説明

内燃機関用吸気制御装置の製造方法

【課題】 スロットルボデー1とスロットルバルブ4とを共に樹脂化した場合であっても、スロットルボデー1の円筒部2のボア内径面13とスロットルバルブ4の外周側端面23との間に形成される隙間(全閉クリアランス)を最適値に設定することを課題とする。【解決手段】 スロットルバルブ4の全閉位置にて、スロットルボデー1の円筒部2のボア内径面13にスロットルバルブ4の外周側端面部が繋がった状態の熱可塑性樹脂製品(ワーク)をレーザー切断することによって、スロットルボデー1の円筒部2とスロットルバルブ4とを所定の円形状に切り離す。これによって、スロットルボデー1の円筒部2とスロットルバルブ4の外周側端面23との間に形成される隙間(全閉クリアランス)を最適値に設定できるので、スロットルバルブ4がスロットルボデー1の円筒部2のボア内径面13に食い付き難くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車等の車両に搭載される内燃機関用吸気制御装置の製造方法に関するもので、特にボデーとバルブとを共に樹脂化した内燃機関用吸気制御装置の製造方法に係わる。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
近年、低燃費化、軽量化および低コスト化等の目的から、ボデーとバルブとを共に樹脂化した内燃機関用吸気制御装置が提案されている。また、従来より、運転者によるアクセルペダルの踏み込み量(アクセル操作量)に対応してスロットルバルブのバルブ開度を変更するようにした内燃機関用吸気制御装置においては、スロットルボデー内部に形成される断面円形状のスロットルボアの内径面(スロットルボデーのボア内径面)とスロットルバルブの外周側端面との間に形成される隙間が、スロットルバルブの全閉時における洩れ空気流量に大きな影響を及ぼすことが知られている。
【0003】
ここで、スロットルボデーとスロットルバルブとを共に樹脂化した内燃機関用吸気制御装置の製造方法の一例として、予めスロットルバルブを第1射出成形用金型内で樹脂一体成形して冷却して固化(硬化)した後に第1射出成形用金型の中から取り出し、この取り出したスロットルバルブを、第1射出成形用金型と異なる第2射出成形用金型の所定位置にセットし、スロットルボデーを第2射出成形用金型内で樹脂一体成形し、冷却して固化(硬化)した後に第2射出成形用金型の中から取り出すことで、スロットルボデー内部にスロットルバルブをインサート成形するようにした射出成形方法が公知である。
【0004】
また、内燃機関用吸気制御装置の製造方法の他例として、スロットルボデーとスロットルバルブとを同一の射出成形用金型内で樹脂一体成形することとし、先ず内部に断面円形状のスロットルボアが形成されたスロットルボデーを射出成形用金型内で樹脂一体成形して冷却して固化(硬化)した後に、射出成形用金型をスライド(コアバック)させて、スロットルボデーのボア内径面をスロットルバルブの外周側端面を成形する射出成形用金型の一部として使用することで、スロットルボデーのボア内径寸法の出来栄えに、スロットルバルブの外周側端面形状を合わせ込むようにした射出成形方法が公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
[従来の技術の不具合]
ところが、前者の射出成形方法においては、スロットルボデー内部にスロットルバルブをインサート成形した後に、スロットルボデーの成形収縮に伴う変形(成形歪み)が生じる。この成形歪みが生じてスロットルボアの真円度が悪化すると、スロットルバルブの外周側端面が、スロットルバルブの全閉位置よりも手前でスロットルボデーのボア内径面と干渉し、スロットルバルブの外周側端面がスロットルボデーのボア内径面に食い付き(かじり)易くなる。この場合には、スロットルバルブの正常な開閉動作ができなくなり、スロットルバルブの全閉位置近傍の吸入空気量を微妙にコントロールすることができなくなるという問題が生じる。また、仮にスロットルバルブの外周側端面がスロットルボデーのボア内径面に食い付いて(引っ掛かって)動かなくなってしまうと、スロットルバルブの開閉動作が不能となり、運転者の意志に基づくエンジン制御が不能になるという問題が生じる。
【0006】
また、後者の射出成形方法においては、スロットルバルブの樹脂一体成形後に、スロットルバルブの成形収縮に伴う変形(成形歪み)が生じる。この成形歪みが生じてスロットルバルブの真円度が悪化すると、図5に示したように、スロットルボデー101のボア内径面とスロットルバルブ102の外周側端面との間に形成される隙間(全閉クリアランス)が増加する可能性がある。この場合には、スロットルバルブ102の全閉時(アイドル運転時)における洩れ空気流量が増加し、アイドル回転速度が目標値よりも大きくなってアイドル運転時の燃費が悪化するという問題が生じる。
【特許文献1】特開平05−141540号公報(第1−6頁、図1−図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ボデーとバルブとを共に樹脂化した場合であっても、ボデーとバルブとの間に形成される隙間(クリアランス)を最適値に設定することのできる内燃機関用吸気制御装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、バルブが、ボデーとバルブとの隙間が最小となる全閉位置にてボアの内部で一体的に形成された製品形状の樹脂成形品となるように、ボデーとバルブとを樹脂一体成形する(第1工程)。次に、樹脂成形品が固化した後に、レーザー光を樹脂成形品に照射してボデーとバルブとを、ボデーに対するバルブの相対運動が可能となるように切り離す(第2工程)。
