説明

入力装置及び電子機器

【課題】既存の構成に僅かな部品を付加するだけで、操作ダイヤルの操作パターンのさらに豊富にする。
【解決手段】平板状のベース1と、ベース1の一方の面側に回転及び押込操作可能に配置される操作部材5と、ベース1の一方の面側に配置されて、操作部材5の回転を検出する回転検出部材16とを備えた構成とする。さらに、ベース1の他方の面側に配置されて、操作部材5の押込操作によるベース1の押込動作を検出する押込検出部材7を備えた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置及びこの入力装置を備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、入力装置として、例えば、ベースに、複数個のスイッチ及び磁界検出素子が実装されたプリント基板、プリント基板上に上下動可能に支持される操作板、及び、操作ダイヤルを備えた構成のものが公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−285743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の入力装置では、操作ダイヤルを回転及び押込操作できるだけである。詳しくは、操作ダイヤルの操作パターンが、正逆2方向の回転と、4箇所の押込とであるに過ぎない。このため、多機能化した電子機器に組み込む場合、操作を複数段階に分けて行う必要がある(例えば、押込操作を2回行ってから回転操作する等)。
【0005】
そこで、本発明は、既存の構成に僅かな部品を付加するだけで、操作ダイヤルの操作パターンのさらに豊富な入力装置、及び、このような入力装置を備えた電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
平板状のベースと、
前記ベースの一方の面側に回転及び押込操作可能に配置される操作部材と、
前記ベースの一方の面側に配置されて、前記操作部材の回転を検出する回転検出部材と、を備えた入力装置であって、
前記ベースの他方の面側に配置されて、前記操作部材の押込操作によるベースの押込動作を検出する押込検出部材を備えたものである。
【0007】
この構成により、必要に応じて、ベースに操作部材と回転検出部材を設けた構成に加えて、押込検出部材を設けるだけで、操作部材の通常の操作とは別にさらなる押込操作をも検出可能な構成を簡単に得ることができる。つまり、大幅な設計変更を必要とすることなく、安価に押込加減を出力できる構成を得ることが可能となる。
【0008】
前記ベースの他方の面側に配置される第2のベースと、
前記両ベースの間で、外周部に配置される環状の弾性部材と、を備え、
前記ベースの他方の面の中央部に突部を配置し、
前記押込検出部材は、前記突部によって押し込まれることにより検出信号を出力する圧力センサで構成すればよい。
【0009】
この構成により、弾性部材の付勢力に抗して操作部材を押込操作すると、ベースに配置した突部で圧力センサを押し込むことができる。つまり、操作部材の押込操作位置の違いに拘わらず、安定して圧力センサを押し込むことが可能である。
【0010】
前記突部と前記圧力センサの間には、操作部材の通常の回転操作により、前記弾性部材の弾性力に抗して押し込まれる寸法よりも大きな隙間を形成するのが好ましい。
【0011】
この構成により、操作部材の回転操作のみによって圧力センサが押込操作されたと誤判断されることがなくなり、押込操作を確実に検出することが可能となる。また、押込操作が行われたことが、ベースに設けた突部が圧力センサに当接することにより開始されるので、操作感が急激に変化し、操作を確実に行うことが可能となる。
【0012】
前記圧力センサは、圧力検出部と、圧力検出部から延びるリード線とからなり、
前記弾性部材は、圧力検出部の周囲に配置される連続部分と、リード線が位置する領域の切欠部とを備えた第1弾性部と、
前記第1弾性部の切欠部に配置される第2弾性部と、からなり、
前記第1弾性部の厚み寸法と、前記第2弾性部及び前記リード線の厚み寸法とを同一とし、前記第1弾性部よりも前記第2弾性部の弾性係数を小さくすることにより、押込操作による操作感を同一とするのが好ましい。
【0013】
前記ベースと前記第2のベースのうちのいずれか一方に係止部を形成し、残る他方に、前記係止部が係止される係止受部を少なくとも2箇所に形成することにより接離範囲を制限し、
前記弾性部材は、前記ベースと前記第2ベースが最も離れた位置で、圧接状態となるように配置すればよい。
【0014】
