説明

内燃機関の制御装置

【課題】瞬断が発生しても、その解消後の電動アクチュエータの動作位置の推定精度を向上させることができ、瞬断後も機関状態量の制御を好適に継続することのできる内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】ECU4は、EDU203の通電が瞬断されたときに、その直前における電動アクチュエータ2の動作位置を記憶するとともに、瞬断直前の電動アクチュエータ2の動作状況に応じて瞬断中の電動アクチュエータ2の動作量を推定する。またECU4は、記憶した瞬断直前の電動アクチュエータ2の動作位置を、推定した瞬断中の電動アクチュエータ2の動作量にて補正することで、瞬断解消時の電動アクチュエータ2の動作位置を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その動作に応じて機関状態量を変更する電動アクチュエータを制御する内燃機関の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内燃機関には、車両の運転状況や運転者からの指令等により、電動アクチュエータを作動させ、様々な機関状態量を変更することで燃焼条件等を変更する可変機構が多く採用されている。こうした可変機構を備える内燃機関には、機関制御を司る指令ユニットからの指令に応じて電動アクチュエータを駆動する駆動ユニットが設けられている。駆動ユニットは、機関状態量の現状値(実機関状態量)を直接或いは間接的に検出するとともに、指令ユニットから受信した機関状態量の制御目標値と実機関状態量とが一致するように電動アクチュエータを駆動する。こうした機関状態量の制御適切に行うには、実機関状態量を正確に検出することが必要となる。
【0003】
ところで、機関状態量によってはその直接の検出が困難な場合がある。こうした場合には、電動アクチュエータの動作位置を検出し、その検出結果から機関状態量を演算してその制御を行うことになる。
【0004】
更に、場合によっては、そうした電動アクチュエータの動作位置の直接の検出も困難なことがある。そうした場合には、例えばモータの回転量などの電動アクチュエータの動作量を検出するとともに、その検出結果から電動アクチュエータの動作位置を演算して求めることになる。
【0005】
このような場合における機関状態量の制御においては、電動アクチュエータの駆動ユニットに印加される電圧が一時的に低下する、いわゆる瞬断が生じた場合には、そのRAMに記憶された動作位置のデータがクリアされてしまうため、瞬断解消後の電動アクチュエータの動作位置が不明となることがある。そしてその結果、瞬断後の機関状態量の制御精度が悪化することがある。
【0006】
ここで、特許文献1に記載の制御装置では、駆動ユニットが、電動アクチュエータの動作量の検出結果から求めた電動アクチュエータの動作位置を指令ユニットに送信するとともに、指令ユニットに設けられたランダムアクセスメモリ(RAM)にその送信された電動アクチュエータの動作位置を記憶するようにしている。そして駆動ユニットに瞬断が発生したときには、指令ユニットのRAMに記憶保持された、電動アクチュエータの瞬断直前の動作位置を駆動ユニットに送信し、駆動ユニットが受信した瞬断直前の動作位置を電動アクチュエータの瞬断解消時の動作位置として使用することで、瞬断後の機関状態量の制御を継続するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−182850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、電動アクチュエータが駆動されている最中に瞬断が発生した場合、電動アクチュエータは慣性によって直ちには停止しない。そのため、瞬断中の電動アクチュエータの動作位置のずれ、いわゆる慣性ずれが生じることがある。これに対して文献1の制御装置では、電動アクチュエータの瞬断直前の動作位置を瞬断解消時の動作位置としてそのまま用いられるため、こうした慣性ずれが生じれば、瞬断解消後の駆動ユニットの認識する動作位置が実際の値から乖離してしまうことになる。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、瞬断が発生しても、その解消後の電動アクチュエータの動作位置推定の精度を向上させることができ、瞬断後も機関状態量の制御を好適に継続することのできる内燃機関の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果を記載する。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は動作に応じて機関状態量を変更する電動アクチュエータの駆動ユニットであって、電動アクチュエータの動作量を検出する動作量検出手段、及び基準動作位置からの動作量を求めて電動アクチュエータの動作位置を演算する動作位置演算手段を備える駆動ユニットと、駆動ユニットの通電が瞬断されたときに、その直前における動作位置を記憶し、瞬断中もその記憶を保持する記憶手段と、記憶手段の記憶する瞬断直前の動作位置を瞬断直前の電動アクチュエータの動作状況に応じて補正することで、瞬断解消時の動作位置を推定する瞬断後動作位置推定手段と、を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置を提供する。
【0011】
上記構成では、電動アクチュエータの動作量を駆動ユニットに設けられた動作量検出手段により検出するようにしている。またその検出結果から基準動作位置からの電動アクチュエータの動作量を求め、それにより電動アクチュエータの、ひいては機関状態量の制御が行われる。こうした構成では、駆動ユニットの通電が瞬断されると、電動アクチュエータの基準動作位置からの動作量のデータがクリアされてしまうため、機関状態量の制御に支障を来すようになる。
【0012】
その点、上記構成では、駆動ユニットの通電が瞬断されたときには、その直前における電動アクチュエータの動作位置が記憶手段により記憶されるようになる。また瞬断中動作量推定手段によって、瞬断中の電動アクチュエータの動作量が、瞬断直前の電動アクチュエータの動作状況に応じて推定されるようになる。そして、記憶手段の記憶した瞬断直前の動作位置を、瞬断中動作量推定手段の推定した動作量にて補正することで瞬断解消時の電動アクチュエータの動作位置が推定されるようになる。そのため、瞬断が発生しても、その解消後の電動アクチュエータの動作位置推定精度を向上させることができ、瞬断後も機関状態量の制御を好適に継続することができるようになる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、瞬断直前の電動アクチュエータの動作状況に応じて瞬断中の電動アクチュエータの動作量を推定する瞬断中動作量推定手段を備え、瞬断後動作位置推定手段は、記憶手段の記憶する瞬断直前の動作位置を瞬断中動作量推定手段の推定した動作量にて補正することを特徴とする内燃機関の制御装置。
【0014】
上記構成では、瞬断直前の電動アクチュエータの動作状況に応じて、瞬断中の電動アクチュエータの動作量を推定する手段を備え、この推定結果を用いて瞬断後の動作位置を補正する。そのため、瞬断が発生しても、その解消後の電動アクチュエータの動作位置推定精度を向上させることができ、瞬断後も機関状態量の制御を好適に継続することができるようになる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の内燃機関の制御装置において、機関運転状態に基づいて機関状態量及び動作位置のいずれかの制御目標値を演算するとともに、その演算した制御目標値を駆動ユニットに指令する指令ユニットであって、動作位置演算手段の演算した動作位置を駆動ユニットから通信回線を通じて受信するとともに、記憶手段の設けられた指令ユニットを備えることを特徴とする内燃機関の制御装置を提供する。
