説明

光送信器および光通信システム

【課題】 残留強度変調成分が低減された信号光を出力することができる光送信器を提供する。
【解決手段】 光送信器10Aは、光源101、光位相変調部102、光強度変調部103、プリディストーション部104、オフセット部105、パイロット信号発生部106、光カプラ107、受光部108、RF信号発生部109およびバンドパスフィルタ110を備える。RF信号発生部109は、互いに位相反転関係にある第1RF信号および第2RF信号を出力する。光源101または光位相変調部102は、第1RF信号(SBS抑圧信号)に基づいて光を位相変調して、光スペクトル線幅を拡大する。光源101は、第2RF信号(RAM補償信号)に基づいて光を強度変調して、光位相変調部102で生じる残留強度変調成分を補償する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号光を伝送して光通信を行う光通信システム、および、信号光を送出する光送信器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光通信システムは、信号光を送出する光送信器と、この光送信器から送出された信号光を伝送する光ファイバ伝送路と、この光ファイバ伝送路により伝送されて到達した信号光を受信する光受信器と、を備える。また、光送信器のなかでも外部変調型のものは、連続光を出力する光源と、この光源から出力された光を位相変調して出力する光位相変調部と、この光位相変調部から出力された光を伝送信号で強度変調して出力する光強度変調部と、を備える。光位相変調部は、誘導ブリルアン散乱(SBS)閾値を改善するために、光スペクトル線幅を広げるものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】A. Yariv, et al., IEEE Journal of LT,Vol.15, No.3, pp.437-443 (1997)
【非特許文献2】F. W. Willems, et al., IEEE Photon.Technol. Lett., Vol.6, No.12, pp.1476-1478 (1994)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光位相変調部が理想的なものであれば、その光位相変調部は光の位相のみを変調することができる。しかし、実際には光位相変調部から出力された光は残留強度変調(RAM)成分を含む。このような残留強度変調成分を含む信号光を、反射点が存在する光伝送路により伝送させると、その信号光に含まれる残留強度変調成分と伝送信号に因る強度変調成分との間でビートが生じる可能性がある。そして、このようなビートは伝送特性(特にアナログ映像伝送特性)における歪みの原因となる。
【0005】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、残留強度変調成分が低減された信号光を出力することができる光送信器を提供することを目的とする。また、このような光送信器を含み優れた伝送特性で信号光を伝送することができる光通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る光送信器は、(1) 光を出力する光源と、(2) 光源から出力された光を位相変調して出力する光位相変調部と、(3) 光位相変調部から出力された光を伝送信号で強度変調して出力する光強度変調部と、(4)第1RF信号および第2RF信号を出力するRF信号発生部とを備えることを特徴とする。さらに、本発明に係る光送信器は、前記光位相変調部が、前記RF信号発生部から出力された第1RF信号に基づいて、光源から位相変調器に入力した光を位相変調して、光スペクトル線幅を拡大し、光源または光強度変調部が、RF信号発生部から出力された第2RF信号に基づいて光を強度変調して、光位相変調部で生じる残留強度変調成分を補償することを特徴とする。
【0007】
この光送信器では、光源から出力された光は、光位相変調部により位相変調され、光強度変調部により伝送信号で強度変調されて、信号光として出力される。RF信号発生部から互いに位相反転関係にある第1RF信号および第2RF信号が出力される。RF信号発生部から出力された第1RF信号は光源または光位相変調部に供給されて、光スペクトル線幅が拡大される。また、RF信号発生部から出力された第2RF信号は光源または光強度変調部に供給されて、光位相変調部で生じる残留強度変調成分が補償される。
【0008】
