説明

入力装置

【課題】ユーザによるキー操作が単なる押し間違いかどうかを容易に判断し、情報訂正の行いやすい入力装置の提供を目的とする。
【解決手段】二度入力モードにおいて、一回目と二回目で異なるFAX番号が押下された場合、一回目に押下されたキーと二回目に押下されたキーのうち、違った番号のテンキー7bの位置関係を比較して上下左右のような隣り合う関係にあるか否かを判断する。キーの位置関係が上下左右の関係でないと判断された場合は、エラー処理を行う。また、キーの位置関係が上下左右の関係であると判断された場合は、ディスプレイ7aにて入力間違いが起こった位置および再入力を促す旨の表示を行う。番号の再入力が終わったと判断された場合は、再入力されたFAX番号を記憶し、新たに記憶されたFAX番号に基づいて送信動作を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関し、詳しくは押し間違いを判断して正しい情報に訂正を促す入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファクシミリ装置などの入力装置では、ユーザが誤って番号を入力し、その結果意図しない相手に発信するというケースがあった。これを防止するための対策として、例えば特許文献1では、電話番号を二度入力させ、一度目に入力された番号と二度目に入力された番号が一致した場合にのみ発信するという技術が開示されている。
【特許文献1】特開平7−307825号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の技術においては、ユーザが正しい番号を認識しているのにも関わらず、誤って隣り合うキーが押された場合も誤発信とみなし最初から番号を入力し直さなければならず、操作が面倒であった。特に、キーが小型の場合には番号入力操作時の操作性が悪いという問題があった。
本発明は、上記の問題に鑑み、ユーザによるキー操作が単なる押し間違いかどうかを容易に判断し、情報訂正の行いやすい入力装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的を達成するために、請求項1記載の入力装置は、複数の入力部が一列状に、もしくはマトリクス状に配置された入力手段と、前記入力手段により複数回に亘って入力された入力情報を記憶する記憶手段とを備えた入力装置において、入力された前記入力情報等を表示する表示手段と、前記記憶手段に記憶された、一回目の前記入力情報と二回目の前記入力情報が同一か判断する情報判断手段と、前記情報判断手段により、異なると判断された場合に一回目の前記入力情報の異なる部分と二回目の前記入力情報の異なる部分との前記入力手段上で位置関係を判断する位置関係判断手段と、前記位置関係判断手段によって前記異なる部分が隣り合う位置関係にあると判断された場合に正しい情報に訂正させるガイダンス手段と、前記位置関係判断手段によって隣り合う位置関係にないと判断された場合にエラー処理を行うエラー処理手段とを備えたことを特徴とする。
【0005】
また、請求項2記載の入力装置は、前記ガイダンス手段について、前記位置関係判断手段により、前記異なる部分が前記入力手段上で隣り合う位置関係にあると判断される場合に、前記表示手段に前記入力情報の異なる部分および再入力を促す旨を表示することを特徴とする。
【0006】
また、請求項3記載の入力装置は、前記情報判断手段によって一回目の前記入力情報と再入力された前記入力情報とが二ヶ所以上異なると判断された場合に、前記エラー処理手段はエラー処理を実行することを特徴とする。
【0007】
また、請求項4記載の入力装置は、前記エラー処理手段について、前記表示手段に入力エラーの旨を表示することを特徴とする。
【0008】
また、請求項5記載の入力装置は、前記エラー処理手段は、リカバリ手段をさらに備え、前記リカバリ手段は、前記表示手段において、一回目の前記入力情報と二回目の前記入力情報を選択可能に表示させ、選択された前記入力情報と前記入力手段によって改めて入力された前記入力情報を前記情報判断手段に判断させることを特徴とする。
【0009】
また、請求項6記載の入力装置は、前記エラー処理手段は、リカバリ手段をさらに備え、前記リカバリ手段は、一回目の前記入力情報と二回目の前記入力情報を前記記憶手段に記憶されている履歴情報と比較し、一致した前記入力情報があった場合に前記入力情報を一回目の前記入力情報として前記記憶手段に記憶させることを特徴とする。
【0010】
