光通信の改良または光通信に関連した改良
【課題】周知の構成の限界を部分的にせよ少なくとも克服するような、WDM用の信号フォーマットを提供すること。
【解決手段】複数n本のデータ・ストリームを伝送するための方法により、差分M位相偏移変調(DMPSK)信号(M=2n)を用いて光搬送波を変調する。本発明により、好適にn=2のとき差分4位相偏移変調を用いる。本発明の主な長所は、データが位相の絶対値によってではなく位相変化の形で差分的に符号化されるため、位相同期した局地的なオシレータを必要とすることなく変調された光搬送波が直接検出によって復調される点にある。本発明は、特にWDM通信システムに用いることができる。
【解決手段】複数n本のデータ・ストリームを伝送するための方法により、差分M位相偏移変調(DMPSK)信号(M=2n)を用いて光搬送波を変調する。本発明により、好適にn=2のとき差分4位相偏移変調を用いる。本発明の主な長所は、データが位相の絶対値によってではなく位相変化の形で差分的に符号化されるため、位相同期した局地的なオシレータを必要とすることなく変調された光搬送波が直接検出によって復調される点にある。本発明は、特にWDM通信システムに用いることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信、とりわけ光搬送波を変調および復調するための方法に関する。特に本発明は、波長分割多重(WDM)方式の光通信システム用に、斯かる変調および復調を用いる装置ならびに方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2地点間(point−to−point)情報伝達の根幹として光増幅型高密度波長分割多重(DWDM:dense wavelength division multiplex)光リンクの進みつつある開発、各波長に割り当てられるビットレートの同時的な増加、そしてチャンネル数の同時的な増加にともない、従来のエルビウム添加光増幅器(EDFA:erbium−doped optical amplifier)のエルビウム利得ウィンドの幅が有限であることが、将来さらに増加する容量に対して重大な障害になる可能性がある。従来のEDFAは、4.4THzのスペクトル幅に対応する35nmの利得帯域幅を有している。数Tbit/sのシステムを実証することは既に現実的なものであるし、bit/s/Hzの値によって特徴付けられるようなスペクトル効率を真剣に考えるべき時期にきている。現在、高速光伝送には、単一のシンボルレベル(single symbol level)を有する光パルスの形でデータが伝送されるような、非ゼロ復帰(NRZ:non−return−to−zero)またはゼロ復帰(RZ:return−to−zero)のいずれかの信号フォーマット(signalling format)を用いた2値振幅変調(binary amplitude keying)が採用されている。
WDM(波長分割多重)では、幾つかの要因によって2値振幅信号のための最小チャンネル間隔が制限され、実際にはスペクトル効率が約0.3bit/s/Hzに限定される。チャンネルあたりのビットレートを増やすとシステム装備が軽減される傾向にはあるものの、10Gbit/sを超えるビットレートでの伝送には、幾つも克服しなければならない問題が存在している。すなわち、
・ 光ファイバリンクの分散の取り扱い(これは、ビットレートが増加するにつれてますます難しくなる);
・ 光ファイバ内の偏光モード分散(Polarization Mode Dispersion:PMD)によって引き起こされる信号劣化の増大;
・ 多重化、分離化、および変調器駆動用の電子コンポーネントの実現化の困難性の増大;
である。
【0003】
スペクトル効率を改善することができる技術として提案されたものは、4位相偏移変調(quaternary phase shift keying:QPSK)を用いるというものである(S. Yamazaki and K. Emura,(1990) ”Feasibility study on QPSK optical heterodyne detection system”, J. Lightwave Technol., vol. 8, pp. 1646 − 1653 参照)。この光QPSKにおいては、送信機レーザによって生成される光の位相は、単一の位相変調器(phase modulator:PM)を用いて、この位相変調器を4レベルの電気信号によって駆動することで4つのデータ状態を表す0,π/2,π,3π/2の位相シフトを生成するか、あるいは、0又はπ/2、ならびに0又は3π/2の位相シフトをそれぞれ生成する2つの連結された位相変調器を用いるかのいずれかによって変調される。QPSKの主たる欠点は、変調器の位置に、送信機レーザと光学的に位相同期(フェーズロック)した局地的なレーザが復調用に必要になることである。このために、通常、キャリア(搬送波)位相リカバリシステムが必要になる。WDMシステムに対してであれば、波長チャンネル毎にフェーズロック(位相同期)レーザが必要になろう。その上、位相(フェーズ)リカバリシステムと組み合わされることで最高度に複雑になる適応偏光制御を要する。しかも、コヒーレントな局地レーザを要するシステムは、光学的なカー非線形性(optical Kerr non−linearity)によって引き起こされる光ファイバ内の相互位相変調(cross−phase modulation:XPM)に敏感で、これが大容量DWDM伝送への応用を厳しく制限している。
これまで、差分2位相偏移変調(differential binary phase shift keying :DBPSK)を用いることも提案されてきた(M. Rohde et al (2000) ”Robustness of DPSK direct detection transmission format in standard fibre WDMsystems”, Electron. Lett., vol. 36参照)。DBPSKにおいてデータは、0又はπの位相変化の形で符号化されるが、このときの位相値は、先行するシンボル周期にわたる搬送波の位相に依存する。一つのアーム内での遅れがシンボル周期に等しいマッハ・ツェンダ干渉計が光信号を復調するのに用いられる。DBPSKは、受信側にフェーズロックレーザを必要としないものの、従来の振幅NRZ信号に比べてなんら際立った利点をもたらすものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平03−179939号公報
【特許文献2】特開2000−092001号公報
【特許文献3】特開昭63−086608号公報
【特許文献4】特開昭63−001220号公報
【特許文献5】特開平03−174503号公報
【特許文献6】特開平05−333223号公報
【特許文献7】特開平11−331089号公報
【特許文献8】特開昭63−052530号公報
【特許文献9】特開平10−013342号公報
【特許文献10】特開昭64−007727号公報
【特許文献11】特開昭64−005127号公報
【特許文献12】特開2000−106543号公報
【特許文献13】特開平11−220443号公報
【特許文献14】特開2000−059300号公報
【特許文献15】特開2000−151505号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Richard Gross 他,Optical DQPSK Video System with Heterodyne Detection,PHOTONICS TECHNOLOGY LETTERS,米国,IEEE,1991年 3月,Vol.3, No.3,p.262-264
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、周知の構成の限界を部分的にせよ少なくとも克服するような、WDM用の信号フォーマットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、複数n本のデータ・ストリームを伝送する方法は、差分M位相偏移変調(differential M−ary phase shift key:DMPSK)信号(ここでM=2n)を用いて光学的キャリア(光搬送波)を変調する工程を含んでいる。本方法は、n=2である差分4位相偏移変調を用いる工程を含んでいることが好ましい。本発明に係る方法の主たる長所は、データが位相の絶対値ではなく位相の変化の形で差分的に符号化されるため、フェーズロックされた局地的な光学的オシレータを要することなく、直接検出を行なえば、変調された光搬送波を復調できる点にある。
【0008】
本発明は、特にWDM通信システムに用いられ、本発明の第2の観点によれば、光波長分割多重通信システムは、上記方法によって変調される光波長チャンネルに特徴を有している。波長チャンネルの離隔距離を減らすことによってスペクトル効率を改善するには、DMPSK変調された波長チャンネルを多重化してWDM信号を生成する前に、これらの波長チャンネルをそれぞれ光学的にフィルタリングするための光学的フィルタリング手段をさらに上記WDMシステムが備えていることが好ましく、このとき、この光学的フィルタリング手段は、各符号に対するサンプル時における符号間干渉を低減するように選ばれる特性を有している。光学的フィルタリング手段は、2乗レイズドコサイン(squared raised−cosine)形であるという特徴を備えていることが好ましい。好適には、フィルタリング手段(フィルタ手段)は、以下の式で与えられる伝送特性G(f)を有している:
【数1】
ここで、Tは復調器におけるサンプリング周期(すなわち1/回線符号速度)、αはフィルタの過剰帯域幅因子(excess bandwidth factor)、そしてf0はWDMチャンネルの中心周波数である。
【0009】
上記フィルタは、0.2から0.8までの間の過剰帯域幅因子を有していることが好ましい。好適には、上記光学的フィルタリング手段は、各波長チャンネルに対してそれぞれ光学フィルタを備えている。簡単に一体化できるように、各フィルタが光ファイバ・ブラッグ・グレーティング(optical fibre Bragg grating)を備えていることが好ましい。
【0010】
