説明

共役ジエンのカルボニル化

共役ジエンをカルボニル化するための方法について説明する。該方法は、溶媒系および触媒系の存在下において、共役ジエンを一酸化炭素および活性水素を有する共反応物と反応させる工程を含む。触媒系は、芳香族カルボン酸か、いくつかの条件下では、任意のカルボン酸を含む。触媒系は、(a) 第8族、第9族もしくは第10族の金属、またはそれらの化合物と、(b)一般式(I)の二座配位子:X1(X2)−Q2−A−R−B−Q1−X3(X4) (I)と、任意選択でアニオン供給源とを組み合わせることによって得ることができる。式中、AおよびBは、各々独立して、低級アルキレン連結基を表わし、Rは、環式ヒドロカルビル構造を表わし、前記環式ヒドロカルビル構造には、Q1およびQ2原子が該連結基を介して前記環式ヒドロカルビル構造の利用可能な隣接環原子に連結されており、X1、X2、X3およびX4基は、独立して、少なくとも1つの第三級炭素原子を有する30原子までの一価のラジカルを表わすか、またはX1およびX2、かつ/またはX3
およびX4は、少なくとも2つの第三級炭素原子を有する40原子までの二価のラジカル
を一緒に形成し、前記一価または二価のラジカルの各々は、前記少なくとも1つまたは2つの第三級炭素原子を介して、適切なQ1またはQ2原子にそれぞれ結合されており、Q1
およびQ2は、各々独立して、リン、ヒ素、または120アンチモンを表す。二座配位子
と第8族、第9族もしくは第10族の金属との比が10:1(モル:モル)よりも大きい場合、かかる反応は任意のカルボン酸で進行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共役ジエンのカルボニル化に関する。詳細には、本発明は芳香族カルボン酸の存在したでの共役ジエンのカルボニル化に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の欧州特許および特許出願、例えば、特許文献1〜13には、アルコールまたは水、並びに第6族、第8族、第9族、または第10族金属、例えばパラジウムと、ホスフィン配位子、例えばアルキルホスフィン、シクロアルキルホスフィン、アリールホスフィン、ピリジルホスフィン、二座ホスフィンとを含む触媒系の存在下における、一酸化炭素を用いた共役ジエンのカルボニル化が記載されている。特に、特許文献11〜13は、二座ホスフィン配位子が、高い反応速度が得られることを可能にする触媒系を提供することを開示している。特許文献14には、リン原子間におけるC3アルキルブリッジが、そのリン上の第三級ブチル置換基と共に、例示されている。
【0003】
続いて、特許文献15は、置換されたアリールブリッジを有する二座ホスフィン化合物の特定の基が、補充を殆どまたは全く必要としない著しく安定した触媒を提供し得ることを開示した。そのような二座触媒の使用は、先に開示されたものより、有意に高い反応速度をもたらし、高転化率で不純物は、殆どまたは全く生成されない。
【0004】
特許文献16は、高級アルケンに用いられる場合、および外部から追加された非プロトン性溶媒の存在下にある場合における、特許文献15と同じ方法に対する速度を開示している。
【0005】
特許文献17は、特許文献14において用いられる二座ホスフィンへの変更を開示する。前記公報において、一方または双方のリン原子は、炭素原子の1つ以上がヘテロ原子と置き換えられている(「2−PA」基)任意に置換された2−ホスファ−トリシクロ[3.3.1.1{3,7}]デシル基またはその誘導体に組み込まれている。実施例は、多数の、エテン、プロペンおよびいくつかの高級な末端オレフィンおよび内部オレフィンのアルコキシカルボニル化を含む。さらに、10:1の直鎖生成物:分枝鎖生成物の比を与える酢酸ビニルのヒドロホルミル化も開示されている。酢酸ビニルのアルコキシまたはヒドロキシ−カルボニル化は明らかに開示されていない。
【0006】
特許文献18は、特許文献17の教示を、特許文献15に開示された種類の1,2置換アリールブリッジを有する二座ホスフィンに拡大している。開示された適当なオレフィン基質は、様々な置換基を有するいくつかの種類を含む。明らかに、ビニルエステルは、一般的にも、特定的にも、言及されていない。
【0007】
特許文献19は、上記の種類の配位子ブリッジを双方ともブタジエンのカルボニル化に有用なものとして記載している。また、特許文献20は、第三炭素置換基が各リン原子上で互いに異なる場合の特許文献19の選択について記載している。
【0008】
特許文献21は任意選択でアニオン供給源としての安息香酸が任意選択で存在する場合のジエンのアルコキシカルボニル化のためのPhobane配位子の使用に関する。ヒドロキシカルボニル化がさらなる可能性として言及されているが実施例は示されておらず、本件ではカルボニル化生成物がアニオン供給源として使用されることが述べられている。驚くべきことに、特定の溶媒系を用いることにより二座配位子で顕著に高い安定性および/反応速度が達成可能であることが現在見出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開第EP−A−0055875号
【特許文献2】欧州特許出願公開第EP−A−04489472号
【特許文献3】欧州特許出願公開第EP−A−0106379号
【特許文献4】欧州特許出願公開第EP−A−0235864号
【特許文献5】欧州特許出願公開第EP−A−0274795号
【特許文献6】欧州特許出願公開第EP−A−0499329号
【特許文献7】欧州特許出願公開第EP−A−0386833号
【特許文献8】欧州特許出願公開第EP−A−0441447号
【特許文献9】欧州特許出願公開第EP−A−0489472号
【特許文献10】欧州特許出願公開第EP−A−0282142号
【特許文献11】欧州特許出願公開第EP−A−0227160号
【特許文献12】欧州特許出願公開第EP−A−0495547号
【特許文献13】欧州特許出願公開第EP−A−0495548号
【特許文献14】欧州特許出願第EP0495548号
【特許文献15】国際公開第WO96/19434号
【特許文献16】国際公開第WO01/68583号
【特許文献17】国際公開第WO98/42717号
【特許文献18】国際公開第WO03/070370号
【特許文献19】国際公開第WO04/103948号
【特許文献20】国際公開第WO05/082830号
【特許文献21】国際公開第WO00/56695号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1態様によれば、芳香族カルボン酸を含む溶媒系、触媒系、および任意選択の水素の供給源の存在下で、共役ジエンを一酸化炭素および活性水素を有する共反応物と反応させる工程を含む、共役ジエンをカルボニル化する方法が提供される。
【0011】
前記触媒系は、
(a)第8族、第9族もしくは第10族金属、またはそれらの化合物と、
(b)一般式(I)の二座配位子:
1(X2)−Q2−A−R−B−Q1−X3(X4) (I)
と、
任意選択でアニオン供給源またはさらなるアニオン供給源と、
を組み合わせることによって得られ得る。
【0012】
前記式中、
AおよびBは、各々独立して、低級アルキレン連結基を表わし、
Rは、環式ヒドロカルビル構造を表わし、前記環式ヒドロカルビル構造には、Q1およ
びQ2原子が、該連結基を介して前記環式ヒドロカルビル構造の利用可能な隣接する環原
子に連結されており、
1、X2、X3およびX4基は、独立して、少なくとも1つの第三級炭素原子を有する30原子までの一価のラジカルを表わすか、または、X1およびX2とX3およびX4との少なくとも一方は、少なくとも2つの第三級炭素原子を有する40原子までの二価のラジカルを一緒に形成する。前記式中、前記一価または二価のラジカルの各々は、前記少なくとも1つまたは2つの第三級炭素原子を介して、適切なQ1またはQ2原子にそれぞれ結合されており、
1およびQ2は、各々独立して、リン、ヒ素、またはアンチモンを表す。
【0013】
本発明の第2態様によれば、カルボン酸を含む溶媒系、触媒系、および任意選択の水素の供給源の存在下で、共役ジエンを一酸化炭素および活性水素を有する共反応物と反応させる工程を含む、共役ジエンをカルボニル化する方法が提供される。
【0014】
前記触媒系は、
(a)第8族、第9族もしくは第10族金属、またはそれらの化合物と、
(b)一般式(I)の二座配位子:
1(X2)−Q2−A−R−B−Q1−X3(X4) (I)
と、
任意選択でアニオン供給源と、
を組み合わせることによって得られ得る。
【0015】
前記式中、
AおよびBは、各々独立して、低級アルキレン連結基を表わし、
Rは、環式ヒドロカルビル構造を表わし、前記環式ヒドロカルビル構造には、Q1およ
びQ2原子が、該連結基を介して前記環式ヒドロカルビル構造の利用可能な隣接する環原
子に連結されており、
1、X2、X3およびX4基は、独立して、少なくとも1つの第三級炭素原子を有する30原子までの一価のラジカルを表わすか、または、X1およびX2、かつ/またはX3およ
びX4は、少なくとも2つの第三級炭素原子を有する40原子までの二価のラジカルを一
緒に形成する。前記式中、前記一価または二価のラジカルの各々は、前記少なくとも1つまたは2つの第三級炭素原子を介して、適切なQ1またはQ2原子にそれぞれ結合されており、
1およびQ2は、各々独立して、リン、ヒ素、またはアンチモンを表す。
【0016】
二座配位子と第8族、第9族もしくは第10族の金属との比は10:1(モル:モル)よりも大きい。
連続反応では、反応の開始時に非常に過剰の配位子を加え、次に、反応器に10:1よ
りも小さい配位子:金属比を与え、上記配位子の比が所定の下限レベル(10:1よりも大きな値)まで下がるようにし、その時点がくるとリガンド比が再び所定の上限レベルまで上がるようにすることが好ましい。この方法を関しするために、金属レベルがICP MSを使用して標準器を使用され、配位子レベルがGCを使用して標準器を使用して決定され得る。典型的な供給の割合は約1:1であってよい。
【0017】
特に好ましいのは、二座配位子:第8族、第9族もしくは第10族の金属の比が20:1(モル:モル)よりも大きい場合であり、より好ましいのは30:1(モル:モル)よりも大きく、最も好ましいのは40:1(モル:モル)よりも大きい場合である。典型的な範囲は、10:1〜1000:1よりも大きく、例えば20:1から500:1までである。
【0018】
疑問を避けるために、第8族、第9族、または第10族金属は、本願では、現代の周期表命名法における第8族、第9族、または第10族を含むと解釈されるべきである。「第8族、第9族、または第10族」という用語により、好ましくは、Ru、Rh、O、Ir、PtおよびPdのような金属が選択される。好ましくは、前記金属は、Ru、PtおよびPdから選択される。より好ましくは、前記金属はPdである。
【0019】
供給物におけるジエンと共反応物の比(体積/体積)は広範囲の限度内で変更可能であり、適当には10:1から1:500までの範囲に存在する。
本発明の共反応物は、移動可能な水素原子を有し、触媒条件下で求核分子としてジエンと反応可能なものであれば、いかなる化合物であってもよい。共反応物の化学的性質は、生成される生成物の種類を決定する。特に有利な共反応物は水であり、そのためヒドロキシカルボニル化が特に好ましい。しかしながら他の共反応物も可能であり、カルボン酸、アルコール、アンモニアもしくはアミン、チオール、またはそれらの組み合わせが例えば有利であり得る。共反応物は水である場合、得られる生成物は不飽和カルボン酸になるだろう。カルボン酸の場合、生成物は不飽和無水物である。共反応物がアルコールである場合、カルボニル化の生成物はエステルである。
【0020】
同様に、アンモニア(NH3)または第一または第二級アミンR81NH2またはR8283NHを使用するとアミドが生じ、チオールR81SHを使用するとチオエステルが生じるだろう。上記に定義した共反応物では、R81、R82、および/またはR83は、置換されていなくても、またはハロ、シアノ、ニトロ、OR19、OC(O)R20、C(O)R21、C(O)OR22、NR2324、C(O)NR2526、SR29、C(O)SR30、C(S)NR2728、アリール、またはHetから選択された1または複数の置換基で置換されてもよいアルキル、アルケニルまたはアリール基を表わす。式中、R19からR30までは本明細書で定義されたものであるか、および/または1または複数の酸素もしくは硫黄原子で割り込まれるか、またはシラノまたはジアルキルケイ素基で割り込まれる。
【0021】
アンモニアまたはアミンが使用される場合、共反応物の小部分が、反応物中に存在する酸と反応して、アミドと水を形成するだろう。そのため、共反応物がアンモニアまたはアミンである場合には、水が存在する。
【0022】
好ましくは、カルボン酸共反応物の炭素原子数は、ジエン反応物と同じ炭素原子数に1を加えたものである。
好ましいアミン共反応物は1分子当たり1〜22の炭素原子、より好ましくは1分子当たり1〜8の炭素原子を有し、ジアミン共反応物は、1分子当たり2〜22の炭素原子、より好ましくは1分子当たり2〜10の炭素原子を有する。アミンは環式、部分環式、非環式、飽和、または不飽和(芳香族を含む)のいずれでもよく、非置換でもハロ、シアノ、ニトロ、OR19、OC(O)R20、C(O)R21、C(O)OR22、NR2324、C(O)NR2526、SR29、C(O)SR30、C(S)NR2728、アリール、アルキル、またはHetから選択された1または複数の置換基で置換されてもよい。式中、R19からR30までは本明細書で定義されたものであるか、および/または1または複数(好ましくは合計4未満)の酸素、窒素、硫黄、ケイ素原子で割り込まれるか、またはシラノまたはジアルキルシリコン基もしくはそれらの混合物で割り込まれる。
【0023】
チオール共反応物は、環式、部分環式、非環式、飽和、または不飽和(芳香族を含む)のいずれでもよく、非置換でもハロ、シアノ、ニトロ、OR19、OC(O)R20、C(O)R21、C(O)OR22、NR2324、C(O)NR2526、SR29、C(O)SR30、C(S)NR2728、アリール、アルキル、またはHetから選択された1または複数の置換基で置換されてもよい。式中、R19からR30までは本明細書で定義されたものであるか、および/または1または複数(好ましくは合計4未満)の酸素、窒素、硫黄、ケイ素原子で割り込まれるか、またはシラノまたはジアルキルケイ素基で割り込まれるか、もしくはそれらの混合物で割り込まれる。好ましいチオール共反応物は1分子当たり1〜22の炭素原子、より好ましくは1分子当たり1〜8の炭素原子を有する脂肪族チオールと、1分子当たり2〜22の炭素原子、より好ましくは1分子当たり2〜8の炭素原子を有する脂肪族チオールである。
【0024】
共反応物が、アニオン供給源として作用する酸と反応する場合、共反応物に対する酸の量は適切な量の遊離酸が存在するように選択される。一般に、反応速度を高めるため、共
反応物に対して酸が大いに過剰であることが好ましい。
【0025】
上述したように、本発明はエチレン様不飽和化合物を一酸化炭素および共反応物と接触させる工程を含む、エチレン様不飽和化合物のカルボニル化の方法を提供する。共反応物は、上述したように、好ましくは水等の水酸基を有する供給源であるか、または、本発明で定義される触媒化合物の存在下ではアルカノールである。
【0026】
適切には、水酸基を有する源は、水酸基官能基を有する有機分子を含む。好ましくは、水酸基官能基を有する有機分子は分岐していても直鎖状でもよく、アルカノール、特にアリールアルカノールを含むC1−C30アルカノールを含み、本明細書で定義するアルキル
、アリール、Het、ハロ、シアノ、ニトロ、OR19、OC(O)R20、C(O)R21、C(O)OR22、NR2324、C(O)NR2526、C(S)R2728、SR29、C(O)SR30から選択された1または複数の置換基で任意選択で置換されてもよい。非常に好ましいアルカノールは、メタノールエタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、t−ブチルアルコール、n−ブタノール、フェノールおよびクロロカプリルアルコール等のC1−C8アルカノールである。モノアルカノールが最も好ましいが、ポリアルカノール、好ましくはジオール、トリオール、テトラールおよび糖類のようなジオクタオールから選択されたものも使用可能である。典型的には、そのようなポリアルカノールは、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、1,2,6−トリヒドロキシヘキサン、ペンタエリトリトール、1,1,1−トリ(ヒドロキシメチル)エタン、マンノース(nannose)、ソルボース(sorbase)、ガラクトースおよび他の糖から選択される。好ましい糖にはスクロース、フルクトースおよびグルコースが含まれる。特に好ましいアルカノールはメタノールとエタノールであり、最も好ましいアルカノールはメタノールである。
【0027】
アルコールの量は重要ではなく、カルボニル化される基質の量よりも多い量が使用される。したがって、アルコールは反応溶媒としても作用し得るが、所望の場合には個別の溶媒が使用され得る。
【0028】
反応の最終生成物は、使用されるアルカノール源により、少なくとも部分的に決定されることが理解される。例えば、メタノールを使用すると、それに対応してメチルエステルが生じる。反対に、水を使用すると、それに対応して酸が生じる。従って、本発明はエチレン様不飽和結合に対する−C(O)O C1−C30アルキルもしくはアリール基または
−C(O)OH基の追加の便利な方法を提供する。
【0029】
共役ジエンは分子中に少なくとも2つの共役二重結合を含んでいる。共役とは、7c−軌道の位置が分子中の他の軌道とオーバラップし得るようなさせることができる状態のことを指す。したがって、少なくとも2つの共役二重結合を備えた化合物の効果は、共役結合を持たない化合物の効果とは幾つかの点で異なる場合が多い。
【0030】
共役ジエンは、好ましくは、1分子当たり4〜10個、より好ましくは4〜22個の炭素原子を有する共役ジエンである。共役ジエンは、アリール、アルキル、ヘテロ(好ましくは酸素)、Het、シアノ、ニトロ、−OR19および−OC(O)R20、−C(O)R21、−C(O)OR22、−N(R23)R24、−C(O)N(R25)R26、―SR29、−C(O)SR30、−C(S)N(R27)R28または−CF3(式中、R19〜R28は本明細書
に定義される)から選択された1または複数のさらなる置換基で置換されてもよいし、置換されなくてもよい。
【0031】
最も好ましくは、共役ジエンは、共役ペンタジエン、共役ヘキサジエン、シクロペンタ
ジエンおよびシクロヘキサジエンから選択され、これらはすべて上述のように置換されていても非置換でもよい。特に好ましいのは1,3−ブタジエンおよび2−メチル−1,3−ブタジエンであり、最も好ましいのは非置換の1,3−ブタジエンである。
【0032】
当業者には、本発明の方法を、カルボン一酸および/またはカルボン二酸を調製するためにも使用可能であることがさらに理解されよう。カルボン一酸および/またはカルボン二酸は、共役ジエンを一酸化炭素と反応させ、水酸基を含む化合物として水を使用することにより調製される。この場合、カルボニル化生成物、つまりカルボン一酸または二酸が、アニオンの補足源として使用され得る。
【0033】
ヒドロキシカルボニル化反応のようなカルボニル化反応に使用される芳香族カルボン酸は、好ましくは任意選択で置換されるC1−C30芳香族化合物であり、例えばフェニル、
ナフチル、シクロペンタジエニルアニオン、インデニル、ピリジニルおよびピロリル基に基づきかつ芳香族に結合した少なくとも1つのカルボン酸基を有するものであり、より好ましくは少なくとも1つのカルボン酸基を有するC1−C16芳香族化合物である。18℃
の希釈水溶液で測定した酸のpKaは好ましくは約2より大きい。18℃の希釈水溶液で測定した酸のpKaは好ましくは約6未満であり、より好ましくは5未満である。
【0034】
カルボン酸基は−COOH基を意味し、カルボン酸基は芳香族の環状原子に直接取り付けられ得るが、該環のαまたはβ炭素に取り付けられてもよく、より好ましくはα原子または環に直接取り付けられ、最も好ましくは環に直接取り付けられる。
【0035】
芳香族化合物は、下記の1または複数で置換され得る:アルキル基;アリール基;水酸基;アルコキシ基、例えばメトキシ;アミノ基;またはハロ基、例えばF、Cl、IおよびBr。
【0036】
カルボン酸の芳香族環は利用可能な炭素原子上で置換されてもよい。好ましくは芳香環は一置換または二置換である。適切な芳香族カルボン酸の例には、安息香酸;ナフトエ酸;およびシクロペンタジエニル酸が含まれ、特に好ましいのは置換された芳香族カルボン酸であり、それには例えばC1−C4アルキル置換安息香酸(例えば2,4,6−トリメチル安息香酸、2,6−ジメチル安息香酸、およびO−トルイル酸(2−メチル安息香酸))、2−ニトロ安息香酸、6−クロロ−2−メチロール安息香酸、4−アミノ安息香酸、2−クロロ−6−ヒドロキシ安息香酸、2−シアノ安息香酸、3−シアノ安息香酸、4−シアノ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、3−ニトロ安息香酸、2−フェニル安息香酸、2−tert−ブチル安息香酸、2−ナフトエ酸、1−ナフトエ酸、2,4−ジメチル安息香酸、3−メチル安息香酸、3,5−ジメチル安息香酸、4−ヒドロキシ三足公算、2−フルオロ安息香酸、3−プロポキシ安息香酸、3−エトキシ安息香酸、2−プロポキシ安息香酸、2,2−ジフェニルプロピオン酸、2−メトキシフェニル酢酸、オルトアニス酸、メタアニス酸、4−tert−ブチル安息香酸、および2−エトキシ安息香酸である。
【0037】
好ましくは、芳香族カルボン酸は、カルボン酸を有する基に加えてただ1つの基のみによって置換される。好ましくは、アルキル基がカルボン酸の芳香族環を置換する。特に好ましい化合物はO−トルイル酸である。
【0038】
本発明の第2態様に使用されるカルボン酸は、少なくとも1つのカルボン酸基をさらに有する任意選択で置換されるC1−C30化合物であってよく、より好ましくは少なくとも
1つのカルボン酸基を有するC1−C16化合物である。18℃にて希釈水溶液で測定した
酸のpKaは好ましくは約2より大きい。18℃にて希釈水溶液で測定した酸のpKaは好ましくは約6未満である。適切なカルボン酸の例には、任意選択で置換されるC1−C1
2アルカン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、ブチル酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ノナン
酸;C1−C16アルケン酸、例えばアクリル酸等のプロペン酸、メタクリル酸等のブテン
酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、およびヘプテン酸;乳酸;であり、これらはすべて直鎖状でも分岐鎖でもよく、環式、部分環式、または非環式であり、ヘテロ原子で割り込まれてもよい他に、アリール、アルキル、ヘテロ(好ましくは酸素)、Het、ハロ、シアノ、ニトロ、OR19、OC(O)R20、C(O)R21、C(O)OR22、NR2324、C(O)NR2526、SR29、C(O)SR30、C(S)NR2728、または−CF3から選択
された1または複数の置換基で置換されてもよい。式中、R19からR28までは本明細書で定義されたものであり、芳香族カルボン酸は上述の通りである。
【0039】
特に好ましいカルボン酸はカルボニル化反応の酸生成物である。
本発明の第1態様のヒドロキシカルボニル化反応等のカルボニル化反応では、二座配位子の等価物と第8族、第9族もしくは第10族の金属との比は少なくとも1:1モル/モルである。好ましくは配位子の量は金属の量(モル/モル)より多い。好ましくは、二座配位子の等価物と第8族、第9族もしくは第10族の金属との比は1:1より大きく、好ましくは4:1より大きく、より好ましくは10:1よりも大きい。
【0040】
本発明に使用されるのに適した共溶媒には、例えば、メチルブチルケトンのようなケトン類;例えば、アニソール(メチルフェニルエーテル)、2,5,8−トリオキサノナン(ダイグライム)、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル(MTBE)、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、ジイソプロピルエーテルおよびジ−エチレン−グリコールのジメチルエーテルのようなエーテル類;例えば、ジオキサンのようなオキサン類;例えば、酢酸メチル、アジピン酸ジメチル、安息香酸メチル、フタル酸ジメチルおよびブチロラクトンのようなエステル類;例えば、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンおよびジメチルホルムアミドのようなアミド類;例えば、ジメチルスルホキシド、ジ−イソプロピルスルホン、スルホラン(テトラヒドロチオフェン−2,2−ジオキシド)、2−メチルスルホラン、ジエチルスルホン、テトラヒドロチオフェン1,1−ジオキシド、および2−メチル−4−エチルスルホランのようなスルホキシド類およびスルホン類;そのような化合物のハロゲン変異体を含む芳香族化合物、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン:そのような化合物のハロゲン変異体を含むアルカン、例えば、ヘキサン、ヘプタン、2,2,3−トリメチルペンタン、塩化メチレン、四塩化炭素;例えば、ベンゾニトリルおよびアセトニトリルのようなニトリル類が挙げられる。
【0041】
代わりに、共溶媒は上述の任意のカルボン酸等の1または複数のさらなるカルボン酸であってもよい。
非常に適しているものは、298.15Kかつ1×105Nm-2において、50の値を
下回り、より好ましくは1−30、最も好ましくは1−10、特には2〜8の範囲内にある誘電率を有する非プロトン性溶媒である。本状況において、所与の共溶媒に対する誘電率は、誘電体としてのその物質によるコンデンサーの容量の、誘電体の真空による同一のコンデンサーの容量に対する比を表わす、その通常の意味において用いられる。一般的な有機液体の誘電率の値は、Handbook of Chemistry and Physics、第76版、デービッド
