説明

光電変換素子の実装位置情報取得方法及び光電変換モジュールの製造方法

【課題】光電変換素子をフェルールに対して高い位置決め精度で搭載することのできる光電変換モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】光電変換素子20とフェルール10とを備えた光電変換モジュールの製造方法であって、フェルール10を用意するフェルール用意工程と、中心から中心に最も近い外縁までの距離が開口12aの半径より小さい素子マーク52が設けられ検査光を透過する透明チップ50を、素子搭載面11に載置する透明チップ載置工程と、検査光を素子搭載面11の反対側からファイバ挿通孔12に入射して透明チップ50を透過させ、素子搭載面11側から観察される素子マーク52の影の中心Bと、開口12aの中心Aとのずれ量を位置合わせ情報として取得する位置合わせ情報取得工程と、位置合わせ情報を用いて、フェルール10と光電変換素子20とを位置合わせし、光電変換素子20を素子搭載面11に搭載する素子搭載工程と、を有する光電変換モジュールの製造方法により上記目的が達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光信号及び電気信号を相互に変換する光電変換素子のフェルールへの実装位置情報取得方法、及びこれを用いた光電変換モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路等の電子部品の設計や製造上に生じる様々な問題を事前に見つけ出すために、シリコン等の半導体材料上にアルミニウム等で電極を形成したTEG(Test Element Group)チップを基板へ搭載し、実装状態を評価することが知られている(特許文献1)。
【0003】
一方、近年、電気配線間の一部を光配線に置き換えて電子機器間の信号の伝送効率を向上させることが試みられている。このように電気配線間の一部を光配線に置き換えるために、電気信号を光信号に変換する、あるいは、光信号を電気信号に変換するために、特許文献2に記載のような光電変換モジュールが用いられている。光電変換モジュールは、素子搭載面に開口し光ファイバが固定されるファイバ挿通孔が形成されたフェルールと、開口と対向するようにフェルールの素子搭載面に取り付けられた光電変換素子とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−25272号公報
【特許文献2】特許第4351965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載のような光電変換モジュールにおいて、光電変換素子は、その活性層がファイバ挿通孔の開口に対向するように、素子搭載面に搭載する必要がある。活性層が開口中心からずれて搭載されてしまうと、光電変換効率が著しく低下するからである。しかしながら、これまでのところ、TEGチップ等を用いて、光電変換素子とフェルールの位置を精密に調整できる光電変換モジュールの製造方法は確立されていなかった。
【0006】
そこで本発明は、光電変換素子をフェルールに対して高い位置決め精度で搭載することのできる光電変換素子の実装位置情報取得方法、及びこれを用いた光電変換モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明によれば、光電変換素子が搭載される素子搭載面と、前記素子搭載面に開口が設けられたファイバ挿通孔が貫通形成されたフェルールを用意するフェルール用意工程と、
中心から最も近い外縁と前記中心との距離が前記開口の半径より小さい素子マークが設けられ検査光を透過する透明チップを、前記素子搭載面に載置する透明チップ載置工程と、
検査光を前記素子搭載面の反対側から前記ファイバ挿通孔に入射して前記透明チップを透過させ、前記素子搭載面側から観察される前記素子マークの影の中心と、前記ファイバ挿通孔の前記開口の中心とのずれ量を位置合わせ情報として取得する位置合わせ情報取得工程と、
を有する光電変換素子の実装位置情報取得方法が提供される。
【0008】
上記実装位置情報取得方法において、前記素子マークは前記開口と相似形状としてもよい。
また、上記実装位置情報取得方法において、前記素子マークの面積は、前記開口の面積の半分以下としてもよい。
また、上記実装位置情報取得方法において、前記素子マークは前記透明チップに形成された金属層としてもよい。
また、上記実装位置情報取得方法において、前記透明チップは、可視光を透過するガラスから形成してもよい。
また、上記実装位置情報取得方法において、前記素子搭載面は、前記ファイバ挿通孔の軸方向と直交する面に対して傾いていてもよい。
