説明

光電気混載基板の製造方法、光電気混載基板および電子機器

【課題】製造工程の煩雑化を招くことなく簡単な工程で光導波路混載基板を製造することができる光電気混載基板の製造方法、ならびに、かかる光導波路混載基板の製造方法により製造された信頼性の高い光電気混載基板および信頼性の高い電子機器を提供すること。
【解決手段】本発明の光電気混載基板の製造方法は、透光させるための孔部83を備える支持基板81と、シート状をなすシート材82とを用意し、孔部83を覆うようにシート材82を支持基板81に接合する工程と、光導波路を形成するための光導波路形成用材料を含有する液状材料を塗布法を用いて、シート材82を介在させた状態で、支持基板81上に供給することで液状被膜を形成する工程と、液状被膜を乾燥させて、光導波路形成用材料を含む層を成膜する工程と、層に所定の処理を施すことにより光導波路20を形成する工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電気混載基板の製造方法、光電気混載基板および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化の波とともに、大容量の情報を高速で通信可能な広帯域回線(ブロードバンド)の普及が進んでいる。また、これらの広帯域回線に情報を伝送する装置として、ルーター装置、WDM(Wavelength Division Multiplexing)装置等の伝送装置が用いられている。これらの伝送装置内には、LSIのような演算素子、メモリーのような記憶素子等が組み合わされた信号処理基板が多数設置されており、各回線の相互接続を担っている。
【0003】
各信号処理基板には、演算素子や記憶素子等が電気配線で接続された回路が構築されているが、近年、処理する情報量の増大に伴って、各基板では、極めて高いスループットで情報を伝送することが要求されている。しかしながら、情報伝送の高速化に伴い、クロストークや高周波ノイズの発生、電気信号の劣化等の問題が顕在化しつつある。このため、電気配線がボトルネックとなって、信号処理基板のスループットの向上が困難になっている。また、同様の課題は、スーパーコンピューターや大規模サーバー等でも顕在化しつつある。
【0004】
一方、光搬送波を使用してデータを移送する光通信技術が開発され、近年、この光搬送波を、一地点から他地点に導くための手段として、光導波路が普及しつつある。この光導波路は、線状のコア部と、その周囲を覆うように設けられたクラッド部とを有している。コア部は、光搬送波の光に対して実質的に透明な材料によって構成され、クラッド部は、コア部より屈折率が低い材料によって構成されている。
【0005】
光導波路では、コア部の一端から導入された光が、クラッド部との境界で反射しながら他端に伝送(搬送)される。光導波路の入射側には、半導体レーザー等の発光素子が配置され、出射側には、フォトダイオード等の受光素子が配置される。発光素子から入射された光は光導波路を伝搬し、受光素子により受光され、受光した光の明滅パターンもしくはその強弱パターンに基づいて通信を行う。
【0006】
このような光導波路で信号処理基板内の電気配線を置き換えることにより、前述したような電気配線の問題が解消され、信号処理基板のさらなる高スループット化が可能になると期待されている。
【0007】
例えば、特許文献1には、信号処理基板(光電気混載基板)内に、支持基板上に配置された複数の光導波路と、光導波路に対応して発光素子および受光素子がこの光導波路上に配置されたものが提案されている。
【0008】
この信号処理基板では、隣接するコア部同士の間に、これらに互いに接触するクラッド部が配置されていることで、信号処理基板内に複数の光導波路が形成されている。そして、この光導波路には、その上側に配置された発光素子からの光を光導波路の一端に伝送し、さらに光導波路の他端からの光を、同じく上側に配置された受光素子に伝送するためのミラー(光路変更部)を形成することが求められる。
【0009】
したがって、このようなミラーを備える光導波路を有する信号処理基板を形成するためには、まず、光導波路を用意し、この光導波路にミラーを作り込んだ後に、かかる光導波路を支持基板上に接合し、さらに、光導波路上に発光素子および受光素子を接合する工程を経る必要があり、信号処理基板の製造工程の煩雑化を招くという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−122908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、製造工程の煩雑化を招くことなく簡単な工程で光導波路混載基板を製造することができる光電気混載基板の製造方法、ならびに、かかる光導波路混載基板の製造方法により製造された信頼性の高い光電気混載基板および信頼性の高い電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的は、下記(1)〜(11)に記載の本発明により達成される。
(1) 透光させるための孔部を備える支持基板と、シート状をなすシート材とを用意し、前記孔部を覆うように前記シート材を前記支持基板に接合する第1の工程と、
光導波路を形成するための光導波路形成用材料を含有する液状材料を塗布法を用いて、前記シート材を介在させた状態で、前記支持基板上に供給することで液状被膜を形成する第2の工程と、
前記液状被膜を乾燥させて、前記光導波路形成用材料を含む層を成膜する第3の工程と、
該層に所定の処理を施すことにより前記光導波路を形成する第4の工程とを有することを特徴とする光電気混載基板の製造方法。
【0013】
(2) 前記第4の工程の後、前記孔部を介して前記シート材と前記光導波路との一部を除去することにより欠損部を形成する第5の工程を有する上記(1)に記載の光電気混載基板の製造方法。