アール.ライド(David R. Lide)ら編集、シーアールシー プレス(CRC press)発行、1995年のような一般的な参考図書において見つけることができ、通常、約20℃または25°C、すなわち約293.15kまたは298.15Kの温度、および大気圧、すなわち約1×105Nm-2に対して示される、または引用された換算係数を用いてその温度
および圧力に容易に変換することができる。特定の化合物に対する文献データが入手可能でない場合には、確立した物理化学的方法を用いて、誘電率を容易に測定し得る。
【0042】
液体の誘電率の測定は種々のセンサによって容易に行うことができ、それにはニューヨーク州ホルツヴィレ(Holtsville)所在のBrookhaven Instruments Corporation社やニュージャージー州プリンストン所在のScientifica Company社から利用可能な計測器(例えば850および970モデル)等の種々の計測器に取り付け可能な浸漬プローブ、流入プローブ、およびカップ型プローブが含まれる。比較を一貫させるため、特定のフィルタシステムに対するすべての測定は、例えば水浴を使用する等して実質的に同じサンプル温度で行われることが好ましい。一般に、物質の測定された誘電率は低い温度で増大し、高い温度で減少する。本明細書の範囲内にある誘電率はASTM D924に従って決定可能であるが、誘電率を決定するのにどの技術を使用するかに疑義がある場合には、1−200ε範囲に設定したScientifica 870型誘電率計測器を使用する。
【0043】
例えば、メチル−tert−ブチルエーテルの誘電率は4.34(293K)であり、ジオキサンの誘電率は2.21(298K)、トルエンの誘電率は2.38(298K)、テトロヒドロフランの誘電率は7.5(295.2K)、およびアセトニトリルの誘電率は37.5(298K)である。誘電率の値は化学および物理のハンドブックから得られ、測定温度が与えられる。
【0044】
代わりに、反応は、反応自体によって生成されたのではない非プロトン性溶媒が存在しない状態で進行してもよい。
代わりに、プロトン性共溶媒が使用されてもよい。プロトン性共溶媒は、さらなるカルボン酸またはアルコールを含み得る。適当なプロトン性溶媒には、当業者に周知の従来のプロトン性溶媒、例えば水、低級アルコール(例えばメタノール、エタノールおよびイソプロパノール)、第一級および第二級アミンが含まれる。非プロトン性溶媒とプロトン性溶媒の混合物も使用可能である。
【0045】
プロトン性共溶媒とは、ヒドロキシル基の酸素またはアミン基の窒素に取り付けられたような供与可能な水素イオンを有する任意の溶媒を意味する。非プロトン共溶媒とは、プロトンを供与も受取もしない溶媒の種類を意味する。
【0046】
本発明の方法では、一酸化炭素が純粋な形で、または窒素、二酸化炭素等の不活性ガスもしくはアルゴン等の希ガスで希釈された状態で使用される。
カルボニル化反応に水素を添加して、反応速度を向上してもよい。使用されるときの適当な水素濃度は、一酸化炭素の0.1〜20%vol/volの割合であり、より好ましくは一酸化炭素の1〜20%vol/vol、より好ましくは一酸化炭素の2〜15%vol/vol、最も好ましくは一酸化炭素の3〜10%vol/volであり得る。
【0047】
水素は、存在する場合には1×105〜20×105Pa、好ましくは2×105〜10
×105Pa、最も好ましくは約5×105Paの分圧で存在するのが好ましい。
カルボン酸の量に対する、反応に使用される共役ジエン、特に1,3−ブタジエンの量のモル比は重要ではなく、広範な限度内、例えば0.001:1から100:1モル/モルまでの範囲で変更可能である。好ましくは、カルボン酸の量に対する共役ジエン、特に1,3−ブタジエンの量のモル比は、共役ジエンが優先的に反応して対応する酸(1,3−ブタジエンの場合、ペンテン酸)を形成するように、ジエン濃度を最小にするように選択される。一般に、本発明のプロセス、特に連続プロセスでは、モル比は1:1から70:1の間であり、より好ましくは1:1から50:1の間である。
【0048】
ヒドロキシカルボニル化反応等のカルボニル化反応に使用される本発明の触媒の量は重要ではない。好ましくは第8族、第9族もしくは第10族の金属の量が共役ジエン(特に1,3−ブタジエン)1モル当たり10-7〜10-1モル、より好ましくは10-6〜10-2
モル、最も好ましくは10-5〜10-2モル、の範囲にある場合に、良好な結果が得られ得る。好ましくは、触媒の量は商業的に許容される速度で生成物を生成するのに十分な量である。
【0049】
好ましくは、カルボニル化は−30〜170℃、より好ましくは−10℃〜160℃、最も好ましくは、20℃〜150℃の温度で行なわれる。とりわけ好ましい温度は、40℃〜150℃の間で選択される温度である。代わりに、カルボニル化は中温で行なうことができ、反応を室温(20℃)で実施することができることは特に有利である。
【0050】
好ましくは、低温カルボニル化を作用させる場合、該カルボニル化は、−30℃〜49℃、より好ましくは−10℃〜45℃、さらに好ましくは0℃〜45℃、最も好ましくは10℃〜45℃において行われる。とりわけ、10〜35℃の範囲が好ましい。
【0051】
好ましくは、カルボニル化は、1×105N.m−2〜120×105N.m−2、より好ましくは10×105N.m−2〜100X105N.m−2、最も好ましくは20〜90×105N.m−2のCO分圧で行なわれる。とりわけ好ましいのは、40〜80×105
.m−2のCO分圧である。
【0052】
R基が表す環式ヒドロカルビル構造は、該構造中の環の原子の大部分(すなわち半分より多く)が炭素であると仮定すると、芳香族でも、非芳香族でも、芳香族と非芳香族の組み合わせであってもよく、単環式、二環式、三環式、または多環式であってもよく、ブリッジを有しても有しなくてもよく、置換されても、非置換でも、または1または複数のヘテロ原子によって割り込まれてもよい。Q1およびQ2原子が連結される利用可能な隣接炭素原子が連結して、少なくとも1つの環式骨格の一部を形成する。連結基を介してQ1
よびQ2原子が直接連結されるこの環は芳香族環であっても非芳香族環であってもよい。
連結基を介してQ1およびQ2原子が直接連結される環が非芳香族である場合、二環式、三環式、または多環式構造のさらなる環は芳香族環、または非芳香族環、もしくはそれらの組み合わせであってよい。同様に、連結基を介してQ1およびQ2原子が直接連結される環が芳香族である場合、ヒドロカルビル構造の任意のさらなる環は芳香族環、または非芳香族環、もしくはそれらの組み合わせであってよい。
【0053】
簡単さのため、連結基を介してQ1およびQ2原子が直接連結される少なくとも一つの環に結合される任意のさらなる環の性質に拘わらず、上記2種類のブリッジ基Rは芳香族ブリッジ環式ヒドロカルビル構造または非芳香族ブリッジ環式ヒドロカルビル構造と称される。
【0054】
少なくとも一つの非芳香族環上の隣接位置でAおよびBに置換されている非芳香族ブリッジ環式ヒドロカルビル構造は、好ましくは置換基AおよびBに対してシス配座を有する。すなわちAとBは構造の同じ面で構造から離れて延びる。
【0055】
好ましくは、非芳香族ブリッジ環式ヒドロカルビル構造は、3〜30個までの環原子、より好ましくは4〜18個までの環原子、最も好ましくは4〜12個までの環原子、とりわけ5〜8個の環原子を有し、単環式であってもよいし、または多環式であってもよい。環原子は炭素であってもよいし、またはヘテロであってもよく、ここで、ヘテロと言う場合は、硫黄、酸素および/または窒素を指す。典型的には、非芳香族ブリッジ環式ヒドロカルビル構造、2〜30個までの環炭素原子、より好ましくは3〜18個までの環炭素原子、最も好ましくは3〜12個までの環炭素原子、とりわけ3〜8個の環炭素原子を有し、単環式であってもよいし、または多環式であってもよく、1つ以上のヘテロ原子によって割り込まれていてもよいし、割り込まれていなくてもよい。典型的には、非芳香族ブリッジ環式ヒドロカルビル構造が多環式である場合、該部分は、好ましくは二環式のまたは
三環式である。本願で定義される非芳香族ブリッジ環式ヒドロカルビル構造は不飽和結合を含んでもよい。環原子とは、環式骨格の一部を形成する原子を意味する。
【0056】
非芳香族ブリッジ環式ヒドロカルビル構造は、ヘテロ原子によって割り込まれ得ることは別として、置換されていなくてもよく、またはアリール、アルキル、ヘテロ(好ましくは酸素)、Het、ハロ、シアノ、ニトロ、−OR19、−OC(O)R20、−C(O)R21、−C(O)OR22、−N(R23)R24、−C(O)N(R25)R26、−SR29、−C(O)SR30、−C(S)N(R27)R28、または−CF3から選択される1つ以上のさ
らなる置換基によって置換されていてもよい。前記式中、R19〜R28は本願において既に定義した通りである。
【0057】
非芳香族ブリッジ環式ヒドロカルビル構造は、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロブチル、シクロプロピル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、トリシクロデシル、ピペリジニル、モルホリニル、ノルボルニル、イソノルボルニル、ノルボルネニル、イソノルボルネニル、ビシクロ[2,2,2]オクチル、テトラヒドロフリル、ジオキサニル、O−2,3−イソプロピリデン−2,3−ジヒドロキシ−エチル、シクロペンタノニル、シクロヘキサノニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロブテニル、シクロペンテノニル、シクロヘキセノニル、アダマンチル、フラン、ピラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、オキソセン、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ペンタメチレンスルフィド、1,3−ジチアン、1,4−ジチアン、フラノン、ラクトン、ブチロラクトン、ピロン、無水コハク酸、cisおよびtrans 1,2−シクロヘキサンジカルボン無水物、グルタル酸無水物、ピロリジン、ピペラジン、イミダゾール、1,4,7−トリアザシクロノナン、1,5,9−トリアザシクロデカン、チオモルホリン、チアゾリジン、4,5−ジフェニル−シクロヘキシル、4または5−フェニル−シクロヘキシル、4,5−ジメチル−シクロヘキシル、4または5−メチルシクロヘキシル、1,2−デカリニル、2,3,3a,4,5,6,7,7a−オクタヒドロ−1H−インデン−5,6−イル、3a,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−1H−インデン−5,6−イル、1,2または3メチル−3a,4,5,6,7,7aヘキサヒドロ−1H−インデン−5,6−イル、トリメチレンノルボルナニル、3a,4,7,7a−テトラヒドロ−1H−インデン−5,6−イル、1,2または3−ジメチル−3a,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−1H−インデン−5,6−イル、1,3−ビス(トリメチルシリル)−3a,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−3H−イソベンゾフランから選択され、連結基AまたはBは利用可能な非置換の隣接する環原子に結合される。
【0058】
Rは、利用可能な隣接する環炭素原子にQ1原子およびQ2原子が連結される少なくとも一つの非芳香族環を有する非芳香族ブリッジ環式ヒドロカルビル構造を表す。Rが多環式構造であってもよいこととは別に、非芳香族ブリッジ環式ヒドロカルビル構造は置換されていなくてもよいし、好ましくは少なくとも1つの環の少なくとも1つのさらなる非隣接環原子上において、少なくとも1つの置換基によって置換されていてもよい。
【0059】
「1つのさらなる非隣接環原子」という用語は、Q1およびQ2原子が連結される前記利用可能な隣接環原子のうちのいずれか隣接していない環内のさらなる環原子を意味する。
しかしながら、前記利用可能な隣接環原子に隣接する環原子も、ヒドロカルビル構造中の他の位置の還元しも、本明細書で定義された環原子の代わりとなるのに適した置換基で置換されてもよい。
【0060】
疑問を避けるために、前記利用可能な隣接環原子または同種のものに隣接する環原子と言う場合は、前記2つの利用可能な隣接環原子自身のうちの一方を示すようには意図されない。例として、環の1位によってQ1原子に結合され、環の2位によってQ2原子に結合
されたシクロヘキシル環は、環の4位および5位において2つの定義された前記さらなる非隣接環原子と、3位および6位に位置する前記利用可能な隣接環原子に対する2つの隣接環原子とを有する。
【0061】
「非芳香環ブリッジ環式ヒドロカルビル構造」という用語は、Q1およびQ2原子がBおよびAを介してそれぞれ連結される少なくとも1つの環が非芳香性であることを意味する。また、芳香族とは、フェニル型構造だけでなく、フェロセニルのシクロペンタジエニル環に見られるような芳香族性を有する他の環を含むように広く解釈されるべきである。しかしながら、前記用語は、いかなる場合も、この非芳香族の少なくとも1つの環上における芳香族置換基を排除するものではない。
【0062】
非芳香族ブリッジヒドロカルビル構造の環原子における置換基は、環式ヒドロカルビル構造において、より大きな安定性を促進するが、立体配座の剛性は助長しないように選択され得る。従って、前記置換基は、非芳香環の立体配座の変化の速度を抑制または低下させる適切な大きさのものとなるように選択される。そのような基は、低級アルキル、アリール、Het、ヘテロ、ハロ、シアノ、ニトロ、−OR19、−OC(O)R20、−C(O)R21、−C(O)OR22、−N(R23)R24、−C(O)N(R25)R26、−SR29、−C(O)SR30、−C(S)N(R27)R28または−CF3、より好ましくは低級アル
キルまたはヘテロ、最も好ましくはC1−C6アルキルから独立して選択され得る。ヒドロカルビル構造中に2つ以上のさらなる環原子が存在する場合、本願において詳述するように、それらの非隣接環原子は各々独立して置換され得る。従って、2つのそのような環原子が置換されている場合、それらの置換基は結合して、3〜20原子の環構造のようなさらなる環構造を形成してもよい。そのようなさらなる環構造は、飽和していても不飽和であってもよく、置換されていなくてもよいし、またはハロ、シアノ、ニトロ、−OR19、−OC(O)R20、−C(O)R21、−C(O)OR22、−NR2324、−C(O)NR2526、−SR29、−C(O)SR30、−C(S)NR2728、アリール、アルキル、Hetから選択された1つ以上の置換基によって置換されていてもよい。前記式中、R19〜R30は、本明細書で定義された通りであり、および/または、1または複数(好ましくは合計4つ未満)の酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子によって割り込まれるか、あるいはシラノ基もしくはジアルキルケイ素基で割り込まれるか、それらの混合物によって割り込まれてもよい。
【0063】
特に好ましい置換基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、フェニル、オキソ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、シアノおよびカルボキシである。2つ以上のさらなる非隣接環原子が置換されている場合、特に好ましい置換基は、x,y−ジメチル、x,y−ジエチル、x,y−ジプロピル、x,y−ジイソプロピル、x,y−ジフェニル、x,y−メチル/エチル、x,y−メチル/フェニル、飽和または不飽和シクロペンチル、飽和または不飽和シクロヘキシル、1,3−置換または非置換1,3H−フリル、非置換シクロヘキシル、x,y−オキソ/エチル、x,y−オキソ/メチルであり、単環原子における脱置換も考えられ、典型的にはx,x−低級ジアルキルである。より典型的な置換基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、iso−ブチル、t−ブチル、またはオキソであり、最も一般的にはメチルもしくはエチル、またはオキソあり、最も一般的にはメチルである。前記式中、xおよびyは、少なくとも1つの環における原子位置を表わす。
【0064】
好適には、非芳香族環式ヒドロカルビル構造のさらなる置換は、前記Q1およびQ2原子が連結される前記利用可能な隣接炭素原子上には存在しない。非芳香族環式ヒドロカルビル構造は、ヒドロカルビル構造の1つ以上の前記さらなる環原子において置換されていてもよいが、好ましくは、少なくとも1つの非芳香族環の、1つ、2つ、3つまたは4つのそのような環原子において、より好ましくは、1つ、2つ、または3つ、最も好ましくは
、1つまたは2つのそのような環原子において、置換される。置換環原子は、炭素またはヘテロであり得るが、好ましくは炭素である。前記環式ヒドロカルビル構造上に2以上の置換基が存在する場合、本明細書で除外する記載がない場合、それらは会合してさらなる環構造を形成し得る。
【0065】
非芳香族ブリッジ環式ヒドロカルビル構造は、4位および/または5位置換低級アルキルシクロヘキサン−1,2−ジイル、4位置換低級アルキルシクロペンタン−1,2−ジイル、4位,5位および/または6位置換低級アルキルシクロヘプタン−1,2−ジイル、4位,5位,6位および/または7位置換低級アルキルシクロオクタン−1,2−ジイル、4位,5位,6位,7位および/または8位置換低級アルキルシクロノナン−1,2−ジイル、5位および/または6位置換低級アルキルピペリジナン−2,3−ジイル、5位および/または6位置換低級アルキルモルホリナン−2,3−ジイル、O−2,3−イソプロピリデン−2,3−ジヒドロキシ−エタン−2,3−ジイル、シクロペンタン−オン−3,4−ジイル、シクロヘキサノン−3,4−ジイル、6−低級アルキルシクロヘキサノン−3,4−ジイル、1−低級アルキルシクロペンテン−3,4−ジイル、1および/または6低級アルキルシクロヘキセン−3,4−ジイル、2および/または3低級アルキルシクロヘキサジエン−5,6−ジイル、5低級アルキルシクロヘキセン−4−オン−1,2−ジイル、アダマンチル−1−2−ジイル、5および/または6低級アルキルテトラヒドロピラン−2,3ジイル、6−低級アルキルジヒドロピラン−2,3ジイル、2−低級アルキル1,3ジオキサン−5,6−ジイル、5および/または6低級アルキル−1,4ジオキサン−2,3−ジイル、2−低級アルキルペンタメチレンスルフィド4,5−ジイル、2−低級アルキル−1,3ジチアン−5,6−ジイル、2および/または3−低級アルキル1,4ジチアン−5,6−ジイル、テトラヒドロ−フラン−2−オン−4,5−ジイル、デルタ−バレロラクトン4,5−ジイル、ガンマ−ブチロラクトン3,4−ジイル、2H−ジヒドロピロン5,6−ジイル、グルタル酸無水物3,4−ジイル、1−低級アルキルピロリジン−3,4−ジイル、2,3ジ低級アルキルピペラジン−5,6−ジイル、2−低級アルキルジヒドロイミダゾール−4,5−ジイル、2,3,5および/または6低級アルキル−1,4,7トリアザシクロノナン−8,9−ジイル、2,3,4および/または10低級アルキル−1,5,9トリアザシクロデカン6,7−ジイル、2,3−ジ低級アルキルチオモルホリン−5,6−ジイル、2−低級アルキル−チアゾリジン−4,5−ジイル、4,5−ジフェニル−シクロヘキサン−1,2−ジイル、4および/または5−フェニル−シクロヘキサン−1,2−ジイル、4,5−ジメチル−シクロヘキサン−1,2−ジイル、4または5−メチルシクロヘキサン−1,2−ジイル、2,3,4および/または5低級アルキル−デカヒドロナフタレン8,9−ジイル、ビシクロ[4.3.0]ノナン−3,4ジイル、3a,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−1H−インデン−5,6−ジイル、1,2および/または3メチル−3a,4,5,6,7,7aヘキサヒドロ−1H−インデン−5,6−ジイル、オクタヒドロ−4,7メタノ−インデン−1,2−ジイル、3a,4,7,7a−テトラヒドロ−1H−インデン−5,6−ジイル、1,2および/または3−ジメチル−3a,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−1H−インデン5,6−ジイル、1,3−ビス(トリメチルシリル)−3a,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−3H−イソベンゾフラン−5,6−ジイルから選択され得る。
【0066】
これに代わって、非芳香族ブリッジヒドロカルビル構造の少なくとも1つのさらなる非隣接環原子における置換基は、基Yであってもよく、Yは、少なくともフェニルと同じくらい立体障害性である基を表し、2つ以上の置換基Yがある場合、それらは各々フェニルと同じくらい立体障害性であり、かつ/または結合してフェニルよりも立体障害性である基を形成する。
【0067】
好ましくは、Yは−SR404142を表わし、前記式中、SはSi、C、N、S、Oま
たはアリールを表し、R404142は本願において定義した通りである。好ましくは、各Yおよび/または2つ以上の基Yの組み合わせは、少なくともt−ブチルと同じくらい立体障害性である。
【0068】
より好ましくは、1つの置換基Yのみが存在する場合、該置換基Yは、少なくともt−ブチルと同じくらい立体障害性である。一方、2つ以上の置換基Yが存在する場合には、それらの置換基Yは各々、少なくともフェニルと同じくらい立体障害性であり、単一の基に結合された場合には少なくともt−ブチルと同じくらい立体障害性である。
【0069】
好ましくは、Sがアリールである場合、R40、R41およびR42は、独立して、水素、アルキル、−BQ3−X3(X4)(前記式中、B、X3およびX4は本願において定義した通
りであり、Q3は上記でQ1またはQ2として定義される)、リン、アリール、アリーレン
、アルカリール、アリーレンアルキル、アルケニル、アルキニル、het、ヘテロ、ハロ、シアノ、ニトロ、OR19、−OC(O)R20、−C(O)R21、−C(O)OR22、−N(R23)R24、−C(O)N(R25)R26、−SR29、−C(O)SR30、−C(S)N(R27)R28、−CF3、−SiR717273、またはアルキル亜リン酸である。
【0070】
好ましくは、SがSi、C、N、SまたはOである場合、R40、R41およびR42は、独立して、水素、アルキル、リン、アリール、アリーレン、アルカリール、アラルキル、アリーレンアルキル、アルケニル、アルキニル、Het、ヘテロ、ハロ、シアノ、ニトロ、−OR19、−OC(O)R20、−C(O)R21、−C(O)OR22、−N(R23)R24、−C(O)N(R25)R26、−SR29、−C(O)SR30、−C(S)N(R27)R28、−CF3、−SiR717273、またはアルキル亜リン酸である。前記式中、R40〜R42
のうちの少なくとも1つは水素ではなく、R19〜R30は本願において定義した通りであり、R71〜R73はR40〜R42として定義されるが、好ましくは、C1〜C4アルキルまたはフェニルである。
【0071】
好ましくは、Sは、Si、Cまたはアリールである。しかしながら、結合した基の中の1つ以上の基Yとして、N、SまたはOもまた好ましい場合もある。疑問を避けるために、酸素または硫黄が二価であり得るとき、R40〜R42も非共有電子対となり得る。
【0072】
好ましくは、基Yに加えて、芳香族構造は、置換されていなくてもよいし、またはY、アルキル、アリール、アリーレン、アルカリール、アラルキル、アリーレンアルキル、アルケニル、アルキニル、Het、ヘテロ、ハロ、シアノ、ニトロ、−OR19、−OC(O)R20、−C(O)R21、−C(O)OR22、−N(R23)R24、−C(O)N(R25)R26、−SR29、−C(O)SR30、−C(S)N(R27)R28、−CF3、−SiR71
7273、またはアルキル亜リン酸のうちから選択される基でさらに置換されていてもよい。式中、R19〜R30は本願において定義した通りであり、R71〜R73は、R40〜R42として定義されるが、好ましくはC1〜C4アルキルまたはフェニルである。
【0073】
さらに、Sがアリールである場合、該アリールは、R40、R41、R42に加えて、上記で芳香族構造に対して定義したさらなる置換基のいずれで置換されていてもよい。
より好ましい置換基Yは、−t−ブチル、−SiMe3、または2−フェニルプロパ−
2−イルのようなt−アルキルまたはt−アルキルアリール、−フェニル、アルキルフェニル−、フェニルアルキル−、あるいはホスフィノメチルのようなホスフィノアルキルから選択され得る。
【0074】
好ましくは、SがSiまたはCであり、かつR40〜R42のうちの1つ以上が水素である場合、R40〜R42の少なくとも1つは、必要な立体障害を与えるために十分に嵩高くなければならず、そのような基は、好ましくは、リン、ホスフィノアルキル−、−t−ブチル
のような第三炭素を有する基、アリール、アルカリール、アラルキルまたは第三シリルである。
【0075】
一部の実施形態において、非芳香族ブリッジ構造のさらなる環原子上には2つ以上の前記置換基Yが存在してもよい。任意で、前記2つ以上の置換基は結合して、脂環式環構造のようなさらなる環構造を形成してもよい。
【0076】
一部の典型的な日取りカルビル構造を以下に示す。式中、R’、R”、R’’’、R’’’’などは、上記の少なくとも1つのさらなる非隣接環原子における置換基と同様に定義されるが、水素であってもよいし、あるいは、ヘテロ原子に直接連結されている場合には非置換であるヘテロ原子を表わしてもよく、さらに同一であっても異なっていてもよい。前記式中、少なくとも1つのR’原子は水素ではないか、またはヘテロ原子に直接連結されている場合には、非置換であるヘテロ原子を表わす。各場合において、リン(図示せず)へのジイルメチレン結合が見られる。
【0077】

