説明

内視鏡装置

【課題】戻り光の波長が照射光の波長と異なる場合でも、異なる深さ位置からの戻り光にきちんと合焦できる内視鏡装置を提供すること。
【解決手段】内視鏡装置は、照射光が照射された対象物からの戻り光により対象物を撮像する内視鏡装置であって、軸上色収差を有し、照射光に含まれる異なる波長域の光を、それぞれ光軸方向の異なる位置に集光する第1光学系と、第1光学系によって対象物内に集光された照射光の集光位置からの、照射光に含まれる光とは波長域が異なる第1戻り光および第1戻り光とは波長域が異なる第2戻り光を、光軸方向に略同じ位置に集光する第2光学系と、第2光学系により集光された第1戻り光および第2戻り光を受光する受光部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生物組織の異なる深さ位置の情報を光学的に取得する観察装置が知られている(例えば、特許文献1および2参照)。
特許文献1 特開2005−99430号公報
特許文献2 特開2007−47228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
蛍光観察では、照射した光とは波長が異なる蛍光を検出しなければならない。対物レンズを用いて照射光の集光点を波長毎に深さ分離しても、観察光の波長が照射光の波長域と異なる場合、対物レンズを通じて観察される位置は、照射光の波長で深さ分離された位置とは異なる位置になってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の一態様においては、照射光が照射された対象物からの戻り光により対象物を撮像する内視鏡装置であって、軸上色収差を有し、照射光に含まれる異なる波長域の光を、それぞれ光軸方向の異なる位置に集光する第1光学系と、第1光学系によって対象物内に集光された照射光の集光位置からの、照射光に含まれる光とは波長域が異なる第1戻り光および第1戻り光とは波長域が異なる第2戻り光を、光軸方向に略同じ位置に集光する第2光学系と、第2光学系により集光された第1戻り光および第2戻り光を受光する受光部とを備える。
【0005】
対象物は、照射光に含まれる異なる波長域の光の少なくともいずれかの光により励起されてルミネッセンス光を発光するルミネッセンス物質を含んでおり、第2光学系は、ルミネッセンス物質が発光するルミネッセンス光である第1戻り光および第2戻り光を、光軸方向の略同じ位置に集光してよい。
【0006】
ルミネッセンス物質は、照射光に含まれる異なる波長域の光によりそれぞれ励起されて、互いに異なる波長域の第1ルミネッセンス光および第2ルミネッセンス光を発光し、第2光学系は、第1ルミネッセンス光である第1戻り光および第2ルミネッセンス光である第2戻り光を、光軸方向の略同じ位置に集光してよい。
【0007】
第1戻り光が属する波長域の光を透過する第1波長フィルタ、および、第2戻り光が属する波長域の光を透過する第2波長フィルタをさらに備え、受光部は、第1波長フィルタが透過した光を受光する第1受光素子、および、第2波長フィルタが透過した光を受光する第2受光素子を有してよい。
【0008】
複数の第1波長フィルタおよび複数の第2波長フィルタは2次元的に配列されており、第1受光素子および第2受光素子はそれぞれ、複数の第1波長フィルタおよび複数の第2波長フィルタに対応する位置に複数設けられてよい。
【0009】
受光部が受光した第1戻り光および第2戻り光に基づいて、対象物内の照射光の集光位置の画像を生成する画像生成部をさらに備えてよい。
【0010】
照射光を発光する光源をさらに備えてよい。
【0011】
光源は、互いに異なる波長域のルミネッセンス光を発光する異なるルミネッセンス物質をそれぞれ励起する異なる波長域の光を含む照射光を発光してよい。
【0012】
ルミネッセンス物質を対象物に注入する注入部をさらに備えてよい。
【0013】
第2光学系は、第1光学系とは光軸の向きを異ならせて配置されてよい。
【0014】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一実施形態に係る内視鏡装置10の一例を示す図である。
【図2】送光管280の構成例を、検体20とともに模式的に示す図である。
【図3】撮像部124の構成例を、検体20とともに模式的に示す図である。
【図4】挿入部120の励起光照射系および撮像系の構成例を模式的に示す図である。
【図5】波長フィルタ部330および受光部320の構成例を模式的に示す図である。
【図6】撮像部124による照明光画像および蛍光画像の撮像タイミングの一例を示す図である。
【図7】表示装置140の画面の一例を示す図である。
【図8】画像生成部102が生成する蛍光画像の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0017】
図1は、一実施形態に係る内視鏡装置10の一例を示す。本実施形態の内視鏡装置10は、一例として生物である検体20の画像を撮像する。具体的には、内視鏡装置10は、照射光が照射された検体20からの戻り光により検体20を撮像する。
【0018】