また、請求項7記載の入力装置は、前記リカバリ手段は、前記エラー処理手段は、リカバリ手段をさらに備え、三回目の情報入力を促して、その前記入力情報と一回目の前記入力情報および二回目の前記入力情報と比較し、三回目の前記入力情報と一回目の前記入力情報もしくは二回目の前記入力情報のうちいずれとも一致しなかった場合に前記表示手段に入力エラーの旨を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したことから明らかなように、請求項1記載の発明は、一回目に入力された情報と二回目に入力された情報が同一か判断し、異なると判断された場合にその情報同士の位置関係を判断することで、ユーザの単なる押し間違いであるか否かを判断したので操作性が向上する。
【0012】
また、請求項2記載の発明は、隣り合う位置関係にある情報が入力されたと判断される場合に、表示手段に入力し間違えた情報の位置および再入力を促す旨の表示をすることで、ユーザはどの部分を間違えたかを容易に判別できる。
【0013】
また、請求項3記載の発明は、一回目の入力情報と二回目の入力情報とが異なる部分を少なくとも二ヶ所有していた場合にエラー処理を行うことで、ユーザの入力ミスを判断可能であるので操作性が向上する。
【0014】
また、請求項4記載の発明は、エラー表示を表示装置に示すことでユーザに入力ミスを報知可能である。
【0015】
また、請求項5記載の発明は、一回目の入力情報と二回目の入力情報を選択可能に表示し、選択された入力情報と改めて入力された情報とを判断するので、ユーザが入力ミスをしても容易に情報を入れなおせる。
【0016】
また、請求項6記載の発明は、一回目の入力情報と二回目の入力情報を履歴情報と比較し、一致した情報があった場合にはその入力情報を一回目の入力情報とすることで、ユーザが入力ミスをしても容易に情報を入れなおせる。
【0017】
また、請求項7記載の発明は、三回目の情報入力と、一回目の入力情報および二回目の入力情報を比較し、一回目の入力情報もしくは二回目の入力情報のうち一致したほうを正しい入力情報として確定するので、入力ミスをしても最初からやり直す必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[ファクシミリ装置の構造]
以下、本発明の入力装置をファクシミリ装置において実施した実施例について、図面を用いて詳細に説明する。図1は、ファクシミリ装置1の外観を表す斜視図である。
【0019】
ファクシミリ装置1の本体3の側部には、受話器5が取り付けられ、上面の前部には操作パネル7が設けられている。
【0020】
また、本体3の上面後部には、図示しない記録紙カセットを着脱自在に装着するためのカセット装着部9が形成され、上面中央には原稿台11が形成されている。
【0021】
操作パネル7は、このファクシミリ装置1の動作状態をディスプレイ7aに表示すると共にオペレータが各種操作を行うためのものである。図2は、操作パネル7の概略図である。操作パネル7は、テンキー7b、ファンクションキー7c、モード設定キー7d、送信をスタートするためのスタートキー7eなどを備えており、これらのキーが本発明の入力部に相当する。なお、以後操作パネル7については図のように上下左右を定義する。
【0022】
ファンクションキー7cおよびモード設定キー7dは、ファクシミリ装置1のもつ機能および設定を呼び出し、選択するのに用いられる。発信時に電話番号の二度入力を要求するモードは、これらのキーを操作することで設定される。また、本発明の入力手段を構成するところのテンキー7bは、0から9までのキーと、*、♯の各キーで構成され、マトリックス状に配置されている。入力部の操作によって入力された番号が、本発明における入力情報に相当する。
【0023】
本発明の表示手段を構成するところのディスプレイ7aは、ユーザによって選択操作されたテンキー7bの数字に対応する数字を表示する。その他、操作エラーやファクシミリ装置1内部で起きたエラーの内容なども表示し、ユーザに認識させることが可能である。
【0024】
図3はファクシミリ装置1のブロック図である。ファクシミリ装置1には、ネットワーク・コントロール・ユニット(以下、NCUという)13、CPU15、モデム17、バッファ19、画像メモリ27、符号化部29、スキャナ31、復号化部33、プリンタ35、操作パネル7、そして本発明の記憶手段を構成するところのROM21、EEPROM23、RAM25などが備えられ、これらは信号バスライン37を介して接続されている。
【0025】
ファクシミリ装置1の中核となるCPU15は、回線制御用のNCU13を介して送受信される各種信号に従って、信号バスライン37により接続された装置各部を制御してファクシミリ送受信動作を実行するものである。なお、CPU15は本発明を構成するところの情報判断手段、位置関係判断手段、ガイダンス手段、エラー処理手段、リカバリ手段に相当する。
モデム17は、画像データを変調・復調して伝送すると共に伝送制御用の各種手順信号を送受信するものであり、バッファ19は、相手側のファクシミリ装置との間で送受信される符号化された画像データを一時的に格納するものである。
