内燃機関の動弁装置
【課題】機関弁が開弁する不具合が発生することを好適に防止可能な内燃機関の動弁装置を提供する。
【解決手段】内燃機関の加熱装置100Aは内燃機関の燃焼室に対して設けられる機関弁1を閉弁方向に付勢するスプリング3と、荷重伝達経路上、スプリング3と内燃機関のシリンダヘッド20のうち、スプリング3よりも燃焼室側の壁部Wとの間に位置するように設けられる磁石5と、荷重伝達経路上、磁石5と壁部Wとの間に位置するように設けられる電磁石6と、を備える。そして、所定の条件下で機関弁1を駆動するカム10のうち、ベース円部10aが機関弁1に対応する場合に、磁石5に対してスプリング3が短縮する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電する。
【解決手段】内燃機関の加熱装置100Aは内燃機関の燃焼室に対して設けられる機関弁1を閉弁方向に付勢するスプリング3と、荷重伝達経路上、スプリング3と内燃機関のシリンダヘッド20のうち、スプリング3よりも燃焼室側の壁部Wとの間に位置するように設けられる磁石5と、荷重伝達経路上、磁石5と壁部Wとの間に位置するように設けられる電磁石6と、を備える。そして、所定の条件下で機関弁1を駆動するカム10のうち、ベース円部10aが機関弁1に対応する場合に、磁石5に対してスプリング3が短縮する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内燃機関の動弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関では燃焼室に対して設けられる機関弁(吸気弁または排気弁)をスプリングで閉弁方向に付勢することで、機関弁を閉弁することが一般に行われている。この点、本発明と関連性があると考えられる技術としてスプリングシートをスプリングの伸縮方向に沿って移動させることでスプリングの荷重を可変にする技術が例えば特許文献1で開示されている。特許文献1では例えば油圧によってスプリングの荷重を可変にすることが開示されている。このほか、本発明と関連性があると考えられる技術としてスプリングのサージングに対処する技術が例えば特許文献2で開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−299435号公報
【特許文献2】特開平10−196327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スプリングによって閉弁方向に付勢される機関弁は、機関弁を駆動するカムのうち、ベース円部が機関弁に対応する場合に閉弁する。ところが、内燃機関ではかかる場合に機関弁が開弁する不具合が発生することがある。具体的には例えば機関弁が排気弁である場合には内燃機関の背圧が過大となる結果、スプリングの付勢力に抗して排気弁が開弁する不具合が発生することがある。この点、これに対しては例えば特許文献1で開示されているように油圧によってスプリングの荷重を可変にすることが考えられる。
【0005】
ところが、油圧によってスプリングの荷重を可変にすることでは、ベース円部が機関弁に対応する場合にスプリングの荷重を増大させようとしても、内燃機関の高回転時には十分な応答性を確保できない虞がある。一方、これに対しては例えばベース円部が機関弁に対応する場合に限らずスプリングの荷重を増大させることも考えられる。ところが、この場合には機械弁のリフト時にもスプリングの荷重が増大する結果、スプリングに過大な応力が発生し、スプリングが折損する等の不具合が発生する虞がある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑み、機関弁が開弁する不具合が発生することを好適に防止可能な内燃機関の動弁装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は内燃機関の燃焼室に対して設けられる機関弁を閉弁方向に付勢するスプリングと、荷重伝達経路上、前記スプリングと前記内燃機関のシリンダヘッドの壁部との間に位置するように設けられ、通電時に前記スプリングを短縮可能な作用部とを備え、所定の条件下で、前記機関弁を駆動するカムのうち、ベース円部が前記機関弁に対応する場合に前記作用部に通電する内燃機関の動弁装置である。
【0008】
本発明は前記作用部として、荷重伝達経路上、前記スプリングと前記壁部との間に位置するように設けられる磁石と、荷重伝達経路上、前記磁石と前記壁部との間に位置するように設けられる電磁石とを備え、所定の条件下で前記ベース円部が前記機関弁に対応する場合に、前記磁石に対して前記スプリングが短縮する方向に磁力が作用するように前記電磁石に通電する構成とすることができる。
【0009】
本発明は前記スプリングが前記壁部側で前記磁石とともに移動可能に設けられており、所定の条件下で前記ベース円部が前記機関弁に対応する場合に、前記磁石に対して前記スプリングが伸張する方向に磁力が作用するように前記電磁石に通電し、その後、前記磁石に対して前記スプリングが短縮する方向に磁力が作用するように前記電磁石に通電する構成とすることができる。
【0010】
本発明は前記スプリングが前記壁部側で前記磁石とともに移動可能に設けられるとともに、荷重伝達経路上、前記スプリングと前記壁部との間に位置するように設けられる荷重検知部をさらに備え、所定の条件下で前記ベース円部が前記機関弁に対応する場合に、前記磁石に対して前記荷重検知部が検知する荷重の変動を緩和する方向に磁力が作用するように前記電磁石に通電し、その後、前記磁石に対して前記スプリングが短縮する方向に磁力が作用するように前記電磁石に通電する構成とすることができる。
【0011】
本発明は前記作用部として、荷重伝達経路上、前記スプリングと前記壁部との間に位置するように設けられ、通電により変形するエラストマを備え、所定の条件下で前記機関弁を駆動するカムのうち、ベース円部が前記機関弁に対応する場合に前記エラストマに通電する構成とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、機関弁が開弁する不具合が発生することを好適に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1の内燃機関の動弁装置を示す図である。
【図2】カムを示す図である。
【図3】実施例1の動作説明図である。
【図4】実施例1の制御動作を示す図である。
【図5】実施例1のタイミングチャートを示す図である。
【図6】実施例2の内燃機関の動弁装置を示す図である。
【図7】実施例3の内燃機関の動弁装置を示す図である。
【図8】実施例3の制御動作を示す図である。
【図9】実施例3のタイミングチャートを示す図である。
【図10】実施例4の内燃機関の動弁装置を示す図である。
【図11】実施例4の制御動作を示す図である。
【図12】実施例4のタイミングチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を用いて、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は内燃機関の動弁装置(以下、動弁装置と称す)100Aを示す図である。動弁装置100Aは機関弁1に対して設けられており、アッパー側のバルブスプリングシート2とスプリング3とロア側のバルブスプリングシート4と磁石5と電磁石6とECU50Aとを備えている。機関弁1は内燃機関の燃焼室に対して設けられる吸気弁または排気弁(ここでは排気弁)であり、傘部Uとステム部Sとを備えている。機関弁1は内燃機関のシリンダヘッド20に設けられている。
【0016】
アッパー側のバルブスプリングシート2はステム部Sの端部に設けられている。スプリング3は内燃機関の燃焼室側からバルブスプリングシート2に隣接して設けられている。ロア側のバルブスプリングシート4は内燃機関の燃焼室側からスプリング3に隣接して設けられている。このようにして設けられたスプリング3はバルブスプリングシート2、4間に設けられており、機械弁1を閉弁する方向にバルブスプリングシート2を付勢する。
【0017】
