説明

内燃機関の冷却制御装置

【課題】燃料の蒸留特性に拘らずPM排出量を低減できる内燃機関の冷却制御装置を提供する。
【解決手段】内燃機関EGのピストン120に潤滑オイル140を供給するオイルジェット手段14の動作を制御する内燃機関の冷却制御装置11において、前記ピストンの冠面の温度を演算する冠面温度演算手段11と、前記内燃機関に供給される燃料の90%留出温度を記憶する記憶手段11と、前記冠面の温度が前記90%留出温度に基づく所定の閾温度未満の場合は前記オイルジェット手段を停止し、前記冠面の温度が前記所定の閾温度以上の場合は前記オイルジェット手段を作動する制御手段11と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の冷却制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ピストンに潤滑用オイルを供給するオイルジェットを備えた内燃機関において、燃料噴射量やアクセル開度に基づいてピストン温度を推定し、この推定されたピストン温度が所定温度以下の場合には、ピストンへのオイルジェットを停止するものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−209895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、ピストンへのオイルジェットを作動/停止する所定温度、すなわち閾温度が具体的に特定されていないので、燃料の蒸留特性によっては燃料液膜を低減できずに煤などのPM(particulate matter,粒子状物質)の排出量が増加するおそれがある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、燃料の蒸留特性に拘らずPM排出量を低減できる内燃機関の冷却制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ピストン冠面の温度が燃料の90%留出温度に基づいた閾温度未満の場合はオイルジェットを停止し、当該閾温度以上の場合はオイルジェットを作動することによって、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、オイルジェットの作動/停止を制御する閾温度が燃料の留出温度に基づいて定められているので、燃料の蒸留特性に拘らず、オイルジェットを停止することによりピストン上の燃料液膜が低減し、その結果PM排出量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施の形態を適用した内燃機関を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る冷却制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図3】図2のステップST2の詳細を示すサブルーチンである。
【図4】図2のステップST4,ST5及びST6の制御を示すタイムチャートである。
【図5】図2のステップST3及びST5の制御を示すタイムチャートである。
【図6】本発明の他の実施の形態に係る冷却制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図7】図6のステップST14〜ST17の制御を示すタイムチャートである。
【図8】本発明のさらに他の実施の形態に係る冷却制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図9】図8のステップST4〜ST9の制御を示すタイムチャートである。
【図10】ピストン冠面温度とPM排出量との関係を測定したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の一実施の形態を適用した内燃機関を示すブロック図であり、火花点火式エンジンEGに本発明の燃料噴射制御装置を適用した例にて本発明を説明する。
【0010】
図1において、エンジンEGの吸気通路111には、エアーフィルタ112、吸入空気流量を検出するエアフローメータ113、吸入空気流量を制御するスロットルバルブ114およびコレクタ115が設けられている。
【0011】
スロットルバルブ114には、当該スロットルバルブ114の開度を調整するDCモータ等のアクチュエータ116が設けられている。このスロットルバルブアクチュエータ116は、運転者のアクセルペダル操作量等(アクセル開度センサ134)に基づき演算される要求トルクを達成するように、エンジンコントロールユニット11からの駆動信号に基づき、スロットルバルブ114の開度を電子制御する。また、スロットルバルブ114の開度を検出するスロットルセンサ117が設けられて、その検出信号をエンジンコントロールユニット11へ出力する。
【0012】
