説明

光輝性光変色体

【課題】 光輝性を有する微小片による光輝効果と、光によるフィトクロミック材料の色彩変化効果の両者が融合して織りなす特異の視覚効果を明瞭に視認でき、玩具、装飾、衣料、繊維分野等の多分野に応用展開が可能な光輝性光変色体を提供する。
【解決手段】 フォトクロミック材料としてスピロオキサジン系化合物やスピロピラン系化合物、或いは、前記化合物をスチレン系オリゴマーに溶解した材料を含む光変色層上に複数の光輝性微小片を部分的に固着してなる光輝性光変色体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光輝性光変色体に関する。更に詳細には、光輝性を有する微小片による光輝効果と、光変色層による色変化が融合し、特異な視覚効果を奏する光輝性光変色体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光変色体に光輝性を付与したものとしては、光変色層上に光輝性粉体を含むマイカベース塗膜を形成したもの(例えば、特許文献1参照)、光輝性顔料を含有する塗膜上にフォトクロミック塗膜を形成したもの(例えば、特許文献2参照)、光変色層上に凹凸を形成し、その上面に光反射性金属箔膜層を積層したもの(例えば、特許文献3参照)が開示されている。
【特許文献1】特開平3−250064号公報
【特許文献2】特開平7−286121号公報
【特許文献3】特開平3−248188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記した従来の光変色体について実用性を確認したところ、光輝性と光変色性との両効果を有する反面、特許文献1に記載された発明はマイカベース塗膜により紫外線が一部吸収されるため、下層に位置する光変色層は十分な色濃度を示し難くなり、特許文献2及び3に記載された発明は、光輝性顔料を含有する光輝層をフォトクロミック塗膜を通して視認するため、光変色層の透明性が良好でないことが原因で十分な光輝性が視認されないといった問題があり、実用性を損なうものであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、光輝性を損なうことなく、また、光変色性も効果的に視認できる光輝性光変色体であって、即ち、フォトクロミック材料を含む光変色層上に複数の光輝性微小片を部分的に固着してなる光輝性光変色体を要件とする。
更には、光輝性微小片を固着していない部分の光変色層と、光輝性微小片を固着した部分との表面積比が1:1〜100:1の範囲にあること、光変色層が支持体上に積層されてなること、光輝性微小片によって像を形成してなること、前記像が文字、記号、数字、線、図柄、或いは、これらの組み合わせであること、フォトクロミック材料がスピロオキサジン系化合物又はスピロピラン系化合物から選ばれるフォトクロミック化合物を、重量平均分子量が200乃至6000のスチレン系オリゴマーに溶解した材料であること、前記フォトクロミック材料中のフォトクロミック化合物と、スチレン系オリゴマーの重量比が1:1〜1:10000であること、前記フォトクロミック材料がフォトクロミック化合物とスチレン系オリゴマーをマイクロカプセルに内包した可逆光変色性マイクロカプセル顔料、又は、フォトクロミック化合物とスチレン系オリゴマーを樹脂粒子中に分散した可逆光変色性樹脂粒子であること、フォトクロミック材料及び/又は光変色層中にヒンダードアミン系光安定剤を含んでなること、前記ヒンダードアミン系光安定剤が下記一般式(1)で示される化合物であること、
【化1】

(式中、R1 は炭素数1乃至30のアルキル基を示し、R2 、R3 、R4 、R5 はそれぞれ炭素数1乃至5のアルキル基を示し、nは1以上の整数を示し、R6 はn価の有機残基を示す。)
最上層に400nm以下の光が透過する透明性樹脂層を設けてなること等を要件とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、光輝性を有する微小片による光輝効果と、光による色変化効果の両者が融合して織りなす特異の視覚効果を明瞭に視認でき、玩具、装飾、衣料、繊維分野等の多分野に応用展開が可能な光輝性光変色体を提供できる。
【0006】
本発明に用いられるフォトクロミック材料としては、従来より汎用のものが使用でき、スピロピラン系化合物、フルギド系化合物、ジヒドロピレン系化合物、インジゴ系化合物、アジリジン、多環芳香族系化合物、アゾベンゼン系化合物、サリチリデンアニリン系化合物、キサンテン系化合物、スピロオキサジン系化合物、ジアリールエテン系化合物、ナフトピラン系化合物、ナフトオキサジン系化合物等を例示できる。
前記化合物のうち、スピロオキサジン系化合物又はスピロピラン系化合物から選ばれるフォトクロミック化合物をスチレン系オリゴマーに溶解して用いることにより、耐光性の向上と共に発色濃度を向上させたフォトクロミック材料が得られる。
【0007】
前記スチレン系オリゴマーは重量平均分子量が200乃至6000、好ましくは200乃至4000のものが用いられる。
スチレン系オリゴマーの重量平均分子量が200未満の場合、含有モノマーが多くなり、安定性に欠けるため耐光性向上効果を発現し難くなる。重量平均分子量が6000を超えると、光発色により色残りが発生し、且つ、発色濃度が低くなり、変色感度は鈍くなる。
前記重量平均分子量は、GPC法(ゲル浸透クロマトグラフ法)により測定する。
スチレン系オリゴマーとしては、低分子量ポリスチレン、スチレン−α−メチルスチレン系共重合体、α−メチルスチレン重合体、α−メチルスチレンとビニルトルエンの共重合体、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、d−リモネン重合体等が挙げられる。
低分子量ポリスチレンとしては、三洋化成工業(株)製、商品名:ハイマーSB−75(重量平均分子量2000)、ハイマーST−95(重量平均分子量4000)等が用いられる。
スチレン−α−メチルスチレン系共重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコラスチックA5(重量平均分子量317)、ピコラスチックA75(重量平均分子量917)等が用いられる。