【0014】
(3) 前記第2の工程において、光導波路形成用材料は、ポリマーと、該ポリマーと屈折率が異なるモノマーとを含み、前記層に対して活性放射線を照射して、前記活性放射線が照射された照射領域内において、前記モノマーの反応を進行させることにより、前記活性放射線が照射されない未照射領域から、未反応の前記モノマーを前記照射領域に拡散させ、結果として、前記照射領域と前記未照射領域との間に屈折率差を生じさせることにより、前記照射領域および前記未照射領域のいずれか一方を前記コア部とし、他方を前記クラッド部としてなるコア層を備える前記光導波路が形成される上記(1)または(2)に記載の光電気混載基板の製造方法。
【0015】
(4) 透光させるための孔部を備える支持基板と、少なくとも前記孔部を覆うように前記支持基板上に接合されたシート状をなすシート材と、前記シート材を介して前記支持基板上に接合された光導波路とを有することを特徴とする光電気混載基板。
【0016】
(5) 前記シート材は、前記孔部に対して選択的に設けられている上記(4)に記載の光電気混載基板。
【0017】
(6) 前記シート材は、前記支持基板のほぼ全体を覆うように設けられている上記(4)に記載の光電気混載基板。
【0018】
(7) 前記光導波路は、コア部と、前記コア部に隣接して設けられたクラッド部とを備え、
前記コア部は、前記クラッド部よりも屈折率が低いことにより、その一端から他端まで光を導く光路を構成している上記(4)ないし(6)のいずれかに記載の光電気混載基板。
【0019】
(8) 前記光導波路は、前記孔部に対応する位置に、光路の方向を変更する光路変更部を備え、該光路変更部は、前記コア部に欠損部を設けることにより形成されたものである上記(7)に記載の光電気混載基板。
【0020】
(9) さらに、前記光導波路上には、発光部または受光部を備える光素子を搭載した配線基板が接続される上記(4)ないし(8)のいずれかに記載の光電気混載基板。
【0021】
(10) 上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の光電気混載基板の製造方法により製造された光電気混載基板を備えることを特徴とする電子機器。
【0022】
(11) 上記(4)ないし(9)のいずれかに記載の光電気混載基板を備えることを特徴とする電子機器。
【発明の効果】
【0023】
本発明の光電気混載基板の製造方法によれば、比較的簡単な工程で光電気混載基板を製造することができ、かつ信頼性に優れた光導波路を備える光電気混載基板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の光電気混載基板の第1実施形態の概略を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す光電気混載基板が備える支持基板とシート材とを示す平面図である。
【図3】光電気混載基板が備える光導波路基板の製造工程を説明するための部分縦断面図である。
【図4】光電気混載基板が備える光導波路基板の製造工程を説明するための部分縦断面図である。
【図5】光電気混載基板が備える光導波路基板の製造工程を説明するための部分縦断面図である。
【図6】本発明の光電気混載基板の第2実施形態の概略を示す縦断面図である。
【図7】図6に示す光電気混載基板が備える支持基板とシート材とを示す平面図である。
【図8】本発明の光電気混載基板の第3実施形態が備える支持基板とシート材とを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の光電気混載基板の製造方法、光電気混載基板および電子機器について添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0026】
まず、本発明の光電気混載基板の製造方法を説明するのに先立って、本発明の光電気混載基板の製造方法で製造された光電気混載基板(本発明の光電気混載基板)について説明する。
【0027】
<第1実施形態>
まず、本発明の光電気混載基板の第1実施形態について説明する。
【0028】
図1は、本発明の光電気混載基板の第1実施形態の概略を示す縦断面図、図2は、図1に示す光電気混載基板が備える支持基板とシート材とを示す平面図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」といい、下側を「下」という。また、図2中には、シート材上に接合される光導波路を二点鎖線で示している。
【0029】
光電気混載基板1は、主に、支持基板81と、支持基板81に接合されたシート材82と、シート材82を介して支持基板81上に接合された光導波路20と、光導波路20の上面に接合された配線基板3と、配線基板3上にそれぞれ搭載された発光素子4および発光素子用IC40と、受光素子5および受光素子用IC50とを有する。
【0030】
かかる構成の光電気混載基板1において、発光素子4からの光Lは、光導波路(光回路)20内を伝送され、受光素子5により受光される。すなわち、光導波路20を介して、発光素子4と受光素子5との間において、光通信がなされる。
【0031】
支持基板81は、このものに載置されるシート材82および光導波路20を支持するものである。
【0032】
この支持基板81は、本実施形態では、その全体形状が平板状をなしており、さらに、透光させるための孔部83を2つ有している。
【0033】
また、孔部83は、後述する光電気混載基板1の製造方法において、光導波路20およびシート材82に欠損部28a、28bを形成し得るように、これらを包含する領域に対応して設けられており、図2に示すように、平面視で長方形状をなすものが、コア部211の光路方向の端部側に2つ形成されている。
【0034】
