説明

全血を血液成分に分離する遠心分離装置および遠心分離装置に挿入する流体的に連通する容器、ならびに全血から高度に濃縮された血小板濃縮物を取り出す方法

【課題】高度に濃縮された血小板濃縮物を簡単に生成することができる遠心分離装置を提供すること。
【解決手段】制御ユニットおよび駆動ユニットと、互いに流体的に連通する容器(18、20、22、24)を取外し可能に保持する容器レセプタクル(14a、14b;16a、16b)を有するロータ(12)と、容器レセプタクル(14a、14b;16a、16b)間に設けられ、制御ユニットに接続されて分離層を検出する少なくとも1つのセンサとを備えて、制御ユニットに接続されたモータおよびギヤユニット(30a、30b、32a、32b)が、血液成分の容器(18、20、22、24)間の移動および逆移動を開始する手段(34)を介して各容器レセプタクル(14a、14b;16a、16b)内に収容された各容器(18、20、22、24)に動作的に連結する遠心分離装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲の請求項1、7、14に記載の全血を血液成分に分離する遠心分離装置および遠心分離装置に挿入する流体的に連通する容器、ならびに遠心分離装置によって全血から高度に濃縮された血小板濃縮物(Thrombozytenkonzentrats)を取り出す方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、全血から高度に濃縮された血小板濃縮物を抽出することは知られている。
このために、遠心分離装置を用いた第1の遠心分離プロセスにおいて、全血を高密度の赤血球(Erythrozyten)と多血小板血漿(thrombozyten-bzw. plattchenreiches Plasma)とに分離する。
白血球からなる中間層は、赤血球と多血小板血漿との間にそれぞれ分離層を形成する。
次の第2の遠心分離プロセスにおいて、多血小板血漿はそれぞれ、乏血小板血漿と所望の血小板濃縮物とに分離される。
【0003】
EP 1 637 172 B1により、バッグに収容された血液成分を分離する方法が知られている。
全血を赤血球と多血小板血漿とに分離した後、一般に、開示の装置を用いてさらに多血小板血漿を処理することにより血小板濃縮物を抽出することができる。
EP 1 637 172 B1では、遠心分離用の遠心分離装置に加え、さらに押出し用の装置が設けられている。
この場合、一方の遠心分離装置と他方の押出し装置とを切り替える必要があり、これは煩雑であり時間がかかることがわかっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、高度に濃縮された血小板濃縮物を簡単に生成することができる遠心分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴により達成される。
【0006】
従属請求項2乃至6は、本発明の有利なさらなる発展形態である。
【0007】
本発明によれば、全血を血液成分に分離する遠心分離装置は、閉ループおよび/または開ループ制御ユニット、ならびにこの閉ループおよび/または開ループ制御ユニットに接続された駆動ユニットと、流体的に連通する容器を取外し可能に支持する少なくとも2つの容器レセプタクルを有するロータと、容器レセプタクル間に設けられ、閉ループおよび/または開ループ制御ユニットに接続され、分離層を検出する少なくとも1つのセンサとを備える。
それぞれ閉ループおよび/または開ループ制御ユニットに接続されたモータギヤユニットは、各容器レセプタクルに対応し、血液成分の容器間の移動および逆移動を開始するのに好適な手段によって各容器レセプタクルに支持された各容器と協働関係にあるように構成されている。
有利には、本発明の遠心分離装置によって、血液成分の遠心分離装置内の容器間における移動および逆移動を自動的に行うことができるようになった。
2つの容器のうちの一方を取り外す必要がないため、これに伴う望ましくない混合が避けられ、高度に濃縮された血液成分の生成、特に高度に濃縮された血小板濃縮物の生成を確実に行うことができる。
既に述べたように、血液成分の容器間の移動または逆移動の際に容器が遠心分離装置内に取り付けられたままであるため、操作の簡易化、処理時間の短縮、明確な高品質の特徴を有する血小板濃縮物の再現性のある抽出がさらに確実になる。
【0008】