この構成により、両ベースの接離範囲が制限されているので、操作部材による押込力をいずれの位置であっても、押込量に応じて一定の割合で変化させることが可能となる。また、係止部を係止受部に係止するだけで、組み付けることができるので、作業性よく押込検出機能を付加することができる。しかも、組付状態で、弾性部材が圧接状態となっているので、がたつくことがなく安定している。
【0015】
また、本発明は、前記課題を解決するための手段として、
電子機器を、
前記いずれかに記載の入力装置と、
前記押込検出部材からの出力信号の変化に応じて制御信号を出力する制御部材と、を備えた構成としたものである。
【0016】
前記制御部材は、さらに、操作部材を押込操作する際の押込量の違いによる押込検出部材の出力レベルの高低に基づいて異なる制御信号を出力するのが好ましい。
【0017】
この構成により、さらに操作パターンのバリエーションを増やすことが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ベースに操作部材と回転検出部材を設けた構成に、押込検出部材を設けるだけで、簡単かつ安価に押込動作をも検出可能な構成とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。但し、以下の説明では、構成要素の種類、組合せ、形状、相対配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の技術的範囲をそれのみに限定するものではない。また、適宜、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「一端」、「他端」等)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味により本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
【0020】
図1は、本実施形態に係る入力装置を示す。この入力装置は、大略、第1ベース1の上面側に、プリント基板12、カバー2、押ボタン3、操作板4、操作ダイヤル5、及び、固定リング6を配置し、下面側に圧力センサ7、弾性部材8、及び、第2ベース9の補助入力機構を配置した構成である。
【0021】
第1ベース1は、図9に示すように、平面視略円形の金属製板材からなる。第1ベース1には同一円周上に4つの係合受部10が等ピッチで形成されている(図9では、切り起こし加工により4つの開口が形成されている。)。各係合受部10は略T字形の弾性片で構成されている。さらに、第1ベース1の上面には、係合受部10よりも外周側の、第1ベース1の中心に対して対称な位置2箇所に位置決め孔1bがそれぞれ形成されている。位置決め孔1bは、入力装置を組み立てる際、治具に対して位置決めするために使用する。さらにまた、第1ベース1の外周縁部には、外径側に向かって突出する係止爪11が形成されている。係止爪11は、図示しない治具に位置決めしたり、第2ベース9を組み付けたりする際に利用される。但し、第1ベース1の下面側に第2ベース9等の補助入力機構が必要でなければ、係止爪11は入力装置を電子機器に組み付けるために利用することもできる。
【0022】
プリント基板12は、第1ベース1の上面に貼着一体化される。プリント基板12は、図8に示すように、略円形の基板本体13と、そこから延在するリード線14とからなるフレキシブルプリント基板で構成されている。基板本体13には、中央部と、その周囲4箇所に導電部15が設けられている。周囲4箇所の導電部15は、同一円周上に等ピッチで配置されている。各導電部15は、環状固定接点部15bと、その内側に配置された一対の固定接点部15aとからなる。また、基板本体13には、第1ベース1の係合受部10と位置決め孔1bに対応する位置に係合孔13aと位置決め孔13bがそれぞれ形成されている。さらに、基板本体13の外周縁部にはホール素子16がそれぞれ設けられている。ホール素子16は磁束の変化に基づいて検出信号を出力する。なお、導電部15は、例えば、固定接点部を同心円状に配置した構成としてもよく、又、平面視略C字形の固定接点部と、その中央部に配置される固定接点部とで構成してもよい。
【0023】
カバー2は、図7に示すように、樹脂製のフィルムからなり、基板本体13の上面に貼着されて被覆する。カバー2には、前記導電部15に対応する位置に、ドーム状の反転バネからなるスイッチ17がそれぞれ貼着されている。各スイッチ17は、裏面に形成した通気部17aが連通することにより、押圧時の空気抵抗が抑えられ、押込操作しやすくなっている。また、カバー2には、第1ベース1の係合受部10及び位置決め孔1bに対応する位置に、係合孔2a及び位置決め孔2bがそれぞれ形成されている。さらに、カバー2の外周縁部には、ホール素子16を露出させるための切欠き2cが形成されている。
