説明

円筒外面走査装置

【課題】ドラムに対する刷版の供給および排出を円滑に行い、刷版に無理な力がかかったり傷めたりすることがない円筒外面走査装置を提供する。
【解決手段】ドラム4の周面からみて第1の方向に供給機構8が、第2の方向に収容機構9がそれぞれ設けられる。ドラム4への刷版3の供給および排出時にドラム4に押圧するスキージローラ13は、ローラ移動機構12により、第1の方向に対応した位置と、第2の方向に対応した位置との間で移動可能となっている。スキージローラ13は、供給機構8から刷版3をドラム4に供給する際には、第1の方向に対応した位置でドラム4を押圧し、ドラム4から刷版3を収容機構9に収容する際には、第2の方向に対応した位置でドラム4を押圧させるように、ローラ移動機構12により移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒外面走査装置に関し、より特定的には、その円筒外面に版材、いわゆる刷版が装着されるドラムと、当該ドラムの円周方向および軸方向に光ビームを走査して露光等の処理を行う処理部とを備える円筒外面走査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラー印刷物は、露光工程や印刷工程等いくつかの工程を経て作製される。この露光工程に先立って、カラー印刷物の原稿画像は、複数色に、典型的には、Y(黄)、M(紅)、C(藍)およびK(黒)の4色に色分解され、これによって、各色毎の画像データが生成される。このような画像データが、露光工程で用いられる円筒外面走査装置に与えられる。また、円筒外面走査装置が内部に備えるドラムの外面には、いわゆるPS版(Presensitized Plate)等のシート状の刷版が装着される。ここで、PS版とは、アルミニウム版、プラスチックシート、および紙等の版材表面に、感光層が予め塗布された刷版である。
【0003】
この露光工程において、当該円筒外面走査装置は、与えられた画像データに基づいて、色分解された色毎の画像を刷版上に描くために、ドラムの外面に装着された刷版を露光ヘッドによって露光処理する。つまり、原稿画像が上記YMCKに色分解された場合、4枚の刷版に、互いに異なる色毎の画像が当該円筒外面走査装置によって描かれる。
【0004】
このような処理工程を効率よく処理するために、円筒外面走査装置には、そのドラムに対して刷版を供給および排出するための刷版供給排出装置が備えられる。そしてこの刷板供給排出装置では、ドラムに対して未処理の刷板を供給するための供給部と、ドラムで処理済みの刷板を排出するための排出部が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−258491
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようにドラムに刷板を供給する場合には、供給部から供給されるドラム表面に導いて押し付け、また排出する場合には、ドラムから取り外す刷版を排出部に導く必要がある。しかし一般に、刷版を供給する供給部と、ドラムから取り外した刷版を送り出す排出部とは、それぞれ異なる位置に設けられるため、供給と排出のためには刷版を何らかの手段で導く必要がある。そのために特許文献1では、排出ガイドローラを設け、排出される刷版の端部を挟み込んで強制的に進行方向を変更させて排出経路に導き出している。
【0007】
しかしながらこのような構成にすると、排出ガイドローラに刷版を挟み込む時や、強制的に刷版の進行方向を変更させる時に刷版に無理な力がかかって破損したり傷つけたりすることがあった。
そこで、本発明は、ドラムへの刷版の供給排出を円滑に行うことができ、刷版を傷めることがない円筒外面走査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決する為に、請求項1に係わる発明は、回転自在に設けられる円筒形のドラムに対して版材を供給して取り付け、当該ドラムで処理した後、版材を取り外して排出する円筒外面走査装置であって、ドラムの周面の第1の方向に設けられる第1の刷版通路と、前記第1の方向とは異なるドラムの周面の第2の方向に設けられる第2の刷版通路と、前記ドラムにおける前記第1の刷版通路と前記第2の刷版通路のいずれかを選択的に規定する方向規定機構と、を設けたことを特徴としている。
