光電変換素子及びその製造方法
【課題】高い電解質保持特性と発電特性とを有し、長期間に渡って電解質の漏洩を防止でき、安全性及び高耐久性を有する光電変換素子を提供する。
【解決手段】色素を担持した半導体層4が被着された透明電極3と、透明電極3の半導体層4と対峙する対電極7と、透明電極3と対電極7との間に配置された枠状の封止部と、前記枠状の封止部の内側であって透明電極3と対電極7との間に保持された電解質層とを備え、前記封止部は、電解質層を透明電極3と対電極7との間に注入するための電解質注入部10を備え、電解質注入部10は、封止材で封止されている光電変換素子とする。
【解決手段】色素を担持した半導体層4が被着された透明電極3と、透明電極3の半導体層4と対峙する対電極7と、透明電極3と対電極7との間に配置された枠状の封止部と、前記枠状の封止部の内側であって透明電極3と対電極7との間に保持された電解質層とを備え、前記封止部は、電解質層を透明電極3と対電極7との間に注入するための電解質注入部10を備え、電解質注入部10は、封止材で封止されている光電変換素子とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は色素増感太陽電池などに用いるのに適した光電変換素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1991年にグレッツェルらが提唱した色素増感太陽電池は、シリコン半導体のpn接合とは異なる機構により作動し、高い変換効率を示して注目を浴びてきた。色素増感太陽電池は、光を捕集した色素が生成する励起電子を半導体内に注入することで光電変換を実現している。従って、光捕集力を高めるために増感色素を半導体に多量に担持させること、さらに増感色素からできるだけ早く半導体へ電子を注入させることが重要である。グレッツェル・セルとも言われるこの新しい色素増感太陽電池は、超微粒子の酸化チタンからなる多孔質膜に増感色素であるルテニウム錯体を担持させることで、この課題を解決している(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
このグレッツェル・セルは、酸化チタンの超微粒子を分散したペーストを透明電極に塗布して増感色素を担持させ、対電極との間に電解質を充填するだけで組み立てることができる。従って、従来の太陽電池と比べて、簡便な装置で製造が可能であり、次世代太陽電池の一つとして注目されている。
【0004】
一対の電極基板を備えたセルに電解質を充填する製造方法は、セルの一辺に形成した開口部から液晶材料を注入する液晶表示装置の製造方法と類似している(例えば、特許文献1参照。)。このような公知の技術を応用してセルの開口部から電解質を充填する場合、単に両電極間に電解質を保持するだけではなく、物理的及び化学的な刺激をセルに加えても、電解質がセルから漏洩しないような封止技術を確立することが、色素増感太陽電池の長期信頼性及び安全性を確保するために必須である。
【0005】
従来の封止技術に関する湿式太陽電池の製造方法では、セルに開口又は孔を形成する工程と、この開口又は孔から電解液を注入する工程と、この開口又は孔を封止する工程を有する製造方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
また、上記開口又は孔(注入口)は電極基板部分に配設され、この注入口をポリイソブチレン系樹脂で封止することが知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0007】
一方、一対の電極基板を備えたセルに電解液を含ませた状態で電解液を封止する場合、封止材の樹脂を厚く塗布して硬化させても、電解液の溶媒であるアセトニトリルなどが樹脂を溶かしてしまうため、長期間安定に封止することが困難であった。これを解決するために、ガラスやプラスチックなどを樹脂とともに封止用固形物として封止部に固定することで、電解液をセル内部に長期間安定して封入する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
【0008】
また、色素増感太陽電池の本体内に封止されている電解液を完全に封止することが非常に難しいとの立場から、セルに開閉可能な液体の出し入れ口を少なくとも2ヶ所設けて、この出し入れ口から電解液貯蔵部に蓄えられた電解液を補充し、セルの長期信頼性を得る方法が提案されている(例えば、特許文献5参照。)。
【0009】
また、色素増感太陽電池の封止材の形成において、既に公知のエポキシ樹脂やシリコンゴムを用いるよりも、ガラス転移温度が80℃以上の樹脂組成物及び/又は耐溶剤性樹脂組成物を必須としてなる硬化型樹脂、或いは、芳香族環を有する樹脂を必須としてなる硬化型樹脂を使用する方が、電解質の漏洩を充分に防止できることが知られている(例えば、特許文献6参照。)。
【0010】
さらに、太陽電池セルから太陽電池モジュールを作製する目的で、2液混合硬化型樹脂により太陽電池セルの集合体の周囲を被覆することで、セルに機械的、熱的な負荷を与えずにセルの性能を損なうことなく、耐久性の高いシールを得る方法が提案されている(例えば、特許文献7参照。)。
【非特許文献1】グレッツェル(Gratzel)、外1名、「ネイチャー(Nature)」、(英国)、1991年10月24日、第353巻、p.737−740
【特許文献1】特開平7−234412号公報
【特許文献2】特開2000−30767号公報
【特許文献3】特開2002−313443号公報(図1)
【特許文献4】特開2000−173680号公報
【特許文献5】特開2002−280085号公報
【特許文献6】特開2003−223939号公報
【特許文献7】特開2003−86822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
色素増感太陽電池の製造方法において、液晶表示装置の製造方法を転用するだけでは、セル内に電解質を充填し、且つ長期に渡って漏洩を防止することは困難である。なぜならば、長期に渡りセルからの電解質の漏洩を防止するためには、封止部と電極支持体との接触界面が電解質に対して物理的及び化学的に充分な封止強度を有していることが必須であるからである。即ち、上記接触界面で充分な封止強度を得るためには、封止部に用いられる封止材を電極支持体に強固に接着又は融着、粘着させる必要がある。しかし、封止材に樹脂を使用する場合、樹脂が電極支持体に接着する過程で上記接触界面に電解質が存在していた場合、電解質の組成分による接着阻害を引き起こし、充分な封止強度を得ることができないおそれがある。例えば、電解質溶媒による樹脂の溶解や、電解物質の酸化還元対であるヨウ素による樹脂の硬化阻害などの懸念がある。
【0012】
従って、従来の電解質の封止方法は、特許文献2に記載のように、予め電解質をセルに充填するための孔を形成し、この孔以外の封止部を封止材で形成して充分な接着強度を確保した上で電解質を上記孔から充填し、最後に上記孔を封止する方法が採られている。この予め封止部を形成する封止材はメインシール材と呼ばれ、上記孔を封止する封止材はエンドシール材と呼ばれている。この封止方法ではメインシール材による充分な強度の封止が得られるが、エンドシール材による封止は上記孔近傍に存在する電解質の組成分による接着阻害で充分な封止強度を得ることができないおそれがある。従って、色素増感太陽電池を構成する封止部と電極支持体との接触界面の封止強度が充分であることが封止技術の要諦であり、特許文献3に記載のように、単に、電解質を注入する注入口を封止するエンドシール材に電解質に対する耐久性が高いポリイソブチレン系樹脂を使用したとしても、ポリイソブチレン系樹脂の硬化過程で電解質の組成分による硬化阻害のおそれがあり、上記硬化阻害に配慮した上記注入口の配設位置と封止方法を検討しなければ、封止材の最大の封止能力を発現することができず、長期信頼性を実現することが難しい。
【0013】
また、特許文献4に記載のように、セル内に電解液を含ませた状態で電解液を封止しようとした場合、たとえ封止部の一部に封止用固形物を設置したとしても、上記接触界面で封止材樹脂と電解液が接触するので、樹脂の接着強度は従前の封止方法と同等の効果しか得られないおそれがある。
【0014】
一方、特許文献5に記載のように、開閉可能な液体成分の出し入れ口を設けるセル構造は、エンドシール材による封止の困難さを回避する方法であるが、エンドシール材による封止自体の問題をなんら解決していない。
【0015】
また、特許文献6に記載のように、電解質に使用される溶剤に対して耐性のある硬化型樹脂が提供されるとしても、その耐溶剤性とは前駆樹脂を硬化させて得られた樹脂についての特性であり、上記硬化型樹脂をエンドシール材に適用する場合、上記前駆樹脂を硬化させる工程で、電解質の組成分が接着阻害因子となり、上記硬化型樹脂が充分な封止強度を有するに至らないおそれがある。
【0016】
さらに、色素増感太陽電池のモジュールの耐久性は、少なくとも、モジュールを構成する個々のセルの耐久性を集合させたものであり、特許文献7に記載のように、太陽電池セルの集合体の周囲に2液混合型硬化型樹脂を充填させる方法で長期の耐久性を得るためには、その前提として個々のセルが長期の耐久性を有している必要がある。しかし、特許文献7には色素増感太陽電池の個々のセルに電解質を充填し、封止する方法が記載されておらず、長期保存時において、個々のセルからの電解質漏洩の問題が解決されていない。
【0017】
そこで、本発明は上記問題を解決するため、長期間電解質をセル内部に保存でき、安全性及び高耐久性を有する光電変換素子及びその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、色素を担持した半導体層を有する第1の電極を備えた第1の基板と、前記第1の電極の半導体層と対峙する第2の電極を備えた第2の基板とを、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電解質を保持した状態で対向させてなる光電変換素子であって、前記電解質を前記第1の電極と前記第2の電極との間に保持するための封止部が、前記電解質の周囲に形成され、前記封止部は、封止材で封止された電解質注入部を備えている光電変換素子を提供する。
【0019】
また、本発明は、(a)色素を担持した半導体層を有する第1の電極を形成してなる第1の基板と、第2の電極を形成してなる第2の基板とを、前記第1の電極の半導体層と前記第2の電極とが対峙するように対向させる工程と、(b)前記第1の基板と前記第2の基板とを封止材により接着して封止部を形成し、前記封止部の内側であって前記第1の電極と前記第2の電極との間に電解質保持部を形成し、かつ、前記封止部に電解質注入部を形成する工程と、(c)前記電解質注入部から、前記電解質保持部に電解質を注入する工程と、(d)前記電解質注入部を封止する工程とを含む光電変換素子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、高い電解質保持特性と発電特性とを有し、長期間電解質をセル内部に保持でき、安全性及び高耐久性を有する光電変換素子及びその製造方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
<光電変換素子の実施の形態>
本発明者らは鋭意検討を行った結果、色素増感太陽電池を構成する一対の電極支持体間に保持された電解質の漏洩を防止し、長期耐久性を実現させるためには、封止部と電極支持体との接触界面の封止強度が充分であることが必須であり、特に、エンドシール材と電極支持体との接触界面における封止強度が充分であることが重要であることを見出した。さらに、電極支持体を穿孔して電解質注入部を配設した場合、高温貯蔵試験後のセルにおいて、電極支持体の穿孔部分を封止したエンドシール材のみが劣化し、メインシール材が何ら劣化しない現象を確認した。この現象が、電極支持体を構成する材料がガラスよりも樹脂フィルムの場合により顕著に確認されたことから、高温環境下でセルの内圧が上昇して電極支持体の穿孔部分に集中的に力学的ストレスがかかり、エンドシール材と電極支持体との接触界面に電解質の組成分が浸入し、そのためにエンドシール材が劣化したと考えた。そこで本発明者らは、電解質注入部が電極支持体に存在しないセル構造であれば、エンドシール材で電解質注入部を充分な封止強度で封止できることを見出し、上記問題を解決した。
【0022】
即ち、本発明の光電変換素子の一例は、色素を担持した半導体層を有する第1の電極を備えた第1の基板と、上記第1の電極の半導体層と対峙する第2の電極を備えた第2の基板とを、上記第1の電極と上記第2の電極との間に電解質を保持した状態で対向させてなる光電変換素子である。また、上記電解質を上記第1の電極と上記第2の電極との間に保持するための封止部が、上記電解質の周囲に形成され、上記封止部は、封止材で封止された電解質注入部を備えている。さらに、上記封止部は、上記第1の電極と上記第2の電極との間に形成することができる。
【0023】
上記電解質注入部を封止するための封止材(エンドシール材)としては、硬化型タイプの接着材であると、硬化過程で電解質の組成分による硬化阻害のおそれがあるため、ホットメルト樹脂が好ましい。また、ホットメルト樹脂の融着時間は硬化型タイプの硬化時間に比較して短時間であるため、電解質の組成分による封止阻害の影響を受けにくい利点がある。
【0024】
また、上記ホットメルト樹脂の融点の温度範囲は、60℃以上200℃以下であると、ホットメルト樹脂が電極支持体に強固に融着して十分な封止強度が得られるので好ましい。
【0025】
さらに、上記電解質注入部以外を封止するための封止材(メインシール材)は、封止材の接着及び融着、粘着強度が充分に達成された後に電解質と接触するので、電解質の組成分による封止阻害のおそれが少ない。従って、メインシール材としては、必ずしもホットメルト樹脂を用いる必要はないが、ホットメルト樹脂を用いてもよい。
【0026】
<光電変換素子の製造方法の実施の形態>
本発明の光電変換素子の製造方法の一例は、(a)色素を担持した半導体層を有する第1の電極を形成してなる第1の基板と、第2の電極を形成してなる第2の基板とを、上記第1の電極の半導体層と上記第2の電極とが対峙するように対向させる工程と、(b)上記第1の基板と上記第2の基板とを封止材により接着して封止部を形成し、上記封止部の内側であって上記第1の電極と上記第2の電極との間に電解質保持部を形成し、かつ、上記封止部に電解質注入部を形成する工程と、(c)上記電解質注入部から、上記電解質保持部に電解質を注入する工程と、(d)上記電解質注入部を封止する工程とを含むものである。また、上記工程(b)において、上記第1の基板の上記第1の電極と、上記第2の基板の上記第2の電極との間に封止部を形成することができる。
