説明

光送信器及び光送信器制御方法

【課題】アライン又はインターリーブドいずれの送信方式でも、偏波多重信号に含まれる各偏波の位相差を精度よく調整する光送信器を提供する。
【解決手段】第1変調器11は、第1信号の位相調整を行う。第2変調器12は、第2信号の位相調整を行う。合成部13は、第1変調器11から出力された信号と第2変調器12から出力された信号とを合波し多重信号を生成して送信する。位相差データ生成部14は、多重信号を基に、第1変調器11から出力された信号と第2変調器12から出力された信号との位相差に対応した位相差データを生成する。制御部15は、位相差データに基づいて第1変調器11及び第2変調器12における位相調整の制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光送信器及び光送信器制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光伝送システムにおいて信号を伝送するための技術の1つとして位相変調が広く実用化されている。位相変調では、送信データに応じて搬送波の位相を制御することにより、データが伝送される。例えば、4値位相シフトキーイング(QPSK:Quadrature Phase Shift Keying)変調では、2ビットのデータから構成される各シンボル「00」「10」「11」「01」に対して、「θ」「θ+π/2」「θ+π」 「θ+3π/2」が割り当てられる。ここで、「θ」は任意の位相である。そして、受信装置は、受信信号の位相を検出することにより、送信データを再生する。
【0003】
また、QPSK方式の受信器を比較的容易に実現する技術として、差動4値位相シフトキーイング(DQPSK:Differential QPSK)が知られている。DQPSK変調においては、連続する2つのシンボル間の差分に対して対応する位相(0、π/2、π、3π/2)が割り当てられる。したがって、受信装置は、連続する2つのシンボル間の位相差を検出することにより、送信データを再生することができる。
【0004】
図17は、従来のQPSK送信器を説明するための図である。ここでは、動作原理を説明するために必要な構成のみを示す。QPSK光変調器900は、マッハツェンダ変調器であり、図示しない光源が生成する連続(CW:Continuous Wave)光が与えられる。このCW光は、光スプリッタにより分岐され、第1のアームおよび第2のアームに導かれる。第1のアームには、変調器901 が設けられ、第2のアームには、変調器902が設けられている。変調器901を通過する信号には、ドライバ910によりT1及びT2の遅延が与えられる。変調器902を通過する信号には、ドライバ910によりT3及びT4の遅延が与えられる。ここで、変調器901に入力される信号をX偏波といい、変調器902に入力される信号をY偏波という。図18は、X偏波及びY偏波を説明するための図である。図18における、波921がX偏波である。また、波922がY偏波である。図18に示すように、X偏波及びY偏波は、偏波状態が互いに直交する二つの光である。そして、変調器901、902から出力される1組の光信号を結合することにより、偏波多重信号であるDQPSK信号が生成される。
【0005】
このような、複数の信号を多重化して取り扱う光送信器では、多重信号間の遅延差を精度良く制御することが重要である。この際、X偏波とY偏波とのデータ列の位相差は伝送方式で2種類に大別される。以下では、X偏波とY偏波とのデータ列の位相差を単に「X偏波とY偏波との位相差」と呼ぶことがある。ここで、X偏波とY偏波との位相差とは、例えば、図18においてΔTで表されるものである。この位相差の一つはX偏波及びY偏波のデータ列を同じ位相にする方式であり、「アライン(align)」とも呼ばれる。アラインでは、X偏波及びY偏波のデータ列に位相差(遅延差)を与えないこととなる。もう一つはX偏波及びY偏波のデータ列の間に半ビットの位相差(遅延差)を与える方式であり、「インターリーブド(interleaved)」とも呼ばれる。図18の位相差ΔTはインターリーブドを表している。すなわち、光送信器では、アライン又はインターリーブトにおけるX偏波とY偏波との位相差を精度良く調整することが重要である。さらに、システムの要求に応じてアライン及びインターリーブドのいずれを選択するかが決まるため、アライン及びインターリーブドのいずれの伝送方式でも信号を送信できることが好ましい。
【0006】
この点、従来技術として、固定遅延変調器、固定遅延を与えるドライバ及び固定遅延変調器の前段で位相差を与える移相器の組み合わせで、X偏波及びY偏波の位相調整を行う技術が提案されている。また、各データ列を同期したクロックでリタイミングする技術が提案されている。また、各データ列に可変遅延回路を設け遅延制御を行う技術が提案されている。さらに、各データ列に可変動作回路を設けるとともに、最終段に差動アンプを設ける構成により位相調整を行う技術も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−270909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、光送信器において複数の並列信号を取り扱うために、送信器の構成が複雑となってきている。特に、QPSK変調方式では、四並列の信号を扱うため、変調器の構成が複雑となってしまう。さらに、光送信器における、電源から供給される電力の変動や温度変動などに起因して、位相の変動が発生してしまう。
【0009】
この点、固定遅延変調器、固定遅延を与えるドライバ及び固定遅延変調器の前段で位相差を与える移相器の組み合わせた従来技術では、固定の位相差しか与えられず、位相の変動に対応することは困難である。また、各データ列を同期したクロックでリタイミングする従来技術では、アラインの伝送方式にしか対応ができない。また、各データ列に可変遅延回路を設け遅延制御を行う従来技術では、位相の変動量が分からないため、異なった位相差を与えて各データ列の周波数特性をそろえることが難しく、出力波形が均一にならない。また、20Gb/sを超える周波数で位相変調をする振幅駆動を実現して十分にリミット動作する差動増幅器の実現は困難である。そのため、さらに、各データ列に可変動作回路を設けるとともに、最終段に差動アンプを設ける構成により位相調整を行う従来技術においても、出力波形を均一にすることは困難である。
【0010】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、アライン又はインターリーブドいずれの送信方式でも、偏波多重信号に含まれる各偏波の位相差を精度よく調整する光送信器及び光送信器制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願の開示する光送信器は、一つの態様において、第1変調器は、第1信号の位相調整を行う。第2変調器は、第2信号の位相調整を行う。合成部は、前記第1変調器から出力された信号と前記第2変調器から出力された信号とを合波し多重信号を生成して送信する。位相差データ生成部は、前記多重信号を基に、前記第1変調器から出力された信号と前記第2変調器から出力された信号との位相差に対応した位相差データを生成する。制御部は、前記位相差データに基づいて前記第1変調器及び前記第2変調器における位相調整の制御を行う。
【発明の効果】
【0012】
本願の開示する光送信器及び光送信器制御方法の一つの態様によれば、アライン又はインターリーブドいずれの送信方式でも、偏波多重信号に含まれる各偏波の位相差を精度よく調整することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施例1に係る光送信器のブロック図である。
【図2】図2は、実施例2に係る光送信器のブロック図である。
【図3】図3は、実施例2に係る制御部のブロック図である。
【図4】図4は、位相差が異なる場合の偏波多重信号の出力波形の一例の図である。
【図5】図5は、図4の出力波形に対応した出力スペクトラムの一例の図である。
【図6】図6は、中心周波数28GHzかつ透過帯域幅100MHzのBPF使用時の位相差と特定周波数のパワーとの関係を表すグラフである。
【図7】図7は、中心周波数14GHzかつ透過帯域幅100MHzのBPF使用時の位相差と特定周波数のパワーとの関係を表すグラフである。
【図8】図8は、中心周波数7GHzかつ透過帯域幅30.8MHzのBPF使用時の位相差と特定周波数のパワーとの関係を表すグラフである。
【図9】図9は、中心周波数3.5GHzかつ透過帯域幅105MHzのBPF使用時の位相差と特定周波数のパワーとの関係を表すグラフである。
【図10】図10は、タイミング回路におけるデータ信号のインターリーブドへの位相調整を説明するための図である。
【図11】図11は、タイミング回路における変調器のスキューを補償するためのデータ信号の位相調整を説明するための図である。
【図12】図12は、実施例2に係る光送信器の位相差調整処理のフローチャートである。
