説明

内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具

【課題】 固定した点滴用バルブのずれを防止すると共に容易に装着可能な内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具を提供すること。
【解決手段】 先端にフィルター部を有するカテーテル本体2とその基端に取り付けられた点滴用バルブ3とを有した内頸下大静脈フィルターカテーテル4の点滴用バルブ3を固定するバルブ固定部材5と、該バルブ固定部材5が上部に設置され人体の頭部Hに被せて装着可能な帽子部6と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブを人体の頭部に固定する点滴用バルブ固定用具に関する。
【背景技術】
【0002】
肺血栓塞栓症や深部静脈血栓症の治療において永久留置型、回収可能型又は一時留置型の下大静脈フィルターが用いられている。この下大静脈フィルターは、下大静脈内に固定され、血栓等の塞栓子が肺に流れ行く前に捕捉する器具であり、専用の挿入器具で例えば内頸静脈(首にある静脈)から下大静脈に挿入されて内部に留置されるものである。
【0003】
下大静脈フィルターのうち、一時留置型の下大静脈フィルター(一時的下大静脈フィルターと称す)は、カテーテルの先端部にフィルター部が設けられていると共に、基端部にヘモスタットバルブと呼ばれる点滴用バルブが取り付けられたものが使用されている。この一時的下大静脈フィルターでは、点滴ボトルや点滴バッグに接続された点滴ラインを点滴用バルブに連結して血液凝固阻止剤(ヘパリン等)等の添加された生理食塩液等を持続点滴することで、フィルター部の血栓形成による詰まり等を防止している。
【0004】
従来、一時留置型の内頸下大静脈フィルターの場合、頭部において点滴用バルブを外部固定することが必要であり、各現場で独自に工夫されて固定を行っていた。例えば、非特許文献1に記載されているように、内頸静脈にカテーテルを挿入し穿刺部で固定した状態で、カテーテルの基端に設けられた点滴用バルブを頭部にバンドなどを巻いて固定していた。これにより、カテーテルの穿刺部と頭部との2箇所で固定して、顎の運動やフィルター自身の重みでフィルターが引っ張られて移動してしまうことを防いでいる。このような装着状態で、例えば最大二週間の留置が行われる。
【0005】
【非特許文献1】渡辺慎太郎、「下大静脈フィルター」、Heart View、メジカルビュー社、2006年6月、Vol.10、No.7、p.93-96
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、従来、内頸下大静脈にフィルターカテーテルを留置している状態では、バンドを使って頭部に簡易的に点滴用バルブを固定しているが、単にバンドで固定しているだけのため、不安定であってズレやすく、カテーテルが引っ張られて所定部位に留置したフィルター部が移動してしまうおそれがある等の不都合がある。特に、単にバンドで点滴用バルブを頭部の側部に固定しているので、点滴用バルブが頭部の側部に直立状態となってしまい、点滴用バルブが周囲に当たったり引っ掛かったりするおそれもあり、不安定である。また、バンドを頭部に巻いて点滴用バルブを固定する作業は、作業時間がかかり、患者及び看護側の双方にとって時間的ロス及び精神的な負荷が大きいという不都合もあった。
【0007】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、固定した点滴用バルブのずれを防止すると共に容易に装着可能な内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明の内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具は、先端にフィルター部を有するカテーテル本体とその基端に取り付けられた点滴用バルブとを有した内頸下大静脈フィルターカテーテルの前記点滴用バルブを固定するバルブ固定部材と、該バルブ固定部材が上部に設置され人体の頭部に被せて装着可能な帽子部と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
すなわち、この内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具では、点滴用バルブを固定するバルブ固定部材が上部に設置され人体の頭部に被せて装着可能な帽子部を備えているので、点滴用バルブをバルブ固定部材に固定して頭部に帽子部を被せるだけで頭部に点滴用バルブをズレ難くかつ短時間で容易に位置決め固定することができると共に、良好な装着感を得ることができる。
【0010】
また、本発明の内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具は、前記帽子部が、装着状態で前記頭部の後頭骨下部の下側に到達し支持可能な形状とされていることが好ましい。すなわち、この内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具では、帽子部が、装着状態で頭部の後頭骨下部の下側に到達しこの部分を支持可能な形状とされているので、帽子部が後頭部の凸部である後頭骨下部の下側に当接して掛かった状態となることで、帽子部全体が上方にずれ難くなる。これによって、帽子部を頭部に強く締め付ける必要がないと共に、患者が横になった際に多少帽子部に力が加わった場合でも、安定した固定状態を維持することが可能になる。