【0027】
上記工程(d)において、上記電解質注入部をホットメルト樹脂(エンドシール材)を用いて封止し、さらに上記電解質注入部を加熱することでホットメルト樹脂と電極支持体とを強固に融着させるとともに、さらに加圧を加えることでホットメルト樹脂を積極的に電極支持体に密着させて、より一層の封止強度を得ることができる。上記加熱と上記加圧とは、同時に行われることが好ましい。
【0028】
また、上記ホットメルト樹脂の融点は、60℃以上200℃以下であることが好ましい。さらに、上記加熱の温度は、60℃以上250℃以下が好ましく、上記加圧の圧力は、0.3MPa以上2.0MPa以下が好ましい。
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1は、本発明の光電変換素子の一例を示す概要断面図である。また、図2は、図1のI−I線の断面図である。図1、図2に示すように、本実施形態の光電変換素子1は、透明支持体2の一方の表面に形成された透明電極3(第1の電極)を有する。透明電極3の一方の表面には色素を担持した半導体層4が形成されている。透明支持体2、透明電極3及び半導体層4が一体となって基板(第1の基板)を構成している。
【0030】
また、この色素を担持した半導体層4に対峙して対電極7(第2の電極)が存在する。対電極7は別の支持体8の一方の表面に形成されている。対電極7及び支持体8が一体となって基板(第2の基板)を構成している。
【0031】
半導体層4と対電極7との間には電解質層6aが存在する。また、メインシール材5とホットメルト樹脂からなるエンドシール材11とが、電解質層6aを半導体層4と対電極7との間に保持するように配置されている。メインシール材5とエンドシール材11により光電変換素子1の枠状の封止部が構成されている。なお、支持体8は、光透過性の素材で形成してもよく、光透過性を有しない素材で形成してもよい。また、9は入射光である。
【0032】
図1から明らかなように、本実施形態の光電変換素子1は、少なくとも透明電極3及び対電極7には電解質注入部が形成されていない。
【0033】
図3〜図6は、図1に示した光電変換素子の製造方法の一例を示す概要断面図である。本実施形態の製造方法は、先ず、色素を担持した半導体層4が被着された透明電極3を表面に備えた透明支持体2と、対電極7を表面に備えた支持体8と、コの字状のメインシール材5と、矩形状のエンドシール材11(ホットメルト樹脂)と、電解質注入部を形成するための離型性樹脂シート12とを準備する。次に、図3に示すように、透明支持体2と支持体8とをメインシール材5、エンドシール材11及び離型性樹脂シート12を介して積層し、透明電極3の半導体層4と対電極7とを対峙させる。
【0034】
続いて、透明支持体2と支持体8の両側から加熱しながら加圧することにより、メインシール材5とエンドシール材11とを透明電極3と対電極7とに接着する。これにより、透明電極3の半導体層4と対電極7との間に電解質保持部6bが形成される。但し、この状態では、離型性樹脂シート12を配置した部分(電解質注入部となる部分)においては、エンドシール材11と対電極7とは接着していない。
【0035】
次に、図4、図5に示すように、離型性樹脂シート12を除去することにより、エンドシール材11と対電極7との間に電解質注入部10を形成する。なお、図5は、図4のII−II線の断面図である。続いて、電解質注入部10から電解質保持部6bに電解質を注入する。その後、透明支持体2と支持体8の両側から加熱しながら加圧して、電解質注入部10を押しつぶすことにより封止する。これにより、電解質注入部10はエンドシール材11により封止され、図1に示す本実施形態の光電変換素子1が完成する。
【0036】
電解質注入部10の形成位置は、図4、図5に示した対電極7とエンドシール材11の界面側に限らず、透明電極3とエンドシール材11の界面側に形成してもよい。さらに、電解質注入部10は、図6に示すようにエンドシール材11(ホットメルト樹脂)の中央部に形成するのがより好ましい。その理由は、ホットメルト樹脂は融着で被着体と固着するため、凝集剥離よりも界面剥離の方が起こりやすく、界面剥離の可能性を低減させるためである。電解質注入部10をエンドシール材11(ホットメルト樹脂)の中央部に形成するには、エンドシール材11を予め透明電極3及び対電極7にそれぞれ配置し、そのエンドシール材11の間に離型性樹脂シート12を配設することにより行うことができる。但し、その場合でも前述と同様に電解質注入部10付近のエンドシール11と、透明電極3及び対電極7とは接着していない。
【0037】
図7〜図10は、本発明の光電変換素子の製造方法の他の一例を示す概要断面図である。本実施形態の製造方法は、先ず、色素を担持した半導体層4が被着された透明電極3を表面に備えた透明支持体2と、対電極7を表面に備えた支持体8とを準備する。次に、図7に示すように、透明電極3の上に液状のメインシール材5を枠状に塗布する。但し、電解質注入部形成予定部10’にはメインシール材5は塗布しない。続いて、図8、図9、図10に示すように、透明支持体2と支持体8とをメインシール材5を介して積層し、透明電極3の半導体層4と対電極7とを対峙させる。なお、図9は、図8のIII−III線の断面図であり、図10は、図8のIV−IV線の断面図である。
【0038】
続いて、透明支持体2と支持体8の両側から加熱しながら加圧することにより、メインシール材5を透明電極3と対電極7とに接着する。これにより、透明電極3の半導体層4と対電極7との間に電解質保持部6b(図9)と電解質注入部10(図10)とが形成される。但し、この状態では、電解質注入部10においては、メインシール材5は透明電極3及び対電極7に接着していない。
【0039】
次に、電解質注入部10から電解質保持部6bに電解質を注入する。その後、電解質注入部10に加熱溶融したエンドシール材11を充填することにより、電解質注入部10を封止する。この際、透明支持体2及び支持体8を加熱及び加圧してもよい。これにより、図11に示す本実施形態の光電変換素子1が完成する。
【0040】
メインシール材5を構成する基材物質としては、例えば、シリコーン樹脂、ポリオレフィン、ブチルゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体、低密度ポリエチレン、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、アイオノマー樹脂のほか、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリジエン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、フッ素樹脂系、ポリアミド系のエラストマーなどを用いることができるが、それらの中でもシリコーン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリオレフィン、ポリイソブチレン系樹脂、ブチルゴム、フッ素樹脂系エラストマーなどが好ましい。また、電解質溶媒としてニトリル系溶媒、カーボネート系溶媒を使用する場合には、それらの溶媒と相溶性の低い、シリコーン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、ポリオレフィン、熱硬化性オレフィン樹脂などから構成されるホットメルト樹脂が好ましい。また、メインシール材5には、それらの耐候性を向上させるために、架橋剤、紫外線吸収剤などを適宜混合することができる。
【0041】
さらに、メインシール材5には、対電極7と透明電極3との接着力を高めるためにシランカップリング剤やチタネートカップリング剤などを添加してもよい。また、あらかじめ対電極7及び透明電極3に、ウエット洗浄、ケミカル洗浄、プラズマ処理、オゾン処理、紫外線照射処理、超音波処理、表面研磨処理などを行い、その表面の洗浄や表面の活性化を行ってもよい。
【0042】
エンドシール材11はホットメルト樹脂からなり、その基材物質としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体、低密度ポリエチレン、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、アイオノマー樹脂のほか、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリジエン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、フッ素樹脂系及びポリアミド系のエラストマーなどを使用することができ、それらの中から被着面の材質に応じて適宜選択して使用することができる。
【0043】
また、メインシール材5及びエンドシール材11の形態としては、シート状、液状、ゲル状などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
メインシール材5にホットメルト樹脂を使用した場合、本実施形態の光電変換素子の封止部がホットメルト樹脂のみで構成されるので、電極支持体間にメインシール材5とエンドシール材11を別々に配置する必要がない。このため製造工程の簡略化を促進することができる。例えば、封止部の構造をパターニングしたトムソン刃などでシート状のホットメルト樹脂を連続的に打ち抜いて、大量に封止部材を生産することができる。
【0045】
また、メインシール材5とエンドシール材11の厚みは、透明電極3と対電極7との電極間距離を規定するので、0.001mm以上1mm以下であればよい。より好ましい厚みは、0.001mm以上0.5mm以下である。電極間距離が1mmを超えると、著しく光電変換特性が低下するおそれがある。また、0.001mm未満では、透明電極3の一部と対電極7の一部とが接触し、短絡する不都合がある。電極間距離を正確に規定する手段として、メインシール材5又はエンドシール材11の少なくともどちらか一方にスペーサを含ませることが好ましい。また、他の方法として、電解質層6にスペーサを配置してもよい。
【0046】
透明電極3と対電極7との間に配設されたエンドシール材11に設けられた電解質注入部10を封止するために加熱と加圧を行う方法としては、特別な方法に限定にされることはない。また、加熱と加圧を同時に行う装置としては、ホットプレス機、加熱ローラー型半田こて、ラミネーターなどが使用でき、レーザーなどの熱源を備えたプレス装置を使用することもできる。
【0047】
電解質注入部10から電解質保持部6bに電解質を注入する工程と、電解質注入部10を封止する工程とを行う環境は、常温常圧が好ましい。また、減圧下であれば、電解質保持部6bに気泡を挟むことなく封止することができるので、より好ましい。さらに、湿度2%以下でクラス1000以上のクリーンルームを使用すれば、長期耐久性を損なうおそれのある水分を電解質保持部6bへ混入することを低減でき、電解質注入部10での埃の噛み込みによる不充分な封止を防ぐことができるので、さらに好ましい。
【0048】
上記加熱の温度範囲は60℃以上250℃以下が好ましい。温度範囲の上限は、支持体に破損の生じない温度及び支持体とシール材の融点を考慮して適宜選定されるが、支持体が樹脂フィルムの場合、200℃以下が好ましく、支持体がガラスの場合、250℃以下が好ましい。この温度範囲を越えると、支持体の変形や、ホットメルト樹脂の寸法安定性を維持できなくなるおそれがある。また、60℃以下の加熱ではホットメルト樹脂と電極支持体との融着は不充分になるおそれがある。
【0049】
上記加圧の圧力は、加圧部の支持体に破損が発生しない圧力を考慮して適宜選定されるが、好ましくは0.3MPa以上2.0MPa以下であり、より好ましくは0.3MPa以上1.0MPa以下であり、最も好ましくは0.3MPa以上0.5MPa以下である。0.3MPa未満の圧力では、電解質注入部10の封止が不充分となり、電解質保持部6bに電解質を保持することが困難となり、加圧中に電解質注入部10から電解質が漏液するおそれがある。また、2.0MPaを超える圧力になると、電極基板に余計な力が加わり、電極支持体の割れや変形のおそれがある。
【0050】
上記加熱と上記加圧を行うタイミングは、透明電極3と対電極7との間に設置したエンドシール材11の融点を考慮して適宜選定されるが、加熱の後に加圧を行うのが好ましく、加熱と加圧を同時行うのが最も好ましい。また、上記加熱の加熱時間及び上記加圧の加圧時間は、セル内の電解質の揮発を考慮して3.0秒以下とするのが好ましい。
【0051】
電解質注入部10の数は、光電変換素子のセル1個当り少なくとも1箇所以上を設けるのが好ましい。
【0052】
電解質注入部10より電解質保持部6bに電解質を注入する方法としては、ガラスシリンジ又はプラスチックシリンジを用いて注入する方法が挙げられる。この場合、用いる針の外径は0.2mm以上で2.0mm以下が好ましい。また、減圧注入法で注入することもできる。即ち、光電変換素子1のセルを真空デシケーター内に入れ、セル内を減圧し、減圧状態から大気圧に戻すことで電解質注入部10の開口部から電解質をセル内に注入することができる。
【0053】
透明支持体2の材質としては透光性を有する材料であれば特に限定されないが、通常、ガラスや透明樹脂フィルムが使用される。ホットメルト樹脂の融点温度を適切に選択することで、ホットメルト樹脂と強固に融着するからである。また、透明支持体2の光透過率は高い程よい。好ましい光透過率としては50%以上であり、より好ましくは80%以上である。
【0054】
支持体8は、透明支持体2と同じガラスや透明樹脂フィルムの他に、金属などを使用することができる。支持体8は不透明でもよいが、両側の基板から光を入射させることができる点で、透明であることが好ましい。
【0055】
また、可撓性のある透明樹脂フィルムを支持体2、8に用いると、電極の大量生産が容易となり、製造コストの低減を図ることができる。
【0056】