バルブスプリングシート4、磁石5および電磁石6それぞれはスプリング3とシリンダヘッド20の壁部Wとの間に位置するように設けられている。壁部Wはシリンダヘッド20のうち、スプリング3よりも燃焼室側に位置する壁部となっている。磁石5と電磁石6とは荷重伝達経路上、スプリング3と壁部Wとの間に位置するように設けられていればよい。
【0018】
バルブスプリングシート4、磁石5および電磁石6は具体的にはこの順にスプリング3から壁部Wに向かって隣接して設けられている。そしてこれにより、バルブスプリングシート4はスプリング3と磁石5との間に、磁石5はバルブスプリングシート4と電磁石6との間に、電磁石6は磁石5と壁部Wとの間にそれぞれ位置するように設けられている。磁石5と壁部Wとの間に位置するように設けられた電磁石6は壁部Wに当接するように設けられた状態でシリンダヘッド20に固定されている。
【0019】
図2はカム10を示す図である。カム10は機械弁1に対して設けられる。カム10はベース円部10aとノーズ部10bとを備えている。カム10は内燃機関のクランクシャフトと同期して回転する。そしてこれにより、クランク角度に応じてカム10のうち、機械弁1に対応する部分がベース円部10aとノーズ部10bとの間で変更される。ベース円部10aが機械弁1に対応する場合にはスプリング3が機関弁1を閉弁方向に付勢する結果、機関弁1が閉弁する。一方、ノーズ部10bが機械弁1に対応する場合にはカム10がスプリング3の付勢力に抗して機関弁1を駆動する結果、機械弁1が開弁する。
【0020】
図1に戻り、図1に示すECU50Aは電子制御装置であり、ECU50Aには電磁石6が通電可能に接続されている。また、内燃機関の運転状態を検出するためのセンサ群60が電気的に接続されている。センサ群60は例えば内燃機関の回転数NEやクランク角度を検出可能なクランク角センサや、内燃機関に対する加速要求をするためのアクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)を検出可能なアクセル開度センサや、内燃機関の吸入空気量を計測するエアフロメータを含む。
【0021】
ECU50AではCPUがROMに格納されたプログラムに基づき、必要に応じてRAMの一時記憶領域を利用しつつ処理を実行することで、各種の機能部が実現される。この点、ECU50Aでは例えば以下に示す制御部が機能的に実現される。
【0022】
制御部は所定の条件下で機関弁1を駆動するカム10のうち、ベース円部10aが機関弁1に対応する場合に、磁石5に対してスプリング3が短縮する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電する。電磁石6に通電するにあたって、制御部は具体的には所定の条件下でベース円部10aが機関弁1に対応し始めた場合に通電を開始する。所定の条件は機関弁1が開弁する不具合が発生し得る場合に合わせて適宜設定できる。この点、動弁装置100Aでは具体的には所定の条件が内燃機関の背圧が所定値αよりも高い場合に設定されている。
【0023】
図3は動弁装置100Aの動作説明図である。図3(a)は非通電時の動弁装置100Aを示す。図3(b)は通電時の動弁装置100Aを示す。図3(a)に示すように、非通電時には磁石5と電磁石6とが磁力によって反発しない結果、磁石5と電磁石6とが当接している。一方、図3(b)に示すように通電時には磁石5と電磁石6とが磁力によって反発する結果、バルブスプリングシート4が磁石5とともにスプリング3を短縮する方向に移動する。そしてこれにより、スプリング3の荷重が増大する。この点、磁石5と電磁石6とは通電時にスプリング3を短縮可能な作用部となっている。
【0024】
次にECU50Aの制御動作を図4に示すフローチャートを用いて説明する。ECU50Aは内燃機関の運転状態を検出する(ステップS10)。ステップS10では、具体的には例えば回転数NEやクランク角度や内燃機関の負荷を検出する。続いてECU50Aは内燃機関の背圧が所定値αよりも高いか否かを判定する(ステップS20)。内燃機関の背圧が所定値αよりも高いか否かは例えば内燃機関の負荷が所定値よりも高いか否かで判定(推定)できる。肯定判定であれば、ECU50Aはベース円部10aが機関弁1に対応し始めたか否かを判定する(ステップS30)。ベース円部10aが機関弁1に対応し始めたか否かは例えばクランク角度に基づき判定できる。
【0025】
ステップS30で肯定判定であれば、ECU50Aは通電を行う(ステップS40)。そしてこれにより、通電が開始される。ステップS40でECU50Aは具体的には磁石5に対してスプリング3が短縮する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電する。続いてECU50Aはベース円部10aが機関弁1に対応しているか否かを判定する(ステップS50)。肯定判定であればステップS40に戻る。一方、ステップS20、S30またはS50で否定判定であれば、ECU50Aは通電を停止する(ステップS60)。ステップS60の後にはステップS10に戻る。
【0026】
次に動弁装置100Aの作用効果について説明する。図5はECU50Aの制御動作に対応するタイミングチャートを示す図である。図5ではクランク角度に応じた電磁石6の通電状態の変化をスプリング3の荷重変化、内燃機関の負荷の変化、および機関弁1のリフト量の変化とともに示す。図5では電磁石6に通電している状態をONで示し、通電していない状態をOFFで示す。期間T1はノーズ部10bが機関弁1に対応する期間を示し、期間T2はベース円部10aが機関弁1に対応する期間を示す。所定値α´は背圧が所定値αよりも高いことを満たす内燃機関の負荷を示す。
【0027】
図5に示すように、期間T1ではスプリング3の荷重が機関弁1のリフト量に応じて増減する。そして、内燃機関の負荷が所定値α´よりも低い場合には、期間T2で排気弁のリフト量が最小(ゼロ)になるとともに、スプリング3の荷重が最小になる。一方、内燃機関の負荷が所定値α´よりも高くなった場合には、期間T2で電磁石6がONになる結果、スプリング3の荷重が増大していることがわかる。
【0028】
この点、動弁装置100Aは通電時にスプリング3を短縮可能な作用部として磁石5と電磁石6とを備え、磁石5に対してスプリング3が短縮する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電することで、高い応答性を確保しつつスプリング3の荷重を増大させることができる。このため、動弁装置100Aは例えば回転数NEが高い場合であっても機関弁1が開弁する不具合が発生することを防止できる点で不具合の発生を好適に防止できる。
【0029】
動弁装置100Aは所定の条件下でスプリング3の荷重を増大させることで、機械弁1が開弁する不具合が発生し得る場合にスプリング3の荷重を増大させることを可能にすることができる。そしてこれにより、必要に応じてスプリング3の荷重を増大させることができる点でも不具合の発生を好適に防止できる。この点、動弁装置100Aは具体的には所定の条件を内燃機関の背圧が所定値αよりも高い場合とすることで、機関弁1が排気弁である場合に内燃機関の背圧が高まる結果、機関弁1が開弁する不具合が発生することを防止できる。
【0030】
動弁装置100Aはベース円部10aが機関弁1に対応する場合にスプリング3の荷重を増大させることで、機関弁1が開弁する不具合が発生することを防止するにあたって、スプリング3に過大な応力が発生することを防止できる。そしてこれにより、スプリング3の折損等の不具合が発生することを防止できる点でも、機関弁1が開弁する不具合が発生することを好適に防止できる。
【実施例2】
【0031】
図6は動弁装置100Bを示す図である。図6(a)は非通電時の動弁装置100Bを示す。図6(b)は通電時の動弁装置100Bを示す。動弁装置100Bは磁石5および電磁石6の代わりに誘電エラストマ7を備える点と、ECU50Aの代わりにECU50Bを備える点以外、動弁装置100Aと実質的に同一となっている。ECU50Bは電磁石6の代わりに誘電エラストマ7が通電可能に接続される点と、所定の条件下でベース円部10aが機関弁1に対応する場合に、制御部が誘電エラストマ7に通電するように実現される点以外、ECU50Aと実質的に同一となっている。
