説明

入力装置

【課題】認証コードを入力する操作が他人に見られていた場合でも、認証コードの漏えいを防止できる入力装置を提供する
【解決手段】本発明に係る入力装置は、認証コードを入力する入力装置であって、前記認証コードを入力するための入力コードを表示する表示部と、前記表示部に表示される入力コードに対する入力を検出するタッチセンサと、前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、前記タッチセンサにより入力コードに対して入力が検出された際に、該入力コードと、前記荷重検出部により検出される押圧荷重と、に基づく認証コードを受け付けるように制御する制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関するものであり、特に、認証コードを入力する入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金融機関やコンビニエンスストアなどに設置されている自動取引装置のATM(Automated Teller Machine)やクレジットカードなどを利用するためには、カードの持ち主である顧客(利用者)しか知りえない暗証番号(認証コード)の入力が求められる。しかしながら、昨今、認証コードの入力時に、認証コードが覗き見や盗撮により漏えいし、漏えいした認証コードによる不正取引が増加傾向にある。
【0003】
このため、近年、認証コードに対するセキュリティが重要視されており、様々な対策が講じられている。例えば、下記の特許文献1には、認証コードを入力する際に、他人に指先を目視されていた場合においても、認証コードの漏えいを防止できる暗証番号入力装置が開示されている。
【0004】
この暗証番号入力装置は、表示部と、テンキーを備える入力部と、情報処理を実行する情報処理部と、を備えており、図8に示すような一連の情報処理が情報処理部で行われている。顧客は暗証番号(認証コード)をそのまま入力するのではなく、暗証番号入力装置側から出された指示に従い、暗証番号に所定の演算を行って得られた数値を入力するものである。
【0005】
例えば図8に示すように暗証番号が「1234」の場合、まず、情報処理部により各桁に対する演算手法とオペランドが決定される。そして、情報処理部が、「あなたの暗証番号の1桁目に2を加えた値を入力し実行キーを押してください」という指示を表示部に表示させる。顧客は、1回目の数値入力操作として、表示部に表示された指示に従い、暗証番号に1桁目である「1」に、情報処理部により決定されたオペランドの「2」を加えた「3」を入力部から入力し、実行キーを押す。顧客はこのような動作を4桁分繰り返し、情報処理部はこの入力された数値から逆算を行って元の暗証番号を導きだして認証を行う。
【0006】
このように、特許文献1に記載の暗証番号入力装置では、顧客が入力する数字キーと暗証番号とが異なるため、暗証番号を入力する際に、たとえ他人に指先を直接目視されていたとしても、暗証番号を盗まれることがない暗証番号入力装置が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−140009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、利用者が、暗証番号(認証コード)を直接入力する入力装置においては、押圧されたキーに対応する入力コードがそのまま受け付けられてしまう。つまり、押圧されたキーと入力装置が受け付ける入力コードとが対応しているため、押圧されているキーを覗き見や盗撮することにより、認証コードが漏えいするという問題がある。
【0009】
また、特許文献1のように、直接、認証コードを入力していないとしても、表示部に表示されている指示が見られていたり、盗撮されていたりした場合には、計算により簡単に認証コードを求めることが可能であり、他人に認証コードが漏えいしてしまうという問題点がある。
【0010】
これは、押圧されたキーに対応する入力コードがそのまま受け付けられてしまうため、覗き見や盗撮された場合に、押圧されているキーから入力装置が受け付ける入力コードが他人に分かってしまい、その入力コードと表示部に表示された指示とに基づいて計算を行うことにより、認証コードが導き出されてしまうためである。
【0011】
本発明の目的は、認証コードを入力する操作が他人に見られていた場合でも、認証コードの漏えいを防止できる入力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成する請求項1に係る発明は、
認証コードを入力する入力装置であって、
前記認証コードを入力するための入力コードを表示する表示部と、
前記表示部に表示される入力コードに対する入力を検出するタッチセンサと、
