説明

内視鏡装置

【課題】感度ムラ補正や欠陥画素補正等の補正パラメータを用いる画像の補正手段を内視鏡が有する内視鏡装置において、新たなデバイスや信号線の追加を行なうことなく、既存のI/Fを利用して、補正パラメータの記録が可能な内視鏡装置を提供する。
【解決手段】画像の補正手段および補正パラメータの記憶手段を有する内視鏡と、制御装置と、補正パラメータの生成手段とを有し、制御装置による指示に応じて、生成手段が生成した補正パラメータを、補正手段によって記憶手段に書き込むことにより、前記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(固体)撮像素子を用いて画像を撮影する内視鏡装置の技術分野に属し、詳しくは、内視鏡において画像の補正を行なうことができ、かつ、補正を行なう補正パラメータの記録や更新も容易に行なうことができる内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体に病変部が有るか、どの程度、病変部が進行しているかの診断などに、内視鏡(電子内視鏡)が使用されている。
内視鏡では、生体の一部に光を照射して、反射してくる光をCCDセンサ等の撮像素子で撮影して、撮影した画像をディスプレイに表示することにより、生体表面の色、明るさ、構造等の変化を観察し、その観察によって医師が病変部の状態を判断する。
【0003】
周知のように、画像を撮影する撮像素子は、画像を撮影する画素(光量の測定点)を二次元的に配列してなるものである。
ここで、撮像素子の各画素は、完全に均一な特性を有するものではなく、例えば、画素毎に、感度のバラツキ(感度ムラ)等を有する。また、撮像素子の画素の中には、撮像した画像(入射光量)に応じた適正な信号を出力することができない、いわゆる欠陥画素も存在する。さらに、撮像素子が出力する画像のR、GおよびBの各色のバランス(いわゆるホワイトバランス)が不適性な場合も有る。
【0004】
このような撮像素子の特性のバラツキ(個体バラツキ)を有する状態で画像を撮影しても、適正な画像を得ることはできない。特に、医療用の用途に用いられる内視鏡では、不適正な画像での診断は、診断ミス等にも繋がる重大な問題となる。
そのため、内視鏡装置では、撮像素子で撮影した画像に、感度ムラ補正、欠陥画素補正、ホワイトバランスの調整などの補正を行って、個々の画素の個体バラツキ等に起因する画質劣化の無い、適正な画像を出力できるようにしている。
また、従来は、このような画像の補正は、内視鏡が撮影した画像を処理して表示装置に表示させるプロセッサ装置で行なっているが、内視鏡において撮影した画像の補正を行なって、プロセッサ装置に出力する装置も、各種、提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、湾曲部の湾曲や吸引/吸水等を行なう内視鏡の操作部に、感度ムラの補正を行なう回路、欠陥画素を補正する回路、および、暗電流補正(オフセット補正)を行なう回路を設けた内視鏡装置が記載されている。
また、特許文献2には、プロセッサ装置と接続するための内視鏡のコネクタに、ホワイトバランス調整などの画像補正を行なうDSP(Digital Signal Processor)や、DSPでの画像補正に用いる補正パラメータを記憶する記憶手段を設けた内視鏡装置が記載されている。
さらに、特許文献3には、同じく内視鏡のコネクタに、画像をRGBからYCCに変換し、かつ、変換時に色調や輝度の補正を行い、あるいはさらに、ガンマ補正やホワイトバランス調整を行なう信号処理回路や、信号処理回路での画像補正に用いる補正パラメータを記憶する記憶手段を設けた内視鏡装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭63−117702号公報
【特許文献2】特開2003−153859号公報
【特許文献3】特開2006−212335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの特許文献にも記載されるように、感度ムラ補正やホワイトバランス調整は、一例として、予め各画素毎に補正用のパラメータ(補正パラメータ)を算出して記憶しておき、撮影した画像に対して、各画素毎に、この補正パラメータを用いて画像を補正(画像を処理)することによって行う。
また、欠陥画素補正は、予め欠陥画素を検出して記憶しておき、撮影した画像に対して、各欠陥画素を、周囲の画素の画像データを用いて補完することによって行う。
【0008】
従って、内視鏡において、このような補正を行なう場合には、補正パラメータを内視鏡が有するメモリに記憶させる(書き込む)必要がある。