【0009】
これによって、ボデーおよびバルブの樹脂成形後に、ボデーおよびバルブの成形収縮に伴う変形(成形歪み)が生じた場合であっても、その成形歪みが生じた後に、樹脂成形品にレーザー光を照射することによって、ボデーとバルブとを、ボデーに対するバルブの相対運動が可能となるように切断することができる。したがって、バルブの全閉時(アイドル運転時)に、ボデーとバルブとの間に形成される隙間寸法を必要最小限に抑えることができる。
【0010】
すなわち、ボデーとバルブとの間に形成される隙間(全閉クリアランス)を最適値に設定できるので、バルブが、バルブの全閉位置よりも手前でボデーと干渉することはなく、バルブがボデーに食い付き難くなる。よって、バルブを正常に開閉動作させることができるので、バルブの全閉位置近傍の吸入空気量を微妙にコントロールすることができる。また、バルブがボデーに食い付いて(引っ掛かって)動かなくなってしまうこともなくなるので、運転者の意志に基づいて内燃機関(例えばエンジン回転速度またはエンジントルク)を自由にコントロールすることができる。
【0011】
また、ボデーとバルブとの間に形成される隙間(全閉クリアランス)を最適値に設定できるので、バルブの全閉時(アイドル運転時)に、ボデーとバルブとの間に形成される隙間寸法が増大することはない。これにより、バルブの全閉時における洩れ空気流量の増加を防止することができるので、バルブの全閉時(アイドル運転時)に内燃機関の気筒に吸入される吸入空気量が適正値となり、エンジン回転速度が所望のアイドル回転速度となる。よって、内燃機関の気筒に吸入される吸入空気量に対応して燃料噴射量を制御するものにおいては、アイドル運転時の燃費をより低燃費化することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、レーザー光を樹脂成形品に対して相対移動させることで、樹脂成形品のレーザー切断加工を行うようにしても良い。また、請求項3に記載の発明によれば、樹脂成形品をレーザー光によって切断する切断位置を、バルブの全閉位置近傍の空気流量特性に応じて任意に決定することにより、バルブの全閉位置近傍の吸入空気量を微妙にコントロールすることができる。また、請求項4に記載の発明によれば、樹脂成形品のレーザー切断箇所に、ボデーのボア内を流れる吸入空気の平均的な流れの軸線方向に対して平行となるようにレーザー光を照射して、ボデーとバルブとを切り離すことにより、レーザー切断加工が非常に容易となる。
【0013】
請求項5に記載の発明によれば、樹脂成形品のレーザー切断箇所に、ボデーのボア内を流れる吸入空気の平均的な流れの軸線方向に対して所定の角度だけ傾くようにレーザー光を照射して、ボデーとバルブとを切り離す。例えばボアの内径寸法を増加させるようにボデーに食い込ませることで、ボデーとバルブとを切り離すことにより、バルブの全開時に内燃機関の気筒に吸入される吸入空気量が適正値となり、エンジン回転速度が所望のエンジン回転速度となる。また、ボア内部に突出した部分がなくなるので、バルブの全開時にボア内を流れる吸入空気の吸気抵抗が減少するので、内燃機関の出力の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の形態は、ボデーとバルブとを共に樹脂化した場合であっても、ボデーとバルブとの間に形成される隙間(クリアランス)を最適値に設定するという目的を、バルブが、ボデーとバルブとの隙間が最小となる全閉位置にてボアの内部で一体的に形成された製品形状の樹脂成形品が固化した後に、レーザー光を樹脂成形品に照射してボデーとバルブを、ボデーに対するバルブの相対運動が可能となるように切り離すことで実現した。
【実施例1】
【0015】
[実施例1の構成]
図1ないし図3は本発明の実施例1を示したもので、図2および図3は内燃機関用スロットル制御装置の全体構成を示した図である。
【0016】
本実施例の内燃機関用スロットル制御装置は、運転者(ドライバー)のアクセルペダルの踏み込み量(アクセル操作量)に基づいて内燃機関(例えばガソリンエンジン:以下エンジンと言う)の各気筒(シリンダ、燃焼室)内に流入する吸入空気量を変更することで、エンジン回転速度またはエンジントルクを運転者の意志に基づいてコントロールする内燃機関用吸気制御装置(電子制御式スロットル制御装置、内燃機関用吸入空気流量(吸気量)制御装置)である。
【0017】
この内燃機関用スロットル制御装置は、エンジンのインテークマニホールドに気密的に結合するスロットルボデー(熱可塑性樹脂製品)1と、このスロットルボデー1に一体的に形成された円筒部2の内部をエンジンの各気筒に向けて流れる吸入空気の流量(吸入空気量)を調整するスロットルバルブ4と、スロットルボデー1の円筒部2を貫通して回転自在に軸支されるスロットルシャフト5と、スロットルバルブ4を全閉位置に戻す方向(閉弁方向)に付勢するスプリング(バルブ付勢手段:図示せず)とを備えている。また、スロットルバルブ4を開弁駆動(または閉弁駆動)するモータアクチュエータ(バルブ駆動装置)は、電力によって運転される電動モータ(図示せず)、およびこの電動モータの出力軸の回転運動をスロットルバルブ4に伝達する動力伝達機構等によって構成されている。また、内燃機関用スロットル制御装置は、運転者のアクセル操作量に基づいて、電動モータを電子制御するエンジン制御ユニット(以下ECUと呼ぶ:図示せず)を備えている。
【0018】