透明支持体2及び支持体8に用いる透明樹脂フィルムとしては、例えば、再生セルロースフィルム、ジアセテートセルロースフィルム、トリアセテートセルロースフィルム、テトラアセチルセルロースフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアリレートフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、ノルボルネン樹脂フィルム、ポリスチレンフィルム、塩酸ゴムフィルム、ナイロンフィルム、ポリアクリレートフィルム、ポリフッ化ビニルフィルム、ポリ四フッ化エチレンフィルムなどが挙げられる。これらの中でも、特にポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアリレートフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、ノルボルネン樹脂フィルムなどは、強靭で且つ耐熱性に優れていることから好ましい。なお、透明樹脂フィルムに代えて透明樹脂板を使用することもできる。
【0057】
透明電極3は導電性とともに光透過性に優れていることが望ましく、その材質としては、例えば、酸化亜鉛、インジウム−錫複合酸化物(ITO)、ITOと銀とを積層した導電体層、アンチモンをドープした酸化錫、フッ素をドープした酸化錫などが挙げられる。中でもフッ素をドープした酸化錫が導電性と光透過性の観点から好ましい。
【0058】
透明電極3は、表面抵抗が低い程よい。好ましい表面抵抗の範囲としては50Ω/スクエア以下であり、より好ましくは30Ω/スクエア以下である。表面抵抗の下限に特に制限はないが、通常0.1Ω/スクエアである。
【0059】
透明電極3は、光透過率が高い程よい。好ましい光透過率としては50%以上であり、より好ましくは80%以上である。透明電極3の膜厚は、0.1〜10μmの範囲内であることが好ましい。この範囲内であれば、均一な膜厚の電極膜を形成することができ、また、光透過性が低下せず、十分な光を半導体層4に入射させることができるからである。この場合、光は色素が担持された半導体層4が被着される側の透明電極3から入射させることが好ましい。
【0060】
対電極7は光電変換素子1の正極として機能し、上記色素が担持された半導体層4が被着される側の透明電極3と同様に形成できる。さらに、対電極7としては、光電変換素子1の正極として効率よく作用するために、電解質の還元体に電子を与える触媒作用を有する素材で形成することが好ましい。このような素材は、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウムなどの金属、又はグラファイト、若しくはITO、フッ素をドープした酸化錫などの導電性の金属酸化物などである。これらのうち、白金やグラファイトなどが特に好ましい。対電極7が配設される側の支持体8は、対電極7の被着面側に透明導電膜(図示せず。)を有することもできる。この透明導電膜は、例えば上記の透明電極3と同じ材料から成膜することができる。この場合、対電極7も透明であることが好ましい。
【0061】
半導体層4の形成にあたっては、半導体粒子の分散塗料を、例えば、ドクターブレードやバーコータなどを使う塗布方法、スプレー法、ディップコーティング法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、スピンコート法、電着法などにより、透明電極3の表面に成膜し、その後、必要に応じて半導体層4の固定化処理を行うことが好ましい。その固定化処理としては、加熱処理や加圧処理などが挙げられる。加熱処理としては、電気炉やホットプレート、マイクロ波、電子線などによる加熱方式が好ましく、加熱温度は透明支持体2としてガラス基板を用いた場合は400〜600℃程度が好ましい。また、透明支持体2としてポリエチレンナフタレート(PEN)などの樹脂フィルムを用いた場合は上記範囲内の温度で半導体層4を加熱処理すると、樹脂フィルムの変形やITOなどの透明電極3が樹脂フィルムから剥離する場合がある。従って、樹脂フィルムを用いる場合は200℃以下の温度で加熱処理をしたり、半導体層4に圧力を加えたりして、半導体層4を形成することができる。半導体層4を加圧する方法としては、プレス機やカレンダなどを用いる方法が挙げられる。
【0062】
半導体層4の厚みは0.1〜100μmの範囲内であることが好ましい。この範囲内であれば、充分な光電変換効果が得られ、また、可視光及び近赤外光に対する光透過性が悪化することもないからである。半導体層4の厚みのより好ましい範囲は1〜50μmであり、さらに好ましい範囲は5〜30μmであり、最も好ましい範囲は10〜20μmである。
【0063】
半導体層4の形成にあたって使用する半導体材料としては、例えば、Cd、Zn、In、Pb、Mo、W、Sb、Bi、Cu、Hg、Ti、Ag、Mn、Fe、V、Sn、Zr、Sr、Ga、Si、Crなどの金属の酸化物、SrTiO3、CaTiO3などのペロブスカイト、又はCdS、ZnS、In2S3、PbS、Mo2S、WS2、Sb2S3、Bi2S3、ZnCdS2、Cu2Sなどの硫化物、CdSe、In2Se3、WSe2、HgS、PbSe、CdTeなどの金属カルコゲナイド、その他GaAs、Si、Se、Cd2P3、Zn2P3、InP、AgBr、PbI2、HgI2、BiI3など、又は上記半導体材料から選ばれる少なくとも1種類以上を含む複合体、例えば、CdS/TiO2、CdS/AgI、Ag2S/AgI、CdS/ZnO、CdS/HgS、CdS/PbS、ZnO/ZnS、ZnO/ZnSe、CdS/HgS、CdSx/CdSe1-x、CSx/Te1-x、CdSex /Te1-x、ZnS/CdSe、ZnSe/CdSe、CdS/ZnS、TiO2/Cd3P2、CdS/CdSeCdyZn1-yS、CdS/HgS/CdSなどが挙げられる。これらの中でも、TiO2が、グレッツェル・セルにおいて、電解質中への光溶解の回避と高い光電変換特性を実現できる点で好ましい。
【0064】
上記半導体材料は通常粒子形状で用いるが、その際の半導体粒子の粒径は、一般的に5〜1000nmの範囲内であることが好ましい。この範囲内であれば、半導体層4の空孔径が適度になって電解質溶液中の酸化還元物質の移動がしやすくなり、光電流の低下が発生することがなく、また、半導体層4の表面積を大きくできるため、充分な色素の担持量を得ることができ、その結果、大きな光電流が得られるからである。半導体粒子の粒径の特に好ましい範囲は、10〜100nmである。
【0065】
半導体層4の厚み又は半導体粒子の粒径を制御することにより、半導体層4の支持体面積に対する半導体層内部の実面積の割合であるラフネスファクターを決定することができる。ラフネスファクターは20以上であることが好ましく、150以上であることがより好ましい。この範囲内であれば、色素の担持量が充分となり、光電変換特性を向上させることができるからである。ラフネスファクターの上限値は一般に5000程度である。ラフネスファクターは半導体層4の厚みを厚くすると大きくなって、半導体層4の表面積が広がり、色素の担持量の増加が期待できる。しかし、厚みが厚くなりすぎると、半導体層4の光透過率及び抵抗損失への影響が現れ始める。
【0066】
また、半導体層4の形成に界面活性剤やポリエチレングリコール、セルロース系材料などを添加し、半導体層4の加熱処理時にそれらを燃焼させることによって半導体層4を多孔質にしたり、半導体粒子の粒径を変更したりすることで半導体層4のポロシティーを高くすれば、厚みを厚くしなくてもラフネスファクターを大きくすることは可能である。しかし、ポロシティーが高くなりすぎると、半導体粒子間の接触面積が減少して抵抗損失への影響を考慮しなくてはならなくなる。このようなことから、半導体層4のポロシティーは50%以上が好ましく、その上限値は一般的に約80%程度である。半導体層4のポロシティーは液体窒素温度下で窒素ガス又はクリプトンガスの吸着−脱離等温曲線の測定結果から算出することができる。
【0067】
色素としては、従来の色素増感性光電変換素子で常用される増感色素であれば全て使用できる。このような色素は、Lを4,4’−ジカルボキシル−2,2’−ビピリジンとすると、例えば、RuL2(H2O)2タイプのルテニウム−シス−ジアクア−ビピリジル錯体又はルテニウム−トリス(RuL3)、ルテニウム−ビス(RuL2)、オスニウム−トリス(OsL3)、オスニウム−ビス(OsL2)タイプの遷移金属錯体、若しくは亜鉛−テトラ(4−カルボキシフェニル)ポルフィリン、鉄−ヘキサシアニド錯体、フタロシアニンなどが挙げられる。有機色素としては、9−フェニルキサンテン系色素、クマリン系色素、アクリジン系色素、トリフェニルメタン系色素、テトラフェニルメタン系色素、キノン系色素、アゾ系色素、インジゴ系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、キサンテン系色素などが挙げられる。この中でもルテニウム−ビス(RuL2)誘導体は、可視光域で広い吸収スペクトルを有するため、特に好ましい。
【0068】
半導体層4へ増感色素を担持させる方法は、例えば増感色素を溶かした溶液に、半導体層4を被着させた透明支持体2を浸漬させる方法が挙げられる。この溶液の溶媒としては、水、アルコール、トルエン、ジメチルホルムアミドなど増感色素を溶解可能なものであれば全て使用できる。また、浸漬方法として、増感色素溶液に半導体層4を被着させた透明支持体2を一定時間浸漬させている時に、加熱還流をしたり、超音波を印加したりすることもできる。半導体層4への色素担持後、担持せずに半導体層4に残ってしまった増感色素を取り除くために、アセトニトリルで洗浄することが好ましい。さらに、増感色素が担持されていない半導体粒子表面を被覆するために、溶媒としてアルコールを使用した場合、アルコール中にt−ブチルピリジンを溶解させておくことが好ましい。アルコール中にt−ブチルピリジンが存在すると、半導体粒子/電解質界面では、t−ブチルピリジンによって半導体粒子表面と電解質とをセパレートすることができ、漏れ電流を抑制することが可能となり、光電変換素子の特性を著しく向上させることができるからである。
【0069】
半導体粒子への増感色素の担持量としては、1×10-8〜1×10-6mol/cm2の範囲にあればよく、特に0.1×10-7〜9.0×10-7mol/cm2が好ましい。この範囲内であれば、経済的且つ十分に光電変換効率向上の効果を得ることができるからである。
【0070】
電解質層6aを構成する電解物質としては、酸化体と還元体からなる一対の酸化還元系構成物質であれば特に限定されないが、酸化体と還元体とが同一電荷を持つ酸化還元系構成物質であることが好ましい。この明細書における酸化還元系構成物質とは、酸化還元反応において可逆的に酸化体及び還元体の形で存在する一対の物質を意味する。本実施形態で使用できる酸化還元系構成物質は、例えば、塩素化合物−塩素、ヨウ素化合物−ヨウ素、臭素化合物−臭素、タリウムイオン(III)−タリウムイオン(I)、水銀イオン(II)−水銀イオン(I)、ルテニウムイオン(III)−ルテニウムイオン(II)、銅イオン(II)−銅イオン(I)、鉄イオン(III)−鉄イオン(II)、バナジウムイオン(III)−バナジウムイオン(II)、マンガン酸イオン−過マンガン酸イオン、フェリシアン化物−フェロシアン化物、キノン−ヒドロキノン、フマル酸−コハク酸などが挙げられるが、これらに限定はされない。この中でも、ヨウ素化合物−ヨウ素が好ましく、ヨウ素化合物としては、ヨウ化リチウム、ヨウ化カリウムなどの金属ヨウ化物、テトラアルキルアンモニウムヨージド、ピリジニウムヨージドなどのヨウ化4級アンモニウム塩化合物、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウムなどのヨウ化ジイミダゾリウム化合物が特に好ましい。
【0071】
上記電解物質を溶解するために使用される溶媒は、酸化還元系構成物質を溶解可能で、イオン伝導性に優れた化合物が好ましい。その溶媒としては水性溶媒及び有機溶媒の何れも使用できるが、酸化還元系構成物質をより安定さすため、有機溶媒が好ましい。この有機溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル化合物、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキソシラン、テトラヒドロフラン、2−メチル−テトラヒドロフランなどのエーテル化合物、3−メチル−2−オキサゾジリノン、2−メチルピロリドンなどの複素環化合物、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル化合物、スルフォラン、ジジメチルスルフォキシド、ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性化合物などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いることもできるし、また、2種類以上を混合して併用することもできる。これらの中でも、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、3−メチル−2−オキサゾジリノン、2−メチルピロリドンなどの複素環化合物、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル化合物が特に好ましい。
【0072】
電解質は、液状のものに限られることなく、他の形態のものも用いることができる。例えば、液状の電解質を高分子マトリックスに保持させてゲル状にした状態で用いてもよい。そのような高分子マトリックスとしては、フッ化ビニリデン、ヘキサフロロプロピレン、テトラフロロエチレン、トリフロロエチレン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、スチレンなどの重合性モノマーを単独で重合させた単独重合体又はそれらのモノマーを2種以上共重合させた共重合体を用いることができる。
【0073】
本実施形態の光電変換素子1は、全体をフッ素樹脂で覆うことができる(図示せず。)。これにより、光電変換素子1の強度の向上及び耐衝撃性の向上を図ることができる。このフッ素樹脂は、光電変換素子1の最外層に使用することから、水蒸気などに対するガスバリヤー性、紫外線などに対する耐光性、透明性、強度、耐候性に優れていることが好ましい。
【0074】
(実施例)
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【実施例1】
【0075】
