円筒状の金型、光再利用シート、及び太陽電池モジュール
【課題】太陽電池セル30に効率的に集光可能なシートを成形可能な円筒状の金型S、その金型Sにより成形されたシート、及びそのシートを使用した太陽電池モジュール200を提供する。
【解決手段】金型Sは、表面に凹凸形状を有する成型部が形成された円筒状の金型本体S1を備える。上記成型部に形成される凹凸形状として、軸方向に延びる溝が円周方向に沿って複数形成されたひだ部P1と、円周方向に延びる溝が軸方向に沿って複数形成された帯状溝部B1と、を有する。この金型Sを使用してシートを成型し、太陽電池モジュール200に用いる。
【解決手段】金型Sは、表面に凹凸形状を有する成型部が形成された円筒状の金型本体S1を備える。上記成型部に形成される凹凸形状として、軸方向に延びる溝が円周方向に沿って複数形成されたひだ部P1と、円周方向に延びる溝が軸方向に沿って複数形成された帯状溝部B1と、を有する。この金型Sを使用してシートを成型し、太陽電池モジュール200に用いる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹凸形状を転写するための円筒状の金型、その円筒状の金型で表面に凹凸形状が転写された光再利用シート、及びその光再利用シートを用いた太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽電池モジュールの普及は大きな広がりを見せ、電卓等の小型電子機器に搭載される比較的小さなものから、家庭用として住宅に取り付けられる太陽電池モジュールや大規模な発電施設に用いられる大面積の太陽電池発電システム、さらには人工衛星の電源まで、様々な分野で利用が促進されている(例えば、特許文献1参照)。
このような太陽電池は、主に光が照射される面積に比例して発電量が増加する。したがって、発電効率を向上させるには封止技術、製膜技術等の製造技術を改善することに加え、いかにして太陽電池モジュールの開口率(全面積に対する発電可能な面積の割合)を大きくするかが重要な課題となっている。
【0003】
また、特に単結晶シリコンや多結晶のシリコンを使用した太陽電池モジュールは、そのシリコンのコストが高いという問題がある。また、それを貼り付けるためのコストも掛かる。
そこで、太陽電池セルの構成部材であるシリコンの量が少なく、CVD等の技術により、成膜することができるような薄膜シリコンの太陽電池セルが用いられるようになってきている。
【0004】
しかし、上述のものは特に赤外光が薄膜シリコンの太陽電池セルを透過しやすいため光の吸収率が低い。そこで光の利用効率を上げるために、あえて入射した光を散乱させて、薄膜シリコンの太陽電池セルを透過する距離を稼ぐことで光の利用効率を向上させることも考えられている。
一般に、非晶質シリコン太陽電池(非晶質Si太陽電池とも呼ぶ。)には、2種類の構造のものがある。一つは、ガラス等の透光性基板上に、SnO2やITO等の透明電導膜が形成され、その上に非晶質半導体(Si)のp層、i層、n層がこの順に積層されて成る構造のものである。もう一つは、金属基板電極の上に、非晶質半導体(Si)のn層,i層,p層がこの順に積層されて光電変換活性層が形成され、更にその上に透明電導膜が積層され成る構造のものである。
【0005】
特に、前者の構造の非晶質シリコン太陽電池では、非晶質半導体をp−i−n層の順に形成するのに、透光性絶縁基板が太陽電池表面カバーガラスを兼ねることができること、また、SnO2等の耐プラズマ性透明電導膜が開発されて、この上に非晶質半導体光電変換活性層をプラズマCVD法で形成することが可能になったことなどから、現在多く用いられている。
【0006】
なお、非晶質半導体光電変換活性層の形成に、原料ガスのグロー放電分解によるプラズマCVD法や、光CVD法による気相成長法を用いることができ、これらの方法によれば大面積の薄膜形成が可能であるという利点もある。
非晶質Si太陽電池は100℃〜200℃程度の比較的低温で形成できる。このため、非晶質Si太陽電池を形成するための基板として、様々な材質の基板を用いることが可能であるが、通常よく用いられるものはガラス基板やステンレス基板である。
【0007】
また、非晶質Si太陽電池は、光を電気に変換する変換効率が最大となるときのシリコンの光吸収層の膜厚が500nm程度であるため、その変換効率を向上させるには光吸収層の膜厚内で光の吸収量を増大させることが重要なポイントとなる。そのため、ガラス基板上の表面に凹凸のある透明導電膜を形成したり、ステンレス基板上の表面に凹凸のある金属膜を形成したりすることにより、光吸収層中での光の光路長を増加させることが、従来から行われてきた。
【0008】
このような方法で、光吸収層中での光路長を増加させた太陽電池の場合、その表面に凹凸がない平坦な基板上に非晶質Si太陽電池を形成した場合と比較して、光の利用効率が顕著に向上する。
【0009】
ところで、ガラス基板の表面上に凹凸を形成する一般的な方法としては、常圧CVD法により透明電極であるSnO2膜を形成する方法が挙げられる。また、ステンレス等の金属基板上に凹凸を形成する方法としては、Agを蒸着法やスパッタリング法により形成する際に、その形成条件を調整したり、Agの形成後に熱処理を行ったりする方法が用いられていた。
【0010】
この薄膜太陽電池は、透光性絶縁基板の上に、透明導電膜、水素化アモルファスシリコンカーバイド(a―SiC H)p層、水素化アモルファスシリコン(a―Si H)i層、水素化アモルファスシリコン(a―Si H)n層、透明導電膜、及び裏面電極が順次形成されて構成されるものである。そして、前述のようにして、透明導電膜の表面に凹凸形状が形成され、これによりその上部に形成された各層が凹凸構造を有するというものである。
【0011】
また、薄膜太陽電池等の半導体素子を可撓性基板あるいは軽量基板上に形成する場合、耐熱性の高いポリイミド樹脂が用いられてきた。このような樹脂に凹凸を形成する方法は、特許文献2等に開示されている。
また、特許文献3には、V溝の周期構造により、光を再帰反射し、光の利用効率を上げるような特許が公開されており、V溝頂角は、50度から90度が望ましいとの記述がある。また、V溝の周期のピッチとしては、10μmから20μmが望ましいとの記述がある。
【0012】
結晶系の太陽電池モジュールは、小片サイズのセルを複数電極で接続させ構成する。結晶系の太陽電池モジュールは、隣り合うセル同士の間にはある程度間隔が空いている。また、太陽電池モジュールの端部は雨水などの浸食を防ぐため、セルを配していない余白部分を数ミリから数十ミリ設けている。
【0013】
これらの隙間及び余白部分はセルが無いため、これらの領域に光が照射されても発電にはつながらず、損失となっている。このような、セルの隙間および余白に注ぐ光の損失に対して、従来、以下のような対応が提案されている。
【0014】
例えば、結晶系の太陽電池モジュールにおいては、裏面に配置する反射保護シートを光反射材とし、光を再びセル側に戻し、前面板であるガラス板などにより全反射し、セルの受光面に再入射させ効率を上げるものがある。
【0015】
さらに、裏面に配す反射保護シート上に凹凸構造をつけ、凹凸構造上で反射した光を散乱し易くしセルの受光面に導く確率を向上させ効率を上げた構造などがある(特許文献1及び2参照)。さらに、裏面の反射保護シートに凹凸をつけることにより光を散乱させ、さらにセルの両方の面が受光面となるものを使用し効率を上げる構成も存在する(特許文献3参照)。
【0016】
また、高価である太陽電池セルへ太陽光を集光することにより、効率を上げるために、様々な太陽電池の集光システムが知られている。
しかし、集光システムとしてレンズ等を用いた場合には、住宅の屋根等への設置が困難で設置場所が限られるなどの問題があった。
そこで、通常の太陽電池モジュールと同様の形態でセルにより多くの光を入射するものが知られている。このような太陽電池モジュールで用いられるような裏面材は、円筒状の金型の表面に凹凸形状を形成し、その凹凸形状をシートに転写して成型することによって作製することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】実開昭62‐101247号公報
【特許文献2】特開平10‐284747号公報
【特許文献3】特許第3670835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかし、従来の技術では、プリズム状の形状を作製するための円筒状の金型は、円周方向に溝があるだけの金型しかなく、十分に光を再利用できるようなシートを作製することができない。また、十分に光を再利用するには、素子の周辺にプリズム反射構造を同心四角形に囲うのが好ましい。しかし、その際に、モジュールの大きさと同じ円周の円筒状の金型を作製すると、通常モジュールのサイズが、800mmから1600mmのサイズであり、そのフィルムを作製するためのロールの直径は、250mmから500mmとなる。ロール長も同様に800mmから1600mmであるため、鉄製のロールでは重量が25tにも達してしまう。また、フィルムを断裁していく際に、フィルムのパターンと断裁位置とのズレが累積していくことにより、抜き位置がずれてしまい、本来の性能をだせなくなってしまう。
【0019】
本発明は、上記のような点に鑑みてなされたもので、太陽電池セルに効率的に集光可能な光再利用シートを成形可能な円筒状の金型、その金型により成形された光再生利用シート、及びその光再生利用シートを使用した太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載した発明は、表面に凹凸形状が形成された円筒状の金型本体を備え、上記凹凸形状として、軸方向に延びる溝が円周方向に沿って複数形成されたひだ部と、円周方向に延びる溝が軸方向に沿って複数形成された帯状溝部と、を有することを特徴とする円筒状の金型を提供するものである。
【0021】
次に、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した構成に対し、上記帯状溝部の形成位置は、上記ひだ部の形成位置よりも小径であり、上記帯状溝部とひだ部との間には、帯状溝部からひだ部に向けて段階的若しくは連続的に径が変化する傾斜部を有することを特徴とするものである。
【0022】
次に、請求項3に記載した発明は、請求項2に記載した構成に対し、上記傾斜部に対し円周方向に延びる溝を軸方向に複数形成し、上記傾斜部とひだ部の間に、軸方向に延びる溝と円周方向に延びる溝とが交差して形成された交差部を有することを特徴とするものである。
次に、請求項4に記載した発明は、請求項3に記載した構成に対し、上記傾斜部に形成した複数の溝は、隣り合う溝の頂点の段差Tgと頂点間の軸方向距離Tpとの比(Tg/Tp)が、下記式を満足することを特徴とするものである。
【0023】
1/300 ≦(Tg/Tp)≦ 1/3
【0024】
次に、請求項5に記載した発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の円筒状の金型を用いて成型された構造層と、構造層の凹凸面に積層する反射層とを備えることを特徴とする光再利用シートを提供するものである。
【0025】
次に、請求項6に記載した発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の円筒状の金型を用いて成型された構造層と、構造層の凹凸面に積層する反射層と、反射層に粘・接着層を介して積層する保護層とを備えることを特徴とする光再利用シートを提供するものである。
【0026】
次に、請求項7に記載した発明は、表面に対し、軸方向に延びる溝が円周方向に沿って複数形成されたひだ部と、円周方向に延びる溝が軸方向に沿って複数形成された帯状溝部と、を有することを特徴とする光再利用シートを提供するものである。
次に、請求項8に記載した発明は、太陽電池セルの背面側に請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載した光再利用シートを配置したことを特徴とする太陽電池モジュールを提供するものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明の金型によれば、保管の際の傷の発生が抑制され、また本金型により成型されたシート状部材は、ロール状に保管された際のフィルム端部でのズレが抑制され、且つ成型されたフィルムに金属反射層を形成した際の傷を防止する。その金型等によって成型した光再生シートを太陽電池セルの背面に配置することにより、太陽電池セルに入射しない光を再利用して太陽電池セルの発電量を増加することが可能となる。
【0028】
すなわち、太陽電池モジュールに入射する光を太陽電池セルに効率的に集光することにより少ない太陽電池セルにより多くの発電量を得ることができる太陽電池モジュールを提供することができる。
また、上記光再利用シートを用い、LEDやEL素子等の発光素子の光を再利用することにより光の利用効率を向上し、発光効率の良い発光素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に基づく実施形態に係る金型の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明に基づく実施形態に係る金型の保管方法を示す斜視図である。
【図3】本発明に基づく実施形態に係る金型の一例を示す断面図である。
【図4】本発明に基づく実施形態に係る金型を用いた光再利用シート(シート状部材)の成型について説明する図である。
【図5】本発明に基づく実施形態に係る光再利用シートの一例を示す断面図である。
【図6】本発明に基づく実施形態に係る光再利用シートを貼り合せた一例を示す断面図である。
【図7】本発明に基づく実施形態に係る金型の凹凸形状を示す斜視図である。
【図8】本発明に基づく実施形態に係る太陽電池モジュールを示す断面図である。
【図9】本発明に基づく実施形態に係る光再利用シートに太陽電池セルの配置した際の配置図である。
【図10】本発明に基づく実施形態に係る太陽電池モジュールの構成を示す断面図であって、帯状溝部と隣接する傾斜部とを有する反射面がある光再利用シートを用いた太陽電池モジュールの図である。
【図11】図10に示す太陽電池モジュールにおける太陽電池セルへの相対入射光量の変化を示すグラフである。
【図12】略鋸形状の傾斜部を有する反射面がある光再利用シートを用いた太陽電池モジュールの図である。
