説明

全固体電池

【課題】
リチウム二次電池等の全固体電池において、充放電に伴う出力低下を抑制する。
【解決手段】
全固体電池は、正極層、負極層、並びに、前記正極層及び前記負極層の間に挟持された固体電解質層を有する積層体と、前記積層体に対し、前記積層体の積層方向に拘束圧力を与えるための加圧冶具と、前記加圧治具を前記積層方向に対して斜めに押し付ける押付圧力を発生させることで、前記拘束圧力を前記押付圧力の前記積層方向の分力として発生させる加圧手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、リチウム二次電池等の、電池材料が全て固体である全固体電池の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の全固体電池として、粉末状の固体電解質と粉末状の活物質とを加圧成形してなる全固体電池が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−35724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この種の全固体電池では、充放電に伴って活物質の膨張収縮が起こるため、活物質と活物質との又は固体電解質と活物質との界面に十分な拘束圧力が加わらない。このため、界面抵抗が上がり、全固体電池の出力が低下するという問題点がある。特に、全固体電池が少なくとも部分的に圧粉材料を含む場合には、このような活物質の膨張収縮に伴う拘束圧力の低下がより顕著となるため、この問題点は、深刻さを増す。
【0005】
本発明は例えば上記問題点に鑑みてなされたものであり、充放電に伴う出力低下が抑制されている全固体電池を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明に係る第1の全固体電池は、正極層、負極層、並びに、前記正極層及び前記負極層の間に挟持された固体電解質層を有する積層体と、前記積層体に対し、前記積層体の積層方向に拘束圧力を与えるための加圧冶具と、前記加圧治具を前記積層方向に対して斜めに押し付ける押付圧力を発生させることで、前記拘束圧力を前記押付圧力の前記積層方向の分力として発生させる加圧手段とを備える。
【0007】
本発明に係る全固体電池によれば、積層体は、正極層、負極層及び固体電解質層を有する。積層体は一組の正極層、負極層、及び固体電解質層を含んで構成されてもよく、複数組の正極層、負極層、及び固体電解質層を含んで構成されてもよい。積層体は更に、集電体を有してもよい。ここに「集電体」とは、正極層及び負極層の少なくとも一方の固体電解質層を挟持する側に対向する側に配置される。
【0008】
加圧治具は、積層体に対し、その積層方向に拘束圧力を与えるための冶具である。本発明に係る「積層方向」とは、積層体の正極層、負極層及び固体電解質層が積層されている方向を意味する。例えば、固体電解質層を挟持する正極層と負極層は、平行に配置される或いは積層されるので、積層方向は、正極層から負極層、又は負極層から正極層に向かう方向(典型的には、これらの各層の表面に垂直に交わる方向或いは該表面の法線方向)に一致する。本発明に係る「拘束圧力」とは、積層方向の外側から積層体の内側に向かって積層体に作用する圧力を意味する。拘束圧力は積層体の要素同士を密着させる効果がある。
【0009】
加圧手段は、上述の如く構成された加圧治具を、積層方向に対して斜めに押し付ける押付圧力を発生させる。これにより、加圧治具に加えられる押付圧力の、積層方向の分力として拘束圧力を発生させるように構成されている。ここに本発明に係る「加圧手段」とは、加圧冶具に与える押付圧力を発生させるための手段を意味する。
【0010】
以上のように構成された本発明に係る全固体電池は、その動作時には、例えば車両のモータ、モータジェネレータ等を駆動するなどのために、放電が適宜に行われる。或いは、例えば車両のジェネレータ、モータジェネレータ等による充電が適宜に行われる。
【0011】
このような充放電に伴って、積層体に含まれる或いは正極層又は負極層を構成する活物質の膨張収縮が起こる。特に、このような膨張収縮は、積層体を構成する材料が、少なくとも部分的に圧粉材料を含む場合には顕著となる。ここで仮に何らの対策も施さなければ、上述の膨張収縮によって、活物質と活物質との、又は固体電解質と活物質との界面に十分な拘束圧力が加わらない。このため、界面抵抗が上がり、全固体電池の出力が低下しかねない。ここに本発明に係る「圧粉材料」とは、粉状の材料を加圧により固めたものを意味し、粉状の材料と言い換えてもよい。
【0012】
しかるに本発明によれば、このような充放電に並行して或いは相前後して、加圧手段によって、加圧治具に対して押付圧力が発生され、この押付圧力の積層方向の分力として拘束圧力が発生される。言い換えると、積層方向に対して斜めである押付圧力は、加圧冶具のくさびの効果により、積層方向に沿った、理想的には積層方向に平行な(言い換えれば、各層の表面に対して法線方向の)拘束圧力となり、積層体に作用する。
【0013】
従って、比較的簡単な構造を採用しつつ積層対の各層に対して比較的安定した拘束圧力を印加することが容易となる。
【0014】