【化1】






本願における構造において、可能な立体異性体が2つ以上ある場合、そのような立体異性体がすべて意図される。しかしながら、非芳香族ブリッジヒドロカルビル構造の少なくとも1つのさらなる環原子上の少なくとも1つの置換基は、A原子またはB原子に対してトランス方向に延びる、つまり、環の反対側において外側に延びることが望ましい。
【0078】
実施形態の追加の好ましいセットは、Rが少なくとも一つの芳香族環の利用可能な隣接する環原子上でQ1およびQ2原子が連結基を介して少なくとも一つの芳香族環に各々連結された、該少なくとも一つの芳香族環を有する芳香族ブリッジヒドロカルビル構造を表す場合に見出される。
【0079】
芳香族ブリッジヒドロカルビル構造は、可能な場合、アルキル、アリール、Het、ハロ、シアノ、ニトロ、OR19、−OC(O)R20、−C(O)R21、−C(O)OR22
−N(R23)R24、−C(O)N(R25)R26、−SR27、C(O)OR27、または−J−Q3CR13(R14)(R15)CR16(R17)(R18)(Jは低級アルキレンを表す)か
ら選択された1または複数の置換基で置換されてもよく、または、2つの隣接する置換基であって、それらが取り付けられている環の環原子と共にさらなる環を形成する2つの隣接する置換基で置換されてもよく、該さらなる環は任意選択でアルキル、ハロ、シアノ、ニトロ、OR19、OC(O)R20、C(O)R21、C(O)OR22、NR2324、C(O)NR2526、SR27、またはC(O)SR27から選択された1または複数の置換基で置換されてもよく、R19〜R27は本願において定義した通りである。
【0080】
芳香族ブリッジヒドロカルビル構造の置換基の一つの種類は置換基Yであり、これは1または複数のさらなる環原子上、好ましくは芳香族ブリッジ環式ヒドロカルビル構造の芳香族環原子上に存在してもよい。
【0081】
好ましくは、存在する場合、芳香族構造上の置換基Yは合計X=1-nΣtY個の水素
以外の原子を有し、X=1-nΣtY≧4であり、nは置換期Yの合計数であり、tY
は特定の置換基Y上の水素以外の原子の総数を表す。
【0082】
一般に、2以上の置換基Yがある場合、これは以後では単にYとも称するが、任意の2つの置換基は芳香族ブリッジ環式ヒドロカルビル構造の同じ環原子上に位置してもよいし、異なる環原子上に位置してもよい。好ましくはY基は10個以下、すなわちnは1〜10であり、より好ましくは1〜6個のY基が、最も好ましくは1〜4個のY基が芳香族構造上に存在し、特には1,2,または3個のY基が芳香族構造上に存在する。
【0083】
好ましくは、存在する場合には、X=1-nΣtYは、4〜100の間、より好ましくは
4〜60の間、最も好ましくは4〜20の間、特には4〜12個の間である。
好ましくは、置換基Yが一つである場合、Yは少なくともフェニルと同じくらい立体障害性である基を表し、置換基Yが2つ以上存在する場合、それらは各々フェニルと同じくらい立体障害性であり、かつ/または結合してフェニルよりも立体障害性である基を形成する、
本明細書における「立体障害」とは、以下で説明するR1〜R12基、置換基Y、または
それ以外の文脈であるか否かに拘わらず、当業者には容易に理解されるであろうが疑問を避けるために定義すると、立体障害がフェニルよりも大きいとは、Ph2Y(基Yを表す
)を以下の条件に従い8倍量のNi(0)(CO)4と反応させた場合にPH2PHよりも置換度(DS)が低いことを意味する。同様に、t−ブチルよりも立体障害が大きいことに対する基準は、PH2t−Buと比較したDS値に対する基準として判断され得る。例
えば、2つのY基が比較され、PHY1が基準よりも立体障害が大きくない場合、PHY12が基準と比較される。同様に、3つのY基が比較され、PHY1またはPHY12が基準よりも立体障害が大きいとは決定されていない場合、PHY123が比較されるべき
である。3つよりも多いY基が存在する場合、t−ブチルよりも立体障害が大きいものと判断される。
【0084】
本願において本発明文脈における立体障害は、シー.マスターズ(C. Masters)による「Homogenous Transition Metal Catalysis-A Gentle Art」、Chapman and Hall発行、1981年の14頁以下参照において論じられている。
【0085】
Tolman(「ゼロ価ニッケルに対するリン配位子交換平衡、立体効果に対する支配的役割(Phosphorus Ligand Exchange Equilibria on Zerovalent Nickel). A Dominant
Role for Steric Effects)」]
、Journal of American Chemical Society, 92, 1970, 2956-2965)は、Ni(0)錯体
の安定性を主として決定する配位子の性質はその電気的特性ではなく大きさであることを
結論付けた。基Yまたは他の置換基の相対的立体障害を決定するためには、DSを決定すべくTolmanの方法をかかる基のリン類似対に対して使用し、上述のように決定してもよい。
NiCO4のトルエン溶液を8倍量のリン配位子で処理し、配位子によるCOの置換を赤
外スペクトルのカルボニル伸縮振動により追跡した。溶液を密封チューブ中で64時間100℃で加熱することにより平衡化した。100℃でさらに74時間追加で加熱したがスペクトルは有意には変化しなかった。平衡化溶液のスペクトルのカルボニル伸縮バンドの振動数および強度を決定した。置換度は、相対強度と、バンドの吸光係数がすべて同じ桁の大きさであるという仮定から半定量的に推算可能である。例えば、P(C6113の場合、Ni(CO)3L のA1バンドとNi(CO)22のB1バンドはほぼ同じ強度であり、その結果置換度は1.5と推算される。この実験により各配位子が区別できない場合、場合によってジフェニルリンPPh2Hまたはジ−t−ブチルリンをPY2H等価物と比較する。さらに、これでも配位子が区別できない場合、場合によってPPh3またはP(t
Bu)3配位子をPY3と比較する。Ni(CO)4錯体を完全に置換する小さい配位子で
はそのようなさらなる実験が必要とされ得る。
【0086】
基Yは、本発明の文脈では芳香族環の中点に中心のある円錐の頂角として定義可能なその円錐角に対する基準によっても定義可能である。「中点」とは、環原子からの距離が等しい環平面における点を意味する。
【0087】
好ましくは、少なくとも一つの基Yの円錐角または2つ以上のY基の円錐角の合計は少なくとも10°であり、より好ましくは少なくとも 20°、最も好ましくは少なくとも
°である。円錐角はTolman{C. A. Tolman Chem. Rev.77,(1977),313-348}の方
法に従って測定されるが、ただし円錐の頂角はここでは芳香族環の中点に中心があるものとする。Tolman 円錐角のこの使用の修正版を他の系に使用して、シクロペンタジエニル
ジルコニウムエテン重合触媒におけるような立体効果を測定した。(Journal of Molecular Catalysis: Chemical 188,(2002), 105-113)。
【0088】
置換基Yは、Q1原子とQ2原子の間の活性部位に対する立体障害を提供するよう適切なサイズを有するよう選択されるが、置換基が金属の離脱を防止し、その進入経路を指定し、一般により安定な触媒配座を提供し、またはその他の方法で作用するか否かは判明していない。
【0089】
YがSR404142を表わし、式中、SがSi、C、N、S、Oまたはアリールを表わし、R40、R41およびR42が以下に定義するとおりである場合に、特に好ましい配位子が見出されている。好ましくは、各Yおよび/または2つ以上のY基の組み合わせは、少なくともt−ブチルと同じくらい立体障害性である。
より好ましくは、置換基Yがただ一つである場合、Yは少なくともt−ブチルと同じくらい立体障害性であり、置換基Yが2つ以上存在する場合、それらは各々フェニルと同じくらい立体障害性であり、一つの基として考えた場合にt−ブチルと同じくらい立体障害性である。
【0090】
好ましくは、Sがアリールである場合、R40、R41およびR42は、独立して、水素、アルキル、−BQ3−X3(X4)(前記式中、B、X3およびX4は本願において定義した通
りであり、Q3は上記でQ1またはQ2として定義される)、リン、アリール、アリーレン
、アルカリール、アリーレンアルキル、アルケニル、アルキニル、het、ヘテロ、ハロ、シアノ、ニトロ、OR19、−OC(O)R20、−C(O)R21、−C(O)OR22、−N(R23)R24、−C(O)N(R25)R26、−SR29、−C(O)SR30、−C(S)N(R27)R28、−CF3、−SiR717273、またはアルキル亜リン酸である。
【0091】
好ましくは、SがSi、C、N、SまたはOである場合、R40、R41およびR42は、独立して、水素、アルキル、リン、アリール、アリーレン、アルカリール、アラルキル、アリーレンアルキル、アルケニル、アルキニル、het、ヘテロ、ハロ、シアノ、ニトロ、−OR19、−OC(O)R20、−C(O)R21、−C(O)OR22、−N(R23)R24、−C(O)N(R25)R26、−SR29、−C(O)SR30、−C(S)N(R27)R28、−CF3、−SiR717273、またはアルキル亜リン酸であり、R40〜R42のうちの少
なくとも1つは水素ではなく、R19〜R30は本願において定義した通りであり、R71〜R73はR40〜R42として定義されるが、好ましくは、C1〜C4アルキルまたはフェニルである。
【0092】
好ましくは、Sは、Si、Cまたはアリールである。しかしながら、結合した基の中の1つ以上の基Yとしてまたは基Yが多数ある場合に、N、SまたはOもまた好ましい場合もある。疑問を避けるために、酸素または硫黄が二価であり得るとき、R40〜R42も非共有電子対となり得る。
【0093】
好ましくは、基Yに加えて、芳香族ブリッジ環式ヒドロカルビル構造は、置換されていなくてもよいし、または可能な場合には、アルキル、アリール、アリーレン、アルカリール、アラルキル、アリーレンアルキル、アルケニル、アルキニル、het、ヘテロ、ハロ、シアノ、ニトロ、−OR19、−OC(O)R20、−C(O)R2 1、−C(O)OR22
、−N(R23)R24、−C(O)N(R25)R26、−SR29、−C(O)SR30、−C(S)N(R27)R28、−CF3、−SiR717273、またはアルキル亜リン酸のうちか
ら選択される基でさらに置換されていてもよい。式中、R19〜R30は本願において定義した通りであり、R71〜R73は、R40〜R42として定義されるが、好ましくはC1〜C4アルキルまたはフェニルである。さらに、少なくとも一つの芳香族環はメタロセン錯体の一部であってもよく、例えばRがシクロペンタジエニルまたはインデニルアニオンの場合、少なくとも一つの芳香族環はフェロセニル、ルテノシル、モリブデノセニル、またはインデニル等価物等の金属錯体の一部を形成し得る。
【0094】
そのような錯体は本発明の文脈内の芳香族ブリッジ環式ヒドロカルビル構造とみなされるべきであり、かかる錯体が2つ以上の芳香族環を有する場合、置換基Yまたは他のものがQ1およびQ2原子が連結されるのと同じ芳香族環上に存在するか、または構造上のさらなる芳香族環上に存在する。例えば、メタロセンの場合、置換基はメタロセン構造の任意の1または複数の環上に存在してもよく、これはQ1およびQ2原子が連結されるのと同じ環であっても異なる環であってもよい。
【0095】
本願で定義されるように置換可能な適当なメタロセン型配位子は当業者には周知であり、国際公開第WO04/024322号に広範に定義されている。そのような芳香族アニ
オンに特に好ましい置換基YはSがSiである場合である。
【0096】
しかしながら一般に、Sがアリールである場合、該アリールは、非置換でもよいし、R40、R41、R42に加えて、上記で芳香族構造に対して定義したさらなる置換基のいずれで置換されていてもよい。
【0097】
本発明におけるより好ましい置換基Yは、−t−ブチル、2−フェニルプロパ−2−イルのようなt−アルキルまたはt−アルキルアリール、−SiMe3、−フェニル、アル
キルフェニル−、フェニルアルキル−、あるいはホスフィノメチルのようなホスフィノアルキルから選択され得る。
【0098】
好ましくは、SがSiまたはCであり、かつR40〜R42のうちの1つ以上が水素である場合、R40〜R42の少なくとも1つは、必要な立体障害を与えるために十分に嵩高くなけ
ればならず、そのような基は、好ましくは、リン、ホスフィノアルキル−、−t−ブチルのような第三炭素を有する基、アリール、アルカリール、アラルキルまたは第三シリルである。
【0099】
好ましくは、芳香族ブリッジ環式ヒドロカルビル構造は、置換基を含めて、5から70個までの環原子を有し、より好ましくは5から40個までの環原子、最も好ましくは5〜22個の環原子、特には5または6 個の環原子を有する。ただしメタロセン錯体でない
場合である。
【0100】
好ましくは、芳香族ブリッジ環式ヒドロカルビル構造は、単環式であってもよいし、多環式であってもよい。環式芳香族原子は炭素であってもヘテロであってもよく、ここで、「ヘテロ」と言う場合は、硫黄、酸素および/または窒素を指す。しかしながら、Q1
子およびQ2原子は少なくとも一つの芳香族環の利用可能な隣接する環炭素原子に連結さ
れることが好ましい。通常、環式ヒドロカルビル構造が多環式である場合、それは好ましくは二環式のまたは三環式である。芳香族ブリッジ環式ヒドロカルビル構造中のさらなる環はそれ自体芳香族であってもなくてもよく、「芳香族ブリッジ環式ヒドロカルビル構造」という言葉は理解されるはずである。本願で定義される非芳香族ブリッジ環式ヒドロカルビル構造は不飽和結合を含んでもよい。「環原子」とは、環式骨格の一部を形成する原子を意味する。
【0101】
好ましくは、芳香族ブリッジ環式ヒドロカルビル構造は、置換されていてもそうでなくても、好ましくは200原子未満、より好ましくは150原子未満、より好ましくは100原子未満である。
【0102】
「芳香族ブリッジヒドロカルビル構造の一つのさらなる環原子」という用語は、Q1
よびQ2原子が連結基を介して連結されている少なくとも一つの芳香族環の利用可能な隣
接環原子ではない芳香族構造中の任意のさらなる環原子のことを意味する。
【0103】
上述したように、前記利用可能な隣接環原子の両側に直接隣接する環原子は、好ましくは置換されない。例として、例として、環の1位によってQ1原子に結合され、環の2位
によってQ2原子に結合された芳香族フェニル環は、好ましくは、環の4位および5位で
置換された1または複数のさらなる芳香族環原子と、3位および6位で置換されない前記利用可能な隣接環原子に対する2つの隣接環原子とを有する。
【0104】
「芳香環」または「芳香環ブリッジ」という用語は、Q1およびQ2原子がBおよびAを介してそれぞれ連結される少なくとも1つの環またはブリッジが芳香性であることを意味し、また、「芳香族」とは、フェニル、シクロペンタジエニルアニオン、ピロリル、ピリジニル型構造だけでなく、前記環内を自由に移動可能な非局在π電子を有する任意の環に見出されるような芳香族性を有する他の環を含むように広く解釈されるべきである。
【0105】
好ましい芳香族環は環内に5または6個の原子を有するが、[14]アンヌレンや[18]アンヌレン等のように4n+2個のπ電子を有する環も可能である。
芳香族ブリッジ環式ヒドロカルビル構造は、ベンゼン−1,2−ジイル、フェロセン−1,2−ジイル、ナフタレン−1,2−ジイル、4または5−メチルベンゼン−1,2−ジイル、1’−メチルフェロセン−1,2−ジイル、4および/または5 t−アルキルベ
ンゼン−1,2−ジイル、4,5−ジフェニル−ベンゼン−1,2−ジイル、4および/または5−フェニル−ベンゼン−1,2−ジイル、4,5−ジ−t−ブチル−ベンゼン−1,2−ジイル、4または5−t−ブチルベンゼン−1,2−ジイル、2,3,4および/または5 t−アルキル−ナフタレン−8,9−ジイル、1H−インデン−5,6−ジ
イル、1,2および/または3 メチル−1H−インデン−5,6−ジイル、4,7−メ
タノ−1H−インデン−1,2−ジイル、1,2および/または3−ジメチル−1H−インデン−5,6−ジイル、1,3−ビス(トリメチルシリル)−イソベンゾフラン−5,6−ジイル、4−(トリメチルシリル)ベンゼン−1,2−ジイル、4−ホスフィノメチルベンゼン−1,2−ジイル、4−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン−1,2−ジイル、4−ジメチルシリルベンゼン−1,2−ジイル、4−ジ−t−ブチル,メチルシリルベンゼン−1,2−ジイル、4−(t−ブチルジメチルシリル)−ベンゼン−1,2−ジイル、4−t−ブチルシリル−ベンゼン−1,2−ジイル、4−(トリ−t−ブチルシリル)−ベンゼン−1,2−ジイル、4−(2’−tert−ブチルプロパ−2’−イル)ベンゼン−1,2−ジイル、4−(2’,2’,3’,4’,4’ペンタメチル−ペンタ−3’−イル)−ベンゼン−1,2−ジイル、4−(2’,2’,4’,4’−テトラメチル,3’−t−ブチル−ペンタ−3’−イル)−ベンゼン−1,2−ジイル、4−(または1’)t−アルキルフェロセン−1,2−ジイル、4,5−ジフェニル−フェロセン−1,2−ジイル、4−(または1’)フェニル−フェロセン−1,2−ジイル、4,5−ジ−t−ブチル−フェロセン−1,2−ジイル、4−(または1’)t−ブチルフェロセン−1,2−ジイル、4−(または1’)(トリメチルシリル)フェロセン−1,2−ジイル、4−(または1’)ホスフィノメチルフェロセン−1,2−ジイル、4−(または1’)(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン−1,2−ジイル、4−(または1’)ジメチルシリルフェロセン−1,2−ジイル、4−(または1’)ジ−t−ブチル,メチルシリルフェロセン−1,2−ジイル、4−(または1’)(t−ブチルジメチルシリル)−フェロセン−1,2−ジイル、4−(または1’)t−ブチルシリル−フェロセン−1,2−ジイル、4−(または1’)(トリ−t−ブチルシリル)−フェロセン−1,2−ジイル、4−(または1’)(2’−tert−ブチルプロパ−2’−イル)フェロセン−1,2−ジイル、4−(または1’)(2’,2’,3’,4’,4’ペンタメチル−ペンタ−3’−イル)−フェロセン−1,2−ジイル、4−(または1’)(2’,2’,4’,4’−テトラメチル,3’−t−ブチル−ペンタ−3’−イル)−フェロセン−1,2−ジイルから選択され得る。
【0106】
本願における構造において、可能な立体異性体が2つ以上ある場合、そのような立体異性体がすべて意図される。
上述したように、一部の実施形態において、芳香族構造のさらなる環原子上には2つ以上の前記置換基が存在してもよい。任意選択で、前記2つ以上の置換基は、特に隣接する環原子上にある場合に結合して、脂環式環構造のようなさらなる環構造を形成してもよい。
【0107】
そのような脂環式環構造は、飽和でも不飽和でもよく、ブリッジを有しても有しなくてもよく、アルキル、本願で定義したようなY基、アリール、アリーレン、アルカーリル、アラルキル、アリーレンアルキル、アルケニル、アルキニル、het、ヘテロ、ハロ、シアノ、ニトロ、−OR19、−OC(O)R20、−C(O)R21、−C(O)OR22、−N(R23)R24、−C(O)N(R25)R26、−SR29、−C(O)SR30、−C(S)N(R27)R28、−CF3、−SiR717273、またはホスフィノアルキルで置換されて
いてもよく、前記式中、存在する場合には、R40〜R42のうちの少なくとも1つは水素ではなく、R19〜R30は本願において定義した通りであり、R71〜R73はR40〜R42として定義されるが、好ましくは、C1〜C4アルキルまたはフェニルであり、および/または、1つ以上(好ましくは合計4つ未満)の酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子によって割り込まれているか、あるいはシラノ基もしくはジアルキルケイ素基)によって割り込まれているか、またはそれらの混合物によって割り込まれている。
【0108】
そのような構造の例には、ピペリジン、ピリジン、モルホリン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、フラン、ジオキサン、アルキル置換DIOP、2−アルキル置換1,3−ジオキサン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シク
ロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、1,4−ジチアン、ピペリジン、ピロリジン、チオモルホリン、シクロヘキサノン、ビシクロ[4.2.0]オクタン、ビシクロ[4.3.0]ノナン、アダマンタン、テトラヒドロピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、テトラヒドロ−フラン−2−オン、デルタバレロラクトン、ガンマ−ブチロラクトン、グルタル酸無水物、ジヒドロイミダゾール、トリアザシクロノナン、トリアザシクロデカン、チアゾリジン、ヘキサヒドロ−1H−インデン(5,6−ジイル)、オクタヒドロ−4,7−メタノ−インデン (1,2−ジイル)およびテトラヒドロ
−1H−インデン (5,6−ジイル)が含まれ、これらはすべて本願のアリールに対し
て定義されるように非置換であっても置換されていてもよい。
【0109】
本発明内の非置換の芳香族ブリッジ二座配位子の非限定的な例には以下のものが含まれる:1,2−ビス−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)ベンゼン、1,2−ビス−(ジ−tert−ペンチルホスフィノメチル)ベンゼン、1,2−ビス−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)ナフタレン、1,2−ビス(ジアダマンチルホスフィノメチル)ベンゼン、1,2−ビス(ジ−3,5−ジメチルアダマンチルホスフィノメチル)ベンゼン、1,2−ビス(ジ−5−tert−ブチルアダマンチルホスフィノメチル)ベンゼン、1,2−ビス(1−アダマンチル tert−ブチル−ホスフィノメチル)ベン
ゼン、1−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−2−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)ベンゼン、1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジコングレシルホスフィノメチル)ベンゼン、1−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)−2−(ホスファ−アダマンチル)o−キシレン、1−(ジアダマンチルホスフィノ)−2−(ホスファ−アダマンチル)o−キシレン、1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(ホスファ−アダマンチル)ベンゼン、1−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−2−(ホスファ−アダマンチル)ベンゼン、1−(ホスファ−アダマンチル)−2−(ホスファ−アダマンチル)メチルベンゼン、1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ベンゼン、1−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノ)ベンゼン、1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノ)ベンゼン、1−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)−2−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン)o−キシレン、1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン)ベンゼン、1−(2−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))−ベンジル)−2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン,1−(tert−ブチル,アダマンチルホスフィノメチル)−2−(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)ベンゼンおよび1−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン)−2−(ホスファ−アダマンチル)o−キシリル(式中、「ホスファ−アダマンチル」は2−ホスファ−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル、2−ホスファ−1,3,5−トリメチル−6,9,10 トリオキサ−アダマンチル、2−ホスファ−1,3,5,7−テト
ラ(トリフルオロメチル)−6,9,10−トリオキサ−アダマンチルまたは2−ホスファ−1,3,5−トリ(トリフルオロメチル)−6,9,10−トリオキサ−アダマンチルから選択される)、1,2−ビス−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)フェロセン、1,2,3−トリス−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)フェロセン、1,2−ビス(1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−2−ホスファ−アダマンチルメチル)フェロセン、1,2−ビス−瘁C瘁|(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))ジメチルフェロセン および1−
(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))フェロセン ならびに 1,2−ビス(1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−2−ホスファ−アダマンチルメチル)ベンゼン。
【0110】
適切な置換された非芳香族ブリッジ二座配位子の例は、cis−1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジメチルシクロヘキサン;cis−1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−5−メチルシクロペンタン;cis−1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−4,5−ジメチルシクロヘキサン;cis−1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)5−メチルシクロペンタン;cis−1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジメチルシクロヘキサン;cis−1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−5−メチルシクロペンタン;cis−1−(P,Pアダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジメチルシクロヘキサン;cis−1−(P,Pアダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−5−メチルシクロペンタン;cis−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)4,5−ジメチルシクロヘキサン;cis−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−5−メチルシクロペンタン;cis−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−5−メチルシクロヘキサン;cis−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−5−メチルシクロペンタン;cis−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)シクロブタン;cis−1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジメチルシクロヘキサン;cis−1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−5−メチルシクロペンタン;cis−1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−ジメチルシクロヘキサン;cis−1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−5−メチルシクロペンタン;cis−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジメチルシクロヘキサン;cis−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−5−メチルシクロペンタン;cis−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジメチルシクロヘキサン;cis−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−5−メチルシクロペンタン;cis−1,2−ビス−パーフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}−デシル)−4,5−ジメチルシクロヘキサン;cis−1,2−ビス−パーフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−5−メチルシクロペンタン;cis−1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−ジメチルシクロヘキサン;cis−1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1
[3.7]}デシル)−5−メチルシクロペンタン;cis−1−(2−ホスフィノ−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジメチルシクロヘキサン;cis−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(2−ホスフィノ−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−4,5−ジメチルシクロヘキサン;cis−1−(ジ−t−ブチルホスフィノ)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジメチルシクロヘキサン;cis−1−(ジ−アダマンチルホスフィノ)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジメチルシクロヘキサン;cis−1−(ジ−アダマンチルホスフィノ)−2−(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジメチルシクロヘキサン;cis−1−(2−ホスフィノ−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジメチルシクロヘキサン;cis−1−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジメチルシクロヘキサン;1−[4,5−ジメチル−2−p−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン)−[1S,2R]シクロヘキシルメチル]
−p−2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オンである。
【0111】
