光送信器及び光伝送装置
【課題】光信号を適切に遮断する。
【解決手段】光送信器は、入力された光を変調することで光信号を出力し、且つ印加されるバイアス電圧に依存して光吸収の程度が変化する光吸収特性であって、第1の特性領域及び第1の特性領域よりも光吸収の程度が大きくなる第2の特性領域を含む光吸収特性を有するマッハツェンダ型光変調器と、マッハツェンダ型光変調器からの光信号の出力を所望量以下に遮断する場合に、第2の特性領域に対応する遮断バイアス電圧をマッハツェンダ型光変調器に形成された2つの干渉用光導波路の夫々に備えられた電極に印加することにより、発生する電界を前記干渉用光導波路に与える印加部とを備える。
【解決手段】光送信器は、入力された光を変調することで光信号を出力し、且つ印加されるバイアス電圧に依存して光吸収の程度が変化する光吸収特性であって、第1の特性領域及び第1の特性領域よりも光吸収の程度が大きくなる第2の特性領域を含む光吸収特性を有するマッハツェンダ型光変調器と、マッハツェンダ型光変調器からの光信号の出力を所望量以下に遮断する場合に、第2の特性領域に対応する遮断バイアス電圧をマッハツェンダ型光変調器に形成された2つの干渉用光導波路の夫々に備えられた電極に印加することにより、発生する電界を前記干渉用光導波路に与える印加部とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば光を変調することで光信号を出力する光送信器及び光送信器を備える光伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信の分野では、送信するべきデータに応じて光を変調することで光信号を出力する光送信器が用いられている。変調した光信号を出力するために、光送信器は、光を発する光源や、光を変調する光変調器等を備えている。尚、このような光送信器は、例えば、複数の波長チャネルによるWDM(Wavelength Division Multiplex:波長分割多重)のための光伝送装置等に用いられる。例えば、WDMのための光伝送装置は、互いに異なる波長を有する光信号を出力する複数の光送信器と、これら光送信器から出力された光信号を波長分割多重してWDM信号光を出力する光マルチプレクサとを備えている。
【0003】
光変調器として、高い消光比を実現でき且つ多段中継に付随するノイズに強い耐性を有しているマッハツェンダ型の光変調器が多く用いられる。マッハツェンダ型の光変調器は、リチウムナイオベート(Lithium Niobate:LN)という材料を用いて製造されることが多い。
【0004】
一方で、光送信器は、規格やユーザの要求によって定められた時間以内に光信号の出力を停止する(つまり、光信号の出力を所望量以上遮断する)ことが可能な光遮断機能を備えていることが好ましい。リチウムナイオベートを用いて製造されるマッハツェンダ型の光変調器(以降、適宜“LN光変調器”と称する)を備える光送信器では、LN光変調器の2つのアーム(言い換えれば、2つの光導波路)の間で光の位相が180°ずれるように、2つのアームの一方又は双方に所定の電圧が印加される。その結果、2つのアームを通った光が再び合波されるときに光が打ち消されるため、光送信器からの光信号の出力が停止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−83473号公報
【特許文献2】特開平6−232721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、LN光変調器に代えて、半導体材料を用いて製造されるマッハツェンダ型の光変調器(以降、適宜“半導体MZ型光変調器”と称する)が用いられることがある。半導体光変調器においても、上述した光遮断機能を備えていることが好ましい。しかしながら、上述したLN光変調器において用いられる光遮断機能を半導体光変調器にそのまま適用したとしても、十分な消光量を得ることができない。つまり、半導体光変調器では、2つのアームの間での光の位相をずらすだけでは、十分な消光比量を得ることができない。具体的には、LN光変調器と半導体光変調器との間の構造的な又は特性上の相違に起因して、半導体光変調器では2つのアームを通った光の量がそれぞれ同じにならない場合がある。このため、2つのアームを通った光が再び合波される場合に完全に消光できず、LN光変調器ほどの十分な消光量を得ることができない。その結果、例えば所望量(例えば、−30dBm)以上の光遮断を行うことが困難又は不可能となっている。この傾向は、ネガティブチャープの半導体光変調器において顕著である。
【0007】
本発明が解決しようとする課題には上記のようなものが一例として挙げられる。本発明は、例えば光信号を適切に遮断することが可能な光送信器及び光伝送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、マッハツェンダ型光変調器と、印加部とを備える光送信器によって解決される。マッハツェンダ型光変調器は、入力された光を変調することで光信号を出力する。加えて、マッハツェンダ型光変調器は、所定の光吸収特性を有している。所定の光吸収特性は、マッハツェンダ型光変調器に印加されるバイアス電圧に依存して光吸収の程度が変化する光吸収特性である。更に、所定の光吸収特性は、第1の特性領域及び第1の特性領域よりも光吸収の程度が大きくなる第2の特性領域を含む光吸収特性である。言い換えれば、所定の光吸収特性とは、第2の特性領域及び第2の特性領域よりも光吸収の程度が小さくなる第1の特性領域を含む光吸収特性である。印加部は、マッハツェンダ型光変調器からの光信号の出力を所望量以下に遮断する場合に、第2の特性領域に対応する所定の遮断バイアス電圧をマッハツェンダ型光変調器に形成された2つの干渉用光導波路の夫々に備えられた電極に印加する。その結果、遮断バイアス電圧の印加によって発生する電界が干渉用光導波路に与えられる。
【0009】
上記課題は、光送信器から出力される光信号を、光伝送路を介して対向装置に向けて伝送する光伝送装置によって解決される。
【発明の効果】
【0010】
以上説明した光送信器及び光伝送装置によれば、光信号を適切に遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態の光伝送システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の光送信器の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態の光変調器単体の光吸収特性を、比較例の光変調器単体の光吸収特性と共に示すグラフである。
【図4】変形例の光送信器の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づいて説明する。
【0013】
(1)光伝送システム
図1を参照して、本実施形態の光伝送システム1について説明する。図1は、本実施形態の光伝送システム1の構成の一例を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、光伝送システム1は、WDM光信号を出力する光伝送装置10と、光伝送装置10から出力されたWDM光信号を伝送するための光ファイバ伝送路20と、光ファイバ伝送路20により伝送されたWDM光信号を受信する光伝送装置40とを備えている。
【0015】
光伝送装置10は、複数の光送信器11と、光マルチプレクサ(MUX)12とを備える。光送信器11はそれぞれ光マルチプレクサ12の複数の入力ポートに接続される。光マルチプレクサ12の出力ポートは光ファイバ伝送路20に接続される。光マルチプレクサ12は、光送信器11から供給された複数の光信号を波長分割多重してWDM光信号を出力する。
【0016】
光ファイバ伝送路20の途中には、光ファイバ伝送路20におけるWDM光信号の減衰を補償するために、光中継器30が設けられている。光中継器30はWDM光信号を増幅するための光増幅器を有している。尚、光増幅器は、例えば、WDM光信号を受信する光増幅媒体(例えば、希土類元素がドープされたドープファイバや、半導体チップ等)と、光増幅媒体がWDM光信号の帯域を含む利得帯域を提供するように光増幅媒体をポンピングするポンピング部とを備えている。
【0017】
光伝送装置40は、受信したWDM光信号を各チャネルの光信号に分離する光デマルチプレクサ(DMUX)41と、分離された光信号を受信するための複数の光受信器42とを備える。
【0018】
尚、WDM光信号を出力する光伝送装置10に代えて、光送信器11から出力される光信号を波長分割多重することなく出力する光伝送装置10を用いてもよい。この場合、光伝送装置10は、光マルチプレクサ12を備えていなくともよいし、光送信器11を複数備えていなくともよい。同様に、WDM光信号を受信する光伝送装置40に代えて、波長分割多重化されていない光信号を受信する光伝送装置40を用いてもよい。この場合、光伝送装置40は、光デマルチプレクサ41を備えていなくともよいし、複数の光受信器42を備えていなくともよい。
【0019】
(2)光送信器
図2を参照して、本実施形態の光送信器11について説明する。図2は、本実施形態の光送信器11の構成の一例を示すブロック図である。
【0020】
図2に示すように、光送信器11は、レーザダイオード素子111と、光変調器112とを備えている。尚、図2は、レーザダイオード素子111と光変調器112とが同一の基板上に形成される構成を示している。しかしながら、レーザダイオード素子111と光変調器112とが別々の基板上に形成されていてもよい。
【0021】
レーザダイオード素子111は、「光源」の一例であって、レーザダイオード駆動電流(例えば、100mAのレーザダイオード駆動電流)の供給を受けることで、所望の波長の光を出力する。例えば、レーザダイオード素子111は、図2中でレーザダイオード素子111の右側に位置する光変調器112に向けて光を出力する。
【0022】
光変調器112は、レーザダイオード素子111から出力される光を変調する。但し、光変調器112は、レーザダイオード素子111から出力される光に限らず、当該光変調器112に入力される任意の光を変調してもよい。光変調器112は、変調した光を、光信号として出力する。本実施形態では、光変調器112は、半導体材料から製造されるマッハツェンダ型の光変調器であることが好ましい。
