説明

入力装置およびその制御方法

【課題】簡易な構成でタッチ入力を誤検出する可能性を低減する。
【解決手段】本発明の入力装置は、入力手段の接触により静電容量値が増加し、該静電容量値が所定の閾値を超えたときにタッチ検出信号を出力する静電容量式のタッチパネルと、前記入力手段の接触により前記タッチパネルに生じる静電容量値以外の変化を検出して出力するセンサと、前記タッチ検出信号が出力されたときの前記センサの出力が、前記入力手段の接触を示すものでない場合に、前記閾値を設定しなおす制御部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量式のタッチパネルを有する入力装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
操作者からの入力を受け付ける入力装置として、指などの入力手段によるタッチ入力を検出するタッチパネルを有するものがある。このような入力装置は、例えば、携帯電話、スマートフォン、携帯型ゲーム機などの情報処理装置に組み込まれて使用される。タッチパネルにはタッチ入力を検出する方式に応じて種々のものがあるが、情報処理装置に組み込まれる入力装置においては、入力手段の接触により静電容量値が増加し、閾値を超えたときにタッチ入力を検出して、タッチ検出信号を出力する静電容量式のタッチパネルが用いられることが多い。
【0003】
上述した入力装置を組み込んだ情報処理装置においては、表示素子に重ね合わせてタッチパネルが配置され、操作者は表示素子の表示を見ながらタッチ入力を行うことで、直感的な操作入力が可能となり、使い勝手の向上を図ることができる。
【0004】
近年、情報処理装置の小型化、薄型化が進み、情報処理装置内の電子部品は密集配置されている。各電子部品は固有の駆動周期を有しており、ある電子部品の駆動周期による電気的なノイズが他の電子部品に影響を及ぼすことがある。例えば、タッチパネルが、他の電子部品の駆動周期による電気的なノイズの影響を受けて、タッチ入力が行われていないにもかかわらず、タッチ入力を誤検出することがある。タッチパネルは表示素子に重ね合わせて配置されるため、特に、表示素子の駆動周期による電気的なノイズにより受ける影響が大きい。
【0005】
図9は、上述した入力装置を組み込んだタッチパネルを有する情報処理装置90の構成を示すブロック図である。
【0006】
情報処理装置90は、ケース91と、表示素子92と、タッチパネル93と、制御回路94と、を有する。
【0007】
ケース91は、情報処理装置90の外観を形成するものであり、内部に表示素子92、タッチパネル93および制御回路94を格納する。
【0008】
表示素子92は、情報処理装置90に搭載された種々の機能に応じて生成される画像、情報処理装置90内に記憶されている静止画像、動画像など、種々の画像を表示するデバイスである。
【0009】
タッチパネル93は、入力手段の接触により静電容量値が増加し、その静電容量値が閾値を超えたときにタッチ入力を検出し、タッチ検出信号を出力する静電容量式の入力デバイスである。
【0010】
制御回路94は、タッチパネル93から出力されるタッチ検出信号などに応じて、情報処理装置90全体の動作を制御する。
【0011】
なお、図9においては、情報処理装置90に搭載された種々の機能を実現するための処理ブロックについては記載を省略した。
【0012】
図10は、タッチパネル93と入力手段との間の容量結合を示す図である。
【0013】
表示素子92とタッチパネル93とは、重ね合わせて配置された階層構成を有しており、表示素子92の上にタッチパネル93が配置されている。
【0014】
操作者が指などの入力手段100をタッチパネル93に近づけタッチ入力を行うと、入力手段100とタッチパネル93との間の静電容量による容量結合101が発生する。タッチパネル93は、容量結合101の静電容量が閾値以上になると、タッチ入力が行われたと検出する。なお、タッチパネル93の表面にはガラスなどからなるスクリーンが形成され、スクリーンに入力手段100を接触させることでタッチ入力が行われるが、図10においては、スクリーンの記載を省略している。
【0015】
図11は、図9に示す表示素子92およびタッチパネル93の動作を時系列的に示す図である。以下では、複数のステップに分けて、各部の動作を説明する。
【0016】
ステップS111において、表示素子92およびタッチパネル93の電源状態は電源オフである。
【0017】
ステップS112において、制御回路94は、タッチパネル93の電源状態を電源オンにする。電源投入が行われると、タッチパネル93の動作状態は初期化状態となる。初期化状態においては、タッチパネル93とその周辺部との間の静電容量が読み込まれ、制御回路94は、タッチパネル93と周辺部との間の静電容量による容量結合の状態に応じて、タッチパネル93がタッチ入力を検出する判定閾値を決定する。