本発明の特に有利な実施例によれば、ロータは、2つの容器レセプタクルを備える少なくとも2つの容器レセプタクル対を備え、各容器レセプタクルは互いに流体的に連通した2つの容器を取外し可能に支持し、各容器レセプタクル対の間に分離層を検出するセンサが設けられている。
容器レセプタクル対はそれぞれ、血液サンプルを無菌処理するための閉鎖系である。
2つの容器を対で設けることにより、遠心分離装置の最適な負荷と分離を最適に行う円滑な動作とが保証され、有利であることがわかる。
【0009】
好ましくは、容器を備える容器レセプタクル対の装着を検出可能なさらなるセンサが各容器レセプタクル対に対応している。
このさらなるセンサを設けることにより、容器対が非装着であり、したがって不平衡であることを早期に検出することができる。
【0010】
分離層の検出または容器レセプタクル対の装着の検出をそれぞれ高い費用効率および信頼性で確実に行うために、センサは光センサとして実装される。
【0011】
遠心分離装置は、低雑音のデータ転送およびエネルギー伝達を確保するために、誘導データ転送およびエネルギー伝達のための誘導インタフェース(induktive Schnittstelle)を備える。
【0012】
さらに、本発明は、取扱いの簡潔さに加えて高効率を確保する遠心分離装置用の流体的に連通する容器を提供する目的に基づく。
【0013】
この目的は、請求項7の特徴によって達成される。
【0014】
従属請求項8乃至13は、流体的に連通する容器の有利なさらなる発展形態である。
【0015】
本発明によれば、流体的に連通する容器は、血液サンプルの無菌処理のための閉鎖系を形成し、それぞれ管状に形成されてこの管の内部に可動に配設されたピストンを有し、管はピストンと取外し可能に接触するプッシュロッドによって各容器レセプタクルに対応したモータギヤユニットと動作的に連結されている。
本発明に係る容器の配置は、管が強い構造を有するため堆積物層(sedimentationsnester)を含まないことにより効率が高く、それゆえ特に有利であることがわかる。
さらに、管内に設けられたピストンと、遠心分離装置の関連するモータギヤユニットとのプッシュロッドによる接続はこのように形成されるので、取扱いも簡単になる。
【0016】
本発明の特に有利な実施例によれば、管の少なくとも1つでは、ピストンがこのピストンの内側への動作方向から見て前方ピストン部と後方ピストン部との2部品で形成されている。
ここで、前方ピストン部と後方ピストン部は互いに取外し可能に連結され、後方ピストン部にはシールによって閉じられた貫通孔が設けられ、2つのピストン部の連結を外すことにより、後方ピストン部に設けられた貫通孔に挿入可能なピストンロッドによって前方ピストン部が後方ピストン部に対して移動可能になっている。
ピストンを2部品で設けることにより、前方ピストン部の上下動作によって管のこの領域に収容された血液成分の意図する混合を行うことができるので、特に有利であることがわかる。
【0017】
ここで、好ましくは、後方ピストン部と前方ピストン部とは差込みカップリング(Bajonettverschlusses)によって互いに取外し可能に連結され、前方ピストン部には内側にねじ山を有する孔が設けられ、これに対応して、ピストンロッドにはその前方部分に外側ねじ山が形成されている。
差込みカップリングによる取外し可能な連結を設けるとともにピストンロッドと前方ピストン部との間にねじ接合を設けることは、差込みカップリングおよびピストンロッドと前方ピストン部との間のねじ締めを回動動作により操作することができるため、特に有利であることがわかる。
例えば、ピストンロッドは時計回り方向の回転によって前方ピストン部に連結されてもよく、ピストンロッドが前方ピストン部に固定して連結された後に続けて反時計回り方向に回転することにより、差込みカップリングを外すことができる。
【0018】
光センサによって分離層を効果的に検出するために、2つの管が透明ホースにより互いに流体的に連通して連結されている。
【0019】
他の実施例によれば、2つ以上の管が透明ホースによって互いに流体的に連通して連結され、透明ホースは、連結要素によってそれぞれ逆止弁を備える2つ以上のホース線に分割されている。
例えば、1つの管が、全血が充填されるとともに連結要素を備える透明ホースによって別の2つの管に流体的に連結されている場合、全血を血液成分に分離することに加え、分離した血液成分を2つの別々の管に移すことを有利に行うことができるようになる。
【0020】
好ましくは、透明ホースは一体型の弁を備える。
弁を一体的に設けることにより、遠心分離中または遠心分離プロセス後に意図しない逆流が起こることを防ぐ効果がある。
【0021】