【0016】
上記構成では、瞬断直前の電動アクチュエータの動作位置を記憶する記憶手段が、機関状態量又は動作位置の制御目標値を駆動ユニットに指令する指令ユニットに設けられている。こうした構成では、駆動ユニットに瞬断が発生しても、指令ユニットの機能が維持されていれば、瞬断直前の電動アクチュエータの動作位置の記憶及びその記憶の保持が可能である。したがって、上記構成によれば、瞬断直前の電動アクチュエータの動作位置の記憶及びその記憶の保持をより確実に行うことができるようになる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、瞬断中動作量推定手段は、瞬断直前の電動アクチュエータの動作状況として瞬断直前の電動アクチュエータの動作速度を用いるとともに、同動作速度が高いときには、同動作速度が低いときに比して瞬断中の動作量が大きいと推定することを特徴とする請求項2又は3に記載の内燃機関の制御装置を提供する。
【0018】
瞬断直前の電動アクチュエータの動作速度が高ければ、慣性ずれによる瞬断中の電動アクチュエータの動作量は大きくなる。そのため、上記構成によれば、慣性ずれによる瞬断中の電動アクチュエータの動作量の推定精度を向上させることができるようになる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、動作に応じて機関状態量を変更する電動アクチュエータの駆動ユニットであって、電動アクチュエータの動作量を検出する動作量検出手段、及び基準動作位置からの動作量を求めて電動アクチュエータの動作位置を演算する動作位置演算手段を備える駆動ユニットと、動作位置演算手段の演算した動作位置から機関状態量の現状値を算出する機関状態量算出手段と、駆動ユニットの通電が瞬断されたときに、機関状態量算出手段が算出した瞬断直前の機関状態量の値を記憶し、瞬断中もその記憶を保持する記憶手段と、瞬断直前の電動アクチュエータの動作状況に応じて瞬断中の電動アクチュエータの動作量を推定する瞬断中動作量推定手段と、記憶手段の記憶した瞬断直前の機関状態量の値から瞬断直前の動作位置を演算するとともに、その演算した瞬断直前の動作位置を瞬断中動作量推定手段の推定した動作量にて補正することで、瞬断解消時の動作位置を推定する瞬断後動作位置推定手段と、を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置を提供する。
【0020】
上記構成では、電動アクチュエータの動作量を、駆動ユニットに設けられた動作量検出手段により検出するようにしている。またその検出結果から基準動作位置からの電動アクチュエータの動作量を求め、それにより電動アクチュエータの動作位置の絶対値を演算するとともに、その演算結果を用いて電動アクチュエータの、ひいては機関状態量の制御が行われる。こうした構成では、駆動ユニットの通電が瞬断されると、電動アクチュエータの基準動作位置からの動作量のデータがクリアされてしまうため、機関状態量の制御に支障を来すようになる。
【0021】
その点、上記構成では、駆動ユニットの通電が瞬断されたときには、その直前における機関状態量の値が記憶手段により記憶されるようになる。また瞬断中動作量推定手段によって、瞬断中の電動アクチュエータの動作量が、瞬断直前の電動アクチュエータの動作状況に応じて推定されるようになる。そして記憶手段の記憶した瞬断直前の機関状態量の値から瞬断直前の電動アクチュエータの動作位置が算出されるとともに、その算出した動作位置を、瞬断中動作量推定手段の推定した動作量にて補正することで、瞬断解消時の電動アクチュエータの動作位置が推定されるようになる。そのため、瞬断が発生しても、その解消後の電動アクチュエータの動作位置の推定精度を向上させることができ、瞬断後も機関状態量の制御を好適に継続することができるようになる。
【0022】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の内燃機関の制御装置において、機関運転状態に基づいて機関状態量及び動作位置のいずれかの制御目標値を演算するとともに、その演算した制御目標値を駆動ユニットに指令する指令ユニットであって、動作位置演算手段の演算した動作位置及び機関状態量算出手段の算出した機関状態量の少なくとも一方を駆動ユニットから通信回線を通じて受信するとともに、記憶手段の設けられた指令ユニットを備えることを特徴とする内燃機関の制御装置を提供する。
【0023】
上記構成では、瞬断直前の機関状態量の値を記憶する記憶手段が、機関状態量又は動作位置の制御目標値を駆動ユニットに指令する指令ユニットに設けられている。こうした構成では、駆動ユニットに瞬断が発生しても、指令ユニットの機能が維持されていれば、瞬断直前の機関状態量の値の記憶及びその記憶の保持が可能である。したがって、上記構成によれば、瞬断直前の機関状態量の値の記憶及びその記憶の保持をより確実に行うことができるようになる。
【0024】
請求項7に記載の発明は、瞬断中動作量推定手段は、瞬断直前の電動アクチュエータの動作状況として機関状態量の変化速度を用いるとともに、その変化速度が高いときには、同変化速度が低いときに比して瞬断中の動作量が大きいと推定することを特徴とする請求項5又は6に記載の内燃機関の制御装置を提供する。
【0025】
瞬断直前の機関運転状態の変化速度が高ければ、瞬断中の電動アクチュエータの慣性ずれは大きくなる。そのため、上記構成によれば、慣性ずれによる瞬断中の電動アクチュエータの動作量の推定精度を向上させることができるようになる。
【0026】
請求項8に記載の発明は、瞬断中動作量推定手段及び瞬断後動作位置推定手段は、指令ユニットに設けられ、且つ指令ユニットは、瞬断解消時に瞬断後動作位置推定手段の推定した瞬断解消時の動作位置の推定結果を駆動ユニットに送信することを特徴とする請求項6に記載の内燃機関の制御装置を提供する。
【0027】
一般に電動アクチュエータの駆動を行う駆動ユニットは、その制御を司る指令ユニットに比して、その演算処理能力は限定されている。その点、上記構成では、瞬断解消時の動作位置の推定に係る演算処理を、より演算処理能力の高い指令ユニットに受け持たせることができる。
【0028】
請求項9に記載の発明は、動作に応じて機関状態量を変更する電動アクチュエータの駆動ユニットであって、電動アクチュエータの動作量を検出する動作量検出手段、及び基準動作位置からの動作量を求めて電動アクチュエータの動作位置を演算する動作位置演算手段を備える駆動ユニットと、動作位置演算手段の演算した動作位置から機関状態量の現状値を算出する機関状態量算出手段と、機関状態量算出手段が算出した瞬断直前の機関状態量の値を記憶し、瞬断中もその記憶を保持する記憶手段と、瞬断直前の電動アクチュエータの動作状況に応じて瞬断中の機関状態量の変化量を推定する瞬断中変化量推定手段と、記憶手段の記憶した瞬断直前の機関状態量の値を瞬断中変化量推定手段の推定した変化量にて補正することで、瞬断解消時の機関状態量の値を推定する瞬断後機関状態量推定手段と、その瞬断後機関状態量推定手段の推定した瞬断解消時の機関状態量から瞬断解消時の動作位置を推定する瞬断後動作位置推定手段と、を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置を提供する。
【0029】
上記構成では、電動アクチュエータの動作量を、駆動ユニットに設けられた動作量検出手段により検出するようにしている。またその検出結果から基準動作位置からの電動アクチュエータの動作量を求め、それにより電動アクチュエータの動作位置の絶対値を演算するとともに、その演算結果を用いて電動アクチュエータの、ひいては機関状態量の制御が行なわれる。こうした構成では、駆動ユニットの通電が瞬断されると、電動アクチュエータの基準動作位置からの動作量のデータがクリアされてしまうため、機関状態量の制御に支障を来すようになる。