一実施形態において、内視鏡装置10は、検体20内部の異なる深さの蛍光画像を撮像する。具体的には、内視鏡装置10は、異なる波長域の励起光を、軸上色収差を有する照射光学系を通じて検体20に照射する。検体20の内部では、励起光は、照射光学系の光軸上に、波長毎に異なる位置に集光される。検体20には蛍光物質が含まれており、波長毎に集光された励起光は、実質的にそれぞれの集光位置に存在する蛍光物質をそれぞれ励起することができる。蛍光物質は各集光位置で蛍光を発生して、内視鏡装置10に戻り光として入射する。つまり、内視鏡装置10が照射した励起光は、波長変換されて戻り光として内視鏡装置10に入射する。
【0019】
内視鏡装置10が有する撮像光学系は、検体20内の各集光位置からの蛍光を、撮像光学系の光軸上の略同じ位置に集光する軸上色収差を有している。内視鏡装置10は、この撮像光学系を通じて検体20を蛍光撮像することで、異なる深さ位置の蛍光画像を一度に撮像することができる。本実施形態の内視鏡装置10によれば、異なる深さ位置の蛍光画像をワンショットで撮像して、観察者に提示することができる。
【0020】
本実施形態において検体20としては、人間等の生体内部の胃、大腸・結腸等の腸管などの臓器を例示することができる。臓器とは、臓器の内膜および外膜を含む概念とする。本実施形態において、内視鏡装置10による撮像の対象となる部位を特に検体20と呼ぶ。内視鏡装置10は、挿入部120、光源110、制御装置100、蛍光剤注入装置170、表示装置140、記録装置150、挿入器具180を備える。挿入部120の先端部は、本図のA部に拡大して示す。
【0021】
挿入部120は、挿通口122、撮像部124、および、ライトガイド126を有する。挿入部120の先端部には、撮像部124の一部としての対物レンズ125を有する。対物レンズ125は、撮像光学系に含まれる。また、挿通口122の先端部は、ノズル121を有する。
【0022】
挿入部120は、生体内に挿入される。挿通口122には、検体20を処置する鉗子等の処置具が挿入される。処置具は、挿入器具180の一例とする。挿通口122は、挿入された挿入器具180を先端部へとガイドする。挿入器具180の一例としての鉗子は、各種の先端形状を備えることができる。ノズル121は、水あるいは空気を検体20に向けて送出する。
【0023】
ライトガイド126は、光源110が発光した光を照射部128へと導く。ライトガイド126は、例えば光ファイバを用いて実装できる。照射部128は、ライトガイド126により導かれた光を検体20に向けて照射する。撮像部124は、検体20からの戻り光を対物レンズ125を通じて受光して、検体20を撮像する。
【0024】
撮像部124は、ライトガイド126を通じて照射された光により、検体20の照明光画像を撮像することができる。撮像部124は、可視波長域に属する比較的にブロードなスペクトルの照明光により、検体20の照明光画像を撮像する。照明光画像を撮像する場合、光源110は可視光に属する略白色の光を発光する。照明光には、例えばR波長域、G波長域およびB波長域の光を含む。光源110が発光した照明光は、ライトガイド126を通じて照射部128から検体20に向けて照射される。対物レンズ125には、検体20によって照明光が反射、散乱されて、照明光と実質的に同じ波長域に広がる可視光域の光が、戻り光として入射する。撮像部124は、検体20からの戻り光を、対物レンズ125を通じて撮像する。なお、光源110は、照明光を発生する照明光光源を有してよい。照明光光源としては、キセノンランプなどの放電ランプ、LEDなどの半導体発光素子などを例示することができる。
【0025】
撮像部124は、照明光画像の他に、検体20のルミネッセンス光画像を撮像することができる。ルミネッセンス光画像は、検体20からの戻り光の一例であるルミネッセンス光による画像とする。ルミネッセンス光は、蛍光および燐光を含む概念とする。本実施形態において、撮像部124は、照射光の一例である励起光等の光による光ルミネッセンスにより生じたルミネッセンス光を、対物レンズ125を通じて撮像するとする。特に、撮像部124は、光ルミネッセンスによる蛍光により、ルミネッセンス光画像の一例としての蛍光画像を撮像する。
【0026】
検体20の蛍光画像を撮像する場合、光源110は励起光を発光する。光源110が発光した励起光は、例えば挿入器具180の一例としての送光管に設けられる励起光ライトガイドを通じて、挿通口122の先端部から検体20に向けて照射される。検体20には、ルミネッセンス物質の一例としての蛍光物質が含まれており、蛍光物質は励起光により励起されて、励起光とは波長域が異なる蛍光を発する。例えば、検体20は、励起光より長波長域の蛍光を発する。撮像部124は、戻り光である蛍光により、検体20の蛍光画像を撮像する。なお、光源110は、励起光を発生する励起光光源を有してよい。励起光光源としては、LED、ダイオードレーザなどの半導体発光素子を例示することができる。また、励起光光源として、ダイオードレーザの他、固体レーザ、液体レーザなど、種々のレージング媒体を用いたレーザを使用することができる。
【0027】