さらに、支持基板81の構成材料としては、シート材82および光導波路20を支持し得る程度の強度を有するものであれば特に限定されないが、例えば、アルミナのようなセラミックス材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレートのような樹脂材料や、石英ガラス、ソーダガラスのようなガラス材料、アルミニウム、ステンレス鋼のような金属材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
なお、支持基板81は、例えば、その上面に配線が形成され、これにより電気配線基板としての機能が付与されたものであってもよい。また、支持基板81をアルミニウム等で構成した場合には、放熱基板としての機能を付与することができる。
【0036】
また、支持基板81の平均厚さは、特に限定されないが、0.01〜20mm程度であるのが好ましく、0.1〜10mm程度であるのがより好ましい。
【0037】
シート材82は、光導波路20を支持し、かつ光導波路20の下面を保護する機能を有するとともに、後述する光電気混載基板1の製造方法において、光導波路20を形成するために用いられる液状材料(液状被膜75)が、孔部83側に漏出してしまうのを防止する機能を有する。
【0038】
このシート材82は、その全体形状が平板状(シート状)をなしており、本実施形態では、支持基板81の縁部を除くほぼ全面(全体)を覆うように、支持基板81上に配置されている。
【0039】
シート材82の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリイミドアミドエーテル、ポリエステルイミドおよびポリイミドエーテル等が挙げられる。
【0040】
シート材82の平均厚さは、特に限定されないが、5〜200μm程度であるのが好ましく、10〜100μm程度であるのがより好ましい。これにより、シート材82は、前記機能を十分に発揮するものとなる。
【0041】
光導波路20は、層状をなすコア層21と、このコア層21の上下面にそれぞれ設けられた層状をなすクラッド層22とを有しており、コア層21の一端に入射された光Lが、その他端にまで伝送(伝搬)される。
【0042】
コア層21は、所定パターン(本実施形態では、光導波路20の長手方向に長い短冊状)のコア部211と、このコア部(導波路チャンネル)211に隣接するクラッド部212(側面クラッド部)とで構成されている。
【0043】
なお、本実施形態では、図2に示すように、4つのコア部211が設けられ、これらコア部211同士間に介在するように、コア部211に隣接してクラッド部212が設けられている。
【0044】
クラッド部212は、クラッド層22と同様の機能を果たす部分であり、クラッド部212(低屈折率領域215)およびクラッド層22は、コア部211と比較して、その平均屈折率(以下、単に「屈折率」と言うこともある。)が低くなっている。
【0045】
これにより、クラッド部212およびクラッド層22で取り囲まれて形成されたコア部211は、後述する欠損部28aから入射された光Lを、コア部211とクラッド部212およびクラッド層22との界面で反射させて、欠損部28bまで伝送(伝搬)する光路を構成する。
【0046】
また、本実施形態では、コア部211は、その横断面形状が正方形または矩形(長方形)のような四角形をなしている。
【0047】
さらに、コア部211は、図3に示すような平面視において、光Lの光路の方向の幅が、10〜100μm程度であるのが好ましく、15〜80μm程度であるのがより好ましい。これにより、コア部211から入射された光Lを、コア部211とクラッド部212およびクラッド層22との界面で反射させて、その端部まで伝送(伝搬)する光路としての機能を確実に発揮するようになる。
【0048】
コア部211とクラッド部212およびクラッド層22との屈折率の差は、特に限定されないが、0.5%以上であるのが好ましく、0.8%以上であるのがより好ましい。一方、上限値は、特に設定されなくてもよいが、好ましくは5.5%程度とされる。屈折率の差が前記下限値未満であると光を伝達する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えても、光の伝送効率のそれ以上の増大は期待できない。
【0049】
なお、前記屈折率差とは、コア部211の屈折率をA、クラッド部212およびクラッド層22の屈折率をBとしたとき、次式で表される。
屈折率差(%)=|A/B−1|×100
【0050】
なお、本実施形態では、コア部211は、それぞれ、平面視で短冊状(直線状)に形成されているが、途中で湾曲、分岐等してもよく、その形状は任意である。なお、後述するような光導波路20の製造方法を用いれば、複雑かつ任意の形状のコア部211を容易にかつ寸法精度よく形成することができる。
【0051】
一方、2つのクラッド層22は、コア部211の下部および上部に位置するクラッド部を構成するものである。このような構成により、コア部211は、その外周をクラッド部に囲まれた導光路として機能する。
【0052】
クラッド層22の平均厚さは、コア層21の平均厚さの0.1〜1.5倍程度であるのが好ましく、0.3〜1.25倍程度であるのがより好ましい。具体的には、クラッド層22の平均厚さは、特に限定されないが、通常、1〜200μm程度であるのが好ましく、5〜100μm程度であるのがより好ましい。これにより、光導波路20が不要に大型化(厚膜化)するのを防止しつつ、クラッド層としての機能が好適に発揮される。
【0053】
コア層21およびクラッド層22の各構成材料は、それぞれ上記の屈折率差が生じる材料であれば特に限定されないが、具体的には、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリシラン、ポリシラザン、また、ベンゾシクロブテン系樹脂やノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂のような各種樹脂材料の他、石英ガラス、ホウケイ酸ガラスのようなガラス材料等を用いることができる。