本発明のさらなる有利な実施例によれば、透明ホースはその端部に連結要素を備え、これにより透明ホースを管のキャップを介して取外し可能に連結することができる。
連結要素を設けることにより、取扱いが簡単になるので、有利となることがわかる。
【0022】
さらに、本発明は、全血から高度に濃縮された血小板濃縮物を抽出する方法を提供する目的に基づく。
【0023】
この目的は、請求項14の特徴により達成される。
【0024】
従属請求項15および16は、本方法の有利なさらなる発展形態である。
【0025】
本発明の方法は、次の各ステップを含む。
・第1の管が全血を収容し、第2の管(以下、二次管という。)が必要に応じて生体適合性材料(biokompatiblen Werksoff)を収容する、透明ホースによって互いに流体的に連結された少なくとも2つの管を容器レセプタクルに挿入するステップと、
・管内に配置されたピストンと関連するモータギヤユニットとをプッシュロッドによって動作的に連結するステップと、
・遠心分離装置を第1の遠心分離速度で動作開始させるステップと、
・第1の管において、高密度の赤血球濃縮物と分離層によって赤血球濃縮物から分離された多血小板血漿とが形成されるまで第1の遠心分離を行うステップと、
・遠心分離速度を第1の押出し速度に減速するステップと、
・第1の管に対応し、ピストンと動作的に連結されたモータギヤユニットを起動し、センサが分離層を検出するまで多血小板血漿を透明ホースを通して二次管に押し出すステップと、
・遠心分離速度を第2の遠心分離速度に加速するステップと、
・二次管において、より高密度の血小板濃縮物と分離された乏血小板血漿とが形成されるまで第2の遠心分離を行うステップと、
・遠心分離速度を第2の押出し速度に減速するステップと、
・二次管に対応し、ピストンと動作的に連結されたモータギヤユニットを起動し、乏血小板血漿を第1の管に押し戻すステップと、
・遠心分離装置を減速するステップと、
・モータギヤユニットを減速するステップと、
・第1の管および二次管を取り外すステップ。
【0026】
本発明の方法によれば、二次管を第2の管レセプタクルから取り出す前に乏血小板血漿を取り除くので、繰り返しの混合を避けることができ、本発明の方法によって高度に濃縮された血小板濃縮物を有利に生成することができる。
【0027】
好ましくは、管を挿入するステップと取り外すステップ以外の、全ての方法ステップが自動化され、すなわち、予め定められた実行方式に従って実行される。
第1の遠心分離のパラメータ(時間、速度またはRCF/半径、加速度および減速度(Zeit, Drehzahl oder RCF/Radius, Anlauf und Bremsrampen))、第1の押出し速度、第2の遠心分離のパラメータ(時間、速度またはRCF/半径、加速度および減速度)、第2の押出し速度、逆方向への押出しプロセスにおける逆方向押出し量、遠心分離装置を減速する減速度は、予め定められた実行計画に従って実行され、操作者の側における誤操作は殆どなくなる。
【0028】
ここで、上記パラメータは、静置された遠心分離装置で閉ループおよび/または開ループ制御ユニットに操作者によって簡便に入力されてもよく、各用途に合わせて変更または適応させるようにしてもよい。
【0029】
特に、二次管が生体適合性材料を収容している場合、血小板濃縮物を生成する方法の特に有利な実施例によれば、2部品ピストンを備える管が二次管として用いられ、二次管を遠心分離装置から取り外した後、二次管の収容物、すなわち、生体適合性材料と血小板濃縮物とは前方ピストン部によって混合される。
用途に応じて必要であれば、血小板濃縮物と生体適合性材料から欠損を充填するための均一なペーストが得られる。
次いで、これは欠損に塗布される。
【0030】
本発明のさらなる有利な特徴および可能な適用例は、図面に示す実施例に関する以下の詳細な説明から得られる。
【0031】
以下、図に示す実施例に関して本発明を説明するが、明細書、特許請求の範囲、図中において、符号の説明の一覧に記載した用語とこれらに関連付けられた参照符号が用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】それぞれ互いに流体的に連通した2つの容器を収容する2つの容器レセプタクル対14,16を備えるロータ12の斜視図である。
【図2】ロータ12が取り付けられていない状態の図1の遠心分離装置ヘッド11の斜視図である。
【図3】遠心分離装置10に挿入されることにより互いに流体的に連通する2本の管18、20の斜視図である。