より具体的には、例えば、押付圧力を印加する方向を、積層方向と一致させる必要がないので、積層体、加圧治具及び加圧手段に関する外観形状についての制約がなくなり、設計自由度が増すと共に、全固体電池の全体の形状の自由度も増大し、例えば、全固体電池の小型化、薄型化、コンパクト化(或いは充放電能力の高密度化)を実行するのも容易となる。
【0015】
以上のように、押付圧力の分力である拘束圧力によって積層体の要素同士は良好に密着し、更に、この状態を比較的容易にして維持可能となるので、全固体電池の充放電に伴う出力低下を抑制することができる。
【0016】
本発明に係る全固体電池の一態様では、前記積層体における、前記加圧治具が押し付けられる側に対向する側において、前記拘束圧力を受ける圧力受部を更に備える。
【0017】
この態様によれば、加圧治具に加えられた押付圧力の積層方向の分力として拘束圧力が発生される際に、加圧治具が押し付けられる側に対向する側(即ち、反対側あるいは裏側)にて、この拘束圧力が圧力受部により受けられる。言い換えれば、圧力受部が、拘束圧力の抗力或いは反力を発生する。このため、拘束圧力が効率よく発生させることが可能となる。
【0018】
なお、圧力受部を別途も備えなくても、積層体自身が圧力受部を兼ねてもよい。この場合、例えば、加圧治具が押し付けられる側に対向する側に位置する積層体の一部が、より高い剛性を有するように構成されてもよい。
【0019】
この態様では、加圧手段によって、加圧冶具と圧力受部とを積層方向に密着するように、相互に付勢することによって、押付圧力を効率良く発生させることが可能となる。
【0020】
本発明に係る全固体電池の他の様態では、前記拘束圧力及び前記押付圧力の少なくとも一方を検知する検知手段と、前記検知された少なくとも一方の値に基づいて、前記押付圧力を可変とするように前記加圧手段を制御する制御手段とを更に備える。
【0021】
この様態よれば、その動作時には、圧力センサ等の検知手段によって、拘束圧力及び押付圧力の少なくとも一方が定期的に若しくは不定期に又は常時に検知される。検知手段は、例えば、直接又は間接的に、拘束圧力及び押付圧力の少なくとも一方を測定する、演算する、推定するセンサ、演算器等を含む。
【0022】
すると、全固体電池の動作時における充放電に伴って、積層体に含まれる或いは固体電解質層を構成する活物質の膨張収縮が起こっても、例えばプロセッサ、メモリ等を含んでなる制御手段による制御下で、その膨張収縮に応じて変化する圧力の値に基づいて、押付圧力を変更させれば、積層体の要素同士は、良好に密着することになる。よって、膨張収縮の度合いに拘らずに、極めて確実に全固体電池の充放電に伴う出力低下を抑制することが可能となる。
【0023】
本発明に係る全固体電池の他の様態では、前記正極層、前記負極層及び前記固体電解質層積層体は、少なくとも部分的に圧粉材料を含む。
【0024】
この態様によれば、積層体は、少なくとも部分的に圧粉材料を含むので、動作時における充放電に伴って活物質の膨張収縮による面圧変化より顕著となる。このため、圧力が低下することで界面抵抗が上昇し、全固体電池の出力が低下するという問題点がより顕在化するものの、加圧手段及び加圧治具により拘束圧力が発生されるので、問題なくなる。言い換えれば、このように積層体が圧粉材料を含む場合には、本発明による作用効果が一段と顕著となる。
【0025】
上述した課題を解決するため、本発明に係る第2の全固体電池は、正極層、負極層、並びに、前記正極層及び前記負極層の間に挟持された固体電解質層を有する積層体と、前記積層体に対し、前記積層体の積層方向に拘束圧力を与えるための加圧冶具と、前記加圧治具を押し付けることで、前記拘束圧力を発生させる加圧手段と、前記拘束圧力及び前記加圧手段が前記加圧冶具に与える押付圧力の少なくとも一方を検知する検知手段と、前記検知された少なくとも一方の値に基づいて、前記押付圧力を可変とするように前記加圧手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0026】
本発明に係る第2の全固体電池によれば、積層体は、上述した本発明に係る第1の全固体電池と同様に、正極層、負極層及び固体電解質層を有する。加圧治具及び加圧手段についても、上述した本発明に係る第1の全固体電池と同様に構成されていてもよいし、異なるように構成されてもよい。
【0027】
特に、加圧手段は、加圧治具を、積層方向に対して斜めに押し付けてもよいし、平行に(言い換えれば、積層体の各層の表面の方線方向に)押し付けてもよい。いずれの場合にも、積層方向に対して斜めに又は平行に押し付ける押付圧力を発生させる。即ち、加圧治具に加えられる押付圧力の、積層方向の分力として又は押付圧力そのものとして、拘束圧力を発生させるように構成されている。
【0028】
以上のように構成された本発明に係る全固体電池は、その動作時には、積層体等の働きによって、充放電が適宜に行われる。
【0029】
このような充放電に伴って、積層体に含まれる活物質の膨張収縮が起こる。ここで仮に何らの対策も施さなければ、上述の膨張収縮によって、活物質と活物質との、又は固体電解質と活物質との界面に十分な拘束圧力が加わらない。このため、界面抵抗が上がり、全固体電池の出力が低下しかねない。
【0030】