【0011】
さらに、本発明の内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具は、前記帽子部が、装着状態で前記頭部の後頭骨下部の下側を通る後頭部側バンド部を有していることを特徴とする。すなわち、この内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具では、後頭部側バンド部が後頭骨下部の下側を通るので、患者の頭部形状に合わせて帽子部全体をずらして後頭骨下部の下側に当接させなくても後頭部側バンド部によって後頭骨下部の下側を支持することができる。
【0012】
また、本発明の内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具は、前記バルブ固定部材が、前記点滴用バルブの固定位置を調整可能であることを特徴とする。すなわち、この内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具では、点滴用バルブの固定位置を調整可能なバルブ固定部材を有しているので、穿刺部から露出しているカテーテル本体の長さに合わせて点滴用バルブの位置を調整して固定することができ、カテーテル本体の無駄な撓みなどを防ぐことができる。
【0013】
また、本発明の内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具は、前記バルブ固定部材が、前記点滴用バルブを内側に向けて傾斜状態又は横倒し状態で固定可能な受け皿部を備えていることを特徴とする。すなわち、この内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具では、点滴用バルブが内側に向けて傾斜状態又は横倒し状態で受け皿部上に固定されて頭部からの突出量が抑えられるので、点滴用バルブが周囲に当たったり引っ掛かったりすることを抑制することができる。
【0014】
また、本発明の内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具は、前記バルブ固定部材が、前記帽子部に対して着脱可能に取り付けられていることを特徴とする。すなわち、この内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具では、バルブ固定部材が帽子部に対して着脱可能に取り付けられているので、バルブ固定部材を取り外して帽子部だけを洗濯することができ、衛生面に優れた取り扱いが可能になる。
【0015】
さらに、本発明の内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具は、前記受け皿部が、ポリエチレンで形成されていることを特徴とする。すなわち、この内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具では、受け皿部が柔軟であると共に十分な強度を有するポリエチレンで形成され、若干の可動性を有しているので、例えば患者が装着状態で睡眠する際にも違和感を低減することができる。
【0016】
また、本発明の内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具は、前記帽子部が、頭頂部から放射状に下方に延在する少なくとも3本の縦バンド部と、これら縦バンド部の下端部に固定され前記頭部の外周に装着される環状の横バンド部と、で構成されていることを特徴とする。すなわち、この内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具では、帽子部が少なくとも3本の縦バンド部及び環状の横バンド部で構成されているので、各バンド部間に広い隙間があり、頭部全体を塞いで覆う場合に比べて高い通気性を有することで頭部のムレ等を防ぐことができる。
【0017】
さらに、本発明の内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具は、前記縦バンド部及び前記横バンド部が、長さ調節可能とされていることを特徴とする。すなわち、この内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具では、各患者の頭部の形状や大きさに合わせて縦バンド部及び横バンド部の長さが調節可能であり、各患者に対応して頭部にフィットし、確実な装着と良好な装着感とが得られる。例えば、縦バンド部及び横バンド部が、弾性力を伴って伸縮可能な素材(ゴム材等)や面ファスナー等により長さ調整可能な構造とされる。
【0018】
また、本発明の内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具は、前記バルブ固定部材が、前記カテーテル本体を挿通可能であると共に下方に延在したガイドチューブを備えていることを特徴とする。すなわち、この内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具では、バルブ固定部材が、カテーテル本体を挿通可能であると共に下方に延在したガイドチューブを備えているので、点滴用バルブ近傍のカテーテル本体をガイドチューブで保護することができると共にカテーテル本体がぶらぶらして周囲に引っ掛かること等を防ぐことができる。