三洋化成社製の界面活性剤“ノニポール100”(商品名)を0.01g/dm3含む水と、アセチルアセトンとの混合溶液(容量混合比:水/アセチルアセトン=20/1)中に、日本アエロジル社製の酸化チタン粒子“P25”(商品名、平均粒径20nm)を濃度2質量%となるように分散させてスラリー液を調製した。次に、フッ素がドープされたSnO2を表面にコーティングして導電性を付与した透明電極付きガラス基板である旭硝子社製の導電性ガラス“F−SnO2”(商品名、厚さ:1mm、表面抵抗:10Ω/スクエア)の透明電極の上に、このスラリー液を1cm×1cmの大きさに塗布して乾燥した。その後、得られた乾燥物を500℃、30分間空気中で焼成し、上記導電性ガラス上に厚さ7μmの酸化チタン膜を形成した。続いて、この基板を、[Ru(4,4’−ジカルボキシル−2,2’−ビピリジン)2(NCS)2]で表される増感色素を濃度3×10-4mol/dm3で含むエタノール溶液に浸漬して色素吸着処理を行って、ガラス基板付透明電極を作製した。
【0076】
また、ガラス基板付対電極としては、旭硝子社製の上記導電性ガラス“F−SnO2”に白金を20nmの厚さで蒸着したものを用いた。両電極間の距離は0.1mmとした。
【0077】
上記透明電極と上記対電極との間に、上記酸化チタン膜の周囲を囲むように幅5mm、厚さ35μmの枠状のメインシール材を配設し、180℃、1.0MPaの条件でホットプレス機にて加熱と加圧を同時に行った。但し、電解質注入部を形成するために、幅2mm、厚さ50μmのフッ素樹脂シート(離型性樹脂シート)を、上記メインシール材と上記対電極との間に挟んだ。その後、フッ素樹脂シートを取り除いて電解質注入部を形成し、この電解質注入部より電解質溶液を減圧注入法で注液した。電解質注入部に付着した余分な電解質溶液を拭き取った後、この電解質注入部のみを上記と同条件にてホットプレス機で加熱と加圧を同時に行うことで封止し、光電変換素子を作製した。上記電解質溶液としては、0.5mol/dm3のテトラプロピルアンモニウムヨーダイドと0.04mol/dm3のヨウ素とを含むエチレンカーボネートとアセトニトリルとの混合溶液(容量混合比:エチレンカーボネート/アセトニトリル=80/20)を用いた。また、上記メインシール材としては、デュポン社製のホットメルト樹脂“Bynel”(商品名)を用いた。
【実施例2】
【0078】
ハーキュレス社製のエチルセルロース“N300”(商品名)0.7質量%をエタノールに溶かしたバインダー溶液を調製した。このバインダー溶液23gに日本アエロジル社製の酸化チタン“P25”(商品名)7.5gを投入し、酸化チタンを分散させてスラリー液を調製した。このスラリー液中の酸化チタンの濃度は24質量%になるように調製した。次に、トービ社製のインジウム−錫複合酸化物(ITO)が被着されたポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(厚さ125μm、表面抵抗10Ω/スクエアのITO/PEN透明電極フィルム)の透明電極の上に、このスラリー液を塗布して乾燥させ、縦40mm、横15mm、厚さ50μmの酸化チタン膜からなる半導体層を形成した。次に、カレンダにて半導体層に1枚あたり80MPaの圧力を加えて、半導体層を構成する酸化チタン膜の厚みを10μmに圧縮した。
【0079】
この酸化チタン膜を備えたITO/PEN透明電極フィルムを、[Ru(4,4’−ジカルボキシル−2,2’−ビピリジン)2(NCS)2]で表される増感色素を濃度3×10-4mol/dm3で含むアセトニトリル/t−ブチルアルコール混合溶液(混合体積比=50/50)に浸漬して半導体層への色素担持処理を行って、フィルム付透明電極を作製した。次に、上記と同様のトービ社製のITO/PEN透明電極フィルムに膜厚20nmの白金を蒸着し、フィルム付対電極を作製した。
【0080】
デュポン社製のホットメルト樹脂“Himilan”(商品名)を、上記透明電極と上記対電極との間に上記酸化チタン膜を囲むように幅5mm、厚さ70μmの枠状のメインシール材として配設し、180℃、0.5MPaの条件にてラミネーターを用いて加熱と加圧を同時に行った。また、電解質注入部の形成は実施例1と同様の方法を用いた。その電解質注入部より電解質溶液を減圧注入法で注液した後、その電解質注入部のみを上記と同条件にてラミネーターで加熱と加圧を同時に行うことで封止し、光電変換素子を作製した。上記電解質溶液としては、0.5mol/dm3のテトラプロピルアンモニウムヨーダイドと0.5mol/dm3のt−ブチルピリジンと0.01mol/dm3のヨウ素とを含むγ−ブチルラクトンを用いた。
【実施例3】
【0081】
実施例1と同様に作製したガラス基板付透明電極及びガラス基板付対電極を準備した。上記透明電極の表面に、メインシール材として積水化学工業社製の樹脂ボール“ミクロパール”(商品名、平均粒径:30μm)を1質量%添加した加熱硬化型樹脂であるスリーボンド社製の“Three Bond 1152”(商品名)を、前述した図7に示したように、幅3mm、厚さ80μmで自動ディスペンサーを用いて塗布した。上記透明電極及び上記対電極を貼合する際に幅2mm、厚さ50μmの電解質注入部を配設した。
【0082】
メインシール材の硬化は、100℃で60分間加熱することによって行った。この場合、上記透明電極及び上記対電極がずれないようにバチ型クリップを使い加圧静置した。また、上記電解質注入部より電解質溶液を減圧注入法で注液した後、電解質注入部に付着した余分な電解質溶液を拭き取った。その後、上記電解質注入部に220℃に加熱したホットプレート上で加熱溶融させたデュポン社製のホットメルト樹脂“Bynel”(エンドシール材)を約10秒間、0.4〜0.6MPaの圧力で押し付けることでエンドシール材を封入した後、自然冷却し、光電変換素子を作製した。上記電解質溶液としては、0.5mol/dm3のテトラプロピルアンモニウムヨーダイドと0.04mol/dm3のヨウ素とを含むγ−ブチロラクトンを用いた。
【実施例4】
【0083】
メインシール材として東レ・ダウコーニング社製のシリコーン系縮合反応型樹脂“SE737"(商品名)を用い、また、そのメインシール材の硬化をガラス基板付透明電極及びガラス基板付対電極がずれないようにバチ型クリップを用い、常温常湿下で12時間加圧静置することによって行った以外は、実施例3と同様にして光電変換素子を構成した。
【0084】
(比較例1)
図12に示す従来構造の光電変換素子を下記のようにして作製した。図12において、図1と同一符号を付けた部分は、図1と同一の部分に該当するので説明は省略する。
【0085】
先ず、実施例1と同様に作製したガラス基板付透明電極3及びガラス基板付対電極7を準備した。上記対電極7の図12に示す位置に電動ブラスターを用いて直径1.0mmの注液孔13を穿孔した。
【0086】
次に、上記透明電極3と上記対電極7とを、実施例1と同様にしてメインシール材5を介して180℃、1.0MPaの条件でホットプレス機を用いて加熱と加圧を同時に行った。続いて、電解質溶液を注液孔13より注液した後、注液孔13をエンドシール材14で封止し、さらにエンドシール材14の表面をコニシ社製の2液混合エポキシ樹脂“クイック5”(商品名)で被覆した。上記電解質溶液としては、0.5mol/dm3のテトラプロピルアンモニウムヨーダイドと0.04mol/dm3のヨウ素とを含むエチレンカーボネートとアセトニトリルとの混合溶液(容量混合比:エチレンカーボネート/アセトニトリル=80/20)を用いた。また、メインシール材5及びエンドシール材13としては、いずれもデュポン社製のホットメルト樹脂“Bynel”(商品名)を用いた。
【0087】
(比較例2)
比較例1とほぼ同様の構造の光電変換素子を下記のようにして作製した。先ず、実施例2と同様にしてフィルム付透明電極及びフィルム付対電極を作製した。上記対電極の比較例1と同じ位置に針を用いて直径1.0mmの注液孔を穿孔した。
【0088】
次に、上記透明電極と上記対電極とを、実施例2と同様にしてメインシール材を介して180℃、1.0MPaの条件でラミネーターを用いて加熱と加圧を同時に行った。続いて、電解質溶液を注液孔より注液した後、注液孔をシリコーン粘着テープで封止し、さらにシリコーン粘着テープの表面を積水化学工業社製の一液性紫外線硬化型樹脂“フォトレックA−780”(商品名)で被覆した。上記電解質溶液としては、0.5mol/dm3のテトラプロピルアンモニウムヨーダイドと0.5mol/dm3のt−ブチルピリジンと0.01mol/dm3のヨウ素とを含むγ−ブチルラクトンを用いた。また、メインシール材としては、デュポン社製のホットメルト樹脂“Himilan”(商品名)を用いた。
【0089】
次に、実施例1〜4及び比較例1、2の光電変換素子を用いて電解質保持特性と発電特性とを評価した。
【0090】
<電解質保持特性の評価>
上記各光電変換素子の一定条件下における質量減少割合を測定して電解質保持特性を評価した。測定条件は各光電変換素子を温度60℃、湿度2.0%で400時間保存し、保存前の光電変換素子の質量に対する保存後の質量の割合を質量維持率(%)として算出した。その結果を表1に示す。
【0091】
【表1】
【0092】
<発電特性の評価>
上記各光電変換素子の一定条件下におけるエネルギー変換効率を測定して発電特性を評価した。測定条件は各光電変換素子を温度60℃、湿度2.0%で400時間保存し、保存前の光電変換素子のエネルギー変換効率に対する保存後のエネルギー変換効率の割合を変換効率維持率(%)として算出した。
【0093】
光電流−電圧特性は、ソーラーシミュレータによる擬似太陽光(10mW/cm2、AM1.5)を用いて測定した。エネルギー変換効率(%)は、開放端光電圧(V)、短絡光電流密度(mA/cm2)、形状因子から下記式により算出した。
【0094】
エネルギー変換効率(%)=開放端光電圧(V)×短絡光電流密度(mA/cm2)×形状因子/10(mW/cm2)×100
以上の結果を表2に示す。
【0095】
【表2】
【0096】
表1及び表2から、実施例1〜4は、比較例1、2に比べて、質量保持特性及び発電特性がともに高いことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
以上説明したように本発明の光電変換素子は、高い電解質保持特性と発電特性とを有するため、長期間に渡って電解質の漏洩を防止でき、安全性及び高耐久性を有する光電変換素子を提供でき、色素増感太陽電池などの実用化に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の光電変換素子の一例を示す概要断面図である。
【図2】図1のI−I線の断面図である。
【図3】本発明の光電変換素子の製造方法の一例を示す概要断面図である。
【図4】本発明の光電変換素子の製造方法の一例を示す概要断面図である。
【図5】図4のII−II線の断面図である。
【図6】本発明の光電変換素子の製造方法の一例を示す概要断面図である。
【図7】本発明の光電変換素子の製造方法の他の一例を示す概要平面図である。
【図8】本発明の光電変換素子の製造方法の他の一例を示す概要平面図である。
【図9】図8のIII−III線の断面図である。
【図10】図8のIV−IV線の断面図である。
【図11】本発明の光電変換素子の他の一例を示す概要断面図である。
【図12】従来の光電変換素子の一例を示す概要断面図である。
【符号の説明】
【0099】
1 光電変換素子
2 透明支持体
3 透明電極(第1の電極)
4 半導体層
5 メインシール材
6a 電解質層
6b 電解質保持部
7 対電極(第2の電極)
8 支持体
9 入射光
10 電解質注入部
10’ 電解質注入部形成予定部
11 エンドシール材
12 離型性樹脂シート
13 注液孔
14 エンドシール材
【技術分野】
【0001】
本発明は色素増感太陽電池などに用いるのに適した光電変換素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1991年にグレッツェルらが提唱した色素増感太陽電池は、シリコン半導体のpn接合とは異なる機構により作動し、高い変換効率を示して注目を浴びてきた。色素増感太陽電池は、光を捕集した色素が生成する励起電子を半導体内に注入することで光電変換を実現している。従って、光捕集力を高めるために増感色素を半導体に多量に担持させること、さらに増感色素からできるだけ早く半導体へ電子を注入させることが重要である。グレッツェル・セルとも言われるこの新しい色素増感太陽電池は、超微粒子の酸化チタンからなる多孔質膜に増感色素であるルテニウム錯体を担持させることで、この課題を解決している(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
このグレッツェル・セルは、酸化チタンの超微粒子を分散したペーストを透明電極に塗布して増感色素を担持させ、対電極との間に電解質を充填するだけで組み立てることができる。従って、従来の太陽電池と比べて、簡便な装置で製造が可能であり、次世代太陽電池の一つとして注目されている。
【0004】
一対の電極基板を備えたセルに電解質を充填する製造方法は、セルの一辺に形成した開口部から液晶材料を注入する液晶表示装置の製造方法と類似している(例えば、特許文献1参照。)。このような公知の技術を応用してセルの開口部から電解質を充填する場合、単に両電極間に電解質を保持するだけではなく、物理的及び化学的な刺激をセルに加えても、電解質がセルから漏洩しないような封止技術を確立することが、色素増感太陽電池の長期信頼性及び安全性を確保するために必須である。
【0005】
従来の封止技術に関する湿式太陽電池の製造方法では、セルに開口又は孔を形成する工程と、この開口又は孔から電解液を注入する工程と、この開口又は孔を封止する工程を有する製造方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
また、上記開口又は孔(注入口)は電極基板部分に配設され、この注入口をポリイソブチレン系樹脂で封止することが知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0007】
一方、一対の電極基板を備えたセルに電解液を含ませた状態で電解液を封止する場合、封止材の樹脂を厚く塗布して硬化させても、電解液の溶媒であるアセトニトリルなどが樹脂を溶かしてしまうため、長期間安定に封止することが困難であった。これを解決するために、ガラスやプラスチックなどを樹脂とともに封止用固形物として封止部に固定することで、電解液をセル内部に長期間安定して封入する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
