説明

再吸収性緻密面を有した三次元補綴ファブリック

本発明は、反対側に位置し且つ組織の厚さによって互いから隔てられた第1及び第2面が設けられ、前記第1面はそれが多孔質であるように選択され、前記組織は前記第2面が緻密であり且つ少なくとも1つの第1再吸収性スレッドからなることを特徴とする三次元補綴ファブリックに関する。本発明の組織を製造する方法及びそれからつくられる補綴具も開示される。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、三次元補綴ファブリックであって、特に壁及び/又は内臓の手術における補強補綴具を得るのに有用であり、腹腔内経路を介して使用する場合に術後の癒着を防ぐのに特に適した補綴ファブリックに関する。
【0002】
手術後の癒着は、外科的処置が正常な瘢痕形成過程の最中に偶発的に誘発する全ての非解剖学的線維性結合を含んでいる。それらは、外科のどの分野においても、想定している処置とは無関係に起こり得る。それらは、一般的に、外科的外傷がより大きくなるにつれて、及び、切断面を常に提供する組織(間質結合組織、滑膜組織、腱鞘、腹膜及び胸膜の漿液組織など)が影響をより受けるにつれて、より深刻となる。組織へのどのような外科的外傷も、その後に、主な期間が以下のように単純化され得る生理学的事象のカスケードが続く:
−時間ゼロ(t0):外科的外傷、毛細血管の露出;
−時間ゼロ+数分:凝固、フィブリン網の形成、走化因子の放出;
−時間ゼロ(t0)+12乃至48時間:多形核白血球優位での白血球の流注;
−時間ゼロ(t0)+24時間乃至5日:マクロファージ優位での白血球の流注;
−時間ゼロ(t0)+4乃至8日:線維芽細胞の流注;
−時間ゼロ(t0)+5日乃至14日:瘢痕形成反応の結合性分化;
−時間ゼロ(t0)+15乃至180日:瘢痕性再造形。
【0003】
これら事象のうちのいくつかについての正確な機構は依然として分かっていないが、特に反応の強度の決定論に関しては、最初の数日が、癒着の形成に関与している線維芽細胞の流注を制約するので支配していると思われる。
【0004】
結果として、このような術後の癒着は、慢性痛、閉塞性症候群及び女性の不妊症に主に分類され得る症候群を引き起こす場合がある。更に、それらは、再処置(繰り返しの開胸又は開腹の最中での心筋又は腸の露出)の最中にルートを誤るおそれを非常に大きく増加させ、それと同時に手術時間を引き延ばし、この場合、予備解剖はおそらく非常に面倒である。
【0005】
更に、内臓及び壁の手術において、補強補綴具は、それらがその外科的復元部材としての機能を達成するのを可能とするために、所定の機械的強度を有している必要がある。一般的に、例えばヘルニア及び腹壁ヘルニアなどの壁の不全の処置において特に知られている補綴ファブリックは、外科的復元に対して追加の機械的強度を提供する。それら組織の統合が密接であり且つ早い場合には、このファブリックはなおいっそう有効であり、それらの局所的な耐性はなおいっそう良好である。この理由のため、これら適応について特に優れた補綴ファブリックは、高い多孔度を有している三次元ファブリックであり、身体にできるだけ迅速に一体化されるように設計されている。
【0006】
このようなオープンワーク三次元補綴ファブリックは、例えば、国際公開第99/05990号に記載されている。
【0007】
このような補強補綴具の腹膜内部位への埋め込みのための手術に続く内臓の術後癒着の問題を克服する試みでは、物理障壁を、補強補綴具の前記三次元補綴ファブリックと、これに隣接し、癒着を防ぐことが望まれる生体組織との間に設置することが提案されてきた。しかしながら、望まれる障壁効果は、この障壁の内在的な癒着生成能力の問題をもたらす。この理由は、バリアが非再吸収性材料のみからなる場合、時間が経つとそれ自身が癒着の原因となり得るからであり、それが再吸収性である場合には、その再吸収は、それ自身が癒着を引き起こさないように、それが引き起こす炎症は十分に僅かであるべきである。
【0008】
特には、後者の現象を回避するために、補強補綴器具の1つの面を滑らかな非多孔質の材料によって被覆して、細胞が再定着するためのどのような空間も提供しないようにすることが提案されてきた。例えば、国際公開第99/06079号及び国際公開第99/06080号では、面の1つが多糖類ベース又はコラーゲンベースの滑らかな非多孔質の再吸収性膜によって被覆された、オープンワーク三次元補綴ファブリックが提案されている。
【0009】
しかしながら、このような補綴具の製造は、一方が他方の後に続く2つの異なる工程の組み合わせ、すなわち、第1段階において、三次元テキスタイル構造体を準備し、次に、第2段階において、滑らかに且つ非多孔質にするために、このテキスタイル補綴具の1つの面を処理することを必要とする。この面を処理する方法は、前記面にこのヒドロゲルを含浸させるために、テキスタイル補綴具をヒドロゲルに浸すことにある。次に、ヒドロゲルを滑らかな非多孔質の連続乾燥膜に変換すべく、このアッセンブリは乾燥作業に供される
あるいは、テキスタイル面と、再吸収性であってもそうでなくても良い非固着性のポリマー面とを組み合わせることにより複合補綴具が製造され得る。これら複合補綴具では、2つの面、すなわち、テキスタイル面とポリマー面とが、互いに結合されている。
【0010】
使用される処置方法に拘らず、それは不利益を有する。第1の場合には長く且つ面倒であり、第2の場合には、複合補綴具の場合におけるテキスタイル面−ポリマー面の結合の脆さ及び不安定さのせいで非効率的である。
【0011】
このように、製造が単純且つ容易な信頼のおける補強補綴具であって、第1に、組織壁を補強する役割を保証するのに十分な機械的性質を有するが、第2に、内蔵に接触する面上での手術後の癒着の発生を制限するか又は防ぐ補強補綴具への要求がある。
【0012】
本発明は、細胞の再定着を促進する多孔質面、及び、再吸収性緻密面を有し、特には単一成分からつくられた三次元ファブリックを提案することによってこの要求に対処することを対象とする。
【0013】
本発明は、第1面と第2面とを具備した三次元補綴ファブリックであって、前記第1面と前記第2面とは、互いに反対側に位置し且つ前記ファブリックの厚さにより隔てられており、前記第1面は多孔質であり、前記第2面は、緻密であり且つ少なくとも1つの第1再吸収性ヤーンからつくられていることを特徴とするファブリックに関する。
【0014】
本発明に従うファブリックは、壁及び内臓手術での補強補綴具としての使用に特に適している。
【0015】
本発明は、組織壁を補強するか、保護するか又は支持するための補綴具であって、上述の補綴ファブリックからの裁断によって得られることを特徴とする補綴具にも関する。
【0016】
本発明に従うファブリック及び/又は補綴具は、補強すべき壁と接触している面の可能な限り最も迅速な組織一体化を可能とし、不快感又は痛みの原因となる広範囲に亘る線維症なしに機械的に満足できる固定を与え、それと同時に、内臓面又は腹膜面周囲の臓器と接触することによって起こる手術後の癒着の形成を防ぐ。
【0017】
更には、本発明に従うファブリック及び/又は補綴具の緻密面が再吸収性であるという性質のおかげで、非再吸収性材料の量が低減され、それにより、前記非再吸収性材料と接触することによって起こり得る慢性的な炎症反応が制限される。従って、本発明に従う補綴具は、再吸収性緻密面を具備していない他の如何なる標準的な補綴具と比べても、著しく低減された長期的内因性炎症の可能性を有している。
【0018】
本特許出願において、用語「ファブリック」は、編成及び/又は製織によって得られるモノフィラメント又はマルチフィラメントのヤーンのアッセンブリ又はアレンジメントを意味する。
【0019】
本特許出願において、用語「補綴ファブリック」は、ファブリックであって、補綴具の形態で又は少なくとも部分的に前記ファブリックを用いてつくられた他の部材の形態で、人体又は動物の体に埋め込まれることが意図されたファブリックを意味する。