【図13】窪みのある帯状溝部を有する反射面がある光再利用シートを用いた太陽電池モジュールの図である。
【図14】光再利用シートの一例を示す断面図である。
【図15】光再利用シートの一例を示す断面図である。
【図16】太陽電池モジュールに一例を示す断面図である。
【図17】光再利用シートの一例を示す断面図である。
【図18】発光素子に対し光再生シートを適用した例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
まず、図1を用いて、本発明に係る円筒状の金型を構成するロール金型について説明する。
【0031】
(金型の構成)
本実施形態のロール金型Sは、円筒状の胴からなる金型本体S1と、成型装置に取り付けるための軸部S3とを備える。金型本体S1の表面のうち、左右両端部を除いた部分が成型部となる。その成型部に後述のように型としての凹凸形状が形成されている。また、上記軸部S3は、金型本体S1の両端面から金型本体S1と同軸に突出している。
【0032】
上記金型Sは、心材としては、鉄、ステンレス、アルミ、アルミ合金等を用いることができ、さらに、その上に鍍金等により、銅やニッケルを形成したものを用いることができる。
また金型本体S1表面に形成する凹凸形状は、地金の上に銅やニッケルを鍍金して、切削の下地層を形成し、その下地層を切削することによって形成することができる。また、この切削の後に耐擦傷性及び離型性を向上させるためにクロム鍍金を施すこともできる。
【0033】
上記凹凸形状として、軸方向に延びる溝が円周方向に沿って複数形成されたひだ部P1と、円周方向に延びる溝が軸方向に沿って複数形成された帯状溝部B1と、を有する。上記ひだ部P1と帯状溝部B1は、金型本体S1の軸方向に沿って、交互に形成されている。
ここで、本実施形態では、転写する溝がプリズム状となるように、溝部は、V溝の周期構造で形成されていて、V溝頂角は50度以上90度以下が好ましい。
【0034】
また、上記帯状溝部B1の形成位置の径は、図3に示すように、上記ひだ部P1の形成位置の径よりも小径である。
上記帯状溝部B1とひだ部P1との間には、図3に示すように、帯状溝部B1からひだ部P1に向けて段階的若しくは連続的に径が変化する傾斜部T1を有する。
その傾斜部T1に対し、図7に示すように、円周方向に延びる溝が軸方向に沿って複数形成しておくと良い。
【0035】
さらに、上記傾斜部T1とひだ部P1の間に、図7に示すように、複数の軸方向溝と複数の円周方向溝が交差して形成された交差部X1を形成すると良い。交差部X1に設ける溝は、たとえば図7に示すように、ひだ部P1の溝として円周方向に延在する溝を軸方向に沿って複数形成すると共に、その溝を形成する頂部を、軸方向に延在するように軸方向溝を形成することで設ける。
【0036】
また、上記傾斜部T1に形成した複数の溝は、隣り合う溝の頂点の段差Tgと頂点間の軸方向距離Tpとの比(Tg/Tp)が、下記式を満足することが好ましい。
1/300 ≦(Tg/Tp)≦ 1/3
【0037】
以上のような凹凸形状が形成された金型Sを用いて、凹凸形状を転写したシート状部材60を成型する。例えば、金型Sの凹凸形状に対し、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂等を塗布または注入し、その上に基材を配置して、硬化処理後に金型Sから離型することで、図4のように、凹凸形状を有するシート状部材60を成型することができる。なお本明細書では、シート状には、フィルム状や板状の形状も含まれる。なお、図4は、傾斜部T1を省略した図である。
【0038】
または、一対のロールの少なくとも一方に上記ロール金型Sを使用して、Tダイから押し出されるシート状の溶融樹脂を上記一対のロールで挟圧することで、上記凹凸形状を有するシート状部材60を成型したりしても良い。
【0039】
(金型の作用その他)
金型Sは、通常複数回使用されるものであるため、使用期間と使用期間の間に保管期間がある。この保管期間に金型S表面の凹凸形状を傷付けないように、保管の際には図2のように軟包材等のカバーC0を金型Sの上に巻いておく。さらに、図2のように、ラック500に軸部S3を掛けて横架させて、凹凸形状に加重が掛からないようにして保管する。
【0040】
また、この金型Sを移動させる際には、ラック500上を転がすようにして金型Sを移動させる。この移動の際に、カバーC0が金型S上を円周方向に滑りやすく、金型Sに形成した溝の頂部とカバーC0が摺接することで、当該溝の頂部に傷が発生しやすい。
これを防止するために、本実施形態では、金型S表面にひだ部P1を形成していることで、軸方向溝を形成して、カバーC0が円周方向に滑ることを防止する。
【0041】
ここで、このひだ部P1の溝のピッチが10μmより小さい場合には、ひだ部P1の溝の頂部にかかる圧力が分散しすぎるため、カバーC0が円周方向に滑ってしまうおそれがある。一方、ひだ部P1の溝のピッチが200μmより大きい場合には、ひだ部P1の溝の頂部に圧力がかかりすぎてしまい、溝の頂部に傷ができてしまうおそれがある。以上のことから、ひだ部P1の溝のピッチは、10μm以上200μm以下が好ましい。
【0042】
また、上述のひだ部P1は、カバーC0が円周方向に滑ることは防止できるが、カバーC0が軸方向にずれることを防止できない。カバーC0は、まれに軸方向にずれることもある。これに対し、本実施形態では、帯状溝部B1を設けることにて対処している。すなわち、ひだ部P1と帯状溝部B1の境界にカバーC0が引っかかるため、カバーC0が軸方向にも滑ることを抑えることが可能となる。
【0043】
帯状溝部B1の幅とひだ部P1の幅の比率は、1:9〜5:5の範囲であることが好ましい。帯状溝部B1の幅の比率が1:9より小さいと、軸方向の滑りを防止することができないおそれがある。一方、5:5より大きいと、円周方向の滑りを十分に防止することができないおそれがある。また、この帯状溝部B1は、ひだ部P1より10μm以上200μm以下窪んでいる、つまり小径となって径方向にオフセットしているのが好ましい。窪みが10μmより小さいとカバーC0の引っ掛かりが弱くカバーC0が滑ってしまうおそれがある。一方、200μmより大きいと後述する成型工程で成型材料が目詰まりしてしまい好ましくない。
【0044】
なお、金型Sの直径としては、100mm以上500mm以下が好ましい。100mmより小さい場合には、シートを成型工程でロールに撓みが生じ、成型するシート状部材60の中央と端部で成型率が異なってしまう。一方、500mmより大きい場合には、ロールの重量が重すぎることで、ロールを回転させる際に回転ムラによって金型Sを切削する際にムラが生じてしまうおそれがある。
【0045】
(成型するフィルムなどのシート状部材との関係について)
上述のように、図4のように上述の金型Sを用いることにより、紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂をシート状に成型をすることができる。成型したフィルムなどのシート状部材60の凹凸形状は、金型Sの凹凸形状とは逆形状となるため、金型Sでの凹状の帯状溝部B1が、シート状部材60での凸状の帯状溝部B2となる。図4に示すシート状部材60は、透明基材上に構造層3が積層した構造となっている。
【0046】
成型したシート状部材60は巻取りロール状とすることにより輸送等に適した形態とすることができる。成型したシート状部材60をロール状にした際に、シート状部材60の帯状溝部B2は、シート状部材60の幅方向と交差する方向延在する凸状の溝となるため、シート状部材60が幅方向に滑ることを防止する。これによって、シート状部材60を巻き取ったロールの形態が、輸送中等に崩れることを防止することができる。
【0047】
上述のロールの形態が輸送中等に崩れることを防止するには、シート状部材60に転写したひだ部P2と帯状溝部B2との段差が、5μm以上100μm以下が好ましい。5μmより小さいと、十分に滑りを防止することはできないおそれがある。一方、100μmより大きいと、滑りは防止できるがフィルムを巻く際に歪みが生じてしまいうまく巻き取る事ができないおそれがある。
【0048】
さらに、図5に示すように、上記凹凸形状を成型したシート状部材60に金属を蒸着することにより反射層4を形成すると良い。図5(a)は傾斜部T2に溝を形成しない場合の例であり、図5(b)は、傾斜部T2に溝を形成すると共に、交差部X2を設けた場合の例である。
上記反射層4は、非常に傷がつきやすいが、図6に示すように、粘・接着層5で別の基材(保護層6)によって封止することにより反射面を保護することができる。このとき溝の深さが30μmより大きいと、粘・接着層5を構成する粘・接着剤がうまく溝に入らず浮きの原因となり好ましくない。
【0049】
また、図6に示すように、ひだ部P2と帯状溝部B2との境界では、粘・接着材と反射層4の間で浮きが生じてしてしまうおそれがある。これを防ぐために、ひだ部P2と帯状溝部B2の境界に傾斜部T2を形成し、更に、その傾斜部T2に溝部を設けるのが好ましい。傾斜部T2に形成する各溝は、互いに、複数の高さの異なる円周方向に延在した溝となる。
【0050】
この傾斜部T2の傾斜は、隣りあう溝の頂点の段差Tgと頂点間の距離Tpとの比が1/3より大きいと浮きが生じてしまい好ましくない。1/300より小さいと溝の深さバラツキがでやすいため好ましくない。このため、上記傾斜部T1に形成した複数の溝は、隣り合う溝の頂点の段差Tgと頂点間の軸方向距離Tpとの比(Tg/Tp)が、下記式を満足することが好ましい。
1/300 ≦(Tg/Tp)≦ 1/3
【0051】
さらに、金型Sに対し、傾斜部T1とひだ部P1の間に図7のような交差部X1を有することによって、シート状部材60において、さらに粘・接着材のくい付きがよくなり密着力が増すため、交差状溝部を設けることがより好ましい。
【0052】
(光再利用シートについて)
上記シート状部材60は光再利用シート20を構成する。
【0053】
また、そのようなシート状部材60の凹凸面に反射層4を積層しても良い。
さらに、反射層4に粘・接着層を介して保護層を積層しても良い。
図8の光再利用シート20は、透明基材と、上記円筒状の金型Sを用いて成型されたシート状部材60からなる構造層と、反射層4と、粘・接着層と、保護層とが順次積層されて構成されている場合の例である。
【0054】
図8に太陽電池モジュール200の断面図の一例を示す。
この図8のように、光再利用シート20を太陽電池セル30の背面(光源とは反対側)に配置することにより、太陽電池セル30に入射しない光を太陽電池セル30で再利用することが可能となる。すなわち、光再利用シート20を太陽電池セル30の背面に配置することにより、太陽電池セル30の周辺に入射した光は、太陽電池セル30の方向に再度入射させることができるため、太陽電池セル30の発電量を増加させることができる。
【0055】
図8中、Lは光源、22は前面板、21は充填層を示す。
ここで、このような光再利用シート20を太陽電池セル30の背面に配置して太陽電池セル30に入射しない光を太陽電池セル30で再利用する際には、図9(a)のようにシート状部材60の溝の位置と太陽電池セル30の位置を合わせる必要がある。この際、シート状部材60の長手方向では、連続的に溝が形成されているため位置あわせが不要であるが、幅方向では位置合わせが必要となる。
【0056】
この際に、図9(a)のように予めセルとセルの間隔を一定とするようにセル同士を繋ぐ配線で繋ぎその配線がシート状部材60の幅方向になるようにすると良い。この場合には、図9(b)のようにシート状部材60の長手方向に関してはズレが生じても、幅方向に太陽電池セル30がずれることを防止できる。なお、配線32と直交する方向にはセルの位置はずれ易いが、その方向には溝が連続的に配置しているため、セルの周辺を常に溝が囲い込むようになって、ずれを抑えることができる。
【0057】
ここで、シート状部材60のひだ部P2及び帯状溝部B2の複数の溝のピッチは1μm以上が好ましい。1μmより小さいピッチでは、回折により反射面が虹色に見えてしまい外観が損なわれて好ましくない。
また、帯状溝部B2では、溝を形成した傾斜部T2を有するため、溝の底部だけでなく傾斜部T2の光も有効に利用することができるため、より光を有効に利用することができる。
【0058】
さらに、図10を参照して、帯状溝部B2に隣接する傾斜部T2の効果について説明する。
傾斜部T2は右上がりまたは左上がりの面を有しているが、全体としては一方向に傾斜して、帯状溝部B2と接している。このため、傾斜部T2で反射される光H2は、一部は、ロスとなる光H4となるが、一部は、太陽電池モジュール200の入射面110で反射し、太陽電池セル30に入射する光H3となる。このため、帯状溝部B1だけの場合と比較して、傾斜部T2を有することによって、さらに太陽電池セル30に多くの光を受光させることができる。
【0059】
傾斜部T2を設けたときのデータを、図11に示す。
図11から分かるように、傾斜部T2の幅が5mmとすることによって、2.6倍まで太陽電池セル30に入射する光を増加させることができる。さらに、傾斜部T2の幅が10mmとすることにより、3.2倍まで太陽電池セル30に入射する光を増加させることができる。
【0060】
上述のように、凹凸形状として帯状溝部B2を設け、さらに上述のような傾斜部T2を設けることにより、より多くの光を太陽電池セル30に入射させることができる。
なお、傾斜部T2は、図12に示すような鋸状のような形状のものとなる。
また、帯状溝部B2は、図13に示すような窪みB12を有するようものでも良い。
上述の凹凸形状を有する光再利用シート20は、図14に示すように、反射層4、構造層3、基材2から構成することができる。
【0061】
構造層3に凹凸形状を形成する方法として、型の反射面100の凹凸形状を形成した面に熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂等を塗布または注入し、その上に基材2を配置して、硬化処理後に金型Sから離型するといった方法が挙げられる。
また、図15のような、基材2を用いずに構造層3のみからなる光再利用シート20の作製方法としては、型を用いたプレス法・キャスティング法・射出成形法等により基材2と一体成形する方法が挙げられる。上述の方法によれば、シート形成と同時に、凹凸形状を形成することができる。
【0062】
反射面100を形成する型としては機械切削により作製されたものを用いることができる。この際、凹凸形状の先端は、形状に傷が付くのを防止するため、丸みを帯びたものが望ましい。