【0018】
判定閾値の決定が終了すると、ステップS113において、タッチパネル93の動作状態はタッチ検出動作状態となる。タッチ検出動作状態においては、タッチパネル93は、図10に示す容量結合101の静電容量が判定閾値を超えると、タッチ入力が行われたものとしてタッチ検出信号を制御回路94に出力する。
【0019】
ステップS114において、制御回路94は、表示素子92の電源状態を電源オンとし、表示を開始させる。
【0020】
ステップS115において、タッチ入力が行われたとすると、入力手段100の状態はタッチありとなる。また、タッチパネル93はタッチ入力を検出し、タッチパネル93の検出状態はタッチ検出ありとなる。
【0021】
ステップS116において、タッチ入力が解除されると、入力手段100の状態はタッチなしとなり、また、タッチパネル93の検出状態はタッチ検出なしとなる。
【0022】
図12は、表示素子92とタッチパネル93との間の容量結合を示す図である。
【0023】
表示素子92とタッチパネル93との間には静電容量により容量結合121が発生する。ここで、表示素子92が表示動作を行うと、表示素子92の駆動周期による電気的なノイズにより容量結合121の静電容量が変動し、判定閾値を超えることがある。容量結合121の静電容量が判定閾値を超えると、タッチパネル93は、タッチ入力が行われていないにもかかわらず、タッチ入力を誤検出する。
【0024】
図13は、図9に示す表示素子92およびタッチパネル93の動作を示す図である。図13において、ステップS131からステップS134の処理はそれぞれ、図11に示すステップS111からステップS114の処理と同様であるため説明を省略する。
【0025】
図13においては、ステップS135において、タッチ入力が行われないものとする。したがって、入力手段100の状態はタッチなしのままである。ここで、表示素子92は表示動作を行っているため、表示素子92の駆動周期による電気的なノイズにより、図12に示す容量結合121の静電容量が判定閾値を超えることがある。容量結合121の静電容量が判定閾値を超えると、タッチパネル93は、タッチ入力が行われていないにもかかわらず、タッチ入力を誤検出する。したがって、ステップS135において、タッチパネル93の検出状態が検出ありとなってしまう。
【0026】
このように、タッチパネル93周辺の表示素子92などの電子部品の駆動周期による電気的なノイズの影響で、タッチパネル93と周辺部との間の静電容量が変動し、初期化状態において設定した判定閾値を越えると、タッチパネル93が、タッチ入力が行われていないにもかかわらず、タッチ入力を誤検出してしまう。
【0027】
電子部品の駆動周期による電気的なノイズの影響でタッチ入力の誤検出が起こらないようにするには、ノイズの発生を抑制することが考えられる。しかし、一般に、電子部品の駆動周期により生じる電気的なノイズは抑制が困難である。
【0028】
そこで、特許文献1(特開2011−170784号公報)には、複数の走査線を順次駆動して画像を表示する表示素子と、表示素子に重ね合わせて配置されたタッチパネルと、を有する表示装置において、駆動される走査線に対応するタッチパネル上の領域においては、タッチ入力の検出を行わない技術が開示されている。この技術によれば、駆動される走査線に対応するタッチパネル上の領域においては、タッチ入力の検出が行われないので、表示素子の駆動周期による電気的なノイズによりタッチ入力を誤検出する可能性を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】特開2011−170784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
特許文献1に開示の技術においては、タッチパネルや表示素子の種類や仕様が変更されるたびに、各走査線に対応するタッチパネル上のタッチ入力の検出を行わない領域の設定が必要となり、手間がかかるという問題がある。
【0031】
本発明の目的は、簡易な構成でタッチ入力を誤検出する可能性を低減することができる入力装置およびその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0032】
上記目的を達成するために本発明の入力装置は、
入力手段の接触により静電容量値が増加し、該静電容量値が所定の閾値を超えたときにタッチ検出信号を出力する静電容量式のタッチパネルと、
前記入力手段の接触により前記タッチパネルに生じる静電容量値以外の変化を検出して出力するセンサと、