【0020】
本特許出願において、用語「三次元ファブリック」は、かなりの厚さ、好ましくは0.5mm以上の厚さを有するファブリックを意味する。
【0021】
本特許出願において、用語「多孔質面」は、表面が、ある程度のざらつき、例えば、その表面で開口し、均一に分布していてもいなくてもよく、どのような細胞の定着をも促進する小孔、穴又はオリフィスを有している面を意味する。この多孔質面は、補強又は保護すべき組織壁と接触させられ、その後で一体化されるように意図された補綴ファブリックの面である。
【0022】
本特許出願において、用語「緻密面」は、所々に多孔質面を有するが、その表面全体としては、一般的に、或る程度の均一性と均質性とを示す面を意味する。この緻密面は、組織壁に近接した内臓に、前記組織壁の修復又は再生の間中、曝されるように意図されている。
【0023】
本特許出願において、用語「再吸収性」は、所定の期間の後、例えば3ヶ月以内、或いは4週間以内、或いは数日以内に材料を生物組織に吸収させ、生体内から消滅させる特徴を意味する。
【0024】
本特許出願において、用語「リブ」は、三次元ファブリックの2つの面を互いに繋ぎ、それによりこのファブリックの厚さを構成する1つのプライ又は複数のプライを意味する。
【0025】
本発明に従うと、緻密面は第1再吸収性ヤーンからつくられている。これ又はこれらの再吸収性ヤーンは、生体内で、臓器組織及びそれらの分泌物と接触したときに、癒着を防ぐという目的を果たすことが可能な連続ヒドロゲルへと部分的又は全体的に変換され得る。
【0026】
好ましくは、前記第1再吸収性ヤーンは、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリアミド、ポリエーテル及び多糖類並びにそれらの混合物から選択される生体適合性のポリマー材料のモノフィラメント及び/又はマルチフィラメントからなる。
【0027】
ポリエステルは、ポリヒドロキシ酸、好ましくはグリコール酸ポリマー、乳酸ポリマー又はヒドロキシ酪酸ポリマー、及びそれらの混合物から選択されても良い。
【0028】
多糖類は、ヒアルロン酸、アルギン酸、ポリグルクロン酸、キトサン、澱粉、可溶性セルロース誘導体、それらの塩及びそれらの混合物から選択されても良い。前記多糖類は、架橋されていても良い。
【0029】
ポリグルクロン酸は、国際公開第9318174号の教示に従う根粒菌(Rhizobium meliloti)の突然変異株M5N1CS(NCIMB 40472)が分泌する多糖類のように細菌に由来していてもよく、セルロースの一級水酸基の選択的酸化によって得られてもよい。
【0030】
可溶性セルロース誘導体は、セルロースエーテル、例えばカルボキシメチルセルロース、及び酸化セルロース、並びにそれらの混合物から選択されても良い。
【0031】
好ましくは、酸化セルロースは、例えばポリグルクロン酸を与えるべくC6一級アルコールが部分的又は全体的にカルボン酸へと酸化された酸化セルロース、過ヨウ素酸を用いてポリアルデヒドの形態に酸化されたセルロース、及び、可溶化され、その後、再生され且つ酸化されたセルロースのパルプから製造された「ビスコース」型のセルロース、並びにそれらの混合物から選択される。
【0032】
再生セルロースのいくつかの品種が工業的に開発されてきた。言及しておいてもよい例は、希水酸化ナトリウム溶液中のセルロースザンテートの溶解度に基づいた「ビスコース」プロセスを含んでいる。例えばイタリアの会社Bemberg又は日本の会社Asahi Chemical Industriesによって使用され、セルロースをアンモニア銅溶液中に溶解させる「銅アンモニアプロセス」についての言及が為されてもよい。本発明に適した再生セルロースを調製するための他のプロセスは、セルロースをN−メチル−モルフォリン酸化物(NMMO)を用いて有機相中に溶解させるプロセスであり、例えば、オーストリアの会社Lenzingによって使用されている「Lyocell(登録商標)プロセス」として知られている。
【0033】
多孔板に通されると、ビスコースは酸性媒体中で凝固し、再生セルロースの複数の長い連続フィラメントを形成し、これらフィラメントは、乾燥され、マルチフィラメントヤーンとして一体にされる。良好な機械的強度を有している再生セルロースヤーンが得られる。
【0034】
一般的に、このような再生セルロースヤーンは再吸収性ではない。従って、本特許明細書において後述されるように、好ましくは、第1段階において、本発明に従うファブリックの緻密面がこのような再生セルロースヤーンを用いて製造され、次に、第2段階において、この緻密面が、前記再生セルロースヤーンを再吸収性にするべく、酸化プロセスに供されるであろう。
【0035】
言及しておいてもよい本発明に適した再生セルロースヤーンの一例は、「CUPRO(登録商標)」という名称でイタリアの会社Bembergから販売されている、90デシテックスのマルチフィラメントヤーンである。
【0036】
本発明の1つの実施形態では、前記第1再吸収性ヤーンは、再生され且つ酸化されたセルロースマルチフィラメントヤーンである。
【0037】
本発明の他の実施形態では、前記第1再吸収性ヤーンは、ポリグリコール酸と、ポリグルコロン酸の形態にある酸化セルロースとの複合マルチフィラメントヤーンである。
【0038】
本発明の他の実施形態では、前記第1再吸収性ヤーンは、キトサンヤーンであるか又は架橋されたヒアルロン酸ヤーンである。このような架橋されたヒアルロン酸ヤーンは、迅速に水和され且つ4週間未満で分解するように低架橋度で製造されたポリマーをベースにしている。
【0039】
本発明の更に他の実施形態では、前記第1再吸収性ヤーンは、アルギン酸、ヒアルロン酸、ポリグルクロン酸及びそれらの混合物から選択される負に帯電した多糖類と、正に帯電した多糖類、例えばキトサンとを混合することによって得られる。
【0040】
本発明の1つの実施形態に従うと、前記第1再吸収性ヤーンは、間に隙間空間を規定する複数のフィラメントから構成されたマルチフィラメントヤーンであり、前記マルチフィラメントヤーンは、前記隙間空間に、ヒアルロン酸、アルギン酸、ポリグルコロン酸、キトサン、澱粉及び可溶性セルロース誘導体、並びにこれらの混合物から選択される多糖類を含浸している。
【0041】
多糖類の粘稠溶液を用いた含浸は、好ましくは、乾燥ヤーンを溶液の1つの浴中に又は互いに異なる溶液のいくつかの連続した浴中に通すことによって実行される。取り出しの際、ヤーンは、巻き取る前に直接乾燥させても良い。乾燥段階の前に、多糖類をアセトン又はイソプロパノールなどの揮発性溶媒中で凝固させる段階があっても良い。この溶媒は、同時に、ジエポキシド型の二官能性試薬などの、乾燥段階において高温の多糖類と反応する多糖類鎖を架橋するための剤、例えばブタンジオールジグリシジルエーテルを提供してもよい。本発明の或る特定の実施形態では、多糖類の架橋は、相反する電荷を持つ混合された2つの多糖類のそれら相反する電荷間の固有な静電結合によって、好ましくは、正に帯電したキトサンの第1層と、その後の例えばヒアルロン酸のような負に帯電した多糖類の第2層との連続した堆積によって得られる。
【0042】
この含浸によって、ヤーンはその表面において非常に親水性となり、選択された多糖類は、生物組織からの水分の存在下で、又は、本発明の補綴ファブリックを患者に埋め込む前に濡らして、このファブリックの網目の中に粘性によって及びもしあれば架橋によって固定された粘稠ゲルを生じさせることにより迅速に遊離又は水和されるであろう。この連続ゲルの自然生成は、本発明に従うファブリックに癒着防止の性質を与える。
【0043】