α−メチルスチレン重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:クリスタレックス3085(重量平均分子量664)、クリスタレックス3100(重量平均分子量1020)、クリスタレックス1120(重量平均分子量2420)等が用いられる。
α−メチルスチレンとビニルトルエンの共重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコテックスLC(重量平均分子量950)、ピコテックス100(重量平均分子量1740)等が用いられる。
α−ピネン重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコライトA115(重量平均分子量833)等が用いられる。
β−ピネン重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコライトS115(重量平均分子量1710)等が用いられる。
d−リモネン重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコライトC115(重量平均分子量902)等が用いられる。
前記スチレン系オリゴマーは1種類単独で用いてもよいし、適宜2種類以上を混合して用いることもできる。
【0008】
前記スピロオキサジン系化合物を以下に示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
インドリノスピロベンゾオキサジン系化合物の例としては、
1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6′−クロロ−5−フルオロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジメチル−1−エチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5,7−ジフルオロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−シアノ−3,3−ジメチル−1−(メトキシカルボニル)メチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−メチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−メチル−5′−ニトロジスピロ〔シクロペンタン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3,5′−テトラメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6′−フルオロ−1′−メチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1−ベンジル−6′−クロロ−3,3−ジメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6′−メトキシ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−クロロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−ブロモ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−ヨード−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−トリフルオロメチル−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジエチル−1−メチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3,6′−テトラメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6−クロロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5′−フルオロ−1′−メチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−シアノ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−エトキシカルボニル−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
4′,6′−ジフルオロ−1′−メチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジメチル−1−(メトキシカルボニル)メチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジメチル−1−フェニルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−メトキシ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3,5−テトラメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
7′−クロロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3,7′−テトラメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
7′−メトキシ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6′−クロロ−5−フルオロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−クロロ−1,3−ジメチル−3−エチル−5′−メトキシスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジエチル−1−メチル−5−ニトロスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′,6′−ジメチルスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