また、電動モータは、センサカバー6内に埋設されたモータ用通電端子に一体的に接続されて、通電されるとモータシャフト(図示せず)が正転方向または逆転方向に回転する電動式のアクチュエータ(駆動源)である。また、歯車減速機構は、電動モータのモータシャフトの外周に固定されたピニオンギヤと、このピニオンギヤと噛み合って回転する中間減速ギヤと、この中間減速ギヤと噛み合って回転するバルブギヤとによって構成され、電動モータの回転動力をスロットルシャフト5に伝達する動力伝達機構として利用されている。
【0019】
ここで、ECUには、運転者によるアクセル操作量を電気信号(アクセル開度信号)に変換し、ECUへどれだけアクセルペダルが踏み込まれているかを出力するアクセル開度センサ(図示せず)が接続されている。また、内燃機関用スロットル制御装置は、スロットルバルブ4の回転開度(バルブ開度、スロットル開度)を電気信号(スロットル開度信号)に変換し、ECUへどれだけスロットルバルブ4が開いているかを出力する回転角度センサ(スロットルポジションセンサ)を有している。そして、本実施例のECUは、回転角度センサからのスロットル開度信号とアクセル開度センサからのアクセル開度信号との偏差がなくなるように電動モータに対して比例積分微分制御(PID制御)によるフィードバック制御を行うように構成されている。
【0020】
ここで、回転角度センサは、スロットルバルブ4の回転角度(バルブ角度)に相当するスロットル開度(スロットルポジション)を検出するスロットル開度センサであって、スロットルバルブ4の回転に伴って回転する分割型の永久磁石(マグネット:図示せず)と、このマグネットによって磁化される分割型のヨーク(磁性体:図示せず)と、自身に鎖交する磁束密度に対応した信号を出力する非接触式の磁気検出素子(図示せず)とを有している。また、マグネットおよびヨークは、スロットルバルブ4の軸方向の一端部に組み付けられるバルブギヤの内周面に接着剤等を用いて固定されている。また、磁気検出素子としてはホール素子またはホールICまたは磁気抵抗素子が用いられている。そして、磁気検出素子は、ヨークの内周面に対向して配置されるように、センサカバー6のセンサ搭載部(図示せず)に保持固定されている。
【0021】
本実施例のスロットルボデー1は、熱可塑性樹脂等の樹脂材料(耐熱性樹脂、例えばポリフェニレンサルファイド:PPS、またはポリアミド樹脂:PA、またはポリプロピレン:PP、またはポリエーテルイミド:PEI等)によって所定の形状に一体的に形成された熱可塑性樹脂製品である。この熱可塑性樹脂製品は、ペレット状の樹脂素材を加熱して溶融し、この溶融樹脂に圧力をかけて射出成形用金型のキャビティ内に射出注入し、冷却して固化(硬化)した後に射出成形用金型の中から取り出す射出成形方法を用いて製造(樹脂一体成形)される。
【0022】
このスロットルボデー1は、内部にスロットルバルブ4を開閉自在に収容すると共に、内部をエンジンの各気筒内に吸入される吸入空気が中心軸線方向に流れる円筒部(スロットルボア壁部)2を有し、且つこの円筒部2の内部にエンジンの各気筒に向かう吸入空気(エア)が流れる断面円形状のスロットルボア(円形状空間、吸気通路)3を形成するスロットルハウジングである。また、スロットルボデー1は、スロットルボア3内にスロットルバルブ4を全閉位置から全開位置に至るまでの回動方向に回転自在に保持する装置であり、インテークマニホールドの上流端に固定ボルトや締結ネジ等の締結具(図示せず)を用いて締め付け固定されている。なお、円筒部2の外周部には、歯車減速機構の各構成要素を回転自在に収容する容器状のギヤボックス11、および電動モータを収容保持する円筒状のモータハウジング12等が一体的に形成されている。そして、ギヤボックス11およびモータハウジング12には、センサカバー6が組み付けられている。
【0023】
また、円筒部2の上流端は、吸入空気を濾過するエアクリーナ(図示せず)の下流端に吸気ダクト(図示せず)を介して気密的に結合されており、吸入空気の流れ方向に渡って略同一の内径となるように形成されている。なお、円筒部2の下流端には、インテークマニホールドが気密的に結合されているが、円筒部2とインテークマニホールドとの間に、吸気脈動を抑制するためのサージタンクを介装しても良い。また、スロットルボア3の内部には、スロットルバルブ4およびスロットルシャフト5が回転自在に組み込まれている。また、円筒部2には、例えば円筒状のベアリング等の軸受け部材(図示せず)を介して、スロットルシャフト5の軸方向の両端部を回転自在に軸支するシャフト軸受け部(図示せず)が設けられている。ここで、本実施例のスロットルボデー1の円筒部2のスロットルボア壁面(ボア内径面)13には、図1(c)に示したように、レーザー切断加工によって円環状の内周凸部14が形成されている。この内周凸部14は、図3に示したボア内径面13のように設けられていなくても良い。ここで、19は、スロットルボデー1の円筒部2の下流端をインテークマニホールドの上流端に締め付け固定するための固定ボルトや締結ネジ等の締結具が挿通する挿通孔である。
【0024】
本実施例のスロットルバルブ4は、熱可塑性樹脂等の樹脂材料(耐熱性樹脂、例えばポリフェニレンサルファイド:PPS、またはポリアミド樹脂:PA、またはポリプロピレン:PP、またはポリエーテルイミド:PEI等)によって略円板形状に一体的に形成された熱可塑性樹脂製品である。この熱可塑性樹脂製品は、ペレット状の樹脂素材を加熱して溶融し、この溶融樹脂に圧力をかけて射出成形用金型のキャビティ内に射出注入し、冷却して固化(硬化)した後に射出成形用金型の中から取り出す射出成形方法を用いて製造(樹脂一体成形)される。