【図4】図3の透明ホース26の斜視図である。
【図5】二次管の(a)組立状態図および(b)分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下の説明および図面において、さらに区別の必要がない限り、またはさらに区別することに意味がない限りにおいて、繰り返しを避けるために、同様の部分および構成要素は同様の参照符号で表す。
【0034】
図1に、参照符号10が付された遠心分離装置の全体の斜視図を示す。
明瞭にするために、ここでは、遠心分離装置ヘッド11と、この遠心分離装置ヘッド11に組み付けられたロータ12のみを示す。
また、明瞭にするために、遠心分離装置10の対応する閉ループおよび/または開ループ制御部および駆動部は図示していない。
【0035】
ロータ12は、全部で4つの容器レセプタクル14a、14b、16a、16bを備える。
以下、2つの容器レセプタクル14a、14bは単に第1の容器レセプタクル対14と呼び、容器レセプタクル16a、16bは第2の容器レセプタクル対16と呼ぶ。
第1の容器レセプタクル対14内および第2の容器レセプタクル対16内のそれぞれには1対の容器が収容され、それぞれの容器は、内部にピストンが可動に設けられた管の形状を呈していて互いに流体的に連通するように連結されている。
すなわち、第1の容器レセプタクル対14では、容器レセプタクル14a内に第1の管18が設けられ、容器レセプタクル14b内に二次管20が設けられている。
そして、第2の容器レセプタクル対16では、容器レセプタクル16a内に第2の管22が設けられ、容器レセプタクル16b内に二次管24が設けられている。
管18、22および二次管20、24は、それぞれ透明ホース26、28を介して互いに流体的に連通するように連結され、血液サンプルを無菌処理するための閉鎖系を形成する。
【0036】
さらに、図1からわかるように、第1の管18および二次管20、第2の管22および二次管24はそれぞれ半径方向に配列され、透明ホース26、28が中央ユニット内で案内されている。
透明ホース26、28のそれぞれには、透明ホース26、28内に生じる分離層を検出する第1の光センサが対応付けられている。
さらに、透明ホース26、28のそれぞれに対応し、同様に光センサとして構成された第2のセンサによって透明ホース26、28の有無がモニタされる。
これらのセンサは、明瞭にするためにここでは図示されていない。
【0037】
さらに図1からわかるように、容器レセプタクル14a、14b、16a、16bのそれぞれには、半径方向外側にモータギヤユニット30a、30b、32a、32bが対応付けられ、これらのモータギヤユニット30a、30b、32a、32bは各管内に設けられたピストンにプッシュロッド34によって動作的に連結されている。
明瞭にするために、各モータギヤユニット30a、30b、32a、32bにおいて1つのプッシュロッド34のみが図示されている。
【0038】
図2は、ロータ12を取り外した状態の遠心分離装置ヘッド11を示す。
図2において、モータギヤユニット30a、30b、32a、32bを詳細に示す。
【0039】
図3は、第1の容器レセプタクル対14に収容された第1の管18および二次管20を拡大図で示す。
図3からわかるように、第1の管18および二次管20はそれぞれ取外し可能なキャップ36、38を備え、透明ホース26にはその端部において連結要素40、42が設けられている。
それぞれ対応する要素であるキャップ36/連結要素40またはキャップ38/連結要素42により、第1の管18と二次管20との間の流体的連結を透明ホース26によって簡単に確立することができる。
第1の管18が全血を受容する機能を果たす一方、二次管20は分離された血液成分を受容するように設けられている。
第2の容器レセプタクル対16に収容された第2の管22および二次管24の構成も同様である。
【0040】
透明ホース26は、対応する連結要素40、42とともに図4にも示されている。
【0041】
図5は、二次管20、24の取付け状態(a)と分解状態(b)とを示す。
分解図(b)からわかるように、二次管20、24は2部品ピストン(zweigeteilten Kolben)44を備える。
【0042】
2部品ピストン44は、ねじ締め方向から見て後方ピストン部46と前方ピストン部48とを備え、これらの後方ピストン部46と前方ピストン部48とは差込みカップリング50によって互いに取外し可能に連結されている。
さらに、後方ピストン部46は、シールによって閉じられた貫通孔を有する。