【0024】
押ボタン3は、図3に示すように、後述する操作ダイヤル5の内周側筒部22に嵌合可能な外周形状を有する。押ボタン3の底面中央部には、スイッチ17を押し下げるための操作用突起3aが形成されている。押ボタン3の底面には、操作用突起3aを中心とする同一円周上に4つの湾曲した弾性係止爪18がそれぞれ形成されている。
【0025】
操作板4は、図6に示すように、スイッチ17に載置されるドーナツ状のものである。操作板4の下面外周縁部には、各スイッチ17に対応する位置に、第1ベース1の係合受部10に係合可能な係合部4aがそれぞれ形成されている。また、操作板4の下面外周縁部には、各スイッチ17を押圧するための操作用突起4bが所定ピッチでそれぞれ形成されている。さらに、操作板4の外周縁部には、対称な位置2箇所に切欠溝19が形成され、そこには断面略L字形状の保護用突起20がそれぞれ形成されている。保護用突起20は、操作ダイヤル5に作用する上方からの衝撃力を受け、環状マグネット27とホール素子16の衝突を防止するためのものである。操作板4の上面には、操作ダイヤル5の回動操作を円滑に行うための摺動シート21が貼着されている。但し、摺動シート21に代えて、摩擦抵抗の小さい樹脂材料を塗布してもよく、又、摩擦抵抗を小さくするために操作ダイヤル自身に梨地加工を施しただけとしてもよい。
【0026】
操作ダイヤル5は、図4に示すように、第1ベース1の上面に配置されるドーナツ状のものである。操作ダイヤル5の下面には、内周縁、外周縁、及び、その中間部分に、内周側筒部22、外周側筒部23、及び、中間筒部24がそれぞれ形成されている。内周側筒部22内には押ボタン3が配置されている。操作ダイヤル5の下面には、内周側筒部22と中間筒部24の間に摺動溝25が形成され、中間筒部24と外周側筒部23の間に環状溝26が形成されている。摺動溝25には、操作板4が回転可能に配置される。環状溝26には両面テープ27aによって環状マグネット27が貼着される。ここでは、環状マグネット27には、N極とS極が環状に交互に出現するようにしたもので、ここでは16極のもの(N極が8箇所に出現し、S極が8箇所に出現する8個の磁石を環状に一体化したもの)が使用されている。また、環状マグネット27の外周部の一部に外径側に突出する突起(図示せず)が形成されている。外周側筒部23の内径側には段部28が形成され、そこには、4箇所に切欠部28aが形成されている。これら切欠部28aのいずれか1つに環状マグネット27の突起を係止し、残る3つに接着剤を注入して固化することにより、操作ダイヤル5に対して環状マグネット27を回転方向に位置決めして固定可能となっている。なお、操作ダイヤル5は必ずしも平面視円形状である必要はなく、回動可能であれば、例えば、平面視多角形形状(例えば、正八角形等)であってもよい。
【0027】
固定リング6は、図5に示すように、筒状で、操作ダイヤル5の内周側筒部22に取り付けられる。固定リング6の内周の操作孔29には押ボタン3が嵌合する。固定リング6の下方縁部には、第1ベース1の各係合受部10に係合可能な係合部6aがそれぞれ形成されている。固定リング6の内周面には、各係合部6aに対応する位置に組付用突部30がそれぞれ形成され、各組付用突部30の間には位置決め用突部31がそれぞれ形成されている。各組付用突部30には組付用ピン(図示せず)を挿入可能なピン孔30aがそれぞれ形成されている。
【0028】
第1ベース1の底面中央部には弾性突部32が接着等により一体化されている。弾性突部32は、後述する操作ダイヤル5や押ボタン3を押込操作した際、圧力センサ7を押し込むために設けられている。ここでは、弾性突部32の形状を半球状とすることにより、押ボタン3や操作ダイヤル5のいずれの押込動作であっても、圧力センサ7に点接触(押し込まれることにより多少面接触状態となる。)するようになっている。そして、第1ベース1、圧力センサ7、弾性部材8、及び、弾性突部32により補助入力機構を構成している。
【0029】
圧力センサ7は、圧力検出部33と、そこから延びる2本のリード線34とで構成されている。圧力検出部33は、平面視略円形の薄板状であり、作用する圧力の違いに応じて出力レベルが変化する。すなわち、この圧力検出部33は、図12に示すように、作用する力が大きくなればなる程、その抵抗値が徐々に小さくなるように変化する。リード線34は、圧力検出部33と同一厚さを有し、圧力検出部33からの電気信号を出力する。