【0023】
光変調器112は、レーザダイオード素子111から出力される光の光路となる2つの光導波路1121_1及び1121_2を備えている。従って、レーザダイオード素子111から出力される光は、光導波路1121_1を伝搬する光と光導波路1121_2を伝搬する光とに分離された状態で変調される。その後、光導波路1121_1を伝搬する光と光導波路1121_2を伝搬する光とが再度混合されることで、変調された光が光信号として、例えば図2中光変調器112の右側に向けて出力される。
【0024】
光送信器11は、光導波路1121_1を伝搬する光と光導波路1121_2を伝搬する光とを変調して光信号として出力する(つまり、光導波路1121_1を伝搬する光と光導波路1121_2を伝搬する光を所望量以上遮断しない)ために、変調信号及び駆動用バイアス電圧信号を、光導波路1121_1及び1121_2の夫々に印加する。一方で、光送信器11は、光変調器112からの光信号の出力を停止する(つまり、光導波路1121_1を伝搬する光と光導波路1121_2を伝搬する光を所望量以上遮断する)ために、遮断用バイアス電圧信号を、光導波路1121_1及び1121_2の夫々に印加する。
【0025】
具体的には、光送信器11は、図2中上側の光導波路1121_1を伝搬する光を変調する又は遮断するための構成要素として、電極1122_1と、変調信号供給器113_1と、バイパスコンデンサ1141_1と、コイル1142_1と、抵抗1143_1と、バイパスコンデンサ1144_1と、スイッチ115_1と、遮断要求信号供給器116_1と、駆動用バイアス電圧供給器117_1と、遮断用バイアス電圧供給器118_1とを備えている。駆動用バイアス電圧供給器117_1は、差動増幅器1171_1と、抵抗1172_1と、抵抗1173_1と、駆動用バイアス電源1174_1とを備えている。
【0026】
光導波路1121_1を伝搬する光を変調して光信号として出力する場合には、電極1122_1には、変調信号供給器113_1から供給される変調信号及び駆動用バイアス電圧供給器117_1から供給される駆動用バイアス電圧信号が重畳された駆動用電圧信号が、電極1122_1を介して光導波路1121_1に印加される。従って、電極1122_1は、光導波路1121_1上に又は光導波路1121_1を覆うように設けられることが好ましい。尚、電極1122_1の一端は、バイパスコンデンサ1141_1及びコイル1142_1の夫々に電気的に接続されている。電極1122_1の他端は、抵抗1143_1及びバイパスコンデンサ1144_1を介して接地されている。
【0027】
変調信号供給器113_1は、送信するべきデータに応じた変調信号を生成する。尚、変調信号供給器113_1は、例えば差動型プリコーダであってもよい。この場合、変調信号供給器113_1は、送信するべきデータに基づいて、1ビット前の符号と現在の符号との差情報が反映された符号化処理を行うことで、例えば1.5Vppの変調信号(言い換えれば、電気差動変調信号)を生成してもよい。もちろん、変調信号供給器113_1は、差動型プリコーダ以外のプリコーダ又は信号生成器であってもよい。変調信号供給器113_1は、生成した変調信号を、バイパスコンデンサ1141_1を介して電極1122_1に印加する。尚、バイパスコンデンサ1141_1とスイッチ115_1との間(言い換えれば、電極1122_1とスイッチ115_1との間)設けられているコイル1142_1により、変調信号がスイッチ115_1側へ供給されることはない。
【0028】
駆動用バイアス電圧供給器117_1が備える駆動用バイアス電源1174_1は、増幅前の駆動用バイアス電圧信号を、抵抗1173_1を介して差動増幅器1171_1の逆相入力端子へと供給する。差動増幅器1171_1の正相入力端子は接地されている。差動増幅器1171_1の出力は、抵抗1172_1を介して逆相入力端子へと負帰還される。従って、差動増幅器1171_1からは、増幅された駆動用バイアス電圧信号が出力される。尚、以下では、特段の表記がない場合には、“駆動用バイアス電圧信号”は、差動増幅器1171_1から出力される駆動用バイアス信号(つまり、差動増幅器1171_1によって増幅された駆動用バイアス電圧信号)を示している。差動増幅器1171_1から出力される駆動用バイアス電圧信号は、スイッチ115_1及びコイル1142_1を介して電極1122_1に印加される。
【0029】
一方で、光導波路1121_1を伝搬する光を遮断する場合には、電極1122_1には、遮断用バイアス電圧供給器118_1から供給される遮断用バイアス電圧信号が、電極1122_1を介して光導波路1121_1に印加される。つまり、遮断用バイアス電圧供給器118_1は、遮断用バイアス電圧信号を、スイッチ115_1及びコイル1142_1を介して電極1122_1に印加する。尚、光導波路1121_1を伝搬する光を遮断する場合には、変調信号供給器113_1から供給される変調信号が、電極1122_1を介して光導波路1121_1に印加されていてもよいし印加されていなくてもよい。以降、変調信号の印加の有無にかかわらず、光導波路1121_1を伝搬する光を遮断する場合に電極1122_1を介して光導波路1121_1に印加される信号を、遮断用電圧信号と称する。
【0030】
スイッチ115_1は、遮断要求信号供給器116_1から供給される遮断要求信号に応じて、その出力を切り替える。尚、遮断要求信号供給器116_1は、例えば光伝送システム1ないしは光伝送装置10のユーザないしはオペレータ等の指示に応じて、遮断要求信号を供給してもよい。例えば、遮断要求信号供給器116_1は、例えばユーザないしはオペレータ等が光信号の出力の停止(つまり、遮断)を要求していない場合には、オフ状態(つまり、光信号の出力の停止ないしは遮断を要求していない状態)の遮断要求信号を供給してもよい。他方で、例えば、遮断要求信号供給器116_1は、例えばユーザないしはオペレータ等が光信号の出力の停止(つまり、遮断)を要求している場合には、オン状態(つまり、光信号の出力の停止ないしは遮断を要求している状態)の遮断要求信号を供給してもよい。或いは、遮断要求信号供給器116_1は、例えば光伝送システム1ないしは光伝送装置10の装置状態又は通信状態に応じて、遮断要求信号を供給してもよい。例えば、遮断要求信号供給器116_1は、例えば装置状態又は通信状態が正常な又は安定的な通信を行うことができる状態にある場合には、オフ状態の遮断要求信号を供給してもよい。他方で、例えば、遮断要求信号供給器116_1は、例えば装置状態又は通信状態が正常な又は安定的な通信を行うことができる状態にない場合には、オン状態の遮断要求信号を供給してもよい。
【0031】
尚、図2は、遮断要求信号供給器116_1からスイッチ115_1に対して遮断要求信号が供給され、且つ遮断要求信号供給器116_2からスイッチ115_2に対して遮断要求信号が供給される例を示している。しかしながら、単一の遮断要求信号供給器116から2つのスイッチ115_1及び115_2の夫々に対して遮断要求信号が供給されてもよい。この場合、光送信器11は、2つの遮断要求信号供給器116_1及び116_2を備えることに代えて、単一の遮断要求信号供給器116を備えていてもよい。
【0032】
例えば、遮断要求信号がオフ状態にある場合には、スイッチ115_1は、駆動用バイアス電圧供給器117_1とコイル1142_1とを電気的に接続する。つまり、スイッチ115_1は、図2中右側の端子をオン状態に切り替える。他方で、例えば、遮断要求信号がオン状態にある場合には、スイッチ115_1は、遮断用バイアス電圧供給器118_1とコイル1142_1とを電気的に接続する。つまり、スイッチ115_1は、図2中左側の端子をオン状態に切り替える。尚、スイッチ115_1としては、相対的に高速な切り替えが可能なCMOS等を含む半導体アナログスイッチ等が用いられることが好ましい。但し、CMOS等を含む反動アナログスイッチ以外の任意のスイッチをスイッチ115_1として用いてもよい。
【0033】
一方で、光変調器112は、図2中下側の光導波路1121_2を伝搬する光を変調する又は遮断するための構成要素として、電極1122_2と、変調信号供給器113_2と、バイパスコンデンサ1141_2と、コイル1142_2と、抵抗1143_2と、バイパスコンデンサ1144_2と、スイッチ115_2と、遮断要求信号供給器116_2と、駆動用電圧供給器117_2と、遮断用バイアス電圧供給器118_2とを備えている。駆動用バイアス電圧供給器117_2は、差動増幅器1171_2と、抵抗1172_2と、抵抗1173_2と、駆動用バイアス電源1174_2とを備えている。尚、図2中下側の光導波路1121_2を伝搬する光を変調する又は遮断するための構成要素の動作は、図2中上側の光導波路1121_1を伝搬する光を変調する又は遮断するための構成要素の動作と同一であるため、詳細な説明については省略する。
【0034】
本実施形態では、光変調器112(つまり、半導体材料から製造されるマッハツェンダ型の光変調器)の光吸収特性を考慮した上で、上述した駆動用電圧信号及び遮断用電圧信号が設定されている。以下、図3を参照して、光変調器112の光吸収特性と共に駆動用電圧及び遮断用電圧信号について説明する。図3は、本実施形態の光変調器112単体の光吸収特性を、比較例の光変調器単体の光吸収特性と共に示すグラフである。
【0035】
図3に示すように、本実施形態の光変調器112は、光導波路1121_1及び1121_2に印加されるバイアス電圧(つまり、上述した駆動用バイアス電圧信号の電圧ないしは遮断用バイアス電圧信号の電圧)に応じて光吸収の程度が変化する光吸収特性を有している。より具体的には、本実施形態の光変調器112は、光導波路1121_1及び1121_2に印加されるバイアス電圧が小さくなればなるほど、光吸収の程度が大きくなる(つまり、光出力が小さくなる)光吸収特性を有している。言い換えれば、本実施形態の光変調器112は、光導波路1121_1及び1121_2に印加されるバイアス電圧が負の方向(図3中右側の方向)に大きくなればなるほど、光吸収の程度が大きくなる光吸収特性を有している。このような光吸収特性は、光変調器112内を伝搬する光の波長によっても変化し得る。例えば、図3は、光変調器112内を伝搬する光の波長が1530nm及び1550nmとなる場合の光吸収特性を示している。
