説明

入力装置

【課題】
簡単な構成により、設定項目の設定値の変更のための入力操作性を向上できるとともに検出する領域を長くとる必要がない入力装置を提供する。
【解決手段】
入力装置10は、表示デバイス20と、表示デバイス20の表示画面上に配置されてタッチ操作を検出するタッチパネル30を備え、タッチパネル30で検出したタッチ操作毎に表示デバイス20で表示されている室内空間温度、音のボリュームの設定値を更新するとともに、室内空間温度、音のボリュームを制御する装置に対して更新後の設定値とするための信号を出力する。入力装置10は、複数回連続操作された際のタッチ操作の時間間隔を計測するタイマカウンタCを備える。CPU40は、時間間隔が閾値未満のときと、閾値以上のときとでは、室内空間温度、音のボリュームの設定値の変化量が異なるように表示変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチ操作で入力を行うことができる入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のフロントパネルには、オーディオ装置のボリューム調整、或いは空調装置の温度調整のために、表示装置の表示画面上にタッチパネルを備えた入力装置が組み込まれたものが提案されている。この種の入力装置では、オーディオ装置のボリュームを調整する場合は、前記表示画面に現在のオーディオ装置のボリューム値が表示されていて、タッチパネルのボリューム設定領域がタッチ操作される毎に、タッチパネルによりタッチ操作の検出が行われてボリュームアップ或いはボリュームダウンの更新信号がオーディオ装置に出力されるとともに、前記ボリューム値が前記タッチパネルに対する操作回数に応じて変更される。そして、入力装置から、タッチ操作された回数に応じて出力される更新信号の出力回数に比例してオーディオ装置のボリュームが変更される。
【0003】
又、前記入力装置において、空調装置の温度設定を行う場合も同様にして、例えば、前記表示画面に設けられたタッチパネルの空調装置用温度設定領域がタッチ操作される毎に更新信号が空調装置のコントローラに出力される。そして、更新信号の出力回数に応じてコントローラは設定温度に応じて空調を温度コントロールするとともに、表示画面の設定温度は、タッチ操作毎に、アップ又はダウンする(以下、従来技術1という)。
【0004】
なお、タッチパネルを操作して、入力を行う装置としては、タッチパネルを備えた携帯型端末装置が公知である(特許文献1)。特許文献1では、タッチパネルに対してドラッグ操作が行われた際に、そのドラッグ操作のスピードに応じて、表示画面のスクロール速度を変更することが開示されている(以下、従来技術2という)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−330613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術1の入力装置では、タッチパネルのタッチ操作毎にオーディオ装置のボリューム値や、温度設定値を等量ずつ変更される。このため、現在の設定値から大きく変更したい場合や、細かな値に設定変更する場合は、操作回数を多くしたりする必要があり、入力操作性が悪い。
【0007】
従来技術2では、ドラッグ操作のスピードに応じて、表示画面の表示対象物のスクロール速度を変更させることができる利点がある。ところで、従来技術2のドラッグ操作では、操作途中でそのドラッグ速度を変更することによって表示画面のスクロール速度の変更を行うことができるようにしている。すなわちドラッグ速度の変化で、スクロール量を変更させている。ドラッグ速度を検出するためには、携帯型端末装置の表示画面上のスタイラスペンの移動距離を長めにする必要があり、そのためには、スタイラスペンによりタッチ操作可能な領域を長くとる必要がある。従って、従来技術2を従来技術1に組み込みして、オーディオ装置のボリュームや、或いは空調装置の温度設定の設定値の変更をする場合、検出する領域を長くとる必要がある。
【0008】
本発明の目的は、簡単な構成により、設定項目の設定値の変更のための入力操作性を向上できるとともに検出する領域を長くとる必要がない入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するために、請求項1の発明は、表示手段と、該表示手段の表示画面上に配置されてタッチ操作を検出するタッチパネルを備え、前記タッチパネルで検出したタッチ操作毎に前記表示手段で表示されている設定項目の設定値を更新するとともに、前記設定項目を制御する装置に対して更新後の設定値とするための信号を出力する入力装置において、複数回連続操作された際のタッチ操作の時間間隔を計測する計測手段を備え、前記時間間隔が閾値未満のときと、閾値以上のときとでは、前記設定値の変化量が異なるように表示変更することを特徴とする入力装置を要旨としている。
【0010】