【0030】
その点、上記構成では、駆動ユニットの通電が瞬断されたときには、その直前における機関状態量の値が記憶手段により記憶されるようになる。また瞬断中変化量推定手段によって、瞬断中の機関状態量の変化量が、瞬断直前の電動アクチュエータの動作状況に応じて推定されるようになる。そして記憶手段の記憶した瞬断直前の機関状態量の値を、瞬断中動作量推定手段の推定した動作量にて補正することで、瞬断解消時の機関状態量の値が推定されるようになり、さらにその値から瞬断解消時の電動アクチュエータの動作位置が推定されるようになる。そのため、瞬断が発生しても、その解消後の電動アクチュエータの動作位置の推定精度を向上させることができ、瞬断後も機関状態量の制御を好適に継続することができるようになる。
【0031】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の内燃機関の制御装置において、機関運転状態に基づいて機関状態量及び動作位置のいずれかの制御目標値を演算するとともに、その演算した制御目標値を駆動ユニットに指令する指令ユニットであって、動作位置演算手段の演算した動作位置及び機関状態量算出手段の演算した機関状態量の少なくとも一方を駆動ユニットから通信回線を通じて受信するとともに、記憶手段の設けられた指令ユニットを備えることを特徴とする内燃機関の制御装置を提供する。
【0032】
上記構成では、瞬断直前の機関状態量の値を記憶する記憶手段が、機関状態量又は動作位置の制御目標値を駆動ユニットに指令する指令ユニットに設けられている。こうした構成では、駆動ユニットに瞬断が発生しても、指令ユニットの機能が維持されていれば、瞬断直前の機関状態量の値の記憶及びその記憶の保持が可能である。したがって、上記構成によれば、瞬断直前の機関状態量の値の記憶及びその記憶の保持をより確実に行うことができるようになる。
【0033】
請求項11に記載の発明は、瞬断中変化量推定手段は、瞬断直前の電動アクチュエータの動作状況として機関状態量の変化速度を用いるとともに、その変化速度が高いときには、同変化速度が低いときに比して瞬断中の変化量が大きいと推定することを特徴とする請求項9又は10に記載の内燃機関の制御装置を提供する。
【0034】
瞬断直前の機関運転状態の変化速度が高ければ、瞬断中の電動アクチュエータの慣性ずれは大きくなる。そのため、上記構成によれば、電動アクチュエータの手段中の慣性ずれによる機関状態量の変化量の推定精度を向上させることができるようになる。
【0035】
請求項12に記載の発明は、瞬断中変化量推定手段及び瞬断後機関状態量推定手段は、指令ユニットに設けられ、且つ指令ユニットは、瞬断解消時に瞬断後機関状態量推定手段の推定した瞬断解消時の機関状態量の推定結果を駆動ユニットに送信することを特徴とする請求項10に記載の内燃機関の制御装置を提供する。
【0036】
一般に電動アクチュエータの駆動を行う駆動ユニットは、その制御を司る指令ユニットに比して、その演算処理能力は限定されている。その点、上記構成では、瞬断解消時の機関状態量の推定に係る演算処理を、より演算処理能力の高い指令ユニットに受け持たせることができる。
【0037】
請求項13に記載の発明は、電動アクチュエータは、機関状態量としての機関バルブのバルブ特性値を可変とする可変動弁機構を駆動する請求項1〜12のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置を提供する。
【0038】
このように本願の内燃機関の制御装置は、機関状態量としての機関バルブのバルブ特性値を可変とする可変動弁機構を駆動する電動アクチュエータを制御する装置として具現とすることができる。
【0039】
請求項14に記載の発明は、電動アクチュエータは、機関状態量としての機関バルブのバルブ特性値を可変とする可変動弁機構を駆動し、瞬断中動作量推定手段は、瞬断直前の電動アクチュエータの動作状況に加え、瞬断中の機関回転速度及び瞬断時間の少なくとも一方に基づいて前記瞬断中の前記動作量の推定を行う請求項2〜8のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置を提供する。
【0040】
機関バルブのバルブ特性を可変とする可変動弁機構を電動アクチュエータが駆動する構成では、瞬断中の機関回転速度や瞬断時間を併せ考慮して瞬断中の電動アクチュエータの動作量の推定を行うことで、より精度の高い瞬断中動作量の推定を行うことが可能となる。
【0041】
請求項15に記載の発明は、電動アクチュエータは、機関状態量としての機関バルブのバルブ特性値を可変とする可変動弁機構を駆動し、瞬断中変化量推定手段は、瞬断直前の電動アクチュエータの動作状況に加え、瞬断中の機関回転速度及び瞬断時間の少なくとも一方に基づいて前記瞬断中の前記変化量の推定を行う請求項9〜12のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置を提供する。
【0042】
機関バルブのバルブ特性を可変とする可変動弁機構を電動アクチュエータが駆動する構成では、瞬断中の機関回転速度や瞬断時間を併せ考慮して瞬断中の機関状態量の変化量の推定を行うことで、より精度の高い瞬断中動作量の推定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の内燃機関の制御装置の一実施形態についてその全体構造を模式的に示す模式図である。
【図2】同実施形態の適用される内燃機関の動弁系の全体構造を模式的に示す模式図である。
【図3】同実施形態の適用される内燃機関に設けられる可変動弁機構の斜視断面構造を示す断面図である。
【図4】同実施形態において機関制御ユニットによって行われる可変動弁機構制御のフローチャートである。
【図5】同実施形態において機関制御ユニットによって行われる瞬断中動作量推定処理のフローチャートである。
【図6】同実施形態において駆動ユニットによって行われる可変動弁機構制御のフローチャートである。
【図7】同実施形態での機関回転速度及び瞬断時間と減衰率との関係を示したマップである。
【図8】同実施形態での電動アクチュエータの実動作位置及びEDUの認識する動作位置の時間変化を示すタイミングチャートである。
【図9】同実施形態での電動アクチュエータの実動作位置及びEDUの認識する動作位置の時間変化を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1に、本発明を適用した内燃機関の制御装置の全体構造を示す。この制御装置は、機関状態量としての吸気バルブのバルブ特性値(作用角、リフト量等)を可変とする可変動弁機構1と、これを駆動するための電動アクチュエータ2と、可変動弁機構を含む機関全体の制御を司る、指令ユニットとしての機関制御ユニット4とを備えている。
【0045】
電動アクチュエータ2は、モータ200、そのモータ200の回転運動をコントロールシャフト3の直線運動に変換する変換機構201を備えている。また電動アクチュエータ2は、モータ200を駆動するための駆動ユニット(以下、「EDU」と称呼する場合がある)203を備えている。EDU203は、モータ200の回転量を電動アクチュエータ2の動作量として検出する、上記動作量検出手段としての動作量センサ202を備えている。またEDU203は、電動アクチュエータ2の制御にかかる各演算処理を実施するCPU203a、制御用のプログラムや初期位置のデータが記憶されたROM203b、上記動作量センサ202の検出結果等を記憶するRAM203cを備えている。なお、EDU203は、図示しない車両バッテリーによって給電されている。また本実施形態では、こうしたEDU203が上記動作位置演算手段としての機能を担う構成となっている。
