説明

内燃機関の吸気系構造

【課題】本発明は、EGR量を正確に検出することのできる内燃機関の吸気系構造を提供する。
【解決手段】インテークマニフォールド(16)の屈曲部(16a)に空燃比センサ(18)を備え、屈曲部(16a)の上流であって屈曲部(16a)の外側となる方向にEGR通路(30)が接続され、導入口(30a)よりEGRガスを導入する。そして、インテークマニフォールド(16)内に、導入口(30a)方向視で導入口(30a)と板部(17a)とがオーバラップするように予混合調整板(17)を配設する。当該予混合調整板(17)は、板部(17a)の両端部に設けられる板バネ部(17b)を介してEGRガス導入方向に移動可能に配設する。また、板部17aに設けられた、歪みゲージ(17c)により板バネ部(17b)の伸縮度合いを検出し、当該検出結果に基づいて板部(17a)の移動度合いを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の吸気系構造に係り、特に、吸気の酸素濃度検出に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車用エンジンでは、エンジンから排出される排気中の窒素酸化物(NOx)及びスモーク(煤)を低減するために排気を吸気へ再循環させる排気再循環(EGR)装置が設けられている。EGR装置は、大きく排気通路と吸気通路とを連通するEGR通路とEGR通路を連通或いは遮断するEGRバルブとで構成されている。
また、特許文献1では、EGR通路(EGRパイプ)を吸気通路(吸気管)に直交するように接続し、更にEGR通路と吸気通路との接続部にプラップ状の流量比調整弁を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平11−294267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の技術では、EGR通路と吸気通路との接続部に設けられる流量比調整弁により、EGR通路の開度と吸気通路の開度とを同時に変更し吸気通路内の吸入空気流量とEGRガス流量とを調整可能としている。
しかしながら、特許文献1のように流量比調整弁の開度により吸気通路内の吸入空気流量とEGRガス流量とを調整する構造では、EGR通路より吸気通路へ流入するEGRガスが吸気通路の一方に偏り、吸入空気中のEGRガスの分布に偏りが生じる虞がある。
【0005】
このように、吸入空気中のEGRガス濃度の偏りは、例えばO2センサ等にて吸入空気中の酸素濃度を検出し、EGRガス量を検出するような場合にはEGRガス量の誤検出が発生することとなり好ましいことではない。
本発明は、この様な問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、EGR量を正確に検出することのできる内燃機関の吸気系構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1の内燃機関の吸気系構造では、吸気通路にEGRガスを循環させる排気再循環手段と、前記排気再循環手段において前記吸気通路に前記EGRガスを導入する導入部より吸気流れ方向の下流側で吸入空気中の前記EGRガスの濃度を検出する濃度検出手段とを備える内燃機関の吸気系構造において、前記排気再循環手段より前記吸気通路に前記EGRガスを導入する導入部を、前記濃度検出手段と同一側の前記吸気通路の壁面に配設し、更に少なくとも前記EGRガスの流量に基づいて前記吸気通路内を移動可能であり、前記EGRガスと前記吸入空気との混合度合いを調整する予混合手段を、前記導入部に対向するように前記吸気通路内に配設することを特徴とする。
【0007】
また、請求項2の内燃機関の吸気系構造では、請求項1において、前記予混合手段の変位量を検出する変位量検出手段を備え、前記変位量検出手段の検出結果に基づき、前記EGRガスの流量を算出することを特徴とする。
また、請求項3の内燃機関の吸気系構造では、請求項1或いは2において、前記予混合手段は、板部と、前記板部の両端に前記板部を前記EGRガスの流入方向に移動可能とし、前記板部の変位を調整する変位調整手段とを設け、前記板部が前記変位調整手段を介して前記吸気通路内に配設され、前記EGRガスの流量による前記予混合手段の前記板部の移動量により前記EGRガスと前記吸入空気との混合度合いを調整することを特徴とする。
【0008】