励起光は、撮像光学系とは異なる照射光学系を通じて、検体20に照射される。励起光ライトガイドの一部としての照射光学系は、送光管の先端部に設けられる。励起光は、照射光学系を通じて、検体20に照射される。本実施形態において励起光は、互いに異なる波長域に属する複数の成分光を含む。そして照射光学系は、軸上色収差を有している。照射光学系が有する軸上色収差により、励起光に含まれる異なる波長域の成分光は、光軸上の異なる位置に集光される。励起光の各成分光をともに検体20の内部に集光させるべく、送光管が挿通口122内に位置決めされた状態で、励起光が検体20に照射される。
【0028】
検体20に含まれる蛍光物質は、励起光のいずれの成分光によっても励起される。蛍光物質は、外部から検体20に注入されてよい。例えば、蛍光剤注入装置170により、蛍光物質が検体20に注入される。本実施形態において、撮像部124は、検体20に含まれる異なる種類の蛍光物質の蛍光によって検体20を撮像する。
【0029】
第1の蛍光物質としては、インドシアニングリーン(ICG)を例示することができる。蛍光剤注入装置170は、静脈注射によって、生体の血管内にICGを注入してよい。蛍光剤注入装置170は、制御装置100の制御により、生体内のICG濃度を略一定に維持すべく検体20へのICG注入量を制御する。ICGは、例えば赤外波長域に属する波長780nmの光により励起されて、830nmの波長域を主とするスペクトルの蛍光を発する。本実施形態では、撮像部124は、第1の蛍光物質であるICGが発する蛍光により、検体20の蛍光画像を撮像する。
【0030】
第2の蛍光物質としては、検体20の細胞などの構成成分がもともと含む生体内蛍光物質を例示することができる。生体内蛍光物質としては、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)を例示することができる。NADHは、紫外波長域に属する波長340nmの光により励起されて、450nmの波長域を主とするスペクトルの蛍光を発する。このように、撮像部124は戻り光に含まれる自家蛍光により、検体20の蛍光画像を撮像することができる。
【0031】
撮像部124が蛍光画像を撮像する場合、光源110は、340nmの波長域を主要成分として含む励起光、および、780nmの波長域を主要成分として含む励起光を発光する。光源110が発光した励起光は、軸上色収差を持つ照射光学系を通じて、成分光毎に検体20内の異なる位置に集光される。これにより、450nmを主とする蛍光と、830nmを主とする蛍光とが、検体20内の互いに異なる位置から生じる。一方、照射光学系とは異なる軸上色収差を持つ撮像光学系によって、各蛍光は撮像光学系の光軸上の略同じ位置に集光される。撮像部124は、集光位置に設けられた受光素子で蛍光を受光することによって、検体20の異なる位置の蛍光画像を撮像することができる。
【0032】
なお、撮像対象となる蛍光を発する生体内蛍光物質としては、NADHの他、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)などを例示することができる。蛍光物質は、いずれもが外部から注入された蛍光物質であってよく、いずれもが生体内蛍光物質であってもよい。また、蛍光物質としては、外部から注入された蛍光物質および生体内蛍光物質の任意の組み合わせであってよい。蛍光物質は2種類に限らず、3種類以上の蛍光物質を用いることができる。また、異なる波長域の光により励起されて、互いに異なる波長域の蛍光を発する蛍光物質を用いる場合、撮像部124は、当該蛍光物質だけからの蛍光で撮像することができる。
【0033】
検体20に光を照射することによって、検体20内の集光位置から照射光の波長域とは異なる波長域の光が内視鏡装置10へと戻される場合、撮像部124は当該戻り光により検体20を撮像することができる。例えば、ルミネッセンス光が発生するプロセスとしては、光ルミネッセンスの他、化学ルミネッセンス、熱ルミネッセンスなどを例示することができる。検体20に光を照射することで、化学プロセスおよび/または熱プロセスを経て間接的に検体20からルミネッセンス光が生じる場合、撮像部124は当該ルミネッセンス光により検体20を撮像することができる。
【0034】
制御装置100は、画像生成部102および制御部104を有する。制御部104は、撮像部124および光源110を制御して、撮像部124に照明光画像および蛍光画像を撮像させる。具体的には、制御部104は、撮像部124に照明光画像と蛍光画像とを時間的に切り替えて撮像させる。
【0035】
画像生成部102は、撮像部124が撮像した照明光画像および蛍光画像に基づき、外部に出力する出力用画像を生成する。例えば、画像生成部102は、生成した出力用画像を、記録装置150および表示装置140の少なくとも一方に出力する。具体的には画像生成部102は、撮像部124が撮像した複数の画像から映像を生成して、記録装置150および表示装置140の少なくとも一方に出力する。画像生成部102は、インターネットなどの通信回線を通じて、記録装置150または表示装置140の少なくとも一方に出力用画像を出力してよい。
【0036】
