説明

内装パネル

【課題】パネル本体を係止して設置するための壁面側の受け金具の取付位置を迅速に決定でき、かつ取り扱いもしやすい内装パネルを提供する。
【解決手段】複数の受け金具30のうち、壁面2の上下鉛直方向に取り付けされる複数の受け金具30は、折り畳み可能な長尺連結部材3を介して、パネル本体10の裏面11における上下鉛直方向の引掛け金具20の取付位置間隔に対応させて連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の壁面に設置される内装パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の内装パネルとしては、パネル本体の裏面に引掛け金具を固定し、一方、壁面には引掛け金具を係止する係止片を備えた受け金具を固定して、パネル本体に固定した引掛け金具を受け金具の係止片に引掛けて壁面に取り付けるようにしたものが一般に知られている。
【0003】
このような引掛け金具は、パネル本体の裏面の上下左右の複数箇所に取り付けられることが通例であり、この引掛け金具の位置に合わせて、壁面にも対応した複数の受け金具を固定する必要がある。
【0004】
したがって、当然に、受け金具は引掛け金具の位置に対応させて壁面に正確に位置決めして取り付けされなければならないが、受け金具を引掛け金具の取付位置の間隔に合わせて帯状のプレート等にあらかじめ固定したものを用意しておけば、現場における受け金具の位置決め作業を軽減することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−129854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、壁面側の金具取付の位置決め作業には、金具間隔を正しく定めることに加えて、方向、特に鉛直方向についても正しく定めることが必要とされる。
【0007】
この鉛直方向の測定には微妙な調整を必要とするが、上記の帯状のプレートによる位置決め方法では、現場において受け金具の取付位置間隔の測定作業を行う必要はないものの、鉛直方向の微妙な測定作業を効率的に行えるものとはなっていないため、現場での取付作業に時間を要するおそれがある。また、帯状のプレートは金属、合成樹脂等の硬質材料で製されているため、縦長のパネル本体に対応させたものは自ずと長尺のものとなってしまい、保管、搬送などの取り扱いがしにくくなるといった問題もある。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、パネル本体を係止して設置するための壁面側の受け金具の取付位置を迅速に決定でき、かつ取り扱いもしやすい内装パネルを提供することにある。
【0009】
また、壁面と内装パネルとの隙間間隔が大きくなることなく、施工後に見映えのよい内装パネルを提供することを第2の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る内装パネルは、パネル本体と、パネル本体の裏面に取り付けされる複数の引掛け金具と、壁面に取り付けされる、それらの複数の引掛け金具に対応した複数の受け金具とを備えた内装パネルであって、複数の受け金具のうち、壁面の上下鉛直方向に取り付けされる複数の受け金具を、折り畳み可能な長尺連結部材を介して、パネル本体の裏面における上下鉛直方向の引掛け金具の取付位置間隔に対応させて連結していることを特徴とする。
【0011】
このように折り畳み可能な長尺連結部材を使用するので、この長尺連結部材に受け金具を取り付けてから、長尺連結部材の上部を壁面に固定して下方に垂らせば、重力で容易に鉛直方向を測定することができ、現場での位置決め作業の手間を省くことができる。もちろん受け金具は事前に引掛け金具の取付位置に合わせて長尺連結部材に取り付けておけるので、現場で受け金具の取付位置の間隔を測定をする必要もない。また、長尺連結部材は折り畳み可能であるため、保管、搬送などの取り扱いにおいても便利である。
【0012】
また、本発明に係る内装パネルは、長尺連結部材が薄フィルムまたは糸で形成されたものとしてもよい。
【0013】
