説明

光透過性素材を用いた電光表示付きドア機構

【課題】光透過性素材を用いた電光表示付きドア機構に関し、特に、発光装置および制御装置を備えたドア機構であって、使用状態の確認が容易であるとともに美観を有し、安全性の高い光透過性素材を用いた電光表示付きドア機構を提供する。
【解決手段】ドアパネルと、袖パネルと、からなるドア機構において、前記ドアパネルまたは袖パネルは、芯材となる枠体の表面と裏面にそれぞれ薄板を装着した構成からなり、表面材が半透明又は不透明な光透過性素材によって形成されるとともに、ドアパネルまたは袖パネルの表面薄板の裏側に、ドアパネルまたは袖パネルの外部から透過した光が可視状態となる間隔で内設された発光装置と、前記人工大理石からなる表面薄板と前記発光装置の間に挿入される図形および/または文字形の孔が形成された表示板と、前記発光装置を制御する制御装置と、を備えることを特徴とする光透過性素材を用いた電光表示付きドア機構である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光透過性素材を用いた電光表示付きドア機構に関し、特に、トイレ等の個室において使用されるドアパネルおよび/または袖パネルの表面が光透過性素材の薄板により形成されていて、在室状態を内部に装設された発光装置によりドアパネルおよび/または袖パネルの表面に文字または図形を電光表示する電光表示付きのドア機構に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、トイレでは、使用されている状態であるか否かをドアノブ付近に設けられたドアロック構造を利用して表示することにより判別している。この構造では、ドアの正面に立った状態であっても、通常、目線の下に表示されているためトイレの使用状態を確認し難く、その他の角度ではさらに視認し難いことから、ドアの開閉状態によって使用、不使用状態が確認されることが多い。
混雑時には、特に使用状態を確認し難いだけではなく、待つ間の時間が長くなっても何も出来ない状態であるため使用者に不快な気分を与えていた。
また、誰でも使用できることから、近年、安全面についても従来以上に注意が向けられており、混雑時以外でも安心して使用できるトイレの改良が必要とされている。
【0003】
公共用のトイレでは、特に使用頻度の高いことから、ある程度重量のある丈夫なドアが求められている。ドアの開閉も頻繁に行われることから扉に重量を持たせて重心を安定させることで、長期の使用によるガタツキを防ぐように強度を持たせることも求められており、重量により強度に加えて外観に高級感を与える効果もあるため、重量のあるドアパネルの使用が好ましいが、重量の増加に伴い費用が高くなるという問題があった。
コストを考慮した設計では、木製のドアは安価で加工しやすいという利点があるが、耐久性の上で問題があるとともに、装飾性が乏しく、高級感が得られ難いという問題がある。また、アルミ等の金属製のドアもコストを抑えることは可能であるが、重厚さを欠き、ガタツキ等の耐久性にも問題がある。
【0004】
さらに、使用者が多いことから汚れやすく、清掃がし易いことや清潔に保ち易い構造である等、衛生面の問題も重要な課題となっている。
【0005】
そのため、トイレの使用状態の確認が容易であって、トイレの使用中のみだけではなく、待ち状態を快適にすることが可能であって、セキュリティー機能の充実した高品質なトイレブースが求められていた。
【0006】
また、近年ではトイレブース以外に、個室の空間を重視した建築物やサービスが増加している。そのような施設においてもドア構造の耐久性とともに安全面の強化は重要な課題であり、個室においても部屋の在室状態の確認が容易であって、安心して使用できるスペースを提供できる構造が望まれていた。
【0007】
そのため、ある程度重量があって耐久性を有しながら、安価に生産できるとともに、美観を有するドアの開発が求められており、抗菌性等、衛生面にも優れていながら清掃が容易なドア構造の開発が望まれていた。
【0008】
【特許文献1】特開2001−234680号公報
