説明

免震建物

【課題】非冠水時には免震スリットの上,下部構造体の自由な相対変位を妨げず、高潮、河川の氾濫等により冠水した際には、水圧をもった水が免震スリットに浸入するのを防ぎ得る免震建物を提供する。
【解決手段】地盤面GL近くに免震スリットを有する免震建物において、免震スリットの上部構造体に設けた免震ピット塞ぎ3の下面とそれに対面する免震ピット擁壁4の上面との間隙Sに、風雨吹込み防止用のヒレ部5が連設された浸水防止用プレート6を開閉自在に設けるか、膨張状態に切り換えることにより前記間隙Sを閉塞することが可能な膨張伸縮可能な弾性チューブ12を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤面近くに免震スリット(免震層)を有する免震建物に関し、詳しくは、高潮、河川の氾濫等により冠水した際の免震スリットへの浸水防止対策に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、図1に示すような地下階を有しない建物の基礎部分に免震装置1を設けた基礎免震建物や、中間階に免震装置を設けたいわゆる中間免震建物のうち、図2に示すような地下階と1階との間に免震装置1を設けた中間免震建物(これは、地下階を有する既存建物を免震構造に耐震改修する場合に多く採用される。)においては、免震スリット(免震層)が地盤面GL近くに位置するので、高潮、河川の氾濫等により建物周辺が冠水した場合、水圧をもった多量の水が免震スリットに浸入する可能性があるにもかかわらず、従来では、十分な対策がとられていない。
【0003】
即ち、地盤面GL近くに免震スリットを有する免震建物では、現状でも、図7、図8に示すように、免震ピット2の擁壁4の外側に排水溝10を設ける一方、免震スリットの上部構造体に設けた免震ピット塞ぎ(免震ピット2のクリアランスの上方を覆うエプロン)3の下面にゴムヒレ状の風雨吹込み防止片11を設けて、免震ピット塞ぎ3下面とそれに対面する免震ピット擁壁4の上面との間隙Sに吹き込まれた雨水が風雨吹込み防止片11及びその背面の水返し4aから奥には浸入しないように構成するといった浸水防止対策がとられているが、このような風雨吹込み防止片11と排水溝10では、高潮、河川の氾濫等による冠水に対しては、殆ど無力である。従って、冠水の危険がある場合には、免震建物の全周囲に土嚢を積むといった対策が講じられるに過ぎない。
【0004】
尚、特許文献1には、免震スリットの上部構造体の外壁下端面に、ゴムヒレ状の耐水材やチューブ状の耐火材を設けて、これらにより下部構造体の外壁上端面との間に耐水帯や耐火帯を形成して、風雨の浸入を防止する免震建物が開示されているが、この耐水帯や耐火帯は上記風雨吹込み防止片11に相当する技術であり、しかも、特許文献1の免震建物は、その図1に記載されているとおり、1階より上方の階に免震スリットを有し、免震スリットへの冠水対策の必要性がない中間免震建物である。
【0005】
【特許文献1】特開平10−306620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の現状に鑑み、本発明は、非冠水時には免震スリットの上,下部構造体の自由な相対変位を妨げず、高潮、河川の氾濫等により冠水した際には、水圧をもった水が免震スリットに浸入するのを防ぎ得る免震建物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、地盤面近くに免震スリットを有する免震建物において、免震スリットの上部構造体に設けた免震ピット塞ぎの下面とそれに対面する免震ピット擁壁の上面との間隙に、非冠水時には前記間隙を開いて免震スリットの上,下部構造体の自由な相対変位を妨げず、冠水時は前記間隙を閉じて水圧をもった水の浸入を防ぐ開閉可能な遮水装置を設けたものである(請求項1)。
【0008】
具体的には、請求項2に記載の発明では、地盤面近くに免震スリットを有する免震建物
において、免震スリットの上部構造体に設けた免震ピット塞ぎの下面とそれに対面する免震ピット擁壁の上面とのうち一方に、免震ピット塞ぎ下面と免震ピット擁壁上面の間隙に突出して風雨の吹き込み防止するヒレ部が連設された浸水防止用プレートを、前記間隙を開いて免震スリットの上,下部構造体の自由な相対変位を妨げない開放状態と前記間隙を閉じて遮水する閉塞状態とにわたって開閉自在に設け、非冠水時には前記ヒレ部が前記間隙に突出し且つ前記プレートが開放状態に維持され、冠水時には前記ヒレ部が水圧を受けることにより前記プレートが閉塞状態に切り換わるように構成している。