しかるに本発明によれば、その動作時には、このような充放電に並行して或いは相前後して、加圧手段及び加圧治具によって拘束圧力が発生される。
【0031】
しかも、このように拘束圧力を発生させつつ、圧力センサ等の検知手段によって、拘束圧力及び押付圧力の少なくとも一方が定期的に若しくは不定期に又は常時に検知される。
【0032】
すると、全固体電池の動作時における充放電に伴って、積層体に含まれる或いは固体電解質層を構成する活物質の膨張収縮が起こっても、制御手段による制御下で、その膨張収縮に応じて変化する圧力の値に基づいて、押付圧力を変更させれば、積層体の要素同士は、良好に密着することになる。よって、膨張収縮の度合いに拘らずに、極めて確実に全固体電池の充放電に伴う出力低下を抑制することが可能となる。
【0033】
以上のように、拘束圧力によって積層体の要素同士は良好に密着し、更に、この状態を比較的容易にして維持可能となるので、全固体電池の充放電に伴う出力低下を抑制することができる。
【0034】
本発明に係る第1又は第2の全固体電池の他の様態では、前記積層体は、前記積層体が前記加圧冶具に対向する面の表面に前記加圧冶具より硬度の低い被覆材を更に備える。
【0035】
この態様によれば、その動作時等に、積層体が例えば水分等が存在する雰囲気に晒されても、積層体の表面に有る被覆材によって、積層体に水分等が侵入することを防ぐことができる。更に被覆材は、加圧冶具より硬度が低いので、加圧治具の保護をすることができる。ここに本発明に係る「被覆材」とは、積層体の表面を被覆する部材を意味する。
【0036】
本発明のこのような作用及び利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】第1実施形態を概念的に表す斜視図である。
【図2】第1実施形態、及び第2実施形態の正面図である。
【図3】第1実施形態、及び第2実施形態のH−H’断面図である。
【図4】第1実施形態のA−A’断面図である。
【図5】第2実施形態を概念的に表す斜視図である。
【図6】第2実施形態のA−A’断面図である。
【図7】第1実施形態又は第2実施形態の全固体電池の一の変形例の断面図である。
【図8】第1実施形態又は第2実施形態の全固体電池の他の変形例の断面図である。
【図9】第3実施形態を概念的に表す断面図である。
【図10】第3実施形態の動作を概念的に表すフローチャートである。
【図11】第4実施形態を概念的に表す斜視図である。
【図12】全固体電池の性能及び効果を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照して説明する。
【0039】
図1〜図4を参照して、第1実施形態に係る全固体電池1000について説明する。図1は、全固体電池1000の外観を示し、図2は、これを正面からみた図である。図3は、図1の第1のH−H’断面、即ち、全固体電池1000を鉛直な一平面で切った横断面を示し、図4は、図1のA−A’断面、即ち、全固体電池1000を水平な一平面で切った断面を示す。
【0040】
図1〜図4において、全固体電池1000は、積層体150、加圧治具160、圧力受部170及び加圧装置180を備えた、本発明に係る「全固体電池」の一例である。図3において点線で図示するように、全固体電池1000は、被覆材155を積層体150の表面に更に備えてもよいし、備えなくてもよい。なお、図1〜図3において、DR110は押付圧力の発生方向を表し、DR120は積層方向を表す。
【0041】
図3及び図4に示すように、積層体150は、正極層110、固体電解質層120及び負極層130を備え、この順番で積層されている。積層体150は一組の正極層110、固体電解質層120、及び負極層130を含んで構成されてもよく、複数組の正極層110、固体電解質層120、及び負極層130を含んで構成されてもよい。積層体150は更に、集電体を有してもよい。ここに「集電体」とは、正極層110及び負極層130の少なくとも一方の固体電解質層120を挟持する側に対向する側において、集電を行うものをいう。本実施形態において、加圧治具160と圧力受部170とが集電体を兼ねてもよい。積層体150は、集電体の一方の面に正極層110を形成し、集電体の他方の面に負極層130を形成した電極、いわゆるバイポーラ電極の構成を採ってもよい。バイポーラ電極の構成を採ることにより、高容量化及び高出力化が可能となる。
【0042】
集電体の材料は、導電性を有するものであれば特に限定されるものではない。例えば、SUS、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタン、銅およびカーボン等を挙げることができる。
【0043】
積層体150においては、固体電解質層120、正極層110、及び負極層130の材料として、少なくとも部分的に圧粉材料が用いられる。各材料は均一に混合されたのち、プレス機等を用いて加圧成形されて積層体150となる。圧粉材料の混合方法や成形方法は、既存の各種手段を用いることができる。圧粉材料の粒子径や形態については、特に限定されるものではない。積層体150の全体の形状は、巻回型、平板型等を挙げることができる。
【0044】
