光走査装置の駆動制御装置
【課題】ミラー部の走査振幅を変更するに際しオーバーシュートを発生することなく短時間で速やかに収束させることが可能な制御性の良い光走査装置の駆動制御装置を提供する。
【解決手段】比較部15においてエラー信号e1が発生すると、振幅レベル調整部12は、目標振幅レベルに相当する補正電圧V3より大きな振幅レベルに相当する加速用補正電圧V1と目標振幅レベルに相当する補正電圧より小さな振幅レベルに相当する減速用補正電圧V2のうち少なくともいずれかを生成してエラー信号e1の増減値を打ち消すように駆動回路13へ所定時間出力するフィードバック制御を行なう。
【解決手段】比較部15においてエラー信号e1が発生すると、振幅レベル調整部12は、目標振幅レベルに相当する補正電圧V3より大きな振幅レベルに相当する加速用補正電圧V1と目標振幅レベルに相当する補正電圧より小さな振幅レベルに相当する減速用補正電圧V2のうち少なくともいずれかを生成してエラー信号e1の増減値を打ち消すように駆動回路13へ所定時間出力するフィードバック制御を行なう。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源より照射された光ビームを揺動するミラー部で反射して走査を行う光走査装置の駆動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光源より照射されたレーザー光等の光ビームを走査する光走査装置は、バーコードリーダ、レーザープリンタ、ヘッドマウントディスプレー等の光学機器、あるいは赤外線カメラ等撮像装置の光取り入れ装置として用いられている。
【0003】
例えば、光走査装置の一例矩形基板(例えばステンレス基板やシリコン基板など)に形成された開口部内に梁部により両側が連結されたミラー部が設けられている。ミラー部は鏡面仕上げされているか、反射膜が形成されているか、或いは基板にミラーが貼付けられている。
【0004】
また、基板には圧電体、磁歪体、または永久磁石のいずれかによる薄膜よりなる振動源が設けられ、例えば圧電体の場合、図示しない駆動源より正電圧を印加すると延びが発生し、負電圧を印加すると縮みが発生するため、基板に撓みが発生する。この基板の上下方向の撓みに対して梁部にねじれ振動が発生してミラー部が揺動する。このミラー部と梁部との共振周波数付近で駆動周波数を維持して、振動するミラー部によりレーザー光を反射することで光走査する。
【0005】
これによって、MEMS(Micro Electro Mechanical System)を用いて製造された微小ミラーを揺動させる光走査装置より製造コストがかからず、小型の振動源でミラー部に大きな振動を発生させるようになっている(特許文献1参照)。
【0006】
光走査装置の駆動制御は、ミラー部とその振動方向にそって2箇所に設けられたセンサによって2つのセンサ信号が生成される。ミラーの振動を安定化させるためには、2つのセンサ信号の発生間隔を計測し、基準値と比較してフィードバック制御をかける。フィードバック制御によってミラー部を振動させるための電圧信号を補正する。例えば図11で示すように、ミラー部を振動させる電圧信号の振幅レベルを増加(或いは減少)するように変化させることでフィードバック制御が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−293116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ミラー部の振幅制御を、CPUなどの制御部による演算等を使用したフィードバック制御にて行う際、共振周波数のQ値や走査振幅値などの影響により、駆動電圧値変化に対する走査振幅変化の応答が鈍くなってしまうことがある。その場合、駆動信号が変化してから想定している変位量に達するまでの時間が長く、大きな位相遅れが生じ、高精度、高感度な制御ができない。
【0009】
図12は、エラー信号の発生に伴い補正電圧を加えて走査振幅を変更する際の波形図である。図12において、ミラー部の振動状態を表す走査振幅と、ミラー部の走査振幅を補正するための補正電圧と、走査振幅を電圧レベルに置き換えたエラー信号で示している。ミラー部の走査振幅が目標値より小さい状態であると判断し、エラー信号変化量e1だけ走査振幅を大きくさせようと、補正電圧として変化量V1の電圧を加えたとする。しかしながら電圧変化に対する周波数応答が鈍いために時間t1もかかってしまう。
【0010】
図13はミラー部の走査振幅変化の応答を速めた例を示している。図12に示す補正電圧値V1よりも大きい補正電圧値量V2とした場合、エラー信号変化量e2は変化量e1より走査振幅は大きくなる。このとき走査振幅の変更に要する時間は図12に示す時間t1よりも短い時間t2で達している。これにより補正電圧に大きい変化量を加えると短時間で達することができることがわかる。尚、補正電圧の変化量と走査振幅の収束時間の関係は線形的な関係にあるわけではないので、一概に補正電圧の変化量を10倍にしたからといって1/10の時間で収束されるというわけではない。
【0011】