また、上記実装位置情報取得方法において、前記位置合わせ情報取得工程において、観察方向を前記素子搭載面と直交させた状態で、前記位置合わせ情報を取得してもよい。
【0009】
上記課題を解決するために本発明によれば、
光電変換素子と、
前記光電変換素子が搭載される素子搭載面を備え、前記素子搭載面に開口が設けられたファイバ挿通孔が貫通形成されたフェルールと、を備えた光電変換モジュールの製造方法であって、
上記の光電変換素子の実装位置情報取得方法に基づいて前記位置合わせ情報を取得する位置合わせ情報取得工程と、
光電変換素子および前記フェルールを用意する工程と、
前記位置合わせ情報を用いて、前記フェルールと前記光電変換素子とを位置合わせし、前記光電変換素子を前記素子搭載面に搭載する素子搭載工程と、を有する光電変換モジュールの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る光電変換素子の実装位置情報取得方法によれば、素子マークを有する透明チップにより、光電変換モジュールのフェルールに対する正確な位置合わせ情報を取得することができる。
【0011】
更に、この位置合わせ情報を取得する際に、挿通孔と透明チップを透過した検査光により開口のなかに浮かび上がるように見える素子マークの影を観察するので、両者の輪郭を明確に認識し正確な位置合わせ情報を取得することができる。また、素子マークは開口よりも小さいので、素子マークの影と開口とを比較することが容易であり、容易に正確な位置合わせ情報を取得することができる。
【0012】
よって、上記本発明の光電変換素子の実装位置情報取得方法を用いた光電変換モジュールの製造方法によれば、事前に取得した光電変換素子の正確な位置合わせ情報をもとに光電変換素子をフェルールに対して高い位置決め精度で搭載することができるので、高い変換効率を備えた光電変換モジュールを安定して提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る光電変換モジュールを示す模式図である。
【図2】(a)はフェルールの素子搭載面の上面図であり、(b)は透明チップの上面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る光電変換素子の実装位置情報取得工程を示す模式図である。
【図4】図3において撮像される開口周辺を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る光電変換素子の実装位置情報取得工程を示す模式図である。
【図6】比較例に係る光電変換素子の実装位置情報取得工程において撮像される開口周辺を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る光電変換モジュールの製造工程を示す模式図である。
【図8】本発明の変形例に係る光電変換素子の実装位置情報取得工程を示す模式図である。
【図9】図8において撮像される開口周辺を示す図である。
【図10】参考例に係る光電変換素子の実装位置情報取得工程を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る光電変換素子の実装位置情報取得方法および光電変換モジュールの製造方法の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0015】
<全体構造>
図1は本発明の光電変換モジュールの製造方法により製造され得る光電変換モジュールの断面図である。図1に示したように、光電変換モジュールは、樹脂製のフェルール10と、フェルール10に搭載された光電変換素子20とを備えている。
【0016】
フェルール10は略直方体状の部材であり、一側面には光電変換素子20が搭載される素子搭載面11が形成されている。この素子搭載面11には、長手方向に貫通し光ファイバ30が挿通される挿通孔12の開口12aが形成されている。また、素子搭載面11には導通部材であるリードフレーム40が設けられている。
【0017】
素子搭載面11に搭載されたリードフレーム40は素子搭載面11と隣接する面まで延出し、光電変換素子20を駆動するICまたはTIA(Transimpedance Amplifier)といった図示せぬ制御回路と接続される接続端子が形成されている。
【0018】
光電変換素子20は、フォトダイオード等の受光素子や、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)等の発光素子である。光電変換素子20は受発光面である活性層21が素子搭載面11と対向するようにフェルール10に搭載されており、バンプ22を介して素子搭載面11上のリードフレーム40に固定され、また、電気的に接続されている。
【0019】