【0009】
請求項2に係わる発明は、請求項1記載の円筒外面走査装置であって、前記第1の刷版通路にはドラムに刷版を供給する供給機構が、前記第2の刷版通路にはドラムから排出された刷版を収容する収容機構が、それぞれ設けられていることを特徴としている。
【0010】
請求項3に係わる発明は、請求項1または請求項2に記載の円筒外面走査装置であって、前記方向規定機構が、前記ドラムの周りであって、前記第1の刷版通路を規定する第1の位置と、前記第2の刷版通路を規定する第2の位置との間で移動可能に設けられたローラと、該ローラを前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させる移動機構とを備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項4に係わる発明は、請求項3に記載の円筒外面走査装置であって、刷版のドラムへの巻きつけ時には刷版の前端を前記ドラムに固定し、刷版のドラムからの排出時には刷版の前端を開放する開閉機構と、当該開閉機構を駆動する駆動機構とをさらに備え、当該開閉機構の駆動機構の駆動源として、前記移動機構の駆動源を兼用することを特徴としている。
【0012】
請求項5に係わる発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の円筒外面走査装置であって、前記第1の刷版通路と前記第2の刷版通路が、前記ローラの外周において異なる接線の方向に位置することを特徴としている。
【0013】
請求項6に係わる発明は、請求項3または請求項4に記載の円筒外面走査装置であって、前記第1の刷版通路は前記第1の位置における前記ドラムの接線方向に設けられ、前記第2の刷版通路は、前記第2の位置における前記ドラムの接線方向に設けられることを特徴としている。
【0014】
請求項7に係わる発明は、回転自在に設けられる円筒形のドラムに対して版材を供給して取り付け、当該ドラムで処理した後、版材を取り外して排出する円筒外面走査装置であって、ドラムの周面からみて第1の方向に設けられる第1の刷版通路と、該第1の刷版通路に設けられ、前記ドラムに刷版を供給する供給機構と、前記第1の方向とは異なるドラムの周面からみて第2の方向に設けられる第2の刷版通路と、該第2の刷版通路に設けられ、前記ドラムから排出された刷版を収容する収容機構と、前記供給機構から刷版をドラムに供給する際には、前記第1の刷版通路に対応した、ドラムの周囲の第1の位置に接近して刷版をドラムに押圧し、前記収容機構へ刷版をドラムから排出する際には、前記第2の刷版通路に対応した、ドラムの周囲の前記第1の位置とは異なる第2の位置に接近して刷版を第2の刷版通路へ指向させるローラ機構と、を設けたことを特徴としている。
【0015】
請求項8に係わる発明は、回転自在に設けられる円筒形のドラムに対して版材を供給して取り付け、当該ドラムで処理した後、版材を取り外して排出する円筒外面走査装置であって、ドラムの周面からみて第1の方向に設けられる第1の刷版通路と、該第1の刷版通路に設けられ、前記ドラムに刷版を供給する供給機構と、前記第1の方向とは異なるドラムの周面からみて第2の方向に設けられる第2の刷版通路と、該第2の刷版通路に設けられ、前記ドラムから排出された刷版を収容する収容機構と、前記ドラムへの刷版の供給および排出時に前記ドラムに押圧するローラと、前記ローラを、前記供給機構から刷版をドラムに供給する際には、前記第1の刷版通路に対応した、ドラムの周囲の第1の位置に押圧させ、前記収容機構へ刷版をドラムから排出する際には、前記第2の刷版通路に対応した、ドラムの周囲の前記第1の位置とは異なる第2の位置に押圧させるローラ移動機構と、を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
