説明

内燃機関の無接点点火装置

【課題】ストップスイッチの操作があったとき、マイクロコンピュータの制御により、内燃機関の停止までの間点火制御を禁止し、これを簡単な回路構成によってローコストに実現可能にする。
【解決手段】マイクロコンピュータ15に、グランドとの間に自己復帰型のストップスイッチ21を接続する出力保持モード端子Pを設け、前記ストップスイッチ21のストップ操作によって出力保持モード端子Pをグランドに接続したとき、スイッチング素子12をプログラムによる設定時間トリガして、点火用充放電コンデンサ10の充電を規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の点火装置をストップスイッチの操作によって失火制御可能にする内燃機関の無接点点火装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、内燃機関の回転に同期して発電コイルの誘起電圧を充放電コンデンサに充電し、トリガコイルの誘起電圧に基づいて生成したトリガ信号によりオンとなるスイッチング素子を通じて、充放電コンデンサの電荷をイグニッションコイルに供給し、点火プラグを点火する内燃機関の無接点点火装置が提供されている。
【0003】
また、このような内燃機関の無接点点火装置に、作業者の判断で、自己復帰型のストップスイッチを操作することにより、前記点火動作を任意に停止させることができる点火停止回路を備えるのがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この点火停止回路は、前記トリガコイルの誘起電圧を電圧整流回路、電圧平滑用の定数回路を介して受けて、1つの安定動作状態を保持するフリップフロップ回路と、このフリップフロップ回路を他の安定動作状態となるようにスイッチ操作することで、前記第1のスイッチング素子を介して前記発電コイルをショートさせる前記ストップスイッチと、を備える。
【特許文献1】特開2004−169615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の内燃機関の無接点点火装置にあっては、前記ストップモード設定のための回路構成が複雑であり、比較的多い品種、数量の部品の使用により組み立て工数の増加、組み立て効率の低下が避けられず、またコストダウンの障害になるという不都合があった。
【0006】
本発明は前記のような従来の問題を解消するためになされたものであり、ストップスイッチの操作があったとき、マイクロコンピュータの制御により、内燃機関の停止までの間失火制御を継続して、これを簡単な回路構成によってローコストに実現することができる内燃機関の無接点点火装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的達成のため、本発明にかかる内燃機関の無接点点火装置は、磁石を挟んで配置された2つの磁極を有するロータと、該ロータに対抗配置されて、エキサイタコイルおよびトリガコイルを巻装したコアーと、前記エキサイタコイルの正の誘起電圧を充電する点火用充放電コンデンサと、前記トリガコイルの誘起電圧によりトリガされて導通し、前記点火用充放電コンデンサの電荷をイグニッションコイルに供給するスイッチング素子と、を有する内燃機関の無接点点火装置であって、グランドとの間に自己復帰型のストップスイッチを接続する出力保持モード端子を有し、前記ストップスイッチのストップ操作によって前記出力保持モード端子をグランドに接続したとき、前記スイッチング素子をプログラムにより制御して設定時間トリガし、前記エキサイタコイルをシャントするマイクロコンピュータを備えることを特徴とする。
【0008】
この構成により、内燃機関の起動時および運転中は、エキサイタコイルの誘起電圧を充放電コンデンサに充電し、一方、トリガコイルの誘起電圧に基づいてマイクロコンピュータが生成する進角または遅角の制御パルスにより前記スイッチング素子をスイッチオンすることができる。
【0009】
このため、充放電コンデンサに蓄積されていた電荷が、そのスイッチオン期間中イグニッションコイルに流れ、点火プラグに火花を発生し、内燃機関中の混合気に点火することができ、内燃機関は運転を継続する。
【0010】
この内燃機関の運転中に、ストップスイッチがスイッチオン操作されると、マイクロコンピュータの電源電位にプルアップされていた出力保持モード端子が前記ストップスイッチを介してグランドに接続される。
【0011】
マイクロコンピュータは、そのグランド電位を検出して、プログラム制御で出力を設定時間固定し、前記スイッチング素子にトリガ信号を入力する。このため、このスイッチング素子はスイッチオンとなる。
【0012】