【0025】
スロットルバルブ4は、スロットルボデー1の円筒部2のスロットルボア3内において開閉自在に収容されており、スロットルボア3内を流れる吸入空気の平均的な流れの軸線方向に対して略直交する方向に回転中心軸線を有するバタフライ弁方式の回転弁(バタフライ型バルブ)である。このスロットルバルブ4は、スロットルボア3の中心軸線とスロットルバルブ4の回転中心軸線との交点を中心とする円板状部(板状部)21、およびこの円板状部21を直径方向に貫通する円筒状部(筒状部)22を有している。そして、スロットルバルブ4は、この円板状部21の外周部(外周側端面)23とスロットルボデー1の円筒部2のボア内径面13との間の隙間(全閉クリアランス)を最小とし、且つ吸入空気量が最小となる全閉位置から、円板状部21の外周側端面23とスロットルボデー1の円筒部2のボア内径面13との間の隙間を最大とし、且つ吸入空気量が最大となる全開位置に至るまでの、回転動作可能範囲内において回転角度(バルブ角度、バルブ開度)が変更されることで、エンジンの各気筒内に吸入される吸入空気量を調整する。
【0026】
スロットルシャフト5は、例えば真鍮、ステンレス鋼等の金属材料により中軸丸棒状に形成されている。ここで、本実施例のスロットルシャフト5は、スロットルバルブ4を保持固定するバルブ保持部を有し、スロットルバルブ4を補強すると共に、スロットルバルブ4の円筒状部22の内部にインサート成形されている。また、スロットルシャフト5の軸方向の両端部は、スロットルバルブ4の円筒状部22の両端面より露出(突出)して、スロットルボデー1のシャフト軸受け部を軸受けとして摺動する。そして、スロットルシャフト5の軸方向の一端部には、歯車減速機構の構成要素の1つであるバルブギヤが一体的に組み付けられている。なお、バルブギヤの外周部には、スロットルバルブ4が全閉位置まで閉じた際に、ブロック状(または凸状)の全閉ストッパ(図示せず)に係止される被係止部としてのブロック状(または凸状)の全閉ストッパ部(図示せず)が一体的に形成されている。
【0027】
センサカバー6は、上述した回転角度センサのターミナル間や、電動モータへのモータ用通電端子間を電気的に絶縁することが可能な熱可塑性樹脂等の樹脂材料によって所定の形状に形成されている。そして、センサカバー6には、図示しないコネクタが接続される円筒形状のコネクタ受け部(コネクタシェル)31が樹脂一体成形されている。このコネクタ受け部31は、回転角度センサのターミナルおよび電動モータへのモータ用通電端子を構成する複数のコネクタピンを保持固定している。
【0028】
[実施例1の製造方法]
次に、本実施例の内燃機関用スロットル制御装置の製造方法を図1に基づいて簡単に説明する。ここで、図1(a)および図1(b)はレーザー切断方法を示した図である。なお、図1に示したスロットルバルブ4では、スロットルシャフト5のバルブ保持部の外周に樹脂一体成形される円筒状部22を省略して図示している。
【0029】
本実施例の射出成形用金型(成形金型)は、図示しない射出成形機に装着されており、主に固定金型(固定型)と、この固定金型に対して進退自在に移動可能な可動金型(可動型)とで構成されている。固定金型は、スロットルボデー1の円筒部2のボア内径と外径寸法が略一致した略円柱形状の固定型入れ子を有している。また、可動金型は、スロットルボデー1の円筒部2のボア内径と外径寸法が略一致した略円柱形状の可動型入れ子を有している。また、固定金型および可動金型には、スロットルシャフト5の軸方向の両端部(およびベアリング等の軸受け部材)を保持するシャフト保持部(および軸受け保持部)が設けられている。
【0030】
また、射出成形用金型の内部には、スロットルボデー1およびスロットルバルブ4の製品形状に対応した形状のキャビティが設けられている。このキャビティは、射出成形用金型内にペレット状の樹脂素材を供給する樹脂素材供給装置に接続されている。この樹脂素材供給装置は、樹脂供給流路の先端部に、キャビティ内にペレット状の樹脂素材を射出するためのゲート(樹脂注入口)を有している。また、本実施例では、同一の射出成形用金型内で、スロットルボデー1とスロットルバルブ4とを略同時に樹脂一体成形するために、スロットルバルブ4を、スロットルボア3内を流れる吸入空気の流量が最小となる全閉位置に相当するバルブ開度にて、スロットルボデー1の円筒部2の内部でスロットルバルブ4が一体的に形成された製品形状の熱可塑性樹脂製品(樹脂成形品)となるように、上記のキャビティを形成している。
【0031】
次に、上記の射出成形用金型を使用して行われる射出成形方法を説明する。先ず、射出成形工程の前工程として、射出成形用金型内にスロットルシャフト5(およびベアリング等の軸受け部材)をセットし、射出成形用金型の型締めを行う(型締め工程)。
次に、射出成形工程を開始する。先ず、樹脂素材供給装置から複数の樹脂供給流路を経由してゲートに供給されるペレット状の樹脂素材(加熱されて溶融状態の熱可塑性樹脂:以下溶融樹脂と言う)を、ゲートから射出成形用金型内に射出することで、射出成形用金型によって形成されるキャビティ内に溶融樹脂を充填する(射出・充填工程)。次に、型内樹脂圧力を徐々に増加させて射出時の最大型内樹脂圧力よりも大きな型内樹脂圧力で保圧を行う。すなわち、射出成形用金型内の溶融樹脂に所定の圧力を加えて、射出成形用金型のキャビティの周りに設けられる冷却水路(図示せず)内に冷却水を導入し、この冷却水による収縮分の溶融樹脂を、ゲートからキャビティ内に補充する(保圧工程)。