以上の如く構成された光電変換モジュールにおいて、光電変換素子20が発光素子の場合、制御回路からリードフレーム40を介して電気信号が光電変換素子20に入力されると、その電気信号に応じて光電変換素子20が光信号を発生させ、光信号は光ファイバ30を通じて外部機器に伝達される。また、光電変換素子20が受光素子の場合は、光ファイバ30を通じて光信号が光電変換素子20に入力されると、その光信号に応じて光電変換素子20が電気信号を発生させ、電気信号がリードフレーム40を介して制御回路に伝達される。
【0020】
上述のように構成される光電変換モジュールの製造方法、およびその工程において適用され得る光電変換素子の実装位置情報取得を図2から図8を参照して説明する。
【0021】
(フェルール用意工程)
まず、図2(a)に示すように、素子搭載面11にリードフレーム40を備えたフェルール10を用意する。フェルール10は、図2(a)に示すような配線パターンが素子搭載面11に形成されるように、リードフレーム40とともに一体的にインサート成型することが好ましい。
【0022】
本実施形態においては、図2(a)に示すように、素子搭載面11における配線パターンとして、素子搭載面11に隣接し互いに対向する面の両側に延在する第1電極41、該両側の面から開口12aに向かって延びる第2電極42、第3電極43が形成されている。もっとも、素子搭載面11に形成する電極パターンは図示した例に限られない。
【0023】
また、素子搭載面11にフェルール側基準マーク13を形成する。このフェルール側基準マーク13はリードフレーム40とともにインサート成型により形成したり、リードフレーム40とは別にスパッタリング、めっき、蒸着等の手段により金属層として形成したり、あるいは単に塗料などにより描いてもよい。
【0024】
(透明チップ用意工程)
次に、図2(b)に示す透明チップ50を用意する。この透明チップ50は擬似的に光電変換素子20を模したものであり、予め光電変換素子20の代わりに透明チップ50を素子搭載面11に搭載し、光電変換素子20のための位置合わせ情報を予め取得することにより、光電変換素子20の位置決め精度を向上させようとするものである。
【0025】
透明チップ50は透明基板51から形成されている。透明基板51は、可視光やX線等の検査光に対して透明な材料から形成すればよく、透明材料としてアクリル樹脂等の透明樹脂を用いることもできるが、後工程でバンプの取付など加熱処理が施されるので、耐熱性や低線膨張係数に優れたホウケイ酸ガラスや石英ガラス等のガラスを用いることが好ましい。また、この透明チップ50の外形は光電変換素子20の外形と一致させることが好ましい。
【0026】
透明基板51の上には、いずれも遮光性の素子マーク52、チップ側基準マーク53、バンプ54が形成されている。バンプ54は、透明基板51のうち、実際の光電変換素子20に形成するバンプ22と一致する箇所に設けられている。本例では、バンプ54は、それぞれ第1電極41に接する2箇所、第2電極に接する1箇所に形成されている。
【0027】
素子マーク52は透明基板51上のうち、光電変換素子20がフェルール10に取り付けられたときに活性層21が占める位置に形成される。この素子マーク52は光電変換素子20の活性層21を模したものである。素子マーク52は後述するように検査光により影を観察するものなので、検査光に対し透明基板51より透過率が低くなるよう構成されており、遮光性を備えたものであることが好ましい。
【0028】
チップ側基準マーク53は、透明チップ50を素子搭載面11の基準位置に搭載する際に、目安となるマークである。具体的には、後述するように透明チップ50を素子搭載面11に搭載する際に、チップ側基準マーク53をフェルール側基準マーク13に一致させるように配置することにより、透明チップ50をフェルール10の基準位置に搭載する。
【0029】
これら素子マーク52及びチップ側基準マーク53は、スパッタリング、めっき、蒸着等の手段により金属層として形成したり、あるいは単に塗料などにより描いてもよい。金属の場合には、例えば金を用いることができる。
【0030】
(透明チップ載置工程)
次に、図3の如く透明チップ50をフェルール10の素子搭載面11に搭載する。まず、チップ側基準マーク53をフェルール側基準マーク13と一致させて、透明チップ50を素子搭載面11の基準位置に配置する。
【0031】
なお、本実施形態ではチップ側基準マーク53をフェルール側基準マーク13に一致させて透明チップ50を基準位置に配置したが、例えば、透明チップ50をフェルール10に搭載するチップマウンタに任意の初期搭載位置を設定しておき、これを基準位置としてもよい。
【0032】