【図13−1】図13−1は、中心周波数7GHzかつ透過帯域幅21MHzのBPF使用時の位相差と特定周波数のパワーとの関係を表すグラフである。
【図13−2】図13−2は、中心周波数7GHzかつ透過帯域幅105MHzのBPF使用時の位相差と特定周波数のパワーとの関係を表すグラフである。
【図14】図14は、透過帯域幅と位相差との関係を表すグラフである。
【図15】図15は、実施例3に係る光送信器のブロック図である。
【図16】図16は、実施例4に係る光送信器のブロック図である。
【図17】図17は、従来のQPSK送信器を説明するための図である。
【図18】図18は、X偏波とY偏波との位相差を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本願の開示する光送信器及び光送信器制御方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例により本願の開示する光送信器及び光送信器制御方法が限定されるものではない。
【実施例1】
【0015】
図1は、実施例1に係る光送信器のブロック図である。実施例1に係る光送信器1は、第1変調器11、第2変調器12、合成部13、位相差データ生成部14及び制御部15を備えている。
【0016】
第1変調器11及び第2変調器12には、二つの光信号がそれぞれ入力される。
【0017】
第1変調器11は、光の入力を受ける。そして、第1変調器11は、制御部15からの制御を受けて、光信号の位相調整を行う。そして、第1変調器11は、位相調整を行った光信号を合成部13へ供給する。
【0018】
第2変調器12は、光信号の入力を受ける。そして、第2変調器12は、制御部15からの制御を受けて、光信号の位相調整を行う。そして、第2変調器12は、位相調整を行った光信号を合成部13へ供給する。
【0019】
合成部13は、第1変調器11から光信号の供給を受ける。また、合成部13は、第2変調器12から光信号の供給を受ける。そして、合成部13は、第1変調器11及び第2変調器12のそれぞれから受信した光信号を合波し多重信号を生成する。合成部13は、生成した多重信号を出力する。合成部13から出力された多重信号は、分岐され、一方は外部の光受信装置(不図示)へ向かい、他方は位相差データ生成部14へ向かう。
【0020】
位相差データ生成部14は、合成部13から出力された多重信号を取得する。そして、位相差データ生成部14は、多重信号を用いて、第1変調器11から出力された信号と第2変調器12から出力された信号との位相差に対応したデータである位相差データを生成する。位相差データ生成部14は、位相差データを制御部15へ出力する。
【0021】
制御部15は、位相差データの入力を位相差データ生成部14から受ける。そして、制御部15は、位相差データを用いて、第1変調器11及び第2変調器12における光信号の位相調整の制御を行う。
【0022】
上述してきたように、本実施例1に係る光送信器は、出力される多重信号を用いて各光信号の位相差を求め、その位相差を基に各光信号の位相調整を行う。すなわち、本実施例1に係る光送信器は、出力される多重信号を用いてフィードバック制御を行う。これにより、本実施例1に係る光送信器は、多重信号に含まれる各光信号の位相差を精度よく調整することができる。本実施例1に係る光送信器による位相調整は、アラインまたはインターリーブドいずれの送信方式でも可能である。
【実施例2】
【0023】
図2は、実施例2に係る光送信器のブロック図である。本実施例2に係る光送信器1は、第1変調器11、第2変調器12、合成部13、位相差データ生成部14、制御部15、光源16及び偏波分離部17を備えている。本実施例2では、光送信器1は、QPSK方式でデータ伝送を行う装置として説明する。
【0024】
光源16は、所要の波長を有する連続光または光パルス列を発生する。そして、光源16は、発生した光を偏波分離部17に出力する。
【0025】
偏波分離部17は、光源16からの出力光を偏波状態が互いに直交する二つの光に分離する。以下では、偏波状態が互いに直交する二つの光の一方をX偏波、他方をY偏波と呼ぶことがある。そして、偏波分離部17は、一方の光(X偏波)を第1変調器11に出力する。また、偏波分離部17は、他方の光(Y偏波)を第2変調器12に出力する。
【0026】
第1変調器11は、X偏波の入力を偏波分離部17から受ける。この時、X偏波は、偏波状態を保持したまま入力される。そして、第1変調器11は、さらにX偏波を2つの光信号に分離する。そして、第1変調器11は、分離した2つの光信号に対するデータ信号を制御部15から受ける。そして、第1変調器11は、データ信号に従って、分離した2つの光信号のそれぞれの位相調整を行う。そして、第1変調器11は、位相調整した2つの光信号を合波し、その合波した光信号を合成部13へ供給する。
【0027】
第2変調器12は、Y偏波の入力を偏波分離部17から受ける。この時、X偏波は、偏波状態を保持したまま入力される。そして、第2変調器12は、さらにY偏波を2つの光信号に分離する。そして、第2変調器12は、分離した2つの光信号に対するデータ信号を制御部15から受ける。そして、第2変調器12は、データ信号に従って、分離した2つの光信号それぞれの位相調整を行う。そして、第2変調器12は、位相調整した2つの光信号を合波し、その合波した光信号を合成部13へ供給する。
【0028】
合成部13は、第1変調器11からX偏波の供給を受ける。また、合成部13は、第2変調器12からY偏波の供給を受ける。そして、合成部13は、互いに偏波状態が直交するX偏波及びY偏波を一つに合成し偏波多重信号を生成する。そして、合成部13は、生成した偏波多重信号を光伝送路に送信する。
【0029】
光伝送路に送信された偏波多重信号は二つに分離され、一方は図示しない光受信装置へ向かい、他方は位相差データ生成部14に向かう。
【0030】
位相差データ生成部14は、フォトダイオード(PD)141、バンドパスフィルタ(BPF)142及び増幅器143を有している。
【0031】
フォトダイオード141は、合成部13から入力された光信号である偏波多重信号を電気信号に変換する。
【0032】
バンドパスフィルタ142は、所定の中心周波数及び所定の透過帯域幅が予め与えられている。バンドパスフィルタ142に与えられる中心周波数及び透過帯域幅の決定方法は後で具体的に説明する。
【0033】
バンドパスフィルタ142は、フォトダイオード141によって電気信号に変換された偏波多重信号の入力を受ける。そして、バンドパスフィルタ142は、入力された電気信号のうち、所定の中心周波数と所定の透過帯域幅とを組み合わせた条件に含まれる周波数を有する電気信号を位相差データとして抽出する。以下では、この抽出した電気信号を「特定周波数成分」とも言う。そして、バンドパスフィルタ142は、特定周波数成分を増幅器143へ出力する。
【0034】
増幅器143は、特定周波数成分の入力をバンドパスフィルタ142から受ける。そして、増幅器143は、特定周波数成分の電力を増幅する。そして、増幅器143は、増幅した特定周波数成分を制御部15へ出力する。
【0035】
制御部15は、データ信号の入力を受ける。また、制御部15は、特定周波数成分の入力を増幅器143から受ける。そして、制御部15は、特定周波数成分を用いて各データ信号の位相を調整し、第1変調器11からのX偏波及び第2変調器12からのY偏波が所定の位相差となるようにフィードバック制御を行う。このフィードバック制御の詳細は後に説明する。これにより、制御部15は、第1変調器11におけるX偏波の位相調整及び第2変調器12におけるY偏波の位相調整を制御する。
【0036】
ここで、制御部15によるフィードバック制御について、図4〜図9を参照して説明する。図4は、位相差が異なる場合の偏波多重信号の出力波形の一例の図である。図5は、図4の出力波形に対応した出力スペクトラムの一例の図である。図6は、中心周波数28GHzかつ透過帯域幅100MHzのBPF使用時の位相差と特定周波数のパワーとの関係を表すグラフである。図7は、中心周波数14GHzかつ透過帯域幅100MHzのBPF使用時の位相差と特定周波数のパワーとの関係を表すグラフである。図8は、中心周波数7GHzかつ透過帯域幅30.8MHzのBPF使用時の位相差と特定周波数のパワーとの関係を表すグラフである。図9は、中心周波数3.5GHzかつ透過帯域幅105MHzのBPF使用時の位相差と特定周波数のパワーとの関係を表すグラフである。
【0037】
図4に示されている各グラフは、それぞれに記載されているUI(Unit Interval)の位相差をX偏波とY偏波が有している偏波多重信号の出力波形を表している。図4の各グラフは横軸を時間とし、縦軸をパワーとしている。そして、図5に示されている各グラフは、図4の各グラフに対する出力スペクトラムである。図5の各グラフは、横軸を周波数とし、縦軸をパワーとしている。図4及び図5に示すように、X偏波とY偏波との位相差が大きくなると、例えば28GHz成分のパワーは減少していく。ここで、25Gbitでデータの本体を送信する場合、誤り符号を含めると実際には28Gbpsの伝送速度が必要となる。そして伝送速度がαGbpsの場合、周波数がαGHzの成分におけるパワーの変化が最大となる。そのため、25Gbitでデータ本体の伝送を行う場合には、28GHz成分でパワーの変化が強く見られることになる。そこで、例えば28GHzの周波数成分に注目し、28GHzにおける位相差とパワーの変化を測定する。すなわち、中心周波数を28GHzとし、透過帯域幅を100MHzとしたバンドパスフィルタ142を通過した特定周波数のパワーの変化を計測する。
【0038】
この計測結果が図6である。図6は、横軸を位相差(UI)とし、縦軸をパワーとしたグラフである。図6の点200で示されるように、位相差が0(UI)の場合に、パワーが最大値となる。また、点201で示されるように、位相差が0.5(UI)の場合に、パワーが最小となる。すなわち、バンドパスフィルタ142として、例えば、中心周波数28GHz、透過帯域幅100MHzのバンドパスフィルタを使用した場合、パワーが最大値となるところで、X偏波とY偏波とが同位相となりアラインとなる。また、パワーが最小値となるところで、X偏波とY偏波との間に半ビットの位相差が発生しインターリーブドとなる。
【0039】
ここで、28GHzでは、位相差が大きくなるにしたがいパワーが下がっているが、対象とする周波数成分によっては位相差が大きくなるにしたがいパワーが上がる場合もある。そこで、いくつかの他の周波数成分に関するパワーの計測結果を説明する。
【0040】
他の例として図7のグラフがある。図7は、中心周波数を14GHzとし、透過帯域幅を100MHzとしたバンドパスフィルタ142を通過した特定周波数のパワーの変化である。ここで、中心周波数14GHzは、伝送速度28Gbitの2分の1にあたる値に対応する中心周波数である。図7の点202で示されるように、位相差が0(UI)の場合に、パワーが最大値となる。すなわち、バンドパスフィルタ142として、例えば、中心周波数28GHz、透過帯域幅100MHzのバンドパスフィルタを使用した場合、パワーが最大値となるところで、X偏波とY偏波とが同位相となりアラインとなる。
【0041】
また、他の例として図8のグラフがある。図8は、中心周波数を7GHzとし、透過帯域幅を30.8MHzとしたバンドパスフィルタ142を通過した特定周波数のパワーの変化である。ここで、中心周波数7GHzは、伝送速度28Gbitの4分の1にあたる値に対応する中心周波数である。図8の点203で示されるように、位相差が0.5(UI)の場合に、パワーが最小値となる。すなわち、バンドパスフィルタ142として、例えば、中心周波数28GHz、透過帯域幅100MHzのバンドパスフィルタを使用した場合、パワーが最小値となるところで、X偏波とY偏波との間に半ビットの位相差が発生しインターリーブドとなる。
【0042】
また、他の例として図9のグラフがある。図9は、中心周波数を3.5GHzとし、透過帯域幅を105MHzとしたバンドパスフィルタ142を通過した特定周波数のパワーの変化である。ここで、中心周波数3.5GHzは、伝送速度28Gbitの8分の1にあたる値に対応する中心周波数である。図9の点204で示されるように、位相差が0.5(UI)の場合に、パワーが最大値となる。すなわち、バンドパスフィルタ142として、例えば、中心周波数28GHz、透過帯域幅100MHzのバンドパスフィルタを使用した場合、パワーが最大値となるところで、X偏波とY偏波との間に半ビットの位相差が発生しインターリーブドとなる。
【0043】
このように、使用するバンドパスフィルタ142に設定された中心周波数と透過帯域幅との組み合わせによって、パワーが最大値又は最小値になる状態でX偏波とY偏波とはアライン又はインターリーブドの関係となる。すなわち、バンドパスフィルタ142の中心周波数及び透過帯域幅を適当な値に設定することで、制御部15の動作の設定を決定することができる。
【0044】
次に、この特定周波数成分のパワーとX偏波とY偏波との位相差の関係を基に、図3を用いて、制御部15をさらに詳細に説明する。図3は、実施例2に係る制御部のブロック図である。図3に示すように、制御部15は、制御回路150、第1タイミング回路151、第2タイミング回路152、第3タイミング回路153、第4タイミング回路154、アンプ155及びクロック発生部157を有している。ここでは、バンドパスフィルタ142として、28GHzの中心周波数と100MHzの透過帯域幅を使用するものとする。
【0045】
制御回路150は、特定周波数成分の中のパワーの最大値を特定するか又は最小値を特定するかが予め設定されている。最大値を特定するか最小値を特定するかは、バンドパスフィルタ142の設定とアライン又はインターリーブドのどちらに位相を合わせたいかという要求とにより決まる。ここでは、28GHzの中心周波数と100MHzの透過帯域幅のバンドパスフィルタ142を使用してアラインにしたいとする。すなわち、制御回路150は、パワーの最大値を特定するよう設定されているものとする。
【0046】
制御回路150は、増幅器143から入力された特定周波数成分のパワーを取得する。ここでは、制御回路150は、28GHzの周波数成分のパワーを取得する。そして、制御回路150は、パワーの最大値を特定する。そして、制御回路150は、特定周波数成分のパワーが最大値となるようにデータ信号とクロック信号との相対的な位相のフィードバック制御を行う。具体的には、制御回路150は、特定周波数成分の現在のパワーと一つ前の制御による信号の特定周波数成分のパワーとを比較し、一つ前よりも現在のパワーが大きい場合には、特定周波数成分のパワーを小さくするようにX偏波またはY偏波に位相差を与える。逆に、一つ前よりも現在のパワーが小さい場合には、制御回路150は特定周波数成分のパワーが大きくなるようにX偏波またはY偏波に位相差を与える。
【0047】
そして、所定の条件を満たすと制御回路150はフィードバック制御を終了する。ここで、所定の条件とは、例えば本実施形態では、パワーを小さくするようにX偏波またはY偏波に位相差を与えることと、パワーが大きくなるようにX偏波またはY偏波に位相差を与えることが、所定回数繰り返された場合といった条件である。ここで、本実施例では所定の条件を満たしたときにフィードバック制御を終了するように説明したが、制御回路150は、光送信器1が光送信を行っている間、フィードバック制御を行い続ける構成にしても良い。
【0048】
以下では、0.25UI単位で位相差を与える構成を用いて具体的に説明する。この場合、制御回路150は、フィードバック制御において0.25UI単位で段階的に位相差を与えることになる。制御回路150は、各データ信号の位相差として0UI、0.25UI、0.5UI又は0.75UIの位相差を与えるように第1タイミング回路151〜第4タイミング回路152を制御する。この制御回路150が与える位相差にはインターリーブドによる位相差も含まれる。例えば、インターリーブドにおいて位相が遅れるほうの信号に対してさらに0.25UIの位相差を与えるときには、制御回路150は、その信号に対して0.75UIの位相差を与えることになる。また、本実施例では、0.25UI単位での制御で説明したが、付与できる位相差の単位は配置するDDF個数、DDFの位相余裕及び可変遅延装置などの部材の性能によって決められる。DDFの個数を多くし、DDFの位相余裕を大きくし、さらに可変遅延装置などの部材の性能が高いものを用いれば、付与できる位相差の単位をより細かくできる。そして、付与できる位相差の単位を細かくすれば、X偏波とY偏波との位相調整をより正確に行える。
【0049】
本実施例では、合成部13から出力された偏波多重信号の25GHzの周波数成分のパワーが、図6の点200のパワーに一致するように第1タイミング回路151〜第4タイミング回路154を制御する。
【0050】
ここでは、X偏波とY偏波とをアラインにするために最大値を用いたが、X偏波とY偏波とをインターリーブドにしたい場合には最小値を用いることになる。その場合には、制御回路150は、合成部13から出力された偏波多重信号の25GHzの周波数成分のパワーが、図6の点201のパワーに一致するように第1タイミング回路151〜第4タイミング回路154を制御する。
【0051】
クロック発生部157はクロックを発生する。そして、クロック発生部157は、発生したクロックを第1タイミング回路151〜第4タイミング回路154へ出力する。
【0052】
第1タイミング回路151、第2タイミング回路152、第3タイミング回路153及び第4タイミング回路154はそれぞれ同じ構成を有する。そこで、第1タイミング回路151について説明する。以下の説明における構成及び動作は第2タイミング回路152、第3タイミング回路153及び第4タイミング回路154も同様である。
【0053】
第1タイミング回路152は、DFF(D型 Flip Flop)511、DFF512、DFF513、正転/反転切替部514、可変遅延器515及び正転/反転切替部516を有している。
