説明

内装材の取付構造及びその取付方法

【課題】 内装材の取付構造及びその取付方法に関し、構造が簡単であるため作業が迅速に行えて施工性及び耐久性に優れた内装材の取付構造及びその取付方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 スタッドの注入口の裏側に、アジャスター12のレベル調整部32を係合保持させる一方、このアジャスターの固定部34を壁基礎面に止着してスタッドを壁基礎面に仮固定し、スタッドの前方からアジャスターの操作盤48又は貫通孔50を利用してレベル調整部32を回転操作して、壁基礎面とスタッドとの間隔を調整し、スタッドの注入口26から弾性接着剤9を注入して貫通孔50を通過させ、支持台の空間部40に注入保持させて壁基礎面との間に充填し、弾性接着剤9の硬化を待たずにスタッド8の表面側に内装材を敷設する構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内装材の取付構造及びその取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物等の壁基礎面には、スタッド等からなる内装下地を形成して、これに内装材を取り付ける二重壁構造が採用されている。この内装材の取付方法として、弾性接着剤を用いて壁基礎面にスタッドを取り付ける方法が知られている。この方法は、壁基礎面の前方に所定の間隔をおいてスタッドを配置し、このスタッドの裏面と壁基礎面との間に保持部材を介在させこれに弾性接着剤を充填して、スタッドを壁基礎面に弾性接着するものである。
しかし、上記弾性接着剤を用いた方法では、弾性接着剤が硬化するまでに約1〜3日程度の時間がかかり、その間は作業が中断されることから工事期間の管理も容易ではない。
【0003】
この施工期間を改善した工法として、本願出願人は先に特許文献1に示す内装材の取付工法を開示した。この工法は、図5(a)(b)に示すように、壁面60に近接して上下部位にそれぞれランナー61を取付け、これらランナー間に所定の間隔をおいてスタッド62を架設するとともに、当該スタッド62の後方の壁面に支持部材63を固着し、支持部材の左右の側面部に、それぞれレベル調整具64を差し込みスタッド62を保持固定する。
そして、スタッド62と壁面60との間に保持部材65を装着し、スタッド62の注入口66から上記保持部材65に弾性接着剤67を充填し、弾性接着剤の硬化を待たずにスタッド62の表面側に内装材を取り付けることであり、これにより作業工程が迅速に行えて施工性が良くなるというものである。
【0004】
また、特許文献2の内装ボードの取付方法は、スタッドと駆体壁との間に発泡ウレタンフォームを直接注入して、短時間で発泡ウレタンフォーム全体を硬化させ、これにより後続作業である内装ボードの張り付け作業にすぐに着手できるというものである。
【特許文献1】特開2008−2158号公報
【特許文献2】特開2006−77435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、上記特許文献1の工法は、スタッドに支持部材、レベル調整具及び弾性接着剤を保持する保持部材を取付ける必要があることから、部品点数が増えるという問題があり、また特許文献2の発泡ウレタン剤を用いた工法では、簡易迅速に施工が行えるものであるが、発泡ウレタンは地震等における層間変位の追随性が悪くまた壁基礎面などから発泡ウレタン剤が剥離し易いという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、構造が簡単であるため作業が迅速に行えて施工性及び耐久性に優れた内装材の取付構造及びその取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の技術的課題を解決するため、本発明に係る内装材の取付構造は、図1等に示すように、壁基礎面10に近接して上下側にそれぞれ取り付けられたランナー6と、上記ランナー間に所定の間隔をおいて架設され、前面板部20には注入口26が形成され裏側の左右にフランジ片22,22が形成された断面C字状のスタッド8と、上記スタッドに取り付けられるレベル調整部32、及びこのレベル調整部と螺合し上記壁基礎面に固定される支持台30からなり、このレベル調整部32には上記フランジ片22,22の内側に係合される係合盤46、及びこの係合盤から隙間をあけて操作盤48が設けられ、上記支持台30には上記レベル調整部32の筒状軸部と螺合する基部36、この基部の両側に設けられ上記壁基礎面に止着される固定部34が設けられ、上記レベル調整部の筒状軸部44と上記基部36を貫通し、この基部の裏側の凹状の空間部40に至る貫通孔50が設けられたアジャスター12とを有し、上記スタッドの注入口の裏側に、上記アジャスター12のレベル調整部32を係合保持させる一方、このアジャスターの上記固定部34を上記壁基礎面に止着してスタッドを壁基礎面に仮固定し、上記スタッドの前方から上記アジャスターの操作盤48又は上記注入口と連通する上記貫通孔50を利用して上記レベル調整部32を回転操作しこのレベル調整部の高さを加減して、上記壁基礎面とスタッドとの間隔を調整し、上記スタッドの注入口26から弾性接着剤9を注入して上記貫通孔50を通過させて上記支持台の空間部40に注入保持させて上記壁基礎面との間に充填し、上記弾性接着剤9の硬化を待たずに上記スタッド8の表面側に内装材を敷設する構成である。
【0008】
本発明に係る内装材の取付構造は、上記アジャスター12の係合盤46を円形状とし、この係合盤46を上記スタッドの側面部に内接させて係合した構成である。
【0009】
本発明に係る内装材の取付構造は、上記アジャスター12の上記基部36には雌ねじが刻設された円筒状の筒部38を設け、上記レベル調整部の筒状軸部44の外周側にこのレベル調整部と一体に筒状の保持軸部42を形成し、上記筒状軸部44と上記保持軸部42との間に円筒状の収納部45を形成し、且つこの保持軸部42の周囲に上記係合盤46及び上記操作盤48を一体形成し、上記レベル調整部の上記筒状軸部44と上記支持台の筒部38との螺合により、この支持台の筒部38が、このレベル調整部の上記収納部45に収納される構成である。
【0010】
本発明に係る内装材の取付構造において、上記アジャスターの操作盤48の径は、上記スタッド8の横幅よりも大きく形成された構成である。
【0011】
本発明に係る内装材の取付方法は、図1等に示すように、壁基礎面10に近接して上下側にそれぞれランナー6を取り付け、前面板部20には所定の間隔をおいて注入口26が形成され、裏側の左右にフランジ片22,22が形成された断面C字状のスタッド8の上記注入口の裏側に、予めアジャスター12を取り付け、上記アジャスターは、上記スタッドに取り付けられるレベル調整部32、及びこのレベル調整部と螺合し上記壁基礎面に固定される支持台30からなり、このレベル調整部には上記フランジ片の内側に係合される係合盤46、及びこの係合盤から隙間をあけて操作盤48が設けられ、上記支持台30には上記レベル調整部の筒状軸部44と螺合する基部36、及びこの基部の両側に設けられ上記壁基礎面に止着される固定部34が設けられ、上記レベル調整部の筒状軸部と上記基部を貫通し、この基部の裏側の凹状の空間部40に至る貫通孔50が設けられた形状とし、上記スタッドに取り付けられた上記アジャスターの固定部34を、上記壁基礎面に止着してスタッドを壁基礎面に仮固定し、上記スタッドの前方から上記アジャスターの操作盤48又は上記注入口と連通する上記貫通孔50を利用して上記レベル調整部32を回転操作しこのレベル調整部の高さを加減して、上記壁基礎面とスタッドとの間隔を調整し、この後、上記スタッドの注入口26から弾性接着剤9を注入し、上記貫通孔50を通過させて上記支持台の空間部40に注入保持させて上記壁基礎面との間に充填し、上記弾性接着剤9の硬化を待たずに上記スタッド8の表面側に内装材を敷設することである。