内外し引き違い窓
【課題】外障子の取付け、取外し作業中に誤作業が生じた場合であっても、外障子が室外面への外れることがない安全性に優れた内外し引き違い窓を提供することにある。
【解決手段】窓枠1の下枠9上に室外側レール部材7及び室内側レール部材8を設けて、これら各レール部材7,8の上面を、前記下枠9の室内側立ち上がり片の上端とほぼ同一のフラット面とし、室内外障子2,3が前記各レール部材7,8上を走行し、室内側に引き込んで外すようにした内外し引き違い窓であって、
前記室外側レール部材7は、その室外側に前記フラット面より上方に突出する立上がり片41を有し、
前記外障子3は、その室内側垂下片82aが前記室外側レール部材7の室内側に位置して前記フラット面より垂下している、ことを特徴とする内外し引き違い窓
【解決手段】窓枠1の下枠9上に室外側レール部材7及び室内側レール部材8を設けて、これら各レール部材7,8の上面を、前記下枠9の室内側立ち上がり片の上端とほぼ同一のフラット面とし、室内外障子2,3が前記各レール部材7,8上を走行し、室内側に引き込んで外すようにした内外し引き違い窓であって、
前記室外側レール部材7は、その室外側に前記フラット面より上方に突出する立上がり片41を有し、
前記外障子3は、その室内側垂下片82aが前記室外側レール部材7の室内側に位置して前記フラット面より垂下している、ことを特徴とする内外し引き違い窓
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の屋外開口部に取付けた窓枠内を内外障子がスライド開閉する内外し引き違い窓の構造に関し、特に、窓枠の下枠の上面が略フラット面に形成したバリアフリー内外し引き違い窓における外障子の室外側へのはずれ防止構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の屋外開口部に取付けた窓枠の下枠には、当該内外障子を左右にスライドさせるために、内外障子の下框に設けられた戸車を回動させるリブ状のレール部が形成されており、通常、リブ状のレール部は、引き違い窓の雨仕舞の観点より、室外側よりも室内側が高くなるように段差を設けて形成されていた。
【0003】
一方、近年では、バリアフリー若しくはユニバーサルデザインの観点から、リブ状のレール部を室外側と室内側で段差を設けることなく窓枠の下枠を略フラットに形成した屋外用バリアフリーサッシが開発されている。(例えば、特許文献1参照)
このような、屋外用バリアフリーサッシにおいては、内外障子を窓枠の上枠のレールに沿って上方に移動させ、内外障子のスライド片をスライド溝に挿入することにより簡単に内外障子をサッシ枠内に容易に取付けることができ、また、内外障子を窓枠の上枠のレールに沿って上方に移動させ、内外障子のスライド片をスライド溝からし室内側に引抜することにより簡単に内外障子を窓枠内から容易に取外すことができる。
【0004】
また、内外障子と窓枠との隙間から室内側に虫等が浸入するのを防止するため、窓枠の下枠に凹部を形成し網戸の垂下片を嵌合した網戸付き屋外用バリアフリーサッシも開発されている。(例えば、特許文献2参照)
【特許文献1】特開2002−256778号公報
【特許文献2】特開2002−256784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特に、外障子のサッシ枠内への取付け作業中の誤作業により外障子が室外側に外れ、落下する虞があり、特に高層階、高窓の外障子が落下した場合、二次的災害を引き起こす虞もある。
例えば、外障子のサッシ枠内への取付け作業において、外障子のスライド片がスライド溝に挿入されなかった場合、外障子が室外側に外れ落下する虞がある。また、外障子のサッシ枠内からの取外し作業において、外障子をスライド溝から室外側に引抜いた場合、外障子が室外側に外れ落下する虞がある。
【0006】
そこで、本発明の主たる課題は、外障子のサッシ枠内への取付け及び取外し作業中に誤作業が生じた場合であっても、外障子が室外面への外れることがない安全性に優れた内外し引き違い窓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明は、次のとおりである。
<請求項1記載の発明>
請求項1記載の発明は、窓枠の下枠上に室外側レール部材及び室内側レール部材を設けて、これら各レール部材の上面を、前記下枠の室内側立ち上がり片の上端とほぼ同一のフラット面とし、室内外障子が前記各レール部材上を走行し、室内側に引き込んで外すようにした内外し引き違い窓であって、
前記室外側レール部材は、その室外側に前記フラット面より上方に突出する立上がり片を有し、
前記外障子は、その室内側垂下片が前記室外側レール部材の室内側に位置して前記フラット面より垂下している、ことを特徴とする内外し引き違い窓である。
【0008】
(作用効果)
窓枠の下枠上に室外側レール部材及び室内側レール部材を設けて、これら各レール部材の上面を、前記下枠の室内側立ち上がり片の上端とほぼ同一のフラット面としていることから、バリアフリーを実現でき、また、ユニバーサルデザインの観点からも優れたものである。
【0009】
室外側レール部材は、その室外側にフラット面より上方に突出する立上がり片を有していることから、外障子の取付け及び取外し作業中の誤作業により、外障子が室外に外れ、落下することがなく安全性に優れる。
また、室外側から室外側レール部材と外障子との隙間にバール塔を差し込み、外障子を外される危険もなく防犯性に優れる。
【0010】
外障子は、その室内側垂下片が室外側レール部材の室内側に位置してフラット面より垂下していることから、外障子は下枠に形成された外障子走行溝に沿って左右に容易に閉開でき、閉開時において外障子は窓枠から外れることがなく安全性に優れる。
【0011】
<請求項2記載の発明>
請求項2記載の発明は、前記外障子の上方への呑み込み限に対して、前記室内側垂下片の下端より、前記立上がり片の上端が上位に位置している請求項1記載の内外し引き違い窓である。
【0012】
(作用効果)
外障子の上方への呑み込み限に対して、室内側垂下片の下端より、立上がり片の上端が上位に位置していることから、外障子の取付け及び取外し作業中の誤作業により、外障子が室外に外れ、落下することがなく安全性に優れる。
また、立上がり片の立上がり長さを短くすることができ、ユニバーサルデザインの観点からも優れる。
【0013】
<請求項3記載の発明>
請求項3記載の発明は、前記外障子の上方への呑み込み限に対して、前記室外側垂下片の下端より、前記立上がり片の上端が上位に位置している請求項1記載の内外し引き違い窓である。
【0014】
(作用効果)
外障子の上方への呑み込み限に対して、室外側垂下片の下端より、立上がり片の上端が上位に位置していることから、特に、外障子の取付け及び取外し作業中の誤作業により、外障子が室外に外れ、落下することがなく安全性に優れる。
また、外障子の室外方向移動距離(角度)が小さい段階で、立上がり片により外障子が係止されるため、作業者に誤作業をいち早く認識させることができ、取付け及び取外し作業効率が高い内外し引き違い窓を実現する。
さらに、外障子の取付け及び取外し作業中の誤作業により外障子に室外方向に大きな荷重が加わり、外障子の下框の室外側垂下片と、室外側レール部材の立上がり片とが係合が外れた場合にあっても、外障子の下框の室内側垂下片と、室外側レール部材の立上がり片とが係合することにより外障子が室外に外れ、落下することはない。
【0015】
<請求項4記載の発明>
請求項4記載の発明は、網戸を備え、前記立上がり片上に沿って前記網戸が走行するように構成した請求項1及至3のいずれか1項に記載の内外し引き違い窓である。
【0016】
(作用効果)
網戸を備え、突出部上に沿って網戸が走行するように構成したことから、網戸走行レールを別段に設ける必要がなく製造コストを低減でき経済的に優れる。
【0017】
<請求項5記載の発明>
請求項5記載の発明は、前記室外側レール部材は、前記下枠に対して着脱自在である請求項1及至4のいずれか1項に記載の内外し引き違い窓である。
【0018】
(作用効果)
室外側レール部材は、下枠に対して着脱自在であることから、室外側レール部材の損傷時に室外側レール部材の交換が容易にできる。
また、室外側レール部材は、立上がり片を形成していない従来品と互換性があり、掃出し窓とする場合には、室外側レール部材を従来品に交換することにより容易にバリアフリーにすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、外障子の取付け、取外し作業中に誤作業が生じた場合であっても、外障子が室外面への外れることがない安全性に優れた内外し引き違い窓を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は内外し引き違い窓の縦断面図、図2は同上部拡大縦断面図、図3は同下部拡大縦断面図、図4は室外側レール部材であり、図5は内外し引き違い窓の横断面図である。