また、画素毎の感度ムラや欠陥画素など、内視鏡に用いられるCCDセンサ等の撮像素子の個体バラツキは、経時によって変化する場合も有る。このような経時変化が生じた場合にも、安定して適正な内視鏡画像を撮影するためには、補正パラメータの再算出や欠陥画素の再検出など、補正パラメータの更新いわゆる内視鏡の較正(キャリブレーション)を行うのが好ましい。
【0009】
特許文献1や特許文献3に記載される内視鏡装置では、このような補正パラメータの記憶や更新は、全く考慮されていない。
他方、特許文献2に記載される、内視鏡装置では、画像補正を行なうDSPが組み込まれる内視鏡のコネクタに、ホワイトバランス調整の補正パラメータを訂正する手段も組み込まれている。しかしながら、特許文献2に記載される構成では、補正パラメータの訂正のために、画像補正を行なうDSPやメモリ以外に、CCDセンサや光源、画像解析手段等をコネクタに設ける必要がある。そのため、コネクタが大型化し、また、装置が高価になってしまう。
【0010】
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決することにあり、撮像素子によって画像を撮影して診断を行なうための内視鏡装置において、内視鏡で感度ムラ補正や欠陥画素補正等の補正パラメータを用いる画像補正を行なった画像を出力することができ、かつ、画像補正を行なうデバイスやメモリ以外に、新たなデバイスや信号線、コネクタ等を設けることなく、容易に、内視鏡に補正パラメータを記憶させることができ、また、内視鏡の経時変化等が生じた場合にも、必要に応じて、容易に、補正パラメータの更新を行なうことができる内視鏡装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明の内視鏡装置は、撮像素子によって画像を撮影する内視鏡と、この内視鏡に接続される制御装置と、前記撮像素子が撮影した画像を補正するための補正パラメータを生成するパラメータ生成手段とを有し、前記内視鏡が、前記補正パラメータを用いて前記撮像素子が撮影した画像の補正を行なう補正手段、および、前記補正パラメータを記憶する記憶手段を有し、前記制御装置による指示に応じて、前記パラメータ生成手段が補正パラメータを生成し、この生成した補正パラメータを、前記補正手段によって前記記憶手段に記録することを特徴とする内視鏡装置を提供する。
【0012】
このような本発明の内視鏡装置において、前記制御装置が、前記パラメータ生成手段を有するのが好ましく、この際において、前記補正手段が補正した画像を内視鏡から外部装置に出力するための画像信号線が、前記制御装置に接続されており、この画像信号線を用いて、前記制御装置から補正手段に補正パラメータを供給し、補正手段が、この補正パラメータを記憶手段に記録するのが好ましい。
もしくは、前記補正手段が、前記パラメータ生成手段を有するのが好ましい。
さらに、前記補正手段が、プログラムが書き換え可能な論理デバイスによって構成されるのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
上記構成を有する本発明の内視鏡装置によれば、画像補正を行なう補正手段と補正パラメータを記憶する記憶手段以外のデバイスや、信号線やコネクタ等を追加する必要なく、容易に、補正パラメータを内視鏡の記憶手段に記憶させて(書き込みして)、内視鏡において、感度ムラ補正や欠陥画素補正などの補正パラメータを用いる画像補正を行なうことができ、さらに、内視鏡の経時変化等が生じた場合にも、容易に、補正パラメータの更新を行なうことができる。
そのため、本発明によれば、内視鏡の大型化やコスト高を招くことなく、適正な補正パラメータによって画像補正を行なった画像を、内視鏡から、安定して出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の内視鏡装置の一例を概念的に示す図である。
【図2】(A)は、内視鏡のスコープ部の構成を概念的に示すブロック図、(B)は、同ビデオコネクタの構成を概念的に示すブロック図である。
【図3】図1に示す内視鏡装置を構成を概念的に示すブロック図である。
【図4】(A)〜(D)は、本発明の内視鏡装置の作用を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の内視鏡装置について、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
【0016】
図1に、本発明の内視鏡装置の一例を概念的に示す。
図1に示す内視鏡装置10は、一例として、内視鏡12と、内視鏡12が撮影した画像の処理等を行なうプロセッサ装置14と、内視鏡での撮影(観察)を行なうための照明光を供給する光源装置16と、内視鏡が撮影した画像を表示する表示装置18と、各種の指示等を入力するための入力装置20とを有する。