本発明に従うファブリックの緻密面の再吸収性という性質は、特にはこの緻密面を構成する再吸収性ヤーンに上述の多糖類を含浸させる際に、例えば編成によりつくられた不連続なテキスタイル面を連続したゲル化面へと、埋め込みの前に濡らすことによって、又は、単に、修復及び保護すべき生物組織に接触させて設置することによって変換することを可能とする。
【0044】
このように、前記第1再吸収性ヤーンは、ポリグルクロン酸を含浸させたポリグリコール酸のマルチフィラメントヤーンであっても良い。
【0045】
本発明の他の実施形態では、前記第1再吸収性ヤーンは、ポリグルクロン酸とキトサンとの混合物を含浸させたポリグリコール酸のマルチフィラメントヤーンである。
【0046】
本発明の他の実施形態では、前記第1再吸収性ヤーンは、ヒアルロン酸とキトサンとの混合物を含浸させたポリグリコール酸のマルチフィラメントヤーンである。
【0047】
本発明の他の実施形態では、前記第1再吸収性ヤーンは、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルを用いて架橋したヒアルロナートを含浸させたポリグリコール酸のマルチフィラメントヤーンである。
【0048】
本発明の他の実施形態では、前記第1再吸収性ヤーンは、キトサンを含浸させた酸化セルロースのマルチフィラメントヤーンである。
【0049】
本発明の或る実施形態に従うと、前記第1多孔質面は、生体適合性ポリマー材料のモノフィラメント及び/又はマルチフィラメントからなる少なくとも1つの第2再吸収性又は非再吸収性ヤーンからつくられている。
【0050】
好ましくは、前記第2ヤーンは非再吸収性である。このようにして、ファブリックの機械的補強機能が確実に保証され、埋め込み物の再吸収を原因とするヘルニアの再発のおそれが回避される。
【0051】
本発明の或る実施形態に従うと、前記第2ヤーンは、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、ポリビニルジフルオレン及びそれらの混合物から選択される生体適合性ポリマー材料のモノフィラメント及び/又はマルチフィラメントからなる。
【0052】
他の実施形態では、多孔質面は、例えばポリ乳酸の少なくとも1つの再吸収性ヤーンからつくられている。このケースは、再発のおそれが低いときに又は組織再生の質が最適であってもよいときに、特に好適である。
【0053】
本発明の或る実施形態に従うと、前記第1面及び前記第2面は、生体適合性ポリマー材料のモノフィラメント及び/又はマルチフィラメントからなる少なくとも1つの第3再吸収性または非再吸収性ヤーンからつくられたリブを介して互いに繋がっている。
【0054】
好ましくは、前記第3ヤーンは再吸収性である。このケースは、補強機能が1つの非再吸収性多孔質面のみによって実現されてもよい場合に、特に好ましい。
【0055】
このように、好ましくは前記第3ヤーンは再吸収性であり、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリアルカノエート、ポリアミド、ポリフォスファゼン、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリオルトエステル、ポリカーボネート及びポリ無水物、並びにそれらの混合物から選択される生体適合性材料のモノフィラメント及び/又はマルチフィラメントからなる。
【0056】
ポリエステルは、ポリヒドロキシ酸、好ましくはグリコール酸ポリマー、乳酸ポリマー及びヒドロキシブチル酸ポリマー、並びにそれらの混合物から選択され得る。
【0057】
本発明の或る実施形態では、前記第3ヤーンは、ポリ乳酸マルチフィラメントヤーンである。
【0058】
本発明の他の実施形態では、前記第3ヤーンは、ポリグリコール酸マルチフィラメントヤーンである。
【0059】
本発明の更に他の実施形態では、前記第3ヤーンは、ポリ乳酸及びポリグリコール酸のマルチフィラメントヤーンである。
【0060】
他の実施形態では、前記第3ヤーンは、非再吸収性である。これは、例えば、表面及び/又は体積が非常に大きいか又は平均よりも高い解剖学的張力を受ける被修復壁についての事例である。従って、再生される壁は、多孔質面単独の場合よりも厚い非再吸収性ファブリックによって永続的に補強される。
【0061】
本発明の或る実施形態に従うと、前記緻密面は、一体化されているが透過性を有している面を定める緊密に編まれた複数の第1ヤーンの少なくとも1つのラップを具備している。緻密面の再吸収性ヤーンを緻密に編むことは、埋め込み前における本発明のファブリック又は補綴具への水の含浸による、又は、本発明のファブリック又は補綴具が埋め込まれて、これらヤーンが臓器組織に元来存在する水分と接触することによる連続ヒドロゲルの生成を可能とする。
【0062】
本発明の他の実施形態に従うと、前記多孔質面は、六角形の開口部を定める編まれた複数の第2ヤーンの少なくとも2つのラップを具備している。
【0063】
本発明の或る実施形態では、前記リブは、多孔質面から緻密面へと実質的に垂直に延びた複数の第3ヤーンの少なくとも1つのラップを具備しており、前記第3ヤーンは、前記多孔質面上で、前記六角形の開口部の周縁に沿って分布している。
【0064】
好ましくは、前記第3ヤーンは、内部断面にヤーンを含んでいない実質的に互いに平行な複数の横断チャネルを形成しており、前記チャネルは、前記ファブリックの両側に、多孔質面には前記六角形の開口部に応じて、及び、緻密面にそれぞれ現れている。
【0065】
好ましくは、これら横断チャネルの平均径は、0.3mm以上であり、好ましくは0.7乃至3mmの範囲内にあり、より好ましくは1.3乃至1.7mmの範囲内にある。
【0066】
好ましくは、これら横断チャネルは、前記ファブリックの厚さに対応して、0.5乃至5mmの範囲内にある長さ、より好ましくは1.5乃至3mmの範囲内にある長さを有している。
【0067】
好ましくは、前記リブは、各々のチャネルに対し、隣り合ったチャネルと相互連通する多孔質の内壁を定めており、前記多孔質内壁はチャネル間の通過のための隙間を規定している。
【0068】
有利には、チャネル間の通過のための前記隙間は、100乃至300ミクロンの範囲内にある幅を有している。
【0069】
チャネルの壁の多孔度は、特には、例えば10乃至15μmの径を有していてもよい前記第3ヤーンのテキスタイル配列によって決定される。
【0070】
チャネルの壁は、補綴具の制御の下で線維反応に固着領域を提供するが(各々のヤーンの近接環境)、これは、補綴ファブリックの比較的密接であり且つ早い組織一体化に貢献する。更には、各々の小孔又はチャネルの内部断面が結合性ヤーンを実質的に何ら含んでいない場合、生体内における補綴具の炎症反応が比例的に低減され、それにより、続発性の瘢痕収縮の原因となる周縁線維性被膜の形成を制限する。本発明に従うファブリックのこの高多孔度三次元構造は、補綴具のコアにおいて組織学的に正常な結合組織の分化を可能とする。また、多方向性の多孔度は、この部位の排液を促進し、それにより、流体蓄積に伴うリスク(漿液腫、血腫、敗血症)を制限する。
【0071】
補綴具ファブリックが埋め込まれると、三次元構造によって作り出された空間の中央に存在する細胞は、上で規定された寸法条件が尊重された場合、この明細書に添付する図1において後で示すように、補綴材料のどこからも少なくとも750μm離れている。従って、再定着する細胞は、分化メカニズムを遅らせる又は中断させ得る影響を受けず、同時に、あてがわれた組織からは1ミリメートル未満であり、すなわち、迅速な修復に必須な要素(前駆血球芽細胞、毛細血管など)を提供する要素に近接している。
【0072】
これらの条件は、機械的に満足できる固定を得ることを可能とし、同時に、標準的な結合組織において見受けられる分化がコアで達成されることを維持するのを可能とする。このリブが再吸収性ヤーンからなる場合、炎症反応は、これらのヤーンの再吸収後には消えているであろう。再生された結合組織は、本発明に従う補綴具の多孔質構造において成長し且つ分化することが可能であれば、安定なままである。