前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記タッチセンサにより入力コードに対して入力が検出された際に、該入力コードと、前記荷重検出部により検出される押圧荷重と、に基づく認証コードを受け付けるように制御する制御部と、
を備えることを特徴とするものである。
【0013】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の入力装置において、
前記制御部は、前記入力コードに対する入力が検出された際に、前記荷重検出部により検出される押圧荷重により前記認証コードを変化させることを特徴とするものである。
【0014】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の入力装置において、該入力装置は更に、
前記タッチセンサのタッチ面を振動させる触感呈示部を備え、
前記制御部は、前記タッチ面を押圧している押圧物に対して、触感により前記押圧荷重による認証コードの変化を呈示するように前記触感呈示部を制御することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、認証コードを入力する操作が他人に見られていた場合でも、認証コードの漏えいを防止できる入力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態に係る入力装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る入力装置の触感発生の概念図を示す図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る入力装置の表示部の表示例を示す図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る入力装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施の形態に係る入力装置において、認証コードを受け付ける際の押圧荷重の変化の一例を示す図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る入力装置において、認証コードを受け付ける際の押圧荷重の変化の一例を示す図である。
【図7】従来の入力装置における認証方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照して説明する。以下の各実施の形態においては、本発明の入力装置の一例として、銀行のATM、CAT(Credit Authorization Terminal)やCCT(Credit Center Terminal)などのクレジットカード端末のような認証コードを入力する入力装置であって、タッチパネルを備えているものを想定して説明する。しかしながら、本発明の入力装置は、これら上述した装置に限定されるものではなく、例えば、駅の乗車券販売機、デスクトップ型PCなどの、入力装置を備える種々の装置や、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)、ノート型PC、ミニノート型PCなど、入力装置を備える携帯端末とすることもできる。
【0018】
さらに、本発明の入力装置は、後述するように、タッチパネルを有する装置に限定されるものでもない。本発明は、利用者の押圧入力を受け付けるタッチパネルまたは押しボタン(あるいはキー)などのスイッチと、そのスイッチにかかる押圧荷重を検出できる機能を有するものであれば、任意の入力装置に適用することができる。
【0019】
図1は、本実施の形態に係る入力装置1の内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。図1に示すように、入力装置1は、タッチパネル20、荷重検出部12、触感呈示部13、記憶部15、及び、全体の動作を制御する制御部16を有する。
【0020】
本実施の形態では、タッチパネル20は、タッチセンサ11と、表示部14とを備えている。このタッチパネル20は、利用者の入力を受け付けるタッチセンサ11を、表示部14の前面に重畳させて配設することにより構成する。
タッチパネル20のタッチセンサ11は、通常は表示部14の前面に配置して、表示部14に表示される入力コードに対する利用者の指やスタイラスペンなどの押圧物による押圧入力(タッチ入力)を、対応するタッチセンサ11のタッチ面により受け付ける。このタッチセンサ11は、例えば抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等の公知の方式のもので構成する。
【0021】
荷重検出部12は、タッチセンサ11のタッチ面に対する押圧荷重を検出するもので、例えば、歪みゲージセンサや圧電素子等の荷重に対して反応する素子を用いて構成する。利用者は認証コードを入力する際に、タッチセンサ11のタッチ面を押圧して入力を行う。荷重検出部12は、この押圧入力の際にタッチ面にかかる押圧荷重を検出する。