図示例の内視鏡装置10においては、一例として、プロセッサ装置14が本発明における制御装置として作用し、また、パラメータ生成手段を有する。
【0017】
図1に示すように、内視鏡12は、通常の内視鏡と同様、挿入部26と、操作部28と、ユニバーサルコード30と、コネクタ32と、ビデオコネクタ36とを有するものである。また、通常の内視鏡と同様、挿入部26は、基端側の長尺な軟性部38と、CCDセンサ48等が配置される先端のスコープ部(内視鏡先端部)42と、軟性部38とスコープ部42との間の湾曲部(アングル部)40とを有し、さらに、操作部28には、湾曲部40を湾曲させる、操作ノブ28a等が設けられる。
【0018】
図2(A)に、スコープ部42の構成をブロック図で概念的に示す。
図2(A)に示すように、スコープ部42には、撮像レンズ46、CCDセンサ((固体)撮像素子)48、照明用レンズ50、および、光ガイド52が配置される。
なお、図示は省略するが、スコープ部42には、鉗子等の各種の処置具を挿通するための鉗子チャンネルおよび鉗子口、吸引、送気、送水等を行うための送気/送水チャンネルおよび送気/送水口等も設けられる。鉗子チャンネルは、湾曲部40および軟性部38を通って操作部28に設けられる鉗子挿入口に連通し、送気/送水チャンネルは、湾曲部40、軟性部38、操作部28、およびユニバーサルコード30を通って、コネクタ32の吸引手段、送気手段、送水手段との接続部に連通する。
【0019】
光ガイド52は、湾曲部40、軟性部38、操作部28、およびユニバーサルコード30を通って、光源装置16に接続されるコネクタ32まで挿通されている。
後述する光源装置16が照射した照明光は、コネクタ32から光ガイド52に入射して、光ガイド52によって伝搬されて、スコープ部42において、光ガイド52の先端部から照明用レンズ50に入射して、照明用レンズ50によって観察部位に照射される。
【0020】
また、照明光が照射された観察部位の画像は、撮像レンズ46によってCCDセンサ48の受光面に結像される。
CCDセンサ48の出力信号は、信号線によって、スコープ部42から湾曲部40、軟性部38、操作部28、ユニバーサルコード30、およびコネクタ32を通ってビデオコネクタ36(後述するAFE基板56)に送られる。
【0021】
内視鏡12は、通常の観察時(診断時)には、ビデオコネクタ36をプロセッサ装置14の接続部14aに、コネクタ32を光源装置16の接続部16aに、それぞれ接続して、使用される。
なお、コネクタ32には、通常の内視鏡と同様、さらに、観察部位の吸引や送気を行なう吸引手段や送気手段、観察部位に水を噴射するための吸水手段等が接続される。
【0022】
図2(B)に、ビデオコネクタ36の構成をブロック図で概念的に示す。
内視鏡12のビデオコネクタ36には、制御基板54およびAFE(Analog Front End)基板56が配置される。
制御基板54は、内視鏡12の制御を行なうものであり、内視鏡12の制御を行なう制御部(CPU)58が配置される。また、AFE基板56には、画像補正部60およびメモリ62が配置される。
【0023】
本発明の内視鏡装置10では、内視鏡12において、感度ムラ補正や欠陥画素補正などのCCDセンサ48の特性バラツキに関連する画像の補正を行なう。
画像補正部60は、補正パラメータを用いて、これらの画像補正を行なうものであり、好ましくは、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの、プログラムが書き換え可能な論理デバイス(いわゆるProgrammable Logic Device)で構成される。
メモリ62は、画像補正部60で画像補正を行なうための、補正パラメータを記憶するものである。メモリ62は、データの書き換えが可能なものであれば、EEPROMやDRAD公知のメモリ(記憶手段)が、各種、利用可能である。また、メモリ62は、揮発性でも不揮発性でもよいが、揮発性のメモリを用いる場合には、内視鏡を起動する毎に、後述する補正パラメータの生成および書き込みを行なう必要がある。
【0024】
内視鏡12において、画像補正部60で施す画像補正には、特に限定はなく、各種の画像補正(画像処理)が例示される。
一例として、感度ムラ補正(感度バラツキ補正(ゲインムラ補正))、オフセット補正、欠陥画素補正、ホワイトバランス調整、色相彩度補正、および、ガンマ補正(階調補正)などの1以上が例示される。特に、感度ムラ補正およびオフセット補正は、好適に例示される。