【0073】
本発明に従うファブリック及び/又は三次元補綴具によって作り出される空間の構造によって、及び、特には、細孔の寸法及びそれらの相互連通によって、本発明に従うファブリック及び/又は補綴具は、最適な細胞再定着及び組織一体化を可能とする。
【0074】
更には、本発明に従うファブリック又は補綴具が埋め込まれると、再生組織は、多孔質面及びリブにおいて再生された組織と接触し、緻密面上で次第に成長する。この再生組織は、再吸収性緻密面が分解した後であっても、適切に構造化され且つ安定である被覆組織リーフレットを再形成する。この組織リーフレットは、隣接したどの臓器もファブリック又は補綴具の非再吸収性の部分から確実に遠ざけて、それにより、手術後の内臓の癒着のおそれを制限する。
【0075】
更に、本発明に従うファブリック又は補綴具の緻密面は前記ファブリックの又は前記補綴具の一体化される部分を形成するので、埋め込み前には、この緻密化面は完全に安定であり、例えば二段階で、例えば接着によって製造される複合補綴具の場合のようにばらばらになるか又は前記ファブリック若しくは前記補綴具から分離されるおそれがない。
【0076】
本発明に従うファブリック及び補綴具において、前記第1、第2及び第3ヤーンは、同一であっても互いに異なっていても良い。特には、本発明に従うファブリック又は補綴具は、例えば、補綴具の組織壁補強機能が一時的な間だけ望まれる場合には完全に分解性であってもよい。
【0077】
しかしながら、一般的に、補綴具の補強機能は永続的に望まれ、多孔質面を構成する前記第2ヤーンは、緻密面を構成する前記第1ヤーンとは異なっており且つ非再吸収性である。この場合、リブを構成する前記第3ヤーンは、非再吸収性であり且つ前記第2ヤーンと同一であっても異なっていても良く、再吸収性であり且つ緻密面を構成する前記第1ヤーンと同一であっても異なっていても良い。
【0078】
最後に、本発明のファブリック及び補綴具は、製造するのが特に迅速且つ容易である。実際、本発明の第1実施形態に従うと、本発明のファブリック及び補綴具を準備する方法は、例えば編成又は製織による1段階のみで行われても良く、この方法は、ファブリックの1つの面を処理してこの面を再吸収性にする特別な作業を必要としない。これは、特に、編成又は製織の前に単純又は複合再吸収性ヤーンを選択して緻密面を構成する場合に当てはまる。
【0079】
本発明の第2実施形態に従うと、本発明のファブリック及び補綴具を製造する方法は、ファブリックを製造する第1工程、例えば編み工程又は織り工程と、その後、このファブリックを酸化させる次工程とを具備している。この場合、緻密面を構成するヤーンとしての役割を果たすように意図されたヤーンについて、酸化前には再吸収性でなく、酸化後に再吸収性となるヤーンを選択することが可能である。それは、例えば、緻密面を構成するヤーンとしてしての役割を果たすように意図されたヤーンについて、再生セルロース、例えば未酸化の再生セルロースからつくられたヤーンを選択する場合である。未酸化の再生セルロースからつくられたヤーンは、酸化工程後に再吸収性となる。
【0080】
全ての場合において、ヒドロゲルの連続膜を上で示したような本発明のファブリック及び補綴具の緻密面のレベルで形成することに、特別な製造工程は何ら必要ではなく:このフィルムは、単に、本発明のファブリック又は補綴具を埋め込みの前に濡らすことによって形成されるか、又は、保護すべき生体組織の分泌物水溶液に本発明のファブリック又は補綴具が接触しているときに形成される。
【0081】
本発明の他の主題は、第1面と第2面とを具備し、前記第1面と前記第2面とは、互いに反対側に位置し且つ前記ファブリックの厚さにより隔てられており、前記第1面は多孔質であり、前記第2面は緻密であり且つ再吸収性である三次元補綴ファブリックの製造方法に関し、三次元ニットファブリックを、たて編み機又はラッシェル編み機にて、多孔質面を規定する少なくとも1つのヤーンのラップ、前記ファブリックの厚さを規定する少なくとも1つのヤーンのラップ及び前記緻密面を規定する少なくとも1つのヤーンのラップを用いて製造する工程を具備し、前記緻密面を規定する前記ラップは、全体に糸をかけられたガイドバーを使用し、少なくとも1つの再吸収性ヤーンを用いて得られることを特徴とする方法に関する。
【0082】
次に、このファブリックは、単に、約80℃乃至150℃の温度でベーキングすることによって安定化されても良い。
【0083】
本発明の更に他の主題は、第1面と第2面とを具備した三次元補綴ファブリックであって、前記第1面と前記第2面とは、互いに反対側に位置し且つ前記ファブリックの厚さにより隔てられており、前記第1面は多孔質であり、前記第2面は緻密であり且つ再吸収性であるファブリックを製造する方法であって、三次元ニットファブリックを、たて編み機又はラッシェル編み機にて、多孔質面を規定する少なくとも1つのヤーンのラップ、前記ファブリックの厚さを規定する少なくとも1つのヤーンのラップ及び前記緻密面を規定する少なくとも1つのヤーンのラップを用いて製造する工程を含み、
−第1工程において、前記緻密面を規定する前記ラップが、全体に糸がかけられたガイドバーを使用し、少なくとも1つの第1再生セルロースヤーンを用いて得られることと、
−第2工程において、前記ファブリックが酸化工程に供されることと
を特徴とする方法に関する。
【0084】
本発明の或る実施形態では、前記ファブリックが、メタ過ヨウ素酸ナトリウム又は過ヨウ素酸を用いた酸化に供され、次に、アセトン水溶液又はアルコール溶液中でリンスされ、乾燥前に、純粋なアセトン又はアルコールを用いて洗浄される。例えば、前記ファブリックは、15時間に亘る室温での10mM過ヨウ素酸を用いた酸化に供されても良い。
【0085】
本発明の他の実施形態では、前記ファブリックは、二酸化窒素(NO2)を用いた適当な非水溶媒中での酸化に供され、その後、イソプロパノール水溶液を用いて洗浄される。気体のNO2を、他の液体又は気体の溶媒を何ら使わずに単独で使用することができる。好ましくは、前記ファブリックは、20乃至50℃、特には25乃至40℃の範囲内にある温度で、例えば2乃至48時間、特には3乃至8時間の範囲内の時間に亘って、気体の二酸化窒素を用いた酸化に供される。二酸化窒素の凝縮を避けるために、14g/L未満の、特には6乃至12g/Lの範囲内にある二酸化窒素濃度を使用することが好ましい。NO2/セルロースの重量比は、十分な酸化を保証すべく、0.9より大きいことが好ましい。或いは、空気又は酸素の存在下で二酸化窒素を用いて酸化を行うことも可能である。或いは、NO2を、CO2若しくは窒素などのガス中で使用するか、又は、米国特許第3364200号の教示に従い、塩素化又は過フッ化液体溶媒、例えば、四塩化炭素、フレオン又はこれらの置換生成物中で使用することが可能である。国際出願第20060118552号に開示されているように、NO2を、高密度状態又は超臨界状態に保たれたCO2又は窒素などのガス中で使用することも可能である。
【0086】
好ましくは、二酸化窒素を用いた酸化後に、前記ファブリックは、過剰なNO2を除去すべく、CO2又はN2などの不活性ガスを用いた洗浄工程に供され、次に、揮発性アルコールを用いて洗浄される。例えば、揮発性アルコールは、純粋なイソプロパノールである。
【0087】
好ましくは、グリセロール又はポリエチレングリコールなどの可塑剤が、洗浄工程に添加される。
【0088】
本発明の或る実施形態では、緻密面を規定するラップの前記第1ヤーンは、スケール1112/1110//に従って編まれる。
【0089】
本発明の他の実施形態では、緻密面を規定するラップの前記第1ヤーンは、スケール2223/1110//に従って編まれる。
【0090】
本発明の或る実施形態に従うと、酸化前に、ファブリックは、80乃至150℃の範囲内にある温度でベーキングすることによって安定化される。