このように、単に透明チップ50を基準位置に配置しただけでは、図4(a)に示すように、透明チップ50の素子マーク52の中心Bが、フェルール10の開口12aの中心Aからずれていることがある。そこで、図4(b)に示すように素子マーク52の中心Bと開口12aの中心Aとが一致するように微調整する必要がある。
【0033】
(位置合わせ情報取得工程)
図5は透明チップ50の位置をフェルール10に対して微調整し、位置合わせ情報を取得する工程を示す模式図である。図5に示すように、検査光として可視光を発する光源60をフェルール10の素子搭載面11とは反対側に配置し、開口12aに向けてカメラ70を素子搭載面11側に配置する。また、カメラ70により挿通孔12及び透明チップ50を通過してきた光を撮像する。このとき、カメラ70が素子搭載面11を正面から撮像できるように、カメラ70の光軸Axを素子搭載面11に対して直交するようにカメラ70を設置することが好ましい。
【0034】
光源60から発せられフェルール10を通過する光のうち、挿通孔12を通過した光はそれほど減衰しないが、フェルール10の挿通孔12以外の領域を通過した光は大きく減衰するか遮蔽される。なお、フェルール10を通過し透明チップ50に入射した光は、素子マーク52によって遮られるが、素子マーク52以外の領域を透過する。したがって、カメラ70により開口12a近傍を撮像すると開口12aが明るく見え、また、素子マーク52により光が遮られて、カメラ70には図4(a),4(b)に示すように素子マーク52の影が映し出される。
【0035】
そこで、このように明瞭に映し出された素子マーク52の影と、開口12aの輪郭とを比較し、素子搭載面11側から観察される素子マーク52の影の中心Bと開口12aの中心Aとのずれ量を位置合わせ情報として取得し、記録しておく。すなわち、位置合わせ情報とは、互いの中心A,Bが一致した目標位置と基準位置とのずれ量である。例えばX−Yテーブルを用いたチップマウンタにより透明チップ50をフェルール10に搭載する場合には、基準位置からのX座標のずれ量及びY座標のずれ量をチップマウンタの記憶装置に記憶させておく。
【0036】
このように素子マーク52と開口12aの輪郭とを比較しながら位置合わせ情報を取得するために、素子マーク52は開口12aよりも小さく形成する。素子マーク52が開口12aよりも大きな場合は、開口12a全体が素子マーク52により遮光されてしまい、互いの中心A,Bのずれ量を観察できなくなるからである。
【0037】
なお、素子マーク52を図示したような円形ではなく、矩形等の様々な形状に形成してもよい。その場合でも、素子マーク52の中心Bに最も近い素子マーク52の外縁と中心Bとの距離を開口12aの半径よりも小さく設定する。このために、素子マーク52の面積を開口12aの面積のおよそ半分以下とすることが好ましい。このようにすれば、素子搭載面11側から観察される素子マーク52の影の中心Bと開口12aの中心Aとのずれ量を容易に取得できる。
【0038】
また、素子マーク52と開口12aの開口との比較を容易とするために、素子マーク52は開口12aの外形と相似形状とすることが好ましい。両者が相似形状であれば、例えば素子マーク52の影の周りに形成される開口12aの輪郭との隙間を素子マーク52の影の全周にわたって一様にするように両者を相対移動することにより、容易に両者の中心A,Bを一致させることができるからである。
【0039】
なお、上述したようにフェルール10の透過光により素子搭載面11を観察する方法の他に、図6に示したように、素子搭載面11側に光源60を配置し、素子搭載面11からの反射光をカメラ70で撮像することも考えられる。しかし、図6に示した構成では、光源60から開口12aの縁部に当たった光が乱反射してしまいカメラ70で撮像した開口12aの輪郭がぼやけてしまう。従って、透過光により素子搭載面11を観察する方法が好ましい。
【0040】
(光電変換モジュールの製造方法)
次に、上記の光電変換素子の実装位置情報取得方法に基づいて取得した位置合わせ情報を用いて、図7に示すように、光電変換素子20を素子搭載面11に搭載する。本実施形態においては、まず、透明チップ50が搭載されていない新たなフェルール10を用意する。次に、素子搭載面11の基準位置と、透明チップ50を用いて取得した位置合わせ情報を元に、光電変換素子20を目標位置に配置する。
【0041】
その結果、透明チップ50の素子マーク52は光電変換素子20の活性層21と一致する位置に形成されているので、素子マーク52の影の中心Bが開口12aの中心Aと一致された目標位置においては、光電変換素子20の活性層21の中心が開口12aの中心Aに一致することになる。
【0042】
光電変換素子20を目標位置に配置したら、光電変換素子20をバンプ22によりリードフレーム40に固定し、更に挿通孔12に光ファイバ30を挿入し固定して、図1に示す光電変換モジュールを作成する。