画像補正部60における各補正は、いずれも、予め生成してメモリ62に記憶しておいた補正パラメータ等を用いて、画像データを処理する、公知の方法で行えばよい。例えば、感度ムラ補正であれば、各画素の画像データに、対応する感度ムラ補正パラメータを乗算すればよい。また、オフセット補正であれば、各画素の画像データから、対応するオフセット補正パラメータを減算すればよい。さらに、欠陥画素補正であれば、補正パラメータとして記憶されている欠陥画素に対して、周辺画素を用いた補完を行なえばよい。
さらに、実施する画像補正の種類によっては、必要に応じて、メモリ62に、特殊光観察と白色光観察とで、それぞれに対応する補正パラメータを記憶しておき、画像補正部60が、観察光に応じた補正パラメータを用いて、画像補正を行なうようにしてもよい。
【0025】
メモリ62に記憶される補正パラメータは、必要に応じて、任意のタイミングで更新してもよい(任意のタイミングで内視鏡12の較正を行なってもよい)。内視鏡12の較正は、公知の方法で行なえばよい。
また、後述するような、補正パラメータを生成してメモリ62に書き込むためパーソナルコンピュータや専用の装置を用いて、工場出荷時などに、補正パラメータを生成して、内視鏡12のメモリ58等に供給/記憶してもよい。
あるいは、起動時、1日1回、1週間に1回等、所定の間隔で更新するようにしてもよい。
【0026】
なお、図示は省略するが、AFE基板56には、画像補正部60およびメモリ62以外にも、相関二重サンプリング回路、アンプ、A/D変換器等が配置されてもよい。
CCDセンサ48の出力信号は、まず、相関二重サンプリング回路で処理されてノイズを除去され、アンプで増幅されて、A/D変換器によってデジタル信号に変換された後に、画像補正部60に供給される。
【0027】
図示例の内視鏡装置10においては、ビデオコネクタ36がプロセッサ装置14の接続部14aに接続されると、制御部58はRS232CなどのシリアルI/F(インターフェイス)59によって、プロセッサ装置14に接続される。
また、画像補正部60には、外部の装置に画像を出力するための画像信号線(例えば、パラレルのバス)60aが接続されており、ビデオコネクタ36がプロセッサ装置14の接続部14aに接続されると、パラレルのI/Fによってプロセッサ装置14と画像補正部60とが接続される。
【0028】
なお、図示例の装置は、内視鏡12のビデオコネクタ36に、制御基板54およびAFE基板56を有しているが、本発明は、これに限定はされない。
例えば、可能であれば、スコープ部42に制御基板54およびAFE基板56の少なくとも一方を配置してもよい。また、光源装置16と接続されるコネクタ32に、制御基板54およびAFE基板56の少なくとも一方を配置してもよい。さらに、操作部28に、制御基板54およびAFE基板56の少なくとも一方を配置してもよい。
【0029】
内視鏡装置10においては、前述のように、内視鏡12は、通常の観察時(診断時)には、ビデオコネクタ36をプロセッサ装置14の接続部14aに、コネクタ32を光源装置16の接続部16aに、それぞれ接続して、使用される。
図3に、内視鏡装置10の構成をブロック図で概念的に示す。
【0030】
光源装置16は、内視鏡12による観察を行なうための照明光を照射する、公知の照明装置である。図3に示すように、図示例の光源装置16は、通常観察を行なうための白色光発生部63に加えて、狭帯域観察を行なうための狭帯域光発生部64を有する。
なお、本発明において、光源装置16は、この構成に限定はされず、白色光発生部63のみを有するものであってもよく、狭帯域光発生部64に変えて、あるいは狭帯域光発生部64に加えて、赤外光を発生する赤外光発生部など、狭帯域光観察以外の特殊光観察を行なうための観察光の発生部を有してもよい。
【0031】
白色光発生部63が発生した白色光は光ガイド63aによって、他方、狭帯域光発生部64が発生した狭帯域光は光ガイド64bによって、共に、接続部16aに伝搬される。
両観察光は、共に、接続部16aに内視鏡12のコネクタ32が接続されることによって、接続部16aから、内視鏡12の光ガイド52に伝搬され、さらに光ガイド52によってスコープ部42まで伝搬されて、観察光レンズ50から観察部位に照射される。
【0032】
プロセッサ装置14は、内視鏡12が撮影した画像に所定の処理を施して、表示装置18に表示させるものであり、画像処理部68と、条件設定部70と、制御部74とを有して構成される。
CCDセンサ48が撮影した画像(画像データ)は、ビデオコネクタ36の画像補正部60で画像補正を行なわれた後に、画像信号線60aによってプロセッサ装置14に供給され、プロセッサ装置14(画像処理部68)において、各種の画像処理を施された後、表示装置18に表示される。