或いは、本発明に係る光送信器は、(1) 光を出力する光源と、(2) 光源から出力された光を位相変調して出力する光位相変調部と、(3) 第1光強度変調部に入力される光または第1光強度変調部から出力された光を強度変調して出力する第1光強度変調部と、(4)第1光強度変調部に入力される光または第1光強度変調部から出力された光を強度変調して出力する第2光強度変調部と、(5) 第1RF信号および第2RF信号を出力するRF信号発生部とを備えることを特徴とする。さらに、本発明に係る光送信器は、光位相変調部が、RF信号発生部から出力された第1RF信号に基づいて、光源から位相変調器に入力した光を位相変調して、光スペクトル線幅を拡大し、第2光強度変調部が、RF信号発生部から出力された第2RF信号に基づいて光を強度変調して、光位相変調部で生じる残留強度変調成分を補償することを特徴とする。
【0009】
この光送信器では、光源から出力された光は、光位相変調部により位相変調され、第1光強度変調部により伝送信号で強度変調され、第2光強度変調部により第2RF信号で強度変調されて、信号光として出力される。RF信号発生部から互いに位相反転関係にある第1RF信号および第2RF信号が出力される。RF信号発生部から出力された第1RF信号は光源または光位相変調部に供給されて、光スペクトル線幅が拡大される。また、RF信号発生部から出力された第2RF信号は第2光強度変調部に供給されて、光位相変調部で生じる残留強度変調成分が補償される。
【0010】
本発明に係る光送信器では、RF信号発生部は、第2RF信号の強度および位相のうち少なくとも1つを調整するのが好適である。
【0011】
本発明に係る光送信器では、第2RF信号は、光位相変調部から出力される光に含まれるスプリアス(歪み成分)を補正する成分を含むのが好適である。
【0012】
本発明に係る光送信器は、光位相変調部から出力された光の一部を分岐する光カプラと、この光カプラにより分岐した光を受光し、その受光量に応じた電気信号を出力する受光部とを備え、RF信号発生部が、受光部から出力される電気信号に含まれる歪み成分が最小となるように、第2RF信号の強度、位相および歪みの何れかを調整するのが好適である。
【0013】
本発明に係る光送信器では、第1RF信号に対する第1RF信号に含まれるスプリアスとの比が65dB以上であるのが好適である。
【0014】
本発明に係る光送信器では、RF信号発生部は、RF信号を発生するRF信号発生源を含み、このRF信号発生源から出力されたRF信号を2分岐して、その2分岐した各RF信号を互いに位相反転関係となるようにして第1RF信号および第2RF信号として出力するのが好適である。
【0015】
本発明に係る光通信システムは、信号光を出力する上記の本発明に係る光送信器を備え、この光送信器から出力された信号光を伝送して光通信を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、残留強度変調成分が低減された信号光を出力することができ、優れた伝送特性で信号光を伝送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係る光通信システム1の概略構成図である。
【図2】第1実施形態に係る光送信器10Aの構成図である。
【図3】RF信号発生部109の第1構成例を示す図である。
【図4】RF信号発生部109の第2構成例を示す図である。
【図5】RF信号発生部109の第3構成例を示す図である。
【図6】RF信号発生部109の第4構成例を示す図である。
【図7】第1実施形態に係る光送信器10Aの各所における光の強度変調および周波数スペクトルを示す図である。
【図8】第2実施形態に係る光送信器10Bの構成図である。
【図9】第3実施形態に係る光送信器10Cの構成図である。
【図10】第3実施形態に係る光送信器10Dの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
先ず、本発明に係る光通信システムの実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る光通信システム1の概略構成図である。この図に示される光通信システム1は、光送信器10,光受信器20および光ファイバ伝送路30を備える。この光通信システム1では、光送信器10から送出された信号光は、光ファイバ伝送路30により伝送されて光受信器20に到達し、この光受信器20により受信される。光送信器10は、本発明に係るものである。以下では、本発明に係る光送信器の実施形態について説明する。
【0020】
