説明

内燃機関の加工方法

【課題】 オープンデッキ式のシリンダブロックを、その利点を損なわず剛性の高いクローズドデッキ式のシリンダブロックに加工する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 シリンダデッキ面に開口したウォータジャケットの上端部かつ内面周囲を拡張するように一定の深さで切削して段部を備えるとともに、該段部に、冷却水循環用の貫通孔を厚み方向に開孔して備えた閉塞プレートを、該閉塞プレートの上面がシリンダデッキ面よりも低くなるように、該シリンダブロック全体を加熱膨張させた状態で温間圧入して、クローズドデッキ式のシリンダブロックに加工する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、自動二輪車、PWC(パワーウォータクラフト)などの内燃機関の加工方法に関し、特に、オープンデッキ式のシリンダブロックを、クローズドデッキ式のシリンダブロックに加工する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車、自動二輪車、PWCなどの内燃機関のシリンダブロックの形式としては、図9に示されるようにクローズドデッキ式のものとオープンデッキ式のものがある。
【0003】
図9の左図に示されるクローズドデッキ式のシリンダブロックは、シリンダの周囲部にウォータジャケット(冷却水流路)が形成されるとともに、シリンダ側とシリンダブロック側の部材がシリンダデッキ部で連結されているもので、剛性が高く振動や騒音に有利でシリンダの寸法精度が高いといった利点があることから、レースやスポーツ走行など内燃機関に高負荷がかかる自動車、自動二輪車、PWCなどでは、現在でも多く用いられている。しかしながらその反面、材料を多く要するために重いこと、製造に手間を要してコストが高いこと、シリンダデッキ部が連結し閉塞されているのでシリンダ上部の冷却が十分に行えないことといった問題点があるので、昨今の軽量化や省燃費性能を目指す自動車、自動二輪車、PWCなどの内燃機関に用いられることはほとんどない。
【0004】
図9の右図に示されるオープンデッキ式のシリンダブロックは、シリンダの周囲部全体にウォータジャケットが形成されており、シリンダデッキ部のシリンダの周囲部全体が解放されて、ウォータジャケットがメガネ状に形成されているもので、余分な肉厚がなく軽量であること、ダイカスト金型による製造なので生産性が高く低コストであること、シリンダヘッド及びシリンダ上部の冷却効率が高いこと、冷却水の循環効率が高いので冷却水の温度を下げやすいことといった利点があることから、昨今の軽量化や省燃費性能を目指す自動車、自動二輪車、PWCなどの内燃機関に多く用いられている。
【0005】
しかしながら、内燃機関に高負荷がかかったとき、内燃機関自体の捩れとシリンダが振れることによって、シリンダデッキ面とシリンダヘッドとの接合面のシール性が損なわれて冷却水やオイル漏れ、ピストンとピストンリングが異常摩耗してオイル漏れやオイル上がりが生じることなどの不具合が生じ、所望の性能が得られないばかりか内燃機関の破損につながることもある。
【0006】
図11及び図12は、前記したように内燃機関に高負荷がかかったときの状態を示す図である。コンロッドは内燃機関内のカムと接続されているので、常に左右に振れて動作している。このためピストンの動きもこのコンロッドの動きの影響を受けることになり、シリンダ内面を押しつけてシリンダの振れを生じさせることになる。
【0007】
そこで、オープンデッキ式でありながら、クローズドデッキ式のシリンダブロックの剛性をもたせるために、ウォータジャケットの上端部を閉塞したり、部分的に補強したりした先行技術が多々ある。
【0008】
例えば特開平6−218560号公報(特許文献1)に示される「シリンダブロックの製造方法」は、前記ウォータジャケットの上端部を閉塞した先行技術の一例であり、鋳造により形成したオープンデッキ型シリンダブロック本体の、ウォータジャケットの上端開口部に、前記シリンダブロック本体とは別部材のウォータジャケットの閉塞部材を押し込み、接合するシリンダブロックの製造方法において、前記シリンダブロック本体のウォータジャケット上端開口部と前記閉塞部材との接触部の表面を押し込み力を利用して削りとり新生面を生成して該新生面同志を圧接させるとともに、前記シリンダブロック本体と前記閉塞部材間に通電し前記接触部を抵抗発熱により加熱して前記新生面同志の接触部を固相接合するシリンダブロックの製造方法である。これによって、従来の溶接による接合に比べて入熱量を低減できシリンダブロックの熱歪、熱変形を抑制できるとともに、従来の圧入に比べて長期耐久性を改善することができるものである。