なお、プロセッサ装置14および光源装置16は、図示した部位以外にも、記憶装置や電源装置など、公知の内視鏡装置のプロセッサ装置および光源装置が有する各種の部位を有してもよいのは、もちろんである。
【0033】
制御部74は、プロセッサ装置14の制御、および、内視鏡装置10の全体の制御を行なう部位である。
【0034】
画像処理部68は、内視鏡12が撮影した画像に、入力装置20によって入力された指示に応じた処理等、各種の画像処理を行なって、表示装置18による表示用の画像(画像データ)とするものである。
なお、画像処理部68で行なう画像処理には、特に限定はなく、ノイズ除去、輪郭強調(シャープネス処理)等の公知の画像処理が、各種、利用可能である。また、これらの画像処理は、いずれも、内視鏡装置で行なわれている公知の方法で行なえばよい。
【0035】
条件設定部70は、ビデオコネクタ36の画像補正部60で行なう画像補正に用いる補正パラメータ(画像補正条件)の生成や欠陥画素の検出、画像処理部68における画像処理条件等を設定するものである。
なお、本発明において、画像処理部68における画像処理条件の設定や、内視鏡10の画像補正部60における補正パラメータの生成、欠陥画素の検出等は、実施する処理に応じて、公知の方法で行なえばよい。
条件設定部70が設定した、画像補正部60での画像補正に用いる補正パラメータは、内視鏡12の画像補正部60に送られ、画像補正部60によってメモリ62に書き込まれる(更新される)。
【0036】
以下、補正パラメータの生成およびメモリ62への書き込みについて説明することにより、本発明の内視鏡装置10について、より詳細に説明する。
【0037】
補正パラメータを生成する際(内視鏡の較正を行なう際)には、まず、補正パラメータを生成するための補正用画像を作成する。
【0038】
入力装置20などによって、補正パラメータの生成指示(内視鏡12の較正を行なう指示)が出されたら、制御手段74が、表示装置18に、補正用画像を作成するための撮影を行なう旨の指示を表示する。
補正用画像は、一例として、内視鏡12によって、白色の被写体などの一様濃度の被写体等を撮影することで作成される。
補正用画像の作成のために内視鏡12で撮影された画像は、条件設定部70に供給され、後述する処理が行なわれる。なお、この際には、撮影された画像(画像データ)は、画像補正部60では何の処理もされることなく、画像信号線60aによってプロセッサ装置14に送られ、条件設定部70に供給される。
【0039】
なお、この補正用画像を作成するための撮影に先立ち、あるいは、後で、オフセット補正用の補正パラメータを生成するために、スコープ部42を完全に遮光した状態で撮影を行い、この画像を条件設定部70に供給して、オフセット補正パラメータ(offset)を生成してもよい。オフセット補正パラメータの生成は、公知の方法によれば良い。
【0040】
ここで、補正用画像は、1画像(1フレーム)から作成してもよいが、適宜、設定された所定枚数(所定フレーム数)の画像を取り込み、条件設定部72において加算平均することで補正用画像を作成するのが好ましい。
【0041】
補正用画像を取得(作成)した条件設定部72は、この補正用画像を解析して、内視鏡12の画像補正部60で画像補正を行なうための、補正パラメータを生成する。
補正パラメータの生成方法には、特に限定はなく、画像補正部60が実施する画像補正に応じた、公知の方法で生成すればよい。
【0042】
例えば、ホワイトバランス調整用の補正パラメータであれば、補正用画像において、例えば、G画像を基準にして、白色の画像が得られるようにR画像およびB画像を補正する(G画像に対して、RおよびB画像のバランスを取る)ための補正係数を、各画素画素に算出して、補正パラメータとすればよい。
感度ムラ補正用の補正パラメータであれば、任意の領域(全画素を含む)の平均値を算出して、補正用画像において、乗算することで、画素値が平均値と同じ値となるような補正係数を、各画素に算出して、補正パラメータとすればよい。
欠陥画素補正用の補正パラメータであれば、補正用画像の平均値を算出し、この平均値に対して、所定の閾値以上、値が異なる画素を欠陥画素として検出し、検出した欠陥画素の位置を、補正パラメータとすればよい。
また、オフセット補正(暗時補正)の補正パラメータであれば、スコープ部42を遮光した状態で撮影した画像を、オフセット補正用の補正パラメータとすればよい。
【0043】
条件設定部70が補正パラメータを生成したら、補正パラメータを内視鏡12に供給し、メモリ62に書き込む(記憶させる)。
図示例の内視鏡装置10において、この補正パラメータのメモリ62への書き込みは、画像補正部60を介して、図4(A)に概念的に示されるように行なわれる。なお、図4において、実線は補正パラメータの流れを示し、破線は制御信号の流れを示す。