また、請求項4の内燃機関の吸気系構造では、請求項1或いは2において、前記予混合手段は、板部と、前記板部の前記吸気流れ方向の上流端部に前記吸気通路を貫通する支持軸とを備え、前記板部が前記支持軸を介して前記吸気通路内に回転可能に配設され、更に支持軸の一端には、前記予混合手段の前記板部の回転度合いを調整する回転調整手段が設けられ、前記EGRガスの流量による前記予混合手段の前記板部の回転度合いにより前記EGRガスと前記吸入空気との混合度合いを調整することを特徴とする。
【0009】
また、請求項5の内燃機関の吸気系構造では、請求項乃至4のいずれか1項において、前記導入部よりも吸気流れ方向の上流側の前記吸気通路内に設けられ、該吸気通路の軸に直交する面に対して傾くことにより前記吸入空気の流通量を制御する吸気絞り弁を備え、前記吸気絞り弁は、吸気流れ方向の下流側に向かうにつれて前記濃度検出手段と同一側の前記吸気通路の壁面と該吸気絞り弁との流路断面積が減少するように傾くことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、排気再循環手段より吸気通路にEGRガスを導入する導入部と濃度検出手段とを吸気通路の同一側の壁面に配設し、更に少なくともEGRガスの流量に基づいて吸気通路内を移動し、EGRガスと吸入空気との混合度合いを調整する予混合手段を導入部に対向するように吸気通路内に配設しており、EGRガスの流量に基づき、濃度検出手段に流入するEGRガスと吸入空気との混合割合が調整可能となっている。
【0011】
したがって、例えば、EGRガスの流量が多いような場合には、吸入空気が吸気通路内の導入部側を流れる量が多くなるように予混合手段を調整し、またはEGRガスの流量が少ないような場合には、吸入空気が吸気通路内の導入部側を流れる量が少なくなるように予混合手段を調整して、予めEGRガスと吸入空気とを予混合させることにより、内燃機関の運転状態によらずにEGRガスと吸入空気とが濃度検出手段にいたるまでに常に均一に混合させることができる。
【0012】
よって、吸気通路内でのEGRガスの偏りを抑制し、濃度検出手段にてEGR量を正確に検出することができる。
また、請求項2の発明によれば、予混合手段は、予混合手段の変位を検出する変位検出手段を備え、変位検出手段の検出結果に基づき、EGRガスの流量を算出するようにしており、例えば濃度検出手段が故障した場合であっても、EGR量を検出することができる。または、濃度検出手段の検出結果と変位検出手段の検出結果とを比較することで濃度検出手段の故障判定を行うことができる。
【0013】
また、請求項3の発明によれば、予混合手段は、薄板で形成される板部と、板部の両端に板部をEGRガスの流入方向に移動可能とし、板部の変位を調整する変位調整手段とが設けられ、板部が変位調整手段を介して吸気通路内に配設されている。そして、EGRガスの流量による予混合手段の板部の移動量によりEGRガスと吸入空気との混合度合いを調整している。
【0014】
このように、板部の移動量により吸気通路内の導入部側と反導入部側との通路面積を調整することで導入部側に導入される吸入空気の流量を調整し、EGRガスと吸入空気との混合度合いを調整して予混合させて、EGRガスと吸入空気とが濃度検出手段にいたるまでにEGRガスと吸入空気とを均一に混合させることができる。従って、簡易な構造で吸気通路内でのEGRガスの偏りを抑制し、EGR量を正確に検出することができる。また、予混合手段の板部の両端に板部をEGRガスの流入方向に移動可能とする変位手段を設け、板部が変位調整手段を介して吸気通路内に配設せれているので内燃機関の振動により板部が振動することでEGRガスと吸入空気との予混合を更に促進させることができる。
【0015】
また、請求項4の発明によれば、予混合手段は、薄板で形成される板部と、板部の吸気流れ方向の上流に吸気通路を貫通する支持軸を設け、支持軸を介して吸気通路内に回転可能に配設されている。また、支持軸の一端には、予混合手段の薄板の回転度合いを調整する回転調整手段が設けられている。そして、EGRガスの流量による予混合手段の板部の回転度合いによりEGRガスと吸入空気との混合度合いを調整している。
【0016】
このように、板部の回転度合いにより吸気通路内の導入部側と反導入部側との通路面積を調整することで導入部側に導入される吸入空気の流量を調整し、EGRガスと吸入空気との混合度合いを調整して予混合させて、EGRガスと吸入空気とが濃度検出手段にいたるまでにEGRガスと吸入空気とを均一に混合させることができる。従って、簡易な構造で吸気通路内でのEGRガスの偏りを抑制し、EGR量を正確に検出することができる。
【0017】