本発明のさらなる観点によれば、2つのデータ・ストリームに応じて4位相差偏移変調(quaternary differential phase shift key)により光搬送波を変調するための変調装置は、それぞれの駆動電圧に応じて±πラジアンだけ選択的に位相を変調するように動作可能な2つのマッハ・ツェンダ干渉計;π/2の位相シフトを与えるための固定位相調整器;および2つのデータ・ストリームに応じてそれぞれの駆動電圧を生成するための手段を備え、干渉によって生成される位相変化でデータ・ストリームが符号化されるようになっている。
【0011】
各干渉計は、周期的で、V2pボルトの周期を持った電圧消光特性(optical transmission versus drive voltage characteristic)を有し、変調器が該特性の一部で最小の透過率を与えるように動作可能とされ、さらに、駆動電圧が±Vpの値を有していることが好ましい。
【0012】
本発明のまださらなる観点によれば、2つのデータ・ストリームに応じて4位相差偏移変調(QPSK)を用いて光搬送波を変調するための変調装置は、位相変調手段を備え、該位相変調手段は、光搬送波の位相を2つのデータ・ストリームに応じて0,π/2,π,3π/2ラジアンの位相シフトによって選択的に変調するように動作可能とされている。好適には、この位相変調手段は、光搬送波を2つの光信号に分離するための光分離手段を備えている。2つの光信号は、個々のマッハ・ツェンダ変調器へと送られ、マッハ・ツェンダ変調器は、個々の駆動電圧に応じて光信号の位相をπラジアンだけ選択的に変調するように動作可能とされている。上記位相変調手段は、上記光信号うちの一方に対してπ/2の位相シフトを与えるための固定位相調整器と、DQPSK変調された符号を生成するために上記変調された光信号を結合させるための手段とを備えている。
【0013】
このような構成を用いることにより、好ましくも、各マッハ・ツェンダ変調器は、V2pの周期を有する周期的な電圧消光特性を有し、変調器が該特性の一部において最小の透過率を与えるように動作でき、さらに駆動電圧が±Vpの値を有している。
【0014】
本発明のさらに他の観点によれば、4位相差偏移変調(DQPSK)により変調された光信号を復調するための復調装置は、DQPSK変調された光信号を分離するための光分離手段;不平衡化された2つのマッハ・ツェンダ干渉計(これらの干渉計には、変調された光信号のそれぞれの部分が送られる);そして、各干渉計の光出力部を端子から端子に横渡しするように接続された個々に平衡化された光・電気変換器(optical to electrical converter)を備え、このとき、各マッハ・ツェンダ干渉計は、変調された符号のシンボル周期(symbol period)に概ね対応するような光路長差を該干渉計のそれぞれのアーム同志の間に有し、このうち一方の干渉計は、π/2ラジアンの相対的な位相シフトをさらに与えるように動作可能とされている。とりわけ好ましい構成において、上記マッハ・ツェンダ干渉計は、それぞれπ/4ラジアン及び−π/4ラジアンの位相シフトを与えるように動作可能とされている。
このような構成により、復調された出力が対称的なNRZ信号となることが保証される。
【0015】
上述のような光学的なフィルタリングを用いることは、変調の形式とはかかわりなく本発明の権利と考えられるものである。かくして、まださらに他の本発明の観点によれば、変調されたキャリアを多重化してWDM信号を作る前に、これらの変調された各キャリア(搬送波)をフィルタリングするための光学的フィルタリング手段が、選択波長による複数の変調光搬送波の形でデータが伝送されるタイプのWDM通信システムの特徴になっている。このとき、この光学的フィルタリング手段は、各符号に対するサンプル時における符号間干渉が最小化されるように選ばれる所定の光学特性を有している。
光学的フィルタリング手段は、上述のような特性を有することが好ましい。この光学的フィルタリング手段は、各波長チャンネルに対して、それぞれ光学フィルタ、それも好ましくはファイバ・ブラッグ・グレーティングを備えていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る光変調装置を概略的に示す図である。
【図2】図1の変調装置のプレコーディング回路の機能的な部材を示す図である。
【図3】本発明に係る光復調装置を概略的に示す図である。
【図4】図3の復調装置の一出力に関してシュミレートされた20Gbit/s「アイ」ダイヤグラムを示す図である。
【図5】600km光増幅され分散管理された光ファイバリンクにわたり伝送する場合に関してシュミレートされた20Gbit/s「アイ」ダイアグラムを示す図であって、信号−自然放出光(Amplitude Spontaneous Emission:ASE)ノイズを含んだ図である。
【図6a】本発明による送信機光学フィルタに関する光伝送特性(光透過特性)を示す図である。
【図6b】本発明による受信機光学フィルタに関する光伝送特性(光透過特性)を示す図である。
【図7】図4のシュミレートされた20Gbit/s「アイ」ダイアグラムを示す図であって、さらに本発明による光学的なフィルタリングを含んだ図である。
【図8】図4のシュミレートされた20Gbit/s「アイ」ダイアグラムを示す図であって、さらに、従来の(バターワース・レスポンス)光フィルタリングを含んだ図である。
【図9a】従来の(バターワース・レスポンス)光フィルタリングとともに振幅変調されたNRZデータに関してシュミレートされた20Gbit/s「アイ」ダイアグラムを示す図である。
【図9b】本発明による光フィルタリングを用いて振幅変調されたNRZデータに関してシュミレートされた20Gbit/s「アイ」ダイアグラムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明をより良く理解できるように、本発明による変調器ならびに復調装置を添付の図面を参照して具体的な実施形態に基づき以下に詳述する。
【0018】
図1には、単一の光搬送波上へ2つの20Gbit/sNRZデータ・ストリームd1(t),d2(t)を符号化するための本発明に係る光学的位相偏移変調型の変調装置が示されている。この変調装置は、通常であれば、各WDM波長チャンネルに対してそれぞれ変調装置を有するWDM光通信システムにおける送信機の一部として用いられるものであろう。
【0019】
上記の変調装置は、所定波長に対する安定な光出力の理由から、例えば分布反射型(distributed feedback:DFB)の半導体レーザといった単一周波数のレーザ2を備えている。このレーザは、選択された波長(通常WDM波長チャンネル)の無変調の光出力を生成するように動作可能とされている。レーザからの光は、光スプリッタ4によって、2つの部分へと分割され、各部分が個々の位相変調器6,8へと送られる。各位相変調器6,8は、それぞれの2値(バイポーラ)NRZ駆動電圧VI(t),VQ(t)に応じて、該位相変調器によって位相が選択的に0又はπラジアンだけ変調されるように構成されている。図1に示された好ましい実施形態において、位相変調器6,8のそれぞれは、マッハ・ツェンダ電気・光変調器(MZM)を備えている。この変調器は、例えばガリウム砒素又はニオブ酸リチウムで作られている。周知のように、MZMは、光強度変調器として広く使われており、周期的でしかも本質的にレイズドコサイン型の電圧消光特性を一般に有している。駆動電圧で測られるMZM特性の半周期は、Vpとして定義される。本発明の変調装置内では、各MZM6,8は、光信号の振幅(強度)に実質的な影響を与えることなく、位相変調器として動作しなければならない。これを実現するために、各MZI6,8は、駆動電圧のない時に光伝送を最小化するようバイアスがかけられており、それぞれ駆動電圧VI(t),VQ(t)=±Vpで駆動されて振幅変調を最小にしたまま急激な位相シフトを与えるようになっている。2つの位相変調器6,8は、整合遅延部(matched delay)(位相特性)を有している。
【0020】
位相変調器6からの光出力は、固定された位相シフトπ/2を加える固定位相調整器10を通され、これにより、変調器6を含む径路に沿って進む光信号と、変調器8を含む径路に沿って進む光信号との間の相対的な位相差がπ/2となるようになっている。固定位相調整器10からの光信号と位相変調器8からの光信号は、例えば3dBカップラ等の光再結合器12によって再結合され、光位相偏移変調(PSK)出力14を形成する。
【0021】
位相変調器駆動電圧VI(t),VQ(t)は、2つのバイナリ・データ・ストリームd1(t),d2(t)に応じてプレコーディング回路16によって生成される。本発明の変調装置によれば、2つのデータ・ストリームd1(t),d2(t)は、差分的に符号化されるため、これらのデータが光信号14上への位相転移(変化)の形で符号化され、位相の絶対的な値によっては符号化されない。このようにして、光信号14が差分4位相偏移変調(DQPSK)符号化されることが理解されよう。光信号を変調するためにDQPSKを用いることは、本発明の権利に含まれるものとみなされる。
【0022】
DQPSK光信号14は、理想的にはE0=exp(iωt+θ+θi)で与えられる。ここで、ωは光の平均角振動数、tは時間、θは搬送波の位相(注:以下に述べるように、信号を実質的に復調するのに知る必要がないことからこの位相は任意である)、そしてθiはi番目のデータ符号diに対するデータ依存位相変調である。一般的な場合、di∈{0,1,M−1}であり、4位相偏移変調に対してはM=4、すなわち、データ符号は4つの値を有している。位相変調項(term)は、θ=θi+Δθi(di)によって与えられる。ここで、θi−1は、先行するデータ符号di−1に対する位相項であり、Δθiはi−1番目とi番目のデータ符号の間の位相の変化である。QPSKに関するデータ符号diと位相シフトΔθiとの関係は、以下の表にまとめられている。
【表1】
DQPSKに関するデータd1(t),d2(t),データ符号di,位相変化Δθi(di)の値
【0023】
ここで、データ、データ符号、及び位相変化の間の写像は、まさに一例にすぎず、他の写像もあり得ることに留意されたい。上記プレコーディング回路16は、図2に機能的に表されており、2本のデータ・ストリームd1(t),d2(t)に応じてしかるべき駆動電圧VI(t),VQ(t)を次の関係:
【数2】
に従って生成するように構成されている。
【0024】
図2において、同じ機能を有する部材には、同じ参照符号が与えられており、インバータ18、和演算素子20、積演算素子22、差演算素子24、および遅延素子26をそれぞれ備えている。遅延素子26は、20Gシンボル/s回線速度(line rate)に対して約50psとなるシンボル周期に対応するディレイ(遅延)τを有している。
【0025】
図3には、本発明による復調装置が示されている。この復調器は、受信したDQPSK変調された光信号14を2つの部分に分離するための光スプリッタ28を備えている。分離された2つの光信号は、それぞれ不平衡化されたマッハ・ツェンダ干渉計(MZI)30,32に送られる。MZIは、通常ガリウム砒素またはニオブ酸リチウムで作られている。それぞれ平衡化された光・電気変換器34,36は、各MZI30,32の光出力部を端子間を横渡しするように接続されている。各MZI30,32は、一方のアーム30a,32a内に、他方のアーム30b,32bの遅延時間に対して相対的にさらにそれぞれ所定の遅延時間τを有するように不平衡化され、この遅延時間τが、データ変調速度のシンボル周期(20Gシンボル/s回線速度に対して50ps)に表向き等しくなっている。遅延時間τは、2つのアームの光路長を異なるようにすることによって導入され、製造を容易にするために、MZIのアーム30a,32aの物理的な長さを他方のアーム30b,32bよりも長くすることによって導入されている。各MZI30,32は、短い方のアーム30b,32bの電極に適正な電圧を印加することによって、π/4および−π/4の相対的な位相シフトを与えるようにそれぞれ設けられている。平衡検出(balanced detection)を用いると、変換器34,36からの出力電気信号x1(t),y2(t)は、以下の式によって与えられる:
【数3】
【0026】
Δθ(di)が{0,π/2,π,3π/2}の値を取り得るDQPSKに対して、出力は、こうして以下のように与えられる2値(バイポーラ)の符号となる:
【数4】
【0027】
MZI30,32を設けて、干渉計のアーム間にそれぞれπ/4および−π/4の位相シフトを与える主たる利点は、復調される信号x1(t),y2(t)が対称的なバイポーラのNRZ信号になる点にある。DQPSK信号の同相成分および直交成分(in−phase and quadrature components)は、最終的に得られる信号が対称な2値NRZ信号にはならないものの、それぞれのMZIの間にπ/2の差が存在するとして他の相対位相シフトによって復調されてもよいことが理解されよう。そのため、一般的な場合には、MZI30は位相シフトφを与えるように設けられ、MZI32は位相シフトφ±π/2を与えるように設けられている。
【0028】
図4は、図1および図3のDQPSK変調器ならびに復調装置を備えている通信システムにおいて、20Gbit/sのデータ・ストリームにおける復調された電気信号x1(t)又はy2(t)の一つに対して行なわれたシュミレーションによる「アイ」ダイアグラムを示す。図5は、600km光増幅され分散管理された光ファイバリンクにわたって伝送を行なう場合に、同じシステムにおいてさらにシュミレートされた「アイ」ダイアグラムを示し、さらにこの図は信号−自然放出光(Amplitude Spontaneous Emission:ASE)ノイズも含んでいる。
【0029】
本発明の信号フォーマットの特に優れた点は、その向上したスペクトル効率にある。40Gbit/sの複数チャンネルを50GHz間隔で(0.8bit/s/Hzスペクトル効率)備えているDWDM光リンクの場合のシュミレーション結果は、このようなシステムが偏光インターリーブ多重(polarisation multiplexing interleaving)を用いずとも極めて実用的であることを示している。
【0030】
DQPSKは、スペクトル効率の向上だけでなく、2値振幅信号ならびに2値位相シフト信号といったような他の信号フォーマットに比べて相当多数の利点をもたらしてくれる。光DQPSKは、色分散に対する許容範囲を広げると同時に、偏光モード分散(polarisation mode dispersion)に対する許容範囲を広げる。さらなる長所は、電気的コンポーネントならびに光電子コンポーネント(optoelectronic component)が、回線ビットレートの半分に対応した帯域幅で動作するという点にある。コヒーレントQPSKに比べると、光DQPSKは、相互位相変調(XPM)に対する許容範囲を改善する。というのも、信号が連続したデータビット間の位相差(変化)として差分的に符号化されるのに対して、XPMは一般に連続したデータビットに共通になるからである。光DQPSKは、復調のために位相コヒーレントな局地的なオシレータを必要としないので、適応偏光制御(adaptive polarisation control)を要しない。光DQPSKの変調および復調は、機能的には比較的簡単明瞭なものであるので、モノリシックな導波路デバイスに容易に組み込み可能な位相変調器、光カプラ、光スプリッタ等といった頑丈でコンパクトな電気光学的な小形回路を用いて容易に実現することができる。
【0031】
初期のシュミレーションは、光DQPSKが、単一の光ファイバにわたってテラbit/sの容量を用いた多重の40Gb/sDWDM通信チャンネルの伝送用に実行可能な信号フォーマットであることを示している。ラマン増幅(Raman amplification)ならびにフォワードエラーコレクション(forward error correction:FEC)と組み合わされると、光DQPSK信号は、数千キロメートルの光ファイバにわたってテラbit/sの伝送を可能にする能力があるものと予想される。
【0032】
WDMシステムにおいてスペクトル効率を向上する際に限界となる要因の一つは、周知の光学フィルタ(バターワース)を用いて、多重化の前に変調された波長チャンネルに対して密な光フィルタリングを行なうと、符号間干渉(ISI)が引き起こされ、その結果、システムパフォーマンスが悪くなることにある。この問題を克服するために、本発明者らは、データ符号に対してサンプリング時tsにおけるISIを最小化するようにフィルタリングの特性を注意深く選べば、光フィルタリングを用いることによってシステムパフォーマンスをさらに改善できるということを認識するに至った。DQPSKに関しては、光スペクトルは、理想的な「sinc」(sin(x)/x)関数に近く、そのためサイドローブが他の信号フォーマットに比べて極めて高い。サンプリング時における各符号に対するISIを最小化するように光学特性(レスポンス)が調整(成形)されている光学フィルタを用いて、各DQPSK波長チャンネルを光学的にフィルタリングすることにより、隣り合うチャンネルのスペクトルの重なりが低減され、受信されるノイズの量が制限される。理想的には、フィルタ・レスポンスは、パルス形状pが以下の式を満足するようにパルスを成形するものでなければならない:
【数5】
ここで、Tはサンプリング周期(回線シンボル周期=1/回線速度)である。
【0033】
符号(symbol)が完全なインパルスレスポンス(impulse response)を有するような理想化されたシステムにおいては、フィルタ関数は、位相と周波数とが線形関係にある伝送特性G(f)を有していなければならず、この伝送特性は、以下の式によって与えられる2乗レイズドコサインとされている:
【数6】
ここでαはロールオフ係数ないし過剰帯域幅因子であり、f0はWDMチャンネルの中心周波数である。フィルタは、通常、0.2から0.8までの間の過剰帯域幅因子を有するように選ばれる。RF信号を用いる場合の類推から、本発明による光フィルタリングを、以後、光ナイキスト・フィルタリング(optical Nyquist filtering)と称することにする。
【0034】
光ナイキスト・フィルタリングの機能は、送信機と受信機の位置に置かれた光ナイキスト・フィルタの間で分けられていることが好ましい。送信機光学フィルタは、各波長チャンネルがチャンネルを多重化する前にフィルタリングされるように好ましくは変調装置の出力部に接続されており、受信機光学フィルタは、WDM光信号の分離化の後かつDQPSK信号の復調の前に置かれている。
【0035】
送信機ならびに受信機のナイキスト・フィルタの光学特性が図6(a)および図6(b)に示されている。図6(b)から分かるように、受信機ナイキスト・フィルタの特性は、式4によって定義されるような2乗レイズドコサイン関数を成している。全帯域幅30GHzを有するこの関数は、WDM波長チャンネル(WDM波長チャンネルf0は、図6の周波数軸上で0として示されている)を中心とし、20Gシンボル/s回線速度に対して過剰帯域幅因子αが0.5とされている。図6(a)の送信機フィルタの特性も基本的には2乗レイズドコサイン関数とされているが、伝送される符号の有限のパルス幅を考慮するため1/“sinc”関数を有するようにバンドパス領域38(0≦|f−f0|≦(1−α)/2T)にさらに調整が加えられている。送信機ナイキストおよび受信機ナイキストは、光導波路内に画定される回折格子構造の形、あるいは光ファイバ・ブラッグ・グレーティングの形で製造されることが好ましい。
【0036】
図7には、送信機ナイキストフィルタおよび受信機ナイキストフィルタにより、図4のシュミレートされたアイ(目玉)に及ぼされる作用の結果が示されている。サンプリング時tsに「アイ(目玉)」が殆ど零ISIを有するような作用をフィルタが有しているという点に留意されたい。比較のために、図8には、同じ「アイ(目玉)」が従来のフィルタリング(バターワース・レスポンス)に関して示されている。
【0037】
さらに、図9(a)および図9(b)は、従来のフィルタリング(バターワース・レスポンス)を用いて振幅NRZ変調されたデータ、および本発明に係るナイキスト・フィルタリングを用いて変調されたデータに関する20Gbit/s「アイ」ダイアグラムをそれぞれ示すものであるが、これらの図9(a)および図9(b)に示されているように、光ナイキストフィルタリングを用いると、2値振幅変調といった他の信号フォーマットに対するシステムパフォーマンスも向上する可能性があることが分かる。ナイキスト・フィルタリング、すなわち、サンプリング時に各符号に対して符号間干渉を最小化するように選ばれるレスポンスを持ったフィルタを使う光フィルタリングを用いることは、変調フォーマットの如何によらず、本発明の権利範囲に含まれるものとみなす。