刷版を円滑にドラムに装着したり収容機構へ収容することができる。そして、刷版を案内するためのガイド部材で刷版に無理な力を加えて刷版を傷めたりすることがなく、また専用のガイド部材を設ける必要もない。
【0017】
特に請求項4に記載の発明によれば、刷版の前端の固定と開放を行う開閉機構の駆動源として、ローラの移動機構の駆動源を兼用するので、駆動源の数が少なくて済み、低コストで実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態である画像記録装置1の構造を説明する図である。
【図2】図1に示した画像記録装置1のローディング動作を示す図である。
【図3】図1に示した画像記録装置1のローディング動作を示す図である。
【図4】図1に示した画像記録装置1のローディング動作を示す図である。
【図5】図1に示した画像記録装置1のローディング動作を示す図である。
【図6】図1に示した画像記録装置1のローディング動作を示す図である。
【図7】図1に示した画像記録装置1のアンローディング動作を示す図である。
【図8】図1に示した画像記録装置1のアンローディング動作を示す図である。
【図9】図1に示した画像記録装置1のアンローディング動作を示す図である。
【図10】図1に示した画像記録装置1のアンローディング動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る円筒外面走査装置である画像記録装置1を示す側面図である。画像記録装置は、空間変調光生成装置である光学ヘッド2および記録材料である刷版3を外側面に保持する円筒形状の記録ドラム(以下単にドラムと称する)4を有する。光学ヘッド2は空間変調された光を刷版3に対して照射する露光処理を行う。ドラム4は円筒の回転軸5を中心にして、図示しない装置フレームに回転自在に支持され、モータ6により回転駆動され、これにより光学ヘッド2が刷版3に対して主走査方向に一定の速度で相対的に移動する。また光学ヘッド2は図示しないモータ、ボールネジ、リニアガイドおよびエンコーダ等からなる副走査機構7によりドラム4の中心軸5と平行な方向(図1の紙面に垂直な方向)すなわち副走査方向に移動可能とされ、この副走査機構7により光学ヘッド2が刷版3に対して副走査方向に一定の速度で相対的に移動する。
【0020】
光学ヘッド2、モータ6および副走査機構7は図示しない全体制御部に接続され、全体制御部がこれらを駆動制御することにより、光学ヘッド2がドラム4の外周に保持された刷版3を主走査、副走査の両方向に走査可能となっており、このように光学ヘッド2が走査しつつ露光処理することにより、刷版3への画像の記録が行われる。
【0021】
図1のドラム4の左上方には、未露光の刷版3を保持してドラム4に対して供給する供給機構8が設けられ、またその左下側には、ドラム4にて露光処理後にドラム4から排出されてくる刷版3を収容する収容機構9が設けられる。またドラム4には、供給された刷版3の前端を挟み止めて固定する前クランプ10が取り付けられている。前クランプ10はドラム4の軸方向に長く、刷版3を固定するために図示しないバネにより閉じる方向に付勢した状態で開閉自在に取り付けられる。また刷版3の後端を挟み止めて固定する後クランプ11がドラム4に対して着脱自在に設けられている。後クランプ11はドラム4の幅方向に適宜の間隔で数箇所設けられ、図示しないクランプ着脱機構によりドラム4に対して着脱自在に支持されている。
【0022】
図1のドラム4の右上方には、前クランプ10の開閉を操作するとともに、後述するスキージローラをドラム4に対して昇降させ、またその周方向に沿って位置変更させることが可能なローラ移動機構12が設けられている。なお、図1において、ドラム4の回転軸5、副走査機構7、供給機構8、収容機構9、後クランプ11、ローラ移動機構12は、図示しない装置フレームに直接または間接に取り付け支持されている。
【0023】
