を1.30以下にすることができる。ここで、A、B、Cの「●」印にて形成される三角形の領域は、(SiO2x(In23y(ZrO2z(ただし、10≦x≦60、20≦y≦70、20≦z≦70、x+y+z=100)により表される。
D、E、Fの「●」印にて形成される三角形の領域に、第2の保護層のSIZの組成がある場合には、エラーレート比を1.10以下にすることができる。ここで、D、E、Fの「●」印にて形成される三角形の領域は、(SiO2x(In23y(ZrO2z(ただし、20≦x≦50、30≦y≦60、20≦z≦50、x+y+z=100)により表される。
【0141】
以上により、保存信頼性を向上する観点からすると、第2の保護層が(SiO2x(In23y(ZrO2z(ただし、xは、好ましくは10≦x≦60、より好ましくは20≦x≦50、yは、好ましくは20≦y≦70、より好ましくは30≦y≦60、zは、好ましくは20≦z≦70、より好ましくは20≦z≦50である)を主成分とすることが好ましい。
【0142】
<4−3.第2の保護層の組成(Sn23x(Ta25yについての検討>
(実施例31)
第2の保護層を(Sn2320(Ta2580により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0143】
(実施例32)
第2の保護層を(Sn2330(Ta2570により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0144】
(実施例33)
第2の保護層を(Sn2350(Ta2550により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0145】
(実施例34)
第2の保護層を(Sn2370(Ta2530により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0146】
(実施例35)
第2の保護層をSn23により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0147】
(比較例9)
第2の保護層をTa25により形成する以外のことは、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を得た。
【0148】
(保存信頼性の評価)
上述のようにして得られた追記型光記録媒体の保存信頼性を、実施例1〜実施例5および比較例1〜実施例6と同様にして評価した。その結果を表6および図9に示す。
【0149】
図9は、実施例31〜実施例35、および比較例9の追記型光記録媒体の保存信頼性を示すグラフである。
表6は、実施例31〜実施例35、比較例9の追記型光記録媒体の保存試験前後のエラーレートおよびその比率の評価結果を示す。
【表6】

【0150】
表6および図9から以下のことがわかる。
酸化スズを第2の保護層に含有させることで、エラーレート比を低減することができる。また、第2の保護層の酸化チタンの含有量を増加させるに従って、エラーレート比が低下する傾向がある。
酸化スズの含有量を20mol%以上にすると、エラーレート比を1.30以下にすることができ、さらに酸化スズの含有量を増やして40mol%以上にすると、エラーレート比を1.10以下にすることができる。
【0151】
以上により、保存信頼性を向上する観点からすると、第2の保護層に酸化スズを含有させることが好ましい。また、その含有量は、好ましくは20mol%以上100mol%以下、より好ましくは40mol%以上100mol%以下である。
【0152】
<5.2層の追記型光記録媒体についての検討>
(実施例32)
射出成形により厚さ1.1mmのポリカーボネート基板を成形した。なお、このポリカーボネート基板上には、グルーブを有する凹凸面を形成した。次に、ポリカーボネート基板上に、反射層、第3の保護層、蓄熱層、無機記録層、第1の保護層、第2の保護層をスパッタリング法により順次積層して第1の記録層(L0層)を形成した。具体的な各層の構成は以下のようにした。
【0153】
反射層:Ag合金、80nm(平均厚さ)
第3の保護層:ITO、15nm(平均厚さ)
蓄熱層:ZnS−SiO2、12nm(平均厚さ)
無機記録層:[(ZnS)80(SiO22040Sb60、19nm(平均厚さ)
第1の保護層:ITO、13nm(平均厚さ)
第2の保護層:TiO2、5nm(平均厚さ)