【0038】
本発明は、上述の実施形態に限定されることなく発明の要旨を逸脱しない範囲において様々に変形可能なことは明らかである。光搬送波を変調するための光差分4位相偏移変調(DQPSK)の使用が本発明による権利範囲である一方で、他の複数レベルの(M位相の)DPSKを用いることも考えられる。ここで、M=2nでnは整数n=2,3,…である。さらに、変調装置にMZIを用いることが特に好ましいとはいえ、光搬送波を位相変調するために他の位相変調器を用いても構わない。これらの位相変調器の中には、例えば、従属接続型の位相変調器や、あるいは複数レベルのドライブ信号によって駆動される単一の位相変調器が含まれる。
【符号の説明】
【0039】
2・・・レーザ(変調装置)
4・・・光スプリッタ(変調装置)
6,8・・・マッハ・ツェンダ位相変調器(変調装置)
10・・・固定位相調整器(変調装置)
12・・・光再結合器(変調装置)
14・・・変調された光信号
16・・・プレコーディング回路(変調装置)
28・・・光スプリッタ(復調装置)
30,32・・・不平衡化されたマッハ・ツェンダ干渉計(復調装置)
30a,30b,32a,32b・・・マッハ・ツェンダ干渉計のアーム(復調装置)
34,36・・・光・電気変換器(復調装置)
d1(t),d2(t)・・・データ・ストリーム
x1(t),y2(t)・・・復調されて得られた出力電気信号
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信、とりわけ光搬送波を変調および復調するための方法に関する。特に本発明は、波長分割多重(WDM)方式の光通信システム用に、斯かる変調および復調を用いる装置ならびに方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2地点間(point−to−point)情報伝達の根幹として光増幅型高密度波長分割多重(DWDM:dense wavelength division multiplex)光リンクの進みつつある開発、各波長に割り当てられるビットレートの同時的な増加、そしてチャンネル数の同時的な増加にともない、従来のエルビウム添加光増幅器(EDFA:erbium−doped optical amplifier)のエルビウム利得ウィンドの幅が有限であることが、将来さらに増加する容量に対して重大な障害になる可能性がある。従来のEDFAは、4.4THzのスペクトル幅に対応する35nmの利得帯域幅を有している。数Tbit/sのシステムを実証することは既に現実的なものであるし、bit/s/Hzの値によって特徴付けられるようなスペクトル効率を真剣に考えるべき時期にきている。現在、高速光伝送には、単一のシンボルレベル(single symbol level)を有する光パルスの形でデータが伝送されるような、非ゼロ復帰(NRZ:non−return−to−zero)またはゼロ復帰(RZ:return−to−zero)のいずれかの信号フォーマット(signalling format)を用いた2値振幅変調(binary amplitude keying)が採用されている。
WDM(波長分割多重)では、幾つかの要因によって2値振幅信号のための最小チャンネル間隔が制限され、実際にはスペクトル効率が約0.3bit/s/Hzに限定される。チャンネルあたりのビットレートを増やすとシステム装備が軽減される傾向にはあるものの、10Gbit/sを超えるビットレートでの伝送には、幾つも克服しなければならない問題が存在している。すなわち、
・ 光ファイバリンクの分散の取り扱い(これは、ビットレートが増加するにつれてますます難しくなる);
・ 光ファイバ内の偏光モード分散(Polarization Mode Dispersion:PMD)によって引き起こされる信号劣化の増大;
・ 多重化、分離化、および変調器駆動用の電子コンポーネントの実現化の困難性の増大;
である。
【0003】
スペクトル効率を改善することができる技術として提案されたものは、4位相偏移変調(quaternary phase shift keying:QPSK)を用いるというものである(S. Yamazaki and K. Emura,(1990) ”Feasibility study on QPSK optical heterodyne detection system”, J. Lightwave Technol., vol. 8, pp. 1646 − 1653 参照)。この光QPSKにおいては、送信機レーザによって生成される光の位相は、単一の位相変調器(phase modulator:PM)を用いて、この位相変調器を4レベルの電気信号によって駆動することで4つのデータ状態を表す0,π/2,π,3π/2の位相シフトを生成するか、あるいは、0又はπ/2、ならびに0又は3π/2の位相シフトをそれぞれ生成する2つの連結された位相変調器を用いるかのいずれかによって変調される。QPSKの主たる欠点は、変調器の位置に、送信機レーザと光学的に位相同期(フェーズロック)した局地的なレーザが復調用に必要になることである。このために、通常、キャリア(搬送波)位相リカバリシステムが必要になる。WDMシステムに対してであれば、波長チャンネル毎にフェーズロック(位相同期)レーザが必要になろう。その上、位相(フェーズ)リカバリシステムと組み合わされることで最高度に複雑になる適応偏光制御を要する。しかも、コヒーレントな局地レーザを要するシステムは、光学的なカー非線形性(optical Kerr non−linearity)によって引き起こされる光ファイバ内の相互位相変調(cross−phase modulation:XPM)に敏感で、これが大容量DWDM伝送への応用を厳しく制限している。
これまで、差分2位相偏移変調(differential binary phase shift keying :DBPSK)を用いることも提案されてきた(M. Rohde et al (2000) ”Robustness of DPSK direct detection transmission format in standard fibre WDMsystems”, Electron. Lett., vol. 36参照)。DBPSKにおいてデータは、0又はπの位相変化の形で符号化されるが、このときの位相値は、先行するシンボル周期にわたる搬送波の位相に依存する。一つのアーム内での遅れがシンボル周期に等しいマッハ・ツェンダ干渉計が光信号を復調するのに用いられる。DBPSKは、受信側にフェーズロックレーザを必要としないものの、従来の振幅NRZ信号に比べてなんら際立った利点をもたらすものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平03−179939号公報
【特許文献2】特開2000−092001号公報
【特許文献3】特開昭63−086608号公報
【特許文献4】特開昭63−001220号公報
【特許文献5】特開平03−174503号公報
【特許文献6】特開平05−333223号公報
【特許文献7】特開平11−331089号公報
【特許文献8】特開昭63−052530号公報
【特許文献9】特開平10−013342号公報
【特許文献10】特開昭64−007727号公報
【特許文献11】特開昭64−005127号公報
【特許文献12】特開2000−106543号公報
【特許文献13】特開平11−220443号公報
【特許文献14】特開2000−059300号公報
【特許文献15】特開2000−151505号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Richard Gross 他,Optical DQPSK Video System with Heterodyne Detection,PHOTONICS TECHNOLOGY LETTERS,米国,IEEE,1991年 3月,Vol.3, No.3,p.262-264
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、周知の構成の限界を部分的にせよ少なくとも克服するような、WDM用の信号フォーマットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、複数n本のデータ・ストリームを伝送する方法は、差分M位相偏移変調(differential M−ary phase shift key:DMPSK)信号(ここでM=2n)を用いて光学的キャリア(光搬送波)を変調する工程を含んでいる。本方法は、n=2である差分4位相偏移変調を用いる工程を含んでいることが好ましい。本発明に係る方法の主たる長所は、データが位相の絶対値ではなく位相の変化の形で差分的に符号化されるため、フェーズロックされた局地的な光学的オシレータを要することなく、直接検出を行なえば、変調された光搬送波を復調できる点にある。
【0008】
本発明は、特にWDM通信システムに用いられ、本発明の第2の観点によれば、光波長分割多重通信システムは、上記方法によって変調される光波長チャンネルに特徴を有している。波長チャンネルの離隔距離を減らすことによってスペクトル効率を改善するには、DMPSK変調された波長チャンネルを多重化してWDM信号を生成する前に、これらの波長チャンネルをそれぞれ光学的にフィルタリングするための光学的フィルタリング手段をさらに上記WDMシステムが備えていることが好ましく、このとき、この光学的フィルタリング手段は、各符号に対するサンプル時における符号間干渉を低減するように選ばれる特性を有している。光学的フィルタリング手段は、2乗レイズドコサイン(squared raised−cosine)形であるという特徴を備えていることが好ましい。好適には、フィルタリング手段(フィルタ手段)は、以下の式で与えられる伝送特性G(f)を有している:
【数1】
ここで、Tは復調器におけるサンプリング周期(すなわち1/回線符号速度)、αはフィルタの過剰帯域幅因子(excess bandwidth factor)、そしてf0はWDMチャンネルの中心周波数である。