【0019】
さらに、本発明の内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具は、前記ガイドチューブが、柔軟性材料で形成されていると共に、前記カテーテル本体を差し入れ可能なスリットが全長にわたって形成されていることを特徴とする。すなわち、この内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具で、柔軟なガイドチューブにカテーテル本体を差し入れ可能なスリットが形成されているので、点滴用バルブを固定した状態でガイドチューブ内にカテーテル本体を容易に出し入れすることができる。
【0020】
また、本発明の内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具は、前記帽子部の周囲を少なくとも前記バルブ固定部材の一部と共に覆って隠す用具カバーを備えていることを特徴とする。すなわち、この内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具では、用具カバーによって帽子部の周囲を少なくともバルブ固定部材の一部と共に覆って隠すので、装着時に良好な外観性を得ることができ、患者の精神安定に寄与することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具によれば、点滴用バルブを固定するバルブ固定部材と、これが上部に設置され頭部に被せて装着可能な帽子部と、を備えているので、点滴用バルブをバルブ固定部材に固定して頭部に帽子部を被せるだけで点滴用バルブをズレ難くかつ短時間で容易に位置決め固定することができ、さらには良好な装着感を得ることができる。したがって、点滴用バルブの装着ズレによって挿入しているカテーテルが引っ張られて留置したフィルター部が位置ずれしてしまうことを防ぐことができる。また、頭部への点滴用バルブの固定作業が容易になり、患者及び看護側の双方において時間的ロス及び精神的な負荷を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具の一実施形態を、図1から図3を参照しながら説明する。
【0023】
本実施形態の内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具1は、図1及び図2に示すように、先端にフィルター部(図示略)を有するカテーテル本体2とその基端に取り付けられた点滴用バルブ3とを有した内頸下大静脈フィルターカテーテル4の点滴用バルブ3を患者の頭部Hに固定するための器具である。
この点滴用バルブ固定用具1は、点滴用バルブ3を固定するバルブ固定部材5と、該バルブ固定部材5が上部に設置され人体の頭部Hに被せて装着可能な帽子部6と、を備えている。
【0024】
上記バルブ固定部材5は、点滴用バルブ3を内側に向けて傾斜状態又は横倒し状態で固定可能な点滴用バルブ3より若干長く延在した受け皿部7と、カテーテル本体2を挿通可能であると共に下方に延在したガイドチューブ8と、受け皿部7の下端部には、上記ガイドチューブ8に沿って延在する略半割円筒状のチューブ支持部9と、を備えている。
また、バルブ固定部材5は、受け皿部7の裏面と帽子部6の頭頂部とにそれぞれ貼られた面ファスナー(図示略)により、帽子部6の頭頂部に着脱可能に固定され、点滴用バルブ3の固定位置を一定の範囲で調整可能とされている。
【0025】
上記受け皿部7及びチューブ支持部9は、ポリエチレンで形成されている。
また、受け皿部7及びチューブ支持部9には、それぞれ点滴用バルブ3及びガイドチューブ8の固定用バンド10が複数取り付けられている。すなわち、受け皿部7上に点滴用バルブ3を設置した状態で、点滴用バルブ3を固定用バンド10で固定すると共に、チューブ支持部9にガイドチューブ8を沿わせた状態でガイドチューブ8を固定用バンド10で固定する。
【0026】
上記ガイドチューブ8は、柔軟性のある樹脂材料で形成され、その全長にわたってカテーテル本体2を差し入れ可能な切れ目としてスリット8aが形成されている。
上記帽子部6は、頭頂部から放射状に四方かつ下方に延在する4本の縦バンド部6Aと、これら縦バンド部6Aの下端部に固定され頭部Hの外周に装着される環状の横バンド部6Bと、で構成されたヘッドギアである。
【0027】
なお、受け皿部7は、縦バンド部6Aの頂部に着脱可能に取り付けられている。また、チューブ支持部9は、装着時に耳のすぐ後ろ付近を通るように横バンド部6Bに面ファスナー(図示略)等で着脱可能に取り付けられている。
【0028】
上記縦バンド部6A及び横バンド部6Bは、装着時に要求される強度と柔らかさとが得られる素材としてヘリンボーン生地で形成されていると共に、ゴム材を内蔵して伸縮可能とされている。すなわち、帽子部6を頭部Hに装着した場合、縦バンド部6A及び横バンド部6Bの収縮によって頭部Hの形状に合わせて縦バンド部6A及び横バンド部6Bがフィットし、ずれ難くなっている。
また、上記帽子部6は、装着状態で頭部Hの後頭骨下部Iの下側に到達し支持可能な形状とされている。すなわち、縦バンド部6A及び横バンド部6Bが伸びて後頭骨下部Iの下側に横バンド部6Bの後ろ側が通るようになっている。