各層ともにターゲットサイズはφ200mmとした。反射層であるAg合金層はAgを主成分としてNdCuを添加したターゲットをAr雰囲気中にてDCスパッタリングして成膜した。第1の保護層または第3の保護層であるITO層はAr+O2雰囲気中にてITOターゲットをDCスパッタリングして成膜した。蓄熱層であるZnS−SiO2層はAr雰囲気中でZnS−SiO2ターゲットをRFスパッタリングして成膜した。無機記録層である[(ZnS)80(SiO22040Sb60層は、Ar雰囲気中にて[(ZnS)80(SiO22040Sb60ターゲットをRFスパッタリングして成膜した。第2の保護層であるTiO2層はAr+O2雰囲気中にてTiO2ターゲットをDCスパッタリングして成膜した。
【0154】
次に、第1の記録層が形成されたポリカーボネート基板をスピンコート装置にセットし、回転させながら、第1の記録層上にアクリル系紫外線硬化性樹脂を滴下し、これをスピンコートして樹脂層を形成した。次に、第1の記録層上にスピンコートされた樹脂層の表面にグルーブおよびランドを有するスタンパを載置し、このスタンパを介して樹脂層に紫外線を照射することによって樹脂層を硬化させた後、スタンパを剥離した。これにより、第2の記録層用の凹凸面であるグルーブを持つ厚さ25μmの中間層を形成した。
【0155】
次に、中間層上に、第3の保護層、無機記録層、第1の保護層、第2の保護層をスパッタリング法により順次積層し、第2の記録層(L1層)を形成した。具体的な各層の構成は以下のようにした。
【0156】
第3の保護層:ITO、8nm(平均厚さ)
無機記録層:[(ZnS)80(SiO22040Sb60、11nm(平均厚さ)
第1の保護層:ITO、19nm(平均厚さ)
第2の保護層:TiO2、10nm(平均厚さ)
各層ともにターゲットサイズはφ200mmとした。第1の保護層または第3の保護層であるITO層はAr+O2雰囲気中にてITOターゲットをDCスパッタリングして成膜した。無機記録層である[(ZnS)80(SiO22040Sb60層は、Ar雰囲気中にて[(ZnS)80(SiO22040Sb60ターゲットをRFスパッタリングして成膜した。第2の保護層であるTiO2層はAr+O2雰囲気中にてTiO2ターゲットをDCスパッタリングして成膜した。
【0157】
次に、スピンコート法により、紫外線硬化樹脂を第2の記録層の第2の保護層上に均一塗布し、これに紫外線を照射して硬化させることにより、厚さ75μmmを有する光透過層を形成した。以上により、目的とする2層の追記型光記録媒体を得た。
【0158】
(保存信頼性の評価)
上述のようにして得られた2層の追記型光記録媒体の保存信頼性を、実施例1〜実施例5および比較例1〜比較例6と同様にして評価した。その結果、第1の記録層において、初期と保存試験後のそれぞれのエラーレートは4.67×10-5、5.14×10-5であり、その保存試験前後のエラーレートの比は1.10で良好な結果であった。一方、第2の記録層において、初期と保存試験後のそれぞれのエラーレートは4.11×10-5、4.36×10-5であり、その保存試験前後のエラーレートの比は1.05で良好な結果であった。
【0159】
これより、中間層を介した2層の追記型光記録媒体においても、ITOを主成分とする第1の保護層と、TiO2を主成分とする第2の保護層とを組み合わせることでの非常に高い保存信頼性を有することが確認できた。また、ICOまたはIGOを主成分とする第1の保護層と、SIZまたはSTOを主成分とする第2の保護層とを組み合わせた場合にも同様に、非常に高い保存信頼性を実現できると考えられる。
【0160】
<6.第1の保護層および第3の保護層の生産性についての検討>
第1の保護層および第3の保護層の材料の生産性検討するにあたり、直流(DC)スパッタ対応とノジュールの発生度合いを観察した。DCスパッタできるか否かは保護層のターゲット材料の導電性により、導電性が良いとDCスパッタリングが出来るが、導電性がない材料の場合には交流(RF)スパッタを選択することとなる。つまり、RFスパッタは材料の導電性に関係なく成膜可能となるが、一般的にDCスパッタと比較するとスパッタレートが遅いので、保護層のような数十nmの膜厚を成膜する場合には、複数のカソードで分割して成膜することとなる。