【0009】
上記フィルタは、0.2から0.8までの間の過剰帯域幅因子を有していることが好ましい。好適には、上記光学的フィルタリング手段は、各波長チャンネルに対してそれぞれ光学フィルタを備えている。簡単に一体化できるように、各フィルタが光ファイバ・ブラッグ・グレーティング(optical fibre Bragg grating)を備えていることが好ましい。
【0010】
本発明のさらなる観点によれば、2つのデータ・ストリームに応じて4位相差偏移変調(quaternary differential phase shift key)により光搬送波を変調するための変調装置は、それぞれの駆動電圧に応じて±πラジアンだけ選択的に位相を変調するように動作可能な2つのマッハ・ツェンダ干渉計;π/2の位相シフトを与えるための固定位相調整器;および2つのデータ・ストリームに応じてそれぞれの駆動電圧を生成するための手段を備え、干渉によって生成される位相変化でデータ・ストリームが符号化されるようになっている。
【0011】
各干渉計は、周期的で、V2pボルトの周期を持った電圧消光特性(optical transmission versus drive voltage characteristic)を有し、変調器が該特性の一部で最小の透過率を与えるように動作可能とされ、さらに、駆動電圧が±Vpの値を有していることが好ましい。
【0012】
本発明のまださらなる観点によれば、2つのデータ・ストリームに応じて4位相差偏移変調(QPSK)を用いて光搬送波を変調するための変調装置は、位相変調手段を備え、該位相変調手段は、光搬送波の位相を2つのデータ・ストリームに応じて0,π/2,π,3π/2ラジアンの位相シフトによって選択的に変調するように動作可能とされている。好適には、この位相変調手段は、光搬送波を2つの光信号に分離するための光分離手段を備えている。2つの光信号は、個々のマッハ・ツェンダ変調器へと送られ、マッハ・ツェンダ変調器は、個々の駆動電圧に応じて光信号の位相をπラジアンだけ選択的に変調するように動作可能とされている。上記位相変調手段は、上記光信号うちの一方に対してπ/2の位相シフトを与えるための固定位相調整器と、DQPSK変調された符号を生成するために上記変調された光信号を結合させるための手段とを備えている。
【0013】
このような構成を用いることにより、好ましくも、各マッハ・ツェンダ変調器は、V2pの周期を有する周期的な電圧消光特性を有し、変調器が該特性の一部において最小の透過率を与えるように動作でき、さらに駆動電圧が±Vpの値を有している。
【0014】
本発明のさらに他の観点によれば、4位相差偏移変調(DQPSK)により変調された光信号を復調するための復調装置は、DQPSK変調された光信号を分離するための光分離手段;不平衡化された2つのマッハ・ツェンダ干渉計(これらの干渉計には、変調された光信号のそれぞれの部分が送られる);そして、各干渉計の光出力部を端子から端子に横渡しするように接続された個々に平衡化された光・電気変換器(optical to electrical converter)を備え、このとき、各マッハ・ツェンダ干渉計は、変調された符号のシンボル周期(symbol period)に概ね対応するような光路長差を該干渉計のそれぞれのアーム同志の間に有し、このうち一方の干渉計は、π/2ラジアンの相対的な位相シフトをさらに与えるように動作可能とされている。とりわけ好ましい構成において、上記マッハ・ツェンダ干渉計は、それぞれπ/4ラジアン及び−π/4ラジアンの位相シフトを与えるように動作可能とされている。
このような構成により、復調された出力が対称的なNRZ信号となることが保証される。
【0015】
上述のような光学的なフィルタリングを用いることは、変調の形式とはかかわりなく本発明の権利と考えられるものである。かくして、まださらに他の本発明の観点によれば、変調されたキャリアを多重化してWDM信号を作る前に、これらの変調された各キャリア(搬送波)をフィルタリングするための光学的フィルタリング手段が、選択波長による複数の変調光搬送波の形でデータが伝送されるタイプのWDM通信システムの特徴になっている。このとき、この光学的フィルタリング手段は、各符号に対するサンプル時における符号間干渉が最小化されるように選ばれる所定の光学特性を有している。
光学的フィルタリング手段は、上述のような特性を有することが好ましい。この光学的フィルタリング手段は、各波長チャンネルに対して、それぞれ光学フィルタ、それも好ましくはファイバ・ブラッグ・グレーティングを備えていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る光変調装置を概略的に示す図である。
【図2】図1の変調装置のプレコーディング回路の機能的な部材を示す図である。
【図3】本発明に係る光復調装置を概略的に示す図である。
【図4】図3の復調装置の一出力に関してシュミレートされた20Gbit/s「アイ」ダイヤグラムを示す図である。
【図5】600km光増幅され分散管理された光ファイバリンクにわたり伝送する場合に関してシュミレートされた20Gbit/s「アイ」ダイアグラムを示す図であって、信号−自然放出光(Amplitude Spontaneous Emission:ASE)ノイズを含んだ図である。
【図6a】本発明による送信機光学フィルタに関する光伝送特性(光透過特性)を示す図である。
【図6b】本発明による受信機光学フィルタに関する光伝送特性(光透過特性)を示す図である。
【図7】図4のシュミレートされた20Gbit/s「アイ」ダイアグラムを示す図であって、さらに本発明による光学的なフィルタリングを含んだ図である。
【図8】図4のシュミレートされた20Gbit/s「アイ」ダイアグラムを示す図であって、さらに、従来の(バターワース・レスポンス)光フィルタリングを含んだ図である。
【図9a】従来の(バターワース・レスポンス)光フィルタリングとともに振幅変調されたNRZデータに関してシュミレートされた20Gbit/s「アイ」ダイアグラムを示す図である。
【図9b】本発明による光フィルタリングを用いて振幅変調されたNRZデータに関してシュミレートされた20Gbit/s「アイ」ダイアグラムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明をより良く理解できるように、本発明による変調器ならびに復調装置を添付の図面を参照して具体的な実施形態に基づき以下に詳述する。
【0018】
図1には、単一の光搬送波上へ2つの20Gbit/sNRZデータ・ストリームd1(t),d2(t)を符号化するための本発明に係る光学的位相偏移変調型の変調装置が示されている。この変調装置は、通常であれば、各WDM波長チャンネルに対してそれぞれ変調装置を有するWDM光通信システムにおける送信機の一部として用いられるものであろう。
【0019】
上記の変調装置は、所定波長に対する安定な光出力の理由から、例えば分布反射型(distributed feedback:DFB)の半導体レーザといった単一周波数のレーザ2を備えている。このレーザは、選択された波長(通常WDM波長チャンネル)の無変調の光出力を生成するように動作可能とされている。レーザからの光は、光スプリッタ4によって、2つの部分へと分割され、各部分が個々の位相変調器6,8へと送られる。各位相変調器6,8は、それぞれの2値(バイポーラ)NRZ駆動電圧VI(t),VQ(t)に応じて、該位相変調器によって位相が選択的に0又はπラジアンだけ変調されるように構成されている。図1に示された好ましい実施形態において、位相変調器6,8のそれぞれは、マッハ・ツェンダ電気・光変調器(MZM)を備えている。この変調器は、例えばガリウム砒素又はニオブ酸リチウムで作られている。周知のように、MZMは、光強度変調器として広く使われており、周期的でしかも本質的にレイズドコサイン型の電圧消光特性を一般に有している。駆動電圧で測られるMZM特性の半周期は、Vpとして定義される。本発明の変調装置内では、各MZM6,8は、光信号の振幅(強度)に実質的な影響を与えることなく、位相変調器として動作しなければならない。これを実現するために、各MZI6,8は、駆動電圧のない時に光伝送を最小化するようバイアスがかけられており、それぞれ駆動電圧VI(t),VQ(t)=±Vpで駆動されて振幅変調を最小にしたまま急激な位相シフトを与えるようになっている。2つの位相変調器6,8は、整合遅延部(matched delay)(位相特性)を有している。
【0020】
位相変調器6からの光出力は、固定された位相シフトπ/2を加える固定位相調整器10を通され、これにより、変調器6を含む径路に沿って進む光信号と、変調器8を含む径路に沿って進む光信号との間の相対的な位相差がπ/2となるようになっている。固定位相調整器10からの光信号と位相変調器8からの光信号は、例えば3dBカップラ等の光再結合器12によって再結合され、光位相偏移変調(PSK)出力14を形成する。
【0021】
位相変調器駆動電圧VI(t),VQ(t)は、2つのバイナリ・データ・ストリームd1(t),d2(t)に応じてプレコーディング回路16によって生成される。本発明の変調装置によれば、2つのデータ・ストリームd1(t),d2(t)は、差分的に符号化されるため、これらのデータが光信号14上への位相転移(変化)の形で符号化され、位相の絶対的な値によっては符号化されない。このようにして、光信号14が差分4位相偏移変調(DQPSK)符号化されることが理解されよう。光信号を変調するためにDQPSKを用いることは、本発明の権利に含まれるものとみなされる。
【0022】
DQPSK光信号14は、理想的にはE0=exp(iωt+θ+θi)で与えられる。ここで、ωは光の平均角振動数、tは時間、θは搬送波の位相(注:以下に述べるように、信号を実質的に復調するのに知る必要がないことからこの位相は任意である)、そしてθiはi番目のデータ符号diに対するデータ依存位相変調である。一般的な場合、di∈{0,1,M−1}であり、4位相偏移変調に対してはM=4、すなわち、データ符号は4つの値を有している。位相変調項(term)は、θ=θi+Δθi(di)によって与えられる。ここで、θi−1は、先行するデータ符号di−1に対する位相項であり、Δθiはi−1番目とi番目のデータ符号の間の位相の変化である。QPSKに関するデータ符号diと位相シフトΔθiとの関係は、以下の表にまとめられている。