次に、本発明に係る光送信器の第1実施形態について説明する。図2は、第1実施形態に係る光送信器10Aの構成図である。この図に示される光送信器10Aは、図1中の光送信器10として用いられるものであって、光源101、光位相変調部102、光強度変調部103、プリディストーション部104、オフセット部105、パイロット信号発生部106、光カプラ107、受光部108、RF信号発生部109およびバンドパスフィルタ110を備える。
【0021】
光源101は、連続光を出力するものであり、一般にレーザダイオードが用いられ、好適には分布帰還型レーザ(DFBレーザ),外部共振型レーザ(ECL)およびファブリペロー型レーザ(FPレーザ)などが用いられる。光位相変調部102は、光源101から出力された光を位相変調して出力するものであり、好適にはリチウムナイオベート(LN)導波路が用いられる。光強度変調部103は、光位相変調部102から出力された光を伝送信号で強度変調して出力するものであり、好適には位相制御型や分布結合型などのLN導波路が用いられる。この光強度変調部103から出力された光は、信号光として光ファイバ伝送路30へ送出される。
【0022】
この光強度変調部103は、印加電圧と光透過率との間に一定の関係を有するものであり、電圧が印加されることで光透過率が制御されて、これにより光を強度変調することができる。しかし、光強度変調部103は、一般に、印加電圧と光透過率との間の関係に歪みを有する。そこで、これを補償するためにプリディストーション部104およびオフセット部105が設けられている。すなわち、光強度変調部103における印加電圧と光透過率との間の関係に含まれる歪みを補償するように、プリディストーション部104は伝送信号に歪みを与え、オフセット部105は伝送信号にオフセットを与える。
【0023】
また、オフセット部105が伝送信号に与えるオフセットを決定するために、パイロット信号発生部106,光カプラ107および受光部108が設けられている。すなわち、パイロット信号発生部106は、モニタ用のパイロット信号を光源101に供給して光源101を駆動し、かつオフセット部105へも入射される。光カプラ107は、そのパイロット信号により駆動された光源101から出力され光位相変調部102および光強度変調部103を経た光の一部を分岐する。受光部108は、その光カプラ107により分岐された光を受光して、当該受光量に応じた電気信号を出力する。そして、オフセット部105は、光カプラ107から出力された電気信号を入力し、その電気信号からパイロット信号を取り出して、フィードバック制御によりオフセットを最適化する。
【0024】
RF信号発生部109は、RF信号(SBS抑圧信号)を光源101または光位相変調部102に供給して、光スペクトル線幅を拡大させる。RF信号は、抑圧したいSBS閾値に応じて、RF信号強度を変化させることが可能である。
【0025】
ところで、光位相変調部102が理想的なものであれば、その光位相変調部102は光の位相のみを変調することができる。しかし、実際には、光位相変調部102から出力された光は残留強度変調(RAM)成分を含む。この残留強度変調成分は、光位相変調部の内部および表面での光散乱によるエタロン効果、光位相変調部において使用される圧電素子(例えばLN)の圧電応答、圧電素子内部での変調強度の不均一性、ならびに、圧電素子用結晶の光路長や複屈折性、等により生じる。
【0026】
このように光位相変調部102から出力された光が残留強度変調成分を含む場合には、光位相変調部102から出力された光を受光部により光電変換して、この受光部から出力された電気信号をRFスペクトラムアナライザで観測すると、その残留強度変調成分の存在を確認することができる。
【0027】
このような残留強度変調成分を含む信号光を、反射点が存在する光伝送路により伝送させると、その信号光に含まれる残留強度変調成分と伝送信号に因る強度変調成分との間でビートが生じる可能性がある。干渉性の高いビートは、光スペクトル線幅の逆数に依存する光のコヒーレンス長に依存して干渉強度が観測されうることとなる。このビートの周波数は、伝送信号に因る強度変調成分の周波数の近辺に存在する。したがって、このようなビートは伝送特性(特にアナログ映像伝送特性)における歪みの原因となるため、ビートを低減させることが必要である。
【0028】
RF信号発生部109から光源101または光位相変調部102に供給されるRF信号(SBS抑圧信号)のスプリアス成分を低減させることでも、ビートを低減することは可能である。この場合、スプリアス成分とRF信号とのDURは65dB以上であることが望ましい。ただし、この場合は、伝送信号に因る強度変調成分と同じ周波数を有するビートを取り除くことは困難である。
【0029】