このような構成によれば、長尺連結部材の厚みがほとんどないため、壁面と内装パネルとの隙間間隔を小さくして施工後の見映えをよくすることができる。特に、パネル本体に金具収容凹所を設けたものでは、パネル本体を壁面にほぼ密着させることもできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る内装パネルは、上記のような構成とすることで、パネル本体を係止して設置するための壁面側の受け金具の取付位置を迅速に決定でき、現場における作業の効率化が図れる。また、長尺連結部材は折り畳むことができるので取り扱いもしやすい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る内装パネルの実施形態を示した、内装パネルの施工状態の斜視図および部分拡大斜視図である。
【図2】受け金具の取付説明図である。
【図3】(a)、(b)は同内装パネルの施工手順を示す部分縦断面図である。
【図4】(a)、(b)は同内装パネルの施工手順を示す部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【0017】
以下に示す内装パネルは、室内の壁面に設置されるパネルであり、サウンドパネル、空気清浄パネル、輻射暖房パネル、光パネル等の薄型機能パネルが内装パネルとして適用できる。
【0018】
図1〜図4は、本発明に係る内装パネルの実施形態の説明図である。図1は、同内装パネルの施工状態の斜視図および部分拡大斜視図である。図2は、受け金具の取付説明図であり、内装パネルの構成部材である受け金具を、同じく構成部材である長尺連結部材に固定して、その上部に配された受け金具を壁面に取り付けた状態を模式的に示している。また、図3(a)、(b)は同内装パネルの施工手順を示す部分縦断面図、図4(a)、(b)は同内装パネルの施工手順を示す部分縦断面図である。
【0019】
この内装パネル1は、壁面2に取り付けされる縦長の薄型機能パネルであって、パネル本体10と、そのパネル本体10を壁面2に取り付けるための複数組の係止金具と、壁面側に取り付ける金具を等間隔に固定する長尺連結部材3とを含んで構成されている。パネル本体10の裏面11の複数個所(図例ではパネル本体10の左右端に3箇所ずつ計6箇所)には、後述する2種の係止金具を相互係止させた状態で収容させるための上下左右に配列された複数の金具収容凹所12が形成されている。
【0020】
金具収容凹所12は、2種の係止金具を係止させた状態で、そのほぼ全体を収容できる程度の深さ(奥行き)寸法と、相互係止作業が可能な程度の上下寸法を必要とする。なお、幅寸法については、係止金具を収容できるものであれば十分に幅広のものでもよいが、本実施形態では、パネル本体10に十分な強度を持たせるために、係止金具の幅寸法よりもやや幅広としている。
【0021】
係止金具は、パネル本体10に取り付けされる引掛け金具20と、壁面2に取り付けされる受け金具20とより構成されており、これらは現場での施工の際にパネル本体10および壁面2に取り付けて使用すればよいが、引掛け金具20は事前に金具収容凹所12内に収容固定しておくことが、現場作業を効率的に行うためには望ましい。
【0022】
引掛け金具20は、ビス等で金具収容凹所12の底面12aの上端部に固定される、取付孔を有した固定部21と、受け金具30と相互に係止される引掛け片22とを備えている。この引掛け片22は、上部に配された逆「く」字形の折曲押圧片22aと、下部に配されたガイド片22bとを備えて全体として板ばねを構成し、折曲押圧片22aの下端折曲部22aa(ガイド片22bの基端部)が底面12aとの間にわずかな隙間を開けた状態で、金具収容凹所12内に固定されている。この引掛け金具20を壁面2に固定された受け金具30に係止させたときには、引掛け片22が板ばねとして作用して、折曲押圧片22aの下端部22aaが復帰弾性力でもって金具収容凹所12の底面12aとの間に受け金具30を挟持するようになっている。
【0023】
一方、受け金具30は、取付孔31aを介してビス等で壁面2に固定される基部片31と、この基部片31より壁面2前方かつ上方に延設され、パネル本体10に取り付けされた引掛け金具20の引掛け片22を引掛け挿入させるための、壁面2との間に形成される挿入口34を形成させる係止片32とを備えている。本実施形態では、この係止片32は、基部片31の上端から上方に傾斜した傾斜部32aと、その傾斜部32aの上端から真上に延びた起立部32bとより構成されている。
【0024】