【0030】
弾性部材8は、ゴム等の弾性材料を環状としたもので、第2ベース9の外周部に配置される。弾性部材8は、環状部分の一部に切欠部を形成された第1弾性部35と、この第1弾性部35の切欠部に配置される第2弾性部36とで構成されている。第1弾性部35は、圧力センサ7のリード線34が位置しない領域に配置される。第1弾性部35は、圧力センサ7よりも厚み寸法が大きくなるように形成されている。第2弾性部36は、第1弾性部35の切欠部、すなわちリード線34が位置する領域に配置され、第1弾性部35とで環状となる。第2弾性部36は、リード線34とで、実質的に第1弾性部35と同一厚さとなるように形成されている。第1弾性部35よりも第2弾性部36の弾性係数を小さくすることにより、後述する操作ダイヤル5を押込操作する際の操作感が相違しないようにしている。
【0031】
第2ベース9は、実質的に平面視円形の金属製板材からなる。第1ベース1の外周縁には、4箇所等分で係止受部37が形成されている。各係止受部37は、外周縁から上方側に略直角に曲げ起こされた舌片に係止孔38を有する構成である。
【0032】
続いて、前記入力装置の組立方法について説明する。
【0033】
まず、図示しない治具に、第1ベース1を位置決めする。このとき、治具に設けた位置決めピンを、第1ベース1の位置決め孔1bに挿通することにより両者の位置合わせを行う。
【0034】
また、第1ベース1に予めホール素子等を実装したプリント基板12を取り付ける。プリント基板12も、第1ベース1と同様にして、治具に設けた位置決めピンをプリント基板12の位置決め孔13bに挿通することにより位置合わせする。そして、プリント基板12の係合孔13aにベースの係合受部10を係合し、第1ベース1にプリント基板12を貼着一体化する。
【0035】
さらに、プリント基板12にカバー2を取り付ける。カバー2も、前記各部品と同様にして、治具に設けた位置決めピンを貫通孔2bに挿通することにより位置合わせし、プリント基板12に貼着一体化する。これにより、プリント基板12の各導電部15に対して各スイッチ17がそれぞれ位置決めされる。
【0036】
そして、ベースに操作板4を取り付ける。操作板4の取付では、その係合部をベースの係合受部10に係合する。これにより、操作用突起がスイッチ17上に当接する。続いて、操作板4に、摺動溝25内に配置した摺動シート21を介して操作ダイヤル5を回転可能に取り付ける。
【0037】
次に、固定リング6のピン孔に図示しない組付用ピンをそれぞれ挿入する。そして、組付用ピンを介して固定リング6を内方に撓ませたままの状態で、操作ダイヤル5の内周側筒部22内に配置する。このとき、係合部がベースの係合受部10に係合し、操作ダイヤル5が抜け止めされる。また、操作ダイヤル5の環状溝26に、両面テープ27aにより環状マグネット27を貼着する。
【0038】
その後、押ボタン3の弾性係止爪18の間に固定リング6の位置決め用突部31を係止して位置決めし、押ボタン3を押し下げる。これにより、弾性係止爪18が固定リング6に係止し、押ボタン3が抜け止めされる。このとき、押ボタン3の操作用突起がスイッチ17に当接する。なお、固定リング6の第1ベース1に対する固定方法は、カシメ固定、溶接固定であってもよい。
【0039】
以上のようにして、第1ベース1の上面側に、カバー2、押ボタン3、操作ダイヤル5、固定リング等の組み付けが完了した状態では、スイッチ17に載置された押ボタン3及び操作板4がドーム状反転バネのバネ力で上方に付勢されている。このため、上下方向のガタツキがなく、操作ダイヤル5の慣性力による回り過ぎを抑制でき、誤操作が生じにくい。
【0040】
また、第1ベース1の上面に、操作板4、操作ダイヤル5、固定リング6及び押ボタン3を、順次、組み付けることができ、しかも、ワンタッチで固定できる。このため、組立作業が容易で生産性に優れている。
【0041】
次いで、第1ベース1の下面側に、圧力センサ7、弾性部材8、及び、弾性突部32を組み付ける。
【0042】
まず、第1ベース1の下面中央部に弾性突部32を接着等により固定する。
【0043】
また、第2ベース9の上面中央部に圧力センサ7を配置し、接着等で一体化する。また、圧力センサ7の周囲に弾性部材8の第1弾性部35を接着等で一体化する。このとき、第1弾性部35の切欠部に圧力センサ7のリード線34を位置させる。そして、切欠部に第2弾性部36を配置して接着等で一体化して第1弾性部35とで環状とする。
【0044】
