説明

入場管理システム

【課題】複数の管理区域の各々に施解錠システムを設けてなる入場管理システムにおいて、各管理区域への入場を許可されるべき者の登録や入場を禁止されるべき者の登録がなされないまま放置されることを防止する。
【解決手段】工場1の門6,7のゲート12の施解錠システムに新規情報用データベースを設け、門6,7を通る従業者のICカードに新規情報用データベースに格納された新規登録者の情報を書込む。新規登録情報が書込まれたICカードを携帯する従業者が工場1内のいずれかの棟2〜5に入るとき、そのICカードから新規登録情報を読取ってその棟の施解錠システムの入場管理用データベースに格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の管理区域の各々に、管理区域内へ入場しようとする者の適否を判断して入口のゲートを施解錠する施解錠システムを設けて構成される入場管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
入室管理システムでは、入室管理の対象となる部屋にリーダライタを設け、このリーダライタによって、その部屋に入ろうとする者のICカードに記録されたID情報を読取り、そのID情報が予め登録された登録者データ群の一つと一致する場合に限り、部屋の入口のドアを解錠するようにしている。
【0003】
このような入室管理システムにおいは、部屋への入場を許可する者を追加したり、或いは削除したりすることが必要となるため、これに容易に対応できるようにしなければならない。そのために、例えば特許文献1では、カードリーダにモード切替えを行う機能設定スイッチを設け、この機能設定スイッチにより登録モードに設定すると、登録者データの新規登録を行うことができ、また、削除モードに設定すると、既登録者データを削除することができるようにしている。
【特許文献1】特開平6−108717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
入室管理システムは、通常は、1つの部屋を対象にして、その部屋への入場を管理している。大規模な工場や研究所では、入室を制限すべき部屋が数多くあり、このような場合には、工場や研究所の敷地内への入場を管理するための門扉の施解錠システムや、各部屋のドアの施解錠システムをネットワークによって1台のサーバに接続して集中管理することが行われる。しかしながら、この集中管理型のシステムでは、サーバやネットワークの負担が大きく、入場時の応答性が問題となる。この問題を回避するために、工場や研究所内を複数の管理区域に分け、管理区域毎に独立した入場管理を行う分散管理型のシステムが採用される。
分散管理型のシステムの場合、各管理区域についての入場の許可情報の登録は管理区域毎に独立して行わねばならないが、入力漏れなどによって入場できなくなる不具合が生ずる。この問題は、各部屋に設置されたカードリーダを操作して入室許可すべき者のデータを入力する構成の前記特許文献1によっては解消できない。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、複数の管理区域の各々に施解錠システムを設けてなる入場管理システムにおいて、各管理区域への入場を許可されるべき者の登録や入場を禁止されるべき者の登録削除がなされないまま放置されることを防止できる入場管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、複数の管理区域の各々に、管理区域内へ入場しようとする者が所持するICカードからその記録情報を読取るリーダライタと、管理区域内への入場の可否についての入場管理情報を登録した入場管理用データベースと、管理区域内への入口のゲートを施解錠する錠装置と、前記ICカードの前記記録情報を前記入場管理用データベースに登録されている前記入場管理情報と照合して入場の可否を判断し入場可のとき前記錠装置を解錠する制御装置とを備えた施解錠システムを設けてなる入場管理システムにおいて、前記複数の管理区域の前記施解錠システムの少なくとも一つに、他のいずれかの管理区域への入場を新たに許可または禁止する者についての新規管理情報を登録する新規情報用データベースを設け、前記ICカードを所持する者が前記新規情報用データベースを備えた前記施解錠システムによって入場を許可されたとき、その者の前記ICカードに対し、当該施解錠システムの前記リーダライタによって前記新規情報用データベースに登録された前記新規管理情報を書込み、前記新規管理情報が書込まれた前記ICカードを所持する者が、当該新規管理情報が対象とする管理区域の前記施解錠システムによって入場を許可されたとき、その者の前記ICカードに書込まれた前記新規管理情報を当該施解錠システムの前記リーダライタにより読取って当該入場管理情報を前記入場管理用データベースの前記入場管理情報に追加または当該新規管理情報に基づいて前記入場管理用データベースの前記入場管理情報を変更することを特徴とする入場管理システムにある。