本明細書でのタッチ操作とは、タッチパネルに対して指でたたく(タップ)操作、タッチパネルに対して指で払う操作(フリップ)、タッチパネルに対して指で押さえたまま移動する操作を含む趣旨である。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1において、前記時間間隔が閾値未満のときは、前記時間間隔が閾値以上のときの設定値が変化する変化量よりも大なる変化量で設定値を増大することを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項2において、前記時間間隔が閾値未満のタッチ操作が、複数回継続して行われた際には、先に行われたタッチ操作による変化量よりも後に行われたタッチ操作による変化量を順に増大することを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1において、前記時間間隔が閾値未満のときは、前記時間間隔が閾値以上のときの設定値が変化する変化量よりも小なる変化量で設定値が減少することを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、請求項4において、前記時間間隔が閾値未満のタッチ操作が複数回継続して行われた際には、先に行われたタッチ操作による変化量よりも後に行われたタッチ操作による変化量を順に減少することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、簡単な構成により、設定項目の設定値の変更のための入力操作性を向上できるとともにタッチパネルを長くとる必要がない入力装置を提供できる。また、連続操作するタッチ操作の時間間隔を、閾値未満の時間間隔から閾値以上の時間間隔に変更する、或いは閾値以上の時間間隔から閾値未満の時間間隔に変更するだけで、設定項目の設定値の変化量を変えることができる。この場合、従来技術2と異なりタッチ操作する移動距離は長くする必要はない。
【0016】
請求項2の発明によれば、時間間隔が閾値未満のときは、時間間隔が閾値以上のときの設定値が変化する変化量よりも大なる変化量で設定値を増大するため、設定項目の設定値の増大を早期に行うことができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、時間間隔が閾値未満のタッチ操作が、複数回継続して行われた際には、先に行われたタッチ操作による変化量よりも後に行われたタッチ操作による変化量を順に増大するため、より、設定項目の設定値の増大を早期に行うことができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、時間間隔が閾値未満のときは、前記時間間隔が閾値以上のときの設定値が変化する変化量よりも小なる変化量で設定値が減少するため、設定項目の設定値の減少を細かに行うことができる。
【0019】
請求項5の発明によれば、時間間隔が閾値未満のタッチ操作が複数回継続して行われた際には、先に行われたタッチ操作による変化量よりも後に行われたタッチ操作による変化量を順に減少するため、請求項4よりも、より設定項目の設定値の減少を細かに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を具体化した第1実施形態の入力装置のブロック図。
【図2】表示デバイスの空調コントロール表示モードの表示デバイスの表示画面の正面図。
【図3】入力装置のCPUが実施する設定値の調整のフローチャート。
【図4】表示デバイスのオーディオコントロール表示モードの表示デバイスの表示画面の正面図。
【図5】(a)、(b)は設定値の変化量の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下、本発明の入力装置を車両の空調装置70及びオーディオ装置80の入力装置に具体化した第1実施形態を図1〜図4を参照して説明する。
【0022】
図1に示す入力装置10は、図示しない車両のセンタコンソールパネルに設けられている。なお、入力装置10の配置は、本実施形態では、運転席、或いは助手席にすわった人が操作しやすい場所としている。入力装置10は、空調コントローラ60及びオーディオ装置80に電気的に接続されている。
【0023】
空調コントローラ60は、室内空間温度を制御する装置に相当する。オーディオ装置80は音をボリュームを制御する装置に相当する。
入力装置10は、表示手段としての表示デバイス20、表示デバイス20の表示画面上に設けられたタッチパネル30、及び表示デバイス20並びにタッチパネル30と電気的に接続されたCPU(中央処理装置)40を備えている。
【0024】
表示デバイス20は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、或いは多数の発光ダイオードからなり、画像情報に基づくCPU40から出力された制御信号により、数値等の表示が可能である。タッチパネル30は、表示デバイス20の表示画面を透明なパネルで覆うように配置されている。タッチパネル30は、静電容量式、抵抗膜式、表面弾性波式、電磁誘導式、マトリックススイッチ式等のいずれの方式であってもよい。