【特許文献2】特開2006−257699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題を解決するために、光透過性素材を用いた電光表示付きドア機構に関し、特に、発光装置および制御装置を備えたドア機構であって、使用状態の確認が容易であるとともに美観を有し、安全性の高く衛生面に優れた光透過性素材を用いた電光表示付きドア機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る光透過性素材を用いた電光表示付きドアは、ドアパネルと、袖パネルと、からなるドア機構において、前記ドアパネルまたは袖パネルは、芯材となる枠体の表面と裏面にそれぞれ薄板を装着した構成からなり、表面材が半透明又は不透明な光透過性素材によって形成されるとともに、ドアパネルまたは袖パネルの表面薄板の裏側に、ドアパネルまたは袖パネルの外部から透過した光が可視状態となる間隔で内設された発光装置と、前記人工大理石からなる表面薄板と前記発光装置の間に挿入される図形および/または文字形の孔が形成された表示板と、前記発光装置を制御する制御装置と、を備える構造である。
【0011】
また、前記電光表示付きドア機構は、前記袖パネルと前記ドアパネルとの間にロック機構を兼ねたスイッチが設けられている構造である。また、前記ドア機構は、前記袖パネルまたは前記ドアパネルに人体検知センサが設けられている構造である。さらに、前記発光装置の光源は、LEDである電光表示付きドア機構である。
【0012】
また、前記光透過性素材の薄板は人工大理石であり、前記人工大理石は、厚さが4mm以上、6mm以下である。また、前記表示板は、厚さが10mm以上、12mm以下である電光表示付きドア機構でもある。
さらに、前記ドア機構は、スイッチ機構を備えた音声を発生するスピーカを備える構造でもある。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る光透過性素材を用いた電光表示付きドア機構は、上記詳述した通りの構成であるので、以下のような効果がある。
1.通常の状態では文字や図形の表示はないが、使用状態となって電源が入ると発光装置により使用状態が表面に電光表示されるので認識し易く、制御装置で発光を制御することにより発光装置による表示を変更することも可能であり、待ち時間による不快な気分を和らげることができる。また、ドア機構に光透過性素材を使用することにより装飾性が向上し、変化に富んだドアを提供することが出来る。
2.ドアパネルと袖パネルに装着されたスイッチにより、ドアの開閉に伴い発光および/または電子音を制御し、切替えを適切に行うことが出来る。
3.センサによって容易に個室における在室状態を判別してスイッチの切替えを行うことが出来る。
【0014】
4.LEDを使用することで消費電力の節減にもなり、薄板のパネルの表面に適度な光の透過を与えることができるとともに表現方法が多様化でき、美観が飛躍的に向上する。
5.光透過性の薄板に人工大理石を用いることにより耐久性が向上し、コストを抑えながら重量感と美観を備えたドア機構とすることが可能である。また、抗菌性が高く衛生面にも優れ、清掃も容易な電光表示付きドア機構とすることが出来る。
6.人工大理石の厚さを6mm以下とすることで、適切な発光強度で表示図形をドアに表示することが可能である。
7.表示板に適度な厚みがあるため、光が穏やかで装飾模様を美しくドアパネルまたは袖パネル表面に表示することが出来る。
8.スピーカからの音を発生可能することにより、非常時には警告音を発生させて安全性を高めることが可能である。また、スピーカ音を制御して通常時には使用する音を変更することにより、通常使用時の快適性を向上させることが可能であって、使用待ち状態の不快感も緩和することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る光透過性素材を用いた電光表示付きドア機構を図面に示す実施例に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る電光表示付きドア機構の実施例を示す斜視図であり、図2は本発明に係る電光表示付きドア機構の断面図であり、図3は本発明に係る表示板の一例であり、図4は本発明に係る電光表示付きドア機構のロック機構スイッチとスピーカを示す斜視図であり、図5は本発明に係る電光表示付きドア機構の表示模様と発光パターンの例を示す正面図である。
本発明の光透過性素材を用いた電光表示付きドア機構10は、ドアパネル20と、袖パネル30と、ヒンジ部40と、からなる構成である。
【0016】
ドアパネル20は、図1に示すように、袖パネル30にヒンジ部40によって開閉自在に枢着されている。
ドアパネル20は、芯材となる枠体の表面52と裏面54に薄板を装着した構成であり、表面52および/または裏面54は表面材が半透明又は不透明な光透過性素材の薄板50によって形成されている。また、ドアパネル20の内部、特に光透過性素材の薄板の表面52の裏側に、図2の断面図に示すように、ドアパネル20の厚さの範囲内で表示板60と、発光装置70と、制御装置80とが内設されている構造である。