【0008】
また、色素増感太陽電池の本体内に封止されている電解液を完全に封止することが非常に難しいとの立場から、セルに開閉可能な液体の出し入れ口を少なくとも2ヶ所設けて、この出し入れ口から電解液貯蔵部に蓄えられた電解液を補充し、セルの長期信頼性を得る方法が提案されている(例えば、特許文献5参照。)。
【0009】
また、色素増感太陽電池の封止材の形成において、既に公知のエポキシ樹脂やシリコンゴムを用いるよりも、ガラス転移温度が80℃以上の樹脂組成物及び/又は耐溶剤性樹脂組成物を必須としてなる硬化型樹脂、或いは、芳香族環を有する樹脂を必須としてなる硬化型樹脂を使用する方が、電解質の漏洩を充分に防止できることが知られている(例えば、特許文献6参照。)。
【0010】
さらに、太陽電池セルから太陽電池モジュールを作製する目的で、2液混合硬化型樹脂により太陽電池セルの集合体の周囲を被覆することで、セルに機械的、熱的な負荷を与えずにセルの性能を損なうことなく、耐久性の高いシールを得る方法が提案されている(例えば、特許文献7参照。)。
【非特許文献1】グレッツェル(Gratzel)、外1名、「ネイチャー(Nature)」、(英国)、1991年10月24日、第353巻、p.737−740
【特許文献1】特開平7−234412号公報
【特許文献2】特開2000−30767号公報
【特許文献3】特開2002−313443号公報(図1)
【特許文献4】特開2000−173680号公報
【特許文献5】特開2002−280085号公報
【特許文献6】特開2003−223939号公報
【特許文献7】特開2003−86822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
色素増感太陽電池の製造方法において、液晶表示装置の製造方法を転用するだけでは、セル内に電解質を充填し、且つ長期に渡って漏洩を防止することは困難である。なぜならば、長期に渡りセルからの電解質の漏洩を防止するためには、封止部と電極支持体との接触界面が電解質に対して物理的及び化学的に充分な封止強度を有していることが必須であるからである。即ち、上記接触界面で充分な封止強度を得るためには、封止部に用いられる封止材を電極支持体に強固に接着又は融着、粘着させる必要がある。しかし、封止材に樹脂を使用する場合、樹脂が電極支持体に接着する過程で上記接触界面に電解質が存在していた場合、電解質の組成分による接着阻害を引き起こし、充分な封止強度を得ることができないおそれがある。例えば、電解質溶媒による樹脂の溶解や、電解物質の酸化還元対であるヨウ素による樹脂の硬化阻害などの懸念がある。
【0012】
従って、従来の電解質の封止方法は、特許文献2に記載のように、予め電解質をセルに充填するための孔を形成し、この孔以外の封止部を封止材で形成して充分な接着強度を確保した上で電解質を上記孔から充填し、最後に上記孔を封止する方法が採られている。この予め封止部を形成する封止材はメインシール材と呼ばれ、上記孔を封止する封止材はエンドシール材と呼ばれている。この封止方法ではメインシール材による充分な強度の封止が得られるが、エンドシール材による封止は上記孔近傍に存在する電解質の組成分による接着阻害で充分な封止強度を得ることができないおそれがある。従って、色素増感太陽電池を構成する封止部と電極支持体との接触界面の封止強度が充分であることが封止技術の要諦であり、特許文献3に記載のように、単に、電解質を注入する注入口を封止するエンドシール材に電解質に対する耐久性が高いポリイソブチレン系樹脂を使用したとしても、ポリイソブチレン系樹脂の硬化過程で電解質の組成分による硬化阻害のおそれがあり、上記硬化阻害に配慮した上記注入口の配設位置と封止方法を検討しなければ、封止材の最大の封止能力を発現することができず、長期信頼性を実現することが難しい。
【0013】
また、特許文献4に記載のように、セル内に電解液を含ませた状態で電解液を封止しようとした場合、たとえ封止部の一部に封止用固形物を設置したとしても、上記接触界面で封止材樹脂と電解液が接触するので、樹脂の接着強度は従前の封止方法と同等の効果しか得られないおそれがある。
【0014】
一方、特許文献5に記載のように、開閉可能な液体成分の出し入れ口を設けるセル構造は、エンドシール材による封止の困難さを回避する方法であるが、エンドシール材による封止自体の問題をなんら解決していない。
【0015】
また、特許文献6に記載のように、電解質に使用される溶剤に対して耐性のある硬化型樹脂が提供されるとしても、その耐溶剤性とは前駆樹脂を硬化させて得られた樹脂についての特性であり、上記硬化型樹脂をエンドシール材に適用する場合、上記前駆樹脂を硬化させる工程で、電解質の組成分が接着阻害因子となり、上記硬化型樹脂が充分な封止強度を有するに至らないおそれがある。
【0016】
さらに、色素増感太陽電池のモジュールの耐久性は、少なくとも、モジュールを構成する個々のセルの耐久性を集合させたものであり、特許文献7に記載のように、太陽電池セルの集合体の周囲に2液混合型硬化型樹脂を充填させる方法で長期の耐久性を得るためには、その前提として個々のセルが長期の耐久性を有している必要がある。しかし、特許文献7には色素増感太陽電池の個々のセルに電解質を充填し、封止する方法が記載されておらず、長期保存時において、個々のセルからの電解質漏洩の問題が解決されていない。
【0017】
そこで、本発明は上記問題を解決するため、長期間電解質をセル内部に保存でき、安全性及び高耐久性を有する光電変換素子及びその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、色素を担持した半導体層を有する第1の電極を備えた第1の基板と、前記第1の電極の半導体層と対峙する第2の電極を備えた第2の基板とを、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電解質を保持した状態で対向させてなる光電変換素子であって、前記電解質を前記第1の電極と前記第2の電極との間に保持するための封止部が、前記電解質の周囲に形成され、前記封止部は、封止材で封止された電解質注入部を備えている光電変換素子を提供する。
【0019】
また、本発明は、(a)色素を担持した半導体層を有する第1の電極を形成してなる第1の基板と、第2の電極を形成してなる第2の基板とを、前記第1の電極の半導体層と前記第2の電極とが対峙するように対向させる工程と、(b)前記第1の基板と前記第2の基板とを封止材により接着して封止部を形成し、前記封止部の内側であって前記第1の電極と前記第2の電極との間に電解質保持部を形成し、かつ、前記封止部に電解質注入部を形成する工程と、(c)前記電解質注入部から、前記電解質保持部に電解質を注入する工程と、(d)前記電解質注入部を封止する工程とを含む光電変換素子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、高い電解質保持特性と発電特性とを有し、長期間電解質をセル内部に保持でき、安全性及び高耐久性を有する光電変換素子及びその製造方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
<光電変換素子の実施の形態>
本発明者らは鋭意検討を行った結果、色素増感太陽電池を構成する一対の電極支持体間に保持された電解質の漏洩を防止し、長期耐久性を実現させるためには、封止部と電極支持体との接触界面の封止強度が充分であることが必須であり、特に、エンドシール材と電極支持体との接触界面における封止強度が充分であることが重要であることを見出した。さらに、電極支持体を穿孔して電解質注入部を配設した場合、高温貯蔵試験後のセルにおいて、電極支持体の穿孔部分を封止したエンドシール材のみが劣化し、メインシール材が何ら劣化しない現象を確認した。この現象が、電極支持体を構成する材料がガラスよりも樹脂フィルムの場合により顕著に確認されたことから、高温環境下でセルの内圧が上昇して電極支持体の穿孔部分に集中的に力学的ストレスがかかり、エンドシール材と電極支持体との接触界面に電解質の組成分が浸入し、そのためにエンドシール材が劣化したと考えた。そこで本発明者らは、電解質注入部が電極支持体に存在しないセル構造であれば、エンドシール材で電解質注入部を充分な封止強度で封止できることを見出し、上記問題を解決した。
【0022】
即ち、本発明の光電変換素子の一例は、色素を担持した半導体層を有する第1の電極を備えた第1の基板と、上記第1の電極の半導体層と対峙する第2の電極を備えた第2の基板とを、上記第1の電極と上記第2の電極との間に電解質を保持した状態で対向させてなる光電変換素子である。また、上記電解質を上記第1の電極と上記第2の電極との間に保持するための封止部が、上記電解質の周囲に形成され、上記封止部は、封止材で封止された電解質注入部を備えている。さらに、上記封止部は、上記第1の電極と上記第2の電極との間に形成することができる。
【0023】
上記電解質注入部を封止するための封止材(エンドシール材)としては、硬化型タイプの接着材であると、硬化過程で電解質の組成分による硬化阻害のおそれがあるため、ホットメルト樹脂が好ましい。また、ホットメルト樹脂の融着時間は硬化型タイプの硬化時間に比較して短時間であるため、電解質の組成分による封止阻害の影響を受けにくい利点がある。
【0024】
また、上記ホットメルト樹脂の融点の温度範囲は、60℃以上200℃以下であると、ホットメルト樹脂が電極支持体に強固に融着して十分な封止強度が得られるので好ましい。
【0025】
さらに、上記電解質注入部以外を封止するための封止材(メインシール材)は、封止材の接着及び融着、粘着強度が充分に達成された後に電解質と接触するので、電解質の組成分による封止阻害のおそれが少ない。従って、メインシール材としては、必ずしもホットメルト樹脂を用いる必要はないが、ホットメルト樹脂を用いてもよい。
【0026】
<光電変換素子の製造方法の実施の形態>
本発明の光電変換素子の製造方法の一例は、(a)色素を担持した半導体層を有する第1の電極を形成してなる第1の基板と、第2の電極を形成してなる第2の基板とを、上記第1の電極の半導体層と上記第2の電極とが対峙するように対向させる工程と、(b)上記第1の基板と上記第2の基板とを封止材により接着して封止部を形成し、上記封止部の内側であって上記第1の電極と上記第2の電極との間に電解質保持部を形成し、かつ、上記封止部に電解質注入部を形成する工程と、(c)上記電解質注入部から、上記電解質保持部に電解質を注入する工程と、(d)上記電解質注入部を封止する工程とを含むものである。また、上記工程(b)において、上記第1の基板の上記第1の電極と、上記第2の基板の上記第2の電極との間に封止部を形成することができる。
【0027】
上記工程(d)において、上記電解質注入部をホットメルト樹脂(エンドシール材)を用いて封止し、さらに上記電解質注入部を加熱することでホットメルト樹脂と電極支持体とを強固に融着させるとともに、さらに加圧を加えることでホットメルト樹脂を積極的に電極支持体に密着させて、より一層の封止強度を得ることができる。上記加熱と上記加圧とは、同時に行われることが好ましい。
【0028】
また、上記ホットメルト樹脂の融点は、60℃以上200℃以下であることが好ましい。さらに、上記加熱の温度は、60℃以上250℃以下が好ましく、上記加圧の圧力は、0.3MPa以上2.0MPa以下が好ましい。
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1は、本発明の光電変換素子の一例を示す概要断面図である。また、図2は、図1のI−I線の断面図である。図1、図2に示すように、本実施形態の光電変換素子1は、透明支持体2の一方の表面に形成された透明電極3(第1の電極)を有する。透明電極3の一方の表面には色素を担持した半導体層4が形成されている。透明支持体2、透明電極3及び半導体層4が一体となって基板(第1の基板)を構成している。
【0030】
また、この色素を担持した半導体層4に対峙して対電極7(第2の電極)が存在する。対電極7は別の支持体8の一方の表面に形成されている。対電極7及び支持体8が一体となって基板(第2の基板)を構成している。
【0031】
半導体層4と対電極7との間には電解質層6aが存在する。また、メインシール材5とホットメルト樹脂からなるエンドシール材11とが、電解質層6aを半導体層4と対電極7との間に保持するように配置されている。メインシール材5とエンドシール材11により光電変換素子1の枠状の封止部が構成されている。なお、支持体8は、光透過性の素材で形成してもよく、光透過性を有しない素材で形成してもよい。また、9は入射光である。
【0032】
図1から明らかなように、本実施形態の光電変換素子1は、少なくとも透明電極3及び対電極7には電解質注入部が形成されていない。
【0033】
図3〜図6は、図1に示した光電変換素子の製造方法の一例を示す概要断面図である。本実施形態の製造方法は、先ず、色素を担持した半導体層4が被着された透明電極3を表面に備えた透明支持体2と、対電極7を表面に備えた支持体8と、コの字状のメインシール材5と、矩形状のエンドシール材11(ホットメルト樹脂)と、電解質注入部を形成するための離型性樹脂シート12とを準備する。次に、図3に示すように、透明支持体2と支持体8とをメインシール材5、エンドシール材11及び離型性樹脂シート12を介して積層し、透明電極3の半導体層4と対電極7とを対峙させる。
【0034】
続いて、透明支持体2と支持体8の両側から加熱しながら加圧することにより、メインシール材5とエンドシール材11とを透明電極3と対電極7とに接着する。これにより、透明電極3の半導体層4と対電極7との間に電解質保持部6bが形成される。但し、この状態では、離型性樹脂シート12を配置した部分(電解質注入部となる部分)においては、エンドシール材11と対電極7とは接着していない。
【0035】
次に、図4、図5に示すように、離型性樹脂シート12を除去することにより、エンドシール材11と対電極7との間に電解質注入部10を形成する。なお、図5は、図4のII−II線の断面図である。続いて、電解質注入部10から電解質保持部6bに電解質を注入する。その後、透明支持体2と支持体8の両側から加熱しながら加圧して、電解質注入部10を押しつぶすことにより封止する。これにより、電解質注入部10はエンドシール材11により封止され、図1に示す本実施形態の光電変換素子1が完成する。