被覆材155の材料は、加圧冶具160より低い硬度を有するものであれば特に限定されるものではない。例えば、合成樹脂や天然樹脂等を挙げることができる。特に、耐湿性、耐久性に優れた材質を採用すると、一段と有利となる。例えば、耐湿性に優れた材料を採用することで、積層体150に水分等が浸入することをより効果的に防止できる。なお同様にして水分に限らず、空気、腐食性のガス、チリ、ゴミ等が進入することを阻止することも可能である。したがって、全固体電池1000の劣化を防ぐことができ、全固体電池1000の出力低下を抑制することが可能である。
【0045】
固体電解質層120に用いられる材料は、既存の各種全固体電池に用いられる材料と同様のものを用いることができる。固体電解質としては、例えば、硫化物系固体電解質、リン酸系固体電解質、ガーネット系固体電解質等を挙げることができる。硫化物系固体電解質としては、硫黄成分を含有し、Liイオン伝導性を有するものであれば特に限定されるものではない。例えば、Li2S-P2S5、Li2S-SiS2、LiGe0.25P0.75S4等を挙げることができる。リン酸系固体電解質としては、リン酸成分を含有し、Liイオン伝導性を有するものであれば特に限定されるものではない。例えば、LiPON、Li1+XAlXTi2-X(PO4)3、Li1+XAlXGe2-X(PO4)3等を挙げることができる。ガーネット系固体電解質としては、例えばLi7La3Zr2O12、Li5La3Nb2O12等を挙げることができる。
【0046】
正極層110に用いられる正極材料は、既存の各種全固体電池に用いられる正極材料と同様のものを用いることができる。正極活物質としては、例えば、LiCoO2、LiCrO2、LiNiO2、LiMn2O4、Li2NiMn3O8、Li3NiMnCoO6、LiMgMn3O8、LiNiGe3O8、LiNiVO2、LiCoVO2、LiFePO4、LiCoPO4等を挙げることができる。正極層110は必要に応じて、Liイオン伝導性向上材料、導電化材料、結着剤等を有する。Liイオン伝導性向上材料としては、例えば、上述した固体電解質と同様の材料を用いることができる。導電化材料としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンファイバー等を挙げることができる。結着剤としては、例えば、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴム、エチレンプロピレンジエンなどの合成ゴム、ポリフッ化ビニリデンなどの高分子材料等を挙げることができる。
【0047】
負極層130に用いられる負極材料は、既存の各種全固体電池に用いられる負極材料と同様のものを用いることができる。負極活物質としては、例えば、炭素系材料、Li金属、Li合金、酸化物材料、窒化物材料等を挙げることができる。炭素系材料としては、例えば、黒鉛、カーボンナノチューブ、メソカーボンマイクロビーズ、高配向性グラファイト、ハードカーボン、ソフトカーボン等を挙げることができる。Li合金としては、例えば、Mg、Ca、Al、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Ag、Au、Zn、Cd、Hg等とLiとの合金を挙げることができる。酸化物材料としては、例えば、Nb2O5、TiO2、Li4Ti5O12、WO2、Fe2O3等を挙げることができる。窒化物材料としては、例えば、Li3-XCoXN、Li3-XNiXN、Li3-XCuXN等を挙げることができる。負極層130は必要に応じて、Liイオン伝導性向上材料、導電化材料、結着剤等を有する。Liイオン伝導性向上材料、導電化材料、結着剤等としては、上述した正極層110に用いられる材料と同様のものを用いることができる。
【0048】
加圧治具160は、積層体150に対し、その積層方向(図3中、矢印DR120で示した方向)、言い換えれば、固体電解質層120、正極層110及び負極層130各々の法線方向に、拘束圧力を与えるための治具である。
【0049】
加圧治具160の材料は、積層体150に拘束圧力を与えることができるものであれば特に限定されるものではない。好ましくは、積層体150よりも剛性の高い材料が採用される。例えば、樹脂、金属、セラミックス等を挙げることができる。金属の加圧治具160は集電体を兼ねることもできる。この場合、導電性に優れた金属材料を用いるのがよく、いずれかの電極層(即ち、正極層110又は負極層130)の少なくとも一方に対して電気的な接触がとれるものが好ましい。加圧治具160の形についても、積層体150に対して、押付圧力の分力として拘束圧力を与えることができるものであれば、特に限定されるものではない。典型的には、楔形、円錐形、角錐形、円錐台形、角錐台形などであってもよい。加圧冶具160と積層体150との摩擦は、小さいことが好ましい。摩擦が小さいことで、積層体150を均一に加圧することができる。
【0050】