表示装置140は、画像生成部102によって生成された照明光画像および蛍光画像を含む画像を表示する。また、記録装置150は、画像生成部102によって生成された照明光画像および蛍光画像を含む画像を、不揮発性の記録媒体に記録する。例えば、記録装置150は、ハードディスク等の磁気記録媒体、光ディスク等の光学記録媒体に画像を記録する。
【0037】
以上説明した内視鏡装置10によれば、検体20内の異なる深さ位置からの蛍光を一度にきちんと受光できる。このため、検体20内の異なる深さ位置の蛍光画像を一度に撮像することができる。また、深さ方向の位置関係が分かり易い蛍光像を観視者に提供することができる。
【0038】
図2は、送光管280の構成例を、検体20とともに模式的に示す。送光管280は、励起光ライトガイドとしての導光管210および照射光学系200を、内部に含む。導光管210は、光源110が発生した波長340nm(λ1)の波長域の光と、光源110が発生した波長780nm(λ2)の波長域の光とが結合された励起光を導光する。導光管210としては、光ファイバにより実装することができる。
【0039】
導光管210により導光された励起光は、軸上色収差を有する照射光学系200を通じて検体20に照射される。照射光学系200は、励起光の波長域についての球面収差は、軸上色収差と比較すると良好に補正されているとする。照射光学系200は、励起光に含まれるλ1の成分光を、照射光学系200の光軸上のA点に実質的に集光する。また、照射光学系200は、励起光に含まれるλ2の成分光を、照射光学系200の光軸上の、A点とは異なるB点に実質的に集光する。なお、検体20内部にA点およびB点をともに位置させるべく、送光管280が挿通口122内で位置合わせされた状態で、励起光を照射するとする。
【0040】
図3は、撮像部124の構成例を、検体20とともに模式的に示す。撮像部124は、撮像光学系300および受光部320を有する。撮像光学系300は対物レンズ125および色収差補正光学系310を含む。ここでは内視鏡システム10の本質を明確にするため、A点およびB点が撮像光学系300の光軸上に位置しているとする。また、撮像部124の一部構成として撮像光学系300および受光部320を特に抽出して説明する。
【0041】
照射光学系200によりA点に集光されたλ1の成分光は、A点に存在するNADHを励起する。励起されたNADHは、450nm(λ3)の波長域の蛍光を発する。照射光学系200によりB点に集光されたλ2の成分光は、B点に存在するICGを励起する。励起されたICGは、780nm(λ4)の波長域の蛍光を発する。λ3の蛍光は、第1戻り光の一例であり、λ4の蛍光は第2戻り光の一例である。
【0042】
撮像光学系300は、A点から発生したλ3の光およびB点から発生したλ4の光を実質的にC点に集光する光学特性を持つ。特に、色収差補正光学系310により、A点からのλ3の光およびB点からのλ4の光について色収差が補正される。ここで、A点からのλ3の光が撮像光学系300によって集光される撮像光学系300の光軸上の位置と、B点からのλ4の光が撮像光学系300によって集光される撮像光学系300の光軸上の位置との間の位置差をZで表すとする。色収差補正光学系310は、色収差補正光学系310が存在しない場合より、撮像光学系300のZを低減することができる光学系であればよい。
【0043】
受光部320は、撮像光学系300の光軸方向のC点の近傍に設けられる。これにより、受光部320のC点近傍に存在する受光素子は、撮像光学系300により集光されたλ3の蛍光およびλ4の蛍光を受光することができる。すなわち、受光部320は、撮像光学系300により集光されたλ3の蛍光およびλ4の蛍光を受光することができる。
【0044】
なお、検体20が生体等のような光散乱性の媒質である場合、A点およびB点に向けて集光される各成分光は検体20によって散乱される。このため、各成分光は、集光点のまわりにある程度広げられる。このため、受光部320は、各成分光が広げられた範囲内で生じた蛍光を受光することができる。これにより、撮像部124は、A点近傍の蛍光画像およびB点近傍の蛍光画像を一度に撮像することができる。
【0045】
以上において説明したように、照射光学系200は、励起光に含まれる異なる波長域の光を、それぞれ光軸方向の異なる位置に集光する。検体20に含まれる蛍光物質は、励起光に含まれる異なる波長域の光によりそれぞれ励起されて、互いに異なる波長域の蛍光を発光する。そして、撮像光学系300は、ともに蛍光である第1戻り光および第2戻り光を、撮像光学系300の光軸方向の略同じ位置に集光する。
【0046】
図4は、挿入部120における励起光照射系および撮像系の構成例を模式的に示す。送光管280は、挿通口122によりガイドされて検体20の表面近傍に位置決めされる。送光管280の先端は、検体20の表面に当接して位置決めされてもよい。光源110からの励起光は照射光学系200を通じて検体20に照射される。励起光に含まれるλ1の成分光がA点に向けて集光され、励起光に含まれるλ2の成分光はB点に向けて集光される。
【0047】