【0091】
本発明の様々な実施形態及び利点は、添付した図面から明らかになるであろう。
【0092】
図1は、走査電子顕微鏡「HITACHI type S 800」を用い、倍率×20で得られた、本発明に従うファブリックの多孔質面の図である。
【0093】
図2は、走査電子顕微鏡「HITACHI type S 800」を用い、倍率×30で得られた、本発明に従うファブリックの変形のリブ及び緻密面の図である。
【0094】
図3は、走査電子顕微鏡「HITACHI type S 800」を用い、倍率×30で得られた、図2のファブリックの緻密面の図である。
【0095】
図4は、走査電子顕微鏡「HITACHI type S 800」を用い、倍率×30で得られた、図2のファブリックの多孔質面、リブ及び緻密面の垂直断面図である。
【0096】
図5a及び図5bは、本発明に従うファブリックのリブを得るための編組織の2つの変形の模式図である。
【0097】
図6及び7は、図2〜4に従うファブリックの緻密面を得るための編組織の2つの変形の模式図である。
【0098】
図8は、図1に従うファブリックの多孔質面を得るための編組織の模式図である。
【0099】
図1は、本発明に従う三次元補綴ファブリックの多孔質面の一例を示している。この図に従うと、多孔質面は独立しており、六角形状の複数の開口を有している。この面の開口は、この面を構成しているヤーンが形成している周縁によって規定されている。好ましくは、これらヤーンは非再吸収性であり、ファブリック又は補綴具の永続的な組織壁の補強機能を保証する。この補強機能が限られた時間だけ望まれる場合には、これらヤーンは再吸収性であってもよい。図1に示す実施形態では、多孔質面を構成するヤーンは、50デシテックスのマルチフィラメントポリエステルヤーンである。
【0100】
図1に示す多孔質面は、ダブルラッシェル編み機にて、図8に示す編組織に従い、当業者にとっては標準的でありここでは更に詳細には説明しない代表的なスキームに従って、2つのヤーンのラップ(1、2)を用いて編まれる。ヤーン1及び2に対応した編み機のニードルバーは、1満−1空で糸がかけられる(enfilees un plein-un vide)。図8に示す組織に従い、ヤーンは以下のスケールに従って編まれる。
【0101】
−ヤーン1のラップ:1211/1011/1211/1011/1222/3222/1222/3222//
−ヤーン2のラップ:1222/3222/1222/3222/1211/1011/1211/1011//
図1から明らかなように、このような編成は、約1.3乃至1.7mmの範囲内にある平均径を有する六角形の開口を有した多孔質面を与える。このような多孔質面は、それゆえ、良好な細胞再定着と良好な組織一体化とに完全に有利である。この理由は、上述のように、補綴ファブリックが埋め込まれると、三次元構造体が生じさせている体積の中央に存在する細胞は、補綴具材料どこからも少なくとも750μm離れているからである。かくして、再定着する細胞は、分化機構を遅らせる又は中断させ得る影響を受けず、同時に、あてがわれた生物組織からは1ミリメートル未満だけ離間し、これは、機械的に満足できる固着を得るのと同時に標準的な結合組織において見受けられる分化がコアで達成されることを維持するのに最適な条件を表している。
【0102】
図2〜4には、多孔質面(A)は図1の多孔質面と同じ方法に従って得られているが、径が0.1mmのポリプロピレンモノフィラメントヤーンを用いた本発明のファブリックが示されており:このようなヤーンは、「CRINLENE(登録商標)」という名称でイタリアの会社SIDER ARCから購入可能である。
【0103】
図2及び図4に見られるように、多孔質面(A)及び緻密面(C)は、リブ(B)を介して互いに繋がっており、このリブ(B)は、図2及び図4において、中間結合ラップとしても知られているヤーンのラップを具備しており、それは多孔質面(A)から緻密面(C)に向けて実質的に垂直に延びている。この結合ラップを構成するヤーンは、多孔質面の六角形の開口部の周縁に沿って分布している。このように分布した結合ヤーンは、実質的に互いに平行な複数の横断チャネルを形成し、これらの内部断面はヤーンを含んでいない。これら横断チャネルは、ファブリックの両側、多孔質面及び緻密面にそれぞれ現れている。
【0104】
本発明に従うと、結合ヤーンは、各々の横断チャネル又は小孔が、隣り合ったチャネルとの横方向の相互連通のための多孔質内部壁を有し、これらの隙間が100乃至300μmの径を有するように配列している。ファブリックが生体内に埋め込まれると、横断チャネルは細胞再定着の速度を上昇させる。というのは、それらが、埋め込み部位への細胞の運搬又は細胞流注を促進するからである。更に、ヤーンがまさに横断チャネルの空間に事実上存在しないことは、補綴ファブリックによって引き起こされる炎症反応を低減させることを可能とし、更に、その良好な埋め込みに有利に働く。
【0105】
図2及び4に示すリブは、ダブルラッシェル編み機にて、ヤーン3のラップを用いて、図5aに示す編組織に従い、当業者にとって標準的である代表的なスキームに従って編まれている。使用されるヤーンは、「CUPRO(登録商標) Cusio」という名称でイタリアの会社Bembergから購入可能な、90デシテックスの再生セルロースマルチフィラメントヤーンである。ヤーン3に対応した編み機のニードルバーは、図5aに示すように、全体に糸がかけられる。本発明の他の実施形態では、このニードルバーは、図5bに示すように、1満−1空で糸がかけられてもよい。本発明の更に他の実施形態では、不規則な満及び空の配列で糸がかけられていても良い。図5a及び図5bに記載された組織に従って、複数のヤーンが以下のスケール:0101/0000//に従って編まれる。
【0106】
図3は、本発明に従う緻密面を示している。この図に見られるように、この緻密面は独立していてもよく、それは、一体化されており、緻密であるが透過性のある面を有している。この緻密面を構成するヤーンは、再吸収性であり、好ましくは、図3に見られるように、緊密に編まれている。この緊密な編成とこのヤーンの再吸収性とは、それらが、埋め込み前に濡らしたときに又は生体内で臓器組織と接触したときに、この緻密面を、癒着防止機能を確実にし得るヒドロゲルへと変換させ得るようにする。
【0107】
図3に示す緻密面は、ダブルラッシェル織り機で、ヤーン4のラップを用いて、図6に示す編組織に従って、当業者にとって標準的な代表的スキームに従って編まれている。編成工程のために使用されるヤーンは、リブのヤーンと同じ、すなわち、「CUPRO(登録商標) Cusio」という名称でイタリアの会社Bembergから購入可能な、90デシテックスの再生セルロースマルチフィラメントヤーンである。前文から分かるように、このヤーンは、酸化前には再吸収性ではない。従って、ファブリックは、この再生セルロースヤーンを用いて編まれ、次に、セルロースを酸化してこのセルロースヤーンを再吸収性にすべく、酸化工程に供される。図2乃至4のファブリックの場合、リブ及び緻密面は、酸化後には、再吸収性ヤーンである。
【0108】
ヤーン4に対応する編み機のニードルバーは、全体に糸がかけられている。このように全体に糸をかけることは、面のより良い均一性と良好な密度とを可能とする。図6に記載された組織に従うと、ヤーン4は、以下のスケール:1112/1110//に従って編まれる。
【0109】
本発明の他の実施形態では、緻密面は図7に示す組織に従って編まれる。このような場合、ヤーン4に対応する編み機のニードルバーは全体に糸がかけられ、これらヤーンは以下のスケール:2223/1110//に従って編まれる。
【0110】