その場合、分割した分カソードが必要になるだけでなくRFスパッタは構造が複雑なために設備が高価になることから、非常にコストが増大するという生産性の悪化の問題であるので、生産性を考慮するとDCスパッタリングが好ましい。また、ノジュールとはターゲット表面微小な突起物であり、高抵抗物質を起点とした掘れ残りとされている。さらにそのノジュールが進むとそのまわりで絶縁破壊を生じ、それが粉状になってシールドやディスクに付着する。ディスクに粉が付着した箇所は、再生レーザのガイド溝を覆ってしまうことで、トラッキングサーボ欠陥としてディスク不良とされる。そのディスク不良が増加したときには、生産を停止してターゲット表面のノジュールを除去する必要があり、稼働率の低下、つまり生産性の悪化の原因となるので、ノジュールの少ないターゲット材料が好ましい。
【0161】
(試験例19)
酸化ガリウム20mol%添加した酸化インジウム((In2380(Ga2320、以下IGO20)ターゲットをOerlicon社製DVD-Sprinter成膜装置に取り付け、その真空チャンバー内を5×10-7Torrまで真空引きをし、その真空チャンバー内にArガス30sccmおよびO2ガス2sccmの混合ガス導入し成膜圧力を0.5mTorrとした。その後、直流(DC)スパッタ2kWでIGO20ターゲットをスパッタリングした。なお、DC電源にはAdvanced Energy社製のPinnacle plusを用い、ターゲットにはΦ200mm×厚さ6mmを用いた。このIGO20ターゲットはDCで成膜可能であり、ITO同様に約7nm/sの良好なスパッタレートが得られた。また、その30kWh使用後のノジュールの発生状況を確認した。30kWh使用後のターゲット上の非エロージョン部に発生したノジュールの1cm2あたりの面積占有率をノジュール発生度合いとし、0.2以下の場合を「○」印、0.2以上の場合を「×」印とした。ノジュール発生度合いが0.2以下であればターゲットライフ最後まで作業なしに安定的に生産可能であった。ノジュール発生度合いが0.7以上である場合には、ターゲットライフエンドの前に生産を止めて表面清掃が必要で生産性を悪くする。このIGO20ターゲットのノジュール発生度合いは0.1であり、表7のとおり「○」印と判定した。よって、DCスパッタ対応も可能であり、ノジュール判定も共に「○」印であることより、非常に生産性が良好であるターゲット材料であることが分かった。
【0162】
(試験例20)
ターゲット材料を酸化ガリウム50mol%添加した酸化インジウム((In2350(Ga2350、以下IGO50)とした以外は、試験例19と同様にテストを行った。表7のとおり、IGO50ターゲットではDCスパッタ可能であり、かつノジュール発生度合いは0.2であり、非常に良好な結果であった。
【0163】
(試験例21)
ターゲット材料を酸化セリウム15mol%添加した酸化インジウム((In2385(CeO215、以下ICO15)とした以外は、試験例19と同様にテストを行った。表7のとおり、ICO15ターゲットではDCスパッタ可能であり、かつノジュール発生度合いは0.0であり、非常に良好な結果であった。
【0164】
(試験例22)
ターゲット材料を酸化セリウム50mol%添加した酸化インジウム((In2350(CeO250、以下ICO50)とした他は、試験例19と同様にテストを行った。表7のとおり、ICO50ターゲットではDCスパッタ可能であり、かつノジュール発生度合いは0.1であり、非常に良好な結果であった。
【0165】
(試験例23)
ターゲット材料を酸化スズ10mol%添加した酸化インジウム(ITO)とした以外は、試験例19と同様にテストを行った。表7のとおり、ITOターゲットではDCスパッタ可能であったが、ノジュール発生度合いは0.5と悪く、ノジュール判定は×であった。このITOターゲットを生産に使用した場合には、ターゲットライフまでに数回のノジュール除去作業が必要になり、そのぶん稼働率の低下つまり生産性が悪かった。
【0166】
(試験例24)
ターゲット材料を酸化ガリウム10mol%添加した酸化インジウム((In2390(Ga2310、以下IGO10)とした以外は、試験例19と同様にテストを行った。表7のとおり、IGO10ターゲットではDCスパッタ可能であったが、ノジュール発生度合いが0.5と悪かった。
【0167】
(試験例25)