【0021】
内外し引き違い窓は、窓枠1と、窓枠1に嵌合された内外障子2,3から構成されている。
【0022】
窓枠1は、上枠4と、下枠5と、左右堅枠6とを四周枠組みして形成され、さらに、下枠5は、室外側レール部材(目板)7と、室内側レール部材8がそれぞれ下部下枠9に上方から挿嵌されている。また、窓枠1には、内外障子2,3が引き違い状に備えている。
【0023】
内外障子2,3は、上框10a,10bと、下框11a,11bと、召し合わせ框12と、戸先框13a,13bを四周框組みし形成し、ガラスパネル14a,14bが框に挿嵌されている。
そして、内外障子2,3は、内外障子2,3を閉じた際に、それぞれの召し合せ框12a,12bに設けたクレセント(図示省略)により施錠される。
【0024】
(上枠)
図1及び図2に示すように、上枠4は、外側基板20と、室外側から順に、室外側垂下片21と、室外側中間垂下片22と、室内側中間垂下片23と、室内側垂下片24とから形成され、外側基板20と、室内側中間垂下片23と、室内側垂下片24が内障子3の内障子走行溝25を形成している。
また、外側基板20の下面上の室外側中間垂下片22と室内側中間垂下片23との間、室内側中間垂下片23と室内側垂下片24との間にはそれぞれ内外障子2,3の上方への移動を抑制するストッパー26が設けられている。
【0025】
(上框)
内外障子2,3の上框10a,10bは、中空部30a,30bと、中空部30a,30bから上方に立ち上がる立上がり片31a,31bと、中空部から垂下する垂下片32a,32bから形成されている。
【0026】
上框10aの立上がり片31aの間には、室外側ダイス33が挿嵌され、上框10bの立上がり片31bには、室内側ダイス34が嵌合されている。
また、室外側ダイス33には、上面から切抜き部35が形成されている。
【0027】
(上枠と上框との係合)
上枠4の室内側中間垂下片23が、立上がり片31aの間に挿嵌された室外側ダイス33の切抜き部35に挿嵌されており、外障子2が室内側中間垂下片23に沿って左右閉開される。
また、上枠4の室内側中間垂下片23の室外面に設けられた上枠タイト材27が、上框10aの室内側立上がり片31aの室内面に摺接しており、室外の雨水等の浸入を防止する水密ラインが形成されている。
【0028】
内障子走行溝25に、上框10bの立上がり片31bが挿嵌されており、内障子3が内障子走行溝25に沿って左右閉開される。
上框10bの室外側立上がり片31bの室内側ダイス34が、上枠4の室外側中間垂下片22の室内面に摺接しており、内障子3が内障子走行溝25で室外方向への移動を抑制している。
また、上枠4の室内側垂下片24の室外面に設けられた上枠タイト材27が、上框10bの室内側立上がり片31bの室内面に摺接しており、室外の雨水等の浸入を防止する水密ラインが形成されている。
【0029】
(室外側レール部材)
図1、図3及び図4に示すように、室外側レール部材7は、基板40と、立上がり片41と、室外側垂下片42と、室内側垂下片43が形成されている。
また、基板40の上面には、外障子戸車44が走行する凸状の外障子走行レール45が形成され、立上がり片41には、基板40から上方に立上がる立上がり部46と、立上がり部46の先端から室外方向に延在する水平部47と、水平部47の先端から下方に垂下する立ち下がり部48から形成されている。
さらに、図4に示すように、室外側レール部材7は従来品と互換性があり、掃出し窓とする場合には、室外側レール部材を従来品に交換することにより容易にバリアフリーに変更可能である。
なお、図4(a)には従来品を示し、室外側レール部材7との相違を明らかにするために同一部材には、同一符号を付している。
【0030】
(室内側レール部材)
図1及び図3に示すように、室内側レール部材8は、基板50と、室外側垂下片51と、室内側垂下片52が形成されている。
また、基板50の上面には、内障子戸車53が走行する凸状の内障子走行レール54が形成されている。
【0031】
(下部下枠)
図1及び図3に示すように、下部下枠9は、中空部60と、室外側から順に、室外側立上がり片61と、第1中間立上がり片62と、第2中間立上がり片63と、第3中間立上がり片64と、室内側立上がり片65を形成されている。
また、室外側立上がり片61には、中空部60から上方に立ち上がる立上がり部66と、立上がり部66の先端から室外方向に延在する水平部67が形成され、水平部67は室外側レール部材7の立ち下がり部48の先端と当接している。
さらに、第2中間立上がり片63の先端部の室外面には下枠タイト材68が設けられ、室内側立上がり片65の先端部の室外面には下枠タイト材69が設けられている。
【0032】
(室外側レール部材及び室内側レール部材と下部下枠との挿嵌)
室外側レール部材7及び室内側レール部材8はそれぞれ下部下枠9に挿嵌され、下部下枠9の上面に室外側から順に、室外側中空部70と、外障子走行溝71と、室内側中空部72と、内障子走行溝73を形成し、室外側立上がり片61の水平部67は、室外側レール部材7の立ち下がり部48の先端と当接する。
ここで、室外側中空部70とは、下部下枠9の中空部60の上面と、第1中間立上がり片62の室外面と、室外側レール部材7の室外側垂下片42の室内面と、基板40の下面と、室内側垂下片43の室外面とで囲まれる空間をいい、外障子走行溝71とは、下部下枠9の第1中間立上がり片62の室内面と、中空部60の上面と、第2中間立上がり片63の室外面と、室外側レール部材7の室外側垂下片42と、基板40の下面とで囲まれる空間をいう。
また、室内側中空部72とは、下部下枠9の中空部60の上面と、第3中間立上がり片64の室外面と、室内側レール部材8の室外側垂下片51の室内面と、基板50の下面と、室外側垂下片51の室外面とで囲まれる空間をいい、内障子走行溝73とは、下部下枠9の第3中間立上がり片64の室内面と、中空部60の上面と、室内側立上がり片65の室外面と、室内側レール部材8の室外側垂下片52の室内面と、基板50の下面とで囲まれる空間をいう。
さらに、室外側レール部材7と、室内側レール部材8と、下部下枠9を一体的に成形し、下枠5を成形できることは言うまでもない。
【0033】
(下框)
図1及び図3に示すように、内外障子2,3の下框11a,11bは、それぞれ中空部80a,80bと、中空部80a,80bから上方に立ち上がる立上がり片81a,81bと、
中空部80a,80bから垂下する垂下片82a,82bが形成されている。
下框11a,11bの立上がり片81a,81bと、上框10a,10bの垂下片32a,32bには、それぞれガラスパネル14a,14bが挿嵌されている。
室外側垂下片82a,82bの垂下長さは、室内側垂下片82a,82bの垂下長さに比較し短く形成されており、室外側垂下片82a,82bの先端部には、それぞれ水切りタイト材83a,83bが設けられている。
【0034】
(下枠と下框との係合)
室内側垂下片82a,82bは、それぞれ下枠5に形成された外障子走行溝71と、内障子走行溝73に挿嵌されており、内外障子2,3はそれぞれ外障子走行溝71と、内障子走行溝73に沿って左右閉開される。
室内側垂下片82a,82bも室内面には、前述した下枠5の第2中間立上がり片63の下枠タイト材68と室内側立上がり片65の下枠タイト材69とが摺接し、室外の雨水等が、外障子走行溝71と室内障子走行溝73への浸入を防止する。外障子走行レール45の上部、内障子走行レール54の上部への浸透を防止している。
室外側垂下片82a,82bの水切りタイト材83a,83bは、それぞれ下枠5の基板40の上面と基板50の上面と摺接し、室外の雨水等が、外障子走行レール45の上部、内障子走行レール54の上部への浸入を防止している。
【0035】
(召し合せ框)
図5に示すように、外障子2の召し合せ框90aの室内面には、煙返し91aと、その内側に突出片92が形成されている。
内障子3の召し合せ框90bの室外面には、堅タイト材93と、その内側に気密ブロック94(図示省略)が設けられ、その内側に煙返し91bが形成されている。
【0036】
外障子2の煙返し91aと内障子3の煙返し91bとは、外障子2と内障子3を閉じた状態で係合する。
従って、外障子2に加わる風圧を、方立てが小さい外障子2の召し合せ框90aと方立てが大きい内障子3の召し合せ框90bとで受けることができる。
【0037】
外障子2の召し合せ框90aに突出片92が形成されている。従って、雨水等の多くは、突出片92に衝突しその運動エネルギーを失い、雨水等の召し合せ框空間への浸入を防止することができる。
さらに、外障子2の召し合せ框90aに突出片92が形成されていることから、外障子2と内障子3との隙間をなくしており、バール等が差し込まれる虞もなく、防犯性を向上させている。
ここで、召し合せ框空間とは、外障子2の召し合せ框90aの室内面と、突出片85と、堅タイト材93と、内障子3の召し合せ框90bの室外面とで囲まれる略コ字状の空間をいう。