以上のように、補正電圧値が小さいと走査振幅の変化が遅くなってしまい、満足できるような応答時間を実現できないだけでなく、位相遅れが生じて精度の高い制御が行えない。そこで、補正電圧値を大きく変化させて走査振幅を鋭く変化させることで、位相遅れを防ぐことは可能となる。しかしながら、補正電圧に大きな変化量を加えてしまうと、走査振幅の変化が鋭くなるものの、走査振幅が目標値よりも大きく変化してオーバーシュートが発生する。
【0012】
本発明は、ミラー部の走査振幅を変更するに際しオーバーシュートを発生することなく短時間で速やかに収束させることが可能な制御性の良い光走査装置の駆動制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための手段は以下の構成を含むことを特徴とする。
即ち、基板上に設けられた振動源を作動させて当該基板を撓ませることにより梁部を揺動軸とするミラー部を揺動させながら照射光を反射することで走査する光走査装置の駆動制御装置であって、指定された駆動周波数を生成する周波数生成部と、前記周波数生成部で生成された駆動周波数の振幅レベルを調整して出力する振幅レベル調整部と、前記振幅レベル調整部から入力した振幅レベルに対応する駆動電圧を供給して前記振動源を作動させる駆動回路と、前記駆動回路から出力された駆動電圧により前記振動源を作動させて揺動するミラー部の振幅を検出する振幅検出部と、前記振幅検出部で検出された検出信号の信号間隔を計測する計測部と、前記計測部で計測された計測値と基準値生成部から出力された基準値とを比較する比較部とを具備し、前記比較部においてエラー信号が発生すると、前記振幅レベル調整部は、目標振幅レベルに相当する補正電圧より大きな振幅レベルに相当する加速用補正電圧と目標振幅レベルに相当する補正電圧より小さな振幅レベルに相当する減速用補正電圧のうち少なくともいずれかを生成して前記エラー信号の増減値を打ち消すように前記駆動回路へ所定時間出力するフィードバック制御を行なうことを特徴とする。
【0014】
また、前記振幅レベル調整部は、エラー信号の増減変化に応じてこれを打ち消すように加速用補正電圧と減速用補正電圧を併用して出力することによりミラー部の振幅を目標値に補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
振幅レベル調整部は、比較部においてエラー信号が発生すると目標振幅レベルに相当する補正電圧より大きな振幅レベルに相当する加速用補正電圧と目標振幅レベルに相当する補正電圧より小さな振幅レベルに相当する減速用補正電圧の少なくともいずれかを生成してエラー信号の増減値を打ち消すように駆動回路へ所定時間出力するフィードバック制御を行なう。よって、ミラー部の走査振幅の誤差値に応じて加速用若しくは減速用補正電圧を生成して短時間出力することで、オーバーシュートを発生せずに走査振幅を目標値に速やかに補正して収束させることができる。
【0016】
特に、振幅レベル調整部は、エラー信号の増減変化に応じてこれを打ち消すように加速用補正電圧と減速用補正電圧を併用して出力することによりミラー部の振幅を目標値に補正するようにすると、走査振幅が目標値より大きい値にシフトしても小さい値にシフトしてもいずれの場合でも、目標値への収束を短時間で行えるため、駆動周波数のサンプリングエラーなどの制御上トラブルの発生を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】光走査装置の平面図及び矢印A−A断面図である。
【図2】ミラー部の振幅を検出するセンサ配置及びセンサ信号についての説明図である。
【図3】光走査装置の駆動制御装置のブロック構成図である。
【図4】走査振幅とエラー信号並びに補正電圧との関係を示す波形図である。
【図5】加速用補正電圧の大きさと出力時間との関係を示す波形図である。
【図6】加速用補正電圧の大きさと出力時間との関係を示す波形図である。
【図7】加速用補正電圧波形と減速用補正電圧波形の説明図である。
【図8】走査振幅とエラー信号並びに加速用及び減速用補正電圧との関係を示す波形図である。
【図9】加速用及び減速用補正電圧なしの走査振幅とエラー信号並びに補正電圧との関係を示す波形図である。
【図10】加速用及び減速用補正電圧ありの走査振幅とエラー信号並びに補正電圧との関係を示す波形図である。
【図11】従来の走査振幅と駆動電圧及び補正電圧との関係を示す説明図である。
【図12】従来の走査振幅、エラー信号及び補正電圧との関係を示す課題説明図である。
【図13】従来の走査振幅、エラー信号及び補正電圧との関係を示す課題説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る光学走査装置の駆動制御装置の一実施形態について図面を参照して説明する。本実施例では、レーザービームプリンタ用に用いられる光走査装置(スキャナー)を例示して説明するものとする。
【0019】
図1(a)(b)を参照して光走査装置の概略構成について説明する。
基板1は金属板(ステンレススチール;SUS304)若しくはシリコン基板(Si)などの矩形基板が好適に用いられる。基板1は長手方向の一方側を支持部材7とクランプ部材6に挟み込まれて片持ち状に支持されている。
【0020】
基板1の他端側(自由端側)には一対の基板舌部8が形成されている。この基板舌部8間に形成された開口部2内に両側を梁部3により支持されたミラー部4(光MEMSミラー)が設けられている。
【0021】