【0036】
電解質注入部10の形成位置は、図4、図5に示した対電極7とエンドシール材11の界面側に限らず、透明電極3とエンドシール材11の界面側に形成してもよい。さらに、電解質注入部10は、図6に示すようにエンドシール材11(ホットメルト樹脂)の中央部に形成するのがより好ましい。その理由は、ホットメルト樹脂は融着で被着体と固着するため、凝集剥離よりも界面剥離の方が起こりやすく、界面剥離の可能性を低減させるためである。電解質注入部10をエンドシール材11(ホットメルト樹脂)の中央部に形成するには、エンドシール材11を予め透明電極3及び対電極7にそれぞれ配置し、そのエンドシール材11の間に離型性樹脂シート12を配設することにより行うことができる。但し、その場合でも前述と同様に電解質注入部10付近のエンドシール11と、透明電極3及び対電極7とは接着していない。
【0037】
図7〜図10は、本発明の光電変換素子の製造方法の他の一例を示す概要断面図である。本実施形態の製造方法は、先ず、色素を担持した半導体層4が被着された透明電極3を表面に備えた透明支持体2と、対電極7を表面に備えた支持体8とを準備する。次に、図7に示すように、透明電極3の上に液状のメインシール材5を枠状に塗布する。但し、電解質注入部形成予定部10’にはメインシール材5は塗布しない。続いて、図8、図9、図10に示すように、透明支持体2と支持体8とをメインシール材5を介して積層し、透明電極3の半導体層4と対電極7とを対峙させる。なお、図9は、図8のIII−III線の断面図であり、図10は、図8のIV−IV線の断面図である。
【0038】
続いて、透明支持体2と支持体8の両側から加熱しながら加圧することにより、メインシール材5を透明電極3と対電極7とに接着する。これにより、透明電極3の半導体層4と対電極7との間に電解質保持部6b(図9)と電解質注入部10(図10)とが形成される。但し、この状態では、電解質注入部10においては、メインシール材5は透明電極3及び対電極7に接着していない。
【0039】
次に、電解質注入部10から電解質保持部6bに電解質を注入する。その後、電解質注入部10に加熱溶融したエンドシール材11を充填することにより、電解質注入部10を封止する。この際、透明支持体2及び支持体8を加熱及び加圧してもよい。これにより、図11に示す本実施形態の光電変換素子1が完成する。
【0040】
メインシール材5を構成する基材物質としては、例えば、シリコーン樹脂、ポリオレフィン、ブチルゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体、低密度ポリエチレン、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、アイオノマー樹脂のほか、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリジエン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、フッ素樹脂系、ポリアミド系のエラストマーなどを用いることができるが、それらの中でもシリコーン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリオレフィン、ポリイソブチレン系樹脂、ブチルゴム、フッ素樹脂系エラストマーなどが好ましい。また、電解質溶媒としてニトリル系溶媒、カーボネート系溶媒を使用する場合には、それらの溶媒と相溶性の低い、シリコーン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、ポリオレフィン、熱硬化性オレフィン樹脂などから構成されるホットメルト樹脂が好ましい。また、メインシール材5には、それらの耐候性を向上させるために、架橋剤、紫外線吸収剤などを適宜混合することができる。
【0041】
さらに、メインシール材5には、対電極7と透明電極3との接着力を高めるためにシランカップリング剤やチタネートカップリング剤などを添加してもよい。また、あらかじめ対電極7及び透明電極3に、ウエット洗浄、ケミカル洗浄、プラズマ処理、オゾン処理、紫外線照射処理、超音波処理、表面研磨処理などを行い、その表面の洗浄や表面の活性化を行ってもよい。
【0042】
エンドシール材11はホットメルト樹脂からなり、その基材物質としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体、低密度ポリエチレン、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、アイオノマー樹脂のほか、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリジエン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、フッ素樹脂系及びポリアミド系のエラストマーなどを使用することができ、それらの中から被着面の材質に応じて適宜選択して使用することができる。
【0043】
また、メインシール材5及びエンドシール材11の形態としては、シート状、液状、ゲル状などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
メインシール材5にホットメルト樹脂を使用した場合、本実施形態の光電変換素子の封止部がホットメルト樹脂のみで構成されるので、電極支持体間にメインシール材5とエンドシール材11を別々に配置する必要がない。このため製造工程の簡略化を促進することができる。例えば、封止部の構造をパターニングしたトムソン刃などでシート状のホットメルト樹脂を連続的に打ち抜いて、大量に封止部材を生産することができる。
【0045】
また、メインシール材5とエンドシール材11の厚みは、透明電極3と対電極7との電極間距離を規定するので、0.001mm以上1mm以下であればよい。より好ましい厚みは、0.001mm以上0.5mm以下である。電極間距離が1mmを超えると、著しく光電変換特性が低下するおそれがある。また、0.001mm未満では、透明電極3の一部と対電極7の一部とが接触し、短絡する不都合がある。電極間距離を正確に規定する手段として、メインシール材5又はエンドシール材11の少なくともどちらか一方にスペーサを含ませることが好ましい。また、他の方法として、電解質層6にスペーサを配置してもよい。
【0046】
透明電極3と対電極7との間に配設されたエンドシール材11に設けられた電解質注入部10を封止するために加熱と加圧を行う方法としては、特別な方法に限定にされることはない。また、加熱と加圧を同時に行う装置としては、ホットプレス機、加熱ローラー型半田こて、ラミネーターなどが使用でき、レーザーなどの熱源を備えたプレス装置を使用することもできる。
【0047】
電解質注入部10から電解質保持部6bに電解質を注入する工程と、電解質注入部10を封止する工程とを行う環境は、常温常圧が好ましい。また、減圧下であれば、電解質保持部6bに気泡を挟むことなく封止することができるので、より好ましい。さらに、湿度2%以下でクラス1000以上のクリーンルームを使用すれば、長期耐久性を損なうおそれのある水分を電解質保持部6bへ混入することを低減でき、電解質注入部10での埃の噛み込みによる不充分な封止を防ぐことができるので、さらに好ましい。
【0048】
上記加熱の温度範囲は60℃以上250℃以下が好ましい。温度範囲の上限は、支持体に破損の生じない温度及び支持体とシール材の融点を考慮して適宜選定されるが、支持体が樹脂フィルムの場合、200℃以下が好ましく、支持体がガラスの場合、250℃以下が好ましい。この温度範囲を越えると、支持体の変形や、ホットメルト樹脂の寸法安定性を維持できなくなるおそれがある。また、60℃以下の加熱ではホットメルト樹脂と電極支持体との融着は不充分になるおそれがある。
【0049】
上記加圧の圧力は、加圧部の支持体に破損が発生しない圧力を考慮して適宜選定されるが、好ましくは0.3MPa以上2.0MPa以下であり、より好ましくは0.3MPa以上1.0MPa以下であり、最も好ましくは0.3MPa以上0.5MPa以下である。0.3MPa未満の圧力では、電解質注入部10の封止が不充分となり、電解質保持部6bに電解質を保持することが困難となり、加圧中に電解質注入部10から電解質が漏液するおそれがある。また、2.0MPaを超える圧力になると、電極基板に余計な力が加わり、電極支持体の割れや変形のおそれがある。
【0050】
上記加熱と上記加圧を行うタイミングは、透明電極3と対電極7との間に設置したエンドシール材11の融点を考慮して適宜選定されるが、加熱の後に加圧を行うのが好ましく、加熱と加圧を同時行うのが最も好ましい。また、上記加熱の加熱時間及び上記加圧の加圧時間は、セル内の電解質の揮発を考慮して3.0秒以下とするのが好ましい。
【0051】
電解質注入部10の数は、光電変換素子のセル1個当り少なくとも1箇所以上を設けるのが好ましい。
【0052】
電解質注入部10より電解質保持部6bに電解質を注入する方法としては、ガラスシリンジ又はプラスチックシリンジを用いて注入する方法が挙げられる。この場合、用いる針の外径は0.2mm以上で2.0mm以下が好ましい。また、減圧注入法で注入することもできる。即ち、光電変換素子1のセルを真空デシケーター内に入れ、セル内を減圧し、減圧状態から大気圧に戻すことで電解質注入部10の開口部から電解質をセル内に注入することができる。
【0053】
透明支持体2の材質としては透光性を有する材料であれば特に限定されないが、通常、ガラスや透明樹脂フィルムが使用される。ホットメルト樹脂の融点温度を適切に選択することで、ホットメルト樹脂と強固に融着するからである。また、透明支持体2の光透過率は高い程よい。好ましい光透過率としては50%以上であり、より好ましくは80%以上である。
【0054】
支持体8は、透明支持体2と同じガラスや透明樹脂フィルムの他に、金属などを使用することができる。支持体8は不透明でもよいが、両側の基板から光を入射させることができる点で、透明であることが好ましい。
【0055】
また、可撓性のある透明樹脂フィルムを支持体2、8に用いると、電極の大量生産が容易となり、製造コストの低減を図ることができる。
【0056】
透明支持体2及び支持体8に用いる透明樹脂フィルムとしては、例えば、再生セルロースフィルム、ジアセテートセルロースフィルム、トリアセテートセルロースフィルム、テトラアセチルセルロースフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアリレートフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、ノルボルネン樹脂フィルム、ポリスチレンフィルム、塩酸ゴムフィルム、ナイロンフィルム、ポリアクリレートフィルム、ポリフッ化ビニルフィルム、ポリ四フッ化エチレンフィルムなどが挙げられる。これらの中でも、特にポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアリレートフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、ノルボルネン樹脂フィルムなどは、強靭で且つ耐熱性に優れていることから好ましい。なお、透明樹脂フィルムに代えて透明樹脂板を使用することもできる。
【0057】
透明電極3は導電性とともに光透過性に優れていることが望ましく、その材質としては、例えば、酸化亜鉛、インジウム−錫複合酸化物(ITO)、ITOと銀とを積層した導電体層、アンチモンをドープした酸化錫、フッ素をドープした酸化錫などが挙げられる。中でもフッ素をドープした酸化錫が導電性と光透過性の観点から好ましい。
【0058】
透明電極3は、表面抵抗が低い程よい。好ましい表面抵抗の範囲としては50Ω/スクエア以下であり、より好ましくは30Ω/スクエア以下である。表面抵抗の下限に特に制限はないが、通常0.1Ω/スクエアである。
【0059】
透明電極3は、光透過率が高い程よい。好ましい光透過率としては50%以上であり、より好ましくは80%以上である。透明電極3の膜厚は、0.1〜10μmの範囲内であることが好ましい。この範囲内であれば、均一な膜厚の電極膜を形成することができ、また、光透過性が低下せず、十分な光を半導体層4に入射させることができるからである。この場合、光は色素が担持された半導体層4が被着される側の透明電極3から入射させることが好ましい。
【0060】
対電極7は光電変換素子1の正極として機能し、上記色素が担持された半導体層4が被着される側の透明電極3と同様に形成できる。さらに、対電極7としては、光電変換素子1の正極として効率よく作用するために、電解質の還元体に電子を与える触媒作用を有する素材で形成することが好ましい。このような素材は、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウムなどの金属、又はグラファイト、若しくはITO、フッ素をドープした酸化錫などの導電性の金属酸化物などである。これらのうち、白金やグラファイトなどが特に好ましい。対電極7が配設される側の支持体8は、対電極7の被着面側に透明導電膜(図示せず。)を有することもできる。この透明導電膜は、例えば上記の透明電極3と同じ材料から成膜することができる。この場合、対電極7も透明であることが好ましい。
【0061】
半導体層4の形成にあたっては、半導体粒子の分散塗料を、例えば、ドクターブレードやバーコータなどを使う塗布方法、スプレー法、ディップコーティング法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、スピンコート法、電着法などにより、透明電極3の表面に成膜し、その後、必要に応じて半導体層4の固定化処理を行うことが好ましい。その固定化処理としては、加熱処理や加圧処理などが挙げられる。加熱処理としては、電気炉やホットプレート、マイクロ波、電子線などによる加熱方式が好ましく、加熱温度は透明支持体2としてガラス基板を用いた場合は400〜600℃程度が好ましい。また、透明支持体2としてポリエチレンナフタレート(PEN)などの樹脂フィルムを用いた場合は上記範囲内の温度で半導体層4を加熱処理すると、樹脂フィルムの変形やITOなどの透明電極3が樹脂フィルムから剥離する場合がある。従って、樹脂フィルムを用いる場合は200℃以下の温度で加熱処理をしたり、半導体層4に圧力を加えたりして、半導体層4を形成することができる。半導体層4を加圧する方法としては、プレス機やカレンダなどを用いる方法が挙げられる。