加圧治具160の積層体150に接する表面の形状は、積層体150に拘束圧力を与えることができるものであれば特に限定されるものではない。表面は非凹凸面或いは平滑面であってもよく、溝や突起が備えられていてもよい(即ち、凹凸面であってもよい)。積層体150の表面が平滑である場合、積層体150に接する表面が平滑の加圧治具160は、均一に積層体150を加圧することができる。或いは、積層体150の表面が湾曲面等である、即ち平滑でない場合、積層体150に接する表面が前記湾曲面等と相補の湾曲面等である加圧治具160は、均一に積層体150を加圧することができる。積層体150に接する表面に溝や突起が備えられている加圧治具160は、溝や突起がガイドの役割をはたすので拘束圧力を精密に調節することができる。
【0051】
圧力受部170は、積層体150に加わる積層方向の拘束圧力を受けるための治具である。圧力受部170の材料や特徴については、例えば加圧治具160と同様であってもよいし、異なっていてもよい。
【0052】
加圧治具160と圧力受部170の機能は逆でもよいし、加圧治具160と圧力受部170とが互いの機能を兼ね備えていても良い。いずれの場合も上述の構成と同様の効果を得ることができる。
【0053】
加圧装置180は、本発明に係る「加圧手段」の一例である。加圧装置180は、加圧治具160を積層方向(図3中、矢印DR120で示した方向)に対して斜め(図3中、矢印DR110で示した方向、即ち、図3では鉛直方向)に押し付ける押付圧力を発生させる。加圧装置180は加圧治具160に与える押付圧力を発生させることができるものであれば特に限定されるものではない。例えば、バネ、ゴム、発泡樹脂、ビス、ネジ、ケース等の、弾性力によって押付圧力を発生させる弾性部材を含んでもよい。或いは、電動式、電磁気式、加圧式、ポンプ式等のアクチュエータを含んでもよい。この際、押付圧力の発生は、常時若しくは連続的若しくは断続的であってもよいし、定期的若しくは不定期的であってもよい。
【0054】
以上のように構成された本実施形態に係る全固体電池1000は、例えばハイブリッド車両等に搭載される。車両の走行時や停車時には、車両のモータジェネレータを駆動するために全固体電池1000からの放電が適宜に行われ、該モータジェネレータによる全固体電池1000の充電が適宜に行われる。
【0055】
このような充放電に伴って、積層体150に含まれる或いは正極層110又は負極層130を構成する活物質の膨張収縮が起こる。特に、このような膨張収縮は、積層体150を構成する材料が、少なくとも部分的に圧粉材料を含む場合には顕著となる。ここで仮に何らの対策も施さなければ、上述の膨張収縮によって、活物質と活物質との、又は固体電解質と活物質との界面に十分な拘束圧力が加わらない。このため、界面抵抗が上がり、全固体電池1000の出力が低下しかねない。
【0056】
そこで本実施形態では、加圧装置180は、このような充放電の最中に或いは充放電に相前後して、加圧治具160を積層方向(即ち図3中、矢印DR120で示した方向)に対して斜めに押し付ける、図3にて矢印DR110で示された斜め方向(即ち、図3中、鉛直方向)に、押付圧力を発生させる。押付圧力は加圧治具160によって、積層方向の分圧或いは分力として拘束圧力となる。言い換えると、積層方向に対して斜めである押付圧力は、加圧冶具160のくさびの効果により、積層方向に沿った、理想的には積層方向に平行な(言い換えれば、各層の表面に対して法線方向の)、即ち図3にて矢印DR120で示された積層方向の拘束圧力となり、積層体150に作用する。
【0057】
拘束圧力によって積層体150の要素同士は良好に密着し、更に、この状態を比較的容易に維持可能となるので、全固体電池1000の充放電に伴う出力低下を抑制するこができる。
【0058】
次に、本発明の第2実施形態について、主に図5及び図6を参照して説明する。ここに、図5は、第1実施形態の図1と同趣旨の斜視図であり、第2実施形態に係る全固体電池1000の外観を示す。図6は、第1実施形態の図4と同趣旨の図面であり、第2実施形態に係る全固体電池1000を水平な一平面で切ったA−A’断面を示す。なお、第2実施形態における正面図及びH−H’断面図については、第1実施形態における正面図(即ち図2)及びH−H’断面図(即ち図3)と夫々同様であるので、それらを援用する。第2実施形態に係る図5及び図6において、第1実施形態に係る図1及び図4と同様の構成要素には、同様の参照符号を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0059】
図5に示すように、本実施形態においては、加圧治具260の形は、(図1の加圧治具160ように円錐形ではなく)楔形である。これに対応して、本実施形態においては、積層体250の形は、(図1のように円錐形ではなく)逆ハの字の切り文字形であり、圧力受部270についても(図1のように円錐形ではなく)逆ハの字の又はV字の切り文字形状である。その他の構成については、図1〜図4に示した第1実施形態と概ね同様である。
【0060】
第2実施形態は、以上のように構成されているので、第1実施形態の場合と同様に、車両に搭載され、充放電が行われる。
【0061】
第2実施形態によれば、加圧装置180は、このような充放電の最中に或いは充放電に相前後して、加圧治具260を積層方向に対して斜めに押し付ける(図5にて矢印DR110で示された鉛直な方向の)押付圧力を発生させる。押付圧力は、加圧治具260によって、積層方向の分圧或いは分力として拘束圧力となる。第2実施形態によれば特に、楔形の加圧治具260を利用することで、全体構成をより単純化でき、拘束圧力を均一にかけることが容易となる。