【0046】
ちなみに、EDU203は、コントロールシャフト3が図示しないストッパにて係止される基準動作位置まで電動アクチュエータ2を駆動し、そのときの動作位置からの電動アクチュエータ2の動作量を求めることで、電動アクチュエータ2の動作位置を演算するようにしている。
【0047】
一方、機関制御ユニット(以下、「ECU」と称呼する場合がある)4は、内燃機関の制御にかかる各演算処理を実施するCPU4a、制御用のプログラムやデータが記憶されたROM4bを備えている。またECU4は、CPU4aによって演算された結果や各センサの読取値、及びEDU203からの受信値を一時的に記憶保持するRAM4c、ECU4の起動時間を示すタイマ4dを備えている。ECU4には図示しない種々のセンサが接続されており、運転状態や運転者の指令に応じて、可変動弁機構1による吸気バルブ10のバルブ特性値及び、そのバルブ特性値を得るための電動アクチュエータ2の動作位置の制御目標値を算出している。なお、本実施形態においては、こうしたECU4のRAM4cが、上記記憶手段に相当する構成となっている。また本実施形態では、こうしたECU4が、上記瞬断中動作量推定手段、瞬断後動作位置推定手段としての機能を担う構成となっている。
【0048】
これらのECU4及びEDU203は通信回線としてのバス型の通信ネットワーク(以下「CAN」と称呼する場合がある)13によって電気的に接続されている。このCAN13によって、ECU4とEDU203の間で、制御目標値や検出値、後述する瞬断解消時の動作位置の推定値等を送受信可能となっている。
【0049】
次に、上記の制御装置によって制御される可変動弁機構の構成について図2、図3を用いて説明する。
図2に示すように、可変動弁機構1は、カムシャフト5に設けられたカム6と吸気バルブ10との間に配置されている。可変動弁機構1は、カムシャフト5に平行に配設されたロッカーシャフト7に揺動可能に設置されており、入力アーム100及び出力アーム101を備えている。
【0050】
入力アーム100は、カム6に当接するローラー102および、突起103を備えている。突起103にはスプリング104が当接されており、スプリング104の復元力により、ローラー102がカム6に押し付けられるように付勢されている。
【0051】
カムシャフト5の回転により、カム6がローラー102を通じて入力アーム100を押し下げると、可変動弁機構1が揺動し、出力アーム101がローラーロッカーアーム9を押し下げる。ローラーロッカーアーム9はローラー11によって揺動可能に設置されており、ローラーロッカーアームの揺動によって、ローラーロッカーアーム9がバルブスプリング12に抗して吸気バルブ10を押し下げる。
【0052】
可変動弁機構1の内部構造を、図3に示す。図3に示すように入力アーム100及び出力アーム101の内側には、内歯ギアが設けられており、これと噛み合うように、略円筒形状のスライダギア106が配設されている。スライダギア106は、コントロールシャフト3と一体となってその軸方向に移動可能である。またスライダギア106の外周には、その長手方向中央部にヘリカルスプラインを有する入力ギア107が、その長手方向両側部には、ヘリカルスプラインを有する出力ギア108が形成されている。これら入力ギア107及び出力ギア108のヘリカルスプラインは、歯筋の傾斜方向が逆向きになっている。
【0053】
こうした可変動弁機構1において、コントロールシャフト3が軸方向へ移動すると、ヘリカルスプラインの歯筋に従って、入力アーム100及び出力アーム101が逆方向に回転する。そのため、入力アーム100と出力アーム101の相対位置が変化する。具体的には、図3に示す矢印のH方向にコントロールシャフト3を移動すると、上記の相対位置が互いに離れるように変化し、吸気バルブのリフト量、作用角を増大させる。また矢印のL方向にコントロールシャフト3を移動すると、上記の相対位置が互いに近づくように変化し、吸気バルブのリフト量、作用角を減少させる。可変動弁機構1は、このように、入力アーム100と出力アーム101の相対位置の変化により、吸気バルブ10のリフト量及び作用角を可変とする。なお、バルブスプリング12によって、出力アーム101が図2の上方向に付勢されるため、コントロールシャフト3には矢印のL方向に付勢される。これにより、作用角が不用意に大きくならないようになっている。
【0054】
このような可変動弁機構1に対して、ECU4は車両の運転状態や運転者からの指令に対して、最適なバルブ特性値となるようにその制御目標値を算出し、これを受信したEDU203が電動アクチュエータ2に作動命令を出すことによってそのバルブ特性値を変更している。
【0055】
以下では、本発明を適用した場合の可変動弁機構1を駆動する電動アクチュエータ2の制御について、図4、図5のフローチャートを用いて説明する。なお、これらの処理は機関運転中において、所定の間隔で繰り返し行われるものである。
【0056】
また以下では電動アクチュエータ2の位置に関する量として、動作量センサ202の検出結果から演算された電動アクチュエータ2の動作位置X、ECU4の設定する電動アクチュエータ2の動作位置の制御目標値Xt、及び瞬断中の電動アクチュエータ2の動作量ΔXiを用いる。また以下では、瞬断中における電動アクチュエータ2の制御1周期分の動作量のベース値Δxiも用いる。更に以下では、瞬断直前の電動アクチュエータ2の動作位置Xa、その動作位置Xaの演算の直前の制御周期において演算された動作位置Xb、瞬断解消時における電動アクチュエータ2の動作位置の推定値Xeも用いる。
【0057】
処理が開始されるとS100において、ECU4はEDU203との通信が可能か否かを判断する。これによってEDU203が正常に動作しているか、具体的には瞬断が発生していないかを判断する。通信可能である(S100でYES)と判断された場合には、S200へと処理が進められる。
【0058】
S200では、本処理が通電再開後1回目の制御周期か否かが判断される。すなわち、ここでは、瞬断によりEDU203内のRAM203cに上記動作位置Xが記憶されているか否かが判断される。通電再開後、1回目の制御周期でない(S200でNO)と判断された場合には、EDU203はRAM203c内に電動アクチュエータ2の位置情報を記憶している。そのため、このときのECU4は、S300において、通常の制御目標値Xtの設定処理を行う。
【0059】
S300では、ECU4は、種々のセンサの入力値に基づいて、車両の運転状態、運転者からの指令に対し最適なバルブ特性値となる制御目標値Xtを算出し、これをEDU203に送信する。
【0060】
制御目標値Xtを受け取ったEDU203がこれに従って電動アクチュエータ2を駆動すると、動作量センサ202の検出した動作量から電動アクチュエータ2の動作位置が演算され、その動作位置XがECU4に送信される。ECU4は、S400において、この動作位置Xを受信し、S500において制御目標値Xt、及び受信した動作位置XをそのRAM4cに記憶する。
【0061】
次に、EDU203に瞬断が発生している場合(S100でNO)の処理について説明する。このときECU4はS600に進み、瞬断中動作量推定処理を実行する。以下、こうした瞬断中動作量推定処理について、図5を参照して説明する。
【0062】
この処理が実行されると、S610においてECU4は、EDU203より受信してそのRAM4c内に記憶した動作位置Xの受信値から、最新の2つの値Xa、Xbを読み出す。さらにS620においてECU4は、これらの単位時間当たりの変化量、すなわち電動アクチュエータ2の動作速度Vを算出する。
【0063】