前記タッチ検出信号が出力されたときの前記センサの出力が、前記入力手段の接触を示すものでない場合に、前記閾値を設定しなおす制御部と、を有する。
【0033】
上記目的を達成するための本発明の入力装置の制御方法は、
入力手段の接触により静電容量値が増加し、該静電容量値が所定の閾値を超えたときにタッチ検出信号を出力する静電容量式のタッチパネルと、前記入力手段の接触により前記タッチパネルに生じる静電容量値以外の変化を検出して出力するセンサと、を有する入力装置の制御方法であって、
前記タッチ検出信号が出力されたときの前記センサの出力が、前記入力手段の接触を示すものでない場合に前記閾値を設定しなおす。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、簡易な構成でタッチ入力を誤検出する可能性を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1の実施形態の情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す情報処理装置の断面図である。
【図3】図1に示す表示素子、タッチパネルおよび加速度センサの動作を示す図である。
【図4】図1に示す表示素子、タッチパネルおよび加速度センサの動作を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態の情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図6】図5に示す情報処理装置の外観を示す図である。
【図7】図5に示す表示素子、タッチパネルおよび照度センサの動作を示す図である。
【図8】図5に示す表示素子、タッチパネルおよび照度センサの動作を示す図である。
【図9】関連する情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図10】図9に示すタッチパネルと入力手段との間の容量結合を示す図である。
【図11】図9に示す表示素子およびタッチパネルの動作を示す図である。
【図12】図9に示す表示素子とタッチパネルとの間の容量結合を示す図である。
【図13】図9に示す表示素子およびタッチパネルの動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0037】
本発明に係る情報処理装置は、静電容量式のタッチパネルを有する入力装置が組み込まれた、携帯電話、スマートフォン、携帯型ゲーム機などの情報処理装置である。
【0038】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の情報処理装置10の構成を示すブロック図である。
【0039】
情報処理装置10は、ケース11と、表示素子12と、タッチパネル13と、加速度センサ14と、制御回路15と、を有する。タッチパネル13、加速度センサ14および制御回路15は、入力装置を構成する。制御回路15は、制御部の一例である。
【0040】
ケース11は、情報処理装置10の外観を形成するものであり、内部に表示素子12、タッチパネル13、加速度センサ14および制御回路15を格納する。
【0041】
表示素子12は、情報処理装置10に搭載された種々の機能に応じて生成される画像、情報処理装置10内に記憶されている静止画像、動画像など、種々の画像を表示するデバイスである。表示素子12は、図9に示す表示素子92に対応する。
【0042】
タッチパネル13は、操作者の指などの入力手段の接触により静電容量値が増加し、その静電容量値が閾値を超えたときにタッチ入力を検出し、タッチ検出信号を出力する静電容量式の入力デバイスである。タッチパネル13は、図9に示すタッチパネル93に対応する。
【0043】
加速度センサ14は、タッチパネル13に作用する加速度を検出し、検出結果を制御回路15に出力する。
【0044】
制御回路15は、タッチパネル13から出力されるタッチ検出信号に応じて、情報処理装置10全体の動作を制御する。
【0045】
なお、図1においては、情報処理装置10に搭載された種々の機能を実現するための処理ブロックについては記載を省略している。また、以下では、制御回路15の動作のうち、入力装置の制御に関連する動作について主に説明する。
【0046】
図2は、情報処理装置10の断面図である。
【0047】
加速度センサ14は、ケース11に固定されている。
【0048】