【0026】
ROM21は、制御プログラムを格納したメモリである。また、EEPROM23は、各種設定情報等を記憶させるメモリである。また、RAM25は、動作実行時の各種データを一時格納するためのメモリであり、交換機39から送信される発呼側電話番号を一時記憶する一時記憶エリア等を備えている。RAM25は、直前に入力された電話番号のみならず、複数回に亘って入力された電話番号についても記憶する。
【0027】
画像メモリ27は、ダイナミックRAM(DRAM)等により構成され、画像データを記憶する画像データ記憶エリア27a、及び記録のためのビットイメージを記憶するビットイメージ記憶エリア27bを備えている。
また、画像データ記憶エリア27aは、メモリ受信用のメモリとしてメモリ受信部(通信内容記憶手段)を備えている。
【0028】
符号化部29は、送信する画像データの符号化を行うものであり、スキャナ31は、原稿台11(図1参照)に載置された原稿から画像を読み取るためのものである。
復号化部29は、バッファ19または画像メモリ27の画像データ記憶エリア27aに記憶・書き込みされた受信画像データを記録のために読み出して復号化を行うものであり、プリンタ35は受信画像データを用紙に記録するものであり、本実施例では、レーザ光により感光体に潜像を形成し、それをトナーを用いて現像し、記録紙に転写する静電電子写真記録方式を用いている。
【0029】
なお、画像データは、例えば、ランレングス法で圧縮符号化されて送受信される。
[ファクシミリの動作]
かかるファクシミリ装置1は、NCU13を介して電話回線41に接続されている。この電話回線41は交換機39に接続され、この交換機39は図示しない他の電話回線を介して図示しない他のファクシミリ装置に接続されている。
このファクシミリ装置1には、図示しない他のファクシミリ装置のダイヤル操作に応じて、当該他のファクシミリ装置から交換機39を介して呼出信号が入来する。
このとき、ファクシミリ装置1の所有者が発呼者側電話番号受信サービスの加入者であるとして交換機39に登録しているならば、最初の呼出信号と次の呼出信号の間の無音区間において、交換機17を介して発呼者側電話番号(Caller ID )がファクシミリ装置1に送られる交換システムになっており、アメリカではアナログの交換システムにおいてすでに実用化されている。
【0030】
次に、このファクシミリ装置1での通常のファクシミリ送信動作について概略説明する。
【0031】
まず、原稿台11から挿入される送信原稿をスキャナ31で読み取り、符号化部29で符号化してからNCU13を介し、テンキー7bから入力された電話番号に相当する相手の装置に電話回線を通じて送信する。また、メモリ送信時には、送信原稿をスキャナ31で読み取り、符号化した画像データを画像メモリ27の画像データ記憶エリア27aに格納し、指定の時刻に送信動作を行う。
【0032】
なお、ファクシミリ1の構成はこれに限定されず、例えばインターネット回線を通じて画像データを送信できるタイプのものであってもよい。その場合、受信側のファクシミリ装置へインターネットを介して送信するとき、相手のファクシミリ装置のアドレスを入力情報として入力する必要があるが、入力手段はファクシミリ装置もしくはファクシミリ装置に接続されたパーソナルコンピュータ(以後PCとする)に備えられたキーとなる。
[入力装置の動作]
次に、モード設定キー7dの操作によって二度入力による発信モードに設定された場合のファクシミリ1の動作について、フローチャートを用いて詳細に説明する。図4は前記CPU15がROM21に格納された制御プログラムに基づいて実行する二度入力による発信モード時の動作に関するフローチャートである。STARTでは、ユーザによるモード設定キー7dの操作によって、本発明の入力情報に相当するFAX番号を二度入力することでFAX発信送信が行われるモードに設定されており、一度目の番号入力待ち状態になっている。
【0033】
S101において、一回目の番号入力が終わったかを判断する。番号の入力は、操作パネル7に備えられたテンキー7bが押下されることで行われ、入力された番号は、RAM25に記憶される。また、押下された番号はディスプレイ7aに順次表示される。一回目のFAX番号の入力が終わったかどうかは、スタートキー7eが押下されたか否かで判断する。スタートキー7eが押下されていないと判断した場合(S101:NO)は、番号の入力が終了してスタートキー7eが押下されるまで入力待ち状態となる。入力が終了したと判断された場合(S101:YES)は、S102に進み、押下された番号がRAM25に記憶されると共に、ディスプレイ7aの表示が中止されてS103の二回目のFAX番号入力待ち状態になる。なお、入力が終了したかについては、予め設定された桁数の電話番号が押下されたかを判断するようにしてもよい。