【0032】
誘電エラストマ7は通電により変形するエラストマであり、バルブスプリングシート4と壁部Wとの間に位置するように設けられている。そしてこれにより、荷重伝達経路上、スプリング3と壁部Wとの間に位置するように設けられている。誘電エラストマ7はスプリング3と壁部Wに隣接して設けられており、通電時に機関弁1の駆動方向に沿って延伸する。そしてこれにより、バルブスプリングシート4がスプリング3を短縮する方向に移動することで、スプリング3の荷重を増大させる。誘電エラストマ7は通電時にスプリング3を短縮可能な作用部となっている。なお、通電対象を誘電エラストマ7とするECU50Bの制御動作自体はECU50Aの制御動作と同じとなる。このため、ECU50Bの制御動作を示すフローチャートやタイミングチャートについては図示省略する。
【0033】
次に動弁装置100Bの作用効果について説明する。動弁装置100Bは通電時にスプリング3を短縮可能な作用部として誘電エラストマ7を備え、誘電エラストマ7に通電することで、動弁装置100Aと同様に高い応答性を確保しつつスプリング3の荷重を増大させることができる。また、所定の条件下でベース円部10aが機関弁1に対応する場合に誘電エラストマ7に通電することで、動弁装置100Aと同様の作用効果を得ることができる。このため、動弁装置100Bは動弁装置100Aと同様に機関弁1が開弁する不具合が発生することを好適に防止できる。
【実施例3】
【0034】
図7は動弁装置100Cを示す図である。動弁装置100Cはバルブスプリングシート4および磁石5の代わりにバルブスプリングシート4´および磁石5´を備える点と、ECU50Aの代わりにECU50Cを備える点以外、動弁装置100Aと実質的に同一となっている。ECU50Cは制御部が以下に示すように実現される点以外、ECU50Aと実質的に同一となっている。バルブスプリングシート4´は電磁石6に壁部Wとは反対側から隣接するように設けられている。
【0035】
バルブスプリングシート4´にはスプリング3のうち、壁部W側の端部と磁石5´とが固定されている。そしてこれにより、スプリング3は壁部W側で磁石5´とともに移動可能に設けられている。バルブスプリングシート4´にスプリング3の端部を固定するには、例えばバルブスプリングシート4´にスプリング3を回転させながら挿入した後、ピンでロックする構造を設けることができる。また、バルブスプリングシート4´に磁石5´を固定するには、例えばバルブスプリングシート4´に磁石5´を内蔵する構造を設けることができる。
【0036】
バルブスプリングシート4´に固定された磁石5´はスプリング3と電磁石6との間に位置するように設けられている。また、電磁石6は磁石5´と壁部Wとの間に位置するように設けられている。そしてこれにより、磁石5´と電磁石6とはこの順でスプリング3から壁部Wに向かって配置された状態で荷重伝達経路上、スプリング3と壁部Wとの間に位置するように設けられている。
【0037】
ECU50Cでは、制御部が所定の条件下でベース円部10aが機関弁1に対応する場合に、磁石5´に対してスプリング3が伸張する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電し、その後、磁石5´に対してスプリング3が短縮する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電する。
【0038】
このように通電するには、具体的には例えばクランク角度に基づきベース円部10aが機関弁1に対応し始めた場合に、磁石5´に対してスプリング3が伸張する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電するとともに、その後、ベース円部10aが機関弁1に対応する範囲内で所定の位相だけクランク角度が進んだ場合に、磁石5´に対してスプリング3が短縮する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電することができる。
【0039】
次にECU50Cの制御動作を図8に示すフローチャートを用いて説明する。なお、本フローチャートはステップS30に続いてステップS31、S32が設けられている点以外、図4に示すフローチャートと同じになっている。このため、ここでは特にこれらのステップについて説明する。ステップS30の肯定判定に続き、ECU50Cは通電を行う(ステップS31)。具体的にはECU50Cは磁石5´に対してスプリング3が伸張する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電する。ステップS31に続き、ECU50Cは所定の位相だけクランク角度が進んだか否かを判定する(ステップS32)。否定判定であればステップS31に戻る。一方、肯定判定であればステップS40に進む。なお、ステップS40でECU50Cはスプリング3短縮方向の通電を行う。
【0040】
次に動弁装置100Cの作用効果について説明する。図9はECU50Cの制御動作に対応するタイミングチャートを示す図である。表示されている各パラメータは図5の場合と同様である。図9ではスプリング3伸張方向の通電をしている状態を吸引で示すとともに、スプリング3短縮方向の通電をしている状態を反発で示す。図9では期間T2でスプリング3にサージングが発生する場合を示す。
【0041】
図9に示すように、期間T2でスプリング3にサージングが発生する場合には、内燃機関の負荷が所定値α´よりも低い場合にスプリング3の荷重が上下に変動しながら次第に減衰する。これに対し、動弁装置100Cでは内燃機関の負荷が所定値α´よりも高くなった場合に期間T2でまず磁石5´を吸引することでサージングを収束させ、その後、磁力の極性を反転し、磁石5´を反発することでスプリング3の荷重を増大させていることがわかる。
【0042】
この点、動弁装置100Cはスプリング3を壁部W側で磁石5´とともに移動可能に設けるとともに、所定の条件下でベース円部10aが機関弁1に対応する場合に、まず磁石5´に対してスプリング3が伸張する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電することで、サージングを抑制できる。そしてその後、磁石5´に対してスプリング3が短縮する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電することで、スプリング3の荷重増大効果をより確実に反映させることができる。このため、動弁装置100Cはサージングの影響を軽減できる点で、動弁装置100Aと比較して機関弁1が開弁する不具合が発生することをさらに好適に防止できる。
【実施例4】
【0043】
図10は動弁装置100Dを示す図である。動弁装置100Dは荷重センサ8をさらに備える点と、ECU50Cの代わりにECU50Dを備える点以外、動弁装置100Cと実質的に同一となっている。ECU50Dは荷重センサ8がさらに電気的に接続される点と、制御部が以下に示すように実現される点以外、ECU50Cと実質的に同一となっている。荷重センサ8は荷重検知部であり、バルブスプリングシート4´と電磁石6との間に位置するように設けられている。そしてこれにより、荷重伝達経路上、スプリング3と壁部Wとの間に位置するように設けられている。
【0044】
ECU50Dでは、制御部が所定の条件下でベース円部10aが機関弁1に対応する場合に、磁石5´に対して荷重センサ8が検知する荷重の変動を緩和する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電し、その後、磁石5´に対してスプリング3が短縮する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電する。
【0045】
このように通電するには、具体的には例えばクランク角度に基づきベース円部10aが機関弁1に対応し始めた場合に、磁石5´に対して荷重センサ8が検知する荷重の変動を緩和する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電し、その後、荷重センサ8が検知する荷重の変動が収束した場合に、磁石5´に対してスプリング3が短縮する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電することができる。