さらに、構造層3の厚さは、特には限定されないが、例えば3μm以上500μm以下である。
上述の製造法は、以下の材料との適性により適宜選択するのが良い。
【0063】
(シートの材料その他について)
構造層3を形成するポリマー組成物中には、ポリマー組成物の他に例えば散乱反射体、硬化剤、可塑剤、分散剤、各種レベリング剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、粘性改質剤、潤滑剤、光安定化剤等が適宜配合されてもよい。
【0064】
上述のポリマー組成物としては、特に限定されるものではなく、例えばポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド系樹脂、、エポキシ系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、アクリロニトリル−(ポリ)スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、リエチレンナフタレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられ、これらのポリマーを1種又は2種以上混合して使用することができる。
【0065】
上述のポリウレタン系樹脂の原料であるポリオールとしては、例えば水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られるポリオールや、水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールなどが挙げられ、これらを単体で又は2種以上混合して使用することができる。
【0066】
水酸基含有不飽和単量体としては、(a)例えばアクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アリルアルコール、ホモアリルアルコール、ケイヒアルコール、クロトニルアルコール等の水酸基含有不飽和単量体、(b)例えばエチレングリコール、エチレンオキサイド、プロピレングリコール、プロピレンオキサイド、ブチレングリコール、ブチレンオキサイド、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルデカノエート、プラクセルFM−1(ダイセル化学工業株式会社製)等の2価アルコール又はエポキシ化合物と、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸との反応で得られる水酸基含有不飽和単量体などが挙げられる。これらの水酸基含有不飽和単量体から選択される1種又は2種以上を重合してポリオールを製造することができる。
【0067】
また上述のポリオールは、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸シクロヘキシル、スチレン、ビニルトルエン、1−メチルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、酢酸アリル、アジピン酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、マレイン酸ジエチル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エチレン、プロピレン、イソプレン等から選択される1種又は2種以上のエチレン性不飽和単量体と、上述の(a)及び(b)から選択される水酸基含有不飽和単量体とを重合することで製造することもできる。
【0068】
水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られるポリオールの数平均分子量は1000以上500000以下であり、好ましくは5000以上100000以下である。また、その水酸基価は5以上300以下、好ましくは10以上200以下、さらに好ましくは20以上150以下である。
水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールは、(c)例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、シクロヘキサンジオール、水添ビスフェノルA、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ハイドロキノンビス(ヒドロキシエチルエーテル)、トリス(ヒドロキシエチル)イソシヌレート、キシリレングリコール等の多価アルコールと、(d)例えばマレイン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、トリメット酸、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸等の多塩基酸とを、プロパンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール中の水酸基数が上記多塩基酸のカルボキシル基数よりも多い条件で反応させて製造することができる。
【0069】
上述の水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールの数平均分子量は500以上300000以下であり、好ましくは2000以上100000以下である。また、その水酸基価は5以上300以下、好ましくは10以上200以下、さらに好ましくは20以上150以下である。
【0070】
当該ポリマー組成物のポリマー材料として用いられるポリオールとしては、上述のポリエステルポリオール、及び、上述の水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られ、かつ、(メタ)アクリル単位等を有するアクリルポリオールが好ましい。かかるポリエステルポリオール又はアクリルポリオールをポリマー材料とすれば耐候性が高く、構造層3の黄変等を抑制することができる。なお、このポリエステルポリオールとアクリルポリオールのいずれか一方を使用してもよく、両方を使用してもよい。
【0071】
なお、上述のポリエステルポリオール及びアクリルポリオール中の水酸基の個数は、1分子当たり2個以上であれば特に限定されないが、固形分中の水酸基価が10以下であると架橋点数が減少し、耐溶剤性、耐水性、耐熱性、表面硬度等の被膜物性が低下する傾向がある。
【0072】
構造層3を形成するポリマー組成物中に散乱反射体を反射性能、耐熱性能を向上させるため含有すると良い。ポリマー組成物中に散乱反射体を含有することで、構造層3ひいては光再利用シート20の耐熱性が向上させることができ、かつ屈折率がポリマー組成物と大きく異なるものを用いれば、光を反射させることができる。なお、これにより十分な反射率が得られる場合には、図5、図8に示すように金属反射層4を設けなくても良い。この散乱反射体剤を構成する無機物としては、特に限定されるものではなく、無機酸化物が好ましい。この無機酸化物は、シリカ等も用いることができるが、ZnS等の金属化合物を用いることもできるが特に、TiO2、ZrO、Al2O3等の金属酸化物が望ましい。またシリカの中空粒子を用いることもできる。このうち、TiO2は、屈折率が高く、分散性も得られやすいため好ましい。また、散乱反射体の形状は、球状、針状、板状、鱗片状、破砕状等の任意の粒子形状でよく、特に限定されない。
【0073】
散乱反射体の平均粒子径の下限としては、0.1μmが好ましく、上限としては30μmが好ましい。平均粒子径が0.1μmより小さいと光を十分に反射しない。また、平均粒子径が30μmより大きいと成型性が悪い。
【0074】
散乱反射体のポリマー組成物100部に対する配合量の下限としては固形分換算で30部が好ましい。一方、散乱反射体の上述の配合量の上限としては100部が好ましい。これは、無機充填剤の配合量が30部より少ないと、充填層21から構造層3に入射する光H1を十分に反射することができない。逆に、配合量が上述の範囲を越えると、成型性が悪い。
【0075】
上述の散乱反射体としては、その表面に有機ポリマーが固定されたものを用いるとよい。このように有機ポリマー固定の散乱反射体を用いることで、ポリマー組成物での分散性やポリマー組成物との親和性の向上が図られる。この有機ポリマーについては、その分子量、形状、組成、官能基の有無等に関して特に限定はなく、任意の有機ポリマーを使用することができる。また有機ポリマーの形状については、直鎖状、分枝状、架橋構造等の任意の形状のものを使用することができる。
【0076】
上述の有機ポリマーを構成する具体的な樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルおよびこれらの共重合体やアミノ基、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の官能基で一部変性した樹脂等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリル−スチレン系樹脂、(メタ)アクリル−ポリエステル系樹脂等の(メタ)アクリル単位を含む有機ポリマーを必須成分とするものが被膜形成能を有し好適である。他方、上述のポリマー組成物と相溶性を有する樹脂が好ましく、従ってポリマー組成物と同じ組成であるものが最も好ましい。
【0077】
上述のポリマー組成物としてはシクロアルキル基を有するポリオールが好ましい。ポリマー組成物としてのポリオール中にシクロアルキル基を導入することで、ポリマー組成物の撥水性、耐水性等の疎水性が高くなり、高温高湿条件下での構造層3ひいては光再利用シート20の耐撓み性、寸法安定性等が改善される。また、構造層3の耐候性、硬度、肉持感、耐溶剤性等の塗膜基本性能が向上する。さらに、表面に有機ポリマーが固定された散乱反射体との親和性及び散乱反射体の分散性がさらに良好になる。
【0078】
また、ポリマー組成物中には硬化剤としてイソシアネートを含有するとよい。このようにポリマー組成物中にイソシアネート硬化剤を含有することで、より一層強固な架橋構造となり、構造層3の被膜物性がさらに向上する。このイソシアネートとしては上述の多官能イソシアネート化合物と同様の物質が用いられる。中でも、被膜の黄変色を防止する脂肪族系イソシアネートが好ましい。
【0079】
なお、散乱反射体は、内部に有機ポリマーを包含していてもよい。このことにより、散乱反射体のコアである無機物に適度な軟度および靱性を付与することができる。
上述の有機ポリマーにはアルコキシ基を含有するものを用いるとよく、その含有量は特に限定されないが、散乱反射体1g当たり0.01mmol以上50mmol以下が好ましい。アルコキシ基により、ポリマー組成物との親和性や、ポリマー組成物中での分散性を向上させることができる。
【0080】
上述のアルコキシ基は、微粒子骨格を形成する金属元素に結合したRO基を示す。このRは置換されていてもよいアルキル基であり、微粒子中のRO基は同一であっても異なっていてもよい。Rの具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル等が挙げられる。散乱反射体を構成する金属と同一の金属アルコキシ基を用いるのが好ましく、散乱反射体がコロイダルシリカである場合には、シリコンを金属とするアルコキシ基を用いるのが好ましい。
【0081】
有機ポリマーを固定した散乱反射体の有機ポリマーの含有率については、特に制限されないが、散乱反射体を基準にして0.5質量%以上50質量%以下が好ましい。
光再利用シート20において、反射層4を用いる場合にはその密接着性等を向上させるため、反射層4の蒸着対象面(構造層3の表面)に表面処理を施すとよい(図示せず)。このような表面処理としては、例えば(a)コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いた酸化処理、及び(b)プライマーコート処理、アンダーコート処理、アンカーコート処理、蒸着アンカーコート処理などが挙げられる。これらの表面処理の中でも、反射層4との接着強度が向上し、緻密かつ均一な反射層4の形成に寄与するコロナ放電処理及びアンカーコート処理が好ましい。
【0082】
上述のアンカーコート処理に用いるアンカーコート剤としては、例えばポリエステル系アンカーコート剤、ポリアミド系アンカーコート剤、ポリウレタン系アンカーコート剤、エポキシ系アンカーコート剤、フェノール系アンカーコート剤、(メタ)アクリル系アンカーコート剤、ポリ酢酸ビニル系アンカーコート剤、ポリエチレンアルイハポリプロピレン等のポリオレフィン系アンカーコート剤、セルロース系アンカーコート剤などが挙げられる。これらのアンカーコート剤の中でも、反射層4の接着強度をより向上することができるポリエステル系アンカーコート剤が特に好ましい。
【0083】
上述のアンカーコート剤のコーティング量(固形分換算)は、1g/m2以上、3g/m2以下が好ましい。アンカーコート剤のコーティング量が1g/m2より少ないと、反射層4の密着性向上効果が小さくなる。一方、当該アンカーコート剤のコーティング量が3g/m2より多いと、光再利用シート20の強度、耐久性等が低下するおそれがある。
【0084】
なお、上述のアンカーコート剤中には、密接着性向上のためのシランカップリング剤、ブロッキングを防止するためのブロッキング防止剤、耐候性等を向上させるための紫外線吸収剤等の各種添加剤を適宜混合することができる。かかる添加剤の混合量としては、添加剤の効果発現とアンカーコート剤の機能阻害とのバランスから0.1重量%以上10重量%以下が好ましい。上述の添加剤が、0.1重量%未満では、ブロッキングを十分に防止できず、耐候性が十分に得られず、10重量%より多いと、トップコート剤の機能を阻害してしまう。
【0085】
反射層4は、光再利用シート20に入射する光を反射するものである。反射層4を形成する際には、構造層3の凹凸形状が形成された面に沿って金属を蒸着することで形成される。この反射層4の蒸着手段としては、構造層3に収縮、黄変等の劣化を招来することなく金属が蒸着できれば特に限定されるものではなく、(a)真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンクラスタービーム法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法;PVD法)、(b)プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法;CVD法)が採用される。これらの蒸着法の中でも、生産性が高く良質な反射層4が形成できる真空蒸着法やイオンプレーティング法が好ましい。
