説明

入金処理装置

【課題】金庫から金銭を回収する場合に、精算処理が行われない事態を防止することができる入金処理装置を提供すること。
【解決手段】所定の通信可能領域に保持されたマネーカードや携帯電話等の記録媒体に対して、投入された金銭に対応する入金情報を付与する電子マネーチャージ機(入金処理装置)1において、本体キャビネット10の内部に配設され、かつ投入された金銭を収容する金庫18の金庫扉20の開閉を検出する金庫扉開閉検出センサ23と、金庫扉開閉検出センサ23により金庫扉20の開放が検出された場合に、本体キャビネット10の前面に設けられた表示部13に精算処理を促す表示を強制的に行う制御手段30とを備えている。制御手段30は、精算処理を促す表示を強制的に行った場合には、該精算処理以外の処理指令を無効化させることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入金処理装置に関し、より詳細には、所定の通信可能領域に保持された記録媒体に対して、投入された金銭に対応する入金情報を付与する入金処理装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非接触ICカード、あるいは携帯電話等の記録媒体に電子マネー(貨幣価値情報)を記録しておき、この記録媒体に記録した電子マネーを用いて商品の購入、サービスの提供に関する決済を行うシステムが普及している。
【0003】
この種の記録媒体においては、記録した電子マネーの残高が少なくなると、商品の購入、サービスの提供に関する決済ができなくなるので、記録媒体に電子マネーをチャージ(積み増し)する必要がある。この電子マネーのチャージには、投入された金銭に対応する入金情報(電子マネー)を記録媒体に対して付与(チャージ)する電子マネーチャージ機と称されるような入金処理装置が広く一般に用いられている。
【0004】
このような入金処理装置では、装置本体を構成する筐体の内部に投入された金銭を収容するための金庫が配設されており、かかる金庫から金銭を回収する場合には締め処理と称されるような精算処理を行って入出金管理を行う必要がある。
【0005】
入出金管理を行う場合、すなわち締め処理と称される精算処理を行う場合には、筐体の前面を構成する外扉の前面に設けられたテンキーや操作画面等にパスワード等を入力して行うのが一般的であり、また外扉を開放させ、筐体内部にある金庫の扉を開放させた場合、すなわち金庫扉の施錠を解錠させた場合にも行い得るようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2005−284362号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上述したような入金処理装置では、筐体内部にある金庫の扉を開放させた場合に精算処理を行えるが、かかる精算処理をする際には当該精算処理を実施する者(通常は管理者)が自主的にテンキーや操作画面等の操作部に入力処理を行う必要があった。そのため、管理者が精算処理を怠って、あるいは忘れて金庫から金銭を回収してしまう事態が生ずる虞れがあった。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みて、金庫から金銭を回収する場合に、精算処理が行われない事態を防止することができる入金処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る入金処理装置は、所定の通信可能領域に保持された記録媒体に対して、投入された金銭に対応する入金情報を付与する入金処理装置において、装置本体内部に配設され、かつ投入された金銭を収容する金庫の扉体の開閉を検出する検出手段と、前記検出手段により前記扉体の開放が検出された場合に、前記装置本体の前面に設けられた表示部に精算処理を促す表示を強制的に行う制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2に係る入金処理装置は、上述した請求項1において、前記制御手段は、前記精算処理を促す表示を強制的に行った場合には、該精算処理以外の処理指令を無効化させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項3に係る入金処理装置は、上述した請求項1または請求項2において、前記制御手段は、前記精算処理を促す表示を行うことにより、精算処理指令が与えられて一旦精算処理を行った場合には、前記表示部に待機画面が表示されるまで再度の精算処理指令を拒否することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項4に係る入金処理装置は、上述した請求項1〜3のいずれか一つにおいて、前記制御手段は、前記精算処理を促す表示を行った場合には、精算処理指令が与えられるまで前記表示を継続することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項5に係る入金処理装置は、上述した請求項1〜3のいずれか一つにおいて、前記装置本体の前面を構成し、かつ開閉可能に設けられた外扉を備え、前記制御手段は、前