ターゲット材料を酸化セリウム5mol%添加した酸化インジウム((In2395(CeO25ICO5)とした以外は、試験例19と同様にテストを行った。表7のとおり、ICO5ターゲットではDCスパッタ可能であったが、ノジュール発生度合いが0.4と悪かった。
【0168】
(試験例26)
ターゲット材料を酸化インジウム(In23)とした以外は、試験例19と同様にテストを行った。表7のとおり、In23ターゲットではDCスパッタ不可能であり、ノジュール発生度合いも0.8と悪かった。
【0169】
(試験例27)
ターゲット材料を酸化ガリウム(Ga23)とした以外は、試験例19と同様にテストを行った。表7のとおり、Ga23ターゲットではDCスパッタ不可能であった。
【0170】
(試験例28)
ターゲット材料を酸化セリウム(CeO2)とした以外は、試験例19と同様にテストを行った。表7のとおり、CeO2ターゲットではDCスパッタ不可能であった。
【0171】
表7は、試験例19〜試験例28のDCスパッタ対応およびノジュール判定の結果を示す。
【表7】

【0172】
以上の試験例19〜試験例28から、ITOターゲットや酸化ガリウムや酸化セリウム添加量が少ないIGOターゲット、ICOターゲットではノジュールが発生しやすくなる傾向にある。一方、複合酸化物ではない単体の酸化インジウム、酸化ガリウムおよび酸化セリウムでは、DCスパッタリングが不可能でスパッタレートが遅く、生産性が劣る傾向にある。よって、第1の保護層や第3の保護層の材料には複合酸化物が好ましく、その酸化ガリウムや酸化セリウムの添加量は15mol%以上であることが好ましい。また、添加する酸化ガリウムや酸化セリウムの量が多すぎると、スパッタレートが低下するため、ノジュールが出来難い程度に添加量を少なくすることが好ましい。この点を考慮すると、酸化ガリウムや酸化セリウムの添加量は75mol%以下であることが好ましい。
【0173】
上述の試験例1〜試験例18と試験例19〜試験例28との結果を総合すると、保存信頼性特性、およびノジュール耐性など生産性の観点から、第1の保護層および/または第2の保護層の酸化ガリウム、酸化セリウムまたは酸化スズの含有量は、好ましくは15mol%以上75mol%以下、より好ましくは15mol%以上65mol%以下、さらに好ましくは15mol%以上40mol%以下である。これを組成式で表すと、[(In231-X(A)X](Aは酸化セリウムまたは酸化ガリウムであり、Xは、好ましくは0.15≦X≦0.75、より好ましくは0.15≦X≦0.65、さらに好ましくは0.15≦X≦0.40である。)
【0174】
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0175】
例えば、上述の実施形態において挙げた数値、材料、構造、形状などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値、材料、構造、形状を用いてもよい。
【0176】
また、上述の実施形態および実施例の各構成は、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【0177】
また、上述の実施形態および実施例では、単層の無機記録層を有する追記型光記録媒体に対して本発明を適用した例について説明したが、本発明は3層以上の無機記録層を有する追記型光記録媒体に対しても適用可能である。
【0178】
また、上述の実施形態および実施例では、無機記録層上に光透過層を有し、この光透過層側からレーザ光を無機記録層に照射することにより情報信号の記録または再生が行われる追記型光記録媒体に対して本発明を適用した場合を例として説明したが、本発明はこの例に限定されるものではない。例えば、基板上に無機記録層を有し、基板側からレーザ光を無機記録層に照射することにより情報信号の記録または再生が行われる追記型光記録媒体、または2枚の基板を貼り合わせてなり、一方の基板の側からレーザ光を基板間の無機記録層に照射することにより情報信号の記録または再生が行われる追記型光記録媒体に対しても本発明は適用可能である。
【0179】