【0038】
外障子2の突出片92を越えて召し合せ框空間に浸入した雨水等は、召し合せ框空間内で、自重により等圧空間とされた召し合せ框空間の下方に自然落下し、召し合せ框空間内に貯まり、水抜き孔95(図示省略)から室外に排出される。
【0039】
堅タイト材93は、外障子2と内障子3を閉じた状態で、外障子2の召し合せ框90aの室内面に摺接する。
従って、外障子2の召し合せ框90aと内障子3の召し合せ框90bとは、堅タイト材93により水密ラインを形成し、外障子2の突出片92を越えて召し合せ框空間に浸入した雨水等の室内への浸透を防止する。
【0040】
気密ブロック94は、外障子2の召し合せ框90aの室内面と、堅タイト材93とに摺接することにより水密ラインを形成し、召し合せ框空間に浸入した雨水等が召し合せ框90a,90bの側部から室内への浸入を防止する。
また、気密ブロック94は、内障子走行レール54が形成されている室内側レール部材8の基板50の上面と摺接することにより水密ラインを形成し、召し合せ框空間に浸入した雨水等が召し合せ框90bの底部から室内への浸入を防止する。
【0041】
図6は、上部下枠の立上がり片と外障子の室内側垂下片の係合状態図である。
【0042】
窓枠1に外障子2を取付けるには、外障子2を上枠4の室内側垂下片21に沿って上方に移動させ、外障子2の室外側ダイス33の切抜き部35を室内側垂下片21に挿嵌することにより行う。また、窓枠1から外障子2を取り外すには、室外側ダイス33の切抜き部35を室内側垂下片21から取外し、外障子2を上枠4の室内側垂下片21に沿って下方に移動させることにより行う。
【0043】
窓枠1に内障子3を取付けるには、内障子3を上枠4の内障子走行溝25に沿って上方に移動させ、内障子3の立上がり片31bを内障子走行溝25に挿嵌することにより行う。また、窓枠1から内障子3を取り外すには、内障子3の立上がり片31bを内障子走行溝25から取外し、内障子3を上枠4の内障子走行溝25に沿って下方に移動させることにより行う。
【0044】
図6に示すように、外障子2の取付け又は取外し作業中の誤作業により、外障子2が室外方向に押された場合にあっても、外障子2の下框11aの室内側垂下片82aが、下枠5の室外側レール部材7に形成された立上がり片41に係止することにより、外障子2が室外方向に外れることがなく、室外側から室外側レール部材7と外障子2との隙間にバール塔を差し込み、外障子を外される虞もない。
また、室外側レール部材7に形成された立上がり片41は、室外側レール部材7の基板40から上方に立上がる立上がり部46と、立上がり部46の先端から室外方向に延在する水平部47と、水平部47の先端から下方に垂下する立ち下がり部48から形成されており断面2次モーメントが大きく、外障子2を介して立上がり片41に作用する力に対し変形量が小さい。
さらに、室外側レール部材7に形成された立上がり片41の立ち下がり部48が、下部下枠9に形成された水平部67により支持されていることから、外障子2を介して立上がり片41に作用する力に対し変形量が抑制され、確実に外障子2が室外方向に外れることを防止する。
従って、特に高層建築物において、外障子2が室外面への外れ落下することがなく安全性に優れた内外し引き違い窓を提供することができる。
【0045】
本発明の第2の実施形態を、図7〜図12に示す。図7は本発明の第2の形態の内外し引き違い窓の縦断面図、図8は同上部拡大縦断面図、図9は同下部拡大縦断面図、図10は本発明の第2の形態の室外側レール部材であり、図11は本発明の第2の形態の内外し引き違い窓の横断面図である。なお、同一部材には同一符号を付し、説明は省略する。
【0046】
図7及び図8に示すように、本発明の第2の実施形態の内外し引き違い窓は、窓枠1と、窓枠1に嵌合された内外障子2,3と網戸15から構成されている。
【0047】
窓枠1は、上枠4と、下枠5と、左右堅枠6とを四周枠組みして形成され、さらに、下枠5は、室外側レール部材100と、室内側レール部材8がそれぞれ下部下枠9に上方から挿嵌されている。また、窓枠1には、内外障子2,3が引き違い状に備えられており、外障子2の室外側に網戸15が備えられている。
【0048】
内外障子2,3は、上框10a,10bと、下框11a,11bと、召し合わせ框12a,12bと、戸先框13a,13bを四周框組みし形成し、ガラスパネル14a,14bが框に挿嵌されている。
そして、内外障子2,3は、内外障子2,3を閉じた際に、それぞれの召し合せ框12a,12bに設けたクレセント(図示省略)により施錠される。
【0049】
網戸15は、網戸上框16と、網戸下框17と、網戸堅框18を四周框組みし形成し、網19が框に挿張りされ、網戸上框16が、前述した上枠4の室内側垂下片21に挿嵌され、網戸下框17が、前述した下枠5の室外側レール部材100の立上がり片41に挿嵌されており、室外側レール部材100の立上がり片41に沿って左右にスライドすることができる。
【0050】
(室外側レール部材)
図7、図9及び図10に示すように、室外側レール部材100は、基板101と、立上がり片102と、室外側垂下片103と、室内側垂下片104が形成されている。
また、基板101の上面には、外障子戸車44が走行する凸状の外障子走行レール105が形成され、立上がり片102には、網戸15の網戸下框17を挿嵌することができる。
さらに、図10に示すように、室外側レール部材100は従来品と互換性があり、掃出し窓とする場合には、室外側レール部材を従来品に交換することにより容易にバリアフリーに変更可能である。
なお、図10(a)には従来品を示し、室外側レール部材100との相違を明らかにするために同一部材には、同一符号を付している。
【0051】
(室外側レール部材及び室内側レール部材と下部下枠との挿嵌)
室外側レール部材100及び室内側レール部材8はそれぞれ下部下枠9に挿嵌され、下部下枠9の上面に室外側から順に、室外側中空部70と、外障子走行溝71と、室内側中空部72と、内障子走行溝73を形成し、室外側立上がり片61の水平部67は、室外側レール部材100の立ち下がり部48の先端と当接する。
ここで、室外側中空部70とは、下部下枠9の中空部60の上面と、第1中間立上がり片62の室外面と、室外側レール部材100の室外側垂下片103の室内面と、基板101の下面と、室内側垂下片104の室外面とで囲まれる空間をいい、外障子走行溝71とは、下部下枠9の第1中間立上がり片62の室内面と、中空部60の上面と、第2中間立上がり片63の室外面と、室外側レール部材100の室外側垂下片103と、基板101の下面とで囲まれる空間をいう。
また、室内側中空部72とは、下部下枠9の中空部60の上面と、第3中間立上がり片64の室外面と、室内側レール部材8の室外側垂下片51の室内面と、基板50の下面と、室外側垂下片51の室外面とで囲まれる空間をいい、内障子走行溝73とは、下部下枠9の第3中間立上がり片64の室内面と、中空部60の上面と、室内側立上がり片65の室外面と、室内側レール部材8の室外側垂下片52の室内面と、基板50の下面とで囲まれる空間をいう。
さらに、室外側レール部材100と、室内側レール部材8と、下部下枠9を一体的に成形し、下枠5を成形できることは言うまでもない。
【0052】
図12に示すように、外障子2の取付け又は取外し作業中の誤作業により、外障子2が室外方向に押された場合にあっても、外障子2の下框11aの室内側垂下片82aが、下枠5の室外側レール部材100に形成された立上がり片102に係止することにより、外障子2が室外方向に外れることがなく、室外側から室外側レール部材7と外障子2との隙間にバール塔を差し込み、外障子を外される虞もない。
また、後述する室外側レール部材110に形成された立上がり片112に比較し、立上がり寸法が短く形成されており、下枠の上面が略フラット面に形成したバリアフリー性能を維持し、外障子2を介して立上がり片102に作用する力に対し変形量が小さく、確実に外障子2の室外方向に外れを防止することができる。
さらに、前述したように室外側レール部材100に形成された立上がり片102に、網戸15の網戸下框17を挿嵌し、網戸15を取付けることができる。
従って、特に高層建築物において、外障子2が室外面への外れ落下することがなく安全性に優れ、網戸を設けることができる内外し引き違い窓を提供することができる。
【0053】
本発明の第2の実施形態を、図13〜図18に示す。図13は本発明の第3の形態の内外し引き違い窓の縦断面図、図14は同上部拡大縦断面図、図15は同下部拡大縦断面図、図16は本発明の第3の形態の室外側レール部材であり、図17は本発明の第3の形態の内外し引き違い窓の横断面図である。なお、同一部材には同一符号を付し、説明は省略する。
【0054】
図13及び図14に示すように、本発明の第3の実施形態の内外し引き違い窓は、第2の実施形態と同様に窓枠1と、窓枠1に嵌合された内外障子2,3と網戸15から構成されている。