【0062】
次に、以上説明した第1又は2実施形態の一の変形例について図7を参照して説明する。ここに、図7は本変形例を示す、図3と同趣旨の断面図である。本変形例に係る図7において、図1〜図6と同様の構成要素には、同様の参照符号を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0063】
図7において、本変形例では、積層体350は、正極層110、固体電解質層120及び負極層130に加えて、集電体340を備える。集電体340は正極層110及び負極層130の固体電解質層120を挟持する側に対向する側において、集電を行う。加圧装置380は、バネを含んで構成される。加圧治具360の形は、加圧治具160(図1等参照)又は加圧治具260(図5等参照)と同様の形である。本変形例では、積層体350が高い剛性を有するように構成されているので、積層体350が、第1及び第2実施形態における圧力受部170(図1等参照)及び圧力受部270(図5等参照)を兼ねている。その他の構成については、図1〜図6に示した第1実施形態又は第2実施形態と概ね同様である。
【0064】
本変形例によれば、加圧装置380は、充放電の最中に或いは充放電に相前後して、加圧治具360を積層方向に対して斜めに押し付ける(図7にて矢印DR110で示された鉛直な方向の)押付圧力を発生させる。押付圧力は、加圧治具360によって、積層方向の分圧或いは分力として拘束圧力となる。本変形例によれば特に、バネの弾力及び積層体350の高剛性を利用することで、全体構成をより単純化でき、拘束圧力を均一にかけることが容易となる。
【0065】
次に、第1実施形態又は第2実施形態の他の変形例について図8を参照して説明する。ここに、図8は本変形例を示す、図3と同趣旨の断面図である。本変形例に係る図8において、図1〜図7と同様の構成要素には、同様の参照符号を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0066】
図8において、本変形例では、積層体150は、これを上下から挟持する2つの加圧治具460から拘束圧力を加えられる。本変形例において、加圧治具460は加圧治具と圧力受部の両方の機能を有する。その他の構成については、図1〜図7に示した第1実施形態又は第2実施形態と概ね同様である。
【0067】
本変形例によれば、加圧装置180は、充放電の最中に或いは充放電に相前後して、加圧治具460を積層方向に対して斜めに押し付ける(図8にて矢印DR110で示された鉛直な方向の)押付圧力を発生させる。押付圧力は、加圧治具460によって、積層方向の分圧或いは分力として拘束圧力となる。本変形例によれば特に、加圧治具460を利用することで、全体構成をより単純化でき、複数の積層体350に均一に拘束圧力を加えることが容易となる。
【0068】
以下、本発明の第3実施形態について、図9及び図10を参照して、本発明の第3実施形態に係る全固体電池1000について説明する。図9は第3実施形態を概念的に表す図3と同趣旨の断面図である。第3実施形態における正面図は第1実施形態における正面図(即ち図2)と同様であり、第3実施形態における斜視図、及びA−A’断面図については、第1実施形態における斜視図(即ち図1)、及びA−A’断面図(即ち図4)、又は第2実施形態における斜視図(即ち図5)、及びA−A’断面図(即ち図6)と夫々同様であるので、それらを援用する。図10は第3実施形態に係る全固体電池の動作を概念的に表すフローチャートである。
【0069】
第3実施形態は、第1実施形態又は第2実施形態に対して、検知装置590と制御装置595とを更に備える。第3実施形態に係る図9において、図1〜図8と同様の構成要素には、同様の参照符号を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0070】
図9において、検知装置590は、本発明に係る「検知手段」の一例である。検知装置590は、拘束圧力及び押付圧力の少なくとも一方を定期的に若しくは不定期に又は常時に検知する。検知装置590は、例えば、直接又は間接的に、拘束圧力及び押付圧力の少なくとも一方を測定する、演算する、推定するセンサ、演算器等を含む。検知装置590としては、例えば、圧電素子、歪みゲージ、感圧ダイオード、ロードセル、ダイヤグラム、ブルドン管、ベローズ等を挙げることができる。
【0071】
制御装置595は、本発明に係る「制御手段」の一例である。制御装置595は、検知された拘束圧力及び押付圧力の少なくとも一方の値に基づいて、押付圧力を変化させるように加圧手段180を制御する。例えばプロセッサ、メモリ等を含んでなる制御装置595は、加圧装置180を制御することができるものであれば、既存の各種手段を用いることができる。制御装置595は、エンジン制御用ICなど、他のコントローラと共通であってもよいし、他のコントローラからは独立した専用コントローラであってもよい。
【0072】
圧力受部570の形は、圧力受部170(図1等参照)又は圧力受部270(図5等参照)と同様の形である。
【0073】
