説明

光電センサ

【課題】投光面での光量の減少を抑え、光の強度を高め、また、投光面に対する傷、埃等が付くことにより光量が減少した場合に容易にこの投光面を交換する。
【解決手段】光を投光する投光部と、光を受光する受光部と、投光部または、投光部及び受光部を収納する筐体5と、投光部により投光された光を集光して検出領域に投光するレンズ7を有し、筐体に取り付けられるアタッチメント6とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は光電センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子部品などの微細化に伴い、細径の光ファイバを使用した光電センサが増えている。この光電センサでは、光ファイバと、この光ファイバの端部に取り付けられたスリーブにより構成されたファイバユニットを用い、このファイバユニットの光ファイバ端部を、発光素子が設けられたアンプユニットの接続口に接続して構成している(特許文献1参照)。
【0003】
この光電センサでは、まず、アンプユニットの発光素子により発光された光をファイバユニットの投光ヘッド部であるスリーブに送り、投光ヘッド部のうち検出対象物体が通過する領域(検出領域)に対向する面(投光面)から、検出領域に投光する。次いで、この検出領域を介して投光された光を受光側のファイバユニットを介してアンプユニットに設けられた受光素子で受光する。ここで、検出対象である微細部品が検出領域を通過する際に検出領域に投光された光を遮った場合、受光素子での受光量が減少し、この微細部品が検出領域内に存在していることを判定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−52197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示される光電センサでは、アンプユニットの発光素子とファイバユニットの光ファイバとの結合効率が悪いため、発光素子により発光された光のかなりの部分をロスしてしまい、投光面から投光された光の光量が減少してしまうという課題がある。また、光ファイバにより導光された光を投光面でそのまま投光しているため、光の強度が弱いという課題がある。
【0006】
また、光電センサを使用していると、投光面に物体が接触して傷付き、あるいは、埃等が付着することにより、投光される光の光量が減少してしまう。この場合、ファイバユニット全体を交換する必要があり、手間がかかるという課題がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、投光面での光量の減少を抑え、光の強度を高め、また、投光面に対する傷、埃等が付くことにより光量が減少した場合に容易にこの投光面を交換することができる光電センサを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る光電センサは、光を投光する投光部と、光を受光する受光部と、投光部または、投光部及び受光部を収納する筐体と、投光部により投光された光を集光して検出領域に投光するレンズを有し、筐体に取り付けられるアタッチメントとを備えるものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、上記のとおり、投光部または、投光部及び受光部を収納する筐体と、投光部により投光された光を集光して検出領域に投光するレンズを有するアタッチメントとを備える構成としたので、投光面での光量の減少を抑え、光の強度を高め、また、投光面に対する傷、埃等が付くことにより光量が減少した場合に容易にこの投光面を交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係る光電センサの構成を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1における投光ヘッド部の構成を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態2における投光ヘッド部の構成を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態2における投光ヘッド部の別の構成を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態3における投光ヘッド部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る光電センサの構成を示す図である。
光電センサは、図1に示すように、投光ヘッド部1、受光ヘッド部2及びアンプユニット3により構成される。
【0012】
投光ヘッド部1は、物体(微細部品)が搬送される搬送路上に設けた検出領域に対して光を投光するものであり、搬送路に設けられた孔に挿入されて配置されている。また、この投光ヘッド部1は電線によりアンプユニット3に接続されている。この投光ヘッド部1の詳細については後述する。
【0013】
受光ヘッド部2は、検出領域を介して投光ヘッド部1から投光された光を受光するものであり、検出領域を介して投光ヘッド部1に対向する位置に配置される。受光ヘッド部2は、フォトダイオード(PD)等の受光素子を有する受光部を備え、電線によりアンプユニット3に接続されている。この受光ヘッド部2の受光部により受光された光の受光量を示す受光信号はアンプユニット3に送信される。
【0014】
アンプユニット3は、投光ヘッド部1及び受光ヘッド部2の動作を制御するものであり、検出領域に存在する物体の有無を検出する処理部3aを有している。この処理部3aは、受光ヘッド部2により受光された受光量に基づいて、受光量が所定の閾値より少ない場合には、検出領域内に物体が存在すると判定する。
【0015】
次に、投光ヘッド部1の構成について説明する。図2はこの発明の実施の形態1に係る投光ヘッド部1の構成を示す図である。
投光ヘッド部1は、図2に示すように、発光素子4、筐体5、アタッチメント6及び集光レンズ7により構成される。
【0016】
発光素子4は、光を投光する投光部として機能するものであり、アンプユニット3による制御に従い光を発光するものである。この発光素子4は、発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード(LD)等により構成される。
【0017】
筐体5は、発光素子4を収納するものであり、少なくとも一端が開口した空洞部5aを有した円柱状に形成されている。この空洞部5aの先端側には、発光素子4を接着・固定するための接着部5bが形成されている。また、筐体5の先端側の外周面には、アタッチメント6の後述するねじ部6bと螺合するねじ部5cが形成されている。