【0009】
特開平7−103064号公報(特許文献2)に示される「クローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法」は、前記ウォータジャケットの上端部を部分的に補強した先行技術の一例であり、オープンデッキ型のシリンダブロックに形成されたウォータジャケットの上端部に補強材を位置決めし、その補強材を前記ウォータジャケットの側壁に接合することにより、クローズドデッキ型のシリンダブロックを製造するクローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法において、前記補強材と前記ウォータジャケットの側壁面との間で、かつ、前記シリンダブロックのトップデッキから所定の寸法だけ離れた位置にろう材を配置した後、前記補強材と前記ウォータジャケットの側壁とをトップデッキ側から溶接することを特徴とするクローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法である。これによって、補強材とウォータジャケットの側壁との間に深い接合部が得られるために、前記補強材に加わる応力が全体的に小さくなり、シリンダボア等の変形が防止される。また、比較的大きな応力が加わる部位が溶接により接合されているために接合強度も充分確保されるものである。
【0010】
図13及び図14は、その他のシリンダブロックの補強技術を示す図である。図13の左図は、オープンデッキ式のシリンダブロック本体のウォータジャケットの上端開口部に、図14の平面図に示されるようにイモネジを適宜箇所に螺合して剛性を高めようとしたものである。
【0011】
図13の右図は、オープンデッキ式のシリンダブロック本体のウォータジャケットの上端開口部から、図14に示されるようにピンを適宜箇所に縦方向に圧入して剛性を高めようとしたものである。
【0012】
また、図示しないが、オープンデッキ式のシリンダブロック本体のウォータジャケットの上端開口部に、特許文献1のような閉塞部材を単に圧入して剛性を高めようとしたものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】 特開平6−218560号公報
【特許文献2】 特開平7−103064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、特許文献1に記載されたシリンダブロックの製造方法は、シリンダブロック本体のウォータジャケット上端開口部と前記閉塞部材との接触部の表面を押し込み力を利用して削りとり新生面を生成して該新生面同志を圧接させるため、シリンダに歪みが生じる。このため、管理された設備と厳密な設定条件のもと、内燃機関を量産する製造工程の中で行う必要がある。また、閉塞部材の上面はシリンダデッキ面と同一面であり、かつ冷却水を通過させる水穴を開孔しているが、閉塞部材がない状態と比較すれば、シリンダヘッドの冷却効率は格段に低下するといった課題がある。
【0015】
特許文献2に記載されたシリンダブロックの製造方法は、複数の補強材を等間隔にウォータジャケットの側壁面との間にろう材を配置した後、トップデッキ側から溶接するため、溶接部に近傍のシリンダに歪みが生じる。このため、前記した特許文献1と同様に管理された設備と厳密な設定条件のもと、内燃機関を量産する製造工程の中で行う必要がある。また、溶接部分がシリンダデッキ面よりも凸となるため、研磨して平面にする必要がある。さらに、補強部材はウォータジャケット上端開口部の周囲に間隔を開けて備えているため、特許文献1のようにウォータジャケット上端開口部を全て閉塞する方法と比較して剛性が落ちるという課題があった。
【0016】