撮像部124は、受光部320および波長フィルタ部330を有する。撮像光学系300は、A点からのλ3の光、および、B点の位置からのλ4の光を、撮像光学系300の光軸方向の略同位置に集光する光学特性を有する。受光部320は、撮像光学系300による集光位置に設けられる。撮像光学系300と受光部320との間の戻り光の光路中には、受光部320に近接して波長フィルタ部330が設けられる。波長フィルタ部330は、少なくともλ3の光およびλ4の光を選択的に透過する光透過特性を有する。波長フィルタ部330は、励起光が属するλ1およびλ2の光を実質的にカットする光透過特性を有することが好ましい。
【0048】
本図に示すように、撮像光学系300は、照射光学系200とは光軸の向きを異ならせて配置される。ただし、照射光学系200の光軸は撮像光学系300の光軸とは直交させず、照射光学系200による各成分光の集光点を撮像光学系300の光軸方向に異ならせる。
【0049】
A点で発生したλ3の蛍光は、撮像光学系300を通じて受光部320に集光される。また、B点で発生したλ4の蛍光も、撮像光学系300を通じて受光部320で集光される。そして、A点近傍で発生したλ3の蛍光は、λ3の蛍光像として受光部320に結像する。また、B点近傍で発生したλ4の蛍光も同様に、λ4の蛍光像として受光部320に結像する。受光部320が有する受光素子が受光した受光信号は、撮像信号として画像生成部102に供給される。
【0050】
図5は、波長フィルタ部330および受光部320の構成例を模式的に示す。波長フィルタ部330は、青の波長域の光を選択的に透過する複数のB光透過フィルタ501、緑の波長域の光を選択的に透過する複数のG光透過フィルタ502、および、赤の波長域の光を少なくとも透過する複数のR光透過フィルタ503を含む。
【0051】
本図では、B光透過フィルタ501aおよびb、G光透過フィルタ502a−d、R光透過フィルタ503aおよびcが示されている。B光透過フィルタ501a、2のG光透過フィルタ502a、R光透過フィルタ503aがマトリクス状に配列されて1つの波長フィルタユニットが形成される。波長フィルタ部330は、当該波長フィルタユニットと同配列の複数の波長フィルタユニットがマトリクス状に配列された波長フィルタアレイであってよい。このように、複数のB光透過フィルタ501、複数のG光透過フィルタ502、および、複数の複数のR光透過フィルタ503が2次元的に配列されて、波長フィルタ部330が形成される。
【0052】
受光部320は、B光透過フィルタ501、G光透過フィルタ502、および、R光透過フィルタ503がそれぞれ透過した光を選択的に受光する位置に、複数の受光素子が配列されて形成される。具体的には、受光部320は、青の波長域の光を選択的に受光する複数のB光受光素子511、緑の波長域の光を選択的に受光する複数のG光受光素子512、および、赤の波長域の光を少なくとも受光する複数のR光受光素子513が2次元的に配列された受光素子アレイであってよい。
【0053】
具体的には、B光受光素子511aは、B光透過フィルタ501aが透過した光を受光する。G光受光素子512aは、G光透過フィルタ502aが透過した光を受光する。また、R光受光素子513aは、R光透過フィルタ503aが透過した光を受光する。このように、B光受光素子511、G光受光素子512、R光受光素子513はそれぞれ、複数のB光透過フィルタ501、複数のG光透過フィルタ502、および複数のR光透過フィルタ503に対応する位置に複数設けられる。これらの受光素子としては、CCD、CMOS等の撮像素子を例示することができる。
【0054】
ここで、R光透過フィルタ503は、赤の波長域の光に加え、ICGが発光する蛍光の波長域を通過することができる。すなわち、R光透過フィルタ503は、赤の波長域およびICGが発光する蛍光の波長域の光を選択的に透過する。したがって、励起光が検体20に照射されている場合、ICGが発光する蛍光は、R光透過フィルタ503を通過してR光受光素子513が受光することができる。したがって撮像部124は、複数のR光受光素子513によって、λ4の蛍光による蛍光画像を撮像することができる。また、NADHが発光する蛍光は、B光透過フィルタ501を通過してB光受光素子511が受光することができる。したがって撮像部124は、複数のB光受光素子511によって、λ3の蛍光による蛍光画像を撮像することができる。
【0055】
なお、照射部128から可視光の略全域にわたる照明光が照射されている場合、撮像部124は、複数のB光受光素子511、複数のG光受光素子512、および、複数のR光受光素子513によって、可視光の照明光画像を生成することができる。
【0056】
以上において説明したように、蛍光物質がNADHおよびICGである場合、B光透過フィルタ501は、第1戻り光が属する波長域の光を透過する第1波長フィルタとして機能することができる。また、R光透過フィルタ503は、第2戻り光が属する波長域の光を透過する第2波長フィルタとして機能することができる。そして、B光受光素子511は、第1波長フィルタが透過した光を受光する第1受光素子として機能することができる。また、R光受光素子513は、第2波長フィルタが透過した光を受光する第2受光素子として機能することができる。
【0057】