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明に係る内装材の取付構造によれば、スタッドの注入口の裏側に、アジャスターのレベル調整部を係合保持させる一方、このアジャスターの固定部を壁基礎面に止着してスタッドを壁基礎面に仮固定し、スタッドの前方からレベル調整部を回転操作して壁基礎面とスタッドとの間隔を調整し、スタッドの注入口から弾性接着剤を注入して貫通孔を通過させて支持台の空間部に注入保持させて壁基礎面との間に充填し、弾性接着剤の硬化を待たずにスタッドの表面側に内装材を敷設する構造を採用したから、アジャスターでスタッドを仮固定し弾性接着剤を充填した後は、その硬化を待たずに直ちにスタッドに内装材の敷設工程に移ることができるので、各作業工程の間に待ち時間なく連続して次の工程を行うことができて内装材の施工が短時間で完了し、全体の施工が迅速に行え施工性が大幅に改善されるという効果を奏する。また、スタッドと壁基礎面との間に弾性接着剤が介在されているので、地震等による層間変位の追随の良い弾性接着剤の接着固定により、スタッドの壁基礎面からの剥離や落下が防止でき、耐震性、耐久性に優れるという効果がある。
【0013】
また本発明に係る内装材の取付構造によれば、アジャスターの係合盤を円形状とし、この係合盤をスタッドの側面部に内接させて係合した構成としたから、アジャスターのスタッドへの係合が容易にかつ確実に行なえるとともに、操作盤の回転操作も良好に行なえるという効果がある。
【0014】
また本発明に係る内装材の取付構造によれば、レベル調整部と支持台との螺合により、この支持台の筒部が、このレベル調整部の収納部に収納される構成としたから、支持台に対するレベル調整部の高さ位置を低くすることができ、これによりスタッドを壁基礎面に近づけふかし幅を狭くして室内空間を広くすることができるという効果がある。
【0015】
また本発明に係る内装材の取付構造によれば、アジャスターの操作盤の径は、スタッドの横幅よりも大きく形成した構成としたから、作業者による操作がし易く施工性に優れるという効果がある。
【0016】
本発明に係る内装材の取付工法によれば、スタッドの上記注入口の裏側に、予めアジャスターを取り付け、スタッドに取り付けられたアジャスターの固定部を、壁基礎面に止着してスタッドを壁基礎面に仮固定し、レベル調整部を回転操作して壁基礎面とスタッドとの間隔を調整し、注入口から弾性接着剤を注入して支持台の空間部に注入保持させて壁基礎面との間に充填し、弾性接着剤の硬化を待たずにスタッドの表面側に内装材を敷設することとしたから、アジャスターでスタッドを仮固定し弾性接着剤を充填した後は、その硬化を待たずに直ちにスタッドに内装材の敷設工程に移ることができるので、各作業工程の間に待ち時間なく連続して次の工程を行うことができて内装材の施工が短時間で完了し、全体の施工が迅速に行え施工性が大幅に改善されるという効果を奏する。また、地震等による層間変位の追随の良い弾性接着剤の接着固定により、スタッドの壁基礎面からの剥離や落下が防止でき、耐震性、耐久性に優れるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係る内装材の取付構造及びその取付工法を図面に基づいて説明する。図1及び図4は、上記内装材の取付構造を示したものである。この取付構造は、建物の天井面2及び床スラブ4に取付けられるランナー6、ランナー6間に架設されるスタッド8、このスタッド8に取り付けて使用されスタッド8を建物の躯体等の壁基礎面10に固定するアジャスター12を有し、弾性接着剤9を用いてアジャスター12とともにスタッド8を壁基礎面10に固定し、スタッド8の表面に石膏ボード等の内装材14を敷設する構造である。
【0018】
図1に示すように、上記ランナー6は断面コの字状の長尺状軽量鋼材である。また、上記スタッド8は、前面板部20、側板部21,21及び裏側のフランジ片22,22からなる断面Cの字状の長尺状軽量鋼材である。このスタッド8の前面板部20には、所定の間隔をおいて上記弾性接着剤9の注入口26が複数設けられている。
【0019】
図2,3は、上記アジャスター12を示したものであり、これはポリアミド等の合成樹脂製の部材からなる。このアジャスター12は、壁基礎面10に対するスタッド8のふかし幅(壁基礎面からスタッドの前面板部までの幅)の位置決め、及びスタッドの仮固定を行なうとともに、スタッド8の注入口26から注入された弾性接着剤9を保持してスタッド8を壁基礎面10に固定する。
【0020】