9″−ブロモ−1′−メトキシカルボニルメチル−5′−トリフルオロメチルジスピロ〔シクロペンタン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′〔1′H〕,3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1−ベンジル−3,3−ジ−nブチル−7′−エチル−5−メトキシスピロ〔2H−インドール−1,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−n−ブチル−6′−ヨードジスピロ〔シクロヘプタン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジメチル−9′−ヨード−1−ナフチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
4′−シアノ−1′−(2−(メトキシカルボニル)エチル)ジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
7−メトキシカルボニル−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
4−ブロモ−3,3−ジエチル−9′−エトキシ−1−(2−フェニル)エチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−メチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6−フルオロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−エチル−9−フルオロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−ベンジル−6″−ヨードジスピロ〔シクロペンタン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−エトキシ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−メチル−5′−トリクロロメチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3−ジエチル−3−メチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−メトキシカルボニルメチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H)−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕等インドリノスピロベンゾオキサジンのインドール環及びベンゼン環のハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等の各置換体を例示することができる。
【0009】
インドリノスピロナフトオキサジン系化合物としては、
1,3,3−トリメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−クロロ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−ブロモ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3,5−テトラメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−n−プロピル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−iso−ブチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−メトキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−n−プロポキシ−スピロナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−シアノ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−n−エチル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−n−プロピル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−iso−ブチル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−n−オクチル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−n−オクタデシル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−8′−スルホン酸ナトリウム−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−9′−メトキシスピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−トリフルオロ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−ベンジル−3,3−ジメチル−スピロナフトオキサジン、
1−(4′−メチルフェニル)−3,3−ジメチル−スピロナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−6′−(2,3−ジヒドロ−1−インドリノ)−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−6′−(1−ピペリジニル)−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−6−トリフルオロメチル−6′−(1−ピペリジニル)−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−ベンジル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(4−メトキシベンジル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(4−クロロベンジル