図4に示す三次元ファブリックは、このように、上述した4つのヤーン(1、2、3、4)のラップのたて編みによって、ラッシェル編み機上での「キャスト−オフステッチ」技術に従ってつくられてもよい。好ましくは、様々なラップ1乃至4は全て同時に編まれる。従って、結合ヤーンは、多孔質面の開口の周縁に沿って分布しており、この多孔質面から緻密面へと実質的に垂直に延びており、他のチャネルとの横方向の相互連通のための隙間をつくり、結合ヤーンが形成された横断チャネルの体積の過剰に大きな部分を塞ぐのを防ぐ。次に、このファブリックは、単に、80℃乃至150℃の温度でベークすることにより安定化されてもよい。得られるファブリックの厚さは約1.5乃至5mmであり、約100乃至250g/m2の重量を有している。
【0111】
本発明の他の実施形態では、三次元ファブリックは「キャスト−オンステッチ」編み技術に従ってつくられる。
【0112】
本発明に従う三次元ファブリックは、例えば、C. Villardの本、「Manuel de theorie du tissage [Weaving theory manual]」、229ページ、Lyons、1948年に記載された二重ラップベロア技術に従って織ることによってつくられてもよい。
【0113】
ここで、本発明を以下の例により説明する。
【0114】
例1:
多孔質面、リブ及び緻密面についてそれぞれタイプが異なる3つのヤーンを含んだニットファブリックが、ラッシェル編み機にて、図1乃至8において上述した技術に従ってつくられる。
【0115】
多孔質面は、非再吸収性のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントヤーンからつくられる。リブは、ポリ乳酸(PLA)マルチフィラメントヤーンからつくられる。緻密面は、再生セルロースマルチフィラメントヤーンからつくられる。
【0116】
ニットファブリックがつくられたら、それはNO2を用いた酸化の工程に供される。
【0117】
この酸化は、米国特許第3364200号の教示に従い、NO2を用いた処理によって行われる。NO2は、気体、液体若しくは超臨界状態のCO2若しくはN2などの非水溶媒中に、又は、四塩化炭素若しくはフレオン113又はそれらの過フッ化置換体などの液体溶媒中に溶解される。この酸化の後、溶媒を用いた洗浄が続き、好ましくは、その後、イソプロパノール又はアセトンを用いた洗浄が続く。次に、ファブリックは、真空下で乾燥され、その後、補強補綴具の形に裁断され、包装され且つエチレンオキサイドを用いて殺菌される。
【0118】
この酸化処理に従うと、セルロースのみが酸化される。それは、補綴具を患者の体内に埋め込んだ後、徐々に水溶性及び再吸収性となる。
【0119】
埋め込みの直前における補綴具の水中への浸漬は、必要ならば、手術後に起こり得る癒着を避けるためにはできるだけ早くから存在していることが望ましい連続ゲルへの緻密面の変換を促進するかも知れない。
【0120】
例2:
三次元のニットファブリック及びニット補綴具が、例1において使用されたヤーンを以下のヤーンで置き換えて、例1において説明した方法に従ってつくられる。
【0121】
−多孔質面のためのモノフィラメントポリプロピレンヤーン
−リブ及び緻密面のための再生セルロースヤーン
このようにして編まれたファブリックは、次に、NO2を用いた酸化工程に供される。この酸化は、セルロース1グラム当たり1.3グラムのNO2の関係で、10g/Lの濃度の気体のNO2を反応させることによって行われる。この反応は4時間に亘って継続される。反応の終わりに、CO2又はN2などの不活性ガスを用いた洗浄が行われ、過剰なNO2が除去される。次に、このファブリックはイソプロパノール/水(1:1)混合物を用いて洗浄され、その後、純粋なイソプロパノールを用いて洗浄される。次に、ファブリックは、乾燥され、補強補綴具の形態に裁断され、次に、包装され且つガンマ線放射によって殺菌される。
【0122】
例3:
三次元のニットファブリック及びニット補綴具が、例1において使用されたヤーンを以下のヤーンで置き換えて、例1において説明した方法に従ってつくられる。
【0123】
−多孔質面のためのモノフィラメントポリプロピレンヤーン
−PGAリブのためのマルチフィラメントポリグリコール酸(PGA)ヤーン
緻密面は、例1のように、再生セルロースからつくられる。
【0124】
このようにして編まれたファブリックが、例1のように、酸化される。
【0125】
例4:
タイプが異なる3つのヤーンを多孔質面、リブ及び緻密面についてそれぞれ含んだニット補綴具が、ラッシェル編み機にて、図1乃至8において上述した編み技術に従ってつくられ、る。
【0126】
多孔質面は、非再吸収性のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントヤーンからつくられる。リブは、ポリ乳酸(PLA)マルチフィラメントヤーンからつくられる。緻密面は、ポリグルクロン酸複合ヤーンであるPGA−酸化セルロースからつくられる。
【0127】
例5:
タイプが異なる3つのヤーンを多孔質面、リブ及び緻密面についてそれぞれ含んだニット補綴具が、ラッシェル編み機にて、図1乃至8において上述した編み技術に従ってつくられる。
【0128】
多孔質面は、非再吸収性のポリプロピレンマルチフィラメント及び/又はモノフィラメントヤーンからつくられる。リブは、ポリ乳酸及びグリコール酸(PLGA)のマルチフィラメントヤーンからつくられる。緻密面は、ヒアルロナートヤーンからつくられる。
【0129】
例6:
タイプが異なる3つのヤーンを多孔質面、リブ及び緻密面についてそれぞれ含んだニット補綴具が、ラッシェル編み機にて、図1乃至8において上述した編み技術に従ってつくられる。
【0130】
多孔質面は、非再吸収性のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントヤーンからつくられる。リブは、ポリ乳酸(PLA)マルチフィラメントヤーンからつくられる。緻密面は、ヒアルロナート及び又はポリグルクロン酸を含浸させたポリグリコール酸マルチフィラメントヤーンからつくられる。
【0131】
例7:
緻密面のヤーンにリアルロン酸とキトサンとの混合物を含浸させた例5と類似のファブリックがつくられる。
【0132】
例8:
タイプが異なる3つのヤーンを多孔質面、リブ及び緻密面についてそれぞれ含んだニット補綴具が、ラッシェル編み機にて、図1乃至8において上述した編み技術に従ってつくられる。
【0133】
多孔質面は、非再吸収性ポリプロピレンモノフィラメントヤーンからつくられる。リブは、ポリ乳酸(PLA)マルチフィラメントヤーンからつくられる。緻密面は、以下の方法に従ってヒアルロナートを含浸させたポリグルクロン酸(PGA)マルチフィラメントヤーンからつくられる:マルチフィラメントポリグリコール酸にpH9でヒアルロナートを含浸させ、次に、編まれる前に、アセトンを用いたPGA複合ヤーンの乾燥のときに、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルと共に加熱することによって架橋させる。
【0134】
例6、7及び8では、緻密層を構成する含浸されたヤーンは、表面が非常に親水性となり、それらの各々について、選択された多糖類が、予め濡らすことによって及び/又は生物組織からの水分の存在によって迅速に遊離又は水和されて、もしあれば粘性及び架橋のおかげで本発明に従うファブリックのステッチに固定された粘稠ゲルを生じさせる。この連続ゲルの自然生成は、本発明に従うファブリックに、癒着防止性能を与える。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】走査電子顕微鏡「HITACHI type S 800」を用い、倍率×20で得られた、本発明に従うファブリックの多孔質面の図。
【図2】走査電子顕微鏡「HITACHI type S 800」を用い、倍率×30で得られた、本発明に従うファブリックの変形のリブ及び緻密面の図。