適切な非置換の非芳香族ブリッジ二座配位子の例は、cis−1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)シクロヘキサン;cis−1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)シクロペンタン;cis−1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)シクロブタン;cis−1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)シクロヘキサン;cis−1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)シクロペンタン;cis−1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)シクロブタン;cis−1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)シクロヘキサン;cis−1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)シクロペンタン;cis−1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)シクロブタン;cis−1−(P,P−アダマンチル、t−ブチル−ホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)シクロヘキサン;cis−1−(2−ホスフィノ−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)シクロヘキサン;cis−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(2−ホスフィノ−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)シクロヘキサン;cis−1−(ジ−t−ブチルホスフィノ)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)シクロヘキサン;cis−1−(ジ−アダマンチルホスフィノ)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)シクロヘキサン;cis−1−(ジ−アダマンチルホスフィノ)−2−(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)シクロヘキサン;cis−1−(2−ホスフィノ−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)シクロヘキサン;cis−1−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)シクロヘキサン;cis−1−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))−2−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))メチルシクロヘキサン;cis−1−(P,P−アダマンチル、t−ブチル−ホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)シクロペンタン;cis−1−(P,P−アダマンチル、t−ブチル−ホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)シクロブタン;cis−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)シクロヘキサン;cis−1−(
2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)シクロペンタン;cis−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)シクロブタン;cis−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)シクロヘキサン;cis−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)シクロペンタン;cis−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)シクロブタン;cis−1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)シクロヘキサン;cis−1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)シクロペンタン;cis−1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)シクロブタン;cis−1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)シクロヘキサン;cis−1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)シクロペンタン;cis−1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)シクロブタン;cis−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)シクロヘキサン;cis−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)シクロペンタン;cis−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)シクロブタン;cis−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)シクロヘキサン;cis−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)シクロペンタン;cis−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)シクロブタン;cis−1,2−ビス−パーフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}−デシル)シクロヘキサン;cis−1,2−ビス−パーフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)シクロペンタン;cis−1,2−ビス−パーフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)シクロブタン;cis−1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)シクロヘキサン;cis−1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)シクロペンタン;およびcis−1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)シクロブタン,(2−エキソ、3−エキソ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)ならびに(2−エンド、3−エンド)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)である。
【0112】
本発明による置換された芳香族ブリッジ配位子の例には、1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジフェニルベンゼン;1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−フェニルベンゼン;1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)ベンゼン;1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−4,5−ジフェニルベンゼン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−4−フェニルベンゼン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)ベンゼン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン;1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4,5 ジフェニルベンゼン;1,2−ビス(ジ−アダマンチ
ルホスフィノメチル)−4−フェニルベンゼン;1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)ベンゼン;1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン;1−(P,Pアダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジフェニルベンゼン;1−(P,Pアダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−フェニルベンゼン;1−(P,Pアダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)ベンゼン;1−(P,Pアダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)4,5−ジフェニルベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−フェニルベンゼン;;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)4,5−ビス−(トリメチルシリル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジフェニルベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−フェニルベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジフェニルベンゼン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−フェニルベンゼン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)ベンゼン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−ジフェニルベンゼン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−フェニルベンゼン;1,2
−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)ベンゼン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジフェニルベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−フェニルベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジフェニルベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−フェニルベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン;1,2−ビス−パーフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}−デシル)−4,5−ジフェニルベンゼン;1,2−ビス−パーフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−フェニルベンゼン;1,2−ビス−パーフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}−デシル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)ベンゼン;1,2−ビス−パーフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン;1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−ジフェニルベンゼン;1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−フェニルベンゼン;1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)ベンゼン;1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン;1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジ−t−ブチルベンゼン;1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−t−ブチルベンゼン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テ
トラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−4−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)ベンゼン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−4−t−ブチルベンゼン;1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)ベンゼン;1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4−t−ブチルベンゼン;1−(P,Pアダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1−(P,Pアダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1−(P,Pアダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)ベンゼン;1−(P,P−アダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−t−ブチルベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)4,5−(ジ−t−ブチル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−t−ブチルベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)
−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−t−ブチルベンゼン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)ベンゼン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−t−ブチルベンゼン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−(ジ−t−ブチル)ベンゼン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−
4−t−ブチルベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−t−ブチルベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−t−ブチルベンゼン;1,2−ビス−パーフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}−デシル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1,2−ビス−パーフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1,2−ビス−パーフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}−デシル)−4,5−(ジ−t−ブチル)ベンゼン;1,2−ビス−パーフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−t−ブチルベンゼン;1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−(ジ−t−ブチル)ベンゼン;1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−t−ブチルベンゼン、1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(ホスファ−アダマンチル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン、1−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−2−(ホスファ−アダマンチル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン、1−(ホスファ−アダマンチル)−2−(ホスファ−アダマンチル)−4−(トリメチルシリル)メチルベンゼン、1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン、1−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノ)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン、1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノ)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン、1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(P−(2,2,6
,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン、1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン、1−(2−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))−4−トリメチルシリルベンジル)−2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン,1−(tert−ブチル,アダマンチルホスフィノ)−2−(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン−(式中、「ホスファ−アダマンチル」は2−ホスファ−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル、2−ホスファ−1,3,5−トリメチル−6,9,10 トリオキサ−アダマンチル、2−ホスファ−1,3,5,7−テトラ(
トリフルオロメチル)−6,9,10−トリオキサ−アダマンチルまたは2−ホスファ−1,3,5−トリ(トリフルオロメチル)−6,9,10−トリオキサ−アダマンチルから選択される)、1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))−4−(トリメチルシリル)フェロセン;1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジフェニルフェロセン;1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(または1’)フェニルフェロセン;1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)フェロセン;1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(または1’)(トリメチルシリル)フェロセン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−4,5−ジフェニルフェロセン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)4−(または1’)フェニルフェロセン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)フェロセン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)4−(または1’)(トリメチルシリル)フェロセン;1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4,5 ジフェニルフェ
ロセン;1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4−(または1’)フェニルフェロセン;1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)フェロセン;1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4−(または1’)(トリメチルシリル)フェロセン;1−(P,Pアダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジフェニルフェロセン;1−(P,Pアダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(または1’)フェニルフェロセン;1−(P,Pアダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)フェロセン;1−(P,Pアダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(または1’)(トリメチルシリル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)4,5−ジフェニルフェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(または1’)フェニルフェロセン;;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)4,5−ビス−(トリメチルシリル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(または1’)(トリメチルシリル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジフェニルフェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ
アダマンチルホスフィノメチル)−4−(または1’)フェニルフェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(または1’)(トリメチルシリル)フェロセン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジフェニルフェロセン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(ま
たは1’)フェニルフェロセン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)フェロセン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(または1’)(トリメチルシリル)フェロセン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−ジフェニルフェロセン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(または1’)フェニルフェロセン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)フェロセン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(または1’)(トリメチルシリル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジフェニルフェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(または1’)フェニルフェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(または1’)(トリメチルシリル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジフェニルフェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(または1’)フェニルフェロセン;;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(または1’)(トリメチルシリル)フェロセン;1,2−ビス−パーフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}−デシル)−4,5−ジフェニルフェロセン;1,2−ビス−パーフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(または1’)フェニルフェロセン;1,2−ビス−パーフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}−デシル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)フェロセン;1,2−ビス−パーフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,
7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(または1’)(トリメチルシリル)フェロセン;1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−ジフェニルフェロセン;1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(または1’)フェニルフェロセン;1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)フェロセン;1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(または1’)(トリメチルシリル)フェロセン;1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(または1’)(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジ−t−ブチルフェロセン;1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(または1’)t−ブチルフェロセン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−4−(または1’)(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)フェロセン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−4−(または1’)t−ブチルフェロセン;1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4−(または1’)(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)フェロセン;1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4−(または1’)t−ブチルフェロセン;1−(P,Pアダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1−(P,Pアダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(または1’)(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1−(P,Pアダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)フェロセン;1−(P,Pアダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(または1’)t−ブチルフェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(または1’)(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)4,5−(ジ−t−ブチル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(または1’)t−ブチルフェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−
アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(または1’)(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(または1’)t−ブチルフェロセン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(または1’)(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)フェロセン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(または1’)t−ブチルフェロセン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(または1’)(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−(ジ−t−ブチル)フェロセン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(または1’)t−ブチルフェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(または1’)(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(または1’)t−ブチルフェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)
−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(または1’)(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(または1’)t−ブチルフェロセン;1,2−ビス−パーフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}−デシル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1,2−ビス−パーフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(または1’)(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1,2−ビ
ス−パーフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}−デシル)−4,5−(ジ−t−ブチル)フェロセン;1,2−ビス−パーフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(または1’)t−ブチルフェロセン;1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(または1’)(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−(ジ−t−ブチル)フェロセン;1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(または1’)t−ブチルフェロセンが含まれる。
【0113】
本発明の配位子の選択的構造には以下のものが含まれる:
【0114】
【化2】