記精算処理を促す表示を行った場合には、前記扉体および前記外扉の開閉状態にかかわらず、精算処理指令が与えられるまで前記表示を継続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の入金処理装置によれば、検出手段が装置本体内部に配設され、かつ投入された金銭を収容する金庫の扉体の開閉を検出し、かつ制御手段が検出手段により扉体の開放が検出された場合に、装置本体の前面に設けられた表示部に精算処理を促す表示を強制的に行うので、管理者が精算処理を怠って、あるいは忘れて金庫から金銭を回収してしまう事態を回避することができ、その結果、金庫から金銭を回収する場合に、精算処理が行われない事態を防止することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明に係る入金処理装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。尚、以下の実施の形態においては、入金処理装置の一例として電子マネーチャージ機について説明する。
【0016】
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1における電子マネーチャージ機(入金処理装置)が適用される電子マネーチャージシステムの構成を示すブロック図である。ここに例示する電子マネーチャージ機1は、現金決済による電子マネーのチャージ(以下、「現金チャージ」という)、クレジット会社(金融機関)から与えられた信用(与信)による電子マネーのチャージ(以下、「クレジットチャージ」という)、銀行口座(金融機関)の預貯金による電子マネーのチャージ(以下「デビットチャージ」という)を可能とするものである。
【0017】
現金チャージは、投入された現金(例えば、紙幣)に相当する入金情報(電子マネー)を非接触ICカードで構成されたマネーカード、あるいは非接触ICチップが搭載された携帯電話等の記録媒体にチャージするもので、電子マネーの代金は即時決済される。
【0018】
クレジットチャージは、予めクレジット会社により与えられた与信限度(信用限度)の限度内で電子マネーを記録媒体にチャージするもので、電子マネーの代金はクレジット会社によって立て替えられ、立て替えられた電子マネーの代金は後日決済される。尚、クレジットチャージにおいて、利用者の認証には、クレジットカードが用いられる。
【0019】
デビットチャージは、銀行口座の預貯金残高の範囲内で電子マネーを記録媒体にチャージするもので、電子マネーの代金は即時決済される。尚、デビットチャージにおいて、利用者の認証には、デビットカード(キャッシュカード)が用いられる。
【0020】
図1に示すように、本発明の実施の形態1である電子マネーチャージ機1は、専用線、ネットワーク(LAN)、あるいは広域ネットワーク(WAN)を経由して、クレジット会社のクレジットサーバ2、銀行のデビットサーバ3、電子マネー運営会社の電子マネーサーバ4に接続されている。そして、現金チャージの場合には、電子マネーチャージ機1と電子マネーサーバ4との間で情報が送受信され、クレジットチャージの場合には、電子マネーチャージ機1とクレジットサーバ2との間、クレジットサーバ2と電子マネーサーバ4との間、電子マネーサーバ4と電子マネーチャージ機1との間で情報が送受信される。また、デビットチャージの場合には、電子マネーチャージ機1とデビットサーバ3との間、デビットサーバ3と電子マネーサーバ4との間、電子マネーサーバ4と電子マネーチャージ機1との間で情報が送受信される。
【0021】
図2は、図1に示した電子マネーチャージ機の構成を簡略して示す斜視図である。ここに例示する電子マネーチャージ機1は、本体キャビネット10および外扉11を備えている。本体キャビネット10は、鋼材を適宜組み合わせることにより構成した装置本体で、前面が開口した箱形形状を有している。外扉11は、本体キャビネット10の前面開口を閉塞するに足りる大きさを有したもので、開閉動作することにより本体キャビネット10の前面開口を開閉するものである。
【0022】
本体キャビネット10と外扉11との間には、外扉施錠手段12が設けてある。外扉施錠手段12は、キー孔からキーを挿入して操作した場合に施解錠の切り替えが可能となるものある。この外扉施錠手段12は、施錠状態において本体キャビネット10に対する外扉11の開放移動を阻止する一方、解錠状態において本体キャビネット10に対する外扉11の開放移動を許容するように構成してある。
【0023】
外扉11の前面には、表示部13、入力部14、紙幣挿入口15、カード挿入口16および送受信部17が設けてある。表示部13は、利用者に操作を案内するとともに、必要な情報を表示する部分であり、例えば液晶パネルにより構成してある。入力部14は、電子マネーチャージ機1が必要とする情報を入力するためのもので、入金や取消等の押釦部141や暗証番号等を入力するためのテンキー部142を有している。また、表示部13に表示される領域(例えば、チャージ金額表示領域等の各種情報表示領域)も入力部14を構成することがある。
【0024】