【0055】
窓枠1は、上枠4と、下枠5と、左右堅枠6とを四周枠組みして形成され、さらに、下枠5は、室外側レール部材110と、室内側レール部材8がそれぞれ下部下枠9に上方から挿嵌されている。また、窓枠1には、内外障子2,3が引き違い状に備えられており、外障子2の室外側に網戸15が備えられている。
【0056】
内外障子2,3は、上框10a,10bと、下框11a,11bと、召し合わせ框12a,12bと、戸先框13a,13bを四周框組みし形成し、ガラスパネル14a,14bが框に挿嵌されている。
そして、内外障子2,3は、内外障子2,3を閉じた際に、それぞれの召し合せ框12a,12bに設けたクレセント(図示省略)により施錠される。
【0057】
網戸15は、網戸上框16と、網戸下框17と、網戸堅框18を四周框組みし形成し、網19が框に挿張りされ、網戸上框16が、前述した上枠4の室内側垂下片21に挿嵌され、網戸下框17が、前述した下枠5の室外側レール部材110の立上がり片41に挿嵌されており、室外側レール部材110の立上がり片41に沿って左右にスライドすることができる。
【0058】
(室外側レール部材)
図13、図15及び図16に示すように、室外側レール部材110は、基板111と、立上がり片112と、室外側垂下片113と、室内側垂下片114が形成されている。
また、基板111の上面には、外障子戸車44が走行する凸状の外障子走行レール115が形成され、立上がり片112には、網戸15の網戸下框17を挿嵌することができる。
さらに、図16に示すように、室外側レール部材110は従来品と互換性があり、掃出し窓とする場合には、室外側レール部材を従来品に交換することにより容易にバリアフリーに変更可能である。
なお、図16(a)には従来品を示し、室外側レール部材110との相違を明らかにするために同一部材には、同一符号を付している。
【0059】
(室外側レール部材及び室内側レール部材と下部下枠との挿嵌)
室外側レール部材110及び室内側レール部材8はそれぞれ下部下枠9に挿嵌され、下部下枠9の上面に室外側から順に、室外側中空部70と、外障子走行溝71と、室内側中空部72と、内障子走行溝73を形成し、室外側立上がり片61の水平部67は、室外側レール部材110の立ち下がり部48の先端と当接する。
ここで、室外側中空部70とは、下部下枠9の中空部60の上面と、第1中間立上がり片62の室外面と、室外側レール部材110の室外側垂下片113の室内面と、基板111の下面と、室内側垂下片114の室外面とで囲まれる空間をいい、外障子走行溝71とは、下部下枠9の第1中間立上がり片62の室内面と、中空部60の上面と、第2中間立上がり片63の室外面と、室外側レール部材110の室外側垂下片113と、基板111の下面とで囲まれる空間をいう。
また、室内側中空部72とは、下部下枠9の中空部60の上面と、第3中間立上がり片64の室外面と、室内側レール部材8の室外側垂下片51の室内面と、基板50の下面と、室外側垂下片51の室外面とで囲まれる空間をいい、内障子走行溝73とは、下部下枠9の第3中間立上がり片64の室内面と、中空部60の上面と、室内側立上がり片65の室外面と、室内側レール部材8の室外側垂下片52の室内面と、基板50の下面とで囲まれる空間をいう。
さらに、室外側レール部材110と、室内側レール部材8と、下部下枠9を一体的に成形し、下枠5を成形できることは言うまでもない。
【0060】
図18に示すように、外障子2の取付け又は取外し作業中の誤作業により、外障子2が室外方向に押された場合にあっても、外障子2の下框11aの室外側垂下片82aが、下枠5の室外側レール部材110に形成された立上がり片112に係止することにより、外障子2が室外方向に外れることがなく、室外側から室外側レール部材7と外障子2との隙間にバール塔を差し込み、外障子を外される虞もない。
また、外障子の室外方向移動距離(角度)が小さい段階で、立上がり片により外障子が係止されるため、作業者に誤作業をいち早く認識させることができ、取付け及び取外し作業効率が高い内外し引き違い窓を実現する。
さらに、外障子2の下框11aの室外側垂下片82aと、下枠5の室外側レール部材110に形成された立上がり片112に係合が外れた場合にあっても、外障子2の室内側垂下片82aと、下枠5の室外側レール部材110に形成された立上がり片112とが係止することにより外障子2が室外方向に外れることがない。
前述したように室外側レール部材110に形成された立上がり片112に、網戸15の網戸下框17を挿嵌し、網戸15を取付けることができる。
従って、特に高層建築物において、外障子2が室外面への外れ落下することがなく安全性に優れ、網戸を設けることができる内外し引き違い窓を提供することができる。
【0061】
なお、本発明の水密構造は、引き違い障子に限らず、片引きサッシの片引き障子又は引き分けサッシの引き分け障子の召し合せ框にも適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】内外し引き違い窓の縦断面図である。
【図2】同上部拡大縦断面図である。
【図3】同下部拡大縦断面図である。
【図4】(a)は従来品、(b)は本発明に係る室外側レール部材である。
【図5】内外し引き違い窓の横断面図である。
【図6】本発明に係る室外側レール部材の立上がり片と外障子の室内側垂下片の係止状態図である。
【図7】第2の形態の内外し引き違い窓の縦断面図である。
【図8】同上部拡大縦断面図である。
【図9】同下部拡大縦断面図である。
【図10】(a)は従来品、(b)は第2の形態に係る室外側レール部材である。
【図11】第2の形態の内外し引き違い窓の横断面図である。
【図12】第2の形態に係る室外側レール部材の立上がり片と外障子の室内側垂下片の係止状態図である。
【図13】第3の形態の内外し引き違い窓の縦断面図である。
【図14】同上部拡大縦断面図である。
【図15】同下部拡大縦断面図である。
【図16】(a)は従来品、(b)は第3の形態に係る室外側レール部材である。
【図17】第3の形態の内外し引き違い窓の横断面図である。
【図18】本発明の第3の形態に係る室外側レール部材の立上がり片と外障子の室内側垂下片の係止状態図である。
【符号の説明】
【0063】
1…窓枠、2…外障子、3…内障子、4…上枠、5…下枠、6…竪枠、7…室外側レール部材(目板)、8…室内側レール部材、9…下部下枠(下枠)、10a,10b…上框、11a,11b…下框、12…召し合せ框、13a,13b…戸先框、14a,14b…ガラスパネル、15…網戸、16…網戸上框、17…網戸下框、18…網戸堅框、19…網、20…外側基板、21…室内側垂下片、22…室外側中間垂下片、23…室内側中間垂下片、24…室外側垂下片、25…内障子走行溝、26…ストッパー、27…上枠タイト材、30a,30b…中空部、31a,31b…立上がり片、32a,32b…垂下片、33…室外側ダイス、34…室内側ダイス、35…切抜き部、40…基板、41…立上がり片、42…室外側垂下片、43…室内側垂下片、44…外障子戸車、45…外障子走行レール、46…立上がり部、47…水平部、48…立ち下がり部、50…基板、51…室外側垂下片、52…室内側垂下片、53…内障子戸車、54…内障子走行レール、60…中空部、61…室外側立上がり片、62…第1中間立上がり片、63…第2中間立上がり片、64…第3中間立上がり片、65…室内側立上がり片、66…立上がり部、67…水平部、68,69…下枠タイト材、70…室外側中空部、71…外障子走行溝、72…室内側中空部、73…内障子走行溝、80a,80b…中空部、81a,81b…立上がり片、82a,82b…垂下片、83a,83b…水切りタイト材、90a,90b…召し合せ框、91a,91b…煙返し、92…突出片、93…堅タイト材、94…気密ブロック、95…水抜き孔、100…室外側レール部材、101…基板、102…立上がり片、103…室外側垂下片、104…室内側垂下片、105…外障子走行レール、110…室外側レール部材、111…基板、112…立上がり片、113…室外側垂下片、114…室内側垂下片、115…外障子走行レール
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の屋外開口部に取付けた窓枠内を内外障子がスライド開閉する内外し引き違い窓の構造に関し、特に、窓枠の下枠の上面が略フラット面に形成したバリアフリー内外し引き違い窓における外障子の室外側へのはずれ防止構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の屋外開口部に取付けた窓枠の下枠には、当該内外障子を左右にスライドさせるために、内外障子の下框に設けられた戸車を回動させるリブ状のレール部が形成されており、通常、リブ状のレール部は、引き違い窓の雨仕舞の観点より、室外側よりも室内側が高くなるように段差を設けて形成されていた。
【0003】