【0062】
半導体層4の厚みは0.1〜100μmの範囲内であることが好ましい。この範囲内であれば、充分な光電変換効果が得られ、また、可視光及び近赤外光に対する光透過性が悪化することもないからである。半導体層4の厚みのより好ましい範囲は1〜50μmであり、さらに好ましい範囲は5〜30μmであり、最も好ましい範囲は10〜20μmである。
【0063】
半導体層4の形成にあたって使用する半導体材料としては、例えば、Cd、Zn、In、Pb、Mo、W、Sb、Bi、Cu、Hg、Ti、Ag、Mn、Fe、V、Sn、Zr、Sr、Ga、Si、Crなどの金属の酸化物、SrTiO3、CaTiO3などのペロブスカイト、又はCdS、ZnS、In2S3、PbS、Mo2S、WS2、Sb2S3、Bi2S3、ZnCdS2、Cu2Sなどの硫化物、CdSe、In2Se3、WSe2、HgS、PbSe、CdTeなどの金属カルコゲナイド、その他GaAs、Si、Se、Cd2P3、Zn2P3、InP、AgBr、PbI2、HgI2、BiI3など、又は上記半導体材料から選ばれる少なくとも1種類以上を含む複合体、例えば、CdS/TiO2、CdS/AgI、Ag2S/AgI、CdS/ZnO、CdS/HgS、CdS/PbS、ZnO/ZnS、ZnO/ZnSe、CdS/HgS、CdSx/CdSe1-x、CSx/Te1-x、CdSex /Te1-x、ZnS/CdSe、ZnSe/CdSe、CdS/ZnS、TiO2/Cd3P2、CdS/CdSeCdyZn1-yS、CdS/HgS/CdSなどが挙げられる。これらの中でも、TiO2が、グレッツェル・セルにおいて、電解質中への光溶解の回避と高い光電変換特性を実現できる点で好ましい。
【0064】
上記半導体材料は通常粒子形状で用いるが、その際の半導体粒子の粒径は、一般的に5〜1000nmの範囲内であることが好ましい。この範囲内であれば、半導体層4の空孔径が適度になって電解質溶液中の酸化還元物質の移動がしやすくなり、光電流の低下が発生することがなく、また、半導体層4の表面積を大きくできるため、充分な色素の担持量を得ることができ、その結果、大きな光電流が得られるからである。半導体粒子の粒径の特に好ましい範囲は、10〜100nmである。
【0065】
半導体層4の厚み又は半導体粒子の粒径を制御することにより、半導体層4の支持体面積に対する半導体層内部の実面積の割合であるラフネスファクターを決定することができる。ラフネスファクターは20以上であることが好ましく、150以上であることがより好ましい。この範囲内であれば、色素の担持量が充分となり、光電変換特性を向上させることができるからである。ラフネスファクターの上限値は一般に5000程度である。ラフネスファクターは半導体層4の厚みを厚くすると大きくなって、半導体層4の表面積が広がり、色素の担持量の増加が期待できる。しかし、厚みが厚くなりすぎると、半導体層4の光透過率及び抵抗損失への影響が現れ始める。
【0066】
また、半導体層4の形成に界面活性剤やポリエチレングリコール、セルロース系材料などを添加し、半導体層4の加熱処理時にそれらを燃焼させることによって半導体層4を多孔質にしたり、半導体粒子の粒径を変更したりすることで半導体層4のポロシティーを高くすれば、厚みを厚くしなくてもラフネスファクターを大きくすることは可能である。しかし、ポロシティーが高くなりすぎると、半導体粒子間の接触面積が減少して抵抗損失への影響を考慮しなくてはならなくなる。このようなことから、半導体層4のポロシティーは50%以上が好ましく、その上限値は一般的に約80%程度である。半導体層4のポロシティーは液体窒素温度下で窒素ガス又はクリプトンガスの吸着−脱離等温曲線の測定結果から算出することができる。
【0067】
色素としては、従来の色素増感性光電変換素子で常用される増感色素であれば全て使用できる。このような色素は、Lを4,4’−ジカルボキシル−2,2’−ビピリジンとすると、例えば、RuL2(H2O)2タイプのルテニウム−シス−ジアクア−ビピリジル錯体又はルテニウム−トリス(RuL3)、ルテニウム−ビス(RuL2)、オスニウム−トリス(OsL3)、オスニウム−ビス(OsL2)タイプの遷移金属錯体、若しくは亜鉛−テトラ(4−カルボキシフェニル)ポルフィリン、鉄−ヘキサシアニド錯体、フタロシアニンなどが挙げられる。有機色素としては、9−フェニルキサンテン系色素、クマリン系色素、アクリジン系色素、トリフェニルメタン系色素、テトラフェニルメタン系色素、キノン系色素、アゾ系色素、インジゴ系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、キサンテン系色素などが挙げられる。この中でもルテニウム−ビス(RuL2)誘導体は、可視光域で広い吸収スペクトルを有するため、特に好ましい。
【0068】
半導体層4へ増感色素を担持させる方法は、例えば増感色素を溶かした溶液に、半導体層4を被着させた透明支持体2を浸漬させる方法が挙げられる。この溶液の溶媒としては、水、アルコール、トルエン、ジメチルホルムアミドなど増感色素を溶解可能なものであれば全て使用できる。また、浸漬方法として、増感色素溶液に半導体層4を被着させた透明支持体2を一定時間浸漬させている時に、加熱還流をしたり、超音波を印加したりすることもできる。半導体層4への色素担持後、担持せずに半導体層4に残ってしまった増感色素を取り除くために、アセトニトリルで洗浄することが好ましい。さらに、増感色素が担持されていない半導体粒子表面を被覆するために、溶媒としてアルコールを使用した場合、アルコール中にt−ブチルピリジンを溶解させておくことが好ましい。アルコール中にt−ブチルピリジンが存在すると、半導体粒子/電解質界面では、t−ブチルピリジンによって半導体粒子表面と電解質とをセパレートすることができ、漏れ電流を抑制することが可能となり、光電変換素子の特性を著しく向上させることができるからである。
【0069】
半導体粒子への増感色素の担持量としては、1×10-8〜1×10-6mol/cm2の範囲にあればよく、特に0.1×10-7〜9.0×10-7mol/cm2が好ましい。この範囲内であれば、経済的且つ十分に光電変換効率向上の効果を得ることができるからである。
【0070】
電解質層6aを構成する電解物質としては、酸化体と還元体からなる一対の酸化還元系構成物質であれば特に限定されないが、酸化体と還元体とが同一電荷を持つ酸化還元系構成物質であることが好ましい。この明細書における酸化還元系構成物質とは、酸化還元反応において可逆的に酸化体及び還元体の形で存在する一対の物質を意味する。本実施形態で使用できる酸化還元系構成物質は、例えば、塩素化合物−塩素、ヨウ素化合物−ヨウ素、臭素化合物−臭素、タリウムイオン(III)−タリウムイオン(I)、水銀イオン(II)−水銀イオン(I)、ルテニウムイオン(III)−ルテニウムイオン(II)、銅イオン(II)−銅イオン(I)、鉄イオン(III)−鉄イオン(II)、バナジウムイオン(III)−バナジウムイオン(II)、マンガン酸イオン−過マンガン酸イオン、フェリシアン化物−フェロシアン化物、キノン−ヒドロキノン、フマル酸−コハク酸などが挙げられるが、これらに限定はされない。この中でも、ヨウ素化合物−ヨウ素が好ましく、ヨウ素化合物としては、ヨウ化リチウム、ヨウ化カリウムなどの金属ヨウ化物、テトラアルキルアンモニウムヨージド、ピリジニウムヨージドなどのヨウ化4級アンモニウム塩化合物、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウムなどのヨウ化ジイミダゾリウム化合物が特に好ましい。
【0071】
上記電解物質を溶解するために使用される溶媒は、酸化還元系構成物質を溶解可能で、イオン伝導性に優れた化合物が好ましい。その溶媒としては水性溶媒及び有機溶媒の何れも使用できるが、酸化還元系構成物質をより安定さすため、有機溶媒が好ましい。この有機溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル化合物、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキソシラン、テトラヒドロフラン、2−メチル−テトラヒドロフランなどのエーテル化合物、3−メチル−2−オキサゾジリノン、2−メチルピロリドンなどの複素環化合物、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル化合物、スルフォラン、ジジメチルスルフォキシド、ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性化合物などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いることもできるし、また、2種類以上を混合して併用することもできる。これらの中でも、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、3−メチル−2−オキサゾジリノン、2−メチルピロリドンなどの複素環化合物、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル化合物が特に好ましい。
【0072】
電解質は、液状のものに限られることなく、他の形態のものも用いることができる。例えば、液状の電解質を高分子マトリックスに保持させてゲル状にした状態で用いてもよい。そのような高分子マトリックスとしては、フッ化ビニリデン、ヘキサフロロプロピレン、テトラフロロエチレン、トリフロロエチレン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、スチレンなどの重合性モノマーを単独で重合させた単独重合体又はそれらのモノマーを2種以上共重合させた共重合体を用いることができる。
【0073】
本実施形態の光電変換素子1は、全体をフッ素樹脂で覆うことができる(図示せず。)。これにより、光電変換素子1の強度の向上及び耐衝撃性の向上を図ることができる。このフッ素樹脂は、光電変換素子1の最外層に使用することから、水蒸気などに対するガスバリヤー性、紫外線などに対する耐光性、透明性、強度、耐候性に優れていることが好ましい。
【0074】
(実施例)
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【実施例1】
【0075】
三洋化成社製の界面活性剤“ノニポール100”(商品名)を0.01g/dm3含む水と、アセチルアセトンとの混合溶液(容量混合比:水/アセチルアセトン=20/1)中に、日本アエロジル社製の酸化チタン粒子“P25”(商品名、平均粒径20nm)を濃度2質量%となるように分散させてスラリー液を調製した。次に、フッ素がドープされたSnO2を表面にコーティングして導電性を付与した透明電極付きガラス基板である旭硝子社製の導電性ガラス“F−SnO2”(商品名、厚さ:1mm、表面抵抗:10Ω/スクエア)の透明電極の上に、このスラリー液を1cm×1cmの大きさに塗布して乾燥した。その後、得られた乾燥物を500℃、30分間空気中で焼成し、上記導電性ガラス上に厚さ7μmの酸化チタン膜を形成した。続いて、この基板を、[Ru(4,4’−ジカルボキシル−2,2’−ビピリジン)2(NCS)2]で表される増感色素を濃度3×10-4mol/dm3で含むエタノール溶液に浸漬して色素吸着処理を行って、ガラス基板付透明電極を作製した。
【0076】
また、ガラス基板付対電極としては、旭硝子社製の上記導電性ガラス“F−SnO2”に白金を20nmの厚さで蒸着したものを用いた。両電極間の距離は0.1mmとした。
【0077】
上記透明電極と上記対電極との間に、上記酸化チタン膜の周囲を囲むように幅5mm、厚さ35μmの枠状のメインシール材を配設し、180℃、1.0MPaの条件でホットプレス機にて加熱と加圧を同時に行った。但し、電解質注入部を形成するために、幅2mm、厚さ50μmのフッ素樹脂シート(離型性樹脂シート)を、上記メインシール材と上記対電極との間に挟んだ。その後、フッ素樹脂シートを取り除いて電解質注入部を形成し、この電解質注入部より電解質溶液を減圧注入法で注液した。電解質注入部に付着した余分な電解質溶液を拭き取った後、この電解質注入部のみを上記と同条件にてホットプレス機で加熱と加圧を同時に行うことで封止し、光電変換素子を作製した。上記電解質溶液としては、0.5mol/dm3のテトラプロピルアンモニウムヨーダイドと0.04mol/dm3のヨウ素とを含むエチレンカーボネートとアセトニトリルとの混合溶液(容量混合比:エチレンカーボネート/アセトニトリル=80/20)を用いた。また、上記メインシール材としては、デュポン社製のホットメルト樹脂“Bynel”(商品名)を用いた。
【実施例2】
【0078】
ハーキュレス社製のエチルセルロース“N300”(商品名)0.7質量%をエタノールに溶かしたバインダー溶液を調製した。このバインダー溶液23gに日本アエロジル社製の酸化チタン“P25”(商品名)7.5gを投入し、酸化チタンを分散させてスラリー液を調製した。このスラリー液中の酸化チタンの濃度は24質量%になるように調製した。次に、トービ社製のインジウム−錫複合酸化物(ITO)が被着されたポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(厚さ125μm、表面抵抗10Ω/スクエアのITO/PEN透明電極フィルム)の透明電極の上に、このスラリー液を塗布して乾燥させ、縦40mm、横15mm、厚さ50μmの酸化チタン膜からなる半導体層を形成した。次に、カレンダにて半導体層に1枚あたり80MPaの圧力を加えて、半導体層を構成する酸化チタン膜の厚みを10μmに圧縮した。
【0079】
この酸化チタン膜を備えたITO/PEN透明電極フィルムを、[Ru(4,4’−ジカルボキシル−2,2’−ビピリジン)2(NCS)2]で表される増感色素を濃度3×10-4mol/dm3で含むアセトニトリル/t−ブチルアルコール混合溶液(混合体積比=50/50)に浸漬して半導体層への色素担持処理を行って、フィルム付透明電極を作製した。次に、上記と同様のトービ社製のITO/PEN透明電極フィルムに膜厚20nmの白金を蒸着し、フィルム付対電極を作製した。
【0080】