図2は供給機構8、収容機構9、ローラ移動機構12の詳細を示す側面図である。供給機構8は未露光の刷版3が収納されるトレー80と、刷版3を供給する際に送り出すローディング用搬送ローラ81とを備える。また収容機構9は、露光済みの刷版3が収納されるトレー90と、ドラム4から排出される刷版3を収容する際に引き込むアンローディング用搬送ローラ91とを備える。供給機構8および収容機構9は、それぞれのローディング用搬送ローラ81、アンローディング用搬送ローラ91の上面によって規定される刷版3を搬送するためのそれぞれの搬送経路が、ドラム4の接線にほぼ一致するように設けられ、かつアンローディング用搬送ローラ91の搬送経路がドラム4に接する位置は、ローディング用搬送ローラ81の搬送経路がドラム4に接する位置よりも若干だけ収容機構9に近い側、すなわち図2中で左側に寄った位置となるように設けられている。また、ドラム4の周面に近接して、未露光の刷版3を装着し保持させる際に刷版3をドラム4に押し付けるスキージローラ13が設けられる。スキージローラ13は、前述のローラ移動機構12により保持されている。
【0024】
ローラ移動機構12の詳細につき図2を参照して説明する。ローラ移動機構12は、図示しない装置フレームに固定して設けられた第1軸14および第2軸15と、これらに結合された次の部材から主として構成されている。
T字型アーム16:T字型の横辺の一端において第1軸14に回動自在に支持されている。
【0025】
鉤付アーム17:一端に鉤部17aが形成され、他端に設けたピン18にて後述するローラアーム19に回動自在に結合されている。中央部には矩形の窓17bが形成され、T字型アーム16の裏面側に形成した突起16aがその窓17bにはめ込まれてその中で動くことができる。
【0026】
ローラアーム19:下端にスキージローラ13の軸13aがはめ込まれる長孔19aが形成され、長孔19aとピン18との間においてピン20にてT字型アーム16の上辺他端と回動自在に結合されている。ピン20は図示しないローラ昇降駆動源に結合されて上下動される。
【0027】
クランプ駆動板21:第1軸14に回動自在に支持される。第1軸14から図中左上方向に離れた一辺側には、前クランプ10の開閉を操作するためにその前クランプ10の長さと対応した長さを有する操作突片22がドラム4方向に取り付けられ、図中右上方向に離れた一辺には、U字形の切込21aが設けられる。切込21aの横の表面には突起21bが突設される。この突起21bはクランプ駆動板21が図中時計方向に回動する際に鉤付アーム17の鉤部17aに係合する。
【0028】
駆動円盤23:第2軸15の周りで回動自在に設けられ、図示しない駆動モータによって回転駆動される。表面にはクランプ駆動板21の切込21aに係合する突起23aが形成されている。
【0029】
まず画像記録装置1の概略の動作を説明する。画像記録装置1に使用する未露光の刷版3は図示しないオートローダに多数保管されており、画像記録装置1の動作に伴って必要に応じて供給機構8に1枚ずつ供給される。画像の記録を行う際には、供給機構8から1枚の刷版3をドラム4に巻きつけて回転させ、副走査機構7によって光学ヘッド2をドラム4の中心軸5方向に移動させつつ露光処理する。この際、全体制御部はこれら各部の制御を行うとともに、外部から入力された記録すべき画像データの信号を光学ヘッド2に供給する。画像記録が終了すると、刷版はドラム4から外して収容機構9へ送られる。
【0030】
次に、刷版3のドラム4への供給と排出の動作を詳細に説明する。画像記録動作の開始前は、図1に示すように刷版3が供給機構8内に収納されている。このとき、スキージローラ13、後クランプ11および操作突片22はいずれも上昇しており、前クランプ10は前記バネにより閉じられている。画像記録動作が開始されると、まず、刷版3のドラム4への供給および装着(ローディング)を行う。図2に示すように、供給機構8のローディング用搬送ローラ81の上面によって規定される供給経路の延長線がドラム4と接する位置に、前クランプ10が位置するようにドラム4が回転駆動される。続いて、クランプ駆動板21の操作突片22がドラム4方向に近接する方向に駆動されて、ドラム4に取り付けられた前クランプ10の一端部を押し下げて、前クランプ10を閉じている前記バネの付勢力に抗して前クランプ10を開く。