【0115】
【化3】

【0116】
【化4】

【0117】
【化5】

【0118】
【化6】

【0119】
【化7】

【0120】
【化8】

【0121】
【化9】

【0122】
【化10】

【0123】
【化11】

【0124】
【化12】

【0125】
【化13】

【0126】
【化14】

【0127】
【化15】

【0128】
【化16】

【0129】
【化17】

【0130】
【化18】

【0131】
【化19】

【0132】
【化20】

【0133】
【化21】

【0134】
【化22】

【0135】
【化23】

【0136】
【化24】

【0137】
【化25】

【0138】
【化26】

【0139】
【化27】

【0140】
【化28】

【0141】
【化29】

および
【0142】
【化30】

ノルボルニル架橋非芳香族配位子の例には以下のものが含まれる:
【0143】
【化31】

【0144】
【化32】

置換された非芳香族架橋配位子構造の例には以下のものが含まれる:
【0145】
【化33】

【0146】
【化34】

【0147】
【化35】

【0148】
【化36】

【0149】
【化37】

【0150】
【化38】

上記の例では、一般式(I)の配位子の構造の、Q1および/またはQ2基のリンに取り付けられたX1〜X4の第三級炭素(t−ブチル)を有する基の1または複数は、適切な代
替基により置換されてもよく、好ましい代替基はアダマンチル、1,3−ジメチルアダマンチル、コングレッシル、ノルボルニル、または1−ノルボルナジエニルであるか、もしくはX1およびX2とX3およびX4との少なくとも一方は、リンと共に2−ホスファ−トリシクロ[3.3.1.1{3,7}]デシル基または2−ホスファ−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサアダマンチル、2−ホスファ−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサアダマンチルまたはP−2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン等の本願に定義された式1aまたは1bの環系を形成する。大半の実施形態では、X1〜X4基またはX1/X2とX3/X4の組み合わせが同じであることが好ましいが、異なる基を使用することはかかる選択された配位子において、そして包括的には本発明において活性部位周囲に非対称性を生成するのに好都合である。
【0151】
一般的には、基X1はCR1(R2)(R3)を表わし、X2はCR4(R5)(R6)を表わし、X3はCR7(R8)(R9)を表わし、X4はCR10(R11)(R12)を表わす。前記
式中、R1〜R12は、アルキル、アリールまたはhetを表わす。
【0152】
特に好ましいのは、有機基R1〜R3、R4〜R6、R7〜R9および/またはR10〜R12、あるいは、これに代わって、それらの各第三級炭素原子と関連付けられているときのR1
〜R6および/またはR7〜R12が、少なくともt−ブチルと同じくらい立体障害性である複合基を形成する場合である。
【0153】
これらの立体複合基は、環式、部分環式、または非環式であり得る。環式または部分環式である場合、前記基は、置換されていても、置換されていなくてもよく、あるいは、飽和していても、不飽和であってもよい。環式基または部分環式基は、好ましくは、環状構造中に、第三級炭素原子を含めて、C4〜C34、より好ましくはC8〜C24、最も好ましくはC10〜C20の炭素原子を含み得る。環状構造は、ハロ、シアノ、ニトロ、OR19、OC(O)R20、C(O)R21、C(O)OR22、NR232 4、C(O)NR2526、SR29、C(O)SR30、C(S)NR2728、アリールまたはHetから選択される1つま
たは複数の置換基によって置換されていてもよい。前記式中、R19〜R30は本願で定義した通りであり、かつ/または、1つまたは複数の酸素または硫黄原子によって、あるいはシラノ基またはジアルキルケイ素基によって割り込まれている。
【0154】
特に、環式である場合、X1、X2、X3および/またはX4は、コングレッシル、ノルボルニル、1−ノルボルナジエニルまたはアダマンチルを表わし得るか、または、X1およ
びX2は、それらが結合されているQ2と共に、任意に置換される2−Q2−トリシクロ[
3.3.1.1{3,7}]デシル基またはその誘導体を形成するか、または、X1およ
びX2は、それらが結合されているQ2と共に、下記式1aの環系を形成する。
【0155】
【化39】

同様に、X3およびX4は、それらが結合されているQ1と共に、任意に置換される2−
1−トリシクロ[3.3.1.1{3,7}]デシル基または誘導体を形成してもよい
し、あるいは、X3およびX4は、それらが結合されているQ1と共に、下記式1bの環系
を形成してもよい。
【0156】
【化40】