このスイッチング素子のスイッチオンにより、エキサイタコイルがシャントされ、充放電コンデンサへの充電が禁止される。従って、イグニッションコイルへの点火電圧の供給が停止され、点火プラグには放電が発生せず、内燃機関は失火状態となって、ついには停止する。しかし、プログラム制御により出力を出し続けるとマイクロコンピュータの消費電力が大きくなってしまい、内燃機関の停止までマイクロコンピュータによる出力の固定ができなくなってしまう。この状態を解消する為、内燃機関の回転数が設定回転数まで低下したときに出力をL0固定にする。これによりマイクロコンピュータの電源が内燃機関の停止まで確保できるようになる。
【0013】
また、ストップスイッチは、自動復帰型であるため、スイッチオン後に直ちにスイッチオフ状態になるが、マイクロコンピュータは、前記プログラム制御中、前記スイッチング素子を内燃機関が設定回転数へ低下するまでスイッチオンし続ける。内燃機関が設定回転数まで低下したあとは出力をやめ、スイッチング素子をスイッチオンするのをやめる。これにより、ストップスイッチを押さえ続けなくてもよい。前記プログラム制御は、マイクロコンピュータの電源電圧オフで解除する。
【0014】
また、本発明にかかる内燃機関の無接点点火装置は、前記マイクロコンピュータによる前記スイッチング素子のトリガが、内燃機関の停止まで実行されることを特徴とする。
【0015】
この構成により、内燃機関を停止させる場合に、ストップスイッチを押し続けておく必要がないため便利である。また、内燃機関の停止が確実に行われ、チェーンソーや草刈機に利用した場合に、作業上の危険を未然に回避することができる。
【0016】
また、本発明にかかる内燃機関の無接点点火装置は、前記出力保持モード端子の電位がマイクロコンピュータが出力する制御パルスの2回分連続してグランドレベルに低下したとき、前記マイクロコンピュータに、前記スイッチング素子のゲートに対しての制御出力を入力させることを特徴とする。
【0017】
この構成により、マイクロコンピュータがストップ操作モードであることを正確に判断でき、内燃機関の急速停止を任意のタイミングにて安全に実施することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、マイクロコンピュータに、グランドとの間に自己復帰型のストップスイッチを接続する出力保持モード端子を設け、前記ストップスイッチのストップ操作によって前記出力保持モード端子をグランドに接続したとき、前記スイッチング素子に対する出力をプログラムにより制御し、イグニッションコイルへの点火電圧の供給を停止することができる。従って、点火プラグには放電が発生せず、内燃機関が失火状態となり、遂にはこの内燃機関を急速かつ確実に停止させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態による内燃機関の無接点点火装置の要部構成を一部破断して示す正面図、図2は、本発明の実施形態による内燃機関の無接点点火装置を示す回路図である。
【0021】
図1において、無接点点火装置を構成するトリガコイル1およびエキサイタコイル2が、コ字状コアー8の両脚部8a、8bにそれぞれ巻装されている。ここでは、エキサイタコイル2が後述のロータ3の、回転方向4側の脚部8bに巻装され、トリガコイル1がこの回転方向とは反対側にある脚部8aに巻装されている。
【0022】
また、コアー8の対向位置に、前記ロータ3が高速回転可能に配置されている。このロータ3は、アルミなどの非磁性の円柱状ブロックからなり、この円柱状ブロックには、磁石5を挟むようにして、一対の磁極6、7が埋設されている。
【0023】
これらの磁極6、7は、ロータ3の外周に一部が露出しており、ロータ3の回転中にコアー8の両脚部8a、8b端面に対向状態にて通過可能となっている。また、コアー8の両脚部8a、8b端面は、円弧状に形成され、ロータ3の外周面に対して一定幅のギャップ(距離)を保持可能にしている。
【0024】
なお、磁極6、7のサイズおよび設置間隔と、前記コアー8の両脚部8a、8bのサイズおよび間隔は、後述の充放電コンデンサ10の充放電タイミングやトリガタイミングに応じて設定されている。
【0025】
図2は、前記内燃機関の無接点点火装置を示す回路図である。同図において、エキサイタコイル2にはダイオード9、点火用充放電コンデンサ10およびイグニッションコイル11の一次コイル11aが直列接続され、これらは、エキサイタコイル2が誘起する正の電圧を点火用充放電コンデンサ10に充電する充電回路を構成している。
【0026】