【表1】
DQPSKに関するデータd1(t),d2(t),データ符号di,位相変化Δθi(di)の値
【0023】
ここで、データ、データ符号、及び位相変化の間の写像は、まさに一例にすぎず、他の写像もあり得ることに留意されたい。上記プレコーディング回路16は、図2に機能的に表されており、2本のデータ・ストリームd1(t),d2(t)に応じてしかるべき駆動電圧VI(t),VQ(t)を次の関係:
【数2】
に従って生成するように構成されている。
【0024】
図2において、同じ機能を有する部材には、同じ参照符号が与えられており、インバータ18、和演算素子20、積演算素子22、差演算素子24、および遅延素子26をそれぞれ備えている。遅延素子26は、20Gシンボル/s回線速度(line rate)に対して約50psとなるシンボル周期に対応するディレイ(遅延)τを有している。
【0025】
図3には、本発明による復調装置が示されている。この復調器は、受信したDQPSK変調された光信号14を2つの部分に分離するための光スプリッタ28を備えている。分離された2つの光信号は、それぞれ不平衡化されたマッハ・ツェンダ干渉計(MZI)30,32に送られる。MZIは、通常ガリウム砒素またはニオブ酸リチウムで作られている。それぞれ平衡化された光・電気変換器34,36は、各MZI30,32の光出力部を端子間を横渡しするように接続されている。各MZI30,32は、一方のアーム30a,32a内に、他方のアーム30b,32bの遅延時間に対して相対的にさらにそれぞれ所定の遅延時間τを有するように不平衡化され、この遅延時間τが、データ変調速度のシンボル周期(20Gシンボル/s回線速度に対して50ps)に表向き等しくなっている。遅延時間τは、2つのアームの光路長を異なるようにすることによって導入され、製造を容易にするために、MZIのアーム30a,32aの物理的な長さを他方のアーム30b,32bよりも長くすることによって導入されている。各MZI30,32は、短い方のアーム30b,32bの電極に適正な電圧を印加することによって、π/4および−π/4の相対的な位相シフトを与えるようにそれぞれ設けられている。平衡検出(balanced detection)を用いると、変換器34,36からの出力電気信号x1(t),y2(t)は、以下の式によって与えられる:
【数3】
【0026】
Δθ(di)が{0,π/2,π,3π/2}の値を取り得るDQPSKに対して、出力は、こうして以下のように与えられる2値(バイポーラ)の符号となる:
【数4】
【0027】
MZI30,32を設けて、干渉計のアーム間にそれぞれπ/4および−π/4の位相シフトを与える主たる利点は、復調される信号x1(t),y2(t)が対称的なバイポーラのNRZ信号になる点にある。DQPSK信号の同相成分および直交成分(in−phase and quadrature components)は、最終的に得られる信号が対称な2値NRZ信号にはならないものの、それぞれのMZIの間にπ/2の差が存在するとして他の相対位相シフトによって復調されてもよいことが理解されよう。そのため、一般的な場合には、MZI30は位相シフトφを与えるように設けられ、MZI32は位相シフトφ±π/2を与えるように設けられている。
【0028】
図4は、図1および図3のDQPSK変調器ならびに復調装置を備えている通信システムにおいて、20Gbit/sのデータ・ストリームにおける復調された電気信号x1(t)又はy2(t)の一つに対して行なわれたシュミレーションによる「アイ」ダイアグラムを示す。図5は、600km光増幅され分散管理された光ファイバリンクにわたって伝送を行なう場合に、同じシステムにおいてさらにシュミレートされた「アイ」ダイアグラムを示し、さらにこの図は信号−自然放出光(Amplitude Spontaneous Emission:ASE)ノイズも含んでいる。
【0029】
本発明の信号フォーマットの特に優れた点は、その向上したスペクトル効率にある。40Gbit/sの複数チャンネルを50GHz間隔で(0.8bit/s/Hzスペクトル効率)備えているDWDM光リンクの場合のシュミレーション結果は、このようなシステムが偏光インターリーブ多重(polarisation multiplexing interleaving)を用いずとも極めて実用的であることを示している。
【0030】
DQPSKは、スペクトル効率の向上だけでなく、2値振幅信号ならびに2値位相シフト信号といったような他の信号フォーマットに比べて相当多数の利点をもたらしてくれる。光DQPSKは、色分散に対する許容範囲を広げると同時に、偏光モード分散(polarisation mode dispersion)に対する許容範囲を広げる。さらなる長所は、電気的コンポーネントならびに光電子コンポーネント(optoelectronic component)が、回線ビットレートの半分に対応した帯域幅で動作するという点にある。コヒーレントQPSKに比べると、光DQPSKは、相互位相変調(XPM)に対する許容範囲を改善する。というのも、信号が連続したデータビット間の位相差(変化)として差分的に符号化されるのに対して、XPMは一般に連続したデータビットに共通になるからである。光DQPSKは、復調のために位相コヒーレントな局地的なオシレータを必要としないので、適応偏光制御(adaptive polarisation control)を要しない。光DQPSKの変調および復調は、機能的には比較的簡単明瞭なものであるので、モノリシックな導波路デバイスに容易に組み込み可能な位相変調器、光カプラ、光スプリッタ等といった頑丈でコンパクトな電気光学的な小形回路を用いて容易に実現することができる。
【0031】
初期のシュミレーションは、光DQPSKが、単一の光ファイバにわたってテラbit/sの容量を用いた多重の40Gb/sDWDM通信チャンネルの伝送用に実行可能な信号フォーマットであることを示している。ラマン増幅(Raman amplification)ならびにフォワードエラーコレクション(forward error correction:FEC)と組み合わされると、光DQPSK信号は、数千キロメートルの光ファイバにわたってテラbit/sの伝送を可能にする能力があるものと予想される。
【0032】
WDMシステムにおいてスペクトル効率を向上する際に限界となる要因の一つは、周知の光学フィルタ(バターワース)を用いて、多重化の前に変調された波長チャンネルに対して密な光フィルタリングを行なうと、符号間干渉(ISI)が引き起こされ、その結果、システムパフォーマンスが悪くなることにある。この問題を克服するために、本発明者らは、データ符号に対してサンプリング時tsにおけるISIを最小化するようにフィルタリングの特性を注意深く選べば、光フィルタリングを用いることによってシステムパフォーマンスをさらに改善できるということを認識するに至った。DQPSKに関しては、光スペクトルは、理想的な「sinc」(sin(x)/x)関数に近く、そのためサイドローブが他の信号フォーマットに比べて極めて高い。サンプリング時における各符号に対するISIを最小化するように光学特性(レスポンス)が調整(成形)されている光学フィルタを用いて、各DQPSK波長チャンネルを光学的にフィルタリングすることにより、隣り合うチャンネルのスペクトルの重なりが低減され、受信されるノイズの量が制限される。理想的には、フィルタ・レスポンスは、パルス形状pが以下の式を満足するようにパルスを成形するものでなければならない:
【数5】
ここで、Tはサンプリング周期(回線シンボル周期=1/回線速度)である。
【0033】
符号(symbol)が完全なインパルスレスポンス(impulse response)を有するような理想化されたシステムにおいては、フィルタ関数は、位相と周波数とが線形関係にある伝送特性G(f)を有していなければならず、この伝送特性は、以下の式によって与えられる2乗レイズドコサインとされている:
【数6】
ここでαはロールオフ係数ないし過剰帯域幅因子であり、f0はWDMチャンネルの中心周波数である。フィルタは、通常、0.2から0.8までの間の過剰帯域幅因子を有するように選ばれる。RF信号を用いる場合の類推から、本発明による光フィルタリングを、以後、光ナイキスト・フィルタリング(optical Nyquist filtering)と称することにする。
【0034】
光ナイキスト・フィルタリングの機能は、送信機と受信機の位置に置かれた光ナイキスト・フィルタの間で分けられていることが好ましい。送信機光学フィルタは、各波長チャンネルがチャンネルを多重化する前にフィルタリングされるように好ましくは変調装置の出力部に接続されており、受信機光学フィルタは、WDM光信号の分離化の後かつDQPSK信号の復調の前に置かれている。
【0035】
送信機ならびに受信機のナイキスト・フィルタの光学特性が図6(a)および図6(b)に示されている。図6(b)から分かるように、受信機ナイキスト・フィルタの特性は、式4によって定義されるような2乗レイズドコサイン関数を成している。全帯域幅30GHzを有するこの関数は、WDM波長チャンネル(WDM波長チャンネルf0は、図6の周波数軸上で0として示されている)を中心とし、20Gシンボル/s回線速度に対して過剰帯域幅因子αが0.5とされている。図6(a)の送信機フィルタの特性も基本的には2乗レイズドコサイン関数とされているが、伝送される符号の有限のパルス幅を考慮するため1/“sinc”関数を有するようにバンドパス領域38(0≦|f−f0|≦(1−α)/2T)にさらに調整が加えられている。送信機ナイキストおよび受信機ナイキストは、光導波路内に画定される回折格子構造の形、あるいは光ファイバ・ブラッグ・グレーティングの形で製造されることが好ましい。
【0036】
図7には、送信機ナイキストフィルタおよび受信機ナイキストフィルタにより、図4のシュミレートされたアイ(目玉)に及ぼされる作用の結果が示されている。サンプリング時tsに「アイ(目玉)」が殆ど零ISIを有するような作用をフィルタが有しているという点に留意されたい。比較のために、図8には、同じ「アイ(目玉)」が従来のフィルタリング(バターワース・レスポンス)に関して示されている。