本実施例ではドアパネル20と袖パネル30はヒンジ部40により枢着する構造となっているるが、ヒンジ部を設ける必要は無く、ドアパネルがスライドして開閉するドア構造であってもよい。
【0017】
本実施例ではドアパネル20を表面52及び裏面54を表面材が半透明又は不透明な光透過性素材の薄板50によって形成した内部空洞の扉としているが、表面だけを光透過性素材とすることも可能である。パネルに用いる光透過性素材の薄板にはドア内部構造が隠蔽可能な薄板が用いられる。材料は限定されるものではなく、発光装置70の消灯時に薄板内部構造を隠蔽し、点灯時に電光表示模様を透過表示するものであればよい。消灯時にドア内部構造が視認されずに表面の薄板のみが視認され、発光装置の点灯により透過された光がパネルに映し出される構造である。本実施例では光透過性素材の薄板に人工大理石を用いている。人工大理石を用いることで耐久性と抗菌性を具え、より装飾性の高いパネルとすることが出来る。
また、ドアパネルおよび/または袖パネルの内部に小口材となる木材等を設けて外表面を人工大理石等の光透過性素材の薄板によって形成する構造とすることも可能である。この場合、小口材の一部に切欠部を設けて、切欠部に表示板、発光装置、制御装置をそれぞれ内設装備する構成である。小口材を設けることで、耐久性が向上するとともにドアパネル20を適度な重量に設定することが可能である。
【0018】
ドアパネルを構成する人工大理石の薄板50の厚みは限定されるものではなく、点灯時に発光装置の光を透過して表面に映し出すことができる厚さであればよいが、厚さが4mm以上、6mm以下の薄板により形成されることがより好ましい。少なくともドアパネルの表面52は薄板の人工大理石により形成されるが、ドアパネルの表面、裏面だけではなく、側面を全て人工大理石で形成することで、美観が統一され、より美しい外観を伴ったドアパネルとすることが出来る。また、ドアパネル20と合わせて袖パネル30の外表面も全て人工大理石により形成する構造とすることで美観を向上することも出来る。
人工大理石を使用するのはパネルの外表面だけであるため、コストを抑えることが可能である。また、汚れやすい外表面が人工大理石により形成されているので抗菌性が高く、清掃し易い構造であり、衛生面にも優れている。
【0019】
表示板60は、ドア表面に表示させる図面、記号、文字表示等の表示模様62が表記若しくは孔に穿設された板状体である。表示板60は表面の人工大理石の薄板52と、発光装置70との間に配置され、発光装置70により発光された光が、制御装置80によって制御されながら表示板60に表された表示模様62を人工大理石の表面52に透過表示する構造である。
【0020】
表示板60は図3に示すように、切抜部64と板部66とからなり、表示模様62は、板体に孔を形成するように切り抜きした切抜部64により表されている。表示模様62には複数の図形や文字等の図柄を切抜表示することが出来る。図3に示す例では、表示板60に菖蒲模様が切抜表示されている。表示板60には少なくとも1つ以上の図形、文字が孔によって形成されることにより切抜表示されており、複数の図形、文字等は発光装置70及び制御装置80によりそれぞれの図柄を順に表示させる構成とすることができる。
表示板60の素材は木材を使用することができるがこれに限定されない。樹脂素材や人工大理石とすることも可能である。切抜部64から発光装置による光を透過して、板部66により光を遮断できるものであればよい。また、表示板60の厚さは限定されないが、厚さが10mm以上、12mm以下の表示板を用いることが好ましい。光源と表示面との間に一定距離を採ることで、光源72からの光が適度に拡散され、人工大理石の表面52に美しく表示することが出来る。また、本実施例では表示板60をドアロック近辺のドアパネル内部に装着し、ドアパネル20の一部に表示模様が透過されるように構成されているが、表示板60の大きさはドアパネル内部に設置できる大きさであればよく、ドアパネル全面にわたって表示模様を透過して表示させる構造とすることも可能である。
【0021】
発光装置70は、人工大理石50の背面に装備されて表示板60の表示図面、表示記号・文字等を光によって人工大理石50を透して表示させる装置である。発光装置70は表面52の人口大理石と間隔を置いてドアパネルに内設される。表示板60の幅を調節することにより発光装置70の光がドアパネル外部から可視状態となるように適度な間隔を設けて内設する。