紙幣挿入口15は、利用者が紙幣を挿入するための開口である。この紙幣挿入口15を通じて挿入された紙幣は、図示しない金銭処理機においてその金種が識別され、その後、本体キャビネット10の内部に配設された金庫18に収容されることになる(図3参照)。また、紙幣挿入口15は、金銭処理機において識別できなかった紙幣を返送するための紙幣返却口としても機能する。
【0025】
カード挿入口16は、利用者がクレジットカードやデビットカードを挿入するための開口である。このカード挿入口16を通じて挿入されたクレジットカードやデビットカードは、図示しないリーダライタを通じて識別情報等の送受信が行われる。また、カード挿入口16は、リーダライタを通じて識別情報等の送受信が行われたクレジットカードやデビットカードのカード返却口としても機能する。
【0026】
送受信部17は、所定の通信可能領域に保持されたマネーカードや携帯電話との間で識別情報および残高情報を送受信するためのものである。
【0027】
図3は、図2に示す電子マネーチャージ機において外扉を開放移動させた状態を示す斜視図であり、簡略的に示している。この図3に示すように、本体キャビネット10の内部には金庫18が設けてある。金庫18は、紙幣挿入口15を通じて挿入された紙幣(投入された金銭)を収容するためのものであり、前面が開口した直方状の金庫本体19と、この金庫本体19の前面開口を開閉するための金庫扉(扉体)20が設けてある。この金庫本体19には、図には明示しないが、金銭処理機を通じて金種が識別された紙幣が挿入する挿入口が設けてある。また、金庫本体19と金庫扉20との間には、金庫扉施錠手段21が設けてある。金庫扉施錠手段21は、キー孔からキーを挿入して操作した場合に施解錠の切り替えが可能となるものである。この金庫扉施錠手段21は、施錠状態において金庫本体19に対する金庫扉20の開放移動を阻止する一方、解錠状態において金庫本体19に対する金庫扉20の開放移動を許容するように構成してある。
【0028】
図4は、上述した電子マネーチャージ機の制御系を示すブロック図である。尚、図4においては、本発明の特徴部分を実施するのに必要なものだけを示している。この図4において、電子マネーチャージ機1は、外扉開閉検出センサ22、金庫扉開閉検出センサ23および制御手段30を備えている。
【0029】
外扉開閉検出センサ22は、外扉11の開閉を検出する検出手段であり、具体的には外扉施錠手段12の状態を検出している。つまり、外扉施錠手段12が施錠の場合には外扉11が閉成しているものと検出する一方、外扉施錠手段12が解錠の場合には外扉11が開放しているものと検出するものである。
【0030】
金庫扉開閉検出センサ23は、金庫扉20の開閉を検出する検出手段であり、具体的には金庫扉施錠手段21の状態を検出している。つまり、金庫扉施錠手段21が施錠の場合には金庫扉20が閉成しているものと検出する一方、金庫扉施錠手段21が解錠の場合には金庫扉20が開放しているものと検出するものである。
【0031】
制御手段30は、各種情報設定記憶部31と、表示制御部32と、無効化部33とを備えている。各種情報設定記憶部31は、制御手段30が処理を実行するために必要なプログラムやデータ等の各種情報を設定し、かつこれを記憶するためのものである。
【0032】
表示制御部32は、表示部13の制御、より詳細には、表示部13に表示される表示内容を制御するためのものである。
【0033】
無効化部33は、表示制御部32による表示部13の制御が行われている場合に、入力部14を通じての入力操作を無効化させるためのものである。
【0034】
図5は、図4に示した制御手段が実施する締め制御処理を示すフローチャートである。かかる図5について説明しながら電子マネーチャージ機1の動作について説明する。
【0035】
締め制御処理において制御手段30は、外扉開閉検出センサ22を通じて外扉11の開閉を検出し(ステップS101)、外扉11が開放しているか否かを判断する(ステップS102)。この結果、外扉11が閉成しているものと検出された場合には(ステップS102:No)、後述する処理を実施することなく、手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0036】
一方、外扉11が開放しているものと検出された場合には(ステップS102:Yes)、金庫扉開閉検出センサ23を通じて金庫扉20の開閉を検出し(ステップS103)、金庫扉20が開放しているか否かを判断する(ステップS104)。この結果、金庫扉20が閉成しているものと検出された場合には(ステップS104:No)、後述する処理を実施することなく、手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0037】
一方、金庫扉20が開放しているものと検出された場合には(ステップS104:Yes)、制御手段30は、表示制御部32を通じて表示部13に精算処理を促す表示を強制的に行う(ステップS105)とともに、入力部14を通じての入力操作を無効化部33を通じて無効化させ(ステップS106)、手順をリターンさせて今回の処理を終了する。これによれば、制御手段30は、表示部13に表示され、かつ精算処理を実行するための選択領域が管理者にタッチされるまで表示制御部32を通じて表示し続けることになる。