さらに、前方領域に外側ねじ山54が設けられたピストンロッド52が二次管20または24に対応付けられている。
【0043】
これにより、遠心分離を終了した後、遠心分離装置から二次管20、24を取り外した後に、二次管20、24に収容された血液成分の混合を確実に行うことができる。
このために、ピストンロッド52は、二次管20、24に挿入され、後方ピストン部46内の貫通孔を通って押し出され、続いて前方ピストン部48にねじ締めされる。
ピストンロッド52と前方ピストン部48とが連結された後さらに回転させると、差込みカップリング50が外れ、前方ピストン部48は後方ピストン部46から分離される。
前方ピストン部48の後方ピストン部46に対する上下方向の動作により、前方ピストン部48に収容された血液成分が任意に収容された生体適合性材料と手動で混合される。
混合処理の後、前方ピストン部48はピストンロッド52によって後退し、再び後方ピストン部46に固定される。
【0044】
遠心分離装置10によれば、全血から高度に濃縮された血小板濃縮物を、あるいは生体適合性材料および血小板濃縮物からペーストを、効果的に生成することができる。
【0045】
このために、全血が充填された第1の管18と任意に生体適合性材料を収容する二次管20とが第1の容器レセプタクル対14に挿入される。
また、全血が充填されて同じ重量である第2の管22と、これに対応し任意に生体適合性材料を収容する二次管24とが第2の容器レセプタクル対16に挿入される。
【0046】
透明ホース26、28を検出するセンサにより、第2の容器レセプタクル対16が挿入されていないために不平衡である場合は、早期の段階で検出される。
【0047】
第1の管18および二次管20、第2の管22および二次管24が挿入された後、遠心分離装置10が起動される。
第1の遠心分離プロセスは、高密度の赤血球濃縮物と分離層によって赤血球から分離された多血小板血漿とが第1の管18と第2の管22内に形成されるまで継続する。
【0048】
次に、遠心分離装置10が減速され、それぞれ第1の管18と第2の管22とに対応するモータギヤユニット30a、32aが起動され、対応するプッシュロッド34によってそれぞれ第1の管18と第2の管22とに収容されたピストンを動作させる。
これは、多血小板血漿が、透明ホース26、28を通して、上述したように任意に生体適合性材料が収容されている対応する二次管20、24に押し出されることを意味する。
この押出しプロセスは、対応するセンサによって透明ホース26、28内で分離層が検出されるまで継続する。
【0049】
次に、遠心分離装置10を再び加速し、第2の遠心分離プロセスを行う。
第2の遠心分離プロセスは、より高密度の血小板濃縮物と乏血小板血漿とが二次管20、24内に形成されるまで継続する。
【0050】
次に、遠心分離装置10を再び減速し、二次管20、24にそれぞれ対応するモータギヤユニット30b、32bが動作を開始する。
次に、二次管20、24から所定の体積要素が透明ホース26、28を通して第1の管18および第2の管22に押し出され、二次管20、24内に高度に濃縮された血小板濃縮物が残留する。
【0051】
次に、遠心分離装置を減速し、モータギヤユニット30a、30b、32a、32bを減速させた後、管18、22、二次管20、24を取り外すことができる。
【0052】
さらなる処理工程において、ピストンロッド52は、任意に二次管20、24に挿入される。
上述したように、ピストンロッド52を前方ピストン部48に固定し、差込みカップリング50を緩めることにより、二次管20、24に収容された高度に濃縮された血小板濃縮物と任意に予め供給された生体適合性材料を混合させて均質なペーストを生成する。
【0053】
次に、押出しプロセスにより、高度に濃縮された血小板濃縮物またはペーストを二次管20、24からそれぞれ取り出す。
【符号の説明】
【0054】
10 遠心分離装置
11 遠心分離装置ヘッド
12 ロータ
14a 容器レセプタクル
14b 容器レセプタクル
16a 容器レセプタクル
16b 容器レセプタクル
14 第1の容器レセプタクル対
16 第2の容器レセプタクル対
18 容器/第1の管
20 容器/二次管
22 容器/第2の管
24 容器/二次管
26 透明ホース
28 透明ホース
30a モータギヤユニット
30b モータギヤユニット
32a モータギヤユニット
32b モータギヤユニット
34 プッシュロッド
36 キャップ
38 キャップ
40 連結要素
42 連結要素
44 2部品ピストン
46 後方ピストン部
48 前方ピストン部
50 差込みカップリング