操作者がタッチ入力により入力手段100をタッチパネル13に接触させると、入力手段100の接触による応力がケース11を介して加速度センサ14に伝達される。加速度センサ14は、ケース11を介して伝達された応力、すなわち、タッチ入力によりタッチパネル13に作用する加速度21を検出する。したがって、加速度センサ14は、入力手段100の接触によりタッチパネル13に生じる静電容量値以外の変化として、入力手段100の接触によりタッチパネル13に印加される加速度を検出する。
【0049】
図3は、図1に示す表示素子12、タッチパネル13および加速度センサ14の動作を時系列的に示す図である。
【0050】
ステップS31において、表示素子12およびタッチパネル13の電源状態は電源オフである。また、加速度センサ14の検出状態は加速度検出なしである。
【0051】
ステップS32において、制御回路15は、タッチパネル13の電源状態を電源オンにする。電源投入が行われると、タッチパネル13の動作状態は初期化状態となる。初期化状態においては、タッチパネル13とその周辺部との間の静電容量が読み込まれ、制御回路15は、タッチパネル13と周辺部との間の静電容量による容量結合の状態に応じて、タッチパネル13がタッチ入力を検出する静電容量の判定閾値を決定する。
【0052】
判定閾値の決定が終了すると、ステップS33において、タッチパネル13の動作状態はタッチ検出動作状態となる。タッチ検出動作状態においては、タッチパネル13は、図10に示す容量結合101の静電容量が判定閾値を超えると、タッチ入力が行われたものとしてタッチ検出信号を制御回路15に出力する。
【0053】
ステップS34において、制御回路15は、表示素子12の電源状態を電源オンとし、表示を開始させる。
【0054】
ステップS35において、タッチ入力が行われたとすると、入力手段100の状態はタッチありとなる。また、タッチパネル13はタッチ入力を検出し、タッチパネル13の検出状態はタッチ検出ありとなる。また、タッチ入力により、タッチパネル13に印加される加速度が発生する。加速度センサ14からはタッチパネル13に印加される加速度を示す信号が出力される。
【0055】
制御回路15は、判定閾値を決定した後初めて、タッチパネル13の検出状態がタッチ検出ありとなると、すなわち、タッチパネル13からタッチ検出信号が出力されると、加速度センサ14の出力により、入力手段100のタッチパネル13への接触の有無を判断する。具体的には、制御回路15は、加速度センサ14の出力に示される加速度が所定の閾値を越えるか否かを判定する。加速度センサ14の出力に示される加速度が所定の閾値を越える場合には、タッチ入力が行われていると考えられる。この場合、制御回路15は、入力手段100のタッチパネル13への接触があり、判定閾値が適正に設定され、タッチパネル13によりタッチ入力の検出が正しく行われていると判定し、各部の動作を継続させる。
【0056】
ステップS36において、タッチ入力が解除されると、入力手段100の状態はタッチなしとなり、また、タッチパネル13の検出状態はタッチ検出なしとなる。
【0057】
図4は、図1に示す表示素子12、タッチパネル13および加速度センサ14の図3とは異なる動作を時系列的に示す図である。図4において、ステップS41からステップS44の処理はそれぞれ、図3に示すステップS31からステップS34の処理と同様であるため説明を省略する。
【0058】
図4においては、ステップS45において、タッチ入力が行われないものとする。したがって、入力手段100の状態はタッチなしのままである。ここで、表示素子12が表示動作を行っているため、表示素子12の駆動周期による電気的なノイズにより、図12に示す容量結合121の静電容量が判定閾値を超えることがある。容量結合121の静電容量が判定閾値を超えると、タッチパネル13は、タッチ入力が行われていないにもかかわらず、タッチ入力が行われたと誤検出する。したがって、ステップS45において、タッチパネル13の検出状態が検出ありとなる。
【0059】
一方、上述したように、ステップS45においては、実際にはタッチ入力が行われていないので、タッチパネル13への加速度の印加はない。
【0060】
制御回路15は、判定閾値を決定した後初めて、タッチパネル13の検出状態がタッチ検出ありとなると、加速度センサ14の出力により、入力手段100のタッチパネル13への接触の有無を判断する。具体的には、制御回路15は、加速度センサ14の出力に示される加速度が所定の閾値を越えるか否かを判定する。加速度センサ14の出力に示される加速度が所定の閾値を越えない場合には、表示動作を開始した表示素子12の駆動周期による電気的なノイズの影響を受けて、容量結合121の静電容量が判定閾値を越えたことが考えられる。この場合、制御回路15は、入力手段100のタッチパネル13への接触はなく、タッチパネル13がタッチ入力を誤検出したと判定する。
【0061】