また、請求項5の発明によれば、吸気絞り弁を吸気流れ方向の下流側に向かうにつれて濃度検出手段と同一側の吸気通路の壁面と吸気絞り弁との流路断面積が減少するように傾くようにしており、濃度検出手段に向かう吸入空気が吸気絞り弁により導入部側へ流れ込み易くなるのでEGRガスと吸入空気との混合をより促進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に第1実施例に係る内燃機関の吸気系構造が適用されたエンジンの概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施例に係る図1のA部の拡大図である。
【図3】本発明の第1実施例に係る図2のB−B線での断面図である。
【図4】本発明の第2実施例に係る図1のA部の拡大図である。
【図5】本発明の第2実施例に係る図4のB’−B’線での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の第1実施例の実施の形態を図面に基づき説明する。
[第1実施例]
図1は、内燃機関の吸気系構造が適用されたエンジンの概略構成図である。また、図2は、本発明の第1実施例に係る図1のA部の拡大図である。そして、図3は、図2のB−B線での断面図である。図中黒塗り矢印は、EGRガスの流れを、白抜き矢印は、吸入空気の流れをそれぞれ示す。また、図中二点鎖線は、移動後の予混合調整板の一例を、細矢印は、予混合調整板の移動方向を示す。
【0020】
図1に示すように、エンジン(内燃機関)1は、多気筒の筒内直接噴射式内燃機関(例えばコモンレール式ディーゼルエンジン)であり、詳しくは、コモンレールに蓄圧された高圧燃料を各気筒の燃料噴射ノズル2に供給し、任意の噴射時期及び噴射量で当該燃料噴射ノズル2から各気筒の燃焼室3内に噴射可能な構成を成している。
エンジン1の各気筒には、上下摺動可能なピストン4が設けられている。そして、当該ピストン4は、コンロッド5を介してクランクシャフト6に連結されている。また、クランクシャフト6の一端部には回転速度を検出するクランク角センサ7と図示しないフライホイールが設けられている。
【0021】
燃焼室3には、インテークポート8とエキゾーストポート9とが連通されている。
インテークポート8には、燃焼室3と当該インテークポート8との連通と遮断を行うインテークバルブ10が設けられている。また、エキゾーストポート9には、燃焼室3と当該エキゾーストポート9との連通と遮断とを行うエキゾーストバルブ11が設けられている。
【0022】
インテークポート8の上流には、吸入した空気を各気筒に分配するインテークマニフォールド16が連通するように設けられている。
インテークマニフォールド16の各気筒に吸入空気を分配するための分岐の上流部には、屈曲部16aが形成されている。そして、屈曲部16aには、酸素濃度を検出する空燃比センサ18が設けられている。また、屈曲部16aの下流には、燃焼室3に吸入される吸入空気の圧力を検出するブーストセンサ22と、該吸入空気の温度を検出する吸気温度センサ23とがインテークマニフォールド16内に突出するように設けられている。
【0023】
インテークマニフォールド16とエキゾーストマニフォールド24には、それぞれが連通するように排気の一部を吸気へ戻すEGR通路(排気再循環手段)30が設けられている。また、EGR通路30は、インテークマニフォールド16の屈曲部16aの上流であって、屈曲部16aの外側方向となる壁面に接続されている。また、EGR通路30には、排気が吸気に戻る量、即ちEGR量を調整するEGRバルブ(排気再循環手段)31と、吸気へ戻す排気を冷やすEGRクーラ(排気再循環手段)32とが設けられている。そして、冷却されたEGRガスは、EGR通路30の導入口(導入部)30aよりインテークマニフォールド16内に導入される。
【0024】
インテークマニフォールド16の屈曲部16aの上流であって、EGR通路30とインテークマニフォールド16との接続部16bの近傍には、EGR通路30の導入口30aより導入される排気(EGRガス)を屈曲部16aに導くための予混合調整板(予混合手段)17が設けられている。
予混合調整板17は、薄板状に形成される板部17aと、バネ力を有し伸縮可能であって、板部17aの移動量を調整する板バネ部17bと、板バネ部17bの伸縮度合いを検出する歪みゲージ(変位量検出手段)17cとで構成されている。
【0025】
板バネ部17bは、板部17aのそれぞれの両端部に配設されている。