【0029】
なお、縦バンド部6A及び横バンド部6Bに、面ファスナー等を用いて長さ調整可能なアジャストベルト等の調整機構を設けても構わない。これにより、頭部側点から頭頂点までの距離や頭部Hの外周径に合わせて縦バンド部6A及び横バンド部6Bの長さ調整が可能である。また、ゴム材を用いて弾性力をもって伸縮可能な縦バンド部6A及び横バンド部6Bが好ましいが、ゴム材を用いず面ファスナー等の調整機構だけで長さ調整可能な縦バンド部6A及び横バンド部6Bとしても構わない。
【0030】
また、横バンド部6Bの下部に、装着状態で後頭骨下部Iの下側に沿って後頭部側を支持する伸縮可能な後頭部側バンド部を設けても構わない。この場合、後頭部側バンド部が後頭骨下部Iの下側を通るので、患者の頭部形状に合わせて帽子部6全体をずらして後頭骨下部Iの下側に当接させなくても後頭部側バンド部によって後頭骨下部Iの下側を支持することができる。
【0031】
さらに、本実施形態の点滴用バルブ固定用具1は、図3に示すように、帽子部6の周囲を少なくともバルブ固定部材5の一部と共に覆って隠す用具カバー11を備えている。この用具カバー11は、幅広である程度の伸縮性を有する環状布製であり、外観性を考慮して種々の色や模様のあるものを採用可能である。
【0032】
本実施形態の点滴用バルブ固定用具1を用いて内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ3を頭部Hに固定するには、まず、カテーテル本体2を首の穿刺部INから内頸静脈に挿入した状態でカテーテル本体2を穿刺部INにおいて固定テープTで固定する。次に、帽子部6を頭部Hに被せると共に、チューブ支持部9が耳のすぐ後ろ付近を通るように帽子部6の位置を調整する。
【0033】
次に、点滴用バルブ3を受け皿部7上に設置して頭部Hの動き等を考慮した位置に固定用バンド10で固定する。さらに、カテーテル本体2をスリット8aからガイドチューブ8に差し入れ、このガイドチューブ8ごと固定用バンド10でチューブ支持部9に固定する。なお、点滴用バルブ3には、点滴ライン12が接続される。また、患者の希望に応じて、用具カバー11で帽子部6の周囲をバルブ固定部材5の一部と共に覆っておく。
【0034】
このように本実施形態の点滴用バルブ固定用具1では、点滴用バルブ3を固定するバルブ固定部材5が上部に設置され人体の頭部Hに被せて装着可能な帽子部6を備えているので、点滴用バルブ3をバルブ固定部材5に固定して頭部Hに帽子部6を被せるだけで頭部Hに点滴用バルブ3をズレ難くかつ短時間で容易に位置決め固定することができ、さらには良好な装着感を得ることができる。
【0035】
また、帽子部6が、装着状態で頭部Hの後頭骨下部Iの下側に到達しこの部分を支持可能な形状とされているので、帽子部6が後頭部の凸部である後頭骨下部Iの下側に当接して掛かった状態となることで、帽子部6全体が上方にずれ難くなる。これによって、帽子部6を頭部Hに強く締め付ける必要がないと共に、患者が横になった際に多少帽子部6に力が加わった場合でも、安定した固定状態を維持することが可能になる。
【0036】
また、点滴用バルブ3の固定位置を調整可能なバルブ固定部材5を有しているので、穿刺部INから露出しているカテーテル本体2の長さに合わせて点滴用バルブ3の位置を調整して固定することができ、カテーテル本体2の無駄な撓みなどを防ぐことができる。さらに、バルブ固定部材5は、点滴用バルブ3が内側に向けて傾斜状態又は横倒し状態で受け皿部7上に固定されて頭部Hからの突出量が抑えられるので、点滴用バルブ3が周囲に当たったり引っ掛かったりすることを抑制することができる。
【0037】
また、バルブ固定部材5が帽子部6に対して着脱可能に取り付けられているので、バルブ固定部材5を取り外して帽子部6だけを洗濯することができ、衛生面に優れた取り扱いが可能になる。
また、受け皿部7が柔軟であると共に十分な強度を有するポリエチレンで形成され、若干の可動性を有しているので、例えば患者が装着状態で睡眠する際にも違和感を低減することができる。
【0038】
また、帽子部6が縦バンド部6A及び環状の横バンド部6Bで構成されているので、各バンド部間に広い隙間があり、頭部H全体を塞いで覆う場合に比べて高い通気性を有することで頭部Hのムレ等を防ぐことができる。
さらに、各患者の頭部Hの形状や大きさに合わせて縦バンド部6A及び横バンド部6Bが伸縮自在であり、各患者に対応して頭部Hにフィットし、確実な装着と良好な装着感とが得られる。
【0039】
また、バルブ固定部材5が、カテーテル本体2を挿通可能であると共に下方に延在したガイドチューブ8を備えているので、点滴用バルブ3近傍のカテーテル本体2をガイドチューブ8で保護することができると共にカテーテル本体2がぶらぶらして周囲に引っ掛かること等を防ぐことができる。さらに、柔軟なガイドチューブ8にカテーテル本体2を差し入れ可能なスリット8aが形成されているので、点滴用バルブ3を固定した状態でガイドチューブ8内にカテーテル本体2を容易に出し入れすることができる。
【0040】
また、用具カバー11によって帽子部6の周囲を少なくともバルブ固定部材5の一部と共に覆って隠すので、装着時に良好な外観性を得ることができ、患者の精神安定に寄与することができる。特に、女性が使用する場合など、装着時の外観的特異性を和らげる効果を得ることができる。