【0025】
図2、図4は、表示デバイス20の表示画面21をタッチパネル30を通して見たところを示している。図2、図4においては、説明の便宜上、表示デバイス20に関する符号の引出線は点線で示し、タッチパネル30に関する部分の符号の引出線は実線で示すこととする。
【0026】
タッチパネル30は、ガイド表示領域23a,23b,24a,24b上で操作されたタッチ操作(指でたたくタップ、指で払う(なぞる)操作、すなわちフリップ、指で押さえたまま移動する操作)を検出可能である。
【0027】
表示デバイス20は、空調コントロール表示モードと、オーディオコントロール表示モードに表示設定が可能である。すなわち、入力装置10には、切替スイッチ50が設けられていて、CPU40は、切替操作された切替スイッチ50から切換信号を入力すると、表示デバイス20の現在の表示モードから他方の表示モードに変更する。例えば、現在の表示モードが空調コントロール表示モードの場合、CPU40はオーディオコントロール表示モードに表示変更する。
【0028】
(空調コントロール表示モード)
図2に示す空調コントロール表示モードでは、表示デバイス20の表示画面21の上部において、左右の部位は、数値を示す表示領域22a,22bとなる。左の表示領域22aは、図示しない助手席側の室内空間温度の設定値を表す領域である。右の表示領域22bは、図示しない運転席側の室内空間温度の設定値を表す領域である。ここで表示領域22a,22bで表示される室内空間温度は、設定項目に相当する。
【0029】
また、空調コントロール表示モードでは、表示デバイス20の表示画面21において、左右の表示領域22a,22bの下方の部位が、操作方向のガイド表示領域23a,23b、24a,24bとなっている。操作方向のガイド表示領域23aには、温度設定を上げたい場合のタッチ操作方向(入力操作方向)を示す形状(例えば、矢印を示す形状)が表示される。操作方向のガイド表示領域23bには、温度設定を下げたい場合のタッチ操作方向(入力操作方向)が表示される。
【0030】
空調コントロール表示モードでは、入力装置10のCPU40は、入力操作された温度の設定値に応じた信号を空調装置70の空調コントローラ60に出力する。空調コントローラ60は、前記信号に基づいて、制御対象の空調装置70を制御する。すなわち、温度の設定値に応じた信号が、設定値を増加させる場合は空調コントローラ60は、空調装置70を更新後の設定値となるように空調装置70を制御する。また、温度の設定値に応じた信号が、設定値を減少させる場合は空調コントローラ60は、空調装置70を更新後の設定値となるように空調装置70を制御する。なお、この制御の具体的内容は、本発明とは関係しないため、説明を省略する。なお、本実施形態では、運転席側及び助手席側のそれぞれに温度設定が可能であり、空調コントローラ60は、表示領域22aで表示される温度の設定値、及び表示領域22bで表示される温度の設定値となるように、それぞれの運転席側及び助手席側の室内空間温度をコントロールする。
【0031】
タッチパネル30は、空調コントロール表示モードでは、表示デバイス20の表示領域23a,23b,24a,24bと相対する部位がタッチ操作(すなわち、入力操作)されると、そのときにその表示領域で検出した位置検出信号をCPU40に入力する。
【0032】
(オーディオコントロール表示モード)
図4に示すオーディオコントロール表示モードは、空調コントロール表示モードと一部が異なるため、空調コントロール表示モードと異なる部分について説明し、同じ領域には、同じ符号を付す。
【0033】
同図に示すように、オーディオコントロール表示モードでは、表示デバイス20の表示画面21の上部において、左の部位の数値を示す表示領域22aには何も表示されないとともに、右の表示領域22bはオーディオ装置80の音のボリュームの設定値を表す領域となる。表示領域22bで表示される音のボリュームは、設定項目に相当する。
【0034】
また、オーディオコントロール表示モードでは、表示デバイス20の表示画面21において、操作方向のガイド表示領域23a,23bには何も表示されないのに対して、操作方向のガイド表示領域24a,24bは、操作方向を示す形状(例えば、矢印を示す形状)が表示される。すなわち、操作方向のガイド表示領域24aには、ボリュームを増加させたい場合のタッチ操作方向が表示される。操作方向のガイド表示領域24bには、ボリュームを下げたい場合のタッチ操作方向が表示される。
【0035】
オーディオコントロール表示モードでは、入力装置10のCPU40は、入力操作された音のボリュームの設定値に応じた信号をオーディオ装置80に出力する。オーディオ装置80は、前記信号に基づいて、音量を制御する。すなわち、音量のボリュームの設定値に応じた信号が、設定値を増加させる場合はオーディオ装置80は、更新後の音量のボリューム(設定値)となるように音量を調整する。また、音量のボリュームの設定値に応じた信号が、設定値を減少させる場合はオーディオ装置80は、更新後の設定値となるように音量を調整する。なお、この音量制御の具体的内容は、本発明とは関係しないため、説明を省略する。