一方、近年では、バリアフリー若しくはユニバーサルデザインの観点から、リブ状のレール部を室外側と室内側で段差を設けることなく窓枠の下枠を略フラットに形成した屋外用バリアフリーサッシが開発されている。(例えば、特許文献1参照)
このような、屋外用バリアフリーサッシにおいては、内外障子を窓枠の上枠のレールに沿って上方に移動させ、内外障子のスライド片をスライド溝に挿入することにより簡単に内外障子をサッシ枠内に容易に取付けることができ、また、内外障子を窓枠の上枠のレールに沿って上方に移動させ、内外障子のスライド片をスライド溝からし室内側に引抜することにより簡単に内外障子を窓枠内から容易に取外すことができる。
【0004】
また、内外障子と窓枠との隙間から室内側に虫等が浸入するのを防止するため、窓枠の下枠に凹部を形成し網戸の垂下片を嵌合した網戸付き屋外用バリアフリーサッシも開発されている。(例えば、特許文献2参照)
【特許文献1】特開2002−256778号公報
【特許文献2】特開2002−256784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特に、外障子のサッシ枠内への取付け作業中の誤作業により外障子が室外側に外れ、落下する虞があり、特に高層階、高窓の外障子が落下した場合、二次的災害を引き起こす虞もある。
例えば、外障子のサッシ枠内への取付け作業において、外障子のスライド片がスライド溝に挿入されなかった場合、外障子が室外側に外れ落下する虞がある。また、外障子のサッシ枠内からの取外し作業において、外障子をスライド溝から室外側に引抜いた場合、外障子が室外側に外れ落下する虞がある。
【0006】
そこで、本発明の主たる課題は、外障子のサッシ枠内への取付け及び取外し作業中に誤作業が生じた場合であっても、外障子が室外面への外れることがない安全性に優れた内外し引き違い窓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明は、次のとおりである。
<請求項1記載の発明>
請求項1記載の発明は、窓枠の下枠上に室外側レール部材及び室内側レール部材を設けて、これら各レール部材の上面を、前記下枠の室内側立ち上がり片の上端とほぼ同一のフラット面とし、室内外障子が前記各レール部材上を走行し、室内側に引き込んで外すようにした内外し引き違い窓であって、
前記室外側レール部材は、その室外側に前記フラット面より上方に突出する立上がり片を有し、
前記外障子は、その室内側垂下片が前記室外側レール部材の室内側に位置して前記フラット面より垂下している、ことを特徴とする内外し引き違い窓である。
【0008】
(作用効果)
窓枠の下枠上に室外側レール部材及び室内側レール部材を設けて、これら各レール部材の上面を、前記下枠の室内側立ち上がり片の上端とほぼ同一のフラット面としていることから、バリアフリーを実現でき、また、ユニバーサルデザインの観点からも優れたものである。
【0009】
室外側レール部材は、その室外側にフラット面より上方に突出する立上がり片を有していることから、外障子の取付け及び取外し作業中の誤作業により、外障子が室外に外れ、落下することがなく安全性に優れる。
また、室外側から室外側レール部材と外障子との隙間にバール塔を差し込み、外障子を外される危険もなく防犯性に優れる。
【0010】
外障子は、その室内側垂下片が室外側レール部材の室内側に位置してフラット面より垂下していることから、外障子は下枠に形成された外障子走行溝に沿って左右に容易に閉開でき、閉開時において外障子は窓枠から外れることがなく安全性に優れる。
【0011】
<請求項2記載の発明>
請求項2記載の発明は、前記外障子の上方への呑み込み限に対して、前記室内側垂下片の下端より、前記立上がり片の上端が上位に位置している請求項1記載の内外し引き違い窓である。
【0012】
(作用効果)
外障子の上方への呑み込み限に対して、室内側垂下片の下端より、立上がり片の上端が上位に位置していることから、外障子の取付け及び取外し作業中の誤作業により、外障子が室外に外れ、落下することがなく安全性に優れる。
また、立上がり片の立上がり長さを短くすることができ、ユニバーサルデザインの観点からも優れる。
【0013】
<請求項3記載の発明>
請求項3記載の発明は、前記外障子の上方への呑み込み限に対して、前記室外側垂下片の下端より、前記立上がり片の上端が上位に位置している請求項1記載の内外し引き違い窓である。
【0014】
(作用効果)
外障子の上方への呑み込み限に対して、室外側垂下片の下端より、立上がり片の上端が上位に位置していることから、特に、外障子の取付け及び取外し作業中の誤作業により、外障子が室外に外れ、落下することがなく安全性に優れる。
また、外障子の室外方向移動距離(角度)が小さい段階で、立上がり片により外障子が係止されるため、作業者に誤作業をいち早く認識させることができ、取付け及び取外し作業効率が高い内外し引き違い窓を実現する。
さらに、外障子の取付け及び取外し作業中の誤作業により外障子に室外方向に大きな荷重が加わり、外障子の下框の室外側垂下片と、室外側レール部材の立上がり片とが係合が外れた場合にあっても、外障子の下框の室内側垂下片と、室外側レール部材の立上がり片とが係合することにより外障子が室外に外れ、落下することはない。
【0015】
<請求項4記載の発明>
請求項4記載の発明は、網戸を備え、前記立上がり片上に沿って前記網戸が走行するように構成した請求項1及至3のいずれか1項に記載の内外し引き違い窓である。
【0016】
(作用効果)
網戸を備え、突出部上に沿って網戸が走行するように構成したことから、網戸走行レールを別段に設ける必要がなく製造コストを低減でき経済的に優れる。
【0017】
<請求項5記載の発明>
請求項5記載の発明は、前記室外側レール部材は、前記下枠に対して着脱自在である請求項1及至4のいずれか1項に記載の内外し引き違い窓である。
【0018】
(作用効果)
室外側レール部材は、下枠に対して着脱自在であることから、室外側レール部材の損傷時に室外側レール部材の交換が容易にできる。
また、室外側レール部材は、立上がり片を形成していない従来品と互換性があり、掃出し窓とする場合には、室外側レール部材を従来品に交換することにより容易にバリアフリーにすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、外障子の取付け、取外し作業中に誤作業が生じた場合であっても、外障子が室外面への外れることがない安全性に優れた内外し引き違い窓を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は内外し引き違い窓の縦断面図、図2は同上部拡大縦断面図、図3は同下部拡大縦断面図、図4は室外側レール部材であり、図5は内外し引き違い窓の横断面図である。
【0021】
内外し引き違い窓は、窓枠1と、窓枠1に嵌合された内外障子2,3から構成されている。
【0022】
窓枠1は、上枠4と、下枠5と、左右堅枠6とを四周枠組みして形成され、さらに、下枠5は、室外側レール部材(目板)7と、室内側レール部材8がそれぞれ下部下枠9に上方から挿嵌されている。また、窓枠1には、内外障子2,3が引き違い状に備えている。
【0023】
内外障子2,3は、上框10a,10bと、下框11a,11bと、召し合わせ框12と、戸先框13a,13bを四周框組みし形成し、ガラスパネル14a,14bが框に挿嵌されている。
そして、内外障子2,3は、内外障子2,3を閉じた際に、それぞれの召し合せ框12a,12bに設けたクレセント(図示省略)により施錠される。
【0024】
(上枠)
図1及び図2に示すように、上枠4は、外側基板20と、室外側から順に、室外側垂下片21と、室外側中間垂下片22と、室内側中間垂下片23と、室内側垂下片24とから形成され、外側基板20と、室内側中間垂下片23と、室内側垂下片24が内障子3の内障子走行溝25を形成している。
また、外側基板20の下面上の室外側中間垂下片22と室内側中間垂下片23との間、室内側中間垂下片23と室内側垂下片24との間にはそれぞれ内外障子2,3の上方への移動を抑制するストッパー26が設けられている。
【0025】
(上框)
内外障子2,3の上框10a,10bは、中空部30a,30bと、中空部30a,30bから上方に立ち上がる立上がり片31a,31bと、中空部から垂下する垂下片32a,32bから形成されている。
【0026】
上框10aの立上がり片31aの間には、室外側ダイス33が挿嵌され、上框10bの立上がり片31bには、室内側ダイス34が嵌合されている。
また、室外側ダイス33には、上面から切抜き部35が形成されている。
【0027】
(上枠と上框との係合)
上枠4の室内側中間垂下片23が、立上がり片31aの間に挿嵌された室外側ダイス33の切抜き部35に挿嵌されており、外障子2が室内側中間垂下片23に沿って左右閉開される。
また、上枠4の室内側中間垂下片23の室外面に設けられた上枠タイト材27が、上框10aの室内側立上がり片31aの室内面に摺接しており、室外の雨水等の浸入を防止する水密ラインが形成されている。