歪みゲージ17cは、板バネ部17bの伸縮度合いを検出可能に板バネ部17bの側面に配設されている。
このように構成される予混合調整板17は、EGR通路30の導入口30a方向視で、板部17aが当該導入口30aとオーバラップし、当該導入口30aと板部17aの側面17dとが対向するように板バネ部17bを介してインテークマニフォールド16内を径方向に横断して配設されている。
【0026】
インテークマニフォールド16の上流には、最上流から吸入された新気中のゴミを取り除くエアークリーナ12、排気のエネルギを利用し吸入された新気を圧縮するターボチャージャ13の図示しないコンプレッサハウジングと、圧縮され高温となった新気を冷却するインタークーラ14と、吸気の流量を調整する電子制御スロットルバルブ(吸気絞り弁)15とが吸気管(吸気通路)19を介してインテークマニフォールド16に接続されている。また、電子制御スロットルバルブ15には、スロットルバルブの開き度合を検出するスロットルポジションセンサ20が備えられている。
【0027】
電子制御スロットバルブ15は、吸気管19の軸に直交し、更に直交する面に対し傾斜して吸気の流量を変化させるバルブ部15aを備えている。バルブ部15aは、空燃比センサ18と同一側の吸気管19の壁面側が吸気流れ方向の下流方向に傾斜するように設けられている。即ち、空燃比センサ18と同一側の吸気管19の壁面と、バルブ部15aとで形成される流路の断面積は、バルブ部15aが吸気流れ方向の下流方向に傾斜すると、吸気流れ方向の下流に向かうにつれて減少する。そして、バルブ部15aは、吸気流れ方向の下流側に傾斜するつれ、空燃比センサ18と同一側の吸気管19の壁面と、バルブ部15aとで形成する吸入空気の通路断面積が増加するように変化し、吸入空気の流量を調整する。
【0028】
エアークリーナ12の下流でありターボチャージャ13のコンプレッサハウジングの上流の吸気管19には、燃焼室3に吸入される新気の量を検出するエアーフローセンサ21が吸気管19内に突出するように設けられている。
エキゾーストポート9の下流には、各気筒から排出される排気をまとめるエキゾーストマニフォールド24と、ターボチャージャ13に排気を導入する図示しないタービンハウジングと、排気管25とが連通するように設けられている。
【0029】
排気管25には、上流から順番に排気中の炭化水素(THC)或いは一酸化炭素(CO)等の被酸化成分を酸化する酸化触媒26と、排気中の黒鉛を主成分とする微粒子状物資(PM)を捕集し燃焼させるディーゼルパティキュレートフィルタ27とが連通するように設けられている。
排気管25の酸化触媒26の下流でありディーゼルパティキュレートフィルタ27の上流と、ディーゼルパティキュレートフィルタ27の下流には、ディーゼルパティキュレートフィルタ27の前後での圧力を検出する圧力センサ28,29が排気管25内に突出するように設けられている。
【0030】
そして、燃料噴射ノズル2、クランク角センサ7、歪みゲージ17c、空燃比センサ18、スロットルポジションセンサ20、エアーフローセンサ21、ブーストセンサ22、吸気温度センサ23、圧力センサ28,29及びEGRバルブ29等の各種装置や各種センサ類は、エンジン1の総合的な制御を行うための制御装置であって入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、タイマ及び中央演算処理装置(CPU)等を含んで構成される電子コントロールユニット(ECU)40と電気的に接続されており、当該ECU40は各種センサ類からの各情報に基づき各種装置を作動制御する。
【0031】
ECU40の入力側には、クランク角センサ7、歪みゲージ17c、空燃比センサ18、スロットルポジションセンサ20、エアーフローセンサ21、ブーストセンサ22、吸気温度センサ23及び圧力センサ28,29等のセンサ類が電気的に接続されており、これら各種装置及び各種センサ類からの検出情報が入力される。
一方、ECU40の出力側には、燃料噴射ノズル2及びEGRバルブ31が電気的に接続されている。
【0032】
これより、ECU40は、各センサの検出値に基づき、燃料噴射ノズル2からのプレ噴射、メイン噴射及びアフタ噴射の燃料噴射量、噴射時期及びEGRバルブ31の開度等を最適に制御し、エンジン1を高精度に制御する。