画像生成部102は、受光部320が受光したλ3の蛍光およびλ4の蛍光に基づき、検体20内の励起光の集光位置の画像を生成する。具体的には、画像生成部102は、λ3の蛍光を受光した複数のB光受光素子511の撮像信号から、λ3の蛍光による蛍光画像を生成する。λ3の蛍光による蛍光画像は、λ1の成分光の集光位置の画像を示す。また、画像生成部102は、λ4の蛍光を受光した複数のR光受光素子513の撮像信号から、λ4の蛍光による蛍光画像を生成する。λ4の蛍光による蛍光画像は、λ2の成分光の集光位置の画像を示す。
【0058】
図6は、撮像部124による照明光画像および蛍光画像の撮像タイミングの一例を示す。撮像部124は、制御部104の制御に基づき、照明光画像と蛍光画像とを時間的に切り替えて撮像する。本図の例では、撮像部124は、時刻t1、t2、t3、t4・・・で代表される撮像タイミングで、照明光画像601、蛍光画像602、照明光画像603、蛍光画像604・・・を撮像する。
【0059】
制御部104は、時刻t1の撮像タイミングの露光期間中に、照射部128から白色の照明光を検体20に向けて照射させる。当該露光期間が終了すると、制御部104は、照射光を白色の照明光から励起光に切り替えて、続く時刻t2の撮像タイミングの露光期間中に、照射光学系200を通じて励起光を検体20に向けて照射させる。
【0060】
続いて、制御部104は、照射光を励起光から白色の照明光に切り替えて、続く時刻t3の撮像タイミングの露光期間中に、白色の照明光を照射部128から検体20に向けて照射させる。続いて、制御部104は、照射光を白色の照明光から励起光に切り替えて、続く時刻t4の撮像タイミングの露光期間中に、照射光学系200を通じて励起光を検体20に向けて照射させる。制御部104が照射光の切り替え動作を繰り返すことによって、照明光と励起光とが時間的に切り替えられて検体20に照射される。
【0061】
制御部104は、時刻t1〜t4の露光期間のそれぞれにおいて、受光部320に撮像部124を露光させ、得られた撮像信号を受光部320から画像生成部102に出力させる。画像生成部102は、時刻t1の撮像タイミングで取得した複数のB光受光素子511、複数のG光受光素子512、および、複数のR光受光素子513のそれぞれからの撮像信号に基づき、照明光画像601を生成する。画像生成部102は、続く時刻t2の撮像タイミングで取得した複数のB光受光素子511の撮像信号に基づき、λ3の蛍光による蛍光画像602bを生成するとともに、複数のR光受光素子513の撮像信号に基づき、λ4の蛍光による蛍光画像602aを生成する。
【0062】
続いて、画像生成部102は、時刻t3の撮像タイミングで取得した複数のB光受光素子511、複数のG光受光素子512、および、複数のR光受光素子513のそれぞれからの撮像信号に基づき、照明光画像603を生成する。そして、画像生成部102は、続く時刻t4の撮像タイミングで取得した複数のB光受光素子511の撮像信号に基づき、λ3の蛍光による蛍光画像604bを生成するとともに、複数のR光受光素子513の撮像信号に基づき、λ4の蛍光による蛍光画像604aを生成する。
【0063】
なお、照射光を照明光から励起光に切り替える場合、制御部104は、可視光光源を駆動して発光させたまま、照明光をカットする照明光カットフィルタが可視光光源からの光路中に挿入された状態にすることで、照射部128から照明光が照射されないようにしてもよい。照明光カットフィルタは、可視光の波長域の光を少なくともカットするフィルタであればよく、光を実質的に透過しない遮光フィルタであってよい。同様に、励起光の照射の切り替えを、励起光カットフィルタにより制御することができる。照明光フィルタおよび励起光カットフィルタは、液晶フィルタなど、光透過特性を電気的に制御できるフィルタで実装することができる。制御部104は、当該フィルタの光透過特性を電気的に制御することにより、照射光を切り替えることができる。照射光を照明光から励起光に切り替える場合、制御部104は、照明光光源としてのLEDの駆動を停止して、励起光光源としてのLEDを駆動してもよい。また、照射光を励起光から照明光に切り替える場合、制御部104は、励起光光源としてのLEDの駆動を停止して、照明光光源としてのLEDを駆動してもよい。
【0064】
図7は、表示装置140の画面の一例を示す。画像生成部102は、表示装置140の画面700上の表示領域710に、照明光画像601、603・・・・が順次切り替えて表示される映像を生成する。また、画像生成部102は、表示装置140の画面700上の表示領域720に、蛍光画像602a、蛍光画像604a・・・が順次切り替えて表示され、表示装置140の画面700上の表示領域730に、蛍光画像602b、蛍光画像604b・・・が順次切り替えて表示される映像を生成する。
【0065】
観視者は、表示領域710に表示された可視光の映像によって、挿入部120の先端部から肉眼で見たような自然な映像を観察することができる。また、表示領域720に表示された蛍光画像602aによって、検体20内部の血管の存在を認識することができる。また、表示領域730に表示された蛍光画像602bによって、当該血管より浅い位置のNADHからの蛍光強度の分布を確認することができる。観察者は、蛍光画像602bを観察して、例えば蛍光強度が比較的に小さい部位を腫瘍組織として認識することができる場合がある。