この構成によれば、新規情報用データベースに登録した新規管理情報は、ICカードを媒体として、その新規管理情報が対象とする管理区域の入場管理用データベースに格納されるので、当該管理区域への入場を許可されるべき者や入場を禁止されるべき者の情報が入力されないまま放置されることを防止できる。
【0007】
請求項2の発明は、前記新規管理情報中に、入場の許可または禁止を表す情報を備え、前記制御装置は、前記新規管理情報による対象者について、前記許可または禁止の情報によって入場の許可または禁止の判定を行うことを特徴とする入場管理システムにある。
この構成によれば、ある人がある管理区域へ新たに入場を許可された場合、その管理区域の入場管理用データベースにその人の入場を許可する旨の情報が登録されるが、その後、その人の当該管理区域への入場が禁止された場合には、その人の登録を全て削除するのではなく、禁止情報を書き込み、再度、その人が当該管理区域への入場を許可された場合には、許可情報を書き込むことで対応できるので、入場管理用データベースへの入場の許可、禁止の登録を簡易に行うことができるようになる。
【0008】
請求項3の発明は、前記新規管理情報中に、複数の管理区域を表す情報を備えることで、当該複数の管理区域の前記施解錠システムの前記入場管理用データベースに対して前記新規管理情報の追加または当該新規管理情報による変更が行われることを特徴とする入場管理システムにある。
この構成によれば、ある人の1つの新規管理情報によって、その人について複数の管理区域への情報とすることができる。
【0009】
請求項4の発明は、前記新規管理情報に時間または期間に関する情報を備えることで、期限付きでの入場の許可または禁止の判定が行われることを特徴とする入場管理システムにある。
この構成によれば、時間または期限の経過によって自動的に入場禁止と判定されるので、入場禁止をする時点で再度新規管理情報を作成しなくとも済む。
【0010】
請求項5の発明は、前記施解錠システムには、前記新規情報用データベースが設けられた前記施解錠システムによって入場が許可された者の前記ICカードの記録情報と前記新規管理情報とを比較する比較手段と、前記ICカードの記録情報に基づき、当該ICカードの保持者が前記新規管理情報を書込むに適する資格者であるか否かを判断する判断手段とが設けられていることを特徴とする入場管理システムにある。
この構成によれば、新たに入場の許可または禁止の新規管理情報を登録する場合、その新規管理情報の伝達媒体となるICカードの所有者が当該新規管理情報を書込むに適した資格を有する者であるか否かを判断し、資格を有さない者である場合には、その者のICカードには新規管理情報を書込まないので、重要な情報を持つ資格のない人が重要な情報を記録したICカードを携帯するという不具合をなくすことができる。
【0011】
請求項6の発明は、前記新規情報用データベースが設けられた少なくとも一つの前記施錠システムは、前記複数の管理区域のうち、他の管理区域を含む管理区域の施錠システムであることを特徴とする入場管理システムにある。
この構成によれば、新規情報用データベースが設けられた管理区域はより多くの人が入場するので、新規管理情報を書込むべき管理区域の入場管理用データベースへの早期登録が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図1ないし図5に基いて説明する。図1は例えば工場1の全体を示す平面図であり、工場1の敷地内に、事務棟2、設計棟3、実験棟4、生産棟5が設けられている。工場1の敷地内へは、正門(入口)6或いは裏門(入口)7から入場し、また、各棟2〜5内へは、それぞれの出入口(入口)8〜11から入場する。勿論、工場1や各棟2〜5から退場する場合も、それら正門6或いは裏門7、各出入口8〜11を使用する。
【0013】
工場1の正門6および裏門7、各棟2〜5の出入口8〜11には、それぞれ自動開閉式のゲート(扉)12および各ゲート12を閉じた状態で施錠する電動式の錠装置13が設けられている。各ゲート12の錠装置13は、工場1、各棟2〜5の施解錠システムによって制御される。即ち、工場1に勤務する従業者は、各自がICカード14を有しており、各施解錠システムは、このICカード14の記録情報を基に入場を許可するか否かを判断し、その判断結果に応じて錠装置13を施解錠する。