【0028】
内障子走行溝25に、上框10bの立上がり片31bが挿嵌されており、内障子3が内障子走行溝25に沿って左右閉開される。
上框10bの室外側立上がり片31bの室内側ダイス34が、上枠4の室外側中間垂下片22の室内面に摺接しており、内障子3が内障子走行溝25で室外方向への移動を抑制している。
また、上枠4の室内側垂下片24の室外面に設けられた上枠タイト材27が、上框10bの室内側立上がり片31bの室内面に摺接しており、室外の雨水等の浸入を防止する水密ラインが形成されている。
【0029】
(室外側レール部材)
図1、図3及び図4に示すように、室外側レール部材7は、基板40と、立上がり片41と、室外側垂下片42と、室内側垂下片43が形成されている。
また、基板40の上面には、外障子戸車44が走行する凸状の外障子走行レール45が形成され、立上がり片41には、基板40から上方に立上がる立上がり部46と、立上がり部46の先端から室外方向に延在する水平部47と、水平部47の先端から下方に垂下する立ち下がり部48から形成されている。
さらに、図4に示すように、室外側レール部材7は従来品と互換性があり、掃出し窓とする場合には、室外側レール部材を従来品に交換することにより容易にバリアフリーに変更可能である。
なお、図4(a)には従来品を示し、室外側レール部材7との相違を明らかにするために同一部材には、同一符号を付している。
【0030】
(室内側レール部材)
図1及び図3に示すように、室内側レール部材8は、基板50と、室外側垂下片51と、室内側垂下片52が形成されている。
また、基板50の上面には、内障子戸車53が走行する凸状の内障子走行レール54が形成されている。
【0031】
(下部下枠)
図1及び図3に示すように、下部下枠9は、中空部60と、室外側から順に、室外側立上がり片61と、第1中間立上がり片62と、第2中間立上がり片63と、第3中間立上がり片64と、室内側立上がり片65を形成されている。
また、室外側立上がり片61には、中空部60から上方に立ち上がる立上がり部66と、立上がり部66の先端から室外方向に延在する水平部67が形成され、水平部67は室外側レール部材7の立ち下がり部48の先端と当接している。
さらに、第2中間立上がり片63の先端部の室外面には下枠タイト材68が設けられ、室内側立上がり片65の先端部の室外面には下枠タイト材69が設けられている。
【0032】
(室外側レール部材及び室内側レール部材と下部下枠との挿嵌)
室外側レール部材7及び室内側レール部材8はそれぞれ下部下枠9に挿嵌され、下部下枠9の上面に室外側から順に、室外側中空部70と、外障子走行溝71と、室内側中空部72と、内障子走行溝73を形成し、室外側立上がり片61の水平部67は、室外側レール部材7の立ち下がり部48の先端と当接する。
ここで、室外側中空部70とは、下部下枠9の中空部60の上面と、第1中間立上がり片62の室外面と、室外側レール部材7の室外側垂下片42の室内面と、基板40の下面と、室内側垂下片43の室外面とで囲まれる空間をいい、外障子走行溝71とは、下部下枠9の第1中間立上がり片62の室内面と、中空部60の上面と、第2中間立上がり片63の室外面と、室外側レール部材7の室外側垂下片42と、基板40の下面とで囲まれる空間をいう。
また、室内側中空部72とは、下部下枠9の中空部60の上面と、第3中間立上がり片64の室外面と、室内側レール部材8の室外側垂下片51の室内面と、基板50の下面と、室外側垂下片51の室外面とで囲まれる空間をいい、内障子走行溝73とは、下部下枠9の第3中間立上がり片64の室内面と、中空部60の上面と、室内側立上がり片65の室外面と、室内側レール部材8の室外側垂下片52の室内面と、基板50の下面とで囲まれる空間をいう。
さらに、室外側レール部材7と、室内側レール部材8と、下部下枠9を一体的に成形し、下枠5を成形できることは言うまでもない。
【0033】
(下框)
図1及び図3に示すように、内外障子2,3の下框11a,11bは、それぞれ中空部80a,80bと、中空部80a,80bから上方に立ち上がる立上がり片81a,81bと、
中空部80a,80bから垂下する垂下片82a,82bが形成されている。
下框11a,11bの立上がり片81a,81bと、上框10a,10bの垂下片32a,32bには、それぞれガラスパネル14a,14bが挿嵌されている。
室外側垂下片82a,82bの垂下長さは、室内側垂下片82a,82bの垂下長さに比較し短く形成されており、室外側垂下片82a,82bの先端部には、それぞれ水切りタイト材83a,83bが設けられている。
【0034】
(下枠と下框との係合)
室内側垂下片82a,82bは、それぞれ下枠5に形成された外障子走行溝71と、内障子走行溝73に挿嵌されており、内外障子2,3はそれぞれ外障子走行溝71と、内障子走行溝73に沿って左右閉開される。
室内側垂下片82a,82bも室内面には、前述した下枠5の第2中間立上がり片63の下枠タイト材68と室内側立上がり片65の下枠タイト材69とが摺接し、室外の雨水等が、外障子走行溝71と室内障子走行溝73への浸入を防止する。外障子走行レール45の上部、内障子走行レール54の上部への浸透を防止している。
室外側垂下片82a,82bの水切りタイト材83a,83bは、それぞれ下枠5の基板40の上面と基板50の上面と摺接し、室外の雨水等が、外障子走行レール45の上部、内障子走行レール54の上部への浸入を防止している。
【0035】
(召し合せ框)
図5に示すように、外障子2の召し合せ框90aの室内面には、煙返し91aと、その内側に突出片92が形成されている。
内障子3の召し合せ框90bの室外面には、堅タイト材93と、その内側に気密ブロック94(図示省略)が設けられ、その内側に煙返し91bが形成されている。
【0036】
外障子2の煙返し91aと内障子3の煙返し91bとは、外障子2と内障子3を閉じた状態で係合する。
従って、外障子2に加わる風圧を、方立てが小さい外障子2の召し合せ框90aと方立てが大きい内障子3の召し合せ框90bとで受けることができる。
【0037】
外障子2の召し合せ框90aに突出片92が形成されている。従って、雨水等の多くは、突出片92に衝突しその運動エネルギーを失い、雨水等の召し合せ框空間への浸入を防止することができる。
さらに、外障子2の召し合せ框90aに突出片92が形成されていることから、外障子2と内障子3との隙間をなくしており、バール等が差し込まれる虞もなく、防犯性を向上させている。
ここで、召し合せ框空間とは、外障子2の召し合せ框90aの室内面と、突出片85と、堅タイト材93と、内障子3の召し合せ框90bの室外面とで囲まれる略コ字状の空間をいう。
【0038】
外障子2の突出片92を越えて召し合せ框空間に浸入した雨水等は、召し合せ框空間内で、自重により等圧空間とされた召し合せ框空間の下方に自然落下し、召し合せ框空間内に貯まり、水抜き孔95(図示省略)から室外に排出される。
【0039】
堅タイト材93は、外障子2と内障子3を閉じた状態で、外障子2の召し合せ框90aの室内面に摺接する。
従って、外障子2の召し合せ框90aと内障子3の召し合せ框90bとは、堅タイト材93により水密ラインを形成し、外障子2の突出片92を越えて召し合せ框空間に浸入した雨水等の室内への浸透を防止する。
【0040】
気密ブロック94は、外障子2の召し合せ框90aの室内面と、堅タイト材93とに摺接することにより水密ラインを形成し、召し合せ框空間に浸入した雨水等が召し合せ框90a,90bの側部から室内への浸入を防止する。
また、気密ブロック94は、内障子走行レール54が形成されている室内側レール部材8の基板50の上面と摺接することにより水密ラインを形成し、召し合せ框空間に浸入した雨水等が召し合せ框90bの底部から室内への浸入を防止する。
【0041】
図6は、上部下枠の立上がり片と外障子の室内側垂下片の係合状態図である。
【0042】
窓枠1に外障子2を取付けるには、外障子2を上枠4の室内側垂下片21に沿って上方に移動させ、外障子2の室外側ダイス33の切抜き部35を室内側垂下片21に挿嵌することにより行う。また、窓枠1から外障子2を取り外すには、室外側ダイス33の切抜き部35を室内側垂下片21から取外し、外障子2を上枠4の室内側垂下片21に沿って下方に移動させることにより行う。
【0043】
窓枠1に内障子3を取付けるには、内障子3を上枠4の内障子走行溝25に沿って上方に移動させ、内障子3の立上がり片31bを内障子走行溝25に挿嵌することにより行う。また、窓枠1から内障子3を取り外すには、内障子3の立上がり片31bを内障子走行溝25から取外し、内障子3を上枠4の内障子走行溝25に沿って下方に移動させることにより行う。
【0044】