また、点火用充放電コンデンサ10は、スイッチング素子としてのサイリスタ12のアノード・カソードおよびイグニッションコイル11の一次コイル11aとともに直列接続されている。これらのサイリスタ12およびイグニッションコイル11は、点火用充放電コンデンサ10の充電電荷をイグニッションコイル11の1次コイル11aへ放電する放電回路を構成している。
【0027】
これによれば、サイリスタ12がトリガされて導通したとき、前記点火用充放電コンデンサ10の充電電荷をイグニッションコイル11に放出する。なお、このサイリスタ12は、トリガによってエキサイタコイル2をシャントして点火用充放電コンデンサ10への充電を阻止するようにも機能する。
【0028】
さらに、前記イグニッションコイル11の二次コイル11bには点火プラグ13が接続されている。さらに、前記サイリスタ12のアノード・カソード間には、充放電コンデンサ10に対する電圧充電用を兼ねる逆流防止用のダイオード14が接続されている。
【0029】
一方、トリガコイル1の両端子には、制御パルスを出力する制御手段としてのマイクロコンピュータ(マイコン)15が接続されている。このマイクロコンピュータ15は、前記充放電コンデンサ10の充電および放電を制御する。このため、このマイクロコンピュータ15の出力端子には、前記制御パルスを入力するための前記サイリスタ12のゲートが接続されている。
【0030】
また、前記マイクロコンピュータ15は、トリガコイル1が誘起する電圧を波形整形し、デジタル変換して、所定のプログラムに従って信号処理を実施し、得られた制御パルスを、前記サイリスタ12のゲートに入力するように機能する。
【0031】
マイクロコンピュータ15の電源端子16には、抵抗17、ダイオード18、19を介してストップ端子20が接続されている。このストップ端子20とグランドとの間には自己復帰型のストップスイッチ21が接続されている。
【0032】
前記ダイオード18、19の接続点は、マイクロコンピュータ15の出力保持モード端子Pに接続されるとともに、ダイオード22を介して前記ダイオード14のアノードおよびエキサイタコイル2の一端に接続されている。また、前記出力保持モード端子Pと電源端子16との間にノイズ対策用のダイオード23が接続されている。
【0033】
次に、この内燃機関の無接点点火装置の動作を、図3に示す回路各部のタイミングチャートを参照しながら説明する。ここでは、初めに内燃機関の点火制御動作について述べ、この後に内燃機関のストップ制御動作について述べる。
【0034】
まず、内燃機関が作動し、ロータ3が図1において矢印4方向に回転すると、このロータ3に対向するコアー8上のトリガコイル1およびエキサイタコイル2には、図3(a)、(h)に示す波形の電圧がそれぞれ誘起される。
【0035】
そして、このエキサイタコイル2の誘起電圧のうち、正の電圧はダイオード9、およびイグニッションコイル11の一次コイル11aを介して、点火用充放電コンデンサ10に印加され、この点火用充放電コンデンサ10に電荷が充電される。この充電電荷は、図3(g)に示すように、後述の放電タイミングまで保持される。
【0036】
一方、トリガコイル1の誘起電圧は、エキサイタコイル2の、正の誘起電圧の立ち上がりより所定周期進んで立ち下がっており、マイクロコンピュータ15に入力される。
【0037】
前記マイクロコンピュータ15は、トリガコイル1の誘起電圧を波形整形し、設定レベルを超える正負の電圧から、図3(b)に示すような、2つの正の入力パルスp1、p2と、図3(c)に示すような1つの正の入力パルスp3とをそれぞれ取り出して認識する。
【0038】
ここで、図3(b)は、図3(a)の正の入力電圧に基づいて得られた正のパルスp1、p2であり、図3(c)は、図3(a)の負の入力電圧に基づいて得られる正のパルスp3である。また、パルスp3は、2つのパルスp1、p2間に位置している。
【0039】
内燃機関の起動時においては、マイクロコンピュータ15は、認識した図3(c)に示すようなパルスp3の入力と同期して、図3(d)に示すような制御パルスp5を出力し、これをサイリスタ12のゲートに入力する。この制御パルスp5は、充放電コンデンサ10の電荷を、内燃機関の次の回転周期で放電するために利用される。
【0040】
従って、この制御パルスp5の出力によってサイリスタ12がトリガされると、1周期前に充放電コンデンサ10に充電されていた充電電荷が、サイリスタ12のアノード、カソードを通してイグニッションコイル11の一次コイル11aに放電される。このため、二次コイル11bには瞬時に高電圧が印加され、点火プラグ13に火花が発生し、内燃機関内の混合気に着火が行われる。
【0041】
この内燃機関起動時における制御パルスによる混合気の着火は、内燃機関の起動時の、例えば2〜6回転程度分実施される。これにより、内燃機関の回転はスムースに立ち上がって、次第に通常運転モード(メインモード)の回転数に上昇していく。