また、上述の実施形態および実施例では、スパッタリング法により追記型光記録媒体の各層を形成する場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、他の成膜方法を用いてもよい。他の成膜方法としては、例えば、熱CVD、プラズマCVD、光CVDなどのCVD法(Chemical Vapor Deposition(化学蒸着法):化学反応を利用して気相から薄膜を析出させる技術)のほか、真空蒸着、プラズマ援用蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどのPVD法(Physical Vapor Deposition(物理蒸着法):真空中で物理的に気化させた材料を基板上に凝集させ、薄膜を形成する技術)などを用いることができる。
【0180】
また、上述の実施形態および実施例では、追記型光記録媒体に対して本発明を適用した場合を例として説明したが、本発明は書換型光記録媒体に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0181】
1 基板
2 反射層
3 第3の保護層
4 無機記録層
5 第1の保護層
6 第2の保護層
7 光透過層
8 中間層
10 追記型光記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機記録層と、
上記無機記録層の少なくとも一方の面に設けられた、酸化インジウムを含む第1の保護層と、
上記第1の保護層に隣接した、酸化チタン、酸化ジルコニウム、または酸化スズを含む第2の保護層と
を備える光記録媒体。
【請求項2】
上記第1の保護層は、酸化インジウムと、酸化スズ、酸化セリウム、または酸化ガリウムとの複合酸化物を主成分とする請求項1記載の光記録媒体。
【請求項3】
上記第2の保護層の酸化チタンの含有量が、40mol%以上100mol%以下である請求項1〜2のいずれか1項に記載の光記録媒体。
【請求項4】
上記第2の保護層の酸化ジルコニウムの含有量が、20mol%以上70mol%以下である請求項1〜2のいずれか1項に記載の光記録媒体。
【請求項5】
上記第2の保護層の酸化スズの含有量が、20mol%以上100mol%以下である請求項1〜2のいずれか1項に記載の光記録媒体。
【請求項6】
上記第2の保護層は、酸化チタン、酸化ジルコニウムと酸化シリコンと酸化インジウムとの複合酸化物、または酸化スズと酸化タンタルとの複合酸化物を主成分とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の光記録媒体。
【請求項7】
上記第2の保護層の平均厚さが、2nm以上10nm以下の範囲内である請求項1〜6のいずれか1項に記載の光記録媒体。
【請求項8】
上記第1の保護層は、酸化インジウムを含む複合酸化物を主成分とし、
上記複合酸化物を[(In231-X(A)X]としたときに、Aは酸化スズ、酸化セリウムまたは酸化ガリウムであり、Xは0.05≦X≦0.75の範囲を満たす請求項1〜7のいずれか1項に記載の光記録媒体。
【請求項9】
上記第1の保護層は、酸化インジウムを含む複合酸化物を主成分とし、
上記複合酸化物を[(In231-X(A)X]としたときに、Aは酸化セリウムまたは酸化ガリウムであり、Xは0.15≦X≦0.75の範囲を満たす請求項1〜7のいずれか1項に記載の光記録媒体。
【請求項10】
上記無機記録層が、ZnS、SiO2およびSbを主成分とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の光記録媒体。
【請求項11】
上記無機記録層が、Ga、Te、V、Si、Zn、Ta、Ge、In、Cr、SnおよびTbからなる群から選ばれた少なくとも1つの元素をさらに含む請求項10記載の光記録媒体。
【請求項12】
上記無機記録層が、下記式(1)を満たす組成を有する請求項11記載の光記録媒体。
[(ZnS)x(SiO21-xy(Sbz1-z1-y ・・・・・(1)
(ただし、0<x≦1.0、0.3≦y≦0.7、0.8<z≦1.0であり、XはGa、Te、V、Si、Zn、Ta、Ge、In、Cr、SnおよびTbからなる群から選ばれた少なくとも1つの元素である。)
【請求項13】
上記無機記録層の平均厚さが、3nm以上40nm以下である請求項12記載の光記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−22758(P2012−22758A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161092(P2010−161092)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】