S630では、瞬断直前の動作方向が作用角の増大する方向であったか否かを判断する。本実施形態にかかる可変動弁機構1においては、作用角の意に反した増大を防止するため、作用角増大方向か否かによって抗力の大きさが異なっている。すなわち、可変動弁機構1は、バルブスプリング12の復元力により、作用角減少方向に付勢されているため、作用角増大方向には抗力が大きく、作用角減少方向には抗力が小さくなっている。S630においてYESと判断された場合は、S640に処理が進められる。
【0064】
S640では、図7に実線で示す減衰率τのマップを参照し、機関回転速度Neと瞬断時間tから、減衰率τが算出される。この減衰率τのマップは、バルブスプリング12による作用角減少側への付勢力及び摺動部分に生じる摩擦力によって生じる抗力と時間経過による速度の減衰率を示すものであり、予め実験等により作成されて、ROM4bに記憶されている。なお、図7における実線NeAは機関回転数が低いときの、実線NeBは機関回転数が中程度であるときの、実線NeCは機関回転数が高いときのそれぞれにおける、作用角増大時の減衰率τと瞬断時間tとの関係を示している。
【0065】
S650では、動作速度Vから、瞬断中の制御1周期分の電動アクチュエータ2の動作量のベース値Δxiが算出され、S660ではそのベース値Δxiに減衰率τを乗じた値が本制御周期中における最終的な動作量として求められ、さらにその値が積算される。以上の処理を瞬断中に繰り返し行うことにより、今回の瞬断中におけるトータルの動作量ΔXiが算出されるようになる。
【0066】
またS630においてNOと判断された場合も、同様に、S670で減衰率τが算出される。上述のように作用角減少方向には、バルブスプリング12による付勢があり、作用角増大方向とは状況が異なるため、このときのECU4は、S640とは異なるマップ(図7における破線)を参照する。なお、図7における破線NeAは機関回転数が低いときの、破線NeBは機関回転数が中程度であるときの、破線NeCは機関回転数が高いときのそれぞれにおける、作用角減少時の減衰率τと瞬断時間tとの関係を示している。
【0067】
そしてECU4は、S680、S690において、瞬断中の制御1周期分の動作量のベース値Δxi、及び今回の瞬断中におけるトータルの動作量ΔXiを算出する。
瞬断から復帰し、通電が再開されたときには、その最初の制御周期において、S100でYES、S200でYESと判断され、S700へと処理が進められる。S700では、瞬断直前に記憶されたコントロールシャフト3の動作位置Xaと今回の瞬断中におけるトータルの動作量ΔXiの和として瞬断解消時の電動アクチュエータ2の動作位置の推定値Xeが算出され、S800においてその値がEDU203に送信される。
【0068】
次にEDU203において行われる電動アクチュエータ2の制御処理について、図6を用いて説明する。
このEDU203による制御処理においても、まずS20において、通電再開後1回目の制御周期か否かが判断される。通電再開後1回目の制御周期でない(S20においてNO)と判断された場合には、EDU203内のRAM203cに、電動アクチュエータ2の動作位置が記憶されている。そのため、このときのEDU203は、S30に進み、通常の制御目標値Xtに従った電動アクチュエータ2の制御処理を行う。
【0069】
S30では、ECU4から制御目標値Xtが受信される。また、S31では、その受信した制御目標値Xtと記憶された動作位置Xから電動アクチュエータ2の動作量を算出する。すなわち、制御目標値Xtと動作位置Xとの差が小さくなるように、電動アクチュエータ2の動作量が算出される。そしてこのように算出された動作量に基づき、S32で電動アクチュエータ2に対し作動指令が行われる。
【0070】
続くS33では、電動アクチュエータ2の動作量としてモータ200の回転量が動作量センサ202により検出される。この検出値から演算された動作位置XはRAM203cに記憶され、次回制御周期の動作量の算出に使用される。またS40においてEDU203は、演算した動作位置XをECU4に送信する。
【0071】
一方、S20において、通電再開後1回目の制御周期と判断された場合、S80へと処理進が進められる。そのS80においては、ECU4から瞬断解消時の動作位置の推定値Xeが受信され、その推定値Xeが現状の電動アクチュエータ2の動作位置Xの値として記憶される。そしてこの記憶された動作位置Xは、次回制御周期の動作量の算出に使用される。
【0072】
次に本実施形態の内燃機関の制御装置における電動アクチュエータ2の動作位置の時間変化を、図8及び図9を参照して説明する。なお、図8及び図9では、電動アクチュエータ2の実際の動作位置(実動作位置)の時間変化が実線L1にて示されている。また図8及び図9では、本実施形態においてEDU203が認識する電動アクチュエータ2の動作位置の時間変化が一点鎖線L2にて示されている。さらに瞬断に対する対策を行っていないときのEDU203の認識する電動アクチュエータ2の動作位置の時間変化が二点鎖線L3にて示されている。
【0073】
まず、電動アクチュエータ2が作用角の増大する方向に駆動されている際に瞬断が生じた場合の、電動アクチュエータ2の動作位置の時間変化を、図8を用いて説明する。
始動時から瞬断が生じる時刻t1までは、電動アクチュエータ2の実動作位置は、初期値X0から瞬断開始時の変位X1に変化する最中にある。このときのEDU203は、電動アクチュエータ2の動作位置を正しく認識している。
【0074】
一方、時刻t1において瞬断が生じると、RAM203cへの給電が中止され、そのRAM203c内の記憶が消去される。そのため、瞬断解消時にEDU203のRAM203cに記憶された電動アクチュエータ2の動作位置は、初期値X0に初期化されてしまう。一方、実際の電動アクチュエータ2の実動作位置は、瞬断によっても電動アクチュエータ2は慣性により直ちに停止しないため、瞬断開始時の変位X1から「ΔXi」だけ作用角増大側へ進んだ動作位置X2となる。
【0075】
ここで、瞬断に対する対策を行っていない場合には、二点鎖線L3に示されるように、通電再開後の時刻t2においてEDU203の認識する電動アクチュエータ2の動作位置は、その初期値X0に初期化されてしまう。その結果、RAM203c内の記憶が消去されることによる誤差ΔXmと、慣性ずれによる瞬断中の電動アクチュエータ2の動作量ΔXiとの和の分だけ、実動作位置とEDU203の認識との間に乖離が生じることとなる。
【0076】
一方、本実施形態においては、一点鎖線L2に示されるように、時刻t1においてEDU203が瞬断することにより、ECU4とEDU203の間の通信が途絶すると、ECU4は時刻t1における電動アクチュエータ2の動作速度V、機関回転速度Ne、及び時刻t1〜t2までの瞬断時間から今回の瞬断中におけるトータルの動作量ΔXiを算出する。そしてECU4は、時刻t2において通電が再開した後に、時刻t1における電動アクチュエータ2の動作位置Xa(=ΔXm)に瞬断中のトータルの動作量ΔXiを加えた値を瞬断解消時の電動アクチュエータ2の動作位置の推定値として、EDU203に送信する。そのため、本実施形態の内燃機関の制御装置によれば、瞬断解消後における、実動作位置とEDU203の認識との乖離が抑制されるようになる。
【0077】
次に電動アクチュエータ2が作用角の減少する方向に駆動されている際に瞬断が生じた場合の、電動アクチュエータ2の動作位置の時間変化を、図9を用いて説明する。なお、このときの電動アクチュエータ2の動作速度V及び瞬断中における電動アクチュエータ2のトータルの動作量ΔXiは、負の値を取ることになる。
【0078】
始動時から瞬断が生じる時刻t1までは、上記と同様に、いずれの場合も、実動作位置とEDU203の認識との間に乖離は生じない。