これに代わって、1つまたは複数の基X1、X2、X3および/またはX4は、配位子が結合されている固相を表わしてもよい。
【0157】
特に好ましいのは、X1、X2、X3およびX4が同一である場合、または各Q2原子を伴
うX1およびX2と各Q1原子を伴うX3およびX4とが同一である場合、またはX1およびX3は同一であるが、X2およびX4はそれとは異なるが互いに同一である場合である。
【0158】
好ましい実施形態では、R1〜R12は、それぞれ独立して、アルキル、アリール、また
はHetを表わす。
19〜R30は、各々独立して、水素、アルキル、アリールまたはHetを表わす。
【0159】
49およびR54は、存在する場合には、各々独立して、水素、アルキルまたはアリールを表わす。
50〜R53は、存在する場合には、各々独立して、アルキル、アリールまたはHetを表わす。
【0160】
YY1およびYY2は、存在する場合には、各々独立して、酸素、硫黄またはN−R55を表わし、ここで、R55は水素、アルキルまたはアリールを表わす。
上記式1aまたは1bの化合物の例は、R50〜R53がメチル、R49およびR54がH、YY1またはYY2がOであり、Q1またはQ2がリンである場合、2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オンである。
【0161】
好ましくは、R1〜R12は、各々独立して、アルキルまたはアリールを表す。より好ま
しくは、R1〜R12は、各々独立して、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルキルフェニル(
前記式中、フェニル基は本願で定義されるようにアリールとして任意に置換される)またはフェニル(前記式中、フェニル基は本願において定義されるようにアリールとして任意に置換される)を表す。さらにより好ましくは、R1〜R12は、各々独立して、C1〜C6
アルキルを表わし、前記C1〜C6アルキルは本願において定義されるようにアルキルとして任意に置換される。最も好ましくは、R1〜R12は、各々、メチル、エチル、n−プロ
ピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびシクロヘキシルのような非置換C1〜C6アルキルを表わし、特にはメチルである。
【0162】
本発明の特に好ましい実施形態において、R1、R4、R7およびR10は、各々、本願に
おいて定義した通りの同一のアルキル、アリールまたはHet部分を表わし、R2、R5、R8およびR11は、各々、本願において定義した通りの同一のアルキル、アリールまたは
Het部分を表わし、かつ、R3、R6、R9およびR12は、各々、本願において定義した
通りの同一のアルキル、アリールまたはHet部分を表わす。より好ましくは、R1、R4、R7およびR10は、各々同一のC1〜C6アルキル、特に、メチル、エチル、n−プロピ
ル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルまたはシクロヘキシルのような非置換C1〜C6アルキルを表わし、R2、R5、R8およびR11は、各々独立して、上記で定義した通りの同一のC1〜C6アルキルを表わし、R3、R6
、R9およびR12は、各々独立して、上記で定義した通りの同一のC1〜C6アルキルを表
わす。例えば、R1、R4、R7およびR10は各々メチルを表わし、R2、R5、R8およびR11は各々エチルを表わし、R3、R6、R9およびR12は各々n−ブチルまたはn−ペンチ
ルを表わす。
【0163】
本発明の特に好ましい実施形態において、各R1〜R12は、本願において定義した通り
の同一のアルキル、アリールまたはHet部分を表わす。好ましくは、各R1〜R12は、
アルキル基である場合には、同一のC1〜C6アルキル基、特に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびシクロヘキシルのような非置換C1〜C6アルキルを表わす。より好ましくは、各R1〜R12は、メチルまたはtert−ブチルを表し、最も好ましくはメチルを表す。
【0164】
2−Q2(またはQ1)−トリシクロ[3.3.1.1.{3,7}デシル基(以下、便宜上、2−メタ−アダマンチル基と称する。ここで、2−メタ−アダマンチルは、Q1
たはQ2がヒ素原子、アンチモン原子またはリン原子であるもの、すなわち、2−アルサ
−アダマンチルおよび/または2−スチバ−アダマンチル、および/または2−ホスファ−アダマンチル、好ましくは、2−ホスファ−アダマンチルを示す)は、水素原子の他に、1つまたは複数の置換基を任意に備えてもよい。適当な置換基は、本願においてアダマンチル基に関して定義したようなそれらの置換基を含む。非常に好ましい置換基としては、アルキル、特に非置換C1〜C8アルキル、とりわけメチル、トリフルオロメチル、−OR19が挙げられ、前記式中、R19は、本願において定義されるように、特に非置換のC1
〜C8アルキルまたはアリール、および4−ドデシルフェニルである。2−メタ−アダマ
ンチル基が2つ以上の置換基を備える場合、好ましくは、各置換基は同一である。
【0165】
好ましくは、2−メタ−アダマンチル基は、本願において定義されるような置換基によって、1位、3位、5位、または7位のうちの1つまたは複数の位置において置換される。より好ましくは、2−メタ−アダマンチル基は、1位、3位および5位の各々において置換される。適切には、このような配置は、2−メタ−アダマンチル基のQ原子が、アダマンチル骨格内の水素原子を有さない炭素原子に結合されていることを意味する。最も好ましくは、2−メタ−アダマンチル基は、1位、3位、5位および7位の各々において置換される。2−メタ−アダマンチル基が2つ以上の置換基を備える場合、好ましくは、各置換基は同一である。とりわけ好ましい置換基は、非置換C1〜C8アルキルおよびハロアルキル、特に、メチルのような非置換C1〜C8アルキル、およびトリフルオロメチルのようなフッ素化C1〜C8アルキルである。
【0166】
好ましくは、2−メタ−アダマンチルは、非置換2−メタ−アダマンチルを表すか、または1つまたは複数の非置換C1〜C8アルキル置換基またはそれらの組み合わせによって置換された2−メタ−アダマンチルを表わす。
【0167】
好ましくは、2−メタ−アダマンチル基は、2−メタ−アダマンチル骨格中に、2−Q原子以外に、付加的なヘテロ原子を含む。適当な付加的なヘテロ原子としては、酸素原子および硫黄原子、とりわけ酸素原子が挙げられる。より好ましくは、2−メタ−アダマンチル基は、6位、9位および10位において、1つまたは複数の付加的なヘテロ原子を含む。さらにより好ましくは、2−メタ−アダマンチル基は、6位、9位および10位の各
々において、付加的なヘテロ原子を含む。最も好ましくは、2−メタ−アダマンチル基が2−メタ−アダマンチル骨格中に2つ以上の付加的なヘテロ原子を含む場合、付加的なヘテロ原子の各々は同一である。好ましくは、2−メタ−アダマンチルは2−メタ−アダマンチル骨格に1つまたは複数の酸素原子を含んでいる。本願において定義されるような1つまたは複数の置換基で任意に置換され得る特に好ましい2−メタ−アダマンチル基は、2−メタ−アダマンチル骨格の6位、9位、および10位の各々において酸素原子を含む。
【0168】
非常に好ましい本願において定義されるような2−メタ−アダマンチル基としては、2−ホスファ−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサアダマンチル、2−ホスファ−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサアダマンチル、2−ホスファ−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロメチル)−6,9,10−トリオキサアダマンチル基、および2−ホスファ−1,3,5−トリ(トリフルオロメチル)−6,9,10−トリオキサアダマンチル基が挙げられる。最も好ましくは、2−ホスファ−アダマンチルは、2−ホスファ−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサアダマンチル基または2−ホスファ−1,3,5,−トリメチル−6,9,10−トリオキサアダマンチル基から選択される。
【0169】
好ましくは、2つ以上の2−メタ−アダマンチル基が式Iの化合物中に存在する場合、各2−メタ−アダマンチル基は同一である。しかしながら、非対称の配位子が調製され、そのような配位子がQ1原子を組み込んだ2−メタ−アダマンチル基を有し、Q2原子と結合した他の基が見出されたり逆の場合であったりする場合にも、好都合であり得る。
【0170】
2−メタ−アダマンチル基は当業者に周知の方法によって調製され得る。適切には、特定の2−ホスファアダマンチル化合物は、カナダ所在のサイテック カナダ インコーポレテッド社Cytec Canada Incから入手可能である。同様に式Iの対応2−メタ−アダマンチル化合物を、同一の供給者から入手してもよいし、または類似の方法によって調製してもよい。
【0171】
本発明の好ましい実施形態は、前記式中において以下の通りである前記化合物を含む:

3はCR7(R8)(R9)を表わし、X4はCR10(R11)(R12)を表わし、X1はCR1(R2)(R3)を表わし、かつX2はCR4(R5)(R6)を表わす;
3はCR7(R8)(R9)を表わし、X4はCR10(R11)(R12)を表わし、かつ、
1およびX2はそれらが結合されているQ2と共に、2−ホスファ−アダマンチル基を形
成する;
3はCR7(R8)(R9)を表わし、X4はCR10(R11)(R12)を表わし;かつ、
1およびX2は、それらが結合されているQ2と共に、式1aの環系を形成する;
【0172】
【化41】

3はCR7(R8)(R9)を表わし、X4はアダマンチルを表わし、かつ、X1およびX2は、それらが結合されているQ2と共に、2−ホスファ−アダマンチル基を形成する;
3はCR7(R8)(R9)を表わし、X4はアダマンチルを表わし、かつX1およびX2
は、それらが結合されているQ2と共に、式1aの環系を形成する;
【0173】
【化42】

3はCR7(R8)(R9)を表わし、X4はアダマンチルを表わし、X1はCR1(R2)(R3)を表わし、かつX2はCR4(R5)(R6)を表わす;
3はCR7(R8)(R9)を表わし、X4はコングレッシルを表わし、かつX1およびX2は、それらが結合されているQ2と共に、2−ホスファ−アダマンチル基を形成する;
3はCR7(R8)(R9)を表わし、X4はコングレッシルを表わし、X1はCR1(R2)(R3)を表わし、かつX2はCR4(R5)(R6)を表わす;
3およびX4は独立してアダマンチルを表わし、かつX1およびX2は、それらが結合されているQ2と共に、2−ホスファ−アダマンチル基を形成する;
3およびX4は独立してアダマンチルを表わし、かつX1およびX2は、それらが結合されているQ2と共に、式1aの環系を形成する;
【0174】
【化43】

3およびX4は独立してアダマンチルを表わし、X1はCR1(R2)(R3)を表わし、かつX2はCR4(R5)(R6)を表わす;
1、X2、X3およびX4はアダマンチルを表わす;
3およびX4は、それらが結合されているQ1と共に、式1bの環系を形成してもよく

【0175】
【化44】

かつX1およびX2は、それらが結合されているQ2と共に、式1aの環系を形成する;
【0176】
【化45】

3およびX4は独立してコングレッシルを表わし、かつX1およびX2は、それらが結合されているQ2と共に、2−ホスファ−アダマンチル基を形成する;
3およびX4は、それらが結合されているQ1と共に、式1bの環系を形成してもよく

【0177】
【化46】

かつX1およびX2は、それらが結合されているQ2と共に、2−ホスファ−アダマンチ
ル基を形成する;
3およびX4は独立してコングレッシルを表わし、X1はCR1(R2)(R3)を表わし、かつX2はCR4(R5)(R6)を表わす;
3およびX4は、それらが結合されているQ1と共に、式1bの環系を形成してもよく