発光装置70は基板74と光源72とからなる。基板74は表示板60と略同じ大きさに形成されており、図2に示すように、表示板60の切抜模様に合わせて光源72が配置されている。また、基板上に均一に光源72を配置し、切抜模様に合わせて発光させる構造としてもよい。発光装置70の光源72から発生した光は、人工大理石50を透過して、平滑な人工大理石表面52に間接的に図柄を表示させる。このため、常態では外面に表われていない文字図形が電光表示されるので美観を大きく向上させる効果がある。
【0022】
本実施例では、発光装置70である光源72にLEDを使用している。LEDを用いることにより、安価で低い消費電力で寿命も長く、大きな光エネルギーを得ることが出来る。薄板の人工大理石に裏面から変化に富んだ色彩を透過表示するので美しく映し出すことが出来る。また、表示板60の図柄に合わせて複数の色を発光する光源を用いることが可能である。光源72はLEDに限られず、光を照射するものであればLEDの他に小型の電球、有機EL光源や半導体レーザなどのように、高出力で指向性の良い光源を用いることも可能であり、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【0023】
また、光源72の色や光度、照度等は限定されるものではなく、表面の人工大理石に表示する表示模様62により適宜選択することが可能である。例えば、表示模様62を明確に表示する場合には、光度の高い光源を用いる事が可能であり、照度を抑えて表示模様62に暈しを入れる事や、これらを組み合わせる事も可能である。
図3に示す表示例では、切抜部64aを紫色、青色等に、切抜部64bを緑色等に発光させることにより、菖蒲模様を美しく表示する構成である。また、時間とともに色及び輝度を変更する構成とすることも可能である。
【0024】
制御装置80は、発光装置70の発光を制御する装置である。発光装置70の基板74の近傍に装着され、基板74に装備されたそれぞれの光源72の点灯・消灯順序、点灯・消灯時間、光度等を制御する。制御装置80は発光装置の基板74に装備する構成とすることも可能である。制御装置80により、発光装置の光を点灯、点滅、消灯させたり、多種の発光色を使用することにより、ドアパネル表面52に透過して表示される文字・記号を含む図柄模様を時間とともに変更する事が出来る構成である。
【0025】
発光装置70および制御装置80は、外部電源または二次電池により作動する構造である。二次電池または外部電源の設置位置は限定されず、例えば、制御装置または基板の近辺に設ける構造とすることが可能である。光源にLEDを使用することにより二次電池を使用しながら長時間の使用が可能である。
【0026】
図5に使用時における表示模様62の発光パターンの一例を示す。図5に示す実施例では、表示板60に花の図形と「使用中」の文字が切抜きされている。
使用時には、最初に図5(a)に示すように、表示板に表された花図形の花弁部位の光源72が発光してドアパネル表面52に表示される。次に、図5(b)に示すように、花図形の茎と葉の部位に当たる光源72が発光する。その後、花の図形の裏面側にある光源72が全て点滅する構成である。また、(a)〜(c)の間、「使用中」の文字部位に当たる光源72は点灯した状態を維持している。
【0027】
本実施例では、ドアパネル内部に表示板、発光装置、制御装置を設けているが、同様に、表面を人工大理石等の透過性素材で形成した袖パネルの内部に設ける構成とすることも可能である。袖パネルもドアパネルと同様に人工大理石の厚さを4mm以上、6mm以下の薄板とすることで、発光装置の光を美しく透過することができる。ドア機構を固定された袖パネル30に設けることで、開閉による故障の心配がなく、耐久性の向上を図ることができる。また、取り付け作業もし易いという利点がある。また、ドア機構をドアパネル側に装着する事により、ドアパネルを交換することで、既存のトイレ施設や一般家庭においても容易に本発明のドア機構を使用することが可能である。
本実施例では、ドアパネル20と袖パネル30に同厚のパネルを用いているが、厚さの異なるパネルを使用する構造とすることが可能である。
【0028】
さらに、ドアパネル20と袖パネル30の両方に表示板、発光装置、制御装置を備える構造とすることも可能である。この場合、制御装置80をドアパネル20または袖パネル30の一方に装設する構造とし、一つの制御装置によりドアパネルと袖パネルの制御を連動して行うことも可能である。