【0054】
DFF511は、データ信号の入力を受ける。また、DFF511は、クロックの入力をクロック発生部157から受ける。そして、DFF511は、所定のクロックの立上りにデータ信号をリタイミングする。ここで、所定のクロックとは、第1タイミング回路151〜第4タイミング回路154で同じタイミングのクロックであれば良い。そして、DFF511は、位相を調整したデータ信号をDFF512へ出力する。
【0055】
正転/反転切替部514は、クロックの入力をクロック発生部157から受ける。そして、正転/反転切替部514は、制御回路150から指定された位相差が0の場合には、第1のクロックを正転させてDFF512へ出力する。ここで、正転させるとは、そのままのクロックの状態を維持することも含む。また、正転/反転切替部514は、制御回路150から指定された位相差が0.5の場合には、クロックを反転させてDFF512へ出力する。
【0056】
DFF512は、クロックの立上りにリタイミングされたデータ信号の入力をDFF511から受ける。また、DFF512は、正転/反転切替部514からクロックの入力を受ける。そして、DFF512は、入力されたクロックの立上りにデータ信号をリタイミングする。そして、DFF512は、位相差の調整を行ったデータ信号を送信する。
【0057】
正転/反転切替部516は、クロックの入力をクロック発生部157から受ける。そして、制御回路150から指定された位相差が0.25UIの場合には、正転/反転切替部516は、入力されたクロックを正転させて可変遅延器515へ出力する。また、制御回路150から指定された位相差が0.75UIの場合には、入力されたクロックを反転させる。
【0058】
可変遅延器515は、クロックの入力を正転/反転切替部516から受ける。そして、可変遅延器515は、入力されたクロックを0.25UI遅らせる。そして、可変遅延器515は、0.25UI遅らせたクロックをDFF513へ出力する。
【0059】
DFF513は、DFF512が位相を調整したデータ信号の入力を受ける。さらに、DFF513は、可変遅延器515からクロックの入力を受ける。そして、DFF513は、可変遅延器515から入力されたクロックの立上にデータ信号をリタイミングする。このように、DFF513は、DFF512から入力されたデータ信号に対して位相調整を行う。
【0060】
次に、図10を参照して、Y偏波が半ビット進んだ場合のタイミング回路によるデータ信号の位相調整について説明する。図10は、タイミング回路におけるデータ信号のインターリーブドへの位相調整を説明するための図である。ここで説明する位相調整は、単に入力信号にスキューが発生している場合である。すなわち、第1変調器11及び第2変調器12においてはスキューが発生していないものとする。そのため、単なるインターリーブドの設定となる。ここで、スキューとは、各信号の到達時間に差が出ることを指す(以下同様)。
【0061】
信号群301〜信号群303はそれぞれ、4つのデータ信号を組み合わせたものである。そして、4つのデータ信号は、それぞれ紙面に向かって上から順番に、第1タイミング回路151、第2タイミング回路152、第3タイミング回路153、第4タイミング回路154に入力されたデータ信号を表している。ここでは、第1タイミング回路151から出力されたデータ信号をデータA、第2タイミング回路152から出力されたデータ信号をデータBとする。また、第3タイミング回路153から出力されたデータ信号をデータC、第4タイミング回路154から出力されたデータ信号をデータDとする。そして、各データ信号は、紙面に向かって左端をデータの先頭とする。例えば、データAは、1、2、3、4、5、6、7の順番でデータが送られていく。そして、データ信号同士の立上りのタイミングが一致していれば、それらのデータ信号の位相が一致している。また、ある2つのデータ信号において、一方の立上りが他方の立上りに比べて紙面に向かって右にずれると、その一方のデータ信号の位相が他方のデータ信号の位相に比べて遅れていることになる。
【0062】
信号群301は、DFF511に入力された段階のデータ信号の状態を表している。信号群302は、DFF511によって位相が調整された段階のデータ信号の状態を表している。言い換えれば、信号群302は、DFF512に入力された段階のデータ信号の状態を表している。信号群303は、DFF512によって位相が調整された段階のデータ信号の状態を表している。言い換えれば、信号群303は、DFF513に入力された段階のデータ信号の状態を表している。
【0063】
DFF511は、第1タイミング回路151〜第4タイミング回路154のそれぞれにおいて、初段のDFFの全てを指すものとする。また、DFF512は、第1タイミング回路151〜第4タイミング回路154のそれぞれにおいて、2段目のDFFの全てを指すものとする。また、DFF513は、第1タイミング回路151〜第4タイミング回路154のそれぞれにおいて、3段目のDFF全てを指すものとする。また、正転/反転切替部514は、第1タイミング回路151〜第4タイミング回路154のそれぞれにおいて、DFF512にクロックを送る正転/反転切替部の全てを指すものとする。また、可変遅延器515は、第1タイミング回路151〜第4タイミング回路154のそれぞれにおいて、DFF513にクロックを送る可変遅延器の全てを指すものとする。また、正転/反転切替部516は、第1タイミング回路151〜第4タイミング回路154のそれぞれにおいて、可変遅延器515にクロックを送る正転/反転切替部の全てを指すものとする。以下の説明では説明の都合上データ信号をまとめて扱う。しかし、実際にはデータAは、第1タイミング回路151で処理され、データBは第2タイミング回路152で処理され、データCは、第3タイミング回路153で処理され、データDは第2タイミング回路154で処理されているものとする。
【0064】
信号群301の段階では、入力された各データ信号に到達時間の差であるスキューが発生している。すなわち、DFF511に入力された信号群301の段階では、データA〜Dの位相はばらばらである。
【0065】
そして、DFF511がクロック発生部157から入力されたクロック311の立上りにデータA〜Dをリタイミングする。これにより、信号群302のように、データA〜Dの位相が一致する。この段階では、データA〜Dは同位相の状態であり、データC及びDがデータA及びBに対して半ビット遅れになっていない。
【0066】
第1タイミング回路151及び第2タイミング回路152の正転/反転切替部514は、クロック発生部157から入力されたクロックを正転させてクロック312を生成し、それぞれのDFF512へクロック312を出力する。また、第3タイミング回路151及び第4タイミング回路152の正転/反転切替部514は、クロック発生部157から入力されたクロックを反転させてクロック313を生成し、それぞれのDFF512へクロック313を出力する。
【0067】
そして、第1タイミング回路151及び第2タイミング回路152のDFF512は、クロック発生部516から入力された正転のクロック312にデータA及びBをリタイミングする。また、第3タイミング回路151及び第4タイミング回路152のDFF512は、正転/反転切替部514から入力された反転のクロック313にデータC及びDをリタイミングする。これにより、信号群303のように、データA及びデータBに対して、データC及びデータDが半ビット遅れた状態となる。
【0068】
第1タイミング回路151及び第2タイミング回路152の正転/反転切替部516は、クロック発生部157から入力されたクロックを正転させて、それぞれの可変遅延器515へ出力する。また、第3タイミング回路153及び第4タイミング回路154の正転/反転切替部156は、クロック発生部157から入力されたクロックを反転させてそれぞれの可変遅延器515へ出力する。
【0069】
第1タイミング回路151及び第2タイミング回路152の可変遅延器515は、正転/反転切替部516から入力をされたクロック312をそのままDFF513へ出力する。第3タイミング回路153及び第4タイミング回路154の可変遅延器515は、正転/反転切替部516から入力をされたクロック313をそのままDFF513へ出力する。
【0070】
各DFF513は、データA、B及びDに対して、データCが半ビット遅れた状態の信号群303の入力をそれぞれのDFF512から受ける。また、各DFF513は、それぞれの可変遅延器515からクロックの入力を受ける。そして、各DFF513は、入力されたクロックの立上りにデータ信号をリタイミングし、信号群404を生成する。具体的には、第1タイミング回路151及び第2タイミング回路152は、クロック312の立上りにデータA及びデータBをリタイミングする。また、第3タイミング回路153及び第4タイミング回路154は、クロック313の立上りにデータC及びデータDをリタイミングすることで、データA及びデータBに対する0.5UIの位相差(遅延)をデータC及びデータDに与える。この場合、データA〜データDは信号群303と同じ位相状態となる。そして、各DFF513は、位相調整したデータ信号をそれぞれのアンプ155へ出力する。