また、基板1の一端側中央部には振動源5として圧電素子(PZT;チタン酸ジルコン酸鉛)が接着等により設けられている。この振動源5を作動させて当該基板1を振動させることにより、梁部3を揺動軸としてミラー部4を揺動させながら照射光を反射することで走査するようになっている。
【0022】
尚、振動源5としては、圧電素子のほかに、圧電体、磁歪体又は永久磁石体のいずれかが基板上に膜状に直接形成されていてもよい。成膜法としては、例えばエアロゾルデポジション法(AD法)、真空蒸着法、スパッタリング法や化学的気相成長法(CVD: Chemical Vapor Deposition)、ゾル−ゲル法などの薄膜形成技術を用いて、圧電体、磁歪体又は永久磁石体のいずれかが基板上に膜状に直接形成されていると、低電圧駆動で低消費電力の光走査装置を提供できる。
【0023】
磁歪体や永久磁石体を用いる場合、外部から印加する交番磁界は、上記磁歪膜、永久磁石膜が形成された基板部近傍に設けられたコイルに交流電流を流すことで交番磁界を発生させる。尚、磁歪膜や永久磁石膜で基板に形成する場合、基板材料は非磁性材料である方が、より効率的に撓みを発生することができる。
【0024】
尚、ミラー部4は、基板1に金属板を使用する場合には鏡面仕上げされた基板1を用いると良い。金属板以外の基板や、金属板においてもより高い反射性能が要求され場合には、真空蒸着、スパッタリング、CVD(化学的気相成長法)等の薄膜形成技術により、ミラー部4へ薄膜を形成するか、或いはミラー部4へ別途ミラー用反射材料を貼付けてもよい。
【0025】
また、薄膜を形成する材料には、金(Au)、二酸化ケイ素(SiO2)、アルミニウム(Al)、あるいはフッ化マグネシウム(MgF2)から1つを選択、或いは2つ以上の材料を組み合わせ、さらに前記薄膜成形技術による同一層(=単層)、或いは2層以上の多層構成を適度な膜厚に制御することによって、反射性能を向上する薄膜が形成できる。あるいは、ミラー部4へ別途ミラー用反射材を貼付ける材料には、鏡面仕上げしたシリコン(Si)またはアルミナチタンカーバイト(Al2O3-TiC)のセラミック等へ、前記薄膜成形技術にて薄膜を形成しても良い。
【0026】
また、基板1の厚みに関しては、動作中のミラー部4の平坦性やプロジェクターデバイスなどへの応用で要求されるミラーサイズを考慮し、シリコン(Si)、ステンレススチール(SUS304等)等の、或いはさらにカーボンナノチューブを前記材料へ成長させた基板を想定すると、少なくとも10μm以上の厚みが望ましい。
【0027】
ミラー部4の走査振幅は、図2に示すようにミラー部4の走査範囲に沿って2箇所に例えば第1光電センサ9,第2光電センサ10(振幅検出部)を設けて、当該第1,第2光電センサ9,10で感知した反射光によって第1センサ信号S1と第2センサ信号S2が生成される。
【0028】
次に、光走査装置の駆動制御装置の一例について図3のブロック構成図を参照して説明する。駆動制御装置ではミラー部4の走査振幅を安定化させるために第1センサ信号S1、第2センサ信号S2の発生間隔を計測し、基準値と比較してフィードバック制御が行われる。以下、装置構成とともに制御内容について詳述する。
【0029】
図3において周波数生成部11は設定された所定の駆動周波数を生成する。振幅レベル調整部12は、周波数生成部11で生成された駆動周波数の振幅レベルを調整して駆動回路13へ出力する。駆動回路13は、振幅レベル調整部12から入力した振幅レベルに対応する駆動電圧を供給して振動源5を作動させる。これによりミラー部4は、梁部3を中心として揺動する。振幅検出部である第1,第2光電センサ9,10は駆動回路13から駆動電圧を印加されて揺動するミラー部4の振幅を検出する。カウンタ14(計測部)は、上記図2に示すように、第1,第2光電センサ9,10で検出された第1センサ信号S1と第2センサ信号S2の波形から信号間隔を計測する。そして、比較部15において、カウンタ14の計測値と予め記憶させておいた基準値生成部16の基準値信号と比較する。この結果、振幅レベル調整部12は、比較部15の比較結果に応じて補正電圧を算出して駆動回路13へ印加する駆動電圧を補正するようになっている。
【0030】
振動源5への駆動電圧を補正する場合、目標とする補正電圧に対し、短い時間だけ大きな変化量を加えてみることで、ミラー部4の走査振幅が鋭く変化するだけでなく、短い時間で収束できるのではと考えられる。
【0031】
図4は走査振幅が目標値より低いエラー信号変化分(増減値)e1に対して、該エラー信号変化分e1を打ち消すべくミラー部4の走査振幅を増加する補正電圧V3に対し、それより大きい値の加速用補正電圧V1を供給したときの波形図を示している。エラー信号変化分e1だけ走査振幅を大きくしたいときに、補正電圧V3のみでは図12のように走査振幅の変化に時間t1がかかってしまう。しかしながら、補正電圧V3より大きい加速用補正電圧V1をわずかな時間だけ供給する。すると走査振幅が、その直後だけ鋭く変化し、オーバーシュートを発生しつつも図12の時間t1よりも短い時間t3で走査振幅を収束させることができる。
【0032】
目標となる走査振幅に収束する時間をt3から更に短縮させようとすると図5で示すように補正電圧へ供給する加速用補正電圧Vaの値をより大きな値Vbに変更し、かつ加速用補正電圧Vaの出力時間Ta更に短い出力時間Tbに変更すれば良いとも思われる。