【0029】
本発明は何も表示されていない平滑な薄板からなるドアパネル20および/または袖パネル30に図形や文字が突然表示され、表示される図柄が変更する構造に特徴があり、表示される図柄とその変化によりトイレの使用状態が容易に視認できる構造である。例えば、使用されている状態と、使用されていない状態で、ドアパネルに表示された図形・文字が変更する構成や、装飾模様の色彩や点灯状態が変更することで、利用者が図形を明確に認識できなくても使用状態が容易にわかるようにすることが出来る。
本実施例では、トイレが使用されている状態では、表示板60に表された模様が点灯及び点滅して人工大理石表面52に表示され、使用が終わると消灯する構成となっている。ドアパネルおよび/または袖パネルに表示される表示模様が変化するため、使用状態の視認を確実にするだけではなく、トイレ利用者の気分転換やリラックスする効果が期待でき、混雑時に待ち時間が長い為に起こる不満や不快感を緩和する効果も期待できる。
【0030】
さらに、図4に示すように、ドアパネル20と袖パネル30との間にロック機構を兼ねたロック機構兼用スイッチ90を装備した構造とすることができる。ロック機構兼用スイッチ90は制御装置80と連動しており、ドアパネル20に設けられたドアロックの施開錠によりスイッチをON、OFFさせて制御装置80を作動、停止する構成である。スイッチは必ずしもドアのロック機構と連動する構成である必要はない。
この実施例では、トイレ使用時にドアパネル20をロックすることにより、ロック機構兼用スイッチ90がONになり、制御装置が作動し、発光装置70のそれぞれの光源72が順に点灯を開始し、ドアパネルの表面52に表示板60の表示模様の表示が開始される。また、ドアロックを開錠すると、ロック機構兼用スイッチ90がOFFになり、制御装置の動作が終了して発光装置の光が消灯する。
【0031】
また、センサによりスイッチのON、OFFを行う構造とすることもできる。ドア機構にセンサとして人体検知センサ(図示しない)を設けることにより、ロック機構によらず、室内の人体の有無の検知により確実かつ容易に在室状態を判別することができる。センサは制御装置と連動するようにドア機構の裏面側に装備され、人体を検知して検知信号が入力されると制御装置が作動する構造である。
【0032】
また、制御装置80により、ドアパネル20がロックされていない状態であっても、ドアパネル20に使用時と表示図柄を変えて発光装置70の点灯状態が持続する構成とすることも可能である。この場合、ロック機構兼用スイッチ90により、発光装置70の点灯・点滅・消灯パターンの切り替えを行う。
【0033】
さらに、ドアパネル20にスピーカ94等の音声発生装置を別に装備するドア構造とすることも可能である。本実施例では、スピーカ94はドアパネル20の裏面54に設置されているが、スピーカの位置は裏面54に限られない。ドアパネルの表面52や、袖パネル30に設置する構造とすることも可能である。例えば、制御装置80または基板72と一体となるように設置することも可能であり、図2に示すように、スピーカ部を袖パネルの人工大理石裏面側に設置する構造とすることも可能である。また、スピーカの後方に空間を設けて平面のパネル面にスピーカを設けることでバッフル効果も期待できる。
【0034】
スピーカ94は数種類の音声を発生することが可能であり、制御装置80により制御される。スピーカ94はロック機構兼用スイッチ90により作動する構成とすることが可能であり、ドアパネル20の施錠によりスイッチがONになり音声が自動で開始する。また、人体検知センサにより作動する構成とすることも可能である。センサによる検知信号により音声が開始する。さらに、図4に示すように、ロック機構兼用スイッチ90または人体検知センサとは別にスイッチ機構96を設けて作動する構成とすることも可能である。一例として、ドアパネルの裏面54に設けられたスピーカ94に隣接してスイッチ機構96を設けて、手動により作動を開始する構成とすることが出来る。また、手動によるスイッチ機構により、使用者が音声を消すことも可能である。また、ロック機構兼用スイッチ90または人体検知センサにより自動で発生した音声を、手動によってスイッチ機構96を作動することにより他の音声へ切り替えたり、音声を停止することが可能な構造とすることも出来る。
【0035】