【0066】
画像生成部102は、蛍光画像602bとは異なる色の蛍光画像602aを生成してよい。例えば、画像生成部102は、λ3の蛍光の受光強度を第1の色の強さで示した蛍光画像602bを生成して、λ4の蛍光の受光強度を第2の色の強さで示した蛍光画像602aを生成してよい。例えば、第1の色を青系の色として、第2の色を赤系の色としてよい。肉眼で生体を観察した場合、表層の物体は青く見える場合がある。このため、より表層の物体にフォーカスされた蛍光画像602bを青の色で表現して、より深部の物体にフォーカスされた蛍光画像602aを赤の色で表現することで、観察者が違和感なく蛍光画像を観察できる場合がある。
【0067】
図8は、画像生成部102が生成する蛍光画像の他の例を示す。画像生成部102は、蛍光画像602aおよび蛍光画像602bに基づき、蛍光画像602aと蛍光画像602bとを重ね合わせた合成画像800を生成してよい。画像生成部102は、合成画像800を表示用の画像として表示装置140および記録装置150の少なくとも一方に供給してよい。
【0068】
画像生成部102は、合成画像800を生成する場合、蛍光画像602bの画像内容に基づき抽出されたオブジェクト820を、蛍光画像602aの画像内容に基づき抽出されたオブジェクト810より強調した合成画像800を生成してよい。例えば、画像生成部102は、オブジェクト820を表す画素値が、オブジェクト810を表す画素値より大きく重みづけされた合成画像800を生成してよい。具体的には、画像生成部102は、蛍光画像602bの各画素の画素値をI1(x,y)、蛍光画像602aにおける対応する画素位置の画素値をI2(x,y)とした場合、合成画像800における対応する画素値I(x,y)を、I(x,y)=α×I1(x,y)+β×I2(x,y)により算出してよい。ここで、α>βとする。
【0069】
より具体的には、画像生成部102は、オブジェクト810をオブジェクト820で上書きしてよい。これにより、検体20内のオブジェクトの重なり具合が適切に表現された合成画像800を生成することができる。特に、合成画像800を生成する場合、オブジェクト820とオブジェクト810との境界において、オブジェクト820をオブジェクト810より強調する上記の処理を施してもよい。当該処理により、オブジェクト820とオブジェクト810との上下関係を合成画像800上で適切に表現でき、かつ、オブジェクト820が表す物体より深い位置にオブジェクト810が表す血管等の物体が存在することを、観察者に的確に知らしめることができる。
【0070】
また、画像生成部102は、蛍光画像602bと蛍光画像602aとが色分けされた合成画像800を生成してよい。例えば、画像生成部102は、蛍光画像602bが第1の色の画素値で表され、蛍光画像602aが第2の色の画素値で表された合成画像800を生成してよい。ここでも、第1の色を青系の色として、第2の色を赤系の色としてよい。色分けされた合成画像800を生成する場合においても、画像生成部102は、オブジェクト820がオブジェクト810より強調された合成画像800を生成してよい。例えば、画像生成部102は、オブジェクト820を表す画素値が、オブジェクト810を表す画素値より大きく重みづけされた画素値を持つ合成画像800を生成してよい。例えば、画像生成部102は、オブジェクト810をオブジェクト820で上書きしてもよい。
【0071】
以上の説明では、光源110が発光する励起光には異なる波長域の光が含まれており、当該異なる波長域の光がそれぞれ異なる蛍光物質を励起して、異なる蛍光物質から互いに異なる波長域の蛍光が発せられるとした。他の例では、戻り光に含まれる第1戻り光成分が蛍光であり、他の戻り光成分が蛍光以外の戻り光であってよい。具体的には、第2戻り光が、照射光の反射光および/または散乱光であってよい。
【0072】
すなわち、検体20に含まれる蛍光物質は、照射光に含まれる異なる波長域の光の少なくともいずれかの光により励起されて蛍光を発光してよい。そして、撮像光学系300は、蛍光である第1戻り光、および、第2戻り光を、光軸方向の略同じ位置に集光するとしてよい。
【0073】
また、照射光に含まれる少なくとも何れかの波長域の成分光が波長変換されて、戻り光として撮像に利用できる場合、戻り光は蛍光に限られない。すなわち、照射光学系200によって検体20内に集光された照射光の第1の集光位置から照射光に含まれる光とは波長域が異なる第1戻り光が生じ、照射光の第2の集光位置から第1戻り光とは波長域が異なる第2戻り光が生じる場合、撮像部124は、これらの第1戻り光および第2戻り光により撮像することができる。この場合、撮像光学系300は、照射光学系200によって検体20内に集光された照射光の集光位置からの、照射光に含まれる光とは波長域が異なる第1戻り光、および、第1戻り光とは波長域が異なる第2戻り光を、撮像光学系300の光軸方向に略同じ位置に集光すればよい。
【0074】