このように本発明の第1実施例に係る内燃機関の吸気系構造では、インテークマニフォールド16に屈曲部16aが形成され、そして屈曲部16aに空燃比センサ18を備えるようにしている。また、屈曲部16aの上流であって屈曲部16aの外側となる方向にEGR通路30を接続し、導入口30aよりEGRガスを導入している。そして、インテークマニフォールド16内には、導入口30a方向視で導入口30aと板部17aとがオーバラップするように予混合調整板17が配設されている。当該予混合調整板17は、板部17aの両端部に設けられる板バネ部17bを介して板部17aがEGRガス導入方向に移動可能に配設している。また、板バネ部17bに設けられた、歪みゲージ17cにより板バネ部17bの伸縮度合いを検出し、当該検出結果に基づいて板部17aの移動度合いを算出している。
【0033】
従って、図2に示すように、導入口30aより導入されるEGRガスにより板部17aが押され板バネ部17bが伸び、板部17aがEGRガスの導入方向に移動する。そして、インテークマニフォールド16内の板部17aで隔てられるインテークマニフォールド16内の導入口側の通路面積と反導入口側の通路面積とが変化し、導入口側の通路を通過する吸入空気の流量を変化させることができる。詳しくは、導入口30aより導入されるEGRガスの流量が多い場合には、EGRガスの慣性により板部17aが押され板バネ部17bが伸び、板部17aが反導入口方向に大きく移動する。そして、導入口側の通路面積が増大し導入口側を通過する吸入空気の流量を増大させることができる。また、導入口30aより導入されるEGRガスの流量が少ない場合には、板バネ部17bのバネ力により板部17aの移動が抑制され、導入口側の通路面積と反導入口側の面積との差が小さく、導入口側を通過する吸入空気の流量は、EGRガスの流量が多い場合と比較して少なくすることができる。
【0034】
よって、EGRガスの流量に基づいて、予混合調整板17の移動度合いを調整し、EGRガスと吸入空気との混合割合を調整し予混合させることにより、簡易な構造でエンジン1の運転状態によらずにEGRガスと吸入空気とが空燃比センサ18にいたるまでに常に均一に混合させることができ、吸気通路内でのEGRガスの偏りを抑制し、空燃比センサ18にてEGR量を正確に検出することができる。
【0035】
また、予混合調整板17は、板バネ部17bの伸縮度合いを検出する歪みゲージ17cが設けられる板バネ部17bを介して、インテークマニフォールド16内に配設されており、歪みゲージ17cでの板バネ部17bの伸縮度合いの検出結果より、板部17aの移動度合いを算出しているので、板部17aの移動度合いよりEGRガスの流量を算出することが可能となる。そして、例えば空燃比センサ18が故障した場合であっても、EGR量を検出することができる。また、空燃比センサ18の検出結果と歪みゲージ17cの検出結果とを比較することで空燃比センサ18の故障判定を行うことができる。
【0036】
また、空燃比センサ18を屈曲部16aに設けており、屈曲部16aでは吸入空気及びEGRガス共に慣性により屈曲部16aを直進するように流れようとして屈曲部16aの壁面に衝突し流れが乱れるので、更に吸入空気とEGRガスの混合を促進することができ、空燃比センサ18にてEGR量を正確に検出することができる。
また、電子制御スロットルバルブ15のバルブ部15aの空燃比センサ18と同一側の吸気管19の壁面側を吸気流れ方向の下流方向に傾斜するように設けており、空燃比センサ18に向かう吸入空気がバルブ部15aにより導入部側へ流れ込み易くなるのでEGRガスと吸入空気との混合をより促進させることができる。
[第2実施例]
以下、本発明の第2実施例に係る内燃機関の吸気系構造について説明する。
【0037】
第2実施例では、上記第1実施例に対して、予混合調整板の構造を変更しており、以下に上記第1実施例と異なる予混合調整板の構造に付いて説明する。
図4は、本発明の第2実施例に係る図1のA部の拡大図である。そして、図5は、図2のB’−B’線での断面図である。なお、図中黒塗り矢印及び太矢印は、EGRガスの流れを、白抜き矢印は、吸入空気の流れをそれぞれ示す。また、図中二点鎖線は、予混合調整板の回転後の一例を、細矢印は、予混合調整板の回転方向を示す。
【0038】
インテークマニフォールド16の屈曲部16aの上流であって、EGR通路28とインテークマニフォールド16との接続部16bの近傍には、EGR通路28の導入口30aより導入される排気(EGRガス)を屈曲部16aに導くための予混合調整板(予混合手段)117が設けられている。
予混合調整板117は、薄板状に形成される板部117aと、板部117aの回転度合いを調整するコイルバネ117bと、板部117aの回転度合いを検出する角度センサ117cと、板部117aの吸気流れ方向の上流端に設けられ板部117aを支持する支持軸117eとで構成されている。