そして、第1ベース1の下面に第2ベース9を取り付ける。この取付では、第1ベース1の係止爪11を、第2ベース9の係止受部37(係止孔38)に係止する。これにより、弾性部材8(第1弾性部35及び第2弾性部36)が両ベースの間で若干圧接された状態で保持される。また、第1ベース1の下面中央部に設けた弾性突部32が圧力センサ7の上面に当接する。但し弾性突部32は、圧力センサ7の上面に対して所定の隙間を形成して対向させるようにしてもよい。
【0045】
なお、ここでは、第1ベース1の下面側に、圧力センサ7、弾性部材8、及び、弾性突部32を組み付けるようにしたが、用途に応じてこれらの追加部品を組み付けないようにすれば、操作ダイヤル5の回転操作及び押ボタン3の押込操作のみを検出する入力装置とすることができる。
【0046】
次に、前記入力装置の動作について、説明する。
【0047】
操作ダイヤル5を固定リング6の軸心を中心として回動させると、操作ダイヤル5は、一体化された環状マグネット27と共に、操作板4及び固定リング6に摺接しながら回転する。そして、環状マグネット27の回転による磁界の変化が一対のホール素子16によって検出され、検出信号が出力される。したがって、この検出信号に基づいて、操作ダイヤル5の回転方向及び回転量を演算すればよい。
【0048】
また、押ボタン3や操作ダイヤル5を押込操作すると、操作板4の押圧用突起で反転バネであるスイッチ17が適宜反転し、対応する導電部15が導通することにより検出信号が出力される。したがって、この検出信号に基づいて、いずれの箇所で押込操作されたのかを判断するようにすればよい。
【0049】
さらに、操作ダイヤル5を回転操作させる際、通常の回転位置から弾性部材8の付勢力に抗して押し込むと、第1ベース1の弾性突部32を介して圧力センサ7が押圧される。圧力センサ7は、前述の図12に示すように、作用する力が大きくなればなる程、抵抗値が徐々に小さくなり、出力(電圧)レベルが徐々に大きくなる。そこで、出力レベルの高低を、予め設定した閾値と比較することにより、どの程度押し込まれたのかを判断するようにすればよい。
【0050】
前記構成の入力装置は、例えば、映像再生機のリモコンに採用することができる。そして、再生中の動画を早送りしたり、巻き戻したりする場合、操作ダイヤル5を正逆回転させるようにすればよい。この場合、操作ダイヤル5の押込量の違いにより、早送りや巻き戻しの速度を増減させたり、音量を増減させたりするようにすればよい。
【0051】
また、携帯電話に採用してワンセグ用データ放送を受信する場合、操作ダイヤル5を回転操作する際の操作ダイヤル5の押込量の違いにより、音量を変更したり、チャンネルを切り替えたりするように構成することも可能である。
【0052】
さらに、デジタルカメラに採用する場合、操作ダイヤル5を回転操作する際の操作ダイヤル5の押込量の違いにより、画面を選択したり、画面を拡大又は縮小したりするように構成することも可能である。
【0053】
なお、本発明は、前記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0054】
例えば、前記実施形態では、第2ベース9を設けるようにしたが、入力装置を電子機器に組み込む場合、電子機器側の装着部分を第2ベース9と兼用すれば、第2ベース9は不要となる。また、弾性部材8や圧力センサ7も、電子機器側に設けておくことも可能である。
【0055】
また、入力装置の第1ベース1の上面側に設けられる構成は、前記実施形態に開示のものには限定されず、種々の構成が採用可能である。例えば、前記実施形態の押ボタン3を無くして操作ダイヤル5による回転操作だけの構成としたものでもよい。また、従来の技術の欄で記載した構成を採用することもできる。要は回転操作可能な構成の入力装置であれば、種々の構成のものに採用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係る入力装置は、携帯電話、携帯用音楽再生機、テレビ、ビデオ、DVDプレーヤー等のリモコン、デジタルカメラの各種設定のための操作部分等、種々の電子機器に採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本実施形態に係る入力装置の斜視図である。
【図2】図1の分解斜視図である。
【図3】図2の押ボタンを上下からそれぞれ見た状態を示す斜視図である。
【図4】図2の操作ダイヤルを上下からそれぞれ見た状態を示す斜視図である。
【図5】図2の固定リングを上下からそれぞれ見た状態を示す斜視図である。