しかしながら、時刻t1において瞬断が生じると、RAM203cへの給電が中止され、RAM203c内の記憶が消去される。そのため、瞬断解消時のEDU203のRAM203cに記憶された電動アクチュエータ2の動作位置は、初期値X0に初期化されてしまう。一方、電動アクチュエータ2の実動作位置は、電動アクチュエータ2の慣性ずれにより、瞬断開始時の変位X1から「ΔXi」だけ作用角減少側へ戻った動作位置X3となる。
【0079】
なお、作用角減少側へは、バルブスプリング12の付勢力が作用しているため、この場合の瞬断中における電動アクチュエータ2のトータルの動作量ΔXiの絶対値は、作用角増大側へ動作している間に瞬断が生じた場合よりも大きくなる。
【0080】
ここで、瞬断に対する対策を行っていない場合には、同図に二点鎖線L3で示されるように、通電再開後の時刻t2においてEDU203の認識する電動アクチュエータ2の動作位置は、初期値X0に初期化されてしまう。その結果、RAM203c内の記憶が消去されることによる誤差ΔXmと、慣性ずれによる瞬断中の電動アクチュエータ2の動作量ΔXiの絶対値の差の分だけ、実動作位置とEDU203の認識との間に乖離が生じることとなる。
【0081】
一方、本実施形態の場合には、同図に一点鎖線L2で示されるように、瞬断中における電動アクチュエータ2のトータルの動作量ΔXiが推定される。そして、さらに瞬断直前の時刻t1における電動アクチュエータ2の動作位置Xaに、瞬断中におけるトータルの動作量ΔXiを加算した値が、すなわち動作位置Xaから動作量ΔXiの絶対値を引いた値が、瞬断解消時の動作位置の推定値としてEDU203に送信される。そのため、本実施形態の内燃機関の制御装置よれば、実動作位置とEDU203の認識との乖離が抑制されるようになる。
【0082】
以上説明した本実施形態の内燃機関の制御装置によれば、次の効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、EDU203通電が瞬断されたときに、瞬断直前の電動アクチュエータ2の動作位置がECU4のRAM4cに記憶されるようになる。またECU4により、慣性ずれによる瞬断中の電動アクチュエータ2の動作量が推定されるようになる。そしてRAM4cに記憶された瞬断直前の電動アクチュエータ2の動作位置を、ECU4の推定した瞬断中の電動アクチュエータ2の動作量にて補正することで、瞬断解消時の電動アクチュエータ2の動作位置が推定されるようになる。そのため、瞬断が発生しても、その解消後の電動アクチュエータの動作位置の推定精度を向上させることができ、瞬断後も機関状態量の制御を好適に継続することができるようになる。
【0083】
(2)本実施形態では、機関運転状態に基づいて電動アクチュエータ2の動作位置の制御目標値を演算するとともに、その演算した制御目標値をEDU203に指令するECU4は、EDU203の演算した電動アクチュエータ2の動作位置をCAN13を通じて受信するとともに、その受信値をRAM4cに記憶するようにしている。こうした本実施形態では、EDU203に瞬断が発生しても、ECU4の機能が維持されていれば、瞬断直前の電動アクチュエータ2の動作位置の記憶及びその記憶の保持が可能である。したがって、本実施形態によれば、瞬断直前の電動アクチュエータ2の動作位置の記憶及びその記憶の保持をより確実に行うことができるようになる。
【0084】
(3)本実施形態では、瞬断直前の電動アクチュエータ2の動作状況として瞬断直前の電動アクチュエータ2の動作速度Vを用いるとともに、同動作速度Vが高いときには、同動作速度Vが低いときに比して、慣性ずれによる瞬断中の電動アクチュエータ2の動作量が大きいと推定するようにしている。瞬断直前の電動アクチュエータ2の動作速度Vが高ければ、慣性ずれによる瞬断中の電動アクチュエータ2の動作量は大きくなる。そのため、上記構成によれば、慣性ずれによる瞬断中の電動アクチュエータ2の動作量の推定精度を向上させることができるようになる。
【0085】
(4)本実施形態では、ECU4は、慣性ずれによる瞬断中の電動アクチュエータ2の動作量を演算するとともに、その演算結果に応じて瞬断解消時の電動アクチュエータ2の動作位置の推定を行うようにしている。そしてECU4は、その推定した瞬断解消時の電動アクチュエータ2の動作位置を、EDU203に送信するようにしている。
【0086】
一般に電動アクチュエータ2の駆動を行うEDU203は、機関制御を司るECU4に比して、その演算処理能力は限定されている。その点、本実施形態では、瞬断解消時の動作位置の推定に係る演算処理を、より演算処理能力の高いECU4に受け持たせることができる。
【0087】
(5)本実施形態では、本発明による内燃機関の制御装置を、吸気バルブ及び排気バルブのバルブ特性値を可変とする可変動弁機構1に適用している。可変動弁機構1はそのバルブ特性値を運転状態や運転者からの指令に応じて適切に制御する必要があるため、本実施例を好適に適用することができる。
【0088】
(6)本実施形態では、慣性ずれによる瞬断中の電動アクチュエータ2の動作量ΔXiを、電動アクチュエータ2の動作速度Vに加え、機関回転速度Ne及び瞬断時間に基づいて推定するようにしている。動作量ΔXiは、慣性によるずれであるため、その大きさは慣性力の大きさだけでなく、慣性力に対抗する抗力の大きさや、瞬断時間にも依存する。そのため、これらのパラメータに基づいて瞬断中の電動アクチュエータ2の動作量を推定することで、より正確に慣性ずれ量を推定することができる。
【0089】
(7)本実施形態では、減衰率τを推定するマップとして、瞬断直前の電動アクチュエータ2の動作方向によって異なるマップを使い分けている。可変動弁機構1の慣性力に対する抗力の1つにバルブスプリング12の付勢力がある。この付勢力によって生じる抗力は電動アクチュエータ2の動作方向によって異なるため、異なるマップを用いることで、より正確に慣性ずれ量を推定することができる。
【0090】
(8)本実施形態では、瞬断直前の電動アクチュエータ2の動作位置をECU4のRAM4cに記憶するようにしている。ところで、EEPROMのような不揮発性のメモリをEDU203に設け、瞬断直前の電動アクチュエータ2の動作位置をその不揮発性メモリに記憶するようにしても、瞬断解消後に、瞬断直前の電動アクチュエータ2の動作位置を参照することはできる。ただし、通電遮断中もデータの記憶保持が可能な不揮発性メモリには、データの書き込み時間が長いという背反がある。そのため、瞬断直前の電動アクチュエータ2の動作位置の記憶保持に不揮発性メモリを用いた場合には、瞬断発生時までに記憶を完了できるのは、データの書き込み時間分、瞬断発生時よりも前の時点における電動アクチュエータ2の動作位置でしかないことになる。その点、本実施形態では、瞬断直前の電動アクチュエータ2の動作位置を、EDU203の瞬断中も機能を維持するECU4にて行うようにしているため、瞬断前においてEDU203が最後に演算し、送信した電動アクチュエータ2の動作位置を記憶しておくことができる。したがって、本実施形態によれば、より実情に近い動作位置を、瞬断直前の電動アクチュエータ2の動作位置として記憶することができるようになる。
【0091】
なお以上説明した各実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。・上記実施形態においては、ECU4とEDU203の通信が途絶したことにより、EDU203に瞬断が生じたと判断したが、瞬断発生の検出態様は、これに限られるものではない。例えば、IGオンによるEDU203への通電と、他のEDU203への通電を判別することで、瞬断が生じたことを判断できるようにしてもよい。
【0092】