その他の構成については、図1〜図8に示した第1実施形態又は第2実施形態と概ね同様である。
【0074】
以上のように構成された第3実施形態の動作について、図10を参照して、工程ごとに説明をする。
【0075】
図10において、圧力検知工程では、先ず、拘束圧力及び押付圧力の少なくとも一方の圧力が、検知装置590により検知される(ステップS1)。例えば、圧力センサ等が加圧治具360の積層体150に接する部分に備えられて、拘束圧力が検知される。若しくは、圧力センサ等が加圧装置180の加圧治具360に接する部分、又は加圧治具360の加圧装置180に接する部分に備えられて、押付圧力が検知される。
【0076】
次に、判定工程では、検知された圧力が所定の範囲内にあるか否かについて、制御装置595によって判定される(ステップS2)。より具体的には、先ず、ステップS1で検知された拘束圧力及び押付圧力の少なくとも一方の圧力が、あらかじめ設定された圧力の範囲内にあるか否かが判定される(ステップS2a)。ここであらかじめ設定された圧力の範囲内にあれば(ステップS2a:Yes)、一連の処理は終了される。
【0077】
他方、検知された圧力が設定範囲外である場合は(ステップS2a:No)、更に、検知された圧力が設定範囲より低いか否かが判定される(ステップS2b)。
【0078】
ここで、検知された圧力が設定範囲より低い場合には(ステップS2b:Yes)、加圧工程が行われる(ステップS3)。即ち、加圧装置180が作動して、拘束圧力が高められる。より具体的には、制御装置595から加圧装置180に動作指示がなされ、加圧治具360を加圧する押付圧力が与えられる。加圧治具360に与えられた押付圧力は、積層体150に加わる拘束圧力を高めるように作用する。積層体150に加わる拘束圧力が高められると、積層体150の活物質と活物質、又は固体電解質と活物質の接触面積が増大し、界面抵抗が低下する。このような加圧工程によって、界面抵抗の上昇を防ぎ、全固体電池1000の出力低下を抑制することが可能となる。
【0079】
他方、検知された圧力が設定範囲より低くない場合には(ステップS2b:No)、言い換えれば検知された圧力が設定範囲より高い場合には減圧工程が行われる(ステップS4)。即ち、加圧装置180が作動して、拘束圧力が低められる。より具体的には、制御装置595から加圧装置180に動作指示がなされ、加圧治具360を減圧する押付圧力が与えられる。加圧治具360に与えられた押付圧力は、積層体150に加わる拘束圧力を低めるように作用する。拘束圧力を低めることで、積層体150に充放電に適した拘束圧力を与えることができる。更に、積層体150、加圧治具360、加圧装置180、及び圧力受部570等に過大な力が加わることを防ぐことがでる。このような減圧工程によって、積層体150に充放電に適した拘束圧力を与えることができ、更に、全固体電池1000の破壊を防ぐことができるので、全固体電池1000の出力低下を抑制することが可能となる。
【0080】
以上説明した図10に示した処理を行うことで、安定した拘束圧力を積層体150に加えることができる。安定した拘束圧力によって、積層体150の要素同士は良好に密着し、更に、この状態を維持することが可能となるので、全固体電池1000の出力低下を抑制することが可能となる。
【0081】
以下、本発明の第4実施形態について、図11を参照して説明する。ここに図11は第4実施形態の一様態を概念的に表す第1実施形態に係る図1、及び第2実施形態に係る図5と同趣旨の斜視図である。第4実施形態に係る図11において、図1〜図10と同様の構成要素には、同様の参照符号を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0082】
図11において、DR610は押付圧力の発生方向を表し、DR620は積層方向を表す。加圧治具660に押付圧力を与える方向(図11中、矢印DR610で示した方向)と、積層方向(図3中、矢印DR620で示した方向)は一致している。加圧治具660と圧力受部670は積層方向の法線方向(図11中、矢印DR620で示した方向の法線方向)に平行に配置される。加圧装置680は、加圧治具660を積層方向に平行に押し付ける。即ち、第4実施形態は、加圧治具660に加えられる押付圧力そのものとして拘束圧力を発生させるように構成されている。積層体650は、集電体340の一方の面に正極層110を形成し、他方の面に負極層130を形成したバイポーラ電極645の構成を有する。バイポーラ電極645の構成を採ることにより、高容量化及び高出力化が可能となる。その他の構成については、図9及び図10に示した第3実施形態と概ね同様である。
【0083】
第4実施形態に係る全固体電池の動作は図10に表すフローチャートと同様であってもよいし、異なっていてもよい。
【0084】
第4実施形態により、充放電に伴う積層体650に含まれる活物質の膨張収縮が起こっても、検知装置590により検知される活物質の膨張収縮に応じて変化する圧力の値に基づいて、制御装置595によって加圧治具560に与える押付圧力を制御することが可能となる。
【0085】
したがって、安定した拘束圧力を積層体に加えることができる。安定した拘束圧力によって、積層体650の要素同士は良好に密着し、更に、この状態を維持することが可能となるので、全固体電池1000の出力低下を抑制することが可能となる。