【0036】
タッチパネル30は、空調コントロール表示モードでは、表示デバイス20の表示領域24a,24bと相対する部位がタッチ操作(すなわち、入力操作)されると、そのときにその表示領域で検出した位置検出信号をCPU40に入力する。
【0037】
(第1実施形態の作用)
1. 空調コントロール表示モード
次に、上記のように構成された入力装置10の作用を、図3のフローチャートを説明する。図3のフローチャートは、入力装置10のCPU40が、空調コントロール表示モード、又はオーディオコントロール表示モードのときに実行する設定値更新入力プログラムのフローチャートである。
【0038】
なお、以下の説明では、図2に示す空調コントロール表示モードで入力装置10の入力操作が行われた場合を説明する。
このプログラムは、入力装置10の電源がオンされると起動される。
【0039】
S10で、CPU40は、CPU40が備えるタイマカウンタCを0にリセットした後、S20に移行する。なお、本実施形態ではタイマカウンタCは、フリーランカウンタである。タイマカウンタCのカウント周期は、例えば、数msec〜数十msecの短い周期である。タイマカウンタCは、計測手段に相当する。
【0040】
S20では、タイマカウンタCが一定値K以上のカウント値になっているか、或いはオーバーフローとなっているか否かを判定する。なお、一定値Kは、後述する閾値Aとは、K>Aの大小関係を有する。一定値Kは、短時間内で継続的に入力操作が行われたか、否かを判定するために概略的に判定するための値である。一定値K以上経過している場合は、継続的に入力操作がおこなわれていないとCPU40は判定するのである。前記オーバーフローは、前記一定値Kを超えたカウント値で行われる。
【0041】
タイマカウンタCのカウント値がオーバーフロー或いは一定値よりも以上の場合は、前回の入力操作から時間的にかなり経過している場合である。
S20で、タイマカウンタCのカウント値がオーバーフロー或いは一定値よりも以上の場合は、CPU40は、S20でタイマカウンタCを0にリセットして、S30に移行する。又、タイマカウンタCのカウント値がオーバーフロー或いは一定値よりも未満の場合は、S30に移行する。このため、最初に電源がオンされてS10からS20に移行した場合は、S20で「NO」と判定されて、S30に移行する。
【0042】
S30では、CPU40は、入力装置10からのタッチ操作(入力操作)があったか否かを判定する。すなわち、入力操作があった場合は、タッチパネル30の入力操作があった領域から位置検出信号が出力されるため、CPU40はこの位置検出信号に基づいてS30において位置検出信号の入力があったか否かを判定する。
【0043】
S30において、位置検出信号が入力されていないと判定した場合、すなわち、タッチ操作がない場合は、CPU40は、S20にリターンする。従って、CPU40は、入力操作がない場合は、S20,S30の処理、或いは、S20,S70,S30の処理を繰り返す。また、S30において、位置検出信号が入力されていると判定した場合は、CPU40はS40に移行する。
【0044】
S40では、CPU40は、タッチ操作による位置検出信号が入力装置10の電源がオンされてから、初めての位置検出信号か否かを判定するとともに、さらに初めての位置検出信号でない場合には、該位置検出信号が前回に入力操作された領域の位置検出信号か否かを判定する。
【0045】
CPU40は、前記位置検出信号が、初めての位置検出信号の場合、または、初めての位置検出信号ではないが、前回に入力された領域の位置検出信号とは異なる領域での位置検出信号であると判定した場合は、S50に移行する。このS50に移行したとき、CPU40は、位置検出信号が初めての位置検出信号の場合、すでにS10でタイマカウンタCがリセットされているため、タイマカウンタCをそのままカウントを開始させる。また、CPU40は、初めての位置検出信号ではないが、前回に入力され領域の位置検出信号とは異なる領域での位置検出信号であるとS40で判定した場合は、タイマカウンタCをリセットした後、タイマカウンタCのカウントを開始させる。
【0046】
CPU40は、S50の処理の後、S60で、標準の変化量(第1変化量ともいう)で設定値を更新させる信号を空調コントローラ60に出力する。空調コントローラ60は、この信号に基づいて、空調装置70を制御して室内空間温度を変化させる。
【0047】
すなわち、最新の位置検出信号が、図2のガイド表示領域24aに相対するタッチパネル30の位置検出信号である場合には、このガイド表示領域24aが、現在の設定値(設定温度)を増加させるための領域であるため、標準の変化量で増加させる信号を空調コントローラ60に出力し、空調コントローラ60は、この信号に基づいて空調装置70を制御して運転席側の室内空間温度を変化させる。