【0036】
尚、図3に示す光吸収特性は、光変調器112が備える2つの光導波路1121_1及び1121_2の夫々の単体としての光吸収特性を示している。
【0037】
一方で、比較例の光変調器(具体的には、リチウムナイオベートを用いて製造されるマッハツェンダ型の光変調器)は、光導波路に印加される電圧の変動に関わらず、光吸収の程度がほとんど変化しない。
【0038】
尚、本実施形態では、光導波路1121_1及び1121_2には、変調信号と駆動用バイアス電圧信号とが重畳された駆動用電圧信号が印加される。しかしながら、駆動用電圧信号は、駆動用バイアス電圧信号を中心の電圧として変調信号に応じて変動する電圧信号である。従って、電圧という観点から見れば、駆動用バイアス電圧信号と駆動用電圧信号と同一視してもよい。
【0039】
同様に、本実施形態では、光導波路1121_1及び1121_2には、変調信号と遮断用バイアス電圧信号とが重畳された(若しくは、遮断用バイアス電圧信号そのものである)遮断用電圧信号が印加される。しかしながら、遮断用電圧信号は、遮断用バイアス電圧信号を中心の電圧として変調信号に応じて変動する電圧信号である。或いは、遮断用電圧信号は、遮断用バイアス電圧信号そのものである。従って、電圧という観点から見れば、遮断用バイアス電圧信号と遮断用電圧信号とを同一視してもよい。
【0040】
このような光変調器112の光吸収特性を考慮すれば、光導波路1121_1及び1121_2を伝搬する光を変調して光信号として出力する場合には、光吸収の程度が相対的に小さい(例えば、概ね−30dBm以下の光吸収を実現しない)特性領域(例えば、図3中の第1の特性領域)を利用することが好ましい。つまり、光吸収の程度が相対的に小さい特性領域を利用するように、駆動用バイアス電圧信号が設定されることが好ましい。言い換えれば、光吸収の程度が相対的に小さい特性領域上に光変調器112の動作点が位置するように、駆動用バイアス電圧信号が設定されることが好ましい。例えば、図3に示す光吸収特性を考慮すれば、駆動用バイアス電圧信号は、例えば0Vから−5V(好ましくは、−1Vから−3V)程度に設定されることが好ましい。従って、例えば差動増幅器1171_1及び1171_2の夫々の増幅率を10とすると、駆動用バイアス電源1174_1及び1174_2の夫々は、増幅前の駆動用バイアス電圧信号として、0Vから0.5V(好ましくは、0.1Vから0.3V)程度の電圧信号を出力することが好ましい。この場合、光変調器112の光吸収の程度が相対的に小さいため、光導波路1121_1及び1121_2を伝搬する光は、光変調器112によって殆ど又はあまり光吸収されない。従って、光送信器11は、光信号を出力することができる。
【0041】
一方で、光導波路1121_1及び1121_2を伝搬する光を遮断する(つまり、光変調器112からの光信号の出力を停止する)場合には、光吸収の程度が相対的に大きい(例えば、概ね−30dBm以下の光吸収を実現する)特性領域(例えば、図3中の第2の特性領域)を利用することが好ましい。つまり、光吸収の程度が相対的に大きい特性領域を利用するように、遮断用バイアス電圧信号が設定されることが好ましい。言い換えれば、光吸収の程度が相対的に大きい特性領域上に光変調器112の動作点が位置するように、遮断用バイアス電圧信号が設定されることが好ましい。例えば、図3に示す光吸収特性を考慮すれば、遮断用バイアス電圧信号は、例えば−5V以下(好ましくは、−10V程度)に設定されることが好ましい。この場合、光変調器112の光吸収の程度が相対的に大きいため、光導波路1121_1及び1121_2を伝搬する光は、光変調器112によってその多くが又は殆ど吸収される。従って、光送信器11は、光信号の出力を停止する(つまり、遮断する)ことができる。
【0042】
尚、駆動用バイアス電圧信号及び遮断用バイアス電圧信号を設定するために、光送信器11に要求されている仕様(例えば、光信号を遮断する遮断量(つまり、光吸収量)や、光信号の遮断に要する遮断時間等)を考慮した上で、光変調器112の光吸収特性のうちのいずれの特性領域を用いるかが適切にないしは適宜決定されることが好ましい。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の光送信器11によれば、光変調器112の光吸収特性を考慮して設定される遮断用バイアス電圧信号(遮断用電圧信号)を光導波路1121_1及び1121_2に対して印加することができる。つまり、光変調器112の光吸収特性を利用して、光送信器11からの光信号の出力を停止することができる。従って、光信号を適切に遮断することができる。
【0044】
尚、本実施形態の光変調器112の光吸収特性を利用することなく光遮断機能を実現する一の手法(つまり、比較例の一の手法)として、例えば、レーザダイオード素子111を駆動するためのレーザダイオード駆動電流の供給を停止することで、光遮断機能を実現する手法が考えられる。つまり、レーザダイオード素子111からの光そのものの出力を停止することで、光信号の出力を停止する手法が考えられる。しかしながら、レーザダイオード駆動電流の供給の停止及び再開を繰り返した場合には、レーザダイオード素子111の温度変化が大きくなってしまう。このため、レーザダイオード素子111から安定した波長の光が発せされるまでに要する時間が相対的に長くなってしまう。従って、光信号の立ち上がり時間の要求値が相対的に短い光伝送システム1(つまり、WDMを採用する光伝送システム1)では、適切な光信号を出力することができなくなってしまいかねない。
【0045】
本実施形態の光変調器112の光吸収特性を利用することなく光遮断機能を実現する他の手法(つまり、比較例の他の手法)として、レーザダイオード素子111が備え得るSOA(Semiconductor Optical Amplifier:半導体光増幅器)に対して逆バイアス電圧(つまり、光を増幅させるバイアス電圧とは逆方向のバイアス電圧であって、光を減衰させるバイアス電圧)を印加することで、光遮断機能を実現する手法が考えられる。しかしながら、SOAにおける光の減衰のみでは、所望量(例えば、−30dBm)以上の光遮断を必ずしも実現することができるとは限らない。
【0046】
しかるに、本実施形態によれば、上述したように光変調器112の光吸収特性を利用して、光送信器11からの光信号の出力を停止することができる。従って、レーザダイオード素子111の駆動を制御することによって光信号を遮断する構成と比較して、光信号を適切に遮断することができる。
【0047】
本実施形態の光送信器11が光信号を遮断する場合に利用している特性(第2の特性領域)は、光変調器112を仕様する上では本来はない方が望ましいと考えられている特性である。つまり、光吸収の程度が大きくなってしまうという特性は、本来はない方が望ましいと考えられている特性である。しかるに、本実施形態では、本来はない方が望ましいと考えられている特性を積極的に利用することで、光信号の遮断を実現しているという点で実践上大変有用である。
【0048】
本実施形態の光送信器11によれば、光変調器112の光吸収特性を考慮して設定される駆動用バイアス電圧信号(駆動用電圧信号)を光導波路1121_1及び1121_2に対して印加することができる。つまり、光変調器112の光吸収特性を利用して、光送信器11から光信号を出力することができる。従って、光信号を適切に出力することができる。
【0049】
本実施形態の光送信器11によれば、光変調器112の光吸収特性を考慮して、駆動用バイアス電圧信号(駆動用電圧信号)よりも小さい遮断用バイアス電圧信号(遮断用電圧信号)を設定することができる。従って、光信号を適切に遮断しつつも、光信号を適切に出力することができる。
【0050】
本実施形態の光送信器11によれば、光変調器112が備える一の光導波路1121_1に対して、スイッチ115_1及び遮断用バイアス電圧供給器118_1が用意される。同様に、光変調器112が備える他の光導波路1121_2に対して、スイッチ115_2及び遮断用バイアス電圧供給器118_2が用意される。つまり、本実施形態の光送信器11によれば、光変調器112が備える2つの光導波路1121_1及び1121_2の夫々に対して個別に、スイッチ115_2及び遮断用バイアス電圧供給器118_2が用意される。従って、光変調器112が備える2つの光導波路1121_1及び1121_2の夫々に対して、適切に遮断用バイアス電圧信号を印加することができる。
【0051】
(3)変形例
図4を参照して、変形例の光送信器11aについて説明する。図4は、変形例の光送信器11aの構成の一例を示すブロック図である。尚、上述した光送信器11の構成要素と同一の構成要素については、同一の参照符号を付することでその詳細な説明については省略する。
【0052】
図4に示すように、変形例の光送信器11aは、上述した光送信器11と同様に、レーザダイオード素子111と、光導波路1121_1及び1121_2を備える光変調器112とを備えている。加えて、変形例の光送信器11aは、上述した光送信器11と同様に、電極1122_1及び1122_2と、変調信号供給器113_1及び113_2と、バイパスコンデンサ1141_1及び1141_2と、コイル1142_1及び1142_2と、抵抗1143_1及び1143_2と、バイパスコンデンサ1144_1及び1144_2と、駆動用電圧供給器117_1及び117_2とを備えている。
【0053】
変形例の光送信器11aは、上述した光送信器11と比較して、スイッチ115_1及び115_2を備えていないという点で異なっている。このため、変形例の光送信器11aでは、駆動用電圧供給器117_1又は117_2から出力される駆動用バイアス電圧信号は、コイル1142_1又は1142_2を介して電極1122_1又は1122_2に印加される。
【0054】
加えて、変形例の光送信器11aは、上述した光送信器11と比較して、2つの遮断要求信号供給器116_1及び116_2に代えて、2つの光導波路1121_1及び1121_2に共通する1つの遮断要求信号供給器116aを備えているという点で異なっている。尚、遮断要求信号供給器116aは、上述した遮断要求信号供給器116_1又は116_2と同一の構成を有していてもよい。