【0038】
このように本発明の実施の形態1における電子マネーチャージ機1によれば、金庫扉開閉検出センサ23により金庫扉20の開放が検出された場合に、制御手段30が表示部13に精算処理を促す表示を強制的に行うので、管理者が精算処理を怠って、あるいは忘れて金庫18から金銭を回収してしまう事態を回避することができ、その結果、金庫18から金銭を回収する場合に、精算処理が行われない事態を防止することができる。
【0039】
特に、制御手段30が、表示制御部32を通じて表示部13に精算処理を促す表示を強制的に行うとともに、入力部14を通じての入力操作を無効化部33を通じて無効化させるので、管理者に精算処理を実行するための選択領域がタッチされるまで上記表示を継続することになり、管理者は、精算処理を実施しなければ、電子マネーチャージ機1を再開させることができなくすることができる。
【0040】
<実施の形態2>
次に本発明の実施の形態2における電子マネーチャージ機(入金処理装置)について説明する。尚、上述した本発明の実施の形態1における電子マネーチャージ機1と同一の構成を有するものには同一の符号を付してその説明を省略する。
【0041】
図6は、本発明の実施の形態2における電子マネーチャージ機(入金処理装置)が適用される電子マネーチャージシステムの構成を示すブロック図である。ここに例示する電子マネーチャージ機5は、現金決済による電子マネーのチャージ(以下、「現金チャージ」という)、クレジット会社(金融機関)から与えられた信用(与信)による電子マネーのチャージ(以下、「クレジットチャージ」という)、銀行口座(金融機関)の預貯金による電子マネーのチャージ(以下「デビットチャージ」という)を可能とするものである。
【0042】
現金チャージは、投入された現金(例えば、紙幣)に相当する入金情報(電子マネー)を非接触ICカードで構成されたマネーカード、あるいは非接触ICチップが搭載された携帯電話等の記録媒体にチャージするもので、電子マネーの代金は即時決済される。
【0043】
クレジットチャージは、予めクレジット会社により与えられた与信限度(信用限度)の限度内で電子マネーを記録媒体にチャージするもので、電子マネーの代金はクレジット会社によって立て替えられ、立て替えられた電子マネーの代金は後日決済される。尚、クレジットチャージにおいて、利用者の認証には、クレジットカードが用いられる。
【0044】
デビットチャージは、銀行口座の預貯金残高の範囲内で電子マネーを記録媒体にチャージするもので、電子マネーの代金は即時決済される。尚、デビットチャージにおいて、利用者の認証には、デビットカード(キャッシュカード)が用いられる。
【0045】
図6に示すように、本発明の実施の形態2である電子マネーチャージ機5は、専用線、ネットワーク(LAN)、あるいは広域ネットワーク(WAN)を経由して、クレジット会社のクレジットサーバ2、銀行のデビットサーバ3、電子マネー運営会社の電子マネーサーバ4に接続されている。そして、現金チャージの場合には、電子マネーチャージ機5と電子マネーサーバ4との間で情報が送受信され、クレジットチャージの場合には、電子マネーチャージ機5とクレジットサーバ2との間、クレジットサーバ2と電子マネーサーバ4との間、電子マネーサーバ4と電子マネーチャージ機5との間で情報が送受信される。また、デビットチャージの場合には、電子マネーチャージ機5とデビットサーバ3との間、デビットサーバ3と電子マネーサーバ4との間、電子マネーサーバ4と電子マネーチャージ機5との間で情報が送受信される。
【0046】
図7は、図6に示した電子マネーチャージ機の構成を簡略して示す斜視図である。ここに例示する電子マネーチャージ機5は、本体キャビネット10および外扉11を備えている。本体キャビネット10と外扉11との間には、外扉施錠手段12が設けてある。外扉11の前面には、表示部13、入力部14、紙幣挿入口15、カード挿入口16および送受信部17が設けてある。
【0047】
図8は、図7に示す電子マネーチャージ機において外扉を開放移動させた状態を示す斜視図であり、簡略的に示している。この図8に示すように、本体キャビネット10の内部には金庫18が設けてある。金庫18は、紙幣挿入口15を通じて挿入された紙幣(投入された金銭)を収容するためのものであり、前面が開口した直方状の金庫本体19と、この金庫本体19の前面開口を開閉するための金庫扉(扉体)20が設けてある。この金庫本体19には、図には明示しないが、金銭処理機を通じて金種が識別された紙幣が挿入する挿入口が設けてある。また、金庫本体19と金庫扉20との間には、金庫扉施錠手段21が設けてある。
【0048】
図9は、本発明の実施の形態2における電子マネーチャージ機の制御系を示すブロック図である。尚、図9においては、本発明の特徴部分を実施するのに必要なものだけを示している。この図9において、電子マネーチャージ機5は、外扉開閉検出センサ22、金庫扉開閉検出センサ23および制御手段50を備えている。
【0049】