【図3】走査電子顕微鏡「HITACHI type S 800」を用い、倍率×30で得られた、図2のファブリックの緻密面の図。
【図4】走査電子顕微鏡「HITACHI type S 800」を用い、倍率×30で得られた、図2のファブリックの多孔質面、リブ及び緻密面の垂直断面図。
【図5a】本発明に従うファブリックのリブを得るための編組織の変形の模式図。
【図5b】本発明に従うファブリックのリブを得るための編組織の変形の模式図。
【図6】図2〜4に従うファブリックの緻密面を得るための編組織の変形の模式図。
【図7】図2〜4に従うファブリックの緻密面を得るための編組織の変形の模式図。
【図8】図1に従うファブリックの多孔質面を得るための編組織の模式図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と第2面とを具備した三次元補綴ファブリックであって、前記第1面と前記第2面とは、互いに反対側に位置し且つ前記ファブリックの厚さにより隔てられており、前記第1面は多孔質であり、前記第2面は、緻密であり且つ少なくとも1つの第1再吸収性ヤーンからつくられていることを特徴とするファブリック。
【請求項2】
請求項1記載のファブリックであって、前記第1再吸収性ヤーンは、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリアミド、ポリエーテル及び多糖類並びにそれらの混合物から選択される生体適合性ポリマー材料のモノフィラメント及び/又はマルチフィラメントからなることを特徴とするファブリック。
【請求項3】
請求項2記載のファブリックであって、前記ポリエステルは、ポリヒドロキシ酸、好ましくはグリコール酸ポリマー、乳酸ポリマー及びヒドロキシ酪酸ポリマー、並びにそれらの混合物から選択されることを特徴とするファブリック。
【請求項4】
請求項2記載のファブリックであって、前記多糖類は、ヒアルロン酸、アルギン酸、ポリグルクロン酸、キトサン、澱粉及び可溶性セルロース誘導体、並びにそれらの混合物から選択されることを特徴とするファブリック。
【請求項5】
請求項4記載のファブリックであって、前記多糖類は架橋されていることを特徴とするファブリック。
【請求項6】
請求項4記載のファブリックであって、前記可溶性セルロース誘導体は、セルロースエーテル、例えばカルボキシメチルセルロース、及び酸化セルロース、並びにそれらの混合物から選択されることを特徴とするファブリック。
【請求項7】
請求項6記載のファブリックであって、前記酸化セルロースは、例えばポリグルクロン酸を与えるべくC6一級アルコールが部分的又は全体的にカルボン酸へと酸化された酸化セルロース、過ヨウ素酸を用いてポリアルデヒドの形態に酸化されたセルロース、及び、可溶化され、その後、再生され且つ酸化されたセルロースのパルプから製造された「ビスコース」型のセルロース、並びにそれらの混合物から選択されることを特徴とするファブリック。
【請求項8】
請求項7記載のファブリックであって、前記第1再吸収性ヤーンは、再生され且つ酸化されたセルロースからなるマルチフィラメントヤーンであることを特徴とするファブリック。
【請求項9】
請求項3及び7記載のファブリックであって、前記第1再吸収性ヤーンは、ポリグリコール酸と、ポリグルコロン酸の形態にある酸化セルロースとの複合マルチフィラメントヤーンであることを特徴とするファブリック。
【請求項10】
請求項4記載のファブリックであって、前記第1再吸収性ヤーンは、アルギン酸、ヒアルロン酸、ポリグルクロン酸及びそれらの混合物から選択される負に帯電した多糖類と、正に帯電した多糖類、例えばキトサンとを混合することで得られることを特徴とするファブリック。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1項記載のファブリックであって、前記第1再吸収性ヤーンが間に隙間の空間を規定した複数のフィラメントから構成されたマルチフィラメントヤーンであり、前記マルチフィラメントヤーンは、前記隙間の空間に、ヒアルロン酸、アルギン酸、ポリグルコロン酸、キトサン、澱粉及び可溶性セルロース誘導体、並びにこれらの混合物から選択される多糖類を含浸していることを特徴とするファブリック。
【請求項12】
請求項11記載のファブリックであって、前記第1再吸収性ヤーンは、ポリグルクロン酸を含浸させたポリグリコール酸のマルチフィラメントヤーンであることを特徴とするファブリック。
【請求項13】
請求項11記載のファブリックであって、前記第1再吸収性ヤーンは、ポリグルクロン酸とキトサンとの混合物を含浸させたポリグリコール酸のマルチフィラメントヤーンであることを特徴とするファブリック。
【請求項14】
請求項11記載のファブリックであって、前記第1再吸収性ヤーンは、ヒアルロン酸とキトサンとの混合物を含浸させたポリグリコール酸のマルチフィラメントヤーンであることを特徴とするファブリック。
【請求項15】
請求項11記載のファブリックであって、前記第1再吸収性ヤーンは、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルを用いて架橋されたヒアルロナートを含浸させたポリグリコール酸のマルチフィラメントヤーンであることを特徴とするファブリック。
【請求項16】
請求項11記載のファブリックであって、前記第1再吸収性ヤーンは、キトサンを含浸させた酸化セルロースのマルチフィラメントヤーンであることを特徴とするファブリック。
【請求項17】
請求項1乃至16の何れか1項記載のファブリックであって、前記第1多孔質面は、生体適合性ポリマー材料のモノフィラメント及び/又はマルチフィラメントからなる少なくとも1つの第2再吸収性又は非再吸収性ヤーンからつくられていることを特徴とするファブリック。
【請求項18】
請求項17記載のファブリックであって、前記第2ヤーンは非再吸収性であることを特徴とするファブリック。
【請求項19】
請求項18記載のファブリックであって、前記第2ヤーンは、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、ポリビニルジフルオレン及びそれらの混合物から選択される生体適合性ポリマー材料のモノフィラメント及び/又はマルチフィラメントからなることを特徴とするファブリック。
【請求項20】
請求項1乃至19の何れか1項記載のファブリックであって、前記第1面及び前記第2面は、生体適合性ポリマー材料のモノフィラメント及び/又はマルチフィラメントからなる少なくとも1つの第3再吸収性又は非再吸収性ヤーンからつくられたリブを介して互いに繋がっていることを特徴とするファブリック。
【請求項21】
請求項20記載のファブリックであって、前記第3ヤーンは再吸収性であることを特徴とするファブリック。
【請求項22】
請求項21記載のファブリックであって、前記第3ヤーンは、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリアルカノエート、ポリアミド、ポリフォスファゼン、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリオルトエステル、ポリカーボネート及びポリ無水物、並びにそれらの混合物から選択される生体適合性材料のモノフィラメント及び/又はマルチフィラメントからなることを特徴とするファブリック。
【請求項23】
請求項22記載のファブリックであって、前記ポリエステルは、ポリヒドロキシ酸、好ましくはグリコール酸ポリマー、乳酸ポリマー及びヒドロキシブチル酸ポリマー、並びにそれらの混合物から選択されることを特徴とするファブリック。
【請求項24】
請求項23記載のファブリックであって、前記第3ヤーンは、ポリ乳酸マルチフィラメントヤーンであることを特徴とするファブリック。
【請求項25】