【0034】
次に、S103では二回目のFAX番号入力が終わったかを判断する。この処理はS101にて行われた処理と同様に、FAX番号の入力が終わっていないと判断された場合(S103:NO)は番号の入力が終了してスタートキー7eが押下されるまで入力待ち状態となる。入力が終了したと判断された場合(S103:YES)は、S104に進み、押下された番号がRAM25に記憶される。尚、二回目に入力されたFAX番号についても、テンキーの操作と共にディスプレイ7aに順次表示される。
【0035】
次に、本発明の情報判断手段に相当するS105に進み、RAM25に記憶されている、一回目に入力されたFAX番号と二回目に入力されたFAX番号を比較し、同一の番号であるかを判断する。具体的には、一回目に入力されたFAX番号と二回目に入力されたFAX番号の同じ桁の数字同士を比較し、同じ数字であるかを判断する。一回目に入力されたFAX番号と二回目に入力されたFAX番号が同じであると判断された場合(S105:YES)は、S106に進み、FAX送信動作を開始する。
【0036】
一回目に入力されたFAX番号と二回目に入力されたFAX番号が異なると判断された場合(S105:NO)は、S107に進み、二回目の入力時に押下されたキーのうち、一回目の入力時に押下されたキーと異なるキーが二箇所以上存在するかを判断する。具体的には、例えば異なるキーの数iをカウントし、i>1となったところで異なるキーが押下された箇所が2つ以上存在したと判断するなどの手法をとる。なお、本実施例では二箇所以上異なるキーの存在で入力エラーを判断しているが、設定の変更により三箇所以上などに設定してもよい。
【0037】
異なるキーが押下された箇所が2つ以上存在したと判断される場合(S107:YES)は、入力エラーがおきたと判断し、本発明のエラー処理手段に相当するS108に進んでエラー処理を行う。具体的には、図5に示すようにディスプレイ7aに入力エラーが起きた旨をユーザに報知する表示を行う。
【0038】
図5は、入力エラー時の操作パネル7の概略図である。入力エラーが起きた場合、ディスプレイ7aには「INPUT ERROR」のように表示することで、入力エラーが起きたことを知らせることが可能となる。その後、再び一回目のFAX番号入力待ち状態に移行する。
【0039】
S107において、異なるキーを押下された箇所が2つ以上存在しなかったと判断される場合(S107:NO)は、本発明の位置関係判断手段に相当するS109に進み、一回目に押下されたキーと二回目に押下されたキーのうち、違った番号のテンキー7bの位置関係を比較して上下左右のような隣り合う関係にあるか否かを判断する。
【0040】
ここで、S109判断処理について、送信先のFAX番号が「1234567」であった場合を例として、具体的に説明する。ここでは、一回目のFAX番号入力時(S101)に「1234567」と押下され、二回目のFAX番号入力時(S102)に「1224567」と押下されている。そしてS107にてFAX番号の上三桁目が「3」と「2」で、異なるキーを押下された箇所が一つ存在すると判断されている。
【0041】
S109にて、一回目に押下されたFAX番号の上三桁目の番号「3」に相当するテンキー7bの位置と、二回目に押下されたFAX番号の上三桁目の番号「2」に相当するテンキー7bの位置関係が上下左右の関係にあるかを判断する。図2において、パネル7に設けられたテンキー7bでは、「3」に相当するキーと「2」に相当するキーは、左右に隣り合う関係に配置されている。この場合、ユーザは正しいFAX番号を認識してテンキー7bを押下したにもかかわらず、隣のキーを間違えて押下してしまった(押し間違いをした)確率が高く、押し間違いがおきたと判断する。
【0042】
また、仮に一回目に押下されたFAX番号の上三桁目の番号が「3」で二回目に押下されたFAX番号の上三桁目の番号が「8」であった場合、パネル7に設けられたテンキー7bでは、「3」に相当するキーと「8」に相当するキーは、隣り合う位置に配置されていない。この場合、ユーザは正しいFAX番号を認識してテンキー7bを押下していない確率が高いため、入力エラーが起きたと判断する。
【0043】
キーの位置関係が上下左右の関係でないと判断された場合(S109:NO)は、S108に移行してエラー処理を行う。また、キーの位置関係が上下左右の関係であると判断された場合(S109:YES)は、本発明のガイダンス手段に相当するS110に進み、入力間違いが起こった位置を表示する。
【0044】