さらに受け金具30は、基部片31の下端近傍に、基部片31の幅方向の両端よりパネル本体10の裏面11側に向けて突出した一対の突片よりなる突部33を備えている。この突部33は、壁面2から壁面2に取り付けた受け金具30の係止片32の前方面32baまでの水平方向の距離D(図3(a)参照)とほぼ同寸法とし、かつ、パネル本体10を壁面2に取り付けたときに、全体が金具取付凹部12内に収容される。
【0025】
このような複数の受け金具30は、図1に示すように、上下方向の複数の受け金具30を連結することのできる長尺連結部材3を介して、壁面2に取り付けされる。
【0026】
この長尺連結部材3は、合成樹脂等で製された柔軟な薄フィルムであり、伸縮しない材料を使用することが望ましい。また、長尺連結部材3の幅寸法は、図1に示したように受け金具30の幅寸法と同程度であればよく、さらに幅狭であってもよい。また、長さ寸法は、上下方向の複数の受け金具30を引掛け金具20の取付位置間隔に対応して取り付けられる長さがあればよいが、壁面2にパネル本体10を取り付けたときにパネル本体10の上下よりはみ出ないように、パネル本体10の縦寸法よりも短くするほうが望ましい。
【0027】
例えば出荷前などに、あらかじめこの長尺連結部材3に、複数の受け金具30のうち壁面2の上下鉛直方向に取り付けるものを引掛け金具20の上下間隔に合わせて同じ間隔で固定しておき、現場での施工の際には、長尺連結部材3と受け金具30とを一体化したものをそのまま壁面2に取り付けるようにする。
【0028】
このとき、まず、図2に示すように長尺連結部材3の上部に配された受け金具30のみを位置合わせしたうえで、長尺連結部材3の上端を壁面2に一点で固定するか、あるいは、上部に配された受け金具30のみを正しい位置に固定する。そうすると、長尺連結部材3には複数の受け金具30が取り付けてあるから、図2に示すように、長尺連結部材3は重力によってそれらの受け金具30とともに下方に垂れ下がり、振り子のような左右の揺動を繰り返すが、その後、長尺連結部材3は揺動が止まり、鉛直方向に停止する。
【0029】
このように揺動が停止した後に順次、受け金具30を壁面2に固定していき、さらに他の列についても同様の作業を順次行い、受け金具30を壁面2に固定していけばよい。
【0030】
このように、柔軟な長尺連結部材3を用いて上記のような手順で受け金具30をまとめて壁面2に取り付けるようにしているため、重力で鉛直方向を簡単に正しく測定することができ、壁面2上の位置決めを効率的に行うことができる。
【0031】
また、長尺連結部材3は折り畳み可能な材料で製されているから、適所で折り曲げることができ、そのため折り畳んだ状態で不便なく、保管、搬送等の取り扱いができる。
【0032】
さらに、本実施形態では長尺連結部材3が薄フィルムで形成されているので、厚みはほとんどないに等しく、後述する図3および図4に示すように、長尺連結部材3の厚みによって、壁面2とパネル本体10との隙間間隔が大きくなることはなく、よって長尺連結部材3によって美観が損ねられるおそれはない。
【0033】
ついで、図3および図4を参照しながら、内装パネル1の壁面2への施工手順について説明する。
【0034】
まず、長尺連結部材3に取り付けた受け金具30を、図2に示した方法でパネル本体10の裏面11の金具収容凹所12の位置に合致するように壁面2に固定しておき、金具収容凹所12に引掛け金具20を収容固定したパネル本体10を、引掛け金具20の位置と、受け金具30の位置とが概ね合うように壁面2の前方より近づけていく(図3(a)参照)。
【0035】
パネル本体10をさらに壁面2に近づけ、受け金具30の係止片32をパネル本体10の裏面11位置まで移動させると(図3(b)参照)、金具収容凹所12と受け金具30の位置が合っていれば、図4(b)に示すように、引掛け金具20と受け金具30とは金具収容凹所12内の適切な位置関係に配されるが、そうでない場合は、パネル本体10の裏面11が壁面2に固定した受け金具30の前方面32baにほぼ接した状態となり(図3(b)参照)、その位置でパネル本体10を上下左右に動かしながら、正しい位置を探すことになる。
【0036】
このとき、受け金具30の係止片32の前方面32baがパネル本体10の裏面11に接した状態となるが、受け金具30の基部片31に形成された一対の突片(突部33)の先端33aもパネル本体10の裏面11に接する。そして、この突片がパネル本体10の壁面2側への押圧を規制することになるため、それ以後は、パネル本体10を壁面2側へ押し付けたとしても、受け金具30の係止片32には、折れ曲がったり変形したりするほどの押圧力は付加されず、係止片32を保護することができる。