そこで、この第1実施形態に係る光送信器10AにおけるRF信号発生部109は、互いに位相反転関係にある第1RF信号および第2RF信号を出力する。そして、光源101または光位相変調部102は、第1RF信号(SBS抑圧信号)に基づいて光を位相変調して、光スペクトル線幅を拡大し、光源101は、第2RF信号(RAM補償信号)に基づいて光を強度変調して、光位相変調部102で生じる残留強度変調成分を補償する。
【0030】
好適には、RF信号発生部109は、第2RF信号の強度および位相のうち少なくとも1つを調整する。RF信号発生部109は、光位相変調部102から出力される光に含まれる歪み成分を補正する成分を第2RF信号に含ませる。バンドパスフィルタ110は、受光部108から出力された電気信号を入力して、その電気信号に含まれる歪み成分を選択的に透過してRF信号発生部109へ出力する。また、RF信号発生部109は、この歪み成分が最小となるように、第2RF信号の強度,位相および歪みの何れかを調整する。
【0031】
図3は、RF信号発生部109の第1構成例を示す図である。この図に示されるRF信号発生部109は、RF発生源121、位相反転部123、可変移相部124、可変減衰部125および制御部126を備える。光位相変調部102に供給される第1RF信号(SBS抑圧信号)は、RF発生源121から出力される。また、光源101に供給される第2RF信号(RAM補償信号)は、RF発生源121から出力され、位相反転部123により位相が反転され、可変移相部124により位相が調整され、可変減衰部125により強度が調整される。位相反転部123、可変移相部124および可変減衰部125それぞれは、バンドパスフィルタ110から出力された歪み成分が最小となるように制御部126により制御される。
【0032】
図4は、RF信号発生部109の第2構成例を示す図である。この図に示されるRF信号発生部109は、RF発生源121、位相反転部123、可変移相部124、可変減衰部125および制御部126を備える。光位相変調部102に供給される第1RF信号(SBS抑圧信号)は、RF発生源121から出力され、位相反転部123により位相が反転され、可変移相部124により位相が調整される。また、光源101に供給される第2RF信号(RAM補償信号)は、RF発生源121から出力され、可変減衰部125により強度が調整される。位相反転部123、可変移相部124および可変減衰部125それぞれは、バンドパスフィルタ110から出力された歪み成分が最小となるように制御部126により制御される。
【0033】
図5は、RF信号発生部109の第3構成例を示す図である。この図に示されるRF信号発生部109は、RF発生源121、RF発生源122、位相反転部123、可変移相部124、可変減衰部125および制御部126を備える。RF発生源121およびRF発生源122は、互いに同一の周波数のRF信号を出力する。光位相変調部102に供給される第1RF信号(SBS抑圧信号)は、RF発生源121から出力される。また、光源101に供給される第2RF信号(RAM補償信号)は、RF発生源122から出力され、位相反転部123により位相が反転され、可変移相部124により位相が調整され、可変減衰部125により強度が調整される。位相反転部123、可変移相部124および可変減衰部125それぞれは、バンドパスフィルタ110から出力された歪み成分が最小となるように制御部126により制御される。
【0034】
図6は、RF信号発生部109の第4構成例を示す図である。この図に示されるRF信号発生部109は、RF発生源121、RF発生源122、位相反転部123、可変移相部124、可変減衰部125および制御部126を備える。RF発生源121およびRF発生源122は、互いに同一の周波数のRF信号を出力する。光位相変調部102に供給される第1RF信号(SBS抑圧信号)は、RF発生源121から出力され、位相反転部123により位相が反転され、可変移相部124により位相が調整される。また、光源101に供給される第2RF信号(RAM補償信号)は、RF発生源122から出力され、可変減衰部125により強度が調整される。位相反転部123、可変移相部124および可変減衰部125それぞれは、バンドパスフィルタ110から出力された歪み成分が最小となるように制御部126により制御される。
【0035】