S110の処理に関して、具体的に説明する。図6は、入力間違いが起きた時の操作パネル7の概略図である。パネル7に設けられたディスプレイ7aには、二回目に押下されたFAX番号と、入力間違いが起こった箇所を表示してユーザに認識させ、番号の再入力を促す表示を行う。図6では、二回目に押下されたFAX番号「1224567」と上三桁目の番号「2」の部分に表示された下線7fと、「Mismatch」というメッセージが表示されている。押し間違いが起こった箇所に下線を表示させることによって、ユーザは押し間違えた位置を認識させ、番号の再入力を促すことが可能となる。なお、押し間違いが起きた位置をユーザに報知させる他の手段として、押し間違えた番号を点滅させたり、直接的に番号の再入力を支持する内容のメッセージを表示させたりしてもよい。
【0045】
S110において入力間違いの位置を報知すると、S111に進み、ユーザによる番号の異なった箇所への再入力の待ち状態に移行する。番号の再入力は、ユーザによりテンキー7bの操作で行われる。ユーザによって番号が再入力されると、ディスプレイ7aにて下線7fが付され、表示された部分の番号が再入力のためユーザによって押下された番号に置き換わる。本実施例では、上三桁目の「2」がテンキー7bの操作によって「3」に置き換わる。番号の再入力が終わったか否かは、S101およびS103と同様にスタートキー7eが押下されたか等によって判断する。番号の再入力がおわったと判断されていない場合(S111:NO)は、スタートキー7e等が押されて再入力が終了するまで番号再入力待ち状態が続けられる。
【0046】
番号の再入力が終わったと判断された場合(S111:YES)は、S112に進み、再入力されたFAX番号を記憶する。具体的には、S111にて再入力されることで完成したFAX番号(ここでは「1234567」)がRAM25に記憶される。
【0047】
次にS106に進み、S112で新たに記憶されたFAX番号に基づいて送信動作を行う。
【0048】
以上の動作によって、本発明は一度目に入力されたFAX番号と二度目に入力されたFAX番号が一致するか否かを判断し、一致しなかった番号同士のテンキー7b上の位置関係が隣り合う関係になっているかを判断する。隣り合う位置関係のキーが押されたと判断された場合には、押し間違えた番号が存在することおよび訂正を促す旨の表示をする。このことにより、ユーザが正しい番号を認識していたにも関わらずキーを押し間違えた場合にも容易に訂正が可能である。
【0049】
なお、本実施例ではテンキー7bはマトリクス状に配置したが、テンキー7bの配置の変形例として番号のキーが一列状に配置される場合も考えられる。この場合は、それぞれのキーの左右に配置されたキーを隣り合う位置関係のキーとみなすことで、本発明を適用することが可能である。
[エラー処理]
ここでは、図4のS108におけるエラー処理の変形例について詳細に説明する。なお、入力装置の動作についてはS107までは同じなのでここでは割愛し、同じ符号を用いる。
【0050】
図7は、入力エラー時のリカバリ処理に関するフローチャートである。図で、STARTでは図4のS107にて、一回目の入力番号と二回目の入力番号の間で違った番号キーが二箇所以上存在すると判断された状態である。
【0051】
S201において、一回目に入力されたFAX番号と二回目に入力されたFAX番号をRAM25から読み込み、ディスプレイ7aに選択可能に表示する。図8は、エラー処理時のパネル7の概略図である。図では、一回目に入力されたFAX番号と二回目に入力されたFAX番号が、それぞれ「1st:1234567」,「2nd:1224537」のように表示されている。
【0052】
次に、S202に進み、正しい方のFAX番号がユーザによって選択されたか判断される。具体的には、正しい方のFAX番号に対応するテンキー(例えば、「1234567」の方が正しければ「1」のテンキーを押下し、「1224537」の方が正しければ「2」のテンキーを押下する)を押下することで、正しい方のFAX番号を選択する。なお、FAX番号の選択方法としては、パネル7にカーソルキーが設けられたタイプであれば、カーソルキーを押下して正しい方のFAX番号を選択し、スタートキー7eで決定する等の手法を用いてもよい。正しい方のFAX番号が選択されていない場合(S202:NO)は、選択されるまで待機し、選択された場合(S202:YES)はS203に進み、選択された番号を一度目に入力されたFAX番号としてRAM25に記憶する。
【0053】
次に、S204に進み、二回目のFAX番号として使用するFAX番号の入力が終わったかを判断する。この処理はS101にて行われた処理と同様に、FAX番号の入力が終わっていないと判断された場合(S204:NO)は番号の入力が終了してスタートキー7eが押下されるまで入力待ち状態となる。入力が終了したと判断された場合(S204:YES)は、S205に進み、押下された番号がRAM25に記憶される。