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−エチル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−イソプロピル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(2−フェノキシエチル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3−ジメチル−3−エチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−9′−ヒドロキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3−ジメチル−3−エチル−8′−ヒドロキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3,5−テトラメチル−9′−メトキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3,5,6−ペンタメチル−9′−メトキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−4−トリフルオロメチル−5′−メトキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5′−メトキシ−6′−トリフルオロメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−4−トリフルオロメチル−9′−メトキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,5,6−テトラメチル−3−エチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3,5,6−ペンタメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−メチル−3,3−ジフェニル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(4−メトキシベンジル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(3,5−ジメチルベンジル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(2−フルオロベンジル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン等インドリノスピロナフトオキサジンのインドール環及びベンゼン環のハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等の各置換体を例示することができる。
【0010】
インドリノスピロフェナントロオキサジン系化合物としては、
1,3,3−トリメチル−スピロインドリンフェナントロオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−クロロ−スピロインドリンフェナントロオキサジン等インドリノスピロフェナントロオキサジンのインドール環及びベンゼン環のハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等の各置換体を例示することができる。
【0011】
インドリノスピロキノリノオキサジン系化合物としては、
1,3,3−トリメチル−スピロインドリンキノリノオキサジン等のインドリノスピロキノリノオキサジンのインドール環及びベンゼン環のハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等の各置換体を例示することができる。
【0012】
前記フォトクロミック化合物のうち、スピロピラン系化合物を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1,3,3−トリメチルインドリノベンゾピリロスピラン、
1,3,3−トリメチルインドリノ−6′−ブロモベンゾピリロスピラン、
1,3,3−トリメチルインドリノ−8′−メトキシベンゾピリロスピラン、
1,3,3−トリメチルインドリノ−β−ナフトピリロスピラン、
1,3,3−トリメチルインドリノ−6′−ニトロベンゾピリロスピラン等を例示することができる。
【0013】
前記フォトクロミック化合物とスチレン系オリゴマーの重量比は、1:1〜1:10000であることが好ましく、より好ましくは1:5〜1:500である。
前記重量比を満たすことによって、耐光性向上効果に優れ、且つ、フォトクロミック化合物は十分な発色濃度を示すことができる。
【0014】
前記フォトクロミック化合物とスチレン系オリゴマーからなるフォトクロミック材料中には、水酸基、エステル基、カルボキシル基から選ばれる少なくとも一以上の官能基を有し、沸点が150℃以上であり、且つ、融点又は軟化点が150℃以下の有機化合物をスチレン系オリゴマー100重量部に対し、50重量部以下の割合で添加することにより、耐光堅牢性及び発色濃度を阻害するとなく発消色時の変色時間を調節することができる。
前記有機化合物としては、炭素数8以上の脂肪族一価アルコール、炭素数8以上の脂肪族二価アルコール、炭素数7以上の芳香族アルコール、炭素数7以上の脂肪族エステル、炭素数7以上の芳香族エステル、炭素数6以上の脂肪族カルボン酸、炭素数6以上の芳香族カルボン酸が挙げられる。
前記化合物として具体的には、n−オクチルアルコール、n−デシルアルコール、n−ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、n−ドデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクタデカン−2−オール、シクロドデカノール、ヘキサン1,6−ジオール、コレステロール、p−クロロベンジルアルコール、p−メチルベンジルアルコール、ポリエチレングリコール#4000、ポリエチレングリコール#6000、オレイルアルコール、ポリオール(水酸基を有するオリゴマー)、水酸基を有するロジン系樹脂オリゴマー〔荒川化学工業(株)、商品名:パインクリスタルD−6011、同KR−1840〕等のアルコール類。