【0033】
しかしながら、図6に示すように、出力時間を短くしすぎると、加速のためのエネルギーが足りずに走査振幅への変化が見られない現象が発生してしまう。
【0034】
そこで、振幅レベル調整部12は、エラー信号の増減変化に応じてこれを打ち消すように加速用補正電圧と減速用補正電圧を併用してミラー部4の振幅を目標値に補正すると、走査振幅を速やかに収束できるため望ましい。
【0035】
具体的には、図7に示すような目標振幅レベルに相当する補正電圧V3より大きな振幅レベルに相当する加速用補正電圧V1と、目標振幅レベルに相当する補正電圧V3より小さな振幅レベルに相当する減速用補正電圧V2を生成して、ミラー部4の振幅を目標値に速やかに収束するように補正する。より詳しくは目標値に届かない現状の駆動電圧に補正電圧として変化量V3を供給しただけでは、図12に示すように走査振幅の変化に時間がかかるため、まず時間T1の間だけ加速補正電圧V1(数十mV)を時間T1だけ供給する。次いで時間T2だけ補正電圧V3(数mV)を供給し、オーバーシュートの発生時間を短縮するため時間T3だけ減速用補正電圧V2を供給する。
【0036】
図8は、目標となる走査振幅より低いエラー信号変化分(増減値)e1に対して、ミラー部4の走査振幅を増加する補正電圧として、加速補正電圧と減速用補正電圧の双方を供給したときの波形図を示している。加速用補正電圧V1のみでは走査振幅がe1以上に大きく変化してしまうため、走査振幅の変化を抑えるために減速用補正電圧V2を一瞬だけ補正電圧に供給する。このように、加速用補正電圧V1と減速用補正電圧V2を併用してエラー信号の増減値を打ち消すように出力することで、図4において振幅変化に要していた時間t3よりも更に短い時間t4で走査振幅を変更することができる。よって、エラー信号e1が基準値から離れても加速用補正電圧V1(キック)及び減速用補正電圧V2(キックバック)により鋭く反応するため、走査振幅が大きく変化することなく、安定した制御を実現できる。
【0037】
図9及び図10は加速用補正電圧及び減速用補正電圧を使用しない場合と使用した場合の比較波形図である。
図9は加速用補正電圧及び減速用補正電加なしでのフィードバック制御の波形図である。走査振幅が小さくなり、エラー信号も小さくなったことを検知し、補正電圧を変化させたときの動きを示している。補正電圧を加えても応答が鈍いため、すぐに走査振幅が変化せず、制御側ではさらなる補正電圧を加えようとする。エラー信号が基準値に戻る頃には高い補正電圧が加わっているため、走査振幅は更に大きくなり、今度はそれを小さくするための補正を行う。そのような動作を繰り返すことで不安定な制御になってしまう。
【0038】
図10は、加速用補正電圧及び減速用補正電加を加えたフィードバック制御の波形図である。エラー信号が基準値から増加減少のいずれかに離れても加速用補正電圧V1(キック)及び減速用補正電圧V2(キックバック)によりエラー信号の変化分を打ち消すように鋭く反応するため、走査振幅が大きく変化することなく、速やかに変化して所定の走査振幅に収束するため、安定した制御を実現することができる。
【0039】
図10において、エラー信号が減少から増加に変化している場合には、補正電圧は加速用補正電圧V1から減速用補正電圧V2の順に出力し、エラー信号が増加から減少に変化している場合には、補正電圧は減速用補正電圧V2から加速用補正電圧V1の順に出力すると、走査振幅が速やかに変化して所定の振幅に収束し易くなる。
【符号の説明】
【0040】
1 基板
2 開口部
3 梁部
4 ミラー部
5 振動源
6 クランプ部材
7 支持部材
8 基板舌部
9 第1光電センサ
10 第2光電センサ
11 周波数生成部
12 振幅レベル調整部
13 駆動回路
14 カウンタ
15 比較部
16 基準値生成部
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源より照射された光ビームを揺動するミラー部で反射して走査を行う光走査装置の駆動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光源より照射されたレーザー光等の光ビームを走査する光走査装置は、バーコードリーダ、レーザープリンタ、ヘッドマウントディスプレー等の光学機器、あるいは赤外線カメラ等撮像装置の光取り入れ装置として用いられている。
【0003】
例えば、光走査装置の一例矩形基板(例えばステンレス基板やシリコン基板など)に形成された開口部内に梁部により両側が連結されたミラー部が設けられている。ミラー部は鏡面仕上げされているか、反射膜が形成されているか、或いは基板にミラーが貼付けられている。
【0004】
また、基板には圧電体、磁歪体、または永久磁石のいずれかによる薄膜よりなる振動源が設けられ、例えば圧電体の場合、図示しない駆動源より正電圧を印加すると延びが発生し、負電圧を印加すると縮みが発生するため、基板に撓みが発生する。この基板の上下方向の撓みに対して梁部にねじれ振動が発生してミラー部が揺動する。このミラー部と梁部との共振周波数付近で駆動周波数を維持して、振動するミラー部によりレーザー光を反射することで光走査する。
【0005】