【0054】
また、本実施形態では、シート材82および光導波路20は、シート材82の下面から下側のクラッド層22およびコア層21(コア部211)を超えて、上側のクラッド層22に至るまでの部分を欠損(除去)させることにより形成された欠損部28a、28bを備える。これにより、少なくともコア層21の欠損部28a、28bに臨む面は、それぞれ、コア層21と欠損部28a、28b内の空気との屈折率差に基づいて光を反射するミラー(光の光路を変更する光路変更部)23a、23bを構成している。
【0055】
なお、かかる構成とすることにより、コア部211のミラー23a、23bが形成された領域がコア部211の端部を構成する。
【0056】
また、欠損部28a、28bは、光導波路20の縦断面において直角三角形状をなすように形成されており、ミラー(光路変更部)23a、23bは、コア層21の中心軸に対してほぼ45°で傾斜している。したがって、図1中の矢印で示すように、発光素子4から下方に向かって発せられた光Lは、その直下のミラー23aにより、その光路がほぼ90°で変更(屈曲)された後、コア層21(コア部211)内を伝送され、受光素子5の直下のミラー23bで上方に向かって光路がほぼ90°で変更された後、受光素子5に入射する。
【0057】
このようなミラー23a、23bを設けることにより、光導波路20の主面(上面および/または下面)を、配線基板3を介して発光素子4および受光素子5を搭載する領域として用いることができるので、光電気混載基板1の小型化を図ることができるとともに、高密度実装にも寄与する。
【0058】
このような光導波路20の上面には、配線基板3が接合され、さらに、配線基板3の上面には、それぞれ、後述するコア層21が備えるコア部211に対応するように発光素子4および発光素子用IC40と、受光素子5および受光素子用IC50とが搭載されている。
【0059】
配線基板3は、所定のパターンで形成された配線部(図示せず)を有している。
また、発光素子(光学素子)4は、発光部を備える素子本体41とバンプ42とを備え、バンプ42が、配線部(導体部)が備える端子に接合されている。また、発光素子用IC40は、所定の回路が形成された素子本体401とバンプ402とを備え、バンプ402が、配線部が備える端子に接合されている。これにより、発光素子4は、発光素子用IC40と配線基板3を介して電気的に接続され、その動作が発光素子用IC40により制御される。
【0060】
さらに、受光素子(光学素子)5は、受光部を備える素子本体51とバンプ52とを備え、バンプ52が、配線部が備える端子に接合されている。また、受光素子用IC50は、所定の回路が形成された素子本体501とバンプ502とを備え、バンプ502が、配線部の端子に接合されている。これにより、受光素子5は、受光素子用IC50と配線基板3を介して電気的に接続され、受光素子用IC50は、受光素子5による検出信号を増幅するよう動作する。
【0061】
これにより、光電気混載基板1内に、電気回路が構築され、光電気混載基板1では、これらの光素子(発光素子4および受光素子5)と電気素子(発光素子用IC40および受光素子用IC50)とが協調して動作することにより、光信号と電気信号の相互変換が確実に行われ、高速かつ低ノイズでの信号処理を容易に行うことができる。
【0062】
また、このような配線基板3における、発光素子4からの光Lの光路に対応する部分、および、受光素子5への光Lの光路に対応する部分は、それぞれ、光Lの透過が許容されるように光透過性を有する部材で構成される。
【0063】
なお、本実施形態では、このような光電気混載基板1のうち、支持基板81と、シート材82と、光導波路20とにより光導波路基板2が構成される。
【0064】
また、本実施形態では、シート材82を、クラッド層22と同様の材料で構成することで、コア部211の屈折率よりも低い屈折率を有するものとし、これにより、シート材82にクラッド層22としての機能を発揮させるようにしてもよい。なお、この場合、光導波路20が有する下側のクラッド部22については、その形成を省略することができる。
【0065】
さらに、欠損部28a、28bの縦断面が、直角三角形状をなす場合について説明したが、かかる場合に限定されず、欠損部を設けることでミラー23a、23bが形成されるものであれば、欠損部は、如何なる形状を有するものであってもよく、例えば、その縦断面が台形状をなすものであってもよい。
【0066】
以上説明したような光電気混載基板1は、本発明の光電気混載基板の製造方法を用いて、例えば、次のようにして製造される。
【0067】
なお、以下では、感光用光の作用により屈折率が低くなる感光性樹脂組成物70を用いて光導波路20が備えるコア層21を形成する場合を一例に説明する。
【0068】
図3〜5は、それぞれ、光電気混載基板が備える光導波路基板の製造工程を説明するための部分縦断面図である。なお、図3〜5中の左図は、図2のA−A線断面における部分縦断面図であり、図3〜5中の右図は、図2のB−B線断面における部分縦断面図である。また、以下の説明では、図3〜5中の上側を「上」といい、下側を「下」という。
【0069】
<1> まず、孔部83を備える支持基板81と、シート状をなすシート材82とを用意し、シート材82を支持基板(支持基材)81に接合する(第1の工程)。
【0070】
本実施形態では、支持基板81の縁部を除くほぼ全面を覆うように支持基板81上に、シート材82が接合され、これにより、孔部83がシート材82により覆われることとなる。
【0071】