また、段落番号0010乃至0012で述べたように、前記特許文献以外で用いられるその他の技術は、オープンデッキ式のシリンダブロックの内燃機関を有する自動車、自動二輪車、PWCなどを、レースやスポーツ走行などでの高負荷に耐えうるように改造するために行われるものである。図13の左図に示された、ウォータジャケットの上端開口部に、イモネジを螺合したものにあっては、螺合加工時は強固に螺合されるが、実際に内燃機関が回転している状態では、シリンダブロック本体が熱膨張し、イモネジとウォータジャケットの間に隙間が生じる。なおかつ、図11及び図12と、段落番号0005乃至0006で述べているように、内燃機関に高負荷がかかったときには、内燃機関自体の捩れとシリンダの振れが生じるので、これによって螺合したイモネジは、容易に外れてウォータジャケットの底部に落下する。落下位置によっては冷却水流路に侵入し、冷却水の循環の障害となってオーバーヒートを引き起こし、内燃機関の破損につながることになる。
【0017】
図13の右図に示された、ウォータジャケットの上端開口部に、ピンを適宜箇所に縦方向に圧入したものにあっては、圧入加工時は強固に固定されるが、前記同様に実際に内燃機関が回転している状態では、シリンダブロック本体が熱膨張し、ピンとウォータジャケットの間に隙間が生じる。なおかつ、 図11及び図12と、段落番号0005乃至0006で述べているように、内燃機関に高負荷がかかったときには、内燃機関自体の捩れとシリンダの振れが生じるので、これによって圧入したピンは、容易に位置がずれて倒れたり、場合によっては折れてシリンダを突き破ったりして、内燃機関を破損することになる。
【0018】
また、図示しないが、オープンデッキ式のシリンダブロック本体のウォータジャケットの上端開口部に、特許文献1のような閉塞部材を単に圧入したものにあっては、前記同様に実際に内燃機関が回転している状態では、シリンダブロック本体が熱膨張し、閉塞部材とウォータジャケットの間に隙間が生じる。なおかつ、図11及び図12と、段落番号0005乃至0006で述べているように、内燃機関に高負荷がかかったときには、内燃機関自体の捩れとシリンダの振れが生じるので、これによって圧入した閉塞部材は、容易に位置がずれて破断する。破断した閉塞部材は、シリンダを突き破るなどして、内燃機関を破損することになる
【0019】
そこで本発明は、前記した課題を解消し、オープンデッキ式のシリンダブロックの利点を損なわず、剛性の高いクローズドデッキ式のシリンダブロックへの加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の課題は本発明の請求項1によれば、オープンデッキ式のシリンダブロックの、シリンダデッキ面に開口するウォータジャケットの上端部を閉塞させてクローズドデッキ式のシリンダブロックにする内燃機関の加工方法において、シリンダデッキ面に開口したウォータジャケットの上端部かつ内面周囲を拡張するように一定の深さで切削して段部を備えるとともに、該段部に、冷却水循環用の貫通孔を厚み方向に開孔して備えた閉塞プレートを、該閉塞プレートの上面がシリンダデッキ面よりも低くなるように、該シリンダブロック全体を加熱膨張させた状態で温間圧入してクローズドデッキ式のシリンダブロックに加工したことで解決される。
【0021】
上記の課題は本発明の請求項2によれば、該ウォータジャケットに圧入された閉塞プレートは、シリンダ内のピストンが上死点のときのピストンリングの位置とシリンダの深さ方向の位置において重なるように構成したことで解決される。
【発明の効果】
【0022】
本発明の請求項1によれば、シリンダデッキ面に開口したウォータジャケットの上端部かつ内面周囲を拡張するように一定の深さで切削して段部を備えるとともに、該段部に、冷却水循環用の貫通孔を厚み方向に開孔して備えた閉塞プレートを、該閉塞プレートの上面がシリンダデッキ面よりも低くなるように、該シリンダブロック全体を加熱膨張させた状態で温間圧入して、クローズドデッキ式のシリンダブロックに加工したので、内燃機関に高負荷がかかった状態であっても、閉塞プレートは、ウォータジャケットの上端部に確実にかつ強固に固定され、シリンダの振れを確実に防止してクローズドデッキ式の剛性を確実に保つことを実現した。また、閉塞プレートの上面がシリンダデッキ面よりも低いので、シリンダヘッドとの間に生成された空間が冷却水流路となるので、クローズドデッキ式に加工された状態であっても、シリンダ及びシリンダヘッドを確実に冷却することを実現した。
【0023】