制御手段50は、各種情報設定記憶部51、表示制御部52、無効化部53、精算制御部54および無効化解除部55を備えている。各種情報設定記憶部51は、制御手段50が処理を実行するために必要なプログラムやデータ等の各種情報を設定し、かつこれを記憶するためのものである。
【0050】
表示制御部52は、表示部13の制御、より詳細には、表示部13に表示される表示内容を制御するためのものである。より具体的に説明すると、表示制御部52は、精算処理を促すための精算画面、待機状態である場合を示す待機画面(初期画面)を表示部13に表示させるものである。尚、詳細は後述するが、表示部13に表示される精算画面には、精算処理を実行するための選択領域が含まれている。
【0051】
無効化部53は、表示制御部52により表示部13に精算画面が表示されている場合に、入力部14を通じての入力操作を無効化させるためのものである。
【0052】
精算制御部54は、いわゆる締め処理と称される精算処理を行うためのものであり、必要に応じて図示しない印字手段に精算処理結果を印字させる処理を行うものである。無効化解除部55は、無効化部53を通じて無効化された処理内容を解除させるためのものである。
【0053】
図10は、図9に示した制御手段が実施する本発明の特徴的な制御内容を示すフローチャートである。かかる図10について説明しながら電子マネーチャージ機5の動作について説明する。
【0054】
制御手段50は、締め表示制御処理を実施する(ステップS200)。図11は、図10に示した締め表示制御処理の処理内容を示すフローチャートである。この締め表示制御処理において制御手段50は、外扉開閉検出センサ22を通じて外扉11の開閉を検出し(ステップS201)、外扉11が開放しているか否かを判断する(ステップS202)。この結果、外扉11が閉成しているものと検出された場合には(ステップS202:No)、後述する処理を実施することなく、手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0055】
一方、外扉11が開放しているものと検出された場合には(ステップS202:Yes)、金庫扉開閉検出センサ23を通じて金庫扉20の開閉を検出し(ステップS203)、金庫扉20が開放しているか否かを判断する(ステップS204)。この結果、金庫扉20が閉成しているものと検出された場合には(ステップS204:No)、後述する処理を実施することなく、手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0056】
一方、金庫扉20が開放しているものと検出された場合には(ステップS204:Yes)、制御手段50は、表示制御部52を通じて表示部13に精算処理を促す表示を強制的に行う(ステップS205)とともに、入力部14を通じての入力操作を無効化部53を通じて無効化させ(ステップS206)、手順をリターンさせて今回の処理を終了する。これによれば、制御手段50は、表示部13に表示され、かつ精算処理を実行するための選択領域が管理者にタッチされるまで表示制御部52を通じて表示し続けることになる。
【0057】
また、金庫扉開閉検出センサ23により金庫扉20の開放が検出された場合に、制御手段50が表示部13に精算処理を促す表示を強制的に行うので、管理者が精算処理を怠って、あるいは忘れて金庫18から金銭を回収してしまう事態を回避することができ、その結果、金庫18から金銭を回収する場合に、精算処理が行われない事態を防止することができる。
【0058】
上述したような締め表示制御処理を実施した制御手段50は、締め精算制御処理を実施する(ステップS300)。図12は、図10に示した締め精算制御処理の処理内容を示すフローチャートである。この締め精算制御処理において制御手段50は、上記締め表示制御処理(ステップS200)において、表示制御部52を通じて表示部13に精算処理を促す表示を強制的に行ったか否かを確認し(ステップS301)、表示制御部52を通じて表示部13に精算処理を促す表示を強制的に行っていない場合には(ステップS301:No)、後述する処理を実施することなく手順をリターンさせて今回の処理を終了する。つまり、締め表示制御処理(ステップS200)において表示部13に精算処理を促す表示が行われなかった場合には、締め精算制御処理においては、何等処理を実施することなく処理を終了する。
【0059】
一方、表示制御部52を通じて表示部13に精算処理を促す表示を強制的に行った場合には(ステップS301:Yes)、表示制御部52を通じて選択領域が管理者にタッチされたか否か、すなわち精算処理指令が与えられたか否かを確認する(ステップS302)。そして、選択領域へのタッチが確認された場合には(ステップS302:Yes)、制御手段50は、フラグが未設定であるか否かを確認し(ステップS303)、フラグが設定されている場合には(ステップS303:No)、後述する処理を実施することなく手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0060】
フラグが設定されていない場合には(ステップS303:Yes)、制御手段50は、精算制御部54を通じて精算処理を実施し(ステップS304)、更にフラグを設定して(ステップS305)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0061】