【0014】
上記工場1の施解錠システム、各棟2〜5の出入口8〜11の施解錠システムは、互いに独立したシステムとなっており、それら複数(5つ)の施解錠システムによって入場管理システムが構成されている。上記各施解錠システムのうち、工場1の正門6および裏門7の施解錠システムの構成は図2に示されている。また、各棟2〜5の施解錠システムの構成は同一であり、図3に示されている。
【0015】
図2に示す工場1の施解錠システムは、正門6、裏門7の各ゲート12を施解錠する2台の前記錠装置13の他、正門6と裏門7にそれぞれ設置されたリーダライタ15、制御装置16、入場管理用データベース17、新規情報用データベース18、入力手段としてのパソコン19から構成されている。
上記入場管理用データベース17は、工場1内への入場を許可された者の情報を格納しており、制御装置16は、リーダライタ15がICカード14から読取った情報と入場管理用データベース17に格納された情報とを照合して入場を許可すべきか否かを判断する。また、パソコン19は、新たに工場1或いは各棟2〜5への入場を許可された者および禁止された者の情報(新規登録情報)を入力するためのもので、このパソコン19から入力された新規登録情報は、新規情報用データベース18に格納される。そして、この新規情報用データベース18に格納された新規登録情報は、制御装置16の制御下でリーダライタ15によってICカード14に書込まれるようになっている。
【0016】
一方、図3に示す各棟2〜5の施解錠システムは、出入口8〜11のゲート14〜17を施解錠する前記電動式の錠装置13の他、出入口8〜11に設置されたリーダライタ15、制御装置20、入場管理用データベース21から構成されている。このように各棟2〜5の施解錠システムは、基本的には工場1の施解錠システムと同じであるが、新規情報用データベース18およびパソコン19を備えていないところで異なる。
【0017】
この各棟2〜5の施解錠システムにおいて、入場管理用データベース21は、各棟2〜5内への入場を許可された者の情報を格納しており、制御装置20は、リーダライタ15がICカード14から読取った情報と入場管理用データベース21に格納された情報とを照合して入場を許可すべきか否かを判断する。また、制御装置20は、ICカード14に新規登録情報が書込まれていた場合、その新規登録情報を入場管理用データベース21に格納すべきか否かを判断するようになっている。なお、工場1の制御装置16も、ICカード14に新規登録情報が書込まれていた場合には、その新規登録情報を入場管理用データベース17に格納すべきか否かを判断するようになっている。
【0018】
ここで、ICカード14に当初記録される情報は、その所持者の識別情報としてのID番号、所属部署、職位、入場可能な管理区域(複数記載可能)をそれぞれ示す情報からなる。また、入場管理用データベース17,22に格納された情報は、一般情報と個人情報とからなる。そのうち、一般情報としては、その施解錠システムによって入場管理する管理区域およびゲートを示す情報、入場を許可する者の所属部署の情報、入場を許可する者の職位を示す情報を含み、個人情報としては、入場が許可された者の各人についてのID番号、入場許可有効期限、その入場許可や入場許可有効期限の決定日時などの情報を含む。なお、入場禁止は、入場許可有効期限を付加することにより、その有効期限の経過によってなされる。また、入場禁止後の入場許可は、入場許可の有効期限を修正することによってなされる。
【0019】
新規情報用データベース18に格納される新規登録情報には、新規に入場を許可または禁止される者の各人について、そのID番号、新規登録は追加(入場管理用データベース17,22への新規登録)なのか変更(入場管理用データベース17,22に既に登録されている事項の変更)なのかの区別、所属部署、職位、入場許可の管理区域(複数の管理区域を記載可能)、入場許可の有効期限(入場の禁止を表す情報)、新規入場許可や有効期限を決定した日時の各情報が含まれる。
【0020】
次に上記のように構成した入場管理システムの作用を図4および図5のフローチャートをも参照しながら説明する。工場1内へ入場する場合、従業者は携帯するICカード14を正門6または裏門7のリーダライタ15に翳す。すると、カードリーダ20がICカード14と通信リンクを確立してその記録情報を読取る(図4(a)のステップS1、ステップS2)。そして、制御装置16は、ICカード14の記録情報と、入場管理用データベース17に格納されている情報とを照合する(ステップS3)。
