説明

入浴用リフタ―

【課題】 インナーロッド2を支持するのに、すべり軸受5、6を用いて、安価でかつ安全な入浴用リフターを提供すること。
【解決手段】 シリンダチューブ1にインナーロッド2を移動可能に設けるとともに、このインナーロッド2の上下両端に設けたピストン3とキャップ4のそれぞれにすべり軸受5、6を設ける。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、身障者などを椅子に乗せて浴槽につけたり、そこから出したりするための入浴用リフターに関する。
【0002】
【従来の技術】この種のリフターとして、特開平8−33694号公報に記載されたものが従来から知られている。この従来のリフターは、インナーロッドの上下両端にローラーを設け、このローラーによって、シリンダチューブに対してインナーロッドを、移動可能に支持するようにしている。したがって、このリフターでは、インナーロッドに作用する荷重を、ローラーで受けることになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のようにした従来のリフターでは、インナーロッドに作用する荷重をローラーで受けるので、荷重の方向によって、特定のローラーに大きな荷重が作用してしまう。このように特定のローラーに大きな荷重が作用してしまうと、どうしてもその特定のローラーの負担が大きくなり、それが破損してしまうという問題があった。もし、ローラーが破損すれば、インナーロッドで支持されたアームが傾くだけでなく、そのアームに支持された椅子も傾いてしまう。しかし、この椅子には身障者など身体が不自由な人が乗っているので、そのわずかな傾きも、時には大きな事故につながることがある。
【0004】上記の問題を解決するために、ローラーの数を多くすることも考えられるが、しかし、ローラーの数を多くすると、今度はリフターそのもののコストが高くなってしまうという別の問題が発生してしまう。この発明の目的は、安価でしかも安全な入浴用リフターを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、シリンダチューブにインナーロッドを移動可能に設けるとともに、このインナーロッドの両端にシリンダチューブと摺接するすべり軸受を組み込んだ点に特徴を有する。第2の発明は、シリンダチューブは、インナーロッドの最上昇位置および最下降位置のいずれにおいても、そのインナーロッドを支持する長さを維持するとともに、このシリンダチューブには、インナーロッドの上端あるいはその近傍に固定したアームまたはアームヒンジを外方に突出させるスリットを形成した点に特徴を有する。
【0006】
【発明の実施の形態】図1および図2はこの発明の第1実施例を示すもので、シリンダチューブ1にチューブ状のインナーロッド2を組み込んでいる。上記インナーロッド2は、図2に示すように、その下端にピストン3を固定し、上端にキャップ4を固定している。ピストン3およびキャップ4の外周にすべり軸受5、6を固定し、シリンダチューブ1に対して、このピストン3およびキャップ4を摺動自在にしている。つまり、インナーロッド2をシリンダチューブ1に対して摺動自在にしている。
【0007】なお、キャップ4には、図1に示す第1アーム7を回転自在に支持するヒンジ8を固定している。そして、このヒンジ8をキャップ4に埋め込むようにして取り付けている。ただし、図2ではこのヒンジ8を取り付けた部分を断面にしているので、上記すべり軸受6が一部しか示されていない。しかし、このすべり軸受6は、ヒンジ8の部分を除いたキャップ4のほぼ全周にわたって設けている。つまり、このすべり軸受6は、C形にしたものである。また、上記第1アーム7にはヒンジ9を介して第2アーム10を連結するとともに、この第2アーム10の先端に椅子11を吊り下げている。
【0008】上記のようにしたシリンダチューブ1には給排口12を形成するとともに、シリンダチューブ1とインナーロッド2との間には、上記給排ポート12に連通するすき間13を形成している。このすきま13は、ピストン3に形成した中継ポート14を介して圧力室15に連通している。したがって、給排ポート12から圧力流体を供給すると、その流体はすき間13および中継ポート14を経由して圧力室15に供給される。圧力室15に圧力流体が供給されると、インナーロッド2がシリンダチューブ1内を上昇する。
【0009】上記のようにしたシリンダチューブ1は、ピストン3が最下降位置にあるところから、キャップ4が最上昇位置に至るまでの長さを保持している。また、このシリンダチューブ1には、スリット16を形成している。このスリット16は、上記ヒンジ8が自由に上下移動できるようにするためのものである。なお、図2において符号17は、シリンダチューブ1の上端に設けたキャップで、このキャップ17にブラケット18を固定し、図1に示すように、このブラケット18を介してシリンダチューブ1を所定の壁面19に固定するようにしている。また、符号20はブラケット18に形成した長孔で、シリンダチューブ1の傾きを微調整するためのものである。
【0010】上記のようにしたシリンダチューブ1を据え付けるには、まずその床21の所定の位置に受け部材22をあらかじめ固定しておく。このようにあらかじめ固定した受け部材22にシリンダチューブ1の下端に設けたボトム部材23をはめて、当該シリンダチューブ1の下端を固定する。シリンダチューブ1の下端を固定したら、今度は、その上端に設けたブラケット18を壁面19に固定する。このときシリンダチューブ1が少しでも傾いていたら、ボルト24を少し緩めて、その長孔20の範囲内で調整しながら、その傾きを修正する。
【0011】上記のようにした第1実施例によれば、インナーロッド2の上下両端におけるピストン3およびキャップ4のそれぞれをすべり軸受5、6で支持しているので、このインナーロッド2にそれを傾ける方向の荷重が作用したとしても、その荷重をすべり軸受5、6で受けることができる。すべり軸受5、6で荷重を受けるので、従来のローラーに比べて、荷重を受ける接触面積が大きくなる。このように荷重を受ける面積が大きくなるので、その分、荷重を分散させられる。したがって、全体的に見れば、その強度がアップしたことになる。面積で受ける大きさ
【0012】図3に示した第2実施例は、シリンダチューブ1の下端に設けたボトム部材23に給排ポート25を設けたもので、その他の構成は、第1実施例と実質的に同一である。つまり、この第2実施例においても、ピストン3およびキャップ4の周囲にすべり軸受5、6を設け、このすべり軸受5、6でインナーロッド2を支持するようにしている。したがって、第1実施例と同様の構成要素については、図1、図2と同一符号を用い、その詳細な説明を省略する。
【0013】
【発明の効果】この発明の入浴用リフターによれば、インナーチューブをすべり軸受で支持しているので、従来のようにローラーで支持している場合に比較して、安価でかつ安全である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の正面図である。
【図2】第1実施例の断面図である。
【図3】第2実施例の断面図である。
【符号の説明】
1 シリンダチューブ
2 インナーロッド
5 すべり軸受
6 すべり軸受
7 第1アーム
8 ヒンジ
16 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】 シリンダチューブにインナーロッドを移動可能に設けるとともに、このインナーロッドの両端にシリンダチューブと摺接するすべり軸受を組み込んだ入浴用リフター。
【請求項2】 シリンダチューブは、インナーロッドの最上昇位置および最下降位置のいずれにおいても、そのインナーロッドを支持する長さを維持するとともに、このシリンダチューブには、インナーロッドの上端あるいはその近傍に固定したアームまたはそのアームを支持するヒンジを外方に突出させるスリットを形成してなる請求項1記載の入浴用リフター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2000−201991(P2000−201991A)
【公開日】平成12年7月25日(2000.7.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−6490
【出願日】平成11年1月13日(1999.1.13)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】