【0071】
ここで、本実施形態では、DFF513において再度半ビット遅れの位相差を与える構成にした。しかし、実際には、DFF512からの出力とDFF513からの出力は同じ位相差を有する信号群となる。そのため、この場合には、正転/反転切替部516及び可変遅延器515は動作せず、DFF513がDFF512から受けたデータ信号をアンプ155へそのまま出力する構成にしても良い。具体的には、各DFF513は、データA及びデータBに対して、データC及びデータDが半ビット遅れた状態の信号群303の入力をそれぞれのDFF512から受ける。そして、各DFF513は、入力された信号群303をそのままアンプ155へ出力する。
【0072】
各DFF513は、データA及びデータBに対して、データC及びデータDが半ビット遅れた状態の信号群303の入力をそれぞれのDFF512から受ける。そして、各DFF513は、入力された信号群303をそのままアンプ155へ出力する。
【0073】
ここでは、データC及びデータDを半ビット遅らせる動作を説明したが、逆にデータA及びデータBを半ビット遅らせる場合には、第1タイミング回路151及び第2タイミング回路152の動作と、第3タイミング回路153及び第4タイミング回路154の動作とを逆転させればよい。
【0074】
また、データA〜Dまでを同位相、すなわちアラインとするには、各DFF512は、それぞれのDFF511から入力された信号群302のデータ信号をそのまま出力すればよい。
【0075】
アンプ155は、第1タイミング回路151〜第4タイミング回路154から入力されたデータ信号を増幅し出力する。そして、第1タイミング回路151から出力されたデータ信号は第1変調器11の一方の光信号の位相変調に用いられる。また、第2タイミング回路152から出力されたデータ信号は第1変調器11の他方の光信号の位相変調に用いられる。さらに、第3タイミング回路153から出力されたデータ信号は第2変調器12の一方の光信号の位相変調に用いられる。また、第4タイミング回路154から出力されたデータ信号は第2変調器12の他方の光信号の位相変調に用いられる。
【0076】
例えば、第1タイミング回路151〜第4タイミング回路154が出力するデータ信号が同位相の場合には、第1変調器11及び第2変調器12によってX偏波及びY偏波ともに同位相に変調され、アラインとなる。
【0077】
また、第1タイミング回路151及び第2タイミング回路152に対して第3タイミング回路153及び第4タイミング回路154が出力するデータ信号が半ビット遅れる場合には、第2変調器12は、第1変調器11の光信号に対して半ビット遅れるように光信号を位相変調する。これにより、Y偏波がX偏波に対して0.5UI分遅れるので、Y偏波が遅れたインターリーブドとなる。逆に、第3タイミング回路153及び第4タイミング回路154に対して第1タイミング回路151及び第2タイミング回路152が出力するデータ信号が半ビット遅れる場合には、X偏波が遅れたインターリーブドとなる。
【0078】
次に図11を参照して、タイミング回路における変調器のスキューを補償するためのデータ信号の位相調整を説明する。位相差調整の処理を説明する。図11は、タイミング回路における変調器のスキューを補償するためのデータ信号の位相調整を説明するための図である。ここでは、第1タイミング回路151においてデータ信号を0.25UI遅らせ、第3タイミング回路153においてデータ信号を0.5UI遅らせる場合について説明する。
【0079】
ここでも、DFF511、DFF512、DFF513、正転/反転切替部514、可変遅延器515及び正転/反転切替部516は、第1タイミング回路151〜第4タイミング回路154のそれぞれに配置されているものをまとめて指すものとする。そして、説明の都合上データ信号をまとめて扱う。しかし、実際にはデータAは、第1タイミング回路151で処理され、データBは第2タイミング回路152で処理され、データCは、第3タイミング回路153で処理され、データDは第2タイミング回路154で処理されているものとする。
【0080】
信号群401〜信号群404はそれぞれ、4つのデータ信号を組み合わせたものである。そして、4つのデータ信号は、それぞれ紙面に向かって上から順番に、第1タイミング回路151、第2タイミング回路152、第3タイミング回路153、第4タイミング回路154に入力されたデータ信号を表している。第1タイミング回路151に入力されたデータ信号をデータA、第2タイミング回路152に入力されたデータ信号をデータB、第3タイミング回路153に入力されたデータ信号をデータC、第4タイミング回路154に入力されたデータ信号をデータDとする。信号群401は、DFF511に入力された段階のデータ信号の状態を表している。信号群402は、DFF511によって位相が調整された段階のデータ信号の状態を表している。言い換えれば、信号群402は、DFF512に入力された段階のデータ信号の状態を表している。信号群403は、DFF512によって位相が調整された段階のデータ信号の状態を表している。言い換えれば、信号群403は、DFF513に入力された段階のデータ信号の状態を表している。
【0081】
信号群401の段階では、入力された各データ信号に到達時間の差であるスキューが発生している。すなわち、DFF511に入力された信号群401の段階では、データA〜Dの位相はばらばらである。
【0082】
そして、各DFF511は、クロック発生部157から入力されたクロック411の立上りにデータA〜Dをリタイミングする。これにより、信号群402のように、データA〜Dの位相が一致する。この段階では、データA〜Dは同位相の状態である。
【0083】
第1タイミング回路151、第2タイミング回路及び第4タイミング回路152の正転/反転切替部514は、クロック発生部157から入力されたクロックを正転させてクロック412を生成して、それぞれのDFF512へクロック412を出力する。また、第3タイミング回路151の正転/反転切替部514は、クロック発生部157から入力されたクロックを反転させてクロック413を生成し、DFF512へクロック413を出力する。
【0084】
そして、第1タイミング回路151、第2タイミング回路152及び第4タイミング回路154のDFF512は、クロック発生部157から入力された正転のクロック412にデータA、B、Dをリタイミングする。また、第3タイミング回路151のDFF512は、正転/反転切替部514から入力された反転のクロック413にデータCをリタイミングする。これにより、信号群403のように、データA、データB及びデータDに対して、データCが半ビット遅れた状態となる。
【0085】
第1タイミング回路151、第2タイミング回路152及び第4タイミング回路154の正転/反転切替部516は、クロック発生部157から入力されたクロックを正転させて、それぞれの可変遅延器515へ出力する。また、第3タイミング回路153の正転/反転切替部156は、クロック発生部157から入力されたクロックを反転させて可変遅延器515へ出力する。
【0086】
第1タイミング回路151の可変遅延器515は、正転/反転切替部516から入力をされたクロックに0.25UIの位相差(遅延)を与えクロック415を生成する。そして、第1タイミング回路151の可変遅延器515は、クロック415をDFF513へ出力する。第2タイミング回路152及び第4タイミング回路154の可変遅延器515は、正転/反転切替部516から入力をされたクロックをそのままそれぞれのDFF513へ出力する。第2タイミング回路152及び第4タイミング回路154の可変遅延器515がそれぞれのDFF513へ出力するクロックがクロック414である。第3タイミング回路153の可変遅延器515は、正転/反転切替部516から入力をされたクロックをそのままDFF513へ出力する。第3タイミング回路153の可変遅延器515がDFF513へ出力するクロックがクロック416である。
【0087】
各DFF513は、データA、B及びDに対して、データCが半ビット遅れた状態の信号群303の入力をそれぞれのDFF512から受ける。また、各DFF513は、それぞれの可変遅延器515からクロックの入力を受ける。そして、各DFF513は、入力されたクロックの立上りにデータ信号をリタイミングし、信号群404を生成する。具体的には、第2タイミング回路152及び第4タイミング回路154は、クロック414の立上りにデータB及びデータDをリタイミングする。また、第1タイミング回路151は、クロック415の立上りにデータAをリタイミングすることで、データB及びデータDに対する0.25UIの位相差(遅延)をデータAに与える。また、第3タイミング回路151は、クロック416の立上りにデータCをリタイミングすることで、データB及びデータDに対する0.5UI(半ビット)の位相差(遅延)をデータCに与える。そして、各DFF513は、位相調整したデータ信号をそれぞれのアンプ155へ出力する。