図6に示すように、外障子2の取付け又は取外し作業中の誤作業により、外障子2が室外方向に押された場合にあっても、外障子2の下框11aの室内側垂下片82aが、下枠5の室外側レール部材7に形成された立上がり片41に係止することにより、外障子2が室外方向に外れることがなく、室外側から室外側レール部材7と外障子2との隙間にバール塔を差し込み、外障子を外される虞もない。
また、室外側レール部材7に形成された立上がり片41は、室外側レール部材7の基板40から上方に立上がる立上がり部46と、立上がり部46の先端から室外方向に延在する水平部47と、水平部47の先端から下方に垂下する立ち下がり部48から形成されており断面2次モーメントが大きく、外障子2を介して立上がり片41に作用する力に対し変形量が小さい。
さらに、室外側レール部材7に形成された立上がり片41の立ち下がり部48が、下部下枠9に形成された水平部67により支持されていることから、外障子2を介して立上がり片41に作用する力に対し変形量が抑制され、確実に外障子2が室外方向に外れることを防止する。
従って、特に高層建築物において、外障子2が室外面への外れ落下することがなく安全性に優れた内外し引き違い窓を提供することができる。
【0045】
本発明の第2の実施形態を、図7〜図12に示す。図7は本発明の第2の形態の内外し引き違い窓の縦断面図、図8は同上部拡大縦断面図、図9は同下部拡大縦断面図、図10は本発明の第2の形態の室外側レール部材であり、図11は本発明の第2の形態の内外し引き違い窓の横断面図である。なお、同一部材には同一符号を付し、説明は省略する。
【0046】
図7及び図8に示すように、本発明の第2の実施形態の内外し引き違い窓は、窓枠1と、窓枠1に嵌合された内外障子2,3と網戸15から構成されている。
【0047】
窓枠1は、上枠4と、下枠5と、左右堅枠6とを四周枠組みして形成され、さらに、下枠5は、室外側レール部材100と、室内側レール部材8がそれぞれ下部下枠9に上方から挿嵌されている。また、窓枠1には、内外障子2,3が引き違い状に備えられており、外障子2の室外側に網戸15が備えられている。
【0048】
内外障子2,3は、上框10a,10bと、下框11a,11bと、召し合わせ框12a,12bと、戸先框13a,13bを四周框組みし形成し、ガラスパネル14a,14bが框に挿嵌されている。
そして、内外障子2,3は、内外障子2,3を閉じた際に、それぞれの召し合せ框12a,12bに設けたクレセント(図示省略)により施錠される。
【0049】
網戸15は、網戸上框16と、網戸下框17と、網戸堅框18を四周框組みし形成し、網19が框に挿張りされ、網戸上框16が、前述した上枠4の室内側垂下片21に挿嵌され、網戸下框17が、前述した下枠5の室外側レール部材100の立上がり片41に挿嵌されており、室外側レール部材100の立上がり片41に沿って左右にスライドすることができる。
【0050】
(室外側レール部材)
図7、図9及び図10に示すように、室外側レール部材100は、基板101と、立上がり片102と、室外側垂下片103と、室内側垂下片104が形成されている。
また、基板101の上面には、外障子戸車44が走行する凸状の外障子走行レール105が形成され、立上がり片102には、網戸15の網戸下框17を挿嵌することができる。
さらに、図10に示すように、室外側レール部材100は従来品と互換性があり、掃出し窓とする場合には、室外側レール部材を従来品に交換することにより容易にバリアフリーに変更可能である。
なお、図10(a)には従来品を示し、室外側レール部材100との相違を明らかにするために同一部材には、同一符号を付している。
【0051】
(室外側レール部材及び室内側レール部材と下部下枠との挿嵌)
室外側レール部材100及び室内側レール部材8はそれぞれ下部下枠9に挿嵌され、下部下枠9の上面に室外側から順に、室外側中空部70と、外障子走行溝71と、室内側中空部72と、内障子走行溝73を形成し、室外側立上がり片61の水平部67は、室外側レール部材100の立ち下がり部48の先端と当接する。
ここで、室外側中空部70とは、下部下枠9の中空部60の上面と、第1中間立上がり片62の室外面と、室外側レール部材100の室外側垂下片103の室内面と、基板101の下面と、室内側垂下片104の室外面とで囲まれる空間をいい、外障子走行溝71とは、下部下枠9の第1中間立上がり片62の室内面と、中空部60の上面と、第2中間立上がり片63の室外面と、室外側レール部材100の室外側垂下片103と、基板101の下面とで囲まれる空間をいう。
また、室内側中空部72とは、下部下枠9の中空部60の上面と、第3中間立上がり片64の室外面と、室内側レール部材8の室外側垂下片51の室内面と、基板50の下面と、室外側垂下片51の室外面とで囲まれる空間をいい、内障子走行溝73とは、下部下枠9の第3中間立上がり片64の室内面と、中空部60の上面と、室内側立上がり片65の室外面と、室内側レール部材8の室外側垂下片52の室内面と、基板50の下面とで囲まれる空間をいう。
さらに、室外側レール部材100と、室内側レール部材8と、下部下枠9を一体的に成形し、下枠5を成形できることは言うまでもない。
【0052】
図12に示すように、外障子2の取付け又は取外し作業中の誤作業により、外障子2が室外方向に押された場合にあっても、外障子2の下框11aの室内側垂下片82aが、下枠5の室外側レール部材100に形成された立上がり片102に係止することにより、外障子2が室外方向に外れることがなく、室外側から室外側レール部材7と外障子2との隙間にバール塔を差し込み、外障子を外される虞もない。
また、後述する室外側レール部材110に形成された立上がり片112に比較し、立上がり寸法が短く形成されており、下枠の上面が略フラット面に形成したバリアフリー性能を維持し、外障子2を介して立上がり片102に作用する力に対し変形量が小さく、確実に外障子2の室外方向に外れを防止することができる。
さらに、前述したように室外側レール部材100に形成された立上がり片102に、網戸15の網戸下框17を挿嵌し、網戸15を取付けることができる。
従って、特に高層建築物において、外障子2が室外面への外れ落下することがなく安全性に優れ、網戸を設けることができる内外し引き違い窓を提供することができる。
【0053】
本発明の第2の実施形態を、図13〜図18に示す。図13は本発明の第3の形態の内外し引き違い窓の縦断面図、図14は同上部拡大縦断面図、図15は同下部拡大縦断面図、図16は本発明の第3の形態の室外側レール部材であり、図17は本発明の第3の形態の内外し引き違い窓の横断面図である。なお、同一部材には同一符号を付し、説明は省略する。
【0054】
図13及び図14に示すように、本発明の第3の実施形態の内外し引き違い窓は、第2の実施形態と同様に窓枠1と、窓枠1に嵌合された内外障子2,3と網戸15から構成されている。
【0055】
窓枠1は、上枠4と、下枠5と、左右堅枠6とを四周枠組みして形成され、さらに、下枠5は、室外側レール部材110と、室内側レール部材8がそれぞれ下部下枠9に上方から挿嵌されている。また、窓枠1には、内外障子2,3が引き違い状に備えられており、外障子2の室外側に網戸15が備えられている。
【0056】
内外障子2,3は、上框10a,10bと、下框11a,11bと、召し合わせ框12a,12bと、戸先框13a,13bを四周框組みし形成し、ガラスパネル14a,14bが框に挿嵌されている。
そして、内外障子2,3は、内外障子2,3を閉じた際に、それぞれの召し合せ框12a,12bに設けたクレセント(図示省略)により施錠される。
【0057】
網戸15は、網戸上框16と、網戸下框17と、網戸堅框18を四周框組みし形成し、網19が框に挿張りされ、網戸上框16が、前述した上枠4の室内側垂下片21に挿嵌され、網戸下框17が、前述した下枠5の室外側レール部材110の立上がり片41に挿嵌されており、室外側レール部材110の立上がり片41に沿って左右にスライドすることができる。
【0058】
(室外側レール部材)
図13、図15及び図16に示すように、室外側レール部材110は、基板111と、立上がり片112と、室外側垂下片113と、室内側垂下片114が形成されている。
また、基板111の上面には、外障子戸車44が走行する凸状の外障子走行レール115が形成され、立上がり片112には、網戸15の網戸下框17を挿嵌することができる。
さらに、図16に示すように、室外側レール部材110は従来品と互換性があり、掃出し窓とする場合には、室外側レール部材を従来品に交換することにより容易にバリアフリーに変更可能である。
なお、図16(a)には従来品を示し、室外側レール部材110との相違を明らかにするために同一部材には、同一符号を付している。
【0059】
(室外側レール部材及び室内側レール部材と下部下枠との挿嵌)
室外側レール部材110及び室内側レール部材8はそれぞれ下部下枠9に挿嵌され、下部下枠9の上面に室外側から順に、室外側中空部70と、外障子走行溝71と、室内側中空部72と、内障子走行溝73を形成し、室外側立上がり片61の水平部67は、室外側レール部材110の立ち下がり部48の先端と当接する。