デュポン社製のホットメルト樹脂“Himilan”(商品名)を、上記透明電極と上記対電極との間に上記酸化チタン膜を囲むように幅5mm、厚さ70μmの枠状のメインシール材として配設し、180℃、0.5MPaの条件にてラミネーターを用いて加熱と加圧を同時に行った。また、電解質注入部の形成は実施例1と同様の方法を用いた。その電解質注入部より電解質溶液を減圧注入法で注液した後、その電解質注入部のみを上記と同条件にてラミネーターで加熱と加圧を同時に行うことで封止し、光電変換素子を作製した。上記電解質溶液としては、0.5mol/dm3のテトラプロピルアンモニウムヨーダイドと0.5mol/dm3のt−ブチルピリジンと0.01mol/dm3のヨウ素とを含むγ−ブチルラクトンを用いた。
【実施例3】
【0081】
実施例1と同様に作製したガラス基板付透明電極及びガラス基板付対電極を準備した。上記透明電極の表面に、メインシール材として積水化学工業社製の樹脂ボール“ミクロパール”(商品名、平均粒径:30μm)を1質量%添加した加熱硬化型樹脂であるスリーボンド社製の“Three Bond 1152”(商品名)を、前述した図7に示したように、幅3mm、厚さ80μmで自動ディスペンサーを用いて塗布した。上記透明電極及び上記対電極を貼合する際に幅2mm、厚さ50μmの電解質注入部を配設した。
【0082】
メインシール材の硬化は、100℃で60分間加熱することによって行った。この場合、上記透明電極及び上記対電極がずれないようにバチ型クリップを使い加圧静置した。また、上記電解質注入部より電解質溶液を減圧注入法で注液した後、電解質注入部に付着した余分な電解質溶液を拭き取った。その後、上記電解質注入部に220℃に加熱したホットプレート上で加熱溶融させたデュポン社製のホットメルト樹脂“Bynel”(エンドシール材)を約10秒間、0.4〜0.6MPaの圧力で押し付けることでエンドシール材を封入した後、自然冷却し、光電変換素子を作製した。上記電解質溶液としては、0.5mol/dm3のテトラプロピルアンモニウムヨーダイドと0.04mol/dm3のヨウ素とを含むγ−ブチロラクトンを用いた。
【実施例4】
【0083】
メインシール材として東レ・ダウコーニング社製のシリコーン系縮合反応型樹脂“SE737"(商品名)を用い、また、そのメインシール材の硬化をガラス基板付透明電極及びガラス基板付対電極がずれないようにバチ型クリップを用い、常温常湿下で12時間加圧静置することによって行った以外は、実施例3と同様にして光電変換素子を構成した。
【0084】
(比較例1)
図12に示す従来構造の光電変換素子を下記のようにして作製した。図12において、図1と同一符号を付けた部分は、図1と同一の部分に該当するので説明は省略する。
【0085】
先ず、実施例1と同様に作製したガラス基板付透明電極3及びガラス基板付対電極7を準備した。上記対電極7の図12に示す位置に電動ブラスターを用いて直径1.0mmの注液孔13を穿孔した。
【0086】
次に、上記透明電極3と上記対電極7とを、実施例1と同様にしてメインシール材5を介して180℃、1.0MPaの条件でホットプレス機を用いて加熱と加圧を同時に行った。続いて、電解質溶液を注液孔13より注液した後、注液孔13をエンドシール材14で封止し、さらにエンドシール材14の表面をコニシ社製の2液混合エポキシ樹脂“クイック5”(商品名)で被覆した。上記電解質溶液としては、0.5mol/dm3のテトラプロピルアンモニウムヨーダイドと0.04mol/dm3のヨウ素とを含むエチレンカーボネートとアセトニトリルとの混合溶液(容量混合比:エチレンカーボネート/アセトニトリル=80/20)を用いた。また、メインシール材5及びエンドシール材13としては、いずれもデュポン社製のホットメルト樹脂“Bynel”(商品名)を用いた。
【0087】
(比較例2)
比較例1とほぼ同様の構造の光電変換素子を下記のようにして作製した。先ず、実施例2と同様にしてフィルム付透明電極及びフィルム付対電極を作製した。上記対電極の比較例1と同じ位置に針を用いて直径1.0mmの注液孔を穿孔した。
【0088】
次に、上記透明電極と上記対電極とを、実施例2と同様にしてメインシール材を介して180℃、1.0MPaの条件でラミネーターを用いて加熱と加圧を同時に行った。続いて、電解質溶液を注液孔より注液した後、注液孔をシリコーン粘着テープで封止し、さらにシリコーン粘着テープの表面を積水化学工業社製の一液性紫外線硬化型樹脂“フォトレックA−780”(商品名)で被覆した。上記電解質溶液としては、0.5mol/dm3のテトラプロピルアンモニウムヨーダイドと0.5mol/dm3のt−ブチルピリジンと0.01mol/dm3のヨウ素とを含むγ−ブチルラクトンを用いた。また、メインシール材としては、デュポン社製のホットメルト樹脂“Himilan”(商品名)を用いた。
【0089】
次に、実施例1〜4及び比較例1、2の光電変換素子を用いて電解質保持特性と発電特性とを評価した。
【0090】
<電解質保持特性の評価>
上記各光電変換素子の一定条件下における質量減少割合を測定して電解質保持特性を評価した。測定条件は各光電変換素子を温度60℃、湿度2.0%で400時間保存し、保存前の光電変換素子の質量に対する保存後の質量の割合を質量維持率(%)として算出した。その結果を表1に示す。
【0091】
【表1】
【0092】
<発電特性の評価>
上記各光電変換素子の一定条件下におけるエネルギー変換効率を測定して発電特性を評価した。測定条件は各光電変換素子を温度60℃、湿度2.0%で400時間保存し、保存前の光電変換素子のエネルギー変換効率に対する保存後のエネルギー変換効率の割合を変換効率維持率(%)として算出した。
【0093】
光電流−電圧特性は、ソーラーシミュレータによる擬似太陽光(10mW/cm2、AM1.5)を用いて測定した。エネルギー変換効率(%)は、開放端光電圧(V)、短絡光電流密度(mA/cm2)、形状因子から下記式により算出した。
【0094】
エネルギー変換効率(%)=開放端光電圧(V)×短絡光電流密度(mA/cm2)×形状因子/10(mW/cm2)×100
以上の結果を表2に示す。
【0095】
【表2】
【0096】
表1及び表2から、実施例1〜4は、比較例1、2に比べて、質量保持特性及び発電特性がともに高いことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
以上説明したように本発明の光電変換素子は、高い電解質保持特性と発電特性とを有するため、長期間に渡って電解質の漏洩を防止でき、安全性及び高耐久性を有する光電変換素子を提供でき、色素増感太陽電池などの実用化に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の光電変換素子の一例を示す概要断面図である。
【図2】図1のI−I線の断面図である。
【図3】本発明の光電変換素子の製造方法の一例を示す概要断面図である。
【図4】本発明の光電変換素子の製造方法の一例を示す概要断面図である。
【図5】図4のII−II線の断面図である。
【図6】本発明の光電変換素子の製造方法の一例を示す概要断面図である。
【図7】本発明の光電変換素子の製造方法の他の一例を示す概要平面図である。
【図8】本発明の光電変換素子の製造方法の他の一例を示す概要平面図である。
【図9】図8のIII−III線の断面図である。
【図10】図8のIV−IV線の断面図である。
【図11】本発明の光電変換素子の他の一例を示す概要断面図である。
【図12】従来の光電変換素子の一例を示す概要断面図である。
【符号の説明】
【0099】
1 光電変換素子
2 透明支持体
3 透明電極(第1の電極)
4 半導体層
5 メインシール材
6a 電解質層
6b 電解質保持部
7 対電極(第2の電極)
8 支持体
9 入射光
10 電解質注入部
10’ 電解質注入部形成予定部
11 エンドシール材
12 離型性樹脂シート
13 注液孔
14 エンドシール材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
色素を担持した半導体層を有する第1の電極を備えた第1の基板と、前記第1の電極の半導体層と対峙する第2の電極を備えた第2の基板とを、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電解質を保持した状態で対向させてなる光電変換素子であって、
前記電解質を前記第1の電極と前記第2の電極との間に保持するための封止部が、前記電解質の周囲に形成され、
前記封止部は、封止材で封止された電解質注入部を備えていることを特徴とする光電変換素子。
【請求項2】
前記封止部は、前記第1の電極と前記第2の電極との間に形成されている請求項1に記載の光電変換素子。
【請求項3】
前記封止材は、ホットメルト樹脂である請求項1に記載の光電変換素子。
【請求項4】
前記ホットメルト樹脂の融点は、60℃以上200℃以下である請求項3に記載の光電変換素子。
【請求項5】
(a)色素を担持した半導体層を有する第1の電極を形成してなる第1の基板と、第2の電極を形成してなる第2の基板とを、前記第1の電極の半導体層と前記第2の電極とが対峙するように対向させる工程と、
(b)前記第1の基板と前記第2の基板とを封止材により接着して封止部を形成し、前記封止部の内側であって前記第1の電極と前記第2の電極との間に電解質保持部を形成し、かつ、前記封止部に電解質注入部を形成する工程と、
(c)前記電解質注入部から、前記電解質保持部に電解質を注入する工程と、
(d)前記電解質注入部を封止する工程と、
を含むことを特徴とする光電変換素子の製造方法。
【請求項6】
前記工程(b)において、前記第1の基板の前記第1の電極と、前記第2の基板の前記第2の電極との間に封止部を形成する請求項5に記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項7】
前記工程(d)において、前記電解質注入部をホットメルト樹脂を用いて封止する請求項5に記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項8】
前記ホットメルト樹脂の融点は、60℃以上200℃以下である請求項7に記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項9】
前記工程(d)において、前記電解質注入部をさらに加熱及び加圧する請求項5に記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項10】
前記加熱と前記加圧とは、同時に行われる請求項9に記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項11】
前記加熱の温度は、60℃以上250℃以下である請求項9又は10に記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項12】
前記加圧の圧力は、0.3MPa以上2.0MPa以下である請求項9又は10に記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項1】
色素を担持した半導体層を有する第1の電極を備えた第1の基板と、前記第1の電極の半導体層と対峙する第2の電極を備えた第2の基板とを、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電解質を保持した状態で対向させてなる光電変換素子であって、
前記電解質を前記第1の電極と前記第2の電極との間に保持するための封止部が、前記電解質の周囲に形成され、
前記封止部は、封止材で封止された電解質注入部を備えていることを特徴とする光電変換素子。
【請求項2】
前記封止部は、前記第1の電極と前記第2の電極との間に形成されている請求項1に記載の光電変換素子。
【請求項3】
前記封止材は、ホットメルト樹脂である請求項1に記載の光電変換素子。
【請求項4】
前記ホットメルト樹脂の融点は、60℃以上200℃以下である請求項3に記載の光電変換素子。
【請求項5】
(a)色素を担持した半導体層を有する第1の電極を形成してなる第1の基板と、第2の電極を形成してなる第2の基板とを、前記第1の電極の半導体層と前記第2の電極とが対峙するように対向させる工程と、
(b)前記第1の基板と前記第2の基板とを封止材により接着して封止部を形成し、前記封止部の内側であって前記第1の電極と前記第2の電極との間に電解質保持部を形成し、かつ、前記封止部に電解質注入部を形成する工程と、
(c)前記電解質注入部から、前記電解質保持部に電解質を注入する工程と、
(d)前記電解質注入部を封止する工程と、
を含むことを特徴とする光電変換素子の製造方法。
【請求項6】
前記工程(b)において、前記第1の基板の前記第1の電極と、前記第2の基板の前記第2の電極との間に封止部を形成する請求項5に記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項7】
前記工程(d)において、前記電解質注入部をホットメルト樹脂を用いて封止する請求項5に記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項8】
前記ホットメルト樹脂の融点は、60℃以上200℃以下である請求項7に記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項9】
前記工程(d)において、前記電解質注入部をさらに加熱及び加圧する請求項5に記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項10】
前記加熱と前記加圧とは、同時に行われる請求項9に記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項11】
前記加熱の温度は、60℃以上250℃以下である請求項9又は10に記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項12】
前記加圧の圧力は、0.3MPa以上2.0MPa以下である請求項9又は10に記載の光電変換素子の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−4827(P2006−4827A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−181399(P2004−181399)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]