上記アジャスター12は図3に示すように、支持台30とレベル調整部32からなる。この支持台30は、左右に設けられた翼状の固定部34,34の中央部には一段高く形成された板状の基部36が形成されている。この基部36の表面の中央部には円筒状の筒部38が突設形成され、この筒部38の内の貫通した孔部は基部36を貫通した形態である。この筒部38の内周には、雌ねじ溝39が刻設されている。また支持台30には、基部36の裏側に凹状の空間部40が形成されている。
【0021】
また、上記レベル調整部32には、円形の底部41を有する有底円筒状の大径の保持軸部42、及びこの保持軸部42の内部に上記底部41を介して一体に形成される円筒状の小径の筒状軸部44が形成されている。この筒状軸部44の外周には、雄ねじ溝47が刻設されている。
また、上記保持軸部42の中間部には、円形の係合盤46及びこれより大径の円形に近い形状の操作盤48が、保持軸部42と同一中心をなしてこれと一体形成されている。また、上記底部41の外部には周囲の近傍に複数の小突起43が形成されている。
【0022】
上記操作盤48は、周囲の複数個所に円弧状に切り欠かかれた操作凹部49が形成され、作業者の手による回転操作を容易にしている。また、この操作盤48の最大の中心径の寸法は、スタッド8の横幅よりも大きく形成されている。ここでは、操作盤48の最大中心径は60mmとし、スタッド8の横幅は40mmとしている。
【0023】
上記筒状の保持軸部42と、上記筒状軸部44との間には円筒状の収納部45が形成されている。また、上記筒状軸部44の筒の内部には断面六角の貫通孔50が形成されており、この貫通孔50は、支持台30の筒部38と連通して支持台30の空間部40に通じている。上記貫通孔50に回転工具を介在させ、これを回してレベル調整部32を回転操作することができる。
【0024】
上記アジャスター12は、支持台30の筒部38の雌ねじと、レベル調整部32の筒状軸部44の雄ねじとが螺合し、これにより支持台30に対してレベル調整部32を回転させることで両者間の間隔が拡縮する。
【0025】
また、支持台30とレベル調整部32とを螺合させたときに、支持台30の筒部38の一部又は全部が、レベル調整部32の筒状軸部44の外周側の収納部45に収納される。この収納によりアジャスター12は、支持台30に対するレベル調整部32の高さ位置を(筒部38の高さ分)低くすることができ、このためスタッド8を壁基礎面10に近づけて配置することができ、ふかし幅を狭くして室内空間を広くすることができる。この実施の形態ではふかし幅として、壁基礎面10とスタッド8との間隔を20mm〜33mmの範囲で調整可能としている。
【0026】
ここで、図1及び図4に基づき実施の形態に係る内装材の取付方法について説明する。
まず、予め上記スタッド8の注入口26の裏側に上記アジャスター12を取り付けておく。このアジャスター12は、レベル調整部32の係合盤46をスタッド8の内部に収納し、この係合盤46をスタッド8のフランジ片22,22の内側に係合させた状態で取り付ける。
【0027】
この状態では、レベル調整部32の保持軸部42の底部41の小突起43はスタッド8の前面板部20の裏面部に当接し、係合盤46がスタッド8のフランジ片22,22の内面に当たって係合する。また、係合盤46と操作盤48との間の隙間にスタッド8のフランジ片22,22が介在し、これらフランジ片22,22が保持軸部42を挟持した状態となる。また、スタッド8の内部空間23に嵌ったレベル調整部32の係合盤46の外周部は、スタッド8の側板部21,21の内壁に接して内接する。
【0028】
上記アジャスター12の操作盤48の外径はスタッド8の横幅より大きく形成されていることから、スタッド8に裏側に取り付けたアジャスター12の操作盤48は前方からの操作が容易となり、スタッド8の前方から操作者の手でこの操作盤48を回転操作可能である。また、上記係合盤46は円板形であるから、これと一体成形された操作盤48を回転操作すると、この係合盤46はスタッド8の側板部21,21に内接した状態で回転する。スタッド8の他の注入口26の裏側にも、上記と同様にしてアジャスター12を取り付ける。
【0029】