【0021】
そして、照合の結果、そのICカード14の所有者が入場管理用データベース17に入場許可者として登録されていなかった場合、制御装置16は、ステップS3で「NO」と判断し、工場1内への入場について入場禁止・警告処理を行う(ステップS4)。この場合の入場禁止・警告処置とは、ICカード14の記録情報を読取ったカードリーダ20が正門6のものか、裏門7のものかを判断し、その判断結果に応じて正門6または裏門7のゲート12を錠装置13によって閉鎖位置に施錠し、その者の入場を遮ると共に、図示しないブザーなどの発音装置によって警告音を発する、という内容のものである。
【0022】
一方、ICカード14を所持する者が入場管理用データベース17に入場許可者として登録されていた場合には、制御装置16は、次に新規登録情報の書込み処理を行う(ステップS5)。この書込み処理の詳細は図4(b)に示されている。即ち、書込み処理を開始すると、制御装置16は、まず工場1内への入場を許可した者の所属部署の情報を抽出し(ステップS5−1)、次いで新規情報用データベース18に格納されている情報のうちから最初の1つ(一人分)の新規登録情報を抽出し(ステップS5−2で「NO」、ステップS5−3)、その新規登録情報のうち新規登録者の所属情報が工場1内への入場を許可した者の所属と一致しているか否かを判断する(ステップS5−4)。
【0023】
工場1への入場を許可された者の所属が新規に登録される者の所属と一致しない場合(ステップS5−4で「NO」)、制御装置16は、次の1つの新規登録情報を抽出し(ステップS5−2で「NO」、ステップS5−3)、その新規登録情報のうちの所属情報が工場1内への入場を許可した者の所属と一致しているか否かを判断する(ステップS5−4)。
【0024】
工場1への入場を許可された者の所属が新規に登録される者の所属と一致する場合(ステップS5−4で「YES」)、制御装置16は、その新規に登録される者の新規登録情報を、制御装置16自身が有する図示しないメモリ(記憶手段)中に割り当てられた書込みリスト部分に一時的に記憶させる(ステップS5−5)。そして、以上の新規情報用データベース18から順次1つずつ新規登録情報を抽出してその者の所属が工場1内への入場を許可された者の所属と一致する場合に、その新規登録情報を書込みリストとして図示しないメモリに記憶させる、という動作を新規情報用データベース18に格納された全新規登録情報について行い、全ての新規登録情報について行ったところで、新規登録情報書込み処理を終了する(ステップS5−2で「YES」、リターン)。
【0025】
次に、新規登録情報書込み処理を終了すると、制御装置16は、書込みリストに新規登録情報が書込まれているか否かを判断する(ステップS6)。新規登録情報が書込まれている場合、制御装置16は、ICカード14の記録情報を読取ったリーダライタ15に対し、書込みリストに書込まれている新規登録情報を送り(ステップS6で「YES」)、当該リーダライタ15は、その新規登録情報をICカード14に書込む(ステップS7)。
【0026】
その後、制御装置16は、ICカード14の記録情報を読取ったカードリーダ20が所属する門6または7の錠装置13を解錠する(ステップS8)。これにより、ゲート12が自動的に開放してその者の入場を許可する。勿論、書込みリストに新規登録情報が書込まれていなかった場合には、制御装置16は、ICカード14への新規登録情報の書込みを行うことなく、錠装置13を解錠する(ステップS6で「NO」、ステップS8)。
【0027】
新規登録情報が書込まれたICカード14を携帯する従業者が他の管理区域、例えば設計棟3へ入場するために、携帯するICカード14を設計棟3の出入口9に設置されているリーダライタ15に翳すと、そのリーダライタ15がICカード14と通信リンクを確立し、まず、そのICカード14からその記録情報を読取る(図5(a)のステップA1で「YES」、ステップA2)。そして、制御装置20は、ICカード14の記録情報と、設計棟3の入場管理用データベース21に格納されている情報とを照合する(ステップA3)。
【0028】
この照合の結果、そのICカード14の所有者が入場管理用データベース21に入場許可者として登録されていない場合、制御装置20は、ステップA3で「NO」と判断し、設計棟3内への入場について前述したと同様の入場禁止・警告処理を行う(ステップA4)。ICカード14の所有者が入場管理用データベース21に入場許可者として登録されていた場合、制御装置20は、ICカード14からその新規登録情報を読取る(ステップA5)。