カプロン酸n−オクチル、カプロン酸ミリスチル、カプリル酸n−ヘプチル、カプリル酸n−ブチル、ラウリン酸n−ブチル、ラウリン酸ラウリル、ミリスチン酸n−ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸n−アミル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸ステアリル、ステアリン酸n−ヘキシル、ステアリン酸n−オクチル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸セチル、ベヘン酸n−ブチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸3−メチルブチル、ベヘン酸2−メチルペンチル、ステアリン酸ネオペンチル、ステアリン酸イソブチル、ピバリン酸ステアリル、ベヘン酸ベンジル、パルミチン酸4−メチルベンジル、安息香酸セチル、安息香酸ステアリル、フェノキシ酢酸ステアリル、サリチル酸ミリスチル、2−ナフトエ酸ステアリル、p−メトキシ安息香酸ステアリル、ステアリン酸シクロヘキシル、プロピオン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、オクタメチレンジカルボン酸ジミリスチル、オクタメチレンジカルボン酸ジブチル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジステアリル、セバシン酸ジミリスチル、テレフタル酸ジエチル、レブリン酸ステアリル、ステアリン酸テトラヒドロフルフリル、12−ヒドロキシステアリン酸n−ブチル、ブタン−1,2,3,4−テトラドデシルエステル、リンゴ酸ジラウリル、酒石酸ジ−n−オクチル、安息香酸フェニル、安息香酸ベンジル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、エステル基を有するアクリル樹脂オリゴマー〔荒川化学工業(株)、商品名:パインクリスタルKE−100〕等のエステル類。カプロン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、エルカ酸、2−エチル−ヘキサデカン酸、p−tert−ブチル安息香酸、ベンジル酸、p−アミノ安息香酸、1,16−ヘキサデカメチレンジカルボン酸、セバシン酸、カルボキシル基を有するロジン系樹脂オリゴマー〔荒川化学工業(株)、商品名:パインクリスタルKE−604、同KR−85〕等のカルボン酸類を例示できる。
【0015】
本発明のフォトクロミック材料には、ヒンダードアミン系光安定剤を添加して耐光性を更に向上させることもできる。
ヒンダードアミン系化合物は一般式(1)で示される化合物が好適であり、以下に例示する。
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、
2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、
テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1、2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカンとの混合エステル化物、
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び1−トリデカノールとの混合エステル化物、
1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−メタクリレート、N,N′,N″,N''' −テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、N−メチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペレジニル)ピロリジン−2,5−ジオン等を例示することができる。
【0016】
前記フォトクロミック材料は、マイクロカプセルに内包させて可逆光変色性マイクロカプセル顔料を形成したり、熱可塑性又は熱硬化性樹脂中に分散して可逆光変色性樹脂粒子を形成することもできる。
なお、前記マイクロカプセルは、平均粒子径0.5〜100μm、好ましくは1〜50μm、より好ましくは、1〜30μmの範囲が実用を満たす。
前記マイクロカプセルの平均粒子径が100μmを超えると、インキ、塗料、或いは樹脂中へのブレンドに際して、分散安定性や加工適性に欠ける。
一方、平均粒子径が、0.5μm未満では、高濃度の発色性を示し難くなる。
前記マイクロカプセル化は、従来より公知のイソシアネート系の界面重合法、メラミン−ホルマリン系等のin Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
なお、前記フォトクロミック材料には、一般の染料及び顔料を適宜添加することにより、有色(1)から有色(2)の色変化を呈することもできる。
【0017】
前記フォトクロミック材料は、熱可塑性樹脂或いは熱硬化性樹脂中にブレンドして形成した成形体を光変色層として用いる他、フォトクロミック材料をビヒクル中に分散したインキや塗料を用いて、従来より公知の方法、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷、転写等の印刷手段、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装等の手段により支持体上に光変色層を形成することもできる。
前記支持体は、紙、合成紙、糸、布帛、植毛或いは起毛布、不織布、合成皮革、レザー、プラスチック、ガラス、陶磁器、木材、石材、金属等等の材質から選ばれ、その形状は特に限定されるものではない。
なお、前記熱可塑性樹脂或いは熱硬化性樹脂中、インキや塗料中に、一般の染料及び顔料を適宜添加して、有色(1)から有色(2)の色変化を呈することもできる。
【0018】
前記光輝性を有する微小片は、反射光、干渉光、又は、反射光と干渉光の両方を発する微小片であれば全て有効であり、0.01〜10mm、好ましくは0.03〜5mm、より好ましくは0.05〜1mmの大きさと適宜厚みを有するものが用いられる。
0.01mm未満の大きさでは光輝性の発現が十分でなく、また、10mmを超える大きさでは分散による光輝効果に乏しい。