また、シート材82の支持基板81への接合は、例えば、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリエステル系およびポリウレタン系等の接着剤を用いて行うことができる。
【0072】
<2> 次に、シート材82を介在させた状態で、支持基板81上に光導波路20を形成することで、光導波路基板2を得る。
【0073】
<2−1> まず、感光用光EL(活性放射線)の作用により屈折率が低くなるよう変化する感光性樹脂組成物(コア層形成用樹脂組成物)70と、感光用光ELの作用によっても屈折率が変化しない非感光性樹脂組成物(クラッド層形成用樹脂組成物)71とを用意する。
【0074】
ここで、感光性樹脂組成物70としては、例えば、特殊な配合の樹脂組成物を用いることができる。
【0075】
この樹脂組成物には、ベースポリマーと、このベースポリマーより屈折率の低いモノマーとを含み、感光用光ELを照射させた照射領域内において、モノマーの反応を進行させることにより、感光用光ELを照射させない未照射領域から、未反応のモノマーを照射領域に拡散させ、結果として、未照射領域の屈折率が照射領域の屈折率より高くなるようなものがある。
【0076】
ベースポリマーとしては、例えば、ノルボルネン系樹脂やベンゾシクロブテン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(ポリマーアロイ、ポリマーブレンド(混合物)、共重合体など)用いることができる。
【0077】
これらの中でも、特に、環状オレフィン系樹脂を主とするものが好ましい。ベースポリマーとして環状オレフィン系樹脂を用いることにより、優れた光伝送性能や耐熱性を有するコア層21を形成することができる。
【0078】
さらに、環状オレフィン系樹脂としては、耐熱性、透明性等の観点から、ノルボルネン系樹脂を使用することが好ましい。また、ノルボルネン系樹脂は、高い疎水性を有するため、吸水による寸法変化等を生じ難いコア層21を形成することができる。
【0079】
一方、モノマーとしては、例えば、ノルボルネン系モノマー、アクリル酸(メタクリル酸)系モノマー、エポキシ系モノマー、オキセタン系モノマー、ビニルエーテル系モノマー、スチレン系モノマー等のうち、ベースポリマーより屈折率が低いものが選択され、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0080】
これらの中でも、モノマーとしては、オキセタニル基またはエポキシ基等の環状エーテル基を有するモノマーまたはオリゴマーを用いるのが好ましい。環状エーテル基を有するモノマーまたはオリゴマーを用いることにより、環状エーテル基の開環が起こり易いため、速やかに反応し得るモノマーが得られる。
【0081】
具体的には、オキセタニル基を有し、かつ、ベースポリマーより屈折率が低いモノマーとしては、例えば、下記式(1)で表わされる単官能オキセタン(3−(シクロヘキシルオキシ)メチル−3−エチルオキセタン;CHOX)等が挙げられる。
【0082】
【化1】

【0083】
また、非感光性樹脂組成物71としては、例えば、後工程で形成されるコア部211よりも低い屈折率を有する前記ベースポリマーを主材料として含有するものを用いることができる。
【0084】
なお、本実施形態では、これら感光性樹脂組成物70および非感光性樹脂組成物71により、光導波路20を形成するための光導波路形成用材料が構成される。
【0085】
<2−2> 次に、シート材82を介在させた状態で、支持基板81上に、非感光性樹脂組成物71、感光性樹脂組成物70および非感光性樹脂組成物71が支持基板81側からこの順で積層された3層構成をなす、液状被膜75を形成する(第2の工程)。
【0086】
なお、このような液状被膜75は、例えば、感光性樹脂組成物70および非感光性樹脂組成物70の双方をそれぞれワニス状(液状)とし、ワニス状とされたこれら材料(液状材料)を、個別にまたは一括してシート材82に供給することにより形成し得る。
【0087】
また、感光性樹脂組成物70および非感光性樹脂組成物71をワニス状とする際には、各樹脂組成物70、71をそれぞれ溶媒または分散媒中に溶解または分散させることにより得られるが、この溶媒または分散媒としては、特に限定されないが、例えば、特開2010−90328号公報に記載されたもの等が挙げられる。
【0088】
また、感光性樹脂組成物70および非感光性樹脂組成物71をクラッド層22上に供給する方法としては、各種塗布法を用いることができ、例えば、ドクターブレード法、スピンコート法、ディッピング法、テーブルコート法、スプレー法、アプリケーター法、カーテンコート法、ダイコート法の方法が挙げられるが、カーテンコート法を用いるのが好ましい。
【0089】
カーテンコート法によれば、3種の液状材料を積層状態で供給することができるヘッドH1を用いることで、図3(a)に示すように、非感光性樹脂組成物71、感光性樹脂組成物70および非感光性樹脂組成物71がこの順で積層された状態で、支持基板81上に供給することができるため、3層構成をなす液状被膜75を容易に一括して形成することができる。その結果、液状被膜75を形成するための工程の簡略化を図ることができる。
【0090】
ここで、支持基板81は、後工程<3>において、光導波路20に欠損部28a、28bを形成し得るように、孔部83を備える構成となっている。そのため、シート材82を支持基板81に接合することなく、液状被膜75を支持基板81上に形成すると、液状被膜75の粘度等によっては、孔部83の内部に、液状被膜75の一部が漏出(埋入)してしまい、均一な膜厚の液状被膜75、ひいては均一な膜厚の光導波路20(特に、下側のクラッド層22)を形成することができないという問題が生じるおそれがある。これに対して、本発明では、孔部83を覆うようにシート材82が支持基板81に接合されている。そのため、液状被膜75と支持基板81との間にはシート材82が介在することから、孔部83への液状被膜75の漏出を確実に防止することができる。