これによって、MEMS(Micro Electro Mechanical System)を用いて製造された微小ミラーを揺動させる光走査装置より製造コストがかからず、小型の振動源でミラー部に大きな振動を発生させるようになっている(特許文献1参照)。
【0006】
光走査装置の駆動制御は、ミラー部とその振動方向にそって2箇所に設けられたセンサによって2つのセンサ信号が生成される。ミラーの振動を安定化させるためには、2つのセンサ信号の発生間隔を計測し、基準値と比較してフィードバック制御をかける。フィードバック制御によってミラー部を振動させるための電圧信号を補正する。例えば図11で示すように、ミラー部を振動させる電圧信号の振幅レベルを増加(或いは減少)するように変化させることでフィードバック制御が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−293116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ミラー部の振幅制御を、CPUなどの制御部による演算等を使用したフィードバック制御にて行う際、共振周波数のQ値や走査振幅値などの影響により、駆動電圧値変化に対する走査振幅変化の応答が鈍くなってしまうことがある。その場合、駆動信号が変化してから想定している変位量に達するまでの時間が長く、大きな位相遅れが生じ、高精度、高感度な制御ができない。
【0009】
図12は、エラー信号の発生に伴い補正電圧を加えて走査振幅を変更する際の波形図である。図12において、ミラー部の振動状態を表す走査振幅と、ミラー部の走査振幅を補正するための補正電圧と、走査振幅を電圧レベルに置き換えたエラー信号で示している。ミラー部の走査振幅が目標値より小さい状態であると判断し、エラー信号変化量e1だけ走査振幅を大きくさせようと、補正電圧として変化量V1の電圧を加えたとする。しかしながら電圧変化に対する周波数応答が鈍いために時間t1もかかってしまう。
【0010】
図13はミラー部の走査振幅変化の応答を速めた例を示している。図12に示す補正電圧値V1よりも大きい補正電圧値量V2とした場合、エラー信号変化量e2は変化量e1より走査振幅は大きくなる。このとき走査振幅の変更に要する時間は図12に示す時間t1よりも短い時間t2で達している。これにより補正電圧に大きい変化量を加えると短時間で達することができることがわかる。尚、補正電圧の変化量と走査振幅の収束時間の関係は線形的な関係にあるわけではないので、一概に補正電圧の変化量を10倍にしたからといって1/10の時間で収束されるというわけではない。
【0011】
以上のように、補正電圧値が小さいと走査振幅の変化が遅くなってしまい、満足できるような応答時間を実現できないだけでなく、位相遅れが生じて精度の高い制御が行えない。そこで、補正電圧値を大きく変化させて走査振幅を鋭く変化させることで、位相遅れを防ぐことは可能となる。しかしながら、補正電圧に大きな変化量を加えてしまうと、走査振幅の変化が鋭くなるものの、走査振幅が目標値よりも大きく変化してオーバーシュートが発生する。
【0012】
本発明は、ミラー部の走査振幅を変更するに際しオーバーシュートを発生することなく短時間で速やかに収束させることが可能な制御性の良い光走査装置の駆動制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための手段は以下の構成を含むことを特徴とする。
即ち、基板上に設けられた振動源を作動させて当該基板を撓ませることにより梁部を揺動軸とするミラー部を揺動させながら照射光を反射することで走査する光走査装置の駆動制御装置であって、指定された駆動周波数を生成する周波数生成部と、前記周波数生成部で生成された駆動周波数の振幅レベルを調整して出力する振幅レベル調整部と、前記振幅レベル調整部から入力した振幅レベルに対応する駆動電圧を供給して前記振動源を作動させる駆動回路と、前記駆動回路から出力された駆動電圧により前記振動源を作動させて揺動するミラー部の振幅を検出する振幅検出部と、前記振幅検出部で検出された検出信号の信号間隔を計測する計測部と、前記計測部で計測された計測値と基準値生成部から出力された基準値とを比較する比較部とを具備し、前記比較部においてエラー信号が発生すると、前記振幅レベル調整部は、目標振幅レベルに相当する補正電圧より大きな振幅レベルに相当する加速用補正電圧と目標振幅レベルに相当する補正電圧より小さな振幅レベルに相当する減速用補正電圧のうち少なくともいずれかを生成して前記エラー信号の増減値を打ち消すように前記駆動回路へ所定時間出力するフィードバック制御を行なうことを特徴とする。
【0014】
また、前記振幅レベル調整部は、エラー信号の増減変化に応じてこれを打ち消すように加速用補正電圧と減速用補正電圧を併用して出力することによりミラー部の振幅を目標値に補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
振幅レベル調整部は、比較部においてエラー信号が発生すると目標振幅レベルに相当する補正電圧より大きな振幅レベルに相当する加速用補正電圧と目標振幅レベルに相当する補正電圧より小さな振幅レベルに相当する減速用補正電圧の少なくともいずれかを生成してエラー信号の増減値を打ち消すように駆動回路へ所定時間出力するフィードバック制御を行なう。よって、ミラー部の走査振幅の誤差値に応じて加速用若しくは減速用補正電圧を生成して短時間出力することで、オーバーシュートを発生せずに走査振幅を目標値に速やかに補正して収束させることができる。