【0048】
併せて、最新の位置検出信号が、ガイド表示領域24aに相対するタッチパネル30の位置検出信号である場合には、CPU40は、表示デバイス20を制御して表示領域22bで表示している設定値の数字を、標準の変化量で増加させる。本実施形態では、標準の変化量を0.5℃としている。従って、標準の変化量で増加させる場合は、表示領域22bに現在表示されている設定値から0.5℃増加する。図2の例では、現在の設定値(設定温度)が24.0[℃]となっているため、CPU40は表示デバイス20の表示領域22bの表示を24.5[℃]に変更する。
【0049】
また、例えば、最新の位置検出信号が、図2のガイド表示領域24bに相対するタッチパネル30の位置検出信号である場合には、このガイド表示領域24bが、現在の設定値(設定温度)を減少させるための領域であるため、標準の変化量で減少させる信号を空調コントローラ60に出力し、空調コントローラ60は空調装置70を制御して運転席側の室内空間温度を変化させる。
【0050】
併せて、最新の位置検出信号が、ガイド表示領域24bに相対するタッチパネル30の位置検出信号である場合には、CPU40は、表示デバイス20を制御して表示領域22bで表示している設定値の数字を、標準の変化量で減少させる。本実施形態では、標準の変化量を0.5℃としている。従って、標準の変化量で減少させる場合は、表示領域22bに現在表示されている設定値から0.5℃減少する。図2の例では、現在の設定値(設定温度)が24.0[℃]となっているため、CPU40は表示デバイス20の表示領域22bの表示を23.5[℃]に変更する。
【0051】
なお、上記は、ガイド表示領域24a,24bに相対するタッチパネル30の領域で検出した位置検出信号の場合で説明したが、ガイド表示領域23a,23bに相対するタッチパネル30の領域で検出した位置検出信号の場合も同様に、CPU40は、表示領域22aで現在表示されている設定値(温度設定値)を標準の変化量で増加または減少させる表示を表示デバイス20に行わさせるとともに、空調コントローラ60に標準の変化量で設定値を更新させる信号を出力する。この結果、空調コントローラ60は、空調装置70を制御して助手席側の室内空間温度を変化させる。
【0052】
S60の処理の後、CPU40は、S20にリターンする。
S40で、タッチ操作による位置検出信号が入力装置10の電源がオンされてから、初めての位置検出信号ではなく、該位置検出信号が前回に入力操作された領域と同じ領域で検出された位置検出信号である場合には、CPU40は、ここでの判定を「NO」として、S80に移行する。
【0053】
S80では、CPU40は、タイマカウンタCのカウント値が閾値A未満であるか否かを判定する。CPU40は、タイマカウンタCのカウント値が閾値A以上である場合には、S90でタイマカウンタCをリセットしてS60に移行する。
【0054】
また、S80でタイマカウンタCのカウント値が閾値A未満の場合には、連続してタッチ操作が行われた時間間隔が閾値A未満であり、短い間隔でタッチ操作されたものとしてCPU40は、S80の判定を「YES」とした後、S100でタイマカウンタCをリセットし、続くS110でタイマカウンタCのカウントを開始した後、S120に移行する。
【0055】
S120では、CPU40は、標準の変化量とは異なる変化量(第2変化量ともいう)で設定値を更新させる信号を空調コントローラ60に出力する。空調コントローラ60は、前記信号に基づいて、空調装置70を制御して室内空間温度を変化させる。
【0056】
すなわち、最新の位置検出信号が、図2のガイド表示領域24aに相対するタッチパネル30の位置検出信号である場合には、標準とは異なる変化量で増加させる信号を空調コントローラ60に出力する。空調コントローラ60は、この信号に基づいて空調装置70を制御して運転席側の室内空間温度を変化させる。
【0057】
併せて、CPU40は、表示デバイス20を制御して表示領域22bで表示している設定値の数字を、標準とは異なる変化量で増加させる。本実施形態では、標準とは異なる変化量を1.0度としている。従って、標準とは異なる変化量で増加させる場合は、表示領域22bに現在表示されている設定値から1.0℃増加する。図2の例では、現在の設定値(設定温度)が24.0[℃]となっているため、CPU40は表示デバイス20の表示領域22bの表示を25.0[℃]に変更する。
【0058】
また、例えば、最新の位置検出信号が、図2のガイド表示領域24bに相対するタッチパネル30の位置検出信号である場合には、標準とは異なる変化量で減少させる信号を空調コントローラ60に出力する。空調コントローラ60は、この信号に基づいて空調装置70を制御し、運転席側の室内空間温度を変化させる。
【0059】