本発明の請求項2によれば、該ウォータジャケットに圧入された閉塞プレートは、シリンダ内のピストンが上死点のときのピストンリングの位置とシリンダの深さ方向の位置において重なるように構成したので、シリンダの振れを最も効果的に押さえることができるようになり、内燃機関に高負荷がかかった状態で、クローズドデッキ式の剛性を確実に保つことを実現した。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施例に係るウォータジャケットの切削部を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施例に係るウォータジャケットを切削した状態を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施例に係るウォータジャケットの切削した状態を示すシリンダブロックの平面図である。
【図4】本発明の一実施例に係る閉塞プレートの平面図である。
【図5】本発明の一実施例に係るシリンダブロックに閉塞プレートを圧入した状態を示す平面図である。
【図6】本発明の一実施例に係るシリンダブロックに閉塞プレートを圧入した状態を示す断面図である。
【図7】図6におけるA部拡大図である。
【図8】閉塞プレートとピストンリングの位置関係を示す図である。
【図9】従来のシリンダブロックの形式を示す図である。
【図10】ウォータジャケットの内面を示す図である。
【図11】内燃機関に高負荷がかかったときの状態を示す図である。
【図12】内燃機関に高負荷がかかったときの状態を示す図である。
【図13】その他のシリンダブロックの補強技術を示す図である。
【図14】その他のシリンダブロックの補強技術を示す図である。
【発明を実施させるための形態】

【実施例1】
【0025】
本発明について図面を参照して詳細に説明する。図1乃至図8は、本発明の内燃機関の加工方法を、順を追って説明したものである。
【0026】
図1は、オープンデッキ式のシリンダブロックであり、ウォータジャケットの切削部を示す断面図である。オープンデッキ式のシリンダブロック(1)は、シリンダデッキ面(1a)におけるシリンダ(1b)の周囲部全体が解放されウォータジャケット(1c)が形成されている。図10に示されるように、ウォータジャケット(1c)の内面は、冷却水の流路であるため寸法精度を要しないため比較的粗い面である。そこでまず、後述の閉塞プレート(3)を高い精度でウォータジャケット(1c)に圧入するためと、閉塞プレート(3)を圧入する際の深さ方向の位置決めである段部(1e)を構成するために、ウォータジャケット(1c)の上端部の内周面、すなわち切削部分(1d)に示される部分を一定の幅と深さで切削加工を行う。
【0027】
図2は、ウォータジャケット(1c)の上端部の内周面を切削加工した状態を示す断面図、図3は、その平面図であり、前述した切削加工によって段部(1e)が構成されたことが示されている。
【0028】
図4は、閉塞プレート(4)の平面図であり、ウォータジャケット(1c)の上端部を切削加工した部分に相応した平面視形状で、所望の厚みの板材を切削加工して成形する。また、閉塞プレート(4)の厚み方向に冷却水を循環させるための貫通孔(4a)を適宜箇所に開孔して備えている。板材の材質は、シリコン含有率が高く熱膨張率の低いジュラルミン2017Sが好適に用いられる。
【0029】
図5は、切削加工を施したウォータジャケット(1c)に閉塞プレート(3)を温間で圧入した状態を示す平面図、図6は、その断面図である。図7は、図6におけるA部拡大図である。図6及び図7に示されるように、ウォータジャケット(1c)の段部(1e)に突き当たることで閉塞プレート(4)の深さ方向の位置決めとなり、内燃機関に高負荷がかかった状態での内燃機関全体の捩れやシリンダ(1b)の振れによるズレを確実に防止する。また、閉塞プレート(4)の上面がシリンダデッキ面(1a)よりも低くなるように構成されるとともに、閉塞プレート(4)の適宜箇所に貫通孔(4a)が開孔して備えられているので、シリンダヘッド(2)との間に生成された空間が冷却水流路(1f)として構成される。これによって、クローズドデッキ式に加工された状態であっても、ウォータジャケット(1c)に循環する冷却水が冷却水流路(1f)にも循環することになり、シリンダ(1b)及びシリンダヘッド(2)を確実に冷却する効果を得ることができる。
【0030】