【0037】
こうした位置合わせ作業をしながら、受け金具30が金具収容凹所12内の引掛け金具20よりも下方の空間に入り込むと、その後、パネル本体10を下方にずらすことで引掛け金具20の引掛け片22が受け金具30の挿入口34より係止片32と壁面2との間の空間に挿入される。このとき、引掛け金具20の下端には外側に開いたガイド片22bが形成されているため、図4(a)のように受け金具30が完全に金具収容凹所12内に収容されていない状態でも、パネル本体10の下方へのずらし操作によって、受け金具30の係止片32の上端が引掛け金具20のガイド片22bの裏側に接触しながら、係止片32は金具取付凹所12の底面12aと引掛け金具20の引掛け片22との間の空間に入り込み、それと同時に板ばねとして形成された引掛け片22は、壁面2側にやや弾性変形した状態で挿入口34から下方に向かって入り込んでいく。
【0038】
そうして、引掛け片22の基端部22cの裏側が受け金具30の係止片32の先端に当て止めされ、それとほぼ同時に、ガイド片22bが受け金具30の傾斜部32aに面接触すると、引掛け金具20と受け金具30の相互の係止が完了して、パネル本体10は壁面2に正しく設置される。
【0039】
この場合、上記面接触が、受け金具30の係止片32の先端による規制タイミングよりもやや早くなるように相互の金具の長さ寸法が調整されていれば、図4(b)に示すように、引掛け片22が係止片32の先端により当て止めされるまでの間、引掛け金具20のガイド片22bは、その先端が壁面2に到達するまで傾斜部32aの上面を滑ってゆき、その結果、引掛け片22は壁面2側へ弾性変形した状態となる。
【0040】
したがって、このような状態が保持されると、その状態では引掛け片22の復帰弾性力が作用して、引掛け片22はパネル本体10を裏面11側より押圧しようとし、その結果、金具収容凹部12の底面12aとの間で受け金具30の係止片32を強力に挟み込むので、パネル本体10は壁面2に安定的に固定される。
【0041】
本実施形態では、パネル本体10に金具収容凹所12を設けているので、パネル本体10を壁面2に正しく取り付けた状態では、両方の係止金具を金具収容凹所12に壁面2方向に突出させることなく収容でき、さらに長尺連結部材3が薄フィルムで形成されているため、図4(b)に示すように、パネル本体10と壁面2との間には長尺連結部材3のみが挟み込まれることになるから、パネル本体10を壁面2にほぼ密着した状態に設置することができる。
【0042】
以上の実施形態では、長尺連結部材3として薄フィルムを示したが、伸縮性がなく、かつ折り畳み可能で受け金具を鉛直下方にぶら下げることができる材料であれば他のものでもよく、例えば、糸や紐、両面テープなども使用できる。
【符号の説明】
【0043】
1 内装パネル
2 壁面
3 長尺連結部材
10 パネル本体
11 裏面
12 金具収容凹所
20 引掛け金具
21 固定部
22 引掛け片
22a 折曲押圧片
22b ガイド片
22c 基端部
30 受け金具
31 基部片
31a 取付孔
32 係止片
32a 傾斜部
32b 起立部
33 突部
34 挿入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル本体と、該パネル本体の裏面に取り付けされる複数の引掛け金具と、壁面に取り付けされる、それらの複数の引掛け金具に対応した複数の受け金具とを備えた内装パネルであって、
上記複数の受け金具のうち、壁面の上下鉛直方向に取り付けされる複数の受け金具を、折り畳み可能な長尺連結部材を介して、上記パネル本体の裏面における上下鉛直方向の引掛け金具の取付位置間隔に対応させて連結していることを特徴とする内装パネル。
【請求項2】
請求項1において、
上記長尺連結部材は薄フィルムで形成されている内装パネル。
【請求項3】
請求項1において、
上記長尺連結部材は糸で形成されている内装パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−69454(P2011−69454A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−222115(P2009−222115)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】