【0039】
このように構成される予混合調整板117は、EGR通路30の導入口30a方向視で、板部117aが当該導入口30aとオーバラップし、当該導入口30aと板部117aの側面117dとが対向するように支持軸117eを介して回転可能にインテークマニフォールド16内の径方向に横断して配設されている。また、支持軸117eの一端には、導入口30aよりEGRガスが未導入である時に板部117aが吸気流れ方向と平行となるように付勢力を発生し、また、EGRガスの流量に応じて板部117aの回転度合いを調整するようにコイルバネ117bが配設されている。更に支持軸117eの他端には、板部117aの回転度合いを検出する角度センサ(変位量検出手段)117cが配設されている。
【0040】
そして、燃料噴射ノズル2、クランク角センサ7、角度センサ117c、空燃比センサ18、スロットルポジションセンサ20、エアーフローセンサ21、ブーストセンサ22、吸気温度センサ23、圧力センサ28,29及びEGRバルブ29等の各種装置や各種センサ類は、エンジン1の総合的な制御を行うための制御装置であって入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、タイマ及び中央演算処理装置(CPU)等を含んで構成される電子コントロールユニット(ECU)40と電気的に接続されており、当該ECU40は各種センサ類からの各情報に基づき各種装置を作動制御する。
【0041】
ECU40の入力側には、クランク角センサ7、角度センサ117c、空燃比センサ18、スロットルポジションセンサ20、エアーフローセンサ21、ブーストセンサ22、吸気温度センサ23及び圧力センサ28,29等のセンサ類が電気的に接続されており、これら各種装置及び各種センサ類からの検出情報が入力される。
一方、ECU40の出力側には、燃料噴射ノズル2及びEGRバルブ31が電気的に接続されている。
【0042】
これより、ECU40は、各センサの検出値に基づき、燃料噴射ノズル2からのプレ噴射、メイン噴射及びアフタ噴射の燃料噴射量、噴射時期及びEGRバルブ31の開度等を最適に制御し、エンジン1を高精度に制御する。
このように本発明の第2実施例に係る内燃機関の吸気系構造では、インテークマニフォールド16に屈曲部16aが形成され、そして屈曲部16aに空燃比センサ18を備えるようにしている。また、屈曲部16aの上流であって屈曲部16aの外側となる方向にEGR通路30を接続し、導入口30aよりEGRガスを導入している。そして、インテークマニフォールド16内には、導入口30a方向視で導入口30aと板部117aとがオーバラップし、導入口30aよりEGRガスが未導入である時に板部117aが吸気流れ方向と平行となるようにコイルバネ117bで付勢力が発生するように予混合調整板117を配設している。そして、当該予混合調整板117は、支持軸117eの他端に設けられる角度センサ117bによりを板部117aの回転度合いを検出している。
【0043】
従って、図4に示すように、導入口30aより導入されるEGRガスにより板部117aが押され支持軸117eを中心に板部117aが反導入口側に回転する。そして、インテークマニフォールド16内の板部117aで隔てられるインテークマニフォールド16内の導入口側の通路面積と反導入口側の通路面積が変化し、導入口側の通路を通過する吸入空気の流量を変化させることができる。詳しくは、導入口30aより導入されるEGRガスの流量が多い場合には、EGRガスの慣性により板部117aが押され支持軸117eを中心に板部117aが回転する。そして、導入口側の通路面積が増大し導入口側を通過する吸入空気の流量が増大させることができる。また、導入口30aより導入されるEGRガスの流量が少ない場合には、コイルバネ117bのバネ力により板部117aの回転が抑制され、導入口側の通路面積と反導入口側の面積との差が小さく、導入口側を通過する吸入空気の流量は、EGRガスの流量が多い場合と比較して少なくすることができる。
【0044】
よって、EGRガスの流量に基づいて、予混合調整板117の回転度合いを調整し、EGRガスと吸入空気との混合割合を調整し予混合させることにより、簡易な構造でエンジン1の運転状態によらずにEGRガスと吸入空気とが空燃比センサ18にいたるまでに常に均一に混合させることができ、吸気通路内でのEGRガスの偏りを抑制し、空燃比センサ18にてEGR量を正確に検出することができる。
【0045】