なお、上述した制御装置100の機能は、コンピュータにより実現されてよい。具体的には、制御装置100の機能を実装するプログラムをコンピュータにインストールすることで、コンピュータを、画像生成部102および制御部104として機能させてよい。当該プログラムは、CD−ROM、ハードディスクなどのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶され、当該記憶媒体をコンピュータに読み込ませることで、コンピュータに提供されてよい。また、当該プログラムは、ネットワークを通じてコンピュータに提供されてもよい。
【0075】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0076】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0077】
10 内視鏡装置
20 検体
100 制御装置
102 画像生成部
104 制御部
110 光源
120 挿入部
121 ノズル
122 挿通口
124 撮像部
125 対物レンズ
126 ライトガイド
128 照射部
140 表示装置
150 記録装置
170 蛍光剤注入装置
180 挿入器具
200 照射光学系
210 導光管
280 送光管
300 撮像光学系
310 色収差補正光学系
320 受光部
330 波長フィルタ部
501 B光透過フィルタ
502 G光透過フィルタ
503 R光透過フィルタ
511 B光受光素子
512 G光受光素子
513 R光受光素子
601、603 照明光画像
602、604 蛍光画像
700 画面
710 表示領域
720 表示領域
730 表示領域
800 合成画像
810、820 オブジェクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射光が照射された対象物からの戻り光により前記対象物を撮像する内視鏡装置であって、
軸上色収差を有し、前記照射光に含まれる異なる波長域の光を、それぞれ光軸方向の異なる位置に集光する第1光学系と、
前記第1光学系によって前記対象物内に集光された前記照射光の集光位置からの、前記照射光に含まれる光とは波長域が異なる第1戻り光および前記第1戻り光とは波長域が異なる第2戻り光を、光軸方向に略同じ位置に集光する第2光学系と、
前記第2光学系により集光された前記第1戻り光および前記第2戻り光を受光する受光部と
を備える内視鏡装置。
【請求項2】
前記対象物は、前記照射光に含まれる異なる波長域の光の少なくともいずれかの光により励起されてルミネッセンス光を発光するルミネッセンス物質を含んでおり、
前記第2光学系は、前記ルミネッセンス物質が発光するルミネッセンス光である前記第1戻り光と前記第2戻り光とを、光軸方向の略同じ位置に集光する
請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記ルミネッセンス物質は、前記照射光に含まれる異なる波長域の光によりそれぞれ励起されて、互いに異なる波長域の第1ルミネッセンス光および第2ルミネッセンス光を発光し、
前記第2光学系は、前記第1ルミネッセンス光である前記第1戻り光および前記第2ルミネッセンス光である前記第2戻り光を、光軸方向の略同じ位置に集光する
請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記第1戻り光が属する波長域の光を透過する第1波長フィルタ、および、前記第2戻り光が属する波長域の光を透過する第2波長フィルタ
をさらに備え、
前記受光部は、前記第1波長フィルタが透過した光を受光する第1受光素子、および、前記第2波長フィルタが透過した光を受光する第2受光素子を有する
請求項1から3のいずれかに記載の内視鏡装置。
【請求項5】
複数の前記第1波長フィルタおよび複数の前記第2波長フィルタは2次元的に配列されており、
前記第1受光素子および前記第2受光素子はそれぞれ、前記複数の第1波長フィルタおよび前記複数の第2波長フィルタに対応する位置に複数設けられる
請求項4に記載の内視鏡装置。
【請求項6】
前記受光部が受光した前記第1戻り光および前記第2戻り光に基づいて、前記対象物内の前記照射光の集光位置の画像を生成する画像生成部
をさらに備える請求項1から5のいずれかに記載の内視鏡装置。
【請求項7】
前記照射光を発光する光源
をさらに備える請求項1から6のいずれかに記載の内視鏡装置。
【請求項8】
前記光源は、互いに異なる波長域のルミネッセンス光を発する異なるルミネッセンス物質をそれぞれ励起する、異なる波長域の光を含む前記照射光を発光する
請求項7に記載の内視鏡装置。
【請求項9】
前記ルミネッセンス物質を前記対象物に注入する注入部
をさらに備える請求項2または3に記載の内視鏡装置。
【請求項10】
前記第2光学系は、前記第1光学系とは光軸の向きを異ならせて配置される
請求項1から9のいずれかに記載の内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−229625(P2011−229625A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101390(P2010−101390)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】