この動作は、駆動円盤23が図中反時計方向に前記駆動モータにより回転駆動され、駆動円盤23に取り付けられた突起23aが、クランプ駆動板21のU字形の切込21a内で動き、クランプ駆動板21を第1軸14の周りで半時計方向に回転させることによる。前クランプ10が開くと続いて供給機構8のローディング用搬送ローラ81が回転駆動され、未露光の刷版3をドラム4へ向けて送り出す。送り出された刷版3は、図2に示すように、その前端が開いた前クランプ10に差し込まれる。前クランプ10が、ローディング用搬送ローラ81の搬送経路の延長線がドラム4に接する位置にあるため、刷版3は円滑に前クランプ10に差し込まれる。
【0031】
次に図3に示すように、クランプ駆動板21の操作突片22がドラム4から離れる方向に駆動されて、前クランプ10から離れて押し下げを解除し、前記バネの付勢力により前クランプ10を閉じ、刷版3の前端を固定する。この動作は、駆動円盤23が図中時計方向に前記駆動モータにより回転駆動され、駆動円盤23に取り付けられた突起23aが、クランプ駆動板21のU字形の切込21a内で動き、クランプ駆動板21を第1軸14の周りで時計方向に回転させることによる。
【0032】
次に図4に示すように、ローラアーム19が下降し、スキージローラ13が刷版3を上方からドラム4に押し付ける。スキージローラ13の軸13aは長孔19a内でフリーになり、スキージローラ13はその自重で刷版3をドラム4に押し付ける。この動作は、ローラアーム19に取り付けられたピン20が図示しないローラ昇降駆動源により下降されることによる。なお、このスキージローラ13のドラム4への押し付けは、ローディング用搬送ローラ81の搬送経路の延長線がドラム4に接する位置で行うのがよい。そのため、前クランプ10がスキージローラ13にぶつからないように、スキージローラ13のドラム4への下降前にドラム4を若干だけ図中時計方向へ回転駆動させておく。そして、このようにスキージローラ13が刷版3をドラム4に押し付けた状態にしておいて、ドラム4は図中時計方向に回転駆動され、刷版3を巻きつけていく。ローディング用搬送ローラ81の搬送経路の延長線がドラム4に接する位置で、スキージローラ13が刷版3をドラム4へ押し付けているので、刷版3のドラム4への巻きつけが円滑に行われる。
【0033】
刷版3を巻きつけ終わり、図5に示すように刷版3の終端がスキージローラ13の近傍にある後クランプ11の着脱位置に来たところでドラム4の回転は停止される。そして、図6に示すように後クランプ11が図示しないクランプ着脱機構によりドラム4に装着され、刷版3の後端を押さえてドラム4に固定する。これで刷版3のドラム4への装着が終わる。刷版3がドラム4に装着されると、図6の状態からローラアーム19に取り付けられたピン20が図示しないローラ昇降駆動源により持ち上げられ、スキージローラ13が上昇してドラム4から離される。この状態で、ドラム4が高速で回転駆動され、光学ヘッド2による刷版3への露光処理が開始され、すなわち画像記録処理が行われる。
【0034】
画像記録が終了すると、刷版3のドラム4からの取り外しと排出(アンローディング)を行う。ドラム4が後クランプ11が着脱位置に来るように回転駆動された後、スキージローラ13が下降されて図6に示す状態、すなわち露光処理の開始時と同じ状態とされる。次に後クランプ11が取り外され、図5に示す状態とされる。そしてここから、スキージローラ13がドラム4の外周に沿って図中反時計方向に移動するよう駆動され、図7に示す状態とされる。この動作は、駆動円盤23が図中時計方向に前記駆動モータにより回転駆動され、駆動円盤23に取り付けられた突起23aが、クランプ駆動板21を第1軸14の周りで反時計方向に回転させ、さらに、クランプ駆動板21に取り付けられた突起21bが鉤付アーム17の鉤部17aに係合して鉤付アーム17を図中右下方向に引き、鉤付アーム17に結合されたローラアーム19がピン20を中心に時計方向に回転することによる。そしてこれにより、スキージローラ13は図5に示す状態よりも図中左側の位置、すなわち、アンローディング用搬送ローラ91の搬送経路の延長線がドラム4に接する位置にあり、刷版3のさらに終端近くを押し付けた状態となる。