52 ピストンロッド
54 外側ねじ山
I 挿入方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全血を血液成分に分離する遠心分離装置(10)において、
閉ループおよび/または開ループ制御ユニットおよび該閉ループおよび/または開ループ制御ユニットに接続された駆動ユニットと、
互いに流体的に連通する容器(18、20、22、24)を取外し可能に取り付ける少なくとも2つの容器レセプタクル(14a、14b;16a、16b)を有するロータ(12)と、
前記容器レセプタクル(14a、14b;16a、16b)にそれぞれ対応し、該容器レセプタクル(14a、14b;16a、16b)内に収容された前記容器(18、20、22、24)に動作的に連結され、血液成分の該容器間の移動および逆移動を開始するように構成された手段(34)とを備え、
前記容器レセプタクル(14a、14b;16a、16b)の間には、前記閉ループおよび/または開ループ制御ユニットに接続されて分離層を検出する少なくとも1つのセンサが設けられ、
前記手段(34)が、前記容器レセプタクル(14a、14b;16a、16b)のそれぞれに対応し、前記閉ループおよび/または開ループ制御ユニットに接続されたモータギヤユニット(30a、30b;32a、32b)によって、前記遠心分離装置の動作状態中に起動されるように構成されていることを特徴とする遠心分離装置。
【請求項2】
前記ロータ(12)が2つの容器レセプタクル(14a、14b;16a、16b)を備える少なくとも2つの容器レセプタクル対(14;16)を備え、該容器レセプタクルが互いに流体的に連通した2つの容器を取外し可能に保持し、
前記容器レセプタクル対(14;16)の間に分離層を検出するセンサが設けられていることを特徴とする請求項1記載の遠心分離装置。
【請求項3】
前記容器(18、20;22、24)を備える前記容器レセプタクル対(14;16)の装着を検出可能なさらなるセンサが該容器レセプタクル対(14;16)のそれぞれに対応付けて設けられていることを特徴とする請求項2記載の遠心分離装置。
【請求項4】
前記分離層を検出する1つまたは複数のセンサが、光センサとして構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の遠心分離装置。
【請求項5】
前記容器レセプタクル対(14;16)の装着を検出するセンサが、光センサとして構成されていることを特徴とする請求項3記載の遠心分離装置。
【請求項6】
前記ロータ(12)が、誘導データ転送およびエネルギー伝達のための誘導インタフェースを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の遠心分離装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の遠心分離装置用の流体的に連通した容器(18、20;22、24)であって、
血液サンプルの血液の無菌処理用の閉鎖系として構成され、
それぞれ内部にピストン(44)が可動に設けられた管の形状に形成され、
該管(18、20;22、24)は、前記ピストン(44)と取外し可能に接触するプッシュロッド(34)によって、前記容器レセプタクル(14a、14b;16a、16b)のそれぞれに対応したモータギヤユニット(30a、30b;32a、32b)に動作的に連結されていることを特徴とする遠心分離装置用の流体的に連通した容器。
【請求項8】
前記管の少なくとも1つにおいて、前記ピストン(44)が、該ピストン(44)の挿入方向(I)から見て後方ピストン部(46)と前方ピストン部(48)とを備える2部品ピストンとして形成され、
前記後方ピストン部(46)と前記前方ピストン部(48)とが互いに取外し可能に連結され、
前記後方ピストン部(46)がシールによって液密的に閉じられた貫通孔が設けられ、前記2つのピストン部(46、48) の連結が外れた後、該後方ピストン部(46)に設けられた該貫通孔に挿入されたピストンロッド(52)によって前記前方ピストン部(48)が該後方ピストン部(46)に対して移動可能であることを特徴とする請求項7記載の遠心分離装置用の流体的に連通した容器。
【請求項9】
前記後方ピストン部(46)と前記前方ピストン部(48)とが、差込みカップリング(50)によって互いに取外し可能に連結され、
前記前方ピストン部(48)には内側にねじ山が形成された孔が設けられ、
前記ピストンロッド(52)には前方領域に該内側ねじ山に対応する外側ねじ山(54)が形成されていることを特徴とする請求項8記載の遠心分離装置用の流体的に連通した容器。