【0042】
一方、内燃機関が起動し、回転数が徐々に上昇すると、マイクロコンピュータ15は、認識した図3(b)に示すようなパルスp1に基づいて、図3(f)に示す制御パルスp4を生成し、この制御パルスp4をサイリスタ12のゲートに入力する。なお、マイクロコンピュータ15は、前記起動時の2〜6回転程度経過後、制御パルスp3の入力に同期して制御パルスp5の出力を停止し、前記パルスp1に基づき制御パルスp4を生成する制御に切り替わる。
【0043】
前記制御パルスp4は、パルスp1の立ち上がりタイミングからパルスp2の立ち上がりタイミングまでの時間t1内に位置するように、マイクロコンピュータ15による信号処理によって制御される。
【0044】
前記パルスp1の立ち上がりタイミングからパルスp2の立ち上がりタイミングまでの前記時間t1は、内燃機関の回転数(回転速度)に関する情報であり、この時間t1内における制御パルスp4の位置(時間t2)もまた内燃機関回転数に関する情報である。
【0045】
そして、前記制御パルスp4は、前記サイリスタ12のゲートに入力されてこれをトリガし、前記充放電コンデンサ10の放電タイミング、つまり内燃機関の点火タイミングを決定する制御信号となる。従って、この制御信号は、内燃機関の回転速度を決定する情報となる。
【0046】
この制御パルスp4を、パルスp1に対してマイクロコンピュータ15によるデジタル処理によって、進角方向〈矢印S方向)または遅角方向(矢印R方向)に移動させることで、内燃機関の点火タイミングを、ユーザが内燃機関の特性に応じて自由に設定することができる。
【0047】
マイクロコンピュータ15は、前記時間t1を計測することによって現在の内燃機関回転数を把握し、一周期後にトリガコイル1から得られる最初の前記パルスp1波形を基準にして、任意に設定された時間t2で、図3(g)に示すように充放電コンデンサ10の電荷を放電させる。
【0048】
これにより、内燃機関の点火タイミングが制御される。この時間t2(点火タイミング)は、プログラムによるデジタル信号処理によって内燃機関回転数ごとに任意に設定しておくことができる。
【0049】
従って、マイクロコンピュータ15がプログラムにより制御パルスp4の位置を切り替えることで、内燃機関の回転数が十分に立ち上がった後、減速操作を認識した場合に、内燃機関の回転数を前記プログラムに従って予め設定されたアイドリング回転数に安定保持させておくことができる。また、その後、前記プログラムに従って、適時に目的回転数に速やかに立ち上げることも可能になる。
【0050】
このように、プログラム上で前記時間t2を予め固定的または任意に設定しておくことで、点火プラグへの点火電圧の供給タイミングを調節し、内燃機関の回転数を設定、変更することができる。これにより、例えば内燃機関の過回転防止や高速領域からアイドリング領域への内燃機関回転の急速応答制御を、簡単に実施することができる。
【0051】
次に、内燃機関の前記ストップ制御動作について説明する。
【0052】
前記のような内燃機関の運転中においては、マイクロコンピュータ15の出力保持モード端子Pには、電源電圧(例えば、+5V)が印加されている。
【0053】
このため、マイクロコンピュータ15はストップモード動作に入っておらず、図3(f)に示す制御パルスp4をサイリスタ12のゲートに入力し、前述のような点火プラグ13の点火動作を継続する。
【0054】
マイクロコンピュータ15は、ストップスイッチ21のプッシュオン操作で、出力保持モード端子Pの電位が、図3(e)に示すように、グランドに低下するのを監視する。そして、マイクロコンピュータ15は、出力保持モード端子Pの電位が、制御パルスp4の2回分連続して低下していることを検出したとき、ハイレベルの制御信号をサイリスタ12のゲートへ内燃機関の回転数が設定回転数まで低下する間、連続出力する。
【0055】
この制御信号が継続出力される期間中、サイリスタ12のゲートがトリガされ、サイリスタ12はエキサイタコイル2をシャントして、充放電コンデンサ10への充電が行われなくなる。しかし、プログラム制御により出力を出し続けるとマイクロコンピュータ15の消費電力が大きくなってしまい、内燃機関の停止までマイクロコンピュータ15による出力の固定ができなくなってしまう。この状態を解消する為、内燃機関の回転数が設定回転数まで低下した場合に出力をL0固定にする。これにより充放電コンデンサ10への充電が行われるようなるが、プログラム制御によりマイクロコンピュータ15が出力をしなくなるのでサイリスタ12がトリガされることはなくなり内燃機関は失火状態になり、急速かつ安全に停止する。