【0022】
このように、本願では、利用者が押圧入力をする際に使用する指やスタイラスペンなどの押圧する対象と、タッチパネル20(タッチセンサ11)と、が接触した際の荷重を「押圧荷重」と称する。また、ここでいう認証コードとは、例えば暗証番号など、利用者本人しか知りえないコードであり、一般的には本人確認のために用いられるものである。認証コードは1つ又は複数の入力コードにより構成され、一般的には、一桁又は複数桁の文字又は数字などからなるものである。
【0023】
なお、本願は1つの入力コードが押圧荷重に応じて複数の認証コードを有している。例えば、押圧荷重が、軽いものと重いものの2つに分けられていて入力された入力コードが「2」である場合、検出される押圧荷重が軽い時は入力コード「2」の第1段階の入力として認証コード「2」を受け付けて、押圧荷重が重い時は入力コード「2」の第2段階の入力として認証コード「2´」を受け付ける。なお、「´」は第1段階と第2段階の入力が異なるものであることを示すものであり、本願では第2段階の入力に付けるものとする。
【0024】
触感呈示部13は、タッチセンサ11のタッチ面を振動させるもので、例えば圧電振動子等を用いて構成する。この触感呈示部13が振動することにより、タッチ面を押圧している利用者の指など押圧物に対して振動を伝えることができる。
【0025】
なお、荷重検出部12及び触感呈示部13を、圧電素子を用いて構成する場合は、圧電素子を共用して、荷重検出部12および触感呈示部13を構成することができる。
【0026】
また、タッチパネル20の表示部14は、認証コードを入力するための入力コード(ひらがな、カタカナ、漢字、英語、数字、記号など)を表示するもので、この入力コードは、例えば、押しボタンスイッチ(プッシュ式ボタンスイッチ)のような入力ボタン等の形をしている。そして、表示部14は、例えば、液晶表示パネルや有機EL表示パネル等を用いて構成する。
【0027】
記憶部15は、入力された各種情報や認証コードなどを記憶するとともに、ワークメモリなどとしても機能する。アプリケーションおよび入力された各種情報などを記憶する。
【0028】
制御部16は、入力装置1の各機能ブロックをはじめとして入力装置1の全体の制御及び管理を行う。ここで、制御部16は、CPU(中央処理装置)等の任意の好適なプロセッサ上で実行されるソフトウェアとして構成したり、処理ごとに特化した専用のプロセッサ(例えばDSP(デジタルシグナルプロセッサ))によって構成したりすることができる。
【0029】
以上のような構成により、荷重検出部12が検出する押圧荷重に段階的な閾値を設定すれば、入力装置1は、利用者による押圧入力の押圧荷重に応じて、複数段階の入力を受け付けることができる。
【0030】
図2(A)は、図1に示した入力装置1の、タッチパネル20、荷重検出部12、および、触感呈示部13の実装構造の一例を示す図である。なお、図2(A)は、入力装置1の要部断面図を示す。
【0031】
図2(A)においては、利用者が、認証コードを入力する際に、表示部14に表示された入力コードに対応する位置のタッチセンサ11のタッチ面を押圧している様子を表している。
【0032】
タッチセンサ11は、利用者による入力の押圧を検出する。タッチセンサ11が押圧されると、押圧部分が押圧力に応じて微少に撓む(歪む)構造となっている。荷重検出部12は、利用者がタッチセンサ11を押圧している指と、タッチセンサ11のタッチ面とが接触した際の荷重を検出する。このため、荷重検出部12は、タッチセンサ11にかかる押圧力に基づく押圧荷重を伝達するように、タッチセンサ11の背面に配置する。触感呈示部13は、荷重検出部12が検出した押圧荷重に基づいて、適切なタイミングで利用者の指に触感を呈示する。このため、触感呈示部13は、タッチセンサ11に振動を伝達できるように、例えばタッチセンサ11に接触するように配置する。また、タッチセンサ11が入力コードに対する入力を検出している時に、触感呈示部13は、タッチセンサ11を振動させ指先に触感を呈示する。この触感呈示部13が呈示する触感は、制御部16が、荷重検出部12により検出された押圧荷重に基づいて制御する。この際、制御部16が行う制御については後述する。
【0033】
呈示する触感は、何らかの触感であればよく、周波数、周期(波長)、振幅、波形を呈示する触感に応じて適宜設定することができる。また、利用者の操作感を向上させるようなよりリアルな触感としては、例えば、カチッとした硬質的な触感、ブルやブニとした軟質的な触感、ブルルといった振動として認知できる触感があげられる。カチッとした硬質的な触感は、例えば、200Hz〜500Hzのサイン波を1周期または矩形波を1周期呈示することにより実現できる。ブルやブニとした軟質的な触感は、例えば、200Hz〜500Hzのサイン波を2又は3周期呈示することにより実現できる。ブルルといった振動として認知できる触感は、例えばサイン波を4周期以上呈示することにより実現できる。