【0046】
磁石5´に対して荷重センサ8が検知する荷重の変動を緩和する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電するには、具体的には例えば以下のようにすることができる。すなわち、荷重センサ8が検知する荷重が極小値を含む第1の範囲に含まれる場合に磁石5´に対してスプリング3が短縮する方向に作用するように電磁石6に通電することができる。また、荷重センサ8が検知する荷重が極大値を含む第2の範囲に含まれる場合に磁石5´に対してスプリング3が伸張する方向に作用するように電磁石6に通電することができる。
【0047】
第1の範囲は具体的には例えば極小値を間に挟んだ荷重減少時から荷重増大時までの間で、荷重減少時の荷重の減少度合いが次第に小さくなるとともに、荷重増大時の荷重の増大度合いが次第に大きくなる範囲とすることができる。第2の範囲は極大値を間に挟んだ荷重増大時から荷重減少時までの間で、荷重増大時の荷重の増大度合いが次第に小さくなるとともに、荷重減少時の荷重の減少度合いが次第に大きくなる範囲とすることができる。
【0048】
次にECU50Dの制御動作を図11に示すフローチャートを用いて説明する。なお、本フローチャートはステップS10に続いてステップS15、S16およびS17が設けられている点と、ステップS30に続いてステップS35からS38が設けられている点以外、図4に示すフローチャートと同じになっている。このため、ここでは特にこれらのステップについて説明する。
【0049】
ステップS10に続き、ECU50Dは荷重センサ8の出力に基づき荷重を検出し(ステップS15)、荷重の増減度合いを算出する(ステップS16)。また、通電中であるか否かを判定する(ステップS17)。そして、肯定判定であれば後述するステップS35に進み、否定判定であればステップS20に進む。ステップS16において荷重の増減度合いは前回検出した荷重と今回検出した荷重とに基づき算出できる。この点、ステップS15ではステップS30で肯定判定されるまでの間にもステップS20またはS30の否定判定からステップS60を経てステップS10に戻ることで、荷重が繰り返し検出されるようになっている。
【0050】
その後、ステップS30で肯定判定された場合、ECU50Dは荷重の変動が収束したか否かを判定する(ステップS35)。荷重の変動が収束したか否かは例えば荷重の増減度合いの大きさが所定回数連続して所定の範囲内に収まったか否かで判定できる。ステップS35で否定判定であれば、ECU50Dは荷重が第1の範囲に含まれるか否かを判定する(ステップS36)。荷重が第1の範囲に含まれるか否かは例えば前回算出した荷重の増減度合いと今回算出した荷重の増減度合いとに基づき算出できる。
【0051】
ステップS36で肯定判定であれば、ECU50Dはスプリング3短縮方向の通電を行う(ステップS37)。一方、ステップS36で否定判定であれば、荷重が第2の範囲に含まれると判断できる。このため、ステップS36で否定判定であれば、ECU50Dはスプリング3伸張方向の通電を行う(ステップS38)。ステップS37またはS38の後にはステップS10に戻る。そしてこの場合にステップS17で肯定判定されることになる。そしてその後、ステップS35で肯定判定された場合にステップS40に進む。なお、ステップS40でECU50Dはスプリング3短縮方向の通電を行う。
【0052】
次に動弁装置100Dの作用効果について説明する。図12はECU50Dの制御動作に対応するタイミングチャートを示す図である。表示されている各パラメータは図9の場合と同様である。図12では図9の場合と同様にスプリング3伸張方向の通電をしている状態を吸引で示すとともに、スプリング3短縮方向の通電をしている状態を反発で示す。また、期間T2でスプリング3にサージングが発生する場合を示す。
【0053】
図12に示すように、動弁装置100Dでは内燃機関の負荷が所定値α´よりも高くなった場合に期間T2でまず磁石5´に対して荷重センサ8が検知する荷重の変動を緩和する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電することで、磁石5´を交互に吸引、反発し、これによりサージングを速やかに収束させる。そしてその後、磁石5´を反発することでスプリング3の荷重を増大させていることがわかる。
【0054】
この点、動弁装置100Dはスプリング3を壁部W側で磁石5´とともに移動可能に設けるとともに、所定の条件下でベース円部10aが機関弁1に対応する場合に、まず磁石5´に対して荷重センサ8が検知する荷重の変動を緩和する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電することで、スプリング3のサージングを減少させる方向に磁力が作用するように電磁石6に通電する。そしてこれにより、サージングを抑制することで、動弁装置100Cと比較してサージングを素早く抑制できる。このため、動弁装置100Dはサージングの影響をさらに好適に軽減できる点で、動弁装置100Cと比較して機関弁1が開弁する不具合が発生することをさらに好適に防止できる。
【0055】
動弁装置100Dはその後、磁石5´に対してスプリング3が短縮する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電するにあたって、荷重センサ8が検知する荷重の変動が収束した場合に通電することで、スプリング3の変動が確実に収束した後に通電することもできる。そしてこれにより、サージングの影響をさらに好適に軽減できる点でも、動弁装置100Cと比較して機関弁1が開弁する不具合が発生することをさらに好適に防止できる。
【0056】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0057】
機関弁 1
スプリング 3
磁石 5、5´
電磁石 6
誘電エラストマ 7
荷重センサ 8
カム 10
シリンダヘッド 20
ECU 50A、50B、50C、50D
動弁装置 100A、100B、100C、100D
【技術分野】
【0001】
本発明は内燃機関の動弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関では燃焼室に対して設けられる機関弁(吸気弁または排気弁)をスプリングで閉弁方向に付勢することで、機関弁を閉弁することが一般に行われている。この点、本発明と関連性があると考えられる技術としてスプリングシートをスプリングの伸縮方向に沿って移動させることでスプリングの荷重を可変にする技術が例えば特許文献1で開示されている。特許文献1では例えば油圧によってスプリングの荷重を可変にすることが開示されている。このほか、本発明と関連性があると考えられる技術としてスプリングのサージングに対処する技術が例えば特許文献2で開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−299435号公報
【特許文献2】特開平10−196327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スプリングによって閉弁方向に付勢される機関弁は、機関弁を駆動するカムのうち、ベース円部が機関弁に対応する場合に閉弁する。ところが、内燃機関ではかかる場合に機関弁が開弁する不具合が発生することがある。具体的には例えば機関弁が排気弁である場合には内燃機関の背圧が過大となる結果、スプリングの付勢力に抗して排気弁が開弁する不具合が発生することがある。この点、これに対しては例えば特許文献1で開示されているように油圧によってスプリングの荷重を可変にすることが考えられる。
【0005】