【0043】
光電変換素子20をフェルール10に搭載する際は、活性層21を素子搭載面11に向けて搭載するので、外側からでは活性層21が光ファイバ30の光軸上に位置されていることを視認できない。しかし、本実施形態のように、透明チップ50を用いて活性層21が光ファイバ30の光軸上に位置するように正確な搭載位置を取得することにより、信頼性の高く変換効率の高い光電変換モジュールを安定して提供することができる。
【0044】
また、本実施形態に係る光電変換モジュールの製造方法によれば、位置合わせ情報を取得する際に、透過光により開口12aの中に浮かび上がる素子マーク52の影を観察するので、両者の輪郭を明確に認識して正確な位置合わせ情報を取得できる。また、素子マーク52は開口12aよりも小さいので、素子マーク52の影と開口12aとを比較することが容易であり、正確な位置合わせ情報を取得することができる。よって、正確な位置合わせ情報をもとに光電変換素子20をフェルール10に対して高い位置決め精度で搭載することができるので、高い変換効率を備えた光電変換モジュールを安定して提供することができる。
【0045】
以上、本発明をその実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができることは、当業者にとって明らかである。
【0046】
上述の実施形態では、可視光を照射する光源と可視光を透過する透明基板とを用いて位置合わせ情報を取得したが、X線光源等と、これら光源からの光を透過する透明基板とを用いて位置合わせ情報を取得するように構成してもよい。
【0047】
上述の実施形態では、透明チップ50をフェルール10に取り付けて位置あわせ情報を取得した後、この位置合わせ情報を用いて別のフェルール10に光電変換素子20を搭載する例を挙げて説明したが、本発明はこの例に限られない。例えば、特定のフェルール10に対して透明チップ50を用いて位置合わせ情報を取得した後、透明チップ50を取り外して、同一のフェルール10に取得した位置合わせ情報を用いて光電変換素子20を取り付けるようにしてもよい。
【0048】
<変形例>
また、上述の実施形態では、素子搭載面11が挿通孔12の長手方向に対して直交して形成された例を挙げて説明したが、図8に示す素子搭載面14が挿通孔12の長手方向に対して直交する面から傾いて形成された光電変換モジュールにおいても、本発明を好適に適用できる。
【0049】
図8に示すように、本変形例に係る光電変換モジュールの素子搭載面14は挿通孔12の長手方向と直交する面に対して傾いて形成されている。一方、カメラ70は素子搭載面11を正面から撮像できるように、カメラ70の光軸Axを素子搭載面11に対して直交するようにカメラ70を設置する。そのため、光源60からの光の一部は挿通孔12の内壁により遮蔽され、カメラ70により撮像できない。したがって、カメラ70で開口12aを撮像すると、図9(a),9(b)に示すように円形の一部が欠けた形状の開口12aが撮像される。素子搭載面14の傾斜角度が大きくなるほど、撮像される開口12aは大きく欠けることになる。
【0050】
このように一部が欠けた像がカメラ70により観察されることになるが、素子マーク52の影の中心Bと開口12aの中心Aとを認識することができれば、図9(b)に示すように両者を一致させるように位置合わせ情報を取得することができる。
【0051】
なお、開口12aが欠けないように撮像するため、図10に示すように、カメラ70の光軸Axを挿通孔12と一致させてカメラ70を配置することが考えられる。しかしこの場合は、カメラ70が傾いて素子搭載面14を観察することになり、正面から素子搭載面14を観察できないので、素子搭載面14に対する素子マーク52の正確な位置を把握できない。したがって、観察方向であるカメラ70の光軸方向を素子搭載面14と直交させた状態で、位置合わせ情報を取得することが好ましい。
【0052】
なお、上述の説明では、透明チップ50を光電変換素子20のフェルール10に対する位置合わせ情報を取得するものとして説明したが、透明チップ50は他の用途にも用いることができる。
【0053】
例えば、リードフレーム40の配線パターンと光電変換素子20に形成するバンプ22の位置とが整合しているかを、透明チップ50をフェルール10に搭載した後、バンプ54とリードフレーム40との導通試験により、確認することができる。もっとも、透明チップ50を単に光電変換素子20の位置合わせ情報を取得するためだけに用いるのであれば、バンプ54を備えない透明チップ50を用いてもよい。
【0054】