【0088】
ここで、本実施形態では、可変遅延器515によりクロックに遅延を与えることで、DFF513において位相差(遅延)を作出した。しかし、この位相差(遅延)の作出方法は他の方法でもよく、例えば、制御回路150が、DFF513に対するリファレンス電圧として所定の電圧を予め記憶し、特定周波数成分のパワーがリファレンス電圧よりも高い場合に所定の位相差を与えるようにしても良い。
【0089】
アンプ155は、第1タイミング回路151〜第4タイミング回路154から入力されたデータ信号を増幅し出力する。そして、第1タイミング回路151から出力されたデータ信号は第1変調器11の一方の光信号の位相変調に用いられる。また、第2タイミング回路152から出力されたデータ信号は第1変調器11の他方の光信号の位相変調に用いられる。さらに、第3タイミング回路153から出力されたデータ信号は第2変調器12の一方の光信号の位相変調に用いられる。また、第4タイミング回路154から出力されたデータ信号は第2変調器12の他方の光信号の位相変調に用いられる。
【0090】
例えば、信号群404のようにデータB及びデータDに対する0.25UIの位相差がデータAに与えられ、データB及びデータDに対する0.5UIの位相差がデータCに与えられた場合を考える。この場合、第1変調器11の一方の光信号と第2変調器12の一方の光信号が同位相に調整される。そして、第1変調器11の他方の光信号が一方の光信号に比べて0.25UI遅い位相に調整される。さらに、第2変調器12の他方の光信号が一方の光信号に比べて0.5UI遅い位相に調整される。
【0091】
制御部15が以上のようにそれぞれの位相を制御することで、入力スキューだけでなく変調器のスキューまで補償することができる。
【0092】
次に、図12を参照して、実施例2に係る光送信器1の位相調整の処理について説明する。図12は、実施例2に係る光送信器の位相調整処理のフローチャートである。
【0093】
制御部15は、カウンタを有している。まず、制御部15は、自己のカウンタのnを初期値である1とする(n=1)(ステップS101)。
【0094】
第1変調器11及び第2変調器12は、光源16から偏波分離部17を介してそれぞれX偏波及びY偏波の入力を受ける。そして、第1変調器11は、制御部15からの制御を受けてX偏波の位相を調整する。また、第2変調器12は、制御部15からの制御を受けてX偏波の位相を調整する(ステップS102)。本実施例では、第1変調器11及び第2変調器12により光信号に対して初めて位相調整が行われる場合には、制御部15は位相調整を行わないように制御する。
【0095】
合成部13は、第1変調器11から入力されたX偏波と第2変調器12から入力されたY偏波とを合成し偏波多重信号を生成する(ステップS103)。
【0096】
位相差データ生成部14は、合成部10が出力した偏波多重信号を取得する。そして、位相差データ生成部14は、偏波多重信号をフォトダイオード141により電気信号に変換する。そして、位相差データ生成部14は、電気信号に変換された偏波多重信号に対して所定の中間周波数及び所定の透過帯域幅を有するバンドパスフィルタ142を用いて特定周波数成分のパワーを取得する。制御部15は、特定周波数成分のパワーの入力を位相差データ生成部14から受ける。このとき、制御部15は、取得した特定周波数成分のパワーの識別子をm(n)とする(パワー=m(n))(ステップS104)。
【0097】
制御部15は、n=1か否かを判定する(ステップS105)。n=1の場合(ステップS105肯定)、制御部15は、特定周波数成分のパワーがm(n)のパワーよりも小さくなるようにX偏波又はY偏波の位相を調整するよう第1変調器11及び第2変調器12を制御する(ステップS107)。
【0098】
これに対して、n≠1の場合(ステップS105否定)、制御部15は、m(n)のパワーの値がm(n−1)のパワーの値より大きいか否か(m(n)>m(n−1))を判定する(ステップS106)。
【0099】
m(n)>m(n−1)の場合(ステップS106肯定)、制御部15は、特定周波数成分のパワーがm(n)のパワーよりも小さくなるようにX偏波又はY偏波の位相を調整するよう第1変調器11及び第2変調器12を制御する(ステップS107)。そして、制御部15は、自己が有するカウンタをインクリメントする、すなわちn=n+1とする(ステップS108)。その後、ステップS102へ戻る。
【0100】
これに対して、m(n)≦m(n−1)の場合(ステップS106否定)、制御部15は、ステップS107とステップS110とが交互に2回以上繰り返されたか否かを判定する(ステップS109)。ステップS107とステップS110とが交互に2回以上繰り返された場合(ステップS109肯定)、光送信器1は、フィードバック制御による位相差調整を終了する。
【0101】
これに対して、ステップS107とステップS110とが交互に2回以上繰り返されていない場合(ステップS109否定)、制御部15は、特定周波数成分のパワーがm(n)のパワーよりも大きくなるようにX偏波又はY偏波の位相を調整するよう第1変調器11及び第2変調器12を制御する(ステップS110)。そして、制御部15は、自己が有するカウンタをインクリメントする、すなわちn=n+1とする(ステップS111)。その後ステップS102へ戻る。
【0102】
ここで、本実施例及び変形例における説明では、位相差を調整するために各タイミング回路にDFFを3つ配置し、位相を3段階で調整するようにしているが、この位相をより細かく制御するためにDFFの数を増やして調整段階を増やしても良い。その場合、DFF513、可変遅延器515、正転/反転切替部516と同様の動作を行う段階が増えることになる。
【0103】
以上に説明したように、本実施形態に係る光送信器は、偏波多重信号のパワーの最大値や最小値を用いてフィードバック制御を行うことで、X偏波及びY偏波の位相調整を精度良く行うことができる。そして、このフィードバック制御はアライン又はインターリーブドいずれの送信方式でも用いることができるので、アライン又はインターリーブドのいずれの送信方式においても偏波多重信号に含まれる各偏波の位相差を精度よく調整することができる。また、アラインとインターリーブドの切り替えを容易に行うことができる。
【0104】
(変形例)
実施例2では、X偏波とY偏波とをアラインまたはインターリーブドにする場合の光送信器を説明した。これに対し、本変形例に係る光送信器1は、X偏波とY偏波とをアラインとインターリーブドの間の位相差、すなわち0より大きく0.5より小さい位相差に調整するものである。
【0105】
ここで、図13−1は中心周波数7GHzかつ透過帯域幅21MHzのBPF使用時の位相差と特定周波数のパワーとの関係を表すグラフである。また、図13−2は中心周波数7GHzかつ透過帯域幅105MHzのBPF使用時の位相差と特定周波数のパワーとの関係を表すグラフである。
【0106】
中心周波数が7GHzであり透過帯域幅が21MHzのバンドパスフィルタ142を用いた場合、図13−1の点601で示されるように、特定周波数成分のパワーが最小値となるのはX偏波とY偏波との位相差が0.5UIとなる場合である。
【0107】
これに対して、中心周波数が7GHzであり透過帯域幅が105MHzのバンドパスフィルタ142を用いた場合、図13−2の点602で示されるように、特定周波数成分のパワーが最小値となるのはX偏波とY偏波との位相差が0.7UIとなる場合である。
【0108】
このように、中心周波数が同一でも透過帯域幅の設定によって、特定周波数成分のパワーが最小値となるX偏波とY偏波との位相差が異なる。そこで、バンドパスフィルタ142における中心周波数と特定周波数成分との組み合わせを調整することにより、X偏波とY偏波とに所定の位相差を与えることができる。そこで、本変形例における所定の位相差の求め方の一例を説明する。図14は、中心周波数を7GHzとしたときの透過帯域幅と位相差との関係を表すグラフである。
【0109】
本変形例では、バンドパスフィルタ142のフィルタ形状を4次ベッセルトムソン形状とする。そして、バンドパスフィルタ142の中心周波数を7GHzとする。この条件の下、透過帯域幅を変更していき特定周波数成分のパワーが最小値となるようなX偏波とY偏波との位相差を求める。この場合に図14に示すような透過帯域幅とX偏波とY偏波との位相差との関係が成り立つ。すなわち、透過帯域幅が42MHz(点701における透過帯域幅)より小さいバンドパスフィルタを用いた場合、X偏波とY偏波との位相差は0.5UIとなる。また、透過帯域幅が49MHz(点702における透過帯域幅)以上77MHz(点703における透過帯域幅)以下では、X偏波とY偏波との位相差は0.6UIとなる。ここでは、シミュレーション上、7MHz刻みで透過帯域幅の設定を行い、0.1UI単位の位相差におけるデータを読み取っているので図14に示すように階段状の特性となっている。すなわち、透過帯域幅の設定を細かくし位相差の単位を細かくすれば、透過帯域幅と位相差との関係を表すグラフは滑らかなものとなる。