ところが、油圧によってスプリングの荷重を可変にすることでは、ベース円部が機関弁に対応する場合にスプリングの荷重を増大させようとしても、内燃機関の高回転時には十分な応答性を確保できない虞がある。一方、これに対しては例えばベース円部が機関弁に対応する場合に限らずスプリングの荷重を増大させることも考えられる。ところが、この場合には機械弁のリフト時にもスプリングの荷重が増大する結果、スプリングに過大な応力が発生し、スプリングが折損する等の不具合が発生する虞がある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑み、機関弁が開弁する不具合が発生することを好適に防止可能な内燃機関の動弁装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は内燃機関の燃焼室に対して設けられる機関弁を閉弁方向に付勢するスプリングと、荷重伝達経路上、前記スプリングと前記内燃機関のシリンダヘッドの壁部との間に位置するように設けられ、通電時に前記スプリングを短縮可能な作用部とを備え、所定の条件下で、前記機関弁を駆動するカムのうち、ベース円部が前記機関弁に対応する場合に前記作用部に通電する内燃機関の動弁装置である。
【0008】
本発明は前記作用部として、荷重伝達経路上、前記スプリングと前記壁部との間に位置するように設けられる磁石と、荷重伝達経路上、前記磁石と前記壁部との間に位置するように設けられる電磁石とを備え、所定の条件下で前記ベース円部が前記機関弁に対応する場合に、前記磁石に対して前記スプリングが短縮する方向に磁力が作用するように前記電磁石に通電する構成とすることができる。
【0009】
本発明は前記スプリングが前記壁部側で前記磁石とともに移動可能に設けられており、所定の条件下で前記ベース円部が前記機関弁に対応する場合に、前記磁石に対して前記スプリングが伸張する方向に磁力が作用するように前記電磁石に通電し、その後、前記磁石に対して前記スプリングが短縮する方向に磁力が作用するように前記電磁石に通電する構成とすることができる。
【0010】
本発明は前記スプリングが前記壁部側で前記磁石とともに移動可能に設けられるとともに、荷重伝達経路上、前記スプリングと前記壁部との間に位置するように設けられる荷重検知部をさらに備え、所定の条件下で前記ベース円部が前記機関弁に対応する場合に、前記磁石に対して前記荷重検知部が検知する荷重の変動を緩和する方向に磁力が作用するように前記電磁石に通電し、その後、前記磁石に対して前記スプリングが短縮する方向に磁力が作用するように前記電磁石に通電する構成とすることができる。
【0011】
本発明は前記作用部として、荷重伝達経路上、前記スプリングと前記壁部との間に位置するように設けられ、通電により変形するエラストマを備え、所定の条件下で前記機関弁を駆動するカムのうち、ベース円部が前記機関弁に対応する場合に前記エラストマに通電する構成とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、機関弁が開弁する不具合が発生することを好適に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1の内燃機関の動弁装置を示す図である。
【図2】カムを示す図である。
【図3】実施例1の動作説明図である。
【図4】実施例1の制御動作を示す図である。
【図5】実施例1のタイミングチャートを示す図である。
【図6】実施例2の内燃機関の動弁装置を示す図である。
【図7】実施例3の内燃機関の動弁装置を示す図である。
【図8】実施例3の制御動作を示す図である。
【図9】実施例3のタイミングチャートを示す図である。
【図10】実施例4の内燃機関の動弁装置を示す図である。
【図11】実施例4の制御動作を示す図である。
【図12】実施例4のタイミングチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を用いて、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は内燃機関の動弁装置(以下、動弁装置と称す)100Aを示す図である。動弁装置100Aは機関弁1に対して設けられており、アッパー側のバルブスプリングシート2とスプリング3とロア側のバルブスプリングシート4と磁石5と電磁石6とECU50Aとを備えている。機関弁1は内燃機関の燃焼室に対して設けられる吸気弁または排気弁(ここでは排気弁)であり、傘部Uとステム部Sとを備えている。機関弁1は内燃機関のシリンダヘッド20に設けられている。
【0016】
アッパー側のバルブスプリングシート2はステム部Sの端部に設けられている。スプリング3は内燃機関の燃焼室側からバルブスプリングシート2に隣接して設けられている。ロア側のバルブスプリングシート4は内燃機関の燃焼室側からスプリング3に隣接して設けられている。このようにして設けられたスプリング3はバルブスプリングシート2、4間に設けられており、機械弁1を閉弁する方向にバルブスプリングシート2を付勢する。
【0017】
バルブスプリングシート4、磁石5および電磁石6それぞれはスプリング3とシリンダヘッド20の壁部Wとの間に位置するように設けられている。壁部Wはシリンダヘッド20のうち、スプリング3よりも燃焼室側に位置する壁部となっている。磁石5と電磁石6とは荷重伝達経路上、スプリング3と壁部Wとの間に位置するように設けられていればよい。
【0018】
バルブスプリングシート4、磁石5および電磁石6は具体的にはこの順にスプリング3から壁部Wに向かって隣接して設けられている。そしてこれにより、バルブスプリングシート4はスプリング3と磁石5との間に、磁石5はバルブスプリングシート4と電磁石6との間に、電磁石6は磁石5と壁部Wとの間にそれぞれ位置するように設けられている。磁石5と壁部Wとの間に位置するように設けられた電磁石6は壁部Wに当接するように設けられた状態でシリンダヘッド20に固定されている。
【0019】
図2はカム10を示す図である。カム10は機械弁1に対して設けられる。カム10はベース円部10aとノーズ部10bとを備えている。カム10は内燃機関のクランクシャフトと同期して回転する。そしてこれにより、クランク角度に応じてカム10のうち、機械弁1に対応する部分がベース円部10aとノーズ部10bとの間で変更される。ベース円部10aが機械弁1に対応する場合にはスプリング3が機関弁1を閉弁方向に付勢する結果、機関弁1が閉弁する。一方、ノーズ部10bが機械弁1に対応する場合にはカム10がスプリング3の付勢力に抗して機関弁1を駆動する結果、機械弁1が開弁する。
【0020】
図1に戻り、図1に示すECU50Aは電子制御装置であり、ECU50Aには電磁石6が通電可能に接続されている。また、内燃機関の運転状態を検出するためのセンサ群60が電気的に接続されている。センサ群60は例えば内燃機関の回転数NEやクランク角度を検出可能なクランク角センサや、内燃機関に対する加速要求をするためのアクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)を検出可能なアクセル開度センサや、内燃機関の吸入空気量を計測するエアフロメータを含む。
【0021】
ECU50AではCPUがROMに格納されたプログラムに基づき、必要に応じてRAMの一時記憶領域を利用しつつ処理を実行することで、各種の機能部が実現される。この点、ECU50Aでは例えば以下に示す制御部が機能的に実現される。
【0022】
制御部は所定の条件下で機関弁1を駆動するカム10のうち、ベース円部10aが機関弁1に対応する場合に、磁石5に対してスプリング3が短縮する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電する。電磁石6に通電するにあたって、制御部は具体的には所定の条件下でベース円部10aが機関弁1に対応し始めた場合に通電を開始する。所定の条件は機関弁1が開弁する不具合が発生し得る場合に合わせて適宜設定できる。この点、動弁装置100Aでは具体的には所定の条件が内燃機関の背圧が所定値αよりも高い場合に設定されている。
【0023】