【0037】
さらに、図9(a)および図9(b)は、従来のフィルタリング(バターワース・レスポンス)を用いて振幅NRZ変調されたデータ、および本発明に係るナイキスト・フィルタリングを用いて変調されたデータに関する20Gbit/s「アイ」ダイアグラムをそれぞれ示すものであるが、これらの図9(a)および図9(b)に示されているように、光ナイキストフィルタリングを用いると、2値振幅変調といった他の信号フォーマットに対するシステムパフォーマンスも向上する可能性があることが分かる。ナイキスト・フィルタリング、すなわち、サンプリング時に各符号に対して符号間干渉を最小化するように選ばれるレスポンスを持ったフィルタを使う光フィルタリングを用いることは、変調フォーマットの如何によらず、本発明の権利範囲に含まれるものとみなす。
【0038】
本発明は、上述の実施形態に限定されることなく発明の要旨を逸脱しない範囲において様々に変形可能なことは明らかである。光搬送波を変調するための光差分4位相偏移変調(DQPSK)の使用が本発明による権利範囲である一方で、他の複数レベルの(M位相の)DPSKを用いることも考えられる。ここで、M=2nでnは整数n=2,3,…である。さらに、変調装置にMZIを用いることが特に好ましいとはいえ、光搬送波を位相変調するために他の位相変調器を用いても構わない。これらの位相変調器の中には、例えば、従属接続型の位相変調器や、あるいは複数レベルのドライブ信号によって駆動される単一の位相変調器が含まれる。
【符号の説明】
【0039】
2・・・レーザ(変調装置)
4・・・光スプリッタ(変調装置)
6,8・・・マッハ・ツェンダ位相変調器(変調装置)
10・・・固定位相調整器(変調装置)
12・・・光再結合器(変調装置)
14・・・変調された光信号
16・・・プレコーディング回路(変調装置)
28・・・光スプリッタ(復調装置)
30,32・・・不平衡化されたマッハ・ツェンダ干渉計(復調装置)
30a,30b,32a,32b・・・マッハ・ツェンダ干渉計のアーム(復調装置)
34,36・・・光・電気変換器(復調装置)
d1(t),d2(t)・・・データ・ストリーム
x1(t),y2(t)・・・復調されて得られた出力電気信号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイナリ電気信号に応答して、光搬送波を直接的に変調する光位相変調器構成を具備し、
光位相変調器は、
光搬送波を2つの成分に分割するスプリッタと、
駆動信号のうちの1つに応答して、光搬送波信号の1つの成分の位相を変調するマッハツェンダ干渉計と、
他の駆動信号に応答して、光搬送波信号の他の成分の位相を変調する第2のマッハツェンダ干渉計と
を具備し、
ここで、第2のマッハツェンダ干渉計は、実質的にπ/2ラジアンの位相シフトを与える位相シフタと直列である
ことを特徴とする光MPSK(M位相偏移変調)変調装置。
【請求項2】
複数のバイナリデータストリームを入力として受信し、かつ、複数のバイナリ駆動電気信号を生成するために該入力を差分的に符号化するプレコーディング回路と、
バイナリ駆動電気信号に応答して、光搬送波を直接的に変調する光位相変調器構成と
を具備し、
位相変調器は、2つの並列なアームを具備し、
そのうちの1つには、実質的にπ/2ラジアンの位相シフトを与える位相シフタがある
ことを特徴とする光DMPSK(差分的M位相偏移変調)変調装置。
【請求項3】
光位相変調器構成は、
光搬送波を2つの成分に分割するスプリッタと、
駆動信号のうちの1つに応答して、光搬送波信号の1つの成分の位相を変調するマッハツェンダ干渉計と、
他の駆動信号に応答して、光搬送波信号の他の成分の位相を変調する第2のマッハツェンダ干渉計と
を具備する
ことを特徴とする請求項2に記載の光DMPSK変調装置。
【請求項4】
複数のバイナリデータストリームを入力として受信し、かつ、複数の駆動信号を生成するために該入力を差分的に符号化するプレコーディング回路と、
駆動信号に応答して光搬送波を直接的に変調し、かつ、差分M(M=2n)位相偏移変調された光搬送波信号を提供する光位相変調器と
を具備する
ことを特徴とする光DMPSK変調装置。
【請求項5】
変調された光信号は、差分4位相偏移変調(DQPSK)信号である
ことを特徴とする請求項4に記載の光DMPSK変調装置。
【請求項6】
光位相変調器は、
光搬送波を2つの成分に分割するスプリッタと、
駆動信号のうちの1つに応答して、光搬送波信号の1つの成分の位相を変調する第1のマッハツェンダ干渉計と、
他の駆動信号に応答して、光搬送波信号の他の成分の位相を変調する第2のマッハツェンダ干渉計と
を具備し、
ここで、第2のマッハツェンダ干渉計は、実質的にπ/2ラジアンの位相シフトを与える位相シフタと直列である
ことを特徴とする請求項4に記載の光DMPSK変調装置。
【請求項7】
2つの入力データストリームに応答して、2つの駆動信号を提供する差分プレコーダと、
2つの駆動信号に応答して、差分位相偏移変調された光信号を生成する光位相変調器と
を具備する
ことを特徴とするDQPSK光変調器。
【請求項8】
光位相変調器は、マッハツェンダ電気光変調器を具備する
ことを特徴とする請求項7に記載のDQPSK変調器。
【請求項9】
光位相変調器は、
駆動信号のうちの1つに応答して、光搬送波信号の位相を変調するマッハツェンダ干渉計と、
他の駆動信号に応答して、光搬送波信号の位相を変調する他のマッハツェンダ干渉計と
を具備する
ことを特徴とする請求項7に記載の光変調器。
【請求項10】
2つの入力データストリームに応答して、2つの駆動信号を提供する差分プレコーダと、
2つの駆動信号に応答して、差分位相偏移変調された光信号を生成する光位相変調器と
を具備し、
ここで、光位相変調器は、
光搬送波を2つの成分に分割するスプリッタと、
駆動信号のうちの1つに応答して、光搬送波の1つの成分を変調する第1の光位相変調器と、
他の駆動信号に応答して、光搬送波の他の成分を変調する第2の光位相変調器と、
第1の光位相変調器に結合され、変調された信号の位相をπ/2だけシフトする位相シフタと、
光搬送波の変調された成分を結合する再結合器と
を具備する
ことを特徴とするDQPSK変調器。
【請求項11】
光位相変調器は、マッハツェンダ電気光変調器である
ことを特徴とする請求項10に記載のDQPSK変調器。
【請求項12】
複数のバイナリデータストリームをベースバンド駆動信号に差分的に符号化することと、
ベースバンド駆動信号を用いて光位相変調器を直接的に駆動することと、
光搬送波信号を変調するために、光位相変調器を使用して、差分M(M=2n)位相偏移変調された光搬送波信号を生成することと
を具備する
ことを特徴とする光変調のための方法。
【請求項13】
差分M(M=2n)位相偏移変調された光搬送波信号は、差分4位相偏移変調(DQPSK)された光搬送波信号である
ことを特徴とする請求項12に記載の光変調のための方法。
【請求項14】
2つのバイナリデータストリームを2つのベースバンド駆動信号に差分的に符号化することと、
第1のベースバンド駆動信号を用いて第1のマッハツェンダ干渉計を直接的に駆動することと、
第2のベースバンド駆動信号を用いて第2のマッハツェンダ干渉計を直接的に駆動することと、
第1のマッハツェンダ干渉計および第2のマッハツェンダ干渉計の出力を結合することと
を具備する
ことを特徴とする光変調のための方法。
【請求項15】
第1のマッハツェンダ干渉計の出力を位相シフトする段階を更に具備する
ことを特徴とする請求項14に記載の光変調方法。
【請求項16】
駆動する段階の前に、
光搬送波信号を生成する段階と、
光搬送波信号を少なくとも2つの成分に分割する段階と、
該成分のうちの1つを第1のマッハツェンダ干渉計に結合する段階と、
第2の成分を第2のマッハツェンダ干渉計に結合する段階と
を更に具備する
ことを特徴とする請求項14に記載の光変調方法。
【請求項17】
複数の駆動信号を形成するために、複数のバイナリデータストリームを差分的にプレコーディングすることと、
光搬送波を提供することと、
光差分位相偏移変調された信号を生成するために、駆動信号に応答して、光搬送波を変調することと
を具備することを特徴とする光変調のための方法。
【請求項18】
各々のマッハツェンダ干渉計は、それらのアームの間において、実質的にπ/4および−π/4の相対的な位相シフトを有するように制御される
ことを特徴とする請求項3に記載の光DMPSK変調器。
【請求項19】
DQPSK信号を形成するために光搬送波を変調する方法であって、
2つの駆動信号を形成するために、2つのディジタルデータストリームを差分的にプレコーディングすることと、
差分位相偏移変調された光信号を生成するために、駆動信号を用いて光位相変調器を直接的に駆動することと
を具備する
ことを特徴とする方法。
【請求項20】
2つのデジタル駆動信号に応答して、位相偏移変調された光信号を生成する光位相変調器であって、
光位相変調器は、
光搬送波を2つの成分に分割するスプリッタと、
デジタル駆動信号のうちの1つに応答して、光搬送波の1つの成分を変調する第1のマッハツェンダ干渉計と、
他の駆動信号に応答して、光搬送波の他の成分を変調する第2のマッハツェンダ干渉計と、
第1のマッハツェンダ干渉計に結合され、変調された信号の位相をπ/2だけシフトする位相シフタと、
光搬送波の変調された成分を結合する再結合器と
を具備する
ことを特徴とする光位相変調器。
【請求項21】
2つのデジタル駆動信号に応答して、位相偏移変調された光信号を生成する光位相変調器であって、
光位相変調器は、
光搬送波を2つの成分に分割するスプリッタと、
デジタル駆動信号のうちの1つに応答して、光搬送波の1つの成分を変調する第1のマッハツェンダ干渉計と、
他の駆動信号に応答して、光搬送波の他の成分を変調する第2のマッハツェンダ干渉計と、
第1のマッハツェンダ干渉計に結合され、変調された信号の位相をπ/2だけシフトする位相シフタと、
光搬送波の変調された成分を結合する再結合器と
を具備し、
マッハツェンダ干渉計は、整合遅延部を有する
ことを特徴とする光位相変調器。
【請求項22】
2つのデジタル駆動信号に応答して、位相偏移変調された光信号を生成する光位相変調器であって、
光位相変調器は、
光搬送波を2つの成分に分割するスプリッタと、