【0055】
同様に、変形例の光送信器11aは、上述した光送信器11と比較して、2つの遮断用バイアス電圧供給器118_1及び118_2に代えて、2つの光導波路1121_1及び1121_2に共通する1つの遮断用バイアス電圧供給器118aを備えているという点で異なっている。
【0056】
加えて、変形例の光送信器11aは、上述した光送信器11と比較して、遮断用バイアス電圧供給器118a及び接地点と駆動用バイアス電圧供給器117_1又は117_2とを接続するためのスイッチ119aを新たに備えているという点で異なっている。
【0057】
変形例では、光導波路1121_1を伝搬する光を変調して光信号として出力する場合には、駆動用電圧供給器117_1及び117_2が備える差動増幅器1171_1及び1171_2の夫々の正相入力端子は、スイッチ119aを介して接地される。具体的には、遮断要求信号供給器116から供給される遮断要求信号がオフ状態にある場合には、スイッチ119aは、差動増幅器1171_1及び1171_2の夫々の正相入力端子と接地点とを電気的に接続する。つまり、スイッチ119aは、図4中下側の端子をオン状態に切り替える。その結果、図4に示す光送信器11aは、図2に示す光送信器11と同様の動作(具体的には、光を変調して光信号として出力する動作)を行う。従って、駆動用電圧供給器117_1及び117_2からは、光吸収の程度が相対的に小さい(例えば、概ね−20dBmから−30dBm以下の光吸収を実現しない)特性領域(例えば、図3中の第1の特性領域)を利用する駆動用バイアス電圧が出力される。従って、光送信器11は、光信号を出力することができる。
【0058】
一方で、変形例では、光導波路1121_1を伝搬する光を遮断する場合には、駆動用電圧供給器117_1及び117_2が備える差動増幅器1171_1及び1171_2の夫々の正相入力端子は、スイッチ119aを介して遮断用バイアス電圧供給器118aに接続される。具体的には、遮断要求信号供給器116から供給される遮断要求信号がオン状態にある場合には、スイッチ119aは、差動増幅器1171_1及び1171_2の夫々の正相入力端子と遮断用バイアス電圧供給器118aとを電気的に接続する。つまり、スイッチ11aは、図4中上側の端子をオン状態に切り替える。
【0059】
遮断用バイアス電圧供給器118aは、駆動用電圧供給器117_1及び117_2から図3に示す遮断用バイアス電圧信号が出力されるように、適切なバイアス電圧を供給する。つまり、遮断用バイアス電圧供給器118aは、駆動用電圧供給器117_1及び117_2から光吸収の程度が相対的に大きい(例えば、概ね−30dBm以下の光吸収を実現する)特性領域(例えば、図3中の第2の特性領域)を利用する遮断用バイアス電圧信号が出力されるように、適切なバイアス電圧を供給する。
【0060】
具体的な例を用いて説明する。例えば、差動増幅器1171_1及び1171_2の夫々の逆相入力端子に、駆動用バイアス電源1174_1及び1174_2の夫々から、0Vから−0.3V(好ましくは、−0.1Vから−0.3V)程度の駆動用バイアス電圧信号が供給されている場合を想定する。差動増幅器1171_1及び1171_2の夫々の正相入力端子が接地されている場合には、差動増幅器1171_1及び1171_2の入力端子間の電圧差は概ね0Vから0.3V程度になる。一方で、差動増幅器1171_1及び1171_2の夫々の正相入力端子が、−2V程度のバイアス電圧を供給する遮断用バイアス電圧供給器118aに接続されるとする。この場合には、差動増幅器1171_1及び1171_2の入力端子間の電圧差は、1.7Vから2V程度になる。つまり、差動増幅器1171_1及び1171_2の入力端子間の電圧差が大幅に増加することになる。その結果、差動増幅器1171_1及び1171_2の出力が飽和するため、差動増幅器1171_1及び1171_2からは、当該差動増幅器1171_1及び1171_2の夫々のマイナス側の電源電圧が出力される。このため、例えばマイナス側の電源電圧が−5Vであれば、駆動用電圧供給器117_1及び117_2からは、−5V程度の遮断用バイアス電圧信号が出力される。尚、マイナス側の電源電圧が出力されることを考慮すれば、差動増幅器1171_1及び1171_2の夫々のマイナス側の電源電圧は、光吸収の程度が相対的に大きい特性領域(例えば、図3中の第2の特性領域)を利用する電圧信号と同一になるように設定されていることが好ましい。その結果、図4に示す光送信器11aは、図2に示す光送信器11と同様の動作(具体的には、光を遮断する動作)を行う。従って、駆動用電圧供給器117_1及び117_2からは、光吸収の程度が相対的に大きい特性領域(例えば、図3中の第2の特性領域)を利用する遮断用バイアス電圧信号が出力される。従って、光送信器11は、光信号を遮断することができる。
【0061】
以上説明したように、変形例の光送信器11aによれば、上述した光送信器11が享受する各種効果を好適に享受することができる。加えて、変形例の光送信器11aによれば、光送信器11aが備える遮断用バイアス電圧供給器118aやスイッチ119aの数を減らすことができる。従って、光送信器11aの小型化や低コスト化を図ることができる。
【0062】
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
【0063】
(付記1)
入力された光を変調することで光信号を出力し、且つ印加されるバイアス電圧に依存して光吸収の程度が変化する光吸収特性であって、第1の特性領域及び第1の特性領域よりも光吸収の程度が大きくなる第2の特性領域を含む光吸収特性を有するマッハツェンダ型光変調器と、
前記マッハツェンダ型光変調器からの前記光信号の出力を所望量以下に遮断する場合に、前記第2の特性領域に対応する所定の遮断バイアス電圧を、前記マッハツェンダ型光変調器に形成された2つの干渉用光導波路の夫々に備えられた電極に印加することにより、発生する電界を前記干渉用光導波路に与える印加部と
を備えることを特徴とする光送信器。
【0064】
(付記2)
前記光変調器は、印加される前記バイアス電圧が負の方向に大きくなるほど光吸収の程度が大きくなる前記光吸収特性であり、
前記遮断バイアス電圧は、前記マッハツェンダ型光変調器からの前記光信号の出力を所望量以下に遮断しない場合の前記バイアス電圧である駆動バイアス電圧よりも負の方向に大きいことを特徴とする付記1に記載の光送信器。
【0065】
(付記3)
前記駆動バイアス電圧は、前記第1の特性領域に対応する電圧であることを特徴とする付記2に記載の光送信器。
【0066】
(付記4)
前記印加部は、
前記遮断バイアス電圧を供給する遮断用電源と、
前記駆動バイアス電圧を供給する駆動用電源と、
前記光変調器からの前記光信号の出力を前記所望量以下に遮断する場合に、前記遮断用電源と前記電極とを接続し、前記光変調器からの前記光信号の出力を前記所望量以下に遮断しない場合に、前記駆動用電源と前記電極とを接続するスイッチと
を備えることを特徴とする付記2又は3に記載の光送信器。
【0067】
(付記5)
前記印加部は、前記2つの干渉用光導波路の夫々に備えられた前記電極毎に、(i)前記遮断バイアス電圧を供給する遮断用電源と、(ii)前記遮断用電源と前記電極とを接続するスイッチとを備えることを特徴とする付記1から4のいずれか一項に記載の光送信器。
【0068】
(付記6)
前記印加部は、前記2つの干渉用光導波路の夫々に備えられた前記電極に共通に、(i)前記遮断バイアス電圧を供給する遮断用電源と、(ii)前記遮断用電源と前記電極とを接続するスイッチとを備えることを特徴とする付記1から4のいずれか一項に記載の光送信器。
【0069】
(付記7)
遮断要求信号供給器からの信号に基づき、前記駆動バイアス電圧と前記遮断バイアス電圧を切り替えて前記電極に供給するスイッチを更に備えることを特徴とする付記2又は3に記載の光送信器。
【0070】
(付記8)
付記1から6のいずれか一項に記載の光送信器から出力される前記光信号を、光伝送路を介して対向装置に向けて伝送することを特徴とする光伝送装置。
【0071】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴なう光送信器及び光伝送装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0072】
1 光伝送システム
10 光伝送装置
11 光送信器
111 レーザダイオード素子
112 光変調器
1121 光導波路
1122 電極
113 変調信号供給器
115 スイッチ
116 遮断要求信号供給器
117 駆動用バイアス電圧供給器
118 遮断用バイアス電圧供給器
119a スイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば光を変調することで光信号を出力する光送信器及び光送信器を備える光伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信の分野では、送信するべきデータに応じて光を変調することで光信号を出力する光送信器が用いられている。変調した光信号を出力するために、光送信器は、光を発する光源や、光を変調する光変調器等を備えている。尚、このような光送信器は、例えば、複数の波長チャネルによるWDM(Wavelength Division Multiplex:波長分割多重)のための光伝送装置等に用いられる。例えば、WDMのための光伝送装置は、互いに異なる波長を有する光信号を出力する複数の光送信器と、これら光送信器から出力された光信号を波長分割多重してWDM信号光を出力する光マルチプレクサとを備えている。
【0003】
光変調器として、高い消光比を実現でき且つ多段中継に付随するノイズに強い耐性を有しているマッハツェンダ型の光変調器が多く用いられる。マッハツェンダ型の光変調器は、リチウムナイオベート(Lithium Niobate:LN)という材料を用いて製造されることが多い。
【0004】