前記微小片の形状は特に限定されるものではないが、四角形や六角形等の多角系、円形、楕円形の他、光輝性のイメージを連想させる形状(例えば、星型)の適用によって、デザイン性を更に高めることも可能である。
以下に光輝性を有する微小片の材料を例示する。
反射光を有する材料としては、アルミニウムや真鍮等の各種金属片〔例えば、東洋アルミニウム(株)製のメタックス(商品名)〕、魚鱗、表面にアルミニウム等の金属を蒸着したプラスチックフィルム〔例えば、林繊維(株)製のポリエステルグリッター〕、表面にアルミニウム等の金属を蒸着したガラスフレーク〔例えば、日本板硝子(株)製のメタシャイン(商品名)〕、ガラス粉末等が挙げられる。
干渉光を有する材料としては、酸化物、硫化物、弗化物の一種又は二種以上からなる光学干渉フィルム、2種又はそれ以上のポリマーからなる、互いに異なる屈折率のポリマーからなる100層以上の層を中間層に設けた光干渉性を有する透明性多層フィルム(米国、ENGELHARD社製、IRIDESCENT FILM)等が挙げられる。
反射光と干渉光の両方の性質を有する材料としては、貝粉、微細な凹凸模様の少なくとも片面に光反射層を有するホログラムフィルム、前記光干渉性を有する透明性多層フィルムに更に金属蒸着を施したフィルム〔例えば、ダイヤ工業(株)製、ダイヤホログラム(商品名)〕等がある。
前記材料は単独に限らず、混合して用いることにより、更に多彩な変化を視覚させることができる。
【0019】
前記光輝性微小片を固着していない部分の光変色層と、光輝性微小片を固着した部分との表面積比が1:1〜100:1、好ましくは1.5:1〜80:1の範囲にあるものが実用を満たす。
前記した表面積比を満たすことにより、光輝性を有する微小片による光輝効果と、光による色変化効果が融合した特異の視覚効果をよりいっそう明瞭に視認できる。
なお、前記光輝性微小片は光変色層上にランダムに固着することもできるが、光輝性微小片により像を形成してデザイン性を高めることもできる。
前記像は文字、記号、数字、線、図柄、或いは、これらの組み合わせを例示できる。
【0020】
前記光輝性光変色体の最上層には透明性樹脂層を設けることもでき、光輝性微小片の擦過による剥離を防止したり、耐久性や耐水性を向上させることができる。
前記透明性樹脂層は400nm以下の光が透過することが必要であり、光変色層の色変化を明瞭に視認することができる。
なお、前記透明性樹脂層中に前述のヒンダードアミン系光安定剤を含有させることにより、耐光性を向上させることもできる。
【0021】
前記光輝性光変色体の適用例としては、各種造形物、繊維及び紙製加工体等を例示でき、具体例としては、被服、履物、貴金属、照明器具、玩具、造花、文房具、日用品、台所用品、化粧用具、運動用具、書籍等の印刷物、乗物、機械、屋内装飾品、医療品等が挙げられる。
【実施例】
【0022】
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例中の部は、重量部を示す。
実施例1(図1参照)
1,3,3−トリメチルインドリノ−6′−(1−ピペリジニル)−スピロナフトオキサジン1部、アクリル樹脂〔三菱レイヨン(株)製、商品名:ダイヤナールBR−83〕10部、キシレン20部、酢酸ブチル20部を均一に混合してフォトクロミック塗料を得た。
前記フォトクロミック塗料を支持体2として白色スチレン樹脂板にスプレー塗装して光変色層3を設けた後、その上面に光輝性微小片4としてアルミニウムフレーク〔ダイヤ工業(株)製、ダイヤホログラムAL銀色)1部、アクリル樹脂〔三菱レイヨン(株)製、商品名:ダイヤナールBR−83〕10部、キシレン20部、酢酸ブチル20部を均一に混合した光輝性塗料を用いてドット柄のスプレー塗装を行なって光輝性光変色体1を得た。
なお、光輝性微小片を固着していない部分の光変色層と、光輝性微小片を固着した部分との表面積比は2:1であった。
前記光輝性変色体は、太陽光に晒す前は白地に銀色の光輝性を有するドット柄が視認されたが、太陽光に晒したところ光変色層は紫色に変色し、よって、紫地に光輝性を有する銀色のドット柄が視認された。
前記光輝性変色体を暗所で放置すると、再び白地に銀色の光輝性を有するドット柄が視認され、この様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0023】
実施例2
1,3,3−トリメチルインドリノ−6′−(1−ピペリジニル)−スピロナフトオキサジン1部、スチレン系オリゴマー〔三洋化成(株)製、商品名:ハイマーST−95〕10部、キシレン20部、酢酸ブチル20部を均一に混合してフォトクロミック塗料を得た。
前記フォトクロミック塗料を支持体として白色スチレン樹脂板にスプレー塗装して光変色層を設けた後、その上面に光輝性微小片としてアルミニウムフレーク〔ダイヤ工業(株)製、ダイヤホログラムAL銀色〕1部、アクリル樹脂〔三菱レイヨン(株)製、商品名:ダイヤナールBR−83〕10部、キシレン20部、酢酸ブチル20部を均一に混合した光輝性塗料を用いてドット柄のスプレー塗装を行なって光輝性光変色体を得た。
なお、光輝性微小片を固着していない部分の光変色層と、光輝性微小片を固着した部分との表面積比は2:1であった。
前記光輝性変色体は、太陽光に晒す前は白地に銀色の光輝性を有するドット柄が視認されたが、太陽光に晒したところ光変色層は紫色に変色し、よって、紫地に光輝性を有する銀色のドット柄が視認された。
前記光輝性変色体を暗所で放置すると、再び白地に銀色の光輝性を有するドット柄が視認され、この様相変化は繰り返し行なうことができた。
また、実施例2と実施例1で得られた光輝性光変色体の光変色層の耐光性を比較したところ、実施例2の変色体は耐光性に優れていた。
【0024】
実施例3
1,3,3−トリメチル−6−トリフルオロメチル−インドリノ−6′−(1−ピペリジニル)−スピロナフトオキサジン3部、スチレン−α−メチルスチレン共重合体〔理化ハーキュレス(株)製:ピコラスチックA−5〕30部を膜材として芳香族イソシアネートプレポリマー10部、酢酸エチル10部からなる混合溶液に混入した後、これを15%ゼラチン水溶液50部中に投入して、微小滴になるように攪拌し、70℃で1時間反応を行った。
次いで、液温を90℃に保って3時間攪拌を続け、マイクロカプセル分散液を調製した後、遠心分離法により光変色性マイクロカプセルを得た。