【0034】
なお、上述したように、本実施の形態に係る入力装置は、タッチパネルを有するものに限定されない。図2(B)は、タッチパネルを用いずに構成した本実施の形態に係る入力装置1の実装構造の一例を示す図である。なお、図2(B)は、タッチパネルを用いない場合の入力装置1の要部断面図を示す。
【0035】
図2(B)に示す入力装置1においては、利用者は、表示部に表示された入力コードに対して押圧による入力(押圧入力)をするのではなく、物理的に存在するボタンまたはキーに対して押圧入力を行う。このように、タッチセンサ11を用いない構成においては、荷重検出部12がタッチセンサ11を兼ねるものとすることができる。すなわち、この場合、荷重検出部12が押圧荷重を検出していればタッチセンサ11に対する入力がオンであるとして扱い、また荷重検出部12が押圧荷重を検出していなければタッチセンサ11に対する入力がオフであるとして扱うことができる。なお、それぞれのボタンまたはキーには、予め任意の入力コードが割り振られている必要がある。
【0036】
図2(B)に示す例では、入力装置1の筐体(ベース部材)の凹部に荷重検出部12を設置して、荷重検出部12の上に触感呈示部13を配置している。したがって、触感呈示部13の上側表面は、利用者の押圧入力を直接受け付けることができ、荷重検出部12は、触感呈示部13が受け付ける押圧入力の押圧荷重を検出する。また、触感呈示部13は、荷重検出部12が検出した押圧荷重に基づいて、適切なタイミングで利用者の指に直接振動を与える。この場合、触感呈示部13の上側表面はボタンまたはキーなどと同様の働きをするため、利用者の押圧入力を受け付ける触感呈示部13の形状は、ボタンのキートップの形状とし、そのキートップに当該ボタンの機能などを明記することにより、当該機能を示すことができる。
【0037】
なお、本実施の形態において、タッチパネルを用いない入力装置1の構造は、図2(B)に示したような構造に限定されるものではない。本実施の形態においては、入力装置1の入力に係る機能部としては、少なくとも、利用者の押圧による入力の押圧荷重を検出する荷重検出部12があればよい。したがって、例えば、従来のメカスイッチに荷重検出部12を付加することにより、あるいはこの機能を有する従来のスイッチを用いることにより、本発明の入力装置の入力に係る機能部を構成することもできる。
【0038】
図3は、本実施の形態の表示部14の表示例を表した図である。表示部14には認証コードを入力するための入力コード「0」〜「9」までの数字が表示されており、利用者はこの入力コードを押圧して、認証コードの入力を行う。図では利用者は入力コード「0」を押圧しており、タッチセンサ11により入力コード「0」に対する入力が検出される。そして、この時に荷重検出部12により検出される押圧荷重によって受け付ける認証コードは変化する。例えば、上述したように、押圧荷重が軽い時は第1段階の入力として認証コード「0」を受け付け、押圧荷重が重い時は第2段階の入力として認証コード「0´」を受け付ける。
【0039】
押圧荷重は、利用者がタッチセンサ11を押圧する力によって変化するものであり、感覚的に調整するものである。このため、目視することはできない。つまり、利用者本人のみがこの押圧荷重の違い(軽い、重い)を判断することができ、他人には認識されることがないため、制御部16は荷重検出部12により検出される押圧荷重によって受け付ける認証コードを変化させることにより、利用者によるタッチセンサ11への入力操作が他人に見られていたとしても、認証コードの漏えいを防止することができる。
【0040】
次に、本実施の形態に係る入力装置1の動作について説明する。図4は、本実施の形態に係る入力装置1による認証コードの受け付け処理の流れを説明するフローチャートである。なお、本実施の形態における入力装置1は、利用者により押圧された入力コードと、その際に検出された押圧荷重に基づいて認証コードを入力する装置であり、それぞれの入力コードに対応する荷重基準を複数有している。入力装置1を用いた認証コードの受け付け処理を行うに際し、この入力装置1の利用者は、入力装置1が押圧荷重に応じて少なくとも2段階の複数段階の入力を受け付ける入力装置であることを認識しているものとする。
【0041】
なお、本実施の形態においては、押圧荷重に応じて2段階で入力を受け付けるものを例に説明を行う。さらに、本実施の形態では、第1段階の入力を受け付ける押圧荷重を設定しているが、例えば、タッチセンサにより入力コードに対する入力が検出された時(押圧荷重≠0N)とすることも可能である。
【0042】