【0029】
次に、制御装置20は、入場管理用データベース21への情報の追加・修正処理を行う(ステップA6)。この追加・修正処理の内容は、図5(b)に示されている。即ち、追加・修正処理では、制御装置20は、まず新規登録情報の読取り処理の結果、実際にICカード14から読み出した新規登録情報が存在するか否かを判断する(ステップA6−1)。新規登録情報が無ければ、制御装置20は、追加・修正処理を終了する(ステップA6−1で「NO」、リターン)。
【0030】
新規登録情報がある場合(ステップA6−1で「YES」)には、制御装置20は、次に、ICカード14から読取った1つの新規登録情報を抽出し(ステップA6−2)、その新規登録情報のうちの入場許可または禁止の地域(棟)が当該入場管理用データベース21に格納されている一般情報のうちの管理区域と一致しているか否かを判断する(ステップA5−3)。そして、両者の管理区域が一致していなかった場合、制御装置20は、次の新規登録情報を抽出する(ステップA6−3で「NO」、ステップA5−2)。
【0031】
新規登録情報のうちの入場許可または禁止の地域が当該入場管理用データベース21に格納されている一般情報のうちの管理区域と一致している場合、制御装置20は、その新規登録情報を入場管理用データベース21に格納する(ステップA6−3で「YES」、ステップA6−4)。この場合、新規登録情報中の、新規登録は追加なのか変更なのかを区別する情報に従って追加、修正処理を行う。
【0032】
例えば、新規登録情報に示されたID番号が入場管理用データベース21に登録されていなければ(新規登録情報中の、新規登録は追加なのか変更なのかを区別する情報は追加)、その新規登録情報をそのまま入場管理用データベース21に格納する(追加)。また、入場管理用データベース21にID番号が既に登録された者であった場合には(新規登録情報中の、新規登録は追加なのか変更なのかを区別する情報は変更)、その新規登録情報のうち、既登録情報と異なる部分のみを登録する(部分追加)。例えば、入場許可や禁止の有効期限が延長されたのであれば、既登録の有効期限の部分に新規登録情報中の有効期限を上書きして修正(更新)し、既登録情報中になく新規情報中にある情報については、その新規情報中だけにある情報は、既登録情報に追加する形態で格納する。
【0033】
以上のような各ステップを新規登録情報の一つ一つについて行い、全ての新規登録情報について行ったところで(ステップA6−5で「YES」)、制御装置20は、追加・修正処理を終了し、リターンとなる。そして、このようなステップA6の追加・修正処理を終了した後、制御装置20は、ステップA7に移行し、ここで錠装置13を解錠してゲート12を開かせる(解錠処理)。
【0034】
さて、設計棟3の入場管理用データベース21に新規登録情報を登録された者がそのICカード14を設計棟3のリーダライタ15に翳すと、上記と同様にしてそのICカード25に記録された情報と入場管理用データベース21に格納された情報とが照合される。この場合、その新規に設計棟3内への入場を許可或いは禁止された者については、新規登録情報として入場管理用データベース21に格納されているので、その者の設計棟3への入場は許可或いは禁止されることとなる。
新規登録情報が書込まれたICカード14を携帯する従業者が事務棟2、実験棟4、生産棟5へ入場する場合についても、その棟への入場が許可されると、その入場が許可された者のICカード14に書き込まれていた新規登録情報は、上記したと同様にしてその棟を管理する施解錠システムの入場管理用データベース21に新規登録情報が格納される。
【0035】
なお、工場1への入場を管理する施解錠システムの入場管理用データベース17に格納すべき新規登録情報も、上記したと同様にしてICカード14を介して格納されるが、ICカード14を介さず、新規情報用データベース18に格納された新規登録情報を制御装置16が直接的に入場管理用データベース17に格納するように構成しても良い。
【0036】
このように本実施例によれば、各管理区域への入場が新たに許可された者、或いは各管理区域への入場が禁止となる者が存在する場合、その新規登録情報を工場1の施解錠システムに設けられた新規情報用データベース18に格納しておけば、その新規登録情報は、工場1内への入場を許可された者のICカード14に記録され、そして、そのICカード14を伝達媒体として新規登録情報の登録対象となっている管理区域の入場管理用データベース17,22に格納される。このため、人事担当者が、対象となる棟の入場管理用データベース17,22に直接新規登録情報を格納しなければならない場合に比べて、その入力先を間違えたりすることがなく、より正確に格納することが可能となる。