このような締め精算処理を実施した制御手段50は、後表示制御処理を実施する(ステップS400)。図13は、図10に示した後表示制御処理の処理内容を示すフローチャートである。この後表示制御処理において制御手段50は、上記締め表示制御処理(ステップS200)において、表示制御部52を通じて表示部13に精算処理を促す表示を強制的に行ったか否かを確認し(ステップS401)、表示制御部52を通じて表示部13に精算処理を促す表示を強制的に行っていない場合には(ステップS401:No)、後述する処理を実施することなく手順をリターンさせて今回の処理を終了する。つまり、締め表示制御処理(ステップS200)において表示部13に精算処理を促す表示が行われなかった場合には、後表示制御処理においては、何等処理を実施することなく処理を終了する。
【0062】
一方、表示制御部52を通じて表示部13に精算処理を促す表示を強制的に行った場合には(ステップS401:Yes)、制御手段50は、金庫扉開閉検出センサ23を通じて金庫扉20の開閉を検出し(ステップS402)、金庫扉20が閉成しているか否かを判断する(ステップS403)。この結果、金庫扉20が開放しているものと検出された場合には(ステップS403:No)、後述する処理を実施することなく、手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0063】
一方、金庫扉20が閉成しているものと検出された場合には(ステップS403:Yes)、外扉開閉検出センサ22を通じて外扉11の開閉を検出し(ステップS404)、外扉11が閉成しているか否かを判断する(ステップS405)。この結果、外扉11が開放しているものと検出された場合には(ステップS405:No)、後述する処理を実施することなく、手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0064】
一方、外扉11が閉成しているものと検出された場合には(ステップS405:Yes)、制御手段50は、フラグが設定ありとなっているか否か、すなわちフラグが設定してあるか否かを確認し(ステップS406)、フラグが設定されていない場合には(ステップS406:No)、後述する処理を実施することなく、手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0065】
フラグが設定してある場合には(ステップS406:Yes)、制御手段50は、フラグの初期化を実施、すなわちフラグの設定を解除し(ステップS407)、表示制御部52を通じて、表示部13に待機画面を表示させる(ステップS408)とともに、無効化解除部55を通じて無効化部53による入力部14の無効化を解除させ(ステップS409)、手順をリターンさせて今回の処理を終了する。そして、かかる後表示制御処理を実施した制御手段50は、その後に今回の制御処理を終了する。
【0066】
以上説明したような締め表示制御処理(ステップS200)、締め精算制御処理(ステップS300)および後表示制御処理(ステップS400)を実施することにより、次のようなことが述べられる。すなわち、締め精算制御処理では、精算処理を実施した場合にフラグを設定するようにしておき、しかも精算処理を実施する前の処理でフラグが未設定であるか否かを確認してフラグが未設定であれば精算処理を実施するので、一旦精算処理が行われた場合に、選択領域が再びタッチされて精算処理指令が与えられても、かかる指令を拒否する。つまり、管理者が選択領域にタッチすることにより精算処理指令が与えられて一旦精算処理を行った場合には、締め精算制御処理後の後表示制御処理で表示部13に待機画面が表示されるまで再度の精算処理指令を拒否する。
【0067】
また、後表示制御処理では、フラグが設定ありとなっているか否かを確認し、フラグが設定ありと確認した場合に、表示部13に待機画面を表示させるので、締め精算制御処理(ステップS300)で精算処理が実施された場合にのみ(ステップS304)、待機画面を表示させることになる。つまり、金庫扉20および外扉11の開閉状態にかかわらず、選択領域がタッチされて精算処理が実施されるまで精算処理を促す強制的な表示を継続する。
【0068】
このように本発明の実施の形態2における電子マネーチャージ機5によれば、管理者が選択領域にタッチすることにより精算処理指令が与えられて一旦精算処理を行った場合には、締め精算制御処理後の後表示制御処理で表示部13に待機画面が表示されるまで再度の精算処理指令を拒否するので、管理者が誤って選択領域を連続的にタッチしてしまうことにより、タッチ数に応じて精算処理が実施されてしまうことを回避することができる。これにより、誤精算処理、並びに誤精算処理によりデータが作成されてしまう事態を抑制することができる。
【0069】