併せて、CPU40は、表示デバイス20を制御して表示領域22bで表示している設定値の数字を、標準とは異なる変化量で減少させる。本実施形態では、標準とは異なる変化量を1.0℃としている。従って、標準とは異なる変化量で減少させる場合は、表示領域22bに現在表示されている設定値から1.0℃減少する。図2の例では、現在の設定値(設定温度)が24.0[℃]となっているため、CPU40は表示デバイス20の表示領域22bの表示を23.0[℃]に変更する。
【0060】
なお、上記は、ガイド表示領域24a,24bに相対するタッチパネル30の領域で検出した位置検出信号の場合で説明したが、ガイド表示領域23a,23bに相対するタッチパネル30の領域で検出した位置検出信号の場合も同様に、CPU40は、表示領域22aで現在表示されている設定値(温度設定値)を標準とは異なる変化量で増加または減少させる表示を表示デバイス20に行わさせるとともに、空調コントローラ60に標準とは異なる変化量で設定値を更新させる信号を出力する。空調コントローラ60は、この信号に基づいて空調装置70を制御して助手席側の室内空間温度を変化させる。S120の処理の後、CPU40は、S20にリターンする。
【0061】
2. オーディオコントロール表示モード
次に、切替スイッチ50が操作されて、入力装置10の表示デバイス20がオーディオコントロール表示モードで表示されている場合を、図3、図4を参照して説明する。なお、このモードで実行される設定値更新入力プログラムのフローチャートは、空調コントロール表示モードで実行されるプログラムのフローチャートと概要は同様であるが、一部が異なっているため、異なるところを中心に説明する。
【0062】
(2.1 表示モードの相違について)
図4に示すように、表示デバイス20はオーディオコントロール表示モードでは表示デバイス20の表示画面21において、操作方向のガイド表示領域23a,23bには何も表示されないのに対して、操作方向のガイド表示領域24a,24bは、操作方向を示す形状(例えば、矢印を示す形状)が表示される。また、同図に示すように、オーディオコントロール表示モードでは、表示デバイス20の表示画面21の上部において、左の部位の数値を示す表示領域22aには何も表示されないとともに、右の表示領域22bはオーディオ装置80の音のボリュームの設定値を表す領域となる。
【0063】
オーディオコントロール表示モードにおいて、図3のフローチャートは、S10,S20,S40,S50,S70,S80,S90,S100,S110は、空調コントロール表示モードのときと同じであり、後述するようにS30,S60,S120の処理が異なる。
【0064】
(2.2 S30について)
S30では、ガイド表示領域24a,24bに相対するタッチパネル30の部位の位置検出信号の入力があったか否かを判定する。なお、ガイド表示領域23a,23bに相対するタッチパネル30の部位の位置検出信号については、CPU40は無視する。
【0065】
(2.3 S60について)
また、S60では、Volの標準の変化量(第1変化量)として、「1」とする。又、Volの標準の変化量は、「1」に限定されるものではない。例えば、Volの標準の変化量は、「0.5」等の小数点を有する数値でもよい。
【0066】
S60でCPU40は、標準の変化量で設定値を更新させる信号をオーディオ装置80に出力する。オーディオ装置80は、この信号に基づいて、音量を変化させる。
すなわち、最新の位置検出信号が、図2のガイド表示領域24aに相対するタッチパネル30の位置検出信号である場合には、オーディオ装置80は、音量を増大させ、ガイド表示領域24bに相対するタッチパネル30の位置検出信号である場合には、音量を減少させる。
【0067】
併せて、最新の位置検出信号が、ガイド表示領域24aに相対するタッチパネル30の位置検出信号である場合には、CPU40は、表示デバイス20を制御して表示領域22bで表示している設定値の数字を、標準の変化量、例えば「1」で増加させる。従って、図4の例では、標準の変化量で増加させる場合は、表示領域22bに現在表示されている設定値「18」から「1」増加した「19」に変更(更新)する。
【0068】
また、最新の位置検出信号が、ガイド表示領域24bに相対するタッチパネル30の位置検出信号である場合には、CPU40は、表示デバイス20を制御して表示領域22bで表示している設定値の数字を、標準の変化量、例えば「1」で減少させる。従って、図4の例では、標準の変化量で減少させる場合は、表示領域22bに現在表示されている設定値「18」から「1」減少した「17」に変更(更新)する。
【0069】
(2.4 S120について)
S120では、標準と異なる変化量(第2変化量)として、例えば「2」とする。なお、標準の変化量と異なる数値は、「2」に限定されるものではなく、「3」以上の数値でもよく、標準の変化量よりも大なる数値でよい。
【0070】
すなわち、最新の位置検出信号が、ガイド表示領域24aに相対するタッチパネル30の位置検出信号である場合には、CPU40は、表示デバイス20を制御して表示領域22bで表示している設定値の数字を、標準の変化量とは異なる数値、標準の変化量を「1」とした場合、例えば「2」で増加させる。従って、図4の例では、標準の変化量で増加させる場合は、表示領域22bに現在表示されている設定値「18」から「2」増加した「20」に変更(更新)する。