また、燃料噴射バルブ118からの燃料が燃焼室123に直接噴射されるように、燃焼室123に臨ませて、燃料噴射バルブ118が設けられている。燃料噴射バルブ118は、エンジンコントロールユニット11において設定される駆動パルス信号によって開弁駆動され、図外の燃料ポンプから圧送されてプレッシャレギュレータにより所定圧力に制御された燃料を燃焼室123内に噴射する。
【0013】
シリンダ119と、当該シリンダ内を往復移動するピストン120の冠面と、吸気バルブ121及び排気バルブ122が設けられたシリンダヘッドとで囲まれる空間が燃焼室123を構成する。点火プラグ124は、各気筒の燃焼室123に臨んで装着され、エンジンコントロールユニット11からの点火信号に基づいて吸入混合気に対して点火を行う。
【0014】
一方、排気通路125には、排気中の特定成分、たとえば酸素濃度を検出することにより排気、ひいては吸入混合気の空燃比を検出する空燃比センサ126が設けられ、その検出信号はエンジンコントロールユニット11へ出力される。この空燃比センサ126は、リッチ・リーン出力する酸素センサであっても良いし、空燃比をリニアに広域に亘って検出する広域空燃比センサであってもよい。
【0015】
また、排気通路125には、排気を浄化するための排気浄化触媒127が設けられている。この排気浄化触媒127としては、ストイキ(理論空燃比,λ=1、空気重量/燃料重量=14.7)近傍において排気中の一酸化炭素COと炭化水素HCを酸化するとともに、窒素酸化物NOxの還元を行って排気を浄化することができる三元触媒、或いは排気中の一酸化炭素COと炭化水素HCの酸化を行う酸化触媒を用いることができる。
【0016】
排気通路125の排気浄化触媒127の下流側には、排気中の特定成分、たとえば酸素濃度を検出し、リッチ・リーン出力する酸素センサ128が設けられ、その検出信号はエンジンコントロールユニット11へ出力される。なお、図1において129はマフラである。
【0017】
エンジンEGのクランク軸130にはクランク角センサ131が設けられ、エンジンコントロールユニット11は、クランク角センサ131から機関回転と同期して出力されるクランク単位角信号を一定時間カウントすることで、又は、クランク基準角信号の周期を計測することで、エンジン回転速度Neを検出することができる。
【0018】
エンジンEGの冷却ジャケット132には、水温センサ133が当該冷却ジャケットに臨んで設けられ、冷却ジャケット132内の冷却水温度Twを検出し、これをエンジンコントロールユニット11へ出力する。
【0019】
既述したように、各種センサ類113,117,126,128,131,133,134からの検出信号は、CPU,ROM,RAM,A/D変換器及び入出力インタフェース等を含んで構成されるマイクロコンピュータからなるエンジンコントロールユニット11に入力され、当該エンジンコントロールユニット11は、センサ類からの信号に基づいて検出される運転状態に応じて、スロットルバルブ114の開度を制御し、燃料噴射バルブ118を駆動して燃料噴射量と燃料噴射時期を制御する。
【0020】
特に本例では、エンジンEGに使用される燃料の90%留出温度をエンジンコントロールユニット11内のメモリに入力するための燃料T90入力器149が設けられている。燃料の留出温度とは、たとえばJIS K2254(石油製品蒸留試験方法)に規定された試験方法にて測定することができる。そして、90%留出温度とは、測定対象の燃料が容量%にて90%蒸留する温度をいう。エンジンEGに使用されるガソリンや軽油などの燃料の90%留出温度は、上記JIS K2254に規定された試験方法を用いて予め測定することができる。本例では、この測定された90%留出温度を燃料T90入力器149から入力し、エンジンコントロールユニット11内のメモリに記憶させておく。
【0021】
本例のエンジンEGは、ピストン120に対して潤滑オイルを供給して当該ピストン120を冷却するオイルジェット装置14が設けられている。オイルジェット装置14は、潤滑オイル140が溜められたオイルパン141と、オイルパン141の潤滑オイル140を吸引する際に異物を除去するためのオイルストレーナ142と、潤滑オイル140を吸引するオイルポンプ143と、吸引した潤滑オイル140が一時的に貯留されるメインギャラリ144及びサブギャラリ146と、メインギャラリ144及びサブギャラリ146の間のオイル配管148aに設けられた電磁弁145と、潤滑オイル140をピストン120に向かって噴射するノズル147とを備える。
【0022】
オイルストレーナ142、オイルポンプ143、メインギャラリ144はオイル配管148aによって接続され、電磁弁145の部分でオイル配管148bとオイル配管148cとに分岐して、一方のオイル配管148bはノズル147に潤滑オイル140を導き、他方のオイル配管148cはオイルパン141に潤滑オイル140を戻す。
【0023】