上記電子マネーチャージ機5によれば、金庫扉20および外扉11の開閉状態にかかわらず、選択領域がタッチされて精算処理が実施されるまで精算処理を促す強制的な表示を継続するので、一度も精算処理が行われなかったのに、待機画面(初期画面)に戻ってしまう虞れがなく、これによっても精算処理が行われない事態を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上のように、本発明に係る入金処理装置は、所定の通信可能領域に保持された記録媒体に対して、投入された金銭に対応する入金情報を付与するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施の形態1における電子マネーチャージ機(入金処理装置)が適用される電子マネーチャージシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した電子マネーチャージ機の構成を簡略して示す斜視図である。
【図3】図2に示す電子マネーチャージ機において外扉を開放移動させた状態を示す斜視図である。
【図4】電子マネーチャージ機の制御系を示すブロック図である。
【図5】図4に示した制御手段が実施する締め制御処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態2における電子マネーチャージ機(入金処理装置)が適用される電子マネーチャージシステムの構成を示すブロック図である。
【図7】図6に示した電子マネーチャージ機の構成を簡略して示す斜視図である。
【図8】図7に示す電子マネーチャージ機において外扉を開放移動させた状態を示す斜視図である。
【図9】電子マネーチャージ機の制御系を示すブロック図である。
【図10】図9に示した制御手段が実施する本発明の特徴的な制御内容を示すフローチャートである。
【図11】図10に示した締め表示制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
【図12】図10に示した締め精算制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
【図13】図10に示した後表示制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
1,5 電子マネーチャージ機
10 本体キャビネット
11 外扉
13 表示部
14 入力部
18 金庫
20 金庫扉
22 外扉開閉検出センサ
23 金庫扉開閉検出センサ
30,50 制御手段
31,51 各種情報設定記憶部
32,52 表示制御部
33,53 無効化部
54 精算制御部
55 無効化解除部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の通信可能領域に保持された記録媒体に対して、投入された金銭に対応する入金情報を付与する入金処理装置において、
装置本体内部に配設され、かつ投入された金銭を収容する金庫の扉体の開閉を検出する検出手段と、
前記検出手段により前記扉体の開放が検出された場合に、前記装置本体の前面に設けられた表示部に精算処理を促す表示を強制的に行う制御手段と
を備えたことを特徴とする入金処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記精算処理を促す表示を強制的に行った場合には、該精算処理以外の処理指令を無効化させることを特徴とする請求項1に記載の入金処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記精算処理を促す表示を行うことにより、精算処理指令が与えられて一旦精算処理を行った場合には、前記表示部に待機画面が表示されるまで再度の精算処理指令を拒否することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の入金処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記精算処理を促す表示を行った場合には、精算処理指令が与えられるまで前記表示を継続することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の入金処理装置。
【請求項5】
前記装置本体の前面を構成し、かつ開閉可能に設けられた外扉を備え、
前記制御手段は、前記精算処理を促す表示を行った場合には、前記扉体および前記外扉の開閉状態にかかわらず、精算処理指令が与えられるまで前記表示を継続することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の入金処理装置。

【図5】
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【図11】
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【図13】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−287695(P2008−287695A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−280935(P2007−280935)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】