【0032】
次に、射出成形用金型内に充填された溶融樹脂を取り出し、常温にて冷却して硬化(固化)させる、あるいは射出成形用金型内で溶融樹脂を冷却水を用いて冷却して硬化(固化)させる。これにより、スロットルバルブ4を、スロットルボア3内を流れる吸入空気の流量が最小となる全閉位置に相当するバルブ開度にて、スロットルボデー1の円筒部2の内部でスロットルバルブ4が一体的に形成された製品形状の熱可塑性樹脂製品が、樹脂材料の射出成形によって製造される(射出成形工程、第1工程)。このとき、スロットルシャフト5は、スロットルバルブ4の円筒状部22の内部にインサート成形される。
【0033】
次に、上記のように、スロットルボデー1の円筒部2の内部において、スロットルボデー1の円筒部2のボア内径面13に、スロットルシャフト5をインサート成形したスロットルバルブ4の円板状部21が繋がった状態の熱可塑性樹脂製品(以下ワークと言う)を、図示しないレーザー加工装置の回転テーブルに載せる。この回転テーブルは、駆動モータにより所定の回転速度で回転駆動される。そして、回転テーブルの上方には、レーザー放出ヘッドが下向きに静止して設置されている。このレーザー放出ヘッドは、光伝送路を介してレーザー発振器に接続され、下方のワークに向けて収束されたレーザー光(レーザービーム)を放出する。
【0034】
レーザー発振器としては、例えば炭酸ガス(CO2 )レーザー発振器が使用される。なお、レーザー発振器として、半導体レーザー発振器、パルスYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザー発振器等を使用しても良い。ここで、ワークをレーザー切断加工する際には、通常、ワークのレーザー切断箇所周辺を冷却してワークの熱影響を防止する等の目的で、アシストガスをワークに吹き付けながら、レーザー切断加工を行っている。そこで、レーザー放出ヘッドには、アシストガスが供給され、ワークのレーザー切断箇所に向けてアシストガスが放出される。また、本実施例では、ワークに円形状の切断線を形成する必要があるため、回転テーブルを駆動モータによって回転させるようにしているが、レーザー放出ヘッドを保持する架台を周方向に回転させるようにしても良い。これにより、ワークのレーザー切断箇所にレーザー光を照射してワークを所定のレーザー切断箇所で切断するレーザー切断加工を、レーザー放出ヘッドから放出されるレーザー光をワークに対して相対移動させて行うことができる。
【0035】
次に、上記のレーザー加工装置を使用して行われるレーザー切断方法を図1(a)、(b)に基づいて説明する。先ず、ワークをレーザー加工装置の回転テーブルに載せて、回転テーブルを所定の回転速度で回転させる。このとき、レーザー光を照射するワークのレーザー加工位置は、切断加工後のスロットルボデー1の円筒部2のボア内径面形状およびスロットルバルブ4の円板状部21の外周側端面形状に合わせてセットされる。また、レーザー切断加工の調整、特に加工代の調整は、スロットルバルブ4の全閉時における洩れ空気流量が狙い通りの空気量(目標値)となる隙間が得られるように調整を行う。その他、レーザー出力や切断速度は、実験等により測定して作成したマップに基づいて適正値となるように調整しておく。
【0036】
レーザー切断加工が開始されると、図1(a)に示したように、先ずレーザー放出ヘッドから、例えばスロットルボア3内を流れる吸入空気の平均的な流れの軸線方向の上流側から下流側(A方向)に向けて、ワークのレーザー切断箇所にレーザー光を照射(放出)する。これにより、ワークのレーザー切断箇所が、瞬間的に溶融または蒸発することにより切断される。そして、回転テーブルを所定の方向に回転させることにより、レーザー放出ヘッドから放出されるレーザー光がワークに対して相対移動するため、ワーク(特にスロットルバルブ4の円板状部21の外周側端面部)に円形状の切断線が入る。
【0037】
上記のようにワーク(特にスロットルバルブ4の円板状部21の外周側端面部)に円形状の切断線が入ったら、回転テーブルの回転を一旦止めて、ワークを逆向きにして回転テーブル上に載せる。そして、図1(a)に示したように、レーザー放出ヘッドから、例えばスロットルボア3内を流れる吸入空気の平均的な流れの軸線方向の下流側から上流側(B方向)に向けて、ワークのレーザー切断箇所にレーザー光を照射(放出)する。これにより、ワークのレーザー切断箇所が、瞬間的に溶融または蒸発することにより切断される。そして、回転テーブルを所定の方向に回転させることにより、レーザー放出ヘッドから放出されるレーザー光がワークに対して相対移動するため、ワーク(特にスロットルバルブ4の円板状部21の外周側端面部)に円形状の切断線が入る。そして、ワーク(特にスロットルバルブ4の円板状部21の外周側端面部)に円形状の切断線が入ったら、回転テーブルの回転を止めて、回転テーブルよりワークを取り外す。すると、スロットルバルブ4の円板状部21とスロットルボデー1の円筒部2との間に円環状隙間(所定の加工代)を有する状態で、スロットルバルブ4の円板状部21とスロットルボデー1の円筒部2とが切り離される(レーザー切断工程、第2工程)。
【0038】