【0054】
次に図4のS105に移行し、ユーザによって選択された一回目に相当するFAX番号と再び入力された二回目(トータルでは三回目)に入力されたFAX番号が同じかを判断する処理にうつる。このように一回目に入力されたFAX番号と二回目に入力されたFAX番号を選択可能に表示させ、選択されたFAX番号と改めて入力されたFAX番号が同じか判断させるようにすることで、入力エラーと判断された場合に最初からやり直すことなく容易に訂正が可能なので、装置の操作性が向上する。
【0055】
他のエラー処理の変形例について説明する。図9は入力エラー時のリカバリ処理に関するフローチャートである。STARTでは、図7のSTARTの状態と同様である。S301では、一回目に入力されたFAX番号と二回目に入力されたFAX番号が、電話帳や発信履歴、受信履歴に存在するかを判断する。電話帳や履歴として保存されているFAX番号は、RAM25内に格納されており、RAM25内に記憶されたFAX番号と、一回目および二回目に入力されたFAX番号が同じか判断する。
【0056】
該当するFAX番号がないと判断された場合(S301:NO)は、やはり入力エラーであると判断し、図4のS101に戻って一回目のFAX番号入力待ち状態に移行する。該当するFAX番号が存在した場合(S301:YES)は、電話帳もしくは履歴にあった送信先へ送信しようとしていた確率が高いと考えられるので、S302に進み、該当するFAX番号を表示する。
【0057】
その後、S303に進み、該当したFAX番号を一回目に相当するFAX番号としてRAM25に記憶し、図4のS103に移行して二回目のFAX番号の入力待ち状態に移る。このように電話帳や履歴に記憶されたFAX番号を利用することで、入力エラーと判断された場合に容易に訂正可能なので装置の操作性が向上する。
【0058】
入力エラー時のリカバリ処理に関しては、他にも次のようなものが考えられる。図10は、入力エラー時のリカバリ処理に関するフローチャートである。STARTでは、図7のSTARTの状態と同様である。S401では、三回目のFAX番号が入力されたか判断する。ここではディスプレイ7aに三回目のFAX番号入力を促す旨の表示をし、ユーザによるテンキー7bの操作でFAX番号の入力が行われる。三回目のFAX番号入力が完了していないと判断された場合(S401:NO)は、入力が完了するまで待ち状態となる。番号入力が完了したと判断された場合(S401:YES)は、入力された番号を三回目のFAX入力番号としてRAM25に記憶し、S402に移行する。
【0059】
S402において、一回目に入力されたFAX番号と三回目に入力されたFAX番号が同じか判断する。具体的な方法は図4のS105と同様である。一回目に入力されたFAX番号と三回目に入力されたFAX番号が同じであると判断された場合(S402:YES)は、S403に進み、三回目に入力されたFAX番号を正しい番号として確定し、S404にてFAX送信動作を開始する。
【0060】
S402にて一回目に入力されたFAX番号と三回目に入力されたFAX番号が異なると判断された場合(S402:NO)は、S405に進み、S402と同様の手法で二回目に入力されたFAX番号と三回目に入力されたFAX番号を比較し、同一の番号か判断する。二回目に入力されたFAX番号と三回目に入力されたFAX番号が同じであると判断された場合(S405:YES)は、S403に進み、三回目に入力されたFAX番号を正しい番号として確定し、S404にてFAX送信動作を開始する。
【0061】
二回目に入力されたFAX番号と三回目に入力されたFAX番号が異なると判断された場合(S405:NO)は、S406に移行し、入力エラーが起こったと判断してその旨をディスプレイ7aに表示し、図4のS101に移行して一回目のFAX番号入力待ち状態に移行する。このように三回目のFAX番号入力待ち状態へ移行させて先に入力したFAX番号と比較して一致した方を正しいFAX番号として確定することで、入力エラーが生じた場合も最初からやり直す必要なく訂正可能である。
【0062】
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は実施例になんら限定されるものではない。例えば、本実施例では入力装置をファクシミリ装置において実施したが、他の装置においても適用可能である。例えば、パーソナルコンピュータではe−mail送信を行うにあたって送信先のアドレスを入力する必要がある。このとき、パーソナルコンピュータのキーボードに対して本発明を適用することで、押し間違いによる訂正が容易になる。また、例えばS111のFAX番号再入力が終わったら再びS109におけるキーの位置関係の比較を行うなど、必要に応じてキーの位置関係の比較を行っても良い。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】ファクシミリ装置1の外観を表す斜視図である。