電磁弁145は、エンジンコントロールユニット11からの指令信号に応じて、オイルポンプ143によって吸引された潤滑オイル140を、ノズル147を介してピストン120に噴射するか、或いはオイル配管148cを介してオイルパン141に戻すかの流路を選択的に切り換える。なお、本例のオイルジェット装置14は以上のように構成されているが、本発明においてはこの構成が必須ではなく、エンジンコントロールユニット11からの指令信号によってピストン120へ潤滑オイル140を供給するか停止するかを制御できる構成であればよい。また、本例ではエンジンEGの潤滑オイル140をピストン120の冷却用に共用しているが、エンジンEGの潤滑と冷却とを別のオイルによって構成してもよい。本発明では、これらの態様を含めて少なくともピストン120を冷却するために用いられるオイルを潤滑オイルと称する。
【0024】
さて、ピストン120に対して潤滑オイル140を供給して冷却するか、供給を停止するかは主としてピストン120の冠面の温度によって決定されるが、ピストン120を過冷却するとピストン120の冠面の燃料液膜が蒸発しきれずに残留し、これが煤などのPM発生の原因となる。また、ピストン120を冷却するかしないかの閾温度は、使用される燃料の留出温度に影響され、特に煤などのPM排出量が大きく影響を受ける。本発明者らが探求したところによれば、ピストン冠面温度とPM排出量の関係は図10に示すようになり、燃料の90%留出温度の近傍を境にPM排出量が大きく変化することが判明した。
【0025】
そこで本例では、オイルジェット装置14による潤滑オイル140の供給/停止制御を、ピストン120の冠面温度が燃料の90%留出温度に基づいて定められる所定の閾温度とする。ここで、この所定の閾温度は、使用される燃料の90%留出温度そのものであってもよく、また90%留出温度から測定誤差範囲内の任意温度に設定してもよい。以下の例の所定の閾温度は、使用される燃料の90%留出温度自体に設定するものとする。
【0026】
《第1実施形態》
図2は本発明の第1実施形態に係る冷却装置の制御手順を示すフローチャート、図3はステップST2のサブルーチン、図4及び図5はタイムチャートである。まず、ステップST1にて、エンジンコントロールユニット11は、アクセル開度センサ134によるアクセル開度(エンジン負荷に相当する)と、クランク角センサ131によるエンジン回転速度と、水温センサ133による冷却水温度と、エンジンEGをスタートしてからの総サイクル数と、メモリに記憶された燃料の90%留出温度と、を読み込む。なお、総サイクル数は、エンジンコントロールユニット11内で演算することができる。また、燃料の90%留出温度は予め燃料T90入力器149から入力しておく。
【0027】
ステップST2では、ピストン120の冠面温度Tpを推定して決定するための演算を実行する。具体的には、図3に示すように、ステップST1で読み込んだエンジン負荷(Load)と、エンジン回転速度(Ne)と、エンジン冷却水温度(Tw)とを、予め記憶されている熱平衡状態におけるピストン冠面温度マップを参照して平衡状態でのピストン冠面温度T1を求め、この平衡状態でのピストン冠面温度T1と、エンジン冷却水温度Twと、エンジンスタートからの総サイクル数Nと、時定数τとを用いて同図に示す算出式から、過渡のピストン冠面温度Tを算出する。これを推定された冠面温度Tpとする。
【0028】
本例では、ピストン冠面温度Tpの推定演算に、エンジン負荷やエンジン回転速度以外にもエンジン冷却水温度や総サイクル数を用いているので、暖機運転中における推定精度が向上する。特に暖機運転中であるか否かを考慮せずに推定すると、推定温度は実際の温度より高くなるため、低温で潤滑オイル140を供給することになる。したがって、ピストン冠面の燃料液膜が蒸発しきれずに残留し、これが原因で煤などのPM排出量が増加するが、本例によればこうした推定精度によるPM排出量の増加を抑制することができる。
【0029】
ステップST3では、アクセル開度センサ134によるアクセル開度TVOが、フルスロットル(全開)となる所定開度TFTVO以上か否かを判断する。アクセル開度TVOがフルスロットルである場合は、次のステップST4を判断することなくステップST5へ移行し、オイルジェット装置14の電磁弁145を作動させてノズル147からピストン120へ向かって潤滑オイル140を噴射する。
【0030】
これにより、フルスロットルによってピストン120の冠面温度が間もなく上昇し始めるのに対して、遅滞することなく良好なタイミングでピストン120を冷却することができる。その結果、急激な熱負荷によるピストン120の損傷が予防され、また高負荷ノッキングを防止することができる。
【0031】
またこの場合に、すなわちアクセル開度TVOがフルスロットルになった場合には、オイルジェット装置14による潤滑オイルの噴射量を最大に設定してもよい。こうすることでピストン120の冷却効果がより助長される。
【0032】