【0086】
反射層4に用いられる金属としては、金属光沢を有しかつ蒸着が可能であれば特に限定されるものではなく、例えばアルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、ジルコニウム(Zr)等が挙げられる。中でも、反射性が高く、緻密な反射層4が比較的容易に形成されるアルミニウム(Al)が好ましい。
【0087】
なお、反射層4は、単層構造でもよく、2層以上の多層構造でもよい。このように反射層4を多層構造とすることで、蒸着の際に懸かる熱負担の軽減により構造層3の劣化が低減され、さらに構造層3と反射層4との密着性等を改善することができる。このとき、金属膜の上に酸化金属層を設けても良い。また、上述の物理気相成長法及び化学気相成長法における蒸着条件は、構造層3や基材2の樹脂種類、反射層4の厚さ等に応じて適宜設計される。
【0088】
反射層4の厚さの下限としては、10nmが好ましく、20nmが特に好ましい。一方、反射層4の厚さの上限としては、200nmが好ましく、100nmが特に好ましい。反射層4の厚さが10nmより小さいと、充填層21から反射層4に入射する光を十分に反射することができない。また、20nm以上の厚さであっても、上述の反射層4で反射される光は増えないため、20nmであれば十分な厚さといえる。一方、反射層4の厚さが200nmの上限を超えると、反射層4に目視でも確認できるクラックが発生し、100nm以下であれば、目視で確認できないようなクラックも発生しない。
【0089】
また、反射層4の外面には、トップコート処理を施すとよい(図示せず)。このように反射層4の外面にトップコート処理を施すことで、反射層4が封止及び保護され、その結果、光再利用シート20のハンドリング性が良くなる。また、反射層4の経年劣化も抑えられる。
【0090】
上述のトップコート処理に用いるトップコート剤としては、例えばポリエステル系トップコート剤、ポリアミド系トップコート剤、ポリウレタン系トップコート剤、エポキシ系トップコート剤、フェノール系トップコート剤、(メタ)アクリル系トップコート剤、ポリ酢酸ビニル系トップコート剤、ポリエチレンアルイハポリプロピレン等のポリオレフィン系トップコート剤、セルロース系トップコート剤などが挙げられる。かかるトップコート剤の中でも、反射層4との接着強度が高く、反射層4の表面保護、欠陥の封止等に寄与するポリエステル系トップコート剤が特に好ましい。
【0091】
上述のトップコート剤のコーティング量(固形分換算)は、3g/m2以上、7g/m2以下が好ましい。トップコート剤のコーティング量が3g/m2より小さいと、反射層4を封止及び保護する効果が小さくなるおそれがある。一方、当該トップコート剤のコーティング量が7g/m2を超えても、上述の反射層4の封止及び保護効果があまり増大せず、かえって光再利用シート20の厚さが増大してしまう。
【0092】
なお、上述のトップコート剤中には、密接着性向上のためのシランカップリング剤、耐候性等を向上させるための紫外線吸収剤、耐熱性等を向上させるための無機フィラー等の各種添加剤を適宜混合することができる。かかる添加剤の混合量としては、添加剤の効果発現とトップコート剤の機能阻害とのバランスから0.1重量%以上10重量%以下が好ましい。上述の添加剤が、0.1重量%未満では、密接着性、耐候性、耐熱性が十分に得られず、10重量%より多いと、トップコート剤の機能を阻害してしまう。
【0093】
上述の光再利用シート20を構成する基材2は、合成樹脂を材料とするシート成形により形成されている。かかる基材2に用いられる合成樹脂としては、屋外に設置されることを鑑み、耐水性、紫外線に対する耐久性等の耐候性を有しているものが望ましく、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−(ポリ)スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、リエチレンナフタレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、エポキシン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。
【0094】
上述の樹脂の中でも、高い耐熱性、強度、耐候性、耐久性、水蒸気等に対するガスバリア性等を有したものとして、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ乳酸系樹脂が好ましい。
上述のポリエステル系樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。これらのポリエステル系樹脂の中でも、耐熱性、耐候性等の諸機能面及び価格面のバランスが良好なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0095】
上述のフッ素系樹脂としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体からなるペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー(EPE)、テトラフルオロエチレンとエチレン又はプロピレンとのコポリマー(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(PCTFE)、エチレンとクロロトリフルオロエチレンとのコポリマー(ECTFE)、フッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)、フッ化ビニル系樹脂(PVF)等が挙げられる。これらのフッ素系樹脂の中でも、強度、耐熱性、耐候性等に優れるポリフッ化ビニル系樹脂(PVF)やテトラフルオロエチレンとエチレン又はプロピレンとのコポリマー(ETFE)が特に好ましい。
【0096】
上述の環状ポリオレフィン系樹脂としては、例えばa)シクロペンタジエン(及びその誘導体)、ジシクロペンタジエン(及びその誘導体)、シクロヘキサジエン(及びその誘導体)、ノルボルナジエン(及びその誘導体)等の環状ジエンを重合させてなるポリマー、b)当該環状ジエンとエチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、スチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン系モノマーの1種又は2種以上とを共重合させてなるコポリマー等が挙げられる。これらの環状ポリオレフィン系樹脂の中でも、強度、耐熱性、耐候性等に優れるシクロペンタジエン(及びその誘導体)、ジシクロペンタジエン(及びその誘導体)又はノルボルナジエン(及びその誘導体)等の環状ジエンのポリマーが特に好ましい。
【0097】
なお、基材2の形成材料としては、上述の合成樹脂を1種又は2種以上混合して使用することができる。また、基材2の形成材料中には、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性等を改良、改質する目的で、種々の添加剤等を混合することができる。この添加剤としては、例えば滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、充填材、強化繊維、補強剤、帯電防止剤、難燃剤、耐炎剤、発泡剤、防カビ剤、顔料等が挙げられる。上述の基材2の成形方法としては、特に限定されず、例えば押出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の公知の方法が採用される。
【0098】
基材2を用いる場合には、その厚さは、25μm以上500μm以下が好ましく、250μmが特に好ましい。基材2の厚さが25μmより薄いと、紫外線硬化樹脂等の硬化収縮の影響により、構造層3の塗工加工の際にカールが発生し、太陽電池モジュール200に組み込む際に不具合が発生する。逆に、基材2の厚さが500μmを超えると、シート状部材60重量が増してしまい、太陽電池モジュール200の重量も増してしまう。250μm以下であれば、より軽量の太陽電池モジュール200を実現できる。
【0099】
また、基材2、構造層3、基材2中に紫外線安定剤又は分子鎖に紫外線安定基が結合したポリマーを含有することも可能である。この紫外線安定剤又は紫外線安定基により、紫外線で発生するラジカル、活性酸素等が不活性化され、光再利用シート20の紫外線安定性、耐候性等を向上させることができる。この紫外線安定剤又は紫外線安定基としては、紫外線に対する安定性が高いヒンダードアミン系紫外線安定剤又はヒンダードアミン系紫外線安定基が好適に用いられる。
【0100】
(太陽電池モジュール200の作用)
このような特徴の光再利用シート20を用いた太陽電池モジュール200によれば、隣り合う太陽電池セル30の間の領域R1に入射する光を光再利用シート20の反射面100で反射し、太陽電池セル30に入射させることができる。これにより、隣り合う太陽電池セル30の間の領域R1に入射する光も利用することができ、太陽電池モジュール200の発電効率を向上させることが可能となる。
【0101】
(変形例その他)
光再利用シート20は、図16のように光再利用シート20の反射面100の裏面を充填層側21に向けて配置することもできる。
また、図17のように、この光再利用シート20に10μmから30μmの金属層や10nmから100nmのシリカ層からなる保護層40を有したものを用いることができる。また耐久性を上げるために、PVF(ポリフッ化ビニル樹脂)を塗布または、ポリフッ化ビニル樹脂を有したシート状部材60を張り合わせて、太陽電池モジュール200を保護するようにしてもよい。このようにすることにより、太陽電池モジュール200をバックシートして用いることもできる。
【0102】
また、図18のように、この光再利用シート20は、LEDは、EL等の固体の発光素子50からの光を再利用するのにも利用可能である。
図18に本発明の光源モジュール210に係る一様態の断面図を示す。光源モジュール210は、充填層21と、発光素子50と、光再利用シート20を有する。
発光素子50は、エレクトロルミネッセンスにより電気を光へと変換する機能を持ち、受発光面160から射出する。発光素子50は、LED、有機EL、無機EL等の固体の発光ダイオードが好ましく用いられる。
【0103】
充填層21は、発光素子50を封止するものである。発光素子50から射出した光M3は、充填層21を透過し、一部は射出面150から射出する光H30となり、一部は射出面150で反射する光M31となる。充填層21の材料は、充填層21に入射する光M3を透過させるため光線透過率が高い材料が用いられ、透過性の高いアクリル樹脂等が好ましく用いられる。
【0104】
発光素子50から射出した光のうち、射出面150で反射する光M31は、射出面150で反射し光再利用シート20の反射面100に入射する。反射面に入射する光M2は、反射面100で反射し、射出面150に入射する。反射面100で反射し、射出面150に入射する反射光M1は、射出面150から外部に射出する。これにより光再利用シート20が無い構成と比較して光利用効率が向上する効果がある。
【0105】
反射光M1の進む方向は、本発明の反射面100の凹凸形状により制御でき、反射面100が、上述の帯状溝部B1を有することによって、多くの光を射出面から射出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、傷の発生を防止することにより保管が容易に行える金型Sに関するものである。また、本金型Sを用いて成型されたシート状部材60はロール状にした際の安定性も優れたものである。さらに本シート状部材60を用いることにより、太陽光を利用して、発電を行う太陽光発電に用いる事によりその発電効率を著しく向上させるものである。
また、LEDやEL素子等の発光素子に用いる事によって、その発光効率を高めることができるため、消費電力を抑えることができるものである。
【符号の説明】
【0107】
3 構造層
4 反射層
5 粘・接着層
6 保護層
20 光再利用シート
21 充填層
30 太陽電池セル
40 保護層
50 発光素子
60 シート状部材
200 太陽電池モジュール
B1 帯状溝部
B2 帯状溝部
S 金型
S1 金型本体
T1 傾斜部
T2 傾斜部
Tg 段差
Tp 距離
X1 交差部
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹凸形状を転写するための円筒状の金型、その円筒状の金型で表面に凹凸形状が転写された光再利用シート、及びその光再利用シートを用いた太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽電池モジュールの普及は大きな広がりを見せ、電卓等の小型電子機器に搭載される比較的小さなものから、家庭用として住宅に取り付けられる太陽電池モジュールや大規模な発電施設に用いられる大面積の太陽電池発電システム、さらには人工衛星の電源まで、様々な分野で利用が促進されている(例えば、特許文献1参照)。
このような太陽電池は、主に光が照射される面積に比例して発電量が増加する。したがって、発電効率を向上させるには封止技術、製膜技術等の製造技術を改善することに加え、いかにして太陽電池モジュールの開口率(全面積に対する発電可能な面積の割合)を大きくするかが重要な課題となっている。
【0003】
また、特に単結晶シリコンや多結晶のシリコンを使用した太陽電池モジュールは、そのシリコンのコストが高いという問題がある。また、それを貼り付けるためのコストも掛かる。
そこで、太陽電池セルの構成部材であるシリコンの量が少なく、CVD等の技術により、成膜することができるような薄膜シリコンの太陽電池セルが用いられるようになってきている。
【0004】
しかし、上述のものは特に赤外光が薄膜シリコンの太陽電池セルを透過しやすいため光の吸収率が低い。そこで光の利用効率を上げるために、あえて入射した光を散乱させて、薄膜シリコンの太陽電池セルを透過する距離を稼ぐことで光の利用効率を向上させることも考えられている。