図3は動弁装置100Aの動作説明図である。図3(a)は非通電時の動弁装置100Aを示す。図3(b)は通電時の動弁装置100Aを示す。図3(a)に示すように、非通電時には磁石5と電磁石6とが磁力によって反発しない結果、磁石5と電磁石6とが当接している。一方、図3(b)に示すように通電時には磁石5と電磁石6とが磁力によって反発する結果、バルブスプリングシート4が磁石5とともにスプリング3を短縮する方向に移動する。そしてこれにより、スプリング3の荷重が増大する。この点、磁石5と電磁石6とは通電時にスプリング3を短縮可能な作用部となっている。
【0024】
次にECU50Aの制御動作を図4に示すフローチャートを用いて説明する。ECU50Aは内燃機関の運転状態を検出する(ステップS10)。ステップS10では、具体的には例えば回転数NEやクランク角度や内燃機関の負荷を検出する。続いてECU50Aは内燃機関の背圧が所定値αよりも高いか否かを判定する(ステップS20)。内燃機関の背圧が所定値αよりも高いか否かは例えば内燃機関の負荷が所定値よりも高いか否かで判定(推定)できる。肯定判定であれば、ECU50Aはベース円部10aが機関弁1に対応し始めたか否かを判定する(ステップS30)。ベース円部10aが機関弁1に対応し始めたか否かは例えばクランク角度に基づき判定できる。
【0025】
ステップS30で肯定判定であれば、ECU50Aは通電を行う(ステップS40)。そしてこれにより、通電が開始される。ステップS40でECU50Aは具体的には磁石5に対してスプリング3が短縮する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電する。続いてECU50Aはベース円部10aが機関弁1に対応しているか否かを判定する(ステップS50)。肯定判定であればステップS40に戻る。一方、ステップS20、S30またはS50で否定判定であれば、ECU50Aは通電を停止する(ステップS60)。ステップS60の後にはステップS10に戻る。
【0026】
次に動弁装置100Aの作用効果について説明する。図5はECU50Aの制御動作に対応するタイミングチャートを示す図である。図5ではクランク角度に応じた電磁石6の通電状態の変化をスプリング3の荷重変化、内燃機関の負荷の変化、および機関弁1のリフト量の変化とともに示す。図5では電磁石6に通電している状態をONで示し、通電していない状態をOFFで示す。期間T1はノーズ部10bが機関弁1に対応する期間を示し、期間T2はベース円部10aが機関弁1に対応する期間を示す。所定値α´は背圧が所定値αよりも高いことを満たす内燃機関の負荷を示す。
【0027】
図5に示すように、期間T1ではスプリング3の荷重が機関弁1のリフト量に応じて増減する。そして、内燃機関の負荷が所定値α´よりも低い場合には、期間T2で排気弁のリフト量が最小(ゼロ)になるとともに、スプリング3の荷重が最小になる。一方、内燃機関の負荷が所定値α´よりも高くなった場合には、期間T2で電磁石6がONになる結果、スプリング3の荷重が増大していることがわかる。
【0028】
この点、動弁装置100Aは通電時にスプリング3を短縮可能な作用部として磁石5と電磁石6とを備え、磁石5に対してスプリング3が短縮する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電することで、高い応答性を確保しつつスプリング3の荷重を増大させることができる。このため、動弁装置100Aは例えば回転数NEが高い場合であっても機関弁1が開弁する不具合が発生することを防止できる点で不具合の発生を好適に防止できる。
【0029】
動弁装置100Aは所定の条件下でスプリング3の荷重を増大させることで、機械弁1が開弁する不具合が発生し得る場合にスプリング3の荷重を増大させることを可能にすることができる。そしてこれにより、必要に応じてスプリング3の荷重を増大させることができる点でも不具合の発生を好適に防止できる。この点、動弁装置100Aは具体的には所定の条件を内燃機関の背圧が所定値αよりも高い場合とすることで、機関弁1が排気弁である場合に内燃機関の背圧が高まる結果、機関弁1が開弁する不具合が発生することを防止できる。
【0030】
動弁装置100Aはベース円部10aが機関弁1に対応する場合にスプリング3の荷重を増大させることで、機関弁1が開弁する不具合が発生することを防止するにあたって、スプリング3に過大な応力が発生することを防止できる。そしてこれにより、スプリング3の折損等の不具合が発生することを防止できる点でも、機関弁1が開弁する不具合が発生することを好適に防止できる。
【実施例2】
【0031】
図6は動弁装置100Bを示す図である。図6(a)は非通電時の動弁装置100Bを示す。図6(b)は通電時の動弁装置100Bを示す。動弁装置100Bは磁石5および電磁石6の代わりに誘電エラストマ7を備える点と、ECU50Aの代わりにECU50Bを備える点以外、動弁装置100Aと実質的に同一となっている。ECU50Bは電磁石6の代わりに誘電エラストマ7が通電可能に接続される点と、所定の条件下でベース円部10aが機関弁1に対応する場合に、制御部が誘電エラストマ7に通電するように実現される点以外、ECU50Aと実質的に同一となっている。
【0032】
誘電エラストマ7は通電により変形するエラストマであり、バルブスプリングシート4と壁部Wとの間に位置するように設けられている。そしてこれにより、荷重伝達経路上、スプリング3と壁部Wとの間に位置するように設けられている。誘電エラストマ7はスプリング3と壁部Wに隣接して設けられており、通電時に機関弁1の駆動方向に沿って延伸する。そしてこれにより、バルブスプリングシート4がスプリング3を短縮する方向に移動することで、スプリング3の荷重を増大させる。誘電エラストマ7は通電時にスプリング3を短縮可能な作用部となっている。なお、通電対象を誘電エラストマ7とするECU50Bの制御動作自体はECU50Aの制御動作と同じとなる。このため、ECU50Bの制御動作を示すフローチャートやタイミングチャートについては図示省略する。
【0033】
次に動弁装置100Bの作用効果について説明する。動弁装置100Bは通電時にスプリング3を短縮可能な作用部として誘電エラストマ7を備え、誘電エラストマ7に通電することで、動弁装置100Aと同様に高い応答性を確保しつつスプリング3の荷重を増大させることができる。また、所定の条件下でベース円部10aが機関弁1に対応する場合に誘電エラストマ7に通電することで、動弁装置100Aと同様の作用効果を得ることができる。このため、動弁装置100Bは動弁装置100Aと同様に機関弁1が開弁する不具合が発生することを好適に防止できる。
【実施例3】
【0034】
図7は動弁装置100Cを示す図である。動弁装置100Cはバルブスプリングシート4および磁石5の代わりにバルブスプリングシート4´および磁石5´を備える点と、ECU50Aの代わりにECU50Cを備える点以外、動弁装置100Aと実質的に同一となっている。ECU50Cは制御部が以下に示すように実現される点以外、ECU50Aと実質的に同一となっている。バルブスプリングシート4´は電磁石6に壁部Wとは反対側から隣接するように設けられている。
【0035】
バルブスプリングシート4´にはスプリング3のうち、壁部W側の端部と磁石5´とが固定されている。そしてこれにより、スプリング3は壁部W側で磁石5´とともに移動可能に設けられている。バルブスプリングシート4´にスプリング3の端部を固定するには、例えばバルブスプリングシート4´にスプリング3を回転させながら挿入した後、ピンでロックする構造を設けることができる。また、バルブスプリングシート4´に磁石5´を固定するには、例えばバルブスプリングシート4´に磁石5´を内蔵する構造を設けることができる。
【0036】
バルブスプリングシート4´に固定された磁石5´はスプリング3と電磁石6との間に位置するように設けられている。また、電磁石6は磁石5´と壁部Wとの間に位置するように設けられている。そしてこれにより、磁石5´と電磁石6とはこの順でスプリング3から壁部Wに向かって配置された状態で荷重伝達経路上、スプリング3と壁部Wとの間に位置するように設けられている。
【0037】
ECU50Cでは、制御部が所定の条件下でベース円部10aが機関弁1に対応する場合に、磁石5´に対してスプリング3が伸張する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電し、その後、磁石5´に対してスプリング3が短縮する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電する。