まず、入力装置1が不特定多数の利用者により共同利用されるATMなどである場合は、利用者のカード(キャッシュカードやクレジットカードなど)が入力装置1に挿入される。すると、制御部16は、カードに記憶されている認証コードを読み込み、記憶部15に認証コードを記憶させる。なお、入力装置1が特定の利用者のみが利用する個人専用端末などである場合は、予め記憶部15は認証コードを記憶しているものとする。
【0043】
入力装置1による認証コード受け付け処理は、タッチセンサ11により利用者の押圧入力が検出された時点から開始する。入力装置1において、制御部16は、タッチセンサ11が表示部14に表示される入力コードに対する入力を検出したか否かを監視する(ステップS100)。
【0044】
タッチセンサ11により、ある入力コードに対する入力が検出されると、制御部16は、荷重検出部12により検出される押圧荷重が第1の荷重基準を満たしたか否かを判定する(ステップS101)。つまり、利用者がタッチセンサ11のタッチ面を押圧する力を強めることにより押圧荷重が増し、第1の荷重基準を満たしたかを判定する。なお、第1の荷重基準とは、入力コードに対する第1段階の入力を受け付ける際に基準となる所定の押圧荷重の閾値である。この閾値を超える押圧荷重を荷重検出部12が検出した場合、制御部16は、入力装置1において規定された第1段階の入力が受け付けられたものとして処理する。また、この第1の荷重基準は、予め設定された所定の押圧荷重を閾値とするが、後から操作者の好みに応じて変更できるようにしてもよい。
【0045】
ステップS101において、第1の荷重基準が検出されると、制御部16は押圧入力がされた入力コードの第1段階の入力が受け付けられたとして処理をする(ステップS102)。
【0046】
次に、制御部15は、荷重検出部12により押圧荷重が検出されているか否かを監視する(ステップS103)。つまり、利用者が押圧入力を継続しているか否かということを判断する。押圧入力を継続している場合とは(ステップS103Yes)、タッチセンサ11に押圧物が接触しており、荷重検出部12により押圧荷重が検出されている(押圧荷重≠0N)状態を示す。また、タッチセンサ11により入力コードに対する入力が検出されている状態とすることもできる。反対に押圧入力が終了している場合とは(ステップS103No)、タッチセンサ11から押圧物を離して押圧入力を止めたことである。つまり、荷重検出部12により押圧荷重は検出されない状態(押圧荷重=0N)、または、タッチセンサ11により入力コードに対する入力が検出されていない状態を表す。
【0047】
この段階で、押圧荷重が検出されないと(ステップS103No)、制御部16は、入力コードの第1段階の入力に対応する認証コードを受け付ける(ステップS106)。
【0048】
荷重検出部12により押圧荷重が検出されていると(ステップS103Yes)、制御部16は、荷重検出部12により検出される押圧荷重が第2の荷重基準を満たしたか否かを判定する(ステップS104)。なお、第2の荷重基準とは上述した第1の荷重基準と同様の意味であり、入力コードに対する第2段階の入力を受け付ける際に基準となる所定の押圧荷重の閾値である。
【0049】
制御部16は、第2の荷重基準が検出される(ステップS104Yes)か、押圧入力が検出されなくなる(ステップS103No)まで、ステップS103とS104を繰り返す。そして、荷重検出部12により検出される押圧荷重が第2の荷重基準を満たすと(ステップS104Yes)、制御部16は、入力コードの第2段階の入力が受け付けられたとして処理をする(ステップS105)。
【0050】
そして、制御部16は、ステップS105にて受け付けられた入力コードの第2段階の入力に対応する認証コードを受け付ける(ステップS106)。なお、「入力コード´」とは入力コードに対する第2段階の入力ということを表している。
そして、受け付けられた認証コードが、記憶部15に記憶された認証コードと全て一致すれば、利用者は正当な利用者であると判断される。
【0051】
図5、6は、図4において説明した認証コードを受け付ける際の押圧荷重の変化の一例を示す図である。なお、図5は第1段階の入力を受け付ける際、図6は第2段階の入力を受け付ける際の押圧荷重の変化を表している。なお、ここでは、説明の便宜上、タッチセンサ11により入力が検出された入力コードは「2」とする。
【0052】
図5は、図4において説明したフローチャートのステップS100,S101,S102,S103,S106の処理の際の押圧荷重の変化の一例を表す図である。
【0053】
タッチセンサ11により入力コード「2」に対する入力が検出されると同時に、荷重検出部12により押圧荷重が検出される(ステップS100)。その後、押圧荷重は増加していき(重くなっていき)、P1の時点で第1の荷重基準(押圧時)を満たすと、制御部16は入力コード「2」の第1段階の入力として「2」を受け付ける(ステップS101,102)。
【0054】