【0016】
特に、振幅レベル調整部は、エラー信号の増減変化に応じてこれを打ち消すように加速用補正電圧と減速用補正電圧を併用して出力することによりミラー部の振幅を目標値に補正するようにすると、走査振幅が目標値より大きい値にシフトしても小さい値にシフトしてもいずれの場合でも、目標値への収束を短時間で行えるため、駆動周波数のサンプリングエラーなどの制御上トラブルの発生を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】光走査装置の平面図及び矢印A−A断面図である。
【図2】ミラー部の振幅を検出するセンサ配置及びセンサ信号についての説明図である。
【図3】光走査装置の駆動制御装置のブロック構成図である。
【図4】走査振幅とエラー信号並びに補正電圧との関係を示す波形図である。
【図5】加速用補正電圧の大きさと出力時間との関係を示す波形図である。
【図6】加速用補正電圧の大きさと出力時間との関係を示す波形図である。
【図7】加速用補正電圧波形と減速用補正電圧波形の説明図である。
【図8】走査振幅とエラー信号並びに加速用及び減速用補正電圧との関係を示す波形図である。
【図9】加速用及び減速用補正電圧なしの走査振幅とエラー信号並びに補正電圧との関係を示す波形図である。
【図10】加速用及び減速用補正電圧ありの走査振幅とエラー信号並びに補正電圧との関係を示す波形図である。
【図11】従来の走査振幅と駆動電圧及び補正電圧との関係を示す説明図である。
【図12】従来の走査振幅、エラー信号及び補正電圧との関係を示す課題説明図である。
【図13】従来の走査振幅、エラー信号及び補正電圧との関係を示す課題説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る光学走査装置の駆動制御装置の一実施形態について図面を参照して説明する。本実施例では、レーザービームプリンタ用に用いられる光走査装置(スキャナー)を例示して説明するものとする。
【0019】
図1(a)(b)を参照して光走査装置の概略構成について説明する。
基板1は金属板(ステンレススチール;SUS304)若しくはシリコン基板(Si)などの矩形基板が好適に用いられる。基板1は長手方向の一方側を支持部材7とクランプ部材6に挟み込まれて片持ち状に支持されている。
【0020】
基板1の他端側(自由端側)には一対の基板舌部8が形成されている。この基板舌部8間に形成された開口部2内に両側を梁部3により支持されたミラー部4(光MEMSミラー)が設けられている。
【0021】
また、基板1の一端側中央部には振動源5として圧電素子(PZT;チタン酸ジルコン酸鉛)が接着等により設けられている。この振動源5を作動させて当該基板1を振動させることにより、梁部3を揺動軸としてミラー部4を揺動させながら照射光を反射することで走査するようになっている。
【0022】
尚、振動源5としては、圧電素子のほかに、圧電体、磁歪体又は永久磁石体のいずれかが基板上に膜状に直接形成されていてもよい。成膜法としては、例えばエアロゾルデポジション法(AD法)、真空蒸着法、スパッタリング法や化学的気相成長法(CVD: Chemical Vapor Deposition)、ゾル−ゲル法などの薄膜形成技術を用いて、圧電体、磁歪体又は永久磁石体のいずれかが基板上に膜状に直接形成されていると、低電圧駆動で低消費電力の光走査装置を提供できる。
【0023】
磁歪体や永久磁石体を用いる場合、外部から印加する交番磁界は、上記磁歪膜、永久磁石膜が形成された基板部近傍に設けられたコイルに交流電流を流すことで交番磁界を発生させる。尚、磁歪膜や永久磁石膜で基板に形成する場合、基板材料は非磁性材料である方が、より効率的に撓みを発生することができる。
【0024】
尚、ミラー部4は、基板1に金属板を使用する場合には鏡面仕上げされた基板1を用いると良い。金属板以外の基板や、金属板においてもより高い反射性能が要求され場合には、真空蒸着、スパッタリング、CVD(化学的気相成長法)等の薄膜形成技術により、ミラー部4へ薄膜を形成するか、或いはミラー部4へ別途ミラー用反射材料を貼付けてもよい。
【0025】
また、薄膜を形成する材料には、金(Au)、二酸化ケイ素(SiO2)、アルミニウム(Al)、あるいはフッ化マグネシウム(MgF2)から1つを選択、或いは2つ以上の材料を組み合わせ、さらに前記薄膜成形技術による同一層(=単層)、或いは2層以上の多層構成を適度な膜厚に制御することによって、反射性能を向上する薄膜が形成できる。あるいは、ミラー部4へ別途ミラー用反射材を貼付ける材料には、鏡面仕上げしたシリコン(Si)またはアルミナチタンカーバイト(Al2O3-TiC)のセラミック等へ、前記薄膜成形技術にて薄膜を形成しても良い。
【0026】
また、基板1の厚みに関しては、動作中のミラー部4の平坦性やプロジェクターデバイスなどへの応用で要求されるミラーサイズを考慮し、シリコン(Si)、ステンレススチール(SUS304等)等の、或いはさらにカーボンナノチューブを前記材料へ成長させた基板を想定すると、少なくとも10μm以上の厚みが望ましい。