【0071】
また、S120でCPU40は、標準と異なる変化量で設定値を更新させる信号をオーディオ装置80に出力する。オーディオ装置80は、この信号に基づいて、前記設定値である「18」よりも「2」増加させた分の音量に増大させる。
【0072】
また、最新の位置検出信号が、ガイド表示領域24bに相対するタッチパネル30の位置検出信号である場合には、CPU40は、表示デバイス20を制御して表示領域22bで表示している設定値の数字を、標準の変化量、例えば「2」で減少させる。従って、図4の例では、表示領域22bに現在表示されている設定値「18」から「2」減少した「16」に変更(更新)する。
【0073】
また、S120でCPU40は、標準と異なる変化量で設定値を更新させる信号をオーディオ装置80に出力する。オーディオ装置80は、この信号に基づいて、前記設定値である「18」よりも「2」減少させた分の音量に低減させる。
【0074】
本実施形態では、下記の特徴を有する。
(1) 本実施形態の入力装置10は、表示デバイス20(表示手段)と、表示デバイス20の表示画面上に配置されてタッチ操作を検出するタッチパネル30を備え、タッチパネル30で検出したタッチ操作毎に表示デバイス20で表示されている室内空間温度、音のボリューム(設定項目)の設定値を更新するとともに、室内空間温度、音のボリュームを制御する装置に対して更新後の設定値とするための信号を出力する。
【0075】
そして、入力装置10は、複数回連続操作された際のタッチ操作の時間間隔を計測するタイマカウンタC(計測手段)を備える。入力装置10のCPU(制御手段)は、前記時間間隔が閾値A未満のときと、閾値A以上のときとでは、室内空間温度、音のボリュームの設定値の変化量が異なるように表示変更する。
【0076】
この結果、本実施形態の入力装置10によれば、簡単な構成により、室内空間温度、音のボリュームの設定値の変更のための入力操作性を向上できるとともにタッチパネル30を長くとる必要がない。また、連続操作するタッチ操作の時間間隔を、閾値A未満の時間間隔から閾値A以上の時間間隔に変更する、或いは閾値A以上の時間間隔から閾値A未満未満の時間間隔に変更するだけで、室内空間温度、音のボリュームの設定値の変化量を変えることができる。
【0077】
(2) 本実施形態の入力装置10は、時間間隔が閾値A未満のときは、時間間隔が閾値A以上のときの設定値が変化する変化量よりも大なる変化量で設定値を増大するため、室内空間温度、音のボリューム(設定項目)の設定値の増大を早期に行うことができる。
【0078】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を説明する。第2実施形態の入力装置10のハード構成は第1実施形態と同一であり、下記のソフトの点で異なる。
【0079】
すなわち、第1実施形態では、タッチ操作の時間間隔が閾値A未満のときは、前記時間間隔が閾値A以上のときの設定値が変化する変化量よりも大なる変化量で設定値を増大するようにしたが、第2実施形態では、設定値更新入力プログラムのフローチャートにおいて、タッチ操作の時間間隔が閾値A未満のときは、前記時間間隔が閾値A以上のときの設定値が変化する変化量よりも小なる変化量で設定値を減少させる。
【0080】
すなわち、図3のフローチャートにおいて、S60の処理をS120で行い、図1〜3の実施形態における、S120の処理をS60で行うようにする。
このようにすることにより、タッチ操作の時間間隔が閾値A未満のときは、タッチ操作の時間間隔が閾値A以上のときの設定値が変化する変化量よりも小なる変化量で設定値が減少するため、室内空間温度、音のボリューム(設定項目)の設定値の減少を細かに行うことができる。
【0081】
なお、本発明の実施形態は前記実施形態に限定されるものではなく、下記のように変更しても良い。
・ 第1、第2実施形態の入力装置は、車両の空調装置及びオーディオ装置の入力装置を兼用するようにしたが、入力装置を車両の空調装置専用にしたり、オーディオ装置専用にすることも勿論可能である。この場合、前記実施形態において、切り替えスイッチを省略して、いずれか一方の機能のみを発揮できるようにすればよい。
【0082】
・ 第1、第2実施形態では、入力装置10の配置は、運転席、助手席にすわった人が操作しやすい場所としているが、車両の後部座席側の車室内に設けられていても良い。
・ 第1、第2実施形態では、タイマカウンタCは、フリーランカウンタを採用して、S20において、カウント値が一定値(>閾値)を超えているか否かをチェックして、カウント値が一定値を超えている場合には、S70に移行して、リセットするようにした。この構成に代えて、タイマカウンタCを一定値(>閾値)になると自動的にカウント値を0にリセットするタイプのものに変更してもよい。この場合は、図3のフローチャートのS20、S70を省略することができる。