ステップS46において、タッチパネル13の検出状態がタッチ検出なしとなると、ステップS47において、制御回路15は、タッチパネル13の初期化を再度行う。すなわち、制御回路15は、判定閾値を設定しなおす。ステップS47においては、表示素子12の電源状態は電源オンである。この状態で判定閾値を再設定すると、表示素子12の駆動周期による電気的なノイズの影響が容量結合121に加わった状態で、判定閾値が決定される。そのため、以後、表示素子12の駆動周期による電気的なノイズによりタッチパネル13がタッチ入力を誤検出する可能性を低減することができる。
【0062】
判定閾値の再設定が終了すると、ステップS48において、タッチパネル13の動作状態はタッチ検出動作状態となる。
【0063】
このように本実施形態によれば、情報処理装置10は、タッチパネル13からタッチ検出信号が出力されると、タッチ検出信号が出力されたときの加速度センサ13の出力が、入力手段100のタッチパネル13への接触を示すものでない場合に判定閾値を設定しなおす。より具体的には、情報処理装置10は、加速度センサ14からの出力に示される加速度が所定の閾値を超えない場合には、加速度センサ14の出力が入力手段100の接触を示すものでないと判定し、タッチパネル13を初期化し、判定閾値を設定しなおす。
【0064】
タッチパネル13に印加される加速度がないということは、タッチ入力が行われていない可能性が高い。それにもかかわらず、タッチパネル13がタッチ入力を検出した場合には、周辺の電子部品の駆動周期による電気的なノイズによる誤検出であると考えられる。そのため、判定閾値を設定しなおすことで、周辺の電子部品の駆動周期による電気的なノイズの影響を踏まえた判定閾値を決定することができるので、タッチパネル13がタッチ入力を誤検出する可能性を低減することができる。また、本実施形態の情報処理装置10によれば、特許文献1に開示の技術のように、走査線に対応するタッチパネル上のタッチ入力の検出を行わない領域の設定などが不要であり、簡易な構成でタッチ入力を誤検出する可能性を低減することができる。
【0065】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態の情報処理装置50の構成を示すブロック図である。
【0066】
本実施形態の情報処理装置50は、第1の実施形態の情報処理装置10と比較して、加速度センサ14を削除して、照度センサ51を追加した点と、制御回路15を制御回路52に変更した点と、が異なる。タッチパネル13、照度センサ51および制御回路52は、入力装置を構成する。制御回路52は、制御部の一例である。
【0067】
照度センサ51は、周辺の照度を測定し、測定結果を制御回路52に出力する。
【0068】
制御回路52は、タッチパネル13から出力されるタッチ検出信号に応じて、表示素子12の表示など、情報処理装置50全体の動作を制御する。
【0069】
なお、図5においては、情報処理装置50に搭載された種々の機能を実現するための処理ブロックについては記載を省略している。また、以下では、制御回路52の動作のうち、入力装置の制御に関連する動作について主に説明する。
【0070】
図6は、情報処理装置50の外観を示す図である。
【0071】
表示素子12、タッチパネル13および照度センサ51が、外観上、視認できるように配置されている。また、照度センサ51は、タッチ入力が行われる際に、操作者の手60などで覆われる位置に配置されている。そのため、照度センサ51は、入力手段100の接触によりタッチパネル13に生じる静電容量値以外の変化として、タッチパネル13の周辺の照度の変化を検出する。具体的には、照度センサ51が検出する照度は、タッチ入力が行われない場合には高くなり、タッチ入力が行われる場合には低くなる。なお、図6においては、照度センサ51と操作者の手60との位置関係を分かりやすくするために、操作者の手60を透過させて記載している。
【0072】
図7は、図5に示す表示素子12、タッチパネル13および照度センサ51の動作を時系列的に示す図である。
【0073】
ステップS71において、表示素子12およびタッチパネル13の電源状態は電源オフである。また、照度センサ51の測定状態、すなわち、照度センサ51からの出力に示される照度は一定のままである。
【0074】
ステップS72において、制御回路52は、タッチパネル13の電源状態を電源オンにする。電源投入が行われると、タッチパネル13の動作状態は初期化状態となる。初期化状態においては、タッチパネル13とその周辺部との間の静電容量が読み込まれ、制御回路52は、タッチパネル13と周辺部との間の静電容量による容量結合の状態に応じて、判定閾値を決定する。
【0075】