一般に、非晶質シリコン太陽電池(非晶質Si太陽電池とも呼ぶ。)には、2種類の構造のものがある。一つは、ガラス等の透光性基板上に、SnO2やITO等の透明電導膜が形成され、その上に非晶質半導体(Si)のp層、i層、n層がこの順に積層されて成る構造のものである。もう一つは、金属基板電極の上に、非晶質半導体(Si)のn層,i層,p層がこの順に積層されて光電変換活性層が形成され、更にその上に透明電導膜が積層され成る構造のものである。
【0005】
特に、前者の構造の非晶質シリコン太陽電池では、非晶質半導体をp−i−n層の順に形成するのに、透光性絶縁基板が太陽電池表面カバーガラスを兼ねることができること、また、SnO2等の耐プラズマ性透明電導膜が開発されて、この上に非晶質半導体光電変換活性層をプラズマCVD法で形成することが可能になったことなどから、現在多く用いられている。
【0006】
なお、非晶質半導体光電変換活性層の形成に、原料ガスのグロー放電分解によるプラズマCVD法や、光CVD法による気相成長法を用いることができ、これらの方法によれば大面積の薄膜形成が可能であるという利点もある。
非晶質Si太陽電池は100℃〜200℃程度の比較的低温で形成できる。このため、非晶質Si太陽電池を形成するための基板として、様々な材質の基板を用いることが可能であるが、通常よく用いられるものはガラス基板やステンレス基板である。
【0007】
また、非晶質Si太陽電池は、光を電気に変換する変換効率が最大となるときのシリコンの光吸収層の膜厚が500nm程度であるため、その変換効率を向上させるには光吸収層の膜厚内で光の吸収量を増大させることが重要なポイントとなる。そのため、ガラス基板上の表面に凹凸のある透明導電膜を形成したり、ステンレス基板上の表面に凹凸のある金属膜を形成したりすることにより、光吸収層中での光の光路長を増加させることが、従来から行われてきた。
【0008】
このような方法で、光吸収層中での光路長を増加させた太陽電池の場合、その表面に凹凸がない平坦な基板上に非晶質Si太陽電池を形成した場合と比較して、光の利用効率が顕著に向上する。
【0009】
ところで、ガラス基板の表面上に凹凸を形成する一般的な方法としては、常圧CVD法により透明電極であるSnO2膜を形成する方法が挙げられる。また、ステンレス等の金属基板上に凹凸を形成する方法としては、Agを蒸着法やスパッタリング法により形成する際に、その形成条件を調整したり、Agの形成後に熱処理を行ったりする方法が用いられていた。
【0010】
この薄膜太陽電池は、透光性絶縁基板の上に、透明導電膜、水素化アモルファスシリコンカーバイド(a―SiC H)p層、水素化アモルファスシリコン(a―Si H)i層、水素化アモルファスシリコン(a―Si H)n層、透明導電膜、及び裏面電極が順次形成されて構成されるものである。そして、前述のようにして、透明導電膜の表面に凹凸形状が形成され、これによりその上部に形成された各層が凹凸構造を有するというものである。
【0011】
また、薄膜太陽電池等の半導体素子を可撓性基板あるいは軽量基板上に形成する場合、耐熱性の高いポリイミド樹脂が用いられてきた。このような樹脂に凹凸を形成する方法は、特許文献2等に開示されている。
また、特許文献3には、V溝の周期構造により、光を再帰反射し、光の利用効率を上げるような特許が公開されており、V溝頂角は、50度から90度が望ましいとの記述がある。また、V溝の周期のピッチとしては、10μmから20μmが望ましいとの記述がある。
【0012】
結晶系の太陽電池モジュールは、小片サイズのセルを複数電極で接続させ構成する。結晶系の太陽電池モジュールは、隣り合うセル同士の間にはある程度間隔が空いている。また、太陽電池モジュールの端部は雨水などの浸食を防ぐため、セルを配していない余白部分を数ミリから数十ミリ設けている。
【0013】
これらの隙間及び余白部分はセルが無いため、これらの領域に光が照射されても発電にはつながらず、損失となっている。このような、セルの隙間および余白に注ぐ光の損失に対して、従来、以下のような対応が提案されている。
【0014】
例えば、結晶系の太陽電池モジュールにおいては、裏面に配置する反射保護シートを光反射材とし、光を再びセル側に戻し、前面板であるガラス板などにより全反射し、セルの受光面に再入射させ効率を上げるものがある。
【0015】
さらに、裏面に配す反射保護シート上に凹凸構造をつけ、凹凸構造上で反射した光を散乱し易くしセルの受光面に導く確率を向上させ効率を上げた構造などがある(特許文献1及び2参照)。さらに、裏面の反射保護シートに凹凸をつけることにより光を散乱させ、さらにセルの両方の面が受光面となるものを使用し効率を上げる構成も存在する(特許文献3参照)。
【0016】
また、高価である太陽電池セルへ太陽光を集光することにより、効率を上げるために、様々な太陽電池の集光システムが知られている。
しかし、集光システムとしてレンズ等を用いた場合には、住宅の屋根等への設置が困難で設置場所が限られるなどの問題があった。
そこで、通常の太陽電池モジュールと同様の形態でセルにより多くの光を入射するものが知られている。このような太陽電池モジュールで用いられるような裏面材は、円筒状の金型の表面に凹凸形状を形成し、その凹凸形状をシートに転写して成型することによって作製することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】実開昭62‐101247号公報
【特許文献2】特開平10‐284747号公報
【特許文献3】特許第3670835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかし、従来の技術では、プリズム状の形状を作製するための円筒状の金型は、円周方向に溝があるだけの金型しかなく、十分に光を再利用できるようなシートを作製することができない。また、十分に光を再利用するには、素子の周辺にプリズム反射構造を同心四角形に囲うのが好ましい。しかし、その際に、モジュールの大きさと同じ円周の円筒状の金型を作製すると、通常モジュールのサイズが、800mmから1600mmのサイズであり、そのフィルムを作製するためのロールの直径は、250mmから500mmとなる。ロール長も同様に800mmから1600mmであるため、鉄製のロールでは重量が25tにも達してしまう。また、フィルムを断裁していく際に、フィルムのパターンと断裁位置とのズレが累積していくことにより、抜き位置がずれてしまい、本来の性能をだせなくなってしまう。
【0019】
本発明は、上記のような点に鑑みてなされたもので、太陽電池セルに効率的に集光可能な光再利用シートを成形可能な円筒状の金型、その金型により成形された光再生利用シート、及びその光再生利用シートを使用した太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載した発明は、表面に凹凸形状が形成された円筒状の金型本体を備え、上記凹凸形状として、軸方向に延びる溝が円周方向に沿って複数形成されたひだ部と、円周方向に延びる溝が軸方向に沿って複数形成された帯状溝部と、を有することを特徴とする円筒状の金型を提供するものである。
【0021】
次に、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した構成に対し、上記帯状溝部の形成位置は、上記ひだ部の形成位置よりも小径であり、上記帯状溝部とひだ部との間には、帯状溝部からひだ部に向けて段階的若しくは連続的に径が変化する傾斜部を有することを特徴とするものである。
【0022】
次に、請求項3に記載した発明は、請求項2に記載した構成に対し、上記傾斜部に対し円周方向に延びる溝を軸方向に複数形成し、上記傾斜部とひだ部の間に、軸方向に延びる溝と円周方向に延びる溝とが交差して形成された交差部を有することを特徴とするものである。
次に、請求項4に記載した発明は、請求項3に記載した構成に対し、上記傾斜部に形成した複数の溝は、隣り合う溝の頂点の段差Tgと頂点間の軸方向距離Tpとの比(Tg/Tp)が、下記式を満足することを特徴とするものである。
【0023】
1/300 ≦(Tg/Tp)≦ 1/3
【0024】
次に、請求項5に記載した発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の円筒状の金型を用いて成型された構造層と、構造層の凹凸面に積層する反射層とを備えることを特徴とする光再利用シートを提供するものである。
【0025】
次に、請求項6に記載した発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の円筒状の金型を用いて成型された構造層と、構造層の凹凸面に積層する反射層と、反射層に粘・接着層を介して積層する保護層とを備えることを特徴とする光再利用シートを提供するものである。
【0026】
次に、請求項7に記載した発明は、表面に対し、軸方向に延びる溝が円周方向に沿って複数形成されたひだ部と、円周方向に延びる溝が軸方向に沿って複数形成された帯状溝部と、を有することを特徴とする光再利用シートを提供するものである。
次に、請求項8に記載した発明は、太陽電池セルの背面側に請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載した光再利用シートを配置したことを特徴とする太陽電池モジュールを提供するものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明の金型によれば、保管の際の傷の発生が抑制され、また本金型により成型されたシート状部材は、ロール状に保管された際のフィルム端部でのズレが抑制され、且つ成型されたフィルムに金属反射層を形成した際の傷を防止する。その金型等によって成型した光再生シートを太陽電池セルの背面に配置することにより、太陽電池セルに入射しない光を再利用して太陽電池セルの発電量を増加することが可能となる。
【0028】
すなわち、太陽電池モジュールに入射する光を太陽電池セルに効率的に集光することにより少ない太陽電池セルにより多くの発電量を得ることができる太陽電池モジュールを提供することができる。
また、上記光再利用シートを用い、LEDやEL素子等の発光素子の光を再利用することにより光の利用効率を向上し、発光効率の良い発光素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に基づく実施形態に係る金型の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明に基づく実施形態に係る金型の保管方法を示す斜視図である。
【図3】本発明に基づく実施形態に係る金型の一例を示す断面図である。
【図4】本発明に基づく実施形態に係る金型を用いた光再利用シート(シート状部材)の成型について説明する図である。
【図5】本発明に基づく実施形態に係る光再利用シートの一例を示す断面図である。
【図6】本発明に基づく実施形態に係る光再利用シートを貼り合せた一例を示す断面図である。
【図7】本発明に基づく実施形態に係る金型の凹凸形状を示す斜視図である。
【図8】本発明に基づく実施形態に係る太陽電池モジュールを示す断面図である。
【図9】本発明に基づく実施形態に係る光再利用シートに太陽電池セルの配置した際の配置図である。
【図10】本発明に基づく実施形態に係る太陽電池モジュールの構成を示す断面図であって、帯状溝部と隣接する傾斜部とを有する反射面がある光再利用シートを用いた太陽電池モジュールの図である。
【図11】図10に示す太陽電池モジュールにおける太陽電池セルへの相対入射光量の変化を示すグラフである。
【図12】略鋸形状の傾斜部を有する反射面がある光再利用シートを用いた太陽電池モジュールの図である。
【図13】窪みのある帯状溝部を有する反射面がある光再利用シートを用いた太陽電池モジュールの図である。
【図14】光再利用シートの一例を示す断面図である。
【図15】光再利用シートの一例を示す断面図である。
【図16】太陽電池モジュールに一例を示す断面図である。
【図17】光再利用シートの一例を示す断面図である。
【図18】発光素子に対し光再生シートを適用した例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
まず、図1を用いて、本発明に係る円筒状の金型を構成するロール金型について説明する。
【0031】
(金型の構成)
本実施形態のロール金型Sは、円筒状の胴からなる金型本体S1と、成型装置に取り付けるための軸部S3とを備える。金型本体S1の表面のうち、左右両端部を除いた部分が成型部となる。その成型部に後述のように型としての凹凸形状が形成されている。また、上記軸部S3は、金型本体S1の両端面から金型本体S1と同軸に突出している。
【0032】
上記金型Sは、心材としては、鉄、ステンレス、アルミ、アルミ合金等を用いることができ、さらに、その上に鍍金等により、銅やニッケルを形成したものを用いることができる。
また金型本体S1表面に形成する凹凸形状は、地金の上に銅やニッケルを鍍金して、切削の下地層を形成し、その下地層を切削することによって形成することができる。また、この切削の後に耐擦傷性及び離型性を向上させるためにクロム鍍金を施すこともできる。
【0033】
上記凹凸形状として、軸方向に延びる溝が円周方向に沿って複数形成されたひだ部P1と、円周方向に延びる溝が軸方向に沿って複数形成された帯状溝部B1と、を有する。上記ひだ部P1と帯状溝部B1は、金型本体S1の軸方向に沿って、交互に形成されている。
ここで、本実施形態では、転写する溝がプリズム状となるように、溝部は、V溝の周期構造で形成されていて、V溝頂角は50度以上90度以下が好ましい。
【0034】
また、上記帯状溝部B1の形成位置の径は、図3に示すように、上記ひだ部P1の形成位置の径よりも小径である。
上記帯状溝部B1とひだ部P1との間には、図3に示すように、帯状溝部B1からひだ部P1に向けて段階的若しくは連続的に径が変化する傾斜部T1を有する。
その傾斜部T1に対し、図7に示すように、円周方向に延びる溝が軸方向に沿って複数形成しておくと良い。
【0035】
さらに、上記傾斜部T1とひだ部P1の間に、図7に示すように、複数の軸方向溝と複数の円周方向溝が交差して形成された交差部X1を形成すると良い。交差部X1に設ける溝は、たとえば図7に示すように、ひだ部P1の溝として円周方向に延在する溝を軸方向に沿って複数形成すると共に、その溝を形成する頂部を、軸方向に延在するように軸方向溝を形成することで設ける。
【0036】
また、上記傾斜部T1に形成した複数の溝は、隣り合う溝の頂点の段差Tgと頂点間の軸方向距離Tpとの比(Tg/Tp)が、下記式を満足することが好ましい。