【請求項10】
前記管(18、20;22、24)の2つが、透明ホース(26;28)によって互いに流体的に連通して連結されていることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれかに記載の遠心分離装置用の流体的に連通した容器。
【請求項11】
前記管の3つ以上が、連結要素(40、42)によって2つ以上のホース線に分割された透明ホース(26;28)によって互いに流体的に連通して連結され、該ホース線は逆止弁を備えていることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれかに記載の遠心分離装置用の流体的に連通した容器。
【請求項12】
前記透明ホース(26;28)が、弁を備えていることを特徴とする請求項10または請求項11記載の遠心分離装置用の流体的に連通した容器。
【請求項13】
前記透明ホース(26;28)が、端部に連結要素(40、42)を備え、前記管(18、20;22、24)のキャップ(36、38)に取外し可能に連結されていることを特徴とする請求項9乃至請求項12のいずれかに記載の遠心分離装置用の流体的に連通した容器。
【請求項14】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の遠心分離装置(10)と請求項7乃至請求項13のいずれかに記載の流体的に連通した容器(18、20;22、24)とを用いて全血から高度に濃縮した血小板濃縮物を抽出する方法において、
管(18;22)が全血を収容し、二次管(20;24)が必要に応じて生体適合性材料を収容する、透明ホース(26;28)を介して互いに流体的に連結された少なくとも2つの管および二次管(18、20;22、24)を容器レセプタクル(14a、14b;16a、16b)に挿入するステップと、
前記遠心分離装置を第1の遠心分離速度で動作開始させるステップと、
前記管(18;22)において、高密度の赤血球濃縮物と分離層によって該赤血球濃縮物から分離された多血小板血漿とが形成されるまで第1の遠心分離を行うステップと、
前記遠心分離装置の速度を第1の押出し速度に減速するステップと、
前記管(18;22)に対応し、ピストン(44)と動作的に連結されたモータギヤユニット(30a;32a)を起動し、前記センサが前記分離層を検出するまで前記多血小板血漿を前記透明ホース(26;28)を通して前記二次管(20;24)に押し出すステップと、
前記遠心分離装置の速度を第2の遠心分離速度に加速するステップと、
高密度の血小板濃縮物と該血小板濃縮物から分離された乏血小板血漿とが形成されるまで第2の遠心分離を行うステップと、
前記遠心分離装置の速度を第2の押出し速度に減速するステップと、
前記二次管(20;24)に対応し、ピストン(44)と動作的に連結されたモータギヤユニット(30b;32b)を起動し、前記乏血小板血漿を前記透明ホース(26;28)を通して前記管(18;22)に逆方向に押し出すステップと、
前記遠心分離装置を減速するステップと、
前記モータギヤユニット(30a、30b;32a、32b)を元に戻すステップと、
前記管および二次管(18、20;22、24)を取り外すステップとを含む方法。
【請求項15】
前記管および二次管(18、20;22、24)を挿入するステップと取り外すステップ以外の前記各ステップが、予め定められた動作計画に従って自動的に行われることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記第二次管(20;24)が、請求項10記載の2部品ピストン(44)を備え、生体適合性材料を収容し、
前記二次管(20;24)を前記遠心分離装置から取り外した後、二次管(20;24)に収容された前記血小板濃縮物を取り出す前に、前記前方ピストン部(48)によって該血小板濃縮物を前記生体適合性材料と混合することを特徴とする請求項14または請求項15記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−56260(P2011−56260A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−200267(P2010−200267)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(508291836)アンドレアス ヘティック ゲーエムベーハー アンド カンパニー カーゲー (9)
【Fターム(参考)】