ここで、室外側中空部70とは、下部下枠9の中空部60の上面と、第1中間立上がり片62の室外面と、室外側レール部材110の室外側垂下片113の室内面と、基板111の下面と、室内側垂下片114の室外面とで囲まれる空間をいい、外障子走行溝71とは、下部下枠9の第1中間立上がり片62の室内面と、中空部60の上面と、第2中間立上がり片63の室外面と、室外側レール部材110の室外側垂下片113と、基板111の下面とで囲まれる空間をいう。
また、室内側中空部72とは、下部下枠9の中空部60の上面と、第3中間立上がり片64の室外面と、室内側レール部材8の室外側垂下片51の室内面と、基板50の下面と、室外側垂下片51の室外面とで囲まれる空間をいい、内障子走行溝73とは、下部下枠9の第3中間立上がり片64の室内面と、中空部60の上面と、室内側立上がり片65の室外面と、室内側レール部材8の室外側垂下片52の室内面と、基板50の下面とで囲まれる空間をいう。
さらに、室外側レール部材110と、室内側レール部材8と、下部下枠9を一体的に成形し、下枠5を成形できることは言うまでもない。
【0060】
図18に示すように、外障子2の取付け又は取外し作業中の誤作業により、外障子2が室外方向に押された場合にあっても、外障子2の下框11aの室外側垂下片82aが、下枠5の室外側レール部材110に形成された立上がり片112に係止することにより、外障子2が室外方向に外れることがなく、室外側から室外側レール部材7と外障子2との隙間にバール塔を差し込み、外障子を外される虞もない。
また、外障子の室外方向移動距離(角度)が小さい段階で、立上がり片により外障子が係止されるため、作業者に誤作業をいち早く認識させることができ、取付け及び取外し作業効率が高い内外し引き違い窓を実現する。
さらに、外障子2の下框11aの室外側垂下片82aと、下枠5の室外側レール部材110に形成された立上がり片112に係合が外れた場合にあっても、外障子2の室内側垂下片82aと、下枠5の室外側レール部材110に形成された立上がり片112とが係止することにより外障子2が室外方向に外れることがない。
前述したように室外側レール部材110に形成された立上がり片112に、網戸15の網戸下框17を挿嵌し、網戸15を取付けることができる。
従って、特に高層建築物において、外障子2が室外面への外れ落下することがなく安全性に優れ、網戸を設けることができる内外し引き違い窓を提供することができる。
【0061】
なお、本発明の水密構造は、引き違い障子に限らず、片引きサッシの片引き障子又は引き分けサッシの引き分け障子の召し合せ框にも適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】内外し引き違い窓の縦断面図である。
【図2】同上部拡大縦断面図である。
【図3】同下部拡大縦断面図である。
【図4】(a)は従来品、(b)は本発明に係る室外側レール部材である。
【図5】内外し引き違い窓の横断面図である。
【図6】本発明に係る室外側レール部材の立上がり片と外障子の室内側垂下片の係止状態図である。
【図7】第2の形態の内外し引き違い窓の縦断面図である。
【図8】同上部拡大縦断面図である。
【図9】同下部拡大縦断面図である。
【図10】(a)は従来品、(b)は第2の形態に係る室外側レール部材である。
【図11】第2の形態の内外し引き違い窓の横断面図である。
【図12】第2の形態に係る室外側レール部材の立上がり片と外障子の室内側垂下片の係止状態図である。
【図13】第3の形態の内外し引き違い窓の縦断面図である。
【図14】同上部拡大縦断面図である。
【図15】同下部拡大縦断面図である。
【図16】(a)は従来品、(b)は第3の形態に係る室外側レール部材である。
【図17】第3の形態の内外し引き違い窓の横断面図である。
【図18】本発明の第3の形態に係る室外側レール部材の立上がり片と外障子の室内側垂下片の係止状態図である。
【符号の説明】
【0063】
1…窓枠、2…外障子、3…内障子、4…上枠、5…下枠、6…竪枠、7…室外側レール部材(目板)、8…室内側レール部材、9…下部下枠(下枠)、10a,10b…上框、11a,11b…下框、12…召し合せ框、13a,13b…戸先框、14a,14b…ガラスパネル、15…網戸、16…網戸上框、17…網戸下框、18…網戸堅框、19…網、20…外側基板、21…室内側垂下片、22…室外側中間垂下片、23…室内側中間垂下片、24…室外側垂下片、25…内障子走行溝、26…ストッパー、27…上枠タイト材、30a,30b…中空部、31a,31b…立上がり片、32a,32b…垂下片、33…室外側ダイス、34…室内側ダイス、35…切抜き部、40…基板、41…立上がり片、42…室外側垂下片、43…室内側垂下片、44…外障子戸車、45…外障子走行レール、46…立上がり部、47…水平部、48…立ち下がり部、50…基板、51…室外側垂下片、52…室内側垂下片、53…内障子戸車、54…内障子走行レール、60…中空部、61…室外側立上がり片、62…第1中間立上がり片、63…第2中間立上がり片、64…第3中間立上がり片、65…室内側立上がり片、66…立上がり部、67…水平部、68,69…下枠タイト材、70…室外側中空部、71…外障子走行溝、72…室内側中空部、73…内障子走行溝、80a,80b…中空部、81a,81b…立上がり片、82a,82b…垂下片、83a,83b…水切りタイト材、90a,90b…召し合せ框、91a,91b…煙返し、92…突出片、93…堅タイト材、94…気密ブロック、95…水抜き孔、100…室外側レール部材、101…基板、102…立上がり片、103…室外側垂下片、104…室内側垂下片、105…外障子走行レール、110…室外側レール部材、111…基板、112…立上がり片、113…室外側垂下片、114…室内側垂下片、115…外障子走行レール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓枠の下枠上に室外側レール部材及び室内側レール部材を設けて、これら各レール部材の上面を、前記下枠の室内側立ち上がり片の上端とほぼ同一のフラット面とし、室内外障子が前記各レール部材上を走行し、室内側に引き込んで外すようにした内外し引き違い窓であって、
前記室外側レール部材は、その室外側に前記フラット面より上方に突出する立上がり片を有し、
前記外障子は、その室内側垂下片が前記室外側レール部材の室内側に位置して前記フラット面より垂下している、ことを特徴とする内外し引き違い窓。
【請求項2】
前記外障子の上方への呑み込み限に対して、前記室内側垂下片の下端より、前記立上がり片の上端が上位に位置している請求項1記載の内外し引き違い窓。
【請求項3】
前記外障子の上方への呑み込み限に対して、前記室外側垂下片の下端より、前記立上がり片の上端が上位に位置している請求項1記載の内外し引き違い窓。
【請求項4】
網戸を備え、前記立上がり片上に沿って前記網戸が走行するように構成した請求項1及至3のいずれか1項に記載の内外し引き違い窓。
【請求項5】
前記室外側レール部材は、前記下枠に対して着脱自在である請求項1及至4のいずれか1項に記載の内外し引き違い窓。
【請求項1】
窓枠の下枠上に室外側レール部材及び室内側レール部材を設けて、これら各レール部材の上面を、前記下枠の室内側立ち上がり片の上端とほぼ同一のフラット面とし、室内外障子が前記各レール部材上を走行し、室内側に引き込んで外すようにした内外し引き違い窓であって、
前記室外側レール部材は、その室外側に前記フラット面より上方に突出する立上がり片を有し、
前記外障子は、その室内側垂下片が前記室外側レール部材の室内側に位置して前記フラット面より垂下している、ことを特徴とする内外し引き違い窓。
【請求項2】
前記外障子の上方への呑み込み限に対して、前記室内側垂下片の下端より、前記立上がり片の上端が上位に位置している請求項1記載の内外し引き違い窓。
【請求項3】
前記外障子の上方への呑み込み限に対して、前記室外側垂下片の下端より、前記立上がり片の上端が上位に位置している請求項1記載の内外し引き違い窓。
【請求項4】
網戸を備え、前記立上がり片上に沿って前記網戸が走行するように構成した請求項1及至3のいずれか1項に記載の内外し引き違い窓。
【請求項5】
前記室外側レール部材は、前記下枠に対して着脱自在である請求項1及至4のいずれか1項に記載の内外し引き違い窓。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−243168(P2009−243168A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−91680(P2008−91680)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】
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