したがって、ワークが固化(硬化)した後に、レーザー光をワークに照射して、スロットルバルブ4の円板状部21の外周側端面部とスロットルボデー1の円筒部2のボア内径面13とを、スロットルボデー1の円筒部2に対するスロットルバルブ4の相対運動が可能となるようにレーザー切断加工を行うことにより、スロットルボデー1の円筒部2の内部に、スロットルバルブ4およびスロットルシャフト5が回転自在に組み込まれた製品形状の熱可塑性樹脂製品を製造することができる。このとき、レーザー光によってスロットルバルブ4の円板状部21の外周側端面部が所定の位置で、スロットルボデー1の円筒部2のボア内径面13より切り離されるので、スロットルバルブ4の円板状部21の外周側端面形状が、スロットルボデー1の円筒部2のボア内径面形状に倣い、スロットルボデー1の円筒部2のボア内径面13と、スロットルバルブ4の円板状部21の外周側端面23との間の隙間(全閉クリアランス)が必要最小限の隙間、つまりスロットルボア3内をスロットルバルブ4が回転可能な隙間(スロットルバルブ4の全閉時における洩れ空気流量が狙い通りの空気量(目標値)となる隙間)となる。
【0039】
[実施例1の作用]
次に、本実施例の内燃機関用スロットル制御装置の作用を図1ないし図3に基づいて簡単に説明する。
【0040】
運転者がアクセルペダルを踏み込むと、アクセル開度センサよりアクセル開度信号がECUに入力される。そして、ECUによってスロットルバルブ4が所定の角度となるように電動モータが通電されて、電動モータのモータシャフトが回転する。そして、電動モータのトルクが、ピニオンギヤ、中間減速ギヤおよびバルブギヤに伝達される。これにより、バルブギヤが、リターンスプリングの付勢力に抗してアクセルペダルの踏み込み量に対応した回転角度分だけ回転する。したがって、バルブギヤが回転するので、スロットルシャフト5がバルブギヤと同じ回転角度分だけ回転し、スロットルバルブ4が全閉位置より全開位置側へ開く方向(全開方向)に回転駆動される。この結果、スロットルボデー1のスロットルボア3が所定の角度だけ開かれるので、エンジンの回転速度がアクセルペダルの踏み込み量に対応した速度に変更される。
【0041】
逆に、運転者がアクセルペダルから足を離すと、リターンスプリングの付勢力によりスロットルバルブ4、スロットルシャフト5およびバルブギヤ等が元の位置(アイドリング位置、スロットルバルブ4の全閉位置)まで戻される。なお、運転者がアクセルペダルを戻すと、アクセル開度センサよりアクセル開度信号(0%)が出力されるので、ECUによってスロットルバルブ4がバルブ全閉時の開度となるように電動モータを通電して、電動モータのモータシャフトを逆回転させるようにしても良い。この場合には、電動モータによってスロットルバルブ4を全閉方向に回転駆動できる。
【0042】
[実施例1の効果]
以上のように、本実施例の内燃機関用スロットル制御装置においては、スロットルボデー1とスロットルバルブ4とを同一の射出成形用金型内で、スロットルボデー1とスロットルバルブ4とを同時に射出成形することにより、スロットルバルブ4の全閉位置にて、スロットルボデー1の円筒部2のボア内径面13(特に内周凸部14)にスロットルバルブ4の円板状部21の外周側端面部が繋がった状態の熱可塑性樹脂製品(ワーク)を製造している。そして、本実施例の射出成形用金型内には、射出成形工程の前工程、つまり射出成形用金型の型締めの際に、スロットルバルブ4を補強する補強部材としてスロットルシャフト5が予めセットされているため、スロットルバルブ4の円筒状部22の内部にスロットルシャフト5がインサート成形される。
【0043】
次に、冷却して固化(硬化)したワークをレーザー切断することによって、スロットルボデー1の円筒部2とスロットルバルブ4の円板状部21とを所定の円形状に切り離す。すなわち、スロットルボデー1の円筒部2のボア内径面形状とスロットルバルブ4の円板状部21の外周側端面形状とが略一致した所定の円形状に切り離す。これによって、スロットルボデー1およびスロットルバルブ4の樹脂成形後に、スロットルボデー1およびスロットルバルブ4の成形収縮に伴う変形(成形歪み)が生じた場合であっても、その成形歪みが生じた後に、ワークにレーザー光を照射することによって、スロットルボデー1とスロットルバルブ4とを、スロットルボデー1に対するスロットルバルブ4の相対運動が可能となるように切断することができる。したがって、スロットルバルブ4の全閉時(アイドル運転時)に、スロットルボデー1とスロットルバルブ4との間に形成される隙間寸法を必要最小限に抑えることができる。
【0044】
すなわち、スロットルボデー1の円筒部2のボア内径面13(特に内周凸部14)とスロットルバルブ4の円板状部21の外周側端面23との間に形成される隙間(全閉クリアランス)を最適値に設定できるので、スロットルバルブ4の円板状部21の外周側端面23が、スロットルバルブ4の全閉位置よりも手前でスロットルボデー1の円筒部2のボア内径面13(特に内周凸部14)と干渉することはなく、スロットルバルブ4の円板状部21の外周側端面23がスロットルボデー1の円筒部2のボア内径面13(特に内周凸部14)に食い付き難くなる。よって、スロットルバルブ4を正常に開閉動作させることができるので、スロットルバルブ4の全閉位置近傍の吸入空気量を微妙にコントロールすることができる。また、スロットルバルブ4の円板状部21の外周側端面23がスロットルボデー1の円筒部2のボア内径面13(特に内周凸部14)に食い付いて(引っ掛かって)動かなくなってしまうこともなくなるので、運転者の意志に基づいてエンジン(例えばエンジン回転速度またはエンジントルク)を自由にコントロールすることができる。
【0045】