1/300 ≦(Tg/Tp)≦ 1/3
【0037】
以上のような凹凸形状が形成された金型Sを用いて、凹凸形状を転写したシート状部材60を成型する。例えば、金型Sの凹凸形状に対し、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂等を塗布または注入し、その上に基材を配置して、硬化処理後に金型Sから離型することで、図4のように、凹凸形状を有するシート状部材60を成型することができる。なお本明細書では、シート状には、フィルム状や板状の形状も含まれる。なお、図4は、傾斜部T1を省略した図である。
【0038】
または、一対のロールの少なくとも一方に上記ロール金型Sを使用して、Tダイから押し出されるシート状の溶融樹脂を上記一対のロールで挟圧することで、上記凹凸形状を有するシート状部材60を成型したりしても良い。
【0039】
(金型の作用その他)
金型Sは、通常複数回使用されるものであるため、使用期間と使用期間の間に保管期間がある。この保管期間に金型S表面の凹凸形状を傷付けないように、保管の際には図2のように軟包材等のカバーC0を金型Sの上に巻いておく。さらに、図2のように、ラック500に軸部S3を掛けて横架させて、凹凸形状に加重が掛からないようにして保管する。
【0040】
また、この金型Sを移動させる際には、ラック500上を転がすようにして金型Sを移動させる。この移動の際に、カバーC0が金型S上を円周方向に滑りやすく、金型Sに形成した溝の頂部とカバーC0が摺接することで、当該溝の頂部に傷が発生しやすい。
これを防止するために、本実施形態では、金型S表面にひだ部P1を形成していることで、軸方向溝を形成して、カバーC0が円周方向に滑ることを防止する。
【0041】
ここで、このひだ部P1の溝のピッチが10μmより小さい場合には、ひだ部P1の溝の頂部にかかる圧力が分散しすぎるため、カバーC0が円周方向に滑ってしまうおそれがある。一方、ひだ部P1の溝のピッチが200μmより大きい場合には、ひだ部P1の溝の頂部に圧力がかかりすぎてしまい、溝の頂部に傷ができてしまうおそれがある。以上のことから、ひだ部P1の溝のピッチは、10μm以上200μm以下が好ましい。
【0042】
また、上述のひだ部P1は、カバーC0が円周方向に滑ることは防止できるが、カバーC0が軸方向にずれることを防止できない。カバーC0は、まれに軸方向にずれることもある。これに対し、本実施形態では、帯状溝部B1を設けることにて対処している。すなわち、ひだ部P1と帯状溝部B1の境界にカバーC0が引っかかるため、カバーC0が軸方向にも滑ることを抑えることが可能となる。
【0043】
帯状溝部B1の幅とひだ部P1の幅の比率は、1:9〜5:5の範囲であることが好ましい。帯状溝部B1の幅の比率が1:9より小さいと、軸方向の滑りを防止することができないおそれがある。一方、5:5より大きいと、円周方向の滑りを十分に防止することができないおそれがある。また、この帯状溝部B1は、ひだ部P1より10μm以上200μm以下窪んでいる、つまり小径となって径方向にオフセットしているのが好ましい。窪みが10μmより小さいとカバーC0の引っ掛かりが弱くカバーC0が滑ってしまうおそれがある。一方、200μmより大きいと後述する成型工程で成型材料が目詰まりしてしまい好ましくない。
【0044】
なお、金型Sの直径としては、100mm以上500mm以下が好ましい。100mmより小さい場合には、シートを成型工程でロールに撓みが生じ、成型するシート状部材60の中央と端部で成型率が異なってしまう。一方、500mmより大きい場合には、ロールの重量が重すぎることで、ロールを回転させる際に回転ムラによって金型Sを切削する際にムラが生じてしまうおそれがある。
【0045】
(成型するフィルムなどのシート状部材との関係について)
上述のように、図4のように上述の金型Sを用いることにより、紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂をシート状に成型をすることができる。成型したフィルムなどのシート状部材60の凹凸形状は、金型Sの凹凸形状とは逆形状となるため、金型Sでの凹状の帯状溝部B1が、シート状部材60での凸状の帯状溝部B2となる。図4に示すシート状部材60は、透明基材上に構造層3が積層した構造となっている。
【0046】
成型したシート状部材60は巻取りロール状とすることにより輸送等に適した形態とすることができる。成型したシート状部材60をロール状にした際に、シート状部材60の帯状溝部B2は、シート状部材60の幅方向と交差する方向延在する凸状の溝となるため、シート状部材60が幅方向に滑ることを防止する。これによって、シート状部材60を巻き取ったロールの形態が、輸送中等に崩れることを防止することができる。
【0047】
上述のロールの形態が輸送中等に崩れることを防止するには、シート状部材60に転写したひだ部P2と帯状溝部B2との段差が、5μm以上100μm以下が好ましい。5μmより小さいと、十分に滑りを防止することはできないおそれがある。一方、100μmより大きいと、滑りは防止できるがフィルムを巻く際に歪みが生じてしまいうまく巻き取る事ができないおそれがある。
【0048】
さらに、図5に示すように、上記凹凸形状を成型したシート状部材60に金属を蒸着することにより反射層4を形成すると良い。図5(a)は傾斜部T2に溝を形成しない場合の例であり、図5(b)は、傾斜部T2に溝を形成すると共に、交差部X2を設けた場合の例である。
上記反射層4は、非常に傷がつきやすいが、図6に示すように、粘・接着層5で別の基材(保護層6)によって封止することにより反射面を保護することができる。このとき溝の深さが30μmより大きいと、粘・接着層5を構成する粘・接着剤がうまく溝に入らず浮きの原因となり好ましくない。
【0049】
また、図6に示すように、ひだ部P2と帯状溝部B2との境界では、粘・接着材と反射層4の間で浮きが生じてしてしまうおそれがある。これを防ぐために、ひだ部P2と帯状溝部B2の境界に傾斜部T2を形成し、更に、その傾斜部T2に溝部を設けるのが好ましい。傾斜部T2に形成する各溝は、互いに、複数の高さの異なる円周方向に延在した溝となる。
【0050】
この傾斜部T2の傾斜は、隣りあう溝の頂点の段差Tgと頂点間の距離Tpとの比が1/3より大きいと浮きが生じてしまい好ましくない。1/300より小さいと溝の深さバラツキがでやすいため好ましくない。このため、上記傾斜部T1に形成した複数の溝は、隣り合う溝の頂点の段差Tgと頂点間の軸方向距離Tpとの比(Tg/Tp)が、下記式を満足することが好ましい。
1/300 ≦(Tg/Tp)≦ 1/3
【0051】
さらに、金型Sに対し、傾斜部T1とひだ部P1の間に図7のような交差部X1を有することによって、シート状部材60において、さらに粘・接着材のくい付きがよくなり密着力が増すため、交差状溝部を設けることがより好ましい。
【0052】
(光再利用シートについて)
上記シート状部材60は光再利用シート20を構成する。
【0053】
また、そのようなシート状部材60の凹凸面に反射層4を積層しても良い。
さらに、反射層4に粘・接着層を介して保護層を積層しても良い。
図8の光再利用シート20は、透明基材と、上記円筒状の金型Sを用いて成型されたシート状部材60からなる構造層と、反射層4と、粘・接着層と、保護層とが順次積層されて構成されている場合の例である。
【0054】
図8に太陽電池モジュール200の断面図の一例を示す。
この図8のように、光再利用シート20を太陽電池セル30の背面(光源とは反対側)に配置することにより、太陽電池セル30に入射しない光を太陽電池セル30で再利用することが可能となる。すなわち、光再利用シート20を太陽電池セル30の背面に配置することにより、太陽電池セル30の周辺に入射した光は、太陽電池セル30の方向に再度入射させることができるため、太陽電池セル30の発電量を増加させることができる。
【0055】
図8中、Lは光源、22は前面板、21は充填層を示す。
ここで、このような光再利用シート20を太陽電池セル30の背面に配置して太陽電池セル30に入射しない光を太陽電池セル30で再利用する際には、図9(a)のようにシート状部材60の溝の位置と太陽電池セル30の位置を合わせる必要がある。この際、シート状部材60の長手方向では、連続的に溝が形成されているため位置あわせが不要であるが、幅方向では位置合わせが必要となる。
【0056】
この際に、図9(a)のように予めセルとセルの間隔を一定とするようにセル同士を繋ぐ配線で繋ぎその配線がシート状部材60の幅方向になるようにすると良い。この場合には、図9(b)のようにシート状部材60の長手方向に関してはズレが生じても、幅方向に太陽電池セル30がずれることを防止できる。なお、配線32と直交する方向にはセルの位置はずれ易いが、その方向には溝が連続的に配置しているため、セルの周辺を常に溝が囲い込むようになって、ずれを抑えることができる。
【0057】
ここで、シート状部材60のひだ部P2及び帯状溝部B2の複数の溝のピッチは1μm以上が好ましい。1μmより小さいピッチでは、回折により反射面が虹色に見えてしまい外観が損なわれて好ましくない。
また、帯状溝部B2では、溝を形成した傾斜部T2を有するため、溝の底部だけでなく傾斜部T2の光も有効に利用することができるため、より光を有効に利用することができる。
【0058】
さらに、図10を参照して、帯状溝部B2に隣接する傾斜部T2の効果について説明する。
傾斜部T2は右上がりまたは左上がりの面を有しているが、全体としては一方向に傾斜して、帯状溝部B2と接している。このため、傾斜部T2で反射される光H2は、一部は、ロスとなる光H4となるが、一部は、太陽電池モジュール200の入射面110で反射し、太陽電池セル30に入射する光H3となる。このため、帯状溝部B1だけの場合と比較して、傾斜部T2を有することによって、さらに太陽電池セル30に多くの光を受光させることができる。
【0059】
傾斜部T2を設けたときのデータを、図11に示す。
図11から分かるように、傾斜部T2の幅が5mmとすることによって、2.6倍まで太陽電池セル30に入射する光を増加させることができる。さらに、傾斜部T2の幅が10mmとすることにより、3.2倍まで太陽電池セル30に入射する光を増加させることができる。
【0060】
上述のように、凹凸形状として帯状溝部B2を設け、さらに上述のような傾斜部T2を設けることにより、より多くの光を太陽電池セル30に入射させることができる。
なお、傾斜部T2は、図12に示すような鋸状のような形状のものとなる。
また、帯状溝部B2は、図13に示すような窪みB12を有するようものでも良い。
上述の凹凸形状を有する光再利用シート20は、図14に示すように、反射層4、構造層3、基材2から構成することができる。
【0061】
構造層3に凹凸形状を形成する方法として、型の反射面100の凹凸形状を形成した面に熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂等を塗布または注入し、その上に基材2を配置して、硬化処理後に金型Sから離型するといった方法が挙げられる。
また、図15のような、基材2を用いずに構造層3のみからなる光再利用シート20の作製方法としては、型を用いたプレス法・キャスティング法・射出成形法等により基材2と一体成形する方法が挙げられる。上述の方法によれば、シート形成と同時に、凹凸形状を形成することができる。
【0062】
反射面100を形成する型としては機械切削により作製されたものを用いることができる。この際、凹凸形状の先端は、形状に傷が付くのを防止するため、丸みを帯びたものが望ましい。
さらに、構造層3の厚さは、特には限定されないが、例えば3μm以上500μm以下である。
上述の製造法は、以下の材料との適性により適宜選択するのが良い。
【0063】
(シートの材料その他について)
構造層3を形成するポリマー組成物中には、ポリマー組成物の他に例えば散乱反射体、硬化剤、可塑剤、分散剤、各種レベリング剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、粘性改質剤、潤滑剤、光安定化剤等が適宜配合されてもよい。
【0064】
上述のポリマー組成物としては、特に限定されるものではなく、例えばポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド系樹脂、、エポキシ系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、アクリロニトリル−(ポリ)スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、リエチレンナフタレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられ、これらのポリマーを1種又は2種以上混合して使用することができる。
【0065】
上述のポリウレタン系樹脂の原料であるポリオールとしては、例えば水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られるポリオールや、水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールなどが挙げられ、これらを単体で又は2種以上混合して使用することができる。
【0066】
水酸基含有不飽和単量体としては、(a)例えばアクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アリルアルコール、ホモアリルアルコール、ケイヒアルコール、クロトニルアルコール等の水酸基含有不飽和単量体、(b)例えばエチレングリコール、エチレンオキサイド、プロピレングリコール、プロピレンオキサイド、ブチレングリコール、ブチレンオキサイド、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルデカノエート、プラクセルFM−1(ダイセル化学工業株式会社製)等の2価アルコール又はエポキシ化合物と、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸との反応で得られる水酸基含有不飽和単量体などが挙げられる。これらの水酸基含有不飽和単量体から選択される1種又は2種以上を重合してポリオールを製造することができる。
【0067】