【0178】
【化47】

1はCR1(R2)(R3)を表わし、かつX2はCR4(R5)(R6)を表わす;
3およびX4は、それらが結合されているQ1と共に、2−ホスファ−アダマンチル基
を形成し、かつX1およびX2は、それらが結合されているQ2と共に、2−ホスファ−ア
ダマンチル基を形成する。
【0179】
本発明の非常に好ましい実施形態は、前記式中において以下の通りである前記化合物を含む:
3はCR7(R8)(R9)を表わし、X4はCR10(R11)(R12)を表わし、X1はCR1(R2)(R3)を表わし、かつX2はCR4(R5)(R6)を表わし;とりわけ、R1〜R12はメチルである。
【0180】
好ましくは、式Iの化合物において、X3はX4と同一であり、かつ/またはX1はX2と同一である。
本発明において特に好ましい組み合わせは、前記式中において以下の通りである前記化合物を含む:
(1) X3はCR7(R8)(R9)を表わし、X4はCR10(R11)(R12)を表わし
、X1はCR1(R2)(R3)を表わし、かつX2はCR4(R5)(R6)を表わし;
AおよびBは同一であり、かつ−CH2を表わし;
1およびQ2の双方は、環の1位および2位においてR基に連結されたリンを表わし;
R−は、4−(トリメチルシリル)−ベンゼン−1,2−ジイルを表す。
【0181】
(2) X3はCR7(R8)(R9)を表わし、X4はCR10(R11)(R12)を表わし
、X1はCR1(R2)(R3)を表わし、かつX2はCR4(R5)(R6)を表わし;
AおよびBは同一であり、かつ−CH2を表わし;
1およびQ2の双方は、環の1位および2位においてR基に連結されたリンを表わし;
Rは4−t−ブチル−ベンゼン−1,2−ジイルを表す。
【0182】
(3) X3およびX4は、それらが結合されているQ1と共に、2−ホスファ−アダマ
ンチル基を形成し、かつX1およびX2は、それらが結合されているQ2と共に、2−ホス
ファ−アダマンチル基を形成し;
AおよびBは同一であり、かつ−CH2を表わし;
1およびQ2の双方は、環の1位および2位においてR基に連結されたリンを表わし;
Rは4−(トリメチルシリル)−ベンゼン−1,2−ジイルを表わす。
【0183】
(4) X1、X2、X3およびX4はアダマンチルを表わし;
AおよびBは同一であり、かつ−CH2を表わし;
1およびQ2の双方は、環の1位および2位においてR基に連結されたリンを表わし;
Rは4−(トリメチルシリル)−ベンゼン−1,2−ジイルを表わす。
【0184】
好ましくは、式Iの化合物において、AおよびBは、各々独立して、例えばアルキル基により、本願において定義されるように任意に置換されるC1〜C6アルキレンを表わす。好ましくは、AおよびBが表わす低級アルキレン基は、非置換である。AおよびBが独立して表わし得る特に好ましいアルキレンは−CH2−または−C24−である。最も好ま
しくは、AおよびBの各々は本願において定義されるような同一のアルキレン、特に−CH2−を表わす。代わりに、AまたはBの一方がC0であり(すなわちQ2またはQ1はR基と直接接続するが他方のQ基はR基とは直接接続せず)、C1〜C6アルキレン、好ましくは−CH2−または−C24−、最も好ましくは−CH2である。
【0185】
さらに好ましい式Iの化合物は、前記式中において以下の通りである化合物を含む:
1〜R12はアルキルであり、かつ同一であり、好ましくは、それぞれC1〜C6アルキ
ル、特にメチルを表わす。
【0186】
とりわけ好ましい特定の式(I)の化合物は、前記式中において以下の通りである化合物を含む:
1〜R12は同一であり、かつメチルを表わし;
AおよびBは同一であり、かつ−CH2を表わし;
R−は4−t−ブチル−ベンゼン−1,2−ジイルまたは4(トリメチルシリル)−ベンゼン−1,2−ジイルを表わす。
【0187】
式Iの化合物においてAおよびBが表わす「低級アルキレン」という用語は、本願で用いられる場合には、C0〜C10基またはC1〜C10基を含み、C1〜C10基の場合、その基
の二箇所において結合され得ることによってQ1基またはQ2基がR基に接続され、C1
10基の場合、他の点では下記の「アルキル」と同様に定義される。しかしながら、C1
〜C10基の場合、メチレンが最も好ましい。C0〜C10基の場合、C0はQ1基またはQ2基がR基に直接結合されて、C1〜C10基低級アルキレン基が存在しないことを意味し、こ
の場合、AとBの一方のみがC1〜C10低級アルキレンである。いずれにせよ、AとBの
一方がC0である場合、他方の基はC0となることはできず、本願に定義のC1〜C10基で
なければならず、ゆえにAとBの少なくとも一方はC1〜C10「低級アルキレン」基であ
る。
【0188】
「アルキル」という用語は、本願で用いられる場合、C1〜C10アルキルを意味し、メ
チル基、エチル基、エテニル基、プロピル基、プロペニル基、ブチル基、ブテニル基、ペンチル基、ペンテニル基、ヘキシル基、ヘキセニル基およびヘプチル基を含む。別段の定めがない限り、アルキル基は、十分な数の炭素原子が存在する場合、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく(特に好ましい分岐基はt−ブチルおよびイソプロピルである)、飽和していても、不飽和であってもよく、非環式であっても、環式であっても、あるいは部分的に環式/非環式であってもよく、置換されていなくてもよいし、ハロ、シアノ、ニトロ、OR19、OC(O)R20、C(O)R21、C(O)OR22、NR2324、C(O)NR2526、SR29、C(O)SR30、C(S)NR2728、非置換もしくは置換アリール、または非置換もしくは置換Hetから選択される1つまたは複数の置換基によって置換または終端されていてもよい。かつ/または1つまたは複数(好ましくは4つ未満)の酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子によって、あるいは、シラノ基もしくはジアルキルケイ素基によって、またはそれらの混合物によって割り込まれていてもよい。
【0189】
19〜R30は、各々独立して、水素、非置換もしくは置換アリール、または非置換もし
くは置換アルキルを表わし、R21の場合、さらにハロ、ニトロ、シアノ、チオおよびアミノが追加される。
【0190】
「Ar」または「アリール」という用語は、本願で用いられる場合、フェニル、シクロペンタジエニル、インデニルアニオンおよびナフチルのような、5〜10員の炭素環式芳香族基または擬芳香族基を含む。かかる炭素環式芳香族基または擬芳香族基は、置換されていなくてもよいし、あるいは一つの選択として、非置換または置換アリール、アルキル(その基は、本願において定義されるように、それ自体が置換されていなくても、置換されていてもよく、または終端されていてもよい)、Het(その基は、本願において定義されるように、それ自体が置換されていなくても、置換されていてもよく、または終端されていてもよい)、ハロ、シアノ、ニトロ、OR19、OC(O)R20、C(O)R21、C(O)OR22、NR2324、C(O)NR2526、SR29、C(O)SR30またはC(S)NR2728から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。前記式中、R19〜R30は本願に定義した通りである。
【0191】
「アルケニル」という用語は、本願で用いられる場合、C2〜C10アルケニルを意味し
、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基およびヘキセニル基を含む。別段の定めがない限り、アルケニル基は、十分な数の炭素原子が存在する場合、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、飽和していても、不飽和であってもよく、非環式であっても、環式であってもよく、あるいは部分的に環式/非環式であってもよく、置換されていなくてもよいし、ハロ、シアノ、ニトロ、OR19、OC(O)R20、C(O)R21、C(O)OR22、NR2324、C(O)NR2526、SR29、C(O)SR30、C(S)NR2728、非置換もしくは置換アリール、または非置換もしくは置換Hetから選択される1つまたは複数の置換基によって置換または終端されていてもよい。前記式中、R19〜R30は、本願に定義した通りであり、かつ/または、1つまたは複数(好ましくは合計4つ未満)の酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子によって割り込まれているか、あるいはシラノ基もしくはジアルキルケイ素基によって割り込まれているか、またはそれらの混合物によって割り込まれている。
【0192】
「アルキニル」という用語は、本願で用いられる場合、C2〜C10アルキニルを意味し
、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基およびヘキシニル基を含む。 別段の定めがない限り、アルキニル基は、十分な数の炭素原子が存在する場合、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、飽和していても、不飽和であってもよく、非環式であっても、環式であってもよく、あるいは部分的に環式/非環式であってもよく、置換されていなくてもよいし、またはハロ、シアノ、ニトロ、OR19、OC(O)R20、C(O)R21、C(O)OR22、NR2324、C(O)NR2526、SR29、C(O)SR30、C(S)NR2728、非置換もしくは置換アリール、または非置換もしくは置換Hetから選択される1つまたは複数の置換基によって置換または終端されていてもよい。前記式中、R19〜R30は、本願に定義した通りであり、かつ/または、1つまたは複数(好ましくは合計4つ未満)の酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子によって割り込まれているか、あるいはシラノ基もしくはジアルキルケイ素基によって割り込まれているか、もしくはそれらの混合物によって割り込まれている。
【0193】
「アルキル」、「アラルキル」「アルカリール」、「アリーレンアルキル」などの用語は、それとは反対の情報が存在しない場合、その基のアルキル部分またはアルク(alk)部
分に関する限り、上記「アルキル」の定義に従うべきである。
【0194】
上記のArまたはアリール基は1つまたは複数の共有結合によって付着され得る。しかしながら、本願における「アリーレン」または「アリーレンアルキル」は、2つの共有結合の付着として理解されるべきであるが、他の点では、その基のアリーレン部分に関する
限り、上記のArまたはアリールのように定義される。「アルカリール」、「アラルキル」は、その基のArまたはアリール部分に関する限り、上記のArまたはアリールのことを指すものとして解釈されるべきである。
【0195】
前述の基がそれによって置換または終端され得るハロ基は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを含む。
「Het」という用語は、本願で用いられる場合、4〜12員、好ましくは4〜10員環系を含み、前記環系の環は、窒素、酸素、硫黄およびそれらの混合物から選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含有し、かつ前記環系の環は、二重結合を全く含有しないか、または1つまたは複数の二重結合を含有し、あるいはその性質において、非芳香族性であってもよいし、部分的に芳香族性であってもよいし、完全に芳香族性であってもよい。前記環系は、単環式であっても、二環式であってもよく、または縮合されていてもよい。本願において識別される各「Het」基は、置換されていなくてもよいし、またはハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、アルキル(そのアルキル基は、本願において定義されるように、それ自体が置換されていなくても、置換されていてもよく、または終端されていてもよい)、−OR19、−OC(O)R20、−C(O)R21、−C(O)OR22、−N(R23)R24、−C(O)N(R25)R26、SR29、−C(O)SR30、または−C(S)N(R27)R28から選択される1つまたは複数の置換基によって置換されていてもよい。前記式中、R19〜R30は本願で定義した通りである。よって、「Het」という用語は、任意に置換されるアゼチジニル、ピロリジニル、イミダゾリル、インドリル、フラニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、オキサトリアゾリル、チアトリアゾリル、ピリダジニル、モルホリニル、ピリミジニル、ピラジニル、キノリニル、イソキノリニル、ピペリジニル、ピラゾリルおよびピペラジニル等の基を含む。Hetにおける置換は、Het環の炭素原子の位置であってもよいし、または、適切な場合にはヘテロ原子の1つまたは複数の位置であってもよい。
【0196】
「Het」基はまた、Nオキシドの形態にあってもよい。
本願で言及されるヘテロという用語は、窒素、酸素、硫黄またはそれらの混合物を意味する。
【0197】
アダマンチル基、コングレッシル基、ノルボルニル基、または1−ノルボルナジエニル(1-norborndienyl)基は、水素原子の他に、アルキル、−OR19、−OC(O)R20、ハ
ロ、ニトロ、−C(O)R21、−C(O)OR22、シアノ、アリール、−N(R23)R24、−C(O)N(R25)R26、−C(S)(R27)R28、−SR29、−C(O)SR30、−CF3、−P(R56)R57、−PO(R58)(R59)、−PO32、−PO(OR60
(OR61)、または−SO362から選択される1つまたは複数の置換基を任意に備えて
もよい。前記式中、R19〜R30、アルキル、ハロ、シアノおよびアリールは本願において定義した通りであり、R56〜R62は、各々独立して水素、アルキル、アリールまたはHetを表わす。
【0198】
適切には、アダマンチル、コングレッシル、ノルボルニルまたは1−ノルボルナジエニル基が上記に定義されるような1つまたは複数の置換基で置換される場合、非常に好ましい置換基としては、非置換C1〜C8アルキル、−OR19、−OC(O)R20、フェニル、−C(O)OR22、フルオロ、−SO3H、−N(R23)R24、−P(R56)R57、−C
(O)N(R25)R26、および−PO(R58)(R59)、−CF3が挙げられる。前記式
中、R19は、水素、非置換C1〜C8アルキルまたはフェニルを表わし、R20、R22、R23、R24、R25、およびR26は、各々独立して、水素または非置換C1〜C8アルキルを表わし、R56〜R59は、各々独立して、非置換C1〜C8アルキルまたはフェニルを表す。特に好ましい実施形態において、前記置換基は、C1〜C8アルキルであり、より好ましくは、1,3−ジメチルアダマンチルに見られるようなメチルである。
【0199】
適切には、アダマンチル基、コングレッシル基、ノルボルニル基、または1−ノルボルナジエニル基は、水素原子の他に、最大10個の上記に定義した通りの置換基、好ましくは最大5個の上記に定義した通りの置換基、より好ましくは最大3個の上記に定義した通りの置換基を備え得る。適切には、アダマンチル基、コングレッシル基、ノルボルニル基、または1−ノルボルナジエニル基が、水素原子の他に、本願において定義されるような1つまたは複数の置換基を備える場合、好ましくは、各置換基は同一である。好ましい置換基は、非置換C1〜C8アルキルおよびトリフルオロメチル、特に、メチルのような非置換C1〜C8アルキルである。非常に好ましいアダマンチル基、コングレッシル基、ノルボルニル基、または1−ノルボルナジエニル基は水素原子のみを備える。すなわちアダマンチル基、コングレッシル基、ノルボルニル基、または1−ノルボルナジエニル基は置換されていない。
【0200】
好ましくは、式Iの化合物中に2つ以上のアダマンチル基、コングレッシル基、ノルボルニル基、または1−ノルボルナジエニル基が存在する場合、そのような各基は同一である。
【0201】
好ましくは、前記二座配位子は、二座のホスフィン配位子、アルシン配位子またはスチビン配位子であり、好ましくは二座のホスフィン配位子である。
疑問を避けるために、「第8族、第9族、または第10族金属」は、本願では、現代の周期表命名法における第8族、第9族、または第10族を含むと解釈されるべきである。「第8族、第9族、または第10族」という用語により、好ましくは、Ru、Rh、O、Ir、PtおよびPdのような金属が選択される。好ましくは、前記金属は、Ru、PtおよびPdから選択される。より好ましくは、前記金属はPdである。
【0202】
そのような第8族、第9族、または第10族金属の適切な化合物には、硝酸;硫酸;酢酸およびプロピオン酸のような低級アルカン(C12までの)酸;メタンスルホン酸、クロロスルホン酸、フルオロスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、トルエンスルホン酸(例えばp−トルエンスルホン酸)、t−ブチルスルホン酸、および2−ヒドロキシプロパンスルホン酸のようなスルホン酸類;スルホン化イオン交換樹脂(低い酸レベルのスルホン樹脂を含む)過ハロゲン酸(例えば過塩素酸);ハロゲン化カルボン酸類(例えばトリクロロ酢酸およびトリフルオロ酢酸);オルトリン酸;ホスホン酸類(例えばベンゼンホスホン酸);およびルイス酸とブレンステッド酸との間における相互作用から誘導される酸類;との上記金属の塩、または、前記酸およびスルホン化イオン交換樹脂に由来する弱い配位アニオンを含有する化合物が挙げられる。適当なアニオンを提供し得る他の供給源としては、任意にハロゲン化されたテトラフェニルボラート誘導体(例えばパーフルオロテトラフェニルボラート)が挙げられる。加えて、ゼロ価パラジウム錯体、特に不安定な配位子を有するもの、例えば、トリフェニルホスフィンまたはアルケン(例えばジベンジリデンアセトンもしくはスチレン)、もしくはトリ(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを用いてもよい。
【0203】
上記アニオンは、上記金属化合物として直接導入されてもよいし、上記金属または金属化合物とは別に触媒系に導入されてもよい。好ましくはアニオンは上記酸として導入される。好ましくは、酸は上記に列挙したカルボン酸および芳香族カルボン酸に対するのと同じ範囲のpKaを有するように選択される。
【0204】
18℃の希釈水溶液で測定した酸のpKaは好ましくは約2より大きい。18℃の希釈水溶液で測定したpKaは好ましくは約6未満である。適切な酸および塩は上記に列挙した酸および塩から選択可能である。
【0205】
ヒドロキシカルボニル化等のカルボニル化反応のための特に好ましいアニオンは、上記に列挙したカルボン酸および芳香族カルボン酸である。複数のアニオンの混合物である可能性もあるが、アニオンの一つの供給源のみが上記方法に加えられる。しかしながら、上記方法によってさらなるアニオン供給源、すなわちカルボニル化の酸生成物(例えば1,3−ブタジエンのカルボニル化におけるペンテン酸)が生じることが理解される。
【0206】
ヒドロキシカルボニル化等のカルボニル化反応において、アニオンの存在量は触媒系の触媒作用にとって重要ではない。アニオン 対 第8族、第9族または第10族金属/化合物のモル比は1:1 〜107:1、好ましくは2:1から107:1まで、最も好まし
くは100:1から105:1まで、特には100:1 から1000:1までである。アニオンが酸および塩により提供される場合、酸と塩の相対比率は重要ではない。したがって、共反応物がアニオン供給源として作用する酸と反応する場合、共反応物に対する酸の量は、適切な量の遊離酸が存在するように選択されなければならない。
【0207】
上述のように、本発明の触媒系は、均一系で使用されても不均一系で使用されてもよい。好ましくは触媒系は均一系で使用される。
本発明の方法はペンテン酸の異性体を精製するのに特に効果的である。ペンテン酸をさらにカルボニル化することにより、ペンテン酸からアジピン酸を生成可能である。アジピン酸はナイロン6,6の製造における開始化合物として好都合に使用される。
【0208】
したがって、本発明は詳細には、共役ジエン(特に1,3−ブタジエン)のヒドロキシカルボニル化等のカルボニル化反応にも関連し、特に3−ペンテン酸等のペンテン酸からのアジピン酸の製造における最初の工程を提供するためのヒドロキシカルボニル化等のカルボニル化反応の使用に関するが、これに限定されるわけではない。
【0209】
したがって、本発明の第3態様では、ペンテン酸の異性体の製造方法であって、本発明の第1および第2態様にしたがって1,3−ブタジエンをヒドロキシカルボニル化する工程を含む方法が提供される。
【0210】
それゆえ、本発明の第4態様によれば、本発明の第1および第2態様にしたがって1,3−ブタジエンをヒドロキシカルボニル化して、置換されていても非置換でもよく分岐状でも直鎖状でもよいペンテン酸の異性体を含む生成物を製造する工程と、該ペンテン酸生成物を処理してアジピン酸を製造する工程を含む、アジピン酸の製造方法が提供される。
【0211】
代わりに、共反応物に基づいて、他の反応を行い、その後さらなる処理を施してもよい。本願でいう「処理」とは、カルボニル化反応の生成物に対してカルボニル化等の通常の化学処理を施して、ヒドロキシカルボニル化またはヘキサメチレンジアミンの場合にはアジピン酸を、アンモニアまたはアミドの場合にはε−カプロラクタムを生成することを指す。
【0212】
本発明の第5態様によれば、1,3−ブタジエンをヒドロキシカルボニル化した後、ヒドロキシカルボニル化の生成物であるペンテン酸を処理してアジピン酸を生成する工程を含む、アジピン酸の生産、好ましくは工業的生産のための、本願の上記第1〜4の態様のいずれかで定義された触媒系の使用方法が提供される。
【0213】
好ましくは、上述の処理はカルボニル化である。ペンテン酸のカルボニル化に適した方法は国際公開第WO0248094A1号に記載されており、該文献では3−ペンテン酸がヒドロキシカルボニル化される。
【0214】
生成物であるアジピン酸は、ナイロン6,6の製造のために使用可能である。参照を容
易にするため、本発明の1または複数の上記態様は、本発明の方法と称し得る。
好都合なことに、本発明の方法は、典型的なカルボニル化反応条件下において非常に安定した化合物を使用することができ、そのため、それらの化合物は補充をほとんどまたはまったく必要としない。好都合なことに、本発明の方法は、共役ジエンのヒドロキシカルボニル化反応のようなカルボニル化反応に対して高い速度を有し得る。好都合なことに、本発明の方法は、共役ジエンの高い転化率を促進し、それにより、ほとんどまたは全く不純物を含まない所望の生成物を高収率で与える。従って、本発明の方法の使用により、共役ジエンのカルボニル化反応の商業的利用可能性が増大され得る。特に好都合なことに、本発明の方法により、高いTON数と高い反応速度のヒドロキシカルボニル化反応等のカルボニル化反応が可能となる。
【0215】
式(I)の化合物は、第8族、第9族もしくは第10族金属またはそれらの化合物と配位結合して本発明で使用される化合物を形成する配位子として機能し得ることが、当業者によって認識されるであろう。一般的には、第8族、第9族もしくは第10族金属またはそれらの化合物は、式(I)の化合物の1つまたは複数のリン原子、ヒ素原子および/またはアンチモン原子に配位する。
【0216】
本発明は、共役ジエンのヒドロキシカルボニル化等のカルボニル化反応の方法であって、本発明において定義されるような芳香族カルボン酸を含む溶媒系、触媒化合物、および任意選択の水素供給源の存在下において共役ジエンを一酸化炭素と接触させる工程を含む方法を提供する。
【0217】
本発明の触媒化合物は、「不均一系」触媒として作用してもよいし、または「均一系」触媒として作用してもよく、好ましくは均一系触媒として作用し得る。
「均一系」触媒という用語は、好ましくは本願において記載されるような適当な共溶媒中において、担持されていないが、カルボニル化反応の反応物(例えばエチレン性不飽和化合物、ヒドロキシル基含有化合物、および一酸化炭素)と単に混合されるか、またはそれらの反応物と共にその場(in situ)で形成される触媒すなわち本発明の化合物を意味
する。
【0218】
「不均一系」触媒という用語は、支持体上に担持される触媒すなわち本発明の化合物を意味する。
したがって、さらなる態様によれば、本発明は、本願において定義した通りの共役ジエンをカルボニル化するための方法であって、支持体、好ましくは不溶性支持体を含む触媒によって行なわれる方法を提供する。
【0219】
好ましくは、前記支持体は、ポリオレフィン、ポリスチレンのようなポリマー、またはジビニルベンゼンコポリマーのようなポリスチレンコポリマーまたは当業者に公知の他の適当なポリマーポリマーまたはコポリマー;官能化シリカ、シリコーンまたはシリコーンゴムのようなケイ素誘導体;または、例えば無機酸化物、無機塩化物のような他の多孔性粒状物質を含む。
【0220】
好ましくは、前記支持材は、10〜700m2/gの範囲の表面積、0.1〜4.0c
c/gの範囲の総細孔容積、および10〜500μmの範囲の平均粒径を有する多孔性シリカである。より好ましくは、表面積は、50〜500m2/gの範囲にあり、細孔容積
は0.5〜2.5cc/gの範囲にあり、平均粒径は20〜200μmの範囲にある。最も望ましくは、表面積は100〜400m2/gの範囲にあり、細孔容積は0.8〜3.
0cc/gの範囲にあり、平均粒径は30〜100μmの範囲にある。典型的な多孔質支持層物質の平均細孔径は10〜1000オングストローム(A°´)の範囲にある。好ましくは、50〜500オングストローム(A°´)、最も望ましくは75〜350オング
ストローム(A°´)の平均細孔径を有する支持材が用いられる。シリカを100℃〜800℃の温度で、概して3〜24時間にわたって脱水することが特に望ましい場合がある。
【0221】
適切には、前記支持体は可撓性支持体であってもよいし、硬質支持体であってもよく、不溶性支持体は、当業者に周知の技術によって、本発明の方法の化合物で被覆かつ/または含浸させられる。
【0222】
これに代わって、本発明の方法の化合物は、任意で共有結合を介して、不溶性支持体の表面に固定され、該構成は、任意で不溶性支持体から前記化合物を離間するために、二官能性スペーサー分子を備える。
【0223】
本発明の化合物は、式Iの化合物の中に存在する官能基、例えば、支持体上に存在するか、または支持体に予め挿入された相補的な(complimentary)反応性基を有するシクロ
アルキル部分の置換基の反応を増進することによって、不溶性支持体の表面に固定され得る。支持体の反応性基と本発明の化合物の相補的置換基とを組み合わせることにより、本発明の化合物および支持体が、エーテル、エステル、アミド、アミン、尿素、ケト基のような結合を介して連結される不均一触媒を提供する。
【0224】
本発明の方法の化合物を支持体に連結する反応条件の選択は、エチレン性不飽和化合物と支持体の基とに依存する。例えば、カルボジイミド、1,1−カルボニルジイミダゾールのような試薬、並びに混合無水物の使用、還元的アミノ化のような方法が用いられ得る。
【0225】
さらなる態様によれば、本発明は、触媒が支持体に結合されている本発明の任意の態様の方法または触媒の使用を提供する。
加えて、二座配位子は、(環原子を含む)ブリッジ置換基、架橋基X、連結基L1また
は連結基L2のうちの少なくとも1つを介して適当なポリマーの基質に結合されてもよい
。例えば、cis−1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)ベンゼンは、好ましくはベンゼン基の3,4,5または6環炭素を介して、ポリスチレンに結合されて、固定された不均一系触媒を与え得る。
【0226】
適切には、本発明の触媒は、カルボニル化反応における該触媒のその場(in situ)の
使用に先立った別の工程で調製される。
好都合なことに、本発明の方法は、第8族、第9族もしくは第10族金属または本願において定義した通りのそれらの化合物を、先に記載したアルカノールまたは非プロトン性溶媒のうちの1つのような適当な溶媒(特に好ましい溶媒は、特定のカルボニル化反応のエステル生成物または酸生成物、例えば酢酸ビニルのカルボニル化に対しては乳酸メチルであろう)に溶解する工程と、続けて、本願において定義した通りの式Iの化合物と混合する工程とによって行われ得る。
【0227】
一酸化炭素は、反応において不活性である他の気体の存在下において用いられてもよい。そのような気体の例としては、水素、窒素、二酸化炭素、およびアルゴンのような希ガスが挙げられる。
【0228】
反応の生成物は、任意の適当な手段によって他の成分から分離され得る。しかしながら、一般に非常に高い選択性からも分かり得るように、著しく少ない副生成物しか形成されないことにより、生成物の初期の分離後におけるさらなる精製の必要性が低減されることは本方法の利点である。さらなる利点は、触媒系を含有する他の成分はさらなる反応に再循環および/または再使用することができ、新規な触媒の補給は最小限となることである