【0027】
ミラー部4の走査振幅は、図2に示すようにミラー部4の走査範囲に沿って2箇所に例えば第1光電センサ9,第2光電センサ10(振幅検出部)を設けて、当該第1,第2光電センサ9,10で感知した反射光によって第1センサ信号S1と第2センサ信号S2が生成される。
【0028】
次に、光走査装置の駆動制御装置の一例について図3のブロック構成図を参照して説明する。駆動制御装置ではミラー部4の走査振幅を安定化させるために第1センサ信号S1、第2センサ信号S2の発生間隔を計測し、基準値と比較してフィードバック制御が行われる。以下、装置構成とともに制御内容について詳述する。
【0029】
図3において周波数生成部11は設定された所定の駆動周波数を生成する。振幅レベル調整部12は、周波数生成部11で生成された駆動周波数の振幅レベルを調整して駆動回路13へ出力する。駆動回路13は、振幅レベル調整部12から入力した振幅レベルに対応する駆動電圧を供給して振動源5を作動させる。これによりミラー部4は、梁部3を中心として揺動する。振幅検出部である第1,第2光電センサ9,10は駆動回路13から駆動電圧を印加されて揺動するミラー部4の振幅を検出する。カウンタ14(計測部)は、上記図2に示すように、第1,第2光電センサ9,10で検出された第1センサ信号S1と第2センサ信号S2の波形から信号間隔を計測する。そして、比較部15において、カウンタ14の計測値と予め記憶させておいた基準値生成部16の基準値信号と比較する。この結果、振幅レベル調整部12は、比較部15の比較結果に応じて補正電圧を算出して駆動回路13へ印加する駆動電圧を補正するようになっている。
【0030】
振動源5への駆動電圧を補正する場合、目標とする補正電圧に対し、短い時間だけ大きな変化量を加えてみることで、ミラー部4の走査振幅が鋭く変化するだけでなく、短い時間で収束できるのではと考えられる。
【0031】
図4は走査振幅が目標値より低いエラー信号変化分(増減値)e1に対して、該エラー信号変化分e1を打ち消すべくミラー部4の走査振幅を増加する補正電圧V3に対し、それより大きい値の加速用補正電圧V1を供給したときの波形図を示している。エラー信号変化分e1だけ走査振幅を大きくしたいときに、補正電圧V3のみでは図12のように走査振幅の変化に時間t1がかかってしまう。しかしながら、補正電圧V3より大きい加速用補正電圧V1をわずかな時間だけ供給する。すると走査振幅が、その直後だけ鋭く変化し、オーバーシュートを発生しつつも図12の時間t1よりも短い時間t3で走査振幅を収束させることができる。
【0032】
目標となる走査振幅に収束する時間をt3から更に短縮させようとすると図5で示すように補正電圧へ供給する加速用補正電圧Vaの値をより大きな値Vbに変更し、かつ加速用補正電圧Vaの出力時間Ta更に短い出力時間Tbに変更すれば良いとも思われる。
【0033】
しかしながら、図6に示すように、出力時間を短くしすぎると、加速のためのエネルギーが足りずに走査振幅への変化が見られない現象が発生してしまう。
【0034】
そこで、振幅レベル調整部12は、エラー信号の増減変化に応じてこれを打ち消すように加速用補正電圧と減速用補正電圧を併用してミラー部4の振幅を目標値に補正すると、走査振幅を速やかに収束できるため望ましい。
【0035】
具体的には、図7に示すような目標振幅レベルに相当する補正電圧V3より大きな振幅レベルに相当する加速用補正電圧V1と、目標振幅レベルに相当する補正電圧V3より小さな振幅レベルに相当する減速用補正電圧V2を生成して、ミラー部4の振幅を目標値に速やかに収束するように補正する。より詳しくは目標値に届かない現状の駆動電圧に補正電圧として変化量V3を供給しただけでは、図12に示すように走査振幅の変化に時間がかかるため、まず時間T1の間だけ加速補正電圧V1(数十mV)を時間T1だけ供給する。次いで時間T2だけ補正電圧V3(数mV)を供給し、オーバーシュートの発生時間を短縮するため時間T3だけ減速用補正電圧V2を供給する。
【0036】
図8は、目標となる走査振幅より低いエラー信号変化分(増減値)e1に対して、ミラー部4の走査振幅を増加する補正電圧として、加速補正電圧と減速用補正電圧の双方を供給したときの波形図を示している。加速用補正電圧V1のみでは走査振幅がe1以上に大きく変化してしまうため、走査振幅の変化を抑えるために減速用補正電圧V2を一瞬だけ補正電圧に供給する。このように、加速用補正電圧V1と減速用補正電圧V2を併用してエラー信号の増減値を打ち消すように出力することで、図4において振幅変化に要していた時間t3よりも更に短い時間t4で走査振幅を変更することができる。よって、エラー信号e1が基準値から離れても加速用補正電圧V1(キック)及び減速用補正電圧V2(キックバック)により鋭く反応するため、走査振幅が大きく変化することなく、安定した制御を実現できる。
【0037】
図9及び図10は加速用補正電圧及び減速用補正電圧を使用しない場合と使用した場合の比較波形図である。