また上述のポリオールは、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸シクロヘキシル、スチレン、ビニルトルエン、1−メチルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、酢酸アリル、アジピン酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、マレイン酸ジエチル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エチレン、プロピレン、イソプレン等から選択される1種又は2種以上のエチレン性不飽和単量体と、上述の(a)及び(b)から選択される水酸基含有不飽和単量体とを重合することで製造することもできる。
【0068】
水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られるポリオールの数平均分子量は1000以上500000以下であり、好ましくは5000以上100000以下である。また、その水酸基価は5以上300以下、好ましくは10以上200以下、さらに好ましくは20以上150以下である。
水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールは、(c)例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、シクロヘキサンジオール、水添ビスフェノルA、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ハイドロキノンビス(ヒドロキシエチルエーテル)、トリス(ヒドロキシエチル)イソシヌレート、キシリレングリコール等の多価アルコールと、(d)例えばマレイン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、トリメット酸、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸等の多塩基酸とを、プロパンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール中の水酸基数が上記多塩基酸のカルボキシル基数よりも多い条件で反応させて製造することができる。
【0069】
上述の水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールの数平均分子量は500以上300000以下であり、好ましくは2000以上100000以下である。また、その水酸基価は5以上300以下、好ましくは10以上200以下、さらに好ましくは20以上150以下である。
【0070】
当該ポリマー組成物のポリマー材料として用いられるポリオールとしては、上述のポリエステルポリオール、及び、上述の水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られ、かつ、(メタ)アクリル単位等を有するアクリルポリオールが好ましい。かかるポリエステルポリオール又はアクリルポリオールをポリマー材料とすれば耐候性が高く、構造層3の黄変等を抑制することができる。なお、このポリエステルポリオールとアクリルポリオールのいずれか一方を使用してもよく、両方を使用してもよい。
【0071】
なお、上述のポリエステルポリオール及びアクリルポリオール中の水酸基の個数は、1分子当たり2個以上であれば特に限定されないが、固形分中の水酸基価が10以下であると架橋点数が減少し、耐溶剤性、耐水性、耐熱性、表面硬度等の被膜物性が低下する傾向がある。
【0072】
構造層3を形成するポリマー組成物中に散乱反射体を反射性能、耐熱性能を向上させるため含有すると良い。ポリマー組成物中に散乱反射体を含有することで、構造層3ひいては光再利用シート20の耐熱性が向上させることができ、かつ屈折率がポリマー組成物と大きく異なるものを用いれば、光を反射させることができる。なお、これにより十分な反射率が得られる場合には、図5、図8に示すように金属反射層4を設けなくても良い。この散乱反射体剤を構成する無機物としては、特に限定されるものではなく、無機酸化物が好ましい。この無機酸化物は、シリカ等も用いることができるが、ZnS等の金属化合物を用いることもできるが特に、TiO2、ZrO、Al2O3等の金属酸化物が望ましい。またシリカの中空粒子を用いることもできる。このうち、TiO2は、屈折率が高く、分散性も得られやすいため好ましい。また、散乱反射体の形状は、球状、針状、板状、鱗片状、破砕状等の任意の粒子形状でよく、特に限定されない。
【0073】
散乱反射体の平均粒子径の下限としては、0.1μmが好ましく、上限としては30μmが好ましい。平均粒子径が0.1μmより小さいと光を十分に反射しない。また、平均粒子径が30μmより大きいと成型性が悪い。
【0074】
散乱反射体のポリマー組成物100部に対する配合量の下限としては固形分換算で30部が好ましい。一方、散乱反射体の上述の配合量の上限としては100部が好ましい。これは、無機充填剤の配合量が30部より少ないと、充填層21から構造層3に入射する光H1を十分に反射することができない。逆に、配合量が上述の範囲を越えると、成型性が悪い。
【0075】
上述の散乱反射体としては、その表面に有機ポリマーが固定されたものを用いるとよい。このように有機ポリマー固定の散乱反射体を用いることで、ポリマー組成物での分散性やポリマー組成物との親和性の向上が図られる。この有機ポリマーについては、その分子量、形状、組成、官能基の有無等に関して特に限定はなく、任意の有機ポリマーを使用することができる。また有機ポリマーの形状については、直鎖状、分枝状、架橋構造等の任意の形状のものを使用することができる。
【0076】
上述の有機ポリマーを構成する具体的な樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルおよびこれらの共重合体やアミノ基、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の官能基で一部変性した樹脂等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリル−スチレン系樹脂、(メタ)アクリル−ポリエステル系樹脂等の(メタ)アクリル単位を含む有機ポリマーを必須成分とするものが被膜形成能を有し好適である。他方、上述のポリマー組成物と相溶性を有する樹脂が好ましく、従ってポリマー組成物と同じ組成であるものが最も好ましい。
【0077】
上述のポリマー組成物としてはシクロアルキル基を有するポリオールが好ましい。ポリマー組成物としてのポリオール中にシクロアルキル基を導入することで、ポリマー組成物の撥水性、耐水性等の疎水性が高くなり、高温高湿条件下での構造層3ひいては光再利用シート20の耐撓み性、寸法安定性等が改善される。また、構造層3の耐候性、硬度、肉持感、耐溶剤性等の塗膜基本性能が向上する。さらに、表面に有機ポリマーが固定された散乱反射体との親和性及び散乱反射体の分散性がさらに良好になる。
【0078】
また、ポリマー組成物中には硬化剤としてイソシアネートを含有するとよい。このようにポリマー組成物中にイソシアネート硬化剤を含有することで、より一層強固な架橋構造となり、構造層3の被膜物性がさらに向上する。このイソシアネートとしては上述の多官能イソシアネート化合物と同様の物質が用いられる。中でも、被膜の黄変色を防止する脂肪族系イソシアネートが好ましい。
【0079】
なお、散乱反射体は、内部に有機ポリマーを包含していてもよい。このことにより、散乱反射体のコアである無機物に適度な軟度および靱性を付与することができる。
上述の有機ポリマーにはアルコキシ基を含有するものを用いるとよく、その含有量は特に限定されないが、散乱反射体1g当たり0.01mmol以上50mmol以下が好ましい。アルコキシ基により、ポリマー組成物との親和性や、ポリマー組成物中での分散性を向上させることができる。
【0080】
上述のアルコキシ基は、微粒子骨格を形成する金属元素に結合したRO基を示す。このRは置換されていてもよいアルキル基であり、微粒子中のRO基は同一であっても異なっていてもよい。Rの具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル等が挙げられる。散乱反射体を構成する金属と同一の金属アルコキシ基を用いるのが好ましく、散乱反射体がコロイダルシリカである場合には、シリコンを金属とするアルコキシ基を用いるのが好ましい。
【0081】
有機ポリマーを固定した散乱反射体の有機ポリマーの含有率については、特に制限されないが、散乱反射体を基準にして0.5質量%以上50質量%以下が好ましい。
光再利用シート20において、反射層4を用いる場合にはその密接着性等を向上させるため、反射層4の蒸着対象面(構造層3の表面)に表面処理を施すとよい(図示せず)。このような表面処理としては、例えば(a)コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いた酸化処理、及び(b)プライマーコート処理、アンダーコート処理、アンカーコート処理、蒸着アンカーコート処理などが挙げられる。これらの表面処理の中でも、反射層4との接着強度が向上し、緻密かつ均一な反射層4の形成に寄与するコロナ放電処理及びアンカーコート処理が好ましい。
【0082】
上述のアンカーコート処理に用いるアンカーコート剤としては、例えばポリエステル系アンカーコート剤、ポリアミド系アンカーコート剤、ポリウレタン系アンカーコート剤、エポキシ系アンカーコート剤、フェノール系アンカーコート剤、(メタ)アクリル系アンカーコート剤、ポリ酢酸ビニル系アンカーコート剤、ポリエチレンアルイハポリプロピレン等のポリオレフィン系アンカーコート剤、セルロース系アンカーコート剤などが挙げられる。これらのアンカーコート剤の中でも、反射層4の接着強度をより向上することができるポリエステル系アンカーコート剤が特に好ましい。
【0083】
上述のアンカーコート剤のコーティング量(固形分換算)は、1g/m2以上、3g/m2以下が好ましい。アンカーコート剤のコーティング量が1g/m2より少ないと、反射層4の密着性向上効果が小さくなる。一方、当該アンカーコート剤のコーティング量が3g/m2より多いと、光再利用シート20の強度、耐久性等が低下するおそれがある。
【0084】
なお、上述のアンカーコート剤中には、密接着性向上のためのシランカップリング剤、ブロッキングを防止するためのブロッキング防止剤、耐候性等を向上させるための紫外線吸収剤等の各種添加剤を適宜混合することができる。かかる添加剤の混合量としては、添加剤の効果発現とアンカーコート剤の機能阻害とのバランスから0.1重量%以上10重量%以下が好ましい。上述の添加剤が、0.1重量%未満では、ブロッキングを十分に防止できず、耐候性が十分に得られず、10重量%より多いと、トップコート剤の機能を阻害してしまう。
【0085】
反射層4は、光再利用シート20に入射する光を反射するものである。反射層4を形成する際には、構造層3の凹凸形状が形成された面に沿って金属を蒸着することで形成される。この反射層4の蒸着手段としては、構造層3に収縮、黄変等の劣化を招来することなく金属が蒸着できれば特に限定されるものではなく、(a)真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンクラスタービーム法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法;PVD法)、(b)プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法;CVD法)が採用される。これらの蒸着法の中でも、生産性が高く良質な反射層4が形成できる真空蒸着法やイオンプレーティング法が好ましい。
【0086】
反射層4に用いられる金属としては、金属光沢を有しかつ蒸着が可能であれば特に限定されるものではなく、例えばアルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、ジルコニウム(Zr)等が挙げられる。中でも、反射性が高く、緻密な反射層4が比較的容易に形成されるアルミニウム(Al)が好ましい。
【0087】
なお、反射層4は、単層構造でもよく、2層以上の多層構造でもよい。このように反射層4を多層構造とすることで、蒸着の際に懸かる熱負担の軽減により構造層3の劣化が低減され、さらに構造層3と反射層4との密着性等を改善することができる。このとき、金属膜の上に酸化金属層を設けても良い。また、上述の物理気相成長法及び化学気相成長法における蒸着条件は、構造層3や基材2の樹脂種類、反射層4の厚さ等に応じて適宜設計される。
【0088】
反射層4の厚さの下限としては、10nmが好ましく、20nmが特に好ましい。一方、反射層4の厚さの上限としては、200nmが好ましく、100nmが特に好ましい。反射層4の厚さが10nmより小さいと、充填層21から反射層4に入射する光を十分に反射することができない。また、20nm以上の厚さであっても、上述の反射層4で反射される光は増えないため、20nmであれば十分な厚さといえる。一方、反射層4の厚さが200nmの上限を超えると、反射層4に目視でも確認できるクラックが発生し、100nm以下であれば、目視で確認できないようなクラックも発生しない。
【0089】
また、反射層4の外面には、トップコート処理を施すとよい(図示せず)。このように反射層4の外面にトップコート処理を施すことで、反射層4が封止及び保護され、その結果、光再利用シート20のハンドリング性が良くなる。また、反射層4の経年劣化も抑えられる。
【0090】
上述のトップコート処理に用いるトップコート剤としては、例えばポリエステル系トップコート剤、ポリアミド系トップコート剤、ポリウレタン系トップコート剤、エポキシ系トップコート剤、フェノール系トップコート剤、(メタ)アクリル系トップコート剤、ポリ酢酸ビニル系トップコート剤、ポリエチレンアルイハポリプロピレン等のポリオレフィン系トップコート剤、セルロース系トップコート剤などが挙げられる。かかるトップコート剤の中でも、反射層4との接着強度が高く、反射層4の表面保護、欠陥の封止等に寄与するポリエステル系トップコート剤が特に好ましい。
【0091】
上述のトップコート剤のコーティング量(固形分換算)は、3g/m2以上、7g/m2以下が好ましい。トップコート剤のコーティング量が3g/m2より小さいと、反射層4を封止及び保護する効果が小さくなるおそれがある。一方、当該トップコート剤のコーティング量が7g/m2を超えても、上述の反射層4の封止及び保護効果があまり増大せず、かえって光再利用シート20の厚さが増大してしまう。