【0110】
そして、図14のグラフを用いて所定の位相差が得られるバンドパスフィルタ142の透過帯域幅を決定する。そして、本変形例に係る光送信器1では、その決定した透過帯域幅を有する中心周波数7GHzのバンドパスフィルタ142を用いる。そして、光送信器1は、実施例2で説明したフィードバック制御により、偏波多重信号の特定周波数成分のパワーが最小値になるように、X偏波及びY偏波の位相を調整する。これにより、本変形例に係る光送信器1は、所定の位相差を有するX偏波とY偏波とを合成した偏波多重信号を出力する。
【0111】
ここで、本変形例では、中心周波数を7GHzとして固定して所定の位相差を得るための透過帯域幅を決定したが、実際には中心帯域幅はどんな値をとることも可能である。また、本実施形態では特定周波数成分のパワーが最小値となる中心周波数及び透過帯域幅の組み合わせを用いたが、これは特定周波数成分のパワーが最小値となる中心周波数及び透過帯域幅の組み合わせを用いてもよい。すなわち、所定の位相差において特定周波数成分のパワーが最低値又は最大値となる中心周波数及び透過帯域幅の組み合わせを有するバンドパスフィルタ142を用いることで、所定の位相差を有するX偏波とY偏波との偏波多重信号を出力する光送信器とすることができる。
【0112】
以上に説明したように、本変形例に係る光送信器は、所定の位相差を有するX偏波とY偏波とを合成した偏波多重信号を出力することができる。この点、ケーブルの距離や太さによって、アラインやインターリーブドの間の位相差をX偏波とY偏波との間に与えることで、光送信における信号強度の劣化を防ぐことが効果的に行える場合がある。このような場合に、本変形例に係る光送信器を用いることで、その環境に最適な位相差を有するX偏波とY偏波とを合成した偏波多重信号を生成することが可能となる。
【実施例3】
【0113】
図15は、実施例3に係る光送信器のブロック図である。本実施例に係る光送信器1は、光源16の出力パワーの変動を加味して位相差のフィードバック制御を行うことが実施例2と異なるものである。そこで、以下では光源16の出力パワーの変動を加味した制御について主に説明する。ここで、図15において、図3と同じ符号を有するものは特に説明のない限り同じ機能を有するものとする。
【0114】
光源16は、偏波分離部17に光を出力する。さらに、光源16は、偏波分離部17に出力した光の光出力パワーを制御部15へ出力する。
【0115】
制御部15は、特定周波数成分のパワーの入力を位相差データ生成部14から受ける。さらに、制御部15は、光源16の光出力パワーの入力を光源16から受ける。
【0116】
制御部15は、前回のフィードバック制御における光出力パワーと光源16から入力された光出力パワーの差を求める。また、制御部15は、前回のフィードバック制御における特定周波数成分のパワーと位相差データ生成部14から入力された特定周波数成分のパワーの差を求める。そして、制御部15は、光出力パワーの差と特定周波数成分のパワーの差との比を算出する。
【0117】
光出力パワーの差と特定周波数成分のパワーの差との比が1であれば、制御部15は、入力された特定周波数成分のパワーは前回の特定朱波数成分のパワーと同じであると判断する。その場合、制御部15は、前回のフィードバック制御と同じパラメータによる制御を第1変調器11及び第2変調器12に対して行う。
【0118】
これに対し、光出力パワーの差と特定周波数成分のパワーの差との比が1以外あれば、制御部15は、入力された特定周波数成分のパワーが前回の特定周波数成分のパワーと異なると判断する。その場合、制御部15は、前回の制御におけるX偏波とY偏波との位相差とは異なる位相差をX偏波及びY偏波に与えるように、第1変調器11及び第2変調器12を制御する。
【0119】
以上に説明したように、本実施例に係る光送信器は、特定周波数成分のパワーのずれが光源の光出力パワーのずれにより発生したものであるか否かを判定する。そして、光送信器は、特定周波数成分のパワーのずれが光出力パワーのずれのみを原因とするものでない場合に、フィードバック制御を行う構成である。これにより、フィードバック制御において、光源の光出力パワーの変動の影響による特定周波数成分のパワーの変動を除外でき、フィードバック制御の精度を向上させることが可能となる。
【0120】
この点、光源から出力される光の光出力パワーは周りの環境(例えば、経時的な劣化や温度の変化など)によって変動を受けるものである。このような光源における光出力パワーの変動が発生した場合にも、本実施例に係る光送信器は精度良くフィードバック制御を行うことができる。
【実施例4】
【0121】
図16は、実施例4に係る光送信器のブロック図である。本実施例に係る光送信器1は、光源16の出力パワーの変動を加味して位相差のフィードバック制御を行う点では実施例3と同様である。ただし、本実施例に係る光送信器1は、光源16自体において光源の光出力パワーの変動を抑制することが実施例3と異なるものである。そこで、以下では光源16における光出力パワーの変動の抑制について主に説明する。ここで、図16において、図3と同じ符号を有するものは特に説明のない限り同じ機能を有するものとする。
【0122】
図16に示すように、本実施例に係る光送信器1は、実施例2の光送信器1に光源制御回路18を加えたものである。
【0123】
光源16は、偏波分離部17に出力しようとする光の光出力パワーを光源制御回路18へ出力する。そして、光源16は、光源制御回路18からの制御を受けて、光の光出力パワーを調整する。そして、光源16は、調整した光を偏波分離部17へ出力する。
【0124】
光源制御回路18は、光出力パワーの入力を光源16から受ける。そして、光源制御回路18は、光源16から入力された光出力パワーを用いて、光源16の出力する光の光出力パワーが一定になるように制御する。例えば、制御回路150は、APC(Auto Power Control)制御を行う。
【0125】
以上に説明したように、本実施例に係る光送信器は、光源が出力する光の光出力パワーを一定にする構成である。これにより、フィードバック制御において、光源の光出力パワーの変動の影響による特定周波数成分のパワーの変動を除外でき、フィードバック制御の精度を向上させることが可能となる。
【0126】
さらに、実施例3及び実施例4を組み合わせて使用することも可能である。これにより、よりフィードバック制御の精度を向上することができる。
【0127】
以上の各実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0128】
(付記1)第1信号の位相調整を行う第1変調器と、
第2信号の位相調整を行う第2変調器と、
前記第1変調器から出力された信号と前記第2変調器から出力された信号とを合波し多重信号を生成して送信する合成部と
前記多重信号を基に、前記第1変調器から出力された信号と前記第2変調器から出力された信号との位相差に対応した位相差データを生成する位相差データ生成部と、
前記位相差データに基づいて前記第1変調器及び前記第2変調器における位相調整の制御を行う制御部と、
を備えたことを特徴とする光送信器。
【0129】
(付記2)前記多重信号が偏波多重信号であることを特徴とする付記1に記載の光送信器。
【0130】
(付記3)前記位相差データ生成部は、
前記多重信号を電気信号に変換するフォトダイオードと、
前記位相差データとして前記電気信号の所定の周波数成分を抽出するフィルタと
を備えることを特徴とする付記1又は付記2に記載の光送信器。
【0131】
(付記4)前記フィルタは所定の中心周波数及び所定の透過帯域幅の組み合わせを有するバンドパスフィルタであることを特徴とする付記3に記載の光送信器。
【0132】
(付記5)前記第1変調器及び前記第2変調器における1信号あたりの伝送速度がN(baud/s)の場合、前記フィルタの中心周波数がN/n(Hz)(nは1、2、4又は8)であることを特徴とする付記4に記載の光送信器。
【0133】
(付記6)前記制御部は、前記位相差データ生成部が抽出した前記電気信号の所定の周波数成分が最大値又は最小値となるように前記第1変調器及び前記第2変調器を制御する
ことを特徴とする付記3乃至付記5のいずれか一つに記載の光送信器。
【0134】
(付記7)前記第1変調器及び前記第2変調器における1信号あたりの伝送速度がN(baud/s)の場合、前記フィルタの中心周波数がNであり、
前記制御部は、前記位相差データ生成部が抽出した前記電気信号の所定の周波数成分が最大値となるように前記第1変調器及び前記第2変調器を制御することで、前記第1変調器からの信号と前記第2変調器からの信号の位相差をなくし、前記位相差データ生成部が抽出した前記電気信号の所定の周波数成分が最小値となるように前記第1変調器及び前記第2変調器を制御することで、前記第1変調器からの信号と前記第2変調器からの信号とが180度の位相差とする