【図6】図2の操作板を上下からそれぞれ見た状態を示す斜視図である。
【図7】図2のカバーを上下からそれぞれ見た状態を示す斜視図である。
【図8】図2のプリント基板を上下からそれぞれ見た状態を示す斜視図である。
【図9】図2の第1ベースと、その下面側に配置される補助入力機構を示す分解斜視図である。
【図10】本実施形態に係る入力装置の平面図である。
【図11】(a)は図10のA−A線断面図、(b)はB−B線断面図である。
【図12】図2に示す圧力センサに作用する力と、その電気抵抗値との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0058】
1…第1ベース
2…カバー
3…押ボタン
4…操作板
5…操作ダイヤル(操作部材)
6…固定リング
7…圧力センサ(押込検出部材)
8…弾性部材
9…第2ベース
10…係合受部
11…係止爪
12…プリント基板
13…基板本体
14…リード線
15…導電部
16…ホール素子(回転検出部材)
17…スイッチ
18…弾性係止爪
19…切欠溝
20…保護用突起
21…摺動シート
22…内周側筒部
23…外周側筒部
24…中間筒部
25…摺動溝
26…環状溝
27…環状マグネット
28…段部
29…操作孔
30…組付用突部
31…位置決め用突部
32…弾性突部
33…圧力検出部
34…リード線
35…第1弾性部
36…第2弾性部
37…係止受部
38…係止孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状のベースと、
前記ベースの一方の面側に回転及び押込操作可能に配置される操作部材と、
前記ベースの一方の面側に配置されて、前記操作部材の回転を検出する回転検出部材と、を備えた入力装置であって、
前記ベースの他方の面側に配置されて、前記操作部材の押込操作によるベースの押込動作を検出する押込検出部材を備えたことを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記ベースの他方の面側に配置される第2のベースと、
前記両ベースの間で、外周部に配置される環状の弾性部材と、を備え、
前記ベースの他方の面の中央部に突部を配置し、
前記押込検出部材は、前記突部によって押し込まれることにより検出信号を出力する圧力センサで構成したことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記突部と前記圧力センサの間には、操作部材の通常の回転操作により、前記弾性部材の弾性力に抗して押し込まれる寸法よりも大きな隙間を形成したことを特徴とする請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記圧力センサは、圧力検出部と、圧力検出部から延びるリード線とからなり、
前記弾性部材は、圧力検出部の周囲に配置される連続部分と、リード線が位置する領域の切欠部とを備えた第1弾性部と、
前記第1弾性部の切欠部に配置される第2弾性部と、からなり、
前記第1弾性部の厚み寸法と、前記第2弾性部及び前記リード線の厚み寸法とを同一とし、前記第1弾性部よりも前記第2弾性部の弾性係数を小さくすることにより、押込操作による操作感を同一としたことを特徴とする請求項2又は3に記載の入力装置。
【請求項5】
前記ベースと前記第2のベースうちのいずれか一方に係止部を形成し、残る他方に、前記係止部が係止される係止受部を少なくとも2箇所に形成することにより接離範囲を制限し、
前記弾性部材は、前記ベースと前記第2ベースが最も離れた位置で、圧接状態となるように配置したことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項6】
請求項1から5に記載の入力装置と、
前記押込検出部材からの出力信号の変化に応じて制御信号を出力する制御部材と、を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
前記制御部材は、さらに、操作部材を押込操作する際の押込量の違いによる押込検出部材の出力レベルの高低に基づいて異なる制御信号を出力することを特徴とする請求項6に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−80121(P2010−80121A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244492(P2008−244492)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】