【0009】
請求項3に記載の発明は、地盤面近くに免震スリットを有する免震建物において、免震スリットの上部構造体に設けた免震ピット塞ぎの下面とそれに対面する免震ピット擁壁の上面とのうち一方に、免震ピット塞ぎ下面と免震ピット擁壁上面の間隙に突出する風雨吹込み防止片を設け、当該風雨吹込み防止片よりも内側に、免震ピット塞ぎ下面と免震ピット擁壁上面の間隙を閉じて遮水する膨張状態と免震スリットの上,下部構造体の自由な相対変位を妨げない縮小状態とに切り換え可能な弾性チューブを設け、非冠水時には前記弾性チューブを縮小状態に維持し、冠水時には膨張状態に切り換える圧力流体供給手段を設けたことを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の発明は、冠水時に遮水する弾性チューブを非冠水時の風雨吹込み防止片に兼用した(風雨吹込み防止片としての機能を持たせた)ものであって、地盤面近くに免震スリットを有する免震建物において、免震スリットの上部構造体に設けた免震ピット塞ぎの下面とそれに対面する免震ピット擁壁の上面とのうち一方に、免震ピット塞ぎ下面と免震ピット擁壁上面の間隙を閉じて遮水する膨張状態と免震スリットの上,下部構造体の自由な相対変位を妨げない縮小状態とに切り換え可能で、且つ、縮小状態において免震ピット塞ぎ下面と免震ピット擁壁上面の間隙に突出して風雨の吹き込み防止するように構成された弾性チューブを設け、非冠水時には前記弾性チューブを縮小状態に維持し、冠水時には膨張状態に切り換える圧力流体供給手段を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、非冠水時には免震スリットの上,下部構造体の自由な相対変位を妨げず、高潮、河川の氾濫等により冠水した際には、水圧をもった水が免震スリットに大量に浸入するのを防ぎ得る効果がある。
【0012】
殊に、請求項2に記載の発明によれば、非冠水時には浸水防止用プレートが開放状態にあるので、免震スリットの上,下部構造体の自由な相対変位を妨げることがなく、ヒレ部による通常程度の遮水(風雨の吹き込み防止)が可能であり、冠水時には、ヒレ部に水圧を受けることによって、浸水防止用プレートが自動的に閉塞状態となり、水圧をもった大量の水の浸入を防止できる。
【0013】
尚、免震建物のコーナー部において、互いに直角に隣り合う浸水防止用プレートの何れか一方が水圧によって閉塞状態にスムーズに切り換わらないことが予想される場合、免震建物のコーナー部に、免震ピット塞ぎ下面と免震ピット擁壁上面の間隙を常時閉塞する平面視L字形の壁面を有する止水壁を上,下部構造体の一方に固定された状態に設置することになるが、コーナー部のみに設置される局部的な止水壁であるため、摺動部の接触面積が小さく、摺動部の摩擦抵抗は、上部構造体の質量(慣性)に対して極端に小さいので無視することが可能である。また、免震建物の周囲のうち、人の出入りする出入り口や車を乗り入れる出入り口には、従来通り、周囲の地盤側に土嚢を積んで冠水に対応することになる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、高潮、河川の氾濫等による冠水の危険がある場合には、実際に冠水する前に、エアポンプ又はエアコンプレッサーの起動スイッチをONする等
、圧力流体供給手段を人為的に操作して、弾性チューブを膨張させ、免震ピット塞ぎ下面と免震ピット擁壁上面の間隙を閉じて冠水に備えることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、圧力流体供給手段を人為的に操作して、弾性チューブを膨張させ、免震ピット塞ぎ下面と免震ピット擁壁上面の間隙を閉じて冠水に備えることができるのみならず、非冠水時には縮小状態にある弾性チューブが風雨吹込み防止片の機能を有するので、専用の風雨吹込み防止片を省略でき、部材の兼用化による低コスト化が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図3(A),(B)に基づいて説明する。