【0035】
続いて、スキージローラ13が図7の位置にある状態で、ドラム4は図中反時計方向に回転駆動される。これにより、露光済みの刷版3は自身の弾性によりスキージローラ13の位置でドラム4から離れていき、収容機構9のトレー90に入り、アンローディング用搬送ローラ91にも引き込まれて、図8に示す状態まで収容機構9に収容されていく。アンローディング用搬送ローラ91の搬送経路の延長線がドラム4に接する位置にスキージローラ13が置かれているので、そこでドラム4から離れた刷版3は収容機構9のトレー90への収納が円滑に行われる。図8に示す状態、すなわち刷版3のほとんどはドラム4から離れ、前クランプ10がその開閉を行う位置までくると、ドラム4の回転は停止される。
【0036】
続いて、図8の状態から、スキージローラ13が上昇して刷版3およびドラム4から離れると同時に、前クランプ10が開かれ、図9の状態となる。この動作は、ローラアーム19に取り付けられたピン20が図示しないローラ昇降駆動源により上昇されるとともに、駆動円盤23が図中反時計方向に前記駆動モータにより回転駆動され、駆動円盤23に取り付けられた突起23aが、クランプ駆動板21を第1軸14の周りで反時計方向に回転させ、クランプ駆動板21の操作突片22が前クランプ10の一端を押し下げて前クランプ10を開き、さらに、クランプ駆動板21に取り付けられた突起21bが鉤付アーム17の鉤部17aとの係合を解除する。ピン20の上昇に伴い、ローラアーム19は自重によって反時計方向に回転し、鉤付アーム17が図中左上方向に戻る。これによって刷版3の前端は前クランプ10からフリーになり、刷版3は収容機構9のアンローディング用搬送ローラ91に引き込まれて、トレー90に収容される。刷版3がトレー90に収容されると、駆動円盤23が図中時計方向に前記駆動モータにより回転駆動され、クランプ駆動板21を第1軸14の周りで時計方向に回転させ、クランプ駆動板21の操作突片22が前クランプ10の一端の押し下げを解除して前クランプ10を閉じて図10の状態となり、この1枚の刷版の露光処理を終了する。
【0037】
なお、この実施形態では、供給機構8と収容機構を9、それぞれのローディング用搬送ローラ81、アンローディング用搬送ローラ91の搬送経路が、ドラム4の接線にほぼ一致するように設け、かつそれぞれローディング時とアンローディング時にはそれぞれの接線のドラム4との接触位置にスキージローラ13を位置させていた。しかしこれに限らず、例えば、露光済みの刷版3をドラム4から取り外す場合において刷版3がドラム4への巻きぐせや自重などのために若干下に垂れてくる場合には、収容機構9をそれに対応してドラム4の接線よりも若干低い位置に設けることも考えられる。このように供給機構8や収容機構9の位置を変更したとしても、ローディング時とアンローディング時にはスキージローラ13をローラ移動機構12によりそれぞれに最適な位置に動かすことで、刷版を円滑にドラム4に装着したり収容機構9へ収容することができる。そして、刷版3を案内するためのガイド部材で刷版3に無理な力を加えて刷版3を傷めたりすることがなく、また専用のガイド部材を設ける必要もない。
【符号の説明】
【0038】
1 画像記録装置
2 光学ヘッド
3 刷版
4 記録ドラム
7 副走査機構
8 供給機構
9 収容機構
10 前クランプ
11 後クランプ
12 ローラ移動機構
13 スキージローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在に設けられる円筒形のドラムに対して版材を供給して取り付け、当該ドラムで処理した後、版材を取り外して排出する円筒外面走査装置であって、
ドラムの周面の第1の方向に設けられる第1の刷版通路と、前記第1の方向とは異なるドラムの周面の第2の方向に設けられる第2の刷版通路と、前記ドラムにおける前記第1の刷版通路と前記第2の刷版通路のいずれかを選択的に規定する方向規定機構と、を設けたことを特徴とする円筒外面走査装置。