このように構成された筐体5の接着部5bに発光素子4が収納されて、接着剤により固定される。
【0018】
アタッチメント6は、発光素子4が収納された筐体5と接続し、発光素子4により発光された光を検出領域に投光するものであり、筐体5と接続される端が開口するとともに、他端は微小径の孔6cを残し閉口した空洞部6aを有した円柱状に形成されている。この空洞部6aの背面側には、筐体5のねじ部5cと螺合するねじ部6bが形成されている。また、空洞部6aの先端には、投光面である集光レンズ7が取り付けられている。
このように構成されたアタッチメント6は、ねじ部6bを筐体5のねじ部5cと螺合させることにより、筐体5に着脱可能に取り付けられる。
また、孔6cには図示しない光ファイバを埋め込むなどして固定し、当該光ファイバの先端が適切に検出領域に対向するよう配置することが好ましい。
【0019】
集光レンズ7は、発光素子4により発光された光を集光して検出領域に投光するものであり、投光面として機能するものである。この集光レンズ7は、アタッチメント6の空洞部6aに、例えば接着剤で固着あるいはアタッチメント6に設けられた溝(図示せず)への嵌め込み等の手段により固定されて取り付けられる。
【0020】
次に、上記のように構成された光電センサの動作について説明する。
まず、投光ヘッド部1は検出領域に光を投光する。すなわち、アンプユニット3による制御に従い、発光素子4は光を発光して、アタッチメント6の先端に取り付けられた集光レンズ7に直接投光する。次いで、集光レンズ7は、発光素子4により発光された光を集光して検出領域に投光する。
【0021】
次いで、受光ヘッド部2は、検出領域を介して投光ヘッド部1により投光された光を受光する。この受光ヘッド部2により受光された光の受光量を示す受光信号はアンプユニット3の処理部3aに送信される。
【0022】
次いで、処理部3aは検出領域内の物体の有無を検出する。すなわち、処理部3aは、受光ヘッド部2により受光された受光量に基づいて、受光量が所定の閾値より少ない場合には、検出領域に物体が存在していると判定する。
【0023】
ここで、従来アンプユニット3内に配置されていた発光素子4を投光ヘッド部1に配置することで、直接、投光面である集光レンズ7に光を投光することができるため、この集光レンズ7から検出領域に投光される光量の減少を大幅に抑えることができる。
また、投光面として集光レンズ7を用いたので、発光素子4により発光された光を集光して検出領域に投光することができるため、集光効率を向上させることで、光の強度を高めることができる。
更に、アタッチメント6の一端に孔6cを設けることにより、集光レンズ7により集光した光を、拡散を最小限に抑えた細径のままアタッチメント6の外部(即ち検出領域)へ向けて投光することができるので、特に検出対象物体が微小であるときに有効な効果が得られるうえ、孔6cに光ファイバを固定した場合は更に、光ファイバの可撓性のため、集光レンズ7により集光した光を検出領域の存在する方向に適切に投光することが可能になるとともに、アタッチメント6の外部から内部に埃等が侵入して光学性能を損じることを防止できる。
【0024】
また、光電センサの使用過程で、集光レンズ7に物体が接触して傷付くことにより、あるいは埃が溜まる等により、この集光レンズ7から投光される光量が低下した場合に、この集光レンズ7が取り付けられたアタッチメント6を筐体5から取り外すことによって容易に交換することができる。
【0025】
以上のように、この実施の形態1によれば、発光素子4を収納した筐体5に、投光面である集光レンズ7を有するアタッチメント6を取り付けて、発光素子4を投光ヘッド部1内に配置したので、発光素子4により発光された光を直接集光レンズ7に投光して集光させることができるため、集光レンズ7により投光される光量の減少を抑えることができ、集光効率を向上させることで光の強度を高めることができる。
また、筐体5とアタッチメント6とを着脱可能に取り付けたので、投光面である集光レンズ7に物体が接触して傷付くことにより、あるいは埃が溜まる等により、光量が減少した場合にも、容易にこの集光レンズ7を交換することができる。
【0026】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2に係る投光ヘッド部1の構成を示す図である。
図3に示す実施の形態2に係る投光ヘッド部1は、図2に示す実施の形態1に係る投光ヘッド部1の集光レンズ7の替わりに、アタッチメント6に、光を集光する集光壁部6dを設けたものである。その他の構成は同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0027】
アタッチメント6は、発光素子4が収納された筐体5と接続し、発光素子4により発光された光を検出領域に光を投光するものであり、背面側が開口し、先端側に孔6cが形成された空洞部6aを有した円柱状に形成されている。この空洞部6aの背面側には、筐体5のねじ部5cと螺合するねじ部6bが形成されている。また、孔6cの背面には、発光素子4により発光された光を集光して、孔6cを介して検出領域に投光するための集光壁部6dが形成されている。この集光壁部6dは、所定の角度で略円錐形に加工し、加工面を鏡面仕上げすることにより形成される。なお、孔6cには、光ファイバ、ガラス、プラスチック等の光を透過する透明部材が取り付けられ、投光面として機能する。集光レンズ7で集光した光を検出領域に細径に投光することができるので、微細部品の検知において特に有効である。このとき、孔6cの内寸法と、微細部品検知の検出領域の大きさとを近しいものとして設計することにより、孔6cを通って検出領域へ投光した光を効率よく検知に用いることができる。
このように構成されたアタッチメント6は、ねじ部6bを筐体5のねじ部5cと螺合させることにより、筐体5に着脱可能に取り付けられる。
【0028】
なお、集光壁部6dの形状は、図3に示すように、略円錐形状に限るものではなく、発光素子4により発光された光を集光して、孔6cを介して投光することができるものであればよく、図4に示すような、所定の曲率を有する略球面上に形成してもよい。
【0029】
以上のように、この実施の形態2によれば、発光素子4により発光された光を集光する集光壁部6dが形成されたアタッチメント6を用いて構成することによっても、実施の形態1に係る光電センサと同様の効果を得ることができる。
【0030】
実施の形態3.