また、スロットルボデー1の円筒部2のボア内径面13(特に内周凸部14)とスロットルバルブ4の円板状部21の外周側端面23との間に形成される隙間(全閉クリアランス)を最適値に設定できるので、スロットルバルブ4の全閉時(アイドル運転時)に、スロットルボデー1の円筒部2のボア内径面13(特に内周凸部14)とスロットルバルブ4の円板状部21の外周側端面23との間に形成される隙間寸法が増大することはない。これにより、スロットルバルブ4の全閉時における洩れ空気流量の増加を防止することができるので、スロットルバルブ4の全閉時(アイドル運転時)にエンジンの各気筒内に吸入される吸入空気量が適正値となり、エンジン回転速度が所望のアイドル回転速度となる。よって、エンジンの各気筒内に吸入される吸入空気量に対応して燃料噴射量を制御するものにおいては、アイドル運転時の燃費をより低燃費化することができる。
【0046】
また、スロットルボデー1の円筒部2のスロットルボア3内を流れる吸入空気の平均的な流れの軸線方向に対して平行となるように真っ直ぐにレーザー光をワークのレーザー切断箇所に照射することにより、ワークのレーザー切断加工が非常に容易となる。また、ワークの切断位置を、スロットルバルブ4の全閉位置近傍の空気流量特性に応じて任意に決定することにより、スロットルバルブ4の全閉位置近傍の吸入空気量を微妙にコントロールすることができる。
【実施例2】
【0047】
図4は本発明の実施例2を示したもので、図4(a)、(b)はレーザー切断方法を示した説明図で、図4(c)は内燃機関用スロットル制御装置の主要構造を示した図である。なお、図4に示したスロットルバルブ4では、スロットルシャフト5のバルブ保持部の外周に樹脂一体成形される円筒状部22を省略して図示している。
【0048】
本実施例では、ワークのレーザー切断箇所に、スロットルボデー1の円筒部2のスロットルボア3内を流れる吸入空気の平均的な流れの軸線方向に対して所定の角度だけ傾くようにレーザー光を照射して、スロットルボデー1の円筒部2とスロットルバルブ4の円板状部21とを切り離すようにしている。例えばスロットルボデー1の円筒部2のスロットルボア3の内径寸法を増加させるようにスロットルボデー1の円筒部2に鋭角的に食い込ませることで、スロットルボデー1の円筒部2とスロットルバルブ4の円板状部21とを切り離すようにしている。これにより、スロットルボデー1の円筒部2のボア内径面13に円環状の内周凹部15が形成される。
【0049】
これによって、スロットルボデー1の円筒部2のボア内径面13(特に内周凹部15)とスロットルバルブ4の円板状部21の外周側端面23との間に形成される隙間(全閉クリアランス)を最適値に設定できるので、実施例1と同様な効果を得ることができる。また、スロットルバルブ4の全開時にエンジンの各気筒内に吸入される吸入空気量が適正値となり、エンジン回転速度が所望のエンジン回転速度となる。また、スロットルボデー1の円筒部2のスロットルボア3の内部に突出した部分(バリまたは実施例1の内周凸部14等)がなくなるので、スロットルバルブ4の全開時にスロットルボデー1の円筒部2のスロットルボア3の内部を流れる吸入空気の吸気抵抗が減少するので、エンジン出力の低下を防止することができる。
【0050】
[変形例]
本実施例では、本発明を、電動モータの回転動力を、歯車減速機構等の動力伝達機構を経てスロットルシャフト5に伝達して、スロットルバルブ4のバルブ開度を運転者のアクセル操作量に応じて制御する内燃機関用スロットル制御装置(内燃機関用吸気制御装置)に適用した例を説明したが、本発明を、電動モータ等の動力ユニットを有しない内燃機関用スロットル装置に採用しても良い。この場合には、スロットルシャフト5の軸方向の一端部(または他端部)に一体的に設けたバルブギヤの代わりに、アクセルペダルまたはスロットルレバーにワイヤーケーブルを介して機械的に連結されるアクセルレバーを設ける。このようにしても、運転者のアクセル操作量をスロットルバルブ4およびスロットルシャフト5に伝えることができる。
【0051】
本実施例では、本発明の内燃機関用吸気制御装置を、内燃機関の気筒に吸入される吸入空気の流量(吸入空気量)を制御する内燃機関用スロットル制御装置に適用した例を説明したが、本発明の内燃機関用吸気制御装置を、インテークマニホールドの内部に形成される吸気通路の通路長また通路断面積を可変する可変吸気バルブを備えた内燃機関用可変吸気システムに使用される内燃機関用吸気制御装置に適用しても良い。また、本発明の内燃機関用吸気制御装置を、内燃機関の吸気ポートから燃焼室内に流入する吸入空気に渦流(タンブル流、スワール流、スキッシュ渦)を生起させる吸気流制御バルブを備えた内燃機関用吸気流制御装置に適用しても良い。
【0052】
本実施例では、スロットルボデー1およびスロットルバルブ4を樹脂材料によって一体的に形成し、且つスロットルシャフト5を金属材料によって一体的に形成したが、スロットルボデー1、スロットルバルブ4およびスロットルシャフト5を樹脂材料によって一体的に形成しても良い。また、スロットルボデー1およびスロットルバルブ4を樹脂一体成形する樹脂材料として、加熱されて溶融状態の樹脂材料(例えば熱可塑性樹脂よりなる溶融樹脂)に充填材(例えば低コストなガラス繊維、または粉末状の金属(アルミニウム等)、またはファイバー状の金属、あるいは粉末状のカーボン、または炭素繊維、または寸法精度に優れたミネラル(例えばCaCO3 等))または添加剤を混合または添加した樹脂系の複合材料(例えば繊維強化熱可塑性樹脂、ガラス繊維30%入りのポリブチレンテレフタレート:PBTG30や、ガラス繊維50%入りのポリフェニレンサルファイド:PPSG50)を用いても良い。
【0053】