また、光ファイバ30をフェルール10に固定するアンダーフィルと呼ばれる接着剤の接着状況を確認するために用いることもできる。例えば、接着剤をファイバ挿通孔12に導入し光ファイバ30をファイバ挿通孔12に挿入すると、接着剤は開口12aから溢れ出し透明チップ50と素子搭載面11,14との間に流れ出し、透明チップ50と光ファイバ30の先端との間の隙間を埋めて光電変換素子20と光ファイバ30との間に異物が侵入することを防止する。この接着剤が良好に該隙間を埋めるように流れるか否かを、透明チップ50を用いて確認することができる。
【0055】
この場合、透明チップ50は透明なので、接着剤が隙間を確実に埋めているか、あるいは、隙間に気泡が生じることなく導入されているか否かを外部から視認することにより、容易に確認することができる。これにより、フェルール10、光電変換素子20あるいはリードフレーム40が適切な形状であるか否かを検討することができる。
【符号の説明】
【0056】
10:フェルール、11,14:素子搭載面、12:挿通孔(ファイバ挿通孔)、12a:開口、A:開口中心、13:フェルール側基準マーク、20:光電変換素子、21:活性層、22:バンプ、30:光ファイバ、40:リードフレーム、41:第1電極、42:第2電極、43:第3電極、50:透明チップ、51:チップ基板、52:素子マーク、B:素子マーク中心、53:チップ側基準マーク、54:バンプ、60:光源、70:カメラ、Ax:カメラ光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換素子が搭載される素子搭載面と、前記素子搭載面に開口が設けられたファイバ挿通孔が貫通形成されたフェルールを用意するフェルール用意工程と、
中心から最も近い外縁と前記中心との距離が前記開口の半径より小さい素子マークが設けられ検査光を透過する透明チップを、前記素子搭載面に載置する透明チップ載置工程と、
検査光を前記素子搭載面の反対側から前記ファイバ挿通孔に入射して前記透明チップを透過させ、前記素子搭載面側から観察される前記素子マークの影の中心と、前記ファイバ挿通孔の前記開口の中心とのずれ量を位置合わせ情報として取得する位置合わせ情報取得工程と、
を有する光電変換素子の実装位置情報取得方法。
【請求項2】
前記素子マークは前記開口と相似形状であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子の実装位置情報取得方法。
【請求項3】
前記素子マークの面積は、前記開口の面積の半分以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の光電変換素子の実装位置情報取得方法。
【請求項4】
前記素子マークは前記透明チップに形成された金属層であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の光電変換素子の実装位置情報取得方法。
【請求項5】
前記透明チップは、可視光を透過するガラスから形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の光電変換素子の実装位置情報取得方法。
【請求項6】
前記素子搭載面は、前記ファイバ挿通孔の軸方向と直交する面に対して傾いていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の光電変換素子の実装位置情報取得方法。
【請求項7】
前記位置合わせ情報取得工程において、観察方向を前記素子搭載面と直交させた状態で、前記位置合わせ情報を取得することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の光電変換素子の実装位置情報取得方法。
【請求項8】
光電変換素子と、
前記光電変換素子が搭載される素子搭載面を備え、前記素子搭載面に開口が設けられたファイバ挿通孔が貫通形成されたフェルールと、を備えた光電変換モジュールの製造方法であって、
請求項1から7のいずれか一項に記載の光電変換素子の実装位置情報取得方法に基づいて前記位置合わせ情報を取得する位置合わせ情報取得工程と、
光電変換素子および前記フェルールを用意する工程と、
前記位置合わせ情報を用いて、前記フェルールと前記光電変換素子とを位置合わせし、前記光電変換素子を前記素子搭載面に搭載する素子搭載工程と、を有する光電変換モジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−16716(P2013−16716A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149657(P2011−149657)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】