【0091】
さらに、本実施形態のように、支持基板81の上面のほぼ全面をシート材82で覆う構成とした場合、液状被膜75は、支持基板81に接することなく、シート材82上に形成されることとなる。したがって、かかる構成とした場合には、比較的その表面性状が粗い支持基板81を用いたとしても、均一な膜厚の光導波路20を確実に形成することができる。
【0092】
<2−3> 次に、支持基板81上に形成した3層構成をなす液状被膜75を乾燥することにより、図3(b)に示すように、クラッド層形成用フィルム73、コア層形成用フィルム72およびクラッド層形成用フィルム73がこの順で積層された光導波路形成用のフィルム(層)76を形成する(第3の工程)。
【0093】
このフィルム76のうちコア層形成用フィルム72は、後述する感光用光(活性放射線)ELの照射により、コア部211とクラッド部212とを備えるコア層21となるものである。
【0094】
また、クラッド層形成用フィルム73は、感光用光(活性放射線)ELの照射によっても、その屈折率が変化しないものであり、コア部211とクラッド部212とを備えるコア層21の形成により、クラッド層22としての機能を発揮するものである。
【0095】
したがって、この3層構成をなすフィルム76により、光導波路形成用材料を含有する層が構成される。
【0096】
<2−4> 次に、フィルム76に所定の処理を施すことにより、光導波路20を形成する(第4の工程)。
【0097】
本実施形態では、この所定の処理は、コア層形成用フィルム72における、クラッド部212を形成すべき領域に対して、選択的に感光用光EL(例えば、紫外線)を照射することで行われる。
【0098】
この際、図4(a)に示すように、コア層形成用フィルム72(フィルム76)の上方に形成すべきクラッド部212の形状に対応した開口部を備えるマスクMを配置する。このマスクMを介して、コア層形成用フィルム72に対し、感光用光ELを照射する。換言すれば、コア部211を形成すべき領域に対して、マスクMを用いてマスクする。
【0099】
用いられる感光用光ELとしては、例えば、波長200〜450nmの範囲にピーク波長を有するものが挙げられる。これにより、コア層形成用フィルム72の感光用光ELが照射された領域における屈折率を、比較的容易に低くすることができる。
【0100】
また、感光用光ELの照射量は、特に限定されないが、0.1〜9J/cm程度であるのが好ましく、0.2〜6J/cm程度であるのがより好ましく、0.2〜3J/cm程度であるのがさらに好ましい。
【0101】
なお、レーザ光のように指向性の高い感光用光ELを用いる場合には、マスクMの使用を省略することもできる。
【0102】
ここで、コア層形成用フィルム72のうち、感光用光ELが照射された照射領域では、モノマーの反応(ペースポリマーの架橋、モノマーの重合等)が開始する。また、感光用光ELが照射されていない未照射領域では、モノマーの反応は生じない。
【0103】
そのため、照射領域では、モノマーの反応の進行に応じて、モノマーの残存量が少なくなる。これに応じて、未照射領域のモノマーが照射領域側に拡散し、これにより、照射領域と未照射領域とで屈折率差が生じる。
【0104】
ここで、本実施形態では、モノマーの屈折率が、ベースポリマーの屈折率よりも低いため、未照射領域のモノマーが照射領域に拡散することで、照射領域の屈折率が連続的に低くなるとともに、未照射領域の屈折率は連続的に高くなる。
【0105】
かかる過程を経て、図4(b)に示すように、コア層形成用フィルム72の未照射領域が、コア部211となり、コア層形成用フィルム72の照射領域がクラッド部212となったコア層21が形成される。
【0106】
また、クラッド層形成用フィルム73は、感光用光ELの照射によってもその屈折率に変化が認められず、さらに、コア部211よりも低い屈折率を有するベースポリマーを主材料としているため、このクラッド層形成用フィルム73により、クラッド層22が構成される。
【0107】
したがって、一対のクラッド層22は、クラッド部212とは異なる方向すなわちコア部211の上下方向から、コア部211を挟むように配置される構成となるため、図4(b)に示すような光導波路20が形成される。
【0108】
以上のようにて、シート材82を介して支持基板81上に光導波路20が形成された光導波路基板2を製造されるが、上記のような工程を経ることで、支持基板81上に直接、光導波路20を作り込むことができる。そのため、ダミー基板上に光導波路20を作製し、その後、ダミー基板から剥離させた光導波路20を支持基板81上に貼り合わせて光導波路基板2を得る場合と比較して製造工程の簡略化を図ることができる。
【0109】
<3> 次に、シート材82と光導波路20との一部を除去することにより欠損部28a、28bを形成する(第5の工程)。
【0110】
より具体的には、本実施形態では、欠損部28a、28bは、シート材82の下面から下側のクラッド層22およびコア層21(コア部211)を超えて、上側のクラッド層22に至るまでの部分を欠損(除去)させることにより形成される。
【0111】
このような、欠損部28a、28bの形成は、例えば、光導波路20に、レーザ加工、研削加工等を施すことで行われる。
【0112】
そこで、例えば、レーザ加工により、欠損部28a、28bを形成する場合、本発明では、上述したように、光導波路20およびシート材82の欠損部28a、28bを形成すべき領域を包含するように孔部83が設けられている。そのため、レーザ装置が備えるヘッドH2を、図5(a)に示すように、支持基板81下側の孔部83に対応する位置に配置することで、レーザを、孔部83を介してシート材82および光導波路20に直接照射することが可能となる。したがって、支持基板81上に、光導波路20を直接作り込んでいたとしても、容易に欠損部28a、28bを形成することができる(図5(b)参照。)。