この実施形態は、地盤面GL近くに免震スリット(免震層)を有する免震建物、例えば、図1に示すように、地下階を有しない建物の基礎部分に免震装置1を設けた基礎免震建物や、中間階に免震装置を設けたいわゆる中間免震建物のうち、図2に示すように、地下階と1階との間に免震装置1を設けた中間免震建物において、免震スリットの上部構造体に設けた免震ピット塞ぎ(免震ピット2のクリアランスの上方を覆うエプロン)3の下面とそれに対面する免震ピット2の擁壁4の上面との間隙Sに、非冠水時には前記間隙Sを開いて免震スリットの上,下部構造体の自由な相対変位を妨げず、冠水時は前記間隙Sを閉じて水圧をもった水の浸入を防ぐ開閉可能な遮水装置を設けた点に特徴がある。
【0017】
具体的には、免震ピット塞ぎ3の下面に、免震ピット塞ぎ下面と免震ピット擁壁上面の間隙Sに突出して風雨の吹き込み防止するゴム製のヒレ部5が連設された金属製(例えば、アルミ、ステンレス鋼等)の浸水防止用プレート6を開閉自在に設け、非冠水時には、図3(A)に示すように、前記ヒレ部5が前記間隙Sに突出し且つ前記プレート6が開放状態に維持され、冠水時には、図3(B)に示すように、前記ヒレ部5が水圧を受けることにより、前記プレート6が自動的に閉塞状態に切り換わるように構成した点に特徴がある。
【0018】
即ち、浸水防止用プレート6は、免震ピット塞ぎ3の下面に埋設固定されたベースプレート7に上端部が水平な支軸8で揺動自在に枢支され且つ支軸8周りに設けたバネ(図示せず)によって、図3(A)に示すように、上方へ揺動した状態、つまり、前記間隙Sを開いて免震スリットの上,下部構造体の自由な相対変位を妨げない開放状態に付勢されている。
【0019】
そして、非冠水時には前記ヒレ部5が前記間隙Sに突出し且つ前記プレート6が開放状態に維持され、冠水時には前記ヒレ部5が水圧を受けることにより、図3(B)に示すように、前記プレート6が前記間隙Sを閉じて遮水する閉塞状態に切り換わるように構成してある。9a,9bは、冠水時に閉塞状態に切り換わったプレート6の上下両端部を密封するゴムパッキン、10は擁壁4の外側の地盤面GLに設けた排水溝である。
【0020】
上記の構成によれば、非冠水時には浸水防止用プレート6が開放状態にあるので、免震スリットの上,下部構造体の自由な相対変位を妨げることがなく、ヒレ部5による通常程度の遮水(風雨の吹き込み防止)が可能であり、冠水時には、ヒレ部5に水圧を受けることによって、浸水防止用プレート6が自動的に閉塞状態となり、水圧をもった大量の水の浸入を防止できる。
【0021】
前記ヒレ部5はゴム製であって、前記プレート6に対して略直角に連設されており、プレート6が閉塞状態に切り換わる際、擁壁4上面との当接により、図3(B)に示すように、プレート6に対して逆方向に折れ曲がるように構成されているが、ヒレ部5も金属製とし、プレート6に対して揺動自在に枢支させ、枢支軸周りに設けたバネによって、プレ
ート6に対して略直角な姿勢に付勢するように構成してもよい。
【0022】
尚、免震建物のコーナー部において、互いに直角に隣り合う浸水防止用プレート6,6の何れか一方が水圧によって閉塞状態にスムーズに切り換わらないことが予想される場合には、図示しないが、免震建物のコーナー部に、免震ピット塞ぎ下面と免震ピット擁壁上面の間隙Sを常時閉塞する平面視L字形の壁面(浸水防止用プレート6,6が閉塞状態に切り換わったとき、その端部背面を受け止めるような面)を有する止水壁を上,下部構造体の一方に固定された状態に設置すればよい。この場合、コーナー部のみに設置される局部的な止水壁であるため、摺動部の接触面積が小さく、摺動部の摩擦抵抗は、上部構造体1の質量(慣性)に対して極端に小さいので無視することが可能である。また、免震建物の周囲のうち、人の出入りする出入り口や車を乗り入れる出入り口には、従来通り、周囲の地盤側に土嚢を積んで冠水に対応することになる。
【0023】
図4(A),(B)は、本発明の他の実施形態を示し、免震ピット塞ぎ3の下面とそれに対面する免震ピット2の擁壁4の上面とのうち、免震ピット2の擁壁4の上面に、免震ピット塞ぎ下面と免震ピット擁壁上面の間隙Sに突出して風雨の吹き込み防止するゴム製のヒレ部5が連設された金属製(例えば、アルミ、ステンレス鋼等)の浸水防止用プレート6を開閉自在に設け、非冠水時には、図4(A)に示すように、前記ヒレ部5が前記間隙Sに突出し且つ前記プレート6が開放状態に維持され、冠水時には、図4(B)に示すように、前記ヒレ部5が水圧を受けることにより前記プレート6が自動的に閉塞状態に切り換わるように構成した点に特徴がある。