スピーカ94から発生する音声は、滝の音・鳥の声等の擬音や音楽、警告音等、複数の中から選択することが可能である。緊急時・非常時には手動のスイッチ機構により警告音を発生する構成とすることでセキュリティー機能を高めることも出来る。また、スピーカ94の音声と発光装置70とを制御装置80によって連動して作動することにより、表示効果を高めることが出来る。ドアパネルや袖パネルに表示される図柄の変化による使用状態の視認に加え、音声を変化させることにより聴覚によってトイレの使用状態を確認することが容易にでき、安全性の高く、使用者が快適に利用できるドア機構を提供することが出来る。
【0036】
実施例では本発明の電光表示付きドア機構をトイレブースに装備しているが、トイレブースに限らず、個室のドア構造に用いることも可能である。個室のドアに設けたロック機構兼用スイッチや、室内の人の有無を検知する人体検知センサにより制御装置を作動させて発光を開始し、在室状態を容易に確認でき、装飾性の高いドア機構を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る電光表示付きドアの斜視図。
【図2】本発明に係る電光表示付きドアの断面図。
【図3】本発明に係る表示板の一例を示す斜視図。
【図4】本発明に係る電光表示付きドアのロック機構スイッチとスピーカを示す斜視図。
【図5】本発明に係る電光表示付きドアの表示模様と発光パターンの例を示す正面図。
【符号の説明】
【0038】
10 電光表示付きドア機構
20 ドアパネル
30 袖パネル
40 ヒンジ部
50 薄板
52 表面
54 裏面
60 表示板
62 表示模様
64 切抜部
66 板部
70 発光装置
72 光源
74 基板
80 制御装置
90 ロック機構兼用スイッチ
94 スピーカ
96 スイッチ機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアパネルと、袖パネルと、からなるドア機構において、
前記ドアパネルまたは袖パネルは、芯材となる枠体の表面と裏面にそれぞれ薄板を装着した構成からなり、表面材が半透明又は不透明な光透過性素材によって形成されるとともに、ドアパネルまたは袖パネルの表面薄板の裏側に、ドアパネルまたは袖パネルの外部から透過した光が可視状態となる間隔で内設された発光装置と、前記人工大理石からなる表面薄板と前記発光装置の間に挿入される図形および/または文字形の孔が形成された表示板と、前記発光装置を制御する制御装置と、を備えることを特徴とする光透過性素材を用いた電光表示付きドア機構。
【請求項2】
前記電光表示付きドア機構は、前記袖パネルと前記ドアパネルとの間にロック機構を兼ねたスイッチが設けられていることを特徴とする請求項1記載の光透過性素材を用いた電光表示付きドア機構。
【請求項3】
前記ドア機構は、前記袖パネルまたは前記ドアパネルに人体検知センサが設けられていることを特徴とする請求項1記載の光透過性素材を用いた電光表示付きドア機構。
【請求項4】
前記発光装置の光源は、LEDであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光透過性素材を用いた電光表示付きドア機構。
【請求項5】
前記光透過性素材の薄板は人工大理石であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光透過性素材を用いた電光表示付きドア機構。
【請求項6】
前記人工大理石は、厚さが4mm以上、6mm以下であることを特徴とする請求項5記載の光透過性素材を用いた電光表示付きドア機構。
【請求項7】
前記表示板は、厚さが10mm以上、12mm以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光透過性素材を用いた電光表示付きドア機構。
【請求項8】
前記ドア機構は、スイッチ機構を備えた音声を発生するスピーカを備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光透過性素材を用いた電光表示付きドア機構。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−121392(P2010−121392A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297764(P2008−297764)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(593141768)六興商事株式会社 (2)
【Fターム(参考)】