判定閾値の決定が終了すると、ステップS73において、タッチパネル13の動作状態はタッチ検出動作状態となる。タッチ検出動作状態においては、タッチパネル13は、図10に示す容量結合101の静電容量が判定閾値を超えると、タッチ入力が行われたものとしてタッチ検出信号を制御回路52に出力する。
【0076】
ステップS74において、制御回路52は、表示素子12の電源状態を電源オンとし、表示を開始させる。
【0077】
ステップS75において、タッチ入力を行うために操作者が手60を情報処理装置50に近づけ、照度センサ51が操作者の手60により覆われたとする。照度センサ51が操作者の手60により覆われると、照度センサ51が検出する照度は、操作者の手60に覆われていない場合よりも低くなる。したがって、照度センサ51の出力に示される照度は低下する。
【0078】
ステップS76において、タッチ入力が行われたとすると、入力手段100の状態はタッチありとなる。また、タッチパネル13はタッチ入力を検出し、タッチパネル13の検出状態はタッチ検出ありとなる。
【0079】
制御回路52は、判定閾値を決定した後後初めて、タッチパネル13の検出状態がタッチ検出ありとなると、照度センサ51の出力により入力手段100のタッチパネル13への接触の有無を判断する。具体的には、制御回路52は、照度センサ51の出力に示される照度が所定の閾値以下に変化しているか否かを判定する。上述したように、ステップS75において、照度センサ51の出力に示される照度は低下し、所定の閾値以下になったとする。照度センサ51の出力に示される照度が所定の閾値以下となる場合には、操作者の手60により照度センサ51が覆われ、タッチ入力が行われていると考えられる。この場合、制御回路52は、入力手段100のタッチパネル13への接触があり、判定閾値が適切に設定され、タッチパネル13によりタッチ入力の検出が正しく行われていると判定し、各部の動作を継続させる。
【0080】
ステップS77において、タッチ入力が解除されると、入力手段100の状態はタッチなしとなり、また、タッチパネル13の検出状態はタッチ検出なしとなる。
【0081】
図8は、図5に示す表示素子12、タッチパネル13および照度センサ51の図7とは異なる動作を時系列的に示す図である。図8において、ステップS81からステップS84の処理はそれぞれ、図7に示すステップS71からステップS74の処理と同様であるため説明を省略する。
【0082】
図8においては、ステップS85において、操作者が手60を情報処理装置50に近づけなかったとする。そのため、照度センサ51は操作者の手60に覆われることがなく、照度センサ51の出力に示される照度は一定のままである。
【0083】
ステップS86において、タッチ入力が行われなかったとする。したがって、入力手段100の状態はタッチなしのままである。ここで、表示素子12が表示動作を行っているため、表示素子12の駆動周期による電気的なノイズにより、図12に示す容量結合121の静電容量が判定閾値を超えることがある。容量結合121の静電容量が判定閾値を超えると、タッチパネル13は、タッチ入力が行われていないにもかかわらず、タッチ入力が行われたと誤検出する。したがって、ステップS86において、タッチパネル13の検出状態が検出ありとなる。
【0084】
一方、上述したように、ステップS85およびステップS86においては、照度センサ51は、タッチ入力を行う操作者の手60に覆われていない。したがって、照度センサ51の出力に示される照度は一定のままである。
【0085】
制御回路52は、判定閾値を決定した後初めて、タッチパネル13の検出状態がタッチ検出ありとなると、照度センサ51の出力により入力手段100のタッチパネル13への接触の有無を判断する。具体的には、制御回路52は、照度センサ51の出力に示される照度が所定の閾値以下に変化しているか否かを判定する。上述したように、照度センサ51からの出力に示される照度は一定のままである。照度センサ51からの出力に示される照度は一定であるにもかかわらず、タッチパネル13の検出状態がタッチ検出ありとなった場合、表示動作を開始した表示素子12の駆動周期による電気的なノイズの影響を受けて、容量結合121の静電容量が判定閾値を越えたことが考えられる。この場合、制御回路52は、タッチパネル13がタッチ入力を誤検出したと判定する。
【0086】
ステップS87において、タッチパネル13の検出状態がタッチ検出なしとなると、ステップS88において、制御回路52は、タッチパネル13の初期化を再度行う。すなわち、制御回路52は、判定閾値を設定しなおす。ステップS88においては、表示素子12の電源状態は電源オンである。この状態で判定閾値を再設定すると、表示素子12の駆動周期による電気的なノイズの影響が容量結合121に加わった状態で、判定閾値が決定される。そのため、表示素子12の駆動周期による電気的なノイズによりタッチパネル13がタッチ入力を誤検出する可能性を低減することができる。