一方で、光送信器は、規格やユーザの要求によって定められた時間以内に光信号の出力を停止する(つまり、光信号の出力を所望量以上遮断する)ことが可能な光遮断機能を備えていることが好ましい。リチウムナイオベートを用いて製造されるマッハツェンダ型の光変調器(以降、適宜“LN光変調器”と称する)を備える光送信器では、LN光変調器の2つのアーム(言い換えれば、2つの光導波路)の間で光の位相が180°ずれるように、2つのアームの一方又は双方に所定の電圧が印加される。その結果、2つのアームを通った光が再び合波されるときに光が打ち消されるため、光送信器からの光信号の出力が停止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−83473号公報
【特許文献2】特開平6−232721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、LN光変調器に代えて、半導体材料を用いて製造されるマッハツェンダ型の光変調器(以降、適宜“半導体MZ型光変調器”と称する)が用いられることがある。半導体光変調器においても、上述した光遮断機能を備えていることが好ましい。しかしながら、上述したLN光変調器において用いられる光遮断機能を半導体光変調器にそのまま適用したとしても、十分な消光量を得ることができない。つまり、半導体光変調器では、2つのアームの間での光の位相をずらすだけでは、十分な消光比量を得ることができない。具体的には、LN光変調器と半導体光変調器との間の構造的な又は特性上の相違に起因して、半導体光変調器では2つのアームを通った光の量がそれぞれ同じにならない場合がある。このため、2つのアームを通った光が再び合波される場合に完全に消光できず、LN光変調器ほどの十分な消光量を得ることができない。その結果、例えば所望量(例えば、−30dBm)以上の光遮断を行うことが困難又は不可能となっている。この傾向は、ネガティブチャープの半導体光変調器において顕著である。
【0007】
本発明が解決しようとする課題には上記のようなものが一例として挙げられる。本発明は、例えば光信号を適切に遮断することが可能な光送信器及び光伝送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、マッハツェンダ型光変調器と、印加部とを備える光送信器によって解決される。マッハツェンダ型光変調器は、入力された光を変調することで光信号を出力する。加えて、マッハツェンダ型光変調器は、所定の光吸収特性を有している。所定の光吸収特性は、マッハツェンダ型光変調器に印加されるバイアス電圧に依存して光吸収の程度が変化する光吸収特性である。更に、所定の光吸収特性は、第1の特性領域及び第1の特性領域よりも光吸収の程度が大きくなる第2の特性領域を含む光吸収特性である。言い換えれば、所定の光吸収特性とは、第2の特性領域及び第2の特性領域よりも光吸収の程度が小さくなる第1の特性領域を含む光吸収特性である。印加部は、マッハツェンダ型光変調器からの光信号の出力を所望量以下に遮断する場合に、第2の特性領域に対応する所定の遮断バイアス電圧をマッハツェンダ型光変調器に形成された2つの干渉用光導波路の夫々に備えられた電極に印加する。その結果、遮断バイアス電圧の印加によって発生する電界が干渉用光導波路に与えられる。
【0009】
上記課題は、光送信器から出力される光信号を、光伝送路を介して対向装置に向けて伝送する光伝送装置によって解決される。
【発明の効果】
【0010】
以上説明した光送信器及び光伝送装置によれば、光信号を適切に遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態の光伝送システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の光送信器の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態の光変調器単体の光吸収特性を、比較例の光変調器単体の光吸収特性と共に示すグラフである。
【図4】変形例の光送信器の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づいて説明する。
【0013】
(1)光伝送システム
図1を参照して、本実施形態の光伝送システム1について説明する。図1は、本実施形態の光伝送システム1の構成の一例を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、光伝送システム1は、WDM光信号を出力する光伝送装置10と、光伝送装置10から出力されたWDM光信号を伝送するための光ファイバ伝送路20と、光ファイバ伝送路20により伝送されたWDM光信号を受信する光伝送装置40とを備えている。
【0015】
光伝送装置10は、複数の光送信器11と、光マルチプレクサ(MUX)12とを備える。光送信器11はそれぞれ光マルチプレクサ12の複数の入力ポートに接続される。光マルチプレクサ12の出力ポートは光ファイバ伝送路20に接続される。光マルチプレクサ12は、光送信器11から供給された複数の光信号を波長分割多重してWDM光信号を出力する。
【0016】
光ファイバ伝送路20の途中には、光ファイバ伝送路20におけるWDM光信号の減衰を補償するために、光中継器30が設けられている。光中継器30はWDM光信号を増幅するための光増幅器を有している。尚、光増幅器は、例えば、WDM光信号を受信する光増幅媒体(例えば、希土類元素がドープされたドープファイバや、半導体チップ等)と、光増幅媒体がWDM光信号の帯域を含む利得帯域を提供するように光増幅媒体をポンピングするポンピング部とを備えている。
【0017】
光伝送装置40は、受信したWDM光信号を各チャネルの光信号に分離する光デマルチプレクサ(DMUX)41と、分離された光信号を受信するための複数の光受信器42とを備える。
【0018】
尚、WDM光信号を出力する光伝送装置10に代えて、光送信器11から出力される光信号を波長分割多重することなく出力する光伝送装置10を用いてもよい。この場合、光伝送装置10は、光マルチプレクサ12を備えていなくともよいし、光送信器11を複数備えていなくともよい。同様に、WDM光信号を受信する光伝送装置40に代えて、波長分割多重化されていない光信号を受信する光伝送装置40を用いてもよい。この場合、光伝送装置40は、光デマルチプレクサ41を備えていなくともよいし、複数の光受信器42を備えていなくともよい。
【0019】
(2)光送信器
図2を参照して、本実施形態の光送信器11について説明する。図2は、本実施形態の光送信器11の構成の一例を示すブロック図である。
【0020】
図2に示すように、光送信器11は、レーザダイオード素子111と、光変調器112とを備えている。尚、図2は、レーザダイオード素子111と光変調器112とが同一の基板上に形成される構成を示している。しかしながら、レーザダイオード素子111と光変調器112とが別々の基板上に形成されていてもよい。
【0021】
レーザダイオード素子111は、「光源」の一例であって、レーザダイオード駆動電流(例えば、100mAのレーザダイオード駆動電流)の供給を受けることで、所望の波長の光を出力する。例えば、レーザダイオード素子111は、図2中でレーザダイオード素子111の右側に位置する光変調器112に向けて光を出力する。
【0022】
光変調器112は、レーザダイオード素子111から出力される光を変調する。但し、光変調器112は、レーザダイオード素子111から出力される光に限らず、当該光変調器112に入力される任意の光を変調してもよい。光変調器112は、変調した光を、光信号として出力する。本実施形態では、光変調器112は、半導体材料から製造されるマッハツェンダ型の光変調器であることが好ましい。
【0023】
光変調器112は、レーザダイオード素子111から出力される光の光路となる2つの光導波路1121_1及び1121_2を備えている。従って、レーザダイオード素子111から出力される光は、光導波路1121_1を伝搬する光と光導波路1121_2を伝搬する光とに分離された状態で変調される。その後、光導波路1121_1を伝搬する光と光導波路1121_2を伝搬する光とが再度混合されることで、変調された光が光信号として、例えば図2中光変調器112の右側に向けて出力される。
【0024】
光送信器11は、光導波路1121_1を伝搬する光と光導波路1121_2を伝搬する光とを変調して光信号として出力する(つまり、光導波路1121_1を伝搬する光と光導波路1121_2を伝搬する光を所望量以上遮断しない)ために、変調信号及び駆動用バイアス電圧信号を、光導波路1121_1及び1121_2の夫々に印加する。一方で、光送信器11は、光変調器112からの光信号の出力を停止する(つまり、光導波路1121_1を伝搬する光と光導波路1121_2を伝搬する光を所望量以上遮断する)ために、遮断用バイアス電圧信号を、光導波路1121_1及び1121_2の夫々に印加する。
【0025】
具体的には、光送信器11は、図2中上側の光導波路1121_1を伝搬する光を変調する又は遮断するための構成要素として、電極1122_1と、変調信号供給器113_1と、バイパスコンデンサ1141_1と、コイル1142_1と、抵抗1143_1と、バイパスコンデンサ1144_1と、スイッチ115_1と、遮断要求信号供給器116_1と、駆動用バイアス電圧供給器117_1と、遮断用バイアス電圧供給器118_1とを備えている。駆動用バイアス電圧供給器117_1は、差動増幅器1171_1と、抵抗1172_1と、抵抗1173_1と、駆動用バイアス電源1174_1とを備えている。
【0026】
光導波路1121_1を伝搬する光を変調して光信号として出力する場合には、電極1122_1には、変調信号供給器113_1から供給される変調信号及び駆動用バイアス電圧供給器117_1から供給される駆動用バイアス電圧信号が重畳された駆動用電圧信号が、電極1122_1を介して光導波路1121_1に印加される。従って、電極1122_1は、光導波路1121_1上に又は光導波路1121_1を覆うように設けられることが好ましい。尚、電極1122_1の一端は、バイパスコンデンサ1141_1及びコイル1142_1の夫々に電気的に接続されている。電極1122_1の他端は、抵抗1143_1及びバイパスコンデンサ1144_1を介して接地されている。
【0027】