デジタル駆動信号のうちの1つに応答して、光搬送波の1つの成分を変調する第1のマッハツェンダ干渉計と、
他の駆動信号に応答して、光搬送波の他の成分を変調する第2のマッハツェンダ干渉計と、
第1のマッハツェンダ干渉計に結合され、変調された信号の位相をπ/2だけシフトする位相シフタと、
光搬送波の変調された成分を結合する再結合器と
を具備し、
マッハツェンダ干渉計は、整合遅延部を有し、
各マッハツェンダ干渉計は、駆動電圧が無い時に最小の光伝送のためにバイアスがかけられている
ことを特徴とする光位相変調器。
【請求項1】
バイナリ電気信号に応答して、光搬送波を直接的に変調する光位相変調器構成を具備し、
光位相変調器は、
光搬送波を2つの成分に分割するスプリッタと、
駆動信号のうちの1つに応答して、光搬送波信号の1つの成分の位相を変調するマッハツェンダ干渉計と、
他の駆動信号に応答して、光搬送波信号の他の成分の位相を変調する第2のマッハツェンダ干渉計と
を具備し、
ここで、第2のマッハツェンダ干渉計は、実質的にπ/2ラジアンの位相シフトを与える位相シフタと直列である
ことを特徴とする光MPSK(M位相偏移変調)変調装置。
【請求項2】
複数のバイナリデータストリームを入力として受信し、かつ、複数のバイナリ駆動電気信号を生成するために該入力を差分的に符号化するプレコーディング回路と、
バイナリ駆動電気信号に応答して、光搬送波を直接的に変調する光位相変調器構成と
を具備し、
位相変調器は、2つの並列なアームを具備し、
そのうちの1つには、実質的にπ/2ラジアンの位相シフトを与える位相シフタがある
ことを特徴とする光DMPSK(差分的M位相偏移変調)変調装置。
【請求項3】
光位相変調器構成は、
光搬送波を2つの成分に分割するスプリッタと、
駆動信号のうちの1つに応答して、光搬送波信号の1つの成分の位相を変調するマッハツェンダ干渉計と、
他の駆動信号に応答して、光搬送波信号の他の成分の位相を変調する第2のマッハツェンダ干渉計と
を具備する
ことを特徴とする請求項2に記載の光DMPSK変調装置。
【請求項4】
複数のバイナリデータストリームを入力として受信し、かつ、複数の駆動信号を生成するために該入力を差分的に符号化するプレコーディング回路と、
駆動信号に応答して光搬送波を直接的に変調し、かつ、差分M(M=2n)位相偏移変調された光搬送波信号を提供する光位相変調器と
を具備する
ことを特徴とする光DMPSK変調装置。
【請求項5】
変調された光信号は、差分4位相偏移変調(DQPSK)信号である
ことを特徴とする請求項4に記載の光DMPSK変調装置。
【請求項6】
光位相変調器は、
光搬送波を2つの成分に分割するスプリッタと、
駆動信号のうちの1つに応答して、光搬送波信号の1つの成分の位相を変調する第1のマッハツェンダ干渉計と、
他の駆動信号に応答して、光搬送波信号の他の成分の位相を変調する第2のマッハツェンダ干渉計と
を具備し、
ここで、第2のマッハツェンダ干渉計は、実質的にπ/2ラジアンの位相シフトを与える位相シフタと直列である
ことを特徴とする請求項4に記載の光DMPSK変調装置。
【請求項7】
2つの入力データストリームに応答して、2つの駆動信号を提供する差分プレコーダと、
2つの駆動信号に応答して、差分位相偏移変調された光信号を生成する光位相変調器と
を具備する
ことを特徴とするDQPSK光変調器。
【請求項8】
光位相変調器は、マッハツェンダ電気光変調器を具備する
ことを特徴とする請求項7に記載のDQPSK変調器。
【請求項9】
光位相変調器は、
駆動信号のうちの1つに応答して、光搬送波信号の位相を変調するマッハツェンダ干渉計と、
他の駆動信号に応答して、光搬送波信号の位相を変調する他のマッハツェンダ干渉計と
を具備する
ことを特徴とする請求項7に記載の光変調器。
【請求項10】
2つの入力データストリームに応答して、2つの駆動信号を提供する差分プレコーダと、
2つの駆動信号に応答して、差分位相偏移変調された光信号を生成する光位相変調器と
を具備し、
ここで、光位相変調器は、
光搬送波を2つの成分に分割するスプリッタと、
駆動信号のうちの1つに応答して、光搬送波の1つの成分を変調する第1の光位相変調器と、
他の駆動信号に応答して、光搬送波の他の成分を変調する第2の光位相変調器と、
第1の光位相変調器に結合され、変調された信号の位相をπ/2だけシフトする位相シフタと、
光搬送波の変調された成分を結合する再結合器と
を具備する
ことを特徴とするDQPSK変調器。
【請求項11】
光位相変調器は、マッハツェンダ電気光変調器である
ことを特徴とする請求項10に記載のDQPSK変調器。
【請求項12】
複数のバイナリデータストリームをベースバンド駆動信号に差分的に符号化することと、
ベースバンド駆動信号を用いて光位相変調器を直接的に駆動することと、
光搬送波信号を変調するために、光位相変調器を使用して、差分M(M=2n)位相偏移変調された光搬送波信号を生成することと
を具備する
ことを特徴とする光変調のための方法。
【請求項13】
差分M(M=2n)位相偏移変調された光搬送波信号は、差分4位相偏移変調(DQPSK)された光搬送波信号である
ことを特徴とする請求項12に記載の光変調のための方法。
【請求項14】
2つのバイナリデータストリームを2つのベースバンド駆動信号に差分的に符号化することと、
第1のベースバンド駆動信号を用いて第1のマッハツェンダ干渉計を直接的に駆動することと、
第2のベースバンド駆動信号を用いて第2のマッハツェンダ干渉計を直接的に駆動することと、
第1のマッハツェンダ干渉計および第2のマッハツェンダ干渉計の出力を結合することと
を具備する
ことを特徴とする光変調のための方法。
【請求項15】
第1のマッハツェンダ干渉計の出力を位相シフトする段階を更に具備する
ことを特徴とする請求項14に記載の光変調方法。
【請求項16】
駆動する段階の前に、
光搬送波信号を生成する段階と、
光搬送波信号を少なくとも2つの成分に分割する段階と、
該成分のうちの1つを第1のマッハツェンダ干渉計に結合する段階と、
第2の成分を第2のマッハツェンダ干渉計に結合する段階と
を更に具備する
ことを特徴とする請求項14に記載の光変調方法。
【請求項17】
複数の駆動信号を形成するために、複数のバイナリデータストリームを差分的にプレコーディングすることと、
光搬送波を提供することと、
光差分位相偏移変調された信号を生成するために、駆動信号に応答して、光搬送波を変調することと
を具備することを特徴とする光変調のための方法。
【請求項18】
各々のマッハツェンダ干渉計は、それらのアームの間において、実質的にπ/4および−π/4の相対的な位相シフトを有するように制御される
ことを特徴とする請求項3に記載の光DMPSK変調器。
【請求項19】
DQPSK信号を形成するために光搬送波を変調する方法であって、
2つの駆動信号を形成するために、2つのディジタルデータストリームを差分的にプレコーディングすることと、
差分位相偏移変調された光信号を生成するために、駆動信号を用いて光位相変調器を直接的に駆動することと
を具備する
ことを特徴とする方法。
【請求項20】
2つのデジタル駆動信号に応答して、位相偏移変調された光信号を生成する光位相変調器であって、
光位相変調器は、
光搬送波を2つの成分に分割するスプリッタと、
デジタル駆動信号のうちの1つに応答して、光搬送波の1つの成分を変調する第1のマッハツェンダ干渉計と、
他の駆動信号に応答して、光搬送波の他の成分を変調する第2のマッハツェンダ干渉計と、
第1のマッハツェンダ干渉計に結合され、変調された信号の位相をπ/2だけシフトする位相シフタと、
光搬送波の変調された成分を結合する再結合器と
を具備する
ことを特徴とする光位相変調器。
【請求項21】
2つのデジタル駆動信号に応答して、位相偏移変調された光信号を生成する光位相変調器であって、
光位相変調器は、
光搬送波を2つの成分に分割するスプリッタと、
デジタル駆動信号のうちの1つに応答して、光搬送波の1つの成分を変調する第1のマッハツェンダ干渉計と、
他の駆動信号に応答して、光搬送波の他の成分を変調する第2のマッハツェンダ干渉計と、
第1のマッハツェンダ干渉計に結合され、変調された信号の位相をπ/2だけシフトする位相シフタと、
光搬送波の変調された成分を結合する再結合器と
を具備し、
マッハツェンダ干渉計は、整合遅延部を有する
ことを特徴とする光位相変調器。
【請求項22】
2つのデジタル駆動信号に応答して、位相偏移変調された光信号を生成する光位相変調器であって、
光位相変調器は、
光搬送波を2つの成分に分割するスプリッタと、
デジタル駆動信号のうちの1つに応答して、光搬送波の1つの成分を変調する第1のマッハツェンダ干渉計と、
他の駆動信号に応答して、光搬送波の他の成分を変調する第2のマッハツェンダ干渉計と、
第1のマッハツェンダ干渉計に結合され、変調された信号の位相をπ/2だけシフトする位相シフタと、
光搬送波の変調された成分を結合する再結合器と
を具備し、
マッハツェンダ干渉計は、整合遅延部を有し、
各マッハツェンダ干渉計は、駆動電圧が無い時に最小の光伝送のためにバイアスがかけられている
ことを特徴とする光位相変調器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【公開番号】特開2010−154559(P2010−154559A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57452(P2010−57452)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【分割の表示】特願2002−552220(P2002−552220)の分割
【原出願日】平成13年12月18日(2001.12.18)
【出願人】(300044643)オクラロ・テクノロジー・ピーエルシー (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【分割の表示】特願2002−552220(P2002−552220)の分割
【原出願日】平成13年12月18日(2001.12.18)
【出願人】(300044643)オクラロ・テクノロジー・ピーエルシー (6)
【Fターム(参考)】
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