【実施例】
【0086】
以下、本発明の実施例について、図12を参照して説明する。本実施例では、全固体電池における、拘束圧力に対する抵抗値を確認する。ここに図12は、全固体電池の性能及び効果を表すグラフである。
【0087】
全固体電池の材料については、正極活物質としてLiCoO2、固体電解質として7Li2S-3P2S5、及び負極活物質としてグラファイトを用いる。
【0088】
実施例として、150Kgf/cm2の拘束圧力をかけたセル(第1実施例)、300Kgf/cm2の拘束圧力をかけたセル(第2実施例)、及び450Kgf/cm2の拘束圧力をかけたセル(第3実施例)を製作する。比較例として、0.2Kgf/cm2の拘束圧力をかけたセル(比較例)を製作する。
【0089】
図12は、このようにして作成した各セルの初期の直流抵抗と20サイクル後の直流抵抗、及び初期の界面抵抗と20サイクル後の界面抵抗を示す。
【0090】
図12に示されるように、第1〜3実施例は比較例に比べて、初期の直流抵抗に対する20サイクル後の直流抵抗、及び初期の界面抵抗に対する20サイクル後の界面抵抗の上昇が抑制されている。セルに拘束圧力をかけることで、直流抵抗及び界面抵抗の上昇を防ぎ、全固体電池の出力低下を抑制することが可能となる。
【0091】
このように第1〜3実施例によれば、比較例と比較して、拘束圧力が界面抵抗の上昇を効果的に抑制していることが分かる。特に第2実施例の拘束圧力が界面抵抗の上昇を効果的に抑制している。従って、図12は、全固体電池の界面抵抗の上昇を効果的に抑制することのできる拘束圧力の範囲が存在することを示す。
【0092】
本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う全固体電池もまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0093】
110 正極層
120 固体電解質層
130 負極層
340 集電体
645 バイポーラ電極
150、250、350、650 積層体
155 被覆材
160、260、360、460、660 加圧治具
170、270、570、670 圧力受部
180、380、680 加圧装置
590 検知装置
595 制御装置
1000 全固体電池
DR110、DR610 押付圧力の発生方向
DR120、DR620 積層方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極層、負極層、並びに、前記正極層及び前記負極層の間に挟持された固体電解質層を有する積層体と、
前記積層体に対し、前記積層体の積層方向に拘束圧力を与えるための加圧冶具と、
前記加圧治具を前記積層方向に対して斜めに押し付ける押付圧力を発生させることで、前記拘束圧力を前記押付圧力の前記積層方向の分力として発生させる加圧手段と
を備えることを特徴とする全固体電池。
【請求項2】
前記積層体における、前記加圧治具が押し付けられる側に対向する側において、前記拘束圧力を受ける圧力受部を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の全固体電池。
【請求項3】
前記拘束圧力及び前記押付圧力の少なくとも一方を検知する検知手段と、
前記検知された少なくとも一方の値に基づいて、前記押付圧力を可変とするように前記加圧手段を制御する制御手段と
を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の全固体電池。
【請求項4】
前記正極層、前記負極層及び前記固体電解質層積層体は、少なくとも部分的に圧粉材料を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の全固体電池。
【請求項5】
正極層、負極層、並びに、前記正極層及び前記負極層の間に挟持された固体電解質層を有する積層体と、
前記積層体に対し、前記積層体の積層方向に拘束圧力を与えるための加圧冶具と、
前記加圧治具を押し付けることで、前記拘束圧力を発生させる加圧手段と、
前記拘束圧力及び前記加圧手段が前記加圧冶具に与える押付圧力の少なくとも一方を検知する検知手段と、
前記検知された少なくとも一方の値に基づいて、前記押付圧力を可変とするように前記加圧手段を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする全固体電池。
【請求項6】
前記積層体は、前記積層体が前記加圧冶具に対向する面の表面に前記加圧冶具より硬度の低い被覆材を更に備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の全固体電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−48853(P2012−48853A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187455(P2010−187455)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】