変調信号供給器113_1は、送信するべきデータに応じた変調信号を生成する。尚、変調信号供給器113_1は、例えば差動型プリコーダであってもよい。この場合、変調信号供給器113_1は、送信するべきデータに基づいて、1ビット前の符号と現在の符号との差情報が反映された符号化処理を行うことで、例えば1.5Vppの変調信号(言い換えれば、電気差動変調信号)を生成してもよい。もちろん、変調信号供給器113_1は、差動型プリコーダ以外のプリコーダ又は信号生成器であってもよい。変調信号供給器113_1は、生成した変調信号を、バイパスコンデンサ1141_1を介して電極1122_1に印加する。尚、バイパスコンデンサ1141_1とスイッチ115_1との間(言い換えれば、電極1122_1とスイッチ115_1との間)設けられているコイル1142_1により、変調信号がスイッチ115_1側へ供給されることはない。
【0028】
駆動用バイアス電圧供給器117_1が備える駆動用バイアス電源1174_1は、増幅前の駆動用バイアス電圧信号を、抵抗1173_1を介して差動増幅器1171_1の逆相入力端子へと供給する。差動増幅器1171_1の正相入力端子は接地されている。差動増幅器1171_1の出力は、抵抗1172_1を介して逆相入力端子へと負帰還される。従って、差動増幅器1171_1からは、増幅された駆動用バイアス電圧信号が出力される。尚、以下では、特段の表記がない場合には、“駆動用バイアス電圧信号”は、差動増幅器1171_1から出力される駆動用バイアス信号(つまり、差動増幅器1171_1によって増幅された駆動用バイアス電圧信号)を示している。差動増幅器1171_1から出力される駆動用バイアス電圧信号は、スイッチ115_1及びコイル1142_1を介して電極1122_1に印加される。
【0029】
一方で、光導波路1121_1を伝搬する光を遮断する場合には、電極1122_1には、遮断用バイアス電圧供給器118_1から供給される遮断用バイアス電圧信号が、電極1122_1を介して光導波路1121_1に印加される。つまり、遮断用バイアス電圧供給器118_1は、遮断用バイアス電圧信号を、スイッチ115_1及びコイル1142_1を介して電極1122_1に印加する。尚、光導波路1121_1を伝搬する光を遮断する場合には、変調信号供給器113_1から供給される変調信号が、電極1122_1を介して光導波路1121_1に印加されていてもよいし印加されていなくてもよい。以降、変調信号の印加の有無にかかわらず、光導波路1121_1を伝搬する光を遮断する場合に電極1122_1を介して光導波路1121_1に印加される信号を、遮断用電圧信号と称する。
【0030】
スイッチ115_1は、遮断要求信号供給器116_1から供給される遮断要求信号に応じて、その出力を切り替える。尚、遮断要求信号供給器116_1は、例えば光伝送システム1ないしは光伝送装置10のユーザないしはオペレータ等の指示に応じて、遮断要求信号を供給してもよい。例えば、遮断要求信号供給器116_1は、例えばユーザないしはオペレータ等が光信号の出力の停止(つまり、遮断)を要求していない場合には、オフ状態(つまり、光信号の出力の停止ないしは遮断を要求していない状態)の遮断要求信号を供給してもよい。他方で、例えば、遮断要求信号供給器116_1は、例えばユーザないしはオペレータ等が光信号の出力の停止(つまり、遮断)を要求している場合には、オン状態(つまり、光信号の出力の停止ないしは遮断を要求している状態)の遮断要求信号を供給してもよい。或いは、遮断要求信号供給器116_1は、例えば光伝送システム1ないしは光伝送装置10の装置状態又は通信状態に応じて、遮断要求信号を供給してもよい。例えば、遮断要求信号供給器116_1は、例えば装置状態又は通信状態が正常な又は安定的な通信を行うことができる状態にある場合には、オフ状態の遮断要求信号を供給してもよい。他方で、例えば、遮断要求信号供給器116_1は、例えば装置状態又は通信状態が正常な又は安定的な通信を行うことができる状態にない場合には、オン状態の遮断要求信号を供給してもよい。
【0031】
尚、図2は、遮断要求信号供給器116_1からスイッチ115_1に対して遮断要求信号が供給され、且つ遮断要求信号供給器116_2からスイッチ115_2に対して遮断要求信号が供給される例を示している。しかしながら、単一の遮断要求信号供給器116から2つのスイッチ115_1及び115_2の夫々に対して遮断要求信号が供給されてもよい。この場合、光送信器11は、2つの遮断要求信号供給器116_1及び116_2を備えることに代えて、単一の遮断要求信号供給器116を備えていてもよい。
【0032】
例えば、遮断要求信号がオフ状態にある場合には、スイッチ115_1は、駆動用バイアス電圧供給器117_1とコイル1142_1とを電気的に接続する。つまり、スイッチ115_1は、図2中右側の端子をオン状態に切り替える。他方で、例えば、遮断要求信号がオン状態にある場合には、スイッチ115_1は、遮断用バイアス電圧供給器118_1とコイル1142_1とを電気的に接続する。つまり、スイッチ115_1は、図2中左側の端子をオン状態に切り替える。尚、スイッチ115_1としては、相対的に高速な切り替えが可能なCMOS等を含む半導体アナログスイッチ等が用いられることが好ましい。但し、CMOS等を含む反動アナログスイッチ以外の任意のスイッチをスイッチ115_1として用いてもよい。
【0033】
一方で、光変調器112は、図2中下側の光導波路1121_2を伝搬する光を変調する又は遮断するための構成要素として、電極1122_2と、変調信号供給器113_2と、バイパスコンデンサ1141_2と、コイル1142_2と、抵抗1143_2と、バイパスコンデンサ1144_2と、スイッチ115_2と、遮断要求信号供給器116_2と、駆動用電圧供給器117_2と、遮断用バイアス電圧供給器118_2とを備えている。駆動用バイアス電圧供給器117_2は、差動増幅器1171_2と、抵抗1172_2と、抵抗1173_2と、駆動用バイアス電源1174_2とを備えている。尚、図2中下側の光導波路1121_2を伝搬する光を変調する又は遮断するための構成要素の動作は、図2中上側の光導波路1121_1を伝搬する光を変調する又は遮断するための構成要素の動作と同一であるため、詳細な説明については省略する。
【0034】
本実施形態では、光変調器112(つまり、半導体材料から製造されるマッハツェンダ型の光変調器)の光吸収特性を考慮した上で、上述した駆動用電圧信号及び遮断用電圧信号が設定されている。以下、図3を参照して、光変調器112の光吸収特性と共に駆動用電圧及び遮断用電圧信号について説明する。図3は、本実施形態の光変調器112単体の光吸収特性を、比較例の光変調器単体の光吸収特性と共に示すグラフである。
【0035】
図3に示すように、本実施形態の光変調器112は、光導波路1121_1及び1121_2に印加されるバイアス電圧(つまり、上述した駆動用バイアス電圧信号の電圧ないしは遮断用バイアス電圧信号の電圧)に応じて光吸収の程度が変化する光吸収特性を有している。より具体的には、本実施形態の光変調器112は、光導波路1121_1及び1121_2に印加されるバイアス電圧が小さくなればなるほど、光吸収の程度が大きくなる(つまり、光出力が小さくなる)光吸収特性を有している。言い換えれば、本実施形態の光変調器112は、光導波路1121_1及び1121_2に印加されるバイアス電圧が負の方向(図3中右側の方向)に大きくなればなるほど、光吸収の程度が大きくなる光吸収特性を有している。このような光吸収特性は、光変調器112内を伝搬する光の波長によっても変化し得る。例えば、図3は、光変調器112内を伝搬する光の波長が1530nm及び1550nmとなる場合の光吸収特性を示している。
【0036】
尚、図3に示す光吸収特性は、光変調器112が備える2つの光導波路1121_1及び1121_2の夫々の単体としての光吸収特性を示している。
【0037】
一方で、比較例の光変調器(具体的には、リチウムナイオベートを用いて製造されるマッハツェンダ型の光変調器)は、光導波路に印加される電圧の変動に関わらず、光吸収の程度がほとんど変化しない。
【0038】
尚、本実施形態では、光導波路1121_1及び1121_2には、変調信号と駆動用バイアス電圧信号とが重畳された駆動用電圧信号が印加される。しかしながら、駆動用電圧信号は、駆動用バイアス電圧信号を中心の電圧として変調信号に応じて変動する電圧信号である。従って、電圧という観点から見れば、駆動用バイアス電圧信号と駆動用電圧信号と同一視してもよい。
【0039】
同様に、本実施形態では、光導波路1121_1及び1121_2には、変調信号と遮断用バイアス電圧信号とが重畳された(若しくは、遮断用バイアス電圧信号そのものである)遮断用電圧信号が印加される。しかしながら、遮断用電圧信号は、遮断用バイアス電圧信号を中心の電圧として変調信号に応じて変動する電圧信号である。或いは、遮断用電圧信号は、遮断用バイアス電圧信号そのものである。従って、電圧という観点から見れば、遮断用バイアス電圧信号と遮断用電圧信号とを同一視してもよい。
【0040】
このような光変調器112の光吸収特性を考慮すれば、光導波路1121_1及び1121_2を伝搬する光を変調して光信号として出力する場合には、光吸収の程度が相対的に小さい(例えば、概ね−30dBm以下の光吸収を実現しない)特性領域(例えば、図3中の第1の特性領域)を利用することが好ましい。つまり、光吸収の程度が相対的に小さい特性領域を利用するように、駆動用バイアス電圧信号が設定されることが好ましい。言い換えれば、光吸収の程度が相対的に小さい特性領域上に光変調器112の動作点が位置するように、駆動用バイアス電圧信号が設定されることが好ましい。例えば、図3に示す光吸収特性を考慮すれば、駆動用バイアス電圧信号は、例えば0Vから−5V(好ましくは、−1Vから−3V)程度に設定されることが好ましい。従って、例えば差動増幅器1171_1及び1171_2の夫々の増幅率を10とすると、駆動用バイアス電源1174_1及び1174_2の夫々は、増幅前の駆動用バイアス電圧信号として、0Vから0.5V(好ましくは、0.1Vから0.3V)程度の電圧信号を出力することが好ましい。この場合、光変調器112の光吸収の程度が相対的に小さいため、光導波路1121_1及び1121_2を伝搬する光は、光変調器112によって殆ど又はあまり光吸収されない。従って、光送信器11は、光信号を出力することができる。