・上記実施形態においては、瞬断が生じた場合には直ちにRAM203c内の記憶が消去されるものとしていたが、RAM203c内の記憶は瞬断時間が短時間である場合には、瞬断後も保持されることがある。そのため、例えば、通電解消後にRAM203cに残された電動アクチュエータ2の動作位置のデータをECU4に送信し、ECU内のRAM4cに記憶された瞬断直前に受信した動作位置のデータと比較することで記憶が消去されたか否かを判断するようにしてもよい。そして、記憶が消去されている場合に限り、瞬断解消時の電動アクチュエータ2の動作位置の推定を行うようにしてもよい。
【0093】
・上記実施形態では、吸気バルブ10のバルブ特性値を可変とする可変動弁機構1を駆動する電動アクチュエータ2の制御について説明したが、排気バルブのバルブ特性値を可変とする機構や、吸気バルブ10、排気バルブの両方のバルブ特性値を可変とする機構を駆動する電動アクチュエータの制御にも本発明を適用することができる。
【0094】
・上記実施形態では、可変動弁機構1を駆動する電動アクチュエータ2を備える内燃機関に本発明を適用した場合を説明したが、本発明は、それ以外の用途の電動アクチュエータを備える内燃機関にも適用することができる。いずれにせよ、その動作に応じて機関状態量を変更する電動アクチュエータを備え、基準動作位置からの動作量の検出結果によって前記電動アクチュエータの動作位置を演算してその制御を行う制御装置であれば、本発明の適用が可能である。
【0095】
・上記実施形態では、EDU203は、電動アクチュエータ2の動作位置の制御目標値を受信し、実動作位置と受信した制御目標値との差が小さくなるように電動アクチュエータ2を制御していた。なおEDU203は、機関状態量の制御目標値を受信し、実機関状態量(機関状態量の現状値)と制御目標値との差を小さくすべく電動アクチュエータ2を制御するように構成することもできる。
【0096】
・上記実施形態では、瞬断直前の電動アクチュエータの動作位置を記憶するようにしていたが、瞬断直前の機関状態量の値を記憶するようにしても良い。そうした場合にも、次のようにすれば、瞬断解消後の電動アクチュエータの動作位置の推定精度を向上させ、瞬断後も機関状態量の制御を好適に継続することができるようになる。すなわち、瞬断直前の電動アクチュエータの動作状況に応じて瞬断中の電動アクチュエータの動作量を推定する。また記憶した瞬断直前の機関状態量の値から瞬断直前の電動アクチュエータの動作位置を演算する。そしてその演算した瞬断直前の電動アクチュエータの動作位置を推定した瞬断中の電動アクチュエータの動作量にて補正することで、瞬断解消時の電動アクチュエータの動作位置を推定する。
【0097】
こうした場合にも、制御目標値を演算して駆動ユニットに指令する指令ユニットが、駆動ユニットの演算した電動アクチュエータの動作位置又は機関状態量のいずれかを駆動ユニットから通信回線を通じて受信する。そして、その受信した機関状態量或いは受信した動作位置から機関状態量算出手段が求めた機関状態量の値を記憶するようにすれば、瞬断直前の機関状態量の値の記憶及びその記憶の保持をより確実に行うことができるようになる。
【0098】
また瞬断直前の電動アクチュエータの動作状況として機関状態量の変化速度を用いるとともに、その変化速度が高いときには、同変化速度が低いときに比して瞬断中の電動アクチュエータの動作量が大きいと推定するようにすれば、慣性ずれによる瞬断中の電動アクチュエータの動作量の推定精度を向上させることができるようになる。
【0099】
・上記実施形態では、ECU4は、瞬断解消時の電動アクチュエータ2の動作位置を推定するとともに、瞬断解消時にその推定結果をEDU203に送信するようにしていた。なお、ECU4が瞬断解消時の機関状態量を推定し、瞬断解消時にその推定結果をEDU203に送信するとともに、EDU203が受信した瞬断解消時の機関状態量を瞬断解消時の電動アクチュエータ2の動作位置に換算する処理を行うようにすることもできる。この場合、ECU4は、瞬断直前の機関状態量又は瞬断直前の電動アクチュエータ2の動作位置を受信するとともに、受信した機関状態量、或いは受信した動作位置から演算した瞬断直前の機関状態量をそのRAM4cに記憶し、瞬断中もその記憶を保持する。そしてECU4は、瞬断直前の電動アクチュエータ2の動作状況に応じて瞬断中の機関状態量の変化量を推定するとともに、記憶した瞬断直前の機関状態量の値を、推定した瞬断中の機関状態量の変化量にて補正することで、瞬断解消時の機関状態量の値を推定し、その値を瞬断解消時にEDU203に送信する。こうした場合には、ECU4が、上記瞬断中変化量推定手段、及び瞬断後機関状態量推定手段としての機能を担うことになる。
【0100】
こうした場合にも、制御目標値を演算して駆動ユニットに指令する指令ユニット(ECU4)が、駆動ユニットの演算した電動アクチュエータの動作位置、又は機関状態量を駆動ユニットから通信回線を通じて受信する。そして、受信した機関状態量、或いは受信した動作位置から演算した機関状態量を記憶するようにすれば、瞬断直前の機関状態量の値の記憶及びその記憶の保持をより確実に行うことができるようになる。
【0101】
また瞬断直前の電動アクチュエータの動作状況として機関状態量の変化速度を用いるとともに、その変化速度が高いときには、同変化速度が低いときに比して瞬断中の機関状態量の変化量が大きいと推定するようにすれば、慣性ずれによる瞬断中の機関状態量の変化量の推定精度を向上させることができるようになる。
【0102】
・上記実施形態では、瞬断直前の電動アクチュエータの動作位置をECU4のRAM4cに記憶するようにしていた。データの書き込み時間に問題がないのであれば、通電遮断中もデータの記憶保持が可能な不揮発性メモリをEDU203に設け、瞬断直前の電動アクチュエータの動作位置をその不揮発性メモリに記憶させるようにしても良い。
【0103】
・上記実施形態では、瞬断直前の電動アクチュエータの動作状況によって瞬断中の動作量を算出するものを用いたが、動作量の推定方法は算出に限られるものでない。すなわち、瞬断直前の動作方向を検出し、その方向に対応した定数を用いて、瞬断後の動作位置を推定するものであっても良い。
【符号の説明】
【0104】
1…可変動弁機構、2…電動アクチュエータ、3…コントロールシャフト、4…機関制御ユニット(ECU)、4a…ECUのCPU、4b…ECUのROM、4c…ECUのRAM、4d…タイマ、5…カムシャフト、6…カム、7…ロッカーシャフト、8…、9…ローラーロッカーアーム、10…吸気バルブ、11…ローラーロッカーアームのローラー、12…バルブスプリング、13…CAN、100…入力アーム、101…出力アーム、102…入力アームのローラー、103…突起、104…スプリング、106…スライダギア、107…入力ギア、108…出力ギア、200…モータ、201…変換機構、203…駆動ユニット(EDU)、203a…EDUのCPU、203b…EDUのROM、203c…EDUのRAM、202…動作量センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作に応じて機関状態量を変更する電動アクチュエータの駆動ユニットであって、前記電動アクチュエータの動作量を検出する動作量検出手段、及び基準動作位置からの前記動作量を求めて前記電動アクチュエータの動作位置を演算する動作位置演算手段を備える駆動ユニットと、
前記駆動ユニットの通電が瞬断されたときに、その直前における前記動作位置を記憶し、瞬断中もその記憶を保持する記憶手段と、
前記記憶手段の記憶する瞬断直前の前記動作位置を瞬断直前の前記電動アクチュエータの動作状況に応じて補正することで、瞬断解消時の前記動作位置を推定する瞬断後動作位置推定手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、
瞬断直前の前記電動アクチュエータの動作状況に応じて瞬断中の前記電動アクチュエータの動作量を推定する瞬断中動作量推定手段を備え、