【0092】
なお、上述のトップコート剤中には、密接着性向上のためのシランカップリング剤、耐候性等を向上させるための紫外線吸収剤、耐熱性等を向上させるための無機フィラー等の各種添加剤を適宜混合することができる。かかる添加剤の混合量としては、添加剤の効果発現とトップコート剤の機能阻害とのバランスから0.1重量%以上10重量%以下が好ましい。上述の添加剤が、0.1重量%未満では、密接着性、耐候性、耐熱性が十分に得られず、10重量%より多いと、トップコート剤の機能を阻害してしまう。
【0093】
上述の光再利用シート20を構成する基材2は、合成樹脂を材料とするシート成形により形成されている。かかる基材2に用いられる合成樹脂としては、屋外に設置されることを鑑み、耐水性、紫外線に対する耐久性等の耐候性を有しているものが望ましく、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−(ポリ)スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、リエチレンナフタレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、エポキシン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。
【0094】
上述の樹脂の中でも、高い耐熱性、強度、耐候性、耐久性、水蒸気等に対するガスバリア性等を有したものとして、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ乳酸系樹脂が好ましい。
上述のポリエステル系樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。これらのポリエステル系樹脂の中でも、耐熱性、耐候性等の諸機能面及び価格面のバランスが良好なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0095】
上述のフッ素系樹脂としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体からなるペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー(EPE)、テトラフルオロエチレンとエチレン又はプロピレンとのコポリマー(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(PCTFE)、エチレンとクロロトリフルオロエチレンとのコポリマー(ECTFE)、フッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)、フッ化ビニル系樹脂(PVF)等が挙げられる。これらのフッ素系樹脂の中でも、強度、耐熱性、耐候性等に優れるポリフッ化ビニル系樹脂(PVF)やテトラフルオロエチレンとエチレン又はプロピレンとのコポリマー(ETFE)が特に好ましい。
【0096】
上述の環状ポリオレフィン系樹脂としては、例えばa)シクロペンタジエン(及びその誘導体)、ジシクロペンタジエン(及びその誘導体)、シクロヘキサジエン(及びその誘導体)、ノルボルナジエン(及びその誘導体)等の環状ジエンを重合させてなるポリマー、b)当該環状ジエンとエチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、スチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン系モノマーの1種又は2種以上とを共重合させてなるコポリマー等が挙げられる。これらの環状ポリオレフィン系樹脂の中でも、強度、耐熱性、耐候性等に優れるシクロペンタジエン(及びその誘導体)、ジシクロペンタジエン(及びその誘導体)又はノルボルナジエン(及びその誘導体)等の環状ジエンのポリマーが特に好ましい。
【0097】
なお、基材2の形成材料としては、上述の合成樹脂を1種又は2種以上混合して使用することができる。また、基材2の形成材料中には、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性等を改良、改質する目的で、種々の添加剤等を混合することができる。この添加剤としては、例えば滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、充填材、強化繊維、補強剤、帯電防止剤、難燃剤、耐炎剤、発泡剤、防カビ剤、顔料等が挙げられる。上述の基材2の成形方法としては、特に限定されず、例えば押出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の公知の方法が採用される。
【0098】
基材2を用いる場合には、その厚さは、25μm以上500μm以下が好ましく、250μmが特に好ましい。基材2の厚さが25μmより薄いと、紫外線硬化樹脂等の硬化収縮の影響により、構造層3の塗工加工の際にカールが発生し、太陽電池モジュール200に組み込む際に不具合が発生する。逆に、基材2の厚さが500μmを超えると、シート状部材60重量が増してしまい、太陽電池モジュール200の重量も増してしまう。250μm以下であれば、より軽量の太陽電池モジュール200を実現できる。
【0099】
また、基材2、構造層3、基材2中に紫外線安定剤又は分子鎖に紫外線安定基が結合したポリマーを含有することも可能である。この紫外線安定剤又は紫外線安定基により、紫外線で発生するラジカル、活性酸素等が不活性化され、光再利用シート20の紫外線安定性、耐候性等を向上させることができる。この紫外線安定剤又は紫外線安定基としては、紫外線に対する安定性が高いヒンダードアミン系紫外線安定剤又はヒンダードアミン系紫外線安定基が好適に用いられる。
【0100】
(太陽電池モジュール200の作用)
このような特徴の光再利用シート20を用いた太陽電池モジュール200によれば、隣り合う太陽電池セル30の間の領域R1に入射する光を光再利用シート20の反射面100で反射し、太陽電池セル30に入射させることができる。これにより、隣り合う太陽電池セル30の間の領域R1に入射する光も利用することができ、太陽電池モジュール200の発電効率を向上させることが可能となる。
【0101】
(変形例その他)
光再利用シート20は、図16のように光再利用シート20の反射面100の裏面を充填層側21に向けて配置することもできる。
また、図17のように、この光再利用シート20に10μmから30μmの金属層や10nmから100nmのシリカ層からなる保護層40を有したものを用いることができる。また耐久性を上げるために、PVF(ポリフッ化ビニル樹脂)を塗布または、ポリフッ化ビニル樹脂を有したシート状部材60を張り合わせて、太陽電池モジュール200を保護するようにしてもよい。このようにすることにより、太陽電池モジュール200をバックシートして用いることもできる。
【0102】
また、図18のように、この光再利用シート20は、LEDは、EL等の固体の発光素子50からの光を再利用するのにも利用可能である。
図18に本発明の光源モジュール210に係る一様態の断面図を示す。光源モジュール210は、充填層21と、発光素子50と、光再利用シート20を有する。
発光素子50は、エレクトロルミネッセンスにより電気を光へと変換する機能を持ち、受発光面160から射出する。発光素子50は、LED、有機EL、無機EL等の固体の発光ダイオードが好ましく用いられる。
【0103】
充填層21は、発光素子50を封止するものである。発光素子50から射出した光M3は、充填層21を透過し、一部は射出面150から射出する光H30となり、一部は射出面150で反射する光M31となる。充填層21の材料は、充填層21に入射する光M3を透過させるため光線透過率が高い材料が用いられ、透過性の高いアクリル樹脂等が好ましく用いられる。
【0104】
発光素子50から射出した光のうち、射出面150で反射する光M31は、射出面150で反射し光再利用シート20の反射面100に入射する。反射面に入射する光M2は、反射面100で反射し、射出面150に入射する。反射面100で反射し、射出面150に入射する反射光M1は、射出面150から外部に射出する。これにより光再利用シート20が無い構成と比較して光利用効率が向上する効果がある。
【0105】
反射光M1の進む方向は、本発明の反射面100の凹凸形状により制御でき、反射面100が、上述の帯状溝部B1を有することによって、多くの光を射出面から射出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、傷の発生を防止することにより保管が容易に行える金型Sに関するものである。また、本金型Sを用いて成型されたシート状部材60はロール状にした際の安定性も優れたものである。さらに本シート状部材60を用いることにより、太陽光を利用して、発電を行う太陽光発電に用いる事によりその発電効率を著しく向上させるものである。
また、LEDやEL素子等の発光素子に用いる事によって、その発光効率を高めることができるため、消費電力を抑えることができるものである。
【符号の説明】
【0107】
3 構造層
4 反射層
5 粘・接着層
6 保護層
20 光再利用シート
21 充填層
30 太陽電池セル
40 保護層
50 発光素子
60 シート状部材
200 太陽電池モジュール
B1 帯状溝部
B2 帯状溝部
S 金型
S1 金型本体
T1 傾斜部
T2 傾斜部
Tg 段差
Tp 距離
X1 交差部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に凹凸形状が形成された円筒状の金型本体を備え、
上記凹凸形状として、軸方向に延びる溝が円周方向に沿って複数形成されたひだ部と、円周方向に延びる溝が軸方向に沿って複数形成された帯状溝部と、を有することを特徴とする円筒状の金型。
【請求項2】
上記帯状溝部の形成位置は、上記ひだ部の形成位置よりも小径であり、
上記帯状溝部とひだ部との間には、帯状溝部からひだ部に向けて段階的若しくは連続的に径が変化する傾斜部を有することを特徴とする請求項1に記載した円筒状の金型。
【請求項3】
上記傾斜部に対し円周方向に延びる溝を軸方向に複数形成し、
上記傾斜部とひだ部の間に、軸方向に延びる溝と円周方向に延びる溝とが交差して形成された交差部を有することを特徴とする請求項2に記載した円筒状の金型。
【請求項4】
上記傾斜部に形成した複数の溝は、隣り合う溝の頂点の段差Tgと頂点間の軸方向距離Tpとの比(Tg/Tp)が、下記式を満足することを特徴とする請求項3に記載した円筒状の金型。
1/300 ≦(Tg/Tp)≦ 1/3
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の円筒状の金型を用いて成型された構造層と、構造層の凹凸面に積層する反射層とを備えることを特徴とする光再利用シート。
【請求項6】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の円筒状の金型を用いて成型された構造層と、構造層の凹凸面に積層する反射層と、反射層に粘・接着層を介して積層される保護層とを備えることを特徴とする光再利用シート。
【請求項7】
表面に対し、軸方向に延びる溝が円周方向に沿って複数形成されたひだ部と、円周方向に延びる溝が軸方向に沿って複数形成された帯状溝部と、を有することを特徴とする光再利用シート。
【請求項8】
太陽電池セルの背面側に請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載した光再利用シートを配置したことを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項1】
表面に凹凸形状が形成された円筒状の金型本体を備え、
上記凹凸形状として、軸方向に延びる溝が円周方向に沿って複数形成されたひだ部と、円周方向に延びる溝が軸方向に沿って複数形成された帯状溝部と、を有することを特徴とする円筒状の金型。
【請求項2】
上記帯状溝部の形成位置は、上記ひだ部の形成位置よりも小径であり、
上記帯状溝部とひだ部との間には、帯状溝部からひだ部に向けて段階的若しくは連続的に径が変化する傾斜部を有することを特徴とする請求項1に記載した円筒状の金型。
【請求項3】
上記傾斜部に対し円周方向に延びる溝を軸方向に複数形成し、
上記傾斜部とひだ部の間に、軸方向に延びる溝と円周方向に延びる溝とが交差して形成された交差部を有することを特徴とする請求項2に記載した円筒状の金型。
【請求項4】
上記傾斜部に形成した複数の溝は、隣り合う溝の頂点の段差Tgと頂点間の軸方向距離Tpとの比(Tg/Tp)が、下記式を満足することを特徴とする請求項3に記載した円筒状の金型。
1/300 ≦(Tg/Tp)≦ 1/3
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の円筒状の金型を用いて成型された構造層と、構造層の凹凸面に積層する反射層とを備えることを特徴とする光再利用シート。
【請求項6】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の円筒状の金型を用いて成型された構造層と、構造層の凹凸面に積層する反射層と、反射層に粘・接着層を介して積層される保護層とを備えることを特徴とする光再利用シート。
【請求項7】
表面に対し、軸方向に延びる溝が円周方向に沿って複数形成されたひだ部と、円周方向に延びる溝が軸方向に沿って複数形成された帯状溝部と、を有することを特徴とする光再利用シート。
【請求項8】
太陽電池セルの背面側に請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載した光再利用シートを配置したことを特徴とする太陽電池モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−213038(P2011−213038A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85035(P2010−85035)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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