【0041】
一方で、光導波路1121_1及び1121_2を伝搬する光を遮断する(つまり、光変調器112からの光信号の出力を停止する)場合には、光吸収の程度が相対的に大きい(例えば、概ね−30dBm以下の光吸収を実現する)特性領域(例えば、図3中の第2の特性領域)を利用することが好ましい。つまり、光吸収の程度が相対的に大きい特性領域を利用するように、遮断用バイアス電圧信号が設定されることが好ましい。言い換えれば、光吸収の程度が相対的に大きい特性領域上に光変調器112の動作点が位置するように、遮断用バイアス電圧信号が設定されることが好ましい。例えば、図3に示す光吸収特性を考慮すれば、遮断用バイアス電圧信号は、例えば−5V以下(好ましくは、−10V程度)に設定されることが好ましい。この場合、光変調器112の光吸収の程度が相対的に大きいため、光導波路1121_1及び1121_2を伝搬する光は、光変調器112によってその多くが又は殆ど吸収される。従って、光送信器11は、光信号の出力を停止する(つまり、遮断する)ことができる。
【0042】
尚、駆動用バイアス電圧信号及び遮断用バイアス電圧信号を設定するために、光送信器11に要求されている仕様(例えば、光信号を遮断する遮断量(つまり、光吸収量)や、光信号の遮断に要する遮断時間等)を考慮した上で、光変調器112の光吸収特性のうちのいずれの特性領域を用いるかが適切にないしは適宜決定されることが好ましい。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の光送信器11によれば、光変調器112の光吸収特性を考慮して設定される遮断用バイアス電圧信号(遮断用電圧信号)を光導波路1121_1及び1121_2に対して印加することができる。つまり、光変調器112の光吸収特性を利用して、光送信器11からの光信号の出力を停止することができる。従って、光信号を適切に遮断することができる。
【0044】
尚、本実施形態の光変調器112の光吸収特性を利用することなく光遮断機能を実現する一の手法(つまり、比較例の一の手法)として、例えば、レーザダイオード素子111を駆動するためのレーザダイオード駆動電流の供給を停止することで、光遮断機能を実現する手法が考えられる。つまり、レーザダイオード素子111からの光そのものの出力を停止することで、光信号の出力を停止する手法が考えられる。しかしながら、レーザダイオード駆動電流の供給の停止及び再開を繰り返した場合には、レーザダイオード素子111の温度変化が大きくなってしまう。このため、レーザダイオード素子111から安定した波長の光が発せされるまでに要する時間が相対的に長くなってしまう。従って、光信号の立ち上がり時間の要求値が相対的に短い光伝送システム1(つまり、WDMを採用する光伝送システム1)では、適切な光信号を出力することができなくなってしまいかねない。
【0045】
本実施形態の光変調器112の光吸収特性を利用することなく光遮断機能を実現する他の手法(つまり、比較例の他の手法)として、レーザダイオード素子111が備え得るSOA(Semiconductor Optical Amplifier:半導体光増幅器)に対して逆バイアス電圧(つまり、光を増幅させるバイアス電圧とは逆方向のバイアス電圧であって、光を減衰させるバイアス電圧)を印加することで、光遮断機能を実現する手法が考えられる。しかしながら、SOAにおける光の減衰のみでは、所望量(例えば、−30dBm)以上の光遮断を必ずしも実現することができるとは限らない。
【0046】
しかるに、本実施形態によれば、上述したように光変調器112の光吸収特性を利用して、光送信器11からの光信号の出力を停止することができる。従って、レーザダイオード素子111の駆動を制御することによって光信号を遮断する構成と比較して、光信号を適切に遮断することができる。
【0047】
本実施形態の光送信器11が光信号を遮断する場合に利用している特性(第2の特性領域)は、光変調器112を仕様する上では本来はない方が望ましいと考えられている特性である。つまり、光吸収の程度が大きくなってしまうという特性は、本来はない方が望ましいと考えられている特性である。しかるに、本実施形態では、本来はない方が望ましいと考えられている特性を積極的に利用することで、光信号の遮断を実現しているという点で実践上大変有用である。
【0048】
本実施形態の光送信器11によれば、光変調器112の光吸収特性を考慮して設定される駆動用バイアス電圧信号(駆動用電圧信号)を光導波路1121_1及び1121_2に対して印加することができる。つまり、光変調器112の光吸収特性を利用して、光送信器11から光信号を出力することができる。従って、光信号を適切に出力することができる。
【0049】
本実施形態の光送信器11によれば、光変調器112の光吸収特性を考慮して、駆動用バイアス電圧信号(駆動用電圧信号)よりも小さい遮断用バイアス電圧信号(遮断用電圧信号)を設定することができる。従って、光信号を適切に遮断しつつも、光信号を適切に出力することができる。
【0050】
本実施形態の光送信器11によれば、光変調器112が備える一の光導波路1121_1に対して、スイッチ115_1及び遮断用バイアス電圧供給器118_1が用意される。同様に、光変調器112が備える他の光導波路1121_2に対して、スイッチ115_2及び遮断用バイアス電圧供給器118_2が用意される。つまり、本実施形態の光送信器11によれば、光変調器112が備える2つの光導波路1121_1及び1121_2の夫々に対して個別に、スイッチ115_2及び遮断用バイアス電圧供給器118_2が用意される。従って、光変調器112が備える2つの光導波路1121_1及び1121_2の夫々に対して、適切に遮断用バイアス電圧信号を印加することができる。
【0051】
(3)変形例
図4を参照して、変形例の光送信器11aについて説明する。図4は、変形例の光送信器11aの構成の一例を示すブロック図である。尚、上述した光送信器11の構成要素と同一の構成要素については、同一の参照符号を付することでその詳細な説明については省略する。
【0052】
図4に示すように、変形例の光送信器11aは、上述した光送信器11と同様に、レーザダイオード素子111と、光導波路1121_1及び1121_2を備える光変調器112とを備えている。加えて、変形例の光送信器11aは、上述した光送信器11と同様に、電極1122_1及び1122_2と、変調信号供給器113_1及び113_2と、バイパスコンデンサ1141_1及び1141_2と、コイル1142_1及び1142_2と、抵抗1143_1及び1143_2と、バイパスコンデンサ1144_1及び1144_2と、駆動用電圧供給器117_1及び117_2とを備えている。
【0053】
変形例の光送信器11aは、上述した光送信器11と比較して、スイッチ115_1及び115_2を備えていないという点で異なっている。このため、変形例の光送信器11aでは、駆動用電圧供給器117_1又は117_2から出力される駆動用バイアス電圧信号は、コイル1142_1又は1142_2を介して電極1122_1又は1122_2に印加される。
【0054】
加えて、変形例の光送信器11aは、上述した光送信器11と比較して、2つの遮断要求信号供給器116_1及び116_2に代えて、2つの光導波路1121_1及び1121_2に共通する1つの遮断要求信号供給器116aを備えているという点で異なっている。尚、遮断要求信号供給器116aは、上述した遮断要求信号供給器116_1又は116_2と同一の構成を有していてもよい。
【0055】
同様に、変形例の光送信器11aは、上述した光送信器11と比較して、2つの遮断用バイアス電圧供給器118_1及び118_2に代えて、2つの光導波路1121_1及び1121_2に共通する1つの遮断用バイアス電圧供給器118aを備えているという点で異なっている。
【0056】
加えて、変形例の光送信器11aは、上述した光送信器11と比較して、遮断用バイアス電圧供給器118a及び接地点と駆動用バイアス電圧供給器117_1又は117_2とを接続するためのスイッチ119aを新たに備えているという点で異なっている。
【0057】
変形例では、光導波路1121_1を伝搬する光を変調して光信号として出力する場合には、駆動用電圧供給器117_1及び117_2が備える差動増幅器1171_1及び1171_2の夫々の正相入力端子は、スイッチ119aを介して接地される。具体的には、遮断要求信号供給器116から供給される遮断要求信号がオフ状態にある場合には、スイッチ119aは、差動増幅器1171_1及び1171_2の夫々の正相入力端子と接地点とを電気的に接続する。つまり、スイッチ119aは、図4中下側の端子をオン状態に切り替える。その結果、図4に示す光送信器11aは、図2に示す光送信器11と同様の動作(具体的には、光を変調して光信号として出力する動作)を行う。従って、駆動用電圧供給器117_1及び117_2からは、光吸収の程度が相対的に小さい(例えば、概ね−20dBmから−30dBm以下の光吸収を実現しない)特性領域(例えば、図3中の第1の特性領域)を利用する駆動用バイアス電圧が出力される。従って、光送信器11は、光信号を出力することができる。
【0058】
一方で、変形例では、光導波路1121_1を伝搬する光を遮断する場合には、駆動用電圧供給器117_1及び117_2が備える差動増幅器1171_1及び1171_2の夫々の正相入力端子は、スイッチ119aを介して遮断用バイアス電圧供給器118aに接続される。具体的には、遮断要求信号供給器116から供給される遮断要求信号がオン状態にある場合には、スイッチ119aは、差動増幅器1171_1及び1171_2の夫々の正相入力端子と遮断用バイアス電圧供給器118aとを電気的に接続する。つまり、スイッチ11aは、図4中上側の端子をオン状態に切り替える。
【0059】
遮断用バイアス電圧供給器118aは、駆動用電圧供給器117_1及び117_2から図3に示す遮断用バイアス電圧信号が出力されるように、適切なバイアス電圧を供給する。つまり、遮断用バイアス電圧供給器118aは、駆動用電圧供給器117_1及び117_2から光吸収の程度が相対的に大きい(例えば、概ね−30dBm以下の光吸収を実現する)特性領域(例えば、図3中の第2の特性領域)を利用する遮断用バイアス電圧信号が出力されるように、適切なバイアス電圧を供給する。