ことを特徴とする付記4に記載の光送信器。
【0135】
(付記8)前記第1変調器及び前記第2変調器における1信号あたりの伝送速度がN(baud/s)の場合、前記フィルタの中心周波数がN/2(Hz)であり、
前記制御部は、前記位相差データ生成部が抽出した前記電気信号の所定の周波数成分が最大値となるように前記第1変調器及び前記第2変調器を制御することで、前記第1変調器からの信号と前記第2変調器からの信号の位相差をなくす
ことを特徴とする付記4に記載の光送信器。
【0136】
(付記9)前記第1変調器及び前記第2変調器における信号の伝送速度がN(baud/s)の場合、前記フィルタの中心周波数がN/4(Hz)であり、
前記制御部は、前記位相差データ生成部が抽出した前記電気信号の所定の周波数成分が最小値となるように前記第1変調器及び前記第2変調器を制御することで、前記第1変調器からの信号と前記第2変調器からの信号とが180度の位相差とする
ことを特徴とする付記4に記載の光送信器。
【0137】
(付記10)前記第1変調器及び前記第2変調器における信号の伝送速度がN(baud/s)の場合、前記フィルタの中心周波数がN/8(Hz)であり、
前記制御部は、前記位相差データ生成部が抽出した前記電気信号の所定の周波数成分が最大値となるように前記第1変調器及び前記第2変調器を制御することで、前記第1変調器からの信号と前記第2変調器からの信号とが180度の位相差とする
ことを特徴とする付記4に記載の光送信器。
【0138】
(付記11)前記位相差データ生成部は、前記フィルタにより抽出された所定の周波数成分の電気信号を増幅する増幅器を備えることを特徴とする付記3乃至付記10のいずれか一つに記載の光送信器。
【0139】
(付記12)前記第1変調器及び前記第2変調器へ光を入力する光源をさらに備え、
前記制御部は、前記光源の変動の割合と前記電気信号の所定の周波数成分の値の変動の割合とを比較し、前記光源の変動の割合が前記電気信号の所定の周波数成分の値の変動の割合と一致しない場合に、前記位相差データに基づく前記第1変調器及び前記第2変調器における位相調整の制御を行う
ことを特徴とする付記1乃至付記11のいずれか一つに記載の光送信器。
【0140】
(付記13)前記第1変調器及び前記第2変調器へ光を入力する光源と、
前記光源が出力する光の出力値が一定になるように制御する制御回路と
をさらに備えることを特徴とする付記1乃至付記12のいずれか一つに記載の光送信器。
【0141】
(付記14)前記制御部は、
前記第1変調器及び前記第2変調器の位相調整に用いるデータに所定の遅延を与えるDFFと、
前記DFFに入力されるクロックへ遅延を与える可変遅延回路と
を備えることを特徴とする付記1乃至付記13のいずれか一つに記載の光送信器。
【0142】
(付記15)前記制御部は、前記第1変調器及び前記第2変調器の位相調整に用いるデータに所定の遅延を与えるDFFを有し、
前記DFFは、予め決められた所定の電圧であるリファレンス電圧と前記電気信号の所定の周波数成分の電圧との比較結果を基に前記データに所定の遅延を与える
ことを特徴とする付記1乃至付記14のいずれか一つに記載の光送信器。
【0143】
(付記16)第1変調器から出力された信号と第2変調器から出力された信号とを合波し多重信号を生成して送信する第1の信号合成ステップと
前記多重信号を基に、前記第1変調器から出力された信号と前記第2変調器から出力された信号との位相差に対応した位相差データを生成する位相差データ生成ステップと、
前記位相差データに基づいて前記第1変調器及び前記第2変調器における位相調整の制御を行う制御ステップとを備え、
前記信号合成ステップから前記制御ステップまでを繰り返すことを特徴とする光送信器制御方法。
【符号の説明】
【0144】
1 光送信器
11 第1変調器
12 第2変調器
13 合成部
14 位相差データ生成部
15 制御部
16 光源
17 偏波分離部
18 光源制御回路
141 フォトダイオード(PD)
142 バンドパスフィルタ(BPF)
143 増幅器
150 制御回路
151 第1タイミング回路
152 第2タイミング回路
153 第3タイミング回路
154 第4タイミング回路
155 アンプ
157 クロック発生部
511 DFF
512 DFF
513 DFF
514 正転/反転切替部
515 可変遅延器
516 正転/反転切替部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1信号の位相調整を行う第1変調器と、
第2信号の位相調整を行う第2変調器と、
前記第1変調器から出力された信号と前記第2変調器から出力された信号とを合波し多重信号を生成して送信する合成部と
前記多重信号を基に、前記第1変調器から出力された信号と前記第2変調器から出力された信号との位相差に対応した位相差データを生成する位相差データ生成部と、
前記位相差データに基づいて前記第1変調器及び前記第2変調器における位相調整の制御を行う制御部と、
を備えたことを特徴とする光送信器。
【請求項2】
前記多重信号が偏波多重信号であることを特徴とする請求項1に記載の光送信器。
【請求項3】
前記位相差データ生成部は、
前記多重信号を電気信号に変換するフォトダイオードと、
前記位相差データとして前記電気信号の所定の周波数成分を抽出するフィルタと
を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光送信器。
【請求項4】
前記フィルタは所定の中心周波数及び所定の透過帯域幅の組み合わせを有するバンドパスフィルタであることを特徴とする請求項3に記載の光送信器。
【請求項5】
前記第1変調器及び前記第2変調器における1信号あたりの伝送速度がN(baud/s)の場合、前記フィルタの中心周波数がN/n(Hz)(nは1、2、4又は8)であることを特徴とする請求項4に記載の光送信器。
【請求項6】
前記制御部は、前記位相差データ生成部が抽出した前記電気信号の所定の周波数成分が最大値又は最小値となるように前記第1変調器及び前記第2変調器を制御する
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の光送信器。
【請求項7】
前記第1変調器及び前記第2変調器における1信号あたりの伝送速度がN(baud/s)の場合、前記フィルタの中心周波数がNであり、
前記制御部は、前記位相差データ生成部が抽出した前記電気信号の所定の周波数成分が最大値となるように前記第1変調器及び前記第2変調器を制御することで、前記第1変調器からの信号と前記第2変調器からの信号の位相差をなくし、前記位相差データ生成部が抽出した前記電気信号の所定の周波数成分が最小値となるように前記第1変調器及び前記第2変調器を制御することで、前記第1変調器からの信号と前記第2変調器からの信号とが180度の位相差とする
ことを特徴とする請求項4に記載の光送信器。
【請求項8】
前記第1変調器及び前記第2変調器へ光を入力する光源をさらに備え、
前記制御部は、前記光源の変動の割合と前記電気信号の所定の周波数成分の値の変動の割合とを比較し、前記光源の変動の割合が前記電気信号の所定の周波数成分の値の変動の割合と一致しない場合に、前記位相差データに基づく前記第1変調器及び前記第2変調器における位相調整の制御を行う
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一つに記載の光送信器。
【請求項9】
前記第1変調器及び前記第2変調器へ光を入力する光源と、
前記光源が出力する光の出力値が一定になるように制御する制御回路と
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一つに記載の光送信器。
【請求項10】
第1変調器から出力された信号と第2変調器から出力された信号とを合波し多重信号を生成して送信する第1の信号合成ステップと
前記多重信号を基に、前記第1変調器から出力された信号と前記第2変調器から出力された信号との位相差に対応した位相差データを生成する位相差データ生成ステップと、
前記位相差データに基づいて前記第1変調器及び前記第2変調器における位相調整の制御を行う制御ステップとを備え、
前記信号合成ステップから前記制御ステップまでを繰り返すことを特徴とする光送信器制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13−1】
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【図13−2】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−250097(P2011−250097A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−120643(P2010−120643)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】