【請求項2】
請求項1記載の円筒外面走査装置であって、前記第1の刷版通路にはドラムに刷版を供給する供給機構が、前記第2の刷版通路にはドラムから排出された刷版を収容する収容機構が、それぞれ設けられていることを特徴とする円筒外面走査装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の円筒外面走査装置であって、前記方向規定機構が、前記ドラムの周りであって、前記第1の刷版通路を規定する第1の位置と、前記第2の刷版通路を規定する第2の位置との間で移動可能に設けられたローラと、該ローラを前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させる移動機構とを備えたことを特徴とする円筒外面走査装置。
【請求項4】
請求項3に記載の円筒外面走査装置であって、刷版のドラムへの巻きつけ時には刷版の前端を前記ドラムに固定し、刷版のドラムからの排出時には刷版の前端を開放する開閉機構と、当該開閉機構を駆動する駆動機構とをさらに備え、当該開閉機構の駆動機構の駆動源として、前記移動機構の駆動源を兼用することを特徴とする円筒外面走査装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の円筒外面走査装置であって、前記第1の刷版通路と前記第2の刷版通路が、前記ローラの外周において異なる接線の方向に位置することを特徴とする円筒外面走査装置。
【請求項6】
請求項3または請求項4に記載の円筒外面走査装置であって、前記第1の刷版通路は前記第1の位置における前記ドラムの接線方向に設けられ、前記第2の刷版通路は、前記第2の位置における前記ドラムの接線方向に設けられることを特徴とする円筒外面走査装置。
【請求項7】
回転自在に設けられる円筒形のドラムに対して版材を供給して取り付け、当該ドラムで処理した後、版材を取り外して排出する円筒外面走査装置であって、
ドラムの周面からみて第1の方向に設けられる第1の刷版通路と、
該第1の刷版通路に設けられ、前記ドラムに刷版を供給する供給機構と、
前記第1の方向とは異なるドラムの周面からみて第2の方向に設けられる第2の刷版通路と、
該第2の刷版通路に設けられ、前記ドラムから排出された刷版を収容する収容機構と、
前記供給機構から刷版をドラムに供給する際には、前記第1の刷版通路に対応した、ドラムの周囲の第1の位置に接近して刷版をドラムに押圧し、前記収容機構へ刷版をドラムから排出する際には、前記第2の刷版通路に対応した、ドラムの周囲の前記第1の位置とは異なる第2の位置に接近して刷版を第2の刷版通路へ指向させるローラ機構と、
を設けたことを特徴とする円筒外面走査装置。
【請求項8】
回転自在に設けられる円筒形のドラムに対して版材を供給して取り付け、当該ドラムで処理した後、版材を取り外して排出する円筒外面走査装置であって、
ドラムの周面からみて第1の方向に設けられる第1の刷版通路と、
該第1の刷版通路に設けられ、前記ドラムに刷版を供給する供給機構と、
前記第1の方向とは異なるドラムの周面からみて第2の方向に設けられる第2の刷版通路と、
該第2の刷版通路に設けられ、前記ドラムから排出された刷版を収容する収容機構と、
前記ドラムへの刷版の供給および排出時に前記ドラムに押圧するローラと、
前記ローラを、前記供給機構から刷版をドラムに供給する際には、前記第1の刷版通路に対応した、ドラムの周囲の第1の位置に押圧させ、前記収容機構へ刷版をドラムから排出する際には、前記第2の刷版通路に対応した、ドラムの周囲の前記第1の位置とは異なる第2の位置に押圧させるローラ移動機構と、
を設けたことを特徴とする円筒外面走査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−75793(P2011−75793A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226616(P2009−226616)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】