【0060】
具体的な例を用いて説明する。例えば、差動増幅器1171_1及び1171_2の夫々の逆相入力端子に、駆動用バイアス電源1174_1及び1174_2の夫々から、0Vから−0.3V(好ましくは、−0.1Vから−0.3V)程度の駆動用バイアス電圧信号が供給されている場合を想定する。差動増幅器1171_1及び1171_2の夫々の正相入力端子が接地されている場合には、差動増幅器1171_1及び1171_2の入力端子間の電圧差は概ね0Vから0.3V程度になる。一方で、差動増幅器1171_1及び1171_2の夫々の正相入力端子が、−2V程度のバイアス電圧を供給する遮断用バイアス電圧供給器118aに接続されるとする。この場合には、差動増幅器1171_1及び1171_2の入力端子間の電圧差は、1.7Vから2V程度になる。つまり、差動増幅器1171_1及び1171_2の入力端子間の電圧差が大幅に増加することになる。その結果、差動増幅器1171_1及び1171_2の出力が飽和するため、差動増幅器1171_1及び1171_2からは、当該差動増幅器1171_1及び1171_2の夫々のマイナス側の電源電圧が出力される。このため、例えばマイナス側の電源電圧が−5Vであれば、駆動用電圧供給器117_1及び117_2からは、−5V程度の遮断用バイアス電圧信号が出力される。尚、マイナス側の電源電圧が出力されることを考慮すれば、差動増幅器1171_1及び1171_2の夫々のマイナス側の電源電圧は、光吸収の程度が相対的に大きい特性領域(例えば、図3中の第2の特性領域)を利用する電圧信号と同一になるように設定されていることが好ましい。その結果、図4に示す光送信器11aは、図2に示す光送信器11と同様の動作(具体的には、光を遮断する動作)を行う。従って、駆動用電圧供給器117_1及び117_2からは、光吸収の程度が相対的に大きい特性領域(例えば、図3中の第2の特性領域)を利用する遮断用バイアス電圧信号が出力される。従って、光送信器11は、光信号を遮断することができる。
【0061】
以上説明したように、変形例の光送信器11aによれば、上述した光送信器11が享受する各種効果を好適に享受することができる。加えて、変形例の光送信器11aによれば、光送信器11aが備える遮断用バイアス電圧供給器118aやスイッチ119aの数を減らすことができる。従って、光送信器11aの小型化や低コスト化を図ることができる。
【0062】
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
【0063】
(付記1)
入力された光を変調することで光信号を出力し、且つ印加されるバイアス電圧に依存して光吸収の程度が変化する光吸収特性であって、第1の特性領域及び第1の特性領域よりも光吸収の程度が大きくなる第2の特性領域を含む光吸収特性を有するマッハツェンダ型光変調器と、
前記マッハツェンダ型光変調器からの前記光信号の出力を所望量以下に遮断する場合に、前記第2の特性領域に対応する所定の遮断バイアス電圧を、前記マッハツェンダ型光変調器に形成された2つの干渉用光導波路の夫々に備えられた電極に印加することにより、発生する電界を前記干渉用光導波路に与える印加部と
を備えることを特徴とする光送信器。
【0064】
(付記2)
前記光変調器は、印加される前記バイアス電圧が負の方向に大きくなるほど光吸収の程度が大きくなる前記光吸収特性であり、
前記遮断バイアス電圧は、前記マッハツェンダ型光変調器からの前記光信号の出力を所望量以下に遮断しない場合の前記バイアス電圧である駆動バイアス電圧よりも負の方向に大きいことを特徴とする付記1に記載の光送信器。
【0065】
(付記3)
前記駆動バイアス電圧は、前記第1の特性領域に対応する電圧であることを特徴とする付記2に記載の光送信器。
【0066】
(付記4)
前記印加部は、
前記遮断バイアス電圧を供給する遮断用電源と、
前記駆動バイアス電圧を供給する駆動用電源と、
前記光変調器からの前記光信号の出力を前記所望量以下に遮断する場合に、前記遮断用電源と前記電極とを接続し、前記光変調器からの前記光信号の出力を前記所望量以下に遮断しない場合に、前記駆動用電源と前記電極とを接続するスイッチと
を備えることを特徴とする付記2又は3に記載の光送信器。
【0067】
(付記5)
前記印加部は、前記2つの干渉用光導波路の夫々に備えられた前記電極毎に、(i)前記遮断バイアス電圧を供給する遮断用電源と、(ii)前記遮断用電源と前記電極とを接続するスイッチとを備えることを特徴とする付記1から4のいずれか一項に記載の光送信器。
【0068】
(付記6)
前記印加部は、前記2つの干渉用光導波路の夫々に備えられた前記電極に共通に、(i)前記遮断バイアス電圧を供給する遮断用電源と、(ii)前記遮断用電源と前記電極とを接続するスイッチとを備えることを特徴とする付記1から4のいずれか一項に記載の光送信器。
【0069】
(付記7)
遮断要求信号供給器からの信号に基づき、前記駆動バイアス電圧と前記遮断バイアス電圧を切り替えて前記電極に供給するスイッチを更に備えることを特徴とする付記2又は3に記載の光送信器。
【0070】
(付記8)
付記1から6のいずれか一項に記載の光送信器から出力される前記光信号を、光伝送路を介して対向装置に向けて伝送することを特徴とする光伝送装置。
【0071】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴なう光送信器及び光伝送装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0072】
1 光伝送システム
10 光伝送装置
11 光送信器
111 レーザダイオード素子
112 光変調器
1121 光導波路
1122 電極
113 変調信号供給器
115 スイッチ
116 遮断要求信号供給器
117 駆動用バイアス電圧供給器
118 遮断用バイアス電圧供給器
119a スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された光を変調することで光信号を出力し、且つ印加されるバイアス電圧に依存して光吸収の程度が変化する光吸収特性であって、第1の特性領域及び第1の特性領域よりも光吸収の程度が大きくなる第2の特性領域を含む光吸収特性を有するマッハツェンダ型光変調器と、
前記マッハツェンダ型光変調器からの前記光信号の出力を所望量以下に遮断する場合に、前記第2の特性領域に対応する所定の遮断バイアス電圧を、前記マッハツェンダ型光変調器に形成された2つの干渉用光導波路の夫々に備えられた電極に印加することにより、発生する電界を前記干渉用光導波路に与える印加部と
を備えることを特徴とする光送信器。
【請求項2】
前記光変調器は、印加される前記バイアス電圧が負の方向に大きくなるほど光吸収の程度が大きくなる光吸収特性を有し、
前記遮断バイアス電圧は、前記マッハツェンダ型光変調器からの前記光信号の出力を所望量以下に遮断しない場合の前記バイアス電圧である駆動バイアス電圧よりも負の方向に大きいことを特徴とする請求項1に記載の光送信器。
【請求項3】
遮断要求信号供給器からの信号に基づき、前記駆動バイアス電圧と前記遮断バイアス電圧を切り替えて前記電極に供給するスイッチを更に備えることを特徴とする請求項2に記載の光送信器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の光送信器から出力される前記光信号を、光伝送路を介して対向装置に向けて伝送することを特徴とする光伝送装置。
【請求項1】
入力された光を変調することで光信号を出力し、且つ印加されるバイアス電圧に依存して光吸収の程度が変化する光吸収特性であって、第1の特性領域及び第1の特性領域よりも光吸収の程度が大きくなる第2の特性領域を含む光吸収特性を有するマッハツェンダ型光変調器と、
前記マッハツェンダ型光変調器からの前記光信号の出力を所望量以下に遮断する場合に、前記第2の特性領域に対応する所定の遮断バイアス電圧を、前記マッハツェンダ型光変調器に形成された2つの干渉用光導波路の夫々に備えられた電極に印加することにより、発生する電界を前記干渉用光導波路に与える印加部と
を備えることを特徴とする光送信器。
【請求項2】
前記光変調器は、印加される前記バイアス電圧が負の方向に大きくなるほど光吸収の程度が大きくなる光吸収特性を有し、
前記遮断バイアス電圧は、前記マッハツェンダ型光変調器からの前記光信号の出力を所望量以下に遮断しない場合の前記バイアス電圧である駆動バイアス電圧よりも負の方向に大きいことを特徴とする請求項1に記載の光送信器。
【請求項3】
遮断要求信号供給器からの信号に基づき、前記駆動バイアス電圧と前記遮断バイアス電圧を切り替えて前記電極に供給するスイッチを更に備えることを特徴とする請求項2に記載の光送信器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の光送信器から出力される前記光信号を、光伝送路を介して対向装置に向けて伝送することを特徴とする光伝送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2012−98533(P2012−98533A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246407(P2010−246407)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(309015134)富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社 (72)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(309015134)富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社 (72)
【Fターム(参考)】
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