前記光変色性マイクロカプセルをスプレードライイング法にて乾燥させ、これを10部分取してアクリル樹脂(ロームアンドハース社製、商品名:パラロイドB−72)の15%キシレン溶液20部、キシレン15部、メチルイソブチルケトン15部均一に混合してフォトクロミック塗料を得た。
前記フォトクロミック塗料を支持体として白色軟質塩化ビニルシート(厚さ200μm)にスプレー塗装して光変色層を設けた後、その上面に星型に切り抜かれたマスクを載置した後、光輝性微小片としてポリエステルグリッター〔林繊維(株)製、商品名:ポリエステルグリッターPINK〕1部、アクリル樹脂(ロームアンドハース社製、商品名:パラロイドB−72)の15%キシレン溶液20部、キシレン15部、メチルイソブチルケトン15部を均一に混合した光輝性塗料を用いて塗装し、マスクを取り除いて光輝性光変色体を得た。
なお、光輝性微小片を固着していない部分の光変色層と、光輝性微小片を固着した部分との表面積比は5:1であった。
前記光輝性光変色体は太陽光に晒す前は白地にピンク色の光輝性を有する星型模様が視認され、太陽光に晒したところ光変色層はピンク色に変色し、よって、光輝性を有する星型模様は視認され難くなり、全体がピンク色になった。
前記光輝性変色体を暗所で放置すると、再び白地にピンク色の光輝性を有する星型模様が視認され、この様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0025】
実施例4(図2参照)
1,3,3−トリメチルインドリノ−スピロナフトオキサジン3部、スチレン−α−メチルスチレン共重合体〔理化ハーキュレス(株)製:ピコラスチックA−5〕30部、ヒンダードアミン系光安定剤〔三共(株)製、商品名:サノールLS765〕12部を膜材として芳香族イソシアネートプレポリマー10部、酢酸エチル10部からなる混合溶液に混入した後、これを15%ゼラチン水溶液50部中に投入して、微小滴になるように攪拌し、70℃で1時間反応を行った。
次いで、液温を90℃に保って3時間攪拌を続け、マイクロカプセル分散液を調製した後、遠心分離法により光変色性マイクロカプセルを得た。
前記光変色性マイクロカプセル40部、ピンク色顔料0.5部、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン58部、消泡剤3部、増粘剤1部、レベリング剤3部、防腐剤1部を均一に混合してフォトクロミック印刷インキを得た。
支持体2として白色合成紙上に、前記フォトクロミック印刷インキを用いて全面にスクリーン印刷して光変色層3を設けた。
次いで、前記光変色層上に、光輝性微小片4としてアルミニウムフレーク〔ダイヤ工業(株)製、商品名:ダイヤモンドピース〕5部、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン58部、消泡剤3部、増粘剤1部、レベリング剤3部、防腐剤1部を均一に混合した光輝性印刷インキを用いて、「PHOTO」の文字をスクリーン印刷し、更にその上面にエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン58部、消泡剤3部、増粘剤1部、レベリング剤3部、防腐剤1部を均一に混合したトップコートインキを用いて全面にスクリーン印刷して透明性樹脂層5を設けて光輝性光変色体1を得た。
なお、光輝性微小片を固着していない部分の光変色層と、光輝性微小片を固着した部分との表面積比は80:1であった。
前記光輝性光変色体は太陽光に晒す前はピンク地に銀色の光輝性を有する「PHOTO」の文字が視認され、太陽光に晒したところ光変色層は紫色に変色し、よって、紫地に光輝性を有する銀色の「PHOTO」の文字が視認された。
前記光輝性変色体を暗所で放置すると、再びピンク地に銀色の光輝性を有する「PHOTO」の文字が視認され、この様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0026】
実施例5
エチレン−無水マレイン酸共重合体(米国モンサント化学社製、商品名:EMA−31)の10%水溶液100部に、尿素10部、レゾルシン1部、水55部を添加し、更に、水酸化ナトリウムの20%水溶液を添加してpHを3.5に調整した溶液に、1,3,3−トリメチルインドリノ−6′−(1−ピペリジニル)−スピロナフトオキサジン3部、スチレン−α−メチルスチレン共重合体〔理化ハーキュレス(株)製:ピコラスチックA−5〕30部、ヒンダードアミン系光安定剤〔三共(株)製、商品名:サノールLS765〕12部を均一に溶解したものを攪拌しながら投入し、油滴の平均粒子径が約3μmになるまで乳化した。
前記乳化液に37%ホルムアルデヒド水溶液25部を加え、温度を65℃に調整し、2時間攪拌を続けた後、遠心分離法により光変色性マイクロカプセルスラリーを得た。
前記光変色性マイクロカプセルスラリー10部、アクリル系エマルジョン〔新中村化学(株)製、商品名:NKバインダーAS−83〕20部、ターペンエマルジョン25部を均一に混合してフォトクロミック布用インキを得た。
支持体として綿100%の白布上に、前記布用インキを用いて全面にスクリーン印刷し、80℃で1時間乾燥させて光変色層を設けた。
前記光変色層上に、アクリル系エマルジョン(新中村化学(株)製、商品名:NKバインダーAS−83)20部、ターペンエマルジョン25部を均一に混合した印刷インキを用いてハート柄を印刷し、印刷部分が乾燥する前に光輝性微小片としてポリエステルグリッター〔林繊維(株)製、商品名:ポリエステルグリッターWHITE〕を散布して、印刷部分のみグリッターを固着させ、80℃で1時間乾燥して、光輝性微小片を部分的に固着して光輝性光変色体を得た。
なお、光輝性微小片を固着していない部分の光変色層と、光輝性微小片を固着した部分(ハート柄)との表面積比が10:1であった。
前記光輝性光変色体は太陽光に晒す前は白地に白色の光輝性を有するハート柄が視認され難い状態であったが、太陽光に晒したところ、光変色層は紫色に変色し、よって、紫地に光輝性を有する白色のハート柄が視認された。
前記光輝性変色体を暗所で放置すると、再び白地に白色の光輝性を有するハート柄が視認され難い状態となり、この様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0027】
実施例6