【0044】
条件設定部70が補正パラメータを作成したら、プロセッサ装置14(制御部74)は、内視鏡12のビデオコネクタ36(制御基板54)に配置される制御部58に、補正パラメータの書き込みの開始を指示する信号を出力する。
この信号を受けた制御部58は、画像補正部60に、プロセッサ装置14から、補正パラメータを受け取る事を指示する信号を出す。画像補正部60は、通常は、画像信号線60aから外部装置への画像出力のみを行なうが、この指示を受けた画像補正部60は、自身を外部装置からのデータを受け取り可能な状態にすると共に、画像信号線60aのI/Fを、外部装置からのデータの転送が可能な状態にする。
【0045】
画像補正部60が補正パラメータを受け取り可能な状態になると、プロセッサ装置14から、画像補正部60に補正パラメータが転送される。
また、画像補正部60は、送られた補正パラメータを、メモリ62の所定の領域に書き込む。
【0046】
画像補正部60が、全ての補正パラメータをメモリ62に書き込むと(補正パラメータの更新が終了すると)、内視鏡12への補正パラメータの書き込み(あるいは較正)が終了する。
従って、内視鏡12の画像補正部60は、これ以降は、メモリ62に書き込まれた補正パラメータを用いて、CCDセンサ48が撮影した画像の補正を行なう。
【0047】
以上の説明より明らかなように、本発明の内視鏡装置10によれば、内視鏡が有するメモリ62に、容易に、補正パラメータの書き込みを行なうことができるので、内視鏡12で感度ムラ補正や欠陥画素補正等の、CCDセンサ48の特性バラツキを補正する画像補正を行なった画像を出力することができ、しかも、画像補正を行なうための補正パラメータの更新すなわち内視鏡の較正も、必要に応じて、容易に行なうことができる。
さらに、内視鏡12で画像補正を行なうのに必要な画像補正部60(FPGA等)やメモリ62以外に、新たなデバイスや信号線、コネクタ、I/F等を追加することなく、内視鏡が本来より有する接続を利用して、補正パラメータの記録や更新を行なう。そのため、内視鏡12のコストアップや構成部位の大型化等も生じず、しかも、補正パラメータの記録や更新のために、内視鏡12の内部を開放する必要もない。
【0048】
また、上述の例は、パラレルのバスである画像信号線60aを利用して、プロセッサ装置14から画像補正部60を利用してメモリ62に補正パラメータを書き込むので、高速に補正パラメータの書き込みを行なうことができる。
【0049】
図3および図4(A)に示される例は、画像補正部60が外部に補正済の画像を出力するための画像信号線60aを利用して、プロセッサ装置14からの補正パラメータの転送を行なったが、本発明は、これに限定はされない。
すなわち、本発明は、画像補正部60を介してメモリ62に補正パラメータを書き込む構成であれば、既存の信号線やI/Fを利用した各種の構成が利用可能である。
【0050】
一例として、図4(B)に示すように、制御部58とプロセッサ装置14との通信に用いられるシリアルI/F59を利用して、プロセッサ装置14から補正パラメータを転送するようにしてもよい。
すなわち、先と同様にして、プロセッサ装置14の条件設定部70が補正パラメータを作成したら、プロセッサ装置14は、制御部58に、補正パラメータを転送を開始する指示を出して、シリアルI/F59によって制御部58に補正パラメータを転送する。
また、制御部58は、受け取った補正パラメータを画像補正部60に送る。画像補正部60は、送られた補正パラメータを、先と同様に、メモリ62の所定の領域に書き込む。
【0051】
あるいは、図4(C)に示すように、シリアルI/F59を、制御部58ではなく、画像補正部60に接続して、プロセッサ装置14から補正パラメータを転送するようにしてもよい。この際には、制御部58とプロセッサ装置14との通信は、画像補正部60を介して行なう。
本例では、先と同様にして、プロセッサ装置14の条件設定部70が補正パラメータを作成したら、プロセッサ装置14は、画像補正部60を介して、制御部58に、補正パラメータを転送する旨の指示を出す。次いで、プロセッサ装置14は、シリアルI/F59によって、画像補正部60に、補正パラメータを転送する。
画像補正部60は、送られた補正パラメータを、先と同様に、メモリ62の所定の領域に書き込む。
【0052】
以上の例は、プロセッサ装置14(制御装置)が、補正パラメータの生成を行なっているが、本発明は、これに限定はされず、画像補正部60で補正パラメータを生成して、画像補正部60が、自身が生成した補正パラメータをメモリ62に書き込む構成も、利用可能である。