【図2】操作パネル7の概略図である。
【図3】ファクシミリ装置1のブロック図である。
【図4】二度入力による発信モード時の動作に関するフローチャートである。
【図5】入力エラー時の操作パネル7の概略図である。
【図6】入力間違いが起きた時の操作パネル7の概略図である。
【図7】入力エラー時のリカバリ処理に関するフローチャートである。
【図8】エラー処理時のパネル7の概略図である。
【図9】入力エラー時のリカバリ処理に関するフローチャートである。
【図10】入力エラー時のリカバリ処理に関するフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
1 ファクシミリ装置
3 本体
5 受話器
7 操作パネル
7a ディスプレイ
7b テンキー
7e スタートキー
9 カセット装着部
11 原稿台
13 NCU
15 CPU
17 モデム
21 ROM
23 EEPROM
25 RAM
29 符合化部
31 スキャナ
33 復号化部
35 プリンタ
39 交換機
41 電話回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の入力部が一列状に、もしくはマトリクス状に配置された入力手段と、
前記入力手段により複数回に亘って入力された入力情報を記憶する記憶手段と、
を備えた入力装置において、
入力された前記入力情報等を表示する表示手段と、
前記記憶手段に記憶された、一回目の前記入力情報と二回目の前記入力情報が同一か判断する情報判断手段と、
前記情報判断手段により、異なると判断された場合に一回目の前記入力情報の異なる部分と二回目の前記入力情報の異なる部分との前記入力手段上で位置関係を判断する位置関係判断手段と、
前記位置関係判断手段によって前記異なる部分が隣り合う位置関係にあると判断された場合に正しい情報に訂正させるガイダンス手段と、
前記位置関係判断手段によって隣り合う位置関係にないと判断された場合にエラー処理を行うエラー処理手段と
を備えたことを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記ガイダンス手段は、
前記位置関係判断手段により、前記異なる部分が前記入力手段上で隣り合う位置関係にあると判断される場合に、前記表示手段に前記入力情報の異なる部分および再入力を促す旨を表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記情報判断手段によって一回目の前記入力情報と再入力された前記入力情報とが二ヶ所以上異なると判断された場合に、前記エラー処理手段はエラー処理を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項4】
前記エラー処理手段は、
前記表示手段に入力エラーの旨を表示する
ことを特徴とする請求項1または3いずれかに記載の入力装置。
【請求項5】
前記エラー処理手段は、
リカバリ手段をさらに備え、
前記リカバリ手段は、前記表示手段において、一回目の前記入力情報と二回目の前記入力情報を選択可能に表示させ、
選択された前記入力情報と前記入力手段によって改めて入力された前記入力情報を前記情報判断手段に判断させる
ことを特徴とする請求項1または3いずれかに記載の入力装置。
【請求項6】
前記エラー処理手段は、
リカバリ手段をさらに備え、
前記リカバリ手段は、一回目の前記入力情報と二回目の前記入力情報を前記記憶手段に記憶されている履歴情報と比較し、一致した前記入力情報があった場合に前記入力情報を一回目の前記入力情報として前記記憶手段に記憶させる
ことを特徴とする請求項1または3いずれかに記載の入力装置。
【請求項7】
前記エラー処理手段は、
リカバリ手段をさらに備え、
前記リカバリ手段は、三回目の情報入力を促して、その前記入力情報と一回目の前記入力情報および二回目の前記入力情報と比較し、
三回目の前記入力情報と一回目の前記入力情報もしくは二回目の前記入力情報のうちいずれとも一致しなかった場合に前記表示手段に入力エラーの旨を表示する
ことを特徴とする請求項1または3いずれかに記載の入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−171399(P2009−171399A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−9057(P2008−9057)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】