【0038】
このように通電するには、具体的には例えばクランク角度に基づきベース円部10aが機関弁1に対応し始めた場合に、磁石5´に対してスプリング3が伸張する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電するとともに、その後、ベース円部10aが機関弁1に対応する範囲内で所定の位相だけクランク角度が進んだ場合に、磁石5´に対してスプリング3が短縮する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電することができる。
【0039】
次にECU50Cの制御動作を図8に示すフローチャートを用いて説明する。なお、本フローチャートはステップS30に続いてステップS31、S32が設けられている点以外、図4に示すフローチャートと同じになっている。このため、ここでは特にこれらのステップについて説明する。ステップS30の肯定判定に続き、ECU50Cは通電を行う(ステップS31)。具体的にはECU50Cは磁石5´に対してスプリング3が伸張する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電する。ステップS31に続き、ECU50Cは所定の位相だけクランク角度が進んだか否かを判定する(ステップS32)。否定判定であればステップS31に戻る。一方、肯定判定であればステップS40に進む。なお、ステップS40でECU50Cはスプリング3短縮方向の通電を行う。
【0040】
次に動弁装置100Cの作用効果について説明する。図9はECU50Cの制御動作に対応するタイミングチャートを示す図である。表示されている各パラメータは図5の場合と同様である。図9ではスプリング3伸張方向の通電をしている状態を吸引で示すとともに、スプリング3短縮方向の通電をしている状態を反発で示す。図9では期間T2でスプリング3にサージングが発生する場合を示す。
【0041】
図9に示すように、期間T2でスプリング3にサージングが発生する場合には、内燃機関の負荷が所定値α´よりも低い場合にスプリング3の荷重が上下に変動しながら次第に減衰する。これに対し、動弁装置100Cでは内燃機関の負荷が所定値α´よりも高くなった場合に期間T2でまず磁石5´を吸引することでサージングを収束させ、その後、磁力の極性を反転し、磁石5´を反発することでスプリング3の荷重を増大させていることがわかる。
【0042】
この点、動弁装置100Cはスプリング3を壁部W側で磁石5´とともに移動可能に設けるとともに、所定の条件下でベース円部10aが機関弁1に対応する場合に、まず磁石5´に対してスプリング3が伸張する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電することで、サージングを抑制できる。そしてその後、磁石5´に対してスプリング3が短縮する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電することで、スプリング3の荷重増大効果をより確実に反映させることができる。このため、動弁装置100Cはサージングの影響を軽減できる点で、動弁装置100Aと比較して機関弁1が開弁する不具合が発生することをさらに好適に防止できる。
【実施例4】
【0043】
図10は動弁装置100Dを示す図である。動弁装置100Dは荷重センサ8をさらに備える点と、ECU50Cの代わりにECU50Dを備える点以外、動弁装置100Cと実質的に同一となっている。ECU50Dは荷重センサ8がさらに電気的に接続される点と、制御部が以下に示すように実現される点以外、ECU50Cと実質的に同一となっている。荷重センサ8は荷重検知部であり、バルブスプリングシート4´と電磁石6との間に位置するように設けられている。そしてこれにより、荷重伝達経路上、スプリング3と壁部Wとの間に位置するように設けられている。
【0044】
ECU50Dでは、制御部が所定の条件下でベース円部10aが機関弁1に対応する場合に、磁石5´に対して荷重センサ8が検知する荷重の変動を緩和する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電し、その後、磁石5´に対してスプリング3が短縮する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電する。
【0045】
このように通電するには、具体的には例えばクランク角度に基づきベース円部10aが機関弁1に対応し始めた場合に、磁石5´に対して荷重センサ8が検知する荷重の変動を緩和する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電し、その後、荷重センサ8が検知する荷重の変動が収束した場合に、磁石5´に対してスプリング3が短縮する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電することができる。
【0046】
磁石5´に対して荷重センサ8が検知する荷重の変動を緩和する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電するには、具体的には例えば以下のようにすることができる。すなわち、荷重センサ8が検知する荷重が極小値を含む第1の範囲に含まれる場合に磁石5´に対してスプリング3が短縮する方向に作用するように電磁石6に通電することができる。また、荷重センサ8が検知する荷重が極大値を含む第2の範囲に含まれる場合に磁石5´に対してスプリング3が伸張する方向に作用するように電磁石6に通電することができる。
【0047】
第1の範囲は具体的には例えば極小値を間に挟んだ荷重減少時から荷重増大時までの間で、荷重減少時の荷重の減少度合いが次第に小さくなるとともに、荷重増大時の荷重の増大度合いが次第に大きくなる範囲とすることができる。第2の範囲は極大値を間に挟んだ荷重増大時から荷重減少時までの間で、荷重増大時の荷重の増大度合いが次第に小さくなるとともに、荷重減少時の荷重の減少度合いが次第に大きくなる範囲とすることができる。
【0048】
次にECU50Dの制御動作を図11に示すフローチャートを用いて説明する。なお、本フローチャートはステップS10に続いてステップS15、S16およびS17が設けられている点と、ステップS30に続いてステップS35からS38が設けられている点以外、図4に示すフローチャートと同じになっている。このため、ここでは特にこれらのステップについて説明する。
【0049】
ステップS10に続き、ECU50Dは荷重センサ8の出力に基づき荷重を検出し(ステップS15)、荷重の増減度合いを算出する(ステップS16)。また、通電中であるか否かを判定する(ステップS17)。そして、肯定判定であれば後述するステップS35に進み、否定判定であればステップS20に進む。ステップS16において荷重の増減度合いは前回検出した荷重と今回検出した荷重とに基づき算出できる。この点、ステップS15ではステップS30で肯定判定されるまでの間にもステップS20またはS30の否定判定からステップS60を経てステップS10に戻ることで、荷重が繰り返し検出されるようになっている。
【0050】
その後、ステップS30で肯定判定された場合、ECU50Dは荷重の変動が収束したか否かを判定する(ステップS35)。荷重の変動が収束したか否かは例えば荷重の増減度合いの大きさが所定回数連続して所定の範囲内に収まったか否かで判定できる。ステップS35で否定判定であれば、ECU50Dは荷重が第1の範囲に含まれるか否かを判定する(ステップS36)。荷重が第1の範囲に含まれるか否かは例えば前回算出した荷重の増減度合いと今回算出した荷重の増減度合いとに基づき算出できる。
【0051】