ここで、スロットルバルブ4を樹脂材料によって一体的に形成し、且つスロットルシャフト5を金属材料によって一体的に形成した場合には、スロットルバルブ4の円筒状部22の内周とスロットルシャフト5のバルブ保持部の外周との間の食い付き性(結合性)を向上し、且つスロットルバルブ4のスロットルシャフト5に対する回転方向または軸方向の相対運動を防止する目的で、スロットルシャフト5のバルブ保持部の外周面の一部または全部にローレット加工等を施しても良い。例えばスロットルシャフト5のバルブ保持部の外周面の一部または全部に刻み目または凹凸部を形成しても良い。あるいはスロットルシャフト5のバルブ保持部の断面形状を2面幅を有する非円形状とし、また、スロットルバルブ4の円筒状部22の断面形状を2面幅を有する非円筒形状としても良い。これにより、スロットルバルブ4とスロットルシャフト5との回転方向の相対回転運動を防止できる。
【0054】
また、スロットルボデー1の円筒部2のシャフト軸受け部(ベアリングホルダ)のシャフト軸受け穴の内周に嵌合保持される軸受け部材(ベアリング等)の摺動孔の内周面とスロットルシャフト5の軸方向の両端部の外周面との間に、フッ素系樹脂や二硫化モリブデン等の潤滑性に優れる潤滑剤を塗布しても良い。また、スロットルシャフト5の軸方向の両端部の外周面に離型剤または潤滑剤(フッ素系樹脂や二硫化モリブデン等)を塗布しても良い。これにより、スロットルバルブ4およびスロットルシャフト5の制御応答性を向上できる。
【0055】
本実施例では、スロットルボデー1の円筒部2の内部に形成されるスロットルボア3を円形状空間としているが、ボデー(ハウジング)の内部に形成されるボア(吸気通路)を長円形状空間、楕円形状空間、半円形状空間、多角形状空間(例えば矩形状空間、長方形状空間)としても良い。この場合には、スロットルバルブ4等の吸気制御バルブがボア形状に対応した形状となる。吸気制御バルブの形状は、例えば長円板形状、楕円板形状、半円板形状、多角板形状となる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】(a)、(b)はレーザー切断方法を示した説明図で、(c)は内燃機関用スロットル制御装置の主要構造を示した概略図である(実施例1)。
【図2】内燃機関用スロットル制御装置の全体構造を示した正面図である(実施例1)。
【図3】図2のA−A断面図である(実施例1)。
【図4】(a)、(b)はレーザー切断方法を示した説明図で、(c)は内燃機関用スロットル制御装置の主要構造を示した概略図である(実施例2)。
【図5】スロットルボデーとスロットルバルブとの全閉クリアランスを示した断面図である(従来の技術)。
【符号の説明】
【0057】
1 スロットルボデー
2 円筒部(スロットルボア壁部)
3 スロットルボア(吸気通路)
4 スロットルバルブ
5 スロットルシャフト
13 円筒部のボア内径面(スロットルボア壁面)
14 内周凸部
15 内周凹部
21 スロットルバルブの円板状部
22 スロットルバルブの円筒状部
23 スロットルバルブの外周側端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の気筒に連通するボアが形成されたボデーと、前記ボアの内部を流れる吸入空気を制御するバルブとを共に樹脂化した内燃機関用吸気制御装置において、
(a)前記バルブが、前記ボデーと前記バルブとの隙間が最小となる全閉位置にて前記ボアの内部で一体的に形成された製品形状の樹脂成形品となるように、前記ボデーと前記バルブとを樹脂一体成形する第1工程と、
(b)前記樹脂成形品が固化した後に、レーザー光を前記樹脂成形品に照射して前記ボデーと前記バルブとを、前記ボデーに対する前記バルブの相対運動が可能となるように切り離す第2工程と
を備えた内燃機関用吸気制御装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の内燃機関用吸気制御装置の製造方法において、
前記樹脂成形品をレーザー光によって切断する切断加工は、レーザー光を前記樹脂成形品に対して相対移動させて行うことを特徴とする内燃機関用吸気制御装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の内燃機関用吸気制御装置の製造方法において、
前記樹脂成形品をレーザー光によって切断する切断位置は、前記バルブの全閉位置近傍の空気流量特性に応じて任意に決定することを特徴とする内燃機関用吸気制御装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載の内燃機関用吸気制御装置の製造方法において、
前記第2工程では、前記樹脂成形品のレーザー切断箇所に、前記ボア内を流れる吸入空気の平均的な流れの軸線方向に対して平行となるようにレーザー光を照射することを特徴とする内燃機関用吸気制御装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載の内燃機関用吸気制御装置の製造方法において、
前記第2工程では、前記樹脂成形品のレーザー切断箇所に、前記ボア内を流れる吸入空気の平均的な流れの軸線方向に対して所定の角度だけ傾くようにレーザー光を照射することを特徴とする内燃機関用吸気制御装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−92604(P2007−92604A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−281824(P2005−281824)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】