この際には、プロセッサ装置14は、表示装置18への表示や制御のみを行なう。
【0053】
図4(D)に、その一例を示す。
入力装置20等によって、補正パラメータの更新指示が出されたら、プロセッサ装置14は、補正パラメータの更新を行なう指示を制御部58に出す。また、制御部58は、画像補正部60に、補正パラメータの更新を行なう旨を指示する。
その上で、先と同様に、表示装置18への補正用画像作成のための撮影指示の表示等が行なわれ、補正用画像を作成するための撮影が行なわれる。
撮影された画像は、画像補正部60に送られる。画像補正部60は、先と同様に、例えば撮影された画像の加算平均して補正用画像を作成する。次いで、画像補正部60は、作成した補正用画像を解析して、同様に、補正パラメータを生成する。
補正パラメータを生成した画像補正部60は、生成した補正パラメータを、先と同様に、メモリ62の所定の領域に書き込む。
【0054】
以上の例は、内視鏡12が撮影した画像の処理等を行なうプロセッサ装置14が、本発明の制御装置となっていたが、本発明は、これに限定はされない。
例えば、プロセッサ装置14とは別のコンピュータ(PC)を、内視鏡12のビデオコネクタ36やコネクタ32が接続可能な構成にして、この装置が、前述の各例におけるプロセッサ装置14と同様の作用や処理を行なうようにしてもよい。また、プロセッサ装置14と同様の作用や処理を行なう、本発明における補正パラメータの生成等を行なう専用の制御装置であってもよい。
【0055】
以上、本発明の内視鏡装置について説明したが、本発明は、上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行なってもよいのは、もちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0056】
内視鏡を利用する医療現場等で、好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
10 内視鏡装置
12 内視鏡
14 プロセッサ装置
16 光源装置
18 表示装置
20 入力装置
26 挿入部
28 操作部
30 ユニバーサルコード
32 コネクタ
36 ビデオコネクタ
38 軟性部
40 湾曲部
42 スコープ部
46 撮像レンズ
48 CCDセンサ
50 照明用レンズ
52 光ガイド
54 制御基板
56 AFE基板
58 制御部
59 シリアルI/F
60 画像補正部
60a 画像信号線
62 メモリ
63 白色光発生部
64 狭帯域光発生部
68 画像処理部
70 条件設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子によって画像を撮影する内視鏡と、この内視鏡に接続される制御装置と、前記撮像素子が撮影した画像を補正するための補正パラメータを生成するパラメータ生成手段とを有し、
前記内視鏡が、前記補正パラメータを用いて前記撮像素子が撮影した画像の補正を行なう補正手段、および、前記補正パラメータを記憶する記憶手段を有し、
前記制御装置による指示に応じて、前記パラメータ生成手段が補正パラメータを生成し、この生成した補正パラメータを、前記補正手段によって前記記憶手段に記録することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記制御装置が、前記パラメータ生成手段を有する請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記補正手段が補正した画像を内視鏡から外部装置に出力するための画像信号線が、前記制御装置に接続されており、
この画像信号線を用いて、前記制御装置から補正手段に補正パラメータを供給し、補正手段が、この補正パラメータを記憶手段に記録する請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記補正手段が、前記パラメータ生成手段を有する請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項5】
前記補正手段が、プログラムが書き換え可能な論理デバイスによって構成される請求項1〜4のいずれかに記載の内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−85715(P2012−85715A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233354(P2010−233354)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】