【0041】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態は、帽子部6が4本の縦バンド部6Aを有しているが、少なくとも3本の縦バンド部6Aがあれば良い。
また、点滴用バルブ3と受け皿部7との隙間を埋めるために、受け皿部7上にスポンジ等のクッション材を取り付けておいても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具の一実施形態において、点滴用バルブ固定用具を装着した状態を示す側面図である。
【図2】本実施形態において、点滴用バルブ固定用具を装着した状態を示す正面図である。
【図3】本実施形態において、点滴用バルブ固定用具を装着した状態で補助具用カバーを被った状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0043】
1…点滴用バルブ固定用具、2…カテーテル本体、3…点滴用バルブ、4…内頸下大静脈フィルターカテーテル、5…バルブ固定部材、6…帽子部、6A…縦バンド部、6B…横バンド部、7…受け皿部、8…ガイドチューブ、8a…スリット、11…用具カバー、H…頭部、I…後頭骨下部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端にフィルター部を有するカテーテル本体とその基端に取り付けられた点滴用バルブとを有した内頸下大静脈フィルターカテーテルの前記点滴用バルブを固定するバルブ固定部材と、
該バルブ固定部材が上部に設置され人体の頭部に被せて装着可能な帽子部と、を備えていることを特徴とする内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具。
【請求項2】
前記帽子部が、装着状態で前記頭部の後頭骨下部の下側に到達し支持可能な形状とされていることを特徴とする請求項1に記載の内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具。
【請求項3】
前記帽子部が、装着状態で前記頭部の後頭骨下部の下側を通る後頭部側バンド部を有していることを特徴とする請求項2に記載の内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具。
【請求項4】
前記バルブ固定部材が、前記点滴用バルブの固定位置を調整可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具。
【請求項5】
前記バルブ固定部材が、前記点滴用バルブを内側に向けて傾斜状態又は横倒し状態で固定可能な受け皿部を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具。
【請求項6】
前記受け皿部が、ポリエチレンで形成されていることを特徴とする請求項5に記載の内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具。
【請求項7】
前記バルブ固定部材が、前記帽子部に対して着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具。
【請求項8】
前記帽子部が、頭頂部から放射状に下方に延在する少なくとも3本の縦バンド部と、
これら縦バンド部の下端部に固定され前記頭部の外周に装着される環状の横バンド部と、で構成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具。
【請求項9】
前記縦バンド部及び前記横バンド部が、長さ調節可能とされていることを特徴とする請求項8に記載の内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具。
【請求項10】
前記バルブ固定部材が、前記カテーテル本体を挿通可能であると共に下方に延在したガイドチューブを備えていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具。
【請求項11】
前記ガイドチューブが、柔軟性材料で形成されていると共に、前記カテーテル本体を差し入れ可能なスリットが全長にわたって形成されていることを特徴とする請求項10に記載の内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具。
【請求項12】
前記帽子部の周囲を少なくとも前記バルブ固定部材の一部と共に覆って隠す用具カバーを備えていることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の内頸下大静脈フィルターカテーテルの点滴用バルブ固定用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−201836(P2009−201836A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−48846(P2008−48846)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(590002389)静岡県 (173)
【Fターム(参考)】