【0087】
判定閾値の再設定が終了すると、ステップS48において、タッチパネル13の動作状態はタッチ検出動作状態となる。
【0088】
このように本実施形態によれば、情報処理装置50は、タッチパネル13からタッチ検出信号が出力されると、タッチ検出信号が出力されたときの照度センサ51の出力が、入力手段100のタッチパネル13への接触を示すものない場合に判定閾値を設定しなおす。より具体的には、情報処理装置50は、照度センサ51からの出力に示される照度が所定の閾値以下となっていない場合には、照度センサ51の出力が入力手段100の接触を示すものでないと判定し、タッチパネル13を初期化し、判定閾値を設定しなおす。
【0089】
照度センサ51からの出力に示される照度が所定の閾値以下となっていないということは、タッチ入力が行われていない可能性が高い。それにもかかわらず、タッチパネル13がタッチ入力を検出した場合には、タッチパネル13の周辺の電子部品の駆動周期による電気的なノイズによる誤検出であると考えられる。そのため、判定閾値を設定しなおすことで、周辺の電子部品の駆動周期による電気的なノイズの影響を踏まえた判定閾値を決定することができるので、以後、タッチパネル13がタッチ入力を誤検出する可能性を低減することができる。また、本実施形態の情報処理装置50によれば、特許文献1に開示の技術のように、走査線に対応するタッチパネル上のタッチ入力の検出を行わない領域の設定が不要であり、簡易な構成でタッチ入力を誤検出する可能性を低減することができる。
【符号の説明】
【0090】
10,50 情報処理装置
11 ケース
12 表示素子
13 タッチパネル
14 加速度センサ
15,52 制御回路
21 加速度
51 照度センサ
60 手
100 指

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力手段の接触により静電容量値が増加し、該静電容量値が所定の閾値を超えたときにタッチ検出信号を出力する静電容量式のタッチパネルと、
前記入力手段の接触により前記タッチパネルに生じる静電容量値以外の変化を検出して出力するセンサと、
前記タッチ検出信号が出力されたときの前記センサの出力が、前記入力手段の接触を示すものでない場合に、前記閾値を設定しなおす制御部と、を有することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
請求項1記載の入力装置において、
前記センサは、前記タッチパネルに印加される加速度を検出して出力する加速度センサであり、
前記制御部は、前記加速度センサの出力により前記入力手段の接触の有無を判断することを特徴とする入力装置。
【請求項3】
請求項1記載の入力装置において、
前記センサは、前記タッチ入力が行われる際に操作者により覆われる位置に配置され、周辺の照度を検出する照度センサであり、
前記制御部は、前記照度センサの出力により前記入力手段の接触の有無を判断することを特徴とする入力装置。
【請求項4】
入力手段の接触により静電容量値が増加し、該静電容量値が所定の閾値を超えたときにタッチ検出信号を出力する静電容量式のタッチパネルと、前記入力手段の接触により前記タッチパネルに生じる静電容量値以外の変化を検出して出力するセンサと、を有する入力装置の制御方法であって、
前記タッチ検出信号が出力されたときの前記センサの出力が、前記入力手段の接触を示すものでない場合に前記閾値を設定しなおすことを特徴とする入力装置の制御方法。
【請求項5】
請求項4記載の入力装置の制御方法において、
前記センサは、前記タッチパネルに印加される加速度を検出して出力する加速度センサであり、
前記加速度センサの出力により前記入力手段の接触の有無を判断することを特徴とする入力装置の制御方法。
【請求項6】
請求項4記載の入力装置の制御方法において、
前記センサは、前記タッチ入力が行われる際に操作者により覆われる位置に配置され、周辺の照度を検出して出力する照度センサであり、
前記照度センサの出力により前記入力手段の接触の有無を判断することを特徴とする入力装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−109636(P2013−109636A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255106(P2011−255106)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】