図5は、ステップST3→ST5の制御内容を示すタイムチャートであり、アクセル開度TVOがフルスロットル閾値TFTVOに達した時間t1においてオイルジェット装置14による潤滑オイル140の供給がONされる。そして、従来技術に比べてPM排出量が低減されるとともに、ピストン120の冷却効果によってノッキング発生の余裕度が大きくなる。
【0033】
図2に戻り、ステップST3にてアクセル開度がフルスロットルではない場合にはステップST4へ進み、ステップST2で演算したピストン冠面温度Tpが燃料の90%留出温度T90以上か否かを判断する。そして、ピストン冠面温度Tpが燃料の90%留出温度T90以上の場合はステップST5へ進み、オイルジェット装置14の電磁弁145を作動させてノズル147からピストン120へ向かって潤滑オイル140を噴射する。これにより、ピストン120を冷却することができ、急激な熱負荷によるピストン120の損傷が予防され、また高負荷ノッキングを防止することができる。
【0034】
一方、ステップST4にてピストン冠面温度Tpが燃料の90%留出温度T90未満の場合はステップST6へ進み、オイルジェット装置14による潤滑オイル140の供給を停止する。潤滑オイル140の供給/停止をピストン冠面温度Tpが燃料の90%留出温度T90以上か否かで切り換えることで、過剰な冷却を防止することができる。すなわち、ピストン冠面温度Tpが90%留出温度より低い場合に潤滑オイル140を供給すると、ピストン120がより冷却され、冠面の燃料液膜が蒸発しきれずに残留し、この残留燃料が煤等のPMとなって排出される。本例では、ピストン冠面温度Tpが、燃料液膜が充分に蒸発する90%留出温度に達して始めて冷却を行うようにしているので、図4に示すように従来技術に比べてPM排出量を低減することができる。
【0035】
《第2実施形態》
図6は本発明の第2実施形態に係る冷却装置の制御手順を示すフローチャート、図7はタイムチャートである。本例の冷却装置を内燃機関に適用した例は図1及びその説明と同じである。
【0036】
まずステップST1にて、エンジンコントロールユニット11は、アクセル開度センサ134によるアクセル開度(エンジン負荷に相当する)と、クランク角センサ131によるエンジン回転速度と、水温センサ133による冷却水温度と、エンジンEGをスタートしてからの総サイクル数と、メモリに記憶された燃料の90%留出温度と、を読み込む。これに加えて、エアフローメータ113による吸入空気量と、燃料噴射バルブ118からの燃料噴射量と、空燃比センサ126による排気通路125の空燃比と、を読み込む。なお、総サイクル数や燃料噴射量は、エンジンコントロールユニット11内で演算することができる。また、燃料の90%留出温度は予め燃料T90入力器149から入力しておく。
【0037】
ステップST12では、第1実施形態のST2と同じ手順でピストン冠面温度Tpを演算する。ステップST13では、吸入空気と燃料噴射量から吸気の空燃比A/F1を演算し、排気通路125の空燃比から排気の空燃比A/F2を演算する。そして、その差、すなわち空燃比差であるΔA/F=(A/F2)−(A/F1)を演算する。
【0038】
ステップST14では、ステップST13で演算したΔA/Fが予め設定された閾値X以上か否かを判断する。この閾値Xは実験やシミュレーションによって適宜設定することができる。そして、ΔA/FがX以上である場合は、ステップST15の判断をすることなくステップST17へ移行し、オイルジェット装置14による潤滑オイル140の供給を停止する。
【0039】
ΔA/Fが閾値Xより大きいということはピストン120の冠面の燃料液膜が相対的に多いということであるため、潤滑オイル140を供給してピストン冠面温度を下げると蒸発しきれずに残留する燃料液膜が多くなり、その結果PM排出量が増加する。本例ではこうした状況を考慮して潤滑オイル140の供給を停止し、ピストン冠面の燃料液膜を極力蒸発させることでPM排出量を低減することができる。
【0040】
図7はステップST14→ST17のタイムチャートであり、ピストン冠面温度TpがT90以上となったとしても、ΔA/Fが閾値X未満となる時間t2まで、潤滑オイル140の供給を停止する。これにより、PM排出量を低減することができる。なお、図6のステップST15〜ST17は、第1実施形態の図2のステップST4〜ST6と同じであるためその説明を省略する。
【0041】
《第3実施形態》
図8は本発明の第3実施形態に係る冷却装置の制御手順を示すフローチャート、図9はタイムチャートである。本例の冷却装置を内燃機関に適用した例は図1及びその説明と同じである。また、図8のステップST1〜ST6は第1実施形態の図2のステップST1〜ST6と同じであるためその説明は省略する。
【0042】
ステップST5において、潤滑オイル140を供給する場合に、本例ではステップST7にてピストン冠面温度Tpと、閾温度である90%留出温度T90との差温ΔTを演算する。そして、この差温ΔTに応じてオイルジェット装置14からの潤滑オイルの噴射量を増減する。すなわち、ステップST9にて差温ΔTが大きいほど噴射量を多くし、逆に差温ΔTが小さいほど噴射量を少なくする。