図7は、第1実施形態に係る光送信器10Aの各所における光の強度変調および周波数スペクトルを示す図である。この図には、第2RF信号(RAM補償信号)が供給された光源101から出力される光の強度変調および周波数スペクトル、第1RF信号(SBS抑圧信号)が供給された光位相変調部102から出力される光の強度変調および周波数スペクトル、ならびに、光強度変調部103から出力される光の周波数スペクトルが示されている。この図に示されるように、光位相変調部102で生じる残留強度変調成分が、第2RF信号に基づく光源101における光の強度変調と相殺されて、光強度変調部103から出力される光に含まれる残留強度変調成分が低減され得る。また、このような光送信器10Aを含む光通信システム1は、優れた伝送特性で信号光を伝送することができる。
【0036】
次に、本発明に係る光送信器の第2実施形態について説明する。図8は、第2実施形態に係る光送信器10Bの構成図である。この図に示される光送信器10Bは、図1中の光送信器10として用いられるものであって、光源101、光位相変調部102、光強度変調部103、プリディストーション部104、オフセット部105、パイロット信号発生部106、光カプラ107、受光部108、RF信号発生部109およびバンドパスフィルタ110を備える。これらの各要素は、第1実施形態におけるものと同様のものである。
【0037】
この第2実施形態に係る光送信器10BにおけるRF信号発生部109は、互いに位相反転関係にある第1RF信号および第2RF信号を出力する。そして、光源101または光位相変調部102は、第1RF信号(SBS抑圧信号)に基づいて光を位相変調して、光スペクトル線幅を拡大し、光強度変調部103は、第2RF信号(RAM補償信号)に基づいて光を強度変調して、光位相変調部102で生じる残留強度変調成分を補償する。光強度変調部103に印加される電圧値は、プリディストーション部104により歪みが与えられた伝送信号に、オフセット部105によりオフセットが与えられ、更に第2RF信号が重畳されたものとなる。この第2実施形態に係る光送信器10Bにおいては、光位相変調部102で生じる残留強度変調成分が、第2RF信号に基づく光強度変調部103における光の強度変調と相殺されて、光強度変調部103から出力される光に含まれる残留強度変調成分が低減され得る。
【0038】
次に、本発明に係る光送信器の第3実施形態について説明する。図9は、第3実施形態に係る光送信器10Cの構成図である。この図に示される光送信器10Cは、図1中の光送信器10として用いられるものであって、光源101、光位相変調部102、光強度変調部103、光強度変調部103a、プリディストーション部104、オフセット部105、パイロット信号発生部106、光カプラ107、受光部108、RF信号発生部109およびバンドパスフィルタ110を備える。この第3実施形態では、第2実施形態の場合と比較すると、光位相変調部102と光強度変調部103との間に別の光強度変調部103aを更に備える点で相違する。
【0039】
この第3実施形態に係る光送信器10CにおけるRF信号発生部109は、互いに位相反転関係にある第1RF信号および第2RF信号を出力する。そして、光源101または光位相変調部102は、第1RF信号(SBS抑圧信号)に基づいて光を位相変調して、光スペクトル線幅を拡大し、光強度変調部103aは、第2RF信号(RAM補償信号)に基づいて光を強度変調して、光位相変調部102で生じる残留強度変調成分を補償する。この第3実施形態に係る光送信器10Cにおいては、光位相変調部102で生じる残留強度変調成分が、第2RF信号に基づく光強度変調部103aにおける光の強度変調と相殺されて、光強度変調部103から出力される光に含まれる残留強度変調成分が低減され得る。
【0040】
次に、本発明に係る光送信器の第4実施形態について説明する。図10は、第4実施形態に係る光送信器10Dの構成図である。この図に示される光送信器10Dは、図1中の光送信器10として用いられるものであって、光源101、光位相変調部102、光強度変調部103、光強度変調部103a、プリディストーション部104、オフセット部105、パイロット信号発生部106、光カプラ107、受光部108、RF信号発生部109およびバンドパスフィルタ110を備える。この第4実施形態では、第3実施形態の場合と比較すると、光強度変調部103と光強度変調部103aとの配置関係の点で相違する。
【0041】
この第4実施形態に係る光送信器10DにおけるRF信号発生部109は、互いに位相反転関係にある第1RF信号および第2RF信号を出力する。そして、光源101または光位相変調部102は、第1RF信号(SBS抑圧信号)に基づいて光を位相変調して、光スペクトル線幅を拡大し、光強度変調部103aは、第2RF信号(RAM補償信号)に基づいて光を強度変調して、光位相変調部102で生じる残留強度変調成分を補償する。この第4実施形態に係る光送信器10Dにおいては、光位相変調部102で生じる残留強度変調成分が、第2RF信号に基づく光強度変調部103aにおける光の強度変調と相殺されて、光強度変調部103から出力される光に含まれる残留強度変調成分が低減され得る。