【0083】
・ 前記実施形態では、設定値を増加及び減少させる場合のいずれも標準と異なる変化量を、同じ絶対値の数値(前記実施形態では「1」)としたが、同じである数値に限定されず、異なる数値であってもよい。
【0084】
・ 第1実施形態では、3回以上のタッチ操作が連続して行われて、その時間間隔がいずれも閾値A未満であった場合でも、その変化量は同じとしている(図5(a)の実線参照)。
【0085】
この構成に代えて、S80で「YES」と判定した回数の履歴をとり、S80で「YES」の判定が連続した場合、その連続した回数が大きくなる毎に、変化量を徐々に増大させてもよい。
【0086】
例えば、空調コントロール表示モードのとき、S80で「YES」と判定した回数が初めての場合(初回)、2回連続した場合(2回連続)、3回連続した場合(3回連続)、…N回連続としたとき、初回の変化量Dとしたとき、2回連続したときの場合は、変化量D+d1とし、3回連続したときの変化量D+d2、N回連続したときの変化量D+dnとしてもよい。なお、dnは、正の整数でも、正の少数値でもよい。
【0087】
この場合、dnの値をnが大きくなるほど値を大きくすると、図5(b)のL1の曲線に沿った設定値が得られる。
また、dnの値を、nが小さいときは、大きくしておき、nが大きくなるほど値を小さくすると、図5(b)のL2の曲線に沿った設定値が得られる。
【0088】
なお、オーディオコントロール表示モードの場合も同様にすることが可能である。
・ 第2実施形態では、3回以上のタッチ操作が連続して行われて、その時間間隔がいずれも閾値A未満であった場合でも、その変化量は同じとしている。
【0089】
この構成に代えて、S80で「YES」と判定した回数の履歴をとり、S80で「YES」の判定が連続した場合、その連続した回数が大きくなる毎に、変化量を徐々に減少させてもよい。
【0090】
例えば、空調コントロール表示モードのとき、S80で「YES」と判定した回数が初めての場合(初回)、2回連続した場合(2回連続)、3回連続した場合(3回連続)、…N回連続としたとき、初回の変化量Dとしたとき、2回連続したときの場合は、変化量D+d1とし、3回連続したときの変化量D+d2、N回連続したときの変化量D+dnとしてもよい。なお、dnは、正の整数でも、正の少数値でもよい。
【0091】
なお、オーディオコントロール表示モードの場合も同様にすることが可能である。
【符号の説明】
【0092】
10…入力装置、20…表示デバイス(表示手段)、30…タッチパネル、
40…CPU、50…切替スイッチ、60…空調コントローラ、
70…空調装置、80…オーディオ装置、C…タイマカウンタ(計測手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段と、該表示手段の表示画面上に配置されてタッチ操作を検出するタッチパネルを備え、前記タッチパネルで検出したタッチ操作毎に前記表示手段で表示されている設定項目の設定値を更新するとともに、前記設定項目を制御する装置に対して更新後の設定値とするための信号を出力する入力装置において、
複数回連続操作された際のタッチ操作の時間間隔を計測する計測手段を備え、
前記時間間隔が閾値未満のときと、閾値以上のときとでは、前記設定値の変化量が異なるように表示変更することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記時間間隔が閾値未満のときは、前記時間間隔が閾値以上のときの設定値が変化する変化量よりも大なる変化量で設定値を増大することを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記時間間隔が閾値未満のタッチ操作が、複数回継続して行われた際には、先に行われたタッチ操作による変化量よりも後に行われたタッチ操作による変化量を順に増大することを特徴とする請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記時間間隔が閾値未満のときは、前記時間間隔が閾値以上のときの設定値が変化する変化量よりも小なる変化量で設定値が減少することを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項5】
前記時間間隔が閾値未満のタッチ操作が複数回継続して行われた際には、先に行われたタッチ操作による変化量よりも後に行われたタッチ操作による変化量を順に減少することを特徴とする請求項4に記載の入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−69137(P2013−69137A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207454(P2011−207454)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】