前記瞬断後動作位置推定手段は、前記記憶手段の記憶する瞬断直前の前記動作位置を前記瞬断中動作量推定手段の推定した前記動作量にて補正すること
を特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の内燃機関の制御装置において、
機関運転状態に基づいて前記機関状態量及び前記動作位置のいずれかの制御目標値を演算するとともに、その演算した制御目標値を前記駆動ユニットに指令する指令ユニットであって、前記動作位置演算手段の演算した前記動作位置を前記駆動ユニットから通信回線を通じて受信するとともに、前記記憶手段の設けられた指令ユニットを備える
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項4】
前記瞬断中動作量推定手段は、瞬断直前の前記電動アクチュエータの動作状況として瞬断直前の前記電動アクチュエータの動作速度を用いるとともに、同動作速度が高いときには、同動作速度が低いときに比して瞬断中の前記動作量が大きいと推定する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項5】
動作に応じて機関状態量を変更する電動アクチュエータの駆動ユニットであって、前記電動アクチュエータの動作量を検出する動作量検出手段、及び基準動作位置からの前記動作量を求めて前記電動アクチュエータの動作位置を演算する動作位置演算手段を備える駆動ユニットと、
前記動作位置演算手段の演算した前記動作位置から前記機関状態量の現状値を算出する機関状態量算出手段と、
前記駆動ユニットの通電が瞬断されたときに、前記機関状態量算出手段が算出した瞬断直前の前記機関状態量の値を記憶し、瞬断中もその記憶を保持する記憶手段と、
瞬断直前の前記電動アクチュエータの動作状況に応じて瞬断中の前記電動アクチュエータの動作量を推定する瞬断中動作量推定手段と、
前記記憶手段の記憶した瞬断直前の前記機関状態量の値から瞬断直前の前記動作位置を演算するとともに、その演算した瞬断直前の前記動作位置を前記瞬断中動作量推定手段の推定した前記動作量にて補正することで、瞬断解消時の前記動作位置を推定する瞬断後動作位置推定手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の内燃機関の制御装置において、
機関運転状態に基づいて前記機関状態量及び前記動作位置のいずれかの制御目標値を演算するとともに、その演算した制御目標値を前記駆動ユニットに指令する指令ユニットであって、前記動作位置演算手段の演算した前記動作位置及び前記機関状態量算出手段の算出した前記機関状態量の少なくとも一方を前記駆動ユニットから通信回線を通じて受信するとともに、前記記憶手段の設けられた指令ユニットを備える
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項7】
前記瞬断中動作量推定手段は、瞬断直前の前記電動アクチュエータの動作状況として前記機関状態量の変化速度を用いるとともに、その変化速度が高いときには、同変化速度が低いときに比して瞬断中の前記動作量が大きいと推定する
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項8】
前記瞬断中動作量推定手段及び前記瞬断後動作位置推定手段は、前記指令ユニットに設けられ、且つ前記指令ユニットは、瞬断解消時に前記瞬断後動作位置推定手段の推定した瞬断解消時の前記動作位置の推定結果を前記駆動ユニットに送信する
ことを特徴とする請求項6に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項9】
動作に応じて機関状態量を変更する電動アクチュエータの駆動ユニットであって、前記電動アクチュエータの動作量を検出する動作量検出手段、及び基準動作位置からの前記動作量を求めて前記電動アクチュエータの動作位置を演算する動作位置演算手段を備える駆動ユニットと、
前記動作位置演算手段の演算した前記動作位置から前記機関状態量の現状値を算出する機関状態量算出手段と、
前記機関状態量算出手段が算出した瞬断直前の前記機関状態量の値を記憶し、瞬断中もその記憶を保持する記憶手段と、
瞬断直前の前記電動アクチュエータの動作状況に応じて瞬断中の前記機関状態量の変化量を推定する瞬断中変化量推定手段と、
前記記憶手段の記憶した瞬断直前の前記機関状態量の値を前記瞬断中変化量推定手段の推定した前記変化量にて補正することで、瞬断解消時の前記機関状態量の値を推定する瞬断後機関状態量推定手段と、
その瞬断後機関状態量推定手段の推定した瞬断解消時の前記機関状態量から瞬断解消時の前記動作位置を推定する瞬断後動作位置推定手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項10】
請求項9に記載の内燃機関の制御装置において、
機関運転状態に基づいて前記機関状態量及び前記動作位置のいずれかの制御目標値を演算するとともに、その演算した制御目標値を前記駆動ユニットに指令する指令ユニットであって、前記動作位置演算手段の演算した前記動作位置及び前記機関状態量算出手段の演算した前記機関状態量の少なくとも一方を前記駆動ユニットから通信回線を通じて受信するとともに、前記記憶手段の設けられた指令ユニットを備える
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項11】
前記瞬断中変化量推定手段は、瞬断直前の前記電動アクチュエータの動作状況として前記機関状態量の変化速度を用いるとともに、その変化速度が高いときには、同変化速度が低いときに比して瞬断中の前記変化量が大きいと推定する
ことを特徴とする請求項9又は10に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項12】
前記瞬断中変化量推定手段及び前記瞬断後機関状態量推定手段は、前記指令ユニットに設けられ、且つ前記指令ユニットは、瞬断解消時に前記瞬断後機関状態量推定手段の推定した瞬断解消時の前記機関状態量の推定結果を前記駆動ユニットに送信する
ことを特徴とする請求項10に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項13】
前記電動アクチュエータは、前記機関状態量としての機関バルブのバルブ特性値を可変とする可変動弁機構を駆動する
ことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項14】
前記電動アクチュエータは、前記機関状態量としての機関バルブのバルブ特性値を可変とする可変動弁機構を駆動し、
前記瞬断中動作量推定手段は、瞬断直前の前記電動アクチュエータの動作状況に加え、瞬断中の機関回転速度及び瞬断時間の少なくとも一方に基づいて前記瞬断中の前記動作量の推定を行う
ことを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項15】
前記電動アクチュエータは、前記機関状態量としての機関バルブのバルブ特性値を可変とする可変動弁機構を駆動し、
前記瞬断中変化量推定手段は、瞬断直前の前記電動アクチュエータの動作状況に加え、瞬断中の機関回転速度及び瞬断時間の少なくとも一方に基づいて前記瞬断中の前記変化量の推定を行う
ことを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−36766(P2012−36766A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175489(P2010−175489)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】