また、予混合調整板117は、板部117aの回転度合いを検出する角度センサ117cの検出結果に基づき、板部117aの回転度合いよりEGRガス流量の算出が可能となり、例えば空燃比センサ18が故障した場合であっても、EGR量を検出することができる。または、空燃比センサ18の検出結果と角度センサ117cの検出結果とを比較することで空燃比センサ18の故障判定を行うことができる。
【0046】
以上で発明の実施形態の説明を終えるが、発明の形態は本実施形態に限定されるものではない。
例えば、第1実施例では、板部17aの移動度合いを歪みゲージ17cで検出し、第2実施例では板部117aの回転度合いを角度センサ117cで検出するようにしているが、これに限定されるものではなく、例えば、ギャップセンサ等で板部17a,117aの移動度合い及び回転度合いを検出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 エンジン(内燃機関)
15 電子制御スロットルバルブ(吸気絞り弁)
16 インテークマニフォールド(吸気通路)
17,117 予混合調整板(予混合手段)
17a,117a 板部
17b 板バネ(変位調整手段)
17c 歪みゲージ(変位量検出手段)
117b コイルバネ(回転調整手段)
117c 角度センサ(変位量検出手段)
18 空燃比センサ(濃度検出手段)
19 吸気管(吸気通路)
30 EGR通路(排気再循環手段)
30a 導入口(導入部)
40 ECU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気通路にEGRガスを循環させる排気再循環手段と、前記排気再循環手段において前記吸気通路に前記EGRガスを導入する導入部より吸気流れ方向の下流側で吸入空気中の前記EGRガスの濃度を検出する濃度検出手段とを備える内燃機関の吸気系構造において、
前記排気再循環手段より前記吸気通路に前記EGRガスを導入する導入部を、前記濃度検出手段と同一側の前記吸気通路の壁面に配設し、
更に少なくとも前記EGRガスの流量に基づいて前記吸気通路内を移動可能であり、前記EGRガスと前記吸入空気との混合度合いを調整する予混合手段を、前記導入部に対向するように前記吸気通路内に配設することを特徴とする内燃機関の吸気系構造。
【請求項2】
前記予混合手段の変位量を検出する変位量検出手段を備え、
前記変位量検出手段の検出結果に基づき、前記EGRガスの流量を算出することを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の吸気系構造。
【請求項3】
前記予混合手段は、板部と、前記板部の両端に前記板部を前記EGRガスの流入方向に移動可能とし、前記板部の変位を調整する変位調整手段とを設け、前記板部が前記変位調整手段を介して前記吸気通路内に配設され、
前記EGRガスの流量による前記予混合手段の前記板部の移動量により前記EGRガスと前記吸入空気との混合度合いを調整することを特徴とする、請求項1或いは2に記載の内燃機関の吸気系構造。
【請求項4】
前記予混合手段は、板部と、前記板部の前記吸気流れ方向の上流端部に前記吸気通路を貫通する支持軸とを備え、前記板部が前記支持軸を介して前記吸気通路内に回転可能に配設され、
更に支持軸の一端には、前記予混合手段の前記板部の回転度合いを調整する回転調整手段が設けられ、
前記EGRガスの流量による前記予混合手段の前記板部の回転度合いにより前記EGRガスと前記吸入空気との混合度合いを調整することを特徴とする、請求項1或いは2に記載の内燃機関の吸気系構造。
【請求項5】
前記導入部よりも吸気流れ方向の上流側の前記吸気通路内に設けられ、該吸気通路の軸に直交する面に対して傾くことにより前記吸入空気の流通量を制御する吸気絞り弁を備え、
前記吸気絞り弁は、吸気流れ方向の下流側に向かうにつれて前記濃度検出手段と同一側の前記吸気通路の壁面と該吸気絞り弁との流路断面積が減少するように傾くことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の内燃機関の吸気系構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−108394(P2013−108394A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252873(P2011−252873)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】