さらに、上記アジャスター12の固定部34,34の裏面にそれぞれ両面テープ52を接着しておく。一方、上記準備と併せて、建物の天井面2及び床スラブ4にそれぞれランナー6,6をピン等の止着具を用いて取り付ける。また、上記アジャスター12を取り付けたスタッド8を、上記ランナー6,6間に架設する。これらスタッド8は、各端部をランナー6の溝部に差し込んで取り付け、各スタッド8は、所定の間隔をおいて互いに平行に配置する。また、スタッド8の両端部は各ランナー6にビス等の止着具を用いて固定する。
【0030】
そして、スタッド8に取り付けた各アジャスター12についても、固定部34,34を両面テープ52により壁基礎面10に接着する。このようにして、スタッド8を壁基礎面10に仮固定する。
次に、作業者によりスタッド8の注入口26からアジャスター12の貫通孔50に回転工具(六角レンチ等)を介在させてレベル調整部32を回転操作し、又はスタッド8の前方からアジャスター12の操作盤48を回してレベル調整部32を回転操作し、アジャスター12の高さを加減して壁基礎面10とスタッド8との間隔を調整する。
【0031】
続いて、弾性接着剤9を壁基礎面10とアジャスター12間に充填する工程を行なう。この弾性接着剤9としては、硬化後、弾性力を有する樹脂系からなる接着剤が用いられるが、好ましくは、プライマーの処理の必要がなく、無溶剤型で耐久性、接着性に優れる変性シリコーン樹脂接着剤が良い。
ここではボンド注入具などを用いて、スタッド8の各注入口26から弾性接着剤9を注入する。この弾性接着剤9は、そのままアジャスター12の貫通孔50を通過して支持台30の裏側の空間部40に注入保持され、これにより弾性接着剤9が壁基礎面10との間に充填される。
【0032】
さて、この状態では、弾性接着剤9は未硬化であるが、スタッド8はアジャスター12により壁基礎面10に固定されているため、このまま次の工程である内装材14等の取り付け作業を行うことができる。このため、弾性接着剤16が未硬化の状態のまま、直ちに内装材14の敷設工程に移る。この工程では、上記壁基礎面10に仮固定されたスタッド8の表面に、石膏ボード等からなる内装材14をビス等の止着具を用いて取り付けて施工を終える。上記弾性接着剤16の硬化には通常1〜3日を要し、この硬化後は、弾性接着剤9によりアジャスター12を介してスタッド8は壁基礎面10に弾性接着される。
【0033】
したがって、上記実施の形態においては、アジャスター12によりスタッド8を仮固定し弾性接着剤の充填後は、その硬化を待たずに直ちにスタッドに内装材を敷設する工程に移ることができるので、各作業工程が待ち時間なく連続して行えて内装材の施工が短時間で完了し、全体の施工が迅速に行え施工性が大幅に改善されるという効果がある。
【0034】
またアジャスター12は、単独で壁基礎面10とスタッド8との間の間隔調整、仮固定及び弾性接着剤9の充填保持の機能を有しているため、部品点数が削減され、また施工も簡単であり施工性にも優れる。さらに、スタッドと壁基礎面との間に硬化後において弾性特性を有する弾性接着剤が介在されているので、地震等による層間変位の追随の良い弾性接着剤の接着固定により、スタッドの壁基礎面からの剥離や落下が防止でき、耐震性、耐久性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態に係る内装材の取付構造を示す図である。
【図2】実施の形態に係るアジャスターの斜視図である。
【図3】実施の形態に係るアジャスターの分解斜視図である。
【図4】実施の形態に係る内装材の取付構造の正面図である。
【図5】従来例に係る内装材の取付構造を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
6 ランナー
8 スタッド
9 弾性接着剤
10 壁基礎面
12 アジャスター
14 内装材
20 前面板部
22 フランジ片
26 注入口
30 支持台
32 レベル調整部
34 固定部
36 基部
38 筒部
40 空間部
42 保持軸部
44 筒状軸部
45 収納部
46 係合盤
48 操作盤
50 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁基礎面に近接して上下側にそれぞれ取り付けられたランナーと、