本発明において、特に重要な部分は、切削加工を施したウォータジャケット(1c)に閉塞プレート(3)を温間で圧入することにある。何故ならば、常温(例えば摂氏20度)で単にウォータジャケット(1c)の上端部を切削加工した部分に相応した形状と寸法の閉塞プレート(4)を圧入したときは、加工の仕上がり自体は何ら問題なく、クローズドデッキ式のシリンダブロック(1)になり得る。しかしながら、高負荷がかかって温度が上昇したシリンダブロック(1)は膨張状態となり、ウォータジャケット(1c)と閉塞プレート(4)との間にがたつきが生じ、クローズドデッキ式の剛性を得ることは到底できないばかりか、内燃機関を破損する恐れすらある。
【0031】
そこで、切削加工を施したウォータジャケット(1c)に閉塞プレート(3)を温間で圧入するのであるが、詳細には、まずウォータジャケット(1c)に切削加工を施したシリンダブロック(1)を、内燃機関に高負荷がかかった状態程度に温めて予め膨張させる。膨張した状態のシリンダブロック(1)及びウォータジャケット(1c)の寸法は、常温時と比較すると大きな差が生じるため、膨張した状態のウォータジャケット(1c)の寸法を考慮して切削加工した閉塞プレート(4)を、温間圧入する。すなわち、膨張状態にあるウォータジャケット(1c)に閉塞プレート(4)を圧入するのである。
【0032】
これによって、膨張状態にあったシリンダブロック(1)及びウォータジャケット(1c)が常温に戻ったとき閉塞プレート(4)は、ウォータジャケット(1c)の上端部に確実にかつ強固に固定され、再び内燃機関に高負荷がかかった状態のときも、クローズドデッキ式の剛性を確実に得ることが可能となる。
【0033】
さらに重要な部分は、請求項2に記載のとおり、シリンダ(1b)内のピストン(3a)が上死点のときのピストンリング(3b)の位置と、ウォータジャケット(1c)の上端部に温間圧入された閉塞プレート(4)の位置の双方の位置関係が重なるように構成したことにある。図11及び図12に示されるように、内燃機関に高負荷がかかるとともにピストン(3a)位置が上死点となったときに、シリンダ(1b)の振れが最大限となるからである。
【0034】
図8は、閉塞プレート(4)とピストンリング(3b)の位置関係を示す図である。シリンダ(1b)の振れが最大限となるピストン(3a)が上死点のときのピストンリング(3b)の位置と、ウォータジャケット(1c)の上端部に温間圧入された閉塞プレート(4)のシリンダ(1b)の深さ方向の位置が図8に示される如く重なるように構成したことで、シリンダ(1b)の振れを最も効果的に押さえることができるので、内燃機関に高負荷がかかった状態で、クローズドデッキ式の剛性を確実に得ることが可能となる。
【符号の説明】
【0035】
1 シリンダブロック
1a シリンダデッキ面
1b シリンダ
1c ウォータジャケット
1d 切削部分
1e 段部
1f 冷却水流路
2 シリンダヘッド
3a ピストン
3b ピストンリング
3c コンロッド
4 閉塞プレート
4a 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オープンデッキ式のシリンダブロックの、シリンダデッキ面に開口するウォータジャケットの上端部を閉塞させてクローズドデッキ式のシリンダブロックにする内燃機関の加工方法において、シリンダデッキ面に開口したウォータジャケットの上端部かつ内面周囲を拡張するように一定の深さで切削して段部を備えるとともに、該段部に、冷却水循環用の貫通孔を厚み方向に開口して備えた閉塞プレートを、該閉塞プレートの上面がシリンダデッキ面よりも低くなるように、該シリンダブロック全体を加熱膨張させた状態で温間圧入してクローズドデッキ式のシリンダブロックに加工することを特徴とする内燃機関の加工方法。
【請求項2】
該ウォータジャケットに圧入された閉塞プレートは、シリンダ内のピストンが上死点のときのピストンリングの位置とシリンダの深さ方向の位置において重なるように構成したこと特徴とする請求項1に記載の内燃機関の加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−140909(P2012−140909A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294855(P2010−294855)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(503236407)株式会社アーム (1)
【Fターム(参考)】