【0229】
商業的に許容できる時間スケールにおけるカルボニル化が明らかに好ましい以外は、カルボニル化の継続時間における制限は特にない。バッチ反応でのカルボニル化は、48時間以内、より一般的には24時間以内、最も一般的には12時間以内で行われる。一般的には、カルボニル化は、少なくとも5分間、より一般的には少なくとも30分間、最も一般的には少なくとも1時間にわたる。連続反応においては、そのような時間スケールは明らかに関連性がなく、連続反応は、触媒が補充を必要とする前においてTONが商業的に許容可能である限り継続することができる。
【0230】
本発明の触媒系は、好ましくは、反応物の1つまたは複数により、または適当な溶媒の使用により形成され得る液相中において構成される。
触媒系と共に安定化化合物を使用することもまた、触媒系から失われた金属の回収の改善に有益な場合がある。触媒系が液体反応媒体中において用いられる場合、そのような安定化化合物は、第8族、第9族または第10族金属の回収を支援し得る。
【0231】
従って、好ましくは、触媒系は、液体反応媒体中において、液体担体において溶解したポリマー分散剤を含有してもよい。前記ポリマー分散剤は、液体担体内において、第8族、第9族または第10族金属の粒子または触媒系の金属化合物のコロイド懸濁液を安定させることができる。
【0232】
液体反応媒体は、反応のための溶媒であってもよいし、あるいは反応物または反応生成物自身の1つまたは複数からなってもよい。液体形態にある反応物および反応生成物は、溶媒または液体希釈剤と混和されてもよいし、あるいは溶媒または液体希釈剤中に溶解されてもよい。
【0233】
ポリマー分散剤は液体反応媒体中に可溶であるが、反応速度論または熱伝導に対して不都合となってしまうように、反応媒体の粘度を著しく増大すべきではない。温度および圧力の反応条件下の液体媒体中における分散剤の溶解度は、金属粒子上における分散剤分子の吸着を著しく阻止するほど大きくてはならない。
【0234】
ポリマー分散剤は、前記第8族、第9族または第10族金属または金属化合物の粒子のコロイド懸濁液を液体反応媒体中で安定させることができ、そのため、触媒分解の結果として形成された金属粒子は、液体反応媒体中において懸濁液中に保持され、再生および任意でさらなる量の触媒を製造する際の再使用のために、液体と共に反応装置から放出される。金属粒子は、通常、コロイド状の寸法であり、5〜100nmの範囲の平均粒径であるが、場合により、より大きな粒子が生じることがある。ポリマー分散剤の一部分は金属粒子の表面上に吸着されるが、分散剤分子の残りは、液体反応媒体によって部分的に溶媒和され続ける。このように分散された第8族、第9族または第10族金属粒子は、反応装置の壁の上、または反応装置の空所に沈降すること、並びに粒子の衝突によって成長し、最終的に、凝結し得る金属粒子の集塊を形成することに対して安定化される。適当な分散剤粒子の存在下においてさえ、ある程度の粒子の凝集は起こり得るが、分散剤の種類および濃度が最適化される場合、そのような凝集は比較的低いレベルにあるに違いなく、また、撹拌によってそれらの集塊が破壊され、粒子が再度分散され得るように、集塊は緩く形をなすにすぎないことがある。
【0235】
ポリマーの分散剤は、グラフトコポリマーおよび星形ポリマーのようなポリマーを含む、ホモポリマーまたはコポリマーを含有し得る。
好ましくは、ポリマー分散剤は、前記第8族、第9族、または第10族金属または金属化合物のコロイド懸濁液を実質的に安定させるための酸性または塩基性の官能性を十分に
有する。
【0236】
実質的に安定させるとは、第8族、第9族または第10族金属の溶液相からの析出が実質的に回避されることを意味する。
この目的に対して特に好ましい分散剤としては、カルボン酸、スルホン酸、ポリアクリレートのようなアミンおよびアミド、または複素環、特に窒素複素環、ポリビニルピロリドンのような置換ポリビニルポリマー、または前記のもののコポリマーを含む酸性または塩基性ポリマーが挙げられる。
【0237】
そのようなポリマーの分散剤の例は、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンイミン、ポリグリシン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)、ポリ−L−ロイシン、ポリ−L−メチオニン、ポリ−L−プロリン、ポリ−L−セリン、ポリ−L−チロシン、ポリ(ビニルベンゼンスルホン酸)およびポリ(ビニルスルホン酸)、アシル化ポリエチレンイミンから選択され得る。適当なアシル化ポリエチレンイミンは、バスフ(BASF)の欧州特許出願公開第EP1330309A1号および米国特許第US6,723,882号に記載されている。
【0238】
好ましくは、ポリマー分散剤は、ポリマー骨格にペンダントして、またはポリマー骨格内に、酸性部分または塩基性部分を組み込んでいる。好ましくは、酸性部分は、6.0未満の、より好ましくは5.0未満の、最も好ましくは4.5未満の解離定数(pKa)を有する。好ましくは、塩基性部分は、6.0未満の、より好ましくは5.0未満の、最も好ましくは4.5未満の塩基解離定数(pKb)を有する。pKaおよびpKbは25℃の希釈水溶液において測定される。
【0239】
適当なポリマー分散剤は、反応条件において反応媒体に可溶であることに加えて、ポリマー骨格内に、またはペンダント基として、少なくとも1つの酸性部分または塩基性部分を含有する。ポリビニルピロリドン(PVP)、およびポリアクリル酸(PAA)などのポリアクリレートのような酸部分およびアミド部分を組み込んだポリマーが特に適当であることを見出した。本発明で使用するのに適したポリマーの分子量は、反応媒体の性質および反応媒体中でのポリマーの溶解度に依存する。通常、平均分子量は100,000未満であることを見出した。好ましくは、平均分子量は、1,000〜200,000の範囲、より好ましくは5,000〜100,000の範囲、最も好ましくは10,000〜40,000の範囲にあり、例えば、分子量は、PVPが用いられる場合には、好ましくは10,000〜80,000の範囲、より好ましくは20,000〜60,000の範囲にあり、PAAの場合には約1,000〜10,000のオーダーの範囲にある。
【0240】
反応媒体中における分散剤の効果的な濃度は、用いられることになっている各反応/触媒系に対して決定されるべきである。
分散された第8族、第9族または第10族金属は、反応装置から除去された液体流から、例えば濾過によって、回収され、次いで、廃棄されるか、あるいは触媒または他の用途として再使用するために処理されるかのいずれかであり得る。連続法においては、液体流は外部熱交換器を介して循環されてもよく、そのような場合、これらの循環装置内にパラジウム粒子用フィルタを設置することが好都合であり得る。
【0241】
好ましくはポリマー:金属の質量比は、g/g比で、1:1〜1000:1であり、より好ましくは1:1〜400:1であり、最も好ましくは1:1〜200:1である。好ましくは、ポリマー:金属の質量比は、g/g比において、最大1000であり、より好ましくは最大400であり、最も好ましくは最大200である。
【0242】
本発明の第1態様において述べた特徴のうちのいずれも、本発明の第2態様、第3態様
、第4態様、第5態様、または他の態様の好ましい特徴と見なされてもよく、その逆も同様であることが認識されるであろう。
【0243】
本発明はまた、式(I)の新規な二座配位子、およびそのような配位子の第8族、第9族もしくは第10族の金属またはそれらの化合物との新規な錯体に及ぶ。
ここで、本発明を以下の非限定的な実施例および比較例によって説明および例示する。カルボニル化実験手順
反応溶液を標準的なシュレンク(Schlenk)ライン法を使用して調製した。112.5mg(0.500 mmole)のPd(OAc)2と、494mg(1.25mmole)
の二座配位子1,2−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)ベンゼンとを窒素置換(nitrogen purge)したグローブボックス内の丸底フラスコに秤量して入れた。次に、丸底フラスコをシュレンクライン上に移動させた。100mlの脱気した溶媒(以下の実施例に定義)と、100mlの脱気したカルボン酸(以下の実施例に定義)(カルボン酸が液体の場合)と、25mlの脱気した脱イオン水とを加え、二相からなる溶液を生じさせた。二相のうち、上部の黄色い有機物の豊富な相が触媒を含んでいた。カルボン酸(以下の実施例に定義)が固体の場合、これを固体(以下に定義)としてオートクレーブに加えた。
【0244】
二相触媒溶液を丸底フラスコから吸引によりオートクレーブに加え、約100gの1,3−ブタジエンを300mlのWhitey社製加圧容器から吸引により触媒容器に加えた。オートクレーブを135℃に加熱した。反応は、主ガス供給線からオートクレーブに40バールの一酸化炭素を導入することで開始され、その直後に反応オートクレーブを2.25リットルの一酸化炭素を含む供給物貯蔵容器に接続した。オートクレーブ圧力は、反応気体に補給するための気体貯蔵器からの一酸化炭素供給を維持することにより、一定に保持された。3時間後、一酸化炭素の供給を分離し、オートクレーブを冷却した後、圧力を解放した。液体体積を解放したオートクレーブ内に一晩放置し、溶解した未反応の1,3−ブタジエンを脱気すると共に換気してから、分析用に収集した。
【0245】
初期反応速度とターンオーバ数(TON)を、理想気体として挙動し、ペンテン酸形成に対して100%の選択性であると仮定して、2.25リットルの供給物貯蔵器中の圧力の変化率から計算した。
実施例1〜4および比較例1〜5−カルボン酸のバリエーション
種々のカルボン酸に関して上記に概説した手順を行った。反応はすべて、100mlのトルエン(溶媒)、パラジウム対二座配位子の比が1:2.5、および100mlのノナン酸と同じカルボン酸のモル数すなわち0.573モル(別途記載がない場合)で行った。実施例2は50mlのノナン酸と同じ産のモル数で行った。結果を以下の表1に詳細に示す。
【0246】
【表1】

実施例5〜9および比較例6−部分的に最適化した条件下での反応におけるカルボン酸の変化の効果
実施例1の方法を、パラジウム対二座配位子の比が1:5であるが先の実施例と同僚のパラジウムを用いるという部分的に最適化された条件で、種々のカルボン酸に関して行った。結果を以下の表2に詳細に示す。
【0247】
【表2】

実施例10〜13−共溶媒のバリエーション
実施例1の方法を、カルボン酸としてo−トルイル酸を用い、種々の共溶媒(100ml)に関して行った。反応は先の実施例と同様、再びパラジウム対二座配位子の比を1:5で存在するようにして行った。共溶媒の変化は2つの部分で成した:すなわち、使用する一つの共溶媒は水に混和可能とし、使用する第2の共溶媒は水に不混和とした。ジオキサン、アセトニトリル、およびTHFの共溶媒を用いると、二座配位子、酢酸パラジウム、共溶媒、および水を共に混合したときに単一相の溶液が生じた。トルエンとメチル−tert−ブチルエーテル(MTBE)を使用すると、二座配位子、酢酸パラジウム、共溶媒、および水を共に混合したときに二相からなる溶液が生じた。結果を以下の表3に詳細に示す。
【0248】
【表3】

単一相の溶液は、妥当なTON(ジオキサンの場合)と妥当な最大速度(THFの場合)を与えることが観察された。二相の溶液は高いTON(トルエンの場合)と高い最大速度(MTBEの場合)を与えることが観察された。
実施例14〜16−二座配位子対パラジウムの比のバリエーション
実施例1の方法を、カルボン酸としてo−トルイル酸を用いて行った。反応はすべて、共溶媒として100mlのトルエンを用いて行った。二座配位子対パラジウムの比を以下の表4に概説するように変化させ、0.125モルPd(OAc)2に基づくようにした

【0249】
【表4】

実施例17〜21−5バールの水素の追加
実施例1の方法を、o−トルイル酸を用いて、パラジウム対二座配位子の比を種々の値にして行った。ただし、反応に水素を用いた場合は、オートクレーブとその中身を110℃に加熱した。温度が110℃に達すると、ヒータとスターラを停止させ、5バールの水素の分圧を外部容器から追加した。水素を加えた後、ヒータとスターラを再度作動させ、反応を通常通り進行させた。結果を以下の表5に示す。
【0250】
【表5】

読者の注意は、本出願に関して本明細書と同時に、または本明細書に先立って出願され、かつ本明細書によって公衆による閲覧に付されたすべての論文および文書に向けられる。すべてのそのような論文および文書の内容は、参照により本願に援用される。
【0251】
この明細書において開示された特徴のすべて(添付の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)、および/または開示したあらゆる方法または方法の工程の全ては、そのような特徴および/または工程の少なくとも一部が相互に排他的である組み合わせを除く、任意の組み合わせで組み合わせられ得る。
【0252】
本明細書において開示された各特徴(添付の特許請求の範囲、要約書および図面を含む)は、明示的に別段の定めをした場合を除き、同一、均等、または類似した目的に役立つ代わりの特徴と置き換えられてもよい。したがって、明示的に別段の定めをした場合を除き、開示された各特徴は、一般的な一連の均等または類似した特徴の一例に過ぎない。
【0253】
本発明は前述の実施形態の詳細に限定されない。本発明は、本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書、および図面)において開示された特徴のうち新規な任意の1つまたは新規な組み合わせ、あるいはそのように開示された任意の方法または方法の工程の新規な任意の1つまたは新規な組み合わせに及ぶ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共役ジエンをカルボニル化するための方法であって、芳香族カルボン酸を含む溶媒系、触媒系、および任意選択で水素の供給源の存在下において、前記共役ジエンを一酸化炭素および活性水素を有する共反応物と反応させる工程を含み、前記触媒系は、
(a)第8族、第9族もしくは第10族の金属、またはそれらの化合物と、
(b)下記一般式(I)の二座配位子:
1(X2)−Q2−A−R−B−Q1−X3(X4) (I)
と、
任意選択でアニオン供給源またはさらなるアニオン供給源と、
を組み合わせることによって得ることができ、
前記式中、
AおよびBは、各々独立して、低級アルキレン連結基を表わし、
Rは、環式ヒドロカルビル構造を表わし、前記環式ヒドロカルビル構造には、Q1およ
びQ2原子が、該連結基を介して前記環式ヒドロカルビル構造の利用可能な隣接環原子に
連結されており、
1、X2、X3およびX4基は、独立して、少なくとも1つの第三級炭素原子を有する30原子までの一価のラジカルを表わすか、または、X1およびX2とX3およびX4との少なくとも一方は、少なくとも2つの第三級炭素原子を有する40原子までの二価のラジカルを一緒に形成し、前記式中、前記一価または二価のラジカルの各々は、前記少なくとも1つまたは2つの第三級炭素原子を介して、適切なQ1またはQ2原子にそれぞれ結合されており、
1およびQ2は、各々独立して、リン、ヒ素、またはアンチモンを表す、方法。
【請求項2】
共役ジエンをカルボニル化するための方法であって、芳香族カルボン酸を含む溶媒系、触媒系、および任意選択で水素の供給源の存在下において、前記共役ジエンを一酸化炭素および活性水素を有する共反応物と反応させる工程を含み、前記触媒系は、
(a)第8族、第9族もしくは第10族金属、またはそれらの化合物と、
(b)下記一般式(I)の二座配位子:
1(X2)−Q2−A−R−B−Q1−X3(X4) (I)
と、
任意選択でアニオン供給源またはさらなるアニオン供給源と、
を組み合わせることによって得ることができ、
前記式中、
AおよびBは、各々独立して、低級アルキレンを表わし、
Rは、環式ヒドロカルビル構造を表わし、前記環式ヒドロカルビル構造には、Q1およ
びQ2原子が、該連結基を介して前記環式ヒドロカルビル構造の利用可能な隣接環原子に
連結されており、
1、X2、X3およびX4基は、独立して、少なくとも1つの第三級炭素原子を有する30原子までの一価のラジカルを表わすか、または、X1およびX2とX3およびX4との少なくとも一方は、少なくとも2つの第三級炭素原子を有する40原子までの二価のラジカルを一緒に形成し、前記式中、前記一価または二価のラジカルの各々は、前記少なくとも1つまたは2つの第三級炭素原子を介して、適切なQ1またはQ2原子にそれぞれ結合されており、
1およびQ2は、各々独立して、リン、ヒ素、またはアンチモンを表わし、
二座配位子と第8族、第9族もしくは第10族の金属との比が10:1(モル:モル)よりも大きい、方法。
【請求項3】
前記共反応物が、水、カルボン酸、アルコール、アンモニアもしくはアミン、チオール、またはそれらの組み合わせから選択される請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記共役ジエンが1分子当たり4〜22個の炭素原子を有する任意選択で置換される任意選択である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
カルボニル化反応に使用される芳香族カルボン酸が、好ましくは任意選択で置換される、例えばフェニル、ナフチル、シクロペンタジエニルアニオン、インデニル、ピリジニルおよびピロリル基に基づくC1−C30芳香族化合物であり、かつ芳香族に結合した少なく
とも1つのカルボン酸基を有するものであり、より好ましくは少なくとも1つのカルボン酸基を有するC1−C16芳香族化合物である請求項1,3または4のいずれかに記載の方
法。
【請求項6】
18℃の希釈水溶液で測定した酸のpKaが約2より大きい請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
18℃の希釈水溶液で測定した酸のpKaは好ましくは約6未満である請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記カルボン酸が、アルキル基;アリール基;水酸基;アルコキシ基(例えばメトキシ);アミノ基;またはハロ基(例えばF、Cl、IおよびBr)のうちの1または複数で置換されている請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
存在する場合には、前記カルボン酸の芳香環が一置換または二置換である請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記カルボン酸が、安息香酸;ナフトエ酸;およびシクロペンタジエニル酸;からなる芳香族カルボン酸から選択される請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
存在する場合には、前記芳香族カルボン酸が、置換された芳香族カルボン酸である請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
存在する場合には、前記芳香族カルボン酸が、C1−C4アルキル置換安息香酸(例えば2,4,6−トリメチルの安息香酸、2,6−ジメチル安息香酸、およびO−トルイル酸(2−メチル安息香酸))、2−ニトロ安息香酸、6−クロロ−2−メチロール安息香酸、4−アミノ安息香酸、2−クロロ−6−ヒドロキシ安息香酸、2−シアノ安息香酸、3−シアノ安息香酸、4−シアノ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、3−ニトロ安息香酸、2−フェニル安息香酸、2−tert−ブチル安息香酸、2−ナフトエ酸、1−ナフトエ酸、2,4−ジメチル安息香酸、3−メチル安息香酸、3,5−ジメチル安息香酸、4−ヒドロキシ三足公算、2−フルオロ安息香酸、3−プロポキシ安息香酸、3−エトキシ安息香酸、2−プロポキシ安息香酸、2,2−ジフェニルプロピオン酸、2−メトキシフェニル酢酸、オルトアニス酸、メタアニス酸、4−tert−ブチル安息香酸、および2−エトキシ安息香酸から選択される請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
存在する場合には、前記芳香族カルボン酸は、カルボン酸を有する基に加えてただ1つの基のみによって置換される請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記カルボン酸は、少なくとも1つのカルボン酸基をさらに有する任意選択で置換されるC1−C30化合物である請求項2、3、4、5、7または8に記載の方法。
【請求項15】
前記カルボン酸はカルボニル化反応の酸生成物である請求項2、3、4、5、7、8または14に記載の方法。
【請求項16】
前記溶媒系が、前記カルボン酸に加えて、少なくとも一つの共溶媒を含む請求項1〜15のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2010−513452(P2010−513452A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542235(P2009−542235)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際出願番号】PCT/GB2007/050775
【国際公開番号】WO2008/075108
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(500460209)ルーサイト インターナショナル ユーケー リミテッド (30)
【Fターム(参考)】