図5はこの発明の実施の形態3に係る投光ヘッド部1の構成を示す図である。
図5に示す実施の形態3に係る投光ヘッド部1は、図2−4に示す実施の形態1,2に係る投光ヘッド部1に設けられた発光素子4をアンプユニット3内に設け、この発光素子4により発光された光を導光する光ファイバ8の出射端部8aを投光ヘッド部1に収納したものである。その他の構成は同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0031】
光ファイバ8は、アンプユニット3に設けられた発光素子4からの光を導光して、出射端部8aから集光レンズ7または集光壁部6dに投光するものであり、投光ヘッド部1とアンプユニット3とを接続するものである。この光ファイバ8の出射端部8aは、光を投光する投光部として機能するものであり、筐体5の接着部5bに収納されて、接着剤により固定される。
【0032】
以上のように、この実施の形態3によれば、アンプユニット3内に発光素子4を設けて、この発光素子4による光を導光する光ファイバ8の出射端部8aを投光ヘッド部1に収納するように構成しても、光ファイバ8の出射端部8aからの光を集光レンズ7または集光壁部6dによって集光することができるため、集光効率を高めることができる。
【0033】
なお、この発明の実施の形態1−3に係る光電センサでは、投光ヘッド部1と受光ヘッド部2とを検出領域を介して対向配置させた透過型光電センサに構成したが、これに限るものではなく、反射型光電センサに構成してもよい。
【0034】
この反射型光電センサの場合には、投光部と受光部を筐体に収納した検出ヘッド部と、投光部により投光された光を反射して受光部に送るリフレクタとを設けて、この検出ヘッド部とリフレクタとを検出領域を介して対向配置させることにより構成する。
【0035】
また、この発明の実施の形態1,2に係る光電センサでは、筐体5とアタッチメント6にねじ部5c,6bを形成して、螺合させることにより着脱可能に取り付けるように構成したが、これに限るものではなく、筐体5からアタッチメント6を着脱可能であればよく、例えば、カプラにより筐体5とアタッチメント6とを取り付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 投光ヘッド部
2 受光ヘッド部
3 アンプユニット
3a 処理部
4 発光素子
5 筐体
5a 空洞部
5b 接着部
5c ねじ部
6 アタッチメント
6a 空洞部
6b ねじ部
6c 孔
6d 集光壁部
7 集光レンズ
8 光ファイバ
8a 出射端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を投光する投光部と、
光を受光する受光部と、
前記投光部または、前記投光部及び前記受光部を収納する筐体と、
前記投光部により投光された光を集光して検出領域に投光するレンズと、
前記レンズを保持した状態で前記筐体に取り付けられるアタッチメントと
を備える光電センサ。
【請求項2】
光を投光する投光部と、
光を受光する受光部と、
前記投光部または、前記投光部及び前記受光部を収納する筐体と、
前記筐体に取り付けられるアタッチメントとを備え、
前記アタッチメントには透明部材が取り付けられた孔と、前記孔の背面側に、前記投光部により投光された光を集光して前記孔を介して検出領域に投光する集光壁部とが設けられた
ことを特徴とする光電センサ。
【請求項3】
投光部は、光を発光する発光素子である
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の光電センサ。
【請求項4】
投光部は、発光素子により発光された光を導光する光ファイバの出射端部である
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の光電センサ。
【請求項5】
前記アタッチメントは、前記筐体に着脱可能に取り付けられる
ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか1項記載の光電センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−187416(P2011−187416A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54552(P2010−54552)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】