この場合、工場1の正門6或いは裏門7は、従業者の全てが通る門であるから、新規登録情報は、確実に従業者のICカード14に記録される。このため、その新規登録情報が登録対象となっている入場管理用データベース17,22に確実且つ迅速に格納されるようになる。
【0037】
また、本実施形態では、新規登録情報中に、職位、入場許可または禁止の管理区域、入場許可または禁止の有効期限、新規入場許可または禁止や有効期限を決定した日時の各情報が含まれているので、以下のような副次的効果を得ることができる。
まず、本実施形態では、区域への入場の許可は、入場管理用データベース17,22へのID番号の登録によって行われ、入場禁止は、入場許可について有効期限を設けることによって行われる。このため、入場禁止の場合でも、入場許可の有効期限を変更するだけで、入場許可、入場禁止をすることができるので、入場禁止の場合に、該当者の情報そのものを全て抹消する場合に比べ、入場許可、禁止の登録を簡易に行うことができる。
【0038】
また、登録情報に職位が含まれることにより、例えば、実験棟4には、実験棟4に勤務する者は全員、設計棟3に所属する従業者はほぼ全員の入場が許可されるとして、事務棟2に所属する従業者は、ある職位、例えば部長職以上の者しか入場できない規則である場合、設計棟3や実験棟4に勤務する者のうち、部長職以上の職位の者のICカード14にしかその事務等3の部長職以上の入場を新規に許可するための新規登録情報を書き込まないようにすることができる。このようにすることによって、ある意味で重要な情報を職位の下位の者のICカード14に書込まれルことがないようにすることができ、また、職位の下の者が上の者の入場を許可するといったある種不具合な形態が生ずることをなくすことができる。
また、入場の許可或いは禁止する管理区域を複数含ませることができるので、1つの新規登録情報によって複数管理区域を対象にして入場許可或いは禁止を登録することが可能となる。
【0039】
更に、新規入場許可または新規入場禁止の決定の日時情報が含まれているので、ある従業者について、短時間のうちに入場を許可する決定と、入場を禁止する決定とが時間的に接近してなされ、それぞれが新規登録情報として新規情報用データベース18に前後して格納された場合、許可、禁止、許可が繰り返されるという不具合の発生を防止できる。
即ち、決定の日時情報が含まれていないと、工場1に入る時刻によって従業者のICカード14に記録される新規登録情報の内容が許可であったり禁止であったりするので、ある従業者のICカード14から読み取った新規登録情報では入場許可と登録し、別の従業者のICカード14から読み取った新規登録情報では入場禁止と登録したりするので、入場の許可、禁止、許可、禁止が繰り返され、意図した通りの許可、禁止の処理ができなくなる。しかし、決定の日時が情報として含まれていれば、最新の決定日時の新規登録情報が正しい情報と判断することによって、入場の許可と禁止とが繰り返し登録されてしまうといった不具合を防止することができるものである。
【0040】
なお、新規登録情報が入場禁止を内容とするものであったような場合に、入場管理用データベース17,22に登録されているその者の情報を抹消してしまうものであっては、先に登録されていた決定日時情報も無くなってしまうので、上記した入場の許可、禁止、許可、禁止の繰り返しは防止できないことは言うまでもない。
本発明は上記し且つ図面に示す実施例に限定されるものではなく、以下のような拡張或いは変更が可能である。
【0041】
図6に示す他の実施形態のように、例えば設計棟3内に存在する複数室に入場する場合に、入場資格を有する者しか入場できないように施解錠システムを構築する場合、各室(各管理区域)に対して一対一に錠装置13とリーダライタ15と制御装置16を設け、入場管理用データベース21については、各室に共通とするように構成しても良い。
新規情報用データベース18を設ける施解錠システムは、工場1のそれに限らないが、できるだけ従業者の大多数が通る部門の施解錠システムに設けることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態を示すもので、工場の複数の施解錠システムの管理区域を示す平面図
【図2】工場の正門および裏門の施解錠システムの電気的構成を示すブロック図
【図3】各棟の出入口の施解錠システムの電気的構成を示すブロック図
【図4】(a)は工場の正門および裏門の施解錠システムの制御内容を示すフローチャート、(b)は新規登録情報のICカードへの書込みのためのフローチャート