【0043】
これにより、図9に示すように、ピストン冠面温度Tpが運転状態の変動などによって変動しても当該変動量に応じた冷却能力になるので、ノッキングの余裕度が第1実施形態に比べて大きくなる。
【0044】
上記エンジンコントロールユニット11は本発明に係る制御手段、記憶手段に相当し、上記アクセル開度センサ134、クランク角センサ131、水温センサ133及びエンジンコントロールユニット11は本発明に係る冠面温度決定手段に相当し、上記オイルジェット装置14は本発明に係るオイルジェット手段に相当し、上記アクセル開度センサ134は本発明に係るアクセル開度検出手段に相当し、上記エアフローメータ113、エンジンコントロールユニット11及び空燃比センサ126は本発明に係る空燃比検出手段に相当する。尚、冠面温度決定手段は、ピストン冠面温度を直接測定する手段を採用した上で、当該測定手段による測定結果を冠面温度として決定してもよい。
【符号の説明】
【0045】
EG…エンジン(内燃機関)
11…エンジンコントロールユニット
111…吸気通路
111a…燃料噴射ポート
112…エアーフィルタ
113…エアフローメータ
114…スロットルバルブ
115…コレクタ
116…スロットルバルブアクチュエータ
117…スロットルセンサ
118…燃料噴射バルブ
119…シリンダ
120…ピストン
121…吸気バルブ
122…排気バルブ
123…燃焼室
124…点火プラグ
125…排気通路
126…空燃比センサ
127…排気浄化触媒
128…酸素センサ
129…マフラ
130…クランク軸
131…クランク角センサ
132…冷却ジャケット
133…水温センサ
134…アクセル開度センサ
14…オイルジェット装置
140…潤滑オイル
141…オイルパン
142…オイルストレーナ
143…オイルポンプ
144…メインギャラリ
145…電磁弁
146…サブギャラリ
147…ノズル
148a,148b,148c…オイル配管
149…燃料T90入力器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のピストンに潤滑オイルを供給するオイルジェット手段の動作を制御する内燃機関の冷却制御装置において、
前記ピストンの冠面の温度を決定する冠面温度決定手段と、
前記内燃機関に供給される燃料の90%留出温度を記憶する記憶手段と、
前記冠面の温度が前記90%留出温度に基づく所定の閾温度未満の場合は前記オイルジェット手段を停止し、前記冠面の温度が前記所定の閾温度以上の場合は前記オイルジェット手段を作動する制御手段と、を備える内燃機関の冷却制御装置。
【請求項2】
前記冠面温度決定手段は、前記内燃機関の負荷状態、前記内燃機関の回転速度、前記内燃機関の冷却水温度及び前記内燃機関の運転開始からの総サイクル数に基づいて前記冠面の温度を推定する請求項1に記載の内燃機関の冷却制御装置。
【請求項3】
前記内燃機関のアクセル開度を検出するアクセル開度検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記アクセル開度が全開の場合には、前記冠面の温度が前記所定の閾温度未満か否かに拘らず、前記オイルジェット手段を作動する請求項1又は2に記載の内燃機関の冷却制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記アクセル開度が全開の場合には、前記冠面の温度が前記所定の閾温度未満か否かに拘らず、最大流量の潤滑オイルを供給するように前記オイルジェット手段を作動する請求項3に記載の内燃機関の冷却制御装置。
【請求項5】
吸気の空燃比と排気の空燃比をそれぞれ検出する空燃比検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記排気の空燃比から前記吸気の空燃比を減じた値が所定値以上である場合には、前記冠面の温度が前記所定の閾温度以上であっても、前記オイルジェット手段の作動を禁止する請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の冷却制御装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記冠面の温度が前記閾温度以上の場合に、前記冠面の温度と前記閾温度との差が大きいほど前記オイルジェット手段による潤滑オイルの供給量を増加させる請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関の冷却制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−64374(P2013−64374A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204212(P2011−204212)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】