この時、触感呈示部13によりタッチセンサ11を押圧している押圧物に対して触感を呈示することにより、利用者は第1段階の入力が受け付けられたことを正確に把握することができる。触感は、音や匂いとは異なり、他人(利用者以外の第3者)に認識されることはないため、制御部16は、触感呈示部13を制御して触感を呈示することにより、第1段階の入力が受け付けられたことを利用者のみに知らせることができる。これにより、利用者によるタッチセンサ11への入力操作が他人に見られていたとしても、認証コードの漏えいを防止することができる。
【0055】
第1段階の入力が受け付けられた後に、利用者がタッチセンサを押圧している力を弱めると、押圧荷重は減少していく(軽くなっていく)。そして、荷重検出部12により押圧荷重が検出されなくなり、押圧入力が解除されると、制御部16は、入力コード「2」の第1段階の入力である「2」を認証コードとして受け付ける(ステップS103,106)。
【0056】
押圧荷重が減少していく段階のP1´の時点で、第1の荷重基準(リリース時)を満たすと、触感呈示部13により押圧物に対して触感を呈示することもできる。実際にメカスイッチなどを押した場合、指には、スイッチを押し込んだ際と、スイッチから指を離す(リリースの)際に触感が伝わっている。このため、押圧時とリリース時の際に、適切な触感を呈示することにより、タッチパネルにおいても、利用者にスイッチを押したようなリアルなクリック感覚を呈示することができる。
【0057】
また、本実施の形態においては、押圧入力が検出されなくなった時点で認証コードを受け付けているが、この形態に限定されるものではなく、押圧荷重が所定の閾値以下になった場合に認証コードを受け付けるとしてもよい。例えば、上述した第1の荷重基準(リリース時)を下回った時に受け付けてもよい。第1の荷重基準(リリース時)の押圧荷重を検出した際に触感を呈示することにより、利用者は、認証コードが受け付けられたことを正確に把握することができる。また、押圧荷重や触感は、上述したように、利用者のみが把握することが出来る感覚であるため、例え、他人に認証コードを入力する操作を見られていたとしても、認証コードが漏えいすることはない。
【0058】
次に、図6を用いて第2段階の入力が受け付けられる際の、押圧荷重の変化を説明する。図6は、図4において説明したフローチャートのステップS100,S101,S102,S103,S104,S105,S106の処理の際の押圧荷重の変化の一例を表す図である。
【0059】
制御部16が、入力コード「2」の第1段階の入力として「2」を受け付けるまでの処理は、上述した図5のステップS100,S101,S102と同様の処理であるため、説明は省略する。
【0060】
第1段階の入力コードとして「2」を受け付けた後に、押圧入力が解除されることなく、継続している場合、制御部16は、押圧荷重が第2の荷重基準を満たすか監視する(ステップS013,S104)。押圧荷重が増加していき、P2の時点で第2の荷重基準を満たすと、制御部16は入力コード「2」の第2段階の入力として「2´」を受け付ける(ステップS105)。そして、制御部16は、「2´」を認証コードとして受け付ける(ステップS106)。
【0061】
上述したように、制御部16は、タッチセンサ11により入力コードに対して入力が検出された際に、入力コードと荷重検出部12により検出される押圧荷重と、に基づく認証コードを受ける。さらに、制御部16は、入力コードに対する入力が検出された際に、前記荷重検出部12により検出される押圧荷重によって認証コードを変化させている。押圧荷重は、利用者がタッチセンサ11を押圧する力によって変化するものであり、感覚的に調整するものである。このため、目視することはできない。つまり、利用者本人のみがこの押圧荷重の違いを判断することができ、他人には認識されることがないため、制御部16は荷重検出部12により検出される押圧荷重によって受け付ける認証コードを変化させることにより、利用者によるタッチセンサ11への入力操作が他人に見られていたとしても、認証コードの漏えいを防止することができる。
【0062】
なお、本実施の形態において、第2段階の入力は、第1段階の入力を受け付けた後で受け付けることになるが、例えば、制御部16では、この受け付けた段階を記憶部15に記憶していき、最終的に受け付けた入力コードの段階を認証コードとして受け付けたり、新たに入力コードに対する段階を受け付ける度に記憶部15に上書きしていき、最終的に記憶部15に記憶されている入力コードの段階を認証コードとして受け付けてもよい。
【0063】
また、図5の説明の際に上述したように、第2の荷重基準(押圧時)を満たした際にも、触感呈示部13によりタッチセンサ11を押圧している押圧物に対して触感を呈示することにより、利用者は第2段階の入力が受け付けられたことを正確に把握することができる。触感は、音や匂いとは異なり、他人(利用者以外の第3者)に認識されることはないため、制御部16は、触感呈示部13を制御して触感を呈示することにより、第2段階の入力が受け付けられたことを利用者のみに知らせることができる。これにより、利用者によるタッチセンサ11への入力操作が他人に見られていたとしても、認証コードの漏えいを防止することができる。