【図5】(a)は各棟の出入口の施解錠システムの制御内容を示すフローチャート、(b)は入場管理用データベースへの新規登録情報の格納のフローチャート
【図6】本発明の他の実施形態を示す図3相当図
【符号の説明】
【0043】
図面中、1は工場(管理区域)、2は事務棟(管理区域)、3は設計(管理区域)、4は実験棟(管理区域)、5は生産棟(管理区域)、6は正門(入口)、7は裏門(入口)、8〜11は出入口(入口)、12はゲート、13は錠装置、14はICカード、15はリーダライタ、16は制御装置、17は入場管理用データベース、18は新規情報用データベース、19はパソコン、20は制御装置、21は入場管理用データベースを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の管理区域の各々に、管理区域内へ入場しようとする者が所持するICカードからその記録情報を読取るリーダライタと、管理区域内への入場の可否についての入場管理情報を登録した入場管理用データベースと、管理区域内への入口のゲートを施解錠する錠装置と、前記ICカードの前記記録情報を前記入場管理用データベースに登録されている前記入場管理情報と照合して入場の可否を判断し入場可のとき前記錠装置を解錠する制御装置とを備えた施解錠システムを設けてなる入場管理システムにおいて、
前記複数の管理区域の前記施解錠システムの少なくとも一つに、他のいずれかの管理区域への入場を新たに許可または禁止する者についての新規管理情報を登録する新規情報用データベースを設け、
前記ICカードを所持する者が前記新規情報用データベースを備えた前記施解錠システムによって入場を許可されたとき、その者の前記ICカードに対し、当該施解錠システムの前記リーダライタによって前記新規情報用データベースに登録された前記新規管理情報を書込み、
前記新規管理情報が書込まれた前記ICカードを所持する者が、当該新規管理情報が対象とする管理区域の前記施解錠システムによって入場を許可されたとき、その者の前記ICカードに書込まれた前記新規管理情報を当該施解錠システムの前記リーダライタにより読取って当該入場管理情報を前記入場管理用データベースの前記入場管理情報に追加または当該新規管理情報に基づいて前記入場管理用データベースの前記入場管理情報を変更することを特徴とする入場管理システム。
【請求項2】
前記新規管理情報中に、入場の許可または禁止を表す情報を備え、前記制御装置は、前記新規管理情報による対象者について、前記許可または禁止の情報によって入場の許可または禁止の判定を行うことを特徴とする請求項1記載の入場管理システム。
【請求項3】
前記新規管理情報中に、複数の管理区域を表す情報を備えることで、当該複数の管理区域の前記施解錠システムの前記入場管理用データベースに対して前記新規管理情報の追加または当該新規管理情報による変更が行われることを特徴とする請求項1または2記載の入場管理システム。
【請求項4】
前記新規管理情報に時間または期間に関する情報を備えることで、期限付きでの入場の許可または禁止の判定が行われることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の入場管理システム。
【請求項5】
前記施解錠システムには、
前記新規情報用データベースが設けられた前記施解錠システムによって入場が許可された者の前記ICカードの記録情報と前記新規管理情報とを比較する比較手段と、
前記ICカードの記録情報に基づき、当該ICカードの保持者が前記新規管理情報を書込むに適する資格者であるか否かを判断する判断手段と
が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の入場管理システム。
【請求項6】
前記新規情報用データベースが設けられた少なくとも一つの前記施錠システムは、前記複数の管理区域のうち、他の管理区域を含む管理区域の施錠システムであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の入場管理システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−128428(P2007−128428A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−322315(P2005−322315)
【出願日】平成17年11月7日(2005.11.7)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】