請求項23記載のファブリックであって、前記第3ヤーンは、ポリグリコール酸マルチフィラメントヤーンであることを特徴とするファブリック。
【請求項26】
請求項23記載のファブリックであって、前記第3ヤーンは、ポリ乳酸及びポリグリコール酸のマルチフィラメントヤーンであることを特徴とするファブリック。
【請求項27】
請求項1乃至26の何れか1項記載のファブリックであって、前記緻密面が、一体化されているが通気性のある面を定める緊密に編まれた複数の第1ヤーンの少なくとも1つのラップを具備したことを特徴とするファブリック。
【請求項28】
請求項17乃至27の何れか1項記載のファブリックであって、前記多孔質面は、六角形の開口部を定める編まれた複数の第2ヤーンの少なくとも2つのラップを具備したことを特徴とするファブリック。
【請求項29】
請求項20及び28記載のファブリックであって、前記リブは、前記多孔質面から前記緻密面へと実質的に垂直に延びた複数の第3ヤーンの少なくとも1つのラップを具備しており、前記第3ヤーンは、前記多孔質面上で、前記六角形の開口部の周縁に沿って分布していることを特徴とするファブリック。
【請求項30】
請求項29記載のファブリックであって、前記第3ヤーンは、内部断面にヤーンを含んでいない実質的に互いに平行な複数の横断チャネルを形成しており、前記チャネルは、前記ファブリックの両側に、前記多孔質面には前記六角形の開口部に応じて、及び、前記緻密面にそれぞれ現れていることを特徴とするファブリック。
【請求項31】
請求項30記載のファブリックであって、前記横断チャネルの平均径は、0.3mm以上であり、好ましくは0.7乃至3mmの範囲内にあり、より好ましくは1.3乃至1.7mmの範囲内にあることを特徴とするファブリック。
【請求項32】
請求項31記載のファブリックであって、前記横断チャネルは、前記ファブリックの厚さに対応して、0.5乃至5mmの範囲内にある長さ、より好ましくは1.5乃至3mmの範囲内にある長さを有していることを特徴とするファブリック。
【請求項33】
請求項30乃至32の何れか1項記載のファブリックであって、前記リブは、各々のチャネルに対し、隣り合ったチャネルと相互連通する多孔質の内壁を定めており、前記多孔質内壁はチャネル間の通過のための隙間を規定していることを特徴とするファブリック。
【請求項34】
請求項33記載のファブリックであって、チャネル間の通過のための前記隙間は、100乃至300ミクロンの範囲内にある幅を有していることを特徴とするファブリック。
【請求項35】
組織壁を補強、保護又は支持するための補綴具であって、請求項1乃至34の何れか1項記載の補綴具ファブリックからの裁断によって得られることを特徴とする補綴具。
【請求項36】
第1面と第2面とを具備した三次元補綴ファブリックであって、前記第1面と前記第2面とは、互いに反対側に位置し且つ前記ファブリックの厚さにより隔てられており、前記第1面は多孔質であり、前記第2面は緻密であり且つ再吸収性であるファブリックの製造方法であって、三次元ニットファブリックを、たて編み機又はラッシェル編み機にて、前記多孔質面を規定する少なくとも1つのヤーンのラップ、前記ファブリックの厚さを規定する少なくとも1つのヤーンのラップ及び前記緻密面を規定する少なくとも1つのヤーンのラップを用いて製造する工程を具備し、前記緻密面を規定する前記ラップは、全体に糸がかけられたガイドバーを使用し、少なくとも1つの再吸収性ヤーンを用いて得られることを特徴とする方法。
【請求項37】
第1面と第2面とを具備した三次元補綴ファブリックであって、前記第1面と前記第2面とは、互いに反対側に位置し且つ前記ファブリックの厚さにより隔てられており、前記第1面は多孔質であり、前記第2面は緻密であり且つ再吸収性であるファブリックを製造する方法であって、三次元ニットファブリックを、たて編み機又はラッシェル編み機にて、前記多孔質面を規定する少なくとも1つのヤーンのラップ、前記ファブリックの厚さを規定する少なくとも1つのヤーンのラップ及び前記緻密面を規定する少なくとも1つのヤーンのラップを用いて製造する工程を具備し、
−第1工程において、前記緻密面を規定する前記ラップが、全体に糸がかけられたガイドバーを使用し、少なくとも1つの第1再生セルロースヤーンを用いて得られることと、
−第2工程において、前記ファブリックが酸化工程に供されることと
を特徴とする方法。
【請求項38】
請求項37記載の方法であって、前記ファブリックが、過ヨウ素酸ナトリウム又は過ヨウ素酸を用いた酸化に供され、次に、アセトン水溶液又はアルコール溶液中でリンスされ、乾燥前に、純粋なアセトン又はアルコールを用いて洗浄されることを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項37記載の方法であって、前記ファブリックが、20乃至50℃、特には25乃至40℃の範囲内にある温度の気体の二酸化窒素を用いた酸化に供されることを特徴とする方法。
【請求項40】
請求項37又は39記載の方法であって、前記ファブリックが、2乃至48時間、特には3乃至8時間の範囲内にある時間に亘って、気体の二酸化窒素を用いた酸化に供されることを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項39又は40記載の方法であって、前記二酸化窒素の濃度は、14g/L未満、特には6乃至12g/Lの範囲内にあることを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項39乃至41の何れか1項記載の方法であって、NO2/セルロースの重量比は、0.9より大きいことを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項37記載の方法であって、前記ファブリックが、空気又は酸素の存在下で気体の二酸化窒素を用いる酸化に供されることを特徴とする方法。
【請求項44】
請求項37記載の方法であって、酸化窒素を用いた酸化後に、前記ファブリックが、過剰なNO2を除去すべく、CO2又はN2などの不活性ガスを用いた洗浄工程に供され、次に、揮発性アルコールを用いて洗浄されることを特徴とする方法。
【請求項45】
請求項37記載の方法であって、前記ファブリックが、適切な非水溶媒中での二酸化窒素を用いた酸化に供され、その後、イソプロパノール水溶液を用いて洗浄されることを特徴とする方法。
【請求項46】
請求項44又は45記載の方法であって、グリセロール又はポリエチレングリコールなどの可塑剤が洗浄工程に添加されることを特徴とする方法。
【請求項47】
請求項36乃至46の何れか1項記載の方法であって、前記緻密面を規定するラップの前記第1ヤーンが、スケール1112/1110//に従って編まれることを特徴とする方法。
【請求項48】
請求項36乃至46の何れか1項記載の方法であって、前記緻密面を規定するラップの前記第1ヤーンが、スケール2223/1110//に従って編まれることを特徴とする方法。
【請求項49】
請求項37記載の方法であって、酸化前に、前記ファブリックが、80乃至150℃の範囲内にある温度でベーキングすることによって安定化されることを特徴とする方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2009−503281(P2009−503281A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524542(P2008−524542)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【国際出願番号】PCT/FR2006/001848
【国際公開番号】WO2007/014995
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(505453631)
【Fターム(参考)】