【0064】
さらに、第1の荷重基準(リリース時)を満たした際に触感を呈示するように、第2の荷重基準(リリース時)を満たした場合にも、触感呈示部13により押圧物に対して触感を呈示することもできる。これにより、利用者にスイッチを押したようなよりリアルなクリック感覚を呈示することができる。
【0065】
なお、上述した実施の形態において、呈示する触感は、第1の荷重基準と第2の荷重基準それぞれ同じものを呈示しても良いし、異なるものを呈示しても良い。また、どちらか片方の荷重基準を満たした際に呈示するようにしても良い。
【0066】
このように、制御部16は、タッチ面を押圧している押圧物に対して、触感により押圧荷重による認証コードの変化を呈示するように触感呈示部13を制御する。触感は、音や匂いとは異なり、他人(利用者以外の第3者)に認識されることはないため、制御部16は、触感呈示部13を制御して触感を呈示することにより、どの段階の入力が受け付けられたかを利用者のみに知らせることができる。これにより、利用者によるタッチセンサ11への入力操作が他人に見られていたとしても、認証コードの漏えいを防止することができる。
【0067】
なお、本発明は、上述した各実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変更または変形が可能である。
【0068】
例えば、本実施の形態では、入力装置1が押圧荷重に応じて2段階の入力を受け付ける入力装置であるとして説明したが、この形態に限定されるものではなく、複数段階の入力を受け付ける装置としても適応可能である。最後の段階の入力以外は上述した第1段階の入力を受け付ける処理を繰り返すことにより実施することができる。最後の段階の入力は上述した第2段階の入力の処理により実施することが可能である。この押圧荷重に応じて受け付ける段階を複数もうけることにより、利用者が何段階目の入力を行ったのか、他人が判断するのはさらに困難となり、秘匿性が高まる。
【0069】
また、マウスなどの入力デバイスのボタンなどに、押圧荷重に応じて複数段階の入力を受け付ける入力装置を適用することもできる。
【0070】
なお、上述の説明では、荷重基準の値を「押圧荷重の閾値」に見立て、荷重基準の値に達した場合に「荷重基準を満たす」と判定する態様について説明した。しかしながら、「荷重基準を満たす」と判定できる態様はこれに限定されるものではなく、いくつもの態様を含むことが想定できる。例えば、入力装置1に対する利用者の押圧入力による押圧荷重が上記荷重基準の値を超えた場合に「荷重基準を満たす」と判定することもできる。また、上記荷重基準の値を示す押圧荷重が荷重検出部12によって検出された場合に「荷重基準を満たす」と判定することもできる。
【符号の説明】
【0071】
1 入力装置
11 タッチセンサ
12 荷重検出部
13 触感呈示部
14 表示部
15 記憶部
16 制御部
20 タッチパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証コードを入力する入力装置であって、
前記認証コードを入力するための入力コードを表示する表示部と、
前記表示部に表示される入力コードに対する入力を検出するタッチセンサと、
前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記タッチセンサにより入力コードに対して入力が検出された際に、該入力コードと、前記荷重検出部により検出される押圧荷重と、に基づく認証コードを受け付けるように制御する制御部と、
を備える入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の入力装置において、
前記制御部は、
前記入力コードに対する入力が検出された際に、前記荷重検出部により検出される押圧荷重により前記認証コードを変化させることを特徴とする入力装置。
【請求項3】
請求項2に記載の入力装置において、該入力装置は更に、
前記タッチセンサのタッチ面を振動させる触感呈示部を備え、
前記制御部は、
前記タッチ面を押圧している押圧物に対して、触感により前記押圧荷重による認証コードの変化を呈示するように前記触感呈示部を制御することを特徴とする入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−70463(P2011−70463A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−221760(P2009−221760)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】