【0024】
即ち、浸水防止用プレート6は、免震ピット2の擁壁4の上面に埋設固定されたベースプレート7に内端部が水平な支軸8で揺動自在に枢支され且つ支軸8周りに設けたバネ(図示せず)と自重とによって、図4(A)に示すように、下方へ揺動した状態、つまり、前記間隙Sを開いて免震スリットの上,下部構造体の自由な相対変位を妨げない開放状態に付勢されている。
【0025】
そして、冠水時には、前記ヒレ部5が水圧を受けることにより、図4(B)に示すように、前記プレート6が前記間隙Sを閉じて遮水する閉塞状態に切り換わるように構成されている。ヒレ部5はゴム製であることが望ましいが、金属製であってもよく、前記プレート6と一体成形したものであってもよい。その他の構成、作用は、図3の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0026】
図5(A),(B)は、本発明の他の実施形態を示す。この実施形態は、地盤面GL近くに免震スリットを有する免震建物において、免震スリットの上部構造体に設けた免震ピット塞ぎ3の下面とそれに対面する免震ピット擁壁4の上面とのうち何れか一方に、免震ピット塞ぎ下面と免震ピット擁壁上面の間隙Sに突出するゴム製の風雨吹込み防止片11を設け、当該風雨吹込み防止片11よりも内側には、免震ピット塞ぎ下面と免震ピット擁壁上面の間隙Sを閉じて遮水する膨張状態と免震スリットの上,下部構造体の自由な相対変位を妨げない縮小状態とに切り換え可能な弾性チューブ12を設け、非冠水時には、図5(A)に示すように、前記弾性チューブ12を縮小状態に維持し、冠水時には、図5(B))に示すように、膨張状態に切り換える圧力流体供給手段(これは、例えば、エアポンプ又はエアコンプレッサーと、圧搾空気導入パイプ13等によって構成される。)を設けた点に特徴がある。4aは擁壁4の上面で且つ風雨吹込み防止片11の背面近傍に形成された水返しである。
【0027】
上記の構成によれば、非冠水時には、弾性チューブ12が縮小状態にあるので、免震スリットの上,下部構造体の自由な相対変位を妨げることがなく、風雨吹込み防止片11によるある程度の遮水(風雨の吹き込み防止)が可能であり、高潮、河川の氾濫等による冠
水の危険がある場合には、実際に冠水する前に、エアポンプ又はエアコンプレッサーの起動スイッチをONする等、圧力流体供給手段を人為的に操作して、弾性チューブ12を膨張させ、免震ピット塞ぎ下面と免震ピット擁壁上面の間隙Sを閉じて冠水に備えることができる。
【0028】
図6(A),(B)は、本発明の他の実施形態を示す。この実施形態は、冠水時に遮水する弾性チューブ12を非冠水時の風雨吹込み防止片に兼用した(風雨吹込み防止片としての機能を持たせた)点に特徴がある。即ち、地盤面GL近くに免震スリットを有する免震建物において、免震スリットの上部構造体に設けた免震ピット塞ぎ3の下面とそれに対面する免震ピット擁壁4の上面とのうち一方に、免震ピット塞ぎ下面と免震ピット擁壁上面の間隙Sを閉じて遮水する膨張状態と免震スリットの上,下部構造体の自由な相対変位を妨げない縮小状態とに切り換え可能で、且つ、縮小状態において免震ピット塞ぎ下面と免震ピット擁壁上面の間隙に突出して風雨の吹き込み防止するように構成された弾性チューブ12を設け、非冠水時には、図6(A)に示すように、前記弾性チューブ12を縮小状態に維持し、冠水時には、図6(B)に示すように、膨張状態に切り換える圧力流体供給手段(これは、例えば、エアポンプ又はエアコンプレッサーと、圧搾空気導入パイプ13等によって構成される。)を設けたものである。
【0029】
上記の構成によれば、圧力流体供給手段を人為的に操作して、弾性チューブ12を膨張させ、免震ピット塞ぎ3下面と免震ピット擁壁4上面の間隙Sを閉じて冠水に備えることができるのみならず、非冠水時には縮小状態にある弾性チューブ12が前述した風雨吹込み防止片11の機能を有するので、専用の風雨吹込み防止片11を省略でき、部材の兼用化による低コスト化が可能である。その他の構成、作用は、図5の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0030】