図9は加速用補正電圧及び減速用補正電加なしでのフィードバック制御の波形図である。走査振幅が小さくなり、エラー信号も小さくなったことを検知し、補正電圧を変化させたときの動きを示している。補正電圧を加えても応答が鈍いため、すぐに走査振幅が変化せず、制御側ではさらなる補正電圧を加えようとする。エラー信号が基準値に戻る頃には高い補正電圧が加わっているため、走査振幅は更に大きくなり、今度はそれを小さくするための補正を行う。そのような動作を繰り返すことで不安定な制御になってしまう。
【0038】
図10は、加速用補正電圧及び減速用補正電加を加えたフィードバック制御の波形図である。エラー信号が基準値から増加減少のいずれかに離れても加速用補正電圧V1(キック)及び減速用補正電圧V2(キックバック)によりエラー信号の変化分を打ち消すように鋭く反応するため、走査振幅が大きく変化することなく、速やかに変化して所定の走査振幅に収束するため、安定した制御を実現することができる。
【0039】
図10において、エラー信号が減少から増加に変化している場合には、補正電圧は加速用補正電圧V1から減速用補正電圧V2の順に出力し、エラー信号が増加から減少に変化している場合には、補正電圧は減速用補正電圧V2から加速用補正電圧V1の順に出力すると、走査振幅が速やかに変化して所定の振幅に収束し易くなる。
【符号の説明】
【0040】
1 基板
2 開口部
3 梁部
4 ミラー部
5 振動源
6 クランプ部材
7 支持部材
8 基板舌部
9 第1光電センサ
10 第2光電センサ
11 周波数生成部
12 振幅レベル調整部
13 駆動回路
14 カウンタ
15 比較部
16 基準値生成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に設けられた振動源を作動させて当該基板を撓ませることにより梁部を揺動軸とするミラー部を揺動させながら照射光を反射することで走査する光走査装置の駆動制御装置であって、
指定された駆動周波数を生成する周波数生成部と、
前記周波数生成部で生成された駆動周波数の振幅レベルを調整して出力する振幅レベル調整部と、
前記振幅レベル調整部から入力した振幅レベルに対応する駆動電圧を供給して前記振動源を作動させる駆動回路と、
前記駆動回路から出力された駆動電圧により前記振動源を作動させて揺動するミラー部の振幅を検出する振幅検出部と、
前記振幅検出部で検出された検出信号の信号間隔を計測する計測部と、
前記計測部で計測された計測値と基準値生成部から出力された基準値とを比較する比較部とを具備し、
前記比較部においてエラー信号が発生すると、前記振幅レベル調整部は、目標振幅レベルに相当する補正電圧より大きな振幅レベルに相当する加速用補正電圧と目標振幅レベルに相当する補正電圧より小さな振幅レベルに相当する減速用補正電圧のうち少なくともいずれかを生成して前記エラー信号の増減値を打ち消すように前記駆動回路へ所定時間出力するフィードバック制御を行なうことを特徴とする光走査装置の駆動制御装置。
【請求項2】
前記振幅レベル調整部は、エラー信号の増減変化に応じてこれを打ち消すように加速用補正電圧と減速用補正電圧を併用して出力することによりミラー部の振幅を目標値に補正する請求項1記載の光走査装置の駆動制御装置。
【請求項1】
基板上に設けられた振動源を作動させて当該基板を撓ませることにより梁部を揺動軸とするミラー部を揺動させながら照射光を反射することで走査する光走査装置の駆動制御装置であって、
指定された駆動周波数を生成する周波数生成部と、
前記周波数生成部で生成された駆動周波数の振幅レベルを調整して出力する振幅レベル調整部と、
前記振幅レベル調整部から入力した振幅レベルに対応する駆動電圧を供給して前記振動源を作動させる駆動回路と、
前記駆動回路から出力された駆動電圧により前記振動源を作動させて揺動するミラー部の振幅を検出する振幅検出部と、
前記振幅検出部で検出された検出信号の信号間隔を計測する計測部と、
前記計測部で計測された計測値と基準値生成部から出力された基準値とを比較する比較部とを具備し、
前記比較部においてエラー信号が発生すると、前記振幅レベル調整部は、目標振幅レベルに相当する補正電圧より大きな振幅レベルに相当する加速用補正電圧と目標振幅レベルに相当する補正電圧より小さな振幅レベルに相当する減速用補正電圧のうち少なくともいずれかを生成して前記エラー信号の増減値を打ち消すように前記駆動回路へ所定時間出力するフィードバック制御を行なうことを特徴とする光走査装置の駆動制御装置。
【請求項2】
前記振幅レベル調整部は、エラー信号の増減変化に応じてこれを打ち消すように加速用補正電圧と減速用補正電圧を併用して出力することによりミラー部の振幅を目標値に補正する請求項1記載の光走査装置の駆動制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−180294(P2011−180294A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43188(P2010−43188)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000106944)シナノケンシ株式会社 (316)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000106944)シナノケンシ株式会社 (316)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]