【0042】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、光位相変調部102から出力される光に含まれる歪み成分を検出するための光カプラ107および受光部108は、上記実施形態では光強度変調部103の後段に設けられたが、光位相変調部102の後段であれば任意の位置に設けられてよい。
【符号の説明】
【0043】
1…光通信システム、10,10A,10B,10C,10D…光送信器、20…光受信器、30…光ファイバ伝送路、101…光源、102…光位相変調部、103,103a…光強度変調部、104…プリディストーション部、105…オフセット部、106…パイロット信号発生部、107…光カプラ、108…受光部、109…RF信号発生部、110…バンドパスフィルタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出力する光源と、
前記光源から出力された光を位相変調して出力する光位相変調部と、
前記光位相変調部から出力された光を伝送信号で強度変調して出力する光強度変調部と、
第1RF信号および第2RF信号を出力するRF信号発生部と
を備え、
前記光位相変調部が、前記RF信号発生部から出力された第1RF信号に基づいて、前記光源から前記位相変調器に入力した光を位相変調して、光スペクトル線幅を拡大し、
前記光源または前記光強度変調部が、前記RF信号発生部から出力された第2RF信号に基づいて光を強度変調して、前記光位相変調部で生じる残留強度変調成分を補償する
ことを特徴とする光送信器。
【請求項2】
光を出力する光源と、
前記光源から出力された光を位相変調して出力する光位相変調部と、
前記光位相変調部から出力された光を伝送信号で強度変調して出力する第1光強度変調部と、
前記第1光強度変調部に入力される光または前記第1光強度変調部から出力された光を強度変調して出力する第2光強度変調部と、
第1RF信号および第2RF信号を出力するRF信号発生部と
を備え、
前記光位相変調部が、前記RF信号発生部から出力された第1RF信号に基づいて、前記光源から前記位相変調器に入力した光を位相変調して、光スペクトル線幅を拡大し、
前記第2光強度変調部が、前記RF信号発生部から出力された第2RF信号に基づいて光を強度変調して、前記光位相変調部で生じる残留強度変調成分を補償する
ことを特徴とする光送信器。
【請求項3】
前記RF信号発生部は、前記第2RF信号の強度および位相のうち少なくとも1つを調整することを特徴とする請求項1または2に記載の光送信器。
【請求項4】
前記第2RF信号は、前記光位相変調部から出力される光に含まれるスプリアス(歪み成分)を補正する成分を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の光送信器。
【請求項5】
前記光位相変調部から出力された光の一部を分岐する光カプラと、
この光カプラにより分岐した光を受光し、その受光量に応じた電気信号を出力する受光部とを備え、
前記RF信号発生部が、前記受光部から出力される電気信号に含まれる歪み成分が最小となるように、前記第2RF信号の強度、位相および歪みの何れかを調整する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の光送信器。
【請求項6】
前記第1RF信号に対する前記第1RF信号に含まれるスプリアスとの比が65dB以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の光送信器。
【請求項7】
前記RF信号発生部は、RF信号を発生するRF信号発生源を含み、このRF信号発生源から出力されたRF信号を2分岐して、その2分岐した各RF信号を互いに位相反転関係となるようにして前記第1RF信号および前記第2RF信号として出力することを特徴とする請求項1または2に記載の光送信器。
【請求項8】
信号光を出力する請求項1〜7の何れか1項に記載の光送信器を備え、この光送信器から出力された信号光を伝送して光通信を行うことを特徴とする光通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−161646(P2010−161646A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2671(P2009−2671)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】