ステップS36で肯定判定であれば、ECU50Dはスプリング3短縮方向の通電を行う(ステップS37)。一方、ステップS36で否定判定であれば、荷重が第2の範囲に含まれると判断できる。このため、ステップS36で否定判定であれば、ECU50Dはスプリング3伸張方向の通電を行う(ステップS38)。ステップS37またはS38の後にはステップS10に戻る。そしてこの場合にステップS17で肯定判定されることになる。そしてその後、ステップS35で肯定判定された場合にステップS40に進む。なお、ステップS40でECU50Dはスプリング3短縮方向の通電を行う。
【0052】
次に動弁装置100Dの作用効果について説明する。図12はECU50Dの制御動作に対応するタイミングチャートを示す図である。表示されている各パラメータは図9の場合と同様である。図12では図9の場合と同様にスプリング3伸張方向の通電をしている状態を吸引で示すとともに、スプリング3短縮方向の通電をしている状態を反発で示す。また、期間T2でスプリング3にサージングが発生する場合を示す。
【0053】
図12に示すように、動弁装置100Dでは内燃機関の負荷が所定値α´よりも高くなった場合に期間T2でまず磁石5´に対して荷重センサ8が検知する荷重の変動を緩和する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電することで、磁石5´を交互に吸引、反発し、これによりサージングを速やかに収束させる。そしてその後、磁石5´を反発することでスプリング3の荷重を増大させていることがわかる。
【0054】
この点、動弁装置100Dはスプリング3を壁部W側で磁石5´とともに移動可能に設けるとともに、所定の条件下でベース円部10aが機関弁1に対応する場合に、まず磁石5´に対して荷重センサ8が検知する荷重の変動を緩和する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電することで、スプリング3のサージングを減少させる方向に磁力が作用するように電磁石6に通電する。そしてこれにより、サージングを抑制することで、動弁装置100Cと比較してサージングを素早く抑制できる。このため、動弁装置100Dはサージングの影響をさらに好適に軽減できる点で、動弁装置100Cと比較して機関弁1が開弁する不具合が発生することをさらに好適に防止できる。
【0055】
動弁装置100Dはその後、磁石5´に対してスプリング3が短縮する方向に磁力が作用するように電磁石6に通電するにあたって、荷重センサ8が検知する荷重の変動が収束した場合に通電することで、スプリング3の変動が確実に収束した後に通電することもできる。そしてこれにより、サージングの影響をさらに好適に軽減できる点でも、動弁装置100Cと比較して機関弁1が開弁する不具合が発生することをさらに好適に防止できる。
【0056】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0057】
機関弁 1
スプリング 3
磁石 5、5´
電磁石 6
誘電エラストマ 7
荷重センサ 8
カム 10
シリンダヘッド 20
ECU 50A、50B、50C、50D
動弁装置 100A、100B、100C、100D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の燃焼室に対して設けられる機関弁を閉弁方向に付勢するスプリングと、
荷重伝達経路上、前記スプリングと前記内燃機関のシリンダヘッドの壁部との間に位置するように設けられ、通電時に前記スプリングを短縮可能な作用部とを備え、
所定の条件下で、前記機関弁を駆動するカムのうち、ベース円部が前記機関弁に対応する場合に前記作用部に通電する内燃機関の動弁装置。
【請求項2】
請求項1記載の内燃機関の動弁装置であって、
前記作用部として、荷重伝達経路上、前記スプリングと前記壁部との間に位置するように設けられる磁石と、荷重伝達経路上、前記磁石と前記壁部との間に位置するように設けられる電磁石とを備え、
所定の条件下で前記ベース円部が前記機関弁に対応する場合に、前記磁石に対して前記スプリングが短縮する方向に磁力が作用するように前記電磁石に通電する内燃機関の動弁装置。
【請求項3】
請求項2記載の内燃機関の動弁装置であって、
前記スプリングが前記壁部側で前記磁石とともに移動可能に設けられており、
所定の条件下で前記ベース円部が前記機関弁に対応する場合に、前記磁石に対して前記スプリングが伸張する方向に磁力が作用するように前記電磁石に通電し、その後、前記磁石に対して前記スプリングが短縮する方向に磁力が作用するように前記電磁石に通電する内燃機関の動弁装置。
【請求項4】
請求項2記載の内燃機関の動弁装置であって、
前記スプリングが前記壁部側で前記磁石とともに移動可能に設けられるとともに、荷重伝達経路上、前記スプリングと前記壁部との間に位置するように設けられる荷重検知部をさらに備え、
所定の条件下で前記ベース円部が前記機関弁に対応する場合に、前記磁石に対して前記荷重検知部が検知する荷重の変動を緩和する方向に磁力が作用するように前記電磁石に通電し、その後、前記磁石に対して前記スプリングが短縮する方向に磁力が作用するように前記電磁石に通電する内燃機関の動弁装置。
【請求項5】
請求項1記載の内燃機関の動弁装置であって、
前記作用部として、荷重伝達経路上、前記スプリングと前記壁部との間に位置するように設けられ、通電により変形するエラストマを備え、
所定の条件下で前記機関弁を駆動するカムのうち、ベース円部が前記機関弁に対応する場合に前記エラストマに通電する内燃機関の動弁装置。
【請求項1】
内燃機関の燃焼室に対して設けられる機関弁を閉弁方向に付勢するスプリングと、
荷重伝達経路上、前記スプリングと前記内燃機関のシリンダヘッドの壁部との間に位置するように設けられ、通電時に前記スプリングを短縮可能な作用部とを備え、
所定の条件下で、前記機関弁を駆動するカムのうち、ベース円部が前記機関弁に対応する場合に前記作用部に通電する内燃機関の動弁装置。
【請求項2】
請求項1記載の内燃機関の動弁装置であって、
前記作用部として、荷重伝達経路上、前記スプリングと前記壁部との間に位置するように設けられる磁石と、荷重伝達経路上、前記磁石と前記壁部との間に位置するように設けられる電磁石とを備え、
所定の条件下で前記ベース円部が前記機関弁に対応する場合に、前記磁石に対して前記スプリングが短縮する方向に磁力が作用するように前記電磁石に通電する内燃機関の動弁装置。
【請求項3】
請求項2記載の内燃機関の動弁装置であって、
前記スプリングが前記壁部側で前記磁石とともに移動可能に設けられており、
所定の条件下で前記ベース円部が前記機関弁に対応する場合に、前記磁石に対して前記スプリングが伸張する方向に磁力が作用するように前記電磁石に通電し、その後、前記磁石に対して前記スプリングが短縮する方向に磁力が作用するように前記電磁石に通電する内燃機関の動弁装置。
【請求項4】
請求項2記載の内燃機関の動弁装置であって、
前記スプリングが前記壁部側で前記磁石とともに移動可能に設けられるとともに、荷重伝達経路上、前記スプリングと前記壁部との間に位置するように設けられる荷重検知部をさらに備え、
所定の条件下で前記ベース円部が前記機関弁に対応する場合に、前記磁石に対して前記荷重検知部が検知する荷重の変動を緩和する方向に磁力が作用するように前記電磁石に通電し、その後、前記磁石に対して前記スプリングが短縮する方向に磁力が作用するように前記電磁石に通電する内燃機関の動弁装置。
【請求項5】
請求項1記載の内燃機関の動弁装置であって、
前記作用部として、荷重伝達経路上、前記スプリングと前記壁部との間に位置するように設けられ、通電により変形するエラストマを備え、
所定の条件下で前記機関弁を駆動するカムのうち、ベース円部が前記機関弁に対応する場合に前記エラストマに通電する内燃機関の動弁装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−108428(P2013−108428A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253518(P2011−253518)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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