上記ランナー間に所定の間隔をおいて架設され、前面板部には注入口が形成され裏側の左右にフランジ片が形成された断面C字状のスタッドと、
上記スタッドに取り付けられるレベル調整部、及びこのレベル調整部と螺合し上記壁基礎面に固定される支持台からなり、このレベル調整部には上記フランジ片の内側に係合される係合盤、及びこの係合盤から隙間をあけて操作盤が設けられ、上記支持台には上記レベル調整部の筒状軸部と螺合する基部、及びこの基部の両側に設けられ上記壁基礎面に止着される固定部が設けられ、上記レベル調整部の筒状軸部と上記基部を貫通し、この基部の裏側の凹状の空間部に至る貫通孔が設けられたアジャスターとを有し、
上記スタッドの注入口の裏側に、上記アジャスターのレベル調整部を係合保持させる一方、このアジャスターの上記固定部を上記壁基礎面に止着してスタッドを壁基礎面に仮固定し、上記スタッドの前方から上記アジャスターの操作盤又は上記注入口と連通する上記貫通孔を利用して上記レベル調整部を回転操作しこのレベル調整部の高さを加減して、上記壁基礎面とスタッドとの間隔を調整し、上記スタッドの注入口から弾性接着剤を注入して上記貫通孔を通過させ、上記支持台の空間部に注入保持させて上記壁基礎面との間に充填し、
上記弾性接着剤の硬化を待たずに上記スタッドの表面側に内装材を敷設することを特徴とする内装材の取付構造。
【請求項2】
上記アジャスターの係合盤を円形状とし、この係合盤を上記スタッドの側面部に内接させて係合したことを特徴とする請求項1記載の内装材の取付構造。
【請求項3】
上記アジャスターの上記基部には雌ねじが刻設された円筒状の筒部を設け、上記レベル調整部の筒状軸部の外周側にこのレベル調整部と一体に筒状の保持軸部を形成し、上記筒状軸部と上記保持軸部との間に円筒状の収納部を形成し、且つこの保持軸部の周囲に上記係合盤及び上記操作盤を一体形成し、
上記レベル調整部の上記筒状軸部と上記支持台の筒部との螺合により、この支持台の筒部が、このレベル調整部の上記収納部に収納されることを特徴とする請求項1又は2記載の内装材の取付構造。
【請求項4】
上記アジャスターの操作盤の径は、上記スタッドの横幅よりも大きく形成されていることを特徴とする請求項1,2又は3記載の内装材の取付構造。
【請求項5】
壁基礎面に近接して上下側にそれぞれランナーを取り付け、
前面板部には所定の間隔をおいて注入口が形成され、裏側の左右にフランジ片が形成された断面C字状のスタッドの上記注入口の裏側に、予めアジャスターを取り付け、
上記アジャスターは、上記スタッドに取り付けられるレベル調整部、及びこのレベル調整部と螺合し上記壁基礎面に固定される支持台からなり、このレベル調整部には上記フランジ片の内側に係合される係合盤、及びこの係合盤から隙間をあけて操作盤が設けられ、上記支持台には上記レベル調整部の筒状軸部と螺合する基部、この基部の両側に設けられ上記壁基礎面に止着される固定部が設けられ、上記レベル調整部の筒状軸部と上記基部を貫通し、この基部の裏側の凹状の空間部に至る貫通孔が設けられた形状とし、
上記スタッドに取り付けられた上記アジャスターの固定部を、上記壁基礎面に止着してスタッドを壁基礎面に仮固定し、
上記スタッドの前方から、上記アジャスターの操作盤又は上記注入口と連通する上記貫通孔を利用して上記レベル調整部を回転操作しこのレベル調整部の高さを加減して、上記壁基礎面とスタッドとの間隔を調整し、
この後、上記スタッドの注入口から弾性接着剤を注入し、上記貫通孔を通過させて上記支持台の空間部に注入保持させて上記壁基礎面との間に充填し、
上記弾性接着剤の硬化を待たずに上記スタッドの表面側に内装材を敷設することを特徴とする内装材の取付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−150825(P2010−150825A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330798(P2008−330798)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000177139)三洋工業株式会社 (46)
【Fターム(参考)】