実施例3で得られた光変色性マイクロカプセル10部、アクリル樹脂(ロームアンドハース社製、商品名:パラロイドB−72)の15%キシレン溶液20部、キシレン15部、メチルイソブチルケトン15部を均一に混合してフォトロミック塗料を得た。
前記フォトクロミック塗料を用いて、支持体として白色ABS板上に水玉模様を塗装して光変色層を設けた後、前記光変色層上に光輝性微小片としてポリエステルグリッター〔林繊維(株)製、商品名:ポリエステルグリッターPINK〕1部、アクリル樹脂(ロームアンドハース社製、商品名:パラロイドB−72)の15%キシレン溶液20部、キシレン15部、メチルイソブチルケトン15部を均一に混合した光輝性塗料を用いて、三角形の線画パターンを塗装し、更に三角形の線画パターン内に光輝性微小片としてポリエステルグリッター〔林繊維(株)製、商品名:ポリエステルグリッターBLUE〕1部、アクリル樹脂(ロームアンドハース社製、商品名:パラロイドB−72)の15%キシレン溶液20部、キシレン15部、メチルイソブチルケトン15部を均一に混合した光輝性塗料を用いて星型を塗装して光輝性光変色体を得た。
なお、光輝性微小片を固着していない部分の光変色層と光輝性微小片を固着した部分との表面積比は5:1であった。
前記光輝性光変色体は太陽光に晒す前は白地にピンク色の光輝性を有する三角型の輪郭内に青色の光輝性を有する星柄が視認され、太陽光に晒したところ、光変色層はピンク色に変色して三角型の輪郭は視認され難くなり、よって、白地にピンク色の水玉模様とその内部に光輝性を有する青色の星型模様が視認された。
前記光輝性変色体を暗所で放置すると、再び白地にピンク色の光輝性を有する三角型の輪郭内に青色の光輝性を有する星柄が視認され、この様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0028】
実施例7(図3参照)
離型紙(リンテック社製、塩化ビニルキャスト用離型紙)の凹凸状ウロコ面に軟質塩化ビニルゾル〔ヒガシ化学(株)製、可塑剤40%含有〕を40g/m2 になるようリバースコーターにて塗工して支持体2を形成した。
前記支持体2上に、光輝性微小片4としてアルミ蒸着片〔ダイヤ工業(株)製、商品名:ダイヤホログラム銀色、0.3mm〕を分散状態に固着した後、180℃に加温して可塑化した。
次いで、実施例3で得られた微小カプセル20部、青色顔料0.1部、塩化ビニル樹脂粉末〔日本ゼオン(株)製〕35部、ATBC(クエン酸エステル)40部からなるフォトクロミック塩化ビニルゾル組成物をドクターコートにて40g/m2 になるよう塗工し、加温(180℃)して光変色層3を形成した。
前記離型紙を剥離して光輝性光変色体1を得た。
なお、光輝性微小片を固着していない部分の光変色層と、光輝性微小片を固着した部分との表面積比は50:1であった。
前記光輝性光変色体は支持体側から視認すると、太陽光に晒す前は青地に銀色の光輝性を有する光輝性微小片が点在した状態が視認され、太陽光に晒したところ、光変色層は紫色に変色し、よって、紫地に銀色の光輝性微小片が点在した状態が視認された。
前記光輝性変色体を暗所で放置すると、再び青地に銀色の光輝性を有する光輝性微小片が点在した状態が視認され、この様相変化は繰り返し行なうことができた。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の光輝性光変色体の一実施例の縦断面図である。
【図2】本発明の光輝性光変色体の他の実施例の縦断面図である。
【図3】本発明の光輝性光変色体の他の実施例の縦断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 光輝性光変色体
2 支持体
3 光変色層
4 光輝性微小片
5 透明性樹脂層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトクロミック材料を含む光変色層上に複数の光輝性微小片を部分的に固着してなる光輝性光変色体。
【請求項2】
光輝性微小片を固着していない部分の光変色層と、光輝性微小片を固着した部分との表面積比が1:1〜100:1の範囲にある請求項1記載の光輝性光変色体。
【請求項3】
前記光変色層が支持体上に積層されてなる請求項1又は2記載の光輝性光変色体。
【請求項4】
前記光輝性微小片によって像を形成してなる請求項1乃至3のいずれかに記載の光輝性光変色体。
【請求項5】
前記像が文字、記号、数字、線、図柄、或いは、これらの組み合わせである請求項4記載の光輝性光変色体。
【請求項6】
前記フォトクロミック材料がスピロオキサジン系化合物又はスピロピラン系化合物から選ばれるフォトクロミック化合物を、重量平均分子量が200乃至6000のスチレン系オリゴマーに溶解した材料である請求項1乃至5のいずれかに記載の光輝性光変色体。
【請求項7】
前記フォトクロミック材料中のフォトクロミック化合物と、スチレン系オリゴマーの重量比が1:1〜1:10000である請求項6記載の光輝性光変色体。
【請求項8】
前記フォトクロミック材料がフォトクロミック化合物とスチレン系オリゴマーをマイクロカプセルに内包した可逆光変色性マイクロカプセル顔料、又は、フォトクロミック化合物とスチレン系オリゴマーを樹脂粒子中に分散した可逆光変色性樹脂粒子である請求項6又は7記載の光輝性光変色体。
【請求項9】
フォトクロミック材料及び/又は光変色層中にヒンダードアミン系光安定剤を含んでなる請求項1乃至8いずれかに記載の光輝性光変色体。
【請求項10】
前記ヒンダードアミン系光安定剤が下記一般式(1)で示される化合物である請求項9記載の光輝性光変色体。
【化1】

(式中、R1 は炭素数1乃至30のアルキル基を示し、R2 、R3 、R4 、R5 はそれぞれ炭素数1乃至5のアルキル基を示し、nは1以上の整数を示し、R6 はn価の有機残基を示す。)
【請求項11】
最上層に400nm以下の光が透過する透明性樹脂層を設けてなる請求項1乃至10のいずれかに記載の光輝性光変色体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−116889(P2006−116889A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−309151(P2004−309151)
【出願日】平成16年10月25日(2004.10.25)
【出願人】(000111890)パイロットインキ株式会社 (832)
【Fターム(参考)】