【0113】
なお、シート材82の下面には、欠損部28a、28bを形成すべき位置に、予めアライメントマークを付すようにしてもよい。これにより、たとえシート材82が透明性を有しない材料で構成されていたとしても、位置ずれを生じることなく、シート材82および光導波路20の一部を除去して、欠損部28a、28bを形成することができるようになる。
【0114】
<4> 次に、配線基板3を用意する。
配線基板3は、それぞれ、例えば、平板状の基部の両面に金属層が形成された積層板(例えば、両面銅張り板)を用意し、エッチング、レーザ加工等を施して、金属層を所定形状にパターニングして配線部を形成することにより製造される。
【0115】
<5> 次に、発光素子4および発光素子用IC40と、受光素子5および受光素子用IC50とを、それぞれ用意し、これらを配線基板3の所定の位置に搭載(接合)する。
【0116】
<6> 次に、発光素子4が有する発光部が欠損部28aのミラー23aに、受光素子5が有する受光部が欠損部28bのミラー23bにそれぞれ対応するように、配線基板3を位置決めしつつ、光導波路20の上面に接着剤を用いて接合する。
【0117】
以上のような工程を経て、光電気混載基板1が製造される。
なお、本実施形態では、ベースポリマーよりも屈折率の低いモノマーを含有する樹脂組成物を用いて、コア部211とクラッド部212とを備えるコア層21を形成する場合について説明したが、かかる場合に限定されず、ベースポリマーよりも屈折率の高いモノマーを含有する樹脂組成物を用いて、前記コア層21を形成するようにしてもよい。
【0118】
このような樹脂組成物を用いる場合、感光用光ELの照射によりモノマーが拡散するコア層形成用フィルム72の照射領域において、コア層形成用フィルム72の未照射領域よりも屈折率が高くなる。そのため、かかる形態では、コア層形成用フィルム72の照射領域および未照射領域がそれぞれコア部211およびクラッド部212となったコア層21が形成される。
【0119】
<第2実施形態>
次に、本発明の光電気混載基板の第2実施形態について説明する。
【0120】
図6は、本発明の光電気混載基板の第2実施形態の概略を示す縦断面図、図7は、図6に示す光電気混載基板が備える支持基板とシート材とを示す平面図である。なお、以下の説明では、図6中の上側を「上」といい、下側を「下」という。また、図7中には、シート材上に接合される光導波路を二点鎖線で示している。さらに、図7中のハッチングは、支持基板とシート材との違いを分かり易く示すためにシート材に入れたものであり、断面を示すものではない。
【0121】
以下、本実施形態にかかる光電気混載基板1について説明するが、前記第1実施形態にかかる光電気混載基板1との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0122】
本実施形態にかかる光電気混載基板1は、孔部83を覆うように支持基板81に接合されたシート材82の平面視形状が異なること以外は、前記第1実施形態と同様である。
【0123】
図6、7に示すシート材82は、その平面視形状が、孔部83の平面視形状とほぼ一致するように形成され、孔部83に対して選択的に設けられている。そして、図6に示すように、孔部83の上側に偏在させることで、支持基板81の上面とシート材82の上面とにより平坦面が構成される。
【0124】
かかる構成のシート材82を支持基板81に接合することによっても、前記第1実施形態で説明したのと同様に、シート材82を設けることによる作用・効果を得ることができる。
【0125】
すなわち、前記工程<2−2>において、液状被膜75の一部が孔部83に漏出するのを防止して、均一な膜厚の光導波路20を形成することが可能となるとともに、前記工程<3>における孔部83を介した欠損部28a、28bの形成が実現可能となる。
【0126】
<第3実施形態>
次に、本発明の光電気混載基板の第3実施形態について説明する。
【0127】
図8は、本発明の光電気混載基板の第3実施形態が備える支持基板とシート材とを示す平面図である。なお、以下の説明では、図8中の紙面手前側を「上」といい、紙面奥側を「下」という。また、図8中には、シート材上に接合される光導波路を二点鎖線で示している。
【0128】
以下、本実施形態にかかる光電気混載基板1について説明するが、前記第1実施形態にかかる光電気混載基板1との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0129】
本実施形態にかかる光電気混載基板1は、支持基板81に形成される孔部83の構成が異なること以外は、前記第1実施形態と同様である。
【0130】
図8に示す支持基板81では、孔部83が平面視でほぼ正方形状に形成され、この孔部83が8つ設けられ、各欠損部28a、28bに対応するように別個に形成されている。
【0131】
かかる構成の孔部83を備える支持基板81においても、前記第1実施形態で説明したのと同様に、シート材82を支持基板81に設けることによる作用・効果を得ることができる。
【0132】
すなわち、前記工程<2−2>において、液状被膜75の一部が孔部83に漏出するのを防止して、均一な膜厚の光導波路20を形成することが可能となるとともに、前記工程<3>における孔部83を介した欠損部28a、28bの形成が実現可能となる。
【0133】
なお、欠損部28a、28bの平面視における形状は、特に限定されず、本実施形態のように正方形状なす場合の他、例えば、真円、楕円、長円のような円形状、三角形、長方形、六角形、八角形のような多角形状をなすものであってもよい。
【0134】