尚、図5、図6の実施形態では、何れも、免震ピット塞ぎ3の下面とそれに対面する免震ピット2の擁壁4の上面とのうち、免震ピット塞ぎ3の下面に弾性チューブ12を設け、免震ピット塞ぎ3に圧搾空気導入パイプ13を埋設しているが、これとは逆に、免震ピット擁壁4の上面に弾性チューブ12を設け、免震ピット擁壁4に圧搾空気導入パイプ13を埋設して実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】地盤面近くに免震スリットを有する免震建物の概略縦断面図である。
【図2】地盤面近くに免震スリットを有する中間免震建物の概略縦断面図である。
【図3】本発明の実施形態を示す通常時と冠水時における要部の縦断面図である。
【図4】他の実施形態を示す通常時と冠水時における要部の縦断面図である。
【図5】他の実施形態を示す通常時と冠水時における要部の縦断面図である。
【図6】他の実施形態を示す通常時と冠水時における要部の縦断面図である。
【図7】従来例を説明する縦断面図である。
【図8】図7の要部拡大図である。
【符号の説明】
【0032】
1 免震装置
2 免震ピット
3 免震ピット塞ぎ
4 免震ピット擁壁
5 ヒレ部
6 浸水防止用プレート
11 風雨吹込み防止片
12 弾性チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤面近くに免震スリットを有する免震建物において、免震スリットの上部構造体に設けた免震ピット塞ぎの下面とそれに対面する免震ピット擁壁の上面との間隙に、非冠水時には前記間隙を開いて免震スリットの上,下部構造体の自由な相対変位を妨げず、冠水時は前記間隙を閉じて水圧をもった水の浸入を防ぐ開閉可能な遮水装置を設けたことを特徴とする免震建物。
【請求項2】
地盤面近くに免震スリットを有する免震建物において、免震スリットの上部構造体に設けた免震ピット塞ぎの下面とそれに対面する免震ピット擁壁の上面とのうち一方に、免震ピット塞ぎ下面と免震ピット擁壁上面の間隙に突出して風雨の吹き込み防止するヒレ部が連設された浸水防止用プレートを、前記間隙を開いて免震スリットの上,下部構造体の自由な相対変位を妨げない開放状態と前記間隙を閉じて遮水する閉塞状態とにわたって開閉自在に設け、非冠水時には前記ヒレ部が前記間隙に突出し且つ前記プレートが開放状態に維持され、冠水時には前記ヒレ部が水圧を受けることにより前記プレートが閉塞状態に切り換わるように構成したことを特徴とする免震建物。
【請求項3】
地盤面近くに免震スリットを有する免震建物において、免震スリットの上部構造体に設けた免震ピット塞ぎの下面とそれに対面する免震ピット擁壁の上面とのうち一方に、免震ピット塞ぎ下面と免震ピット擁壁上面の間隙に突出する風雨吹込み防止片を設け、当該風雨吹込み防止片よりも内側に、免震ピット塞ぎ下面と免震ピット擁壁上面の間隙を閉じて遮水する膨張状態と免震スリットの上,下部構造体の自由な相対変位を妨げない縮小状態とに切り換え可能な弾性チューブを設け、非冠水時には前記弾性チューブを縮小状態に維持し、冠水時には膨張状態に切り換える圧力流体供給手段を設けたことを特徴とする免震建物。
【請求項4】
地盤面近くに免震スリットを有する免震建物において、免震スリットの上部構造体に設けた免震ピット塞ぎの下面とそれに対面する免震ピット擁壁の上面とのうち一方に、免震ピット塞ぎ下面と免震ピット擁壁上面の間隙を閉じて遮水する膨張状態と免震スリットの上,下部構造体の自由な相対変位を妨げない縮小状態とに切り換え可能で、且つ、縮小状態において免震ピット塞ぎ下面と免震ピット擁壁上面の間隙に突出して風雨の吹き込み防止するように構成された弾性チューブを設け、非冠水時には前記弾性チューブを縮小状態に維持し、冠水時には膨張状態に切り換える圧力流体供給手段を設けたことを特徴とする免震建物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−285078(P2007−285078A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−116399(P2006−116399)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】