【0056】
前記ストップスイッチ21は自己復帰型であるため、前記プッシュオン操作後、直ちに解除(オフ)されて、出力保持モード端子Pの電位が速やかに回復するが、マイクロコンピュータ15によりサイリスタ12への入力が制御されているため、内燃機関の停止状態が維持される。この停止状態が維持されている間に、マイクロコンピュータ15の電源電圧が、マイクロコンピュータ15の動作電圧を下回ると、前記ストップ保持モードが解除される。
【0057】
従って、以後は、内燃機関を起動することにより、パワーオンリセットが働き、前記パルスp1、p2、p3によって生成される制御パルスp4による内燃機関の運転が再開可能になる。
【0058】
以上のように、本実施形態によれば、マイクロコンピュータ15に、グランドとの間に自己復帰型のストップスイッチ21を接続する出力保持モード端子Pを設け、前記ストップスイッチ21のストップ操作によって前記出力保持モード端子Pをグランドに接続したとき、マイクロコンピュータが、プログラム制御によりサイリスタに対する制御入力をハイレベルに固定するようにしたので、充放電コンデンサ10の充電を確実かつ急速に規制でき、従って内燃機関を急速停止することができる。また、この動作を簡単な回路構成によりローコストに実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明にかかる内燃機関の無接点点火装置は、簡単でローコストな回路構成によって、ストップスイッチ操作時に、イグニッションコイルへの点火電圧の供給を停止させ、内燃機関が停止するまで内燃機関を失火状態に保持することができるという効果を有し、内燃機関の点火装置をストップスイッチ操作によって失火制御可能にする内燃機関の無接点点火装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態による内燃機関の無接点点火装置の要部構成を一部破断して示す正面図である。
【図2】本発明の実施形態による内燃機関の無接点点火装置を示す回路図である。
【図3】図2における回路各部の信号波形を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0061】
1 トリガコイル
2 エキサイタコイル
3 ロータ
5 磁石
6、7 磁極
8 コアー
10 充放電コンデンサ
11 イグニッションコイル
12 サイリスタ(スイッチング素子)
13 点火プラグ
15 マイクロコンピュータ(制御手段)
21 ストップスイッチ
P 出力保持モード端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石を挟んで配置された2つの磁極を有するロータと、該ロータに対抗配置されて、エキサイタコイルおよびトリガコイルを巻装したコアーと、前記エキサイタコイルの正の誘起電圧を充電する点火用充放電コンデンサと、前記トリガコイルの誘起電圧によりトリガされて導通し、前記点火用充放電コンデンサの電荷をイグニッションコイルに供給するスイッチング素子と、を有する内燃機関の無接点点火装置であって、グランドとの間に自己復帰型のストップスイッチを接続する出力保持モード端子を有し、前記ストップスイッチのストップ操作によって前記出力保持モード端子をグランドに接続したとき、前記スイッチング素子をプログラムにより制御して、前記エキサイタコイルをシャントするマイクロコンピュータを備えることを特徴とする内燃機関の無接点点火装置。
【請求項2】
前記マイクロコンピュータによる前記スイッチング素子のトリガが、内燃機関の停止まで実行されることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の無接点点火装置。
【請求項3】
前記マイクロコンピュータは、前記出力保持モード端子の電位がマイクロコンピュータが出力する制御パルスの2回分連続してグランドレベルに低下したとき、前記スイッチング素子のゲートに対しマイクロコンピュータの出力を制御して入力させることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の無接点点火装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−198220(P2007−198220A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−16719(P2006−16719)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(000215187)追浜工業株式会社 (30)
【Fターム(参考)】