本発明の光電気混載基板は、光信号と電気信号の双方の信号処理を行ういかなる電子機器にも適用可能であるが、例えば、ルータ装置、WDM装置、携帯電話、ゲーム機、パソコン、テレビ、ホーム・サーバー等の電子機器類への適用が好適である。これらの電子機器では、いずれも、例えばLSI等の演算装置とRAM等の記憶装置との間で、大容量のデータを高速に伝送する必要がある。したがって、このような電子機器が本発明の光電気混載基板を備えることにより、電気配線に特有なノイズ、信号劣化等の不具合が解消されるため、その性能の飛躍的な向上が期待できる。
【0135】
さらに、光導波路部分では、電気配線に比べて発熱量が大幅に削減される。このため、基板内の集積度が高められるとともに、冷却に要する電力を削減することができ、電子機器全体の消費電力を削減することができる。
【0136】
以上、本発明の光電気混載基板の製造方法、光電気混載基板および電子機器の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0137】
例えば、光電気混載基板を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0138】
また、本発明の光電気混載基板では、前記第1〜第3実施形態の任意の構成を組み合わせることもできる。
【0139】
また、前記各実施形態では、コア部およびの縦断面形状が四角形状をなしている場合について示したが、これに限定されない。コア部の縦断面形状は、楕円形、長円形、三角形等であってもよい。
【符号の説明】
【0140】
1 光電気混載基板
2 光導波路基板
20 光導波路
21 コア層
211 コア部
212 クラッド部
22 クラッド層
23a、23b ミラー
28a、28b 欠損部
3 配線基板
4 発光素子
41 素子本体
42 バンプ
40 発光素子用IC
401 素子本体
402 バンプ
5 受光素子
51 素子本体
52 バンプ
50 受光素子用IC
501 素子本体
502 バンプ
70 感光性樹脂組成物
71 非感光性樹脂組成物
72 コア層形成用フィルム
73 クラッド層形成用フィルム
75 液状被膜
76 フィルム
81 支持基板
82 シート材
83 孔部
H1 ヘッド
H2 ヘッド
M マスク
L 光
EL 感光用光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光させるための孔部を備える支持基板と、シート状をなすシート材とを用意し、前記孔部を覆うように前記シート材を前記支持基板に接合する第1の工程と、
光導波路を形成するための光導波路形成用材料を含有する液状材料を塗布法を用いて、前記シート材を介在させた状態で、前記支持基板上に供給することで液状被膜を形成する第2の工程と、
前記液状被膜を乾燥させて、前記光導波路形成用材料を含む層を成膜する第3の工程と、
該層に所定の処理を施すことにより前記光導波路を形成する第4の工程とを有することを特徴とする光電気混載基板の製造方法。
【請求項2】
前記第4の工程の後、前記孔部を介して前記シート材と前記光導波路との一部を除去することにより欠損部を形成する第5の工程を有する請求項1に記載の光電気混載基板の製造方法。
【請求項3】
前記第2の工程において、光導波路形成用材料は、ポリマーと、該ポリマーと屈折率が異なるモノマーとを含み、前記層に対して活性放射線を照射して、前記活性放射線が照射された照射領域内において、前記モノマーの反応を進行させることにより、前記活性放射線が照射されない未照射領域から、未反応の前記モノマーを前記照射領域に拡散させ、結果として、前記照射領域と前記未照射領域との間に屈折率差を生じさせることにより、前記照射領域および前記未照射領域のいずれか一方を前記コア部とし、他方を前記クラッド部としてなるコア層を備える前記光導波路が形成される請求項1または2に記載の光電気混載基板の製造方法。
【請求項4】
透光させるための孔部を備える支持基板と、少なくとも前記孔部を覆うように前記支持基板上に接合されたシート状をなすシート材と、前記シート材を介して前記支持基板上に接合された光導波路とを有することを特徴とする光電気混載基板。
【請求項5】
前記シート材は、前記孔部に対して選択的に設けられている請求項4に記載の光電気混載基板。
【請求項6】
前記シート材は、前記支持基板のほぼ全体を覆うように設けられている請求項4に記載の光電気混載基板。
【請求項7】
前記光導波路は、コア部と、前記コア部に隣接して設けられたクラッド部とを備え、
前記コア部は、前記クラッド部よりも屈折率が低いことにより、その一端から他端まで光を導く光路を構成している請求項4ないし6のいずれかに記載の光電気混載基板。
【請求項8】
前記光導波路は、前記孔部に対応する位置に、光路の方向を変更する光路変更部を備え、該光路変更部は、前記コア部に欠損部を設けることにより形成されたものである請求項7に記載の光電気混載基板。
【請求項9】
さらに、前記光導波路上には、発光部または受光部を備える光素子を搭載した配線基板が接続される請求項4ないし8のいずれかに記載の光電気混載基板。
【請求項10】
請求項1ないし3のいずれかに記載の光電気混載基板の製造方法により製造された光電気混載基板を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項11】
請求項4ないし9のいずれかに記載の光電気混載基板を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−194287(P2012−194287A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57252(P2011−57252)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】